JP2004182878A - 着色微粒子分散体および水性インク - Google Patents
着色微粒子分散体および水性インク Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】色材と樹脂を混合し水に分散させてなる着色微粒子分散体であって、含有される樹脂の少なくとも1種が架橋構造を有しており、かつ、下記式で表される構造を有する樹脂を含有することを特徴とする着色微粒子分散体。
−(EO)m−(PO)n−R
(EOはエチレンオキサイド基、POはプロピレンオキサイド基を表し、m、nはそれぞれ0〜500迄の整数であり、2≦m+n≦500、Rは水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。)
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット用インクに用いて好適な着色微粒子分散体、さらに該着色微粒子分散体を用いた水性インクおよび画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、プリンタ、印刷機、マーカー、筆記具等に用いられる記録材料、インキング材料、特にインクジェット用インクとしては水溶性染料の水溶液を主体としたもの、顔料の微分散体を主体としたものが広く用いられている。
【0003】
水溶性染料を用いたインクは、顔料インクに比べて、鮮やかな色再現性を有するものの、染料の水溶液であるが故に記録紙上でにじみやすい。また、見掛けの乾燥速度を速める必要から記録紙への浸透を大きくするためにインクのニジミが大きく、また水溶性の染料であり耐水性にも劣る、耐光堅牢度も顔料インクに比較して、非常に低いという問題があり、これらのを改善する試みが多くなされているが、これらの欠点を改善できているとはいいがたい。
【0004】
これに対し、油溶性染料ないし疎水性染料で水分散性樹脂を着色して水系の分散体として用いる水性インク、即ち、着色されたポリマー微粒子を記録材として用いる水性インクが、前記水溶性染料を用いたインクにかわるものとして、期待されている。
【0005】
例えば特開昭54−58504号には疎水性染料溶液とビニル重合体微粒子の混合物を水中油型分散させたインクが提案されている。ビニル重合体微粒子を疎水性染料溶液と混合し染料溶液の溶媒にて重合体微粒子を膨潤させ、染料により着色する。疎水性染料が記録材となるため、得られる画像は耐水性を有する。該提案では、連続相として水を用い、分散相として溶剤にて膨潤した着色ビニル重合体粒子を用いることにより、インク粘度の支配を水にもたせ、溶剤としてある程度高粘度(低揮発性)のものを用いることを許容している。
【0006】
また、特開昭55−139471号、特開平3−250069号また特開昭54−58504号等にも染料によって染色された乳化重合または分散重合粒子を用いたインクが提案されている。
【0007】
これらのうち、用いる樹脂に特徴のあるものとして、特開2001−98194には、親水性重合連鎖部分と疎水性重合連鎖部分からなる共重合体樹脂をもちいるもの、特開2000−191968には、ビニルポリマー重合性不飽和酸モノマー、水酸基含有モノマー、スチレンマクロマー等を用いるもの、特開平9−157508号には、シクロヘキセンジカルボン酸を含むポリエステル樹脂を用いるもの等が開示されている。
【0008】
このような着色微粒子を用いた記録材料において、インクジェットインクとしての特性、即ち、インクジェットヘッドでの詰まりがなく、着色微粒子が水性インク中で安定であること、また着弾後、速やかに記録媒体に浸透拡散(適度に)すること、摩耗性、耐久性、耐水性等のよい画像を形成すること等が必要とされている。特に、インクジェットインクにおいては、着弾後、速やかに記録媒体にインクを浸透拡散させるため、表面張力を調整するほか、インクの乾燥によるヘッドの目詰まり等を改善するなどの目的で、各種の水性有機溶剤を混合して用いるため、着色微粒子の耐溶剤性が、インクにおいては大きな問題となる。
【0009】
これらのことから、染料、ポリマーの組成や、着色微粒子の微粒化や構成などこれまで、種々の面から検討がおこなわれてきた。
【0010】
例えば、特許文献1(米国特許第6,384,108号明細書)においては、自己乳化型ポリマーを、溶媒に染料とともに溶解して、水相で乳化、微粒子を形成しているが、溶解性の観点から親水性基の含有量がある範囲に限定されてしまうため、耐溶剤性に乏しい欠点がある。
【0011】
また、特許文献2(特開2002−121417号公報)等には、耐溶剤性をあげるため表面架橋したコアシェル粒子を用いることが開示されている。しかしながら、表面に架橋して分子量を増大させるときに粒子間架橋が起きて粒子の凝集が起きやすい等の問題がある。
【0012】
さらに、特許文献3(特開平8−218015号公報)においては、イオン性基により乳化性が付与され、かつ架橋構造を有する着色ポリマー微粒子が開示されている。しかし架橋時に粒子間架橋を防ぐことが難しいため粒径の増大を招きやすい。また、架橋剤のポリアミンは染料の種類によっては染料の凝集剤となるために、乳化、分散状態を不安定化しやすい。
【0013】
従って、粒径が充分に小さく、耐溶剤性や分散安定性、保存性、吐出安定性等がよく、プリント濃度、色再現性、更には画像の耐光性等の面でも充分な性能を有するインクは未だ得られていないのが現状である。
【0014】
【特許文献1】
米国特許第6,384,108号明細書
【0015】
【特許文献2】
特開2002−121417号公報
【0016】
【特許文献3】
特開平8−218015号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、耐溶剤性が良好で、分散安定性、保存性のよい着色微粒子分散体を得ることにあり、該着色微粒子分散体をもちい、吐出安定性、色再現性、画像の耐光性がよい水性インクあるいはインクジェット用インクを得ることにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0019】
1.色材と樹脂を混合し水に分散させてなる着色微粒子分散体であって、含有される樹脂の少なくとも1種が架橋構造を有しており、かつ、下記一般式(1)で表される構造を有する樹脂を含有することを特徴とする着色微粒子分散体。
【0020】
一般式(1)
−(EO)m−(PO)n−R
(EOはエチレンオキサイド基、POはプロピレンオキサイド基を表し、それぞれランダム或いはブロック共重合している。m、nはそれぞれ0〜500迄の整数であり、2≦m+n≦500、Rは水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。)
2.前記架橋構造が、樹脂および色材が混合された後に形成されることを特徴とする前記1に記載の着色微粒子分散体。
【0021】
3.色材と樹脂を溶媒に溶解した後、乳化剤を用いて水系の液に乳化分散され、その後、溶剤を除去する工程により形成された着色微粒子分散体において、該乳化剤として、重合可能な乳化剤が用いられることを特徴とする前記1または2に記載の着色微粒子分散体。
【0022】
4.前記1または2に記載の着色微粒子分散体を、色材と樹脂を溶媒に溶解した後、重合可能な乳化剤を用いて水系の液に乳化分散し、その後、溶剤を除去する工程により形成することを特徴とする着色微粒子分散体の製造方法。
【0023】
5.樹脂を架橋する架橋構造が、それぞれウレタン、イミノ、アミドエステル、ヒドラゾン結合のうちから選ばれることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の着色微粒子分散体。
【0024】
