JP3578969B2 - パルプモールド成形体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、衝撃強度及び圧縮強度等の機械的強度が向上したパルプモールド成形体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
パルプ繊維と合成繊維とを含むパルプモールド成形体に関する従来の技術として、特開平7−274283号公報に、ポリエステル系繊維と天然パルプとを混合、抄造し、これを熱風乾燥させることで、前記ポリエステル系繊維の交点のみを融着させたスピーカー用振動板が記載されている。また、特開平10−311000号公報には、パルプ及び保水度が150〜500%の芯鞘型微細繊維を含むパルプモールド成形体が記載されている。
【0003】
しかし、特開平7−274283号公報記載の発明では、使用されるポリエステル系繊維が単一の成分から構成されるものなので、該ポリエステル系繊維を完全に溶融させることことなく、繊維の交点のみを融着させることは、製造技術上容易ではない。
【0004】
また特開平10−311000号公報記載の発明では、使用される芯鞘型微細繊維の平均繊維長が0.01〜0.80mmといった極めて短いものなので、成形体の機械的強度を大幅に向上させるには限度がある。
【0005】
従って、本発明は、衝撃強度や圧縮強度等の機械的強度が向上したパルプモールド成形体の製造方法を提供することを目的とする。また本発明は、特に、ネジ部を有するパルプモールド成形体における該ネジ部のネジ強度が向上したパルプモールド成形体の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、パルプ繊維及び平均繊維長1〜60mmの芯鞘型合成繊維を含み、該芯鞘型合成繊維の含有量が固形分基準で2〜50重量%であるパルプスラリーを原料とし、湿式抄造法によって含水状態の成形体を抄造した後、含水状態の前記成形体内に拡縮可能な中空状の中子を挿入し、該中子内に所定の流体を供給して該中子を拡張させ、前記芯鞘型合成繊維同士の融着による網目状構造が形成可能な条件下に、拡張した該中子により該成形体を押圧することによって加熱乾燥させるパルプモールド成形体の製造方法を提供することにより前記目的を達成したものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。なお以下の説明において、本発明のパルプモールド成形体というときには、本発明の製造方法に従い製造されたパルプモールド成形体のことをいう。本発明のパルプモールド成形体は、単層p構造のものと、多層構造のものの双方を包含する。以下、代表的な実施形態として、単層構造の成形体を例にとり説明する。
【0009】
本発明に用いられるパルプ繊維としては、従来この種の成形体に用いられているものと同様のものが用いられ、その例としては針葉樹又は広葉樹の晒又は未晒化学パルプ、機械パルプ、コットンパルプ、リンターパルプ等が挙げられる。また、新聞紙、中質紙、上質紙等の印刷使用済み古紙を原料とする古紙パルプや、これを更に脱墨した脱墨古紙パルプ等を用いることもできる。これらのパルプ繊維は一種又は二種以上を用いることができる。
【0010】
パルプモールド成形体におけるパルプ繊維の量は、50〜98重量%、特に80〜96重量%であることが、安定した抄造が可能である点、並びに均一な肉厚を有し且つ内面及び外面の平滑性に優れた成形体の製造の点から好ましい。また、パルプモールド成形体の抄造に用いられるパルプスラリーにおけるパルプ繊維の濃度は、0.1〜20重量%、特に0.2〜10重量%であることが安定した抄造が可能である点から好ましい。
【0011】
本発明に用いられる芯鞘型合成繊維は、相対的に低融点の樹脂から構成される鞘部分と、相対的に高融点の樹脂から構成される芯部分とからなる二成分系複合繊維である。芯部分と鞘部分とは同心でもよく或いは偏心していてもよい。芯鞘型合成繊維を併用することによって、得られる成形体の衝撃強度及び圧縮強度が向上する。また、芯鞘型合成繊維は一般に疎水性であり濾水度が高いことから、成形体の抄造時及び乾燥時における脱水、乾燥時間が短縮化される。
