JP2004179570A - 露光装置及びデバイス製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】解像度の向上を図る。
【解決手段】露光装置100では、フッ素レーザ1からマスクRのパターン面に照射される、レーザ光の発振線強度のうち、波長が約157.63nmである主発振線の総強度に対する、波長が約157.52nmである副発振線の総強度の比が、0.3%以下に設定されている。このため、この露光装置100で露光を行えば、投影光学系PLの像面に主発振線波長の光束が形成するパターン像の上に、色収差を伴って、すなわちぼけて結像する副発振線波長の光束のぼけ像の強度を、像間のエネルギ平均値の比として、0.3%以下に抑えることができ、全体としての像のぼけを極力(ほぼ最小に)抑えることができる。従って、感光物体W上に形成されるパターンの転写像におけるパターン忠実度の劣化を無視できる程度に抑えることが可能となり、露光装置の解像度の向上を図ることが可能となる。
【選択図】 図1
【解決手段】露光装置100では、フッ素レーザ1からマスクRのパターン面に照射される、レーザ光の発振線強度のうち、波長が約157.63nmである主発振線の総強度に対する、波長が約157.52nmである副発振線の総強度の比が、0.3%以下に設定されている。このため、この露光装置100で露光を行えば、投影光学系PLの像面に主発振線波長の光束が形成するパターン像の上に、色収差を伴って、すなわちぼけて結像する副発振線波長の光束のぼけ像の強度を、像間のエネルギ平均値の比として、0.3%以下に抑えることができ、全体としての像のぼけを極力(ほぼ最小に)抑えることができる。従って、感光物体W上に形成されるパターンの転写像におけるパターン忠実度の劣化を無視できる程度に抑えることが可能となり、露光装置の解像度の向上を図ることが可能となる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、露光装置及びデバイス製造方法に係り、更に詳しくは、半導体素子(集積回路等)、液晶表示素子などの電子デバイスを製造するリソグラフィ工程で用いられる露光装置及び該露光装置を用いてデバイスを製造するデバイス製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子(集積回路)、液晶表示素子等の電子デバイスの微細パターンの形成に際しては、形成すべきパターンを4〜5倍程度に比例拡大して描画した、フォトマスク(以下、「マスク」又は「レチクル」とも呼ぶ)のパターンを、投影露光装置を用いて、ウエハ等の感光物体(被露光物体)上に縮小転写する方法が用いられている。
【0003】
投影露光装置に搭載される投影光学系の解像度Rは、照明光の波長(露光波長)をλ、投影光学系の開口数をN.A.として、R=k×λ/N.A.(レイリーの式)で表されることが知られている。従って、解像度は露光波長λに比例し、投影光学系の開口数N.A.に反比例する。
【0004】
このため、集積回路の高集積化に伴う回路パターンの微細化に対応するために、投影露光装置では、その露光波長をより短波長側に次第にシフトしてきた。現在、露光波長はKrFエキシマレーザ光の248nmが主流となっているが、より短波長のArFエキシマレーザ光の193nmも実用化段階に入りつつある。そして、さらに短波長の波長157nmのフッ素レーザ光を発振するF2レーザ(フッ素レーザ)を光源として使用する投影露光装置(フッ素レーザ露光装置)の提案も行なわれている。
【0005】
また、露光波長の短波長化のみでなく、投影光学系の大開口数(N.A.)化によっても高解像度化は可能であるので、投影光学系のより一層の大N.A.化のための開発もなされている。
【0006】
この他、照明光の波長や投影光学系のN.A.を固定したままで、投影光学系の解像度を向上する技術として、「超解像技術」と一般的に呼ばれている技術も知られている。この超解像技術としては、例えばマスク上のパターンのうちの、隣接する透過パターンを透過する光束の位相を180°異ならせて解像度を向上する「位相シフトマスク」や、マスク上の遮光パターンにわずかな透過率を与え、かつ、その部分の透過光の位相を、遮光パターン以外の部分(ガラス部分)の透過光の位相に対して180°異ならせて解像度を向上する「ハーフトーン位相シフトマスク」などを用いて解像度を向上する技術や、マスクへの照明光の照明方法を最適化して、解像度を向上する輪帯照明等の変形照明技術も開発され、実用化されている。
【0007】
なお、投影光学系に各種収差が存在すると、その解像度や線幅均一性が劣化するので、投影光学系の収差は、設計および製造時の双方で十分小さく押え込んでおく必要がある。
【0008】
上述の式からも明らかなように、光源としてフッ素レーザを採用することにより、投影露光装置の一層の高解像化は可能である。
【0009】
しかるに、フッ素レーザから発振されるフッ素レーザ光は、発振強度の強い波長157.63nmの主発振線と、発振強度のやや弱い波長157.52nmの副発振線との2本の発振線が含まれ、各発振線のスペクトル半値幅は1pm程度であって、現在投影露光装置用の光源として使用されているKrFエキシマレーザやArFエキシマレーザに比べて出力されるレーザ光の自然スペクトル半値幅より狭い。但し、フッ素レーザの場合、狭帯域化素子によってそれらの発振線の線幅(スペクトル半値幅)をさらに細くすることは難しい。また、フッ素レーザなどの真空紫外光源を用いた露光装置では、上述した超解像技術の併用が前提となる。このような理由により、フッ素レーザ露光装置の投影光学系には、従来の投影光学系以上に色収差補正が要求されるので、投影光学系には、波長範囲1pm程度の色収差を補正する能力に優れた反射屈折型光学系を採用することが望ましい。
【0010】
しかし、実用的なN.A.及び露光視野を有する投影光学系の場合、反射屈折型光学系を採用した場合であっても、上記2本の発振線間の波長差(約100pm)に相当する色収差(軸上色収差)を十分なレベルで補正することは難しいことが分かっている。
【0011】
この他、フッ素レーザにおける副発振線(弱いライン)の中心波長における強度が、主発振線(強いライン)の中心波長における強度の1%以下になるようにするため、周期的波長選択素子の特性(仕様)として、副発振線(弱いライン)の中心波長における透過率が、主発振線(強いライン)の中心波長における透過率の約0.64倍以下になるように設定すれば良いということも知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0012】
【特許文献1】
特開2000−357836号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、最近になって、フッ素レーザ露光装置では、マスク上に形成されたパターンが被露光物体上の結像面で忠実に再現すること、すなわちパターン忠実度、が悪化することが判明した。特に位相シフトマスクを使用したゲート層の形成のための露光の際に、パターン忠実度の悪化が顕著になるものと予想されている。
【0014】
また、発明者のシミュレーションによると、上記特許文献1に開示されるように、フッ素レーザにおける副発振線の中心波長における強度を、主発振線の中心波長における強度の1%程度にしても、パターン忠実度の悪化はかなりの程度となることが予想されている。
【0015】
本発明は、かかる事情の下になされたものであり、その第1の目的は、解像度の向上と、パターン忠実度の向上を図ることが可能な露光装置を提供することにある。
【0016】
また、本発明の第2の目的は、高集積度のデバイスの生産性の向上を図ることが可能なデバイス製造方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
発明者は、上述したフッ素レーザ露光装置におけるパターン忠実度の悪化の原因を究明すべく、鋭意研究を重ねた結果、フッ素レーザにおける前述の軸上色収差の存在が、ローカルフレアを引き起こし、周知の光近接効果(OPE(Optical Proximity Error))と同様に、パターン忠実度を悪化させる主要因であることを見出した。発明者は、さらに、フッ素レーザ光の第1発振線(主発振線)と第2発振線(副発振線)との波長差に起因する軸上色収差によって生じるローカルフレアの影響を軽減すべく、様々な実験(シミュレーションを含む)を行った結果、主発振線の総強度に対する副発振線の総強度の比が、0.3%以下であれば、十分なパターン忠実度が得られることを確認した。本発明は、かかる発明者の新規知見に基づいてなされたものであり、以下の構成を採用する。
【0018】
請求項1に記載の発明は、エネルギビーム(EL)によりマスク(R)を照明し、該マスクに形成されたパターン(6A〜6C)を投影光学系(PL)を介して感光物体(W)上に転写する露光装置であって、前記エネルギビームとしてフッ素レーザ光を発振するフッ素レーザを備え、前記マスクのパターン面に照射される、前記フッ素レーザ光の発振線強度のうち、波長が約157.63nmである主発振線の総強度に対する、波長が約157.52nmである副発振線の総強度の比が、0.3%以下となっていることを特徴とする露光装置である。
【0019】
ここで、「発振線の総強度」とは、発振線の中心波長に対する所定幅の波長範囲に分布する光のエネルギの和を意味する。本明細書においては、かかる意味で「発振線の総強度」なる語を用いるものとする。
【0020】
本発明者は、開口数N.A.=0.85程度の投影光学系を備えたフッ素レーザを光源とする露光装置と、位相シフトマスクや変形照明などの超解像技術を組み合わせて露光を行い、線幅30nmのパターンを、±3nm程度の線幅バラツキで感光物体上に形成することを想定してシミュレーションを行った。その結果、主発振線の総強度に対する副発振線の総強度の比を、0.3%程度以下にした場合には、線幅30nmのパターンを、±3nm程度の線幅バラツキで露光可能であるとの結論を得た。
【0021】
上記結果より、マスクのパターン面に照射される、フッ素レーザ光の発振線強度のうち、波長が約157.63nmである主発振線の総強度に対する、波長が約157.52nmである副発振線の総強度の比が、0.3%以下に設定されている、本発明の露光装置で露光を行えば、投影光学系の像面に主発振線波長の光束が形成する像の上に、色収差を伴って、すなわちぼけて結像する副発振線波長の光束のぼけ像の強度を、像間のエネルギ平均値の比として、0.3%以下に抑えることができ、全体としての像のぼけを極力(ほぼ最小に)抑えることができる。従って、感光物体上に形成されるパターンの転写像におけるパターン忠実度の劣化を無視できる程度に抑えることが可能となり、露光装置の解像度の向上を図ることが可能となる。
【0022】
この場合において、請求項2に記載の露光装置の如く、前記パターン面に照射される、前記フッ素レーザ光の発振線強度のうち、波長が約157.63nmである主発振線の総強度に対する、波長が約157.52nmである副発振線の総強度の比が、0.2%以下となっていても良い。かかる場合には、投影光学系の像面に主発振線波長の光束が形成する像の上に、ぼけて結像する副発振線波長の光束のぼけ像の強度を、像間のエネルギ平均値の比として、0.2%以下に抑えることができる。このため、全体としての像のぼけを更に小さく抑えることができ、パターン忠実度の悪化を更に抑制して、露光装置の解像度の一層の向上を図ることが可能となる。
【0023】
上記請求項1及び2に記載の各露光装置において、発振線の総強度を定義する中心波長からの波長範囲については、種々の範囲を設定することができるが、例えば、請求項3に記載の露光装置の如く、前記総強度は、前記各発振線の中心波長に対して±3pm程度以内の波長範囲に分布する光のエネルギの和であることとすることができる。
【0024】
上記請求項1〜3に記載の各露光装置において、請求項4に記載の露光装置の如く、前記主発振線の総強度に対する副発振線の総強度の比は、前記フッ素レーザの内部及び外部の少なくとも一方に設けられた設定装置(137)によって設定されていることとすることができる。
【0025】
この場合において、設定装置としては、種々の構成が考えられるが、請求項5に記載の露光装置の如く、前記設定装置は、前記フッ素レーザ光の光路上に配置されたスペクトル特性制御機能を有する光学部材(132)を含むこととしても良いし、請求項6に記載の露光装置の如く、前記設定装置は、前記フッ素レーザが備える共振器及び狭帯域化モジュールの少なくとも一方を構成する光学部材を含むこととしても良い。
【0026】
上記請求項5及び6に記載の各露光装置において、請求項7に記載の露光装置の如く、前記光学部材は、ファブリ・ペロー・エタロン、バンドパスフィルタ、グレーティング及びプリズムの少なくとも1つを含むこととすることができる。
【0027】
上記請求項1〜3に記載の各露光装置において、請求項8に記載の露光装置の如く、前記主発振線の総強度に対する副発振線の総強度の比は、フッ素レーザ自体の調整によって設定されていることとすることができる。
【0028】
上記請求項1〜8に記載の各露光装置において、請求項9に記載の露光装置の如く、前記投影光学系は、屈折光学素子及び反射光学素子を含む反射屈折系であることとすることができる。
【0029】
請求項10に記載の発明は、リソグラフィ工程を含むデバイス製造方法であって、前記リソグラフィ工程では、請求項1〜9のいずれか一項に記載の露光装置を用いて感光物体上に回路パターンを形成することを特徴とするデバイス製造方法である。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係る露光装置100の構成が概略的に示されている。この露光装置100は、エネルギビームとしての露光用照明光(以下、「露光光」と略述する)ELをマスクとしてのレチクルRに照射して、該レチクルRに形成されたパターンを投影光学系PLを介して感光物体としてのウエハW上に転写するステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置、すなわちいわゆるスキャニング・ステッパである。
【0031】
この露光装置100は、光源1、設定装置としてのレーザ最適化装置137、及び照明ユニット2を含み、露光光ELによりレチクルRを照明する照明系、レチクルRを保持するレチクルステージRST、レチクルRから射出される露光光ELをウエハW上に投射する投影光学系PL、ウエハWを保持するウエハステージWST等を備えている。
【0032】
前記光源1としては、ここでは、波長157nmのフッ素レーザ光を発振するフッ素レーザ(F2レーザ)が用いられている。以下、この光源1を「フッ素レーザ1」と記述するものとする。このフッ素レーザ1は、筐体と、この筐体の内部に収容されたレーザチャンバ、レーザ共振器(及び狭帯域化モジュール)などを通常と同様に備えている。このフッ素レーザ1としては、例えば特開2001−156374号公報、特開2001−094185号公報などに開示されるものと同様の狭帯域化フッ素レーザ装置などを用いても良い。
