JP2004027156A - 水性顔料分散体の製造方法及び水性顔料記録液の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】顔料(A)と、エポキシ基を有さないがアニオン性基を含有する(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)と、アニオン性基を有さないがエポキシ基を含有する有機化合物(C)とを、重合体(B)と有機化合物(C)との混合物が酸価150を越えて245となる様に混合し水性媒体中に分散架橋させる水性顔料記録液用水性顔料分散体の製造方法。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性顔料記録液用水性顔料分散体の製造方法及び水性顔料記録液の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平9−151342号公報等にある様に、顔料(A)と、グリシジル基とアニオン性基とを含有する(メタ)アクリル酸エステル重合体とを混合し水性媒体中に分散させる水性顔料分散体の製造方法はよく知られている。グリシジル基は架橋性を有しており、重合体中のそれを架橋剤等により架橋させると、架橋前よりも或いはグリシジル基の様な架橋性のない重合体よりも、その硬度や耐溶剤性等の諸耐久性を向上させることが出来る。
【0003】
この性質を利用して、重合体が未架橋状態のまま水性媒体中に分散させてから、このグリシジル基を架橋させることにより、架橋部分を有する(メタ)アクリル酸エステル重合体と顔料とを含む、分散安定性と諸耐久性にある程度は優れた水性顔料分散体が得られる。
【0004】
しかしながら、この様な重合体はその用途によらず、グリシジル基に対してアニオン性基は架橋を促進する機能を有しているため、これら両方の官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル重合体はその製造過程でゲル化したりして製造が難しいという欠点がある。しかも、前記した特性を兼備する水性顔料分散体を製造しようとすると、いずれの官能基も所定量含まれる様な単量体組成とする必要があり、実質的には、分散安定性と諸耐久性にいずれも満足できる水性顔料分散体は得られていない。
【0005】
また特開平9−292737号公報には、静電荷像現像用粉体トナーの製造方法として、顔料と、グリシジル基を有さないがアニオン性基を含有するアクリル酸エステル重合体と、グリシジル基を含有する架橋剤とを混合し水性媒体中に分散、架橋させる水性顔料分散体の製造方法が記載されている。
【0006】
しかしながら、この様な製造方法で得られた水性顔料分散体は、水性顔料記録液用としては、やはり良好な分散安定性と諸耐久性を兼備するものではなく、満足できるものではなかった。
【0007】
なぜなら、静電荷像現像用粉体トナーでは高度の耐湿性が要求されることから、これに用いられるトナー粒子を前記公報の記載に従って製造する場合には、最終的なトナー耐湿性を大きく左右する重合体のアニオン性基量を極力小さく抑制して耐湿性を高める以上、水性媒体中でのトナー粒子の分散安定性を犠牲にならざるを得ないからである。即ち二律背反の様相を呈している。
【0008】
加えて静電荷像現像用粉体トナーは、溶融した樹脂が紙表面で冷却固化して、紙への定着をする機構上、色材に対する樹脂分を多く必要とする。仮に樹脂分を少なくすると紙面への定着性が低下し、色材の剥離などによるトラブルや、更には印字物の光沢感が低下するなどを招くことになる。
【0009】
一方で、インクジェト記録用水性インクの様な水性顔料記録液の場合には、前記とは逆に、耐湿性とは相反する特性である水中での極めて高度な分散安定性が求められている。また、インクジェット記録用インクの場合、インク滴を飛翔させるという機構上、インクの粘度を低く保つ必要がある。このため、加えられる樹脂分は分散安定性を保つ範囲で極力少なくすることが求められる。よって、当業者であれば前記した静電荷像現像用粉体トナーの製造方法を、水性顔料記録液用水性顔料分散体の製造に転用するとは考えもしないことである。仮に静電荷像現像用粉体トナーの製造方法に関する前記公報の記載に従って水性顔料記録液用水性顔料分散体を製造したとしても、その途中で水性顔料分散体という形態を経るものの、水性顔料記録液で求められている高度の分散安定性とインクジェットインクとしての吐出性能は到底満足させることはできない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、分散安定性と諸耐久性を兼備する、水性顔料分散体又は水性顔料記録液を提供することを目的とする。本発明は、アクリル系樹脂と架橋剤を用いて得た架橋部分を含む樹脂系において、従来と同等以上の分散安定性と優れた諸耐久性を有する水性顔料分散体又は水性記録液を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは上記実状に鑑みて鋭意検討したところ、特開平9−151342号公報の様なやり方で水性顔料分散体に分散安定性と諸耐久性を兼備させるのではなく、特開平9−292737号公報のやり方でこれらの要求特性を別々な物質として機能分離させ、重合体の酸価を水性顔料記録液用水性顔料分散体に向けて最適化することで、特開平9−151342号公報の様な従来の一種の重合体で到達可能な良好な分散安定性を保持したままでより高い諸耐久性を有する水性顔料分散体が得られ、重合体自身もより容易に製造できることを見い出した。
【0012】
即ち本発明は、顔料(A)と、グリシジル基を有さないがアニオン性基を含有する(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)と、アニオン性基を有さないがグリシジル基を含有する有機化合物(C)とを、重合体(B)と有機化合物(C)との混合物の酸価が150を越えて245となる様に組み合わせて水性媒体中に分散架橋させる水性顔料分散体の製造方法を提供する。また本発明は、前記で得られた水性顔料分散体を用いて、質量換算による分散粒子の含有率が1〜10%となる様にする水性顔料記録液の製造方法を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の水性顔料分散体の製造方法に用いる顔料(A)は、有機顔料或いは無機顔料であり、公知慣用のものがいずれも挙げられる。
【0014】