【0012】
芯鞘型合成繊維は、その平均繊維長が1〜60mmであり、好ましくは1.5〜30mm、更に好ましくは2〜15mmである。平均繊維長が1mm未満であると、該芯鞘型合成繊維同士の網目状構造の形成が不十分となり、成形体の衝撃強度及び圧縮強度の向上が望めない。60mm超であると、パルプスラリー中での分散性が低下し、安定した抄造及び均一な成形体の製造が困難となる。本明細書にいう平均繊維長とは、繊維の繊維長の度数分布を測定し、その長さ加重平均から求められる値、即ち長さ加重平均繊維長をいう。本発明においては、平均繊維長が前記範囲内にある芯鞘型合成繊維を二種以上用いてもよい。更に本発明の効果を損なわない範囲において、平均繊維長が前記範囲内にある芯鞘型合成繊維と共に平均繊維長が前記範囲内にない芯鞘型合成繊維を用いてもよい。
【0013】
芯鞘型合成繊維は、その繊度が0.5〜10dtex、特に1〜5dtexであることが、成形体の衝撃強度及び圧縮強度の向上並びに成形安定性の点から好ましい。特に繊度が10dtex超であると、芯鞘型合成繊維同士が絡み合う交点が減少する傾向にあり、同等の物性を得ようとすると、芯鞘型合成繊維の配合量を増加させる必要があり費用が高くなる場合がある。
【0014】
芯鞘型合成繊維における鞘部分は、その融点Tmsが、90〜200℃、特に100〜160℃であることが、芯鞘型合成繊維同士の交点の融着性及び芯鞘型合成繊維とパルプ繊維との交点の融着性が良好となり、網目状構造が十分に形成される点から好ましい。一方、芯部分は、その融点Tmcが、150〜290℃、特に180〜260℃であることが、芯部の機械的強度が保持されて、成形体の衝撃強度及び圧縮強度が向上する点から好ましい。
【0015】
芯部分の融点Tmcと鞘部分の融点Tmsとの温度差、即ち、ΔT=Tmc−Tmsは、10〜200℃、特に20〜170℃であることが、芯鞘型合成繊維の芯部分の強度を保持したままで鞘部分が溶融して網目状構造が形成され、成形体の機械的強度がより一層向上する点から好ましい。
【0016】
芯鞘型合成繊維は、その横断面において、芯部分の面積Sと鞘部分Sとの面積比S/Sが、1/9〜9/1、特に3/7〜7/3であることが、芯鞘型合成繊維同士の交点の融着性の向上並びに成形体の衝撃強度及び圧縮強度の向上の点から好ましい。具体的には、S/Sが、1/9未満の場合、芯鞘型合成繊維同士の交点の融着性は優れるが、成形体の強度が劣る場合があり、S/S=9/1超の場合は、芯鞘型合成繊維同士の融着性が低いため成形体の強度が劣る場合がある。
【0017】
芯鞘型合成繊維は、その引張強度が、1〜6cN/dtex、特に2〜6cN/dtexであることが、成形体の衝撃強度、圧縮強度及びネジ部分での螺合した際の強度の向上の点から好ましい。引張強度は、JIS L 1015に準じ、チャック間距離20mm、引張速度20mm/分の条件で測定される。
【0018】
芯鞘型合成繊維の好ましい具体例としては、芯部分がポリエステル、鞘部分が変性された低融点ポリエステルからなるもの;芯部分がポリエステル、鞘部分がポリエチレンからなるもの;芯部分がポリエステル、鞘部分がナイロンからなるもの;芯部分がポリプロピレン、鞘部分がポリエチレンからなるもの;芯部分がポリプロピレン、鞘部分は変性された低融点ポリエチレンからなるもの等が挙げられる。
【0019】
パルプモールド成形体における芯鞘型合成繊維の量は、2〜50重量%であり、好ましくは3〜30重量%、更に好ましくは5〜20重量%である。芯鞘型合成繊維の量が2重量%未満では、成形体の衝撃強度、圧縮強度及びネジ強度において、十分な強度向上が見られず、芯鞘型合成繊維を配合した効果が発現し難い。50重量%超では、パルプスラリー中での芯鞘型合成繊維の分散性が低下し、安定した抄造及び均一な肉厚の成形体の製造が困難となってしまう。
【0020】