【0033】
フッ素レーザ1は、レーザ最適化装置137及び折り曲げミラー(又は折り曲げプリズム)4を含む送光光学系(ビームライン)3を介して照明ユニット2を構成する照明系ハウジング2aの一端に接続されている。フッ素レーザ1は、実際には、照明ユニット2及び投影光学系PL等を含む露光装置本体が設置されるクリーンルームとは別のクリーン度の低いサービスルーム、あるいはクリーンルーム床下のユーティリティスペースなどに設置されている。なお、レーザ最適化装置137については後に更に詳述する。
【0034】
前記照明ユニット2は、内部を外部から隔離する照明系ハウジング2aと、その内部に所定の位置関係で配置されたオプティカルインテグレータを含む照度均一化光学系、リレーレンズ、可変NDフィルタ、レチクルブラインド、及びダイクロイックミラー等(いずれも不図示)から成る照明光学系とを含んで構成されている。この照明光学系は、例えば特開平6−349701号公報などに開示されるものと同様の構成となっている。ここで、オプティカルインテグレータとしてはフライアイレンズ、内面反射型インテグレータ(ロッドインテグレータ等)、あるいは回折光学素子等が用いられる。
【0035】
照明ユニット2では、回路パターン等が形成されたレチクルR上で、前記レチクルブラインドで規定されたスリット状の照明領域部分を露光光EL(すなわちフッ素レーザ光)によりほぼ均一な照度で照明する。
【0036】
ところで、真空紫外域に属するフッ素レーザ光を露光光とする場合には、その光路から酸素、水蒸気、炭化水素系のガス等の、かかる波長帯域の光に対し強い吸収特性を有するガス(以下、適宜「吸収性ガス」と呼ぶ)を排除する必要がある。このため、本実施形態では、照明系ハウジング2aの内部に、フッ素レーザ光に対する吸収が上記吸収性ガスより少ない特性を有する特定ガス、例えば窒素、及びヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトンなどの希ガス、又はそれらの混合ガス(以下、適宜「低吸収性ガス」と呼ぶ)を満たしている。この結果、照明系ハウジング2a内の吸収性ガスの濃度は数ppm以下の濃度となっている。
【0037】
なお、本実施形態では、フッ素レーザ1及び送光光学系3内部の光路にも上記照明系ハウジング2aと同様に低吸収性ガスが満たされている。
【0038】
前記レチクルステージRSTは、レチクルRを保持してマスク室としてのレチクル室15内に配置されている。このレチクル室15は、照明系ハウジング2a及び投影光学系PLの鏡筒と隙間なく接合された隔壁18で覆われており、その内部のガスが外部と隔離されている。レチクル室15の隔壁18は、ステンレス(SUS)等の脱ガスの少ない材料にて形成されている。
【0039】
レチクル室15の隔壁18の天井部には、レチクルRより一回り小さい矩形の開口が形成されており、この開口部分に照明系ハウジング2aの内部空間と、露光すべきレチクルRが配置されるレチクル室15の内部空間とを分離する状態で光透過部材12が配置されている。この光透過部材12は、照明ユニット2からレチクルRに照射される露光光ELの光路上に配置されるため、露光光であるフッ素レーザ光に対して透過性の高いホタル石等のフッ化物結晶材料によって形成されている。
【0040】
なお、照明系ハウジング2a内のガス置換を、一度減圧動作を経て行うような場合には、減圧動作時に、光透過部材12に減圧分の圧力が加わり、ホタル石が損傷するおそれがある。そこで、このような場合には、図1中の光透過部材12の上部に、すなわち、照明系ハウジング2aと光透過部材12との間に、可動式の金属製耐圧蓋を設け、これによって光透過部材12を気圧差から守ることも可能である。
【0041】
前記レチクルステージRSTは、レチクルRをレチクルステージ定盤19上でY軸方向に大きなストロークで直線駆動するとともに、X軸方向とθz方向(Z軸回りの回転方向)に関しても微小駆動が可能な構成となっている。
【0042】
これを更に詳述すると、レチクルステージRSTは、レチクルステージ定盤19上をリニアモータ等を含む不図示のレチクル駆動系によってY軸方向に所定ストロークで駆動されるレチクル走査ステージと、このレチクル走査ステージ上に搭載されレチクルRを吸着保持するレチクルホルダとを含んで構成されている。レチクルホルダは、レチクル駆動系によってXY面内で微少駆動(回転を含む)可能に構成されている。なお、図1においては、便宜上レチクル走査ステージとレチクルホルダを纏めてレチクルステージRSTとして図示している。
【0043】
本実施形態のように、フッ素レーザ光を露光光ELとする露光装置では、酸素等の吸収性ガスによる露光光の吸収を避けるために、照明ユニット2から投影光学系PLまでの光路についても前述の低吸収性ガスで置換する必要がある。
【0044】
この場合、レチクル室15の隔壁18には、図1に示されるように、給気管路16の一端と、排気管路17の一端とがそれぞれ接続されている。給気管路16の他端は、不図示の低吸収性ガスの供給装置、例えばヘリウムガス供給装置に接続されている。また、排気管路17の他端は、外部のガス回収装置に接続されている。そして、ヘリウムガス供給装置から高純度のヘリウムガスが給気管路16を介してレチクル室15内に常時供給され、レチクル室15内の気体が排気管路17を介してガス回収装置内に排気される。すなわち、このようにして、レチクル室15内にヘリウムガスが常時フローされている。ここで、低吸収性ガスとしては、安価な窒素ガスを用いることも可能である。但し、ヘリウムガスの方が窒素ガスよりも、気圧及び温度変動に対する屈折率の変動が小さい。従って、レチクル室15内に満たすガスとして、ヘリウムガスを使用すると、レチクル室15内の気圧及び温度の変動に伴う投影光学系PLの結像性能の悪化や、後述するレーザ干渉計74X,74Yの測定誤差を最小限に抑えることができる。一方、ヘリウムガスは、窒素ガスに比べて高価であるため、回収装置で回収し、不純物を除去後、再利用することとしている。
【0045】
レチクル室15の隔壁18の−Y側の側壁には光透過窓71が設けられている。これと同様に図示は省略されているが、隔壁18の−X側(図1における紙面奥側)の側壁にも光透過窓が設けられている。これらの光透過窓は、隔壁18に形成された窓部(開口部)に該窓部を閉塞する光透過部材、ここでは一般的な光学ガラスを取り付けることによって構成されている。この場合、光透過窓71を構成する光透過部材の取り付け部分からのガス漏れが生じないように、取り付け部には、インジウム、ガリウム、軟金属、銅等の金属シールや、フッ素系樹脂による封止(シーリング)が施されている。なお、上記フッ素系樹脂としては、80℃で2時間加熱し、脱ガス処理が施されたものを使うことが望ましい。
【0046】
前記レチクルステージRST上面の−Y側の端部には、平面鏡から成るY移動鏡72YがX軸方向に延設されている。このY移動鏡72Yにほぼ垂直にレチクル室15の外部に配置されたY軸レーザ干渉計74Yからの測長ビームが光透過窓71を介して投射され、その反射光が光透過窓71を介してY軸レーザ干渉計74Y内部のディテクタによって受光され、Y軸レーザ干渉計74Y内部の参照鏡の位置を基準としてY移動鏡72Yの位置、すなわちレチクルRのY位置が検出される。
【0047】
同様に、図示は省略されているが、レチクルステージRSTの−X側の端部には、平面鏡から成るX移動鏡がY軸方向に延設されている。そして、このX移動鏡を介して不図示のX軸レーザ干渉計によって上記と同様にしてX移動鏡の位置、すなわちレチクルRのX位置が検出される。上記2つのレーザ干渉計の検出値(計測値)は不図示の制御装置に供給されており、制御装置では、これらのレーザ干渉計の検出値に基づいてレチクルステージRSTの位置制御を行うようになっている。
【0048】
このように、本実施形態では、レーザ干渉計、すなわちレーザ光源、プリズム等の光学部材及びディテクタ等がレチクル室15の外部に配置されているので、レーザ干渉計を構成するディテクタ等から仮に微量の吸収性ガスが発生しても、これが露光に対して悪影響を及ぼすことがないようになっている。
【0049】
前記投影光学系PLは、複数のレンズや反射鏡84及び球面鏡85からなる光学系を、鏡筒で密閉したものである。投影光学系PLとしては、投影倍率βが例えば1/4あるいは1/5の縮小光学系が用いられている。このため、前述の如く、照明ユニット2からの露光光ELによりレチクルRが照明されると、レチクルRの前述の照明領域部分に形成されたパターンが投影光学系PLによりウエハW上の上記照明領域に共役な投影領域に縮小投影され、前記パターンの縮小像(レチクルR上の回路パターンの一部分の投影像)が形成される。
【0050】
なお、フッ素レーザ光に対して十分な透過性を有し、高性能レンズ材料として使用可能な均一性を有する材料は、ホタル石(フッ化カルシウム結晶)、フッ化バリウム結晶、フッ化リチウム結晶等のフッ化物結晶に限られる。但し、レンズ材料自身の製造性や加工性を考慮した場合、レンズ材料がホタル石のみに限定される可能性が高く、このように単一のレンズ材料を用いた光学系の場合、色収差の補正を十分に行うことが困難である。このため、本実施形態では、投影光学系PLとしてレンズの他に、球面鏡85及び反射鏡84を含む反射屈折光学系(カタディ・オプトリック系)を用いることとしたものである。
【0051】
投影光学系PLの鏡筒には、給気管路30の一端と、排気管路31の一端とがそれぞれ接続されている。給気管路30の他端は、不図示の低吸収性ガスの供給装置、例えばヘリウムガス供給装置に接続されている。また、排気管路31の他端は、外部のガス回収装置に接続されている。そして、前述と同様に、ヘリウムガス供給装置から高純度のヘリウムガスが給気管路30を介して投影光学系PLの鏡筒の内部にヘリウムガスがフローされている。この場合も、ヘリウムガスがガス回収装置に回収されるようになっている。なお、低吸収性ガスとしてヘリウムガスを用いているのは、前述と同様の理由に加え、投影光学系PLのレンズ材料として熱膨張係数の大きなホタル石が用いられているので、レンズが露光光ELを吸収することにより発生する温度上昇が、レンズの結像特性を劣化させるので、冷却効果の大きな低吸収性ガスを用いる必要があるためである。従って、投影光学系PLの鏡筒内部のパージガスとしては、ヘリウムガスを用いることが望ましい。
【0052】
前記ウエハステージWSTは、ウエハ室40内に配置されている。このウエハ室40は、投影光学系PLの鏡筒と隙間なく接合された隔壁41で覆われており、その内部のガスが外部と隔離されている。ウエハ室40の隔壁41は、ステンレス(SUS)等の脱ガスの少ない材料にて形成されている。
【0053】
ウエハ室40内には、ベースBSが、複数の防振ユニット39を介して水平に支持されている。この防振ユニット39は、ウエハステージWSTの移動に伴う振動が投影光学系PLやレチクルRに伝達するのを抑制するために、振動をマイクロGレベルで絶縁する。なお、この防振ユニット39として、装置内の一部に固定された半導体加速度計等の振動センサの出力に基づいてベースBSを積極的に制振するいわゆるアクティブ防振装置を用いることは勿論可能である。
【0054】
前記ウエハステージWSTは、ウエハホルダ35を介してウエハWを真空吸着等により吸着保持し、例えばリニアモータ等から成る不図示のウエハ駆動系によって前記ベースBSの上面に沿ってXY2次元方向に自在に駆動されるようになっている。
【0055】
本実施形態のように、フッ素レーザ光を露光光として用いる露光装置では、酸素等の吸収性ガスによる露光光の吸収を避けるために、投影光学系PLからウエハWまでの光路についても前述の低吸収性ガスで置換する必要がある。
【0056】
このため、ウエハ室40の隔壁41には、図1に示されるように、給気管路32の一端と、排気管路33の一端とがそれぞれ接続されている。給気管路32の他端は、不図示の低吸収性ガスの供給装置、例えばヘリウムガス供給装置に接続されている。また、排気管路33の他端は、外部のガス回収装置に接続されている。そして、前述と同様にして、ウエハ室40内にヘリウムガスが常時フローされている。低吸収性ガスとしてヘリウムガスを採用した理由は、レチクル15の場合と同様である。また、この場合も、ヘリウムガスを回収装置で回収し、不純物を除去後、再利用することとしている。
【0057】
前記ウエハ室40の隔壁41の−Y側の側壁には光透過窓38が設けられている。これと同様に、図示は省略されているが、隔壁41の−X側(図1における紙面奥側)の側壁にも光透過窓が設けられている。これらの光透過窓は、隔壁41に形成された窓部(開口部)に該窓部を閉塞する光透過部材、ここでは一般的な光学ガラスを取り付けることによって構成されている。この場合、光透過窓38を構成する光透過部材の取り付け部分からのガス漏れが生じないように、取り付け部には、インジウム、ガリウム、軟金属、銅等の金属シールや、フッ素系樹脂による封止(シーリング)が施されている。なお、上記フッ素系樹脂としては、80℃で2時間、加熱し、脱ガス処理が施されたものを使うことが望ましい。
【0058】
前記ウエハホルダ35の−Y側の端部には、平面鏡から成るY移動鏡36YがX方向に延設されている。このY移動鏡36Yにほぼ垂直にウエハ室40の外部に配置されたY軸レーザ干渉計37Yからの測長ビームが光透過窓38を介して投射され、その反射光が光透過窓38を介してY軸レーザ干渉計37Y内部のディテクタによって受光され、Y軸レーザ干渉計37Y内部の参照鏡の位置を基準としてY移動鏡36Yの位置、すなわちウエハWのY位置が検出される。
【0059】
同様に、図示は省略されているが、ウエハホルダ35の−X側の端部には、平面鏡から成るX移動鏡がY方向に延設されている。そして、このX移動鏡を介してX軸レーザ干渉計によって上記と同様にしてX移動鏡の位置、すなわちウエハWのX位置が検出される。上記2つのレーザ干渉計の検出値(計測値)は不図示の制御装置に供給されており、制御装置では、これらのレーザ干渉計の検出値をモニタしつつウエハ駆動系を介してウエハステージWSTの位置制御を行うようになっている。
【0060】
このように、本実施形態では、レーザ干渉計、すなわちレーザ光源、プリズム等の光学部材及びディテクタ等が、ウエハ室40の外部に配置されているので、上記ディテクタ等から仮に微量の吸収性ガスが発生しても、これが露光に対して悪影響を及ぼすことがないようになっている。
【0061】
なお、上述したレチクル室15の隔壁に接続された給気管路16の他端、及び排気管路17の他端を不図示のヘリウムガス供給装置にそれぞれ接続し、ヘリウムガス供給装置から給気管路16を介して常時高純度のヘリウムガスをレチクル室15内に供給し、レチクル室15内部のガスを排気管路17を介してヘリウムガス供給装置に戻し、このようにして、ヘリウムガスを循環使用する構成を採用しても良い。この場合、ヘリウムガス供給装置には、ガス精製装置を内蔵することが望ましい。このようにすると、ガス精製装置の作用により、ヘリウムガス供給装置とレチクル室15内部とを含む循環経路によりヘリウムガスを長時間に渡って循環使用しても、レチクル室15内の窒素ガス以外の吸収性ガス(酸素、水蒸気、有機物等)の濃度は数ppm以下の濃度に維持できる。また、この場合、レチクル室15内に圧力センサ、吸収性ガス濃度センサ等のセンサを設け、該センサの計測値に基づいて、不図示の制御装置を介してヘリウムガス供給装置に内蔵されたポンプの作動、停止を適宜制御することとしても良い。
