JP2004181418A - NOx浄化用プラズマアシスト触媒装置及び排ガス浄化方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】始動時からの昇温時あるいは加減速時などにおいてもNOx の排出を大きく抑制する。
【解決手段】プラズマ発生装置1と、NOx 吸着装置2と、多孔質体にIIIb族元素を担持してなるNOx 浄化装置3と、よりなり、NOx 吸着装置とNOx 浄化装置とを排ガス上流側から下流側に向かってこの順に配置した。
放電プラズマを発生させることで排ガス中のNOは酸化されてNOx となり、始動時などの低温域ではNOx はNOx 吸着装置に吸着される。そして排ガスの昇温により高温域となると、NOx 吸着装置から放出されたNOx はNOx 浄化装置で還元浄化される。そしてNOx 吸着装置とNOx 浄化装置の作用が相乗的に奏され、昇降温を伴う温度過渡条件下でNOx を効率よく浄化することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】プラズマ発生装置1と、NOx 吸着装置2と、多孔質体にIIIb族元素を担持してなるNOx 浄化装置3と、よりなり、NOx 吸着装置とNOx 浄化装置とを排ガス上流側から下流側に向かってこの順に配置した。
放電プラズマを発生させることで排ガス中のNOは酸化されてNOx となり、始動時などの低温域ではNOx はNOx 吸着装置に吸着される。そして排ガスの昇温により高温域となると、NOx 吸着装置から放出されたNOx はNOx 浄化装置で還元浄化される。そしてNOx 吸着装置とNOx 浄化装置の作用が相乗的に奏され、昇降温を伴う温度過渡条件下でNOx を効率よく浄化することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディーゼルエンジンあるいは希薄燃焼エンジンなどから排出された排ガス中のNOx を浄化するNOx 浄化用プラズマアシスト触媒及び排ガス浄化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境汚染の防止の必要性が高まり、自動車エンジンなどの内燃機関から排出される排ガスを浄化するための各種手段が行われている。例えば自動車の排気系には、酸化触媒、三元触媒、NOx 吸蔵還元型触媒などが配置され、主として貴金属の触媒作用によって排ガス中のNOx ,HC,COなどの有害成分を浄化している。
【0003】
また放電プラズマ法を利用したNOx 浄化方法も知られている。この放電プラズマ法は、排ガスを放電プラズマ中に導入し、生成した活性種とNOx とを反応させることによってNOx を還元する方法であり、プラズマの種類としてパルスグロー放電、グロー放電、パルスコロナ放電などがある。
【0004】
例えば特開平06−010651号公報には、排ガス流路に一対の電極を設け、その間にハニカム触媒を配置して、電極間にコロナ放電を発生させるように構成された排ガス浄化装置が開示されている。この装置では、HCが添加された排ガス流にコロナ放電を与えることによってHCから活性種が生成し、それが触媒上でNOx と反応することでNOx がN2に還元される。この触媒としては、γ−アルミナあるいはゼオライトが例示されている。
【0005】
また特開平06−091138号公報には、排ガスの経路にプラズマ放電のための電極を配置し、電極間に活性金属種が担持された触媒層を形成してなる排ガス処理装置が開示されている。この装置によれば、プラズマ環境下におかれた触媒層に排ガスが接触することによってNOx がN2とO2に直接分解される。そしてO2が触媒の活性金属種に吸着することで活性金属種が被毒・失活するものの、プラズマ環境下ではO2が容易に脱離して金属失活が抑制されるため、触媒の活性が維持されNOx の分解が促進される。この触媒層としては、ゼオライト、アルミナ、シリカのいずれかの担体に、Cu、Pt、Coのいずれかを担持したものが例示されている。
【0006】
また特開2001−162134号公報には、還元触媒活性を有する吸着剤としてγ−アルミナ若しくはゼオライトを用い、放電プラズマによってNOをNO2 に酸化させ、NO2 を吸着剤に吸着するとともに、HC,NH3 などの還元剤によってNOx を選択還元する方法が記載されている。
【0007】
ところが特開平06−010651号公報に記載の排ガス浄化装置では、活性化されたHCとNOx との反応活性がさほど高くなく、さらなるNOx 浄化活性の向上が求められる。
【0008】
また特開平06−091138号に記載された方法では、吸着酸素を脱離できるだけの放電プラズマを発生させるためには多大なエネルギーが必要となり、自動車の排ガスを浄化する場合には実用的でない。またNOx を直接分解する方法では分解効率が低く、必要な触媒量が多くなるため装置が大型化するという問題がある。さらにプラズマを触媒表面の酸素の脱離にも用いているため、プラズマへの投入エネルギーが増大し、それに伴って新たにNOx が発生しやすいという不具合もある。
【0009】
また特開2001−162134号公報に記載の方法では、未反応の還元剤あるいは一部反応したHCなどが吸着剤表面に堆積し、時間の経過とともにNOx の浄化活性が低下するという問題がある。そのため定期的に堆積物を吸着剤から除去する作業が必要となり、連続使用が困難であった。また使用初期においても、NOx 浄化率の絶対値が低いという問題もある。
【0010】
そこで特開2001−162134号公報に記載の吸着剤に、Ptなどの触媒金属を担持して触媒活性を向上させることが考えられるが、そうした場合には高温域におけるNOx の選択還元活性が低下するという現象が生じた。これは、触媒金属による還元剤の酸化反応が、還元剤によるNOx の選択還元反応より優先的に生じたためと考えられる。
