JP2004182677A - α−ジオキシム - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規なα−ジオキシムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
α−ジオキシムはコバルト、ニッケル等の金属と錯体を形成することが知られている。
例えば、特許文献1には、α−ジオキシムとコバルト(II)との錯体の存在下にてメタクリル酸エステルをラジカル重合する方法が開示されている。α−ジオキシムとコバルト(II)との錯体は、連鎖移動触媒(触媒的連鎖移動剤)として有用であり、メタクリル酸エステルの低分子量ポリマー製造に好適に利用できる。
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、コバルト錯体に起因する生成物の着色の問題があった。また、コバルト錯体を生成物から分離回収し連鎖移動触媒として再利用することも困難であった。
【0003】
コバルト錯体を担体に担持できれば、生成物の着色が解消され、同時に触媒の回収再利用も可能となるが、担持により触媒活性が影響されないためには、コバルトから離れた部位で錯体と担体の間に結合を形成する必要がある。そのような触媒の原料としては、反応性置換基を持つα−ジオキシムが好適である。そして、種々の置換基の中でもメトキシ基を持つα−ジオキシムは合成時の安定性が高く、しかもメトキシ基は非特許文献1に記載されているように、反応性の高い水酸基に容易に変換できる利点がある。なお、特許文献1には、メトキシ基等の置換基を持つα−ジオキシムについては記載されていない。
【0004】
置換基の有無にかかわらず、α−ジオキシムの合成法としては、α−ジケトンと塩化ヒドロキシルアンモニウム等の試薬との反応によるオキシム化が一般的である。
α−ジケトンのオキシム化を利用したメトキシ基含有α−ジオキシムの合成法としては、例えば、非特許文献2に、化学式(A)で表される1,6−ジメトキシ−3,4−ヘキサンジオンジオキシムの合成法が開示されている。また、同文献にはこの化合物のテクネチウム錯体が親水性を示すことが記載されている。
【化2】
【0005】
しかしながら、非特許文献2に記載の方法では、α−ジオキシムの原料であるα―ジケトンの収率が低く、しかもα−ジケトンのオキシム化反応の収率も低いという問題があった。例えば、3−メトキシプロピオンアルデヒドを触媒存在下で縮合し1,6−ジメトキシ−3−ヒドロキシ−4−オキソヘキサンを合成する反応の収率は62%であり、1,6−ジメトキシ−3−ヒドロキシ−4−オキソヘキサンを酸化ビスマス(III)により酸化して1,6−ジメトキシ−3,4−ヘキサンジオンを合成する反応の収率は僅か37%である。そして、1,6−ジメトキシ−3,4−ヘキサンジオンをオキシム化して1,6−ジメトキシ−3,4−ヘキサンジオンジオキシムを合成する反応の収率は僅か17%である。
メトキシ基以外の置換基を持つα−ジケトンに関しては、非特許文献3において、1,6−ビス(N,N−ジエチルアミノ)−3,4−ビス(トリメチルシロキシ)−3−ヘキセンの酸化による1,6−ビス(N,N−ジエチルアミノ)−3,4−ヘキサンジオンの合成が試みられているが、悉く失敗している。
以上のように、オキシム基に対してβ位に置換基を持つα−ジオキシム(3,4−ヘキサンジオンジオキシムを例にとると、1,6位に置換基を持つα―ジオキシム)の原料であるα−ジケトンの合成は収率が低く、しかも得られたα−ジケトンのオキシム化によるα−ジオキシムの合成も収率も低く、従来は、メトキシ基含有α−ジオキシムを高収率で効率良く合成することは困難であった。
【0006】
【特許文献1】
米国特許第4,526,945号明細書
【非特許文献1】
M.ノデ(M.Node)ら、“Demethylation ofAliphatic Methyl Ethers with a Thiol and Boron Trifluoride”、ジャーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソサイエティ パーキン・トランザクションズ I(J. Chem. Soc. Perkin Trans. I.)、(英国)、1976年、p.2237−2240
【非特許文献2】
