JP4023124B2 - 紙製成形容器及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、食肉、野菜、鮮魚等の生鮮食料品、あるいは、弁当、総菜、冷凍食品、菓子類、めん類等の各種加工食品、あるいは、おもちゃ、電気器具、食器等を収容するのに用いられる紙製絞り成形容器、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、食品用等に用いられる、樹脂を原料として成形された各種成形容器、いわゆるトレーを例に挙げれば、発泡ポリスチレンビーズをモウルド成形、または発泡ポリスチレンシートをプレス成形したEPS(発泡スチロール)トレー、その他、PS(ポリスチレン)トレー、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)トレー等が広く用いられている。その他にも主にアルミニウム等の薄い金属をプレス成形したトレーが存在する。
発泡プラスチック容器は極めて軽量であり、かつ、剛性が高いという利点を有する。
しかし近年、環境問題、リサイクル問題、省資源を考慮し、前述の樹脂製、金属製のトレーに代わるものとして、リサイクルが可能で、廃棄された場合の焼却熱も低く、生分解性能を有する、紙パルプを主体とした成形容器が求められている。
【0003】
紙パルプ、もしくは紙パルプを主体とする基材を使用し、三次元構造、例えばトレー状に成形された容器としては、パルプモウルド製の容器が存在する。
また、紙基材シートを罫線で底面と側面とに区画し、該側面部を折り立てて、さらに側面部のコーナーを折り込むか、重ね合わせて糊付けする等して成形した容器(本発明では以後便宜上箱成形容器と呼ぶ)が存在する。
【0004】
パルプモウルド製容器は、以前から卵や果物用の包装容器として広く使用されている。パルプモウルド容器の製造方法は、その目的とする容器形状に対応する凹凸形状を有する網型を作成し、その網型にパルプスラリーを吸引抄紙し、乾燥することで、パルプ原料を所望の形状に成形する方法である。
しかし、パルプモウルドの製造には大型の設備を必要とする。パルプスラリーを調整する設備をも付設しなくてはならない。またパルプスラリーのパルプ濃度は1.0%程度であるため、抄紙後の乾燥に多大な熱エネルギーを要する。また、製造に時間がかかり生産性に問題があった。
さらに、パルプモウルド容器には、食品用容器には要求されることの多い十分な耐水性や耐油性を付与することは困難であり、コスト増加を伴うという問題があった。
【0005】
また、箱成形容器は、予め、基材に罫線や切れ目を設けて底面及び側面を区画し、側面を折り立て、さらに側面のコーナー部を折り込み、または接着して成形するものであるが、このような容器は、製法上容器形状が必然的に基本的に平面の組み合わせで構成されるため、滑らかな曲面から構成される形状の容器を得ることはできない。また、容器のコーナー部の折り込み部分で隙間を生じ、蓋をつけた場合にはその隙間から内容物が漏れるため、さらにその対策を講ずる必要があり、使用用途が限定されるものであった。
【0006】
上記2種以外の紙製成形容器として絞り成形容器がある。絞り成形容器は、雌雄型の間に予め罫線を入れた基材紙を装填し、熱圧でプレス成形したものである。紙基材に、ごく浅くプレス成形を行った、いわゆる紙皿と呼ばれるものがこの範疇に入り、これらは広く簡易皿等として使用されている。以下、本明細書では、罫線を入れた紙を熱プレス成形することを絞り成形と称する。
【0007】
しかし、樹脂や金属と異なり、紙は一般に延伸性、延展性、伸縮性に乏しい。従って、ある程度の深さを持つトレー等の容器を成形しようとして深い絞り成形を行うと、紙基材がその延伸に耐えられず破断する。破断しないまでも、最も大きく伸ばされる容器外層のコーナー部などにおいて、繊維の切断や割れが生じる。
それ以外にも、罫線部分の折れ目部分に段差が生じ、容器表面を滑らかにすることは難しいという問題がある。特に容器口縁部に段差が生じた場合等は、蓋をつけた場合や、またフィルム等でシールをしようとする場合に、段差分の隙間ができるため密閉性が悪くなる。さらに、紙の折れ目を起点とする破断点が容器全体の強度を下げる原因ともなっている。
【0008】
また、成形した容器の強度が十分ではない場合、内容物を充填した際に容器側壁や底部が内容物の重みで変形して膨れる、いわゆる胴ぶくれや底膨れ現象が発生する。この現象は、内容物の重量が100g程度と軽量の場合はさほど問題にならないが、スーパーマーケットなどでの一般的な精肉類など、装填量が200g程度以上の場合にはしばしば発生し、従って、絞り成形紙容器はこのような用途には殆ど使用されていない。
【0009】
また、内容物として水分を多く含有するものや、飲料、汁物、カップ麺の容器等の液体を入れる場合など、さらに多様な用途に使用するには、トレー形状よりもさらに高さのある側壁を有するプラスチック成形容器やカップ成形容器が使用されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従って、紙製絞り成形容器の適用範囲を広げるためには、より軽量(低米坪)の紙でより深い絞り成形を行い、かつ、容器の胴ぶくれや底膨れ現象を防止し、さらには、しわによる段差が少ないものを製造する必要がある。
