JP2004181705A - 化粧シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】非塩ビ基材シートにウレタン系ACを形成し、不飽和カルボン酸等変性ランダムポリプロピレン接着性樹脂層と白化伸び150%以上で破断伸び150%以上のポリプロピレン樹脂を共押出ラミネートする化粧シートであり、不飽和カルボン酸等変性ランダムポリプロピレン樹脂のアイゾット衝撃強度が500J/m以上で、樹脂内部にポリプロピレン相溶性が高いゴム成分を10〜30%含み、ウレタン系AC剤の主剤成分がポリエステルポリオールとウレタン変性ポリエステルポリオールとの混合物からなるイソシアネート硬化型樹脂である化粧シートを提供する。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は化粧シートに関するものであり、さらに詳しくは非塩素系樹脂からなる金属板用化粧シ―ト及び化粧材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属化粧板においては金属表面に樹脂塗装を行う事により意匠性を保たせた塗装鋼板等が存在していたが、高い意匠性やエンボス表現などが塗装では得られない為、塩ビ製化粧シートを金属板用の化粧シートとして使用する事が行われてきた。
【0003】
しかし、近年の塩化ビニルによる環境問題、特に燃焼時の塩素、ダイオキシン発生等の懸念により塩化ビニル以外での化粧シートへの要求が高まってきた。
【0004】
このような情勢のなかでアクリル樹脂を使用した化粧シートや完全非結晶性ポリエステル樹脂を使用した化粧シート等が現れてきた。
【0005】
ところがこれら塩ビ代替化粧シートは塩ビ樹脂と比較すると高価な樹脂を使用しており完全な代替品といえるものではなかった。
【0006】
また、安価なポリオレフィン系樹脂系化粧シートを使用する例もあるが、曲げ加工時に白化、割れを生じる等の問題があり使用出来る部位に制限が出来ていた。
【0007】
その中でも、化粧シートに要求される適度な柔軟性、耐摩耗性、耐傷性、耐熱性、耐薬品性、後加工性等を備えたポリプロピレンを用いた化粧シートが数多く提案されている。
【0008】
特に白化伸びが150%以上であり且つ破断伸びが150%以上である事を特徴とするポリプロピレンを使用した化粧シートは金属板加工曲げにも耐えうる折り曲げ白化耐性を有する。
【0009】
ポリプロピレン樹脂は、同種又は異種の樹脂との接着性に乏しい樹脂であるため、ポリプロピレン樹脂層を他の樹脂層に溶融押しだしラミネートする際は、例えば、マレイン酸変性ポリエチレン樹脂や、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体などの接着性樹脂層を介して押し出しラミネートするのが一般的である。
【0010】
しかしながら、これらマレイン酸変性ポリエチレン樹脂や、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体などの接着性樹脂層を介して押し出しラミネートした従来の化粧シートは表面温度及び雰囲気温度が90℃以上になるとラミネート強度が著しく低下してしまう。
【0011】
通常、金属板に化粧シートを貼り合わせる時に使用する接着剤は高温処理を行う物が多く、200℃〜220℃程度に熱した金属板に化粧シートを貼り合わせ冷却、固定する。
【0012】
その為、シートには100℃以上の高温が数秒間与えられる。
【0013】
上記のような加工の為、マレイン酸変性ポリエチレン樹脂や、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体などの接着性樹脂層を介して押し出しラミネートした化粧シートは金属板に貼り合わせた時点で容易に剥離してしまう。
【0014】
【特許文献1】
特開2001−353828号公報
【0015】
また、耐熱性を付与するために接着性樹脂層にポリプロピレン系接着性樹脂を用いた構成の化粧シートも筆者らは特許文献1にて既に提案している。
【0016】