6.一般式(1)で表される構造において、Rが活性な水素を含有しないことを特徴とする前記1〜3および5のいずれか1項に記載の着色微粒子分散体。
【0025】
7.コアシェル構造を有していることを特徴とする前記1〜3、5および6のいずれか1項に記載の着色微粒子分散体。
【0026】
8.着色微粒子の体積換算平均粒径が10〜100nmであることを特徴とする前記1〜3および5〜7のいずれか1項に記載の水性インク。
【0027】
9.体積平均粒径の変動係数が80%以下であることを特徴とする前記8に記載の着色微粒子分散体。
【0028】
10.前記1〜3および5〜9のいずれか1項に記載の着色微粒子分散体を含むことを特徴とする水性インク。
【0029】
11.インクジェット用インクであることを特徴とする前記10に記載の水性インク。
【0030】
12.デジタル信号に基づきインクジェットヘッドより前記11に記載の水性インクを液滴として吐出させインク受容体に付着させることを特徴とする画像形成方法。
【0031】
以下、本発明を詳細に説明する。
前記のように、染料および樹脂(ポリマー)を含有する着色微粒子分散体を作製する場合、染料とポリマーを有機溶媒中に溶解して水相中に乳化分散、更に有機溶媒を除去する方法が知られているが、乳化粒径を小さくするためにはポリマーの分子量を大きくすることができない。一方で、インクジェットインクに用いるためには各種の水性有機溶媒が使用されているため、水性有機溶媒に対する耐性が必要であり、このためには、ポリマーの分子量が大きい方がよい。そのため、着色微粒子の樹脂の分子量を上げる手法としては乳化時、或いは乳化後に架橋する方法が考えられる。
【0032】
前記特許文献3においても、架橋構造を有する着色ポリマー微粒子が開示されている。しかしながら、インクジェットインクのような超微粒子(粒径100nm以下)の分散体では、微粒子の比表面積が大きくなるため、粒子間での架橋が起こりやすくなり、粒子の結果としての凝集や、甚だしい場合には粗大粒子が生成するため著しく分散体の安定性が損なわれる。
【0033】
このような欠点を克服するために、本発明者らは、鋭意検討した結果、親水性のポリエチレンオキサイド基(鎖)やポリプロピレンオキサイド基(鎖)をポリマーに導入することで、粒子表面近傍における前記ポリエチレンオキサイド鎖やポリプロピレンオキサイド鎖の立体障害の効果により粒子間の相互作用を低減させ、これにより架橋剤或いは架橋基による粒子間の架橋を抑え、防止することができ、それにより粒子内の架橋を優先的に起こさせ、従って、粒子の凝集もなく、安定な着色微粒子分散体が得られることを知見として得た。
【0034】
このようにして得た本発明の着色微粒子分散体は、微粒子であって、耐溶剤性に優れ、種々の水溶性溶剤が共存するインクジェット用インク中にあっても、凝集等を起こすことがなく、安定性が高いことに特徴がある。
【0035】
従って、本発明の着色微粒子分散体は、各種の手法で調製することができるが、好ましくは、例えば、前記の粒子間架橋を抑える基を有するポリマーと色材を有機溶剤中に溶解し、水系媒体中で乳化し、分散体を形成した後、架橋反応により粒子中のポリマーの分子量を増加させることによって作製される。
【0036】
本発明の着色微粒子分散体は、従って、上記の方法によって形成された、色材および樹脂を混合し水に分散させてなる架橋構造を有する樹脂(ポリマー)を含有する着色微粒子分散体であって、含有される樹脂の少なくとも1種が架橋構造を有しており、かつ、下記一般式(1)で表される構造を有する樹脂を同時に含有していることを特徴とする。
【0037】
一般式(1)
−(EO)m−(PO)n−R
ここにおいて、EOはエチレンオキサイド基、POはプロピレンオキサイド基を表し、それぞれランダム或いはブロック共重合している。EOまたはPOで表されるこれらのエチレンオキサイド基、プロピレンオキサイド基は更に置換されていてもよい。m、nはそれぞれ0〜500までの整数であり、2≦m+n≦500、Rは水素原子、ヒドロキシル基またはアルキル基、アリール基またはヘテロ環基等の置換基を表すが、Rは活性な水素をもたない基であることが好ましい。好ましいアルキル基としては、メチル、エチル、ブチル等炭素数1〜22までの直鎖、或いは分岐のアルキル基、またやはり炭素数1〜22までのシクロプロピル基、シクロペンチル基等の脂環式基であってもよい。これらはさらに他の置換基で置換されていてもよいが、置換基は活性な水素をもたない基であることが好ましい。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等の基であり、やはり、活性な水素をもたない置換基で置換されていてもよい。また、ヘテロ環基としては、アジリジン、ピロリジン、フラン、チオフェン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピリジン、ピリダジン等のヘテロ環基があげられ、これらに限定されないが、これらのヘテロ環基は、活性水素をもたないものが好ましく、さらに、置換基を有していてもよく、また、置換基も活性な水素をもたないものが好ましい。
【0038】
一般式(1)で表される、親水性かつ立体障害性を有するポリエチレンオキサイド或いはポリプロピレンオキサイド等の基を有する樹脂は、架橋構造を形成するために用いられる官能基あるいは活性な水素を有する樹脂と混合し用いてもよい。但し、好ましいのは、前記親水性かつ立体障害性を有するポリエチレンオキサイド或いはポリプロピレンオキサイド等の基を有する樹脂が、同時に架橋構造を形成するための官能基あるいは活性水素を有する樹脂であって、同一ポリマー中にこれらの基を同時に有する均一な構造を有していることが好ましい。
【0039】
本発明において、架橋構造は、色材と樹脂とが混合されてから形成されることが好ましい。最初から架橋構造が形成されていると、該架橋構造を有する樹脂は分子量が大きいため溶剤に対する溶解性、或いは膨潤性、また染料に対する親和性(樹脂中での染料の均一な溶解・分散)等の点から使用が難しく、得られる着色微粒子分散体の耐溶剤性の向上効果が限定される。
【0040】
本発明において、架橋構造を形成する反応は、ポリマー分子内に、架橋構造を構成する結合を形成しうる基を有するモノマーを用いて、これを他のモノマーとの共重合あるいは縮合(あとからペンダント基として導入してもよい)により導入しておき、これを架橋性化合物と接触させ、架橋結合を形成させる。
【0041】
例えば、架橋反応を形成する官能基として、ポリマー中にイソシアネート基を導入するためには、イソシアネート基を分子内に有する、例えばカレンズMOI(昭和電工製)等のモノマーをアクリル酸エステル等他の重合性分と共重合させポリマー中にイソシアネート基を導入する。このようにして形成されたイソシアネート基を有するポリマーを、染料と共に例えば酢酸エチル等の溶剤に溶解し、水性媒体中に分散することで水性の分散体を形成し、分散体形成後に、例えば、アミン類、好ましくは1級アミンで処理することで、ポリマー中のイソシアネート基がアミンと反応してウレイド結合を形成し、ポリマー間で3次元架橋を形成する。
【0042】
【化1】
【0043】
ここで、R′はイソシアネート基が結合するポリマーの残基を表し、R″は同じくアミン残基を表す(以下同様である)。
【0044】
また、アミン類のなかでも、イソシアネート基との反応点を二つ以上有するジアミン類(例えば、ヘキサメチレンジアミン等)、更にヒドロキシル基含有アミン類、例えばアミノプロパノール等を架橋剤として用いるのが好ましい。ヒドロキシル基含有アミン類はその中でも好ましく、例えば、アミノプロパノールの場合、ポリマー中のイソシアネート基とアミノ基が反応してウレイド結合(カルバモイルアミノ基)を、また、ヒドロキシ基が反応してウレタン結合(カルバモイルオキシ基)をそれぞれ形成する。
