JP2004176195A - 複合紡糸口金洗浄方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】極限粘度差のあるポリマーを複合して紡糸する際の、ニーリング現象による口金汚れ吐出細孔周囲の汚れに対する有効な洗浄方法を提供するものであり、清掃間隔の延長および、口金面連続使用時間の延長、紡糸した繊維の後工程での工程安定性の向上が可能となる。
【解決手段】極限粘度の異なる2種類のポリマーを複合し、吐出する吐出孔を備えた溶融紡糸口金の口金面を、該口金面に蒸発潜熱30kJ/mol以上の液体を塗布した後に、清掃することを特徴とする複合紡糸口金洗浄方法にある。
【選択図】 なし
【解決手段】極限粘度の異なる2種類のポリマーを複合し、吐出する吐出孔を備えた溶融紡糸口金の口金面を、該口金面に蒸発潜熱30kJ/mol以上の液体を塗布した後に、清掃することを特徴とする複合紡糸口金洗浄方法にある。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、極限粘度の異なる2種類のポリマーを複合し、吐出する吐出孔を備えた溶融紡糸口金における口金面の効率的な清掃方法に関し、清掃間隔の延長および、口金面連続使用時間の延長を可能ならしめる口金洗浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、布帛にストレッチ性を付与するために、極限粘度の異なる2種類のポリマーを複合し、潜在捲縮性能を有する繊維が開発されている。潜在捲縮性の発現は、極限粘度差が大きいほど大きくなる。極限粘度差のあるポリマーを複合して紡糸する場合、吐出ポリマーが極限粘度の高粘度成分側に曲がるニーリング現象(ベンディング現象)が発生する。
【0003】
捲縮性能を大きくするためには、極限粘度差を大きくした方が良いが、極限粘度が大きくなるとニーリングも大きくなり、吐出ポリマーが吐出孔の縁に接触しやすく、吐出孔周辺に低重合物、或いは劣化物などが堆積しやすくなり口金面を汚し、これが時間と共に熱変性固化堆積し、糸切れの発生が増加し、ノズル面の洗浄(スクレーピング)を頻繁に実施する必要があった。
【0004】
このため、口金面に対する汚れの付着を減少させる目的でシリコン化合物等の離型剤を塗布することが一般に溶融紡糸の口金洗浄方法として知られているが、ポリマー吐出を長時間継続すれば、口金汚れの生成は避けられず、時間経過と共に工程安定性が悪化する。
【0005】
このため、特許文献1には、紡糸口金にポリオルガノシロキサンを塗布した後にフッ化炭素を塗布する方法が記載されている。
【0006】
しかしこの方法では、かきとり清掃により口金汚れの一部は確かに除去され、再開した紡糸の安定性は清掃直前に比べると向上するが、紡糸を継続した場合、再び短時間の内に汚れの堆積が進行し、再度かきとり清掃が必要となり、短時間で口金の交換が必要となる。
【0007】
【特許文献1】特開昭51−19812号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであって、極限粘度差のあるポリマーを複合して紡糸する際の、ニーリング現象による口金汚れの有効な洗浄方法を提供するものであり、口金の清掃間隔の延長および、口金面連続使用時間の延長、紡糸した繊維の後工程での工程安定性の向上が可能となる。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、極限粘度の異なる2種類のポリマーを複合し、吐出する吐出孔を備えた溶融紡糸口金の口金面を、該口金面に蒸発潜熱30kJ/mol以上の液体を塗布した後に、清掃することを特徴とする複合紡糸口金洗浄方法にある。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のポリマーとしては、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンなどが挙げられるが、特にポリエステルが好ましい。極限粘度の異なる2種類のポリエステルポリマーとしては、例えば重合度の異なるポリマー、第3成分を共重合した固有粘度の高いエチレンテレフタレート単位主体の共重合ポリエステルとエチレンテレフタレート単位のみからなるポリエステルなどが挙げられる。
