JP2004181673A - インクジェットヘッド及び画像記録装置 - Google Patents

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Koji Furukawa
弘司 古川
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Abstract

【課題】泳動電極に印加する電圧を制御しなくても吐出部でインクの目詰まりが生じることを防止できるインクジェットヘッドを提供することを課題とする。
【解決手段】配列状態の吐出部36が設けられたインクジェットヘッド20は、インク流路の上壁を構成する基板34に形成された開口35と、開口35の周囲に設けられた第1吐出電極46及び第2吐出電極56と、電気的絶縁状態で設けられてインク流路32の底面を構成する泳動電極62と、を有する。荷電粒子Rは、泳動電極62に生じる誘導電圧により記録媒体側へ向けて泳動する。吐出部36の使用数が多いときは、吐出に必要な荷電粒子数が多くなるが、泳動電極62の電位が高いので、インク流路32上部のインク濃度が濃い。吐出部36の使用数が少ないときは、必要な荷電粒子数が少なくなるが、泳動電極62の電位が低いので、インク流路32上部のインク濃度が高くなり過ぎることはない。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク液滴を吐出するインクジェットヘッド及びそれを有する画像記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット式の画像記録装置において、電界によりインクを吐出するインクジェット技術が広く知られている。このインクジェット技術に用いられるインクジェットヘッドでは、吐出されるインクの濃度を高めるために、インク内のインク粒子を帯電させると共に、帯電したインク粒子が吐出口に向けて泳動するような電界を印加することが多い。
【0003】
例えば、特許文献1では、図17、図18に示すように、インクジェットヘッド100は、一方向へのインク流が形成されるインク流路102と、インク流路102の上壁を構成する電気絶縁性の基板104と、インクを記録媒体Sへ向けて吐出する配列された複数の吐出部106と、を有する。インク流路102は、基板104と、電気絶縁性の筐体103(後述の泳動電極112が配置されている上面開放の箱状部材)と、で構成される。
【0004】
吐出部106には、何れも、インク流路102から飛翔するインク滴Gを記録媒体Sへ向けて案内する電気絶縁性のインクガイド部108が設けられており、基板104には、インクガイド部108がそれぞれ挿通する開口105が形成されている。また、吐出部106には、正電圧が印加される吐出電極116が基板104の上側であって開口105の周囲に設けられており、吐出電極116に正電圧を印加すると、記録媒体Sとの間に電界を形成して吐出部106からインク滴が飛翔するようになっている。
【0005】
また、インク流路102の底面には、インク中の荷電粒子(正に帯電した色剤)を基板104に向けて泳動させる泳動電極112が設けられており、吐出電極116に印加する電圧よりも高い電圧を泳動電極112に印加することにより荷電粒子Rを基板104へ向けて泳動させ、開口105付近のインク濃度を高くしている。
【0006】
その他、特許文献2には、描画するドット径に応じて泳動電極の電圧を制御する例が開示され、特許文献3には、吐出電極に印加するときに生じる静電力により吐出を行う例が開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−78026号公報(第8頁〜第10頁、図1、図3)
【特許文献2】
特開平11−334083号公報(第3頁、第4頁、図1〜図3)
【特許文献3】
特開平10−138493号公報(第4頁、第5頁、図1、図4、図5)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許文献1に記載された従来のインクジェットヘッド100では、インクを吐出している吐出部106Aの開口105A近傍に荷電粒子Rが集まってインク濃度が適度に高まることは好ましいが、インクを吐出させていないチャンネル数(吐出部数)が多い場合、特にインク下流側の吐出部106Bの開口105B近傍で荷電粒子Rの濃度が高くなり過ぎ、開口105Bが目詰まりを起こしてしまう。このため、インクジェットヘッド100では、インク滴の吐出を行っているチャンネル数に応じて泳動電極112に印加する電圧を制御する必要があり、この制御が煩雑であるという問題が生じていた。特許文献2や特許文献3に記載されたインクジェット記録装置でも同様の問題が生じている。
