JP2004177753A - 静電荷像現像用トナー、該静電荷像現像用トナーの製造方法、それを用いた画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも樹脂、着色剤及び離型剤を含有する着色粒子を有する静電荷像現像用トナーにおいて、該着色粒子はラテックス粒子の凝集を得て作製され、該ラテックス粒子は、少なくとも50〜200nmと300〜3000nmの範囲に各々ピークを有する粒子の混合物で、該300〜3000nmの範囲にピークを有するラテックス粒子が、全ラテックス粒子の0.5〜30質量%であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、定着オフセット、画像かぶり、耐久性を改良した静電荷像現像用トナー、該静電荷像現像用トナーの製造方法、それを用いた画像形成方法及び画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高画質でオイルレズ定着を採用したデジタル複写機、レーザプリンタにおいて、定着オフセットが発生せず、画像かぶりが無く、且つ、大量のプリントを行っても高画質の画像を継続して得るためには、トナーが小粒径で、離型剤が定着時にトナー粒子中から有効に溶出し、トナー粒子表面に遊離した着色剤が存在せず、且つ、トナー粒子が現像工程等で破砕されないことが重要な課題である。
【0003】
一般的に、定着オフセットが発生しない温度範囲を広くし、定着オフセットによる画像汚れを防止するため離型剤が用いられる。しかし、前記目的を達成するため離型剤をトナー粒子中に多量に含有させると、トナー粒子が破砕されやすくなり、破砕により発生した超微粒子がキャリアの表面を汚染し、高画質の画像を継続して得られなくなる。
【0004】
この様な要請に対し、重合トナーでもトナー粒子中に離型剤を含有させることが検討され、重合工程中、樹脂粒子と離型剤粒子とを会合させ離型剤含有重合トナーを調製することが行われている。しかしながら、この方法で得られるトナーでは、会合粒子(着色粒子)内に十分な量の離型剤を導入することができず、又、形成される会合粒子間において、離型剤の含有量にバラツキが生じ、トナー全体として十分な耐定着オフセット性を発揮することができない。
【0005】
これらの問題に対して、離型剤に用いられる化合物を改良(例えば、特許文献1参照。)したり、トナー中への添加量を増やす技術が検討されているが、樹脂粒子と離型剤粒子との会合粒子から構成されるという構造上の原因により、当該会合粒子より離型剤が遊離し、この離型剤が現像剤を劣化させたり、トナーの流動性を低下させたり、感光体表面にトナーがフィルミングするという問題を有している。
【0006】
又、トナー粒子構造に着目し、トナー粒子構造中において結着樹脂相中に離型剤相を相分離させた構造をとる海島構造をとるトナーが開示(例えば、特許文献2、3、4参照。)されているが、これらの特許では、トナー粒子中における離型剤添加量のばらつきのあることを言及するものではなく、このばらつきを十分に制御させることについては何も示唆されるものではなかった。又、これらの特許で開示されたトナーは、離型剤が相分離した構造を採ってはいるもののトナー粒子の中央に離型剤が塊となって存在する構造を採るため、離型剤を効果的にトナー粒子外に滲出させることが困難な構造となりトナー粒子に添加する離型剤の量を多くせざるを得なく、又離型剤がトナー外に滲出するまでの距離を要するため画像定着時に離型剤が外に適量滲出しにくく十分な定着オフセット性改良も達成することができなかった。
【0007】
以上のような問題点に対して、トナー断面において結着樹脂とポリプロピレンが海島構造を形成し、該ポリプロピレンが形成する島状部分の長軸方向の最大直径が200〜3000Åで、島と島の平均間隔が1μm以下のトナーが開示(例えば、特許文献5参照。)されている。
【0008】
又、結晶性化合物からなる離型剤のドメイン(島)に関する特許が開示(例えば、特許文献6、7参照。)されている。
【0009】
しかしながら、これらの技術は、高速定着性に優れているもののトナー表面に離型剤ドメインが存在するため、帯電量分布が不均一で解像度の高い画像が得られなかった。又、トナー表面において、硬度の高いエステル基を有する離型剤により構成される島部に付着した外添剤がストレスを受けて埋没するため、現像特性、転写特性が不安定であり、中間調(ハーフトーンともいう)の画像にむらができるなどの不具合を有した。さらに離脱し、現像ローラ、感光体、転写部材の汚染があった。一方、定着画像に光沢むらが生じる問題があった。
【0010】
又、着色剤は、乾燥粉末状の着色剤を例えば機械式分散、超音波分散等のエネルギーを付与して均一に分散した後、トナー粒子中に分散させて用いる特許が開示(例えば、特許文献8参照。)されている。しかしながら、この方法では、着色剤を分散するのに加えられるエネルギーが不均一となりやすいため、着色剤の分散粒子径が細かくなりにくく、且つ分散粒子径の分布がブロードとなりやすい。その結果、形成されたトナー粒子中へ着色剤が均一に分散されず、トナー粒子表面に付着した着色剤が存在する。このトナーを用いてプリントを行うと、着色剤が転写紙に付着し画像かぶりが発生したり、あるいは着色剤がキャリア表面に付着すると、トナーの帯電量を安定にコントロールできなくなり、高画質の画像を継続して得られなくなる。
【0011】
定着オフセットが発生せず、画像かぶりが無く、連続してプリントを行っても高画質(かぶりが無く、高濃度)の画像を継続して得られるトナーは、いまだ開発されていないのが現状である。
【0012】
【特許文献1】
特開平8−41468号公報
【0013】
【特許文献2】
特開平3−296067号公報
【0014】
【特許文献3】
特開平10−161338号公報
【0015】
【特許文献4】
特開平5−88409号公報
【0016】
【特許文献5】
特開平3−296067号公報
【0017】
【特許文献6】
特開平9−288372号公報
【0018】
【特許文献7】
特開平9−292722号公報
【0019】
【特許文献8】
特開2001−08736号公報
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点を鑑み提案されたものであり、その目的とするところは、定着オフセットが発生しない温度領域が広く、初期画像かぶりが無く、且つ、大量のプリントを行っても高画質(画像かぶりが無く、高濃度)の画像を継続して得られる静電荷像現像用トナー(以下、単にトナーとも言う)、該トナーの製造方法、それを用いた画像形成方法及び画像形成装置を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は下記構成を採ることにより達成される。
【0022】
1.少なくとも樹脂、着色剤及び離型剤を含有する着色粒子を有する静電荷像現像用トナーにおいて、該着色粒子はラテックス粒子の凝集を得て作製され、該ラテックス粒子は、少なくとも50〜200nmと300〜3000nmの範囲に各々ピークを有する粒子の混合物で、該300〜3000nmの範囲にピークを有するラテックス粒子が、全ラテックス粒子の0.5〜30質量%であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【0023】
2.前記300〜3000nmの範囲にピークを有するラテックス粒子は、50〜200nmの範囲にピークを有するラテックス粒子より多量の離型剤を含有していることを特徴とする前記1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【0024】
3.少なくとも樹脂、着色剤及び離型剤を含有する着色粒子を有する静電荷像現像用トナーの製造方法であり、着色粒子はラテックス粒子の凝集を得て作製され、該ラテックス粒子は、50〜200nmの範囲にピークを有するものと300〜3000nmの範囲にピークを有するものを別々に作製し、該300〜3000nmの範囲にピークを有するラテックス粒子が、全ラテックス粒子の0.5〜30質量%になるようブレンドして作製、或いは50〜200nmと300〜3000nmの範囲にピークを有し、該300〜3000nmの範囲にピークを有するラテックス粒子が、全ラテックス粒子全体の0.5〜30質量%有するものを1バッチで作製することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
【0025】
4.帯電、像露光、現像、熱定着の各工程、必要に応じブレードクリーニングを加えた工程を経て画像を形成する画像形成方法において、現像工程で用いる静電荷像現像用トナーが前記1又は2項に記載の静電荷像現像用トナーであることを特徴とする画像形成方法。
【0026】
5.帯電、像露光、現像、熱定着の各手段、必要に応じブレードクリーニングを加えた手段を経て画像を形成する画像形成装置において、現像手段で用いる静電荷像現像用トナーが前記1又は2項に記載の静電荷像現像用トナーであることを特徴とする画像形成装置。
【0027】
本発明者等は、上記問題を種々検討し、研究を進めた結果、ラテックス粒子の凝集を得て着色粒子を作製するとき、50〜200nmの範囲にピークを有するラテックス粒子と、300〜3000nmの範囲にピークを有するラテックス粒子の混合物で、該300〜3000nmの範囲にピークを有するラテックス粒子が、全ラテックス粒子の0.5〜30質量%をしめるラテックスを用いると、定着オフセットが発生しない温度範囲が広く、初期画像かぶりが無く、且つ、大量のプリントを行っても高画質の画像を継続して得られることを見出し、本発明に至った次第である。
【0028】