【0011】
なお、これらのポリマーは、その製造課程において含まれる熱分解安定剤や、使用目的に応じた耐光安定剤、つや消し剤、耐磨耗性向上剤などの添加剤が含有されていてもよい。
【0012】
また、複合の形態はサイドバイサイド型、偏心芯鞘型等が挙げられる。
【0013】
さらに本発明では、口金面に塗布する液体の蒸発潜熱が30kJ/mol以上であることが必要である。蒸発潜熱が30kJ/mol未満の液体を用いた場合は、十分な洗浄効果を得るために多量の液体の使用が必要となり、ノズル表面温度が低下するために、洗浄後の紡糸安定性が低下する。
【0014】
蒸発潜熱30kJ/mol以上の液体の塗布により口金汚れが除去されやすくなる理由は明確ではないが、蒸発潜熱30kJ/mol以上の液体の塗布により、該液体が蒸発する際の汚れ物質の急激な温度低下により、該汚れ物質が収縮して口金から剥離しやすくなることが考えられる。
【0015】
該液体の口金面への塗布方法としては液体を含浸させた物質で口金面を擦る方法も適用できるが、噴霧器からの噴霧によって塗布することが均一に塗布できる点から好ましい。
【0016】
このとき塗布する該液体の量は特に限定されないが、目安として口金表面温度の低下が3〜20℃の範囲であること、および、ノズル細孔周辺の汚れが塗布によりやや色相を変える量であることが好ましい。口金表面温度の低下が3〜20℃の範囲であれば、口金洗浄後、約2〜10分で元の定常時の温度に復帰し、安定した紡糸が可能となる。
【0017】
また、該液体の塗布による口金表面温度低下が3℃未満の場合は、洗浄効果が不充分になりやすく、表面温度低下が20℃を超えると、温度低下に基づく洗浄終了後の紡糸安定性の低下がおこりやすい。
【0018】
また、本発明でいう蒸発潜熱30kJ/mol以上の液体としては、水、エタノール、過酸化水素水、エチレングリコール等が挙げられるが、常温で液体である点、可燃性蒸気を発生しない点、経済的な点から水が好ましい。
【0019】
なお、蒸発潜熱は、それぞれの液体の沸点における値である。
【0020】
さらに本発明では液体塗布時の異物の混入による、洗浄不良、糸切れ等の工程安定性低下を防止する点から水中の浮遊物質および、全蒸発残留物が各々0.1%以下の水がより好ましい。
【0021】
なお、水中の浮遊物質および、全蒸発残留物の測定は、JIS K0101−1998工業用水試験方法に基づいて行った。
【0022】
本発明の複合紡糸口金洗浄方法は、溶融紡糸において口金の吐出細孔のまわりに、口金汚れが堆積し、ポリマーの吐出斑、ニーリング現象、糸切れなどの不安定現象が見られるに至った場合行うものであるが、蒸発潜熱30kJ/mol以上の液体を塗布した後の清掃方法としては、へらなどの道具により口金面を擦って少量のポリマーと共に口金汚れを除去する従来の方法で行えばよい。
【0023】
また、本発明の蒸発潜熱30kJ/mol以上の液体を塗布した後に洗浄を行う前に、へらなどの道具により口金面を擦って少量のポリマーと共に口金汚れを除去した後に、本発明の方法を行うことがより好ましい。
【0024】
本発明の口金洗浄を実施した後は、ポリマーの吐出を再開し、糸条引取りを行う。この吐出再開時には、改めて離型剤の塗布を行うのが紡糸安定性に有効である。
【0025】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明を説明する。評価は以下の方法で行った。
【0026】
(口金汚れ堆積物の厚さ)
紡糸を行った口金を取り外し、ポリマーの溶剤(ポリエステルの場合は、m−クレゾール)で加熱洗浄して付着ポリマーを除去し、アセトンで洗浄乾燥後、電子顕微鏡にて吐出細孔周りの汚れ堆積物の厚みの最大値を測定した。
【0027】
(延撚糸切れ回数)
紡糸巻取りによって得られた未延伸糸を、延伸機により熱延伸操作を行ったときに発生する糸切れを延伸糸1トン当たりの回数として示した。