【0045】
このようなイソシアネート基を有する重合体を用いる場合に好ましい架橋剤としては、前記一級アミン類、なかでもアミノプロパノール、またヒドロキシエチルアミノプロピルアミン等の化合物があげられる。
【0046】
【化2】
【0047】
また、逆にポリマーが、例えばヒドロキシル基を側鎖に有する場合には、これに対して多官能性の例えば複数のイソシアネート基を有する化合物を架橋性化合物(架橋剤)として反応させてもよい。これらの組み合わせとしては、例えばヒドロキシ基のような活性な水素を有するヒドロキシエチルアクリレート(HEMA)を構成成分とするアクリル系樹脂に、多官能のイソシアネート類例えば、日本ポリウレタン社製:コロネートシリーズ、住友バイエル社製:デスモジュールシリーズ等の架橋剤を反応させることで、ポリマーから見て結合の様式は反対になるものの、同様のウレタン結合(カルバモイルオキシ結合)を形成することができる。
【0048】
これらのウレイド結合あるいはウレタン結合を便宜的にここでは総称してウレタン結合として一括に呼ぶこととする。
【0049】
このように、イソシアネート基のような官能基に対して活性な水素を複数有する化合物を架橋剤として用いてもよく、また、逆に活性水素を有する重合体を用いた場合には、多官能の化合物を架橋性化合物として用いてもよい。
【0050】
従って、本発明においては、架橋性化合物(架橋剤)、およびこれらの架橋性化合物と架橋反応をするポリマー(重合体)更に、前記粒子間架橋を防止するためのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド基を有するポリマー(重合体)そして染料を基本成分として、例えばこれらの成分を有機溶剤に溶解後、必要な場合には乳化剤の存在下において、水系媒体中に、乳化分散することで水性分散体を形成し、その後、架橋性化合物をもちい、微粒子内でのポリマー分子同士の架橋を行い、本発明に係わる着色微粒子分散体を作製する。
【0051】
前記粒子間架橋を防止するためのポリエチレンオキサイドまたはポリプロピレンオキサイド基を有するポリマー(重合体)、および架橋性化合物と架橋反応をするポリマー(重合体)とを、それぞれ別の重合体として、混合して用いてもよいが、本発明においては、前記粒子間架橋を防止するためのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド基および架橋性化合物と架橋反応する基を同時に有する有するポリマー(重合体)が好ましい。
【0052】
このような架橋を形成する基(あるいは反応)としては、前記ウレタン結合のほかにも、代表的には以下の様な基あるいは反応があげられる。架橋反応は、活性な水素とこれと反応する官能基との反応によるもので官能基を有する重合体に対しては活性な水素を複数有する化合物が架橋剤となり、また、逆に活性水素を有する重合体を用いた場合には、多官能性化合物が架橋性剤となる。
【0053】
例えば、官能基としてエポキシ基を含有するポリマー(例えば、グリシジルアクリレート等を構成成分とする重合体など)をもちい、架橋剤としてアミン類用いると反応してイミノ基が生成し架橋を形成する。
【0054】
【化3】
【0055】
ここで、R′はやはりポリマー残基を表し、R″はアミン残基を表す。
これらの架橋剤として、は前記イソシアネート基を有する重合体の場合に用いることのできるアミンが架橋剤が好ましく用いられる。
【0056】
架橋反応としては更に、カルボキシル基とオキサゾリン基の反応によるアミドエステル形成がある。
【0057】
カルボキシル基含有ポリマー(例えば、アクリル酸、メタアクリル酸等を共重合成分とするアクリル樹脂)を用いる場合、ポリマーの重合度をあげるために、例えば、オキサゾリン基含有水溶性ポリマーであるエポクロスWSシリーズ(日本触媒製)を用い架橋反応させることができる。以下のように架橋構造としてはアミドエステル結合を形成する。これにより分子量が増大し耐溶剤性が増す。
【0058】
【化4】
【0059】
ここで、R′はやはりポリマー残基を表し、R″は反応性のオキサゾリン基に連結した架橋剤残基を表す。
【0060】
また、ヒドラジド形成によって架橋してもよい。活性な水素を有するヒドラジド架橋剤、
H2NHNCO−R″−CONHNH2(ここでR″はアルキレン等の2価の基を表す)、例えば、アジピン酸ヒドラジド(ADH;協和発酵製)等を用い、一方、ポリマーとして、このような活性な水素と反応することのできる、カルボニル基の様な官能基を有するモノマー成分(例えばダイアセトンアクリルアマイド;協和発酵製)を共重合成分として有するアクリル系重合体を着色微粒子分散体の樹脂として用いることで、ヒドラゾン結合による架橋を形成できる。
【0061】
【化5】
【0062】
架橋反応は、要は、活性な水素とこれと反応する官能基との反応によるもので、これら活性水素あるいは官能基が樹脂中あるいは架橋剤中のどちらにあってもよい。上記に典型的に用いられる架橋反応を示したが、上記以外の反応を架橋反応を用いても勿論かまわない。例えば、前記グリシジルメタクリレート等のほか、N−メチロール基を有するN−メチロールアクリルアミド等も官能基を有するモノマーと考えられる。
【0063】
また、上記以外にも、架橋反応を行えるような、反応成分或いは基を、それぞれポリマー中および架橋剤中に用いてもよい。
【0064】
本発明において、前記のようにポリエチレンオキサイド基、ポリプロピレンオキサイド基そして前記架橋性基(前記官能基を有するもの、活性水素を有するもの両方をさす)の両者を分子内に有するポリマーを色材と混合し、水系媒体中に於いて乳化し、着色微粒子の水性分散体を調製し、その後、架橋剤との反応によって、粒子内に架橋結合を形成し、ポリマーの分子量を増加させる。本発明は、その際に、前記の立体的に表面を保護すると考えられる親水性のポリエチレンオキサイド基、またはポリプロピレンオキサイド基がポリマー表面に存在することにより、粒子間の架橋を抑え、凝集を抑え、それにより微粒子で安定な分散体を得ることができる。あまり疎水性の高い基では、粒子表面を覆う効果が小さくなるためと考えられるが、本発明の効果が小さくなる。
【0065】
本発明においては、着色微粒子を構成する樹脂(ポリマー)は、各種用いることが可能であるが、該樹脂(ポリマー)のTgは、少なくとも1種以上はTgが10℃以上であるものを用いる方が好ましい。
【0066】
本発明において使用可能な樹脂(ポリマー)は、前記のポリエチレンオキサイド基、ポリプロピレンオキサイド基等の基と共に、前記のイソシアネート基或いはエポキシ基の様な官能基、また水酸基やカルボキシル基等の活性水素を有するポリマーであり、それぞれの構成成分となるモノマーが入手可能であることから、重合性ビニルモノマーとの共重合から得られる共重合ポリマーが好ましい。これら官能基或いは活性水素を有するポリマーは、常法に従いラジカル重合法によって容易に合成することができる。
【0067】
前記のポリエチレンオキサイド基、ポリプロピレンオキサイド基、官能性基、また活性水素をそれぞれ有するビニルモノマーと共に、共重合体を形成する好ましい共重合ビニルモノマーの具体例としては、例えば、酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル、2−フェノキシエチルアクリレート、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸〔2−アセトアセトキシエチル〕、トリエチレングリコールメタクリレート、エトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸フェニル、スチレン、α−メチルスチレン、マレイン酸、アクリロニトリル等のビニルモノマーが挙げられる。
