JP2004182601A - アクリロニトリル系化合物幾何異性体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】アクリロニトリル系化合物の製造時にマイナーな成分として生成する有用な幾何異性体を異性化する製造方法を提供する。
【解決手段】一方の異性体を多く含む異性体混合物からなるアクリロニトリル系化合物を有機溶媒中、ピリジン系触媒の存在下処理する。特に、アクロロニトリル系化合物として、有害生物防除剤の有効成分として有用な2’−トリフロロメチル−2−[4−(2,6−ジフロロフェニル)チアゾール−2−イル]−3−(2,2−ジメチルペンタノイルオキシ)桂皮ニトリル(有用な異性体Sのみの単一化合物)である。
【選択図】なし
【解決手段】一方の異性体を多く含む異性体混合物からなるアクリロニトリル系化合物を有機溶媒中、ピリジン系触媒の存在下処理する。特に、アクロロニトリル系化合物として、有害生物防除剤の有効成分として有用な2’−トリフロロメチル−2−[4−(2,6−ジフロロフェニル)チアゾール−2−イル]−3−(2,2−ジメチルペンタノイルオキシ)桂皮ニトリル(有用な異性体Sのみの単一化合物)である。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有害生物防除剤の有効成分として有用であることが知られているアクリロニトリル化合物において、製造時メジャーな成分として得られる異性体を、有用な活性体であるマイナーな異性体に化学的な方法で異性化することによる異性体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明に係わるアクリロニトリル化合物は、有害性物防除剤として公知であり、該化合物には幾何異性体が存在することが知られている。(例えば特許文献1参照)
各異性体の存在割合は製造条件により異なるが、通常どちらか一方の異性体(メジャー体)に偏ることが多いので晶析等の操作で単離することができる。しかし少量しか生成しないマイナー体を効率良く単離するためには、マイナー体を主生成物に変える反応を開発するか、光反応による異性化を行いマイナー体の割合を増やして分離する等の方法があるが、前者は反応速度や反応時における熱力学的な解析を厳密に行わなければならないなど困難な場合が多い。また後者は完全に一方に偏らせることは不可能である上に、光反応という特殊な反応を用いるため工業的に有利な方法とは言いがたい。
アクリロニトリル系化合物の幾何異性体、その混合物及びそれらの製造方法に関し、一方の幾何異性体化合物を、他方の幾何異性体化合物よりも多く生成させる方法について述べられた文献も知られている。好ましくない異性体の存在比が多い場合、光反応を用いて好ましい異性体の存在比を向上させることも述べられているが、単離を行なっているわけではない。(特許文献2参照)
【特許文献1】国際公開WO98/35935号パンフレット
【特許文献2】国際公開WO01/09086号パンフレット
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明に係わるアクリロニトリル化合物は、従来の製造条件では大部分、一方の異性体が主生成物(メジャー異性体)として得られる。また、同時にマイナーな異性体も存在するが、そのマイナーな異性体がより有用な場合でも、マイナー異性体の製造・分離は著しく困難であった。
本発明は、アクリロニトリル系化合物の製造時にマイナーな成分として生成する有用な幾何異性体の簡便な製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは触媒等を用いる簡便な化学的異性化反応に注目し検討を重ねたところ、目的とするマイナーな異性体の生成比率が高まることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、一方の異性体を多く含む異性体混合物からなる式(1)
【化3】
[式中、Aは、下記式A1、A2、A3、A4、A5およびA6で表される基を表す。
【化4】
(式中、X1は、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C1-6ハロアルキル基、C1-6アルコキシ基、置換基を有してもよいC3-6シクロアルキル基、W1で置換されてもよいピリジル基、W1で置換されてもよいチエニル基、W1で置換されてもよいフェニル基またはW1で置換されてもよいフェノキシ基を表し、
X2は、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C1-6ハロアルキル基、C1-6アルコキシカルボニル基、C3-6シクロアルキル基またはW1で置換されてもよいフェニル基を表し、
X3およびX4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシカルボニル基を表し、
X5は、水素原子、C1-6アルキル基、C1-6シクロアルキル基、C1-6ハロアルキル基、C1-6アルコキシC1-6アルキル基を表し、
X6は、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C1-6ハロアルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルコキシC1-6アルキル基、C1-6アルコキシカルボニル基、W1で置換されてもよいフェニル基を表し、