芯鞘型合成繊維は、それらの交点において融着して、成形体の全体に亘って網目状構造を形成していることが好ましい。また、芯鞘型合成繊維同士が融着していることに加えて、芯鞘型合成繊維がパルプ繊維同士を結合させるバインダとしても作用し、パルプ繊維同士が芯鞘型合成繊維を介して結合されていることも好ましい。これによって得られる成形体の衝撃強度及び圧縮強度が一層向上する。特に、芯鞘型合成繊維同士が、主としてその鞘部分で融着していると共に該鞘部分を介してパルプ繊維同士が結合していることが、成形体の高温、高湿下での強度保持やネジ強度の向上の点から好ましい。成形体にこのような網目状構造を形成するには、例えば後述する製造方法を用いればよい。
【0021】
本実施形態のパルプモールド成形体には、前述のパルプ繊維及び芯鞘型合成繊維に加えて、従来この種の成形体に用いられている各種成分を含有させることもできる。そのような成分の例としては、単一の樹脂から構成される合成繊維、無機繊維、紙力増強剤、サイズ剤、着色剤、填料等が挙げられる。これらの成分は、パルプスラリー中に内添されてもよく、或いは成形体の製造過程において又は成形体の製造後に外添されてもよい。特に、単一の樹脂から構成される合成繊維を用い、これをパルプスラリーに内添しておき、成形体の製造工程において該合成繊維を一旦溶融させることで、得られる成形体に防湿・防水性を付与することができる。
【0022】
次に、本実施形態のパルプモールド成形体の好ましい製造方法を図1を参照しながら説明する。図1には、口頸部の外周にネジ部を有するボトル状のパルプモールド成形体を製造する方法における抄造・脱水工程が順次示されている。図1中、(a)はパルプスラリー注入及び吸引脱水工程、(b)は中子挿入工程、(c)は加圧脱水工程、(d)は抄造型を開く工程である。
【0023】
本製造方法においては、一組の割型からなり且つ各割型を組み合わせることにより所定形状のキャビティが形成される抄造型の前記キャビティ内にパルプスラリーを供給して、該キャビティの内面に含水状態の成形体を形成した後、該成形体に、所定の流体を供給し、この流体を通過させることで該成形体を一次脱水する。次いで、該成形体内に拡縮可能な中空状の中子を挿入し、次いで該中子内に所定の流体を供給して該中子を拡張させて、拡張した該中子により前記成形体を前記キャビティ内面に向けて押圧して二次脱水、即ち加圧脱水する。
【0024】
詳細には、先ず、図1(a)に示すように、2個の割型2,3からなり、且つ各割型を組み合わせることにより所定形状のキャビティ4が形成される抄造型1を用意する。キャビティ4は、外部に向けて開口したスラリー注入口5を介して抄造型1の外部に連通している。キャビティ4の内面は、所定の大きさの網目を有するネット(図示せず)によって被覆されている。各割型2,3には、その内部(即ちキャビティ4の内面)と外部とを連通させる複数の連通路6が形成されている。各連通路6は、吸引ポンプ等の吸引手段(図示せず)に接続されている。尚、図1において割型2,3に形成されているネジ山部は省略されている。
【0025】
この状態下に、スラリー注入口5を通じて所定量のパルプスラリーをキャビティ4内に注入する。パルプスラリーには、前述したパルプ繊維及び芯鞘型合成繊維が含まれており、芯鞘型合成繊維の含有量は固形分基準で2〜50重量%となっている。パルプスラリーの注入と共に連通路6を通じてキャビティ4内を抄造型1の外側に向けて減圧吸引して、パルプスラリー中の水分を吸引すると共に抄造面、即ちキャビティ4の内面を被覆するネット上にパルプ繊維を堆積させる。その結果、ネット上には、パルプ繊維が堆積されてなる含水状態の成形体7が形成される。
【0026】
成形された成形体7は、脱水工程に付される。先ず成形体7の一次脱水を行う。一次脱水では、含水状態の成形体7に所定の流体(以下脱水用流体という)を供給し、該脱水用流体を該成形体7を通じて抄造型1の型外に排出することで脱水を行う。抄紙には、抄造型1におけるスラリー注入口5を通じて脱水用流体を成形体7内に供給する。成形体7は、流体の流通性を有しているので、脱水用流体は、成形体7を通過し、連通路6を経て型外へ排出される。脱水用流体を成形体7内に供給し、これを成形体7を通過させて型外へ排出することにより、熱交換による加熱乾燥を主としない物理的なメカニズムによって、含水状態の成形体7から水分が瞬時に除去され、脱水が進行する。
【0027】