本発明の水性顔料分散体の製造方法では、グリシジル基を有さないがアニオン性基を含有する(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)と、アニオン性基を有さないがグリシジル基を含有する有機化合物(C)とを併用して水性媒体中に分散架橋させることが、最大の特徴である。
【0015】
本発明においては、アクリル酸エステルとメタアクリル酸エステルとの両方を包含する用語として(メタ)アクリル酸エステルと呼ぶものとする。また、(メタ)アクリル酸エステル重合体とは、(メタ)アクリル酸エステルを主成分として重合した重合体を意味する。また水性媒体とは、水のみまたは水と水溶性有機溶剤との混合物で質量換算で60%以上の水を含んでいるものを言う。
【0016】
本発明の製造方法で製造される水性顔料分散体において、その水性媒体に分散している粒子(分散粒子)は、顔料(A)粒子と、前記重合体(B)及び有機化合物(C)の架橋物の粒子であっても良いが、顔料(A)が前記重合体(A)及び有機化合物(C)の混合物の架橋物で被覆された粒子である、マイクロカプセル型複合粒子であっても良い。そして水性顔料分散体には、前記分散粒子が、平均粒子径が50〜200nmとなる様に分散している。
【0017】
顔料(A)と共に用いる重合体(B)及び後述する有機化合物(C)として好適な重合体(C2)は、共通して、少なくとも(メタ)アクリル酸エステルの重合単位を含むものである。重合体(B)は、(メタ)アクリル酸エステルの重合単位の他にアニオン性基を含有した重合体であるが、グリシジル基は含まれていないものである。一方、重合体(C2)は、(メタ)アクリル酸エステルの重合単位の他にグリシジル基を含有した重合体であるが、アニオン性基は含まれていないものである。重合体(B)及び(C2)は、前記した要件を満足していれば、その他の必要な重合単位を含んでいても良い。
【0018】
本発明における重合体(B)は、例えば、アニオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と、(メタ)アクリル酸エステルとを必須成分として、グリシジル基を含まないエチレン性不飽和単量体を重合することにより得ることが出来る。
【0019】
重合体(B)としては、アニオン性基を有しグリシジル基を有さないものであれば特に限定されるものではなく、例えばカルボキシル基、スルホン基、ホスホ基、チオカルボキシル基等のアニオン性基を含有するエチレン性不飽和単量体の一種以上と、これらアニオン性基含有エチレン性不飽和単量体と、必要に応じてそれらと共重合し得るグリシジル基を含まないその他のエチレン性不飽和単量体とを共重合させて得られる重合体が挙げられる。
【0020】
原料モノマーの入手のしやすさ、価格等を考慮すると、カルボキシル基またはスルホン基を含有する重合体が好ましく、電気的中性状態とアニオン状態の共存範囲を広く制御できる点でカルボキシル基を含有する重合体がさらに好ましい。
【0021】
この重合体(B)は、例えばそれ自体では架橋性を有さず、かつ架橋した部分も有していないものである。また、この重合体(B)と後述する有機化合物と混合した場合の酸価が、150を越えて245となる様にするために、それ単独で酸価が155〜250の重合体(B)であることが好ましい。
【0022】
一方、アニオン性基を有さないがグリシジル基を含有する有機化合物(C)は、重合体(B)と反応し架橋する機能を有する有機化合物である。重合体(B)はアニオン性基を含有するので、この重合体(B)のアニオン性基と有機化合物(C)のグリシジル基とが反応することで、両者が一体化した架橋物を形成される。
【0023】
前記有機化合物(C)としては、一分子中にグリシジル基を平均2以上含有する有機化合物を用いると架橋密度が適当なものとなるので好ましい。この様な有機化合物(C)としては、例えば低分子化合物(C1)と高分子化合物(C2)とが挙げられる。
【0024】
この際の低分子化合物(C1)としては、例えばジグリシジルアニリン、トリグリシジルパラアミノフェノール、トリグリシジルメタアミノフェノール、テトラグリシジルアミノジフェニルメタンなどのグリシジルアミン化合物、下記一般式(1)及び(2)で表されるグリシジル基を有するグリシジルアミン化合物が挙げられる。
【0025】
【化1】
【0026】
(但し、式中のR1およびR2は、置換基を有するまたは有しない芳香環または脂環、水素原子、または、炭素数が1〜4のアルキル基を表すものとし、および、R3は炭素数が1〜4のアルキル基を表すものとする。)
【0027】
この様な低分子化合物(C1)としては、例えば、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N−ジグリシジルベンジルアミン、N,N−ジグリシジル−α−フェニルエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルイソフォロンジアミンなどが挙げられる。
【0028】
低分子化合物(C1)が有するグリシジル基は、1分子中に平均2〜6個有しているものが好ましく、さらには、2〜4個有しているものがより好ましい。グリシジル基が2個よりも少ないと、高分子量化または架橋化反応が充分には進まなく、また、6個よりも多いと、部分的に架橋密度が高過ぎるものが生成してしまうので、共に好ましくない。
【0029】
もう一方の有機化合物(C)であり高分子化合物(C2)に該当するものは、グリシジル基に基づく架橋性を有するが、アニオン性基は有していない高分子化合物であり、例えばアニオン性基を有さないがグリシジル基を含有する(メタ)アクリル酸エステル重合体が挙げられる。
【0030】
この(メタ)アクリル酸エステル重合体は、前記した低分子化合物(C1)に比べると、より毒性が低く安全で、水性媒体中での架橋化反応の速度が速すぎず適当である上、重合体(B)と同種の重合体ゆえ、容易に重合体(B)と均一に混合でき、架橋後の架橋密度も全体に亘って均一とできる点で、より好ましい。
【0031】
この様な好適な有機化合物(C)である、アニオン性基を有さないがグリシジル基を含有する(メタ)アクリル酸エステル重合体は、例えば、グリシジル基を有するエチレン性不飽和単量体と、(メタ)アクリル酸エステルとを必須成分として、アニオン性基を含まないエチレン性不飽和単量体を重合することにより得ることが出来る。
【0032】