【0062】
同様に、投影光学系PLの鏡筒、ウエハ室40にも、上記と同様のヘリウムガスの循環経路を採用しても良い。
【0063】
次に、フッ素レーザ1と送光光学系3との間に設けられた前記レーザ最適化装置137について詳細に説明する。
【0064】
図2には、レーザ最適化装置137内部の構成が示されている。このレーザ最適化装置137は、フッ素レーザ1の射出部近傍に設けられた可変傾角のファブリ・ぺロー・エタロン(Fabry−Perot etalon)132と、該ファブリ・ぺロー・エタロン(以下、「エタロン」と略述する)132のレーザ光の光軸に直交する方向(X軸方向)の回転軸を中心に回転駆動することにより、レーザ光に対するエタロン132の傾き角を変化させるエタロン回転機構133と、エタロン132のレーザ光の光路後方(+Y側)に配置された分岐ミラー134と、該分岐ミラー134による反射光路上に配置された分光器135と、分光器135に電気的に接続された波長制御系136とを備えている。
【0065】
なお、実際には、レーザ最適化装置137のうちの、少なくともエタロン132、分岐ミラー134は、不図示の筐体内に収容され、その内部は、フッ素レーザ1や照明系ハウジング2aと同様に低吸収性ガスが満たされている。
【0066】
前記エタロン132は、高い透過特性を持った狭帯域波長フィルタ(波長選択素子)であり、所定波長に対する透過率が高い性質を有している。この場合、フッ素レーザ1から射出されるレーザ光のエタロン132に対する入射角度が変更されることにより、エタロン132に対する透過性の高い波長帯域が変更されるようになっている。
【0067】
前記分岐ミラー134は、例えば透過率が高く反射率が低いビームスプリッタ等から成り、入射するレーザ光の大部分を透過する性質を有している。分岐ミラー134を透過したレーザ光は、図1に示される送光光学系3に入射し、分岐ミラー134にて反射されたレーザ光は、分光器135に入射する。
【0068】
前記分光器135は、分岐ミラー134で反射されたレーザ光のスペクトル分布などを計測するものである。分光器134は、一例として、上記反射光路上に順次配置されたハーフミラー、集光レンズ、コリメータレンズ、エタロン、テレメータレンズ、及びラインセンサを含むファブリペロー干渉計によって構成することができる。
【0069】
前記波長制御系136は、後述するように、分光器135で計測されたスペクトル分布に基づいて、エタロン回転機構133を制御し、エタロン132の回転角を最適化する。
【0070】
ここで、波長制御系136によるエタロン132の回転角の最適化方法について詳述する。
【0071】
図3には、フッ素レーザ1から発振されるフッ素レーザ光のスペクトル分布を表わすグラフが示されている。この図3において、横軸は波長を示し、縦紬はその波長に対するエネルギ分布を示している。
【0072】
この図3に示されるように、フッ素レーザ光には、波長157.63nmの主発振線L1と、波長157.52nmの副発振線L2とが存在する。なお、フッ素レーザは、上記2つの発振線以外にも波長650nm程度の赤色光も放出するが、このような赤色光は、ウエハW上へのパターン形成に際し使用されるフォトレジストを感光させることはないので、ここでは図示が省略されている。なお、上記両発振線それぞれのスペクトル幅は、半値幅FWHM(Full Width at HalfMaximum)で、0.8pmから1.5pm程度であり、フッ素レーザ1内のガスの気圧や放電条件により異なってくる。
【0073】
また、フッ素レーザ1から自然発振されたフッ素レーザ光においては、主発振線L1の総強度に対する副発振線L2の総強度の比は、5〜10%程度となっている。ここで、「発振線の総強度」とは、各発振線の中心波長に対して±3pm程度以内の波長範囲に分布する光のエネルギの総和を表すものとする。なお、上記の中心波長には、ある波長域に渡って分布する主発振線及び副発振線のそれぞれの強度分布において、例えば、上記半値幅を決定する長波長側の波長と短波長側の波長の平均値を採用する。しかし、これ以外にも、それぞれの分布のピーク強度を与える波長を選定しても良く、上記各強度分布の各加重平均値となる各波長を選定しても良い。主発振線及び副発振線の各スペクトル分布の半値幅は、上記の如く、いずれも0.8pmから1.5pmであるので、上記3通りの方法で算出される中心波長間の相互の誤差は最大でも0.2pm程度である。一方、上記の通り、総強度の算出は、上記誤差よりも十分に大きな±3pm程度の波長範囲に分布する光エネルギの総和であるので、中心波長を上記3通りのうちのいずれの方法で決定しても、総強度の算出には殆ど誤差は生じない。
【0074】
図4には、投影光学系PLの軸上色収差を説明するためのグラフが示されている。この図4は、主発振線L1の波長(157.63nm)における合焦位置を基準焦点位置(縦軸の値が0になる位置)に一致させた場合に、各波長の像の合焦位置が、投影光学系PLの光軸方向(図1のZ軸方向)にどれだけずれるかを表わしたものである。この図4から、本実施形態の投影光学系PLの場合、副発振線L2の波長(157.52nm)における合焦位置は、主発振線L1の波長(157.63nm)における合焦位置に比べ、9μmほど投影光学系PLに近づく方向にシフトしていることがわかる。
【0075】
ここで、説明の便宜上から、露光装置100においてレーザ最適化装置137が設けられていない場合を比較例として採りあげ、この比較例において、レチクルR上のパターンをウエハW上へ転写する場合について説明する。
【0076】
レチクルRには、図5(A)に示されるように、クロム等の遮光膜6Sのバックグラウンド上に、比較的太い線幅の開口部(パターン)6Aと、比較的細い線幅の開口部(パターン)6B,6Cとが、所定の位置関係で形成されているものとする。なお、比較的細い線幅の開口部6B,6Cは、互いに等しい線幅を有している。
【0077】
図5(B)には、比較例の露光装置(レーザ最適化装置137を備えていない露光装置)で、図5(A)のレチクルRを用いて露光を行ったときのパターン6A〜6Cの像の形成状態が示されている。この図5(B)中の下半部には、主発振線L1の合焦位置に形成されるパターン6A,6B,6Cの像の光強度分布(像強度分布)が示されている。ここで、像強度分布iA10,iB10,iC10は、それぞれ主発振線L1によるパターン6A,6B,6Cの像強度分布を示す。これより明らかなように、主発振線L1の合焦位置では、主発振線L1による像は、シャープな像となる。
【0078】
一方、副発振線L2に対する合焦位置は主発振線L1の合焦位置から上方に9μmずれた位置となる(図4参照)ことから、ウエハWの表面からΔZ(=9μm)だけずれた位置に、副発振線L2によるパターン6A,6B,6Cの像が形成される(図5(B)中の上半部に点線で示される像強度分布iA21,iB21,iC21参照)。これらの像は、主発振線L1の波長における合焦位置では、色収差を伴って、すなわちぼけて結像し、像強度分布iAB20,iC20で表される像として形成される。なお、フッ素レーザ1から発振されるフッ素レーザ光の主発振線L1と副発振線L2との強度比が異なるため、実際には、主発振線L1の像強度と副発振線L2の像強度との比は、図示したものより大きくなるが、ここでは現象を理解しやすくするために、両者の強度比が同一であるものとして示している。
【0079】
この場合、副発振線L2によるパターン6Aの像のぼけは、パターン6Bの像位置まで広がり、両像が重なり合って像強度分布iAB20を形成している。一方、パターン6Cは、パターン6Aから所定距離以上離れ、かつパターン6Bとの間隔もある程度以上あるので、副発振線L2によるパターン6Cの像を示す像強度分布iC20は、像強度分布iAB20と重なることなく形成されている。但し、いずれの像も、デフォーカスにより極めてぼけた像となっている。
【0080】
図5(C)には、図5(B)に示される主発振線L1の波長における合焦位置での、主発振線L1による像強度分布と副発振線L2による像強度分布とが合成された、すなわち強度加算された像強度分布が示されている。両発振線の波長差は僅か(約0.11nm)であるので、ウエハW上のフォトレジストに対する感光性は、両発振線で同様である。従って、ウエハWの表面が主発振線L1の波長(157.63nm)における合焦位置と一致しているときには、この図5(C)に示される合成光学像(像強度分布)が、フォトレジストを感光し、転写パターンを形成することになる。ここで、形成されるレジスト像においてパターンの線幅は、上記の合成光学像を、所定レベルSLでスライスした場合のスライス幅WA,WB,WCに対応している。
【0081】
この図5(C)から分かるように、パターン6Bの像は、比較的近接して配置されたパターン6Aの副発振線L2によるぼけ像が加算されるために、像強度全体が上昇する。そのため所定スライスレベルSLでのスライス幅WBが、孤立的に配置されたレチクルパターン6Cの像のスライス幅WCに比べて、太くなってしまう。すなわち、所定距離範囲内に他のパターンが存在するか否かによって、設計上の線幅が同一であるパターンの転写像(レジスト像)の線幅が異なることとなり、線幅不均一性が生じることとなる。
【0082】
一方、本実施形態の露光装置100を用いてレチクルR上のパターンをウエハW上へ転写する場合について、図6(A)〜図6(C)に基づいて説明する。
【0083】
前提として、レーザ最適化装置137を構成する分光器135で計測されたスペクトル分布に基づいて、波長制御系136は、エタロン回転機構133を介してエタロン132の傾角を調整(最適化)することにより副発振線L2の強度を低下させ、主発振線L1の総強度に対する副発振線L2の総強度の比を0.3%程度以下(より好ましくは0.2%程度以下)に設定されているものとする。なお、この場合においても、発振線の総強度とは、前述と同様に、各発振線の中心波長に対して±3pm程度以内の波長範囲に分布する光のエネルギの総和を表すものである。
【0084】
この場合においても、図6(A)に示されるように、上記比較例と同様のレチクルR上のパターン6A,6B,6Cを使用して露光を行うことを想定している。
【0085】
図6(B)には、この場合におけるレチクルR上のパターン6A〜6Cの像の形成状態が示されている。この図6(B)中の下半部には、主発振線L1の合焦位置に形成されるパターン6A〜6Bの像の強度分布(像強度分布)が示されているが、この像強度分布iA10,iB10,iC10は、図5(B)に示した比較例の露光装置により形成される像強度分布と同一である。
【0086】
また、本実施形態においても、比較例の露光装置と同様に、副発振線L2に対する合焦位置は、主発振線L1の合焦位置から上方に9μmずれた位置であり、ウエハWの表面からΔZ(=9μm)だけずれた位置に、副発振線L2によるパターン6A〜6Cの像が形成される(図6(B)中の上半部に点線で示される像強度分布iA211,iB211,iC211参照)。これらの像は、主発振線L1の波長における合焦位置では、色収差を伴って、すなわちぼけて結像し、像強度分布iAB201,iC201で表される像として形成される。但し、本実施形態の露光装置においては、副発振線L2の総強度と主発振線L1の総強度の比は0.3%以下、より望ましくは0.2%以下に抑えられている。従って、副発振線L2による像の強度分布(像強度分布iA211,iB211,iC211及び像強度分布iAB201,iC201)の主発振線L1による像の強度分布(像強度分布iA10,iB10,iC10)に対する強度比も比較例の露光装置に比べて、小さな値に抑えることができる。この結果、図6(C)に示される主発振線L1の波長における合焦位置での、主発振線L1による像と副発振線L2による像との合成像強度分布iAB301における、副発振線L2により形成される像強度分布の占める光量の割合も低下する。
【0087】
従って、合成像強度分布iAB301の形状は、比較例に示した露光装置での合成像強度分布(図5(C)中のiAB30)に比べて、主発振線L1による像強度分布iA10,iB10,iC10に近づく。そして、パターン6Bの像位置における、パターン6Bに近接して配置される大きなパターン6A(及びパターン6B)の副発振線L2によるぼけた像iAB201の像強度の、主発振線L1によるパターンBの像強度iB10に対する比率も減少する。このため、合成像強度分布iAB301をパターン6Bの像位置近傍で所定のレベルSLでスライスした幅(レジストに転写されるパターン6Bの線幅に相当する)WB1は、孤立的に配置されたレチクルパターン6Cの像のスライス幅WC1と、殆ど等しい幅になる。
【0088】
従って、本実施形態の露光装置においては、比較例の露光装置で問題になっていた、所定距離範囲内に他のパターンが存在するか否かによって、転写像(レジスト像)の線幅が異なるという問題は解決される。すなわち、電子デバイスの性質上実質的に問題にならない程度に線幅不均一性を減少させることができる。
【0089】
ところで、上記の比較例の露光装置のように転写パターンの線幅が、その周囲に他のパターンが存在するか否かによって変動する現象は、露光光として波長が単一である単色光が用いられる場合にも発生する。これが、前述した光近接効果(OPE)と呼ばれる現象であり、投影光学系の解像限界で決まるぼけの範囲内に、他のパターンがあるかないかによって、転写されたパターンの線幅が変動する現象である。このOPEは、考慮すべき周辺パターンの存在範囲が、解像限界の2〜3倍程度の距離の範囲内に限定されるので、レチクルパターンの設計データに基づいて、各パターンにおける投影露光後の線幅変化を予測し、それを補償する方向にレチクルパターンの線幅を補正するいわゆるOPC(OPC:Optical Proximity Correction)と呼ばれる補正方法により補正することが可能である。
【0090】
しかしながら、上記のように、レーザ発振線が2本(主発振線L1と副発振線L2)に分かれ、その発振線間に大きな軸上色収差(上記の場合、約9μm)が存在することにより発生する近接効果は、ローカルフレアの要因となり、その影響が及ぶ範囲も、半径10μm程度の範囲となり、上記のOPEの影響の及ぶ範囲(解像限界の2〜3倍)に比べて圧倒的に広く、その広大なエリア内の各パターンについて、副発振線のぼけ像の影響を計算してレチクル線幅を補正することは事実上困難である。
【0091】
そこで、本実施形態においては、第2発振線L2(副発振線)と第1発振線L1(主発振線)との波長差に起因する軸上色収差に起因するローカルフレアの影響、すなわち前述のぼけ像の影響を低減するため、レーザ最適化装置137を用いることとしたものである。
【0092】
