JP2004181735A - 被膜形成品及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】外部に露出する表面に、被膜形成樹脂中に微粒子を均一に分散した組成を有する透明な硬化被膜を形成した被膜形成品に関する。被膜形成樹脂と微粒子のいずれか一方は、指紋油脂又は機械油の屈折率nより小さい屈折率を有すると共に、いずれか他方は屈折率nより大きい屈折率を有し、且つ硬化被膜は屈折率が実質的にnとなるように調整して形成されている。指紋油脂又は機械油と屈折率が実質的に等しい硬化被膜の間で光が干渉を起こすことを低減することができる。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、指紋油脂や機械油が付着し易いものの表面に硬化被膜を形成した被膜形成品及び被膜形成品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
各種の物品の表面にコーティング材を塗布して透明な被膜を形成することが従来から行なわれている。例えば、オルガノシロキサンを主成分として含有するコーティング材を塗布し、硬化させることによってシリコーン樹脂の硬化被膜を形成することが行なわれている。このシリコーン樹脂被膜の表面はガラス質のような性状を示すため、物品の表面に付着した水をはじく有機物等(シリコーン樹脂被膜の表面に付着したものやシリコーン樹脂被膜の表面に含まれるもの)が雨水などによって洗浄除去され易くなり、また表面が水に濡れ(馴染み)易くなるという親水性(水濡れ性)の向上もあり、低汚染表面を実現する効果等が期待できるのである。
【0003】
しかし、例えばこのシリコーン樹脂の硬化被膜の表面に人の手が触れた際に、人の手にある油脂が指紋として付着し、油脂の薄膜が形成される。そしてこの油脂は、一般にシリコーン樹脂の硬化被膜の屈折率に比べて大きな屈折率を有する透明な被膜形成要素であるため、油脂の薄膜が数十nm〜数百nmの膜厚領域では、油脂の薄膜と硬化被膜との間で可視光領域の波長の光が干渉を起こし、油脂が指紋として付着している跡に指紋の干渉模様が浮き出て見えることになる。このように表面に付着した指紋が浮き出て見えると、例えば、タッチパネルやブラウン管などのディズプレーにおいて、視認性の悪化を引き起こすことになるという問題を有するものであった。
【0004】
また、機械油が表面に付着して薄膜が形成された場合にも、その膜厚むらに応じて硬化被膜との間で虹色の干渉色が生じ、同様な問題が発生するものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、表面に指紋油脂や機械油が付着しても、光の干渉の発生を低減して、付着跡が目立たないようにすることができる被膜形成品及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る被膜形成品は、外部に露出する表面に、被膜形成樹脂中に微粒子を均一に分散した組成を有する透明な硬化被膜を形成した被膜形成品であって、被膜形成樹脂と微粒子のいずれか一方は、指紋油脂又は機械油の屈折率nより小さい屈折率を有すると共に、いずれか他方は屈折率nより大きい屈折率を有し、且つ硬化被膜は屈折率が実質的にnとなるように調整して形成されていることを特徴とするものである。
【0007】
また請求項2の発明は、請求項1において、被膜形成樹脂はnより小さい屈折率を有する透明なシリコーン樹脂であり、微粒子は屈折率がnより大きいものであることを特徴とするものである。
【0008】
また請求項3の発明は、請求項1又は2において、上記微粒子が、金属酸化物ゾルであることを特徴とするものである。
【0009】
また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、上記微粒子の粒子径が、5nm〜200nmの範囲であることを特徴とするものである。
【0010】
また請求項5の発明は、請求項4において、上記微粒子の粒子径が、10nm〜150nmの範囲であることを特徴とするものである。
【0011】
また請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれかにおいて、上記硬化被膜の屈折率は、指紋油脂の主成分であるオレイン酸の屈折率nと実質的に同等に調整されていることを特徴とするものである。
【0012】
また請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれかにおいて、上記硬化被膜の屈折率は、n±0.02であることを特徴とするものである。
【0013】
請求項8の発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載の被膜形成品がディスプレーであって、その最表面に上記硬化被膜が形成されていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項9の発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載の被膜形成品が指紋認証装置の指紋認識部位パネルであって、その最表面に上記硬化被膜が形成されていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項10の発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載の被膜形成品がレンズであって、その最表面に上記硬化被膜が形成されていることを特徴とするものである。
