JP2004179370A - 放射線固体検出器 - Google Patents

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Abstract

【課題】蓄電部に導電部材を設けた放射線固体検出器において、解像度の低下を招くことなく静電潜像を読み出すことができるようにする。
【解決手段】第1導電層21、記録用光導電層22、電荷輸送層23、読取用光導電層24、第2導電層25、絶縁層30、支持体18をこの順に配し、記録用光導電層22と電荷輸送層23との界面に形成される蓄電部29に、潜像電荷を同電位化せしめるマイクロプレート28を潜像の画素毎に各別に複数設けて放射線固体検出器20を構成する。このとき、マイクロプレート28間の間隔をG、読取用光導電層24の厚さをdとしたときに、G≧0.2×d1.4となるように構成する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、照射された放射線の線量あるいは該放射線の励起により発せられる光の光量に応じた量の電荷を潜像電荷として蓄積する蓄電部を有する放射線固体検出器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
今日、医療診断等を目的とする放射線撮影において、放射線を検出して得た電荷を潜像電荷として蓄電部に一旦蓄積し、該蓄積した潜像電荷を放射線画像情報を表す電気信号に変換して出力する放射線固体検出器(以下単に検出器ともいう)を使用する放射線画像情報記録読取装置が各種提案されている。この装置において使用される放射線固体検出器としては、種々のタイプのものが提案されているが、蓄積された電荷を外部に読み出す電荷読出プロセスの面から、検出器に読取光(読取用の電磁波)を照射して読み出す光読出方式のものがある。
【0003】
本出願人は、読出しの高速応答性と効率的な信号電荷の取り出しの両立を図ることができる光読出方式の放射線固体検出器として、特許文献1、特許文献2、特許文献3において、記録用の放射線あるいは該放射線の励起により発せられる光(以下記録光という)に対して透過性を有する第1導電層、記録光を受けることにより導電性を呈する記録用光導電層、第1導電層に帯電される電荷と同極性の電荷に対しては略絶縁体として作用し、かつ、該同極性の電荷と逆極性の電荷に対しては略導電体として作用する電荷輸送層、読取光の照射を受けることにより導電性を呈する読取用光導電層、読取光に対して透過性を有する第2導電層を、この順に積層して成り、記録用光導電層と電荷輸送層との界面に形成される蓄電部に、画像情報を担持する潜像電荷(静電潜像)を蓄積する検出器を提案している。
【0004】
そして、上記特許文献2および特許文献3においては、特に、読取光に対して透過性を有する第2導電層の電極を多数の読取光に対して透過性を有する電荷検出用線状電極からなるストライプ電極とすると共に、蓄電部に蓄積された潜像電荷の量に応じたレベルの電気信号を出力させるための多数の補助線状電極を、前記電荷検出用線状電極と交互にかつ互いに平行となるように、第2導電層内に設けた検出器を提案している。
【0005】
このように、多数の補助線状電極からなるサブストライプ電極を第2導電層内に設けることにより、蓄電部とサブストライプ電極との間に新たなコンデンサが形成され、記録光によって蓄電部に蓄積された潜像電荷と逆極性の輸送電荷を、読取りの際の電荷再配列によってこのサブストライプ電極にも帯電させることが可能となる。これにより、読取用光導電層を介してストライプ電極と蓄電部との間で形成されるコンデンサに配分される前記輸送電荷の量を、このサブストライプ電極を設けない場合よりも相対的に少なくすることができ、結果として検出器から外部に取り出し得る信号電荷の量を多くして読取効率を向上させると共に、読出しの高速応答性と効率的な信号電荷の取り出しの両立をも図ることができるようになっている。
【0006】
さらに、特許文献2および特許文献3において、蓄電部に潜像電荷を同電位化せしめる導電部材(マイクロプレート)を潜像の画素毎に各別に複数設けた検出器を提案している。
【0007】
このように、蓄電部に導電部材を設けることにより、導電部材の範囲内では潜像電荷の電位が一定に保たれるため、一般に読み出しにくい画素周辺部の潜像電荷を、導電部材内である限り読出しの進行に応じて、導電部材中央部、すなわち画素中央部に移動せしめることができ、その結果、潜像電荷をより十分に放電させることができるようになるため、読出効率を改善することができる。また、画素を導電部材が配設された固定位置に形成することが可能となり、ストラクチャーノイズの補正を行うことも容易となる。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−105297号公報