【0011】
また特開2001−162134号公報に記載の方法では、吸着剤が還元触媒を兼ねている。そそのため例えば最下流に存在する吸着剤から放出されたNO2 は、還元触媒と接触することなく排出されるという不具合がある。この不具合は、NO2 が吸着から放出に転じる際に特に生じ、始動時からの昇温時、あるいは加減速時などに大きく表れる。
【0012】
【特許文献1】特開平06−010651号
【特許文献2】特開平06−091138号
【特許文献3】特開2001−162134号
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、連続使用時にも浄化活性の低下がなく、始動時からの昇温時あるいは加減速時などにおいてもNOx の排出を大きく抑制できるようにすることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明のNOx 浄化用プラズマアシスト触媒装置の特徴は、内燃機関から排出されたNOx とHCを含む排ガスを浄化する触媒装置であって、放電プラズマを発生するプラズマ発生装置と、NOx 吸着装置と、多孔質体にIIIb族元素を担持してなるNOx 浄化装置よりなり、NOx 吸着装置とNOx 浄化装置とは排ガス上流側から下流側に向かってこの順に配置されていることにある。
【0015】
IIIb族元素はIn及びGaの少なくとも一種であることが望ましい。また多孔質体は、γ−アルミナ,ゼオライト,シリカ,チタニア及びシリカ−アルミナから選ばれる少なくとも一種であることが好ましく、固体酸を 250μモル/g以上含有するγ−アルミナであることが特に望ましい。そしてNOx 浄化装置の排ガス下流側には、多孔質体に貴金属を担持してなる貴金属触媒装置がさらに配置されていることが望ましい。
【0016】
また本発明の排ガス浄化方法の特徴は、内燃機関から排出されたNOを含む排ガスを浄化する排ガス浄化方法であって、本発明のNOx 浄化用プラズマアシスト触媒装置を用い、排ガス中で放電プラズマを発生させることで排ガス中のNOを酸化してNOx とし、低温域ではNOx をNOx 吸着装置に吸着し、高温域でNOx 吸着装置から放出されたNOx をNOx 浄化装置で還元浄化することにある。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明のNOx 浄化用プラズマアシスト触媒装置は、プラズマ発生装置と、NOx 吸着装置と、NOx 浄化装置と、から構成される。排ガス中で放電プラズマを発生させることで排ガス中のNOは酸化されてNOx となり、始動時などの低温域ではNOx はNOx 吸着装置に吸着される。そして排ガスの昇温により高温域となると、NOx 吸着装置から放出されたNOx はNOx 浄化装置で還元浄化される。したがって始動時などの低温域から高温域まで、NOx の排出を大きく抑制することができる。
【0018】
そしてNOx 吸着装置とNOx 浄化装置とを排ガス上流側から下流側に向かってこの順に配置することで、両者の作用が相乗的に奏され、昇降温を伴う温度過渡条件下でNOx を効率よく浄化することができる。
【0019】
プラズマ発生装置は、一般に5〜50kV程度の高電圧の印加によって放電プラズマが発生するように構成される。この高電圧源としては、直流電圧、交流電圧あるいは交流パルス電圧などを用いることができる。例えば排ガス流路に一対以上の電極を形成し、その電極間で放電させることでプラズマを発生させ、流路を流れる排ガス中の成分を活性化することができる。電極の形状には特に制限はないが、細線、針状、エッジ状など放電しやすい形状とする、若しくは誘電体で覆うことが望ましい。
【0020】
NOx 吸着装置は、NOの酸化によって生成したNO2 などのNOx を吸着するものであり、γ−アルミナ,ゼオライトなどが好ましく用いられる。γ−アルミナ,ゼオライトなどを粒状に成形して排ガス流路に充填することでNOx 吸着装置とすることができる。またハニカム基材又はフォーム基材の表面にγ−アルミナ,ゼオライトなどの粉末からコート層を形成することでNOx 吸着装置とすることも好ましい。
【0021】
NOx 浄化装置は、多孔質体よりなる担体と、その担体に担持されたIIIb族元素とよりなる。排ガス中のHCは、プラズマによって部分酸化物,イオンあるいはラジカルなどの活性種を生成する。一方、NOx 吸着装置に吸着されたNOx は、ある程度以上の温度域で放出され、放出されたNOx はHCの活性種とIIIb族元素上で選択的に反応し、NOx はN2と H2Oに効率よく還元浄化される。
【0022】
またIIIb族元素により、NOx の還元反応が起こるとともに、堆積しようとする未反応のHC若しくは一部反応したHCなどが酸化されるために、HC被毒が起こりにくく触媒の活性低下が生じにくい。
【0023】
多孔質体としては、酸塩基性度,比表面積,耐熱性などが好適であるγ−アルミナ,ゼオライト,シリカ,チタニア及びシリカ−アルミナから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。また、固体酸を 250μモル/g以上含有するγ−アルミナを用いることも望ましい。
【0024】
アルミナが有する固体酸とは、Al3+と O2−のイオン対にH+が配位したブレンステッド酸、及びOH基が加熱により脱離する際に生成するルイス酸のことを意味する。固体酸を多量に有するγ−アルミナを製造するには、アルミニウム塩の水もしくはアルコールの混合物を加熱熟成の後焼成する方法、アルミニウム水酸化物を加熱熟成の後焼成する方法などが例示される。
【0025】
