JP2004177761A - 波長可変フィルターモジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】波長可変フィルターモジュールにおいて、波長(チャンネル)切り替え時に関係無い波長(チャンネル)に影響を及ぼさずに所望の波長に切り替えることができる、いわゆるヒットレス波長可変フィルターモジュールを提供する。
【解決手段】波長の切り替えの間は全てのチャンネル(波長)の光ビームを反射鏡に入射させ、反射鏡によって反射された光ビームを出力ポートから出射する構成にする。このためには波長可変フィルターに隣接して反射鏡を設置し、波長可変フィルター上の最初のチャンネルから直接反射鏡に光ビームを移動させ、次いで反射鏡から所望のチャンネルの波長可変フィルターへ光ビームを移動させる。
【選択図】 図5
【解決手段】波長の切り替えの間は全てのチャンネル(波長)の光ビームを反射鏡に入射させ、反射鏡によって反射された光ビームを出力ポートから出射する構成にする。このためには波長可変フィルターに隣接して反射鏡を設置し、波長可変フィルター上の最初のチャンネルから直接反射鏡に光ビームを移動させ、次いで反射鏡から所望のチャンネルの波長可変フィルターへ光ビームを移動させる。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光通信システム等で使用される誘電体多層膜光学フィルター、さらに詳しくは波長可変フィルターモジュールの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近の高速通信網の整備にともなって、高速で大量の情報が伝送されるようになってきた。これを可能にする方法の一つとして波長多重光通信システム(DWDM:Dense Wavelength Division Multiplexing)の開発が盛んに行われている。この波長多重光通信システムでは1本のグラスファイバーに複数の波長の光信号を重ねて伝送するものであり、このグラスファイバーから所望の波長の光信号を取り出したり、追加したりするためにはOptical Add & Drop Multiplexing(OADM)が必要とされる。このとき、従来は所望の波長の光信号の取り出しや追加にはセンター波長の決まった固定フィルターが使用されていた。本発明の波長可変フィルターモジュールは誘電体多層膜からなり、所望の波長領域を透過し、他の波長領域を反射させる狭帯域フィルター(NBPF:Narrow Band Pass Filter)であるが、センター波長が可変となっている点が従来の固定フィルターと異なる。センター波長が可変となることにより固定フィルターを複数並べた合分波器を用いて全ての波長の光を同時に合波、分波する必要は無くなり、少数の波長可変フィルターを設けることにより、必要な波長の光だけに対して自由に光通信経路の変更ができるようになる(Reconfigurable OADM)。また、波長可変フィルターはOADM用途以外にも、波長を選択的に取り出すことができることから光解析器や光信号モニター用途に広く使用されることが期待される。
【0003】
これらの多層膜光学フィルターはガラス基板上に高屈折率の誘電体膜と低屈折率の誘電体膜を交互に積層することにより数十層から二百層に及ぶ多層膜を形成し、その膜厚は数十μmに達する。多層膜光学フィルターの構造例としては固定フィルターの例がある(例えば、特許文献1)。また、波長可変フィルターもしくは波長可変フィルターモジュールについてはその膜構造および可変機構の例がある(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4)。多層膜光学フィルターの基本的な構造は所望のセンター波長をもたせるために、光学膜厚がセンター波長の1/4波長の高屈折率誘電体層と、光学膜厚が1/4波長の低屈折率誘電体層を交互に積層したミラー層、および光学膜厚がセンター波長の1/2波長もしくはその整数倍のスペーサー層、および成膜基板、および反射防止膜から構成される。波長可変フィルターも基本的には固定フィルターと同様な膜構成になるが、膜厚がフィルター面内で変化する膜厚傾斜型のフィルターになっている点が異なる。多層膜光学フィルターを構成する各層の膜は1/10,000から1/100,000の膜厚精度が要求され、これらの層の膜厚や組合わせを多層膜光学フィルターの仕様に合せて調整することにより所望のセンター波長や急峻な裾野を持つ多層膜光学フィルターを作製することができる。
【0004】
所望のセンター波長を持つ多層膜光学フィルターの一般的な作製方法は所望の波長の光を成膜中の基板に透過させ、透過光量をモニターしながら膜厚を判定して蒸着原料を交換しながら多層膜を形成する。このとき、透過光量は膜厚増加に伴って増減を繰り返すことが知られており、光量の増減は光学膜厚が1/4波長毎に生ずる。例えば、光学式の膜厚モニターに関するもので、透過率または反射率がピークを越えたとき蒸発を停止する方法がある(特許文献5)。これにより、1/4波長の光学膜厚を持つ膜を成膜することが可能になる。また、他の方法としては、光量のピークを予想するカーブフィッティングのソフトウエアを用いて正確にピークを検出し、成膜材料の切り替えを行うものも提案されている。
【0005】
一般的な誘電体多層膜の成膜方法にはイオンアシスト蒸着法が採用されている。イオンアシスト蒸着法では前述の誘電体多層膜を構成する高屈折率材料および低屈折率材料をEBガン(電子銃)を用いて交互に蒸発させ、上記基板に成膜させる。このとき、同時にイオンガンを用いて酸素もしくはアルゴンと酸素の混合イオンを基板に照射し、蒸着粒子が基板上をマイグレーションすることを助ける。これにより、柱状組織になりやすい多層膜を充填密度の高い多層膜に改善することができる。誘電体多層膜のうち波長可変フィルターは、基板の半径方向に膜厚傾斜を持った多層膜を形成し、半径方向に切り出すことにより所望の波長可変フィルターを作製することができる(例えば、特許文献6)。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−197721号公報(第5頁、図1)
【特許文献2】
特開平05−281480号公報(第3頁、図1、図2)
【特許文献3】
特開平06−265722号公報(第4〜5頁、図1、図4)
【特許文献4】
特開平11−326633号公報(第5頁、図4)
【特許文献5】
特開昭61−296305号公報(第2頁)
【特許文献6】