なお、前述の総強度の比0.3%程度以下(より好ましくは0.2%程度以下)なる条件は、発明者によるシミュレーションの結果、見出されたものである。以下、この点について説明する。
【0093】
発明者は、シミュレーション条件として、具体的に、開口数N.A.=0.85程度の投影光学系を備えたフッ素レーザを光源とする露光装置と、前述の位相シフトマスクや変形照明などの超解像技術を組み合わせて、線幅30nmのパターンを、その線幅バラツキの許容範囲を±3nm以内に抑えて露光することを想定した。
【0094】
投影光学系の色収差としては、図4のグラフに示される値を使用し、その他、装置性能に起因する誤差も含めて計算した。
【0095】
このシミュレーションの結果、主発振線L1の総強度に対する副発振線L2の総強度の比を、0.3%程度以下に抑えた場合には、線幅30nmのパターンを、±3nm程度の線幅バラツキで露光可能であることが確認された。
【0096】
但し、上記の総強度の比を、0.2%程度以下に抑えると、線幅30nmのパターンを、±2nm程度の線幅バラツキで露光することが可能であり、より高性能な電子デバイスを製造可能であることも判明した。従って、上記の総強度の比を、0.2%程度以下に抑えることがより好ましいことも判明した。
【0097】
従って、本実施形態の露光装置100では、レーザ最適化装置137により、フッ素レーザ1からのフッ素レーザ光の主発振線L1の総強度に対する副発振線L2との総強度の比を0.3%程度以下(より好ましくは0.2%程度以下)に設定した状態で、そのフッ素レーザ光を露光光ELとして前述の照明領域を照明しつつ、その照明光に対してレチクルR(レチクルステージRST)とウエハW(ウエハステージWST)とをY軸方向に同期移動することにより、レチクルR上に形成されたパターンを投影光学系を介してウエハW上のショット領域に走査露光方式で転写することにより、結果的にパターン忠実度の劣化を無視できる程度に抑制して、線幅の不均一化を極力抑える(均一化を図る)ことが可能となる。
【0098】
以上詳細に説明したように、本実施形態の露光装置100によると、レチクルRのパターン面に照射される、照明光としてのフッ素レーザ光の発振線強度のうち、波長が約157.63nmである主発振線の総強度に対する、波長が約157.52nmである副発振線の総強度の比が、0.3%以下に設定されている状態で、走査露光を行うことにより、ウエハW上に形成されるパターンの転写像におけるパターン忠実度の劣化を無視できる程度に抑え、全体としての像のぼけを極力抑えることができる。従って、パターンを所望の線幅で転写することが可能となり、その解像度の向上を図ることが可能となる。
【0099】
更に、主発振線の総強度に対する、副発振線の総強度の比を0.2%以下に設定することにより、副発振線の影響を更に低減することができるので、全体としての像のぼけを更に小さく抑えることができ、パターン忠実度の悪化を更に抑制して、解像度の一層の向上を図ることが可能となる。
【0100】
なお、上記実施形態では、発振線の総強度が、各発振線の中心波長に対して±3pm程度以内の波長範囲に分布する光のエネルギの総和であることとして規定したが、これに限らず、その波長範囲は、±3pmよりも大きくても良いし、逆に、±3pmよりも小さくても良い。
【0101】
なお、上記実施形態では、設定装置としてのレーザ最適化装置137が、フッ素レーザ1外部のフッ素レーザ光の光路上に配置されたスペクトル特性制御機能を有する光学部材、すなわちエタロン132を含んで構成されるものとしたが、これに限らず、前述の主発振線の総強度に対する副発振線の総強度の比を設定する設定装置は、フッ素レーザ1が備える共振器及び狭帯域化モジュールの少なくとも一方を構成する光学部材を含んで構成することとすることもできる。
【0102】
例えば、フッ素レーザ1は、その内部のレーザ共振器が、レーザチャンバのリア側に配置されたリアミラーを兼ねる可変傾角の反射型回折格子(グレーティング)と、レーザチャンバのフロント側(射出側)に配置されるフロントミラーとしてのハーフミラーとの組み合わせによって構成される場合があり、この場合グレーティングを含んで設定装置を構成することとしても良い。また、この場合において、グレーティングとともに、可変傾角のプリズムを用いてレーザ共振器によって発振されるフッ素レーザのスペクトル幅(波長幅)を狭帯域化する狭帯域化モジュールを構成することもできるが、この場合には、グレーティング及びプリズムの少なくとも一方を含んで設定装置を構成しても良い。
【0103】
あるいは、フッ素レーザ1の内部のレーザ共振器が全反射ミラーから成るリアミラーと、ハーフミラーから成るフロントミラーとから構成される場合があり、その場合レーザチャンバとハーフミラーとの間に固定のエタロン及び可変傾角のエタロン等を配置して、これらのエタロンによって狭帯域化モジュールを構成することができるが、この場合には、その可変傾角のエタロンを含んで設定装置を構成することとしても良い。
【0104】
このことから明らかなように、設定装置を構成する光学素子としては、エタロンに限らず、グレーティング及びプリズムなどを使用することができる。この他、バンドパスフィルタのようなスペクトル特性制御機能を有する光学部材(光学素子)を使用することもできる。更に、フッ素レーザ光の最適化のために、設定装置を設けることなく、例えばフッ素レーザ自体の調整、すなわちフッ素レーザ自体の最適化により、副発振線L2の強度を低下させるようにしても良い。
【0105】
また、設定装置を構成する光学素子として、エタロンを採用した場合には、エタロンの角度を傾ける角度チューニング法に限らず、共振器の屈折率を変える屈折率チューニング法や、温度制御することによりチューニングする温度チューニング法などを採用しても良い。
【0106】
なお、上記実施形態では、レチクルステージRSTをレチクル室15内に配置し、また、ウエハステージWSTをウエハ室40内に配置する構成について説明したが、レチクル室15、ウエハ室40を設けずに、照明ユニット2と投影光学系PLの鏡筒との間の露光光の光路部分を局所的にガス置換しても良い。また、投影光学系PLとウエハWとの間の露光光の光路部分を局所的にガス置換しても良い。
【0107】
また、上記実施形態では、パージガスとしてヘリウムガスを用いた場合に、回収装置で回収し、不純物を除去した後、再利用する構成について説明したが、ヘリウムガスを用いた場合であっても、再利用することなく工場配管を介して排気しても良い。
【0108】
なお、上記実施形態では、本発明がスキャニング・ステッパに適用された場合について説明したが、これに限らず、ステップ・アンド・リピート方式のステッパ等の静止露光型の露光装置にも適用できる。
【0109】
なお、複数のレンズから構成される照明光学系、投影光学系を露光装置本体に組み込み、光学調整をするとともに、多数の機械部品からなるレチクルステージやウエハステージを露光装置本体に取り付けて配線や配管を接続し、更に総合調整(電気調整、動作確認等)をすることにより、上記実施形態の露光装置を製造することができる。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0110】
なお、本発明は、半導体製造用の露光装置に限らず、液晶表示素子などを含むディスプレイの製造に用いられる、デバイスパターンをガラスプレート上に転写する露光装置、薄膜磁気ヘッドの製造に用いられるデバイスパターンをセラミックウエハ上に転写する露光装置、撮像素子(CCDなど)、マイクロマシン及びDNAチップなどの製造に用いられる露光装置などにも適用することができる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。ここで、DUV(遠紫外)光やVUV(真空紫外)光などを用いる露光装置では一般的に透過型レチクルが用いられ、レチクル基板としては石英ガラス、フッ素がドープされた石英ガラス、螢石、フッ化マグネシウム、又は水晶などが用いられる。また、プロキシミティ方式のX線露光装置、又は電子線露光装置などでは透過型マスク(ステンシルマスク、メンブレンマスク)が用いられ、マスク基板としてはシリコンウエハなどが用いられる。
【0111】
《デバイス製造方法》
次に上述した露光装置をリソグラフィ工程で使用するデバイスの製造方法の実施形態について説明する。
【0112】
図7には、デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造例のフローチャートが示されている。図7に示されるように、まず、ステップ201(設計ステップ)において、デバイスの機能・性能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップ202(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。一方、ステップ203(ウエハ製造ステップ)において、シリコン等の材料を用いてウエハを製造する。
【0113】
次に、ステップ204(ウエハ処理ステップ)において、ステップ201〜ステップ203で用意したマスクとウエハを使用して、後述するように、リソグラフィ技術等によってウエハ上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップ205(デバイス組立てステップ)において、ステップ204で処理されたウエハを用いてデバイス組立てを行う。このステップ205には、ダイシング工程、ボンディング工程、及びパッケージング工程(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。
【0114】
最後に、ステップ206(検査ステップ)において、ステップ205で作成されたデバイスの動作確認テスト、耐久テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にデバイスが完成し、これが出荷される。
【0115】
図8には、半導体デバイスにおける、上記ステップ204の詳細なフロー例が示されている。図8において、ステップ211(酸化ステップ)においてはウエハの表面を酸化させる。ステップ212(CVDステップ)においてはウエハ表面に絶縁膜を形成する。ステップ213(電極形成ステップ)においてはウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ214(イオン打ち込みステップ)においてはウエハにイオンを打ち込む。以上のステップ211〜ステップ214それぞれは、ウエハ処理の各段階の前処理工程を構成しており、各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
【0116】
ウエハプロセスの各段階において、上述の前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程が実行される。この後処理工程では、まず、ステップ215(レジスト形成ステップ)において、ウエハに感光剤を塗布する。引き続き、ステップ216(露光ステップ)において、上で説明した露光装置100によってマスクの回路パターンをウエハに転写する。次に、ステップ217(現像ステップ)においては露光されたウエハを現像し、ステップ218(エッチングステップ)において、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ステップ219(レジスト除去ステップ)において、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。
【0117】
これらの前処理工程と後処理工程とを繰り返し行うことによって、ウエハ上に多重に回路パターンが形成される。
【0118】
以上説明した本実施形態のデバイス製造方法を用いれば、露光工程(ステップ216)において上記実施形態の露光装置が用いられるので、ウエハ上に形成されるパターンの転写像におけるパターン忠実度の劣化を無視できる程度に抑え、全体としての像のぼけを極力抑え、パターンを所望の線幅で転写することが可能となる。従って、チップ内のパターンの線幅均一性が良好な電子デバイスの製造が可能になり、結果的に高集積度の電子デバイスの生産性(歩留まりを含む)を向上させることが可能になる。
【0119】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の露光装置によれば、解像度の向上と、パターン忠実度の向上を図ることができるという効果がある。
【0120】
また、本発明のデバイス製造方法によれば、高集積度のデバイスの生産性の向上を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる露光装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1のレーザ最適化装置の内部構成を示す図である。
【図3】フッ素レーザから発振されるフッ素レーザ光のスペクトル分布を表わすグラフである。
【図4】投影光学系PLの軸上色収差を説明するためのグラフである。
【図5】図5(A)は、一実施形態において用いられるレチクルのパターンの位置関係を示す図であり、図5(B)は、レーザ最適化装置を備えていない露光装置で、図5(A)のレチクルを用いて露光を行ったときのパターンの像の形成状態を示す図であり、図5(C)は、図5(B)の主発振線の波長における合焦位置での、主発振線による像強度分布と副発振線による像強度分布とが強度加算された像強度分布を示す図である。
【図6】図6(A)は、一実施形態において用いられるレチクルのパターンの位置関係を示す図であり、図6(B)は、レーザ最適化装置を備えている一実施形態の露光装置で、図6(A)のレチクルを用いて露光を行ったときのパターンの像の形成状態を示す図であり、図6(C)は、図6(B)の主発振線の波長における合焦位置での、主発振線による像強度分布と副発振線による像強度分布とが強度加算された像強度分布を示す図である。
【図7】本発明に係るデバイス製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図8】図7のステップ204の具体例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…光源(フッ素レーザ)、6A,6B,6C…開口部(パターン)、10…露光装置、132…エタロン(光学部材)、137…レーザ最適化装置(設定装置)、EL…露光光(エネルギビーム)、PL…投影光学系、R…レチクル(マスク)、W…ウエハ(感光物体)。
【発明の属する技術分野】
本発明は、露光装置及びデバイス製造方法に係り、更に詳しくは、半導体素子(集積回路等)、液晶表示素子などの電子デバイスを製造するリソグラフィ工程で用いられる露光装置及び該露光装置を用いてデバイスを製造するデバイス製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子(集積回路)、液晶表示素子等の電子デバイスの微細パターンの形成に際しては、形成すべきパターンを4〜5倍程度に比例拡大して描画した、フォトマスク(以下、「マスク」又は「レチクル」とも呼ぶ)のパターンを、投影露光装置を用いて、ウエハ等の感光物体(被露光物体)上に縮小転写する方法が用いられている。
