JP2004176149A - 加工用部材の局部的改質方法およびその利用 - Google Patents

加工用部材の局部的改質方法およびその利用 Download PDF

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Abstract

【課題】マグネシウム合金板等の加工用部材を局部的に改質する方法、かかる改質が施された加工用部材、その加工用部材の成形方法、該成形方法を利用して得られる成形体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】回転ツール10を回転させ、その先端を加工用部材(マグネシウム合金板等)50に挿入する。その状態で加工用部材材50を軟化させつつ回転ツール10を所定の経路Lに沿って移動させる。この移動経路Lは、板状の加工用部材50の面内に設定されている。かかる回転ツール処理が施された加工用部材50を、例えば100〜250℃の温度域で熱処理する。このようにして、回転ツール10を移動させた経路Lに沿って局部的に改質された部位を有する加工用部材50を得る。改質された加工用部材50は、この改質部位を含む部分で曲げ加工する用途等に適する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加工用部材(マグネシウム合金板等)を局部的に改質する方法、その改質方法によって改質された加工用部材、その改質方法を利用した成形方法、その成形方法を利用した成形体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】マグネシウム合金、アルミニウム合金等の軽金属材料からなる加工用部材の加工性を向上させる方法が種々提案されている。例えば下記特許文献1には、マグネシウム合金製の板材に圧延および熱処理を施して成形加工性を向上させる技術が開示されている。軽金属製加工用部材の加工性向上に関する他の先行技術文献としては特許文献2が挙げられる。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−294966号公報
【特許文献2】
特開昭63−89649号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、加工用部材(例えばマグネシウム合金製)に曲げ加工等を行う場合、その加工部分を選択的に改質(成形加工性等の物性の変化をいう。以下同じ。)させる一方、他の部分については当該加工用部材そのままの性質(例えば剛性)を維持させたい場合もある。
しかし、上述した特許文献に記載されている方法(加工性向上方法)のような従来の改質方法は、加工用部材全体の物性を変化させる方法であって、目的に応じて一部分のみを選択的に改質する方法ではない。
【0005】
そこで本発明は、マグネシウム合金板等の加工用部材を局部的に改質する方法および局部的な改質が施された加工用部材を提供することを目的とする。本発明の他の目的は、かかる局部的な改質を利用した加工用部材の成形方法を提供することである。本発明のさらに他の目的は、該成形方法を利用して得られる成形体およびその製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段と作用と効果】本発明によると、加工用部材を局部的に改質する方法が提供される。その改質方法では、加工用部材に接触させた回転ツールを回転させて、該回転ツールの一部を該加工用部材に挿入する。その回転ツールが回転している状態で、該加工用部材を軟化させつつ、該回転ツールを所定の経路で移動させる。その回転ツールで処理された部位を、該加工用部材の融点以下の温度域で熱処理する。
【0007】
かかる改質方法によると、回転ツールを移動させた経路(処理ライン)に沿って加工用部材を局部的に(典型的には、線状または帯状に)改質することができるため、当該改質部分については、改質されていない部分に比べて成形性(曲げ加工性等)に優れたものとすることができる。一方、その他の部分については所定の物性(剛性等)を維持し得る。したがって、かかる改質方法を適用して得られた加工用部材は、上記回転ツールで処理された部位を含む部分で曲げ加工等の変形(成形)を行う用途に適したものとなり得る。
【0008】
このような改質方法が好ましく適用される加工用部材としては、軽金属材料を主体に構成されている加工用部材が挙げられる。かかる軽金属材料としては、マグネシウム、マグネシウム合金等のマグネシウム系材料や、アルミニウム、アルミニウム合金等のアルミニウム系材料等が例示される。このような軽金属材料では、本発明の方法を適用することにより顕著な改質効果(典型的には曲げ加工性の向上効果)が得られやすい。
【0009】