米国特許第5872655号明細書(FIG.3)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の波長可変フィルターモジュールは光学系に対して波長可変フィルターを膜厚傾斜方向に直線的に移動させる手段を具備し、直線的な移動によりフィルターのセンター波長を連続的に変化させていた。しかしながら、この方法では最初の波長から次に所望する波長へ切り替える際、光ビームはフィルター上の最初の場所から所望の場所へ移動する間、透過光のセンター波長が連続的に変化することになる。この結果、複数のチャンネル(波長)からなる光束を伝送していた場合、最初の波長と所望の波長の間にあるチャンネルの信号は切り替えの間一旦途切れてから反射光の出力ポートに出ることになる。また、透過光を出力するドロップポートには切り替えの間不要なチャンネルの信号が出力されることになる。すなわち、チャンネルを切り替える際には関係するチャンネル以外のチャンネルが影響を受けることになり、光通信を行う上で不都合が生ずることになる。
【0008】
したがって、本発明は波長可変フィルターモジュールにおいて、波長(チャンネル)切り替え時に関係無い波長(チャンネル)に影響を及ぼさずに所望の波長に切り替えることができる、いわゆるヒットレス波長可変フィルターモジュールを提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは波長可変フィルターのチャンネル切り替え方法に関して詳細な検討を行った結果、切り替えの間は全てのチャンネル(波長)の光ビームを反射鏡に入射させ、反射鏡によって反射された光ビームを出力ポートから出射する構成にすることが望ましいことを明らかにした。また、このためには波長可変フィルターに隣接して反射鏡を設置し、波長可変フィルター上の最初のチャンネルから直接反射鏡に光ビームを移動させ、次いで反射鏡から所望のチャンネルの波長可変フィルターへ光ビームを移動させればよいことを明らかにした。
【0010】
したがって、本発明は波長可変フィルターモジュールにおいて、波長可変フィルターに隣接して反射鏡を具備し、光ビームを投光、受光する光学系に対し波長可変フィルターおよび反射鏡を相対的に移動させる手段を具備し、光ビームは波長可変フィルターの最初のチャンネルから所望のチャンネルへ移動する際、波長可変フィルター上の他のチャンネル領域を通過することを避けるため、反射鏡を経由して移動することを特長とする波長可変フィルターモジュールを提供する。また、波長可変フィルターに隣接する反射鏡は波長可変フィルターと同一面内に反射面を設置することが好ましく、波長可変フィルターから反射される光ビーム位置と反射鏡から反射される光ビーム位置を一致させることが望ましい。
【0011】
本発明の波長可変フィルターモジュールでは信号を伝送中の光ファイバーから選択された任意のチャンネルの信号をドロップポートへ取り出すことができる。またに、選択するチャンネルを切り替える際は他の伝送中のチャンネルに影響を及ぼすことなく切り替えを実行することができる。すなわち、ヒットレス波長可変フィルターとすることができる。さらに、本発明の構成により、光ビームを反射鏡位置に保持することによりドロップポートへ取り出すチャンネルを全く無しとすることができる。
【0012】
[1] 本発明の波長可変フィルターモジュールは膜厚を傾斜させて成膜した誘電体多層膜を有する波長可変フィルターにおいて、信号を伝送する光ビームが初期の光ビーム位置から可変先の光ビーム位置へ移動する際、波長可変フィルター上の他のチャンネル領域(波長領域)を通過すること無く可変先の光ビーム位置へ到達することを特徴とする。この構成によりヒットレス波長可変フィルターモジュールとなる。
ここで、“ヒットレス”とは、他のチャンネルに影響を及ぼさずに可変動作を完了させることを意味する。また、”初期の光ビーム位置”とは切り替え前の光ビーム位置、”可変先の光ビーム位置”とは切り替え後の光ビーム位置を指す。したがって、切り替え動作によってドロップポートへ出るチャンネルは初期のチヤンネルから可変後のチャンネルに変化するが、他のチャンネルはなんら変化無く信号の伝送を継続できる。なお、波長可変フィルターの部分は、膜厚を傾斜させて基板上に成膜した誘電体多層膜からなる構成にすることが望ましい。
【0013】
[2] 上記[1]の波長可変フィルターモジュールは波長可変フィルターに隣接して反射鏡を具備することを特徴とする。
【0014】
[3] 上記[2]の波長可変フィルターモジュールは光ビームが隣接する反射鏡を経由して可変先の光ビーム位置へ移動することを特徴とする。
光ビームが波長可変フィルターから反射鏡へ移動する際は両者の境界を通過する時も途切れることなく反射光が出力ポートから出ることが好ましく、両者を連続的に接続することが望ましい。
【0015】
[4] 上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の波長可変フィルターモジュールは光ビームが波長可変フィルターの長辺に直角に出入りすることを特徴とする。
ここで、波長可変フィルターはその短辺の方向へは均一な分光特性を有し、長辺の方向へは連続的に波長が変化しているため、波長可変フィルターへ光ビームが出入りする際は短辺方向へ、すなわち、長辺に直角に移動するだけで出入りすることが好ましい。これにより他のチャンネルが影響を受けることは無くなる。
【0016】
[5] 上記[2]乃至[4]のいずれかに記載の波長可変フィルターモジュールは光ビームの光学系に対して波長可変フィルターおよび反射鏡がフィルター面内で直行する2方向に移動できる手段を有することを特徴とする。
ここで、一方向は光ビームに対して波長可変フィルターから隣接する反射鏡に移動するための手段であり、他の方向は反射鏡内を波長可変フィルターに平行して膜厚傾斜の方向に移動する手段である。
【0017】
[6] 上記[2]乃至[5]のいずれかに記載の波長可変フィルターモジュールは波長可変フィルターと反射鏡の反射面を同一面内に設置することを特徴とする。
これは特に波長可変フィルターモジュールが3ポートからなる場合に有効である。すなわち、モジュールに入力するポート、反射光を出力するポート、ドロップポートから構成される3ポート構造の場合は反射光の光路を常に受光部に向けることが望ましく、このためには波長可変フィルターと反射鏡の反射面を同一面内に設置することが好ましい。
【0018】
上記[2]乃至[6]のいずれかに記載の波長可変フィルターモジュールは波長可変フィルターおよび反射鏡を光ビームの光学系に対して移動する手段としてステッピングモーターが設けられていることを特徴とする。
【0019】
[7] 上記[2]乃至[6]のいずれかに記載の波長可変フィルターモジュールが波長可変フィルターの短辺の幅に対する反射鏡の短辺の幅が0.5〜2.0倍であることを特徴とする。