Z.F.ス(Z.F.Su)ら、“Preparation andEvaluation of Cationic 99Tc/99mTc Dimethoxy and Diethoxy−Hexanedione Dioxime Complexes”、ジャーナル・オブ・ラベルド・コンパウンヅ・アンド・ラジオファーマスーティカルズ(J. Labelled. Compd. Radiopharm.)、(米国)、1992年、Vol.31、p.61−70
【非特許文献3】
B.ケーラー(B.Koehler)ら、“Peripherally Substituted Cobaloximes; X−ray Crystal Structure Analysis of σ−Hexylbis[1,8−di(N−morpholiono)octane−4,5−dioximato]pyridinecobalt(III)”、アンゲバンテ・ヘミー・インターナショナル・エディション・イン・イングリッシュ(Angew. Chem. Int. Ed. Engl.)、(ドイツ)、1995年、Vol.34、No.21、p.2389−2390
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、高収率で合成することが可能な新規のメトキシ基含有α−ジオキシムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、オキシム基に対してγ位以遠に置換基を持つα−ジオキシムであれば、メトキシ基含有カルボン酸エステルまたはメトキシ基含有α−ジケトンを原料として高収率で合成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明のα−ジオキシムは、下記一般式(1)で表されることを特徴とするものである。
【化3】
(但し、式(1)中、R1〜R4は各々独立に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示し、n1、n2は各々独立に3〜9の整数を示す。)
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のα−ジオキシムは、下記一般式(1)で表されることを特徴とするものである。
【化4】
ここで、式(1)中、R1〜R4は各々独立に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示し、n1、n2は各々独立に3〜9の整数を示す。なお、式(1)においては、R1〜R4はいずれも複数存在するが、個々のR1、個々のR2、個々のR3、個々のR4は独立しているものとする。したがって、R1はすべて同一であっても良いし、異なっていても良く、R2〜R4についても同様である。
【0010】
本発明のα−ジオキシムにおいては、n1、n2がいずれも3以上であること、すなわち、オキシム基に対してγ位以遠に置換基を持つことが特徴的なものとなっている。そして、かかる構成を採用することにより、メトキシ基含有α−ジオキシムを高収率で合成することを実現した。なお、n1、n2が9超では、長大なアルキル鎖によってメトキシ基の極性置換基としての効果が打ち消されると共に、原料の入手及び合成が困難であるため、好ましくない。
【0011】
本発明のα−ジオキシムにおいては、原料の入手又は合成が容易であることから、R1〜R4が水素原子またはメチル基であることが特に好ましい。また、個々のR1は独立していることを述べたが、再結晶により容易に精製できることから、すべてのR1が同一であることが好ましい。同様に、すべてのR2、すべてのR3、すべてのR4もそれぞれ同一であることが好ましい。特に、すべてのR1〜R4がいずれも水素原子であることが好ましい。
また、安価な原料を使用できることから、n1、n2は3〜5であることが好ましく、n1、n2がいずれも3であることが特に好ましい。
【0012】
本発明のα−ジオキシムは、メトキシ基含有α―ジケトンのオキシム化により高収率で合成することができる。この合成法は操作性にも優れ、好適である。
また、原料のα−ジケトンも高収率で合成することができる。原料のα−ジケトンの合成法としては、メトキシ基含有カルボン酸エステルのアシロイン縮合、及びその生成物であるアシロインの酢酸銅(II)による酸化を利用したものが、収率が高く好適である。より高い収率が得られることから、アシロイン縮合はトリメチルクロロシラン存在下で行うことが好ましい。この場合、生成物はアシロインのエンジオール型互変異性体であるビストリメチルシリルエーテルとなる。