脱水用流体としては、蒸気、過熱蒸気、又は加熱されていないか若しくは加熱された圧搾空気(以下、両者を総称して単に圧搾空気という)が好ましく用いられる。脱水用流体として蒸気又は過熱蒸気を用いる場合には、キャビティ内の圧力が好ましくは98kPa〔gage〕以上、更に好ましくは196kPa〔gage〕以上、一層好ましくは294kPa〔gage〕以上となるように供給する。一方、脱水用流体として圧搾空気を用いる場合には、キャビティ内の圧力が好ましくは196kPa〔gage〕以上、更に好ましくは294kPa〔gage〕以上となるように供給する。特に、過熱蒸気を用いた場合には、過熱蒸気による凝縮伝熱により、成形体7の温度は、瞬時にほぼ飽和蒸気温度に達する。これにより、水の界面張力及び粘度が低下して、成形体7に保有されている水分は、非常に効率よく瞬間的に吹き飛ばされる。この脱水方法は熱交換を主としないことから、エネルギー的に極めて有利な方法である。また、脱水は瞬時に完了することから、脱水時間を短縮できる。また、脱水用流体の供給圧力は、機械的なプレス脱水の圧力に比して低いので、脱水される成形体7の表面にネットの跡が付きにくく、外観の良好な成形体が得られるという利点もある。尚、キャビティ内の圧力とは、過熱蒸気又は圧搾空気のキャビティ内への入口圧をいう。
【0028】
一次脱水の完了後、図1(b)に示すように、中子8を用いた二次脱水を行う。即ち、抄造型1を内部から外部へ向けて吸引した状態下に、拡縮可能な中空状の中子8を、その収縮状態下に成形体7内に挿入する。本発明において拡縮とは、中子8が伸縮してその体積が変化する場合と、中子8自体は伸縮しないが、その内部へ流体を供給又はその内部から流体を除去することにより、その体積が変化する場合の双方を包含する。前者の例としては天然ゴム、ウレタン、フッ素系ゴム、シリコーン系ゴム又はエラストマー等の弾性材から構成された中子が挙げられ、後者の例としてはポリエチレンやポリプロピレン等のプラスチック材料、これらのプラスチック材料のフィルムにアルミニウムやシリカが蒸着されたフィルム、これらのプラスチック材料のフィルムにアルミニウム箔がラミネートされたフィルム、紙類、布類等の可撓性材料から構成された中子が挙げられる。本実施形態では、中子8として伸縮可能な弾性材から構成された袋状(風船状)のものを用いている。
【0029】
次に、図1(c)に示すように、中子8内に所定の流体を供給して中子8を拡張させ、拡張した中子8により含水状態の成形体7を抄造面、即ちキャビティ4の内面に向けて押圧する。これにより、成形体7の加圧脱水が進行すると共に成形体7にキャビティ4の内面形状が転写される。この場合、成形体7には所定量の芯鞘型合成繊維が含まれているので、成形体7は、その濾水性が高く、効率良く脱水が行われる。また成形体7は、その内部からキャビティ4の内面に向けて押し付けられるために、キャビティ4の形状が複雑であっても、精度良くキャビティ4の内面の成形体10に転写されることになる。更に、側壁がほぼ垂直に立ち上がった深底の成形体も容易に製造できる。中子8を拡張させるために用いられる流体としては、例えば空気(加圧空気)、熱風(加熱された加圧空気)、過熱蒸気、油(加熱油)、その他各種の液が使用される。特に、空気、熱風、過熱蒸気を用いることが、操作性等の点から好ましい。流体を供給する圧力は、0.01〜5MPa、特に0.1〜3MPaであることが好ましい。
【0030】
成形体7を所定の含水率まで脱水でき且つ成形体7にキャビティ4の内面の形状が十分に転写されたら、図1(d)に示すように、中子8内の流体を抜き、中子8を縮小させる。次いで、縮小した中子8を成形体7内より取り出し、更に抄造型1を開いて所定の含水率を有する含水状態の成形体7を取り出す。
【0031】
取り出された成形体は次に加熱乾燥工程に付される。加熱乾燥工程では、抄造・脱水を行わず、加熱された状態の加熱型を用いること以外は、図1に示す抄造・脱水工程とほぼ同様の操作が行われる。即ち、先ず、一組の割型を組み合わせることにより成形すべきパルプモールド成形体の外形に対応した形状のキャビティが形成される加熱型を別途用意し、該加熱型を所定温度に加熱しておく。本実施形態においては、加熱型のキャビティ形状と抄造型のキャビティ形状とは同じになされている。加熱された状態の加熱型のキャビティ内に、所定の含水率まで脱水された含水状態の成形体を装填する。
