JP2004176206A - 塗工用組成物及び記録媒体とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】顔料(a)とバインダー(b)と、置換コハク酸塩(c)及び/又はオレフィン・マレイン酸共重合体塩(d)を含有する塗工用組成物。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗工用組成物及び記録媒体とその製造方法に関する。更に詳細には、オフセット及びインクジェット方式の両方式で優れた印刷をすることのできる記録媒体を製造するための塗工用組成物、その塗工用組成物を塗工して製造される記録媒体及びその記録媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
オフセット方式の印刷は、大量化・多色化・高速化が可能という利点で、汎用されている。一方、インクジェット方式の印刷は、小型化や少ロット印刷における低コスト化が図れる利点から、パーソナルユースや商業用途として急速に普及している。
【0003】
オフセット方式とインクジェット方式の印刷は、それぞれの長所が発揮される用途で使い分けられており、それぞれの方式別にマッチングした記録媒体を設計し、使用されている。
【0004】
オフセット方式の印刷に使用される記録媒体としては、アート紙、コート紙、微塗工紙のような、クレーや炭酸カルシウムなどの顔料を、スチレン・ブタジエンや変性澱粉などの合成/天然高分子等のバインダーとともに塗工した紙が知られている。これらのオフセット方式の印刷に使用される記録媒体にインクジェット方式で印刷した場合、画像品位が極端に悪い印刷物となっていた。特に、線や文字を印字した際のインクにじみ(フェザリング)現象や、インクの裏抜け現象、異色インクを隣り合わせに印字した際の境界にじみ現象が発生していた。
【0005】
インクジェット方式の印刷に使用される記録媒体としては、マット紙、光沢紙、半光沢紙のようなシリカやアルミナなどの多孔質顔料を、ポリビニルアルコールや変性澱粉などの合成/天然高分子とともに塗工した塗工紙が知られている。
また、インクジェット方式の印刷に使用される記録媒体には、インク色材としてアニオン性の水溶性染料が使用されるケースが多いため、画像耐水性を付与する目的で、例えば、ポリカチオン高分子電解質を少なくともその表面に含有する記録媒体を用いる方法(例えば、特許文献1参照)、陽イオン性界面活性剤を少なくともその表面に含有する記録媒体を用いる方法(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
【特許文献1】
特開昭56−84992号
【特許文献2】
特開昭56−99693号
【0006】
これらの方法により得られる記録媒体は、インクジェット方式で印刷した場合、確かにインク耐水性は改善されるものの、一方で前記のポリカチオン高分子電解質や陽イオン界面活性剤を使用することで記録媒体の表面強度の低下が起きる。そのため、オフセット方式にて印刷した場合には、ピッキング現象が発生し、画像品位や作業性を著しく低下させ、とてもオフセット方式の印刷に耐えうるものではない。
このため、従来は、オフセット方式またはインクジェット方式の印刷ではそれぞれ専用の記録媒体を区別して使用しているのが現状であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、オフセット及びインクジェット方式の印刷における前記欠点を同時に解決するような塗工用組成物、記録媒体及びその製造方法を提供することを課題とするものである。すなわち、オフセット方式及びインクジェット方式で優れた印刷をすることができる記録媒体を製造するための塗工用組成物、その塗工用組成物を塗工して製造される記録媒体及びその記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前述した従来技術の課題を解決するために、鋭意研究した結果、以下に示す特定の塗工用組成物を塗工した記録媒体が、前記従来技術の課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の第1の手段は、
(1)顔料(a)とバインダー(b)と、置換コハク酸塩(c)及び/又はオレフィン・マレイン酸共重合体塩(d)を含有することを特徴とする塗工用組成物である。
本発明の第2の手段は、
(2)置換コハク酸(c)塩が、炭素数8〜18の分岐型アルキル基を含有することを特徴とする前記第(1)に記載の塗工用組成物である。
本発明の第3の手段は、