【0028】
なお、糸切れにはフィラメント糸を構成する単繊維のうちの一部が切断する現象を含むものとする。
【0029】
(実施例1)
テレフタル酸と1.2倍モルのエチレングリコールを反応させて得た末端カルボシル基量が300ミリ当量/kgであるエチレンテレフタレートオリゴマーに対し、400ppmの3酸化アンチモン、100ppmのリン酸トリメチルと、5000ppmの酸化チタンをいずれも、エチレングリコールに溶解または、分散させた形で添加し、これにイソフタル酸を8モル%共重合した極限粘度が0.685(m−クレゾール溶液で25℃にて測定)の共重合ポリエチレンテレフタレートをA成分とした。
【0030】
同様に、第3成分を共重合していない極限粘度が0.516(m−クレゾール溶液で25℃にて測定)のポリエチレンテレフタレートをB成分として使用した。
【0031】
紡糸温度を290℃とし、紡糸吐出孔上流側でA,B成分が合流する吐出孔を24孔有する複合紡糸装置より、5:5の吐出量比率でA,B成分の接合型複合流を形成した。該紡出糸条を冷却・給油後、2100m/分の引き取り速度で巻取り220デシテックス24フィラメントの捲縮性複合ポリエステル繊維の未延伸糸を得た。
【0032】
紡糸開始時には、ポリオルガノシロキサンを口金に塗布した。
【0033】
紡糸開始から200時間経過した後、巻取り操作を中断し、ステンレス製巾2cmのへらを用いて、ポリオルガノシロキサンを噴霧してからかきとり操作を行い、更に水中の浮遊物質および、全蒸発残留物が各々0.1%以下である水の塗布を実施してから同様のかきとり操作による口金洗浄を行った。
【0034】
その後、巻取りを再開して紡糸開始から400時間経過した後、口金汚れ堆積物を測定する錘の口金は取り外し、口金汚れ堆積物の厚さを行った。紡糸を継続する錘は水の塗布を実施してから同様にステンレス製へらによる口金洗浄を行った。
【0035】
なお、水を塗布して口金洗浄を行う際の、口金表面の温度低下は6℃であり、洗浄終了した後7分後には、もとの温度へ復帰した。
【0036】
紡糸400時間経過した時点の吐出孔周辺の汚れ堆積物の厚さの測定結果と、紡糸から、400時間経過した時点で巻き取った未延伸糸を3倍延伸したときの糸切れ回数の結果を表1に示した。
【0037】
(比較例1)
実施例1において、紡糸から200時間、400時間経過した時点で、水の塗布を行わず、ポリオルガノシロキサン噴霧によるかきとりによる清掃のみを行った以外は実施例1同様に紡糸を行った。
【0038】
紡糸から400時間経過した時点の吐出孔周辺の汚れ堆積物の厚さの測定結果と、紡糸から400時間経過した時点で巻き取った未延伸糸を3倍延伸したときの糸切れ回数の結果を表1に示した。
【0039】
汚れ堆積物の厚さも大きく、口金面の汚れにより、得られた未延伸糸の延伸工程での糸切れ回数も大きなものとなった。
【0040】
【表1】
【0041】
【発明の効果】
本発明は、極限粘度差のあるポリマーを複合して紡糸する際の、ニーリング現象による口金汚れに対する有効な洗浄方法を提供するものであり、清掃間隔の延長および、口金面連続使用時間の延長、紡糸した繊維の後工程での工程安定性の向上が可能となる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、極限粘度の異なる2種類のポリマーを複合し、吐出する吐出孔を備えた溶融紡糸口金における口金面の効率的な清掃方法に関し、清掃間隔の延長および、口金面連続使用時間の延長を可能ならしめる口金洗浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、布帛にストレッチ性を付与するために、極限粘度の異なる2種類のポリマーを複合し、潜在捲縮性能を有する繊維が開発されている。潜在捲縮性の発現は、極限粘度差が大きいほど大きくなる。極限粘度差のあるポリマーを複合して紡糸する場合、吐出ポリマーが極限粘度の高粘度成分側に曲がるニーリング現象(ベンディング現象)が発生する。