しかしながら、金属板貼り合わせ後の剥離強度は低下しないが、内部に添加しているゴム、ポリエチレン等の成分が貼り合わせ時の熱により接着性樹脂内部で界面剥離を起こし、金属板を折り曲げ加工した際に容易に界面でクラックを発生し曲げ部に白化を生じる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上のような問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、塩化ビニル樹脂以外の材料を用いて、金属化粧板に貼り合わせ可能の耐熱性及び曲げ加工時に白化を起こさない曲げ加工性を有する化粧シートを提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために本発明の請求項1に係る発明は、非塩化ビニル系材料からなる基材シートにウレタン系アンカーコート層を形成し、不飽和カルボン酸あるいはその無水物で変性したランダムポリプロピレン接着性樹脂層と白化伸びが150%以上であり且つ破断伸びが150%以上である事を特徴とするポリプロピレン樹脂を共押し出しラミネートすることを特徴とする化粧シートであり、前記不飽和カルボン酸あるいはその無水物で変性したランダムポリプロピレン樹脂のアイゾット衝撃強度が500J/m以上であり且つその樹脂内部にポリプロピレンとの相溶性が高いゴム成分を10〜30%含み且つ該二液硬化型アンカーコート剤の主剤成分がポリエステルポリオールとウレタン変性ポリエステルポリオールとの混合物からなるイソシアネート硬化型樹脂である事ことを特徴とする化粧シートである。
【0019】
次に前記ウレタン系アンカーコート剤に含まれる主剤成分全体を100重量%と考えた時、ポリエステルポリオール20〜80重量%及びウレタン変性ポリエステルポリオール80〜20重量%との混合物から主剤成分が構成されていることを特徴とする請求項1記載の化粧シートである。
【0020】
次に前記ウレタン系アンカーコート剤に含まれるイソシアネート成分全体を100重量%と考えた時、イソホロンジイソシアネート30〜98重量%及びそれ以外のイソシアネート成分2〜70重量%との混合物からイソシアネート成分が構成されていることを特徴とする請求項1及び請求項2記載の化粧シートである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面に従って説明すれば、図1は本発明に係る化粧シートの断面図の一例を示す。
【0022】
本発明の代表的な化粧シートの基本構成は、図1に示す様に、基材シート1上に模様層2、アンカーコート層3、接着性樹脂層4、ポリプロピレン樹脂層5、トップコート層6が順に積層されており、その中で模様層2がパターン化されており、また、表面よりポリプロピレン樹脂層5の途中まで凹陥模様5aが設けられている構成となっている。
【0023】
次に、この基材シート1の材質は、紙、オレフィン系樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル系樹脂またはポリビニルアルコール樹脂からなるものである。これは、材料中に塩素を含まない性質が要件だからである。なお、これらの混合物や積層物からなるものであっても構わない。但し、後述の様に、着色剤や隠蔽剤、この他帯電防止剤などを少量含有するものであっても構わない。基材シート1の厚みは、50〜200μmの間が好ましい。厚すぎると、貼り難いかったり曲げ難かったりであり、薄すぎるとのりだくを拾う、隠蔽が十分でないからである。
【0024】
この上にある模様層2は、無地の場合は不要なものであるが、一般的には設けられる。この模様層2は、グラビア、凹版、凸版、シルクスクリーン印刷方法等の公知の印刷方法により印刷するのが一般的であるが、必ずしもこの限りではない。
【0025】
また用いられるインキも公知の物、すなわちビヒクルに染料または顔料等の着色剤や体質顔料などを添加し、さらに可塑剤、安定剤、ワックス、グリース、乾燥剤、硬化剤、増粘剤、分散剤、充填剤等を任意に添加して溶剤、稀釈剤等で十分混練してなるインキでよい。模様層2の厚みは、5μm以下が好ましい。厚すぎると他の層の平滑性に影響を与えるであるからである。
【0026】