本発明は、比較的深いトレー、カップのような用途に適用できる、紙製絞り成形容器を提供すること、及び、その製造方法を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記問題を解決するため、以下の方法をとる。
即ち、本発明の第1は、紙もしくは紙と合成樹脂の積層体からなる成形加工原紙を絞り成形して得られた容器であり、前記成形加工原紙に使用する紙が、密度0.7〜0.9g/cm 3 の高密度層、及び密度0.2〜0.6g/cm 3 の低密度層を有し、米坪が100〜500g/m 2 、全体の密度が0.4〜0.7g/cm 3 、かつ低密度層が機械パルプを主体として構成され、容器の底面積をS1、高さをHとした場合、下記(1)式を満たす紙製成形容器である。
(1)式:0.2≦H/(S1)1/2
【0012】
本発明の第2は、容器側壁が底面に対して斜め上方に延びるテーパー付き容器であり、底面から容器側壁内側に向けて測定した時のテーパー角度が95〜130°である本発明の第1に記載の紙製成形容器である。
【0013】
本発明の第3は、容器側壁と底面とのコーナー部が曲面をなし、該曲面の曲率半径をrとした時に、r/(S1)1/2が0.05〜0.25である本発明の第1〜2のいずれかに記載の紙製成形容器である。
【0014】
本発明の第4は、紙もしくは紙と合成樹脂の積層体からなる成形加工原紙を絞り成形して得られた容器であり、前記成形加工原紙に使用する紙が、密度0.7〜0.9g/cm 3 の高密度層、及び密度0.2〜0.6g/cm 3 の低密度層を有し、米坪が100〜500g/m 2 、全体の密度が0.4〜0.7g/cm 3 、かつ低密度層が機械パルプを主体として構成され、容器の上部開口面積をS2、高さをHとした場合、下記(2)式を満たす紙製成形容器である。
(2)式:0.15≦H/(S2)1/2
【0016】
本発明の第5は、成形加工原紙に使用する紙が、破断伸び(JIS−P8113)が1.5%以上である本発明の第1〜4のいずれかに記載の紙製成形容器である。
【0017】
なお、機械パルプを主体とする紙層とは、該当する紙層を構成する全パルプ繊維中、少なくとも50質量%が機械パルプであることを意味するものとする。
【0018】
本発明の第6は、成形加工原紙に使用する紙において、紙層のうち、容器の外層を構成する層に、原料パルプとして、該原料パルプを単層で抄紙した時の破断伸び(JIS−P8113)が3%以上となるパルプを含有する本発明第5のいずれかに記載の紙製成形容器である。
【0019】
本発明の第7は、成形加工原紙を絞り成形して紙製成形容器を得る製造方法において、成形時の成形加工原紙の水分を10〜20%とし、成形温度を100〜150℃とする本発明第1〜6のいずれかに記載の紙製成形容器の製造方法である。
【0020】
本発明の第8は成形加工原紙の水分が11〜17%である本発明第7に記載の紙製成形容器の製造方法である。
【0021】
【発明の実施の形態】
<容器の形状について>
本発明が対象とする容器は、1枚の紙を一対の凸型と凹型のプレス金型で絞り成形して得られる容器であり、容器上部は開口しており、上部端縁はフランジを有する形態が代表的なものである。またフランジをカーリング成形したものでもよい。
容器の平面図の外形としては、正方形、長方形、円形、楕円形などである。各形の場合、角の部分は通常は丸みを帯びている。
図1、図2に本発明の絞り成形容器の一例を、見取り図として記載する。
【0022】
容器は底部と、底部から上部端縁部まで連なる側壁部を有する。底部は代表的には平板状で、概略平面を形成する。この場合、底部平面から立ち上がる側壁は、底部平面と垂直ではなく、上に広がったテーパーを有する。底部と側壁が垂直だと、絞り成形が困難であり、また、成形された容器を重ねて積み上げることができない。テーパー角度としては底面から側壁内側にかけて測定した角度で95〜130゜の範囲が好ましく、100〜130°がさらに好ましい。
なお、図1のa−a断面、図2のb−b断面は同様となり、それを図3に記載し、テーパー角度、曲率半径の測定場所を示す。
【0023】
本発明の紙製絞り成形容器においては、底部と側壁の間は折り曲げないで、曲面に成形する。その際に、曲率半径r(図3参照)が小さいとコーナー部、特には容器の4角コーナー部で紙に破断が起こりやすくなり、また、側壁間のコーナー部でのしわが大きくなる。一方、曲率半径が大きすぎると、深い絞り容器にならず、材料の使用効率が悪くなる。
従って、曲率半径は、例えば底部平面が10cm×10cmであれば、0.5〜2cm程度が好ましいが、この数値は正確には、底部面積との関係で決定されるべきであり、曲率半径rを底部面積S1の平方根で除した値が0.05〜0.25であれば、深い絞り容器で、かつ紙の破断が起こらないものが成形できる。
【0024】
本発明においては、前記したような、概略平坦な底部と概略平面の側壁を有するもの以外に、平坦な底部を有さない容器でもよい。例えば図4のような、半球状の容器などである。