【0013】
本発明のα−ジオキシムは、以下のように同定できる。
すなわち、オキシム基の存在は、1H−NMR(11.4ppm付近、s(一重線)、2H(積分値、以下同様))、13C−NMR(155ppm付近)、及びIR(1620cm−1付近、C=N)により確認できる。メトキシ基の存在は、1H−NMR(3.2ppm付近、s、6H)、13C−NMR(58ppm付近)、IR(1105cm−1付近、C−O−C)、及び質量分析(EI+、CH3−O−CH2では45のフラグメント)により確認できる。所望の構造のアルキル鎖の存在は、1H−NMR及び13C−NMRにより確認できる。さらに元素分析によって所望の化合物であることを確認できる。
【0014】
本発明のα−ジオキシムとコバルトとの錯体は、メタクリル酸エステルのラジカル重合における連鎖移動触媒等として有用である。また、錯体のメトキシ基を脱保護して水酸基に変換すれば、例えば下記式(2)に示すようなコバルト錯体が得られ、高極性溶媒や高極性モノマーに対する溶解度の高い連鎖移動触媒が得られる。
【化5】
【0015】
さらに、メトキシ基を脱保護して水酸基に変換した上記式(2)に示すようなコバルト錯体と、水酸基と反応してエーテル結合やエステル結合等を形成する官能基を持つ担体とを結合させれば、担体に担持された連鎖移動触媒を簡易に得ることができる。この触媒を用いたメタクリル酸エステルのラジカル重合では、生成物が着色する恐れがなく、しかも、触媒の回収再利用も可能であり、好適である。
【0016】
本発明のα−ジオキシムは金属錯体を形成する分析試薬としても好適に利用できる。
α−ジオキシム類とニッケル等の金属との錯体は、一般にモル吸光係数が大きく吸光光度法による分析に適しているが、ジメチルグリオキシム、1,2−シクロヘキサンジオンジオキシム等の無置換のアルキル基を持つα−ジオキシム類及びその金属錯体は、有機溶媒に対する溶解性が必ずしも高くない場合があり、液体クロマトグラフィーによる分析等での利用が困難であった。
これに対して、本発明のα−ジオキシムは、無置換のアルキル基を持つα−ジオキシム類と比較して、エタノール等の有機溶媒に対する溶解性に優れる。例えば、エタノール2gに対して、ジメチルグリオキシム58mg(0.5mmol)は室温で一部しか溶解しないが、本発明のα−ジオキシムである1,8−ジメトキシ−4,5−オクタンジオンジオキシム116mg(0.5mmol)は完全に溶解する。このように、本発明のα−ジオキシムは、有機溶媒に対する溶解性に優れるため、ニッケル等の金属と錯体を形成することを利用して、吸光光度法や液体クロマトグラフィーによる分析等の分析試薬として好適に利用できる。
【0017】
【実施例】
次に、本発明に係る実施例及び従来例について説明する。
分析に使用した機器は以下の通りである。
(a)1H−NMRおよび13C−NMR:日本電子社製 GSX−400
(b)IR:ニコレー社製 Magna860
(c)元素分析:エレメンタル社製 VarioELIII
(d)質量分析:日本電子社製 SX−102
【0018】
(実施例)
(i)1,8−ジメトキシ−4,5−オクタンジオンの合成
乾燥窒素雰囲気下、反応容器内に、金属ナトリウム1.84g、事前に30分間窒素バブリングして酸素を除去しておいた脱水トルエン10ml、及び攪拌子を入れた後、激しく攪拌し、ナトリウム微粉末の懸濁液を得た。次いで、トリメチルクロロシラン9.56g、4−メトキシ酪酸メチル2.64g(20mmol)を加え、攪拌しながら3.5時間110℃で加熱還流した。反応混合物をロータリーエバポレーターで濃縮した後、反応容器を冷却しながら、蒸留水10mlを加えてさらに攪拌した。その後、ヘキサン/酢酸エチル混合溶媒(ヘキサン:酢酸エチル=80:20(v/v))10mlを用い、計3回溶媒抽出を行った。有機相を回収し、無水硫酸ナトリウムで乾燥してロータリーエバポレーターで濃縮したところ、3.18gの液状生成物が得られた。
