JP2004182964A - シートモールディングコンパウンド - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも熱硬化性樹脂、ガラス繊維、無機充填剤、及びシランカップリング剤を含有するシートモールディングコンパウンドであって、シランカップリング剤の含有量が0.1wt%以上、3wt%以下であり、該無機充填剤が水酸化アルミニウム、カオリンクレー、炭酸カルシウム、けい砂、マイカ、タルク、ホウ酸亜鉛、珪酸カルシウム水和物、水酸化マグネシウム、及び水酸化カルシウム、ドーソナイト、アルミン酸カルシウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上を含有するシートモールディングコンパウンド、該シートモールディングコンパウンドを成形して得られる成形品。
【選択図】 選択図なし。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はシートモールディングコンパウンド(以下SMCと略称する。)、並びに該SMCを成形して得られる難燃性および意匠性に優れる成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
SMCは熱硬化性樹脂、無機充填剤、また必要に応じて増粘剤、硬化剤などを混ぜたペーストをガラス繊維に含浸させてシート状にし、必要に応じて熟成処理を行い半硬化させた成形材料である。通常、このSMCを金型により加熱加圧成形することにより成形体が得られる。このようにして得られたSMC成形体は、その優れた耐久性、耐水性、機械強度、難燃性と、比較的優れる意匠性等から浴槽等の浴室機器やパネル組み立て式貯水槽、浄化槽、建築物の外壁用パネル等の外壁材、屋根材、床材等として広く用いられるが、建築物の外壁材等においては特に高い難燃性と、高い意匠性を付与する為の成形時の特に優れた流動性が求められる。
【0003】
従来、SMCに用いる熱硬化性樹脂としては不飽和ポリエステル樹脂が一般的であったが、高い難燃性を付与する目的で、熱硬化性樹脂にフェノール樹脂を用いるといった検討がなされ、フェノール樹脂もSMC用の熱硬化性樹脂として広く用いられている(例えば特許文献1参照)。しかし、フェノール樹脂は難燃性を示すものの建築物の外壁材等に求められるレベルまでの難燃性は有していない。
【0004】
また、これまで、SMCにハロゲン系や、アンチモン系等の難燃剤を添加、もしくは表面に塗布することによりSMC成形体の難燃性を向上させる検討がなされている(例えば特許文献2参照)。しかし近年、ダイオキシン類等が人体に悪影響を及ぼすことなどが知られ、低ハロゲン、もしくはハロゲンフリーなもので難燃性を有することが求められている。
一方、SMCの分野においては、ガラス繊維と樹脂との接着性を向上させ、機械強度を向上させることを目的としてシランカップリング剤で処理したガラス繊維等を用いることが行われている(例えば特許文献3参照)。しかしながら、該シランカップリング剤で処理したガラス繊維を用いるだけでは、成形時の流動性の向上や難燃性の向上を図ることはできない(本発明の比較例2〜6参照)。
【0005】
また、SMC作製において、高強度を有する、ある程度複雑な形状の成形体を得る目的で繊維長15mm以下のガラス繊維と15mm〜100mmのガラス繊維を混合することが知られているが(例えば特許文献4参照)、SMCの流動性に関する記載はない。
そこで外壁材等として用いる為にもより高い難燃性と、良好な流動性を有するSMCの開発が望まれていた。
【0006】
【特許文献1】
特開平03−189110号広報
【特許文献2】
特開昭64−31639号公報
【特許文献3】
特開平11−236249号公報
【特許文献4】
特開2002−144334号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の事情を背景に、高い機械的強度を有するとともに、良好な成形性と非常に高い難燃性を有するSMC、及び該SMCを成形してなる成形体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、以上のような現状を背景に、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、シランカップリング剤を特定量添加するとともに、該シランカップリング剤と特定の無機充填剤とを組み合わせることで、成形性、難燃性に特に優れたSMCが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