高分子化合物(C2)としては、例えばグリシジル基を含有するエチレン性不飽和単量体の一種以上と、(メタ)アクリル酸エステルと、必要に応じてそれらと共重合し得るアニオン性基を含まないその他のエチレン性不飽和単量体とを共重合させて得られる重合体が挙げられる。
【0033】
重合体(B)並びに高分子化合物(C2)を製造する際に共通して用いることが出来る、(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等を挙げることができる。
【0034】
重合体(B)を製造する際に用いることが出来る、カルボキシル基を含有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、4−ビニル安息香酸等の不飽和カルボン酸類;コハク酸ビニル、マレイン酸アリル、テレフタル酸ビニル、トリメトリット酸アリル等の多塩基酸不飽和エステル類が挙げられる。またスルホン酸基を含有するモノマーの例としてはアクリル酸2−スルホエチル、メタアクリル酸4−スルホフェニル等の不飽和カルボン酸スルホ置換アルキルまたはアリールエステル類:スルホコハク酸ビニル等のスルホカルボン酸不飽和エステル類;スチレン−4−スルホン酸等のスルホスチレン類を挙げることができる。
【0035】
高分子化合物(C2)を製造する際に用いることが出来るグリシジル基を含有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸2,3−エポキシプロピル、アクリル酸2,3−エポキシブチル、アクリル酸2,3−エポキシシクロヘキシル、メタアクリル酸2,3−エポキシプロピル、メタアクリル酸2,3−エポキシブチル、メタアクリル酸2,3−エポキシシクロヘキシル等を挙げることができる。
【0036】
重合体(B)並びに高分子化合物(C2)を製造する際に共通して用いることが出来る、前記と共重合し得るその他のエチレン性不飽和単量体としては、例えば、マレイン酸ジメチル、フマル酸ジメチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、等の不飽和脂肪酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和脂肪酸アミド類;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の不飽和エーテル類;スチレン、α―メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−クロロスチレン、等スチレン類;エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−オクテン、ビニルシクロヘキサン、4−ビニルシクロヘキセン、等の不飽和炭化水素類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、3−クロロプロピレン、等の不飽和ハロゲン化炭化水素類;4−ビニルピリジン、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン、等のビニル置換複素環化合物類;上記例示単量体中のカルボキシル基、水酸基、アミノ基、等活性水素を有する置換基を含有する単量体とエチレンオキシド、プロピレンオキシド、シクロヘキセンオキシド等、エポキシド類との反応生成物;上記例示単量体中の水酸基、アミノ基等を有する置換基を含有する単量体と酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ヘキサン酸、デカン酸、ドデカン酸等のカルボン酸類との反応生成物等を挙げることができる。
【0037】
前記重合体(B)としては、少なくとも(メタ)アクリル酸の炭素原子数3〜5のアルキルエステルからなる群から選ばれる1以上の単量体を構成要素とし、その他の単量体と重合した共重合体を選択するか、または、少なくとも(メタ)アクリル酸の炭素原子数3〜5のアルキルエステルからなる群から選ばれる1以上の化合物を構成要素とすると共に、スチレンをも構成要素として含有する共重合体を選択するのが性能上も好ましい。
【0038】
かかる重合体(B)及び高分子化合物(C2)は、いずれも、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の従来より公知の種々の反応方法によって合成することができる。
【0039】
本発明に用いられる重合体(B)と高分子化合物(C2)とは、それらの混合物の酸価および架橋前ガラス転移点が、それぞれ150を越えて245mgKOH/gおよび−20〜100℃の範囲にあることが、分散体の分散性や分散安定性が良好で、またインクジェット記録用水性インクの様な水性顔料記録液に適用した場合の印字安定性が良く、画像の耐水性も良好な上、耐摩擦性、耐棒積み性等の画像保存性も良好となるので好ましい。
【0040】
しかしながら、重合体(B)としては、酸価155を越えて250の(メタ)アクリル酸エステル重合体を用い、高分子化合物(C2)としては、アニオン性基を有さないがグリシジル基を含有する(メタ)アクリル酸エステル重合体を用いるのが好ましい。これらは前記した酸価及びガラス転移点となる様に各々を選択して組み合わせるのが、顔料の分散性に優れる点で好ましい。
【0041】
また、重合体(B)と有機化合物(C)とは、水性媒体への分散架橋前のこれらの混合物が1000g中のグリシジル基のモル当量が0.02〜1.00となる様にこれらを混合して、後の分散架橋に用いることが好ましい。
【0042】
重合体(B)と有機化合物(C)との混合物の1000g中のグリシジル基のモル当量は、次の様にして求めることが出来る。
【0043】
有機化合物(C)が高分子化合物(C2)である場合:
グリシジル基のモル当量 = A×1000/B × C × D/(D+E)
A:高分子化合物(C2)を構成するグリシジル基を有する単量体の含有率(%)
B:グリシジル基を有する単量体の分子量
C:グリシジル基を有する単量体の1分子中のグリシジル基数
D:重合体(B)と高分子化合物(C2)の混合物中の高分子化合物(C2)
の質量換算の不揮発分割合
E:重合体(B)と高分子化合物(C2)の混合物中の重合体(B)の質量換
算の不揮発分割合
【0044】
有機化合物(C)が低分子化合物(C1)である場合:
グリシジル基のモル当量 = F×1000/G × H
F:低分子化合物(C1)の重合体(B)への添加率(%)