本発明においては、トナーは少なくとも樹脂、着色剤及び離型剤を含有する着色粒子を有し、該着色粒子はラテックス粒子の凝集を得て作製される。凝集に用いられるラテックスは、少なくとも50〜200nmと300〜3000nmの範囲にピークを有する粒子の混合物で、全ラテックス粒子の0.5〜30質量%が300〜3000nmの範囲にピークを有するラテックス(以下、大粒径ラテックスとも言う)で、このラテックスには50〜200nmの範囲にピークを有するラテックス(以下、小粒径ラテックスとも言う)より多量に大粒径の離型剤を含有し、且つ、着色剤を良好に取り込んでいることを特徴としている。
【0029】
大粒径ラテックスを凝集して作製した着色粒子と小粒径ラテックスを凝集して作製した着色粒子の断面の離型剤の粒径を比較すると、大粒径ラテックスを凝集して作製した着色粒子の方が離型剤の粒径が大きく量も多い。
【0030】
着色粒子中に分散されている離型剤粒のドメイン径及び量の測定は、透過型電子顕微鏡により拡大撮影し、得られた画像をさらに拡大して2000倍とし、画像解析装置「スピカ」(日本アビオニクス株式会社製)で解析することにより算出することができる。
【0031】
ドメイン径が大きい離型剤を多量に含有する大粒径ラテックスを凝集して作製した着色粒子(トナー)は、熱定着時に着色粒子中から離型剤が広範囲の温度範囲で大量に溶出しやすく、定着オフセットが発生しない温度領域が広くなると考えられる。
【0032】
又、着色剤は、小粒径ラテックスよりも大粒径ラテックスの粒子表面に多く付着されている。ラテックス粒子表面に着色剤が付着していると、凝集で用いた溶液中にフリー(遊離)で残存する着色剤が少なくなる。
【0033】
大粒径ラテックスの粒子表面に着色剤が多く付着する理由は明確ではないが、ラテックスの粒径と分散状態の着色剤粒径を比較すると、小粒径ラテックス(50〜200nm)と着色剤(30〜200nm)との粒径差は小さいが、大粒径ラテックス(300〜3000nm)と着色剤との粒径差は大きいため大粒径ラテックスの粒子表面に着色剤が付着し易いと考えられる。
【0034】
ラテックス粒子表面への着色剤の付着差は、大粒径ラテックスの凝集で用いた溶液から遠心分離機を用いて着色粒子を除いた溶液の濃度と、小粒径ラテックスの凝集で用いた溶液から遠心分離機を用いて着色粒子を除いた溶液の濃度を比較することにより評価することができ、明らかに小粒径ラテックスの凝集で用いた溶液の濃度が目視判断で濃く、小粒径ラテックスは着色剤があまり付着されていないことが判る。凝集で用いた溶液中にフリー(遊離)の着色剤が存在すると、着色粒子表面にフリー(遊離)の状態で付着し、そのまま乾燥されてしまう。
【0035】
着色粒子表面に付着している遊離の着色剤は、プリント時に非画像部に付着し画像かぶりを発生させたり、或いは現像剤のキャリア表面に付着し現像剤の寿命を短くしたりする。
【0036】
又、着色粒子の破砕強度は、小粒径ラテックスと大粒径ラテックスとを適量混合して調製した着色粒子は、小粒径ラテックス或いは大粒径ラテックス単独で調製した着色粒子より強い。
【0037】
破砕強度が強いと、現像器中のキャリアとの混合やトナーリサイクルでのスクリュー搬送等で着色粒子が破砕されないので超微粒子の発生を防止できる。超微粒子はキャリアに付着し、現像剤の劣化の原因となる。
【0038】
しかし、小粒径ラテックスと大粒径ラテックスとを適量混合して調製した着色粒子は、超微粒子が発生しないので、現像剤が劣化せず大量にプリントを行っても高画質(かぶりが無く、高濃度)の画像を継続して得ることができる。
【0039】
大粒径ラテックスの混合量は、全ラテックスに対し0.5〜30質量%であると上記目的を達成するのにバランスが取れ適している。
【0040】
はじめに、本発明に係るラテックスについて説明する。
着色粒子を調製するためのラテックスは、少なくとも小粒径ラテックスと大粒径ラテックスからなる。又、全ラテックスの0.5〜30質量%が大粒径ラテックスであることを特徴としているが、2〜20質量%であるとより好ましい。
【0041】
上記ラテックスの作製方法は、特に限定されず、小粒径ラテックスと大粒径ラテックスを別々に作製し、該大粒径ラテックスの量が全ラテックスの0.5〜30質量%になるよう小粒径ラテックスと大粒径ラテックスを混合して作製しても、或いは1回の重合で作製してもよいが、安定して上記ラテックスを得るには小粒径ラテックスと大粒径ラテックスを別々に作製し混合する方法が好ましい。
【0042】
尚、粒径の異なるラテックス粒子は、ラテックス作製時の条件(例えば、アニオン活性剤の量、撹拌スピード、添加時間等)をコントロールすることで得ることができる。
【0043】
ラテックスの粒径ピーク及び粒径分布、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子株式会社製)、「マイクロトラック UPA−150」(日機装株式会社製)を用いて測定することができる。
【0044】
ラテックス粒子表面に着色剤粒子を良好に付着させるには、着色剤粒子を溶液中に質量平均粒径で30〜200nm程度まで細かく分散することが好ましい。
【0045】
着色剤分散液中の着色剤粒子の平均粒径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子株式会社製)、「マイクロトラック UPA−150」(日機装株式会社製)を用いて測定することができる。
【0046】
次に、本発明のトナー及びその製造方法について説明する。
《乳化重合法》
本発明のトナーは、乳化重合で得られたラテックス粒子(樹脂粒子)を水系媒体中で塩析/融着させて調製されることを特徴としている。この方法としては、例えば、特開平5−265252号、同6−329947号、同9−15904号に示す方法等を挙げることができる。
【0047】
即ち、樹脂粒子と着色剤などの構成材料の分散粒子、あるいは樹脂及び着色剤等より構成される微粒子を複数以上塩析、凝集、融着させる方法、特に水中に、これらを乳化剤を用いて分散した後に、臨界凝集濃度以上の凝集剤を加え塩析させると同時に、形成された重合体自体のガラス転移点温度以上で加熱融着させて融着粒子を形成しつつ徐々に粒径を成長させ、目的の粒径となったところで水を多量に加えて粒径成長を停止し、さらに加熱、攪拌しながら粒子表面を平滑にして形状を制御し、その粒子を含水状態のまま流動状態で加熱乾燥することにより、本発明のトナーを形成することができる。なお、ここにおいて凝集剤と同時にアルコールなど水に対して無限溶解する溶媒を加えてもよい。
【0048】
本発明のトナーの製造方法においては、重合性単量体に離型剤を溶かした後、重合性単量体を重合させる工程を経て形成した複合樹脂微粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させる方法が好ましく用いられる。重合性単量体に離型剤を溶かすとき、離型剤を溶解させて溶かしても、溶融して溶かしてもよい。
【0049】
又、本発明のトナーの製造方法としては、多段重合法によって得られる複合樹脂微粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させる工程が好ましく用いられる。ここで、多段重合法について以下に説明する。
【0050】
〈多段重合法により得られるトナーの製造方法〉
多段重合法を用いる場合、本発明のトナーの製造方法は、以下に示す工程より構成されることが好ましい。
【0051】
1:多段重合法により複合樹脂粒子を重合する工程
2:複合樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させて着色粒子を得る塩析/融着工程
3:着色粒子の分散系から当該着色粒子を濾別し、当該着色粒子から界面活性剤などを除去する濾過・洗浄工程
4:洗浄処理された着色粒子を乾燥する乾燥工程
5:乾燥処理された着色粒子に外添剤を添加してトナーを調製する工程
から構成される。
【0052】
以下、各工程について、詳細に説明する。
〔多段重合工程〕
多段重合工程とは、定着オフセット発生防止したトナーを得るべく樹脂粒子の分子量分布を拡大させるために行う重合方法である。すなわち、1つの樹脂粒子において異なる分子量分布を有する相を形成するために重合反応を多段階に分けて行うものであって、得られた樹脂粒子がその粒子の中心より表層に向かって分子量勾配を形成させる様に意図して行うものである。例えば、はじめに高分子量の樹脂粒子分散液を得た後、新たに重合性単量体と連鎖移動剤を加えることによってて低分子量の表層を形成する方法が採られている。着書の表層を低分子量とすることで、樹脂粒子同士を強固に融着でき、破砕強度の強い着色粒子を調製することができる。
【0053】
本発明においては、製造の安定性の観点から三段重合以上の多段重合法を採用することが好ましい。以下に、多段重合法の代表例である二段重合法および三段重合法について説明する。
【0054】
(二段重合法)
二段重合法は、離型剤を含有する高分子量樹脂から形成される中心部と、低分子量樹脂から形成される外周部とにより構成される複合樹脂粒子を製造する方法である。
【0055】
この方法を具体的に説明すると、先ず、離型剤を単量体に溶解させて単量体溶液を調製し、この単量体溶液を水系媒体(例えば、界面活性剤水溶液)中に油滴分散させた後、この系を重合処理(1段目の重合)することにより、離型剤を含む高分子量の樹脂粒子(中心部)の分散液を調製する。
【0056】
次いで、この樹脂粒子の分散液に、重合開始剤と低分子量樹脂を得るための単量体とを添加し、樹脂粒子の存在下で単量体を重合処理(2段目の重合)を行うことにより、樹脂粒子の表面に、低分子量の樹脂(単量体の重合体)からなる被覆層(外周部)を形成する方法である。
【0057】
(三段重合法)