[1] 少なくとも熱硬化性樹脂、ガラス繊維、無機充填剤、及びシランカップリング剤を含有するシートモールディングコンパウンドであって、シランカップリング剤の含有量が0.1wt%以上、3wt%以下であり、該無機充填剤が水酸化アルミニウム、カオリンクレー、炭酸カルシウム、けい砂、マイカ、タルク、ホウ酸亜鉛、珪酸カルシウム水和物、水酸化マグネシウム、及び水酸化カルシウム、ドーソナイト、アルミン酸カルシウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上を含有することを特徴とするシートモールディングコンパウンド、
[2] シートモールディングコンパウンドが、該シートモールディングコンパウンド中のシランカップリング剤の含有量が0.1wt%以上、3wt%以下となるようにシランカップリング剤を含有させてシートモールディングコンパウンド用ペーストを生成した後に、該ペーストをガラス繊維に含浸させて得られたものであることを特徴とする[1]記載のシートモールディングコンパウンド、
[3] 熱硬化性樹脂の含有量が樹脂固形分で5wt%以上、50wt%以下であることを特徴とする[1]又は[2]記載のシートモールディングコンパウンド、
[4] 熱硬化性樹脂がフェノール樹脂であることを特徴とする[1]〜[3のいずれかに記載のシートモールディングコンパウンド、
[5] シランカップリング剤がエポキシシラン系もしくはアミノシラン系のシランカップリング剤であることを特徴とする[4]記載のシートモールディングコンパウンド、
[6] [1]〜[5]のいずれかに記載のシートモールディングコンパウンドをプレス成形して得られる成形品、
[7] 成形品が外壁用パネルであることを特徴とする[6]記載の成形品、
である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について評細に説明する。
本発明におけるSMCは、熱硬化性樹脂、ガラス繊維、特定の無機充填剤の群から選ばれる1種もしくは2種以上、及びシランカップリング剤を少なくとも含有することが必要である。
本発明において、シートモールディングコンパウンド用ペースト(以下、SMC用ペーストと略称する。)とは、ガラス繊維を除くSMC作製用原料を混合することにより得られるペーストである。SMCとは該SMC用ペーストをガラス繊維に含浸させシート状にしたものを必要に応じて熟成して得られるものである。また、SMC成形体とは、金型を用いて該SMCを加圧加熱成形することにより得られる成形体である。
【0010】
本発明における熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、およびこれらの混合物が挙げられる。中でもフェノール樹脂および不飽和ポリエステル樹脂は良好な成形性を示すため好ましく、特にフェノール樹脂は難燃性に優れているためより好ましい。
フェノール樹脂としては、レゾール系フェノール樹脂であっても、ノボラック系フェノール樹脂であっても良い。また、これらの樹脂に、必要に応じて重合度を高める目的で、レゾール型フェノール樹脂では酸触媒、ノボラック型フェノール樹脂では塩基性触媒を添加して用いても良いが、本発明においては、常温で液状を示すレゾール系フェノール樹脂を酸触媒を使用しないで用いることが、成形加工が容易にでき、生産性の点から好ましい。
【0011】
本発明のSMC中に含まれる熱硬化性樹脂の量は樹脂固形分で5wt%以上、50wt%以下であることが好ましく、さらに好ましくは10wt%以上、40wt%以下である。SMC中の熱硬化性樹脂の含量が樹脂固形分で5wt%以上であれば、そのSMCの成形体は充分な強度を有する。また熱硬化性樹脂の含量が樹脂固形分で50wt%以下であればそのSMCの成形体は充分な難燃性を有する。
【0012】