(3)オレフィンがジイソブチレンであることを特徴とする前記第(1)に記載の塗工用組成物である。
本発明の第4の手段は、
(4)顔料(a)100重量部に対して、置換コハク酸塩(c)とオレフィン・マレイン酸共重合体塩(d)の合計量が、0.01〜1重量部含有されてなることを特徴とする前記第(1)〜第(3)のいずれかに記載の塗工用組成物である。
本発明の第5の手段は、
(5)顔料(a)が、炭酸カルシウム及び/又はクレーであることを特徴とする前記第(1)〜第(4)のいずれかに記載の塗工用組成物である。
本発明の第6の手段は、
(6)オフセット及びインクジェット方式で印刷する共用記録媒体であることを特徴とする前記第(1)〜第(5)のいずれかに記載の塗工用組成物である。
本発明の第7の手段は、
(7)前記第(1)〜第(6)のいずれかに記載の塗工用組成物を含有する液を塗工してなることを特徴とする記録媒体である。
本発明の第8の手段は、
(8)オフセット及びインクジェット方式で印刷する共用記録媒体であることを特徴とする前記第(7)に記載の記録媒体である。
本発明の第9の手段は、
(9)前記第(1)〜第(5)のいずれかに記載の塗工用組成物を含有する液を塗工することを特徴とする記録媒体の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に本発明を詳細に説明する。本発明の塗工用組成物は、顔料(a)とバインダー(b)と置換コハク酸塩(c)及び/又はオレフィン・マレイン酸共重合塩(d)を含有することを特徴とする。
【0011】
まず、本発明に使用する顔料(a)について説明する。
顔料(a)としては、炭酸カルシウム、クレー、タルク、サチンホワイト、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルウム、合成シリカ、アルミナ等の無機顔料、及びスチレン系ポリマー、尿素系ポリマー等の有機顔料があり、これらの顔料のうち1種類または2種類以上を混合して使用することができるが、中でも安価で調達が容易な炭酸カルシウム及び/又はクレーを使用することが好ましい。
【0012】
次に、本発明に使用するバインダー(b)について説明する。
バインダー(b)としては、水性バインダーが好ましい。水性バインダーとしては澱粉、変性澱粉(例えば、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、酵素変性澱粉、アルファー化澱粉、カチオン化澱粉が挙げられる)、カゼイン、ゼラチン、大豆タンパク、酵母タンパク、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる)等の天然高分子化合物あるいはその誘導体、及びスチレン・ブタジエン系樹脂、(メタ)アクリレート・ブタジエン系樹脂、(メタ)アクリレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、スチレン・(メタ)アクリレート系樹脂、スチレン・マレイン酸系樹脂、エチレン・酢酸ビニル系樹脂等の合成高分子化合物が例示される。なかでも、オフセット方式での印刷適性を考慮した場合、スチレン・ブタジエン系樹脂と変性澱粉を併用して使用することが好ましい。
【0013】
本発明の塗工用組成物に含有するバインダー(b)量としては、固形分比で顔料(a)100重量部に対して、3〜50重量部、好ましくは3〜30重量部の範囲であることが好ましい。3重量部未満では記録媒体の表面強度が不足し、オフセット方式での印刷適性が低下する場合があり、また50重量部よりも多くなると、インクの浸透性が遅くなるため、インクジェット方式での印刷適性が低下する場合がある。
【0014】
次に本発明に使用する置換コハク酸塩(c)について説明する。
置換コハク酸塩(c)は、直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アラルケニル基を有する置換コハク酸あるいは置換コハク酸無水物をアルカリ物質にて水溶液化することによって調製できる。アルカリ物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン等の低級アルキルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン、等が使用可能であり、これら1種類または2種類以上を併用して使用することができる。これらのアルカリ物質のなかでも、特に水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが経済的に好ましい。
【0015】