ここで、波長可変フィルターの幅に対する反射鏡の幅は波長可変フィルターの短辺方向の移動手段の位置精度に関係し、制御できる範囲で小さくすることができる。しかし、反射鏡の短辺の幅が小さくなりすぎると反射鏡の反りやゆがみが生ずるため、波長可変フィルターの0.5倍以上が望ましい。また、反射鏡の短辺の幅は性能上大きい分には問題は無いが、移動距離が長くなり、切り替え時間が長くなること、モジュールが大型化することを避けるため、2.0倍以下が望ましい。
【0020】
[8] 本発明の他の波長可変フィルターモジュールは、膜厚を傾斜させて成膜した誘電体多層膜を有する波長可変フィルターと、前記波長可変フィルターに隣接させた反射鏡を備え、
信号を伝送する光ビームが、初期の光ビーム位置から可変先の光ビーム位置へ移動する際に、前記反射鏡上を経由して可変先の光ビーム位置へ到達することを特徴とする。
光ビームを反射鏡まで移動させる間、他チャンネルのごく一部がドロップポートに出力される構成であっても、他チャンネルの大部分が反射鏡上移動によりドロップポートに出力されないのであれば、本発明に包含される構成と言える。不要なチャンネルの出力が光通信に与える影響を低減できるからである。もちろん、光ビームを反射鏡まで移動させる際に、他チャンネルの領域を通過させない構成が最も望ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明を実施例に基づき詳しく説明する。なお、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
(実施例1) 波長可変フィルターは次の工程で製造した。裏面に反射防止膜4を形成した板厚が10mmの洗浄ガラス基板を成膜基板3として成膜装置に装填し、真空度を6.7×10−4Pa(≒約5×10−6Torr)以下に排気した後、成膜を開始した。ガラス基板の板厚は、例えば5〜12mmの範囲内のものを用いることができる。本実施例で作製した波長可変フィルターは図1に示すDWDM用狭帯域フィルター(NBPF)であり、その基本構造はミラーになる1/4波長積層体1と、スペーサーになる1/2波長もしくはその整数倍層2を積層数=158層で積層した。なお、積層数は百数十層からニ百数十層の範囲で変えることができる。
【0022】
ここで、ミラーになる1/4波長積層体1はTa酸化物(Ta2O5)もしくはNb酸化物(Nb2O5)からなる光学膜厚が1/4波長の高屈折率誘電体層と、Si酸化物(SiO2)からなる光学膜厚が1/4波長の低屈折率誘電体層を交互に積層した構造である。また、スペーサーになる1/2波長もしくはその整数倍層2はSi酸化物からなる光学膜厚が1/2波長もしくはその整数倍の低屈折率誘電体層、あるいはTa酸化物もしくはNb酸化物からなる光学膜厚が1/2波長もしくはその整数倍の高屈折率誘電体層である。なお、図1の断面図は、連続した積層回数が多いため、途中の積層状態の図示を省略した。
【0023】
誘電体多層膜の成膜には、多層膜光学フィルター形成装置として、図2の断面図に示すイオンアシスト蒸着装置を用いた。イオンアシスト蒸着装置では、チャンバー内で前述の誘電体多層膜を構成する高屈折率材料および低屈折率材料をリング状の蒸着源ハース6内に装填し、電子銃5から電子線を照射することにより両原料を交互に蒸発させ、蒸着源シャッター7と基板シャッター9を開き、ガラス基板8に成膜させた。このとき、同時にアシスト用のイオンガン12を用いて酸素イオンもしくはアルゴンと酸素の混合イオンをガラス基板8に照射し、蒸着粒子がガラス基板8上をマイグレーションすることを助けた。これにより、柱状組織になりやすい多層膜を充填密度の高い多層膜に改善することができた。本実施例ではイオンガン12の加速電圧を500〜900Vとし、均一で充填密度の高い波長可変フィルター膜を得ることができた。
【0024】
図2では、電子線の軌道を太い点線で表し、原料の蒸発する向きを細い点線で表した。ガラス基板8を保持する部材は、高速基板回転モーター11により回転させた。誘電体多層膜を構成する各々の誘電体膜の厚さは、水晶式膜厚モニター10で測定した。ガラス基板8上に形成された多層膜の厚さは、光学式膜厚モニター投光部13から照射された光を、多層膜を成膜したガラス基板を透過させ、透過光を光学式膜厚モニター受光部14で受けることにより、測定した。図2のチャンバーの右側(白抜き矢印で示した側)には真空排気装置を接続しているが、その図示は省略した。
【0025】
図3は、波長可変フィルター形成装置で用いる光学式膜厚モニターを示す概略図である。光学式膜厚モニター投光部13−1,13−2としてハロゲンランプを用いた構成である。成膜中の膜厚は図3に示すように、ハロゲンランプの白色光をチャンバー内に入射させ、成膜中の多層膜及び高速回転しているガラス基板8に直接透過させ、透過光を光学式膜厚モニター受光部14−1,14−2である受光レンズで受けて、光ファイバ18を介して分光器19(光を分光し、波長毎にの強度を電気信号に変換するもの)で検出することにより、モニタリングを行った。光量演算・制御用コンピューター20は、分光器19の電気信号を入力してモニターを行うと共に、ハロゲンランプに接続したランプ用電源21を制御するものである。さらに、光量演算・制御用コンピューター20は、蒸着源16において、リング状の蒸着源ハースや電子銃を制御するが、それらとの接続状態の図示は省略した。
【0026】
具体的には、透過光は多層膜の一層の光学的膜厚が1/4波長毎に透過と反射を繰り返すため、透過光の光強度をモニターすることにより終点を検知し、蒸着源を交換することにより交互に高屈折率膜と低屈折率膜を製膜した。これらの膜厚を高精度に変化させることにより、所望の波長可変フィルターを作製することができた。
【0027】
波長可変フィルターを安定に生産するためにはガラス基板8を透過する白色光を2系統とすることが好ましい。すなわちガラス基板8の半径方向に誘電体多層膜の膜厚を傾斜させて波長可変とするため、2つの半径位置で膜厚をモニターすることが望ましい。さらに、この2つの光学式膜厚モニターから出力した信号をフィードバックし、ガラス基板8と蒸着源16の間に挿入した膜厚分布補正板17の形状を変化させることにより、さらに高精度の傾斜膜を基板上に形成することが可能になる。
【0028】
本実施例の波長可変フィルター形成装置では、ガラス基板を固定する基板ホルダーを交換することにより、直径150〜300mmの円盤状のガラス基板を用いることができる。このガラス基板上に膜厚傾斜した波長可変フィルターを成膜するためには主に蒸着源16とガラス基板8の距離の変化に基づく膜厚分布を利用して傾斜膜とする方法の他、膜厚分布補正板17を使用して膜厚分布を形成し、膜厚傾斜とする方法がある。また、本実施例では光学式膜厚モニターのモニター位置は外周から15〜50mm内側とした。また、光学式膜厚モニターを2つ用いた場合は2つの半径差を15〜30mmとした。したがって、光学特性を満足する波長可変フィルターを作製することのできる有効領域は外周に近い領域であった。