また上記化粧シート用の基材シート1とは別の任意の転写用基材シートに、上記形成方法等によって隠蔽性層あるいは模様層2、あるいはその両方を形成しておき、後に詳述する熱ラミネート法、ドライラミネート法、又はウエットラミネート法、押出ラミネート法等により、上記基材シート1と貼り合わせた後に、前記転写用基材シートを剥離して、隠蔽性層あるいは模様層2あるいはその両方を基材シート1に転写する方法を用いる事もできる。
【0027】
また、基材シート1の製造方法としてTダイ押出法を用いる場合には、基材シート1を製膜するための合成樹脂材料を染料や顔料などの隠蔽性のある着色剤により直接着色して加熱溶融状態でTダイから押出して、基材シート1を製膜することにより隠蔽性の効果を持たせることもできる。
【0028】
この場合のTダイ押出法における基材シート1の着色方法としては、顔料を分散助剤や界面活性剤で処理した微粉末状の着色剤を、基材シート1を製膜するための着色されていない通常の合成樹脂材料中に直接混入して使用するドライカラー法、あるいは基材シート1を製膜するための着色されていない通常の合成樹脂材料と高濃度の顔料とを溶融混練して予備分散せしめたマスターバッチペレットを予め作成し、押出ホッパ内で、このマスターバッチペレットと基材シート1を製膜するための着色されていない通常の合成樹脂材料とをドライブレンドするというマスターバッチ法等があるが、特に限定されるものではない。
【0029】
顔料の種類も通常用いられているものでよいが、特に耐熱性、耐候性を考慮して、酸化チタン、群青、カドミウム顔料、酸化鉄等の無機顔料が望ましい。
【0030】
また有機顔料でもフタロシアニン顔料、キナクリドン顔料等は使用できる。
【0031】
顔料の対樹脂比率や色は、隠蔽の度合い、意匠性を鑑みて適宜決められる物であり、特に制約はない。
【0032】
基材シート1に模様層2を施す方法としては、基材シート1の表面に施す方法と、基材シート1自体(シート1の層内)に施す方法があり、表面に施す方法としては上記のような印刷方式や転写方式を用いることが出来、基材シート1自体に施す方法としては、高濃度の顔料を基材シート1の樹脂とは流動特性の異なる樹脂に溶融混練して予備分散せしめたマスターバッチペレット、あるいは木粉、ガラス粉末等を、基材シート1を製膜するための隠蔽性を付与した上記合成樹脂材料に添加して加熱溶融し、押出し、製膜して隠蔽性のある基材シート1自体にマスターバッチペレットや木粉、ガラス粉末等による模様を形成する方法もある。
【0033】
勿論、基材シート1自体に着色隠蔽性や模様を形成するこれらの方法と前述した印刷方法、転写方法等を併用することもできる。
【0034】
また、隠蔽性のある基材シート1の製造方法としてカレンダー法を用いる場合にも、同様の手法、即ち基材シート1自体に着色隠蔽性や模様を形成する方法、またはこれらの方法と前述した印刷方法、転写方法等とを併用した手法で、基材シート1に対して隠蔽性および模様を形成することができる。
【0035】
本発明の化粧シートにおいて隠蔽性のある基材シート1の表面に、透明なポリプロピレン樹脂層5を積層する理由は、意匠性、模様層の保護および耐傷性、耐摩耗性、耐薬品性等を発現するためである。
【0036】
本発明の上記請求項1、請求項2、請求項3に係る発明の化粧シートにおける隠蔽性のある基材シート1と透明なポリプロピレン樹脂層5との積層方法として、基材シート上にポリプロピレン樹脂をTダイから溶融押出する押出ラミネート法、両方の樹脂をTダイから溶融押出する共押出方法等がある。
【0037】
この中で押出ラミネート方法が最も生産性が良いため好適に用いられる。
【0038】
本発明の表面樹脂層で使用されるポリプロピレン樹脂は白化伸びが150%以上で且つ破断伸びが150%以上であれば良い。
【0039】
ここでいう白化伸びとは、JIS Z 1702における引っ張り試験においてフィルム伸張部が白化を起こす時の標線間距離をlとした時(l−l0)/l0×100(%)の式から得られる伸び率である(l0:初期の標線間距離)。
【0040】
さらに破断伸びとはJIS Z 1702による破断伸びであり、このような二つの条件を満たすポリプロピレンとしては相溶系のゴム成分例えばスチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンランダム共重合体等を添加した物、アタクチック成分の多いポリプロピレン例えばアイソタチック指数が98以下であるようなポリプロピレン、ランダム共重合ポリプロピレン等がある。