回転ツールで処理された部位を熱処理する際の好適な温度は、加工用部材の材質等によって異なり得る。例えば、マグネシウム合金等の軽金属材料については、100〜250℃の温度域を好ましく採用することができる。加工用部材が金属材料である場合には、その金属材料に人工時効硬化処理を施す際に採用される一般的な温度域よりも低い温度域で熱処理を行うことが好ましい。
本発明によると、このような改質方法を適用して改質された部位を有する加工用部材が提供される。
【0010】
また、本発明により提供される加工用部材の成形方法では、上述した本発明のいずれかの改質方法を適用した加工用部材を、前記回転ツールで処理された部位を含む部分で曲げ加工する。かかる加工方法によると、曲げ変形を受ける部分が集中的に(局部的に)改質されているので、この曲げ加工を容易に行うことができる。また、品質のよい曲げ加工部を形成することができる。本発明によると、さらに、このような成形方法を適用して製造された成形体が提供される。
【0011】
本発明によると、加工用部材から成形体を製造する方法が提供される。その製造方法では、上述した本発明のいずれかの改質方法を適用した加工用部材を、前記回転ツールで処理された部位を含む部分で曲げ加工する。かかる方法により製造された成形体は、曲げ変形を受ける部分が局部的に改質されていることから、より良質な(例えば、得られた成形体の品質の安定性が改善された)ものとなり得る。本発明によると、さらに、このような製造方法を適用して製造された成形体が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している内容以外の技術的事項であって本発明の実施に必要な事項は、従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている技術内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0013】
本発明は、各種金属材料を主体とする加工用部材に対して適用することができる。好ましい適用対象としては軽金属材料を主体とする加工用部材が挙げられる。例えば、マグネシウム系(Mg−Al−Zn系、Mg−Zn−Zr系、Mg−Al系、Mg−Zr系等)材料および/またはアルミニウム系(Al−Mn系、Al−Mg系、Al−Si−Mg系、Al−Cu−Mg系、Al−Zn−Mg系等)材料を主体とする加工用部材の改質や成形に好ましく用いることができる。また、鋼材や銅等を主体とする加工用部材、プラスチック系材料を主体とする加工用部材等に適用してもよい。いわゆる摩擦攪拌接合(Friction Stir Welding;FSW)による接合が可能な材料を主体とする加工用部材であれば、本発明を適用することが可能である。加工用部材の形状は特に限定されない。例えば、板状(より好ましくは平板状)の加工用部材に対して適用することができる。
【0014】
本発明の実施に好ましく用いられる回転ツールとしては、長尺状(典型的には円柱状)の本体部と、その本体部の先端から延びるプローブ(ピン)とを有するものが例示される。そのプローブは、本体部よりも細く、かつ本体部と同軸に設けられていることが好ましい。また、加工用部材よりも硬い材質から構成されていることが好ましく、加工用部材よりも高い軟化温度を有する材質から構成されていることが好ましい。本発明の好ましい態様では、そのプローブ部分を加工用部材に挿入した状態で、回転ツールの回転によって加工用部材を軟化させつつ、この回転ツールを所定の経路に沿って移動させる。典型的には、この回転ツールの移動経路に沿って加工用部材が摩擦攪拌された部分が形成される。
【0015】
上記回転ツールにより処理される部分の全体形状は特に限定されない。例えば直線状、曲線状、折れ線状等の線状とすることができる。加工用部材の曲げ加工を目的として本発明の改質方法を実施する場合には、その曲げ加工時に曲げ変形を受ける部分に応じて、回転ツールの移動経路を設定することが好ましい。単一の加工用部材に対して処理される部位の数は一つでもよく二つ以上でもよい。複数の処理部位を設定する場合、それらを形成するための回転ツールの移動経路は互いに独立していてもよく交わっていてもよい。また本発明は、回転ツールで処理される部位(回転ツールの移動経路)が複数の部材に跨って延びるような態様や、その処理される部位が複数の部材を突き合わせた端面に沿って形成されるような態様等でも実施することができる。
【0016】