【0029】
図4は作製した膜厚傾斜を有する波長可変フィルターの側面図を示す。この図では波長可変フィルター26と反射防止膜25の膜厚をガラス基板24に比較して拡大して図示している。波長可変フィルターを透過する光ビームの分光特性は傾斜膜の膜厚に比例してセンター波長が増加する。この結果、所望の膜厚位置を選択することにより所望のチャンネルを選ぶことが可能になる。太線の矢印は光ビーム27の透過方向を表す。
【0030】
図5はヒットレス波長可変フィルターを説明する平面図である。この例では光ビームは矢印の経路を通ってチャンネルが切り替えられる。本実施例ではCバンド対応波長可変フィルターの例を示し、波長可変フィルター28に隣接して反射鏡29を設置した。本波長可変フィルターの例ではセンター波長1530.33nm(59ch)から1565.50nm(15ch)までカバーする。ここではドロップポートへ出力していた1533.47nm(5ch)の信号を1543.73nm(42ch)の信号に切り替える場合を例にして説明する。まず、最初のチャンネルである1533.47nm(55ch)にあった光ビームに対し、波長可変フィルターと反射鏡を一体として波長可変フィルターの長辺と直角方向に移動し、光ビームを反射鏡上に移動する。次いで、波長可変フィルターと反射鏡を移動し、反射鏡上で光ビームを波長可変フィルターの長辺と平行に移動する。所望の1543.73nm(42ch)のチャンネル位置では波長可変フィルターと反射鏡を波長可変フィルターの長辺と直角方向に移動し、所望のチャンネルに切り替えを完了することができる。
【0031】
図6は本実施例で作製した波長可変フィルターモジュールの1例を示す。波長可変フィルターモジュールは入力ポート32、ドロップポート33、反射光の出力ポート34、ステッピングモーター35、波長可変フィルター36、駆動系37を具備し、入力ポート32から入射した光ビームは波長可変フィルター36を介して所望のチャンネル(波長)をドロップポート33へ出力する。一方、所望のチャンネル以外の波長を持つ光ビームは全て波長可変フィルター36で反射されて反射光の出力ポート34へ出射される。このとき、ステッピングモーター35を稼動させ、駆動系37を介して波長可変フィルター36を移動させることにより、チャンネルを切り替えることができる。本実施例はいわゆる3ポート型の波長可変フィルターモジュールであるが、2ポート型の波長可変フィルターモジュールにも適用できる。なお、2ポート型の波長可変フィルターモジュールでは入射光と反射光が同一ポートを通過するため、これを分離するためにサーキュレーターを使用する。
【0032】
図7には本実施例の波長可変フィルターモジュールのドロップポート33から出射した光ビームの分光特性を測定し、そのセンター波長をステッピングモーター35を稼動するポテンショメーターの電圧に対してプロットした例を示す。図から明らかなように、ポテンショメーターの電圧が増加するに伴って、センター波長は単調に増加し、ドロップポート33から出力される光ビームのセンター波長、すなわちチャンネルが連続的に切り替えられたことを示す。
【0033】
上記実施例では波長可変フィルターとしてチャンネルピッチ25〜200GHzのDWDM用狭帯域フィルターの例を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、4 Skip 1等の波長可変広帯域フィルター等、傾斜膜を用いてセンター波長を可変とする多層膜光学薄膜のモジュールに適用できる。また、本実施例では成膜装置としてイオンアシスト蒸着装置を用いた場合を示したが、傾斜膜を作製することができる成膜装置であれば良い。
【0034】
【発明の効果】
以上説明した通り、この発明に係る波長可変フィルターモジュールは、チャンネル(波長)切り替え時に初期のチャンネル(波長)から所望のチャンネルへ光ビームを移動する間、関係無いチャンネルに影響を及ぼさずに所望の波長に切り替えることを可能にする。すなわち、関係無いチャネルは切り替え時も影響を受けずに信号の伝送を継続できる、いわゆるヒットレス波長可変フィルターモジュールを提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】多キャビティのバンドパスフィルターを構成する誘電体多層膜構造を示す断面図である。
【図2】本実施例で使用した多層膜光学フィルター形成装置を示す断面図である。
【図3】本実施例で使用した光学式膜厚モニターの構成を示す概略図である。
【図4】本実施例で作製した膜厚傾斜膜からなる波長可変フィルターおよび光ビームの関係を示す側面図である。
【図5】本実施例で作製した波長可変フィルターモジュールの波長可変フィルターおよび反射鏡と光ビームの関係を示す平面図である。
【図6】本実施例で作製した3ポート型の波長可変フィルターモジュールの構成を示す平面図である。
【図7】本実施例で作製した波長可変フィルターモジュールのドロップポートから出力された光ビームの分光特性から求めたセンター波長とステッピングモーターを稼動するポテンショメーターの電圧の関係を示す図である。
【符号の説明】
1 ミラーになる1/4波長積層体、
2 スペーサーになる1/2波長もしくはその整数倍層、
3 成膜基板、 4 反射防止膜、 5 電子銃、 6 蒸着源ハース、
7 蒸着源シャッター、 8 ガラス基板、 9 基板シャッター、
10 水晶式膜厚モニター、 11 高速基板回転モーター、
12 イオンガン、
13,13―1,13―2 光学式膜厚モニター投光部、
14,14―1,14―2 光学式膜厚モニター受光部、
15 チャンバー壁、 16 蒸着源、 17 膜厚分布補正板、
18 光ファイバー、 19 分光器、
20 光量演算・制御用コンピューター、
21 ランプ用電源、 24 ガラス基板、 25 反射防止膜、
26 波長可変フィルター、 27 光ビーム、
28 波長可変フィルター、 29 反射鏡、 30 初期の光ビーム位置、
31 切り替え後の光ビーム位置、 32 入力ポート、
33 ドロップポート、34 反射光の出力ポート、
35 ステッピングモーター、 36 波長可変フィルター、
37 駆動系
【発明の属する技術分野】