上記置換コハク酸及び該無水物としては、例えば、オレフィン、内部オレフィンまたはプロピレンやブタジエン等のオリゴマーとマレイン酸あるいは無水マレイン酸を付加反応されることで得られるアルケニルコハク置換酸及びその無水物、またはアルケニルコハク置換酸及び該無水物を水素転化して得られるアルキル置換コハク酸及び該無水物、芳香環を有するオレフィン化合物から誘導されるアラルキル置換コハク酸及び該無水物、アラルケニル置換コハク酸及び該無水物等を挙げることができる。
【0016】
具体的には、オクテニルコハク酸及び該無水物、オクチルコハク酸及び該無水物、ノネニルコハク酸及び該無水物、ノニルコハク酸及び該無水物、デセニルコハク酸及び該無水物、デシルコハク酸及び該無水物、ドデシルコハク酸及び該無水物、ペンタデカニルコハク酸及び該無水物、ペンタデシニルコハク酸及び該無水物、ヘキサデセニルコハク酸及び該無水物、ヘキサデシルコハク酸及び該無水物、オクタデセニルコハク酸及び該無水物、オクタデシルコハク酸及び該無水物を挙げることができる。これらの1種または2種以上を併用して使用することができる。
【0017】
上記置換コハク酸塩(c)の中でも、炭素数8〜18の分岐型アルキル基を有した置換コハク酸が、インクジェット方式での印刷時のフェザリング防止効果において優れており、好ましい。
【0018】
本発明の塗工用組成物に含有する置換コハク酸塩(c)量としては、固形分比で顔料(a)100重量部に対して、0.01〜1重量部が好ましい。この範囲外では、オフセット方式またはインクジェット方式の印刷適性を満足できないことがある。
【0019】
次に本発明に使用するオレフィン・マレイン酸共重合体塩(d)について説明する。
オレフィン・マレイン酸共重合体塩(d)は、オレフィンと無水マレイン酸を反応させることで得られる重合体をアルカリ物質にて水溶液化することによって調製できる。アルカリ物質としては、上記置換コハク酸塩(c)を調製する際に使用するアルカリ物質を使用することができ、なかでも水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが経済的に好ましい。
【0020】
オレフィンとしては、α―オレフィン型、内部オレフィン型、直鎖もしくは分岐鎖を有する全てのオレフィンが使用可能であるが、炭素数8〜20のオレフィンが実用上、好ましい。具体的には、オクテン、ノネン、デセン、ドデセン、テトラデセン、ペンタデセンヘキサデセン、またブテン、イソブテン、プロピレン等の多量体からなるオレフィンを挙げることができる。
【0021】
オレフィンのなかでも、分岐鎖を有するオレフィン、特にイソブチレンの2量体であるジイソブチレンが、インクジェット方式での印刷時のフェザリング防止効果において優れており、好ましい。
【0022】
オレフィンと無水マレイン酸の重合は、適当な重合開始剤の存在下、共重合せしめることにより容易に製造することができる。重合方法としては、特に制限はされず、バルク重合、溶液重合等の方法を適宜選択できる。溶液重合の場合には、溶媒として、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン等の低級ケトン、酢酸エチル、クロロホルム、ジメチルホルムアミド等を挙げるができ、これら1種または2種以上を併用して使用することができる。
【0023】
重合開始剤についても特に制限はされず、ベンゾイルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、第三ブチルパーオキシド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等、その他レドックス触媒のいずれをも使用することができる。また、重合に際して、メルカプタン類、第二アルコール類、四塩化炭素等の連鎖移動剤を用いることもできる。
【0024】
重合温度は、通常80〜140℃、反応時間は2〜20時間程度である。重合体の分子量についても特に制限はされないが、通常は1,000〜1,000,000程度、好ましくは2,000〜100,000である。分子量が1,000未満では、本発明の目的に対して十分な効果が得られない場合があり、また1,000,000を越えると、重合体をアルカリ物質で中和した際の水溶液の粘度が高くなり、作業性が困難になる場合がある。
【0025】
本発明の塗工用組成物に含有するオレフィン・マレイン酸共重合体塩(d)量としては、固形分比で顔料(a)100重量部に対して、0.01〜1重量部が好ましい。この範囲外では、オフセット方式またはインクジェット方式での印刷適性を満足できないことがある。