固体酸を 250μモル/g以上含有するγ−アルミナを用いると、プラズマによってHCから生成した部分酸化物,イオンあるいはラジカルからなる活性種は、還元剤としてNOx 浄化装置に供給され、担体の酸点上に選択的に吸着する。一方アルミナは塩基点も有し、プラズマにより生成したNO2 が塩基点との相互作用により引き寄せられやすい。このNO2 は酸点上に吸着する活性種と反応する。そして固体酸を 250μモル/g以上有していれば、NOx と還元剤の反応がより効率よく進行する。したがって酸素過剰雰囲気下においても高いNOx 浄化活性が得られるとともに、HC被毒などによる定常活性の低下が起こりにくい。
【0026】
なお固体酸の含有量が 250μモル/g未満であると、酸点上における還元成分の供給効率が低下してしまう。したがって上記したγ−アルミナを担体とし、IIIb族元素を担持すると、相乗作用によってさらに高いNOx 浄化活性が得られる。
【0027】
またIIIb族元素にはB,Al,Ga,In,Tlがあるが、NOx 浄化装置の触媒金属としては、In及びGaの少なくとも一種が特に望ましい。この触媒金属は、多孔質体上では一般に In2O3あるいは Ga2O3で表される酸化物として担持されている。その担持量は、多孔質体に対して酸化物として1〜50重量%の範囲とすることが望ましい。担持量がこの範囲より少ないとNOx 浄化活性が急激に低下し、この範囲より多く担持すると、HCの酸化が優先的に起こりNOx 浄化活性が低下する場合がある。なおIIIb族元素を担持するには、吸着担持法、イオン交換法、含浸担持法など、公知の担持方法を利用することができる。
【0028】
本発明のプラズマアシスト触媒装置では、NOx 吸着装置とNOx 浄化装置とは排ガス上流側から下流側に向かってこの順に配置されている。この順で配置することで上記した作用が効果的に奏され、始動時などの低温域からNOx の排出を大きく抑制することができる。プラズマ発生装置は、プラズマ発生装置で発生した放電プラズマが排ガスと接触し、生成したラジカルあるいはイオンなどの活性種がNOx 吸着装置及びNOx 浄化装置と接触すればよく、NOx 吸着装置の排ガス上流側で放電させてもよいし、NOx 吸着装置及びNOx 浄化装置の内部で放電させることもできる。
【0029】
NOx 吸着装置及びNOx 浄化装置は、粒状に成形して排ガス流路に充填してもよいし、ハニカム基材又はフォーム基材の表面にγ−アルミナ,ゼオライトなどの粉末からコート層を形成して用いてもよい。
【0030】
またNOx 浄化装置の排ガス下流側には、多孔質体に貴金属を担持してなる貴金属触媒装置がさらに配置されていることが望ましい。この貴金属触媒装置によれば、NOx 浄化装置に比べて還元活性は低いものの、より低温域で還元活性が発現される。したがってNOx 浄化装置の活性化が困難な低温域において、NOx 吸着装置からNOx が放出された場合あるいはNOx 吸着装置の吸着量が飽和した場合でも、貴金属触媒装置によってNOx を還元浄化することができ、NOx の排出をさらに抑制することができる。
【0031】
この貴金属触媒装置に用いられる多孔質体としては、アルミナ,チタニア,ジルコニア,セリアなどが例示される。また貴金属としてはPt,Rh,Pd,Ir,Ruなどが例示され、その担持量は1〜20重量%の範囲が好ましい。粒状として排ガス流路に充填して用いてもよいし、ハニカム基材又はフォーム基材の表面にコートして用いてもよい。
【0032】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。
【0033】
(実施例1)
図1に本発明のNOx 浄化用プラズマアシスト触媒装置を示す。この触媒装置は、プラズマ発生装置1と、NOx 吸着装置2と、NOx 浄化装置3とよりなり、反応管 100内に上流側から下流側に向かってこの順で配設されている。
【0034】
プラズマ発生装置1は、導電金属よりなり内径φ17mm,長さ10mmの円筒電極10と、円筒電極10の中心に配置されたφ1mmの針状の中心電極11とからなり、円筒電極10は接地電位とされ、中心電極11に高圧電源12から図2に示す矩形パルス波形の高電圧が14.5kv, 200Hzで印加されるように構成されている。
【0035】
NOx 吸着装置2は、NaタイプZSM−5粉末から粒状に成形され反応管 100内に3cc充填された吸着材ペレット21から構成され、プラズマ発生装置1の下流側で反応管 100内にプラズマ発生装置1と直列に配置されている。
【0036】
NOx 浄化装置3は、反応管 100内に3cc充填された触媒ペレット31から構成され、NOx 吸着装置2の下流側で反応管 100内に直列に配置されている。この触媒ペレット31は以下のようにして調製された。
【0037】
γ−Al2O3粉末に所定濃度の硝酸インジウム水溶液の所定量を含浸させ、蒸発・乾固後に乾燥・焼成して、 In2O3を30重量%担持した触媒粉末を調製した。この触媒粉末を定法でペレット化し、触媒ペレット31とした。
【0038】
(実施例2)
図3に示すように、NOx 浄化装置3の下流側にさらに貴金属触媒装置4を直列に配置したこと、吸着材ペレット21と触媒ペレット31の充填量をそれぞれ2ccとしたこと以外は実施例1と同様の構成である。貴金属触媒装置4は、円筒状の容器40と、容器40内に2cc充填されたペレット状のPt触媒ペレット41とから構成されている。
【0039】
γ−Al2O3粉末に所定濃度のジニトロジアンミン白金水溶液の所定量を含浸させ、蒸発・乾固後に乾燥・焼成して、Ptを2重量%担持した触媒粉末を調製した。この触媒粉末を定法でペレット化し、Pt触媒ペレット41とした。
【0040】
(比較例1)
プラズマ発生装置1を除いたこと以外は実施例1と同様の触媒装置を、比較例1の触媒装置とした。
【0041】
(比較例2)