本発明に用いられる特定の無機充填剤としては、水酸化アルミニウム、カオリンクレー、炭酸カルシウム、けい砂、マイカ、タルク、ホウ酸亜鉛、珪酸カルシウム水和物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、ドーソナイト、アルミン酸カルシウムが挙げられ、そのうちの1種もしくは2種以上を含有していることが必要である。中でもカオリンクレー、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、けい砂、ホウ酸亜鉛はシランカップリング剤との組合せで難燃性を特に大きく高めることから好ましい。その中でもカオリンクレー、水酸化アルミニウムは成形性、流動性の点からより好ましい。特に水酸化アルミニウムとカオリンクレーの混合比(水酸化アルミニウム:カオリンクレー)が質量比で1:5から5:1の範囲であることが好ましい。
【0013】
本発明のSMCにおいては、これら特定の無機充填剤を1種もしくは2種以上組み合わせて用いるだけでなく、その他の無機充填剤と組み合わせて用いることも可能である。その他の無機充填剤と組み合わせて用いる場合、SMC中の全無機充填剤の30wt%以上の割合で上記特定の無機充填剤を用いることが必要であり、好ましくは50wt%以上、より好ましくは60wt%以上の割合で用いることである。
【0014】
本発明において、SMC中に含まれる無機充填剤の全量は20wt%以上、80wt%以下、好ましくは30wt%以上、70wt%以下である。無機充填剤の含量が20wt%以上であれば必然的にパネル中の樹脂の割合が小さくなりSMC成形体は充分な難燃性が得られる。また、80wt%以下であれば充分な強度を有するSMC成形体が得られる。
本発明において用いられるシランカップリング剤は、使用される熱硬化性樹脂によって異なり、不飽和ポリエステル樹脂を用いたSMCにおいては、ビニルシラン系、アクリルシラン系、エポキシシラン系、アミノシラン系のシランカップリング剤を用いることが好ましい。また、フェノール樹脂を用いたSMCにおいては、有機官能基としてアミノ基、アニリノ基またはエポキシ基を有しているシランカップリング剤が好ましく、例えばエポキシシラン系、アミノシラン系のシランカップリング剤が挙げられる。ここでエポキシシラン系の一例として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが挙げられ、アミノシラン系の一例として3−アミノプロピルトリエトキシシランが挙げられる。これら本発明に用いるシランカップリング剤は必ずしも単量体である必要はなくシランカップリング剤を一部加水分解及び縮合させたものであってもよい。
【0015】
本発明のSMC中のシランカップリング剤の含有量は0.1wt%以上、3wt%以下であり、好ましくは0.12wt%以上、1wt%以下、より好ましくは0.12wt%以上、0.75wt%以下である。SMC中のシランカップリング剤の含有量がこの範囲であれば上記の特定の無機充填剤を組み合わせることによりSMC成形体の難燃性が大幅に向上し、また成形時の流動性及び成形体の機械強度も向上する。
【0016】
また、通常SMCにおいて用いられるガラス繊維には、該ガラス繊維の質量の0.01wt%〜0.2wt%程度のシランカップリング剤で処理されているものが多いが、ガラス繊維に処理されているシランカップリング剤の量は上記の量と比較して微量である。そこで本発明のSMCの製造においては、シランカップリング剤を0.1wt%以上、2.5wt%以下、好ましくは0.12wt%以上、1wt%以下、より好ましくは0.12wt%以上、0.75wt%以下の量を添加してSMC用ペーストを作製し、該ペーストをガラス繊維に含浸させてSMCを製造する。
【0017】
本発明におけるSMCには、得られたSMC成形体に耐候性、成形時の離型性等を付与するために紫外線吸収剤、内部離型剤、増粘剤等の添加剤を加えることが好ましい。特に成形性を向上させるために内部離型剤を添加することが好ましい。内部離型剤の添加量は、SMC中の含量としては0.05wt%以上、5wt%以下が好ましく、より好ましくは0.1wt%以上、3wt%以下である。内部離型剤としては脂肪族炭化水素系のもの、高級脂肪族アルコール系のもの、脂肪酸アマイド系のもの、金属石けん系のもの、リン酸系のものなどが挙げられ、中でも金属石けん系のもの、リン酸系のものが離型効果が高く好ましく、例えばステアリン酸亜鉛、中和性リン酸アルコール等が挙げられる。
【0018】