【0009】
【特許文献2】
特開2000−284056号公報
【0010】
【特許文献3】
特開2000−284057号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記特許文献2および特許文献3に記載されているような導電部材を備えた検出器においては、導電部材のサイズを大きくする、すなわち、導電部材間の間隔を狭くすると、静電誘導により潜像電荷が当該画素以外へ影響を及ぼし、解像度が低下するという問題がある。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、蓄電部に導電部材を設けた放射線固体検出器において、解像度の低下を招くことなく静電潜像を読み出すことができる放射線固体検出器を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記特許文献2および特許文献3に記載されているような導電部材を備えた検出器において、導電部材間の間隔および読取用光導電層の厚さと静電誘導効果との関係について調査を行った。
【0014】
この調査は、導電部材間の間隔Gを0.5〜100μm、読取用光導電層の厚さdを1〜50μmの範囲で変えて、それぞれの場合について、ある1つの導電部材に1Vの電位を与え、隣接する導電部材に誘導される電位について調査を行った。なお、導電部材の厚みの差は静電誘導効果にほとんど影響を及ぼさないため、導電部材の厚みは1μmに固定して調査を行った。
【0015】
調査の結果を図3に示す。このグラフから、導電部材間の間隔Gが狭い程、また、読取用光導電層の厚さdが厚い程、誘導される電位が大きいことが分かる。さらに、誘導電位が0.2V以下であれば実質的に静電誘導による解像度の低下は生じないと考えられるため、誘導電位0.2Vを境界値とし、この境界値における導電部材間の間隔Gと読取用光導電層の厚さdとの関係について考察した。
【0016】
図4は、図3中で設定した境界値におけるそれぞれの値を、縦軸を導電部材間の間隔G、横軸を読取用光導電層の厚さdとして表したグラフである。このグラフから、境界値における導電部材間の間隔Gと読取用光導電層の厚さdとの関係は、G=0.2×d1.4と近似されることを見出した。
【0017】
本発明は、上記新たな知見に基づいて成されたものである。すなわち、本発明による放射線固体検出器は、記録光に対して透過性を有する第1の導電層と、記録光の照射を受けることにより光導電性を呈する記録用光導電層と、記録光の光量に応じた量の電荷を潜像電荷として蓄積する蓄電部と、読取光の照射を受けることにより光導電性を呈する読取用光導電層と、多数の電荷検出用線状電極を備えた第2の導電層とをこの順に積層してなり、蓄電部に潜像電荷を同電位化せしめる導電部材が潜像の画素毎に各別に複数設けられた放射線固体検出器において、導電部材間の間隔をG、読取用光導電層の厚さをdとしたときに、G≧0.2×d1.4となるように構成されていることを特徴とするものである。
【0018】
ここで、「画素毎に設けられている」とは、潜像電荷を同電位化させ、読出時に画素周辺部の電荷を画素中央部に集中させることができるように、各画素に、好ましくは1つの導電部材が設けられることを意味し、1画素に対して多数の導電部材がランダムに配設され、読出時に画素周辺部の電荷を画素中央部に集中させることができない態様のものは含まない。
【0019】
また、「各別に」とは、各導電部材が、他の画素との間では、離散した状態、つまり、接続されないフローティング状態で配設されることを意味する。なお、1画素に対して複数の導電部材を設ける場合には、1画素分の部材間を電気的に接続しておくのが好ましい。
【0020】
また、「記録光」としては、画像情報を担持する電磁波であって、固体検出器に照射することにより該固体検出器に画像情報を潜像電荷(静電潜像)として記録させ得るものであればどのようなものを用いてもよく、例えば光や放射線等を用い得る。
【0021】
また、「読取光」としては、画像検出器に照射することにより該画像検出器に記録されている潜像電荷(静電潜像)に応じた電流を発生させ得る電磁波であればどのようなものを用いてもよく、例えば光や放射線等を用い得る。
【0022】
また、「電荷検出用線状電極」とは、読取用光導電層内で発生した電荷対を検出するための電極であり、読取用光導電層内へ読取光を入射させるべく、読取光に対して透過性を有することが望ましいが、線状電極間から入射する読取光により読取用光導電層内に十分な電荷対が発生可能な場合は、電荷検出用線状電極は必ずしも透過性を有する必要はない。