【0003】
投影露光装置に搭載される投影光学系の解像度Rは、照明光の波長(露光波長)をλ、投影光学系の開口数をN.A.として、R=k×λ/N.A.(レイリーの式)で表されることが知られている。従って、解像度は露光波長λに比例し、投影光学系の開口数N.A.に反比例する。
【0004】
このため、集積回路の高集積化に伴う回路パターンの微細化に対応するために、投影露光装置では、その露光波長をより短波長側に次第にシフトしてきた。現在、露光波長はKrFエキシマレーザ光の248nmが主流となっているが、より短波長のArFエキシマレーザ光の193nmも実用化段階に入りつつある。そして、さらに短波長の波長157nmのフッ素レーザ光を発振するF2レーザ(フッ素レーザ)を光源として使用する投影露光装置(フッ素レーザ露光装置)の提案も行なわれている。
【0005】
また、露光波長の短波長化のみでなく、投影光学系の大開口数(N.A.)化によっても高解像度化は可能であるので、投影光学系のより一層の大N.A.化のための開発もなされている。
【0006】
この他、照明光の波長や投影光学系のN.A.を固定したままで、投影光学系の解像度を向上する技術として、「超解像技術」と一般的に呼ばれている技術も知られている。この超解像技術としては、例えばマスク上のパターンのうちの、隣接する透過パターンを透過する光束の位相を180°異ならせて解像度を向上する「位相シフトマスク」や、マスク上の遮光パターンにわずかな透過率を与え、かつ、その部分の透過光の位相を、遮光パターン以外の部分(ガラス部分)の透過光の位相に対して180°異ならせて解像度を向上する「ハーフトーン位相シフトマスク」などを用いて解像度を向上する技術や、マスクへの照明光の照明方法を最適化して、解像度を向上する輪帯照明等の変形照明技術も開発され、実用化されている。
【0007】
なお、投影光学系に各種収差が存在すると、その解像度や線幅均一性が劣化するので、投影光学系の収差は、設計および製造時の双方で十分小さく押え込んでおく必要がある。
【0008】
上述の式からも明らかなように、光源としてフッ素レーザを採用することにより、投影露光装置の一層の高解像化は可能である。
【0009】
しかるに、フッ素レーザから発振されるフッ素レーザ光は、発振強度の強い波長157.63nmの主発振線と、発振強度のやや弱い波長157.52nmの副発振線との2本の発振線が含まれ、各発振線のスペクトル半値幅は1pm程度であって、現在投影露光装置用の光源として使用されているKrFエキシマレーザやArFエキシマレーザに比べて出力されるレーザ光の自然スペクトル半値幅より狭い。但し、フッ素レーザの場合、狭帯域化素子によってそれらの発振線の線幅(スペクトル半値幅)をさらに細くすることは難しい。また、フッ素レーザなどの真空紫外光源を用いた露光装置では、上述した超解像技術の併用が前提となる。このような理由により、フッ素レーザ露光装置の投影光学系には、従来の投影光学系以上に色収差補正が要求されるので、投影光学系には、波長範囲1pm程度の色収差を補正する能力に優れた反射屈折型光学系を採用することが望ましい。
【0010】
しかし、実用的なN.A.及び露光視野を有する投影光学系の場合、反射屈折型光学系を採用した場合であっても、上記2本の発振線間の波長差(約100pm)に相当する色収差(軸上色収差)を十分なレベルで補正することは難しいことが分かっている。
【0011】
この他、フッ素レーザにおける副発振線(弱いライン)の中心波長における強度が、主発振線(強いライン)の中心波長における強度の1%以下になるようにするため、周期的波長選択素子の特性(仕様)として、副発振線(弱いライン)の中心波長における透過率が、主発振線(強いライン)の中心波長における透過率の約0.64倍以下になるように設定すれば良いということも知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0012】
【特許文献1】
特開2000−357836号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、最近になって、フッ素レーザ露光装置では、マスク上に形成されたパターンが被露光物体上の結像面で忠実に再現すること、すなわちパターン忠実度、が悪化することが判明した。特に位相シフトマスクを使用したゲート層の形成のための露光の際に、パターン忠実度の悪化が顕著になるものと予想されている。
【0014】
また、発明者のシミュレーションによると、上記特許文献1に開示されるように、フッ素レーザにおける副発振線の中心波長における強度を、主発振線の中心波長における強度の1%程度にしても、パターン忠実度の悪化はかなりの程度となることが予想されている。
【0015】
本発明は、かかる事情の下になされたものであり、その第1の目的は、解像度の向上と、パターン忠実度の向上を図ることが可能な露光装置を提供することにある。
【0016】
また、本発明の第2の目的は、高集積度のデバイスの生産性の向上を図ることが可能なデバイス製造方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
発明者は、上述したフッ素レーザ露光装置におけるパターン忠実度の悪化の原因を究明すべく、鋭意研究を重ねた結果、フッ素レーザにおける前述の軸上色収差の存在が、ローカルフレアを引き起こし、周知の光近接効果(OPE(Optical Proximity Error))と同様に、パターン忠実度を悪化させる主要因であることを見出した。発明者は、さらに、フッ素レーザ光の第1発振線(主発振線)と第2発振線(副発振線)との波長差に起因する軸上色収差によって生じるローカルフレアの影響を軽減すべく、様々な実験(シミュレーションを含む)を行った結果、主発振線の総強度に対する副発振線の総強度の比が、0.3%以下であれば、十分なパターン忠実度が得られることを確認した。本発明は、かかる発明者の新規知見に基づいてなされたものであり、以下の構成を採用する。
【0018】
請求項1に記載の発明は、エネルギビーム(EL)によりマスク(R)を照明し、該マスクに形成されたパターン(6A〜6C)を投影光学系(PL)を介して感光物体(W)上に転写する露光装置であって、前記エネルギビームとしてフッ素レーザ光を発振するフッ素レーザを備え、前記マスクのパターン面に照射される、前記フッ素レーザ光の発振線強度のうち、波長が約157.63nmである主発振線の総強度に対する、波長が約157.52nmである副発振線の総強度の比が、0.3%以下となっていることを特徴とする露光装置である。
【0019】
ここで、「発振線の総強度」とは、発振線の中心波長に対する所定幅の波長範囲に分布する光のエネルギの和を意味する。本明細書においては、かかる意味で「発振線の総強度」なる語を用いるものとする。
【0020】
本発明者は、開口数N.A.=0.85程度の投影光学系を備えたフッ素レーザを光源とする露光装置と、位相シフトマスクや変形照明などの超解像技術を組み合わせて露光を行い、線幅30nmのパターンを、±3nm程度の線幅バラツキで感光物体上に形成することを想定してシミュレーションを行った。その結果、主発振線の総強度に対する副発振線の総強度の比を、0.3%程度以下にした場合には、線幅30nmのパターンを、±3nm程度の線幅バラツキで露光可能であるとの結論を得た。
【0021】
上記結果より、マスクのパターン面に照射される、フッ素レーザ光の発振線強度のうち、波長が約157.63nmである主発振線の総強度に対する、波長が約157.52nmである副発振線の総強度の比が、0.3%以下に設定されている、本発明の露光装置で露光を行えば、投影光学系の像面に主発振線波長の光束が形成する像の上に、色収差を伴って、すなわちぼけて結像する副発振線波長の光束のぼけ像の強度を、像間のエネルギ平均値の比として、0.3%以下に抑えることができ、全体としての像のぼけを極力(ほぼ最小に)抑えることができる。従って、感光物体上に形成されるパターンの転写像におけるパターン忠実度の劣化を無視できる程度に抑えることが可能となり、露光装置の解像度の向上を図ることが可能となる。
【0022】
この場合において、請求項2に記載の露光装置の如く、前記パターン面に照射される、前記フッ素レーザ光の発振線強度のうち、波長が約157.63nmである主発振線の総強度に対する、波長が約157.52nmである副発振線の総強度の比が、0.2%以下となっていても良い。かかる場合には、投影光学系の像面に主発振線波長の光束が形成する像の上に、ぼけて結像する副発振線波長の光束のぼけ像の強度を、像間のエネルギ平均値の比として、0.2%以下に抑えることができる。このため、全体としての像のぼけを更に小さく抑えることができ、パターン忠実度の悪化を更に抑制して、露光装置の解像度の一層の向上を図ることが可能となる。
【0023】
上記請求項1及び2に記載の各露光装置において、発振線の総強度を定義する中心波長からの波長範囲については、種々の範囲を設定することができるが、例えば、請求項3に記載の露光装置の如く、前記総強度は、前記各発振線の中心波長に対して±3pm程度以内の波長範囲に分布する光のエネルギの和であることとすることができる。
【0024】
上記請求項1〜3に記載の各露光装置において、請求項4に記載の露光装置の如く、前記主発振線の総強度に対する副発振線の総強度の比は、前記フッ素レーザの内部及び外部の少なくとも一方に設けられた設定装置(137)によって設定されていることとすることができる。
【0025】
この場合において、設定装置としては、種々の構成が考えられるが、請求項5に記載の露光装置の如く、前記設定装置は、前記フッ素レーザ光の光路上に配置されたスペクトル特性制御機能を有する光学部材(132)を含むこととしても良いし、請求項6に記載の露光装置の如く、前記設定装置は、前記フッ素レーザが備える共振器及び狭帯域化モジュールの少なくとも一方を構成する光学部材を含むこととしても良い。
【0026】
上記請求項5及び6に記載の各露光装置において、請求項7に記載の露光装置の如く、前記光学部材は、ファブリ・ペロー・エタロン、バンドパスフィルタ、グレーティング及びプリズムの少なくとも1つを含むこととすることができる。
【0027】
上記請求項1〜3に記載の各露光装置において、請求項8に記載の露光装置の如く、前記主発振線の総強度に対する副発振線の総強度の比は、フッ素レーザ自体の調整によって設定されていることとすることができる。
【0028】
上記請求項1〜8に記載の各露光装置において、請求項9に記載の露光装置の如く、前記投影光学系は、屈折光学素子及び反射光学素子を含む反射屈折系であることとすることができる。
【0029】
請求項10に記載の発明は、リソグラフィ工程を含むデバイス製造方法であって、前記リソグラフィ工程では、請求項1〜9のいずれか一項に記載の露光装置を用いて感光物体上に回路パターンを形成することを特徴とするデバイス製造方法である。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係る露光装置100の構成が概略的に示されている。この露光装置100は、エネルギビームとしての露光用照明光(以下、「露光光」と略述する)ELをマスクとしてのレチクルRに照射して、該レチクルRに形成されたパターンを投影光学系PLを介して感光物体としてのウエハW上に転写するステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置、すなわちいわゆるスキャニング・ステッパである。
【0031】
この露光装置100は、光源1、設定装置としてのレーザ最適化装置137、及び照明ユニット2を含み、露光光ELによりレチクルRを照明する照明系、レチクルRを保持するレチクルステージRST、レチクルRから射出される露光光ELをウエハW上に投射する投影光学系PL、ウエハWを保持するウエハステージWST等を備えている。
【0032】
前記光源1としては、ここでは、波長157nmのフッ素レーザ光を発振するフッ素レーザ(F2レーザ)が用いられている。以下、この光源1を「フッ素レーザ1」と記述するものとする。このフッ素レーザ1は、筐体と、この筐体の内部に収容されたレーザチャンバ、レーザ共振器(及び狭帯域化モジュール)などを通常と同様に備えている。このフッ素レーザ1としては、例えば特開2001−156374号公報、特開2001−094185号公報などに開示されるものと同様の狭帯域化フッ素レーザ装置などを用いても良い。
【0033】
フッ素レーザ1は、レーザ最適化装置137及び折り曲げミラー(又は折り曲げプリズム)4を含む送光光学系(ビームライン)3を介して照明ユニット2を構成する照明系ハウジング2aの一端に接続されている。フッ素レーザ1は、実際には、照明ユニット2及び投影光学系PL等を含む露光装置本体が設置されるクリーンルームとは別のクリーン度の低いサービスルーム、あるいはクリーンルーム床下のユーティリティスペースなどに設置されている。なお、レーザ最適化装置137については後に更に詳述する。
【0034】
前記照明ユニット2は、内部を外部から隔離する照明系ハウジング2aと、その内部に所定の位置関係で配置されたオプティカルインテグレータを含む照度均一化光学系、リレーレンズ、可変NDフィルタ、レチクルブラインド、及びダイクロイックミラー等(いずれも不図示)から成る照明光学系とを含んで構成されている。この照明光学系は、例えば特開平6−349701号公報などに開示されるものと同様の構成となっている。ここで、オプティカルインテグレータとしてはフライアイレンズ、内面反射型インテグレータ(ロッドインテグレータ等)、あるいは回折光学素子等が用いられる。
【0035】
照明ユニット2では、回路パターン等が形成されたレチクルR上で、前記レチクルブラインドで規定されたスリット状の照明領域部分を露光光EL(すなわちフッ素レーザ光)によりほぼ均一な照度で照明する。
【0036】
ところで、真空紫外域に属するフッ素レーザ光を露光光とする場合には、その光路から酸素、水蒸気、炭化水素系のガス等の、かかる波長帯域の光に対し強い吸収特性を有するガス(以下、適宜「吸収性ガス」と呼ぶ)を排除する必要がある。このため、本実施形態では、照明系ハウジング2aの内部に、フッ素レーザ光に対する吸収が上記吸収性ガスより少ない特性を有する特定ガス、例えば窒素、及びヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトンなどの希ガス、又はそれらの混合ガス(以下、適宜「低吸収性ガス」と呼ぶ)を満たしている。この結果、照明系ハウジング2a内の吸収性ガスの濃度は数ppm以下の濃度となっている。
【0037】
なお、本実施形態では、フッ素レーザ1及び送光光学系3内部の光路にも上記照明系ハウジング2aと同様に低吸収性ガスが満たされている。
【0038】
