JP2004180551A - 微生物の収集方法およびそれを用いた遺伝子の増幅方法若しくは検出方法 - Google Patents

微生物の収集方法およびそれを用いた遺伝子の増幅方法若しくは検出方法 Download PDF

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達夫 鎌田
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Abstract

【課題】特殊な装置を用いることなく、簡単かつ短時間に微生物を収集できる方法を提供する。
【解決手段】微生物を捕捉可能な孔径の収集フィルター13で内部が上下に分けられている遠心チューブ1の前記フィルター13上に前記液状試料を載せ、この状態で、前記遠心チューブ1を遠心して前記フィルター13上に前記微生物を捕捉して収集する。収集フィルターの孔径は、0.1〜1.0μmの範囲である。遠心条件は、例えば、5000Gで1分間である。前記収集フィルターの上に夾雑物を捕捉するプレフィルターを配置してもよい。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液状試料からの微生物の収集方法およびそれを用いた遺伝子の増幅若しくは検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
結核は、今なお、世界的に重要な細菌性疾患であり、その治療方法のみならず診断方法は極めて重要である。結核の最終的確認は、培養法により行われるが、結核菌の増殖速度は極めて遅いため、培養法の前段階で実施される予備的診断方法の確立が望まれている。このような予備的診断方法として、注目されているのは、ポリメラーゼ チェーン リアクション(PCR法)を適用した遺伝子検査法である。この方法は、結核菌の遺伝子に特異的なプライマーを用い、結核菌の遺伝子を増幅して検出することにより、結核菌の有無を判定する方法である。
【0003】
前記PCR法を適用した予備的診断方法では、その前処理として結核菌を喀痰等の液状試料から菌を集菌する必要がある。従来の集菌方法は、例えば、つぎのようにして実施されていた(非特許文献1参照)。まず、N−アセチル−L−システイン(NALC)と水酸化ナトリウム(NaOH)の溶液(NALC−NaOH溶液)を加えて粘性を除去した試料液を調製する。この試料液に対し、13000gで10分間の遠心分離をすることにより、菌を沈殿させて集菌する。しかしながら、この従来法での遠心分離による集菌では、その遠心条件が厳しく、煩雑な操作であり、しかも時間もかかり、高価な遠心分離機が必要である。また、この集菌に続く溶菌処理から遺伝子の増幅もしくは検出処理においても、従来の方法には、問題がある。従来の溶菌方法としては、例えば、有機溶媒等を用いた化学的方法、超音波や凍結・融解を繰り返す物理的方法等がある。しかし、結核菌は、その細胞壁の脂質含量が高く、従来の溶菌法では、遺伝子の抽出を十分に行うことができなかった。また、十分な抽出を行うためには、処理条件を過酷なものにする必要があり、それに伴い、特殊な装置や試薬を使用する必要があり、これに加え、処理時間の長期化や操作の煩雑化等の問題があった。このような集菌、溶菌および遺伝子の増幅等における問題は、結核菌を含む抗酸菌全体の問題でもあり、その他の菌およびウイルスにおいても起こり得る問題でもある。
【0004】
【非特許文献1】
新 結核菌検査指針 2000、p.28−29、財団法人結核予防会発行
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、特殊な装置を用いることなく簡単かつ短時間に微生物を収集できる方法の提供を第1の目的とし、特殊な装置や試薬を用いることなく簡単かつ短時間に微生物を検出できる遺伝子の特異的増幅若しくは検出方法の提供を第2の目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記第1の目的を達成するために、本発明の微生物の収集方法は、液状試料から微生物を収集する方法であって、前記微生物を捕捉可能な孔径の収集フィルターで内部が上下に分けられている遠心チューブを準備し、この遠心チューブの前記収集フィルター上に前記液状試料を載せ、この状態で、前記遠心チューブを遠心分離して前記収集フィルター上に前記微生物を捕捉して収集する方法である。
【0007】
この方法によれば、前記収集フィルターで簡単に微生物を捕捉できるため、厳しい条件の遠心分離をする必要がない。
【0008】