【0068】
本発明に係わる樹脂(ポリマー)としては、前記架橋に寄与する以外にも、また、ヒドロキシル基、カルボキシル基を有するモノマーを、また、スルホン酸基、燐酸基、4級アンモニウム基等の親水性基を有するモノマー、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のモノマーを20質量%以下の比率で用いてもよい。
【0069】
これら重合性ビニルモノマーを公知の手法を用い、前記官能基あるいは活性水素を有するビニルモノマーとラジカル共重合させることによって、本発明に係わる、未架橋のポリマーが得られる。
【0070】
前記親水性のポリエチレンオキサイド鎖やポリプロピレンオキサイド鎖をポリマー中に導入するには、前記一般式(1)で表される基を含有するビニルモノマーを用いて前記のびニルモノマーと共重合するのが好ましく、これらビニルモノマーの具体的な例としては日本油脂製ブレンマーシリーズ、代表的には、ブレンマーAMEシリーズ(ブレンマーAME−400等)、ブレンマーPMEシリーズ、(ブレンマーPME−1000、ブレンマーPME−4000等)、ブレンマー50POEP−800B、ブレンマー55PETシリーズ(ブレンマー55PET800等)がある。
【0071】
また、これらのポリエチレンオキサイド基、ポリプロピレンオキサイド基の末端となる前記一般式(1)においてRで表される基は、活性な水素を含有しないものが好ましい。活性水素を有する場合、官能基を有する架橋剤によって粒子間架橋が起こる可能性がある。
【0072】
本発明に用いる前記一般式(1)で表されるポリエチレンオキサイド基、ポリプロピレンオキサイド基を有する重合性ビニルモノマーを他の共重合成分とラジカル共重合させることで、これらの構成成分を有する本発明に係わる樹脂(ポリマー)を得ることができるが、ポリマー成分中にポリエチレンオキサイド基、ポリプロピレンオキサイド基を有するモノマー成分は1〜60質量%、好ましくは3〜30質量%の割合で含有しているものが好ましい。少ない場合には当然、架橋剤による架橋反応が粒子間で起こるため凝集が避けられない。また、多すぎる場合にはやはりポリマー全体が親水性となるため、染料との親和性が低下し、相分離等を起こすためやはり安定な微粒子分散体を形成しない或いは凝集が大きくなる等好ましくない。
【0073】
また、前記架橋結合を形成するための活性水素或いは、官能基を有するモノマー成分は、それぞれ、形成する架橋構造によって(即ち、官能基の種類また架橋剤によって異なるが)0.1〜30質量%、好ましくは0.3〜15質量%の範囲で含有される。あまり少ないと架橋結合の形成が少ないために、本発明の効果がなく、また、多すぎると、樹脂の染料との相互作用や溶剤に対する親和性が大きく変化してしまう。
【0074】
本発明において、好ましいポリマーの例について、実施例中の合成例にいくつかの組成を示した。
【0075】
また、前述のように本発明においてこれらのポリマーを色材および有機溶剤共に混合し、水性媒体中おいて、必要であれば乳化剤を用いて、乳化・分散し、その後、有機溶剤等を留去することで、架橋前の着色微粒子分散体が得られるが、乳化の際にもちいることのできる乳化剤としては、通常のノニオン系乳化剤として、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシエチレンオクアルキルエーテル類;例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;ソルビタンモノラウレート等のソルビタン高級脂肪酸エステル類等、
またアニオン系乳化剤として、例えば、オレイン酸ナトリウム等の高級脂肪酸塩類;例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルアリールスルホン酸塩類;例えば、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩類;例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、等のアルキルスルホコハク酸エステル塩及びその誘導体類等を用いることができる。
【0076】
また、前記の乳化剤に代え、或いはそれに加え、重合可能な乳化剤(反応性乳化剤)を用いるのが好ましい。
【0077】
反応性乳化剤としては、アニオン系及びノニオン系のいづれの乳化剤でも特に限定されず、例えば、(メタ)アリル基、(メタ)アクリル基、スチリル基などのラジカル重合性不飽和基を有する乳化剤が単独で又は2種類以上組み合わせて使用できる。
【0078】
反応性乳化剤としては、アニオン系及びノニオン系のいづれの乳化剤でも特に限定されず、例えば、(メタ)アリル基、(メタ)アクリル基、スチリル基などのラジカル重合性不飽和基を有する乳化剤が単独で又は2種類以上組み合わせて使用できる。
【0079】
このようなアニオン系反応性乳化剤としては、例えば、下記一般式(2)〜(5)で表される反応性乳化剤を挙げることができる。
【0080】
【化6】
【0081】
式中、R2は水素、メチル基、R3は炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基、アリール基又はアラルキル基、R4は水素又はメチル基、R5は炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基、アリール基又はアラルキル基、Xは単結合またはメチレン基、Mはアルカリ金属、mは1〜50の自然数、nは1〜50の自然数、qは0又は1である。
【0082】
上記一般式(2)で表されるアニオン系反応性乳化剤の具体例としては、例えば、「アデカリアソープ SE−10N」、「アデカリアソープ SE−20N」、「アデカリアソープ SE−30N」(以上、旭電化工業(株)製)が、上記一般式(3)で表されるアニオン系反応性乳化剤の具体例としては、例えば、「アクアロン HS−05」、「アクアロン HS−10」、「アクアロン HS−20」、「アクアロン HS−30」(以上、第一工業製薬(株)製)等が、また、上記一般式(4)のアニオン系反応性乳化剤の具体例としては、例えば「ラテムル S−120」、「ラテムル S−120A」、「ラテムル S−180」、「ラテムル S−180A」(以上、花王(株)製)、「エレミノールJS−21」(以上、三洋化成工業(株)製)等が、一般式(5)のアニオン系反応性乳化剤の具体例としては、例えば「アントックス MS−60」(日本乳化剤(株)製)を挙げることができる。
【0083】
その他、アニオン系反応性乳化剤としては、例えば「ラテムル ASK」(花王(株)製)等のアルキルアルケニルコハク酸エステル塩系反応性乳化剤;例えば「エレミノール RS−30」(三洋化成工業(株)製)等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート硫酸エステル塩系反応性乳化剤;例えば「RA−1120」、「RA−2614」(以上、日本乳化剤(株)製)等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル脂肪族不飽和ジカルボン酸エステル塩系反応性乳化剤;例えば「アントックス MS−2N」(日本乳化剤(株)製)等の(メタ)アクリル酸スルホアルキルエステル塩系反応性乳化剤;フタル酸ジヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート硫酸エステル塩系反応性乳化剤;例えば「H−3330PL」(第一工業製薬(株)製)等のモノもしくはジ(グリセロール−1−アルキルフェニル−3−アリル−2−ポリオキシアルキレンエーテル)リン酸エステル塩系反応性乳化剤等が、また、ノニオン系反応乳化剤としては、例えば、下記一般式(6)及び(7)で示される反応性乳化剤を挙げることができる。