【0009】
本発明は、上記事実を考慮して、泳動電極に印加する電圧を制御しなくても吐出部でインクの目詰まりが生じることを防止できるインクジェットヘッド及びそれを有する画像記録装置を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、インク流路内での荷電粒子を電気泳動させて開口付近のインク濃度を増加させ、吐出を行うインクジェット方法に関し、主に記録媒体または記録媒体背面に配置された対向電極に起因する静電吸引力によりインク滴の吐出を行うものである。従って、記録媒体あるいは対向電極がヘッドに対向していない場合や、ヘッドと対向する位置にあっても記録媒体あるいは対向電極に電圧が印加されていない場合には、誤って吐出電極に電圧が印加された場合や振動が与えられた場合でもインク滴の吐出は起こらず、装置内を汚すことはない。
【0011】
請求項1に記載の発明は、電界によりインク中の荷電粒子に静電力を与えることによりインク滴を記録媒体に向けて吐出する複数の吐出部を有するインクジェットヘッドであって、インク流路の前記記録媒体側の壁部に前記吐出部毎に形成された開口と、前記開口の周囲に設けられ、パルス状に印加された電圧によって前記開口からインク滴を飛翔させる電界を前記記録媒体との間に形成する吐出電極と、前記インク流路の前記記録媒体とは反対側の壁面に電気的絶縁浮遊で設けられ、前記吐出電極に印加された吐出電圧によって生じる誘導電圧により、前記荷電粒子を前記記録媒体側へ泳動させる浮遊導電板と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
インク中の荷電粒子とは、例えば、正に帯電した着色粒子であり、吐出電極に印加されるパルス状の電圧は、この場合、正である。この電圧により、浮遊導電板には、吐出電極に印加された電圧よりも低い誘導電圧がほぼ定常的に生じ、浮遊導電板によって形成される電界によって荷電粒子が記録媒体側へ泳動する。
【0013】
また、インク滴の吐出を行っているチャンネル数(吐出部数)が少ないほど吐出に必要な荷電粒子数は少なくなるが、このとき浮遊導電板に生じる誘導電位は低くなる。従って、記録媒体側へ移動する荷電粒子数が相対的に低減し、インク下流の吐出部の開口が目詰まりすることが回避される。
【0014】
このように、請求項1に記載の発明により、荷電粒子を記録媒体側へ泳動させる浮遊導電板の電位が自動的に調整されるので、浮遊導電板に生じる電圧を制御しなくても、インク下流の吐出部でインクの目詰まりが生じることを防止できる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、前記吐出部毎に前記浮遊導電板を電気的絶縁浮遊で設けたことを特徴とする。
【0016】
これにより、浮遊導電板が吐出部毎に電気的に独立しているので、インク下流の吐出部でのインクの目詰まり防止を効率良く行えると共に、使用している吐出部の開口近傍のインク濃度を効率良く高めることができる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、前記浮遊導電板の表面に電気絶縁性の皮膜を形成したことを特徴とする。
【0018】
これにより、浮遊導電板が腐食されることを防止できる。また、浮遊導電板に荷電粒子が電着することを防止できるので、インク成分の安定化を図ることができる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、前記吐出部を使用していないときには、前記荷電粒子を前記浮遊導電板へ向けて泳動させる電界を前記吐出電極と前記浮遊導電板との間に形成することを特徴とする。
【0020】
これにより、インク流路中の開口近傍での荷電粒子の濃度が低くなるため、開口がクリーニングされる。
【0021】
請求項5に記載の発明は、画像記録装置が、請求項1〜請求項4のうち何れか1項に記載のインクジェットヘッドを有することを特徴とする。これにより、インクの目詰まりを防止した画像記録装置が実現される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、実施形態を挙げ、本発明の実施の形態について説明する。