三段重合法は、高分子量樹脂から形成される樹脂粒子(中心部)、離型剤と低分子量樹脂から形成される中間層(外周部)及び低分子量樹脂から形成される外層とにより構成される複合樹脂粒子を製造する方法である。ここで、外層の樹脂の分子量を低分子量にすると着色粒子を形成したとき複合樹脂どうしが強固に融着し好ましい。
【0058】
この方法を具体的に説明すると、先ず、常法に従った重合処理(1段目の重合)により得られた高分子量の樹脂からなる樹脂粒子の分散液を、水系媒体(例えば、界面活性剤の水溶液)に添加するとともに、上記水系媒体中に、離型剤を単量体に溶解させてなる単量体溶液を油滴分散させた後、この系を重合処理(2段目の重合)することにより、樹脂粒子(中心部)の表面に、離型剤を含有する低分子量の樹脂(単量体の重合体)からなる中間層(外周部)を形成して、複合樹脂粒子(中心部が高分子量樹脂で外周部が低分子量樹脂)の分散液を調製する。
【0059】
次いで、得られた複合樹脂粒子の分散液に、重合開始剤と低分子量樹脂を得るための単量体とを添加し、複合樹脂粒子の存在下で単量体を重合処理(3段目の重合)することにより、複合樹脂粒子の表面に、低分子量の樹脂(単量体の重合体)からなる外層を形成する。上記方法において、中間層を離型剤を組み入れることにより、離型剤を微細かつ均一に分散でき好ましい。
【0060】
本発明に用いられる水系媒体とは、水50〜100質量%と水溶性の有機溶媒0〜50質量%とからなる媒体をいう。水溶性の有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等を例示することができ、得られる樹脂を溶解しないアルコール系有機溶媒が好ましい。
【0061】
離型剤を含有する樹脂粒子又は中間層を形成するために好適な重合法としては、臨界ミセル濃度以下の濃度の界面活性剤を溶解してなる水系媒体中に、離型剤を単量体に溶解した単量体溶液を、機械的エネルギーを利用して油滴分散させて分散液を調製し、得られた分散液に水溶性重合開始剤を添加して、油滴内でラジカル重合させる方法(以下、本発明では「ミニエマルジョン法」という。)が好ましい。
【0062】
機械的に油滴を形成するミニエマルジョン法によれば、通常の乳化重合法とは異なり、油相に溶解させた離型剤の脱離が少なく、形成される樹脂粒子又は被覆層内に十分な量の離型剤を導入することができる。
【0063】
ここで、機械的エネルギーによる油滴分散を行うための分散機としては、特に限定されるものではなく、例えば、高速回転するロータを備えた攪拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック株式会社製)、超音波分散機、機械式ホモジナイザー、マントンゴーリン及び圧力式ホモジナイザーなどを挙げることができる。又、分散粒子径としては、10〜1000nmが好ましく、更に好ましくは50〜1000nmであり、特にに好ましくは30〜300nmである。
【0064】
(ラテックス粒子の粒子径)
本発明に係るラテックス粒子(樹脂粒子、複合樹脂粒子)の粒子径ピークは、界面活性剤溶液に重合開始剤を溶解した開始剤溶液に単量体混合液を加えて樹脂粒子を作製するときの単量体混合液の量及び滴下速度、系の温度、撹拌条件等、樹脂粒子の表面に中間層や外層を作製するときの単量体混合液の量及び滴下速度、系の温度、撹拌条件等をコントロールすることにより制御することができる。例えば、粒径ピークを大きくするときには、撹拌を低速にして大きい粒径のラテックスを重合し、中間層と外層を形成する単量体の量を多くすることにより得ることができ、粒径ピークを小さくするときには、撹拌を高速にして小さいラテックススを重合し、中間層と外層を形成する単量体の量を少なくするすることにより得ることができる。
【0065】
この重合工程で得られる樹脂粒子、複合樹脂粒子の粒子径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子株式会社製)、「マイクロトラック UPA−150」(日機装株式会社製)を用いて測定することができる。又、粒子径のピークは、測定値から求めることができる。
【0066】
複合樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)は48〜74℃の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは5〜64℃である。
【0067】
複合樹脂粒子の軟化点は95〜140℃の範囲が好ましい。
本発明のトナーは、複合樹脂粒子と着色剤粒子とを、塩析/融着して着色粒子を形成し、この着色粒子に外添剤を添加して得られるものであるが、このことについて以下に説明する。
【0068】
〔塩析/融着工程〕
この塩析/融着工程は、前記多段重合工程によって得られた複合樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させる(塩析と融着とを同時に起こさせる)ことによって、不定形(非球形)の着色粒子を得る工程である。
【0069】
本発明において、塩析/融着とは、塩析(粒子の凝集)と融着(粒子間の界面消失)とが同時に起こること、又は、塩析と融着とを同時に起こさせる行為をいう。塩析と融着とを同時に行わせるためには、複合樹脂粒子を構成する樹脂のガラス転移温度(Tg)以上の温度条件下において粒子(複合樹脂粒子、着色剤粒子)を凝集させることが好ましい。
【0070】
この塩析/融着工程では、複合樹脂粒子及び着色剤粒子とともに、荷電制御剤などの内添剤粒子(数平均一次粒子径が10〜1000nm程度の微粒子)を塩析/融着させてもよい。又、着色剤粒子は、表面改質されていてもよく、表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができる。
【0071】
〔熟成工程〕
熟成工程は、塩析/融着工程に後続する工程であり、樹脂粒子の融着後も温度を離型剤の融点近傍、好ましくは融点±20℃に保ち、一定の強度で攪拌を継続することにより、離型剤を相分離させる工程である。
【0072】
又、本発明においては、凝集剤に用いる2価(3価)の金属元素と後述する凝集停止剤として加える1価の金属元素の合計値が350〜35000ppmであることが好ましい。着色粒子中の金属イオン残存量の測定は、蛍光X線分析装置「システム3270型」(理学電気工業株式会社製)を用いて、凝集剤として用いられる金属塩の金属種(例えば、塩化カルシウムに由来するカルシウム等)から発する蛍光X線強度を測定することによって求めることができる。具体的な測定法としては、凝集剤金属塩の含有割合が既知の着色粒子を複数用意し、各着色粒子5gをペレット化し、凝集剤金属塩の含有割合(質量ppm)と、当該金属塩の金属種からの蛍光X線強度(ピーク強度)との関係(検量線)を測定する。次いで、凝集剤金属塩の含有割合を測定すべき着色粒子(試料)を同様にペレット化し、凝集剤金属塩の金属種からの蛍光X線強度を測定し、含有割合すなわち「着色粒子中の金属イオン残存量」を求めることができる。
【0073】
〔濾過・洗浄工程〕
この濾過・洗浄工程では、上記の工程で得られた着色粒子の分散系から当該着色粒子を濾別する濾過処理と、濾別された着色粒子(ケーキ状の集合物)から界面活性剤や塩析剤などの付着物を除去する洗浄処理とが施される。ここに、濾過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過法、フィルタープレス等を使用して行う濾過法など特に限定されるものではない。
【0074】
〔乾燥工程〕
この工程は、洗浄処理された着色粒子を乾燥処理する工程である。
【0075】
この工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、攪拌式乾燥機などを使用することが好ましい。
【0076】
乾燥処理された着色粒子の水分は、5質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2質量%以下とされる。
【0077】
尚、乾燥処理された着色粒子どうしが、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用することができる。
【0078】
本発明のトナーは、着色剤の不存在下において複合樹脂粒子を形成し、当該複合樹脂粒子の分散液に着色剤粒子の分散液を加え、当該複合樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させることにより調製されることが好ましい。
【0079】
このように、複合樹脂粒子の調製を着色剤の存在しない系で行うことにより、複合樹脂粒子を得るための重合反応が阻害されることない。
【0080】
又、複合樹脂粒子を得るための重合反応が確実に行われる結果、得られる着色粒子中に単量体やオリゴマーが残留するようなことはなく、当該トナーを使用する画像形成方法の熱定着工程において、異臭を発生させることはない。
【0081】
次に、トナー製造工程で用いられる各構成因子について、詳細に説明する。
(重合性単量体)
本発明に用いられる樹脂を造るための重合性単量体としては、疎水性単量体を必須の構成成分とし、必要に応じて架橋性単量体が用いられる。又、下記するごとく酸性極性基を有する単量体又は塩基性極性基を有するモノマーを少なくとも1種類含有するのが望ましい。
【0082】
(1)疎水性単量体
単量体成分を構成する疎水性単量体としては、特に限定されるものではなく従来公知の単量体を用いることができる。又、要求される特性を満たすように、1種又は2種以上のものを組み合わせて用いることができる。
【0083】