【0003】
捲縮性能を大きくするためには、極限粘度差を大きくした方が良いが、極限粘度が大きくなるとニーリングも大きくなり、吐出ポリマーが吐出孔の縁に接触しやすく、吐出孔周辺に低重合物、或いは劣化物などが堆積しやすくなり口金面を汚し、これが時間と共に熱変性固化堆積し、糸切れの発生が増加し、ノズル面の洗浄(スクレーピング)を頻繁に実施する必要があった。
【0004】
このため、口金面に対する汚れの付着を減少させる目的でシリコン化合物等の離型剤を塗布することが一般に溶融紡糸の口金洗浄方法として知られているが、ポリマー吐出を長時間継続すれば、口金汚れの生成は避けられず、時間経過と共に工程安定性が悪化する。
【0005】
このため、特許文献1には、紡糸口金にポリオルガノシロキサンを塗布した後にフッ化炭素を塗布する方法が記載されている。
【0006】
しかしこの方法では、かきとり清掃により口金汚れの一部は確かに除去され、再開した紡糸の安定性は清掃直前に比べると向上するが、紡糸を継続した場合、再び短時間の内に汚れの堆積が進行し、再度かきとり清掃が必要となり、短時間で口金の交換が必要となる。
【0007】
【特許文献1】特開昭51−19812号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであって、極限粘度差のあるポリマーを複合して紡糸する際の、ニーリング現象による口金汚れの有効な洗浄方法を提供するものであり、口金の清掃間隔の延長および、口金面連続使用時間の延長、紡糸した繊維の後工程での工程安定性の向上が可能となる。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、極限粘度の異なる2種類のポリマーを複合し、吐出する吐出孔を備えた溶融紡糸口金の口金面を、該口金面に蒸発潜熱30kJ/mol以上の液体を塗布した後に、清掃することを特徴とする複合紡糸口金洗浄方法にある。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のポリマーとしては、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンなどが挙げられるが、特にポリエステルが好ましい。極限粘度の異なる2種類のポリエステルポリマーとしては、例えば重合度の異なるポリマー、第3成分を共重合した固有粘度の高いエチレンテレフタレート単位主体の共重合ポリエステルとエチレンテレフタレート単位のみからなるポリエステルなどが挙げられる。
【0011】
なお、これらのポリマーは、その製造課程において含まれる熱分解安定剤や、使用目的に応じた耐光安定剤、つや消し剤、耐磨耗性向上剤などの添加剤が含有されていてもよい。
【0012】
また、複合の形態はサイドバイサイド型、偏心芯鞘型等が挙げられる。
【0013】
さらに本発明では、口金面に塗布する液体の蒸発潜熱が30kJ/mol以上であることが必要である。蒸発潜熱が30kJ/mol未満の液体を用いた場合は、十分な洗浄効果を得るために多量の液体の使用が必要となり、ノズル表面温度が低下するために、洗浄後の紡糸安定性が低下する。
【0014】
蒸発潜熱30kJ/mol以上の液体の塗布により口金汚れが除去されやすくなる理由は明確ではないが、蒸発潜熱30kJ/mol以上の液体の塗布により、該液体が蒸発する際の汚れ物質の急激な温度低下により、該汚れ物質が収縮して口金から剥離しやすくなることが考えられる。
【0015】
該液体の口金面への塗布方法としては液体を含浸させた物質で口金面を擦る方法も適用できるが、噴霧器からの噴霧によって塗布することが均一に塗布できる点から好ましい。
【0016】
このとき塗布する該液体の量は特に限定されないが、目安として口金表面温度の低下が3〜20℃の範囲であること、および、ノズル細孔周辺の汚れが塗布によりやや色相を変える量であることが好ましい。口金表面温度の低下が3〜20℃の範囲であれば、口金洗浄後、約2〜10分で元の定常時の温度に復帰し、安定した紡糸が可能となる。
【0017】