反応容器内に、上記生成物、酢酸銅(II)無水物3.31g、メタノール1ml、及び50%酢酸水溶液10mlを入れて、3時間64℃で加熱還流した。室温に冷却後、反応液をセライトろ過し、ろ液に飽和食塩水10mlを加えた。その後、ヘキサン/酢酸エチル混合溶媒(ヘキサン:酢酸エチル=80:20(v/v))10mlを用い、計5回溶媒抽出を行った。有機相を回収し、飽和食塩水8mlで2回洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥し、さらに、溶媒をロータリーエバポレーターにより減圧下で留去した。最後に、シリカゲルカラムクロマトにより精製し、黄色油状物質1.25g(6.19mmol)を得た。生成物を同定したところ、1,8−ジメトキシ−4,5−オクタンジオンであることが確認された。4−メトキシ酪酸メチルを基準とした収率は62%と高収率であった。
分析データを以下に示す。
1H−NMR(ppm、400MHz、CDCl3):1.76(m(多重線)、4H)、2.65(t(三重線)、4H)、3.13(s(一重線)、6H)、3.25(t(三重線)、4H)
13C−NMR(ppm、400MHz、CDCl3): 24.0、32.9、58.2、71.5、199.1
IR(cm−1、液膜法):2930、1712、1118
質量分析(GC−MS、EI+、加速電圧70eV):45、59、69、101、202
【0019】
(ii)1,8−ジメトキシ−3,4−オクタンジオンジオキシム(式(1)中において、R1〜R4がいずれも水素原子であり、n1、n2がいずれも3であるα−ジオキシム)の合成
反応容器内に、上記で得た1,8−ジメトキシ−4,5−オクタジオン1.01g(5mmol)、メタノール13ml、塩化ヒドロキシルアンモニウム0.8g、及び蒸留水1.6mlを入れて、1時間64℃で加熱還流した。反応溶液を冷却した後、蒸留水20mlを加え、メタノールをロータリーエバポレーターにより減圧下で留去した。その後、ジエチルエーテル20mlを用い、残液に対して計3回溶媒抽出を行った。有機相を回収し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧下で留去した。得られた白色固体をメタノール/水で再結晶して白色針状結晶0.588g(2.53mmol)を得た。生成物を同定したところ、1,8−ジメトキシ−4,5−オクタンジオンジオキシムであることが確認された。収率は51%と高収率であった。
分析データを以下に示す。
1H−NMR(ppm、400MHz、DMSO−d6):1.60(m(多重線)、4H)、2.53(t(三重線)、4H)、3.18(s(一重線)、6H)、3.27(t(三重線)、4H)、11.36(s(一重線)、2H)
13C−NMR(ppm、400MHz、DMSO−d6):20.2、26.1、57.7、71.9、155.6
IR(cm−1、KBr錠剤法): 3288、2947、1617、1108
元素分析(C10H20N2O4):計算値C(51.71%)、H(8.68%)、N(12.06%)、O(27.55%)/燃焼法による測定値 C(51.8%)、H(8.73%)、N(11.6%)/熱分解法による測定値 O(26.8%)
質量分析(直接試料導入法、EI+、加速電圧70eV):41、45、68、215
【0020】
(従来例)
従来例として、J. Labelled. Compd. Radiopharm., Vol.31, 61−70(1992)
に記載の方法に基づいて、1,6−ジメトキシ−3,4−ヘキサンジオンジオキシムを合成した。
(i)1,6−ジメトキシ−3,4−ヘキサンジオンの合成
3−メトキシプロピオンアルデヒドを触媒存在下で縮合し、1,6−ジメトキシ−3−ヒドロキシ−4−オキソヘキサンを合成した(収率62%)。得られた1,6−ジメトキシ−3−ヒドロキシ−4−オキソヘキサンを酸化ビスマス(III)により酸化して1,6−ジメトキシ−3,4−ヘキサンジオンを得た(収率37%)。3−メトキシプロピオンアルデヒドを基準とした収率は23%であった。
(ii)1,6−ジメトキシ−3,4−ヘキサンジオンジオキシムの合成
上記で得た1,6−ジメトキシ−3,4−ヘキサンジオンをオキシム化し、再結晶により精製した。収率は17%であった。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、高収率で合成することが可能な新規のメトキシ基含有α−ジオキシムを提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は新規なα−ジオキシムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