NOx 吸着装置2を除いたこと、NOx 浄化装置3における触媒ペレット31の充填量を6ccとしたこと以外は実施例1と同様の触媒装置を、比較例2の触媒装置とした。
【0042】
(比較例3)
NOx 浄化装置3を除いたこと、NOx 吸着装置2における吸着材ペレット21の充填量を6ccとしたこと以外は実施例1と同様の触媒装置を、比較例3の触媒装置とした。
【0043】
(比較例4)
NOx 吸着装置2及びNOx 浄化装置3を除いたこと、貴金属触媒装置4におけるPt触媒ペレット41の充填量を6ccとしたこと以外は実施例2と同様の触媒装置を、比較例4の触媒装置とした。
【0044】
<試験例>
【0045】
【表1】
【0046】
反応管 100内に、表1に示す組成の希薄燃焼モデルガスを流量6L/分で流し、図4に示す温度プロファイルにて、実施例1〜2及び比較例1〜4の各触媒装置について昇降温時の平均NOx 浄化率を測定した。結果を図5に示す。プラズマ発生装置1をもつものは、高電圧を図2のように印加して放電プラズマを発生させた状態で測定した。なおNOx 浄化率は、下記の式より計算により求めた。
【0047】
NOx 浄化率(%)= 100×(入りガスNOx 濃度−出ガスNOx 濃度)/入りガスNOx 濃度
図5より、各実施例の触媒は各比較例の触媒に比べて、昇降温を伴う温度過渡条件下で高いNOx 浄化率を示していることがわかる。
【0048】
一方、吸着材ペレット21及び触媒ペレット31の単位充填量あたりの浄化率を計算すると、比較例2と比較例3の平均NOx 浄化率の合計値より実施例1の方が高いNOx 浄化率であることから、実施例1の触媒装置では、NOx 吸着装置2とNOx 浄化装置3の相乗作用が奏されていることが明らかである。
【0049】
また実施例2は実施例1より高いNOx 浄化率を示していることから、貴金属触媒装置4をさらに配置することが望ましいことも明らかである。
【0050】
(実施例3)
図6に示す本実施例のNOx 浄化用プラズマアシスト触媒装置は、円筒形の反応管 100自体が接地極としての円筒電極10を構成し、その軸心に中心電極11が挿通されている。そして円筒電極10内には、チタン酸バリウム製のペレット、ハニカム又はフォーム体13が充填され、上流側半分のペレット又はフォーム体13にはNaタイプZSM−5粉末がコートされてNOx 吸着装置2を構成している。また下流側半分のペレット、ハニカム又はフォーム体13には、γ−Al2O3粉末に In2O3を30重量%担持した触媒粉末がコートされてNOx 浄化装置3を構成している。
【0051】
本実施例の触媒装置によれば、ペレット、ハニカム又はフォーム体13を構成するチタン酸バリウムは誘電体であり、中心電極11への高圧電圧の印加によって円筒電極10内に放電プラズマが均一に形成されるという効果が奏され、NOx の浄化率がさらに向上する。またNOx 吸着装置2及びNOx 浄化装置3がプラズマ発生装置1を兼ねているので、実施例1の触媒装置に比べてコンパクトとなり配置に必要なスペースを大きく低減することができる。
【0052】
(実施例4)
図7に示す本実施例のNOx 浄化用プラズマアシスト触媒装置は、プラズマ発生装置1の構成が異なること以外は実施例1と同様である。プラズマ発生装置1は、板状の接地極14と板状の高圧極15とが互いに1mmの間隔を隔てて交互に積層され、接地極14と高圧極15はそれぞれ誘電体であるチタン酸バリウムの誘電体層16に覆われている。したがって高圧極15に高圧電圧を印加することにより、それぞれの接地極14と高圧極15の間に均一な放電プラズマが発生し、NOx の浄化率がさらに向上する。
【0053】
(実施例5)
さらに図8に示す本実施例のNOx 浄化用プラズマアシスト触媒装置は、実施例4におけるプラズマ発生装置1の接地極14と高圧極15の間に、上流側半分にはNaタイプZSM−5粉末がコートされてNOx 吸着装置2が構成され、下流側半部にはγ−Al2O3粉末に In2O3を30重量%担持した触媒粉末がコートされてNOx 浄化装置3が構成されている。
【0054】
このような触媒装置とすれば、実施例4の触媒装置に比べて必要なスペースを大きく低減することができる。
【0055】
なお上記した各実施例では、高圧電圧として図2に示す波形の直流電圧を用いたが、図9に示すような交流電圧を用いることもできる。
【0056】
【発明の効果】
すなわち本発明のNOx 浄化用プラズマアシスト触媒装置及び排ガス浄化方法によれば、昇降温を伴う温度過渡条件下でNOx を効率よく浄化することができ、しかも長時間使用後にもNOx 浄化活性の低下がなく耐久性にも優れている。またIIIb族元素により、NOx 浄化装置上に堆積しようとする未反応のHC若しくは一部反応したHCなどが酸化されるために、HC被毒が起こりにくく活性低下が生じにくい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のNOx 浄化用プラズマアシスト触媒装置の説明図である。
【図2】本発明の一実施例で用いた高圧電圧の波形を示す説明図である。
【図3】実施例2のNOx 浄化用プラズマアシスト触媒装置の説明図である。
【図4】試験例における評価温度プロファイルを示すグラフである。
【図5】実施例及び比較例の触媒装置の平均NOx 浄化率を示すグラフである。
【図6】実施例3のNOx 浄化用プラズマアシスト触媒装置の説明図である。
【図7】実施例4のNOx 浄化用プラズマアシスト触媒装置の説明図である。
【図8】実施例5のNOx 浄化用プラズマアシスト触媒装置の説明図である。
【図9】用い得る高圧電圧の他の態様を示し、高圧電圧の波形を示す説明図である。
【符号の説明】
1:プラズマ発生装置 2:NOx 吸着装置 3:NOx 浄化装置
4:貴金属触媒装置 10:円筒電極 11:中心電極
21:吸着材ペレット 31:触媒ペレット 41:Pt触媒ペレット