【0023】
さらに、第2の導電層は、電荷検出用線状電極と交互に配置された補助線状電極を備えたものとしてもよい。
【0024】
ここで、「補助線状電極」とは、蓄電部に蓄積された潜像電荷の量に応じたレベルの電気信号を出力させるための電極であり、読取光に対して遮光性を有することが望ましいが、補助線状電極と読取光照射手段との間に遮光性を有する遮光膜等を設ける場合は、補助線状電極は必ずしも遮光性を有する必要はない。ここで、「遮光性」とは、読取光を完全に遮断して全く電荷対を発生させないものに限らず、その読取光に対する多少の透過性は有していてもそれにより発生する電荷対が実質的に問題とならない程度のものも含むものとする。従って、読取用光導電層に発生する電荷対は全て電荷検出用線状電極を透過した読取光や、線状電極間から入射した読取光によるものとは限らず、補助線状電極を僅かに透過した読取光によっても読取用光導電層において電荷対が発生しうるものとする。
【0025】
なお、本発明による固体検出器を使用して放射線画像の記録や読取りを行うに際しては、例えば、上記特許文献2に記載されたような、本発明を適用しない従来の固体検出器を用いた記録方法および読取方法並びにその装置を変更することなく、そのまま利用することができる。
【0026】
【発明の効果】
本発明による放射線固体検出器によれば、導電部材間の間隔をG、読取用光導電層の厚さをdとしたときに、G≧0.2×d1.4となるようにして、導電部材間の間隔Gを最適化し、導電部材間の静電誘導効果の発生を抑制したので、この静電誘導効果による解像度の低下を招くことなく静電潜像を読み出すことができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の放射線固体検出器の第1の実施の形態の概略構成を示す図であり、図1(A)は放射線固体検出器20の斜視図、図1(B)は放射線固体検出器20のQ矢指部のXZ断面図、図1(C)は放射線固体検出器20のP矢指部のXY断面図である。また、図2は、導電部材(マイクロプレート)の配置を説明するための上面図である。
【0028】
この放射線固体検出器20は、被写体を透過したX線等の放射線の画像情報を担持する記録光(放射線もしくは放射線の励起により発生した光)に対して透過性を有する第1導電層21、この第1導電層21を透過した記録光の照射を受けることにより電荷対を発生し導電性を呈する記録用光導電層22、前記電荷対の内の潜像極性電荷(例えば負電荷)に対しては略絶縁体として作用し、かつ該潜像極性電荷と逆極性の輸送極性電荷(上述の例においては正電荷)に対しては略導電体として作用する電荷輸送層23、読取光の照射を受けることにより電荷対を発生して導電性を呈する読取用光導電層24、ストライプ電極26およびサブストライプ電極27を備えた第2導電層25、読取光に対して透過性を有する絶縁層30、読取光に対して透過性を有する支持体18をこの順に配してなるものである。記録用光導電層22と電荷輸送層23との界面には、記録用光導電層22内で発生した画像情報を担持する潜像極性電荷を蓄積する2次元状に分布した蓄電部29が形成され、この蓄電部29には複数のマイクロプレート(導電部材)28が配設されている。
【0029】
支持体18としては、読取光に対して透明なガラス基板等を用いることができる。また、読取光に対して透明であることに加えて、その熱膨張率が読取用光導電層24の物質の熱膨張率と比較的近い物質を使用するとより望ましい。例えば、読取用光導電層24としてa−Se(アモルファスセレン)を使用する場合であれば、Seの熱膨張率が3.68×10−5/K@40℃ であることを考慮して、熱膨張率が1.0〜10.0×10−5/K@40℃、より好ましくは、4.0〜8.0×10−5/K@40℃である物質を使用する。熱膨張率がこの範囲の物質としては、ポリカーボネートやポリメチルメタクリレート(PMMA)等の有機ポリマー材料を使用することができる。これによって、基板としての支持体18と読取用光導電層24(Se膜)との熱膨張のマッチングがとれ、特別な環境下、例えば寒冷気候条件下での船舶輸送中等において、大きな温度サイクルを受けても、支持体18と読取用光導電層24との界面で熱ストレスが生じ、両者が物理的に剥離する、読取用光導電層24が破れる、あるいは支持体18が割れる等、熱膨張差による破壊の問題が生じることがない。さらに、ガラス基板に比べて有機ポリマー材料は衝撃に強いというメリットがある。
【0030】