【0041】
ポリプロピレン樹脂層5の押出後の厚みは、30〜200μmの間が好ましい。厚すぎると、曲げた時に割れる事があり、薄すぎると耐傷付き性が低くなるからである。
【0042】
さらに表面樹脂層としてフィルム状に押し出す際及び得られた製品の熱酸化を防止するために酸化防止剤を、紫外線による劣化を防止するために光安定剤をそれぞれ適宜添加してもよい。
【0043】
これら添加剤の種類、添加量は特に規定しないが、オレフィン系樹脂に一般的に使用されているものの組み合わせで十分である。
【0044】
ここで問題となるのが、基材シート1とポリプロピレン樹脂層5のラミネート強度である。
【0045】
特に充分な強度を得るためには、基材シート1(模様層2が付与されている)にアンカーコート層3を塗布し、該アンカーコート層3上に接着性樹脂層4とポリプロピレン樹脂層5とを共押出し、なお且つ前記接着性樹脂層4となる押し出された樹脂に対してオゾンガスを吹き付ける方法が公知である。
【0046】
接着性樹脂層4となる押し出された樹脂に対してオゾンガスを吹き付けるオゾン処理装置も一般的なものであれば良く、特に制約されるものではない。
【0047】
オゾン処理量としては、低濃度高流量型、高濃度低流量型があり一概には言えないが、あまり流量が多いと溶融樹脂の膜割れ、温度低下等の悪影響が考えられるため、オゾン処理条件としては、オゾン濃度20〜50g/Nm3、オゾン流量1〜10Nm3/時間が良好である。
【0048】
しかし、マレイン酸変性ポリエチレン樹脂や、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体などの接着性樹脂層を共押し出ししてラミネートする場合は上記方法で十分な常温ラミネート強度を得ることが可能だが、高温下でのラミネート強度を得ることはできない。
【0049】
ここで、本発明の化粧シートにおける常温下および高温下でのラミネート強度を両立させ且つ、曲げ加工時の白化を起こさないシートにするために、本発明者らは接着性樹脂層4に用いる樹脂としては、不飽和カルボン酸あるいはその無水物で変性したアイゾット衝撃強度が500m/J以上のランダムポリプロピレン(例えば無水マレイン酸でグラフト重合したランダムポリプロピレン樹脂)を用い、内部にポリプロピレンと相溶性の高いゴム成分を10〜30%添加する事により解決することを見いだした。
【0050】
すなわち、不飽和カルボンあるいはその無水物で変性したポリエチレンでは常温下でのラミネート強度は高いが高温下、特に90℃以上では著しく低下してしまい、不飽和カルボン酸あるいはその無水物で変性したホモポリプロピレンでは100℃でも低下は見られないが、常温下での強度そのものが低い。
【0051】
これに対して不飽和カルボン酸あるいはその無水物で変性したアイゾット衝撃強度が500J/m以上で且つポリプロピレンと相溶性が高いゴム成分を10〜30%含むランダムポリプロピレンを用いると常温から100℃まで安定したラミネート強度が得られる。
【0052】
アイゾット衝撃強度が500J/m以下だと層間剥離が容易に起きてしまい、十分な強度を得ることが出来ない。
【0053】
またゴム成分量が30%を越えると接着性樹脂内部での凝集破壊が比較的容易に始まり、有る程度の強度低下が起きてしまう。
【0054】
一方ゴム成分量が10%未満だと接着性樹脂内部での応力緩和が不十分になり層間剥離を生じる。
【0055】
不飽和カルボンあるいはその無水物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フタル酸、シトラコン酸、イタコン酸およびそれらの無水物が挙げられる。
【0056】
また、これらの不飽和カルボンあるいはその無水物の単位の量は、組成物1gあたりのカルボニル基として1×10−4以上1×10−1ミリモル当量以下であることが好ましい。
【0057】
変性によって含有される不飽和カルボンあるいはその無水物の単位の量が1×10−4ミリモル当量以下では充分な効果は発現しないし、1×10−1ミリモル当量以上でも接着性を改善する効果は小さくなる。
【0058】