本発明は光通信システム等で使用される誘電体多層膜光学フィルター、さらに詳しくは波長可変フィルターモジュールの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近の高速通信網の整備にともなって、高速で大量の情報が伝送されるようになってきた。これを可能にする方法の一つとして波長多重光通信システム(DWDM:Dense Wavelength Division Multiplexing)の開発が盛んに行われている。この波長多重光通信システムでは1本のグラスファイバーに複数の波長の光信号を重ねて伝送するものであり、このグラスファイバーから所望の波長の光信号を取り出したり、追加したりするためにはOptical Add & Drop Multiplexing(OADM)が必要とされる。このとき、従来は所望の波長の光信号の取り出しや追加にはセンター波長の決まった固定フィルターが使用されていた。本発明の波長可変フィルターモジュールは誘電体多層膜からなり、所望の波長領域を透過し、他の波長領域を反射させる狭帯域フィルター(NBPF:Narrow Band Pass Filter)であるが、センター波長が可変となっている点が従来の固定フィルターと異なる。センター波長が可変となることにより固定フィルターを複数並べた合分波器を用いて全ての波長の光を同時に合波、分波する必要は無くなり、少数の波長可変フィルターを設けることにより、必要な波長の光だけに対して自由に光通信経路の変更ができるようになる(Reconfigurable OADM)。また、波長可変フィルターはOADM用途以外にも、波長を選択的に取り出すことができることから光解析器や光信号モニター用途に広く使用されることが期待される。
【0003】
これらの多層膜光学フィルターはガラス基板上に高屈折率の誘電体膜と低屈折率の誘電体膜を交互に積層することにより数十層から二百層に及ぶ多層膜を形成し、その膜厚は数十μmに達する。多層膜光学フィルターの構造例としては固定フィルターの例がある(例えば、特許文献1)。また、波長可変フィルターもしくは波長可変フィルターモジュールについてはその膜構造および可変機構の例がある(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4)。多層膜光学フィルターの基本的な構造は所望のセンター波長をもたせるために、光学膜厚がセンター波長の1/4波長の高屈折率誘電体層と、光学膜厚が1/4波長の低屈折率誘電体層を交互に積層したミラー層、および光学膜厚がセンター波長の1/2波長もしくはその整数倍のスペーサー層、および成膜基板、および反射防止膜から構成される。波長可変フィルターも基本的には固定フィルターと同様な膜構成になるが、膜厚がフィルター面内で変化する膜厚傾斜型のフィルターになっている点が異なる。多層膜光学フィルターを構成する各層の膜は1/10,000から1/100,000の膜厚精度が要求され、これらの層の膜厚や組合わせを多層膜光学フィルターの仕様に合せて調整することにより所望のセンター波長や急峻な裾野を持つ多層膜光学フィルターを作製することができる。
【0004】
所望のセンター波長を持つ多層膜光学フィルターの一般的な作製方法は所望の波長の光を成膜中の基板に透過させ、透過光量をモニターしながら膜厚を判定して蒸着原料を交換しながら多層膜を形成する。このとき、透過光量は膜厚増加に伴って増減を繰り返すことが知られており、光量の増減は光学膜厚が1/4波長毎に生ずる。例えば、光学式の膜厚モニターに関するもので、透過率または反射率がピークを越えたとき蒸発を停止する方法がある(特許文献5)。これにより、1/4波長の光学膜厚を持つ膜を成膜することが可能になる。また、他の方法としては、光量のピークを予想するカーブフィッティングのソフトウエアを用いて正確にピークを検出し、成膜材料の切り替えを行うものも提案されている。
【0005】
一般的な誘電体多層膜の成膜方法にはイオンアシスト蒸着法が採用されている。イオンアシスト蒸着法では前述の誘電体多層膜を構成する高屈折率材料および低屈折率材料をEBガン(電子銃)を用いて交互に蒸発させ、上記基板に成膜させる。このとき、同時にイオンガンを用いて酸素もしくはアルゴンと酸素の混合イオンを基板に照射し、蒸着粒子が基板上をマイグレーションすることを助ける。これにより、柱状組織になりやすい多層膜を充填密度の高い多層膜に改善することができる。誘電体多層膜のうち波長可変フィルターは、基板の半径方向に膜厚傾斜を持った多層膜を形成し、半径方向に切り出すことにより所望の波長可変フィルターを作製することができる(例えば、特許文献6)。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−197721号公報(第5頁、図1)
【特許文献2】
特開平05−281480号公報(第3頁、図1、図2)
【特許文献3】
特開平06−265722号公報(第4〜5頁、図1、図4)
【特許文献4】
特開平11−326633号公報(第5頁、図4)
【特許文献5】
特開昭61−296305号公報(第2頁)
【特許文献6】
米国特許第5872655号明細書(FIG.3)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の波長可変フィルターモジュールは光学系に対して波長可変フィルターを膜厚傾斜方向に直線的に移動させる手段を具備し、直線的な移動によりフィルターのセンター波長を連続的に変化させていた。しかしながら、この方法では最初の波長から次に所望する波長へ切り替える際、光ビームはフィルター上の最初の場所から所望の場所へ移動する間、透過光のセンター波長が連続的に変化することになる。この結果、複数のチャンネル(波長)からなる光束を伝送していた場合、最初の波長と所望の波長の間にあるチャンネルの信号は切り替えの間一旦途切れてから反射光の出力ポートに出ることになる。また、透過光を出力するドロップポートには切り替えの間不要なチャンネルの信号が出力されることになる。すなわち、チャンネルを切り替える際には関係するチャンネル以外のチャンネルが影響を受けることになり、光通信を行う上で不都合が生ずることになる。
【0008】
したがって、本発明は波長可変フィルターモジュールにおいて、波長(チャンネル)切り替え時に関係無い波長(チャンネル)に影響を及ぼさずに所望の波長に切り替えることができる、いわゆるヒットレス波長可変フィルターモジュールを提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは波長可変フィルターのチャンネル切り替え方法に関して詳細な検討を行った結果、切り替えの間は全てのチャンネル(波長)の光ビームを反射鏡に入射させ、反射鏡によって反射された光ビームを出力ポートから出射する構成にすることが望ましいことを明らかにした。また、このためには波長可変フィルターに隣接して反射鏡を設置し、波長可変フィルター上の最初のチャンネルから直接反射鏡に光ビームを移動させ、次いで反射鏡から所望のチャンネルの波長可変フィルターへ光ビームを移動させればよいことを明らかにした。