G:低分子化合物(C1)の分子量
H:グリシジル基を有する単量体の1分子中のグリシジル基数
【0045】
本発明に用いられる重合体(B)と高分子化合物(C2)の混合物の重量平均分子量は、分散体の粘度が低く、分散安定性も良好で、インクジェット記録用水性インクの様な水性顔料記録液に適用した場合に長期間安定した印字を行わせることが容易な点で、5,000〜100,000の範囲にあることが好ましく、10,000〜70,000の範囲にあることが特に好ましい。
【0046】
この場合も、重合体(B)は重量平均分子量10,000〜70,000の重合体とし、高分子化合物(C2)を重量平均分子量1,000〜30,000の重合体とすることが、安定した印字とインクの保存安定性に優れる点で好ましい。
【0047】
尚、重合体(B)/有機化合物(C)(不揮発分換算の質量比)=70/30〜99/1となる様に、各々を選択して組み合わせるのが、浮遊樹脂分を減らし吐出特性に優れる点で好ましい。
【0048】
本発明の水性顔料分散体中における重合体(B)は、水分散性が実質的にない有機化合物(C)を顔料(A)と共に強制的に水性媒体中に分散させるものである。重合体(B)と重合体(B)は、そのアニオン性基の少なくとも一部が塩基性物質によってイオン化された形態をとっていることが分散性、分散安定性の発現のうえで好ましい。アニオン性基のうちイオン化された基の最適割合は、通常30〜100%、特に70〜100%の範囲に設定されることが好ましい。このイオン化された基の割合はアニオン性基と塩基性物質のモル比を意味しているのではなく、解離平衡を考慮に入れたものである。例えばアニオン性基がカルボキシル基の場合、化学量論的に当量の強塩基性物質を用いても解離平衡によりイオン化された基(カルボキシラート基)の割合は100%未満であって、カルボキシラート基とカルボキシル基の混在状態である。
【0049】
このように、重合体(B)の、アニオン性基の少なくとも一部をイオン化するために用いられる塩基性物質としては、公知慣用のものが挙げられるが、例えばアンモニア、第一級、第二級もしくは第三級の有機アミン(塩基性含窒素複素環化合物を含む)、水酸化アルカリ金属からなる群から選ばれる化合物が好適には挙げられる。これらの例示した好適な塩基性物質でアニオン性基の少なくとも一部をイオン化することにより、カルボキシラート基の対イオンは、アンモニウムイオン(塩基性含窒素複素環化合物のプロトン化カチオンを含む)アルカリ金属イオンからなる群から選ばれるカチオンが挙げられる。
【0050】
こうして得られた重合体(B)及び有機化合物(C)は、同時に水性媒体中に加えたり、或いは分散前に予め混合してから水性媒体中に加えて、分散に用いることが出来る。重合体(B)の塩基性物質によるイオン化も、分散よりも前の任意の工程で行うことが出来る。しかしながら、重合体(B)と有機化合物(C)とを混合してから分散を行うまでにあまり長時間の放置を行わないほうが好ましい。
【0051】
以下、重合体(B)と有機化合物(C)との混合物を、アニオン性基含有架橋性有機高分子化合物と称するものとする。
【0052】
本発明の水性顔料分散体の製造方法は、例えば下記する様な1)〜4)の方法に基づき実施することが出来る。
1)上記アニオン性基含有架橋性有機高分子化合物を含む水性エマルジョンに顔料を機械的に強制分散し架橋する水性顔料分散体の製造方法。
2)顔料の存在下の水中で分散剤を用いて上記した各単量体を重合させ架橋させ、必要に応じて会合させる水性顔料分散体の製造方法。
3)顔料と上記アニオン性基含有架橋性有機高分子化合物と有機溶剤の混合物を、水と塩基性物質を用いて徐徐に油相から水相に転相させてから脱溶剤して、架橋して顔料が上記アニオン性基含有の架橋された有機高分子化合物で被覆されたマイクロカプセル型複合粒子とする、同複合粒子を含む水性顔料分散体の製造方法。
4)顔料と上記アニオン性基含有架橋性有機高分子化合物と塩基性物質と有機溶剤と水との均一混合物から脱溶剤して、架橋して酸を加えて酸析し析出物を洗浄後、この析出物を塩基性物質と共に水性媒体に分散させる、顔料が上記アニオン性基含有の架橋された有機高分子化合物で被覆されたマイクロカプセル型複合粒子とする、同複合粒子を含む水性顔料分散体の製造方法。
【0053】
本発明では、上記いずれの製造方法をとるにせよ、顔料、アニオン性基含有架橋性有機高分子化合物、塩基性物質および水からなる混合物を分散する工程を必須として含ませることが好ましい。この混合物には水溶性有機溶剤を含めるのが好ましい。より具体的には、少なくとも顔料、アニオン性基含有有機高分子化合物、塩基性物質、水溶性有機溶剤および水からなる混合物を分散する工程(分散工程)を含ませることが好ましい。
【0054】
また、分散工程において水溶性有機溶剤を併用することができ、それにより分散工程における液粘度を低下させることができる場合がある。水溶性有機溶剤の例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、等のケトン類;メタノール、エタノール、2−プロパノール、2−メチル−1−プロパノール、1−ブタノール、2−メトキシエタノール、等のアルコール類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、等のアミド類が挙げられ、とりわけ炭素原子数が3〜6のケトンおよび炭素原子数が1〜5のアルコールからなる群から選ばれる化合物を用いるのが好ましい。これらの水溶性有機溶剤はアニオン性基含有有機高分子化合物溶液として用いられても良く、別途独立に分散混合物中に加えられても良い。
【0055】
本発明の水性顔料分散体の製造方法においては、顔料(A)/〔重合体(B)+有機化合物(C)(不揮発分換算)〕=100/10〜100/100とするのが好ましい。最適には、質量換算で顔料(A)100部当たり、重合体(B)と有機化合物(C)の合計の不揮発分20〜65部かつ水性媒体835〜880部となる様に、上記した原料を用いて製造することが出来る。
【0056】
分散工程において用いることのできる分散装置として、既に公知の種々の方式による装置が使用でき、特に限定されるものではないが、例えば、スチール、ステンレス、ジルコニア、アルミナ、窒化ケイ素、ガラス等でできた直径0.1〜10mm程度の球状分散媒体の運動エネルギーを利用する方式、機械的攪拌による剪断力を利用する方式、高速で供給された被分散物流束の圧力変化、流路変化あるいは衝突に伴って発生する力を利用する方式、等の分散方式を採ることができる。