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディーゼルエンジンあるいは希薄燃焼エンジンなどから排出された排ガス中のNOx を浄化するNOx 浄化用プラズマアシスト触媒及び排ガス浄化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境汚染の防止の必要性が高まり、自動車エンジンなどの内燃機関から排出される排ガスを浄化するための各種手段が行われている。例えば自動車の排気系には、酸化触媒、三元触媒、NOx 吸蔵還元型触媒などが配置され、主として貴金属の触媒作用によって排ガス中のNOx ,HC,COなどの有害成分を浄化している。
【0003】
また放電プラズマ法を利用したNOx 浄化方法も知られている。この放電プラズマ法は、排ガスを放電プラズマ中に導入し、生成した活性種とNOx とを反応させることによってNOx を還元する方法であり、プラズマの種類としてパルスグロー放電、グロー放電、パルスコロナ放電などがある。
【0004】
例えば特開平06−010651号公報には、排ガス流路に一対の電極を設け、その間にハニカム触媒を配置して、電極間にコロナ放電を発生させるように構成された排ガス浄化装置が開示されている。この装置では、HCが添加された排ガス流にコロナ放電を与えることによってHCから活性種が生成し、それが触媒上でNOx と反応することでNOx がN2に還元される。この触媒としては、γ−アルミナあるいはゼオライトが例示されている。
【0005】
また特開平06−091138号公報には、排ガスの経路にプラズマ放電のための電極を配置し、電極間に活性金属種が担持された触媒層を形成してなる排ガス処理装置が開示されている。この装置によれば、プラズマ環境下におかれた触媒層に排ガスが接触することによってNOx がN2とO2に直接分解される。そしてO2が触媒の活性金属種に吸着することで活性金属種が被毒・失活するものの、プラズマ環境下ではO2が容易に脱離して金属失活が抑制されるため、触媒の活性が維持されNOx の分解が促進される。この触媒層としては、ゼオライト、アルミナ、シリカのいずれかの担体に、Cu、Pt、Coのいずれかを担持したものが例示されている。
【0006】
また特開2001−162134号公報には、還元触媒活性を有する吸着剤としてγ−アルミナ若しくはゼオライトを用い、放電プラズマによってNOをNO2 に酸化させ、NO2 を吸着剤に吸着するとともに、HC,NH3 などの還元剤によってNOx を選択還元する方法が記載されている。
【0007】
ところが特開平06−010651号公報に記載の排ガス浄化装置では、活性化されたHCとNOx との反応活性がさほど高くなく、さらなるNOx 浄化活性の向上が求められる。
【0008】
また特開平06−091138号に記載された方法では、吸着酸素を脱離できるだけの放電プラズマを発生させるためには多大なエネルギーが必要となり、自動車の排ガスを浄化する場合には実用的でない。またNOx を直接分解する方法では分解効率が低く、必要な触媒量が多くなるため装置が大型化するという問題がある。さらにプラズマを触媒表面の酸素の脱離にも用いているため、プラズマへの投入エネルギーが増大し、それに伴って新たにNOx が発生しやすいという不具合もある。
【0009】
また特開2001−162134号公報に記載の方法では、未反応の還元剤あるいは一部反応したHCなどが吸着剤表面に堆積し、時間の経過とともにNOx の浄化活性が低下するという問題がある。そのため定期的に堆積物を吸着剤から除去する作業が必要となり、連続使用が困難であった。また使用初期においても、NOx 浄化率の絶対値が低いという問題もある。
【0010】
そこで特開2001−162134号公報に記載の吸着剤に、Ptなどの触媒金属を担持して触媒活性を向上させることが考えられるが、そうした場合には高温域におけるNOx の選択還元活性が低下するという現象が生じた。これは、触媒金属による還元剤の酸化反応が、還元剤によるNOx の選択還元反応より優先的に生じたためと考えられる。
【0011】
また特開2001−162134号公報に記載の方法では、吸着剤が還元触媒を兼ねている。そそのため例えば最下流に存在する吸着剤から放出されたNO2 は、還元触媒と接触することなく排出されるという不具合がある。この不具合は、NO2 が吸着から放出に転じる際に特に生じ、始動時からの昇温時、あるいは加減速時などに大きく表れる。
【0012】
【特許文献1】特開平06−010651号
【特許文献2】特開平06−091138号
【特許文献3】特開2001−162134号
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、連続使用時にも浄化活性の低下がなく、始動時からの昇温時あるいは加減速時などにおいてもNOx の排出を大きく抑制できるようにすることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明のNOx 浄化用プラズマアシスト触媒装置の特徴は、内燃機関から排出されたNOx とHCを含む排ガスを浄化する触媒装置であって、放電プラズマを発生するプラズマ発生装置と、NOx 吸着装置と、多孔質体にIIIb族元素を担持してなるNOx 浄化装置よりなり、NOx 吸着装置とNOx 浄化装置とは排ガス上流側から下流側に向かってこの順に配置されていることにある。
【0015】
IIIb族元素はIn及びGaの少なくとも一種であることが望ましい。また多孔質体は、γ−アルミナ,ゼオライト,シリカ,チタニア及びシリカ−アルミナから選ばれる少なくとも一種であることが好ましく、固体酸を 250μモル/g以上含有するγ−アルミナであることが特に望ましい。そしてNOx 浄化装置の排ガス下流側には、多孔質体に貴金属を担持してなる貴金属触媒装置がさらに配置されていることが望ましい。