【0084】
【化7】
【0085】
式中、R2は水素、メチル基、R3は炭素数6〜18のアルキル基、mは1〜50の自然数、アルケニル基、アリール基又はアラルキル基、R4は水素又はメチル基、Xは単結合またはメチレン基、Mはアルカリ金属である。
【0086】
上記一般式(6)で表されるノニオン系反応性乳化剤の具体例としては、例えば「アデカリアソープNE−10」、「アデカリアソープNE−20」、「アデカリアソープNE−30」(以上、旭電化工業(株)製)等が、一般式(6)で表されるノニオン系反応性乳化剤の具体例としては、例えば「アクアロン RN−10」、「アクアロン RN−20」、「アクアロン RN−30」、「アクアロン RN−50」(以上、第一工業製薬(株)製)等が、またその他、例えば「RMA−564」、「RMA−568」(以上、日本乳化剤(株)製)等のポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル(メタ)アクリレート系反応性乳化剤;例えば「RMA−1114」(日本乳化剤(株)製)等のポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル(メタ)アクリレート系反応性乳化剤等も挙げることができる。
【0087】
これら反応性乳化剤の使用量は、ポリマーの合計100質量部当たり、一般に0.1〜30質量部、好ましくは2〜25質量部、特に好ましくは3〜20質量部の範囲で用いるのがよい。
【0088】
これらの乳化剤は、粒子近傍に安定な電気二重層を形成すると同時に、樹脂との反応性を有するために、ポリエチレンオキサイド鎖、ポリプロピレンオキサイド鎖を、乳化時或いは乳化後に、樹脂中に導入でき、立体的に、後に、架橋を導入する際、粒子表面において粒子間架橋が防止でき好ましい。本発明において、このようにして樹脂中に、ポリエチレンオキサイド鎖、ポリプロピレンオキサイド鎖を導入してもよい。
【0089】
次に、上記ポリマーとともに種粒子中に封入される色材について説明する。
該色材としては、上記ポリマーに溶解或いは分散可能な色材であれば特に制限無く用いることができ、例えば、油性染料、分散染料、直接染料、酸性染料及び塩基性染料等を挙げることができるが、良好な封入性の観点から油性染料及び分散染料を用いることが好ましい。上記分散染料として、特に好ましい具体例を以下に示すが、これのみに限定されるものではない。特に好ましい具体例としては、C.I.ディスパーズイエロー5、42、54、64、79、82、83、93、99、100、119、122、124、126、160、184:1、186、198、199、204、224及び237;C.I.ディスパーズオレンジ13、29、31:1、33、49、54、55、66、73、118、119及び163;C.I.ディスパーズレッド54、60、72、73、86、88、91、92、93、111、126、127、134、135、143、145、152、153、154、159、164、167:1、177、181、204、206、207、221、239、240、258、277、278、283、311、323、343、348、356及び362;C.I.ディスパーズバイオレッド33;C.I.ディスパーズブルー56、60、73、87、113、128、143、148、154、158、165、165:1、165:2、176、183、185、197、198、201、214、224、225、257、266、267、287、354、358、365及び368;並びにC.I.ディスパーズグリーン6:1及び9等が挙げられる。一方、上記油性染料としては、以下に限定されるものではないが、特に好ましい具体例としては、例えば、C.I.ソルベント・ブラック3、7、27、29及び34;C.I.ソルベント・イエロー14、16、19、29、56及び82;C.I.ソルベント・レッド1、3、8、18、24、27、43、51、72、73、132及び218;C.I.ソルベント・バイオレット3;C.I.ソルベント・ブルー2、11及び70;C.I.ソルベント・グリーン3及び7;並びにC.I.ソルベント・オレンジ2等が挙げられる。
【0090】
また、水や各種有機溶剤に不溶な顔料をポリマー媒体中に分散して用いることも可能である。
【0091】
本発明に使用できる顔料としては、従来公知の有機及び無機顔料が使用できる。例えばアゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料や、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等の多環式顔料や、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキや、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等の有機顔料、カーボンブラック等の無機顔料が挙げられる。
【0092】
具体的な有機顔料を以下に例示する。
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0093】
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
【0094】
グリーンまたはシアン用の顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0095】
本発明のインクに使用する顔料分散体の平均粒径は10〜200nmであることが好ましく、10〜150nmがより好ましく、10〜100nmがさらに好ましい。顔料分散体の平均粒径が150nmを越えると光沢メディアに記録した画像では光沢感の劣化が起こり、トランスペアレンシーメディアに記録した画像では著しい透明感の劣化が起こる。また、顔料分散体の平均粒径が10nm未満になると顔料分散体の安定性が悪くなり易く、インクの保存安定性が劣化し易くなる。
【0096】
顔料分散体の粒径測定は、光散乱法、電気泳動法、レーザードップラー法等を用いた市販の粒径測定機器により求めることができる。また、透過型電子顕微鏡による粒子像撮影を少なくとも100粒子以上に対して行い、この像をImage−Pro(メディアサイバネティクス製)等の画像解析ソフトを用いて統計的処理を行うことによっても求めることが可能である。
【0097】
色材として、あるいは、特開平9−277693号、特開平10−20559号、特開平10−30061号に示されるような、金属錯体色素も使用可能である。たとえば、特開平10−20559号に記載の一般式(I)及び一般式(II)で表される色素が使用可能である。
【0098】
【化8】
【0099】
一般式(I)において、X1は、金属イオンと少なくとも2座の配位結合を形成可能な構造を有する原子の集まりを表し、Y1は芳香族炭化水素環、5員或いは6員の複素環又は−L4=Y2を表し、Y2は含窒素の5員或いは6員の複素環を表す。L1、L4は置換又は非置換のメチン基並びに窒素原子を表し、L2、L3は置換又は非置換のメチン基を表す。Mは金属イオンを表し、X1で形成される原子の集まりと少なくとも2座の配位結合を形成している。mは0、1、2又は3の整数を表し、n1は1、2又は3の整数を表す。又、一般式(II)において、X3、Y3、M及びn2はそれぞれ上記X1、Y1、M及びn1と同義である。
【0100】
さらにこれらの具体例として以下の色素が挙げられる。
【0101】
【化9】
【0102】
【化10】
【0103】
【化11】
【0104】
【化12】
【0105】
【化13】
【0106】
【化14】
【0107】
【化15】