上記回転ツール処理を行うにあたり、回転ツール(特にプローブ)の材質や形状(長さ、直径等)、加工用部材に対する回転ツール(プローブ)の挿入角度や挿入長さ、回転ツールの回転数、加工用部材に対して回転ツールを移動させる速度等は、加工用部材の材質、目標とする改質範囲(改質幅、改質深さ等)および改質の程度等に応じて適宜選択され得る。特に限定するものではないが、加工用部材への回転ツールの挿入長さ(深さ)は、加工用部材の厚さとほぼ同等か、加工用部材の厚さよりもやや浅く(例えば、加工用部材の厚さ方向に対して、加工用部材の下面(回転ツールが挿入された側とは反対側の表面)から0.1〜1mm程度、より好ましくは0.1〜0.3mm程度の位置まで回転ツールの先端が達するように)することができる。また、回転ツールの回転数は、例えば300〜6000rpm程度(典型的には500〜3000rpm程度)とすることができる。加工用部材に対して回転ツールを移動させる速度は、例えば1〜500cm/分程度(典型的には5〜200cm/分程度)とすることができる。本明細書において開示される回転ツール処理には、同様の回転ツールを用いて前述の摩擦攪拌接合を行う場合と同様の条件等を好ましく採用することができる。
【0017】
本発明では、このような回転ツール処理を行った部位を「熱処理」して、局部的に改質された(例えば、曲げ加工性が改善された)部位を有する加工用部材を得る。この熱処理は、典型的には、回転ツール処理によって生じた加工歪を緩和し得る条件で実施する。なお、かかる熱処理より加工歪が緩和されたことは、例えば、回転ツール処理後に熱処理を行っていない加工用部材と、熱処理を行った加工用部材とにつき、各加工用部材に内在する歪(残存する歪)の程度を、ひずみゲージ等を用いて比較することにより把握し得る。
【0018】
加工用部材が金属材料である場合には、その金属材料にいわゆる人工時効硬化処理を施す際に一般的に採用される温度域よりも低い温度域で熱処理を行うことが好ましい。この人工時効硬化処理に用いられる温度は、例えばマグネシウム合金(AZ系等)の場合には凡そ170〜260℃である。したがって、マグネシウム合金を主体に構成された加工用部材に対して本発明を適用する際には、熱処理温度を250℃以下(より好ましくは200℃以下)とすることが好ましい。一方、熱処理温度の下限は特に限定されないが、温度が低すぎると所望の効果が得られるまで(加工歪が十分に除去されるまで)に要する熱処理時間が長くなりがちである。実用上好ましい熱処理時間は24時間以内(より好ましくは12時間以内、さらに好ましくは3時間以内)であり、この範囲の熱処理時間によって所望の効果が得られるように熱処理温度を設定するとよい。通常は、熱処理温度を70℃以上(より好ましくは100℃以上)とすることによって効率よく熱処理を行うことができる。
【0019】
上記回転ツール処理は、例えば、従来の一般的な摩擦攪拌接合を行うために用いられている装置(摩擦攪拌接合装置)を利用して実施することができる。かかる装置の通常の使用方法では、接合しようとする二つの部材を突き合わせ、その突き合わせ箇所(各部材の端面)に回転ツールを挿入して両部材の構成材料を摩擦攪拌する。これにより両部材を摩擦攪拌接合する。
これに対して、本発明の典型的な態様では、単一の部材(加工用部材)の面内に回転ツールを挿入して移動させる。この回転ツール処理によって加工用部材の所望部分に局部的に(回転ツールの移動経路に沿って)加工歪を与える。本発明では、かかる回転ツール処理が施された加工用部材に対し、さらにこの加工歪を除去する熱処理を施す。このようにして、局部的に改質された(典型的には曲げ加工性が改善された)部位を有する加工用部材を得る。本発明は、複数の部材を突き合わせた端面に沿って回転ツール処理を行ってこれらの部材を一体化(接合)し、その一体化された部材(加工用部材)に熱処理を施す態様でも実施することができる。したがって、本発明の改質方法の一態様には、二つの部材を突き合わせて摩擦攪拌接合を行い、それら接合された部材に熱処理を施すという態様が含まれる。このような実施態様によると、摩擦攪拌接合箇所に沿って局部的に改質された加工用部材が得られる。このようにして改質された本発明の加工用部材は、その改質箇所(接合箇所)を含む部分で曲げ加工して成形体を作製する用途等に適している。
【0020】
本発明の好ましい態様によると、かかる改質処理(回転ツール処理および熱処理)を施すことにより、改質前の加工用部材(未処理材)と比較して、3点曲げ試験により試験片が破断するまでの歪量(μ)を凡そ20%以上(より好ましい態様では凡そ30%以上)向上させることができる。本発明によると、このように曲げ加工性が改善された加工用部材が提供される。
【0021】
この発明はまた、下記の形態で実施することができる。
(形態1)