【0032】
次に、図1(b)及び(c)に示す加圧脱水工程で用いた中子8と同様の中子を成形体内に挿入し、該中子内に流体を供給して該中子を拡張させ、拡張した該中子により成形体をキャビティの内面に向けて押圧する。中子の材質及び流体の供給圧力は、加圧脱水工程と同様とすることができる。この状態下に、成形体を加熱乾燥する。特に中子に供給する流体として加熱空気や過熱蒸気等の加熱流体を用いることで、乾燥が一層効率的に行われ、乾燥効率が一層向上する。また、芯鞘型合成繊維に起因する高濾水性によっても乾燥効率が向上する。
【0033】
加熱乾燥の条件は、成形体に含まれている芯鞘型合成繊維が、その融着によって網目状構造を形成することが可能な条件とする。特に、加熱乾燥時の温度Tを、芯鞘型合成繊維の鞘部分の融点Tms以上且つ芯部分の融点Tmc未満とすることで(即ち、Tms≦T<Tmcとする)、芯鞘型合成繊維同士が、主としてその鞘部分で融着される。
【0034】
成形体が十分に乾燥したら、中子内の流体を抜き、該中子を縮小させて取り出す。更に加熱型を開いて、パルプモールド成形体を取り出す。
【0035】
このようにして製造されたボトル状のパルプモールド成形体は、口頸部、胴部及び底部につなぎ目が無く、且つ口頸部、胴部及び底部が一体的に形成されており、良好な外観を呈する。そして、この成形体は芯鞘型合成繊維が含有されていることによって、衝撃強度及び圧縮強度が高いものとなる。特に、高い強度が要求される口頸部のネジ部の強度(ネジ強度)が高くなる。
【0036】
本発明は、前記実施形態に制限されない。例えば、前述の説明は、単層構造の成形体に基づいて行ったが、本発明の成形体は、多層構造のものでもよい。この場合、多層構造の成形体における少なくとも一層に前述の芯鞘型合成繊維が含まれており、該層における芯鞘型合成繊維の含有量が前述の範囲内にあればよい。このような成形体においても、単層構造の成形体と同様に、その機械的強度が向上する。
【0037】
また、本発明はボトル状の成形体だけでなく、箱形のカートン状の成形体及びその他の形状の成形体にも同様に適用できる。また、内容物の収容に用いられる容器の形状のほか、置物等のオブジェなどデザイン上自由な種々の形状とすることができる。
【0038】
また本発明のパルプモールド成形体の製造方法においては、前述の加圧乾燥と共に熱風による通気乾燥や赤外線乾燥等を用いることができる。
【0039】
【実施例】
以下の例中、特に断らない限り、「部」及び「%」はそれぞれ「重量部」及び「重量%」を意味する。
【0040】
〔実施例1〜4並びに比較例1及び2〕
コートボール古紙を原料とするカナディアン・スタンダード・フリーネスが350mlである濃度1%のパルプスラリーに、表1に示す合成繊維を同表に示す量用いてパルプスラリーを調製し、このパルプスラリーを抄紙原料として図1に示す方法によって口頸部の外周にネジ部を有するボトル状のパルプモールド成形体を製造した。加熱乾燥工程における乾燥温度は表1に示す通りである。この乾燥温度は、加熱型の内面と成形体の外面との間に熱電対を挿入して測定した。尚、表には示していないが、各実施例の成形体は、その全体に亘って、芯鞘型合成繊維同士が主としてその鞘部分で融着して網目状構造を形成していた。
【0041】
得られた成形体について密度をそれぞれ測定した。また以下の方法で衝撃強度、圧縮強度及びネジ部のネジ強度を測定した。更に、実施例及び比較例の成形体の製造において、以下の条件で成形体の脱水を行ったときの脱水時間を測定した。それらの結果を表1に示す。
【0042】
<衝撃強度>
成形体に粉末漂白剤〔花王(株)製、粉末ワイドハイター(商品名)〕を700g充填し、樹脂製ネジキャップでキャッピングし、温度5℃、湿度50%RHの環境下に24時間以上コンディショニングした。この成形体について、1mの高さからコンクリート床へ向けて、正立落下及び側面落下をそれぞれ10回連続で行い、成形体に破損による粉洩れが生じるか観察した。各例について10個ずつの成形体を試験し、粉洩れが生じなかった成形体の個数を測定し、以下の基準で評価した。
10本全ての成形体で破損粉漏れなし :○