具体的には、モノビニル芳香族系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ビニルエステル系単量体、ビニルエーテル系単量体、モノオレフィン系単量体、ジオレフィン系単量体、ハロゲン化オレフィン系単量体等を用いることができる。
【0084】
ビニル芳香族系単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系単量体およびその誘導体が挙げられる。
【0085】
アクリル系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
【0086】
ビニルエステル系単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等が挙げられる。
【0087】
ビニルエーテル系単量体としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0088】
モノオレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。
【0089】
ジオレフィン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
【0090】
(2)架橋性単量体
樹脂粒子の特性を改良するために架橋性単量体を添加しても良い。架橋性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジエチレングリコールメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、フタル酸ジアリル等の不飽和結合を2個以上有するものが挙げられる。
【0091】
(3)酸性極性基を有する単量体
酸性極性基を有する単量体としては、(a)カルボキシル基(−COOH)を有するα,β−エチレン性不飽和化合物及び(b)スルホン基(−SO3H)を有するα,β−エチレン性不飽和化合物を挙げることができる。
【0092】
(a)の−COO基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物の例としては、アクリル酸、メタアクリル酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、マレイン酸モノブチルエステル、マレイン酸モノオクチルエステル、およびこれらのNa、Zn等の金属塩類等を挙げることができる。
【0093】
(b)の−SO3H基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物の例としてはスルホン化スチレン、そのNa塩、アリルスルホコハク酸、アリルスルホコハク酸オクチル、そのNa塩等を挙げることができる。
【0094】
(4)塩基性極性基を有するモノマー
塩基性極性基を有するモノマーとしては、(i)アミン基或いは4級アンモニウム基を有する炭素原子数1〜12、好ましくは2〜8、特に好ましくは2の脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、(ii)(メタ)アクリル酸アミド或いは随意N上で炭素原子数1〜18のアルキル基でモノ又はジ置換された(メタ)アクリル酸アミド、(iii)Nを環員として有する複素環基で置換されたビニール化合物及び(iv)N,N−ジアリル−アルキルアミン或いはその四級アンモニウム塩を例示することができる。中でも、(i)のアミン基或いは四級アンモニウム基を有する脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステルが塩基性極性基を有するモノマーとして好ましい。
【0095】
(i)のアミン基或いは四級アンモニウム基を有する脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステルの例としては、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、上記4化合物の四級アンモニウム塩、3−ジメチルアミノフェニルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩等を挙げることができる。
【0096】
(ii)の(メタ)アクリル酸アミド或いはN上で随意モノ又はジアルキル置換された(メタ)アクリル酸アミドとしては、アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、ピペリジルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−オクタデシルアクリルアミド等を挙げることができる。
【0097】
(iii)のNを環員として有する複素環基で置換されたビニル化合物としては、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニル−N−メチルピリジニウムクロリド、ビニル−N−エチルピリジニウムクロリド等を挙げることができる。
【0098】
(iv)のN,N−ジアリル−アルキルアミンの例としては、N,N−ジアリルメチルアンモニウムクロリド、N,N−ジアリルエチルアンモニウムクロリド等を挙げることができる。
【0099】
(重合開始剤)
本発明に用いられるラジカル重合開始剤は、水溶性であれば適宜使用が可能である。例えば、過硫酸塩(例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)、アゾ系化合物(例えば、4,4′−アゾビス4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等)、パーオキシド化合物等が挙げられる。更に、上記ラジカル性重合開始剤は、必要に応じて還元剤と組み合わせレドックス系開始剤とする事が可能である。レドックス系開始剤を用いることにより、重合活性が上昇し、重合温度の低下が図れ、更に重合時間の短縮が達成でき好ましい。
【0100】
重合温度は、重合開始剤の最低ラジカル生成温度以上であればどの温度を選択しても良いが例えば50℃から90℃の範囲が用いられる。但し、常温開始の重合開始剤、例えば過酸化水素−還元剤(アスコルビン酸等)の組み合わせを用いる事で、室温又はそれ以上の温度で重合する事も可能である。
【0101】
(界面活性剤)
前述の重合性単量体を使用して、特にミニエマルジョン重合を行うためには、界面活性剤を使用して水系媒体中に油滴分散を行うことが好ましい。この際に使用することのできる界面活性剤としては、特に限定されるものでは無いが、下記のイオン性界面活性剤を好適な化合物の例として挙げることができる。
【0102】
イオン性界面活性剤としては、例えば、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等)が挙げられる。
【0103】
又、ノニオン性界面活性剤も使用することができる。具体的には、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等をあげることができる。
【0104】
本発明において、これら界面活性剤は、主に乳化重合時の乳化剤として使用されるが、他の工程又は他の目的で使用してもよい。
【0105】
(凝集剤)
本発明で用いられる凝集剤は、金属塩の中から選択されるものが好ましい。
【0106】
金属塩としては、一価の金属、例えばナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属の塩、二価の金属、例えばカルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の塩、マンガン、銅等の二価の金属塩、鉄、アルミニウム等の三価の金属塩等が挙げられる。
【0107】
これら金属塩の具体的な例を以下に示す。一価の金属の金属塩の具体例として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、二価の金属の金属塩として塩化カルシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン等が挙げられる。三価の金属塩としては、塩化アルミニウム、塩化鉄等が挙げられる。これらは、目的に応じて適宜選択される。一般的には一価の金属塩より二価の金属塩のほうが臨界凝集濃度(凝析値或いは凝析点)が小さく、更に三価の金属塩の臨界凝集濃度は小さい。
【0108】
本発明で言う臨界凝集濃度とは、水性分散液中の分散物の安定性に関する指標であり、凝集剤を添加し、凝集が起こる点の濃度を示している。この臨界凝集濃度は、ラテックス自身及び分散剤により大きく変化する。例えば、岡村誠三他著高分子化学17,601(1960)等に記述されており、これらの記載に従えば、その値を知ることが出来る。又、別の方法として、目的とする粒子分散液に所望の塩を濃度を変えて添加し、その分散液のζ電位を測定し、ζ電位が変化し出す点の塩濃度を臨界凝集濃度とすることも可能である。
【0109】
本発明では、金属塩を用いて臨界凝集濃度以上の濃度になるように重合体微粒子分散液を処理する。この時、当然の事ながら、金属塩を直接加えるか、水溶液として加えるかは、その目的に応じて任意に選択される。水溶液として加える場合には、重合体粒子分散液の容量と金属塩水溶液の総容量に対し、添加した金属塩が重合体粒子の臨界凝集濃度以上になる必要がある。
【0110】
本発明における凝集剤たる金属塩の濃度は、臨界凝集濃度以上であれば良いが、好ましくは臨界凝集濃度の1.2倍以上、更に好ましくは1.5倍以上添加される。
【0111】
(着色剤)
本発明に係る着色粒子は、上記の複合樹脂粒子と、着色剤粒子とを塩析/融着して得られる。
【0112】