【0023】
[第1形態]
まず、第1形態について説明する。図1に示すように、第1形態のインクジェットヘッド20は、カラー印刷可能なインクジェット式画像記録装置22(以下、単に画像記録装置22という)に設けられる4つのインクジェットヘッド20A〜D(YMCKの4色用)の何れにも用いることができる。
【0024】
画像記録装置22では、記録媒体SがP方向に回転移動可能に保持されており、インクジェットヘッド20は、記録媒体Sが略水平となる位置の下方に所定間隔離されて設けられている。記録媒体Sは、スコロトロンチャージャ24によってに負帯電され(例えば −1.5kV)、ベルト状の搬送部材26の下面側に静電吸着されるようになっている。搬送部材26には、記録媒体Sと接触する外面側(図3では下面側)に電気絶縁膜(図示せず)が設置されている。
【0025】
図2、図3に示すように、インクジェットヘッド20は、一方向のインク流Qが形成されるインク流路32と、インク流路32の上壁を構成する電気絶縁性の基板34と、インクを記録媒体Sへ向けて吐出する複数の吐出部36と、を有する。吐出部36には、何れも、インク流路32から飛翔するインク滴Gを記録媒体Sへ向けて案内するインクガイド部38が設けられ、基板34には、インクガイド部38がそれぞれ挿通する開口35が形成されており、インクガイド部38と開口35の内壁面との間にはインクメニスカス42が形成されている(図2、図3、図8、図9、図10を参照)。インクガイド部38と記録媒体Sとのギャップdは200μm〜1000μm程度であることが多い。また、インクガイド部38は、下端側で支持棒部40に固定されている。
【0026】
基板34は、2つの吐出電極を所定間隔で離して電気的に絶縁している絶縁層44と、絶縁層44の上側に形成された第1吐出電極46と、第1吐出電極46を覆う絶縁層48と、絶縁層48の上側に形成されたガード電極50と、ガード電極50を覆う絶縁層52と、を有する。また、基板34は、絶縁層44の下側に形成された第2吐出電極56と、第2吐出電極56を覆う絶縁層58と、を有する。ガード電極50は、第1吐出電極46や第2吐出電極56に印加された電圧によって隣接する吐出部に電界上の影響が生じることを防止するために設けられている。
【0027】
更に、インクジェットヘッド20には、インク流路32の底面を構成すると共に、第1吐出電極46及び第2吐出電極56に印加されたパルス状の吐出電圧によって定常的に生じる誘導電圧により、インク流路32内の正に帯電ししたインク粒子(荷電粒子)Rを上方へ向けて(すなわち記録媒体側に向けて)泳動させる浮遊導電板62が設けられている。また、浮遊導電板62の表面には、電気絶縁性である被覆膜64(図7参照)が形成されており、インクヘの電荷注入等によりインクの物性や成分が不安定化することを防止する。絶縁性被覆膜の電気抵抗は、1012Ω・cm以上が望ましく、より望ましくは1013Ω・cm以上である。また、絶縁性被覆膜はインクに対して耐腐食性であることが望ましく、これにより浮遊導電板62がインクに腐食されることが防止される。また、浮遊導電板62は下方から絶縁部材66で覆われており、このような構成により、浮遊導電板62は完全に電気的絶縁浮遊にされている。
【0028】
浮遊導電板62は、ヘッド1ユニットにつき1個以上である(例えば、C、M、Y、Kの4つのヘッドがあった場合、浮遊導電板数は最低各1個づつ有し、CとMのヘッドユニット間で共通の浮遊導電板とすることはない)。
【0029】
インク流路32に入れるインクは、粒径0.1〜5μm程度の着色荷電粒子をキャリア液中に分散したものを用いる。キャリア液は、高い電気抵抗率(1010Ωcm以上)を有する誘電性の液体であることが要求される。仮に電気抵抗率の低いキャリア液を使用すると、吐出電極によって印加される電圧によりキャリア液自身が電荷注入を受けて帯電してしまうため、荷電粒子(帯電したインク粒子)Rの濃度が高められず、濃縮がおこらない。また、電気抵抗率の低いキャリア液は、隣接する記録電極間で電気的導通を生じさせる懸念もあるため、本形態には不向きである。
【0030】
誘電性液体の比誘電率は5以下が好ましく、より好ましくは4以下、更に好ましくは3.5以下である。このような比誘電率の範囲とすることによって、誘電性液体中の荷電粒子に有効に電界が作用され、泳動が起こりやすくなる。
【0031】