又、接着性樹脂内部に添加するポリプロピレンと相溶性の高いゴム成分としてはエチレン−ブタジエンラバー、スチレン−ブタジエンラバー等の共役ジエン系エラストマー、水添スチレン−ブタジエンラバー等の水素添加スチレン系エラストマー、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン(ジエン)共重合体等が挙げられる。
【0059】
さらに本発明では上記接着性樹脂4と基材シート1との界面に設けるアンカーコート層3として、ポリオール成分とイソシアネート成分との反応でウレタン結合を形成するイソシアネート硬化型樹脂であって、さらに主剤成分がポリエステルポリオールとウレタン変性ポリエステルポリオールとの2種からなるイソシアネート硬化型樹脂を用いるとアンカーコート層3の柔軟性を維持しつつ硬化塗膜の速乾性向上、ラミネート強度の更なる向上をさせることができ、耐熱のみならず耐寒、耐候性に優れたラミネート強度を持ちかつ生産性の良い化粧シートを得ることが可能である。
【0060】
上記ポリエステルポリオールとウレタン変性ポリエステルポリオールの2種の混合比率はポリエステルポリオールが20〜80重量%、ウレタン変性ポリエステルポリオールが80〜20重量%であるとアンカーコート層3の柔軟性を維持しつつ硬化塗膜の速乾性、ラミネート強度の発現を更に向上させることができる。これ以上ポリエステルポリオール成分が多いと、柔軟性が維持できなくなり、他方、ウレタン変性ポリエステルポリオールが多いと、速乾性、ラミネート強度の発現が十分でなくなるからである。
アンカーコート層3を構成する主剤成分がウレタン変性ポリエステルポリオール単独であるとアンカーコート層3の柔軟性は維持されるものの、ラミネート強度の発現が遅くなり製造過程の途中で浮きやずれを生じる可能性がある。
【0061】
またアンカーコート層3を構成する主剤成分がポリエステルポリオール単独であるとアンカーコート層3の硬化塗膜の速乾性は維持されラミネート強度の発現は十分早いがアンカーコート層3の柔軟性は低くなってしまい環境の変化等の負荷により浮きが発生する可能性がある。
【0062】
さらにアンカーコート層3に使用する各イソシアネート成分としてイソホロンジイソシアネートを混合するとアンカーコート層3の凝集力、柔軟性が適度に向上し常温ラミネート強度、耐熱ラミネート強度、環境試験後ラミネート強度が向上し総合的に強度の高い化粧シートを得ることができる事を見いだした。
【0063】
各イソシアネート成分の配合量としてはイソシアネート成分の全体量のうちイソホロンジイソシアネートが30〜98重量%、それ以外のイソシアネート成分の合計量が2〜70重量%とするのが良い。これ以上イソホロンジイソシアネート成分が多いと、反応が遅い為、製造過程で浮き、ずれが生じるという問題が生じ、他方、他の成分が多いと、凝集力、柔軟性が十分でなくなり環境変化等で浮きが発生するからである。
【0064】
なお組み合わせるイソシアネート成分としては、本発明において特に限定される物ではないが、例えばヘキサメチレジンイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メシチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等から選ばれる1種若しくはそれら2種以上の混合物を好適に用いることが出来る。
【0065】
特に4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートは非常に活性が高く、少量でもポリプロピレンに対する密着性を向上出来る為、好適に用いられる。
【0066】
また、アンカーコート層3の形成方法はグラビア法(グラビア印刷法、グラビア塗布法)が好適に用いられるが何ら限定されるものではない。
【0067】
この場合のアンカーコート層3の厚みは0.5〜5μmの間が好ましい。厚すぎると、ラミネート強度の絶対値が低くなる傾向であり、薄すぎると一様に層形成が困難になり、層形成しない部分で接着性が劣る場合があるからである。
【0068】
また場合によっては、化粧シートの表面の手触り感や、より一層の意匠感を得るため、化粧シート表面の透明なポリプロピレン樹脂層5に凹陥模様5aを施し、その凹陥部内に充填インキを埋め込み(ワイピングし)、そのポリプロピレン樹脂層5の最外表面にトップコート層6を設けることも好適に行われる。