X7は、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C1-6シクロアルキル基、C1-6ハロアルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6ハロアルコキシ基、W1で置換されてもよいフェニル基、W1で置換されてもよいピリジル基、W1で置換されてもよいチエニル基、W1で置換されてもよいピリジルオキシ基を表し、
nは、0または1−5の整数を表す。
W1は、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C1-6シクロアルキル基、C1-6ハロアルキル基、C1-6アルコキシ基またはC1-6ハロアルコキシ基を表す。)で表される基から選ばれる1種の基を表す。W1は、同一または相異なって複数置換していてもよい。)
Bは、W2で置換されてもよいフェニル基またはW2で置換されてもよい複素環基を表し、
W2は、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C1-6ハロアルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6ハロアルコキシ基、C3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基または置換基を有してもよいフェノキシ基を表し、W2は、同一または相異なって複数置換していてもよい。
W2で置換されてもよい複素環基は、トリアゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チエニル、フリル、ピロリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニルからなる群から選ばれる一種の基である。
Rは、式COR1で表される基を表し、
R1は、C1-12アルキル基、C1-6ハロアルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルコキシC1-6アルキル基、C1-6アルキルチオ基、C1-6アルキルチオC1-6アルキル基、モノC1-6アルキルアミノ基、ジC1-6アルキルアミノ基、置換基を有してもよいC3-6シクロアルキル基、置換基を有してもよいフェニルC1-6アルキル基、置換基を有してもよいフェノキシC1-6アルキル基、置換基を有してもよいフェニルチオC1-6アルキル基または置換基を有してもよいフェニル基を表す。]
で表される化合物を有機溶媒中、触媒の存在下処理することを特徴とする、もう一方のマイナーだった異性体の製造方法である。
以下本発明を詳細に説明する。
前記式(1)で表される化合物は通常下記反応により製造され、
【化5】
(式中 Xはハロゲン原子を表し、A,BおよびRは前記と同様の意味を表す。)
下記式 (1-1)、および(1-2)で表される混合物からなる。
【化6】
A、B、Rの種により、何れの異性体が主生成物(メジャー体)として得られるか、何れの異性体が有用活性成分であるかが異なるが、本発明は、マイナー体として得られる異性体が有用活性成分である場合に有用である。
【0005】
本発明の実施にあたっては、前記式(1)で表される異性体混合物を有機溶媒に溶かし、触媒を加え一定時間後にメジャー体、マイナー体の生成比が変化した異性体混合物を得る。
触媒としては、好ましくはピリジン系塩基が用いられ、具体的にはγ-ピコリン、β−ピコリン、ピリジン、4−アミノピリジン、γ−コリジン、ジメチルアミノピリジン等が挙げられる。
使用される有機溶媒としては、化合物(1)に対して不活性であれば、特に限定されないが、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ベンゼンやトルエン等の芳香族系溶媒が挙げられる。
塩基の使用量はその種類にもよるが、触媒量(0.1mol%〜1mol%)から2当量の間で用いる。好ましくは、触媒量である。
芳香族系溶媒中での反応時間は触媒量、反応溶媒、反応温度にも影響されるが10分から20日の間で行われる。反応はHPLCで追跡して、異性化が平衡に達するまで行われる。
反応温度は室温から150℃の間で行われるが、異性化が平衡に達するまで行われ、通常は室温から110℃の間で行われる。
最も好ましい態様としては、ジメチルアミノピリジンを触媒として、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶媒を用いると、短時間で異性化が平衡に達し、目的とする異性体が過半成分として得られる。
異性体が検出される順序は逆相液体クロマトグラフィー(HPLC)の保持時間の差により決定されるが、その順序は化合物により異なる。
後処理は、通常の方法が適用できるが、例えば、水を注ぎ、混合物は必要に応じて有機溶媒で抽出し溶媒を溜去することにより目的とする異性体を主成分として含む結晶が得られる。
【0006】
目的とする一方の異性体の分離方法としては、例えば本発明者らによる特願2002-069834号に記載されている方法が適用できる。該方法によれば、不要な異性体は分解されOH体(2)となるので、下記式に示すようにリサイクル使用することにより、更に目的とする有用異性体の収率を向上させることができる。
【化7】
【0007】
【実施例】
次に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。
なおHPLCで短い保持時間を有する異性体をS(メジャーな異性体)、HPLCで長い保持時間を有する異性体をL(マイナーな異性体)と表記する。
実施例 1