【0057】
本発明の水性顔料分散体としては、分散到達レベル、分散所要時間および分散安定性の全ての面で、より優れた特性を発揮させるに当たっては、顔料がアニオン性基含有の架橋された有機高分子化合物で被覆された粒子(即ち前記したマイクロカプセル型複合粒子)という形態で水性媒体中に分散していることが好ましい。
【0058】
このような状態を形成するため、顔料がアニオン性基含有架橋性有機高分子化合物を含有する液媒体中に分散している状態において、前記の分散工程の後工程として、溶解状態にあるアニオン性基含有架橋性有機高分子化合物で顔料表面を被覆する工程とこの高分子化合物の架橋工程を組み込むことが好ましい。
【0059】
溶解状態にあるアニオン性基含有架橋性有機高分子化合物を顔料表面に被覆させる工程としては、アルカリ性水溶液に溶解しているアニオン性基含有有機高分子化合物を、溶液を酸性化することにより析出させる工程(酸析工程)が好ましい。
【0060】
また本発明の水性顔料分散体の製造方法には、重合体(B)と有機化合物(C)とを充分に架橋させる工程(架橋工程)を組み込むことが好ましい。この架橋工程は、系の温度を50℃を越えて100℃未満とし、15分〜4時間の範囲で実質的に有機溶剤が完全に除去される様に行うことが好ましい。尚、この架橋工程は、前記酸析工程よりも前に行うのが好ましい。
【0061】
その他、蒸留工程の例には、分散工程において有機溶剤を使用した場合に、これを除去する工程、所望の固形分濃度にするため余剰の水を除去する工程等がある。常圧で蒸留工程を実施した場合には、蒸留の操作により系を架橋に適した温度とすることが出来るので、特別に前記架橋工程を別途行わなくとも、この有機溶剤の蒸留とアニオン性基含有有機高分子化合物の架橋とを同時に一工程で完了させることが出来る。
【0062】
酸析工程の例には、分散工程で得られた水性分散体に塩酸、硫酸、酢酸等の酸を加えて酸性化し、塩基と塩を形成することによって溶解状態にあるアニオン性基含有の架橋された有機高分子化合物を顔料粒子表面に析出させる工程等がある。この工程により、顔料とアニオン性基含有有機高分子化合物との相互作用を高めることができる。
【0063】
本発明の製造方法においては、顔料(A)と重合体(B)と有機化合物(C)とを、又は顔料(A)と前記アニオン性基含有有機高分子化合物とを混合し分散させた後、酸析し次いで塩基を加えて水に再分散する工程を含ませ、顔料がアニオン性基含有の架橋された(メタ)アクリル酸エステル重合体で被覆された粒子を含有する水性顔料分散体を製造するのが最も好ましい。
【0064】
この結果、前記した様なマイイクロカプセル型複合粒子が水性分散媒中に分散している形態を取らせることができ、水性分散体として、分散到達レベルや分散安定性等の物性面や耐溶剤性等の使用適性の面で、より優れた特性を発揮させることができる。
【0065】
濾過工程の例には、前述した酸析工程後の固形分をフィルタープレス、ヌッチェ式濾過装置、加圧濾過装置等により濾過する工程等がある。再分散工程の例には、酸析工程、濾過工程によって得られた固形分に塩基性物質および必要により水や添加物を加えて再び分散液とする工程がある。それによりアニオン性基含有有機高分子化合物中のイオン化したアニオン性基の対イオンを分散工程で用いたものから変更することができる。
【0066】
こうして得られた本発明の水性顔料分散体は、例えば、水性インク、水性塗料等の各種着色用途において、着色濃度が高く、耐擦過性に優れた着色物を得ることが出来る。
【0067】
本発明の水性顔料分散体は、質量換算による分散粒子含有率1〜10%となる様に調製し水性顔料記録液とすることが出来る。この際には、上記したより濃厚な水性顔料分散体に対して必要に応じて水や水溶性有機溶剤加えて必要な分散粒子含有率となる様に希釈したり、湿潤剤、防かび剤、pH調節剤等の水性インクの調製に必要な各種添加剤を併用することが出来る。また得られた水性顔料記録液は、必要に応じてミクロフィルターにより濾過をすることにより、インクジェット記録用に適したノズル目詰まり等の極めて少ない水性記録液とすることが出来る。
【0068】
また、吐出方式に応じた組成に適宜調製することにより、ピエゾ方式でもサーマル方式でもいずれの方式にも対応できる水性顔料記録液を得ることが出来る。
【0069】
以下、実施例にて本発明を詳細に説明するが、これらの実施例は本発明を具体的に説明するものであり、実施の態様がこれにより限定されるものではない。
【0070】
【実施例】
以下の実施例および比較例において、「部」および「%」は、いずれも質量換算である。
【0071】
[合成例1](グリシジル基を有さないがアニオン性基を含有する高分子化合物の合成)
攪拌装置、滴下装置、温度センサー、および上部に窒素導入装置を有する環流装置を取り付けた反応容器を有する自動重合反応装置(重合試験機DSL−2AS型、轟産業(株)製)の反応容器にメチルエチルケトン1,400部を仕込み、攪拌しながら反応容器内を窒素置換した。反応容器内を窒素雰囲気に保ちながら80℃に昇温させた後、滴下装置よりメタアクリル酸ブチル106部、アクリル酸n−ブチル312部、メタアクリル酸2−ヒドロキシエチル75部、メタアクリル酸307部、スチレン200部、および「パーブチル O」(有効成分ペルオキシ2−エチルヘキサン酸t−ブチル、日本油脂(株)製)140部の混合液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに同温度で15時間反応を継続させて、酸価200、重量平均分子量50,000のアニオン性基含有有機高分子化合物(B−1)の溶液を得た。
【0072】
[合成例2](グリシジル基を有さないがアニオン性基を含有する高分子化合物の合成)
攪拌装置、滴下装置、温度センサー、および上部に窒素導入装置を有する環流装置を取り付けた反応容器を有する自動重合反応装置(重合試験機DSL−2AS型、轟産業(株)製)の反応容器にメチルエチルケトン1,100部を仕込み、攪拌しながら反応容器内を窒素置換した。反応容器内を窒素雰囲気に保ちながら80℃に昇温させた後、滴下装置よりメタアクリル酸ブチル500部、アクリル酸n−ブチル25部、メタアクリル酸2−ヒドロキシエチル75部、メタアクリル酸200部、スチレン200部、および「パーブチル O」(有効成分ペルオキシ2−エチルヘキサン酸t−ブチル、日本油脂(株)製)80部の混合液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに同温度で15時間反応を継続させて、酸価130、重量平均分子量23,000のアニオン性基含有有機高分子化合物(B−2)の溶液を得た。