また図4のような容器は、成形後に別のプレス機で、底の一部を容器内側に反転させてもよい。
【0025】
<底部面積について>
底部面積S1は、容器を平面上においた時に底部が平面と接触する部分の面積である。但しその値が確定し難い場合、下記の(A)または(B)の投影底面積S3または仮想底面積S4のいずれかを採用してもよい。
(A)側壁が概略平面である場合は、上縁に直角にひいた側壁上の稜線が底面を延長した平面と交わる点で描かれる線により囲まれた部分の面積を投影底面積とする。投影底面積S3は図5に表示される。図5は図3と同様の断面図である。
(B)容器の内容積Vを測定し、容器上部の開口面積S2を測定し、V=(S4+S2)×H/2の計算式から仮想底面積S4を求める。
この場合、S2は側壁が容器の最上部に達した上縁により囲まれる平面図上の面積である。この関係を図3と同様の断面図である図6に示す。
【0026】
<容器高さについて>
本発明は、比較的深い紙製絞り成形容器であり、その深さ(容器高さ)は容器底面積との関係で考慮されるべきものである。
即ち、本発明の絞り成形された紙製成形容器容器の底面積をS1、高さをHとした場合、下記(1)式を満たすことが本発明の特徴である。
(1)式:0.2≦H/(S1)1/2
なお、ここでも、S1は前記と同様であり、場合により、前記S3またはS4の値を底面積S1として採用してもよい。
(1)式における高さHを底面積S1の平方根で除した値は、好ましくは0.3〜1.2である。特に、0.4以上であれば、カップ型容器の代替も可能である。
この値が0.2未満である場合は、十分な深絞りが達成できておらず、水分量の多い内容物、あるいは液状物を収納するのには不十分である。また、側壁による容器の剛性の効果が低くなる。
また1.2を越えた場合には、絞り成形が深すぎるため、成形加工時に原紙に破れが発生する恐れがある。
【0027】
また、容器が概略平面状の底部を有さないときには、高さHと上部開口面積S2との関係において、下記(2)式を満たすことが本発明の特徴である。
(2)式:0.15≦H/(S2)1/2
なお、この際の容器見取り図は図4の形状であるが、ここにおけるS2は図6と同様の関係になる。
【0028】
<成形容器壁について>
本発明の上記した形態において、容器に対して実用的に必要な剛性を付与し、曲面部での破断を抑止するためには、絞り成形後の容器壁を構成する素材として低密度で強度の高い成形加工原紙を使用する必要がある。こうした成形加工原紙を得るためには、紙に使用するパルプとしてリグニンを多量に残留させた機械パルプを含有することが好ましい。
なお、機械パルプ使用の有無を判定する手段としては、例えばTAPPI T401−os−74記載の方法で機械パルプを検出することが可能である。
また、成形加工原紙に使用する紙中の機械パルプ使用量としては5〜100質量%の範囲が好ましく、さらに好ましくは20〜80質量%での範囲で、最も好ましくは40〜70質量%の範囲である。機械パルプが5質量%以上の場合、成形加工原紙が低密度化させることができるので好ましい。また成形加工原紙に特に伸長性を持たせたい場合には機械パルプ使用量を80質量%以下、好ましくは70質量%以下とすることが好ましい。
なお、紙中の機械パルプ使用量は、TAPPI T−401−os−74に記載された手段を用いて規定することができ、具体的には以下の方法をとる。まず、成形加工原紙を水または熱水で再離解する。次に、この再離解したパルプ繊維をスライドグラス上に分散させ、C染色液、Herzberg染色液、Sellegen染色液等のパルプ染色液を滴下してパルプ繊維を染色する。その後、上記スライドを顕微鏡で観察してパルプ繊維の染色性、形態的特徴に基づいて繊維組成を判別する。この時、同時にスライドを規則的に走査しながら、一定面積当たりに存在するパルプ繊維を各種別ごとに計数し、重み係数によって質量百分率に換算する。
【0029】
<成形加工原紙用の紙について>
前記した絞り成形後の容器壁材の物性を実現するためには、成形加工原紙に使用する紙の米坪が100〜500g/m2、密度が0.4〜0.7g/cm3、破断伸びが1.5%以上であることが好ましい。
さらに、密度0.7〜0.9g/cm3である高密度層を少なくとも一層、及び、密度が0.2〜0.6g/cm3の少なくとも一層の低密度層を有することが好ましい。低密度層の密度は、さらに好ましくは0.3〜0.5g/cm3である。
【0030】
(低密度層について)
低密度層に用いるパルプ原料は、低密度な紙層を得やすいパルプ原料を主体とする。具体的にはこのようなパルプとしては機械パルプが特に望ましい。機械パルプは通常は木材、とりわけN材を機械力で破砕した後離解して製造したパルプであり、GP、TMP、RGP等があるが、TMP、RGPがより好ましい。その中でもラジアータパインやサザンパイン、ダグラスファー等を原料とするものが、繊維が剛直で変形しにくいという特徴を有するため、低密度な紙層を得ることができ、またプレス成形時の密度低下も少ないので特に好ましい。しかし、ケナフや葦、竹、サトウキビの砂糖絞り粕であるバガスなど各種非木材原料を使用することも可能である。なお、機械破砕する際に化学薬品を添加して得たパルプや、漂白工程を経たパルプ等、一部化学処理したパルプも機械パルプとして扱うものとする。