α−ジオキシムはコバルト、ニッケル等の金属と錯体を形成することが知られている。
例えば、特許文献1には、α−ジオキシムとコバルト(II)との錯体の存在下にてメタクリル酸エステルをラジカル重合する方法が開示されている。α−ジオキシムとコバルト(II)との錯体は、連鎖移動触媒(触媒的連鎖移動剤)として有用であり、メタクリル酸エステルの低分子量ポリマー製造に好適に利用できる。
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、コバルト錯体に起因する生成物の着色の問題があった。また、コバルト錯体を生成物から分離回収し連鎖移動触媒として再利用することも困難であった。
【0003】
コバルト錯体を担体に担持できれば、生成物の着色が解消され、同時に触媒の回収再利用も可能となるが、担持により触媒活性が影響されないためには、コバルトから離れた部位で錯体と担体の間に結合を形成する必要がある。そのような触媒の原料としては、反応性置換基を持つα−ジオキシムが好適である。そして、種々の置換基の中でもメトキシ基を持つα−ジオキシムは合成時の安定性が高く、しかもメトキシ基は非特許文献1に記載されているように、反応性の高い水酸基に容易に変換できる利点がある。なお、特許文献1には、メトキシ基等の置換基を持つα−ジオキシムについては記載されていない。
【0004】
置換基の有無にかかわらず、α−ジオキシムの合成法としては、α−ジケトンと塩化ヒドロキシルアンモニウム等の試薬との反応によるオキシム化が一般的である。
α−ジケトンのオキシム化を利用したメトキシ基含有α−ジオキシムの合成法としては、例えば、非特許文献2に、化学式(A)で表される1,6−ジメトキシ−3,4−ヘキサンジオンジオキシムの合成法が開示されている。また、同文献にはこの化合物のテクネチウム錯体が親水性を示すことが記載されている。
【化2】
【0005】
しかしながら、非特許文献2に記載の方法では、α−ジオキシムの原料であるα―ジケトンの収率が低く、しかもα−ジケトンのオキシム化反応の収率も低いという問題があった。例えば、3−メトキシプロピオンアルデヒドを触媒存在下で縮合し1,6−ジメトキシ−3−ヒドロキシ−4−オキソヘキサンを合成する反応の収率は62%であり、1,6−ジメトキシ−3−ヒドロキシ−4−オキソヘキサンを酸化ビスマス(III)により酸化して1,6−ジメトキシ−3,4−ヘキサンジオンを合成する反応の収率は僅か37%である。そして、1,6−ジメトキシ−3,4−ヘキサンジオンをオキシム化して1,6−ジメトキシ−3,4−ヘキサンジオンジオキシムを合成する反応の収率は僅か17%である。
メトキシ基以外の置換基を持つα−ジケトンに関しては、非特許文献3において、1,6−ビス(N,N−ジエチルアミノ)−3,4−ビス(トリメチルシロキシ)−3−ヘキセンの酸化による1,6−ビス(N,N−ジエチルアミノ)−3,4−ヘキサンジオンの合成が試みられているが、悉く失敗している。
以上のように、オキシム基に対してβ位に置換基を持つα−ジオキシム(3,4−ヘキサンジオンジオキシムを例にとると、1,6位に置換基を持つα―ジオキシム)の原料であるα−ジケトンの合成は収率が低く、しかも得られたα−ジケトンのオキシム化によるα−ジオキシムの合成も収率も低く、従来は、メトキシ基含有α−ジオキシムを高収率で効率良く合成することは困難であった。
【0006】
【特許文献1】
米国特許第4,526,945号明細書
【非特許文献1】
M.ノデ(M.Node)ら、“Demethylation ofAliphatic Methyl Ethers with a Thiol and Boron Trifluoride”、ジャーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソサイエティ パーキン・トランザクションズ I(J. Chem. Soc. Perkin Trans. I.)、(英国)、1976年、p.2237−2240
【非特許文献2】