【0108】
【化16】
【0109】
【化17】
【0110】
【化18】
【0111】
【化19】
【0112】
【化20】
【0113】
【化21】
【0114】
【化22】
【0115】
これらの色材および前記樹脂からなる着色微粒子の製造方法については、各種の乳化法で製造することができる。乳化法としては、各種の方法を用いることができる。それらの例は、例えば、「機能性乳化剤・乳化技術の進歩と応用展開 シー エム シー」の86ページの記載にまとめられている。本発明においては、特に、超音波、高速回転せん断、高圧による乳化分散装置を使用することが好ましい。
【0116】
超音波による乳化分散では、いわゆるバッチ式と連続式の2通りが使用可能である。バッチ式は、比較的少量のサンプル作製に適し、連続式は大量のサンプル作製に適する。連続式では、たとえば、UH−600SR(株式会社エスエムテー製)のような装置を用いることが可能である。このような連続式の場合、超音波の照射時間は、分散室容積/流速×循環回数で求めることができる。超音波照射装置が複数ある場合は、それぞれの照射時間の合計としてもとめられる。超音波の照射時間は実際上は10000秒以下である。また、10000秒以上必要であると、工程の負荷が大きく、実際上は乳化剤の再選択などにより乳化分散時間を短くする必要がある。そのため10000秒以上は必要でない。さらに好ましくは、10秒以上、2000秒以内である。
【0117】
高速回転せん断による乳化分散装置としては、「機能性乳化剤・乳化技術の進歩と応用展開 シー エム シー」の255〜256ページに記載されているような、ディスパーミキサーや、251ページに記載されているようなホモミキサー、256ページに記載されているようなウルトラミキサーなどが使用できる。これらの型式は、乳化分散時の液粘度によって使い分けることができる。これらの高速回転せん断による乳化分散機では、攪拌翼の回転数が重要である。ステーターを有する装置の場合、攪拌翼とステーターとのクリアランスは通常0.5mm程度で、極端に狭くはできないので、せん断力は主として攪拌翼の周速に依存する。周速が5m/S以上150m/S以内であれば本発明の乳化・分散に使用できる。周速が遅い場合、乳化時間を延ばしても小粒径化が達成できない場合が多く、150m/Sにするにはモーターの性能を極端に上げる必要があるからである。さらに好ましくは、20〜100m/sである。
【0118】
高圧による乳化分散では、LAB2000(エスエムテー社製)などが使用できるが、その乳化・分散能力は、試料にかけられる圧力に依存する。圧力は104kPa〜5×105kPaの範囲が好ましい。また、必要に応じて数回乳化・分散を行い、目的の粒径を得ることができる。圧力が低すぎる場合、何度乳化分散を行っても目的の粒径は達成できない場合が多く、また、圧力を5×105kPaにするためには、装置に大きな負荷がかかり実用的ではない。さらに好ましくは5×104kPa〜2×105kPaの範囲である。
【0119】
これらの乳化・分散装置は単独で用いてもよいが、必要に応じて組み合わせて使用することが可能である。コロイドミルや、フロージェットミキサなども単独では本発明の目的を達成できないが、本発明の装置との組み合わせにより、短時間で乳化・分散を可能にするなど本発明の効果を高めることが可能である。
【0120】
本発明においては、前記油溶性染料を、前記ポリエチレンオキサイド基またはポリプロピレンオキサイド基、およびイソシアネート基等の架橋性基を有する共重合ポリマー樹脂と共に、酢酸エチル等の有機溶剤に溶解・混合した後、前記分散装置により乳化・分散し、溶剤を除去して水性の分散体を形成した後、架橋剤として例えば、前記3−アミノプロパノール等のアミン化合物を、乳化、分散した水性分散体に混合して架橋させる。反応を促進するために、例えば、必要な場合には水性分散体を40〜90℃の範囲で加温し、十分な時間(形成される架橋結合によって異なるが、例えば、数分から必要な場合には数時間をかけて)反応させ、微粒子内部での架橋反応を十分行わせることも好ましい。
【0121】
また、反応が比較的ゆっくりである場合には、これら架橋剤は、ポリマー、染料と共に混合溶解して、その後乳化、分散するという方法でもよい。
【0122】
ここにおいて水性分散体とは水を主体とする水系の媒体中に前記着色微粒子が分散しているものをいい、例えば非水溶性、或いは水溶性の有機溶媒が混合されていてもよいが、水を主体とする水系の媒体とは、媒体中での水の割合が50%以上のものをいい、水性インクの水性も同じ意味である。
【0123】
また、前記本発明に係わる、前記のポリマー、色材等を溶解分散する有機溶剤としては、低沸点(例えば150℃以下、好ましくは100℃以下)の有機溶剤が好ましく、具体例としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、ブタノール、シクロヘキサノン等の溶剤を好ましく用いることができる。
【0124】
本発明に係わる着色微粒子分散体は、このようにして形成した色材および樹脂(ポリマー)を含有する着色微粒子散体を種粒子として、これに重合可能な素材を添加、重合させ、更に、コアシェル構造としてもよい。
【0125】
重合可能な素材を添加して、種粒子上でシード重合させる方法としては、色材と樹脂を含有する着色微粒子の分散体を形成した後、重合可能な素材として重合性不飽和二重結合を有するモノマーを添加し活性剤の存在下、乳化重合を行って、重合と同時に種粒子となる着色微粒子表面に沈着させる方法が本発明においては好ましい。この方法で形成した場合、好ましい場合には、後添加した重合性不飽和二重結合を有するモノマーは、前記種粒子上で重合してポリマーシェルを形成する。
【0126】
色材と樹脂からなる着色微粒子を種粒子として、これに後添加して、種粒子上で重合させる重合性不飽和二重結合を有するモノマーとしては、エチレン、プロピレン、ブタジエン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸等、アクリルアミド類等から選ばれる化合物、特スチレンや(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル類等が好ましいが、これらのモノマーに加えて、分子内にヒドロキシル基を含有する重合性不飽和二重結合を有するモノマー、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、或いはヒドロキシル基を有する重合性不飽和二重結合を有するモノマーを、後添加する原料モノマー全体の中で、最大50%、その他のエチレン性不飽和二重結合を有するモノマーと混合して用い共重合させることが好ましい。
【0127】
このような共重合体として、例えば、スチレン/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、スチレン/アクリル酸2−ヒドロキシエチル等が好ましい例としてあげられる。
【0128】
また、シェルの安定性を増す等の理由から、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボン酸を含有するモノマー或いはスルホン酸を含有するモノマー等、pKa値で3〜7の解離性基を含有するエチレン性不飽和モノマーを共重合成分の10%以下用いてもよい。これらのモノマー成分をシェル形成に用いることによって、当該コア/シェル着色微粒子の水分散体の安定性が向上する。
【0129】
このようにして形成された本発明に係わる着色微粒子分散体の着色微粒子の体積換算平均粒径は10〜150nm、好ましくは10〜100nmであり、この粒径範囲において安定であるため、鮮やかな色を有すると同時に、インクとしたときの安定性に優れる。
【0130】