【0031】
さらに、マーセル化パルプやカールドファイバー等、化学処理によってパルプを低密度化特性を付与したものも好適に使用できる。
本発明においては、低密度層を構成するためには前述のパルプを主体として使用するが、その他、通常用いられる木材を原料とした化学パルプ、または、ケナフ、葦、竹、バガス等の各種非木材を原料とした化学パルプ等を適宜配合して使用することも可能である。
また、低密度にするため、界面活性剤、嵩高剤を配合してもよい。
いずれにせよ低密度層の密度が0.2〜0.6g/cm3となるように各種のパルプを選択し、必要に応じて複数の種類を配合して使用するものとする。
【0032】
本発明において、低密度層として用いるパルプは、JIS P−8121のカナダ標準形に準じたフリーネスが再離解状態で200〜650mlの範囲となるものを用いることが好適である。フリーネスが200ml未満の場合、パルプ繊維の水切れが悪いため、搾水されたシートが緻密な構造になりやすく、低密度な紙層構造を得にくくなる。反対にフリーネスが650mlを越えると、シートが低密度になりすぎて抄紙時にプレス工程で層間剥離を発生してバルーン状の膨れが発生しやすくなる。
なお、カナダ標準型フリーネスで250〜700mlの紙料により抄紙された紙は、用いられたパルプ原料の如何に関わらず、再離解状態で200〜650mlのフリーネスを示す。また、使用されたパルプのフリーネスを原紙を再離解して測定することは、良好な操業性を示した製品から必要なパルプ特性を短時間で把握するのに有効である。
【0033】
(高密度層について)
本発明を効果的にするためには、高密度層である紙層は剛度が高いことが好ましい。従って、高密度層に用いるパルプの種類には特段の制約はないが、NUKP、NBKP、などのN材(針葉樹)パルプの叩解度を高くして剛度を失わないようにしたものが特に望ましい。また、高密度層は15〜100g/m2であることが好ましい。即ち、15g/m2未満では高ヤング率の層を得ることが困難であり、また抄紙すること自体も困難である。一方、前記高密度層が100g/m2を越えると、相対的に低密度層の坪量が減るために原紙全体の密度が上がり、0.4〜0.7g/cm3の範囲とすることが困難であるからである。
成形加工原紙に使用する紙の坪量は100〜500g/m2が好適である。100g/m2に満たない場合には、内容物を装填した時に容器が歪んだり破断するという不都合が発生する。また500g/m2を越える場合には原紙が厚くなりすぎるため、成形時により高い圧力と成形時間が必要になり不経済であり、かつ、非効率になるという不都合が発生する。
また、層構成としては、表裏両外層を高密度層、内層を低密度層とすること、即ち、高密度層の間に低密度層を配置することが最も好ましい。
【0034】
以上の構成にすることにより、前記した米坪が100〜500g/m2、密度が0.4〜0.7g/cm3、破断伸びが1.5%以上である紙が得られる。伸びを1.5%以上にするために、必要であれば、外層に繊維長が長いNBKPを配合し、適切な叩解度まで叩解して使用することが可能である。
【0035】
<紙の製造について>
成形加工原紙に使用する紙の製造は、一般的な板紙を製造するのと同様に多層抄き合わせフォーマを用いて行う。例えば、10ステーション程度の複数のワイヤーパート上に数十g/m2の乾燥米坪に対応するパルプスラリーを順次積層しウエットシートを形成する。
さらに具体的に例示すると、最初に外層となる紙層を形成するワイヤーパートに40g/m2程度のパルプ層を形成、脱水したのち毛布に転移させる。次に中層も別のワイヤーパートで同様に紙層を形成し、前記の外層上に必要な層数だけ積層する工程を繰り返して中層を形成する。最後にもう一方の外層となる紙層を形成して本発明の成形加工原紙に使用する紙を得る。
【0036】
前記抄造時に、必要に応じて、上記パルプ原料中に一般の抄紙に用いられる填料、顔料、染料、サイズ剤、歩留向上剤、紙力増強剤などを任意に添加することができる。
例えば、硫酸バンド、ロジン系内添サイズ剤、石油樹脂系サイズ剤、無水マレイン酸系サイズ剤、スチレンアクリル酸系サイズ剤、スチレンアクリル系サイズ剤、ニカワ、澱粉、CMC、PVA、AKD等のサイズ剤、フッ素樹脂、ポリアミド系樹脂、ワックスエマルジョン等の撥水剤、尿素−ホルムアルデヒド系樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド系樹脂、ジアルデヒド澱粉、SBR等のラテックスを内添することで本発明の原紙の耐水性を強化することができる。
【0037】
また、これら各種の添加剤は、抄造工程中に紙層間にスプレーしたり、抄造中、もしくは抄造後に原紙表面に塗工する方法で添加することも可能である。
本発明の抄紙時pHは酸性抄紙である4.5付近から中性抄紙の6〜8程度の間で必要に応じて任意に選択することが可能である。