本発明に用いる誘電性液体として好ましくは直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、または芳香族炭化水素、およびこれらの炭化水素のハロゲン置換体がある。例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン.イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、アイソパーC、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL(アイソパー:エクソン社の商品名)、シェルゾール70、シェルゾール71(シェルゾール:シェルオイル社の商品名)、アムスコOMS、アムスコ460溶剤(アムスコ:スピリッツ社の商品名)、シリコーンオイル(例えは信越シリコーン社製KF−96L)等を単独あるいは混合して用いる。
【0032】
上記の非水溶媒中に、分散される着色粒子は、色材自身を分散粒子として誘電性液体中に分散させてもよいし、定着性を向上させるための分散樹脂粒子中に含有させてもよい。含有させる場合、顔料などは分散樹脂粒子の樹脂材料で被覆して樹脂被覆粒子とする方法などが一般的であり、染料などは分散樹脂粒子を着色して着色粒子とする方法などが―般的である。色材としては、従来からインクジェットインク組成物、印刷用インキ組成物、あるいは電子写真用液体現像剤に用いられている顔料および染料であれはどれでも使用可能である。これらの着色粒子は、インク全体に対して0.5〜30重量%の範囲で含有されることが好ましく、より好ましくは1.5〜25重量%、更に好ましくは3〜20重量%の範囲で含有されることが望ましい。
【0033】
本発明の誘電性溶媒中に、分散された着色粒子の粒子の平均粒径は0.1μm〜5μmが好ましい。より好ましくは0.2μm〜1.5μmであり、更に好ましくは0.4μm〜1.0μmの範囲である。この粒径はCAPA−500(堀場製作所(株)製商品名)により求めたものである。
【0034】
またインク組成物として、粘度は0.5〜5mPa・secの範囲が好ましく、より好ましくは0.6〜3.0mPa・sec、更に好ましくは0.7〜2.0mPa・secの範囲である。着色粒子は荷電を有し、必要に応じて電子写真用液体現像剤に用いられている種々の荷電制御剤が使用でき、その荷電量は5〜200μC/gの範囲が望ましく、より好ましくは10〜150μC/g、更に好ましくは15〜100μC/gの範囲である。また荷電制御剤の添加によって誘電性溶媒の電気抵抗が変化する事もあり、下記に定義する分配率Pが、50%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上である。
【0035】
P=100×(σ1−σ2)/σ1
ここでσ1はインク組成物の電気伝導度、σ2はインク組成物を遠心分離器にかけた上澄みの電気伝導度である。電気伝導度はLCRメーター(安藤電気(株)社製AG−4311)及び液体用電極(川口電機製作所(株)社製LP−05型)を使用し、印加電圧5V、周波数lkHzの条件で測定を行った値である。また遠心分離は、小型高速冷却遠心機(トミー精工(株)社製SRX−201)を使用し、回転速度14500rpm、温度23°Cの条件で30分間行った。
【0036】
以上のようなインク組成物とすることによって、荷電粒子の泳動が起こりやすくなり、濃縮しやすくなる。
【0037】
一方、インク組成物の電気伝導度σ1は、100〜3000pS/cmの範囲が好ましく、より好ましくは150〜2500pS/cm、更に好ましくは200〜2000pS/cmの範囲である。以上の様な電気伝導度の範囲とすることによって、吐出電極に印加する電圧が極端に高くならず、隣接する記録電極間での電気的導通を生じさせる懸念もない。またインク組成物の表面張力は、15〜50mN/mの範囲が好ましく、より好ましくは15.5〜45mN/m、さらに好ましくは16〜40mN/mの範囲である。表面張力をこの範囲とすることによって、吐出電極に印加する電圧が極端に高くならず、ヘッド周りにインクが濡れ広がり汚染することがない。
【0038】
図3、図4に示すように、インクジェットヘッド20からインクを飛翔させて記録媒体Sに記録するには、インク流路32内のインクを循環させることによりインク流Qを発生させた状態にし、ガード電極50に所定の電圧(例えば +100V)を印加する。