前記レチクルステージRSTは、レチクルRを保持してマスク室としてのレチクル室15内に配置されている。このレチクル室15は、照明系ハウジング2a及び投影光学系PLの鏡筒と隙間なく接合された隔壁18で覆われており、その内部のガスが外部と隔離されている。レチクル室15の隔壁18は、ステンレス(SUS)等の脱ガスの少ない材料にて形成されている。
【0039】
レチクル室15の隔壁18の天井部には、レチクルRより一回り小さい矩形の開口が形成されており、この開口部分に照明系ハウジング2aの内部空間と、露光すべきレチクルRが配置されるレチクル室15の内部空間とを分離する状態で光透過部材12が配置されている。この光透過部材12は、照明ユニット2からレチクルRに照射される露光光ELの光路上に配置されるため、露光光であるフッ素レーザ光に対して透過性の高いホタル石等のフッ化物結晶材料によって形成されている。
【0040】
なお、照明系ハウジング2a内のガス置換を、一度減圧動作を経て行うような場合には、減圧動作時に、光透過部材12に減圧分の圧力が加わり、ホタル石が損傷するおそれがある。そこで、このような場合には、図1中の光透過部材12の上部に、すなわち、照明系ハウジング2aと光透過部材12との間に、可動式の金属製耐圧蓋を設け、これによって光透過部材12を気圧差から守ることも可能である。
【0041】
前記レチクルステージRSTは、レチクルRをレチクルステージ定盤19上でY軸方向に大きなストロークで直線駆動するとともに、X軸方向とθz方向(Z軸回りの回転方向)に関しても微小駆動が可能な構成となっている。
【0042】
これを更に詳述すると、レチクルステージRSTは、レチクルステージ定盤19上をリニアモータ等を含む不図示のレチクル駆動系によってY軸方向に所定ストロークで駆動されるレチクル走査ステージと、このレチクル走査ステージ上に搭載されレチクルRを吸着保持するレチクルホルダとを含んで構成されている。レチクルホルダは、レチクル駆動系によってXY面内で微少駆動(回転を含む)可能に構成されている。なお、図1においては、便宜上レチクル走査ステージとレチクルホルダを纏めてレチクルステージRSTとして図示している。
【0043】
本実施形態のように、フッ素レーザ光を露光光ELとする露光装置では、酸素等の吸収性ガスによる露光光の吸収を避けるために、照明ユニット2から投影光学系PLまでの光路についても前述の低吸収性ガスで置換する必要がある。
【0044】
この場合、レチクル室15の隔壁18には、図1に示されるように、給気管路16の一端と、排気管路17の一端とがそれぞれ接続されている。給気管路16の他端は、不図示の低吸収性ガスの供給装置、例えばヘリウムガス供給装置に接続されている。また、排気管路17の他端は、外部のガス回収装置に接続されている。そして、ヘリウムガス供給装置から高純度のヘリウムガスが給気管路16を介してレチクル室15内に常時供給され、レチクル室15内の気体が排気管路17を介してガス回収装置内に排気される。すなわち、このようにして、レチクル室15内にヘリウムガスが常時フローされている。ここで、低吸収性ガスとしては、安価な窒素ガスを用いることも可能である。但し、ヘリウムガスの方が窒素ガスよりも、気圧及び温度変動に対する屈折率の変動が小さい。従って、レチクル室15内に満たすガスとして、ヘリウムガスを使用すると、レチクル室15内の気圧及び温度の変動に伴う投影光学系PLの結像性能の悪化や、後述するレーザ干渉計74X,74Yの測定誤差を最小限に抑えることができる。一方、ヘリウムガスは、窒素ガスに比べて高価であるため、回収装置で回収し、不純物を除去後、再利用することとしている。
【0045】
レチクル室15の隔壁18の−Y側の側壁には光透過窓71が設けられている。これと同様に図示は省略されているが、隔壁18の−X側(図1における紙面奥側)の側壁にも光透過窓が設けられている。これらの光透過窓は、隔壁18に形成された窓部(開口部)に該窓部を閉塞する光透過部材、ここでは一般的な光学ガラスを取り付けることによって構成されている。この場合、光透過窓71を構成する光透過部材の取り付け部分からのガス漏れが生じないように、取り付け部には、インジウム、ガリウム、軟金属、銅等の金属シールや、フッ素系樹脂による封止(シーリング)が施されている。なお、上記フッ素系樹脂としては、80℃で2時間加熱し、脱ガス処理が施されたものを使うことが望ましい。
【0046】
前記レチクルステージRST上面の−Y側の端部には、平面鏡から成るY移動鏡72YがX軸方向に延設されている。このY移動鏡72Yにほぼ垂直にレチクル室15の外部に配置されたY軸レーザ干渉計74Yからの測長ビームが光透過窓71を介して投射され、その反射光が光透過窓71を介してY軸レーザ干渉計74Y内部のディテクタによって受光され、Y軸レーザ干渉計74Y内部の参照鏡の位置を基準としてY移動鏡72Yの位置、すなわちレチクルRのY位置が検出される。
【0047】
同様に、図示は省略されているが、レチクルステージRSTの−X側の端部には、平面鏡から成るX移動鏡がY軸方向に延設されている。そして、このX移動鏡を介して不図示のX軸レーザ干渉計によって上記と同様にしてX移動鏡の位置、すなわちレチクルRのX位置が検出される。上記2つのレーザ干渉計の検出値(計測値)は不図示の制御装置に供給されており、制御装置では、これらのレーザ干渉計の検出値に基づいてレチクルステージRSTの位置制御を行うようになっている。
【0048】
このように、本実施形態では、レーザ干渉計、すなわちレーザ光源、プリズム等の光学部材及びディテクタ等がレチクル室15の外部に配置されているので、レーザ干渉計を構成するディテクタ等から仮に微量の吸収性ガスが発生しても、これが露光に対して悪影響を及ぼすことがないようになっている。
【0049】
前記投影光学系PLは、複数のレンズや反射鏡84及び球面鏡85からなる光学系を、鏡筒で密閉したものである。投影光学系PLとしては、投影倍率βが例えば1/4あるいは1/5の縮小光学系が用いられている。このため、前述の如く、照明ユニット2からの露光光ELによりレチクルRが照明されると、レチクルRの前述の照明領域部分に形成されたパターンが投影光学系PLによりウエハW上の上記照明領域に共役な投影領域に縮小投影され、前記パターンの縮小像(レチクルR上の回路パターンの一部分の投影像)が形成される。
【0050】
なお、フッ素レーザ光に対して十分な透過性を有し、高性能レンズ材料として使用可能な均一性を有する材料は、ホタル石(フッ化カルシウム結晶)、フッ化バリウム結晶、フッ化リチウム結晶等のフッ化物結晶に限られる。但し、レンズ材料自身の製造性や加工性を考慮した場合、レンズ材料がホタル石のみに限定される可能性が高く、このように単一のレンズ材料を用いた光学系の場合、色収差の補正を十分に行うことが困難である。このため、本実施形態では、投影光学系PLとしてレンズの他に、球面鏡85及び反射鏡84を含む反射屈折光学系(カタディ・オプトリック系)を用いることとしたものである。
【0051】
投影光学系PLの鏡筒には、給気管路30の一端と、排気管路31の一端とがそれぞれ接続されている。給気管路30の他端は、不図示の低吸収性ガスの供給装置、例えばヘリウムガス供給装置に接続されている。また、排気管路31の他端は、外部のガス回収装置に接続されている。そして、前述と同様に、ヘリウムガス供給装置から高純度のヘリウムガスが給気管路30を介して投影光学系PLの鏡筒の内部にヘリウムガスがフローされている。この場合も、ヘリウムガスがガス回収装置に回収されるようになっている。なお、低吸収性ガスとしてヘリウムガスを用いているのは、前述と同様の理由に加え、投影光学系PLのレンズ材料として熱膨張係数の大きなホタル石が用いられているので、レンズが露光光ELを吸収することにより発生する温度上昇が、レンズの結像特性を劣化させるので、冷却効果の大きな低吸収性ガスを用いる必要があるためである。従って、投影光学系PLの鏡筒内部のパージガスとしては、ヘリウムガスを用いることが望ましい。
【0052】
前記ウエハステージWSTは、ウエハ室40内に配置されている。このウエハ室40は、投影光学系PLの鏡筒と隙間なく接合された隔壁41で覆われており、その内部のガスが外部と隔離されている。ウエハ室40の隔壁41は、ステンレス(SUS)等の脱ガスの少ない材料にて形成されている。
【0053】
ウエハ室40内には、ベースBSが、複数の防振ユニット39を介して水平に支持されている。この防振ユニット39は、ウエハステージWSTの移動に伴う振動が投影光学系PLやレチクルRに伝達するのを抑制するために、振動をマイクロGレベルで絶縁する。なお、この防振ユニット39として、装置内の一部に固定された半導体加速度計等の振動センサの出力に基づいてベースBSを積極的に制振するいわゆるアクティブ防振装置を用いることは勿論可能である。
【0054】
前記ウエハステージWSTは、ウエハホルダ35を介してウエハWを真空吸着等により吸着保持し、例えばリニアモータ等から成る不図示のウエハ駆動系によって前記ベースBSの上面に沿ってXY2次元方向に自在に駆動されるようになっている。
【0055】
本実施形態のように、フッ素レーザ光を露光光として用いる露光装置では、酸素等の吸収性ガスによる露光光の吸収を避けるために、投影光学系PLからウエハWまでの光路についても前述の低吸収性ガスで置換する必要がある。
【0056】
このため、ウエハ室40の隔壁41には、図1に示されるように、給気管路32の一端と、排気管路33の一端とがそれぞれ接続されている。給気管路32の他端は、不図示の低吸収性ガスの供給装置、例えばヘリウムガス供給装置に接続されている。また、排気管路33の他端は、外部のガス回収装置に接続されている。そして、前述と同様にして、ウエハ室40内にヘリウムガスが常時フローされている。低吸収性ガスとしてヘリウムガスを採用した理由は、レチクル15の場合と同様である。また、この場合も、ヘリウムガスを回収装置で回収し、不純物を除去後、再利用することとしている。
【0057】
前記ウエハ室40の隔壁41の−Y側の側壁には光透過窓38が設けられている。これと同様に、図示は省略されているが、隔壁41の−X側(図1における紙面奥側)の側壁にも光透過窓が設けられている。これらの光透過窓は、隔壁41に形成された窓部(開口部)に該窓部を閉塞する光透過部材、ここでは一般的な光学ガラスを取り付けることによって構成されている。この場合、光透過窓38を構成する光透過部材の取り付け部分からのガス漏れが生じないように、取り付け部には、インジウム、ガリウム、軟金属、銅等の金属シールや、フッ素系樹脂による封止(シーリング)が施されている。なお、上記フッ素系樹脂としては、80℃で2時間、加熱し、脱ガス処理が施されたものを使うことが望ましい。
【0058】
前記ウエハホルダ35の−Y側の端部には、平面鏡から成るY移動鏡36YがX方向に延設されている。このY移動鏡36Yにほぼ垂直にウエハ室40の外部に配置されたY軸レーザ干渉計37Yからの測長ビームが光透過窓38を介して投射され、その反射光が光透過窓38を介してY軸レーザ干渉計37Y内部のディテクタによって受光され、Y軸レーザ干渉計37Y内部の参照鏡の位置を基準としてY移動鏡36Yの位置、すなわちウエハWのY位置が検出される。
【0059】
同様に、図示は省略されているが、ウエハホルダ35の−X側の端部には、平面鏡から成るX移動鏡がY方向に延設されている。そして、このX移動鏡を介してX軸レーザ干渉計によって上記と同様にしてX移動鏡の位置、すなわちウエハWのX位置が検出される。上記2つのレーザ干渉計の検出値(計測値)は不図示の制御装置に供給されており、制御装置では、これらのレーザ干渉計の検出値をモニタしつつウエハ駆動系を介してウエハステージWSTの位置制御を行うようになっている。
【0060】
このように、本実施形態では、レーザ干渉計、すなわちレーザ光源、プリズム等の光学部材及びディテクタ等が、ウエハ室40の外部に配置されているので、上記ディテクタ等から仮に微量の吸収性ガスが発生しても、これが露光に対して悪影響を及ぼすことがないようになっている。
【0061】
なお、上述したレチクル室15の隔壁に接続された給気管路16の他端、及び排気管路17の他端を不図示のヘリウムガス供給装置にそれぞれ接続し、ヘリウムガス供給装置から給気管路16を介して常時高純度のヘリウムガスをレチクル室15内に供給し、レチクル室15内部のガスを排気管路17を介してヘリウムガス供給装置に戻し、このようにして、ヘリウムガスを循環使用する構成を採用しても良い。この場合、ヘリウムガス供給装置には、ガス精製装置を内蔵することが望ましい。このようにすると、ガス精製装置の作用により、ヘリウムガス供給装置とレチクル室15内部とを含む循環経路によりヘリウムガスを長時間に渡って循環使用しても、レチクル室15内の窒素ガス以外の吸収性ガス(酸素、水蒸気、有機物等)の濃度は数ppm以下の濃度に維持できる。また、この場合、レチクル室15内に圧力センサ、吸収性ガス濃度センサ等のセンサを設け、該センサの計測値に基づいて、不図示の制御装置を介してヘリウムガス供給装置に内蔵されたポンプの作動、停止を適宜制御することとしても良い。
【0062】
同様に、投影光学系PLの鏡筒、ウエハ室40にも、上記と同様のヘリウムガスの循環経路を採用しても良い。
【0063】
次に、フッ素レーザ1と送光光学系3との間に設けられた前記レーザ最適化装置137について詳細に説明する。
【0064】
図2には、レーザ最適化装置137内部の構成が示されている。このレーザ最適化装置137は、フッ素レーザ1の射出部近傍に設けられた可変傾角のファブリ・ぺロー・エタロン(Fabry−Perot etalon)132と、該ファブリ・ぺロー・エタロン(以下、「エタロン」と略述する)132のレーザ光の光軸に直交する方向(X軸方向)の回転軸を中心に回転駆動することにより、レーザ光に対するエタロン132の傾き角を変化させるエタロン回転機構133と、エタロン132のレーザ光の光路後方(+Y側)に配置された分岐ミラー134と、該分岐ミラー134による反射光路上に配置された分光器135と、分光器135に電気的に接続された波長制御系136とを備えている。
【0065】
なお、実際には、レーザ最適化装置137のうちの、少なくともエタロン132、分岐ミラー134は、不図示の筐体内に収容され、その内部は、フッ素レーザ1や照明系ハウジング2aと同様に低吸収性ガスが満たされている。
【0066】
前記エタロン132は、高い透過特性を持った狭帯域波長フィルタ(波長選択素子)であり、所定波長に対する透過率が高い性質を有している。この場合、フッ素レーザ1から射出されるレーザ光のエタロン132に対する入射角度が変更されることにより、エタロン132に対する透過性の高い波長帯域が変更されるようになっている。
【0067】
前記分岐ミラー134は、例えば透過率が高く反射率が低いビームスプリッタ等から成り、入射するレーザ光の大部分を透過する性質を有している。分岐ミラー134を透過したレーザ光は、図1に示される送光光学系3に入射し、分岐ミラー134にて反射されたレーザ光は、分光器135に入射する。
【0068】