また、本発明の製造に用いられる抄紙機は、抄き合わせ抄紙、多層抄き抄紙が可能であるものならどのようなものでも良く、丸網式のもの、長網式のもの等が適宜使用できる。
【0038】
成形加工原紙に使用する紙としては、容器の外側となる側の外層を構成する原料パルプとして、該原料パルプを単層で抄紙した場合の破断伸びが3%以上となる原料を使用することがさらに望ましい。(この単層抄紙条件はTAPPI標準法による。)
容器の外側となる側の紙層は、絞り成形時に内側よりも多く延伸されるため、内側よりもさらに強い破断伸びが必要とされるが、このように外側に延伸しやすいパルプ原料を使用することによって、絞り成形における外側の紙層表面のひび割れ、破れを防止し、より深い絞り成形を可能とするものである。
なお、成形加工原紙に使用する紙の破断伸びの調整は、前記と同様、繊維長の長いNBKPを配合し、叩解の程度を調節するなどの公知の方法で可能である。
【0039】
<成形加工原紙の層構成について>
本発明における成形加工原紙には、必要に応じてその片面、あるいは両面に顔料と接着剤からなる塗工層を設けることができる。このような塗工層を設けることにより、紙製トレー用原紙表面に良好な印刷適性を付与することができる。
前記塗工層に用いられる顔料としては、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、酸化チタン、プラスチックピグメント等既知のものが任意に使用できる。
前記塗工層に用いられる接着剤としては、澱粉、カゼイン、SBRラテックス、ポリビニルアルコールなど既知のものが任意に使用できる。
これらの塗工層は単層、あるいは多層に形成することができる。またその塗工量は全体で20〜30g/m2程度が望ましい。
また、このような塗工層を設ける場合は、塗工層直下の層は、叩解度を高め、表面をより平滑にしておくことがさらに好ましい。
このような塗工層は、公知である各種の塗工装置を適宜用いて塗工することができる。また、このような塗工層の上に、さらに印刷層を設けることが可能である。
【0040】
本発明の紙製成形容器には、液体の浸み込みや液漏れを防止するために、必要に応じて、紙の片面あるいは両面に耐水性被膜を設けることができる。この耐水性被膜は、成形加工原紙に使用する紙の上に直接、もしくは前記顔料塗工層上、あるいは印刷層上、任意の箇所に設けることができる。さらに成形加工後に設けることも可能である。
【0041】
耐水性被膜を設ける方法としては、耐水性塗料の塗工、合成樹脂のラミネート等が存在し、状況に応じて任意に選択できるが、合成樹脂のラミネートによる被覆層を設けることが、より高い耐水性、及び生産性を達成する上でさらに望ましい。
原紙表面に塗工して耐水性をもたせる塗料としては、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス等のワックス類のエマルジョン、SBRラテックス、ポリ塩化ビニリデンラテックス等のラテックス類、アクリルエマルジョン類、自己乳化型ポリオレフィン類、ポリエチレン系共重合樹脂エマルジョン等の各種合成樹脂エマルジョンが存在する。これら耐水性塗料の塗工設備としては、通常用いられるバーコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ブレードコーター、ゲートロール、サイズプレス等のいずれでも良く、特に限定されるものではない。また、これらの塗工量は全体で1〜20g/m2程度が好適であり、これら塗工層を単層、もしくは多層に形成することができる。
【0042】
また、原紙表面にラミネートされる合成樹脂層としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂や、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の飽和ポリエステル系樹脂、ナイロン等のポリアミド樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂等が挙げられ、これらの合成樹脂を単体、または2種類以上混合あるいは積層したもので被覆して耐水性被膜を形成する。合成樹脂層を積層させる方法としては、通常用いられるウエットラミネーション、ホットメルトラミネーション、押出ラミネーション、ドライラミネーション、サーマルラミネーション等のいずれでも良く、特に限定されるものではない。
また、容器内面となる面をポリプロピレンで被覆した紙製成形容器がさらに望ましい。加工適性と耐熱性のバランスから、紙とポリプロピレンの間に、ポリエチレン、アイオノマー樹脂などの層を介在させることも可能である。
【0043】
<成形方法について>
(原紙水分調製)
本発明の紙製成形容器の製造方法としては、成形加工原紙を容器ブランクシートに打ち抜き、必要箇所に罫線を入れ、雄型と雌型よりなるプレス型に該ブランクシートを挟み、加熱、加圧して成形する、いわゆる絞り成形という製造方法をとる。この時、成形加工原紙は、予め調湿し、原紙水分を調節することが必要である。