【0069】
凹陥模様5aを施す方法としては、通常の熱圧エンボス加工法でよく、何ら限定されるものではない。
【0070】
また、前記ポリプロピレン樹脂層5の製造方法(接着性樹脂層4とポリプロピレン樹脂層5との2層共押出し製膜法)としてTダイ押出法を用いる場合には、溶融樹脂を冷却固化させるチルロールの表面に凹陥模様を施しておき、押し出された樹脂をチルロールとプレスロールとの間でエンボスして、ポリプロピレン樹脂層5の表面に凹陥模様5aを施す方法が一般的である。
【0071】
また、施された凹陥模様5aの凹陥部内にインキを埋め込み、ポリプロピレン樹脂層5の最外表面にトップコート層6を設けることも好適に行われるが、これらの方法は、従来の塩化ビニル樹脂製化粧シートで行われているワイピング処理およびトップコート処理と同様の方法で実施可能である。
【0072】
【実施例】
<実施例1>
図1に示すように、基材シート1として、ランダムポリプロピレン樹脂に無機顔料を6重量%、フェノール系酸化防止剤を0.2重量%、ヒンダードアミン系光安定剤を0.3重量%、ブロッキング防止剤を0.2重量%添加した樹脂を、溶融押出した厚さ70μmのシートを用い、そのシート表面にコロナ処理を施した後、グラビア印刷法により絵柄用インキ(東洋インキ製造(株)製;ラミスター)を使用して木目模様を施し、模様層2を形成した。
【0073】
さらに木目模様の模様層2上に2液硬化型のウレタン系アンカーコート剤(主剤として東洋インキ製造(株)製;EL510(ポリエステルポリオール)を50重量%、三井武田ケミカル(株)製;A520(ウレタン変成ポリエステルポリオール)を50重量%の混合物を使用。イソシアネートとして4,4、ジフェニルメタンジイソシアネートを5wt%、イソホロンジイソシアネートを50wt%、ヘキサメチレンジイソシアネートを45wt%の混合物を使用し、主剤とイソシアネートを5:1の割合で混合し2液硬化型ウレタン系アンカーコート剤とした。)をグラビア印刷法により塗工して厚さ2μmのアンカーコート層3を形成した。
【0074】
これとは別に、透明なポリプロピレン樹脂層5としてアイソタチック指数90のホモポリプロピレンにフェノール系酸化防止剤を0.2重量%、ヒンダードアミン系光安定剤を0.3重量%、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を0.5重量%、ブロッキング防止剤を0.2重量%添加した樹脂と、接着性樹脂層4として無水マレイン酸でグラフト重合した変性ランダムポリプロピレン樹脂(変性ランダムポリプロピレン1g中のカルボニル基含量は0.02ミリモル当量、アイゾット衝撃強度1000N/m、水素添加スチレンブタジエンラバー20%添加)とを、導管エンボスの施された冷却ロールと加圧ロールとの間に、前記基材シート1を介してTダイより共押出を行い、さらに基材シート1とラミネートする直前に、前記接着性樹脂層4となる共押出したランダムポリプロピレン樹脂面にオゾン処理装置によりオゾンガスを吹き付けて、ラミネートとエンボス付与とを同時に行うことにより、模様層2の施された基材シート1上のアンカーコート層3面に、厚さ15μmの接着性樹脂層4を介して、表面に凹陥模様5aのエンボスされた厚さ65μmのポリプロピレン樹脂層5をラミネートしたがなんら問題無くラミネート出来た。
【0075】
このラミネートされた積層体の凹陥模様5aが施された透明ポリプロピレン樹脂層5の最外表面に、ウレタン系トップコート剤を用いて厚さ6μmのトップコート層6を施し、図1に示す本発明の化粧シートを得た。
【0076】
<実施例2>
上記実施例1において、アンカーコート層3に用いるアンカーコート剤の主剤成分として東洋インキ製造(株)製;EL510を10重量%、三井武田ケミカル(株)製;A520を90重量%の混合物を使用したアンカーコート剤とした他は、上記実施例1と同様の手順で化粧シートを作成し、実施例2の化粧シートを得た。
【0077】
<実施例3>
上記実施例1において、アンカーコート層3に用いるアンカーコート剤に配合するイソシアネートの成分の組成をヘキサメチレジンイソシアネート単体に変更した他は、上記実施例1と同様の手順で化粧シートを作成し、実施例3の化粧シートを得た。