本発明で使用される着色剤(複合樹脂粒子との塩析/融着に供される着色剤粒子)としては、各種の無機顔料、有機顔料、染料を挙げることができる。無機顔料としては、従来公知のものを用いることができる。具体的な無機顔料を以下に例示する。
【0113】
黒色の顔料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、更にマグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
【0114】
これらの無機顔料は所望に応じて単独又は複数を選択併用する事が可能である。又顔料の添加量は重合体に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%が選択される。
【0115】
磁性トナーとして使用する際には、前述のマグネタイトを添加することができる。この場合には所定の磁気特性を付与する観点から、着色剤中に20〜60質量%添加することが好ましい。
【0116】
有機顔料及び染料としても従来公知のものを用いることができる。具体的な有機顔料及び染料を以下に例示する。
【0117】
マゼンタ又はレッド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0118】
オレンジ又はイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー156等が挙げられる。
【0119】
グリーン又はシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0120】
又、染料としては、例えば、C.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等を用いることができ、又これらの混合物も用いることができる。
【0121】
これらの有機顔料及び染料は、所望に応じて、単独又は複数を選択併用することが可能である。又、顔料の添加量は、着色粒子に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%が選択される。
【0122】
本発明で用いられる着色剤(着色剤粒子)は、表面改質されていてもよい。表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができ、具体的にはシランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等を好ましく用いることができる。シランカップリング剤としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のアルコキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン等のシロキサン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。チタンカップリング剤としては、例えば、味の素社製の「プレンアクト」と称する商品名で市販されているTTS、9S、38S、41B、46B、55、138S、238S等、日本曹達社製の市販品A−1、B−1、TOT、TST、TAA、TAT、TLA、TOG、TBSTA、A−10、TBT、B−2、B−4、B−7、B−10、TBSTA−400、TTS、TOA−30、TSDMA、TTAB、TTOP等が挙げられる。アルミニウムカップリング剤としては、例えば、味の素社製の「プレンアクトAL−M」等が挙げられる。
【0123】
これらの表面改質剤の添加量は、着色剤に対して0.01〜20質量%であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜5質量%とされる。
【0124】
着色剤粒子の表面改質法としては、着色剤粒子の分散液中に表面改質剤を添加し、この系を加熱して反応させる方法を挙げることができる。
【0125】
表面改質された着色剤粒子は、濾過により採取され、同一の溶媒による洗浄処理と濾過処理が繰り返された後、乾燥処理される。
【0126】
(離型剤)
本発明に係る着色粒子は、離型剤を内包した樹脂粒子を水系媒体中に於いて融着させたものであることが好ましい。この様に樹脂粒子中に離型剤を内包させた樹脂粒子を着色剤粒子と水系媒体中で塩析/融着させることで、微細に離型剤が分散された着色剤を得ることができる。
【0127】
本発明に用いられる離型剤は、低分子量ポリプロピレン(数平均分子量=1500〜9000)や低分子量ポリエチレン等が好ましく、より好ましくは、下記式で表されるエステル系化合物である。
【0128】
R1−(OCO−R2)n
式中、nは1〜4の整数、好ましくは2〜4、さらに好ましくは3〜4、特に好ましくは4である。R1、R2は、各々置換基を有しても良い炭化水素基を示す。R1は、炭素数1〜40、好ましくは1〜20、さらに好ましくは2〜5がよい。R2は、炭素数1〜40、好ましくは16〜30、さらに好ましくは18〜26がよい。
【0129】
次に代表的な化合物の例を以下に示す。
【0130】
【化1】
【0131】
【化2】
【0132】
上記化合物の添加量は、着色粒子全体に対し1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%、さらに好ましくは3〜15質量%である。
【0133】
本発明に係る着色粒子では、ミニエマルジョン重合法により樹脂粒子中に上記離型剤を内包させ、着色粒子とともに塩析、融着させて調製することが好ましい。
【0134】
(荷電制御剤)
着色粒子は、着色剤、離型剤以外に着色粒子用材料として種々の機能を付与することのできる材料を添加することができる。具体的には、荷電制御剤等が挙げられる。これらの成分は前述の塩析/融着段階で樹脂粒子と着色剤粒子と同時に添加し、着色粒子中に包含する方法、樹脂粒子自体に添加する方法等種々の方法で添加することができる。
【0135】
荷電制御剤は、種々の公知のもので、且つ水中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体等が挙げられる。
【0136】
(外添剤)
本発明のトナーは、着色粒子をそのまま使用してもよいが、流動性の改良やクリーニング性の向上などの目的で、いわゆる外添剤を着色粒子に添加して使用することがより好ましい。これら外添剤としては特に限定されるものでは無く、種々の無機微粒子、有機微粒子及び滑剤を使用することができる。
【0137】
外添剤として使用できる無機微粒子としては、従来公知のものを挙げることができる。具体的には、シリカ微粒子、チタン微粒子、アルミナ微粒子等を好ましく用いることができる。これら無機微粒子は疎水性であることが好ましい。
【0138】
シリカ微粒子の具体例としては、日本アエロジル(株)製の市販品R−805、R−976、R−974、R−972、R−812、R−809、ヘキスト(株)製のHVK−2150、H−200、キャボット(株)製の市販品TS−720、TS−530、TS−610、H−5、MS−5等が挙げられる。
【0139】
チタン微粒子の具体例としては、例えば、日本アエロジル(株)製の市販品T−805、T−604、テイカ(株)製の市販品MT−100S、MT−100B、MT−500BS、MT−600、MT−600SS、JA−1、富士チタン(株)製の市販品TA−300SI、TA−500、TAF−130、TAF−510、TAF−510T、出光興産(株)製の市販品IT−S、IT−OA、IT−OB、IT−OC等が挙げられる。
【0140】
アルミナ微粒子の具体例としては、例えば、日本アエロジル(株)製の市販品RFY−C、C−604、石原産業(株)製の市販品TTO−55等が挙げられる。
【0141】
外添剤として使用できる有機微粒子としては、数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形の微粒子を挙げることができる。かかる有機微粒子の構成材料としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、スチレン−メチルメタクリレート共重合体などのを挙げることができる。
【0142】
外添剤として使用できる滑剤としては、高級脂肪酸の金属塩を挙げることができる。かかる高級脂肪酸の金属塩の具体例としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸銅、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等のステアリン酸金属塩;オレイン酸亜鉛、オレイン酸マンガン、オレイン酸鉄、オレイン酸銅、オレイン酸マグネシウム等のオレイン酸金属塩;パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸銅、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸カルシウム等のパルミチン酸金属塩;リノール酸亜鉛、リノール酸カルシウム等のリノール酸金属塩;リシノール酸亜鉛、リシノール酸カルシウムなどのリシノール酸金属塩等が挙げられる。
【0143】
外添剤の添加量としては、着色粒子に対して0.1〜5質量%程度であることが好ましい。
【0144】
〈外添剤の添加工程〉
この工程は、乾燥処理された着色粒子に外添剤を添加する工程である。
【0145】
外添剤を添加するために使用される装置としては、タービュラーミキサー、ヘンシエルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの種々の公知の混合装置を挙げることができる。
【0146】
(トナー粒子)