原紙水分は10〜20%の範囲にする必要があり、好ましくは11〜17%、最も好ましくは12〜15%である。ここでいう原紙水分とは、加工原紙中の全パルプ分の絶乾質量に対する、水分の質量%をいう。
原紙水分をこの好適範囲とすると、成形加工原紙の可塑化が起こって成形性が向上し、また、成形時の紙層の破壊を低減することができる。この結果、より深さがあり、外観が滑らかで美しく、しかも高い剛性を有した絞り成形容器を得ることができる。
原紙水分が10%未満であると成形体に十分な剛性が得られず、また20%を越えると、成形加工原紙にブリスターが発生して原紙の紙層が剥離する、水分量が多くなるため乾燥に時間がかかり生産性が落ちる等の問題が発生し好ましくない。
なお、原紙水分の調製方法として、プレス成形直前に原紙に水分を供与する方法や、紙の抄造時において、ドライヤーを出た後に加湿し、水分が維持される状態で輸送・保存する方法などが挙げられる。
【0044】
(成形方法)
次に、ブランクシートから成形容器を製造する工程について説明する。本発明で絞り成形は一対のプレス用金型により行う。一対の加熱プレス用金型とは、凸状で成形品の内容積部に対応する形状の凸型と、凹状で成形品の外形に対応する形状の凹型である。前記一対のプレス用金型は前後または上下方向に少なくとも片方の型が動くことにより成形品をプレスすることができる。以下説明の便宜上、凸状の型を上型とし、凹状の型を下型とし、上型が下方に移動することによりプレスする方式で説明する。(図7参照。)
【0045】
ブランクシートを加熱する方法としては、高周波加熱、熱風加熱、赤外線加熱などの方法でもよい。また、金型全体を加熱しておいてもよい。この場合、金型を加熱する手段を必要とする。加熱手段としては該プレス用金型に電熱加熱装置を設け加熱することが一般的であるが、プレス用金型に高周波発振機を接続して、高周波を印加して乾燥する手段もある。また、電熱加熱と高周波加熱を併用することもできる。
【0046】
また、成形時の加熱温度は加工原紙が100〜150℃となるような範囲が好ましく、さらに好ましくは110〜140℃である。100℃未満であると、成形に時間がかかり生産性が落ちる。また150℃を越えると、特に原紙水分が高い場合、ブリスターが発生しやすくなるため好ましくない。
成形加工原紙は、前記した加熱されたプレス機械にセットした際に前記所定の温度にすることができる。また、別の手段として、水分を含有する加工原紙にマイクロ波などの電磁波をあてて昇温させてから、プレス機械に導入する方法も可能である。
【0047】
絞り成形を完了した容器は、金型から取り出し、空冷してもよいが、寸法安定性を高めるためには、高温の容器を冷却用の金型に一定時間だけ固定冷却することも好ましい。
【0048】
前記加熱プレス用金型の材質としては、アルミニウム、アルミニウム系合金、黄銅、鉄、ステンレス鋼、セラミックなど公知のものが使用できる。
【0049】
金型を動作させる方法としては、油圧プレス、エアーシリンダー、カム機構のいずれの方法も可能である。本発明で上型と下型のクリアランスを制御する具体的な方式としては、油圧あるいはエアー圧による場合、成形品厚さに応じて、コンピューター制御により圧力を制御してもよいし、ストッパーの位置を制御してもよい。カム機構による場合、予め設計されたカム形状と型の下降速度により制御することが可能である。
【0050】
【実施例】
以下の実施例により、本発明をさらに詳しく記載する。本発明は下記の実施例の範囲に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、濃度や配合量、塗布量などを示す数値は、固型分または有効成分の質量基準の数値である。
【0051】
<実施例1>
以下の▲1▼〜▲3▼に示す三種類のパルプを、熊谷理機工業製の実験用配向性抄紙機により、ワイヤースピード300m/minで、この順に順次抄き合わせ抄紙を行った。
▲1▼市販NBKP、450mlcsf、50g/m2
▲2▼ラジアータパインTMP、350mlcsf、180g/m2
▲3▼市販NBKP、450mlcsf、50g/m2
(尚、各紙料は熊谷理機工業製のKRK高濃度ディスクリファイナー型叩解機により所定のフリーネスに叩解した)
【0052】
なお、抄き合わせ抄紙の際は、各層の表側(フェルトサイド)へ澱粉(ONL510:王子コーンスターチ製)を澱粉濃度2.0%の水分散液とし、固型分付着量が1.0g/m2となるようにスプレーした後抄き合わせた。
次いで、前記で得た湿紙状の抄き合わせシートをキャレンダー(由利ロール機械製)で、ニップ圧10kg/cm、速度30m/minで、モノプラスチックカンバスシート(敷島カンバス製)に挟み加圧処理する。
次いで該シートをフエロタイプの円筒加熱ドライヤー型乾燥機により乾燥する。
次いで該シートを20℃・65%RHで調湿し、キャレンダー(由利ロール機械製)で、ニップ圧20kg/cm、速度20m/minでキャレンダー処理した後、濃度8.0%のPVA(クラレポバールPVA−KL118:クラレ製)を手塗りで2.0g/m2塗工、さらにキャレンダー(由利ロール機械製)でニップ圧40kg/cm、速度20m/min、120℃で熱キャレンダー処理したものを成形加工原紙に使用する原紙とした。