つぎに、前記第2の目的を達成するために、本発明の遺伝子の検出若しくは増幅方法は、微生物の遺伝子を特異的に増幅若しくは検出する方法であって、前記本発明の収集方法により微生物を収集し、これに非イオン性界面活性剤を含む抽出試薬液を添加して加熱することにより微生物から遺伝子を抽出し、この遺伝子を特異的に増幅もしくは検出する方法である。
【0009】
この方法は、前記本発明の収集方法と組み合わせた方法であり、非イオン界面活性剤を含む抽出試薬液を添加して過熱するだけで遺伝子の抽出を行うことができ、その後の増幅等の操作に速やかに移ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明をさらに詳しく説明する。
【0011】
本発明の収集方法に使用する遠心チューブの一例を図1に示す。図示のように、この遠心チューブ1は、チューブ本体11と、キャップ12と、収集フィルター13とから構成されている。チューブ11本体内部には、有底円筒状の支持体15が嵌め込まれ、この支持体15の底の部分に収集フィルター13が配置されている。前記支持体15の底部分は複数の孔が形成されている(図示せず)。また、チューブ本体11の上部外周面には、ネジ山111が形成され、キャップ12の内周面には、ネジ溝121が形成され、前記本体と前記キャップは、これらのネジ山111とネジ溝と121とで結合可能となっている。
【0012】
本発明の収集方法における前記遠心チューブにおいて、前記収集フィルターの上に、プレフィルターが配置され、このプレフィルター上に前記液状試料を載せ、この状態で、前記遠心チューブを遠心分離し、前記プレフィルターで夾雑物を除去し、前記収集フィルターで菌を集菌することが好ましい。夾雑物は、その後の操作に悪影響を及ぼすおそれがあるからである。前記プレフィルターの配置は、特に制限されず、前記収集フィルターに直接積層してもよいし、一定の間隙を設けて配置してもよい。
【0013】
図2に、収集フィルター13の上に、一定の間隙を設けてプレフィルター14を配置した遠心チューブ1の一例を示す。図示のように、この遠心チューブ1では、収集フィルター13の有底円筒状支持体15の内部に、さらに有底円筒状支持体16が配置され、この底部にプレフィルター14が配置された構造となっており、収集フィルター13とプレフィルター14との間には一定の距離が設けられている。前記プレフィルター14の支持体の底部には複数の孔が設けられている(図示せず)。その他に部分において、図1と同一部分には同一符号を付している。本発明において、収集フィルターの上にプレフィルターを一定の間隙を持って配置する場合、前記間隙の距離は特に制限されず、例えば、0.1〜100mm、好ましくは0.1〜10mm、より好ましくは0.1〜5mmである。
【0014】
図3に、収集フィルター23の上にプレフィルター24を直接積層した遠心チューブ2の一例を示す。図示のように、この遠心チューブ2は、チューブ本体21と、内部キャップ25と、外部キャップ22とから構成されている。内部キャップ25は、その内部に円筒状の支持体26を有し、その中央部に前記積層した収集フィルター23とプレフィルター24とが配置されている。内部キャップ25の内周面下部には、ネジ溝252が形成されており、チューブ本体21の外周面上部に形成されたネジ山211と結合可能となっている。また、内部キャップ25の外周面上部には、ネジ山251が形成されており、外部キャップ22の内周面に形成されたネジ溝221と結合可能となっている。本発明において、収集フィルターとプレフィルターの積層方法は、特に制限されない。例えば、収集フィルターの上に、そのまま、プレフィルターを配置してもよいし、接着剤を用いて一体化してもよいし、加熱により融着させてもよい。
【0015】
本発明において、収集フィルターの孔径は、菌やウイルス等の微生物を捕捉可能であれば、特に制限されず、例えば、1nm〜10μmの範囲であり、好ましくは0.1〜1.0μmの範囲であり、より好ましくは0.1〜0.3μmの範囲である。収集フィルターの材質は、特に制限されず、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ニトロセルロース、親水性ポリエーテルスルホン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリマーアロイ、アセチルセルロース等があり、このなかで、ポリフッ化ビニリデン、ポリカーボネートが好ましく、より好ましくはポリフッ化ビニリデンである。
【0016】