本発明の塗工用組成物に含有する置換コハク酸塩(c)量とオレフィン・マレイン酸共重合体塩(d)量を併用する場合の合計量は固形分費で顔料(a)100重量部に対して0.01〜1重量部である。この範囲外では、オフセット方式またはインクジェット方式での印刷適性を満足できないことがある。
【0026】
本発明の塗工用組成物は、前記顔料(a)とバインダー(b)と、置換コハク酸塩(c)及び/又はオレフィン・マレイン酸共重合体塩(d)を含有してなるが、それ以外に分散剤、滑剤、増粘剤、減粘剤、消泡剤、抑泡剤、防腐剤、防カビ剤、保水剤、染料、導電剤、及びpH調整剤等の各種助剤も必要に応じて適宜配合することができる。また、本発明の目的を阻害しない範囲で、従来から使用されている塗工用樹脂組成物を併用することができる。
【0027】
本発明の塗工用組成物を調製するには、たとえば前記顔料(a)を水中に分散させ、これに前記バインダー(b)、及び必要に応じて粘度調節剤等の助剤を加え、更に置換コハク酸塩(c)又は/及びオレフィン・マレイン酸共重合体塩(d)を加えて攪拌し、更に必要に応じてpH調整剤でpHを調整する。尚、前記バインダー(b)、置換コハク酸塩(c)、オレフィン・マレイン酸共重合体塩(d)は、作業性の観点から溶液もしくは分散液の状態で加えるのが好ましいが、粉末の状態で加えても良い。本発明の塗工用組成物は、塗工適性を考慮して適宜固形分濃度と粘度を調整することができるが、一般的には濃度20〜70重量%、粘度50〜5,000mPa・s程度である。
【0028】
本発明の記録媒体は、上記塗工用組成物を含有する液を塗工して製造することができるが、塗工量としては基材の片面あたり固形分で5〜30g/m2、好ましく10〜25g/m2である。
【0029】
本発明の記録媒体の製造方法は、上記塗工用組成物を含有する液を基材に塗工して記録媒体を製造する方法である。基材としては、紙が代表的であり好ましいが、布、樹脂、フィルム及び合成紙などの材料を選択することができる。また、本発明の目的を阻害しない範囲で、ガラス繊維、ロックウール、シリカ・アルミナシリケート繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、チタン酸カルシウム繊維等の無機繊維を1種類または2種類以上を併用することもできる。
【0030】
基材として紙を用いる場合には、その紙のパルプ原料としては、クラフトパルプやサルファイトパルプ等の化学パルプの晒または未晒パルプ、砕木パルプ、機械パルプ及びサーモメカニカルパルプ等の高収率パルプの晒または未晒パルプ、及び新聞古紙、段ボール古紙及び脱墨古紙等の古紙パルプが挙げられる。
【0031】
また、基材として紙を用いる場合には前記パルプ原料に加え、填料、染料、酸性抄紙用ロジン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー系の中性抄紙用サイズ剤、アルケニルコハク酸無水物系の中性抄紙用サイズ剤、及び中性抄紙用ロジン系サイズ剤、ポリアクリルアミド等の乾燥紙力剤、ポリアミドエピクロロヒドリン等の湿潤紙力剤、歩留り向上剤、濾水性向上剤、及び消泡剤等の添加物を、要求される物性を発現するために、必要に応じて使用することができる。
【0032】
填料としては、クレー、タルク、酸化チタン、アルミナ、炭酸カルシウム、及びシリカ等が挙げられる。これらを併用することもできる。
【0033】
基材に塗工する際の塗工機としては、サイズプレス、フィルムプレス、ゲートロールコーター、ビルブレードコーター、ドクターコーター、ブラシコーター、バーコーター、ロールコーター、カーテンコーター、ナイフコーター、、エアーナイフコーター及びカレンダー等の通常用いられる塗工装置が挙げられる。また、スプレー塗工機により基材表面に塗工することもできる。
また、オンマシン塗工及びオフマシン塗工のいずれの塗工方法も適用でき、一層塗工にも多層塗工にも適用できる。さらに、片面塗工、両面塗工のいずれにも適用可能である。
【0034】
塗工後の乾燥は、例えばガスヒーター、電気ヒーター、蒸気加熱ヒーター、赤外線ヒーター、及び熱風加熱ヒーター等、通常用いられる装置によって行うことができる。乾燥後は、必要に応じてスーパーカレンダー、水カレンダー、グロスカレンダー等の仕上げ装置を通して光沢を付与することができる。
【0035】
上記のようにして得られた本発明の記録媒体は、オフセット及びインクジェット方式での印刷の使用が可能となる。なお、本発明の記録媒体は、オフセット及びインクジェット方式の印刷用に限定されるものではない。