Z.F.ス(Z.F.Su)ら、“Preparation andEvaluation of Cationic 99Tc/99mTc Dimethoxy and Diethoxy−Hexanedione Dioxime Complexes”、ジャーナル・オブ・ラベルド・コンパウンヅ・アンド・ラジオファーマスーティカルズ(J. Labelled. Compd. Radiopharm.)、(米国)、1992年、Vol.31、p.61−70
【非特許文献3】
B.ケーラー(B.Koehler)ら、“Peripherally Substituted Cobaloximes; X−ray Crystal Structure Analysis of σ−Hexylbis[1,8−di(N−morpholiono)octane−4,5−dioximato]pyridinecobalt(III)”、アンゲバンテ・ヘミー・インターナショナル・エディション・イン・イングリッシュ(Angew. Chem. Int. Ed. Engl.)、(ドイツ)、1995年、Vol.34、No.21、p.2389−2390
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、高収率で合成することが可能な新規のメトキシ基含有α−ジオキシムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、オキシム基に対してγ位以遠に置換基を持つα−ジオキシムであれば、メトキシ基含有カルボン酸エステルまたはメトキシ基含有α−ジケトンを原料として高収率で合成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明のα−ジオキシムは、下記一般式(1)で表されることを特徴とするものである。
【化3】
(但し、式(1)中、R1〜R4は各々独立に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示し、n1、n2は各々独立に3〜9の整数を示す。)
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のα−ジオキシムは、下記一般式(1)で表されることを特徴とするものである。
【化4】
ここで、式(1)中、R1〜R4は各々独立に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示し、n1、n2は各々独立に3〜9の整数を示す。なお、式(1)においては、R1〜R4はいずれも複数存在するが、個々のR1、個々のR2、個々のR3、個々のR4は独立しているものとする。したがって、R1はすべて同一であっても良いし、異なっていても良く、R2〜R4についても同様である。
【0010】
本発明のα−ジオキシムにおいては、n1、n2がいずれも3以上であること、すなわち、オキシム基に対してγ位以遠に置換基を持つことが特徴的なものとなっている。そして、かかる構成を採用することにより、メトキシ基含有α−ジオキシムを高収率で合成することを実現した。なお、n1、n2が9超では、長大なアルキル鎖によってメトキシ基の極性置換基としての効果が打ち消されると共に、原料の入手及び合成が困難であるため、好ましくない。
【0011】
本発明のα−ジオキシムにおいては、原料の入手又は合成が容易であることから、R1〜R4が水素原子またはメチル基であることが特に好ましい。また、個々のR1は独立していることを述べたが、再結晶により容易に精製できることから、すべてのR1が同一であることが好ましい。同様に、すべてのR2、すべてのR3、すべてのR4もそれぞれ同一であることが好ましい。特に、すべてのR1〜R4がいずれも水素原子であることが好ましい。
また、安価な原料を使用できることから、n1、n2は3〜5であることが好ましく、n1、n2がいずれも3であることが特に好ましい。
【0012】
本発明のα−ジオキシムは、メトキシ基含有α―ジケトンのオキシム化により高収率で合成することができる。この合成法は操作性にも優れ、好適である。
また、原料のα−ジケトンも高収率で合成することができる。原料のα−ジケトンの合成法としては、メトキシ基含有カルボン酸エステルのアシロイン縮合、及びその生成物であるアシロインの酢酸銅(II)による酸化を利用したものが、収率が高く好適である。より高い収率が得られることから、アシロイン縮合はトリメチルクロロシラン存在下で行うことが好ましい。この場合、生成物はアシロインのエンジオール型互変異性体であるビストリメチルシリルエーテルとなる。