【0016】
請求項11の発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載の被膜形成品が窓ガラスであって、その最表面に上記硬化被膜が形成されていることを特徴とするものである。
【0017】
請求項12の発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載の被膜形成品が商品展示用ガラスであって、その最表面に上記硬化被膜が形成されていることを特徴とするものである。
【0018】
請求項13の発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載の被膜形成品が商品保護用透明部材であって、その最表面に上記硬化被膜が形成されていることを特徴とするものである。
【0019】
請求項14の発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載の被膜形成品が物品の表面被覆用の透明シートであって、その最表面に上記硬化被膜が形成されていることを特徴とするものである。
【0020】
本発明の請求項15に係る被膜形成品の製造方法は、外部に露出する表面に、被膜形成樹脂中に微粒子を均一に分散した組成のコーティング材を塗布し、透明な硬化被膜を形成して被膜形成品を製造するにあたって、被膜形成樹脂と微粒子として、いずれか一方が指紋油脂又は機械油の屈折率nより小さい屈折率を有するものを用いると共に、いずれか他方が屈折率nより大きい屈折率を有するものを用い、膜としての屈折率が実質的にnと同等になるように調整して硬化被膜を形成することを特徴とするものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0022】
本発明において、物品の表面に被膜を形成するための被膜形成樹脂としては、特に制限されるものではないが、シリコーン樹脂を好適に用いることができる。このシリコーン樹脂は、
(A)成分:一般式Si(OR)4…(1)(但しRは1価の炭化水素基)
で表される有機ケイ素アルコキシドの加水分解物及び/又は部分加水分解物からなるものである。
【0023】
上記の(A)成分のアルコキシドの加水分解物及び部分加水分解物は、バインダー樹脂及び造膜成分として用いられるとともに、コーティング被膜に表面親水性(水濡れ性)を付加することによって、被膜に防曇性、雨水洗浄による防汚性等をもたらす成分である。上記、アルコキシドの加水分解物及び部分加水分解物は、その形態を特に限定されず、例えば、溶液状のものでも分散液状のもの等でも構わない。
【0024】
(A)成分の式中のRは、1価の炭化水素基であれば特に限定されないが、炭素数1〜8の1価の炭化水素基が好適であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などのアルキル基等を例示することができる。アルコキシ基中に含有されるアルキル基のうち、炭素数が3以上のものについては、n−プロピル基、n−ブチル基等のように直鎖状のものであってもよいし、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基等のように分岐を有するものであってもよい。アルコキシドの(部分)加水分解時に存在する水の量は、特に限定されない。また、アルコキシドを部分加水分解する際に必要に応じて用いられる触媒としては、特に限定されないが製造工程にかかる時間を短縮する点から、酸性触媒が好ましい。酸性触媒としては、特に限定されないが、例えば、酢酸、クロロ酢酸、クエン酸、安息香酸、ジメチルマロン酸、蟻酸、プロピオン酸、グルタール酸、グリコール酸、マレイン酸、マロン酸、トルエンスルホン酸、シュウ酸などの有機酸;塩酸、硝酸、ハロゲン化シラン等の無機酸;酸性コロイダルシリカ、酸化チタニアゾル等の酸性ゾル状フィラー等が挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。アルコキシドの(部分)加水分解は、必要に応じて、例えば40〜100℃の加熱温度で加温して行なってもよい。
【0025】
アルコキシドの(部分)加水分解は、必要に応じ、適当な溶媒で希釈して行なってもよい。このような希釈溶媒としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等の低級脂肪族アルコール;エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコール誘導体;ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコール誘導体;およびジアセトンアルコール等を挙げることができ、これらからなる群より選ばれた1種もしくは2種以上のものを使用することができる。これらの親水性有機溶媒と併用して、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトオキシム等の1種もしくは2種以上のものを使用することができる。
【0026】
本発明で用いるアルコキシドの部分加水分解物の重量平均分子量は特に限定されるものではないが、500〜8000の範囲が好ましい。これは、500未満の場合は、加水分解物が不安定になり、8000を超える場合は、コーティング被膜が十分な硬度を保てない等の不都合があるからである。
【0027】