2‘−トリフロロメチル−2−[4−(2,6−ジフロロフェニル)チアゾール−2−イル]−3−(2,2−ジメチルペンタノイルオキシ)桂皮ニトリル(異性体Sのみの単一化合物)0.5gを5mlのトルエン中に溶かし、触媒として1当量のγ-ピコリンを加え、室温で6日間攪拌した。HPLCで異性化が平衡に達するのを確認した後、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、トルエンを溜去してHPLCで異性体S:異性体Lが50:46の異性体混合物を得た。この混合物を5mlのジメチルスルホキシド中に溶かし、40℃で4時間加熱攪拌した。HPLCで異性体Sが消失するのを確認した後、50mlの水に注ぎ、析出した結晶をろ過した。次に、ろ液を酢酸エチルで抽出し、10%水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、酢酸エチルを溜去してHPLCで長い保持時間を有する異性体Lの結晶を0.23g、収率45%で得た。この化合物は、標品の異性体Lと同一化合物であった。
【0008】
実施例 2
2‘−トリフロロメチル−2−[4−(2,6−ジフロロフェニル)チアゾール−2−イル]−3−(2,2−ジメチルペンタノイルオキシ)桂皮ニトリル(異性体Sのみの単一化合物)0.5gを5mlのトルエン中に溶かし、1mol%のジメチルアミノピリジンを加え、30分加熱還流した。HPLCで異性化が平衡に達するのを確認した後、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、トルエンを溜去し、HPLCで異性体S:異性体Lが45:54の異性体混合物を得た。この混合物を(実施例1)と同様の方法で単離し、HPLCで長い保持時間を有する異性体Lの結晶を0.27g、収率53%で得た。
【0009】
実施例 3
2‘−トリフロロメチル−2−[4−(2,6−ジフロロフェニル)チアゾール−2−イル]−3−(2,2−ジメチルペンタノイルオキシ)桂皮ニトリル(異性体Sのみの単一化合物)10.5gを11mlのクロロホルム中に溶かし、触媒として0.2当量のγ-ピコリンを加え、室温で40℃で22時間攪拌した。HPLCで異性化が平衡に達するのを確認した後、水で洗浄し、クロロホルムを溜去してHPLCで異性体S:異性体Lが58:42の異性体混合物を得た。
【0010】
実施例 4
2‘−トリフロロメチル−2−[4−(2,6−ジフロロフェニル)チアゾール−2−イル]−3−(2,2−ジメチルペンタノイルオキシ)桂皮ニトリル(異性体Sのみの単一化合物)0.2gを3mlのトルエン中に溶かし、触媒として0.4当量の3,5-ルチジンを加え、室温で16日間攪拌した。HPLCで異性化が平衡に達するのを確認した後、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、トルエンを溜去してHPLCで異性体S:異性体Lが52:48の異性体混合物を得た。
【0011】
HPLC条件:
カラム:Inertsil ODS-3(150x4.6mmI.D.)GLサイエンス社
移動相:アセトニトリル:水:10%リン酸=850:150:1
流 速:1ml/min
検出波長:250nm
HPLC保持時間 異性体S:7.4分、異性体L:7.9分
【0012】
【発明の効果】
本発明により、製造分離が困難であるが、有用な活性体であるマイナーな異性体の生成比率を大幅に高めたことにより、効率よく大量に製造することが可能となった。
【発明の属する技術分野】
本発明は、有害生物防除剤の有効成分として有用であることが知られているアクリロニトリル化合物において、製造時メジャーな成分として得られる異性体を、有用な活性体であるマイナーな異性体に化学的な方法で異性化することによる異性体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明に係わるアクリロニトリル化合物は、有害性物防除剤として公知であり、該化合物には幾何異性体が存在することが知られている。(例えば特許文献1参照)
各異性体の存在割合は製造条件により異なるが、通常どちらか一方の異性体(メジャー体)に偏ることが多いので晶析等の操作で単離することができる。しかし少量しか生成しないマイナー体を効率良く単離するためには、マイナー体を主生成物に変える反応を開発するか、光反応による異性化を行いマイナー体の割合を増やして分離する等の方法があるが、前者は反応速度や反応時における熱力学的な解析を厳密に行わなければならないなど困難な場合が多い。また後者は完全に一方に偏らせることは不可能である上に、光反応という特殊な反応を用いるため工業的に有利な方法とは言いがたい。
アクリロニトリル系化合物の幾何異性体、その混合物及びそれらの製造方法に関し、一方の幾何異性体化合物を、他方の幾何異性体化合物よりも多く生成させる方法について述べられた文献も知られている。好ましくない異性体の存在比が多い場合、光反応を用いて好ましい異性体の存在比を向上させることも述べられているが、単離を行なっているわけではない。(特許文献2参照)
【特許文献1】国際公開WO98/35935号パンフレット
【特許文献2】国際公開WO01/09086号パンフレット
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明に係わるアクリロニトリル化合物は、従来の製造条件では大部分、一方の異性体が主生成物(メジャー異性体)として得られる。また、同時にマイナーな異性体も存在するが、そのマイナーな異性体がより有用な場合でも、マイナー異性体の製造・分離は著しく困難であった。