【0073】
[合成例3](グリシジル基を有さないがアニオン性基を含有する高分子化合物の合成)
攪拌装置、滴下装置、温度センサー、および上部に窒素導入装置を有する環流装置を取り付けた反応容器を有する自動重合反応装置(重合試験機DSL−2AS型、轟産業(株)製)の反応容器にメチルエチルケトン1,400部を仕込み、攪拌しながら反応容器内を窒素置換した。反応容器内を窒素雰囲気に保ちながら80℃に昇温させた後、滴下装置よりメタアクリル酸ブチル2部、メタアクリル酸ドデシル416部、メタアクリル酸2−ヒドロキシエチル75部、メタアクリル酸307部、スチレン200部、および「パーブチル O」(有効成分ペルオキシ2−エチルヘキサン酸t−ブチル、日本油脂(株)製)140部の混合液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに同温度で15時間反応を継続させて、酸価200、重量平均分子量50、000のアニオン性基含有有機高分子化合物(B−3)の溶液を得た。
【0074】
[合成例4](グリシジル基を有さないがアニオン性基を含有する高分子化合物の合成)
攪拌装置、滴下装置、温度センサー、および上部に窒素導入装置を有する環流装置を取り付けた反応容器を有する自動重合反応装置(重合試験機DSL−2AS型、轟産業(株)製)の反応容器にメチルエチルケトン1,200部を仕込み、攪拌しながら反応容器内を窒素置換した。反応容器内を窒素雰囲気に保ちながら80℃に昇温させた後、滴下装置よりメタアクリル酸ブチル220部、アクリル酸n−ブチル7部、メタアクリル酸2−ヒドロキシエチル150部、メタアクリル酸253部、メタアクリル酸メチル170部、スチレン200部、および「パーブチル O」(有効成分ペルオキシ2−エチルヘキサン酸t−ブチル、日本油脂(株)製)120部の混合液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに同温度で15時間反応を継続させて、酸価165、重量平均分子量45,000のアニオン性基含有有機高分子化合物(B−4)の溶液を得た。
【0075】
[合成例5](アニオン性基を有さないがグリシジル基を含有する高分子化合物の合成)
攪拌装置、滴下装置、温度センサー、および上部に窒素導入装置を有する環流装置を取り付けた反応容器を有する自動重合反応装置(重合試験機DSL−2AS型、轟産業(株)製)の反応容器にメチルエチルケトン940部を仕込み、攪拌しながら反応容器内を窒素置換した。反応容器内を窒素雰囲気に保ちながら80℃に昇温させた後、滴下装置よりアクリル酸ブチル500部、スチレン200部、メタアクリル酸2,3−エポキシプロピル300部、および「V59」(有効成分2、2‘−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、和光純薬製)60部をメチルエチルケトン150部に溶解した溶液との混合液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに同温度で15時間反応を継続させて、重量平均分子量20,000のグリシジル基含有有機高分子化合物(C)の溶液を得た。
【0076】
[比較合成例1](グリシジル基およびアニオン性基を含有する高分子化合物の合成)
攪拌装置、滴下装置、温度センサー、および上部に窒素導入装置を有する環流装置を取り付けた反応容器を有する自動重合反応装置(重合試験機DSL−2AS型、轟産業(株)製)の反応容器にメチルエチルケトン1,200部を仕込み、攪拌しながら反応容器内を窒素置換した。反応容器内を窒素雰囲気に保ちながら80℃に昇温させた後、滴下装置よりメタアクリル酸ブチル195部、アクリル酸n−ブチル12部、メタアクリル酸2−ヒドロキシエチル150部、メタアクリル酸253部、メタアクリル酸メチル170部、スチレン200部、メタアクリル酸2,3−エポキシプロピル20部、および「パーブチル O」(有効成分ペルオキシ2−エチルヘキサン酸t−ブチル、日本油脂(株)製)120部の混合液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに同温度で反応を継続させた。しかし、反応途中より粘度が上がり、反応を続けることが困難になってきたので、滴下終了後3時間で反応を終了した。冷却後、内容物を取り出すと、フラスコの底にはゲル状の固形物が得られており、分子量が上がりすぎてしまっていたことが確認された。(本来得られるべき樹脂の酸価165)
【0077】
[比較合成例2](グリシジル基およびアニオン性基を含有する高分子化合物の合成)
攪拌装置、滴下装置、温度センサー、および上部に窒素導入装置を有する環流装置を取り付けた反応容器を有する自動重合反応装置(重合試験機DSL−2AS型、轟産業(株)製)の反応容器にメチルエチルケトン1,100部を仕込み、攪拌しながら反応容器内を窒素置換した。反応容器内を窒素雰囲気に保ちながら80℃に昇温させた後、滴下装置よりメタアクリル酸ブチル227部、アクリル酸n−ブチル224部、メタアクリル酸2−ヒドロキシエチル150部、メタアクリル酸169部、スチレン200部、メタアクリル酸2,3−エポキシプロピル30部、および「パーブチル O」(有効成分ペルオキシ2−エチルヘキサン酸t−ブチル、日本油脂(株)製)100部の混合液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに同温度で15時間反応を継続させて、酸価130、重量平均分子量26,500の架橋成分およびアニオン性基含有有機高分子化合物(B‘)の溶液を得た。
【0078】
合成した各高分子化合物の酸価および重量平均分子量をまとめた。
【0079】
【表1】
【0080】
酸価130の高分子化合物を目標とすると、架橋成分であるメタアクリル酸2,3−エポキシプロピルを含有していてもその高分子化合物を合成することは可能であった。しかし、酸価165の高分子化合物を目標とした場合、同架橋成分を含有している場合には重合反応中に部分的に架橋が起こり分子量が上がったため、粘度が上昇しすぎて樹脂の合成が困難になった。架橋成分を含まない場合であれは、合成例4にあるように高分子化合物を合成することは可能であった。