本発明のトナーの粒径は、個数平均粒径で3〜10μmであることが好ましく、より好ましくは3〜8μmとされる。この粒径は、着色粒子の製造方法において、凝集剤(塩析剤)の濃度や有機溶媒の添加量、融着時間、重合体の組成によって制御することができる。
【0147】
尚、外添剤の粒子は非常に微粒子なので、着色粒子に外添剤を添加して得られたトナーと着色粒子そのままの粒径は、測定結果ほぼ同じである。
【0148】
個数平均粒径が3〜10μmであることにより、定着工程において、飛翔して加熱部材に付着し定着オフセットを発生させる付着力の大きいトナー微粒子が少なくなり、又、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドット等の画質が向上する。
【0149】
トナーの個数平均粒径は、「コールターカウンターTA−II」、「コールターマルチサイザー」(コールター株式会社製)、レーザー回折式粒径測定装置「SLAD1100」(島津製作所株式会社製)等を用いて測定することができる。
【0150】
本発明においては、「コールターマルチサイザー」を用い、粒度分布を出力する「インターフェース」(日科機株式会社製)、パーソナルコンピューターを接続して使用した。前記「コールターマルチサイザー」におけるアパーチャーとしては、100μmのものを用いて、2μm以上(例えば2〜40μm)のトナーの体積分布を測定して粒度分布および平均粒径を算出した。
【0151】
(現像剤)
本発明のトナーは、一成分現像剤として、或いは二成分現像剤として用いることができる。
【0152】
一成分現像剤としては、具体的には非磁性一成分現像剤、或いはトナー中に0.1〜0.5μm程度の磁性粒子を含有させ磁性一成分現像剤が挙げられ、いずれも用いることができる。
【0153】
又、このトナーは、キャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。この場合は、キャリアの磁性粒子として、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料を用いることができ、これらの中ではフェライト粒子が好ましい。上記磁性粒子の体積平均粒径は15〜100μmのものが好ましく、25〜80μmのものがより好ましい。
【0154】
キャリアの体積平均粒径の測定は、湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス」(シンパティック株式会社製)により測定することができる。
【0155】
キャリアは、磁性粒子が更に樹脂により被覆されているもの、あるいは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。被覆用の樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、具体的には、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂或いはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。又、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、具体的には、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
【0156】
(画像形成方法)
次に、本発明のトナーを用いる画像形成方法及び画像形成装置について説明する。
【0157】
図1は、本発明のトナーを用いる画像形成方法の一例を示す画像形成装置の断面構成図である。
【0158】
図1に示す画像形成装置は、デジタル方式による画像形成装置であって、画像読取り部A、画像処理部B(図示省略)、画像形成部C、転写紙搬送手段としての転写紙搬送部Dから構成されている。
【0159】
画像読取り部Aの上部には原稿を自動搬送する自動原稿送り手段が設けられていて、原稿載置台111上に載置された原稿は原稿搬送ローラ112によって1枚宛分離搬送され読み取り位置113aにて画像の読み取りが行われる。原稿読み取りが終了した原稿は原稿搬送ローラ112によって原稿排紙皿114上に排出される。
【0160】
一方、プラテンガラス113上に置かれた場合の原稿の画像は走査光学系を構成する照明ランプ及び第1ミラーから成る第1ミラーユニット115の速度vによる読み取り動作と、V字状に位置した第2ミラー及び第3ミラーから成る第2ミラーユニット116の同方向への速度v/2による移動によって読み取られる。
【0161】
読み取られた画像は、投影レンズ117を通してラインセンサである撮像素子CCDの受光面に結像される。撮像素子CCD上に結像されたライン状の光学像は順次電気信号(輝度信号)に光電変換されたのちA/D変換を行い、画像処理部Bにおいて濃度変換、フィルタ処理などの処理が施された後、画像データは一旦メモリに記憶される。
【0162】
画像形成部Cでは、画像形成ユニットとして、像担持体であるドラム状の感光体(以下、感光体ドラムとも云う)121と、その外周に、帯電手段である帯電器122、現像手段である現像装置123、転写手段である転写器124、分離手段である分離器125、クリーニング装置(ブレードクリーニング)126及びPCL(プレチャージランプ)127が各々動作順に配置されている。感光体121は、光導電性化合物をドラム基体上に塗布形成したもので、例えば有機感光体(OPC)が好ましく使用され、図示の時計方向に駆動回転される。
【0163】
回転する感光体121へは帯電器122による一様帯電がなされた後、露光光学系130により画像処理部Bのメモリから呼び出された画像信号に基づいた像露光が行われる。書き込み手段である露光光学系130は図示しないレーザーダイオードを発光光源とし、回転するポリゴンミラー131、fθレンズ(符号なし)、シリンドリカルレンズ(符号なし)を経て反射ミラー132により光路が曲げられ主走査がなされるもので、感光体121に対してAoの位置において像露光が行われ、感光体121の回転(副走査)によって潜像が形成される。本実施の形態の一例では文字部に対して露光を行い潜像を形成する。
【0164】
感光体121上の潜像は現像装置123によって反転現像が行われ、感光体121の表面に可視像のトナー像が形成される。転写紙搬送部Dでは、画像形成ユニットの下方に異なるサイズの転写紙Pが収納された転写紙収納手段としての給紙ユニット141(A)、141(B)、141(C)が設けられ、又側方には手差し給紙を行う手差し給紙ユニット142が設けられていて、それらの何れかから選択された転写紙Pは案内ローラ143によって搬送路140に沿って給紙され、給紙される転写紙の傾きと偏りの修正を行うレジストローラ対144によって転写紙Pは一時停止を行ったのち再給紙が行われ、搬送路140、転写前ローラ143a及び転写進入ガイド板146に案内され、感光体121上のトナー画像が転写位置Boにおいて転写器124によって転写紙Pに転写され、次いで分離器125によって除電されて転写紙Pは感光体121面より分離し、搬送装置145により定着器150に搬送される。
【0165】
定着器150は定着ローラ151と加圧ローラ152とを有しており、転写紙Pを定着ローラ151と加圧ローラ152との間を通過させることにより、加熱、加圧によってトナーを熔着させる。トナー画像の定着を終えた転写紙Pは、排紙トレイ164上に排出される。
【0166】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
【0167】
《着色粒子1の調製》
(大粒径ラテックス(1HML)の調製)
〈1:樹脂粒子の調製(1段目の重合)〉
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5000mlのセパラブルフラスコに、アニオン系界面活性剤A(C10H21(OCH2CH2)2OSO3Na)2.5gをイオン交換水3040gに溶解した界面活性剤溶液(水系媒体)を仕込み、窒素気流下230rpmの攪拌速度で攪拌しながら、内温を80℃に昇温した。
【0168】
この界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)10.0gをイオン交換水400gに溶解した開始剤溶液を添加し、温度を75℃とした後、スチレン528g、n−ブチルアクリレート204g、メタクリル酸68.0g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル24.4gからなる単量体混合液を1時間かけて低速で撹拌している液中に滴下した。この系を75℃にて2時間にわたり加熱、攪拌することにより重合(1段目の重合)を行い、ラテックス(高分子量樹脂からなる樹脂粒子の分散液)を調製した。これを「大粒径ラテックス(1H)」とする。
【0169】
〈2:中間層の形成(2段目の重合)〉
攪拌装置を取り付けたフラスコ内において、スチレン95.0g、n−ブチルアクリレート36.0g、メタクリル酸9.0g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル0.59gからなる単量体混合液に、離型剤として前記例示化合物19)を77g添加し、90℃で加温、溶解して「単量体溶液1」を調製した。
【0170】
次いで、上記アニオン系界面活性剤Aの0.8gを、イオン交換水1560mlに溶解した界面活性剤溶液を98℃に加熱し、この界面活性剤溶液に、樹脂粒子の分散液である「大粒径ラテックス(1H)」を固形分換算で28g添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック株式会社製)により、上記調製した「単量体溶液1」を8時間混合分散し、均一な分散粒子径を有する乳化粒子(油滴)を含む乳化液を調製した。