本発明において、プレフィルターの孔径は、特に制限されず、例えば、10nm〜100μmの範囲であり、好ましくは0.1〜20μmの範囲であり、より好ましくは0.1〜10μmの範囲である。プレフィルターの材質は、特に制限されず、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ニトロセルロース、親水性ポリエーテルスルホン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリマーアロイ、アセチルセルロース等があり、このなかで、ポリフッ化ビニリデン、ポリカーボネートが好ましく、より好ましくはポリカーボネートである。
【0017】
本発明の収集方法は、例えば、前述のような遠心チューブの収集フィルター若しくはプレフィルター上に液状試料を載せ、この状態で遠心分離して前記収集フィルター上に菌を捕捉することにより実施される。前記遠心分離条件は、特に制限されず、例えば、500〜13000Gで3秒〜60分間、好ましくは1000〜10000Gで10秒〜10分間、より好ましくは5000Gで1分間である。遠心分離器も特に制限されず、例えば、卓上遠心分離器を使用してもよい。
【0018】
つぎに、本発明の遺伝子の増幅若しくは検出方法に方法において、前記抽出試薬液の加熱温度は、特に制限されないが、70℃以上100℃未満が好ましい。加熱温度が、100℃未満であれば、突沸して試料が飛び散ることが無く、また温度コントロールが容易になって、特別の加熱器を必要としない等の利点がある。前記加熱温度は、より好ましくは80℃以上100℃未満であり、最適には96℃である。また、加熱時間は、例えば、1〜30分であり、好ましくは10分間である。前記液体のpHは、例えば、pH7.0〜12.0の範囲であり、好ましくはpH8.0である。前記抽出試薬液中の前記非イオン界面活性剤の濃度は、例えば、0.01〜10重量%であり、好ましくは0.5〜2.0重量%であり、より好ましくは1.0重量%である。
【0019】
前記非イオン界面活性剤としては、例えば、Span20,Span40,Span60,Span65,Span80,Span85等(以上、ナカライテスク社製等)のd−ソルビトールの脂肪酸エステル、Tween20,Tween21,Tween40,Tween60,Tween65,Tween80,Tween81,Tween85等(以上、ナカライテスク社製等)のポリオキシエチレングリコールソルビタンアルキルエステル、TritonX−100等(以上、ナカライテスク社製等)のポリオキシエチレングリコールp−t−オクチルフェニルエーテル等がある。これらは、単独で使用してもよいし、2種類以上で併用してもよい。このなかで、TritonX−100、Tween20、Tween21が好ましく、より好ましいのはTritonX−100である。
【0020】
本発明の遺伝子の増幅若しくは検出方法において、さらに、前記抽出試薬液は、金属キレート剤を含むことが好ましい。試料中には、DNase等の遺伝子分解酵素が含まれており、金属キレート剤は、これによる遺伝子の分解を防止する作用等を発揮する。前記抽出試薬液中の前記金属キレート剤の濃度は、例えば、0.1〜100mMであり、好ましくは1.0mMである。前記金属キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレングリコール−ビス(β−アミノエチルエーテル)−N,N,N´,N´−四酢酸(EGTA)、ジアミノシクロヘキサン四酢酸、o−フェナンスロリン、サリチル酸等がある。これらは、単独で使用してもよいし、2種類以上で併用してもよい。このなかで、好ましいのは、EDTA、EGTAであり、より好ましいのは、EDTAである。
【0021】
本発明の対象となる微生物は、特に制限されず、例えば、抗酸菌、非定型抗酸菌、淋菌、レジオネラ、マイコプラズマ、スピロヘータ、梅毒スピロヘータ−、クラミジア、リケッチア、らい菌、鼠咬症スピリルム、ブドウ球菌、連鎖球菌、大腸菌、緑膿菌、ペスト菌、ウイルス、日本脳炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ATLV、HIVおよびエボラ出血熱ウイルス等がある。