また、体積平均粒径の変動係数が80%以下である分散体が好ましく経時での粒径変動も少ない。
【0131】
体積平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)写真の投影面積(少なくとも100粒子以上に対して求める)の平均値から得られた円換算平均粒径を、球形換算して求めた。また、体積平均粒径とその標準偏差を求め、標準偏差を体積平均粒径で割ることで変動係数を求めた。或いは、動的光散乱法を利用して変動係数を求めることも出来る。例えば、大塚電子製レーザー粒径解析システムや、マルバーン社製、ゼータサイザーを用いて求める事が出来る。
【0132】
粒径の変動係数は、粒径の標準偏差を粒径で割った値であるが、この値が大きいほど粒径の分布が広い事を意味する。体積平均粒径の変動係数が80%以上であると、粒径分布が非常に広くなり、粒子間の表面物性にばらつきが生じ、これにより粒子の凝集を招きやすい。また、粒子の凝集はメディア上で、色材の光散乱を招き易く、画質の低下も招き易くする。
【0133】
この様にして形成された、本発明にかわる着色微粒子分散体は、トータルのポリマー量として本発明のポリマーエマルジョン型水性インク中にポリマーが0.5〜50質量%配合されることが好ましく、0.5〜30質量%配合されることが更に好ましい。上記ポリマーの配合量が0.5質量%に満たないと、色材の保護能が十分でなく、50質量%を超えると、サスペンションのインクとしての保存安定性が低下したり、ノズル先端部でのインク蒸発に伴うインクの増粘やサスペンションの凝集が起こることによってプリンタヘッドの目詰りが起こる場合があるので、上記範囲内とすることが好ましい。
【0134】
一方、上記色材は、該インク中に1〜30質量%配合されることが好ましく、1.5〜25質量%配合されることが更に好ましい。上記色材の配合量が1質量%に満たないと印字濃度が不十分であり、30質量%を超えるとエマルジョンの経時安定性が低下し、凝集等による粒径増大の傾向があるので、上記範囲内とすることが好ましい。
【0135】
本発明の水性インクは、水を主体とする水性媒体とし、上記色材を封入したポリマーのエマルジョンからなり、該エマルジョンには従来公知の各種添加剤、例えば多価アルコール類のような湿潤剤、分散剤、シリコーン系等の消泡剤、クロロメチルフェノール系等の防黴剤及び/又はEDTA等のキレート剤、又、亜硫酸塩等の酸素吸収剤等が含有されていてもよい。
【0136】
本発明に係わる着色微粒子分散体は、内部が架橋されており、耐溶剤性が高いため、これらの添加剤のうち、各種の有機溶剤、特に多価アルコール類のような以下に示す湿潤剤(低表面張力を実現する効果がある)との共存下での安定性が高く、凝集を起こしにくい。
【0137】
湿潤剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、ジエチルカルビトール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等、また、1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコール及びそのエーテル、アセテート類、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、トリエタノールアミン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド等の含窒素化合物類、ジメチルサルフォキサイド等のような水溶性有機溶剤があげられる。これらの一種又は二種以上を湿潤剤として使用することができる。これらの湿潤剤の配合量に特に制限はないが、上記インク中に好ましくは0.1〜50質量%配合することができ、更に好ましくは0.1〜30質量%配合することができる。
【0138】
また、上記分散剤としては、特に制限されるものではないが、そのHLB値が8〜18であることが、分散剤としての効果が発現し、サスペンションの粒径の増大抑制効果がある点から好ましい。
【0139】
分散剤として市販品も使用することができる。そのような市販品としては、例えば花王(株)製の分散剤デモールSNB,MS,N,SSL,ST,P(商品名)が挙げられる。
【0140】
分散剤の配合量に特に制限はないが、本発明のインク中に、0.01〜10質量%配合されることが好ましい。該化合物の配合量が0.01質量%に満たないとサスペンションの小粒径化が困難であり、10質量%を超えるとエマルジョンの粒径が増大したりエマルジョン安定性が低下し、ゲル化するおそれがあり、上記範囲内とすることが好ましい。
【0141】
また、上記消泡剤としては、特に制限なく、市販品を使用することができる。そのような市販品としては、例えば信越シリコーン社製のKF96、66、69、KS68、604、607A、602、603、KM73、73A、73E、72、72A、72C、72F、82F、70、71、75、80、83A、85、89、90、68−1F、68−2F(商品名)等が挙げられる。これら化合物の配合量に特に制限はないが、本発明のポリマーエマルジョン型水系インク中に、0.001〜2質量%配合されることが好ましい。該化合物の配合量が0.001質量%に満たないとインク調製時に泡が発生し易く、又、インク内での小泡の除去が難しく、2質量%を超えると泡の発生は抑えられるものの、印字の際、インク内でハジキが発生し印字品質の低下が起こる場合があるので、上記範囲内とすることが好ましい。
【0142】
本発明のインクジェット記録用水性インクを使用するインクジェットヘッドはオンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。又吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(R)型等)等など何れの吐出方式を用いても構わない。
【0143】
本発明のインクジェット記録用水性インクを用いた画像形成においては、例えば、インクジェット記録用水性インクを装填したプリンター等により、デジタル信号に基づきインクジェットヘッドよりインクを液滴として吐出させインク受容体に付着させることで、例えばインクジェット画像記録媒体上にインクジェット記録画像が形成されたインクジェットプリントが得られる。
【0144】
インクジェット画像記録媒体としては、例えば、普通紙、コート紙、キャストコート紙、光沢紙、光沢フィルム、OHPフィルムのいずれも使用することができ、なかでも例えば多孔質層が形成されている所謂空隙層を有する被記録媒体であれば好ましい。上述した支持体の素材或いは形状に特に限定されるものではなく、例えばシート状に形成されたもの以外に立体的な構造を有するものであってもよい。
【0145】
本発明の水性インクは、インクジェット記録用のインクとして以外に、例えば、一般の万年筆、ボールペン、サインペン等の筆記具用のインクとしても使用可能である。本発明のサスペンションを乾燥し、微粒の粉体を得ることもできる。得られた粉体は、電子写真のトナーなどにも使用可能である。
【0146】
【実施例】
以下、合成例、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0147】
(樹脂合成)
3リットルの4つ口フラスコに滴下装置、温度計、窒素ガス導入管、攪拌装置および還流冷却管を節、脱水したメチルエチルケトン20gを仕込み、80℃に加熱した。下記表1に記載の組成割合(質量%)のモノマーを総量が100gとなるように秤量し、更にN,N−アゾビスイソバレロニトリル2gを前記モノマーに加えた混合液を、フラスコ中に2時間かけて滴下し、同温度にて5時間反応させた。その後、メチルエチルケトン80gを添加し冷却、ポリマー濃度50質量%のポリマー溶液R−1〜R−13をそれぞれ得た。