【0039】
更に、インクガイド部38に案内されて開口35から飛翔したインク滴G中の正の荷電粒子Rが記録媒体Sにまで引き付けられるような飛翔電界が、第1吐出電極46及び第2吐出電極56と、記録媒体Sと、の間に形成されるように、第1吐出電極46、第2吐出電極56、及び、記録媒体Sの間に電圧を印加する(ギャップdが500μmである場合に、1kV〜3kV程度の電位差を形成することを目安とする)。
【0040】
この状態で、画像信号に応じて第1吐出電極46及び第2吐出電極56にパルス電圧を印加すると、荷電粒子濃度が高められたインク滴Gが開口35から吐出する(例えば、初期の荷電粒子濃度が3〜15%である場合、インク滴Gの荷電粒子濃度が30%以上になる)。
【0041】
その際、第1吐出電極46及び第2吐出電極56の両者にパルス電圧が印加された場合にのみインク滴Gが吐出するように、第1吐出電極46と第2吐出電極56とに印加する電圧値を調整しておく。これにより、マトリックス駆動が可能となり、ドライバの数を低減させることができる。すなわちインク滴吐出が起こらない状態では、記録媒体に向かう吸引電界が、1.5×10V/m以下、より好ましくは1.0×10V/m以下の範囲に収まるようにし、吐出が起こる状態では記録媒体に向かう電界が、2.0×10V/m以上、より好ましくは2.5×10V/m以上の範囲になるように設定する。例えば、第1吐出電極46と第2吐出電極56との間隔が50μmである場合、第1吐出電極46及び第2吐出電極56に何れも +600Vのパルス電圧を印加する。パルス幅は数十μsから数百μs程度であることが多い。記録媒体Sに記録されるドット径は、パルス電圧の大きさや電圧の印加時間に依存しており、調整可能である。
【0042】
このようにパルス状の正電圧を印加すると、開口35からインク滴Gがインクガイド部38に案内されて飛翔し、記録媒体Sに付着すると共に、浮遊導電板62には、第1吐出電極46及び第2吐出電極56に印加された正電圧により正の誘導電圧が発生する。第1吐出電極46及び第2吐出電極56に印加される電圧がパルス状であっても、この誘導電圧はほぼ定常的な電圧である(例えば吐出電極に600Vと0Vとが交互に繰り返されるパルス状の電圧が印加された場合、浮遊導電板62には定常的に約300Vの正電圧が生じる)。従って、浮遊導電板62及びガード電極50と、記録媒体Sとの間に形成される電界によって、インク流路32内で正に帯電している荷電粒子Rは上方へ移動する力を受け、基板34の近傍での荷電粒子Rの濃度が高くなる。なお、このとき、開口35内のインクは、インクの表面張力によって荷電粒子Rがインク上部(インクガイド先端部)に押しとどめられ、電圧印加条件及びインク物性等の条件を選ぶことにより、開口35内の荷電粒子Rに働く記録媒体からの静電吸引力を制御することができ、その結果、さらに荷電粒子Rの濃度を高めることもできる。
【0043】
図3、図6に示すように、使用する吐出部(すなわちインク滴を吐出させるチャンネル)の個数が多い場合、吐出に必要な荷電粒子数が多くなるが、使用する第1吐出電極46及び第2吐出電極56の枚数が多くなるため、浮遊導電板62に誘起される誘導電圧は高くなり、記録媒体側へ移動する荷電粒子Rの個数も増大する。
【0044】
図4に示すように、使用する吐出部の個数が少ない場合、使用する第1吐出電極46及び第2吐出電極56の枚数が少ないため、浮遊導電板62に誘起される誘導電圧は小さい。従って、記録媒体側へ移動する荷電粒子Rの数が相対的に少なくなるが、吐出に必要な荷電粒子数も少なくなるため、インク上部でのインク濃度は適度な濃度となる。これにより、吐出部を使用する個数が少なくても、インク下流の吐出部(インク滴を吐出していないチャンネル)36Bの開口35Bが詰まることを回避できると共に、使用している吐出部36Aの開口35A近くから飛翔するインク滴Gの濃度を良好に高めることができる。
【0045】
また、画像記録装置22(図1参照)の運転停止時には、スコロトロンチャージャ24による記録媒体Sへの負帯電が行われないので、図5に示すように、この状態で第1吐出電極46及び第2吐出電極56の少なくとも一方に一定の正電圧を印加しておく。これにより、吐出電極と浮遊導電板62との間に生じる電界によって荷電粒子Rが浮遊導電板62へ向けて移動し、インク流路中の基板34の近傍での荷電粒子Rの濃度が低くなるため、開口35がセルフクリーニングされる。なお、絶縁状態と、セルフクリーニング用の負電圧の印加状態と、を切換可能にするスイッチ(図示せず)を浮遊導電板62に接続し、画像記録装置22の運転中には浮遊導電板62を電気絶縁状態にし、画像記録装置22の運転停止時には浮遊導電板62に負電圧を印加してもよい。