【0010】
したがって、本発明は波長可変フィルターモジュールにおいて、波長可変フィルターに隣接して反射鏡を具備し、光ビームを投光、受光する光学系に対し波長可変フィルターおよび反射鏡を相対的に移動させる手段を具備し、光ビームは波長可変フィルターの最初のチャンネルから所望のチャンネルへ移動する際、波長可変フィルター上の他のチャンネル領域を通過することを避けるため、反射鏡を経由して移動することを特長とする波長可変フィルターモジュールを提供する。また、波長可変フィルターに隣接する反射鏡は波長可変フィルターと同一面内に反射面を設置することが好ましく、波長可変フィルターから反射される光ビーム位置と反射鏡から反射される光ビーム位置を一致させることが望ましい。
【0011】
本発明の波長可変フィルターモジュールでは信号を伝送中の光ファイバーから選択された任意のチャンネルの信号をドロップポートへ取り出すことができる。またに、選択するチャンネルを切り替える際は他の伝送中のチャンネルに影響を及ぼすことなく切り替えを実行することができる。すなわち、ヒットレス波長可変フィルターとすることができる。さらに、本発明の構成により、光ビームを反射鏡位置に保持することによりドロップポートへ取り出すチャンネルを全く無しとすることができる。
【0012】
[1] 本発明の波長可変フィルターモジュールは膜厚を傾斜させて成膜した誘電体多層膜を有する波長可変フィルターにおいて、信号を伝送する光ビームが初期の光ビーム位置から可変先の光ビーム位置へ移動する際、波長可変フィルター上の他のチャンネル領域(波長領域)を通過すること無く可変先の光ビーム位置へ到達することを特徴とする。この構成によりヒットレス波長可変フィルターモジュールとなる。
ここで、“ヒットレス”とは、他のチャンネルに影響を及ぼさずに可変動作を完了させることを意味する。また、”初期の光ビーム位置”とは切り替え前の光ビーム位置、”可変先の光ビーム位置”とは切り替え後の光ビーム位置を指す。したがって、切り替え動作によってドロップポートへ出るチャンネルは初期のチヤンネルから可変後のチャンネルに変化するが、他のチャンネルはなんら変化無く信号の伝送を継続できる。なお、波長可変フィルターの部分は、膜厚を傾斜させて基板上に成膜した誘電体多層膜からなる構成にすることが望ましい。
【0013】
[2] 上記[1]の波長可変フィルターモジュールは波長可変フィルターに隣接して反射鏡を具備することを特徴とする。
【0014】
[3] 上記[2]の波長可変フィルターモジュールは光ビームが隣接する反射鏡を経由して可変先の光ビーム位置へ移動することを特徴とする。
光ビームが波長可変フィルターから反射鏡へ移動する際は両者の境界を通過する時も途切れることなく反射光が出力ポートから出ることが好ましく、両者を連続的に接続することが望ましい。
【0015】
[4] 上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の波長可変フィルターモジュールは光ビームが波長可変フィルターの長辺に直角に出入りすることを特徴とする。
ここで、波長可変フィルターはその短辺の方向へは均一な分光特性を有し、長辺の方向へは連続的に波長が変化しているため、波長可変フィルターへ光ビームが出入りする際は短辺方向へ、すなわち、長辺に直角に移動するだけで出入りすることが好ましい。これにより他のチャンネルが影響を受けることは無くなる。
【0016】
[5] 上記[2]乃至[4]のいずれかに記載の波長可変フィルターモジュールは光ビームの光学系に対して波長可変フィルターおよび反射鏡がフィルター面内で直行する2方向に移動できる手段を有することを特徴とする。
ここで、一方向は光ビームに対して波長可変フィルターから隣接する反射鏡に移動するための手段であり、他の方向は反射鏡内を波長可変フィルターに平行して膜厚傾斜の方向に移動する手段である。
【0017】
[6] 上記[2]乃至[5]のいずれかに記載の波長可変フィルターモジュールは波長可変フィルターと反射鏡の反射面を同一面内に設置することを特徴とする。
これは特に波長可変フィルターモジュールが3ポートからなる場合に有効である。すなわち、モジュールに入力するポート、反射光を出力するポート、ドロップポートから構成される3ポート構造の場合は反射光の光路を常に受光部に向けることが望ましく、このためには波長可変フィルターと反射鏡の反射面を同一面内に設置することが好ましい。
【0018】
上記[2]乃至[6]のいずれかに記載の波長可変フィルターモジュールは波長可変フィルターおよび反射鏡を光ビームの光学系に対して移動する手段としてステッピングモーターが設けられていることを特徴とする。
【0019】
[7] 上記[2]乃至[6]のいずれかに記載の波長可変フィルターモジュールが波長可変フィルターの短辺の幅に対する反射鏡の短辺の幅が0.5〜2.0倍であることを特徴とする。
ここで、波長可変フィルターの幅に対する反射鏡の幅は波長可変フィルターの短辺方向の移動手段の位置精度に関係し、制御できる範囲で小さくすることができる。しかし、反射鏡の短辺の幅が小さくなりすぎると反射鏡の反りやゆがみが生ずるため、波長可変フィルターの0.5倍以上が望ましい。また、反射鏡の短辺の幅は性能上大きい分には問題は無いが、移動距離が長くなり、切り替え時間が長くなること、モジュールが大型化することを避けるため、2.0倍以下が望ましい。
【0020】
[8] 本発明の他の波長可変フィルターモジュールは、膜厚を傾斜させて成膜した誘電体多層膜を有する波長可変フィルターと、前記波長可変フィルターに隣接させた反射鏡を備え、
信号を伝送する光ビームが、初期の光ビーム位置から可変先の光ビーム位置へ移動する際に、前記反射鏡上を経由して可変先の光ビーム位置へ到達することを特徴とする。
光ビームを反射鏡まで移動させる間、他チャンネルのごく一部がドロップポートに出力される構成であっても、他チャンネルの大部分が反射鏡上移動によりドロップポートに出力されないのであれば、本発明に包含される構成と言える。不要なチャンネルの出力が光通信に与える影響を低減できるからである。もちろん、光ビームを反射鏡まで移動させる際に、他チャンネルの領域を通過させない構成が最も望ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明を実施例に基づき詳しく説明する。なお、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