記録用光導電層22の物質としては、a−Se(アモルファスセレン)、PbO、PbI 等の酸化鉛(II)やヨウ化鉛(II)、Bi12(Ge,Si)O20、Bi/有機ポリマーナノコンポジット等のうち少なくとも1つを主成分とする光導電性物質が適当である。
【0031】
電荷輸送層23の物質としては、例えば第1導電層21に帯電される負電荷の移動度と、その逆極性となる正電荷の移動度の差が大きい程良く(例えば10以上、望ましくは10以上)ポリN−ビニルカルバゾール(PVK)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1’−ビフェニル〕−4,4’−ジアミン(TPD)やディスコティック液晶等の有機系化合物、あるいはTPDのポリマー(ポリカーボネート、ポリスチレン、PUK)分散物、Clを10〜200ppmドープしたa−Se等の半導体物質が適当である。特に、有機系化合物(PVK,TPD、ディスコティック液晶等)は光不感性を有するため好ましく、また、誘電率が一般に小さいため電荷輸送層23と読取用光導電層24の容量が小さくなり読取時の信号取り出し効率を大きくすることができる。なお、「光不感性を有する」とは、記録光や読取光の照射を受けても殆ど導電性を呈するものでないことを意味する。
【0032】
読取用光導電層24の物質としては、a−Se,Se−Te,Se−As−Te,無金属フタロシアニン,金属フタロシアニン,MgPc(Magnesium phtalocyanine),VoPc(phaseII of Vanadyl phthalocyanine),CuPc(Cupper phtalocyanine)等のうち少なくとも1つを主成分とする光導電性物質が好適である。
【0033】
記録用光導電層22の厚さは、記録光を十分に吸収できるようにするには、50μm以上1000μm以下であるのが好ましい。
【0034】
また電荷輸送層23と読取用光導電層24との厚さの合計は記録用光導電層22の厚さの1/2以下であることが望ましく、また薄ければ薄いほど読取時の応答性が向上するので、例えば1/10以下、さらには1/100以下等にするのが好ましい。本実施の形態では読取用光導電層24の厚さを5μmとした。
【0035】
マイクロプレート28は、例えば、真空蒸着または化学的堆積を用いて電荷輸送層23上に堆積され、金、銀、アルミニウム、銅、クロム、チタン、白金等の単一金属や酸化インジウム等の合金で、極めて薄い膜から作ることができる。該マイクロプレート28は、連続層として堆積させることができ、連続層は次にエッチングされて、解像可能な最小の画素と同一の範囲内の寸法を持つ複数の個々の離散マイクロプレートとして形成される。この離散マイクロプレートはレーザーアプレーションまたはホトエッチング等光微細加工技術を利用して作ることもできる(”Imaging Procesing &Materials”Chapter 18の”Imaging for Microfabrication”(J.M.Shaw,IBM Watson Research Center)参照)。
【0036】
マイクロプレート28は、図2に示すように、上面(下面)から見た際に円形形状で、等間隔で画素毎に各別に配列されている。また、マイクロプレート28(導電部材)間の最短区間のギャップ(間隔)をG、読取用光導電層24の厚さをdとしたときに、G≧0.2×d1.4となるようにすべく、このマイクロプレートギャップGを5μmとした。
【0037】
なお、マイクロプレート28の形状は円形に限定されるものではなく、矩形もしくは多角形とする等、どのような形状としてもよい。
【0038】
なお、上記各層の材料は、第1導電層21に負電荷を、第2導電層25に正電荷を帯電させて、記録用光導電層22と電荷輸送層23との界面に形成される蓄電部29に潜像極性電荷としての負電荷を蓄積せしめるとともに、電荷輸送層23を、潜像極性電荷としての負電荷の移動度よりも、その逆極性となる輸送極性電荷としての正電荷の移動度の方が大きい、いわゆる正孔輸送層として機能させるものとして好適なものの一例であるが、これらは、それぞれが逆極性の電荷であっても良く、このように極性を逆転させる際には、正孔輸送層として機能する電荷輸送層を電子輸送層として機能する電荷輸送層に変更する等の若干の変更を行なうだけでよい。
【0039】
例えば、記録用光導電層22として上述のアモルファスセレンa−Se、酸化鉛(II)、ヨウ化鉛(II)等の光導電性物質が同様に使用でき、電荷輸送層23としてN−トリニトロフルオレニリデン・アニリン(TNFA)誘電体、トリニトロフルオレノン( TNF)/ポリエステル分散系、非対称ジフェノキノン誘導体が適当であり、読取用光導電層24として上述の無金属フタロシアニン、金属フタロシアニンが同様に使用できる。