【0046】
以上説明したように、本形態では、浮遊導電板62を電気的に浮遊状態(floating状態)、すなわち電気的に絶縁状態にしている。これにより、基板34近傍での荷電粒子Rの濃度が、吐出部の使用数(すなわち吐出電極の使用数)が多いときには高く、少ないときには低くなり、濃度が自動的に調整される。従って、吐出部の使用数が少なくても、インク下流の吐出部の開口が目詰まりすることを回避できる。
【0047】
また、インク全体に静電力を及ぼしているのではなく、キャリア液中に分散させた固形成分である荷電粒子(帯電したインク粒子)Rに静電力を及ぼしているので、普通紙をはじめとして非吸収性のPETフィルム等の種々の記録媒体に画像を記録することが可能であると共に、記録媒体上で滲みや流動が生じることがなく、種々の記録媒体に高画質で記録画像を形成することができる。
【0048】
なお、本形態では吐出電極が各吐出部に2個設けられている例(すなわち2重に設けられている例)を挙げたが、吐出電極が各吐出部に1個だけ設けられていても、同様に開口35が目詰まりすることを防止できる。また、図11、図12に示すように、吐出電極76に所定の正電圧を印加することによって、記録媒体Sへ向けてインク滴Gが飛翔する電界が形成されてインクメニスカスを上昇したインクがインク滴Gとなって飛翔する限り、吐出電極76を電気絶縁性の基板74の上側に設けた吐出部78としてもよい。
【0049】
[第2形態]
次に、第2形態について説明する。第2形態では、第1形態と同様の構成要素には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0050】
図13に示すように、第2形態のインクジェットヘッド80は、第1形態に比べ、浮遊導電板が各吐出部毎に切断されてそれぞれ電気的に絶縁状態になっており、隣合う分割浮遊導電板82A、82Bであっても互いに絶縁されている。従って、何れの吐出部であっても、隣接する吐出部に印加される電圧の影響が小さくなる。
【0051】
更に詳しく説明すると、インクジェットヘッド80の吐出部86Aを使用し、吐出部86Bを使用していない場合、吐出部86Aの分割浮遊導電板82Aには高い誘導電圧が生じ、吐出部86Bの分割浮遊導電板82Bには分割浮遊導電板82Aよりも低い誘導電圧が生じる。従って、開口35Aの近くには荷電粒子Rがより集まり、開口35Bの近くには荷電粒子Rは集まりにくい。すなわち、第1形態に比べ、インク下流の吐出部86Bの開口35Bで目詰まり防止することを効率良く行えると共に、使用している吐出部86Aの開口35A近傍のインク濃度を効率良く高めることができる。なお、隣合う吐出部86A及び吐出部86Bの両者を用いた場合、分割浮遊導電板82A、82Bの何れにも同等の誘導電圧が生じて開口35A、35Bの近くに荷電粒子Rが集まる。
【0052】
分割浮遊導電板82の形状や配置状態は、例えば図14〜図16の何れの形態であってもよく、隣り合う分割浮遊導電板間の隙間があまり開いていないことが好ましい。また、本形態では、1つの吐出部に対応して1つの分割浮遊導電板を設ける形態を示したが、複数の吐出部に対応して1つの分割浮遊導電板を設ける形態であってもよい。
【0053】
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。例えば、インク粒子は逆極性でも良く、その場合には電極、記録媒体の極性は逆になる。荷電粒子(インク粒子)の極性は吐出時に吐出電極に加える電圧極性と同じで、記録媒体の帯電極性は荷電粒子極性と同じ、または帯電無しとしても良い。荷電粒子の極性は吐出時に吐出電極で加える電圧極性及び記録媒体の帯電極性と逆にしても良い。また、本発明の権利範囲が上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0054】
【発明の効果】
本発明は上記構成としたので、泳動電極に印加する電圧を制御しなくても吐出部でインクの目詰まりが生じることを防止できるインクジェットヘッド及びそれを有する画像記録装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1形態の画像記録装置の構成を示す側面断面図である。