前記原紙を、20℃・65%RHで調湿後、坪量、厚さ、密度を測定する。
【0053】
さらに、該原紙のオモテ面(容器内面)に溶融押し出しによりポリプロピレンを膜厚40μmでラミネートし、成形加工原紙とした。
該成形加工原紙に対して水蒸気を付与し、調湿することにより、紙中水分12%とし、小判型に打ち抜き、中心から放射状に罫線を刻印してブランクシートとした(図8参照)。
該ブランクシートをテストプレス成型機(第一工機製)により、雄雌の凹凸形状のトレー成形金型で130℃、35kg/cm2で加熱加圧処理し、高さが4cmで、開口部分が長さ18.6cm、幅12.6cmの概略長方形状で、幅0.7cmのフランジ部を有し、側壁及び側壁から底面にかけて曲面を有するトレー状の絞り成形体を得た(図9参照)。
得られた成形体のテーパー角度は115°、曲率半径rは2cm、底面積S1は132cm2、上部開口部面積S2は231cm2であった。
従って、H/(S1)1/2は0.35、r/(S1)1/2は0.17、H/(S2)1/2は0.26であった。
また、後述する方法により、得られた絞り成形体の外観の胴膨れ程度を評価した。
【0054】
<実施例2>
下記に示す三種のパルプを使用し、また、表面に塗工する際に下記に示す塗工液を使用して、マイヤーバーによる手塗りで乾燥後の重量を下塗り9.0g/m2、上塗り10.0g/m2になるよう塗工し、105℃の熱風乾燥機内(アドバンテック社製)で60秒乾燥した以外は、実施例1と同様の方法で抄き合わせ抄紙を行った。
▲1▼市販NBKP、450mlcsf、50g/m2
▲2▼ラジアータパインTMP300mlcsf/市販NBKP、150mlcsf品=70/30で配合、配合後フリーネス280mlcsf、230g/m2
▲3▼市販NBKP450mlcsf、50g/m2
【0055】
〔塗料配合〕
上塗り:カオリン(ウルトラホワイト90:エンゲルハード社製)/炭酸カルシウム(ブリリアント15:白石工業)/酸化チタン(トーケムプロダクツ社製TCA333)=50/35/15、及びラテックス(L1410:旭化成製)/尿素リン酸エステル化澱粉(MS4600:日本食品化工)=15/5。(固型分質量基準の配合部数、以下同じ。)
下塗り:カオリン(カオブライト:シール社製)/炭酸カルシウム(ソフトン2200:備北粉化)=50/50、及びラテックス(0668:JSR)/尿素リン酸エステル化澱粉(MS4600:日本食品化工)=15/5。
【0056】
以下、成形用ブランクシートの形状をコーナー部分が曲線を有した概略正方形型とし、成形用金型を角型容器成形用金型とし、成形加工原紙の水分を15%、成形温度を140℃とした以外は実施例1と同様にして加工成形原紙を成形した。こうして高さが2.8cmで、開口部分が一辺の長さ8cmの概略正方形状で、幅1cmのフランジ部を有し、側壁及び側壁から底面にかけて曲面を有する概略角型状の絞り成形体を得た(図10参照)。
得られた成形体のテーパー角度は113°、曲率半径rは1.3cm、底面積S1は32cm2、上部開口部面積S2は63cm2であった。
従って、H/(S1)1/2は0.50、r/(S1)1/2は0.23、H/(S2)1/2は0.35であった。
また、得られた絞り成形体の評価は実施例1と同様に行った。
【0057】
<実施例3>
下記に示す三種のパルプを使用した以外は、実施例1と同様の方法で抄き合わせ抄紙を行った。
(1)市販NBKP、450mlcsf、50g/m2
(2)ラジアータパインTMP、350mlcsf/市販LBKP、350mlcsf品=70/30で配合、配合後フリーネス350mlcsf、200g/m2
(3)市販NBKP380mlcsf、50g/m2
次いで、実施例1と全く同様にして紙製成形用原紙を得て20℃・65%RHで調湿後、坪量、厚さ、密度を測定した。さらに、実施例1と同様に該原紙のオモテ面(容器内面)にポリプロピレンを膜厚40μmでラミネートして成形加工原紙とした。以下、成形用ブランクシートの形状を円形とし、成形用金型をどんぶり状容器成形金型とし、成形加工原紙の水分を13%、成形温度を120℃とした以外は実施例1と同様にして加工成形原紙を成形した。こうして、高さが5.5cmで、開口部分が直径12cmの円形で、幅0.8cmのフランジ部を有し、側壁及び側壁から底面にかけて曲面を有するどんぶり状の絞り成形体を得た(図11参照)。得られた成形体のテーパー角度は114°、曲率半径rは1cm、底面積S1は40cm2、上部開口部面積S2は113cm2であった。従って、H/(S1)1/2は0.87、r/(S1)1/2は0.16、H/(S2)1/2は0.52であった。
【0058】
<比較例1>
成形加工原紙の水分を8%とした他は実施例1と全く同様に紙製成形容器を得ようとしたが、絞り成形時に紙が破断した。
【0059】
<比較例2>
成形加工原紙の水分を25%とした他は実施例1と全く同様に紙製成形容器を得ようとしたが、加工後の容器の表面に層間剥離によるふくれが発生した。
【0060】
以上実施例、比較例の測定、評価結果を表1、表2に示す。
なお、評価方法は以下の通りである。