【0013】
本発明のα−ジオキシムは、以下のように同定できる。
すなわち、オキシム基の存在は、1H−NMR(11.4ppm付近、s(一重線)、2H(積分値、以下同様))、13C−NMR(155ppm付近)、及びIR(1620cm−1付近、C=N)により確認できる。メトキシ基の存在は、1H−NMR(3.2ppm付近、s、6H)、13C−NMR(58ppm付近)、IR(1105cm−1付近、C−O−C)、及び質量分析(EI+、CH3−O−CH2では45のフラグメント)により確認できる。所望の構造のアルキル鎖の存在は、1H−NMR及び13C−NMRにより確認できる。さらに元素分析によって所望の化合物であることを確認できる。
【0014】
本発明のα−ジオキシムとコバルトとの錯体は、メタクリル酸エステルのラジカル重合における連鎖移動触媒等として有用である。また、錯体のメトキシ基を脱保護して水酸基に変換すれば、例えば下記式(2)に示すようなコバルト錯体が得られ、高極性溶媒や高極性モノマーに対する溶解度の高い連鎖移動触媒が得られる。
【化5】
【0015】
さらに、メトキシ基を脱保護して水酸基に変換した上記式(2)に示すようなコバルト錯体と、水酸基と反応してエーテル結合やエステル結合等を形成する官能基を持つ担体とを結合させれば、担体に担持された連鎖移動触媒を簡易に得ることができる。この触媒を用いたメタクリル酸エステルのラジカル重合では、生成物が着色する恐れがなく、しかも、触媒の回収再利用も可能であり、好適である。
【0016】
本発明のα−ジオキシムは金属錯体を形成する分析試薬としても好適に利用できる。
α−ジオキシム類とニッケル等の金属との錯体は、一般にモル吸光係数が大きく吸光光度法による分析に適しているが、ジメチルグリオキシム、1,2−シクロヘキサンジオンジオキシム等の無置換のアルキル基を持つα−ジオキシム類及びその金属錯体は、有機溶媒に対する溶解性が必ずしも高くない場合があり、液体クロマトグラフィーによる分析等での利用が困難であった。
これに対して、本発明のα−ジオキシムは、無置換のアルキル基を持つα−ジオキシム類と比較して、エタノール等の有機溶媒に対する溶解性に優れる。例えば、エタノール2gに対して、ジメチルグリオキシム58mg(0.5mmol)は室温で一部しか溶解しないが、本発明のα−ジオキシムである1,8−ジメトキシ−4,5−オクタンジオンジオキシム116mg(0.5mmol)は完全に溶解する。このように、本発明のα−ジオキシムは、有機溶媒に対する溶解性に優れるため、ニッケル等の金属と錯体を形成することを利用して、吸光光度法や液体クロマトグラフィーによる分析等の分析試薬として好適に利用できる。
【0017】
【実施例】
次に、本発明に係る実施例及び従来例について説明する。
分析に使用した機器は以下の通りである。
(a)1H−NMRおよび13C−NMR:日本電子社製 GSX−400
(b)IR:ニコレー社製 Magna860
(c)元素分析:エレメンタル社製 VarioELIII
(d)質量分析:日本電子社製 SX−102
【0018】
(実施例)
(i)1,8−ジメトキシ−4,5−オクタンジオンの合成
乾燥窒素雰囲気下、反応容器内に、金属ナトリウム1.84g、事前に30分間窒素バブリングして酸素を除去しておいた脱水トルエン10ml、及び攪拌子を入れた後、激しく攪拌し、ナトリウム微粉末の懸濁液を得た。次いで、トリメチルクロロシラン9.56g、4−メトキシ酪酸メチル2.64g(20mmol)を加え、攪拌しながら3.5時間110℃で加熱還流した。反応混合物をロータリーエバポレーターで濃縮した後、反応容器を冷却しながら、蒸留水10mlを加えてさらに攪拌した。その後、ヘキサン/酢酸エチル混合溶媒(ヘキサン:酢酸エチル=80:20(v/v))10mlを用い、計3回溶媒抽出を行った。有機相を回収し、無水硫酸ナトリウムで乾燥してロータリーエバポレーターで濃縮したところ、3.18gの液状生成物が得られた。