【図2】第1形態のインクジェットヘッドの構成を示す斜視図である(判りやすくするために、各吐出部でのガード電極のエッジは描いていない)。
【図3】第1形態で、インクジェットヘッドの吐出部の使用数が多いときの荷電粒子の分布状態を示す側面断面図である(図2の矢視X−Xに相当)。
【図4】第1形態で、インクジェットヘッドの吐出部の使用数が少ないときの荷電粒子の分布状態を示す側面断面図である(図2の矢視X−Xに相当)。
【図5】第1形態で、画像記録装置の使用を停止したときの荷電粒子の分布状態を示す側面断面図である(図2の矢視X−Xに相当)。
【図6】第1形態で、インクジェットヘッドの吐出部の使用数が多いときの荷電粒子の分布状態を示す側面断面図である(図2の矢視Y−Yに相当)。
【図7】図6の矢視7−7の部分拡大側面断面図である。
【図8】図3の矢視8−8の平面断面図である(インクガイド部は切断せずに描画)。
【図9】図3の矢視9−9の平面断面図である(インクガイド部は切断せずに描画)。
【図10】図3の矢視10−10の平面断面図である(インクガイド部は切断せずに描画)。
【図11】第1形態のインクジェットヘッドの変形例で、インクジェットヘッドの吐出部の使用数が多いときの荷電粒子の分布状態を示す側面断面図である。
【図12】第1形態のインクジェットヘッドの変形例で、インクジェットヘッドの吐出部の使用数が少ないときの荷電粒子の分布状態を示す側面断面図である。
【図13】第2形態のインクジェットヘッドの荷電粒子の分布状態を示す側面断面図である
【図14】第2形態のインクジェットヘッドの浮遊導電板の一例を示す平面図である。
【図15】第2形態のインクジェットヘッドの浮遊導電板の一例を示す平面図である。
【図16】第2形態のインクジェットヘッドの浮遊導電板の一例を示す平面図である。
【図17】図17(A)から(C)は、それぞれ、従来のインクジェットヘッドの構成を示す平面図、矢視17B−17Bの正面断面図、及び、矢視17C−17Cの側面断面図である。
【図18】従来のインクジェットヘッドで、インク下流の吐出部にインクが目詰まりしたことを示す側面断面図である。
【符号の説明】
20 インクジェットヘッド
22 インクジェット式画像記録装置
32 インク流路
35A、B 開口
36A、B 吐出部
46 第1吐出電極(吐出電極)
56 第2吐出電極(吐出電極)
62 浮遊導電板
64 被覆膜(皮膜)
76 吐出電極
78 吐出部
80 インクジェットヘッド
82A、B 分割浮遊導電板(浮遊導電板)
86A、B 吐出部
100 インクジェットヘッド
102 インク流路
105A、B 開口
106A、B 吐出部
112 泳動電極
116 吐出電極
G インク滴
S 記録媒体
R 荷電粒子

Claims (5)

  1. 電界によりインク中の荷電粒子に静電力を与えることによりインク滴を記録媒体に向けて吐出する複数の吐出部を有するインクジェットヘッドであって、
    インク流路の前記記録媒体側の壁部に前記吐出部毎に形成された開口と、
    前記開口の周囲に設けられ、パルス状に印加された電圧によって前記開口からインク滴を飛翔させる電界を前記記録媒体との間に形成する吐出電極と、
    前記インク流路の前記記録媒体とは反対側の壁面に電気的絶縁浮遊で設けられ、前記吐出電極に印加された吐出電圧によって生じる誘導電圧により、前記荷電粒子を前記記録媒体側へ泳動させる浮遊導電板と、
    を備えたことを特徴とするインクジェットヘッド。
  2. 前記吐出部毎に前記浮遊導電板を電気的絶縁浮遊で設けたことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド。
  3. 前記浮遊導電板の表面に電気絶縁性の皮膜を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェットヘッド。
  4. 前記吐出部を使用していないときには、前記荷電粒子を前記浮遊導電板へ向けて泳動させる電界を前記吐出電極と前記浮遊導電板との間に形成することを特徴とする請求項1〜請求項3のうち何れか1項に記載のインクジェットヘッド。
  5. 請求項1〜請求項4のうち何れか1項に記載のインクジェットヘッドを有することを特徴とする画像記録装置。
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