前記分光器135は、分岐ミラー134で反射されたレーザ光のスペクトル分布などを計測するものである。分光器134は、一例として、上記反射光路上に順次配置されたハーフミラー、集光レンズ、コリメータレンズ、エタロン、テレメータレンズ、及びラインセンサを含むファブリペロー干渉計によって構成することができる。
【0069】
前記波長制御系136は、後述するように、分光器135で計測されたスペクトル分布に基づいて、エタロン回転機構133を制御し、エタロン132の回転角を最適化する。
【0070】
ここで、波長制御系136によるエタロン132の回転角の最適化方法について詳述する。
【0071】
図3には、フッ素レーザ1から発振されるフッ素レーザ光のスペクトル分布を表わすグラフが示されている。この図3において、横軸は波長を示し、縦紬はその波長に対するエネルギ分布を示している。
【0072】
この図3に示されるように、フッ素レーザ光には、波長157.63nmの主発振線L1と、波長157.52nmの副発振線L2とが存在する。なお、フッ素レーザは、上記2つの発振線以外にも波長650nm程度の赤色光も放出するが、このような赤色光は、ウエハW上へのパターン形成に際し使用されるフォトレジストを感光させることはないので、ここでは図示が省略されている。なお、上記両発振線それぞれのスペクトル幅は、半値幅FWHM(Full Width at HalfMaximum)で、0.8pmから1.5pm程度であり、フッ素レーザ1内のガスの気圧や放電条件により異なってくる。
【0073】
また、フッ素レーザ1から自然発振されたフッ素レーザ光においては、主発振線L1の総強度に対する副発振線L2の総強度の比は、5〜10%程度となっている。ここで、「発振線の総強度」とは、各発振線の中心波長に対して±3pm程度以内の波長範囲に分布する光のエネルギの総和を表すものとする。なお、上記の中心波長には、ある波長域に渡って分布する主発振線及び副発振線のそれぞれの強度分布において、例えば、上記半値幅を決定する長波長側の波長と短波長側の波長の平均値を採用する。しかし、これ以外にも、それぞれの分布のピーク強度を与える波長を選定しても良く、上記各強度分布の各加重平均値となる各波長を選定しても良い。主発振線及び副発振線の各スペクトル分布の半値幅は、上記の如く、いずれも0.8pmから1.5pmであるので、上記3通りの方法で算出される中心波長間の相互の誤差は最大でも0.2pm程度である。一方、上記の通り、総強度の算出は、上記誤差よりも十分に大きな±3pm程度の波長範囲に分布する光エネルギの総和であるので、中心波長を上記3通りのうちのいずれの方法で決定しても、総強度の算出には殆ど誤差は生じない。
【0074】
図4には、投影光学系PLの軸上色収差を説明するためのグラフが示されている。この図4は、主発振線L1の波長(157.63nm)における合焦位置を基準焦点位置(縦軸の値が0になる位置)に一致させた場合に、各波長の像の合焦位置が、投影光学系PLの光軸方向(図1のZ軸方向)にどれだけずれるかを表わしたものである。この図4から、本実施形態の投影光学系PLの場合、副発振線L2の波長(157.52nm)における合焦位置は、主発振線L1の波長(157.63nm)における合焦位置に比べ、9μmほど投影光学系PLに近づく方向にシフトしていることがわかる。
【0075】
ここで、説明の便宜上から、露光装置100においてレーザ最適化装置137が設けられていない場合を比較例として採りあげ、この比較例において、レチクルR上のパターンをウエハW上へ転写する場合について説明する。
【0076】
レチクルRには、図5(A)に示されるように、クロム等の遮光膜6Sのバックグラウンド上に、比較的太い線幅の開口部(パターン)6Aと、比較的細い線幅の開口部(パターン)6B,6Cとが、所定の位置関係で形成されているものとする。なお、比較的細い線幅の開口部6B,6Cは、互いに等しい線幅を有している。
【0077】
図5(B)には、比較例の露光装置(レーザ最適化装置137を備えていない露光装置)で、図5(A)のレチクルRを用いて露光を行ったときのパターン6A〜6Cの像の形成状態が示されている。この図5(B)中の下半部には、主発振線L1の合焦位置に形成されるパターン6A,6B,6Cの像の光強度分布(像強度分布)が示されている。ここで、像強度分布iA10,iB10,iC10は、それぞれ主発振線L1によるパターン6A,6B,6Cの像強度分布を示す。これより明らかなように、主発振線L1の合焦位置では、主発振線L1による像は、シャープな像となる。
【0078】
一方、副発振線L2に対する合焦位置は主発振線L1の合焦位置から上方に9μmずれた位置となる(図4参照)ことから、ウエハWの表面からΔZ(=9μm)だけずれた位置に、副発振線L2によるパターン6A,6B,6Cの像が形成される(図5(B)中の上半部に点線で示される像強度分布iA21,iB21,iC21参照)。これらの像は、主発振線L1の波長における合焦位置では、色収差を伴って、すなわちぼけて結像し、像強度分布iAB20,iC20で表される像として形成される。なお、フッ素レーザ1から発振されるフッ素レーザ光の主発振線L1と副発振線L2との強度比が異なるため、実際には、主発振線L1の像強度と副発振線L2の像強度との比は、図示したものより大きくなるが、ここでは現象を理解しやすくするために、両者の強度比が同一であるものとして示している。
【0079】
この場合、副発振線L2によるパターン6Aの像のぼけは、パターン6Bの像位置まで広がり、両像が重なり合って像強度分布iAB20を形成している。一方、パターン6Cは、パターン6Aから所定距離以上離れ、かつパターン6Bとの間隔もある程度以上あるので、副発振線L2によるパターン6Cの像を示す像強度分布iC20は、像強度分布iAB20と重なることなく形成されている。但し、いずれの像も、デフォーカスにより極めてぼけた像となっている。
【0080】
図5(C)には、図5(B)に示される主発振線L1の波長における合焦位置での、主発振線L1による像強度分布と副発振線L2による像強度分布とが合成された、すなわち強度加算された像強度分布が示されている。両発振線の波長差は僅か(約0.11nm)であるので、ウエハW上のフォトレジストに対する感光性は、両発振線で同様である。従って、ウエハWの表面が主発振線L1の波長(157.63nm)における合焦位置と一致しているときには、この図5(C)に示される合成光学像(像強度分布)が、フォトレジストを感光し、転写パターンを形成することになる。ここで、形成されるレジスト像においてパターンの線幅は、上記の合成光学像を、所定レベルSLでスライスした場合のスライス幅WA,WB,WCに対応している。
【0081】
この図5(C)から分かるように、パターン6Bの像は、比較的近接して配置されたパターン6Aの副発振線L2によるぼけ像が加算されるために、像強度全体が上昇する。そのため所定スライスレベルSLでのスライス幅WBが、孤立的に配置されたレチクルパターン6Cの像のスライス幅WCに比べて、太くなってしまう。すなわち、所定距離範囲内に他のパターンが存在するか否かによって、設計上の線幅が同一であるパターンの転写像(レジスト像)の線幅が異なることとなり、線幅不均一性が生じることとなる。
【0082】
一方、本実施形態の露光装置100を用いてレチクルR上のパターンをウエハW上へ転写する場合について、図6(A)〜図6(C)に基づいて説明する。
【0083】
前提として、レーザ最適化装置137を構成する分光器135で計測されたスペクトル分布に基づいて、波長制御系136は、エタロン回転機構133を介してエタロン132の傾角を調整(最適化)することにより副発振線L2の強度を低下させ、主発振線L1の総強度に対する副発振線L2の総強度の比を0.3%程度以下(より好ましくは0.2%程度以下)に設定されているものとする。なお、この場合においても、発振線の総強度とは、前述と同様に、各発振線の中心波長に対して±3pm程度以内の波長範囲に分布する光のエネルギの総和を表すものである。
【0084】
この場合においても、図6(A)に示されるように、上記比較例と同様のレチクルR上のパターン6A,6B,6Cを使用して露光を行うことを想定している。
【0085】
図6(B)には、この場合におけるレチクルR上のパターン6A〜6Cの像の形成状態が示されている。この図6(B)中の下半部には、主発振線L1の合焦位置に形成されるパターン6A〜6Bの像の強度分布(像強度分布)が示されているが、この像強度分布iA10,iB10,iC10は、図5(B)に示した比較例の露光装置により形成される像強度分布と同一である。
【0086】
また、本実施形態においても、比較例の露光装置と同様に、副発振線L2に対する合焦位置は、主発振線L1の合焦位置から上方に9μmずれた位置であり、ウエハWの表面からΔZ(=9μm)だけずれた位置に、副発振線L2によるパターン6A〜6Cの像が形成される(図6(B)中の上半部に点線で示される像強度分布iA211,iB211,iC211参照)。これらの像は、主発振線L1の波長における合焦位置では、色収差を伴って、すなわちぼけて結像し、像強度分布iAB201,iC201で表される像として形成される。但し、本実施形態の露光装置においては、副発振線L2の総強度と主発振線L1の総強度の比は0.3%以下、より望ましくは0.2%以下に抑えられている。従って、副発振線L2による像の強度分布(像強度分布iA211,iB211,iC211及び像強度分布iAB201,iC201)の主発振線L1による像の強度分布(像強度分布iA10,iB10,iC10)に対する強度比も比較例の露光装置に比べて、小さな値に抑えることができる。この結果、図6(C)に示される主発振線L1の波長における合焦位置での、主発振線L1による像と副発振線L2による像との合成像強度分布iAB301における、副発振線L2により形成される像強度分布の占める光量の割合も低下する。
【0087】
従って、合成像強度分布iAB301の形状は、比較例に示した露光装置での合成像強度分布(図5(C)中のiAB30)に比べて、主発振線L1による像強度分布iA10,iB10,iC10に近づく。そして、パターン6Bの像位置における、パターン6Bに近接して配置される大きなパターン6A(及びパターン6B)の副発振線L2によるぼけた像iAB201の像強度の、主発振線L1によるパターンBの像強度iB10に対する比率も減少する。このため、合成像強度分布iAB301をパターン6Bの像位置近傍で所定のレベルSLでスライスした幅(レジストに転写されるパターン6Bの線幅に相当する)WB1は、孤立的に配置されたレチクルパターン6Cの像のスライス幅WC1と、殆ど等しい幅になる。
【0088】
従って、本実施形態の露光装置においては、比較例の露光装置で問題になっていた、所定距離範囲内に他のパターンが存在するか否かによって、転写像(レジスト像)の線幅が異なるという問題は解決される。すなわち、電子デバイスの性質上実質的に問題にならない程度に線幅不均一性を減少させることができる。
【0089】
ところで、上記の比較例の露光装置のように転写パターンの線幅が、その周囲に他のパターンが存在するか否かによって変動する現象は、露光光として波長が単一である単色光が用いられる場合にも発生する。これが、前述した光近接効果(OPE)と呼ばれる現象であり、投影光学系の解像限界で決まるぼけの範囲内に、他のパターンがあるかないかによって、転写されたパターンの線幅が変動する現象である。このOPEは、考慮すべき周辺パターンの存在範囲が、解像限界の2〜3倍程度の距離の範囲内に限定されるので、レチクルパターンの設計データに基づいて、各パターンにおける投影露光後の線幅変化を予測し、それを補償する方向にレチクルパターンの線幅を補正するいわゆるOPC(OPC:Optical Proximity Correction)と呼ばれる補正方法により補正することが可能である。
【0090】
しかしながら、上記のように、レーザ発振線が2本(主発振線L1と副発振線L2)に分かれ、その発振線間に大きな軸上色収差(上記の場合、約9μm)が存在することにより発生する近接効果は、ローカルフレアの要因となり、その影響が及ぶ範囲も、半径10μm程度の範囲となり、上記のOPEの影響の及ぶ範囲(解像限界の2〜3倍)に比べて圧倒的に広く、その広大なエリア内の各パターンについて、副発振線のぼけ像の影響を計算してレチクル線幅を補正することは事実上困難である。
【0091】
そこで、本実施形態においては、第2発振線L2(副発振線)と第1発振線L1(主発振線)との波長差に起因する軸上色収差に起因するローカルフレアの影響、すなわち前述のぼけ像の影響を低減するため、レーザ最適化装置137を用いることとしたものである。
【0092】
なお、前述の総強度の比0.3%程度以下(より好ましくは0.2%程度以下)なる条件は、発明者によるシミュレーションの結果、見出されたものである。以下、この点について説明する。
【0093】
発明者は、シミュレーション条件として、具体的に、開口数N.A.=0.85程度の投影光学系を備えたフッ素レーザを光源とする露光装置と、前述の位相シフトマスクや変形照明などの超解像技術を組み合わせて、線幅30nmのパターンを、その線幅バラツキの許容範囲を±3nm以内に抑えて露光することを想定した。
【0094】
投影光学系の色収差としては、図4のグラフに示される値を使用し、その他、装置性能に起因する誤差も含めて計算した。
【0095】
このシミュレーションの結果、主発振線L1の総強度に対する副発振線L2の総強度の比を、0.3%程度以下に抑えた場合には、線幅30nmのパターンを、±3nm程度の線幅バラツキで露光可能であることが確認された。
【0096】
但し、上記の総強度の比を、0.2%程度以下に抑えると、線幅30nmのパターンを、±2nm程度の線幅バラツキで露光することが可能であり、より高性能な電子デバイスを製造可能であることも判明した。従って、上記の総強度の比を、0.2%程度以下に抑えることがより好ましいことも判明した。
【0097】
従って、本実施形態の露光装置100では、レーザ最適化装置137により、フッ素レーザ1からのフッ素レーザ光の主発振線L1の総強度に対する副発振線L2との総強度の比を0.3%程度以下(より好ましくは0.2%程度以下)に設定した状態で、そのフッ素レーザ光を露光光ELとして前述の照明領域を照明しつつ、その照明光に対してレチクルR(レチクルステージRST)とウエハW(ウエハステージWST)とをY軸方向に同期移動することにより、レチクルR上に形成されたパターンを投影光学系を介してウエハW上のショット領域に走査露光方式で転写することにより、結果的にパターン忠実度の劣化を無視できる程度に抑制して、線幅の不均一化を極力抑える(均一化を図る)ことが可能となる。
【0098】
以上詳細に説明したように、本実施形態の露光装置100によると、レチクルRのパターン面に照射される、照明光としてのフッ素レーザ光の発振線強度のうち、波長が約157.63nmである主発振線の総強度に対する、波長が約157.52nmである副発振線の総強度の比が、0.3%以下に設定されている状態で、走査露光を行うことにより、ウエハW上に形成されるパターンの転写像におけるパターン忠実度の劣化を無視できる程度に抑え、全体としての像のぼけを極力抑えることができる。従って、パターンを所望の線幅で転写することが可能となり、その解像度の向上を図ることが可能となる。