本発明は、アクリロニトリル系化合物の製造時にマイナーな成分として生成する有用な幾何異性体の簡便な製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは触媒等を用いる簡便な化学的異性化反応に注目し検討を重ねたところ、目的とするマイナーな異性体の生成比率が高まることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、一方の異性体を多く含む異性体混合物からなる式(1)
【化3】
[式中、Aは、下記式A1、A2、A3、A4、A5およびA6で表される基を表す。
【化4】
(式中、X1は、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C1-6ハロアルキル基、C1-6アルコキシ基、置換基を有してもよいC3-6シクロアルキル基、W1で置換されてもよいピリジル基、W1で置換されてもよいチエニル基、W1で置換されてもよいフェニル基またはW1で置換されてもよいフェノキシ基を表し、
X2は、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C1-6ハロアルキル基、C1-6アルコキシカルボニル基、C3-6シクロアルキル基またはW1で置換されてもよいフェニル基を表し、
X3およびX4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシカルボニル基を表し、
X5は、水素原子、C1-6アルキル基、C1-6シクロアルキル基、C1-6ハロアルキル基、C1-6アルコキシC1-6アルキル基を表し、
X6は、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C1-6ハロアルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルコキシC1-6アルキル基、C1-6アルコキシカルボニル基、W1で置換されてもよいフェニル基を表し、
X7は、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C1-6シクロアルキル基、C1-6ハロアルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6ハロアルコキシ基、W1で置換されてもよいフェニル基、W1で置換されてもよいピリジル基、W1で置換されてもよいチエニル基、W1で置換されてもよいピリジルオキシ基を表し、
nは、0または1−5の整数を表す。
W1は、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C1-6シクロアルキル基、C1-6ハロアルキル基、C1-6アルコキシ基またはC1-6ハロアルコキシ基を表す。)で表される基から選ばれる1種の基を表す。W1は、同一または相異なって複数置換していてもよい。)
Bは、W2で置換されてもよいフェニル基またはW2で置換されてもよい複素環基を表し、
W2は、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C1-6ハロアルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6ハロアルコキシ基、C3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基または置換基を有してもよいフェノキシ基を表し、W2は、同一または相異なって複数置換していてもよい。
W2で置換されてもよい複素環基は、トリアゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チエニル、フリル、ピロリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニルからなる群から選ばれる一種の基である。
Rは、式COR1で表される基を表し、
R1は、C1-12アルキル基、C1-6ハロアルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルコキシC1-6アルキル基、C1-6アルキルチオ基、C1-6アルキルチオC1-6アルキル基、モノC1-6アルキルアミノ基、ジC1-6アルキルアミノ基、置換基を有してもよいC3-6シクロアルキル基、置換基を有してもよいフェニルC1-6アルキル基、置換基を有してもよいフェノキシC1-6アルキル基、置換基を有してもよいフェニルチオC1-6アルキル基または置換基を有してもよいフェニル基を表す。]
で表される化合物を有機溶媒中、触媒の存在下処理することを特徴とする、もう一方のマイナーだった異性体の製造方法である。
以下本発明を詳細に説明する。
前記式(1)で表される化合物は通常下記反応により製造され、
【化5】
(式中 Xはハロゲン原子を表し、A,BおよびRは前記と同様の意味を表す。)
下記式 (1-1)、および(1-2)で表される混合物からなる。
【化6】
A、B、Rの種により、何れの異性体が主生成物(メジャー体)として得られるか、何れの異性体が有用活性成分であるかが異なるが、本発明は、マイナー体として得られる異性体が有用活性成分である場合に有用である。
【0005】
本発明の実施にあたっては、前記式(1)で表される異性体混合物を有機溶媒に溶かし、触媒を加え一定時間後にメジャー体、マイナー体の生成比が変化した異性体混合物を得る。
触媒としては、好ましくはピリジン系塩基が用いられ、具体的にはγ-ピコリン、β−ピコリン、ピリジン、4−アミノピリジン、γ−コリジン、ジメチルアミノピリジン等が挙げられる。