【0040】
第1導電層21としては、記録光に対して透過性を有するものであればよく、例えば可視光に対して透過性を持たせる場合には、光透過性金属薄膜として周知のネサ皮膜(SnO )、ITO(Indium Tin Oxide)、あるいはエッチングのし易いアモルファス状光透過性酸化金属であるIDIXO(Idemitsu Indium X−metal Oxide ;出光興産(株))等の酸化金属を50〜200nm厚程度、好ましくは100nm以上にして用いることができる。また、アルミニウムAl、金Au、モリブデンMo、クロムCr等の純金属を、例えば20nm以下(好ましくは10nm程度)の厚さにすることによって可視光に対して透過性を持たせることもできる。なお、記録光としてX線を使用し、第1導電層21側から該X線を照射して画像を記録する場合には、第1導電層21としては可視光に対する透過性が不要であるから、該第1導電層21は、例えば100nm厚のAlやAu等の純金属を用いることもできる。
【0041】
第2導電層25は、多数の読取光透過性のエレメント(電荷検出用線状電極)26aをストライプ状に配列して成るストライプ電極26と多数の読取光遮光性のエレメント(補助線状電極)27aをストライプ状に配列してなるサブストライプ電極27とを備えている。各エレメント26a,27aは、エレメント26aとエレメント27aとが交互にかつ互いに平行に配置されるように配列されている。なお、ストライプ電極26とサブストライプ電極27とは電気的に絶縁されている。サブストライプ電極27は、記録用光導電層22と電荷輸送層23との略界面に形成される蓄電部29に蓄積された潜像電荷の量に応じたレベルの電気信号を出力させるための導電部材である。
【0042】
ここで、ストライプ電極26の各エレメント26aを形成する電極材の材質としては、ITO(Indium Tin Oxide)、IDIXO(Idemitsu Indium X−metal Oxide ;出光興産(株))、アルミニウムまたはモリブデン等を用いることができる。また、サブストライプ電極27の各エレメント27aを形成する電極材の材質としては、アルミニウム、モリブデンまたはクロム等を用いることができる。
【0043】
なお、本実施の形態においては、エレメント26aおよびエレメント27aの幅を30μm、隣り合うエレメント間の幅を20μm、すなわち周期を100μmとしている。また画素ピッチは100μmとし、1画素分の電極を1ペアのエレメントにより構成している。
【0044】
さらに支持体18上の各エレメント27aおよびエレメント26aとエレメント27aとの間に対応する部分に、読取光のエレメント27aへの照射強度が読取光のエレメント26aへの照射強度よりも小さくなるように光透過性の劣る部材からなる遮光膜31が設けられている。
【0045】
この遮光膜31の部材としては、必ずしも絶縁性を有しているものでなくてもよく、遮光膜31の比抵抗が2×10−6以上(さらに好ましくは1×1015Ω・cm以下)のものを使用することができる。例えば金属材料であればAl、Mo、Cr等を用いることができ、有機材料であればMOS、WSi、TiN等を用いることができる。なお、遮光膜31の比抵抗が1Ω・cm以上のものを使用するとより好ましい。
【0046】
また、少なくとも遮光膜31の部材として金属材料等導電性の部材を使用したときには、遮光膜31とエレメント27aとの直接接触を避けるため両者の間に絶縁物を配する。本実施形態の検出器20は、この絶縁物として、第2導電層25と支持体18との間にSiO等からなる絶縁層30を設けている。この絶縁層30の厚さは、0.01〜10μm程度、より好ましくは0.1μ〜1μm程度、最も好ましくは0.5μm程度がよい。
【0047】
この検出器20においては、記録用光導電層22を挟んで第1導電層21と蓄電部29との間にコンデンサC*aが形成され、電荷輸送層23および読取用光導電層24を挟んで蓄電部29とストライプ電極26(エレメント26a)との間にコンデンサC*bが形成され、読取用光導電層24および電荷輸送層23を介して蓄電部29とサブストライプ電極27(エレメント27a)との間にコンデンサC*cが形成される。読取時における電荷再配列の際に、各コンデンサC*a、C*b、C*cに配分される正電荷の量Q+a、Q+b、Q+cは、総計Q+が潜像極性電荷の量Q−と同じで、各コンデンサの容量Ca、Cb、Ccに比例した量となる。これを式で示すと下記のように表すことができる。
【0048】
Q− =Q+ =Q+a+Q+b+Q+c
Q+a=Q+ ×Ca /(Ca +Cb +Cc )
Q+b=Q+ ×Cb /(Ca +Cb +Cc )