また、本発明で用いるシリコーン樹脂成分に1種類以上のシリカ成分((B)成分)を必要に応じて加えることが、シリコーン樹脂被膜の硬度向上、安定性向上、造膜性向上の面で好ましい。この(B)成分としては、特に限定はされず、公知のものを使用できる。シリカの形態としては、特に制限されず、例えば粉体の形でもゾル状の形(コロイダルシリカ)でもよい。コロイダルシリカとしては、特に限定はされないが、例えば水分散性あるいはアルコール等の非水系の有機溶剤分散性コロイダルシリカが使用できる。一般にこのようなコロイダルシリカは、固形分としてのシリカを20〜50質量%含有しており、この値からシリカ配合量を決定できる。尚、水分散性コロイダルシリカを使用する場合には、このコロイダルシリカ中に固形分以外として存在する水は、アルコキシドの(部分)加水分解に使用できるものであり、(部分)加水分解の際の水の使用量に加算される。水分散コロイダルシリカは、通常、水ガラスから作られるが、市販品として容易に入手することができる。
【0028】
また、有機溶媒分散性コロイダルシリカは、前記水分散性コロイダルシリカの水を有機溶媒と置換することで容易に調製することができる。このような有機溶媒コロイダルシリカも水分散性コロイダルシリカと同様に市販品として容易に入手できる。有機溶媒コロイダルシリカにおいて、コロイダルシリカが分散している有機溶媒の種類は、特に限定はされないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等の低級脂肪族アルコール類;エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコール誘導体;ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコール誘導体;およびジアセトンアルコール等を挙げることができ、これらからなる群より選ばれた1種もしくは2種以上のものを使用することができる。これらの親水性有機溶媒と併用して、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトオキシム等の1種もしくは2種以上のものを使用することができる。
【0029】
(B)成分のシリカの配合量としては、特に限定はされないが、例えば、固形分換算で(A)成分と(B)成分の合計質量に対し、その質量比(B/(A+B)が固形分換算で0.20〜0.95の範囲が好ましく、より好ましくは0.65〜0.9の割合である。0.2未満であると添加したシリカフィラーの効果が十分得られにくい傾向があり、初期親水性を得られ難くなる。また、0.95を超えると被膜の造膜性が悪くなり、耐摩耗性の悪化又は、被膜の白化の原因となる。このシリカフィラーを分散媒中に均一に分散させる方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、ホモジナイザ、ディスパー、ペイントシェイカー、ビーズミル等を用いた通常の各種分散方法を用いることができる。
【0030】
上記シリカは、粉末、微粒子粉末、溶液分散ゾル粒子等、分散可能なものであれば、いかなる形態のものでも構わないが、ゾル状、特にpH7以下のゾル状であれば、硬化がより短時間で進み、使用する上で利便性に優れる。使用される分散媒としては、微粒子を均一に分散させる事ができるものであれば特に限定されず、水系、非水系のいずれの溶剤も用いることができる。水系溶剤としては、特に限定はされないが、例えば、水単独の他、親水性有機溶剤、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等の低級脂肪酸アルコール類;エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコール誘導体;ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコール誘導体;ジアセトンアルコール等の少なくとも1種と水との混合溶剤を用いる事ができる。上記の水系溶剤の中でも、水−メタノール混合溶剤が、微粒子の分散安定性と、塗布後の分散溶媒の乾燥の点で好ましい。さらに、水系のゾルを用いることにより、ゾルにアルコキシドの加水分解時の酸性触媒の機能をも兼ねさせることもできる。非水系溶剤としては、特に限定されないが、例えば上記親水性有機溶剤と、トルエン、キシレン等の疎水性有機溶剤とからなる群の中から選ばれた少なくとも1種を用いることができる。これらの非水系溶剤の中でも、メタノールが、分散安定性と塗布後の分散媒の乾燥性の点で好ましい。また、アルコキシドを部分加水分解する際に必要に応じて用いられる触媒としては、特には限定されないが、製造工程にかかる時間を短縮する点から、酸性触媒が好ましい。酸性触媒としては、特に限定されないが、例えば、酢酸、クロロ酢酸、クエン酸、安息香酸、ジメチルマロン酸、蟻酸、プロピオン酸、グルタール酸、グリコール酸、マレイン酸、マロン酸、トルエンスルホン酸、シュウ酸などの有機酸;塩酸、硝酸、ハロゲン化シラン等の無機酸;酸性コロイダルシリカ、酸化チタニアゾル等の酸性ゾル状フィラー等が挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。
【0031】
ここで、人の手が物品の表面に触れることによって指紋として付着する油脂の主成分はオレイン酸であり、オレイン酸の屈折率nは1.45である。また機械油が物品の表面に付着することもあり、機械油の屈折率nは1.48である。一方、上記のシリコーン樹脂の被膜の屈折率は一般に、これらの油分の屈折率nより小さい。そこで本発明ではこの透明な被膜形成樹脂であるシリコーン樹脂に、屈折率nより大きい屈折率を有する微粒子((C)成分)を均一に分散して配合してコーティング材として用いるものである。