抗酸菌としては、例えば、鳥型結核菌(avium)、エム・イントラセルラレエ(intracellularae)、エム・ゴルドネエ(gordonae)、ヒト型結核菌(tuberculosis)、エム・カンサシイ(kansasii)、エム・フォルツイツム(fortuitum)、エム・ケロネエ(chelonae)、ウシ型結核菌(bovis)、エム・スクロフラセウム(scrofulaceum)、パラ結核菌(paratuberculosis)、チモテ菌(phlei)、エム・マリヌム(marinum)、エム・シミエー(simiae)、エム・スクロフラセウム(scrofulaceum)、エム・スズルガイ(szulgai)、らい菌(leprae)、エム・キセノピ(xenopi)、エム・ウルセランス(ulcerans)、鼠らい菌(lepraemurium)、エム・フラベセンス(flavescens)、エム・テレエ(terrae)、エム・ノンクロモジェニクム(nonchromogenicum)、エム・マルメンス(malmoense)、エム・アシアティクム(asiaticum)、エム・ヴァケエ(vaccae)、エム・ガストリ(gastri)、エム・トリビアル(triviale)、エム・ヘモフィラム(haemophilum)、エム・アフリカヌム(africanum)、エム・サーモレジスタブル(thermoresistable)およびスメグマ菌(smegmatis)等がある。
【0022】
本発明において、前記液状試料としては、例えば、痰、髄液、糞、唾液、血液、組織、尿、これらの生体試料を前処理した試料等がある。前記前処理試料としては、例えば、喀痰をN−アセチル−L−システイン(NALC)と水酸化ナトリウム(NaOH)で処理した試料がある。
【0023】
つぎに、本発明の遺伝子の増幅若しくは検出方法は、例えば、以下のようにして実施できる。すなわち、まず、前記所定pHの緩衝液に、必要に応じてEDTA等の金属キレート剤を添加し、さらに非イオン界面活性剤を添加して抽出試薬液を調製する。前記緩衝液としては、Tris−HClバッファー、HEPESバッファー、MOPSバッファー、HEPPSバッファー、TAPSバッファー、リン酸バッファー等がある。この抽出試薬液は、オートクレイブにより高圧蒸気滅菌することが好ましい。他方、試料液を調製する。例えば、喀痰検体を、N−アセチル−L−システイン−NaOH法(NALC−NaOH法)等により、均質化および雑菌処理する。前記処理をした検体を、その内部に収集フィルターが配置された遠心チューブ(例えば、図1、図2若しくは図3に記載のもの)の前記収集フィルター若しくはプレフィルター上に載せ、これを遠心分離(例えば、5000G、1分間)して収集フィルターで微生物を捕捉する。この収集フィルターに前記抽出試薬液を加え、よく攪拌して微生物を前記抽出試薬液に分散させる。この抽出試薬液を別のチューブに移し、ヒートブロック等を用い、前記所定の温度で加熱することにより、抽出処理を行う。なお、加熱方法としては、前記ヒートブロックの他に、例えば、ウォーターバス、マイクロウェーブオーブン、エアーバス等がある。このようにして抽出処理した検体は、そのまま、若しくは前処理を施して遺伝子増幅若しくは検出処理を行うことができる。前記遺伝子増幅若しくは検出方法としては、例えば、PCR法、RT−PCR等のPCRの変法等がある。また、分析対象となる遺伝子としては、DNA、RNAがある。
【0024】
【実施例】
つぎに、本発明の実施例について比較例と併せて説明する。
【0025】
(実施例1)
結核菌を、商品名マイコブロス(極東製薬工業社製)を使用し、35℃で一週間培養し、これを滅菌蒸留水で、McFarland#1の濁度に調整した。その後、NALC−NaOH処理済非結核性喀痰(10種類)で10倍希釈系列の試料を作成した。NALC−NaOH処理は、喀痰に、倍量のNALC−NaOH溶液を加えて良く混合することにより行った。前記試料100μlを、図2に示す構造の遠心チューブ(収集フィルター上に一定の間隙でプレフィルターが配置されているもの)のプレフィルター上に載せて、5000Gで1分間遠心分離した。前記遠心チューブの収集フィルター(商品名Ultrafree MC 0.22μm、ミリポア社製)の孔径は0.22μmであり、プレフィルター(商品名Microconに、商品名アイソポアのフィルターを付け替えたもの、いずれもミリポア社製)の孔径は3μmである。他方、TE緩衝液(10mMのEDTA、25mMのTris−HCl:pH8.0)に1重量%の濃度で商品名TritonX−100(ナカライ社製)を溶解し、これをオートクレーブで高圧高温滅菌したものを抽出試薬液とした。前記抽出試薬液150μlを、前記メインフィルター上に添加し、5回ピペッティングすることで、菌を前記抽出試薬液に分散させ、これを別のチューブに移した。このチューブをヒートブロックで、96℃、10分間の加熱処理をすることにより、溶菌(抽出)処理した。また、比較例1として、商品名アンプリコア検体前処理キット(日本ロシュ社製)を用い、このキットのマニュアルどおりに、前記試料について菌の収集および溶菌(抽出)処理した。