【0061】
〔各紙層の密度〕
JIS P 8139の板紙の抄き合わせ層の剥離強さ試験法記載された層間剥離方法で各層の層間を剥離し、厚さ(mm)、坪量(g/m2)を求める。
なお、剥離した各層の厚さは剥離によって毛羽立っており、実際の厚さより厚くなってしまうため、以下の方法で補正ファクター値を算出して、剥離後の各層の厚さ値を補正し、各層の密度を算出する。
補正ファクター値=剥離前の全層厚さ/剥離後の各層厚さの合計値
各層の剥離が上記のJIS P 8139の板紙の抄き合わせ層の剥離強さ試験法記載の層間剥離方法で困難な場合は、多層抄合わせシート試料を60℃の温水に1時間含漬した上で表層と中層、裏層にそれぞれ剥ぎ分ける。剥ぎ取ったそれぞれの層を乾燥して厚さ(mm)、坪量(g/m2)を求める。その後、上記の補正ファクター値を同様に算出して剥離した各層の厚さを補正して、各層の密度を算出する。
【0062】
〔胴膨れ率判定〕
紙製成形容器の胴部中央部分の外周値を測定し、評価テスト前の正常な状態と絞り成形体の容積の80%に水を入れて冷蔵庫内に5℃、12時間放置した後の胴部中央部分外周値を測定し、次式を用いて胴膨れ率を算定した。
胴膨れ率%=(12時間後の胴部中央外周値−評価テスト前の胴部中央外周値)/評価テスト前の胴部中央外周値
胴膨れ率3.0%以上のものを××、1.5%〜3.0%のものを×、1.5%未満のものを○と判定した。
【0063】
〔破断伸び〕
流れ方向、幅方向それぞれに幅15mm、長さ250mmに裁断した試験片を23℃、50%RHの条件で24時間以上調湿した後、ストログラフM2型試験機((株)東洋精機製作所製)を用いて、JIS−P8113に従って引張速度20mm/minで測定した。
【0064】
【表1】
【0065】
【発明の効果】
本発明により、比較的深いトレー、カップのような用途に適用できる、紙製絞り成形容器を提供することが可能となった。及び、該紙製絞り成形容器の製造方法を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】容器形状の一例を示す図
【図2】容器形状の一例を示す図
【図3】テーパー角度及び曲率半径の測定場所を示す断面図
【図4】略半球状容器の一例を示す図
【図5】概略平面状底部を有する場合の図
【図6】概略平面状底部を有さない場合の図
【図7】プレスによる絞り成形の模式図
【図8】ブランクシートの図
【図9】実施例の態様
【図10】実施例の態様
【図11】実施例の態様
Claims (8)
- 紙もしくは紙と合成樹脂の積層体からなる成形加工原紙を絞り成形して得られた容器であり、前記成形加工原紙に使用する紙が、密度0.7〜0.9g/cm 3 の高密度層、及び密度0.2〜0.6g/cm 3 の低密度層を有し、米坪が100〜500g/m 2 、全体の密度が0.4〜0.7g/cm 3 、かつ低密度層が機械パルプを主体として構成され、容器の底面積をS1、高さをHとした場合、下記(1)式を満たすことを特徴とする紙製成形容器。
(1)式:0.2≦H/(S1)1/2 - 容器側壁が底面に対して斜め上方に延びるテーパー付き容器であり、底面から容器側壁内側に向けて測定した時のテーパー角度が95〜130°であることを特徴とする請求項1に記載の紙製成形容器。
- 容器側壁と底面とのコーナー部が曲面をなし、該曲面の曲率半径をrとした時に、r/(S1)1/2が0.05〜0.25であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の紙製成形容器。
- 紙もしくは紙と合成樹脂の積層体からなる成形加工原紙を絞り成形して得られた容器であり、前記成形加工原紙に使用する紙が、密度0.7〜0.9g/cm 3 の高密度層、及び密度0.2〜0.6g/cm 3 の低密度層を有し、米坪が100〜500g/m 2 、全体の密度が0.4〜0.7g/cm 3 、かつ低密度層が機械パルプを主体として構成され、容器の上部開口面積をS2、高さをHとした場合、下記(2)式を満たすことを特徴とする紙製成形容器。
(2)式:0.15≦H/(S2)1/2 - 成形加工原紙に使用する紙が、破断伸び(JIS−P8113)が1.5%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の紙製成形容器。
- 成形加工原紙に使用する紙において、紙層のうち、容器の外層を構成する層に、原料パルプとして、該原料パルプを単層で抄紙した時の破断伸び(JIS−P8113)が3%以上となるパルプを含有することを特徴とする請求項5に記載の紙製成形容器。
- 成形加工原紙を絞り成形して紙製成形容器を得る製造方法において、成形時の成形加工原紙の水分を10〜20%とし、成形温度を100〜150℃とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の紙製成形容器の製造方法。
- 成形加工原紙の水分が11〜17%であることを特徴とする請求項7に記載の紙製成形容器の製造方法。
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