【0081】
[実施例1]
まず、合成例1で得た高分子化合物(B−1)と、合成例5で得た高分子化合物(C)を質量換算の不揮発分でB−1:C=9:1となる量で分散直前に配合する。この分散架橋前の混合物1000g中のグリシジル基のモル当量は、約0.09であった。
冷却用ジャケットを備えた混合槽に、この配合した高分子化合物混合物、20%水酸化ナトリウム水溶液、水およびカーボンブラック(#960、三菱化学(株)社製)を仕込み、攪拌、混合した。ここでそれぞれの仕込量は、カーボンブラックが1,000部、配合樹脂はカーボンブラックに対して不揮発分で40質量%の比率となる量、20%水酸化ナトリウム水溶液はアニオン性基含有有機高分子化合物の酸価が100%中和される量、水は混合液の不揮発分を30%とするのに必要な量である。
【0082】
混合液を直径0.3mmのジルコニアビーズを充填した分散装置(SCミル SC100/32型、三井鉱山(株)製)に通し、循環方式により4時間分散した。分散装置の回転数は2700回転/分とし、冷却用ジャケットには冷水を通して分散液温度が40℃以下に保たれるようにした。
分散終了後、混合槽より分散原液を抜き採り、次いで水10,000部で混合槽および分散装置流路を洗浄し、分散原液と合わせて希釈分散液を得た。希釈分散液をガラス製蒸留装置に入れ、メチルエチルケトンの全量と水の一部を常圧蒸留で除いた。
【0083】
メチルエチルケトンの除かれた分散液を冷却し、その後、攪拌しながら10%塩酸を滴下してpH4.5に調整したのち、固形分をヌッチェ式濾過装置で濾過、水洗した。ケーキを容器に採り、アニオン性基含有有機高分子化合物の酸価が90%中和される量の20%水酸化カリウム水溶液と水を加え、分散攪拌機(TKホモディスパ20型、特殊機化工業(株)製)にて再度分散し、純水を加えて不揮発分23%に調整した。この分散液を、遠心分離機(50A−IV型、(株)佐久間製作所)にて6000G、30分間かけて粗大粒子を除去したのち、純水を加えて不揮発分を調整し、不揮発分20%の水性ブラック顔料分散体を得た。
【0084】
得られた水性ブラック顔料分散体のpHは9.67、粒度分析計(マイクロトラック UPA150型、日機装(株)社製)で測定した平均分散粒径(メディアン径)は 125 nmであった。R型粘度計(モデル R−L、東機産業(株)製)で測定した粘度は9.34 mPa/sであった。これらのの測定については、以下、同様の測定装置を同様に使用したものとする。
【0085】
[実施例2]
合成例3で得た高分子化合物(B−3)と合成例5で得た高分子化合物(C)を質量換算の不揮発分でB−3:C=9:1となる量で分散直前に配合し(この分散架橋前の混合物1000g中のグリシジル基のモル当量は、約0.09であった。)、有機顔料にジメチルキナクリドン(Fastogen Super Magenta RTS、C.I.Pigment Red 122、大日本インキ化学工業(株)製)を使用した以外は、実施例1と同じ操作で水性マゼンタ顔料分散体を得た。
【0086】
得られた水性マゼンタ顔料分散体のpHは9.88、平均分散粒径(メディアン径)は 172 nmであった。粘度は7.96 mPa/sであった。
【0087】
[実施例3]
合成例1で得た高分子化合物(B−1)と合成例5で得た高分子化合物(C)を質量換算の不揮発分でB−1:C=9.7:0.3となる量で分散直前に配合した高分子化合物混合物(この分散架橋前の混合物1000g中のグリシジル基のモル当量は、約0.03であった。)を使用した以外は、実施例1と同じ操作で水性ブラック顔料分散体を得た。
【0088】
得られた水性ブラック顔料分散体のpHは9.78、平均分散粒径(メディアン径)は 115 nmであった。粘度は11.26 mPa/sであった。
【0089】
[実施例4]
合成例1で得た高分子化合物(B−1)と合成例5で得た高分子化合物(C)を質量換算の不揮発分でB−1:C=8.3:1.7となる量で分散直前に配合した高分子化合物混合物(この分散架橋前の混合物1000g中のグリシジル基のモル当量は、約0.16であった。)を使用した以外は、実施例1と同じ操作で水性ブラック顔料分散体を得た。
【0090】
得られた水性ブラック顔料分散体のpHは9.64、平均分散粒径(メディアン径)は 110 nmであった。粘度は9.36 mPa/sであった。
【0091】
[参考例1]<浮遊樹脂量%の測定>
実施例1で得た水性ブラック顔料分散体30gを遠心管(OptiSealTM、ベックマンコールター(株)製)充填する。この遠心管を超遠心分離装置(OptimaTML−70K、ペックマンコールター(株)製)に装填し、22、000G、6時間遠心分離する。この遠心分離後の分散体を静かに取り出し、上澄み部分を全充填量の20%(6g)だけ、静かにスポイトで取り出し、不揮発分を測定し、この量を浮遊した高分子化合物分とした。これを浮遊樹脂量と称す。浮遊樹脂量%の算出は次式で行った。
【0092】
(浮遊樹脂量)%=(浮遊樹脂分)/(遠心管に充填した分散体中に含まれた樹脂分)x100
【0093】
この結果、実施例1で得られた水性ブラック顔料分散体の浮遊樹脂量は、68.3%であった。同様に実施例3、実施例4で得られた水性ブラック顔料分散体についても浮遊樹脂量%を測定した。結果を以下の表にまとめた。
【0094】
【表2】
【0095】
浮遊樹脂量%は、架橋成分に当たる有機化合物(C)の配合量(=メタアクリル酸グリシジル成分の量)に高い相関がある。この相関関係は、架橋成分に当たる有機化合物(C)の配合量が多くなるに従って、分散体中の浮遊樹脂量が少なくなっており、顔料表面により強くアニオン性基含有有機高分子化合物が結合することを示唆している。インクジェットプリンタにおいて浮遊するアニオン性基含有有機高分子化合物が少なくなることはヘッドから吐出されたインクが不規則に飛び散ったり、吐出不良になったりすることが抑制されることに繋がる(特開平11−302586号公報参照。)。
【0096】
[参考例2]<酸価による分散性の比較>
冷却用ジャケットを備えた混合槽に、合成例1で得た高分子化合物(B−1)、20%水酸化ナトリウム水溶液、水およびキナクリドン顔料(Fastogen Super Magenta RY、大日本インキ化学工業(株)社製)を仕込み、攪拌、混合した。ここでそれぞれの仕込量は、キナクリドン顔料が1,000部、前記高分子化合物はキナクリドン顔料に対して不揮発分で40質量%の比率となる量、20%水酸化ナトリウム水溶液はアニオン性基含有有機高分子化合物の酸価が90%中和される量、水は混合液の不揮発分を30%とするのに必要な量である。