【0032】
この(C)成分の微粒子としては、特に限定されず、公知のものを使用することができるが、例えば、ZrO2,SnO2,PZT(チタン酸ジルコン酸鉛),Y2O3,TiO2、In2O3,ITO,α−Al2O3、HAP,Fe2O3,Fe3O4,ZnO,BaTiO3,MgF2,TiN,Sb2O3,CaF2,CeO2,CeF3,Na3AlF6,La2O3,LaF3,PbF2,NdF3,Pr5O11,SiO,ThO2、ThF4,ZnS等を挙げることができ、これらを1種または2種以上使用することができる。これらの中でも、シリコーン樹脂と相溶性が良く分散安定性を有する点から、特に金属酸化物ゾルが好ましい。
【0033】
(C)成分の微粒子の配合量は、物品の表面に形成する透明シリコーン樹脂の硬化被膜としての屈折率が、実質的に物品の表面に付着する指紋油脂や機械油の屈折率nと同等の屈折率になるよう調整することができればよく、特に限定はされないが、例えば、固形分換算で(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計質量に対する質量比(C/(A+B+C))が0.01〜0.9の範囲になるように設定するのが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5の範囲である。微粒子の配合比率が0.01未満であると、微粒子の添加による硬化被膜の屈折率向上の効果を十分に得ることができない傾向がある。また微粒子の配合比率が0.9を超えると、被膜の造膜性が悪くなり、耐摩耗性の悪化又は、硬化被膜の白化の原因となる。この微粒子を分散媒中に分散させる方法は、特に限定されるものではなく、例えば、ホモジナイザ、デイスパー、ペイントシェイカー、ビーズミル等を用いた通常の各種方法を用いることができる。
【0034】
また上記(C)成分の微粒子は、粉末、微粒子粉末、溶液分散ゾル粒子等、分散可能なものであれば、いかなる形態のものでも構わないが、ゾル状、特にpH7以下のゾル状であれば、硬化がより短時間で進み、使用する上で利便性に優れる。使用される分散媒としては、(C)成分の微粒子を均一に分散させることができるものであれば特に限定されず、水系、非水系のいずれの溶剤も用いることができる。水系溶剤としては、特に限定されないが、例えば、水単独の他、親水性有機溶剤、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等の低級脂肪族アルコール類;エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコール誘導体;ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコール誘導体;ジアセトンアルコール等の少なくとも1種と水との混合溶剤を用いる事ができる。上記の水系溶剤の中でも、水−エタノール混合溶剤が、微粒子の分散安定性と、塗布後の分散溶媒の乾燥の点で好ましい。さらに、水系のゾルを用いることにより、アルコキシドの加水分解時の酸性触媒の機能をも兼ねさせることもできる。非水系溶剤としては、特に限定されないが、例えば上記親水性有機溶剤と、トルエン、キシレン等の疎水性有機溶剤とからなる群の中から選ばれた少なくとも1種を用いることができる。これらの非水系溶剤の中でも、メタノールが、分散安定性と塗布後の分散媒の乾燥性の点で好ましい。
【0035】
また、(C)成分の微粒子の粒子径は、10nm以下、特に5nm以下では後述のように硬化被膜を形成する際の微粒子の均一分散の安定性が悪く、凝集を起こし易くなる可能性がある。また粒子径が150nm以上、特に200nm以上では、粒子径が硬化被膜の膜厚以上になってしまうことがあり、硬化被膜の膜強度を劣化させるおそれがある。このために微粒子の粒子径は5nm〜200nmの範囲、特に10nm〜150nmの範囲であることが望ましい。
【0036】
上記のコーティング材を塗布する方法は特に限定されるものではなく、例えば、刷毛塗り、スプレーコート、浸漬(ディッピング、ディップコートともいう)、ロールコー卜、フローコート、カーテンコート、ナイフコート、スピンコート、バーコート等の通常に使用される各種塗布方法を選択することができる。また硬化方法については、公知の方法を用いればよく、特に限定はされない。さらに硬化の際の温度も特に限定はされず、所望される硬化被膜性能や硬化触媒の使用の有無に応じて常温から加熱までの広い温度範囲をとることができる。
【0037】
また、コーティング材を塗布・硬化させて物品の表面に形成される硬化被膜の厚みは、特に限定されるものではなく、0.05μm〜10μm程度であればよいが、硬化被膜が長期的に安定して物品の表面に密着・保持され、且つ硬化被膜にクラックや剥離が発生しないためには、0.05μm〜2μmが好ましく、0.1〜1μmがより好ましい。
【0038】
しかして、上記のように屈折率がnより小さい透明被膜形成樹脂であるシリコーン樹脂に、屈折率がnより大きい微粒子を配合して調製されるコーティング材を、物品の表面に塗布し、乾燥硬化させて硬化被膜を形成することによって、被膜形成品を得ることができるものである。そしてシリコーン樹脂に微粒子を均一に分散させて形成される硬化被膜は、屈折率がnより小さいシリコーン樹脂と屈折率がnより大きい微粒子の配合比率を調整することによって、物品の表面に付着する指紋油脂あるいは機械油の屈折率nと実質的に同等の屈折率に形成することができるものである。従って、この硬化被膜の表面に指紋油脂あるいは機械油が付着しても、指紋油脂あるいは機械油の屈折率nと硬化被膜の屈折率は実質的に同等であるので、指紋油脂あるいは機械油の膜と硬化被膜との間で光が干渉を起こすことを低減することができるものであり、油脂が指紋として付着している跡に指紋の干渉模様が浮き出て見えたり、機械油が付着している部分に干渉虹模様が見えたりするようなことを防ぐことができるものである。