(実施例1) 波長可変フィルターは次の工程で製造した。裏面に反射防止膜4を形成した板厚が10mmの洗浄ガラス基板を成膜基板3として成膜装置に装填し、真空度を6.7×10−4Pa(≒約5×10−6Torr)以下に排気した後、成膜を開始した。ガラス基板の板厚は、例えば5〜12mmの範囲内のものを用いることができる。本実施例で作製した波長可変フィルターは図1に示すDWDM用狭帯域フィルター(NBPF)であり、その基本構造はミラーになる1/4波長積層体1と、スペーサーになる1/2波長もしくはその整数倍層2を積層数=158層で積層した。なお、積層数は百数十層からニ百数十層の範囲で変えることができる。
【0022】
ここで、ミラーになる1/4波長積層体1はTa酸化物(Ta2O5)もしくはNb酸化物(Nb2O5)からなる光学膜厚が1/4波長の高屈折率誘電体層と、Si酸化物(SiO2)からなる光学膜厚が1/4波長の低屈折率誘電体層を交互に積層した構造である。また、スペーサーになる1/2波長もしくはその整数倍層2はSi酸化物からなる光学膜厚が1/2波長もしくはその整数倍の低屈折率誘電体層、あるいはTa酸化物もしくはNb酸化物からなる光学膜厚が1/2波長もしくはその整数倍の高屈折率誘電体層である。なお、図1の断面図は、連続した積層回数が多いため、途中の積層状態の図示を省略した。
【0023】
誘電体多層膜の成膜には、多層膜光学フィルター形成装置として、図2の断面図に示すイオンアシスト蒸着装置を用いた。イオンアシスト蒸着装置では、チャンバー内で前述の誘電体多層膜を構成する高屈折率材料および低屈折率材料をリング状の蒸着源ハース6内に装填し、電子銃5から電子線を照射することにより両原料を交互に蒸発させ、蒸着源シャッター7と基板シャッター9を開き、ガラス基板8に成膜させた。このとき、同時にアシスト用のイオンガン12を用いて酸素イオンもしくはアルゴンと酸素の混合イオンをガラス基板8に照射し、蒸着粒子がガラス基板8上をマイグレーションすることを助けた。これにより、柱状組織になりやすい多層膜を充填密度の高い多層膜に改善することができた。本実施例ではイオンガン12の加速電圧を500〜900Vとし、均一で充填密度の高い波長可変フィルター膜を得ることができた。
【0024】
図2では、電子線の軌道を太い点線で表し、原料の蒸発する向きを細い点線で表した。ガラス基板8を保持する部材は、高速基板回転モーター11により回転させた。誘電体多層膜を構成する各々の誘電体膜の厚さは、水晶式膜厚モニター10で測定した。ガラス基板8上に形成された多層膜の厚さは、光学式膜厚モニター投光部13から照射された光を、多層膜を成膜したガラス基板を透過させ、透過光を光学式膜厚モニター受光部14で受けることにより、測定した。図2のチャンバーの右側(白抜き矢印で示した側)には真空排気装置を接続しているが、その図示は省略した。
【0025】
図3は、波長可変フィルター形成装置で用いる光学式膜厚モニターを示す概略図である。光学式膜厚モニター投光部13−1,13−2としてハロゲンランプを用いた構成である。成膜中の膜厚は図3に示すように、ハロゲンランプの白色光をチャンバー内に入射させ、成膜中の多層膜及び高速回転しているガラス基板8に直接透過させ、透過光を光学式膜厚モニター受光部14−1,14−2である受光レンズで受けて、光ファイバ18を介して分光器19(光を分光し、波長毎にの強度を電気信号に変換するもの)で検出することにより、モニタリングを行った。光量演算・制御用コンピューター20は、分光器19の電気信号を入力してモニターを行うと共に、ハロゲンランプに接続したランプ用電源21を制御するものである。さらに、光量演算・制御用コンピューター20は、蒸着源16において、リング状の蒸着源ハースや電子銃を制御するが、それらとの接続状態の図示は省略した。
【0026】
具体的には、透過光は多層膜の一層の光学的膜厚が1/4波長毎に透過と反射を繰り返すため、透過光の光強度をモニターすることにより終点を検知し、蒸着源を交換することにより交互に高屈折率膜と低屈折率膜を製膜した。これらの膜厚を高精度に変化させることにより、所望の波長可変フィルターを作製することができた。
【0027】
波長可変フィルターを安定に生産するためにはガラス基板8を透過する白色光を2系統とすることが好ましい。すなわちガラス基板8の半径方向に誘電体多層膜の膜厚を傾斜させて波長可変とするため、2つの半径位置で膜厚をモニターすることが望ましい。さらに、この2つの光学式膜厚モニターから出力した信号をフィードバックし、ガラス基板8と蒸着源16の間に挿入した膜厚分布補正板17の形状を変化させることにより、さらに高精度の傾斜膜を基板上に形成することが可能になる。
【0028】
本実施例の波長可変フィルター形成装置では、ガラス基板を固定する基板ホルダーを交換することにより、直径150〜300mmの円盤状のガラス基板を用いることができる。このガラス基板上に膜厚傾斜した波長可変フィルターを成膜するためには主に蒸着源16とガラス基板8の距離の変化に基づく膜厚分布を利用して傾斜膜とする方法の他、膜厚分布補正板17を使用して膜厚分布を形成し、膜厚傾斜とする方法がある。また、本実施例では光学式膜厚モニターのモニター位置は外周から15〜50mm内側とした。また、光学式膜厚モニターを2つ用いた場合は2つの半径差を15〜30mmとした。したがって、光学特性を満足する波長可変フィルターを作製することのできる有効領域は外周に近い領域であった。
【0029】
図4は作製した膜厚傾斜を有する波長可変フィルターの側面図を示す。この図では波長可変フィルター26と反射防止膜25の膜厚をガラス基板24に比較して拡大して図示している。波長可変フィルターを透過する光ビームの分光特性は傾斜膜の膜厚に比例してセンター波長が増加する。この結果、所望の膜厚位置を選択することにより所望のチャンネルを選ぶことが可能になる。太線の矢印は光ビーム27の透過方向を表す。
【0030】
図5はヒットレス波長可変フィルターを説明する平面図である。この例では光ビームは矢印の経路を通ってチャンネルが切り替えられる。本実施例ではCバンド対応波長可変フィルターの例を示し、波長可変フィルター28に隣接して反射鏡29を設置した。本波長可変フィルターの例ではセンター波長1530.33nm(59ch)から1565.50nm(15ch)までカバーする。ここではドロップポートへ出力していた1533.47nm(5ch)の信号を1543.73nm(42ch)の信号に切り替える場合を例にして説明する。まず、最初のチャンネルである1533.47nm(55ch)にあった光ビームに対し、波長可変フィルターと反射鏡を一体として波長可変フィルターの長辺と直角方向に移動し、光ビームを反射鏡上に移動する。次いで、波長可変フィルターと反射鏡を移動し、反射鏡上で光ビームを波長可変フィルターの長辺と平行に移動する。所望の1543.73nm(42ch)のチャンネル位置では波長可変フィルターと反射鏡を波長可変フィルターの長辺と直角方向に移動し、所望のチャンネルに切り替えを完了することができる。