【0016】
また本発明の排ガス浄化方法の特徴は、内燃機関から排出されたNOを含む排ガスを浄化する排ガス浄化方法であって、本発明のNOx 浄化用プラズマアシスト触媒装置を用い、排ガス中で放電プラズマを発生させることで排ガス中のNOを酸化してNOx とし、低温域ではNOx をNOx 吸着装置に吸着し、高温域でNOx 吸着装置から放出されたNOx をNOx 浄化装置で還元浄化することにある。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明のNOx 浄化用プラズマアシスト触媒装置は、プラズマ発生装置と、NOx 吸着装置と、NOx 浄化装置と、から構成される。排ガス中で放電プラズマを発生させることで排ガス中のNOは酸化されてNOx となり、始動時などの低温域ではNOx はNOx 吸着装置に吸着される。そして排ガスの昇温により高温域となると、NOx 吸着装置から放出されたNOx はNOx 浄化装置で還元浄化される。したがって始動時などの低温域から高温域まで、NOx の排出を大きく抑制することができる。
【0018】
そしてNOx 吸着装置とNOx 浄化装置とを排ガス上流側から下流側に向かってこの順に配置することで、両者の作用が相乗的に奏され、昇降温を伴う温度過渡条件下でNOx を効率よく浄化することができる。
【0019】
プラズマ発生装置は、一般に5〜50kV程度の高電圧の印加によって放電プラズマが発生するように構成される。この高電圧源としては、直流電圧、交流電圧あるいは交流パルス電圧などを用いることができる。例えば排ガス流路に一対以上の電極を形成し、その電極間で放電させることでプラズマを発生させ、流路を流れる排ガス中の成分を活性化することができる。電極の形状には特に制限はないが、細線、針状、エッジ状など放電しやすい形状とする、若しくは誘電体で覆うことが望ましい。
【0020】
NOx 吸着装置は、NOの酸化によって生成したNO2 などのNOx を吸着するものであり、γ−アルミナ,ゼオライトなどが好ましく用いられる。γ−アルミナ,ゼオライトなどを粒状に成形して排ガス流路に充填することでNOx 吸着装置とすることができる。またハニカム基材又はフォーム基材の表面にγ−アルミナ,ゼオライトなどの粉末からコート層を形成することでNOx 吸着装置とすることも好ましい。
【0021】
NOx 浄化装置は、多孔質体よりなる担体と、その担体に担持されたIIIb族元素とよりなる。排ガス中のHCは、プラズマによって部分酸化物,イオンあるいはラジカルなどの活性種を生成する。一方、NOx 吸着装置に吸着されたNOx は、ある程度以上の温度域で放出され、放出されたNOx はHCの活性種とIIIb族元素上で選択的に反応し、NOx はN2と H2Oに効率よく還元浄化される。
【0022】
またIIIb族元素により、NOx の還元反応が起こるとともに、堆積しようとする未反応のHC若しくは一部反応したHCなどが酸化されるために、HC被毒が起こりにくく触媒の活性低下が生じにくい。
【0023】
多孔質体としては、酸塩基性度,比表面積,耐熱性などが好適であるγ−アルミナ,ゼオライト,シリカ,チタニア及びシリカ−アルミナから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。また、固体酸を 250μモル/g以上含有するγ−アルミナを用いることも望ましい。
【0024】
アルミナが有する固体酸とは、Al3+と O2−のイオン対にH+が配位したブレンステッド酸、及びOH基が加熱により脱離する際に生成するルイス酸のことを意味する。固体酸を多量に有するγ−アルミナを製造するには、アルミニウム塩の水もしくはアルコールの混合物を加熱熟成の後焼成する方法、アルミニウム水酸化物を加熱熟成の後焼成する方法などが例示される。
【0025】
固体酸を 250μモル/g以上含有するγ−アルミナを用いると、プラズマによってHCから生成した部分酸化物,イオンあるいはラジカルからなる活性種は、還元剤としてNOx 浄化装置に供給され、担体の酸点上に選択的に吸着する。一方アルミナは塩基点も有し、プラズマにより生成したNO2 が塩基点との相互作用により引き寄せられやすい。このNO2 は酸点上に吸着する活性種と反応する。そして固体酸を 250μモル/g以上有していれば、NOx と還元剤の反応がより効率よく進行する。したがって酸素過剰雰囲気下においても高いNOx 浄化活性が得られるとともに、HC被毒などによる定常活性の低下が起こりにくい。
【0026】
なお固体酸の含有量が 250μモル/g未満であると、酸点上における還元成分の供給効率が低下してしまう。したがって上記したγ−アルミナを担体とし、IIIb族元素を担持すると、相乗作用によってさらに高いNOx 浄化活性が得られる。
【0027】
またIIIb族元素にはB,Al,Ga,In,Tlがあるが、NOx 浄化装置の触媒金属としては、In及びGaの少なくとも一種が特に望ましい。この触媒金属は、多孔質体上では一般に In2O3あるいは Ga2O3で表される酸化物として担持されている。その担持量は、多孔質体に対して酸化物として1〜50重量%の範囲とすることが望ましい。担持量がこの範囲より少ないとNOx 浄化活性が急激に低下し、この範囲より多く担持すると、HCの酸化が優先的に起こりNOx 浄化活性が低下する場合がある。なおIIIb族元素を担持するには、吸着担持法、イオン交換法、含浸担持法など、公知の担持方法を利用することができる。
【0028】