反応容器内に、上記生成物、酢酸銅(II)無水物3.31g、メタノール1ml、及び50%酢酸水溶液10mlを入れて、3時間64℃で加熱還流した。室温に冷却後、反応液をセライトろ過し、ろ液に飽和食塩水10mlを加えた。その後、ヘキサン/酢酸エチル混合溶媒(ヘキサン:酢酸エチル=80:20(v/v))10mlを用い、計5回溶媒抽出を行った。有機相を回収し、飽和食塩水8mlで2回洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥し、さらに、溶媒をロータリーエバポレーターにより減圧下で留去した。最後に、シリカゲルカラムクロマトにより精製し、黄色油状物質1.25g(6.19mmol)を得た。生成物を同定したところ、1,8−ジメトキシ−4,5−オクタンジオンであることが確認された。4−メトキシ酪酸メチルを基準とした収率は62%と高収率であった。
分析データを以下に示す。
1H−NMR(ppm、400MHz、CDCl3):1.76(m(多重線)、4H)、2.65(t(三重線)、4H)、3.13(s(一重線)、6H)、3.25(t(三重線)、4H)
13C−NMR(ppm、400MHz、CDCl3): 24.0、32.9、58.2、71.5、199.1
IR(cm−1、液膜法):2930、1712、1118
質量分析(GC−MS、EI+、加速電圧70eV):45、59、69、101、202
【0019】
(ii)1,8−ジメトキシ−3,4−オクタンジオンジオキシム(式(1)中において、R1〜R4がいずれも水素原子であり、n1、n2がいずれも3であるα−ジオキシム)の合成
反応容器内に、上記で得た1,8−ジメトキシ−4,5−オクタジオン1.01g(5mmol)、メタノール13ml、塩化ヒドロキシルアンモニウム0.8g、及び蒸留水1.6mlを入れて、1時間64℃で加熱還流した。反応溶液を冷却した後、蒸留水20mlを加え、メタノールをロータリーエバポレーターにより減圧下で留去した。その後、ジエチルエーテル20mlを用い、残液に対して計3回溶媒抽出を行った。有機相を回収し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧下で留去した。得られた白色固体をメタノール/水で再結晶して白色針状結晶0.588g(2.53mmol)を得た。生成物を同定したところ、1,8−ジメトキシ−4,5−オクタンジオンジオキシムであることが確認された。収率は51%と高収率であった。
分析データを以下に示す。
1H−NMR(ppm、400MHz、DMSO−d6):1.60(m(多重線)、4H)、2.53(t(三重線)、4H)、3.18(s(一重線)、6H)、3.27(t(三重線)、4H)、11.36(s(一重線)、2H)
13C−NMR(ppm、400MHz、DMSO−d6):20.2、26.1、57.7、71.9、155.6
IR(cm−1、KBr錠剤法): 3288、2947、1617、1108
元素分析(C10H20N2O4):計算値C(51.71%)、H(8.68%)、N(12.06%)、O(27.55%)/燃焼法による測定値 C(51.8%)、H(8.73%)、N(11.6%)/熱分解法による測定値 O(26.8%)
質量分析(直接試料導入法、EI+、加速電圧70eV):41、45、68、215
【0020】
(従来例)
従来例として、J. Labelled. Compd. Radiopharm., Vol.31, 61−70(1992)
に記載の方法に基づいて、1,6−ジメトキシ−3,4−ヘキサンジオンジオキシムを合成した。
(i)1,6−ジメトキシ−3,4−ヘキサンジオンの合成
3−メトキシプロピオンアルデヒドを触媒存在下で縮合し、1,6−ジメトキシ−3−ヒドロキシ−4−オキソヘキサンを合成した(収率62%)。得られた1,6−ジメトキシ−3−ヒドロキシ−4−オキソヘキサンを酸化ビスマス(III)により酸化して1,6−ジメトキシ−3,4−ヘキサンジオンを得た(収率37%)。3−メトキシプロピオンアルデヒドを基準とした収率は23%であった。
(ii)1,6−ジメトキシ−3,4−ヘキサンジオンジオキシムの合成
上記で得た1,6−ジメトキシ−3,4−ヘキサンジオンをオキシム化し、再結晶により精製した。収率は17%であった。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、高収率で合成することが可能な新規のメトキシ基含有α−ジオキシムを提供することができる。
Claims (2)
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