【0031】
図6は本実施例で作製した波長可変フィルターモジュールの1例を示す。波長可変フィルターモジュールは入力ポート32、ドロップポート33、反射光の出力ポート34、ステッピングモーター35、波長可変フィルター36、駆動系37を具備し、入力ポート32から入射した光ビームは波長可変フィルター36を介して所望のチャンネル(波長)をドロップポート33へ出力する。一方、所望のチャンネル以外の波長を持つ光ビームは全て波長可変フィルター36で反射されて反射光の出力ポート34へ出射される。このとき、ステッピングモーター35を稼動させ、駆動系37を介して波長可変フィルター36を移動させることにより、チャンネルを切り替えることができる。本実施例はいわゆる3ポート型の波長可変フィルターモジュールであるが、2ポート型の波長可変フィルターモジュールにも適用できる。なお、2ポート型の波長可変フィルターモジュールでは入射光と反射光が同一ポートを通過するため、これを分離するためにサーキュレーターを使用する。
【0032】
図7には本実施例の波長可変フィルターモジュールのドロップポート33から出射した光ビームの分光特性を測定し、そのセンター波長をステッピングモーター35を稼動するポテンショメーターの電圧に対してプロットした例を示す。図から明らかなように、ポテンショメーターの電圧が増加するに伴って、センター波長は単調に増加し、ドロップポート33から出力される光ビームのセンター波長、すなわちチャンネルが連続的に切り替えられたことを示す。
【0033】
上記実施例では波長可変フィルターとしてチャンネルピッチ25〜200GHzのDWDM用狭帯域フィルターの例を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、4 Skip 1等の波長可変広帯域フィルター等、傾斜膜を用いてセンター波長を可変とする多層膜光学薄膜のモジュールに適用できる。また、本実施例では成膜装置としてイオンアシスト蒸着装置を用いた場合を示したが、傾斜膜を作製することができる成膜装置であれば良い。
【0034】
【発明の効果】
以上説明した通り、この発明に係る波長可変フィルターモジュールは、チャンネル(波長)切り替え時に初期のチャンネル(波長)から所望のチャンネルへ光ビームを移動する間、関係無いチャンネルに影響を及ぼさずに所望の波長に切り替えることを可能にする。すなわち、関係無いチャネルは切り替え時も影響を受けずに信号の伝送を継続できる、いわゆるヒットレス波長可変フィルターモジュールを提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】多キャビティのバンドパスフィルターを構成する誘電体多層膜構造を示す断面図である。
【図2】本実施例で使用した多層膜光学フィルター形成装置を示す断面図である。
【図3】本実施例で使用した光学式膜厚モニターの構成を示す概略図である。
【図4】本実施例で作製した膜厚傾斜膜からなる波長可変フィルターおよび光ビームの関係を示す側面図である。
【図5】本実施例で作製した波長可変フィルターモジュールの波長可変フィルターおよび反射鏡と光ビームの関係を示す平面図である。
【図6】本実施例で作製した3ポート型の波長可変フィルターモジュールの構成を示す平面図である。
【図7】本実施例で作製した波長可変フィルターモジュールのドロップポートから出力された光ビームの分光特性から求めたセンター波長とステッピングモーターを稼動するポテンショメーターの電圧の関係を示す図である。
【符号の説明】
1 ミラーになる1/4波長積層体、
2 スペーサーになる1/2波長もしくはその整数倍層、
3 成膜基板、 4 反射防止膜、 5 電子銃、 6 蒸着源ハース、
7 蒸着源シャッター、 8 ガラス基板、 9 基板シャッター、
10 水晶式膜厚モニター、 11 高速基板回転モーター、
12 イオンガン、
13,13―1,13―2 光学式膜厚モニター投光部、
14,14―1,14―2 光学式膜厚モニター受光部、
15 チャンバー壁、 16 蒸着源、 17 膜厚分布補正板、
18 光ファイバー、 19 分光器、
20 光量演算・制御用コンピューター、
21 ランプ用電源、 24 ガラス基板、 25 反射防止膜、
26 波長可変フィルター、 27 光ビーム、
28 波長可変フィルター、 29 反射鏡、 30 初期の光ビーム位置、
31 切り替え後の光ビーム位置、 32 入力ポート、
33 ドロップポート、34 反射光の出力ポート、
35 ステッピングモーター、 36 波長可変フィルター、
37 駆動系
Claims (8)
- 膜厚を傾斜させて成膜した誘電体多層膜を有する波長可変フィルターにおいて、信号を伝送する光ビームが初期の光ビーム位置から可変先の光ビーム位置へ移動する際、波長可変フィルター上の他のチャンネル領域(波長領域)を通過すること無く可変先の光ビーム位置へ到達することを特徴とする波長可変フィルターモジュール。
- 請求項1の波長可変フィルターモジュールにおいて、波長可変フィルターに隣接して反射鏡を具備することを特徴とする波長可変フィルターモジュール。
- 請求項2に記載の波長可変フィルターモジュールにおいて、光ビームが隣接する反射鏡を経由して可変先の光ビーム位置へ移動することを特徴とする波長可変フィルターモジュール。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の波長可変フィルターモジュールにおいて、光ビームが波長可変フィルターの長辺に直角に出入りすることを特徴とする波長可変フィルターモジュール。
- 請求項2乃至4のいずれかに記載の波長可変フィルターモジュールにおいて、光ビームの光学系に対して波長可変フィルターおよび反射鏡がフィルター面内で直行する2方向に移動できる手段を有することを特徴とする波長可変フィルターモジュール。
- 請求項2乃至5のいずれかに記載の波長可変フィルターモジュールにおいて、波長可変フィルターと反射鏡の反射面を同一面内に設置することを特徴とする波長可変フィルターモジュール。
- 請求項2乃至6のいずれかに記載の波長可変フィルターモジュールにおいて、波長可変フィルターの短辺の幅に対する反射鏡の短辺の幅が0.5〜2.0倍であることを特徴とする波長可変フィルターモジュール。
- 膜厚を傾斜させて成膜した誘電体多層膜を有する波長可変フィルターと、前記波長可変フィルターに隣接させた反射鏡を備え、
信号を伝送する光ビームが、初期の光ビーム位置から可変先の光ビーム位置へ移動する際に、前記反射鏡上を経由して可変先の光ビーム位置へ到達することを特徴とする波長可変フィルターモジュール。
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