本発明のプラズマアシスト触媒装置では、NOx 吸着装置とNOx 浄化装置とは排ガス上流側から下流側に向かってこの順に配置されている。この順で配置することで上記した作用が効果的に奏され、始動時などの低温域からNOx の排出を大きく抑制することができる。プラズマ発生装置は、プラズマ発生装置で発生した放電プラズマが排ガスと接触し、生成したラジカルあるいはイオンなどの活性種がNOx 吸着装置及びNOx 浄化装置と接触すればよく、NOx 吸着装置の排ガス上流側で放電させてもよいし、NOx 吸着装置及びNOx 浄化装置の内部で放電させることもできる。
【0029】
NOx 吸着装置及びNOx 浄化装置は、粒状に成形して排ガス流路に充填してもよいし、ハニカム基材又はフォーム基材の表面にγ−アルミナ,ゼオライトなどの粉末からコート層を形成して用いてもよい。
【0030】
またNOx 浄化装置の排ガス下流側には、多孔質体に貴金属を担持してなる貴金属触媒装置がさらに配置されていることが望ましい。この貴金属触媒装置によれば、NOx 浄化装置に比べて還元活性は低いものの、より低温域で還元活性が発現される。したがってNOx 浄化装置の活性化が困難な低温域において、NOx 吸着装置からNOx が放出された場合あるいはNOx 吸着装置の吸着量が飽和した場合でも、貴金属触媒装置によってNOx を還元浄化することができ、NOx の排出をさらに抑制することができる。
【0031】
この貴金属触媒装置に用いられる多孔質体としては、アルミナ,チタニア,ジルコニア,セリアなどが例示される。また貴金属としてはPt,Rh,Pd,Ir,Ruなどが例示され、その担持量は1〜20重量%の範囲が好ましい。粒状として排ガス流路に充填して用いてもよいし、ハニカム基材又はフォーム基材の表面にコートして用いてもよい。
【0032】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。
【0033】
(実施例1)
図1に本発明のNOx 浄化用プラズマアシスト触媒装置を示す。この触媒装置は、プラズマ発生装置1と、NOx 吸着装置2と、NOx 浄化装置3とよりなり、反応管 100内に上流側から下流側に向かってこの順で配設されている。
【0034】
プラズマ発生装置1は、導電金属よりなり内径φ17mm,長さ10mmの円筒電極10と、円筒電極10の中心に配置されたφ1mmの針状の中心電極11とからなり、円筒電極10は接地電位とされ、中心電極11に高圧電源12から図2に示す矩形パルス波形の高電圧が14.5kv, 200Hzで印加されるように構成されている。
【0035】
NOx 吸着装置2は、NaタイプZSM−5粉末から粒状に成形され反応管 100内に3cc充填された吸着材ペレット21から構成され、プラズマ発生装置1の下流側で反応管 100内にプラズマ発生装置1と直列に配置されている。
【0036】
NOx 浄化装置3は、反応管 100内に3cc充填された触媒ペレット31から構成され、NOx 吸着装置2の下流側で反応管 100内に直列に配置されている。この触媒ペレット31は以下のようにして調製された。
【0037】
γ−Al2O3粉末に所定濃度の硝酸インジウム水溶液の所定量を含浸させ、蒸発・乾固後に乾燥・焼成して、 In2O3を30重量%担持した触媒粉末を調製した。この触媒粉末を定法でペレット化し、触媒ペレット31とした。
【0038】
(実施例2)
図3に示すように、NOx 浄化装置3の下流側にさらに貴金属触媒装置4を直列に配置したこと、吸着材ペレット21と触媒ペレット31の充填量をそれぞれ2ccとしたこと以外は実施例1と同様の構成である。貴金属触媒装置4は、円筒状の容器40と、容器40内に2cc充填されたペレット状のPt触媒ペレット41とから構成されている。
【0039】
γ−Al2O3粉末に所定濃度のジニトロジアンミン白金水溶液の所定量を含浸させ、蒸発・乾固後に乾燥・焼成して、Ptを2重量%担持した触媒粉末を調製した。この触媒粉末を定法でペレット化し、Pt触媒ペレット41とした。
【0040】
(比較例1)
プラズマ発生装置1を除いたこと以外は実施例1と同様の触媒装置を、比較例1の触媒装置とした。
【0041】
(比較例2)
NOx 吸着装置2を除いたこと、NOx 浄化装置3における触媒ペレット31の充填量を6ccとしたこと以外は実施例1と同様の触媒装置を、比較例2の触媒装置とした。
【0042】
(比較例3)
NOx 浄化装置3を除いたこと、NOx 吸着装置2における吸着材ペレット21の充填量を6ccとしたこと以外は実施例1と同様の触媒装置を、比較例3の触媒装置とした。
【0043】
(比較例4)
NOx 吸着装置2及びNOx 浄化装置3を除いたこと、貴金属触媒装置4におけるPt触媒ペレット41の充填量を6ccとしたこと以外は実施例2と同様の触媒装置を、比較例4の触媒装置とした。
【0044】
<試験例>
【0045】
【表1】
【0046】
反応管 100内に、表1に示す組成の希薄燃焼モデルガスを流量6L/分で流し、図4に示す温度プロファイルにて、実施例1〜2及び比較例1〜4の各触媒装置について昇降温時の平均NOx 浄化率を測定した。結果を図5に示す。プラズマ発生装置1をもつものは、高電圧を図2のように印加して放電プラズマを発生させた状態で測定した。なおNOx 浄化率は、下記の式より計算により求めた。
【0047】
NOx 浄化率(%)= 100×(入りガスNOx 濃度−出ガスNOx 濃度)/入りガスNOx 濃度
図5より、各実施例の触媒は各比較例の触媒に比べて、昇降温を伴う温度過渡条件下で高いNOx 浄化率を示していることがわかる。
【0048】
一方、吸着材ペレット21及び触媒ペレット31の単位充填量あたりの浄化率を計算すると、比較例2と比較例3の平均NOx 浄化率の合計値より実施例1の方が高いNOx 浄化率であることから、実施例1の触媒装置では、NOx 吸着装置2とNOx 浄化装置3の相乗作用が奏されていることが明らかである。
【0049】