Q+c=Q+ ×Cc /(Ca +Cb +Cc )
そして、検出器20から取り出し得る信号電荷量はコンデンサC*a、C*cに配分された正電荷の量Q+a、Q+cの合計(Q+a+Q+c)と同じくなり、コンデンサC*bに配分された正電荷は信号電荷として取り出せない(詳細は特許文献2参照)。
【0049】
ここで、ストライプ電極26およびサブストライプ電極27によるコンデンサC*b、C*cの容量について考えてみると、容量比Cb:Ccは、各エレメント26a、27aの幅の比Wb:Wcとなる。一方、コンデンサC*aの容量CaとコンデンサC*bの容量Cbは、サブストライプ電極27を設けても実質的に大きな影響は現れない。
【0050】
この結果、読取時における電荷再配列の際に、コンデンサC*bに配分される正電荷の量Q+bをサブストライプ電極27を設けない場合よりも相対的に少なくすることができ、その分だけ、サブストライプ電極27を介して検出器20から取り出し得る信号電荷量をサブストライプ電極27を設けない場合よりも相対的に大きくすることができる。
【0051】
本実施の形態による放射線固体検出器においては、マイクロプレート28(導電部材)間のギャップ(間隔)をG、読取用光導電層24の厚さをdとしたときに、G≧0.2×d1.4となるようにすべく、このマイクロプレートギャップGを5μm、読取用光導電層24の厚さdを5μmとして、マイクロプレート28間の静電誘導効果の発生を抑制したので、この静電誘導効果による解像度の低下を招くことなく静電潜像を読み出すことができる。
【0052】
なお、マイクロプレートギャップGおよび読取用光導電層24の厚さdをともに10μm、もしくは20μmとしても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0053】
以上、本発明による放射線固体検出器の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない限りにおいて、種々変更することが可能である。
【0054】
例えば、上記実施の形態による検出器は、記録用光導電層が、記録用の放射線の照射によって導電性を呈するものであるが、本発明による検出器の記録用光導電層は必ずしもこれに限定されるものではなく、記録用光導電層は、記録用の放射線の励起により発せられる光の照射によって導電性を呈するものとしてもよい(特許文献1参照)。この場合、第1導電層の表面に記録用の放射線を、例えば青色光等、他の波長領域の光に波長変換するいわゆるX線シンチレータといわれる波長変換層を積層したものとするとよい。この波長変換層としては、例えばヨウ化セシウム(CsI)等を用いるのが好適である。また、第1導電層は、記録用の放射線の励起により波長変換層で発せられた光に対して透過性を有するものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による放射線固体検出器の斜視図(A)、Q矢指部のXZ断面図(B)、P矢指部のXY断面図(C)
【図2】上記放射線固体検出器の導電部材の配置を説明する上面図
【図3】導電部材間の間隔および読取用光導電層の厚さと静電誘導効果との関係を示すグラフ
【図4】境界値における導電部材間の間隔Gと読取用光導電層の厚さdとの関係を示すグラフ
【符号の説明】
20 放射線固体検出器
21 第1導電層
22 記録用光導電層
23 電荷輸送層
24 読取用光導電層
25 第2導電層
26 ストライプ電極
26a エレメント(電荷検出用線状電極)
27 サブストライプ電極
27a エレメント(補助線状電極)
28 マイクロプレート
29 蓄電部

Claims (2)

  1. 記録光に対して透過性を有する第1の導電層と、
    前記記録光の照射を受けることにより光導電性を呈する記録用光導電層と、
    前記記録光の光量に応じた量の電荷を潜像電荷として蓄積する蓄電部と、
    読取光の照射を受けることにより光導電性を呈する読取用光導電層と、
    多数の電荷検出用線状電極を備えた第2の導電層とをこの順に積層してなり、前記蓄電部に潜像電荷を同電位化せしめる導電部材が潜像の画素毎に各別に複数設けられた放射線固体検出器において、
    前記導電部材間の間隔をG、前記読取用光導電層の厚さをdとしたときに、G≧0.2×d1.4となるように構成されていることを特徴とする放射線固体検出器。
  2. 前記第2の導電層が、前記電荷検出用線状電極と交互に配置された補助線状電極を備えたものであることを特徴とする請求項1記載の放射線固体検出器。
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