【0171】
次いで、この乳化液に重合開始剤(KPS)5.0gをイオン交換水200mlに溶解した開始剤溶液とイオン交換水750mlとを添加し、この系を98℃にて12時間にわたり加熱攪拌することにより重合(2段目の重合)を行い、ラテックス(高分子量樹脂からなる樹脂粒子の表面が中間分子量樹脂により被覆された構造の複合樹脂粒子の分散液)を得た。これを「大粒径ラテックス(1HM)」とする。
【0172】
〈3:外層の形成(第3段目の重合)〉
上記調製した「大粒径ラテックス(1HM)」に、重合開始剤(KPS)6.8gをイオン交換水265mlに溶解した開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下で、スチレン249g、n−ブチルアクリレート88.2g、メタクリル酸19.4g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル7.45gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたり加熱攪拌することにより重合(3段目の重合)を行った後、28℃まで冷却し、ラテックス(高分子量樹脂からなる中心部と、中間分子量樹脂からなる中間層と、低分子量樹脂からなる外層とを有する)が含有されている複合樹脂粒子の分散液を得た。このラテックスを「大粒径ラテックス(1HML)」とする。
【0173】
「大粒径ラテックス(1HML)」の粒子径を「マイクロトラック UPA−150」(日機装株式会社製)で測定し、ピークを求めたところ、ピークは質量平均で700nmであった。
【0174】
(小粒径ラテックス(1HML)の調製)
〈1:樹脂粒子の調製(1段目の重合)〉
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5000mlのセパラブルフラスコに、アニオン系界面活性剤A(C10H21(OCH2CH2)2OSO3Na)5.0gをイオン交換水3040gに溶解した界面活性剤溶液(水系媒体)を仕込み、窒素気流下230rpmの攪拌速度で攪拌しながら、内温を80℃に昇温した。
【0175】
この界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)10.0gをイオン交換水400gに溶解した開始剤溶液を添加し、温度を75℃とした後、スチレン528g、n−ブチルアクリレート204g、メタクリル酸68.0g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル24.4gからなる単量体混合液を1時間かけて高速で撹拌している液中に滴下した。この系を75℃にて2時間にわたり加熱、攪拌することにより重合(第1段目の重合)を行い、ラテックス(高分子量樹脂からなる樹脂粒子の分散液)を調製した。これを「小粒径ラテックス(1H)」とする。
【0176】
〈2:中間層の形成(2段目の重合)〉
攪拌装置を取り付けたフラスコ内において、スチレン95.0g、n−ブチルアクリレート36.0g、メタクリル酸9.0g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル0.59gからなる単量体混合液に、離型剤として前記例示化合物19)を77g添加し、90℃で加温、溶解して「単量体溶液1」を調製した。
【0177】
次いで、上記アニオン系界面活性剤Aの1.5gを、イオン交換水1560mlに溶解した界面活性剤溶液を98℃に加熱し、この界面活性剤溶液に、樹脂粒子の分散液である「小粒径ラテックス(1H)」を固形分換算で28g添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック株式会社製)により、上記調製した「単量体溶液1」を8時間混合分散し、均一な分散粒子径を有する乳化粒子(油滴)を含む乳化液を調製した。
【0178】
次いで、この乳化液に重合開始剤(KPS)5.0gをイオン交換水200mlに溶解した開始剤溶液とイオン交換水750mlとを添加し、この系を98℃にて12時間にわたり加熱攪拌することにより重合(2段目の重合)を行い、ラテックス(高分子量樹脂からなる樹脂粒子の表面が中間分子量樹脂により被覆された構造の複合樹脂粒子の分散液)を得た。これを「小粒径ラテックス(1HM)」とする。
【0179】
〈3:外層の形成(3段目の重合)〉
上記調製した「小粒径ラテックス(1HM)」に、重合開始剤(KPS)6.8gをイオン交換水265mlに溶解した開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下で、スチレン249g、n−ブチルアクリレート88.2g、メタクリル酸19.4g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル7.45gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたり加熱攪拌することにより重合(3段目の重合)を行った後、28℃まで冷却し、ラテックス(高分子量樹脂からなる中心部と、中間分子量樹脂からなる中間層と、低分子量樹脂からなる外層とを有し、中間層に離型剤として例示化合物19)が含有されている複合樹脂粒子の分散液)を得た。このラテックスを「小粒径ラテックス(1HML)」とする。
【0180】
「小粒径ラテックス(1HML)」の粒径を「マイクロトラック UPA−150」(日機装株式会社製)で測定し、ピークを求めたところ、ピークは質量平均で120nmであった。
【0181】
(ラテックス(2L)の調製)
攪拌装置を取り付けたフラスコ内に、重合開始剤(KPS)14.8gをイオン交換水400mlに溶解した開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下で、スチレン600g、n−ブチルアクリレート190g、メタクリル酸30.0g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル20.8gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたり加熱攪拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却し、ラテックス(低分子量樹脂からなる樹脂粒子の分散液)を得た。このラテックスを「ラテックス(2L)」とする。
【0182】
この「ラテックス(2L)」を構成する樹脂粒子は、11,000に分子量ピークを有するものであり、又、この樹脂粒子の粒径を「マイクロトラック UPA−150」(日機装株式会社製)で測定したところ、質量平均粒径は120nmであった。
【0183】
(着色剤分散液(1)の調製)
アニオン界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム)59.0gをイオン交換水1600mlに撹拌溶解し、この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック420.0gを徐々に添加し、次いで分散機「クレアミックス」(エム・テクニック株式会社製)を用いて分散処理することにより、着色剤を分散した「着色剤分散液(1)」を調製した。
【0184】
(凝集・融着工程)
前記調製した「大粒径ラテックス(1HML)」84g(固形分換算)と、「小粒径ラテックス(1HML)」336g(固形分換算)と、イオン交換水900gと、上記調製した「着色剤分散液(1)」200gとを、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、攪拌装置を取り付けた反応容器(四つ口フラスコ)に入れ攪拌した。容器内の温度を30℃に調整した後、この溶液に5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを9.0に調整した。
【0185】
次いで、塩化マグネシウム・6水和物の12.1gをイオン交換水1000mlに溶解した水溶液を、攪拌下で30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この水溶液を60分間かけて90℃まで昇温し、粒子の成長を開始した。その状態で、「コールターカウンターTA−II」にて会合粒子の粒径を測定し、体積平均粒径が5.0μmになった時点で、停止剤として塩化ナトリウムの40.2gをイオン交換水1000mlに溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させた。さらに、熟成処理として、液温度98℃にて2時間にわたり加熱攪拌することにより融着を継続させた。その後、8℃/分の条件で30℃まで冷却した。
【0186】
(シェリング工程)
上記により、凝集・融着を行った粒子に、前記調製した「ラテックス(2L)」96gを添加し、3時間に亘り加熱、攪拌を継続し、「大粒径ラテックス(1HML)」と「小粒径ラテックス(1HML)」の凝集粒子表面に「ラテックス(2L)」をシェリングさせた。次いで、塩化ナトリウム40.2gを添加し、8℃/分の降温条件で30℃まで冷却し、次いで、塩酸を添加してpHを2.0に調整して、攪拌を停止した。
【0187】
以上のようにしてシェリングした融着粒子を濾過し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥することにより、「着色粒子1」を調製した。
【0188】
このようにして調製された「着色粒子1」の体積平均粒径は6.4μm、当該「着色粒子1」を構成する樹脂の質量平均分子量は55,000、当該樹脂のガラス転移温度(Tg)は57℃、当該樹脂の軟化点は125℃であった。