また実施例2は実施例1より高いNOx 浄化率を示していることから、貴金属触媒装置4をさらに配置することが望ましいことも明らかである。
【0050】
(実施例3)
図6に示す本実施例のNOx 浄化用プラズマアシスト触媒装置は、円筒形の反応管 100自体が接地極としての円筒電極10を構成し、その軸心に中心電極11が挿通されている。そして円筒電極10内には、チタン酸バリウム製のペレット、ハニカム又はフォーム体13が充填され、上流側半分のペレット又はフォーム体13にはNaタイプZSM−5粉末がコートされてNOx 吸着装置2を構成している。また下流側半分のペレット、ハニカム又はフォーム体13には、γ−Al2O3粉末に In2O3を30重量%担持した触媒粉末がコートされてNOx 浄化装置3を構成している。
【0051】
本実施例の触媒装置によれば、ペレット、ハニカム又はフォーム体13を構成するチタン酸バリウムは誘電体であり、中心電極11への高圧電圧の印加によって円筒電極10内に放電プラズマが均一に形成されるという効果が奏され、NOx の浄化率がさらに向上する。またNOx 吸着装置2及びNOx 浄化装置3がプラズマ発生装置1を兼ねているので、実施例1の触媒装置に比べてコンパクトとなり配置に必要なスペースを大きく低減することができる。
【0052】
(実施例4)
図7に示す本実施例のNOx 浄化用プラズマアシスト触媒装置は、プラズマ発生装置1の構成が異なること以外は実施例1と同様である。プラズマ発生装置1は、板状の接地極14と板状の高圧極15とが互いに1mmの間隔を隔てて交互に積層され、接地極14と高圧極15はそれぞれ誘電体であるチタン酸バリウムの誘電体層16に覆われている。したがって高圧極15に高圧電圧を印加することにより、それぞれの接地極14と高圧極15の間に均一な放電プラズマが発生し、NOx の浄化率がさらに向上する。
【0053】
(実施例5)
さらに図8に示す本実施例のNOx 浄化用プラズマアシスト触媒装置は、実施例4におけるプラズマ発生装置1の接地極14と高圧極15の間に、上流側半分にはNaタイプZSM−5粉末がコートされてNOx 吸着装置2が構成され、下流側半部にはγ−Al2O3粉末に In2O3を30重量%担持した触媒粉末がコートされてNOx 浄化装置3が構成されている。
【0054】
このような触媒装置とすれば、実施例4の触媒装置に比べて必要なスペースを大きく低減することができる。
【0055】
なお上記した各実施例では、高圧電圧として図2に示す波形の直流電圧を用いたが、図9に示すような交流電圧を用いることもできる。
【0056】
【発明の効果】
すなわち本発明のNOx 浄化用プラズマアシスト触媒装置及び排ガス浄化方法によれば、昇降温を伴う温度過渡条件下でNOx を効率よく浄化することができ、しかも長時間使用後にもNOx 浄化活性の低下がなく耐久性にも優れている。またIIIb族元素により、NOx 浄化装置上に堆積しようとする未反応のHC若しくは一部反応したHCなどが酸化されるために、HC被毒が起こりにくく活性低下が生じにくい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のNOx 浄化用プラズマアシスト触媒装置の説明図である。
【図2】本発明の一実施例で用いた高圧電圧の波形を示す説明図である。
【図3】実施例2のNOx 浄化用プラズマアシスト触媒装置の説明図である。
【図4】試験例における評価温度プロファイルを示すグラフである。
【図5】実施例及び比較例の触媒装置の平均NOx 浄化率を示すグラフである。
【図6】実施例3のNOx 浄化用プラズマアシスト触媒装置の説明図である。
【図7】実施例4のNOx 浄化用プラズマアシスト触媒装置の説明図である。
【図8】実施例5のNOx 浄化用プラズマアシスト触媒装置の説明図である。
【図9】用い得る高圧電圧の他の態様を示し、高圧電圧の波形を示す説明図である。
【符号の説明】
1:プラズマ発生装置 2:NOx 吸着装置 3:NOx 浄化装置
4:貴金属触媒装置 10:円筒電極 11:中心電極
21:吸着材ペレット 31:触媒ペレット 41:Pt触媒ペレット
Claims (6)
- 内燃機関から排出されたNOx とHCを含む排ガスを浄化する触媒装置であって、放電プラズマを発生するプラズマ発生装置と、NOx 吸着装置と、多孔質体にIIIb族元素を担持してなるNOx 浄化装置よりなり、該NOx 吸着装置と該NOx 浄化装置とは排ガス上流側から下流側に向かってこの順に配置されていることを特徴とするNOx 浄化用プラズマアシスト触媒装置。
- 前記IIIb族元素はIn及びGaの少なくとも一種である請求項1に記載のNOx 浄化用プラズマアシスト触媒装置。
- 前記多孔質体は、γ−アルミナ,ゼオライト,シリカ,チタニア及びシリカ−アルミナから選ばれる少なくとも一種である請求項1に記載のNOx 浄化用プラズマアシスト触媒装置。
- 前記多孔質体は、固体酸を 250μモル/g以上含有するγ−アルミナである請求項1に記載のNOx 浄化用プラズマアシスト触媒装置。
- 前記NOx 浄化装置の排ガス下流側には、多孔質体に貴金属を担持してなる貴金属触媒装置がさらに配置されている請求項1〜4のいずれかに記載のNOx 浄化用プラズマアシスト触媒装置。
- 内燃機関から排出されたNOを含む排ガスを浄化する排ガス浄化方法であって、請求項1〜5のいずれかに記載のNOx 浄化用プラズマアシスト触媒装置を用い、排ガス中で放電プラズマを発生させることで該排ガス中のNOを酸化してNOx とし、低温域では該NOx を前記NOx 吸着装置に吸着し、高温域で前記NOx 吸着装置から放出されたNOx を前記NOx 浄化装置で還元浄化することを特徴とする排ガス浄化方法。
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