【0097】
混合液を直径0.3mmのジルコニアビーズを充填した分散装置(SCミル SC100/32型、三井鉱山(株)製)に通し、循環方式により分散した。分散装置の回転数は2700回転/分とし、冷却用ジャケットには冷水を通して分散液温度が40℃以下に保たれるようにした。2hr、4hrと経時で平均粒径を測定した。
【0098】
[参考例3]
合成例2で合成した高分子化合物(B−2)を使用した以外、[参考例2]と同じ処方で実施し、平均粒径の経時変化を測定した。結果を以下の表に示す。
【0099】
【表3】
【0100】
上記の表から明らかなように、酸価の高い高分子化合物は顔料分散性に優れていると言うことが出来る。この高酸価の高分子化合物の優れた分散性に上述のように架橋成分を加えることで浮遊樹脂成分を下げる効果を併せ持たせた実施例1 〜 4で代表的に示される手法は、インクジェット記録用水性インクのための水性顔料分散体として優れている。
【0101】
<実施例5>(サーマル方式インクジェット記録用水性インクの適性評価)
実施例1で得られた水性顔料分散体から、特開平6−122846号公報の実施例2の記載を参考にして、サーマル方式インクジェット記録用水性インクを調製した。インク組成を以下に示す。
【0102】
水性顔料分散体 25部
グリセリン 8部
エチレングリコール 5部
エタノール 5部
エマルゲン120(花王(株)製) 0.05部
水 57部
【0103】
このようにして調製したインクを、サーマル方式のインクジェットプリンタ(BJ F600型、キヤノン(株)製)にて100枚連続印字し印字性能を評価した。連続印字前と連続印字後にヘッドの目詰まりパターンを印字したが、印字後もヘッドの目詰まりは見られなかった。また、印字物もベタ部分でのかすれがなく100枚の印字が可能であった。
【0104】
<比較例1>
合成例3で得た高分子化合物(B−3)と合成例5で得た高分子化合物(C)に代えて比較合成例2で得た高分子化合物(B‘)を用い、かつ分散時間を6時間とした以外は実施例2と同様の操作を行って水性マゼンタ顔料分散体を得た。ここでそれぞれの仕込量は、キナクリドン顔料が1,000部、前記高分子化合物はキナクリドン顔料に対して不揮発分で40質量%の比率となる量、20%水酸化ナトリウム水溶液はアニオン性基含有有機高分子化合物の酸価が100%中和される量、水は混合液の不揮発分を30%とするのに必要な量である。
【0105】
尚、混合液を直径0.3mmのジルコニアビーズを充填した分散装置(SCミル SC100/32型、三井鉱山(株)製)に通し、循環方式により分散した。分散装置の回転数は2700回転/分とし、冷却用ジャケットには冷水を通して分散液温度が40℃以下に保たれるようにした。その他の条件は実施例2と一致させ、実施例2と同様にして平均粒径等を測定した。
【0106】
得られた水性マゼンタ顔料分散体のpHは9.20、平均分散粒径(メディアン径)は163nmであった。粘度は3.9 mPa/sであった
【0107】
以上のようにして得られた水性顔料分散体を用いる以外は、上記実施例5と同様にしてサーマル方式インクジェット記録用水性インクを調製し、印字性能を評価した。比較例1の水性顔料分散体は実施例2のそれよりも浮遊樹脂量がかなり多かった。連続印字前と連続印字後にヘッドの目詰まりパターンを印字したが、印字後もヘッドの目詰まりが見られた。また、100枚の印字を行ったところ、その中にベタ部分でのかすれがみられる印字物があった。
【0108】
【発明の効果】
本発明では、顔料(A)と、グリシジル基を有さないがアニオン性基を含有する(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)と、アニオン性基を有さないがグリシジル基を含有する有機化合物(C)とを、重合体(B)と有機化合物(C)との混合物が酸価150を越えて245となる様に組み合わせて水性媒体中に分散架橋させて水性顔料分散体を製造するので、顔料が微細にそして均一に水性媒体に分散された状態の安定な水性顔料分散体がより短時間で得られるという格別顕著な効果を奏する。また、それは浮遊樹脂量が少ないという効果も有している。
この様な水性顔料分散体を用いるとインクジェット記録用水性インクとして、より印字性能に優れた水性顔料記録液を調製することが出来る、という格別顕著な効果を奏する。
Claims (8)
- 顔料(A)と、グリシジル基を有さないがアニオン性基を含有する(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)と、アニオン性基を有さないがグリシジル基を含有する有機化合物(C)とを、重合体(B)と有機化合物(C)との混合物が酸価150を越えて245となる様に組み合わせて水性媒体中に分散架橋させる水性顔料記録液用水性顔料分散体の製造方法。
- 重合体(B)が、それ単独で酸価155〜250である(メタ)アクリル酸エステル重合体である請求項1記載の製造方法。
- 重合体(B)と有機化合物(C)との分散架橋前の混合物1000g中のグリシジル基のモル当量が、0.02〜1.00となる様に重合体(B)と有機化合物(C)とを混合する請求項1または2記載の製造方法。
- 重合体(B)が重量平均分子量10,000〜70,000の重合体であり、有機化合物(C)が重量平均分子量1,000〜30,000の重合体である請求項1、2または3のいずれか記載の製造方法。
- 重合体(B)/有機化合物(C)(不揮発分換算の質量比)=70/30〜99/1である請求項1、2、3または4のいずれか記載の製造方法。
- 顔料(A)と重合体(B)と有機化合物(C)とを混合し分散させた後、酸析し次いで塩基を加えて水に再分散する工程を更に含む、顔料が架橋された(メタ)アクリル酸エステル重合体で被覆された粒子を含有する請求項1記載の製造方法。
- 顔料(A)/〔重合体(B)+有機化合物(C)(不揮発分換算)〕=100/10〜100/100である請求項1記載の製造方法。
- 請求項1、2、3、4、5、6または7のいずれかの製造方法で得られた水性顔料分散体を用いて、質量換算による分散粒子の含有率が1〜10%となる様にする水性顔料記録液の製造方法。
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