使用される有機溶媒としては、化合物(1)に対して不活性であれば、特に限定されないが、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ベンゼンやトルエン等の芳香族系溶媒が挙げられる。
塩基の使用量はその種類にもよるが、触媒量(0.1mol%〜1mol%)から2当量の間で用いる。好ましくは、触媒量である。
芳香族系溶媒中での反応時間は触媒量、反応溶媒、反応温度にも影響されるが10分から20日の間で行われる。反応はHPLCで追跡して、異性化が平衡に達するまで行われる。
反応温度は室温から150℃の間で行われるが、異性化が平衡に達するまで行われ、通常は室温から110℃の間で行われる。
最も好ましい態様としては、ジメチルアミノピリジンを触媒として、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶媒を用いると、短時間で異性化が平衡に達し、目的とする異性体が過半成分として得られる。
異性体が検出される順序は逆相液体クロマトグラフィー(HPLC)の保持時間の差により決定されるが、その順序は化合物により異なる。
後処理は、通常の方法が適用できるが、例えば、水を注ぎ、混合物は必要に応じて有機溶媒で抽出し溶媒を溜去することにより目的とする異性体を主成分として含む結晶が得られる。
【0006】
目的とする一方の異性体の分離方法としては、例えば本発明者らによる特願2002-069834号に記載されている方法が適用できる。該方法によれば、不要な異性体は分解されOH体(2)となるので、下記式に示すようにリサイクル使用することにより、更に目的とする有用異性体の収率を向上させることができる。
【化7】
【0007】
【実施例】
次に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。
なおHPLCで短い保持時間を有する異性体をS(メジャーな異性体)、HPLCで長い保持時間を有する異性体をL(マイナーな異性体)と表記する。
実施例 1
2‘−トリフロロメチル−2−[4−(2,6−ジフロロフェニル)チアゾール−2−イル]−3−(2,2−ジメチルペンタノイルオキシ)桂皮ニトリル(異性体Sのみの単一化合物)0.5gを5mlのトルエン中に溶かし、触媒として1当量のγ-ピコリンを加え、室温で6日間攪拌した。HPLCで異性化が平衡に達するのを確認した後、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、トルエンを溜去してHPLCで異性体S:異性体Lが50:46の異性体混合物を得た。この混合物を5mlのジメチルスルホキシド中に溶かし、40℃で4時間加熱攪拌した。HPLCで異性体Sが消失するのを確認した後、50mlの水に注ぎ、析出した結晶をろ過した。次に、ろ液を酢酸エチルで抽出し、10%水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、酢酸エチルを溜去してHPLCで長い保持時間を有する異性体Lの結晶を0.23g、収率45%で得た。この化合物は、標品の異性体Lと同一化合物であった。
【0008】
実施例 2
2‘−トリフロロメチル−2−[4−(2,6−ジフロロフェニル)チアゾール−2−イル]−3−(2,2−ジメチルペンタノイルオキシ)桂皮ニトリル(異性体Sのみの単一化合物)0.5gを5mlのトルエン中に溶かし、1mol%のジメチルアミノピリジンを加え、30分加熱還流した。HPLCで異性化が平衡に達するのを確認した後、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、トルエンを溜去し、HPLCで異性体S:異性体Lが45:54の異性体混合物を得た。この混合物を(実施例1)と同様の方法で単離し、HPLCで長い保持時間を有する異性体Lの結晶を0.27g、収率53%で得た。
【0009】
実施例 3
2‘−トリフロロメチル−2−[4−(2,6−ジフロロフェニル)チアゾール−2−イル]−3−(2,2−ジメチルペンタノイルオキシ)桂皮ニトリル(異性体Sのみの単一化合物)10.5gを11mlのクロロホルム中に溶かし、触媒として0.2当量のγ-ピコリンを加え、室温で40℃で22時間攪拌した。HPLCで異性化が平衡に達するのを確認した後、水で洗浄し、クロロホルムを溜去してHPLCで異性体S:異性体Lが58:42の異性体混合物を得た。
【0010】
実施例 4
2‘−トリフロロメチル−2−[4−(2,6−ジフロロフェニル)チアゾール−2−イル]−3−(2,2−ジメチルペンタノイルオキシ)桂皮ニトリル(異性体Sのみの単一化合物)0.2gを3mlのトルエン中に溶かし、触媒として0.4当量の3,5-ルチジンを加え、室温で16日間攪拌した。HPLCで異性化が平衡に達するのを確認した後、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、トルエンを溜去してHPLCで異性体S:異性体Lが52:48の異性体混合物を得た。
【0011】
HPLC条件:
カラム:Inertsil ODS-3(150x4.6mmI.D.)GLサイエンス社
移動相:アセトニトリル:水:10%リン酸=850:150:1
流 速:1ml/min
検出波長:250nm
HPLC保持時間 異性体S:7.4分、異性体L:7.9分
【0012】
【発明の効果】
本発明により、製造分離が困難であるが、有用な活性体であるマイナーな異性体の生成比率を大幅に高めたことにより、効率よく大量に製造することが可能となった。