【0039】
ここで、物品の表面に形成される被膜の屈折率は指紋油脂あるいは機械油の屈折率nと実質的に同等であればよく、必ずしも厳密に同一でなくともよい。すなわち、この「実質的に同等」とは、硬化被膜の表面に指紋油脂あるいは機械油が付着したときに、指紋油脂あるいは機械油の存在が干渉模様として人間の視覚で認識し難い程度まで、硬化被膜と指紋油脂あるいは機械油との界面での反射を低減して干渉発生を防止し得る、硬化被膜の屈折率の許容範囲を含むものである。この許容される具体的な硬化被膜の屈折率の範囲は、一般に、n±0.02であり、より好ましくはn±0.01である。勿論、硬化被膜の屈折率はnと同一であることが最も好ましいのはいうまでもない。
【0040】
上記のような、指紋油脂あるいは機械油の屈折率nと実質的に同等の屈折率の硬化被膜を形成するために、屈折率がnより小さい被膜形成樹脂であるシリコーン樹脂と屈折率がnより大きい微粒子の配合比率の設計方法を説明する。まず、被膜形成樹脂のみで膜を形成し、その屈折率を測定する。また微粒子はその屈折率を文献やカタログ資料などから調査して選定する。そして被膜形成樹脂への微粒子の配合量を多くしていくと、この微粒子の屈折率がシリコーン樹脂の屈折率よりも大きいため、得られる硬化被膜の屈折率は上昇していくが、被膜形成樹脂中の微粒子の量が多くなり過ぎると、被膜中に空隙が増える傾向にあることを本発明者らは見出しており、空隙の屈折率は空気の屈折率1に略等しいため、逆に硬化被膜全体の屈折率は下がる傾向を示す。そこで、被膜形成樹脂と微粒子の配合比率を数段階に割り振ったいくつかのコーティング材を調製し、これらコーティング材料から硬化被膜を作製して硬化被膜の屈折率を測定する。次に、最もnに近い屈折率の硬化被膜を得ることができたコーティング材の配合を基準にして、微粒子の配合量を微調整してコーティング材を調製し、その硬化被膜の屈折率を測定する。この微粒子の配合量を微調整する作業を繰り返すことによって、屈折率が目的とするnと実質的に同等の硬化被膜を得ることができるコーティング材の配合を決めるものである。屈折率の測定は任意の方法で行なうことができるが、例えば反射率分光薄膜測定装置やエリプソメトリー法測定装置などを用いて行なうことができる。この方法では、数層に重ねられた複層膜の各膜の光学膜厚(屈折率と膜厚の積)の値が測定でき、実質の膜厚を測定することによって屈折率を得ることができる。
【0041】
尚、上記の実施の形態では、被膜形成樹脂として屈折率がnより小さいシリコーン樹脂を用いるようにしたが、屈折率がnより小さい樹脂としてはシリコーン樹脂のみに限定されるものではなく、フッ素樹脂(屈折率1.35)などを用いることも可能である。
【0042】
また上記の実施の形態では、屈折率がnより小さい被膜形成樹脂を用い、この被膜形成樹脂に屈折率がnより大きい微粒子を分散させることによって、屈折率が実質的にnと同等な硬化被膜を形成するようにしたが、被膜形成樹脂として屈折率がnより大きいものを用いることもできる。このように屈折率がnより大きい被膜形成樹脂を用いる場合には、この被膜形成樹脂に屈折率がnより小さい微粒子を分散させることによって、屈折率が実質的にnと同等な硬化被膜を形成することができるものである。屈折率がnより大きい被膜形成樹脂としては、アクリル樹脂(屈折率1.49)などを用いることができるものであり、屈折率がnより小さい微粒子としては、中空シリカ微粒子(屈折率1.20〜1.40)などを用いることができる。
【0043】
ここで、本発明の被膜形成品において硬化被膜を形成する対象物品は、それを扱う際に表面に手が触れて、指紋油脂やあるいは機械油が付着するおそれがあり、付着した指紋油脂あるいは機械油が基材表面に薄膜を形成すると、光の干渉作用により薄膜の膜厚に応じた波長の反射光の増減が発生して、視認性や光の透過性を妨げることになるもの全般を対象とするものである。
【0044】
例えば、タッチパネル、PDP(プラズマディスプレイ)、PDA(パーソナルディジタルアシスタンス)の画面、テレビやモニターのブラウン管、液晶画面、携帯電話の表示部など、各種機器のディスプレーの最表面に上記の硬化被膜を形成することができる。タッチパネルのように常に手を触れて指紋が付着するものや、PDP、PDAの画面、ブラウン管、液晶画面、携帯電話の表示部のように希に手が触れて指紋が付着すると思われる部位に、本発明に係る硬化被膜を形成することによって、指紋などが付着しても目立たないようにすることができ、ディスプレーの視認性が悪化することを防ぐことができるものである。
【0045】
また銀行のキャッシュディスペンサーなどで用いられる指紋認証装置の指紋認識部位パネルは、指を押し付けて使用するために、指紋油脂が付着し易いが、この指紋認識部位パネルの表面に本発明に係る硬化被膜を形成することによって、指紋などが付着しても光の干渉作用が低減され、指紋認識性能が低下することを防ぐことができるものである。
【0046】
またカメラの最表面部のレンズ、眼鏡のレンズなどのレンズの表面に本発明に係る硬化被膜を形成することによって、レンズに手が触れて指紋油脂などが付着しても目立たないようにすることができ、カメラの場合は撮影に対する悪影響を低減できると共に、眼鏡の場合は視認性が低下することを防ぐことができるものである。