また、無機充填剤として水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムを含んでいない場合は、SMC成形時の成形性を良好にするため増粘剤として水酸化カルシウムおよび/または水酸化マグネシウムを添加するのが好ましい。この場合、水酸化カルシウムおよび/または水酸化マグネシウムの添加量の合計は、SMC中の含量としては0.05wt%以上、5wt%以下が好ましく、より好ましくは0.1wt%以上、3wt%以下となるよう添加する。なお、増粘剤として水酸化カルシウムおよび/または水酸化マグネシウムを添加した場合は、該添加量は上記特定の無機充填剤の含有量の計算に含めることとする。
【0019】
本発明のSMC用ペーストは通常SMC用ペースト作製において用いられる公知の混合機(例えば、月島機械製のMTI・ユニバーサルミキサ(EM200B))を用い、ガラス繊維を除く、少なくとも上記の原料、即ち熱硬化性樹脂、無機充填剤、シランカップリング剤、及び必要に応じて紫外線吸収剤、内部離型剤、増粘剤等の添加剤を混合することによって得られる。
また、本発明のSMCペーストの作製においても、必要に応じて水、アルコール、アセトンといった通常のSMCペースト作製において添加される溶媒を添加することができ、得られたSMC中にこれらの溶媒が存在していても差し支えない。
【0020】
本発明において、SMCに用いるガラス繊維の種類としてはE−ガラス、C−ガラス、T−ガラス、AR−ガラス、D−ガラスのいずれの種類のガラスを用いても良いが、コスト面などからE−ガラスが好ましい。また、通常、SMCに用いられるガラス繊維は、該ガラス繊維の質量の0.01wt%〜0.2wt%程度のシランカップリング剤で処理されているものが多く、本発明においてもシランカップリング剤で処理されたガラス繊維を用いることが好ましい。
【0021】
また、ガラス繊維の繊維径は3〜30μmの繊維径のものが好ましく、より好ましくは6〜15μmである。ガラス繊維の繊維長は0.1〜100mmであることが好ましく、3〜30mmであることがより好ましい。ガラス繊維の繊維径が3μm以上で、かつ繊維長が0.1mm以上であれば、該ガラス繊維による補強効果が発揮され、結果としてSMC成形体は充分な曲げ強度を得ることができる。ガラス繊維径が30μm以下で、かつガラス繊維長が100mm以下であれば、該ガラス繊維を用いたSMCは流動性が低下して成形性に劣るということはない。
【0022】
本発明におけるSMC中のガラス繊維の含有量としては、SMC成形体の強度の点から3wt%以上が好ましく、成形性の点から40wt%以下が好ましい。より好ましくは8wt%以上、30wt%以下である。
本発明におけるSMCは、ガラス繊維にSMC用ペーストを含浸させることにより作製される。このSMCは、通常用いられる公知のSMC製造装置を用いて通常の方法により製造することができる。
【0023】
本発明におけるSMCの厚みは0.5mm以上、20mm以下が好ましい。より好ましくは0.5以上、10mm以下である。この範囲内であれば通常用いられる公知のSMC製造装置を用いてSMCの作製が可能である。
代表的な製造例を挙げれば、上述SMC用ペーストを上下に配置されたキャリアフィルムにSMC用ペーストの厚みが約0.3mm以上、10mm以下の範囲の厚みでほぼ均一な厚さとなるように塗布し、下部のキャリアフィルムに塗布されたペースト上に所定のサイズに切断されたガラス繊維を散布し、上下のキャリアフィルム上のペーストでガラス繊維を挟み込み、次いで全体を含浸ロール間に通してSMC用ペーストをガラス繊維に含浸させ、必要に応じて熟成処理をすることによってSMCが作製される。ここでキャリアフィルムとしてはポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムを用いるのが一般的である。また、熟成処理とは成形前の前処理の一つで、20℃から90℃で、1時間から20日間程度の範囲で熱処理を行うことが好ましい。
【0024】
本発明のSMC成形品の製造方法としては、目的の成形品形状をなした上下分離可能な金型を準備し、金型に上述のSMCを必要な量だけ注入し、加熱加圧し、その後金型を開き目的の成形体を取り出すという通常のプレス成形法等によりSMC成形品を製造する。なお、成形温度、成形圧力は目的とする成形品の形状等にあわせて選択することができる。一例をあげれば、外壁用のパネルの作製においては成形圧力は1×106Pa以上、80×106Pa以下が好ましく、成形温度は30℃以上、240℃以下が好ましい。
【0025】