【0099】
更に、主発振線の総強度に対する、副発振線の総強度の比を0.2%以下に設定することにより、副発振線の影響を更に低減することができるので、全体としての像のぼけを更に小さく抑えることができ、パターン忠実度の悪化を更に抑制して、解像度の一層の向上を図ることが可能となる。
【0100】
なお、上記実施形態では、発振線の総強度が、各発振線の中心波長に対して±3pm程度以内の波長範囲に分布する光のエネルギの総和であることとして規定したが、これに限らず、その波長範囲は、±3pmよりも大きくても良いし、逆に、±3pmよりも小さくても良い。
【0101】
なお、上記実施形態では、設定装置としてのレーザ最適化装置137が、フッ素レーザ1外部のフッ素レーザ光の光路上に配置されたスペクトル特性制御機能を有する光学部材、すなわちエタロン132を含んで構成されるものとしたが、これに限らず、前述の主発振線の総強度に対する副発振線の総強度の比を設定する設定装置は、フッ素レーザ1が備える共振器及び狭帯域化モジュールの少なくとも一方を構成する光学部材を含んで構成することとすることもできる。
【0102】
例えば、フッ素レーザ1は、その内部のレーザ共振器が、レーザチャンバのリア側に配置されたリアミラーを兼ねる可変傾角の反射型回折格子(グレーティング)と、レーザチャンバのフロント側(射出側)に配置されるフロントミラーとしてのハーフミラーとの組み合わせによって構成される場合があり、この場合グレーティングを含んで設定装置を構成することとしても良い。また、この場合において、グレーティングとともに、可変傾角のプリズムを用いてレーザ共振器によって発振されるフッ素レーザのスペクトル幅(波長幅)を狭帯域化する狭帯域化モジュールを構成することもできるが、この場合には、グレーティング及びプリズムの少なくとも一方を含んで設定装置を構成しても良い。
【0103】
あるいは、フッ素レーザ1の内部のレーザ共振器が全反射ミラーから成るリアミラーと、ハーフミラーから成るフロントミラーとから構成される場合があり、その場合レーザチャンバとハーフミラーとの間に固定のエタロン及び可変傾角のエタロン等を配置して、これらのエタロンによって狭帯域化モジュールを構成することができるが、この場合には、その可変傾角のエタロンを含んで設定装置を構成することとしても良い。
【0104】
このことから明らかなように、設定装置を構成する光学素子としては、エタロンに限らず、グレーティング及びプリズムなどを使用することができる。この他、バンドパスフィルタのようなスペクトル特性制御機能を有する光学部材(光学素子)を使用することもできる。更に、フッ素レーザ光の最適化のために、設定装置を設けることなく、例えばフッ素レーザ自体の調整、すなわちフッ素レーザ自体の最適化により、副発振線L2の強度を低下させるようにしても良い。
【0105】
また、設定装置を構成する光学素子として、エタロンを採用した場合には、エタロンの角度を傾ける角度チューニング法に限らず、共振器の屈折率を変える屈折率チューニング法や、温度制御することによりチューニングする温度チューニング法などを採用しても良い。
【0106】
なお、上記実施形態では、レチクルステージRSTをレチクル室15内に配置し、また、ウエハステージWSTをウエハ室40内に配置する構成について説明したが、レチクル室15、ウエハ室40を設けずに、照明ユニット2と投影光学系PLの鏡筒との間の露光光の光路部分を局所的にガス置換しても良い。また、投影光学系PLとウエハWとの間の露光光の光路部分を局所的にガス置換しても良い。
【0107】
また、上記実施形態では、パージガスとしてヘリウムガスを用いた場合に、回収装置で回収し、不純物を除去した後、再利用する構成について説明したが、ヘリウムガスを用いた場合であっても、再利用することなく工場配管を介して排気しても良い。
【0108】
なお、上記実施形態では、本発明がスキャニング・ステッパに適用された場合について説明したが、これに限らず、ステップ・アンド・リピート方式のステッパ等の静止露光型の露光装置にも適用できる。
【0109】
なお、複数のレンズから構成される照明光学系、投影光学系を露光装置本体に組み込み、光学調整をするとともに、多数の機械部品からなるレチクルステージやウエハステージを露光装置本体に取り付けて配線や配管を接続し、更に総合調整(電気調整、動作確認等)をすることにより、上記実施形態の露光装置を製造することができる。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0110】
なお、本発明は、半導体製造用の露光装置に限らず、液晶表示素子などを含むディスプレイの製造に用いられる、デバイスパターンをガラスプレート上に転写する露光装置、薄膜磁気ヘッドの製造に用いられるデバイスパターンをセラミックウエハ上に転写する露光装置、撮像素子(CCDなど)、マイクロマシン及びDNAチップなどの製造に用いられる露光装置などにも適用することができる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。ここで、DUV(遠紫外)光やVUV(真空紫外)光などを用いる露光装置では一般的に透過型レチクルが用いられ、レチクル基板としては石英ガラス、フッ素がドープされた石英ガラス、螢石、フッ化マグネシウム、又は水晶などが用いられる。また、プロキシミティ方式のX線露光装置、又は電子線露光装置などでは透過型マスク(ステンシルマスク、メンブレンマスク)が用いられ、マスク基板としてはシリコンウエハなどが用いられる。
【0111】
《デバイス製造方法》
次に上述した露光装置をリソグラフィ工程で使用するデバイスの製造方法の実施形態について説明する。
【0112】
図7には、デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造例のフローチャートが示されている。図7に示されるように、まず、ステップ201(設計ステップ)において、デバイスの機能・性能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップ202(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。一方、ステップ203(ウエハ製造ステップ)において、シリコン等の材料を用いてウエハを製造する。
【0113】
次に、ステップ204(ウエハ処理ステップ)において、ステップ201〜ステップ203で用意したマスクとウエハを使用して、後述するように、リソグラフィ技術等によってウエハ上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップ205(デバイス組立てステップ)において、ステップ204で処理されたウエハを用いてデバイス組立てを行う。このステップ205には、ダイシング工程、ボンディング工程、及びパッケージング工程(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。
【0114】
最後に、ステップ206(検査ステップ)において、ステップ205で作成されたデバイスの動作確認テスト、耐久テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にデバイスが完成し、これが出荷される。
【0115】
図8には、半導体デバイスにおける、上記ステップ204の詳細なフロー例が示されている。図8において、ステップ211(酸化ステップ)においてはウエハの表面を酸化させる。ステップ212(CVDステップ)においてはウエハ表面に絶縁膜を形成する。ステップ213(電極形成ステップ)においてはウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ214(イオン打ち込みステップ)においてはウエハにイオンを打ち込む。以上のステップ211〜ステップ214それぞれは、ウエハ処理の各段階の前処理工程を構成しており、各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
【0116】
ウエハプロセスの各段階において、上述の前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程が実行される。この後処理工程では、まず、ステップ215(レジスト形成ステップ)において、ウエハに感光剤を塗布する。引き続き、ステップ216(露光ステップ)において、上で説明した露光装置100によってマスクの回路パターンをウエハに転写する。次に、ステップ217(現像ステップ)においては露光されたウエハを現像し、ステップ218(エッチングステップ)において、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ステップ219(レジスト除去ステップ)において、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。
【0117】
これらの前処理工程と後処理工程とを繰り返し行うことによって、ウエハ上に多重に回路パターンが形成される。
【0118】
以上説明した本実施形態のデバイス製造方法を用いれば、露光工程(ステップ216)において上記実施形態の露光装置が用いられるので、ウエハ上に形成されるパターンの転写像におけるパターン忠実度の劣化を無視できる程度に抑え、全体としての像のぼけを極力抑え、パターンを所望の線幅で転写することが可能となる。従って、チップ内のパターンの線幅均一性が良好な電子デバイスの製造が可能になり、結果的に高集積度の電子デバイスの生産性(歩留まりを含む)を向上させることが可能になる。
【0119】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の露光装置によれば、解像度の向上と、パターン忠実度の向上を図ることができるという効果がある。
【0120】
また、本発明のデバイス製造方法によれば、高集積度のデバイスの生産性の向上を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる露光装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1のレーザ最適化装置の内部構成を示す図である。
【図3】フッ素レーザから発振されるフッ素レーザ光のスペクトル分布を表わすグラフである。
【図4】投影光学系PLの軸上色収差を説明するためのグラフである。
【図5】図5(A)は、一実施形態において用いられるレチクルのパターンの位置関係を示す図であり、図5(B)は、レーザ最適化装置を備えていない露光装置で、図5(A)のレチクルを用いて露光を行ったときのパターンの像の形成状態を示す図であり、図5(C)は、図5(B)の主発振線の波長における合焦位置での、主発振線による像強度分布と副発振線による像強度分布とが強度加算された像強度分布を示す図である。
【図6】図6(A)は、一実施形態において用いられるレチクルのパターンの位置関係を示す図であり、図6(B)は、レーザ最適化装置を備えている一実施形態の露光装置で、図6(A)のレチクルを用いて露光を行ったときのパターンの像の形成状態を示す図であり、図6(C)は、図6(B)の主発振線の波長における合焦位置での、主発振線による像強度分布と副発振線による像強度分布とが強度加算された像強度分布を示す図である。
【図7】本発明に係るデバイス製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図8】図7のステップ204の具体例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…光源(フッ素レーザ)、6A,6B,6C…開口部(パターン)、10…露光装置、132…エタロン(光学部材)、137…レーザ最適化装置(設定装置)、EL…露光光(エネルギビーム)、PL…投影光学系、R…レチクル(マスク)、W…ウエハ(感光物体)。
Claims (10)
- エネルギビームによりマスクを照明し、該マスクに形成されたパターンを投影光学系を介して感光物体上に転写する露光装置であって、
前記エネルギビームとしてフッ素レーザ光を発振するフッ素レーザを備え、
前記パターン面に照射される、前記フッ素レーザ光の発振線強度のうち、波長が約157.63nmである主発振線の総強度に対する、波長が約157.52nmである副発振線の総強度の比が、0.3%以下となっていることを特徴とする露光装置。 - 前記パターン面に照射される、前記フッ素レーザ光の発振線強度のうち、波長が約157.63nmである主発振線の総強度に対する、波長が約157.52nmである副発振線の総強度の比が、0.2%以下となっていることを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
- 前記総強度は、前記各発振線の中心波長に対して±3pm程度以内の波長範囲に分布する光のエネルギの和であることを特徴とする請求項1又は2に記載の露光装置。
- 前記主発振線の総強度に対する副発振線の総強度の比は、前記フッ素レーザの内部及び外部の少なくとも一方に設けられた設定装置によって設定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の露光装置。
- 前記設定装置は、前記フッ素レーザ光の光路上に配置されたスペクトル特性制御機能を有する光学部材を含むことを特徴とする請求項4に記載の露光装置。
- 前記設定装置は、前記フッ素レーザが備える共振器及び狭帯域化モジュールの少なくとも一方を構成する光学部材を含むことを特徴とする請求項4に記載の露光装置。
- 前記光学部材は、ファブリ・ペロー・エタロン、バンドパスフィルタ、グレーティング及びプリズムの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項5又は6に記載の露光装置。
- 前記主発振線の総強度に対する副発振線の総強度の比は、フッ素レーザ自体の調整によって設定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の露光装置。
- 前記投影光学系は、屈折光学素子及び反射光学素子を含む反射屈折系であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の露光装置。
- リソグラフィ工程を含むデバイス製造方法であって、
前記リソグラフィ工程では、請求項1〜9のいずれか一項に記載の露光装置を用いて感光物体上に回路パターンを形成することを特徴とするデバイス製造方法。
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2002
- 2002-11-29 JP JP2002346679A patent/JP2004179570A/ja active Pending
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