【0047】
また建築物の窓ガラス、車両の窓ガラスなどの窓ガラス(板ガラスのみならず、プラスチック製パネルを使用するものなども含む)の表面に本発明に係る硬化被膜を形成することによって、窓ガラスに手が触れて指紋油脂などが付着しても目立たないようにすることができ、窓ガラスを透した視認性が低下することを防ぐことができるものである。
【0048】
またショウウィンドウ、ショウケースなどの商品展示用のガラス(透明なプラスチック製のものなども含む)の表面に本発明に係る硬化被膜を形成することによって、ガラスに手が触れて指紋油脂などが付着しても目立たないようにすることができ、ガラスを透した商品の視認性が低下することを防ぐことができるものである。
【0049】
また時計文字盤保護ガラス、太陽電池保護ケーシング、照明器具保護カバーなどの商品保護用透明部材の表面に本発明に係る硬化被膜を形成することによって、商品保護用透明部材に手が触れて指紋油脂などが付着しても目立たないようにすることができ、商品保護用透明部材を透した商品の視認性が低下することを防ぐことができるものである。
【0050】
さらに、上記のものの他、物品の表面に被着して使用される表面保護用の透明シート、デジタルカメラ受光部や透明テントシート、さらには必要に応じて透明防音壁などにも、本発明に係る硬化被膜をその最表面に形成することによって、指紋油脂などが目立たないようにすることができるものである。
【0051】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。実施例中、特に断らない限り、「部」はすべて「質量部」を、「%」はすべて「質量%」を表す。なお、本発明は、下記の実施例に限定されない。
【0052】
(実施例1)
テトラエトキシシラン208部にイソプロピルアルコール356部を加え、さらに水180部及び0.01Nの塩酸18部を混合し、ディスパーを用いてよく混合することにより、4官能シリコーンレジンのコーティング溶液を得た。このコーティング溶液を60℃で6時間重合反応させた後に、製膜して得られる4官能シリコーンレジンの被膜の屈折率はほぼ1.42であった。
【0053】
次に、この4官能シリコーンレジンのコーティング溶液に、酸化アンチモンゾル(日産化学工業製商品名「AMT−130S」:Sb2O5;粒子径約10nm、屈折率1.66)を、全固形分の濃度に対して質量比で20%(シリコーンレジン80%、酸化アンチモン20%)添加し、60℃で6時間重合反応させた後に、溶液の質量%濃度が20%になるようにIPA(イソプロピルアルコール)で希釈することによって、無機コーティング材を調製した。
【0054】
そしてこのコーティング材をガラス基材の表面に滴下した後、乾燥後の膜厚が約100nmの膜厚になるように回転数を調節しながらスピンコート塗装をし、さらに100℃で10分間焼成することによって、屈折率が1.45の硬化被膜を形成した。
【0055】
このようにガラス基材の表面に形成した硬化被膜にオレイン酸(屈折率1.45)で濡らした指を10回軽く触れ重ね、オレイン酸を油脂とする指紋を付着させた。
【0056】
(実施例2)
コーティング材をPETフィルム基材の表面に塗装するようにした他は、実施例1と同様にして硬化被膜を形成し、さらにこの硬化被膜にオレイン酸を油脂とする指紋を付着させた。
【0057】
(実施例3)
酸化アンチモンゾルとして酸化アンチモンの粒子径が30nmのものを用いるようにした他は実施例1と同様にしてコーティング材を調製した。そしてこのコーティング材を実施例1と同様にガラス基材の表面に塗布して硬化被膜を形成し、さらにこの硬化被膜にオレイン酸を油脂とする指紋を付着させた。
【0058】
(実施例4)
酸化アンチモンゾルとして酸化アンチモンの粒子径が170nmのものを用いるようにした他は実施例1と同様にしてコーティング材を調製した。そしてこのコーティング材を実施例1と同様にガラス基材の表面に塗布して硬化被膜を形成し、さらにこの硬化被膜にオレイン酸を油脂とする指紋を付着させた。
【0059】
(実施例5)
4官能シリコーンレジンのコーティング溶液に酸化アンチモンゾルを、全固形分の濃度に対して質量比で40%(シリコーンレジン60%、酸化アンチモン40%)添加するようにした他は、実施例1と同様にしてコーティング材を調製した。そしてこのコーティング材を実施例1と同様にガラス基材の表面に塗布して、屈折率が1.48の硬化被膜を形成した。
【0060】
このようにガラス基材の表面に形成した硬化被膜に機械油(屈折率1.48)で濡らした指を10回軽く触れ重ね、機械油を油分とする指紋を付着させた。
【0061】
(実施例6)
コーティング材をタッチパネルの最表面に塗装するようにした他は、実施例1と同様にして被膜を形成し、さらにこの被膜にオレイン酸を油分とする指紋を付着させた。
【0062】
(実施例7)
4官能シリコーンレジンのコーティング溶液に酸化アンチモンゾルを、全固形分の濃度に対して質量比で33%(シリコーンレジン67%、酸化アンチモン33%)添加するようにした他は、実施例1と同様にしてコーティング材を調製した。そしてこのコーティング材を実施例1と同様にガラス基材の表面に塗布して、屈折率が1.47の硬化被膜を形成し、さらにこの硬化被膜にオレイン酸を油脂とする指紋を付着させた。
【0063】
(比較例1)
酸化アンチモンゾルの代わりにシリカゾルを配合することによって、被膜形成した際に被膜の屈折率が1.42となるよう調節するようにした他は、実施例1と同様にして無機コーティング材を調製した。そしてこの無機コーティング材を実施例1と同様にガラス基材の表面に塗布して被膜を形成し、さらにこの被膜にオレイン酸を油脂とする指紋を付着させた。