また、該液体の塗布による口金表面温度低下が3℃未満の場合は、洗浄効果が不充分になりやすく、表面温度低下が20℃を超えると、温度低下に基づく洗浄終了後の紡糸安定性の低下がおこりやすい。
【0018】
また、本発明でいう蒸発潜熱30kJ/mol以上の液体としては、水、エタノール、過酸化水素水、エチレングリコール等が挙げられるが、常温で液体である点、可燃性蒸気を発生しない点、経済的な点から水が好ましい。
【0019】
なお、蒸発潜熱は、それぞれの液体の沸点における値である。
【0020】
さらに本発明では液体塗布時の異物の混入による、洗浄不良、糸切れ等の工程安定性低下を防止する点から水中の浮遊物質および、全蒸発残留物が各々0.1%以下の水がより好ましい。
【0021】
なお、水中の浮遊物質および、全蒸発残留物の測定は、JIS K0101−1998工業用水試験方法に基づいて行った。
【0022】
本発明の複合紡糸口金洗浄方法は、溶融紡糸において口金の吐出細孔のまわりに、口金汚れが堆積し、ポリマーの吐出斑、ニーリング現象、糸切れなどの不安定現象が見られるに至った場合行うものであるが、蒸発潜熱30kJ/mol以上の液体を塗布した後の清掃方法としては、へらなどの道具により口金面を擦って少量のポリマーと共に口金汚れを除去する従来の方法で行えばよい。
【0023】
また、本発明の蒸発潜熱30kJ/mol以上の液体を塗布した後に洗浄を行う前に、へらなどの道具により口金面を擦って少量のポリマーと共に口金汚れを除去した後に、本発明の方法を行うことがより好ましい。
【0024】
本発明の口金洗浄を実施した後は、ポリマーの吐出を再開し、糸条引取りを行う。この吐出再開時には、改めて離型剤の塗布を行うのが紡糸安定性に有効である。
【0025】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明を説明する。評価は以下の方法で行った。
【0026】
(口金汚れ堆積物の厚さ)
紡糸を行った口金を取り外し、ポリマーの溶剤(ポリエステルの場合は、m−クレゾール)で加熱洗浄して付着ポリマーを除去し、アセトンで洗浄乾燥後、電子顕微鏡にて吐出細孔周りの汚れ堆積物の厚みの最大値を測定した。
【0027】
(延撚糸切れ回数)
紡糸巻取りによって得られた未延伸糸を、延伸機により熱延伸操作を行ったときに発生する糸切れを延伸糸1トン当たりの回数として示した。
【0028】
なお、糸切れにはフィラメント糸を構成する単繊維のうちの一部が切断する現象を含むものとする。
【0029】
(実施例1)
テレフタル酸と1.2倍モルのエチレングリコールを反応させて得た末端カルボシル基量が300ミリ当量/kgであるエチレンテレフタレートオリゴマーに対し、400ppmの3酸化アンチモン、100ppmのリン酸トリメチルと、5000ppmの酸化チタンをいずれも、エチレングリコールに溶解または、分散させた形で添加し、これにイソフタル酸を8モル%共重合した極限粘度が0.685(m−クレゾール溶液で25℃にて測定)の共重合ポリエチレンテレフタレートをA成分とした。
【0030】
同様に、第3成分を共重合していない極限粘度が0.516(m−クレゾール溶液で25℃にて測定)のポリエチレンテレフタレートをB成分として使用した。
【0031】
紡糸温度を290℃とし、紡糸吐出孔上流側でA,B成分が合流する吐出孔を24孔有する複合紡糸装置より、5:5の吐出量比率でA,B成分の接合型複合流を形成した。該紡出糸条を冷却・給油後、2100m/分の引き取り速度で巻取り220デシテックス24フィラメントの捲縮性複合ポリエステル繊維の未延伸糸を得た。
【0032】
紡糸開始時には、ポリオルガノシロキサンを口金に塗布した。
【0033】
紡糸開始から200時間経過した後、巻取り操作を中断し、ステンレス製巾2cmのへらを用いて、ポリオルガノシロキサンを噴霧してからかきとり操作を行い、更に水中の浮遊物質および、全蒸発残留物が各々0.1%以下である水の塗布を実施してから同様のかきとり操作による口金洗浄を行った。
【0034】