Claims (2)
- 一方の異性体を多く含む異性体混合物からなる式(1)
X2は、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C1-6ハロアルキル基、C1-6アルコキシカルボニル基、C3-6シクロアルキル基またはW1で置換されてもよいフェニル基を表し、
X3およびX4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシカルボニル基を表し、
X5は、水素原子、C1-6アルキル基、C1-6シクロアルキル基、C1-6ハロアルキル基、C1-6アルコキシC1-6アルキル基を表し、
X6は、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C1-6ハロアルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルコキシC1-6アルキル基、C1-6アルコキシカルボニル基、W1で置換されてもよいフェニル基を表し、
X7は、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C1-6シクロアルキル基、C1-6ハロアルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6ハロアルコキシ基、W1で置換されてもよいフェニル基、W1で置換されてもよいピリジル基、W1で置換されてもよいチエニル基、W1で置換されてもよいピリジルオキシ基を表し、
nは、0または1−5の整数を表す。
W1は、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C1-6シクロアルキル基、C1-6ハロアルキル基、C1-6アルコキシ基またはC1-6ハロアルコキシ基を表す。)で表される基から選ばれる1種の基を表す。W1は、同一または相異なって複数置換していてもよい。)
Bは、W2で置換されてもよいフェニル基またはW2で置換されてもよい複素環基を表し、
W2は、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C1-6ハロアルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6ハロアルコキシ基、C3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基または置換基を有してもよいフェノキシ基を表し、W2は、同一または相異なって複数置換していてもよい。
W2で置換されてもよい複素環基は、トリアゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チエニル、フリル、ピロリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニルからなる群から選ばれる一種の基である。
Rは、式COR1で表される基を表し、
R1は、C1-12アルキル基、C1-6ハロアルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルコキシC1-6アルキル基、C1-6アルキルチオ基、C1-6アルキルチオC1-6アルキル基、モノC1-6アルキルアミノ基、ジC1-6アルキルアミノ基、置換基を有してもよいC3-6シクロアルキル基、置換基を有してもよいフェニルC1-6アルキル基、置換基を有してもよいフェノキシC1-6アルキル基、置換基を有してもよいフェニルチオC1-6アルキル基または置換基を有してもよいフェニル基を表す。]
で表される化合物を有機溶媒中、触媒の存在下処理することを特徴とする、もう一方のマイナーだった異性体の製造方法。 - 触媒がピリジン系触媒である請求項1記載の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002331489A JP2004182601A (ja) | 2002-10-09 | 2002-11-15 | アクリロニトリル系化合物幾何異性体の製造方法 |
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JP (1) | JP2004182601A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007100161A1 (en) * | 2006-03-03 | 2007-09-07 | Nissan Chemical Industries, Ltd. | Method for preferential production of geometric isomers and isolation method |
-
2002
- 2002-11-15 JP JP2002331489A patent/JP2004182601A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2007100161A1 (en) * | 2006-03-03 | 2007-09-07 | Nissan Chemical Industries, Ltd. | Method for preferential production of geometric isomers and isolation method |
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