【0148】
【表1】
【0149】
ブレンマーAME−400;
−(EO)m−CH3(m≒9)を有するアクリレート
ブレンマーPME−1000;
−(EO)m−CH3(m≒23)を有するメタアクリレート
ブレンマーPME−4000;
−(EO)m−CH3(m≒90)を有するメタアクリレート
ブレンマー50POEP−800B;
−(EO)m−(PO)n−C8H17(m≒8,n=6)
ブレンマー55PET800;
−(EO)m−(BO)n−H(m≒10,n≒5)
ここにおいて、EO;−CH2CH2O−を、P;−C3H6O−を、B;−C4H8O−を表し、
(上記はすべて日本油脂製)
HEMA;メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、ST;スチレン、MMA;メタクリル酸メチル、AAEM;メタクリル酸2−アセトアセトキシエチル(日本合成化学製)、カレンズMOI;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工製)、ブレンマーG;グリシジルメタクリレート、MAA;メタアクリル酸、DAAM;ダイアセトンアクリルアミド(協和発酵製)。
【0150】
実施例
〈着色微粒子分散体の製造〉
(樹脂がウレタン結合を有する染料着色微粒子分散体の製造)
クレアミックスCLM−0.8S(エムテクニック(株)社製)のポットに12gのFSB1504(▲1▼染料)、および120gの酢酸エチルをいれ、攪拌して染料を完全溶解させた。更に12gのポリマー樹脂を含む液24gを加え(▲2▼樹脂)、ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)またはKH−05(第一工業製)(▲3▼乳化剤)を含む水溶液270gを添加後、40℃に温度を保ちながら回転数20000rpmで5分間乳化した。有機溶剤の一部を除去した後、3−アミノプロパノール(A1)または、2−ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン(A2)(▲4▼架橋剤)を添加し、70℃で20分間架橋反応させた(11,12のみ70℃で5時間)。その後、減圧下で残りの酢酸エチルを除去し、着色微粒子を得た。
【0151】
得られた着色微粒子1〜12および調製に用いた▲2▼樹脂、▲3▼乳化剤、▲4▼架橋剤について表2に示した。
【0152】
【表2】
【0153】
また、R−6を12g含む溶液24gに、イソホロンジイソシアネート3.3gと、ジブチルチンジラウレート0.1gを加え70℃で30分攪拌し、全量を着色微粒子8における▲2▼樹脂として用いて、着色微粒子8と同じ処方で本発明の着色微粒子13を得た(粒径50nm)。また、R−6の代わりにR−7を用いて同様に着色微粒子14を得たがゲル化してしまった(比較例)。
【0154】
着色微粒子1の製法において▲2▼樹脂として、R−1の代わりにR−10を12g含む液24gを用い、乳化時の水相にカルボン酸と反応するオキサゾリン基を有するエポクロスK−202E(日本触媒製)40%液を12g添加し70℃で5時間反応させ、アミンを添加しなかった以外は同様の製法で、本発明の着色微粒子15を得た(粒径80nm)。
【0155】
また、R−10の代わりにR−11を用いて、同様にして比較の着色微粒子16を得た(粒径80nm)。
【0156】
着色微粒子1の製法において、▲2▼樹脂として、R−1の代わりにR−12を12g含む液24gを用い、架橋剤として、アミンの代わりにアジピン酸ジヒドラジド(大塚化学工業製)1.23gを添加、70℃で5時間反応させ、アミンを添加しなかった以外は同様の製法で着色微粒子17を得た。またR−12の代わりにR−13を用いて同様にして着色微粒子18を得た。
【0157】
着色微粒子8を80℃に保温して、MMA3gと、過硫酸カリウム0.1gを含む水溶液3gをそれぞれ1時間かけて添加し、そのまま5時間反応させて、コアシェル構造を有する着色微粒子8Bを得た。
【0158】
〈耐溶剤性評価〉
着色微粒子分散体1〜18のうち、ゲル化しなかった16種各4gに対し、トリエチレングリコールモノブチルエーテルの50%水溶液1gをゆっくり加え、よく分散した後、60℃で1週間静置し、粒子径の変化率を計算した。
【0159】
粒子径は体積平均粒子径であり、それぞれ保存前後分散体について、透過型電子顕微鏡(TEM)写真の投影面積(100粒子以上の粒子に対して求めた)の平均値から得られた円換算平均粒子径を、球形換算して求め(R)、また、粒径の変動係数については、保存前の分散体について、こうして求めた各粒子のデータから粒径分布の標準偏差Sを求め、変動係数=S/Rにより求めた。
【0160】
【表3】
【0161】
粒径変化率;60℃1週間後の粒径/元の粒径
本発明に係わる着色微粒子分散体は比較(殆どゲル化している)と比べて、保存した後でも粒径の変動が少なく安定であることがわかる。
【0162】
【発明の効果】
インクジェット用インクとしてもちいることのできる、微粒子で、耐溶剤性が高い色材およびポリマーを含有する着色微粒子分散体が得られた。
Claims (12)
- 色材と樹脂を混合し水に分散させてなる着色微粒子分散体であって、含有される樹脂の少なくとも1種が架橋構造を有しており、かつ、下記一般式(1)で表される構造を有する樹脂を含有することを特徴とする着色微粒子分散体。
一般式(1)
−(EO)m−(PO)n−R
(EOはエチレンオキサイド基、POはプロピレンオキサイド基を表し、それぞれランダム或いはブロック共重合している。m、nはそれぞれ0〜500迄の整数であり、2≦m+n≦500、Rは水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。) - 前記架橋構造が、樹脂および色材が混合された後に形成されることを特徴とする請求項1に記載の着色微粒子分散体。
- 色材と樹脂を溶媒に溶解した後、乳化剤を用いて水系の液に乳化分散され、その後、溶剤を除去する工程により形成された着色微粒子分散体において、該乳化剤として、重合可能な乳化剤が用いられることを特徴とする請求項1または2に記載の着色微粒子分散体。
- 請求項1または2に記載の着色微粒子分散体を、色材と樹脂を溶媒に溶解した後、重合可能な乳化剤を用いて水系の液に乳化分散し、その後、溶剤を除去する工程により形成することを特徴とする着色微粒子分散体の製造方法。
- 樹脂を架橋する架橋構造が、それぞれウレタン、イミノ、アミドエステル、ヒドラゾン結合のうちから選ばれることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の着色微粒子分散体。
- 一般式(1)で表される構造において、Rが活性な水素を含有しないことを特徴とする請求項1〜3および5のいずれか1項に記載の着色微粒子分散体。
- コアシェル構造を有していることを特徴とする請求項1〜3、5および6のいずれか1項に記載の着色微粒子分散体。
- 着色微粒子の体積換算平均粒径が10〜100nmであることを特徴とする請求項1〜3および5〜7のいずれか1項に記載の水性インク。
- 体積平均粒径の変動係数が80%以下であることを特徴とする請求項8に記載の着色微粒子分散体。
- 請求項1〜3および5〜9のいずれか1項に記載の着色微粒子分散体を含むことを特徴とする水性インク。
- インクジェット用インクであることを特徴とする請求項10に記載の水性インク。
- デジタル信号に基づきインクジェットヘッドより請求項11に記載の水性インクを液滴として吐出させインク受容体に付着させることを特徴とする画像形成方法。
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