10本1〜2本の成形体で破損粉漏れ発生 :△
10本3本以上の成形体で破損粉漏れ発生 :×
【0043】
<圧縮強度>
成形体に粉末漂白剤〔花王(株)製、粉末ワイドハイター(商品名)〕を700g充填し、樹脂製ネジキャップでキャッピングし、温度5℃、湿度50%RHの環境下に24時間以上コンディショニングした。引張圧縮試験機〔テンシロンRTA−500、(株)オリエンテック製〕を用いて、成形体の正立方向に、クロスヘッドスピード20mm/minで荷重を加え、座屈させたときの最大圧縮荷重を測定した。
【0044】
<ネジ強度>
成形体の口頸部に樹脂製ネジキャップを螺合させた状態で、オーバーラントルクを測定し、その値をネジ強度とした。オーバーラントルクは、トルクゲージ〔TOHNICHI製、MECHANICAL TORQUE METER 2−TM75(商品名)〕を用いて測定した。樹脂製ネジキャップは、花王(株)製、ワイドハイター(商品名)のキャップを用い、成形体口頸部も同製品を同形状に抄造した。この樹脂製ネジキャップを人手で締めつけることでキャップがネジ山を乗り越える際のトルク(締め付けトルク)を測定した。
【0045】
<脱水時間の測定法>
エアー通気による脱水を10秒間行い、次いで中子による押圧を圧力0.4MPaで5秒間行った後、中子の押圧力を1MPaに上昇させて、成形体の含水率が60%になる迄の時間を測定した。
【0046】
【表1】
Figure 0003578969
【0047】
表1に示す結果から明らかなように、各実施例の成形体は比較例の成形体に比して、衝撃強度、圧縮強度及びネジ部のネジ強度の何れもが高く、機械的特性が優れていることが判る。また、同じ条件で脱水する場合、各実施例の成形体の方がパルプ100%からなる比較例2の成形体よりも短時間で所定の含水率まで脱水されることが判る。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、衝撃強度や圧縮強度等の機械的強度が向上したパルプモールド成形体が提供される。特に、ネジ部を有するパルプモールド成形体における該ネジ部のネジ強度が向上したパルプモールド成形体が提供される。
また、本発明によれば、パルプモールド成形体の脱水、乾燥時間が短縮化される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパルプモールド成形体の製造方法の抄造・脱水工程を順次示す工程図である。
【符号の説明】
1 抄紙型
2,3 割型
4 キャビティ
5 スラリー流入口
6 キャビティ
7 成形体
8 中子

Claims (4)

  1. パルプ繊維及び平均繊維長1〜60mmの芯鞘型合成繊維を含み、該芯鞘型合成繊維の含有量が固形分基準で2〜50重量%であるパルプスラリーを原料とし、湿式抄造法によって含水状態の成形体を抄造した後、含水状態の前記成形体内に拡縮可能な中空状の中子を挿入し、該中子内に所定の流体を供給して該中子を拡張させ、前記芯鞘型合成繊維同士の融着による網目状構造が形成可能な条件下に、拡張した該中子により該成形体を押圧することによって加熱乾燥させるパルプモールド成形体の製造方法。
  2. 含水状態の前記成形体を抄造した後、蒸気、過熱蒸気、又は加熱されていないか若しくは加熱された圧搾空気からなる脱水用流体を該成形体に供給し、該脱水用流体を該成形体を通じて排出することで一次脱水を行う請求項1記載のパルプモールド成形体の製造方法。
  3. 前記脱水用流体として蒸気又は過熱蒸気を用い、圧力が98kPa〔 gage 〕以上となるように該脱水用流体を供給するか、又は該脱水用流体として圧搾空気を用い、圧力が196kPa〔 gage 〕以上となるように該脱水用流体を供給する請求項2記載のパルプモールド成形体の製造方法。
  4. 一次脱水の完了後、前記成形体内に拡縮可能な中空状の中子を挿入し、該中子内に所定の流体を供給指定該中子を拡張させ、拡張した該中子により該成形体を押圧して加圧脱水する二次脱水を行う請求項2又は3記載のパルプモールド成形体の製造方法。
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