【0064】
(比較例2)
比較例1と同様にして無機コーティング材を調製した。そしてこの無機コーティング材を実施例1と同様にガラス基材の表面に塗布して被膜を形成し、さらにこの被膜に機械油を油分とする指紋を付着させた。
【0065】
[塗膜性能の評価]
(付着指紋外観)
製膜直後に、被膜を白色光にかざして、特に指紋付着部分に虹色の干渉色が発生しているかに注目して、目視で評価した。
【0066】
【表1】
【0067】
表1にみられるように、各実施例のものはいずれも、指紋の干渉模様が発生しないものであった。一方、指紋として付着する油分と屈折率の差が大きい硬化被膜を形成した比較例1,2は、白色光の反射光において指紋部分に赤〜黄色の干渉色が見られ、干渉模様が発生した。
【0068】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1に係る被膜形成品は、外部に露出する表面に、被膜形成樹脂中に微粒子を均一に分散した組成を有する透明な硬化被膜を形成した被膜形成品であって、被膜形成樹脂と微粒子のいずれか一方は、指紋油脂又は機械油の屈折率nより小さい屈折率を有すると共に、いずれか他方は屈折率nより大きい屈折率を有し、且つ硬化被膜は屈折率が実質的にnとなるように調整して形成されているので、屈折率がnの指紋油脂又は機械油と、屈折率がnと実質的に等しい硬化被膜との間で光が干渉を起こすことを低減することができるものであり、硬化被膜に指紋油脂や機械油の付着跡が目立たないようにすることができるものである。
【0069】
また請求項2の発明は、請求項1において、被膜形成樹脂はnより小さい屈折率を有する透明なシリコーン樹脂であり、微粒子は屈折率がnより大きいものであるので、シリコーン樹脂の硬化被膜で低汚染表面を実現することができると共に、硬化被膜の屈折率をnと実質的に同等に形成することができるものである。
【0070】
また請求項3の発明は、請求項1において、nより大きい屈折率を有する上記微粒子が、金属酸化物ゾルであるので、金属酸化物ゾルはシリコーン樹脂と相溶性が良く分散安定性を有するものであり、微粒子を均一に分散させて被膜の屈折率を向上させる作用を高く得ることができるものである。
【0071】
また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、上記微粒子の粒子径が、5nm〜200nmの範囲であるので、微粒子の均一分散の安定性を良好に得ることができると共に、粒子径が硬化被膜の膜厚以上になって膜強度を劣化させることを防ぐことができるものである。
【0072】
また請求項5の発明は、請求項4において、上記微粒子の粒子径が、10nm〜150nmの範囲であるので、微粒子の均一分散の安定性を良好に得ることができると共に、粒子径が硬化被膜の膜厚以上になって膜強度を劣化させることを防ぐことができるものである。
【0073】
また請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれかにおいて、上記硬化被膜の屈折率は、指紋油脂の主成分であるオレイン酸の屈折率nと実質的に同等に調整されているので、指紋油脂が付着しても、指紋油脂の模様が光の干渉によって浮き出て見えるようなことを防ぐことができるものである。
【0074】
また請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれかにおいて、上記硬化被膜の屈折率は、n±0.02であるので、指紋油脂や機械油の付着跡が確実に目立たないようにすることができるものである。
【0075】
また請求項8の発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載の被膜形成品がディスプレーであって、その最表面に上記硬化被膜が形成されていることを特徴とするものであり、指紋などが付着しても目立たないようにすることができ、ディスプレーの視認性が低下することを防ぐことができるものである。
【0076】
請求項9の発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載の被膜形成品が指紋認証装置の指紋認識部位パネルであって、その最表面に上記硬化被膜が形成されていることを特徴とするものであり、指紋などが付着しても光の干渉作用を低減することができ、指紋認識性能が低下することを防ぐことができるものである。
【0077】
請求項10の発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載の被膜形成品がレンズであって、その最表面に上記硬化被膜が形成されていることを特徴とするものであり、レンズに手が触れて指紋油脂などが付着しても目立たないようにすることができるものである。
【0078】
請求項11の発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載の被膜形成品が窓ガラスであって、その最表面に上記硬化被膜が形成されていることを特徴とするものであり、窓ガラスに手が触れて指紋油脂などが付着しても、目立たないようにすることができるものである。
【0079】
請求項12の発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載の被膜形成品が商品展示用ガラスであって、その最表面に上記硬化被膜が形成されていることを特徴とするものであり、ガラスに手が触れて指紋油脂などが付着しても、目立たないようにすることができるものである。