【0026】
このようにして得られた各抽出試料液について、商品名アンプリコアマイコバクテリウムツベルクロース増幅試薬セット(日本ロシュ社製)および商品名アンプリコアマイコバクテリウムツベルクロース検出試薬セット(日本ロシュ社製)を用いて、前記セットのマニュアルどおりにして、PCR法による結核菌遺伝子の増幅・検出を行った。この結果を、下記の表1に示す。
【0027】
Figure 2004180551
【0028】
前記表1から、実施例1では、収集フィルターによって、結核菌が捕捉され、遺伝子の抽出も十分であり、感度も従来の方法(比較例1)とほぼ同じであったことがわかる。しかも、実施例1では、比較例1に比べて、収集処理および抽出処理を簡単にかつ短時間に行うことができた。
【0029】
(実施例2、比較例2)
淋菌をチョコレート寒天培地(ニッスイ社製)により35℃で一晩培養し、形成されたコロニーを生理食塩水に溶かし、McFarland#1の濁度に調整した。これを、健常者の尿(5種類)で希釈して10倍希釈系列を調製し、これを試料とした。この試料について、実施例1と同じ方法で菌の収集および遺伝子の抽出処理をした。一方、比較例2として、商品名アンプリコアSTD検体前処理キット(日本ロシュ社製)を用い、前記試料について、前記キットのマニュアルどおりに、菌の収集および遺伝子の抽出処理をした。
【0030】
このようにして得られた各抽出試料液について、商品名アンプリコア STD−1クラミジアトラコマチス・ナイセリアゴノレア増幅試薬セット(日本ロシュ社製)および商品名アンプリコア STD−ナイセリアゴノレア検出試薬セットII(日本ロシュ社製)を用いて、前記セットのマニュアルどおりにして、PCR法による淋菌遺伝子の増幅・検出を行った。この結果を、下記の表2に示す。
【0031】
Figure 2004180551
【0032】
前記表2から、実施例2では、収集フィルターによって、淋菌が捕捉され、遺伝子の抽出も十分であり、感度も従来の方法(比較例2)と同等以上であったことがわかる。しかも、実施例2では、比較例2に比べて、菌の収集処理および遺伝子の抽出処理を簡単にかつ短時間に行うことができた。
【0033】
【発明の効果】
以上のように、本発明の収集方法は、特殊な装置を用いることなく、簡単かつ短時間に微生物を収集できる方法である。したがって、本発明の方法を、遺伝子の増幅・検出法による微生物検査の試料の前処理に適用することにより、検査の高効率化を簡単に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の収集方法に使用する遠心チューブの構造の一例を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の収集方法に使用する遠心チューブの構造のその他の例を示す断面図である。
【図3】図3は、本発明の収集方法に使用する遠心チューブの構造のさらにその他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1、2 遠心チューブ
11、21 チューブ本体
12 キャップ
22 外部キャップ
13、23 収集フィルター
14、24 プレフィルター
15、16、26 支持体
25 内部キャップ
111、211、251 ネジ山
121、252、221 ネジ溝

Claims (20)

  1. 液状試料から微生物を収集する方法であって、前記微生物を捕捉可能な孔径の収集フィルターで内部が上下に分けられている遠心チューブを準備し、この遠心チューブの前記収集フィルター上に前記液状試料を置き、この状態で、前記遠心チューブを遠心分離して前記収集フィルター上に前記微生物を捕捉して収集する方法。
  2. 前記遠心チューブにおいて、前記収集フィルターの上に、プレフィルターが配置され、このプレフィルター上に前記液状試料を載せ、この状態で、前記遠心チューブを遠心分離し、前記プレフィルターで夾雑物を除去し、前記収集フィルターで微生物を収集する請求項1記載の方法。
  3. 前記プレフィルターが前記収集フィルター上に直接積層されている請求項1または2記載の方法。
  4. 前記収集フィルターの孔径が、1nm〜10μmの範囲である請求項1から3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記プレフィルターの孔径が、10nm〜100μmの範囲である請求項2から4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記遠心の条件が、500〜13000Gで3秒〜60分間である請求項1から4のいずれかに記載の方法。