上記SMC成形品には必要に応じて塗装等の表面処理をすることができる。例えば成形品として外壁用パネルを作製する場合にはその表面に耐候性の塗膜等を処理してもよい。
シランカップリング剤と特定の無機充填剤とを組み合わせて得られるSMC用ペーストを用いる本発明のSMCは、上記したように成形後のSMC成形品が非常に高い難燃性を有する。また、成形時の流動性も向上し、得られた成形品は成形性も向上し、意匠性に優れている。さらに、勘合部分などの複雑な形状を有する成形品においては成形時の流動性が向上することから、勘合部分にSMCが充分に充填し、機械的強度が向上する。
【0026】
上記のようにして得られたSMC成形品の用途としては浴槽等の浴室機器やパネル組み立て式貯水槽、浄化槽、外壁用パネル等の外壁材が挙げられる。特に本発明のSMCを用いたSMC成形体は非常に高い難燃特性を有することから、防火性の観点より建築物の外壁用パネルとして非常に適している。ここで外壁用パネルとは、表面が平坦な平板、表面に意匠を有するもの、または塗装によって装飾を施されたパネル状の成形体であり、外壁材として用いられるものであり、特に新築用もしくはリフォーム用の外壁材として用いることに適している。
【0027】
【実施例】
以下、実施例に基いて更に本発明を説明する。
なお、実施例、比較例における物性の評価、流動性、成形性の評価は以下の方法で行った。
(1)難燃性
実施例、比較例で得られた平板を10cm×10cmの大きさに切り出し、東洋精機(株)のコーンカロリーメータIII装置を用い、(財)日本建築総合試験所編「防耐火性能試験・評価業務方法書」に基づいて燃焼試験を5分間及び10分間の試験時間で各3回づつ行い、3回の平均値で試験結果を示す。
(2)曲げ強度
実施例、比較例で得られた平板から3点曲げ試験用サンプルを切り出し、万能試験機(ミネベア(株)製、TCM−500型万能引張圧縮試験機)を用いて、JIS K7017に従い3点曲げによる曲げ強度測定を行った。
【0028】
(3)流動性評価
得られたSMCを約30mm×30mmの形状で10gとなるように秤量し(得られたSMCを6枚重ねるとほぼ10gとなり、さらに形状を調整することで正確に10gとした。)、金型を装着していない加圧プレス機に投入し加圧加熱(1.17×107Pa、180℃)を行い、得られた円盤状成形体の面積を測定した。この面積をSMCの流動性の評価の指標とした。
(4)成形性
SMCを180℃に加熱した加圧プレスに装着された表面クロムメッキ仕上げの鋼製金型へ、素早くチャージし、金型を閉めて加熱加圧(180℃、1.17×107Pa)して、SMC成形品(平均厚み2mm)を得、この成形品の端部までふくれや割れといった欠陥がなく成形できているかを外観観察によって調べた。
【0029】
【実施例1】
レゾール系フェノール樹脂(昭和高分子(株)製 BRL−240)30.0質量部、増粘剤として水酸化カルシウム(関東化学(株)製 試薬特級)0.3質量部、内部離型剤としてステアリン酸亜鉛(関東化学(株)製 試薬1級)1.0質量部、無機充填剤として水酸化アルミニウム(昭和電工(株)製 ハイジライトH32)25.0質量部及びカオリンクレー(ENGELHARD社製 ASP−400P)25.0質量部、シランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(以下、エポキシシランと言う。)(信越化学(株)製 KBM−403)0.25質量部をハンドミキサー(芝浦製作所製、BMV−150A)にて約10分間混合攪拌してSMC用ペーストを得た。キャリアフィルムに厚み40μmのポリプロピレン製フィルム(サン・トックス(株)製、サン・トックスCP)を用い、SMC製造装置(月島機械(株)製)を用いて上記SMCペースト80質量部に対してガラス繊維(日東紡績(株)製、RS240PB−548AC、平均繊維径11μm、平均繊維長15mm、Eガラス)20質量部の割合で散布してペーストの間にはさみ込み含浸させ、その後、60℃で30時間熟成処理を行い、平均厚み1mmのSMCの作製を行った。180℃に加熱した加圧プレスに装着された表面クロムメッキ仕上げの鋼製金型へ、該SMCを3枚重ねで約90g素早くチャージし、金型を閉めて加熱加圧(1.17×107Pa)して、金型内形状と同型の平板(150mm×150mm×2mm、約90g)を得た。評価方法に従い評価した。結果を表1にまとめて示す。