【0080】
請求項13の発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載の被膜形成品が商品保護用透明部材であって、その最表面に上記硬化被膜が形成されていることを特徴とするものであり、商品保護用透明部材に手が触れて指紋油脂などが付着しても、目立たないようにすることができ、商品保護用透明部材を透した商品の視認性が低下することを防ぐことができるものである。
【0081】
請求項14の発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載の被膜形成品が物品の表面被覆用の透明シートであって、その最表面に上記硬化被膜が形成されていることを特徴とするものであり、透明シートに手が触れて指紋油脂などが付着しても、目立たないようにすることができ、指紋等で物品の外観を損ねたりすることを防ぐことができるものである。
【0082】
本発明の請求項15に係る被膜形成品の製造方法は、外部に露出する表面に、被膜形成樹脂中に微粒子を均一に分散した組成のコーティング材を塗布し、透明な硬化被膜を形成して被膜形成品を製造するにあたって、被膜形成樹脂と微粒子として、いずれか一方が指紋油脂又は機械油の屈折率nより小さい屈折率を有するものを用いると共に、いずれか他方が屈折率nより大きい屈折率を有するものを用い、膜としての屈折率が実質的にnと同等になるように調整して硬化被膜を形成するようにしたので、屈折率がnの指紋油脂又は機械油と、屈折率がnと実質的に等しい硬化被膜との間で光が干渉を起こすことを低減することができるものであり、指紋油脂や機械油の付着跡が目立たない硬化被膜を得ることができるものである。
Claims (15)
- 外部に露出する表面に、被膜形成樹脂中に微粒子を均一に分散した組成を有する透明な硬化被膜を形成した被膜形成品であって、被膜形成樹脂と微粒子のいずれか一方は、指紋油脂又は機械油の屈折率nより小さい屈折率を有すると共に、いずれか他方は屈折率nより大きい屈折率を有し、且つ硬化被膜は屈折率が実質的にnとなるように調整して形成されていることを特徴とする被膜形成品。
- 被膜形成樹脂はnより小さい屈折率を有する透明なシリコーン樹脂であり、微粒子は屈折率がnより大きいものであることを特徴とする請求項1に記載の被膜形成品。
- 上記微粒子が、金属酸化物ゾルであることを特徴とする請求項1又は2に記載の被膜形成品。
- 上記微粒子の粒子径が、5nm〜200nmの範囲であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の被膜形成品。
- 上記微粒子の粒子径が、10nm〜150nmの範囲であることを特徴とする請求項4に記載の被膜形成品。
- 上記硬化被膜の屈折率は、指紋油脂の主成分であるオレイン酸の屈折率nと実質的に同等に調整されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の被膜形成品。
- 上記硬化被膜の屈折率は、n±0.02であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の被膜形成品。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載の被膜形成品はディスプレーであって、その最表面に上記硬化被膜が形成されていることを特徴とするディスプレー。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載の被膜形成品は指紋認証装置の指紋認識部位パネルであって、その最表面に上記硬化被膜が形成されていることを特徴とする指紋認証装置の指紋認識部位パネル。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載の被膜形成品はレンズであって、その最表面に上記硬化被膜が形成されていることを特徴とするレンズ。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載の被膜形成品は窓ガラスであって、その最表面に上記硬化被膜が形成されていることを特徴とする窓ガラス。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載の被膜形成品は商品展示用ガラスであって、その最表面に上記硬化被膜が形成されていることを特徴とする商品展示用ガラス。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載の被膜形成品は商品保護用透明部材であって、その最表面に上記硬化被膜が形成されていることを特徴とする商品保護用透明部材。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載の被膜形成品は物品の表面被覆用の透明シートであって、その最表面に上記硬化被膜が形成されていることを特徴とする透明シート。
- 外部に露出する表面に、被膜形成樹脂中に微粒子を均一に分散した組成のコーティング材を塗布し、透明な硬化被膜を形成して被膜形成品を製造するにあたって、被膜形成樹脂と微粒子として、いずれか一方が指紋油脂又は機械油の屈折率nより小さい屈折率を有するものを用いると共に、いずれか他方が屈折率nより大きい屈折率を有するものを用い、膜としての屈折率が実質的にnと同等になるように調整して硬化被膜を形成することを特徴とする被膜形成品の製造方法。
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