  7. 収集の対象となる微生物が、抗酸菌、非定型抗酸菌、淋菌、レジオネラ、マイコプラズマ、スピロヘータ、梅毒スピロヘータ−、クラミジア、リケッチア、らい菌、鼠咬症スピリルム、ブドウ球菌、連鎖球菌、大腸菌、緑膿菌、ペスト菌、ウイルス、日本脳炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ATLV、HIVおよびエボラ出血熱ウイルスからなる群から選択される少なくとも一つである請求項1から6のいずれかに記載の方法。
  8. 抗酸菌が、鳥型結核菌(avium)、エム・イントラセルラレエ(intracellularae)、エム・ゴルドネエ( ordonae)、ヒト型結核菌(tuberculosis)、エム・カンサシイ(kansasii)、エム・フォルツイツム(fortuitum)、エム・ケロネエ(chelonae)、ウシ型結核菌(bovis)、エム・スクロフラセウム(scrofulaceum)、パラ結核菌(paratuberculosis)、チモテ菌(phlei)、エム・マリヌム(marinum)、エム・シミエー(simiae)、エム・スクロフラセウム(scrofulaceum)、エム・スズルガイ(szulgai)、らい菌(leprae)、エム・キセノピ(xenopi)、エム・ウルセランス(ulcerans)、鼠らい菌(lepraemurium)、エム・フラベセンス(flavescens)、エム・テレエ(terrae)、エム・ノンクロモジェニクム(nonchromogenicum)、エム・マルメンス(malmoense)、エム・アシアティクム(asiaticum)、エム・ヴァケエ(vaccae)、エム・ガストリ(gastri)、エム・トリビアル(triviale)、エム・ヘモフィラム(haemophilum)、エム・アフリカヌム(africanum)、エム・サーモレジスタブル(thermoresistable)およびスメグマ菌(smegmatis)からなる群から選択される少なくとも一つである請求項7記載の方法。
  9. 前記液状試料が、痰、髄液、糞、唾液、血液、組織、スワブ、胃洗浄液、尿およびこれらの生体試料を前処理した試料からなる群から選択される少なくとも一つである請求項1から8のいずれかに記載の方法。
  10. 微生物の遺伝子を特異的に増幅若しくは検出する方法であって、請求項1から9のいずれかに記載の方法により微生物を収集し、これに非イオン性界面活性剤を含む抽出試薬液を添加して加熱することにより微生物から遺伝子を抽出し、この遺伝子を特異的に増幅もしくは検出する方法。
  11. 前記加熱温度が、70℃以上100℃未満である請求項10記載の方法。
  12. 前記加熱時間が、1〜30分間である請求項10または11記載の方法。
  13. 前記加熱条件が、96℃で10分間の条件である請求項10記載の方法。
  14. 前記抽出試薬液のpHが、pH7.0〜12.0の範囲である請求項10から13のいずれかに記載の方法。
  15. 前記抽出試薬液中の前記非イオン界面活性剤の濃度が、0.01〜10重量%の範囲である請求項10から14のいずれかに記載の方法。
  16. 非イオン界面活性剤が、d−ソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリコールソルビタンアルキルエステルおよびポリオキシエチレングリコールp−t−オクチルフェニルエーテルからなる群から選択される少なくとも一つである請求項10から15のいずれかに記載の方法。
  17. さらに、前記抽出試薬液が、金属キレート剤を含む請求項10から16のいずれかに記載の方法。
  18. 前記抽出試薬液中の前記金属キレート剤の濃度が、0.1〜100mMである請求項17記載の方法。
  19. 前記金属キレート剤が、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレングリコール−ビス(β−アミノエチルエーテル)−N,N,N´,N´−四酢酸(EGTA)、ジアミノシクロヘキサン四酢酸、o−フェナンスロリンおよびサリチル酸からなる群から選択された少なくとも一つである請求項17または18記載の方法。
  20. 遺伝子の特異的な増幅もしくは検出方法が、ポリメラーゼ チェーン リアクション(PCR)法である請求項10から19のいずれかに記載の方法。
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