【0036】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の実施の形態を説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、%は特に断わりがない限り重量%を意味する。以下の実施例及び比較例における諸物性は次のように評価した。
【0037】
(1)オフセット方式での印刷適性
表面強度:RI印刷機(石川島産業機械株式会社製のRI−1型)を使用し、塗工面を給水ロールで湿潤させた後に印刷して、紙剥け状態を肉眼で観察し判定した。判定は、優5〜劣1であり、数値が大きいほど紙剥けが少なく、表面強度に優れていることを表す。本発明の目的を達成できるレベルとしては4以上である。
【0038】
(2)インクジェット方式での印刷適性
フェザリング:セイコーエプソン社製のインクジェットプリンターPM−770C(専用インク使用)を使用して、ブラックインクにて文字、線を印刷し、インクのにじみ状態を肉眼で観察し判定した。判定は、J.TAPPI 12に準じて、優6〜劣0とし、数値が大きいほどインクにじみが少なく、インクジェット方式での印刷適性が良好であることを示す。
【0039】
境界にじみ:セイコーエプソン社製のインクジェットプリンターPM−770C(専用インク使用)を使用して、ブラックインクとイエローインクを隣併せに印刷し、境界部分でのインクのにじみ状態を肉眼で観察し判定した。判定は、優5〜劣1に至る等級により段階的に評価した。数値が大きいほど境界にじみの発生が少なく、インクジェット方式での印刷適性が良好であることを示す。本発明の目的を達成するレベルとしては、4以上である。
【0040】
(ジイソブチレン・マレイン酸共重合体塩(d−1)の合成例)
攪拌器、温度計、窒素冷却管及び窒素導入管を備えた1リットルの四つ口フラスコに、トルエン44重量部、ジイソブチレン50重量部、無水マレイン酸50重量部及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル3.3重量部を加え、攪拌しながら加熱し、温度を80℃にまで上昇させた。その後3時間同温度に保持して反応を完結させた。その後、48%水酸化カリウム水溶液82重量部(無水マレイン酸に対して50モル%)、水251重量部を加え、トルエンを留去した。その後48%水酸化カリウム水溶液を無水マレイン酸に対して合計で100モル%となるように加え、水で希釈し、共重合体の固形分濃度が20%になるように調製し、ジイソブチレン・マレイン酸共重合体のカリウム塩水溶液(d−1)を得た。共重合体中のモノマー構成比は重量比でジイソブチレン:マレイン酸=50:50であった。
【0041】
<実施例1>
顔料(a)成分、バインダー(b)成分、(c)成分、(d)成分、その他の成分を、下記に示す種類及び割合(固形分)で配合し、次いで全固形分濃度が50%、pHが9になるように、水及び30%苛性ソーダ水溶液を用いて調製し、塗工用組成物Aを得た。
【0042】
<顔料(a)>合計100部
クレー:ウルトラホワイト(米国エンゲルハルト・ミネラルズ社製)…50部
炭酸カルシウム:FMT−90(株式会社ファイマテック製)…50部
<バインダー(b)>合計16部
スチレン・ブタジエン系ラテックス:JSR−0668(JSR株式会社製) …12部
エステル化澱粉:MS−4600(日本食品化工株式会社製)…4部
<(c)成分>
C14分岐型ASAK(平均炭素数が14の分岐型アルキル鎖を有する置換コハク酸の水酸化カリウム中和水溶液)…0.1部
<その他の成分>
分散剤:アロンT−40(東亜合成株式会社製)…0.05部
【0043】
<実施例2、3>
表1に示すように顔料(a)及び(c)成分の量並びに塗工用組成物の固形分濃度を変更した以外は、実施例1と同様にして、塗工用組成物B(実施例2)及び塗工用組成物C(実施例3)を得た。
【0044】
<実施例4>
(c)成分として炭素数18の直鎖型アルキル基を有する置換コハク酸の水酸化カリウム中和水溶液(C18直鎖ASAK)を使用した以外は、実施例1と同様にして、塗工用組成物Dを得た。
【0045】
<実施例5>
(c)成分の代わりに(d)成分として上記合成例により得られたジイソブチレン・マレイン酸共重合体塩(d−1)を使用した以外は、実施例1と同様にして、塗工用組成物Eを得た。
【0046】
<実施例6>
表1に示すように顔料(a)及びバインダー(b)の種類と塗工用組成物の固形分濃度を変更した以外は、実施例1と同様にして、塗工用組成物Fを得た。
【0047】
<比較例1>
表1に示すように(c)成分を使用しない以外は実施例1と同様にして塗工用組成物mを得た。
【0048】
<実施例7>