《着色粒子2の調製》
「着色粒子1の調製」において、「大粒径ラテックス(1HML)」と、「小粒径ラテックス(1HML)」の混合量を、「大粒径ラテックス(1HML)」84g(固形分換算)から42g(固形分換算)へ、「小粒径ラテックス(1HML)」336g(固形分換算)を378g(固形分換算)へ変更した以外は「着色粒子1の調製」と同様にして「着色粒子2」を調製した。
《着色粒子3の調製》
「着色粒子1の調製」において、「大粒径ラテックス(1HML)」と、「小粒径ラテックス(1HML)」の混合量を、「大粒径ラテックス(1HML)」84g(固形分換算)から8.4g(固形分換算)へ、「小粒径ラテックス(1HML)」336g(固形分換算)を411.6g(固形分換算)へ変更した以外は「着色粒子1の調製」と同様にして「着色粒子3」を調製した。
《着色粒子4の調製》
「着色粒子1の調製」において、「大粒径ラテックス(1HML)」と、「小粒径ラテックス(1HML)」の混合量を、「大粒径ラテックス(1HML)」84g(固形分換算)から2.1g(固形分換算)へ、「小粒径ラテックス(1HML)」336g(固形分換算)を417.9g(固形分換算)へ変更した以外は「着色粒子1の調製」と同様にして「着色粒子4」を調製した。
《着色粒子5の調製》
「着色粒子1の調製」において、「大粒径ラテックス(1HML)」と、「小粒径ラテックス(1HML)」の混合量を、「大粒径ラテックス(1HML)」84g(固形分換算)から168g(固形分換算)へ、「小粒径ラテックス(1HML)」336g(固形分換算)を252g(固形分換算)へ変更した以外は「着色粒子1の調製」と同様にして「着色粒子5」を調製した。
《着色粒子6の調製》
「着色粒子1の調製」において、「大粒径ラテックス(1HML)」と、「小粒径ラテックス(1HML)」の混合量を、「大粒径ラテックス(1HML)」84g(固形分換算)から0g(固形分換算)へ、「小粒径ラテックス(1HML)」336g(固形分換算)を420g(固形分換算)へ変更した以外は「着色粒子1の調製」と同様にして「着色粒子6」を調製した。
《着色粒子7の調製》
「着色粒子1の調製」において、「大粒径ラテックス(1HML)」と、「小粒径ラテックス(1HML)」の混合量を、「大粒径ラテックス(1HML)」84g(固形分換算)から420g(固形分換算)へ、「小粒径ラテックス(1HML)」336g(固形分換算)を0g(固形分換算)へ変更した以外は「着色粒子1の調製」と同様にして「着色粒子7」を調製した。
【0189】
《トナー、現像剤の調製》
上記で調製した「着色粒子1〜7」に、それぞれ疎水性シリカ(数平均一次粒子径:12nm、疎水化度:68)を1.0質量%及び疎水性酸化チタン(数平均一次粒子径:20nm、疎水化度:63)を1.2質量%添加し、ヘンシェルミキサーにより混合して、「トナー1〜7」を調製した。
【0190】
次いで、上記で調製した各トナーに対して、シリコーン樹脂を被覆した体積平均粒子径60μmのフェライトキャリアを混合し、それぞれトナー濃度が6%の「現像剤1〜7」を調製した。
【0191】
尚、着色粒子中の平均離型剤のドメイン径は前記「スピカ」で解析して算出、着色粒子の粒径は前記「コールターマルチサイザー」を用いて測定した。
【0192】
表1に着色粒子の添加、ラテックス粒子のピーク、全ラテックス中の大粒径ラテックス量、離型剤ドメイン径の大きさ、着色粒子粒径を示す。
【0193】
【表1】
【0194】
《評価結果》
〈耐定着オフセット性評価〉
デジタル複写機「7065」(コニカ株式会社製)を改造し、下記条件にて上記で調製した「トナー1〜7」の定着オフセットと定着ローラのトナー汚れ評価を行った。
【0195】
定着装置は定着ローラに接触しているクリーニング機構等を全て取り外し、定着ローラへは何も接触しないように改造した。複写環境は常温常湿(25℃、55%RH)に設定し、装備されている定着用の定着ローラの表面温度(ローラの中心部で測定)を150〜180℃の範囲で、10℃刻みで変化させ、各表面温度において、搬送方向に直交する位置に5mm幅のベタ黒帯状画像を有するA4サイズの普通紙を縦送りで搬送定着した後、搬送方向に直交する位置に5mm幅のベタ黒帯状画像と20mm幅のハーフトーン画像を有するA4サイズの普通紙を横送りで搬送し、得られた各サンプルについて、定着オフセットに起因する画像汚れ(定着オフセット)及び定着ローラ表面のトナー汚れを目視観察し、下記の基準に則り耐定着オフセット性の評価を行った。
【0196】
◎:定着オフセット及び定着ローラ表面のトナー汚れとも、全く発生は認められない
○:定着オフセット及び定着ローラ表面のトナー汚れとも、ほぼ発生は認められない
△:定着オフセットの発生は認められないが、定着ローラ表面のトナー汚れが認められる
×:定着オフセット及び定着ローラ表面のトナー汚れの発生が認められる
××:明らかな定着オフセットの発生が認められ、更に定着ローラ表面のトナー汚れが著しい
上記評価ランクにおいて、◎及び○が実用上許容の範囲にあると判定した。
【0197】
〈画像評価〉
トナーをリサイクル使用するデジタル複写機「コニカ7065」(コニカ株式会社製)を改造し、定着器の定着ローラ表面温度を170℃に設定した評価機を用い、常温常湿(20℃、55%RH)の環境下、上記で調製した「トナー1〜7」と「現像剤1〜7」を用い、画素率が7%のA4版画像を普通紙(64g/m2)に連続して10万枚プリントを行った。
【0198】
初期の画像かぶりは、10枚目プリントの非画像部のかぶりをルーペで評価した。
【0199】
定着ローラの定着オフセット汚染による画像かぶりは画像かぶりが発生した枚数で評価した。又、連続プリント中に発生した画像かぶりは画像かぶりが発生した枚数、画像濃度は10万枚プリント終了後のプリントの濃度で評価した。
【0200】
尚。かぶりは目視にて評価し、画像濃度は「マクベス濃度計」(マクベス株式会社製)で測定した。
【0201】
表2に、定着ローラの表面温度を変えたときの定着オフセットの発生状況、初期画像かぶり、定着ローラ汚染による画像かぶり発生枚数、連続プリントでの画像かぶり発生枚数、10万枚プリント後の画像濃度を示す。
【0202】
【表2】
【0203】
表2から明らかなように、本発明の「トナー1〜4」は、比較例の「トナー5〜7」に比較し、定着オフセットの発生しない定着温度範囲が広く、初期画像かぶりが少なく、連続プリントしても定着ローラ汚染による画像かぶりが発生せず、現像剤劣化によるかぶりや濃度低下が発生せず耐久性に優れた効果を有する。
【0204】
【発明の効果】
実施例で実証したごとく、本発明のトナー、該トナーの製造方法、それを用いた画像形成方法及び画像形成装置は、定着オフセットが発生しない温度領域が広く、初期画像かぶりが無く、且つ、大量のプリントを行っても高画質(画像かぶり、画像濃度低下)の画像が継続して得られる優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトナーを用いる画像形成方法の一例を示す画像形成装置の断面構成図である。
【符号の説明】
121 感光体
122 帯電器
123 現像装置
124 転写器
125 分離器
126 クリーニング装置
127 PCL(プレチャージランプ)
130 露光光学系
151 定着器
P 転写紙
Claims (5)
- 少なくとも樹脂、着色剤及び離型剤を含有する着色粒子を有する静電荷像現像用トナーにおいて、該着色粒子はラテックス粒子の凝集を得て作製され、該ラテックス粒子は、少なくとも50〜200nmと300〜3000nmの範囲に各々ピークを有する粒子の混合物で、該300〜3000nmの範囲にピークを有するラテックス粒子が、全ラテックス粒子の0.5〜30質量%であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
- 前記300〜3000nmの範囲にピークを有するラテックス粒子は、50〜200nmの範囲にピークを有するラテックス粒子より多量の離型剤を含有していることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 少なくとも樹脂、着色剤及び離型剤を含有する着色粒子を有する静電荷像現像用トナーの製造方法であり、着色粒子はラテックス粒子の凝集を得て作製され、該ラテックス粒子は、50〜200nmの範囲にピークを有するものと300〜3000nmの範囲にピークを有するものを別々に作製し、該300〜3000nmの範囲にピークを有するラテックス粒子が、全ラテックス粒子の0.5〜30質量%になるようブレンドして作製、或いは50〜200nmと300〜3000nmの範囲にピークを有し、該300〜3000nmの範囲にピークを有するラテックス粒子が、全ラテックス粒子全体の0.5〜30質量%有するものを1バッチで作製することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 帯電、像露光、現像、熱定着の各工程、必要に応じブレードクリーニングを加えた工程を経て画像を形成する画像形成方法において、現像工程で用いる静電荷像現像用トナーが請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナーであることを特徴とする画像形成方法。
- 帯電、像露光、現像、熱定着の各手段、必要に応じブレードクリーニングを加えた手段を経て画像を形成する画像形成装置において、現像手段で用いる静電荷像現像用トナーが請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナーであることを特徴とする画像形成装置。
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