【0030】
【実施例2〜5】
表1に記載の組成割合で無機充填剤、シランカップリング剤を用いた以外は実施例1と同様に行いSMCの作製を行い、該SMCを用いて実施例1と同様にして平板(150mm×150mm×2mm、約90g)を得た。評価方法に従い評価した。結果を表1にまとめて示す。
【0031】
【比較例1】
無機充填剤としてガラス粉末を用いた以外は実施例1と同様に行いSMC、平板を作製した。評価方法に従い評価した。結果を表1にまとめて示す。
【0032】
【比較例2〜6】
表1に示す組成割合で無機充填剤を用い、シランカップリング剤を用いなかった以外は実施例1と同様に行いSMC、及び平板を作製した。評価方法に従い評価した。結果を表1にまとめて示す。
難燃性の評価結果から、無機充填剤として水酸化アルミニウム、カオリンクレーもしくは炭酸カルシウムを用いた場合、シランカップリング剤であるエポキシシランもしくはアミノシランを用いることにより難燃性が飛躍的に向上することがわかる(実施例1〜5、比較例2、4〜6)。また無機充填剤としてガラス粉末を用いた場合、シランカップリング剤を用いても難燃性の向上は全く見られない(比較例1、比較例3)。これらのことより、カオリンクレーや水酸化アルミニウムといった特定の無機充填剤とシランカップリング剤を組み合わせることによって難燃性が飛躍的に向上することがわかった。
【0033】
また、無機充填剤として水酸化アルミニウム及びカオリンクレーを用いた場合、シランカップリング剤であるエポキシシランもしくはアミノシランを用いることにより流動性、及び曲げ強度が大きく向上することがわかる(実施例1〜4、比較例2、4、5)。
得られた成形品の外観観察の結果、無機充填剤として水酸化アルミニウム及びカオリンクレーを用いた場合、シランカップリング剤であるエポキシシランもしくはアミノシランを用いることにより成形性が良いSMCが得られることがわかる(実施例1、実施例2、比較例2)。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】
本発明によって、難燃性、流動性、成形性に非常に優れるSMCが得られ、また該SMCを用いて成形された成形体は、意匠性が良く、高い難燃性及び高い機械的強度をも有することから、産業上大いに有用である。
Claims (7)
- 少なくとも熱硬化性樹脂、ガラス繊維、無機充填剤、及びシランカップリング剤を含有するシートモールディングコンパウンドであって、シランカップリング剤の含有量が0.1wt%以上、3wt%以下であり、該無機充填剤が水酸化アルミニウム、カオリンクレー、炭酸カルシウム、けい砂、マイカ、タルク、ホウ酸亜鉛、珪酸カルシウム水和物、水酸化マグネシウム、及び水酸化カルシウム、ドーソナイト、アルミン酸カルシウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上を含有することを特徴とするシートモールディングコンパウンド。
- シートモールディングコンパウンドが、該シートモールディングコンパウンド中のシランカップリング剤の含有量が0.1wt%以上、3wt%以下となるようにシランカップリング剤を含有させてシートモールディングコンパウンド用ペーストを生成した後に、該ペーストをガラス繊維に含浸させて得られたものであることを特徴とする請求項1記載のシートモールディングコンパウンド。
- 熱硬化性樹脂の含有量が樹脂固形分で5wt%以上、50wt%以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のシートモールディングコンパウンド。
- 熱硬化性樹脂がフェノール樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシートモールディングコンパウンド。
- シランカップリング剤がエポキシシラン系もしくはアミノシラン系のシランカップリング剤であることを特徴とする請求項4記載のシートモールディングコンパウンド。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のシートモールディングコンパウンドをプレス成形して得られる成形品。
- 成形品が外壁用パネルであることを特徴とする請求項6記載の成形品。
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