NBKP20部、LBKP80部からなる混合パルプをカナディアン・スタンダード・フリーネスが400となるように叩解し、硫酸バンド1.5部、カチオン化澱粉1部、内添サイズ剤としてCC−167(中性ロジンサイズ剤:日本PMC社製)を0.2部を加えて調製した紙料を用いて、ノーブル・アンド・ウッド抄紙機にて常法により坪量80g/m2の基材を得た。この基材の片面に、実施例1で得た塗工用組成物Aをバーコーターにて、固形分の塗工量が12g/m2になるように塗工した。塗工後直ちに120℃にて3秒間、熱風乾燥機にて乾燥させた。次いで,温度23℃、相対湿度50%にて、24時間調湿し、さらにロール温度60℃、線圧20N/mの条件で2回カレンダー処理を行い、記録媒体Gを得た。得られた記録媒体Gを、温度23℃、相対湿度50%にて24時間調湿した後に、評価試験に供した。評価試験の結果を表2に示す。
【0049】
<実施例8〜12、比較例2>
塗工用組成物Aの代わりに、実施例2〜6で得た塗工用組成物B〜F及び比較例1で得た塗工用組成物mを用いた以外は実施例7と同様にして記録媒体H〜L(実施例8〜12)、n(比較例2)を得た。評価試験の結果を表2に示す。
【0050】
実施例7〜12は、表面強度に優れ、かつフェザリングや境界にじみの発生が少なく、オフセット及びインクジェット方式での印刷適性に優れていた。実施例7〜12は、オフセット及びインクジェット方式で印刷する共用記録媒体として好適であることがわかった。
【0051】
置換コハク酸塩(c)を使用していない比較例2は、フェザリング及び境界にじみが発生しており、インクジェット方式での印刷適性に劣ることがわかる。
【0052】
<比較例3>
市販のインクジェット方式で印刷する専用紙(セイコーエプソン(株)製のスーパーファイン紙:KA4250NSF)を用いて、各種試験に供した。
比較例3は、フェザリングや境界にじみの発生が少なくインクジェット方式での印刷適性に優れているが、表面強度が低くオフセット方式での印刷適性に劣っている。
【0053】
<比較例4>
市販のオフセット方式で印刷する専用紙(コクヨ(株)製のKB−PF38)を用いて、各種試験に供した。
比較例4は、表面強度が高くオフセット方式での印刷適性に優れているが、フェザリングや境界にじみの発生がひどく、インクジェット方式での印刷適性に劣っていた。
【0054】
【表1】
塗工用組成物
【0055】
【表2】
オフセット印刷適性及びインクジェット印刷適性
【0056】
【発明の効果】
本発明によると、オフセット方式で印刷した場合は印刷適性(表面強度)に優れるとともに、インクジェット方式で印刷した場合も印刷適性(フェザリング及び境界にじみの発生が少ない)が優れるオフセット及びインクジェット方式で印刷する共用記録媒体用として用いることが可能な塗工用組成物、前記塗工用組成物を塗工して製造される記録媒体、及びその記録媒体の製造方法を提供できる。
Claims (9)
- 顔料(a)とバインダー(b)と、置換コハク酸塩(c)及び/又はオレフィン・マレイン酸共重合体塩(d)を含有することを特徴とする塗工用組成物。
- 置換コハク酸塩(c)が、炭素数8〜18の分岐型アルキル基を含有することを特徴とする請求項1に記載の塗工用組成物。
- オレフィンがジイソブチレンであることを特徴とする請求項1に記載の塗工用組成物。
- 顔料(a)100重量部に対して、置換コハク酸塩(c)とオレフィン・マレイン酸共重合体塩(d)の合計量が、0.01〜1重量部含有されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の塗工用組成物。
- 顔料(a)が炭酸カルシウム及び/又はクレーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の塗工用組成物。
- オフセット及びインクジェット方式で印刷する共用記録媒体用であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の塗工用組成物。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の塗工用組成物を含有する液を塗工してなることを特徴とする記録媒体。
- オフセット及びインクジェット方式で印刷する共用記録媒体であることを特徴とする請求項7に記載の記録媒体。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の塗工用組成物を含有する液を塗工することを特徴とする記録媒体の製造方法。
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