【0078】
<比較例1>
上記実施例1において、接着性樹脂層4に無水マレイン酸でグラフト重合した変性ポリエチレン樹脂を使用した他は、上記実施例1と同様の手順で化粧シートを作成し、比較例1の化粧シートを得た。
【0079】
<比較例2>
上記実施例1において接着性樹脂層4に無水マレイン酸でグラフト重合した変性ホモポリプロピレン樹脂である他は、上記実施例1と同様の手順で化粧シートを作成し、比較例2の化粧シートを得た。
【0080】
<比較例3>
上記実施例1において接着性樹脂層4に無水マレイン酸でグラフト重合した変性ランダムポリプロピレン樹脂(変性ランダムポリプロピレン1g中のカルボニル基含量は0.02ミリモル当量、アイゾット衝撃強度1000N/m、エチレンプロピレンラバー内添量20%)で有る他は、上記実施例1と同様の手順で化粧シートを作成し、比較例4の化粧シートを得た。
【0081】
<比較例4>
上記実施例1において、アンカーコート層3に用いるアンカーコート剤の主剤成分として東洋インキ製造(株)製;EL510を使用したアンカーコート剤とした他は、上記実施例1と同様の手順で化粧シートを作成し、比較例4の化粧シートを得た。
【0082】
このようにして上記実施例1〜3、比較例1〜4にて得られたそれぞれの化粧シートについて、溶融亜鉛メッキを施した金属板にウレタン変成ポリエステルポリオール/ポリイソシアネート系接着剤をロールコートで5g/m2(dry)塗布して接着剤層を設け、該金属板を200℃で3分加熱し化粧シートの基材シート側と貼り合わせゴムロールで圧着後水槽で急冷して金属化粧板を得た。
【0083】
このようにして得られた金属化粧板を5℃の低温下で曲げ加工を行い曲げ白化の有無を比較し表1に記す。
【0084】
更に、該金属化粧板上の化粧シート層間強度を測定した結果と該金属化粧板のSWOM1000h後の層間強度測定結果を表2に示す。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の化粧シートは、塩化ビニルを一切使用しないため環境問題の心配もなく、且つ金属化粧板加工時の高温貼り付けに対する耐熱性を有し、優れた耐候性を有し且つ、低温での曲げ白化を起こさない化粧シートを提供できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による化粧シートの一例を示す側断面図。
【符号の説明】
1…基材シート
2…模様層
3…アンカーコート層
4…接着性樹脂層
5…ポリプロピレン樹脂層
5a…凹陥模様
6…トップコート層
Claims (3)
- 紙、オレフィン系樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル系樹脂またはポリビニルアルコール樹脂からなる基材シート表面に、ウレタン系アンカーコート剤を塗布し、不飽和カルボン酸あるいはその無水物で変性したランダムポリプロピレン樹脂と白化伸びが150%以上であり且つ破断伸びが150%以上である事を特徴とするポリプロピレン樹脂を共押し出しラミネートした化粧シートにおいて、前記不飽和カルボン酸あるいはその無水物で変性したランダムポリプロピレン樹脂のアイゾット衝撃強度が500J/m以上であり且つその樹脂内部にポリプロピレンとの相溶性が高いゴム成分を10〜30%含み更にウレタン系アンカーコート剤の主剤成分がポリエステルポリオールとウレタン変性ポリエステルポリオールとの混合物からなるイソシアネート硬化型樹脂である事ことを特徴とする化粧シート
- 前記ウレタン系アンカーコート剤に含まれる主剤成分全体を100重量%と考えた時、ポリエステルポリオール20〜80重量%及びウレタン変性ポリエステルポリオール80〜20重量%との混合物から主剤成分が構成されていることを特徴とする請求項1記載の化粧シート。
- 前記ウレタン系アンカーコート剤に含まれるイソシアネート成分全体を100重量%と考えた時、イソホロンジイソシアネート30〜98重量%及びそれ以外のイソシアネート成分2〜70重量%との混合物からイソシアネート成分が構成されていることを特徴とする請求項1及び請求項2記載の化粧シート。
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