その後、巻取りを再開して紡糸開始から400時間経過した後、口金汚れ堆積物を測定する錘の口金は取り外し、口金汚れ堆積物の厚さを行った。紡糸を継続する錘は水の塗布を実施してから同様にステンレス製へらによる口金洗浄を行った。
【0035】
なお、水を塗布して口金洗浄を行う際の、口金表面の温度低下は6℃であり、洗浄終了した後7分後には、もとの温度へ復帰した。
【0036】
紡糸400時間経過した時点の吐出孔周辺の汚れ堆積物の厚さの測定結果と、紡糸から、400時間経過した時点で巻き取った未延伸糸を3倍延伸したときの糸切れ回数の結果を表1に示した。
【0037】
(比較例1)
実施例1において、紡糸から200時間、400時間経過した時点で、水の塗布を行わず、ポリオルガノシロキサン噴霧によるかきとりによる清掃のみを行った以外は実施例1同様に紡糸を行った。
【0038】
紡糸から400時間経過した時点の吐出孔周辺の汚れ堆積物の厚さの測定結果と、紡糸から400時間経過した時点で巻き取った未延伸糸を3倍延伸したときの糸切れ回数の結果を表1に示した。
【0039】
汚れ堆積物の厚さも大きく、口金面の汚れにより、得られた未延伸糸の延伸工程での糸切れ回数も大きなものとなった。
【0040】
【表1】
【0041】
【発明の効果】
本発明は、極限粘度差のあるポリマーを複合して紡糸する際の、ニーリング現象による口金汚れに対する有効な洗浄方法を提供するものであり、清掃間隔の延長および、口金面連続使用時間の延長、紡糸した繊維の後工程での工程安定性の向上が可能となる。
Claims (3)
- 極限粘度の異なる2種類のポリマーを複合し、吐出する吐出孔を備えた溶融紡糸口金の口金面を、該口金面に蒸発潜熱30kJ/mol以上の液体を塗布した後に、清掃することを特徴とする複合紡糸口金洗浄方法。
- 蒸発潜熱30kJ/mol以上の液体として、水を用いる請求項1記載の複合紡糸口金洗浄方法。
- 水中の浮遊物質および、全蒸発残留物が各々0.1%以下である請求項2記載の複合紡糸口金洗浄方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002341247A JP2004176195A (ja) | 2002-11-25 | 2002-11-25 | 複合紡糸口金洗浄方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002341247A JP2004176195A (ja) | 2002-11-25 | 2002-11-25 | 複合紡糸口金洗浄方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004176195A true JP2004176195A (ja) | 2004-06-24 |
Family
ID=32703667
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002341247A Pending JP2004176195A (ja) | 2002-11-25 | 2002-11-25 | 複合紡糸口金洗浄方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004176195A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012071954A1 (zh) * | 2010-11-30 | 2012-06-07 | 江苏瑞泰科技有限公司 | 清洁化纤纺丝熔体熔融输送系统的方法 |
-
2002
- 2002-11-25 JP JP2002341247A patent/JP2004176195A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012071954A1 (zh) * | 2010-11-30 | 2012-06-07 | 江苏瑞泰科技有限公司 | 清洁化纤纺丝熔体熔融输送系统的方法 |
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