加工用部材を、回転ツールの移動経路に沿って、その加工用部材の厚みの75%以上の深さの範囲で改質する。より好ましい形態では、加工用部材の厚みを貫通して改質部位が形成されるように改質する。加工用部材を貫通する改質部位の幅(改質幅)は特に限定されないが、加工用部材の厚み方向に対して平均した改質部位の幅が例えば約5〜30mmの範囲とすることができ、約8〜16mmの範囲とすることが好ましい。さらに好ましい形態では、図1に示すように、回転ツール10の移動経路Lの延びる方向に直交する断面から加工用部材50をみたとき、加工用部材50のうち回転ツール10の本体部側表面50aにおける改質幅Wに対して、加工用部材50のうち該本体部側50aとは反対側の表面50bにおける改質幅Wが1/2以上(すなわちW/W≧0.5、典型的には1≧W/W≧0.5)となるような範囲Rで加工用部材50を改質する。かかる範囲Rで改質することにより、加工用部材50の改質効果(典型的には、加工用部材50の曲げ加工性を向上させる効果)がよく発揮される。この加工用部材50を曲げ加工する場合には、改質幅の広い側(図1では本体部側50a)が外側となるように曲げることが好ましい。
【0022】
この改質範囲は、大まかには、回転ツールを移動させたときに加工用部材が軟化(典型的には摩擦攪拌)された範囲に対応する。加工用部材がかかる範囲で改質されるように回転ツール処理の条件を設定するとよい。なお、加工用部材が改質された範囲は、例えば、回転ツールの移動経路に直交する断面を光学顕微鏡で観察することにより把握することができる。
【0023】
(形態2)
本発明を適用する加工用部材が、マグネシウム系合金(例えばAZ31)を主体に構成されたマグネシウム合金板である。一般にマグネシウム合金板は、鋼板やアルミニウム合金板に比べて加工(例えば曲げ加工等の塑性加工)が困難である。かかるマグネシウム合金板に本発明を適用することによって、その加工性を改善することが可能である。したがって、本発明の方法を適用して得られた加工用部材は、車両の軽量化等を図る上で有用な材料となり得る。
本発明をマグネシウム合金板に適用する場合、回転ツール処理された部位を熱処理する際の典型的な熱処理温度は150℃前後であり、好ましい温度範囲としては150±30℃が例示される。熱処理時間は例えば0.3〜6時間とすることができ、0.5〜3時間とすることが好ましい。
【0024】
【実施例】以下、本発明をマグネシウム合金板の改質に適用した実験例につき説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
【0025】
<実験例1:回転ツール処理および熱処理を行った試験片の作製>
加工用部材として、マグネシウム合金(AZ31)からなる板材(厚さ2.5mm)を用意した。このマグネシウム合金板に、株式会社日立製作所から入手可能な市販の摩擦攪拌接合装置を用いて回転ツール処理を行った。図1に模式的に示すように、回転ツール10としては、直径約15mmの本体部20の先端に直径約2mmのプローブ30が形成された形状のものを用いた。プローブ30の長さは約2.5mmである。この回転ツール10を回転させつつ、プローブ30を加工用部材50の表面に押付けて、プローブ30を加工用部材50に挿入した。プローブ30が加工用部材50に根元まで挿入された状態で(図1はこの状態を示している)、引き続き回転ツール10を回転させて加工用部材50を摩擦熱により軟化させつつ、図2に示すように、所定の経路L(ここでは直線状)に沿って回転ツール10を移動させた。
【0026】
かかる回転ツール処理の際、加工用部材50は、図2中に矢印で示す回転ツール10の移動方向に対し、前方では軟化され、後方では凝固する。かかる回転ツール10の通過により、加工用部材50の構成材料(マグネシウム合金)が摩擦攪拌される。その結果、回転ツール10の移動経路Lに沿って、加工用部材50の組織が微細化された範囲が形成される。このように組織が微細化された範囲(処理範囲)は、加工用部材50の断面を光学顕微鏡で観察する等の手段によって把握することができる。このとき、加工用部材50を経路Lに直交する断面からみて、加工用部材50のうち回転ツール10の本体部側の表面50aにおける処理範囲(改質範囲)Rの幅Wに対して、その本体部側とは反対側の表面50bにおける処理範囲Rの幅Wが1/4以上(W/W≧0.25)、より好ましくは1/2以上(W/W≧0.5)となるような条件で回転ツール処理を行うことが好ましい。本実施例では、Wが約15mm、Wが約8mmとなる条件で処理を行った。
このようにして回転ツール処理を施した加工用部材50に対し、150℃に1時間保持する熱処理を行って、実験例1の試験片を作製した。
【0027】
<実験例2:回転ツール処理のみを行った試験片の作製>
回転ツール処理を施した後に熱処理を行わなかった点を除いては実験例1と同様にして、実験例2の試験片を作製した。
【0028】
<実験例3:熱処理のみを行った試験片の作製>
回転ツール処理を行うことなく、実験例1と同様の条件による熱処理のみを行って、実験例3の試験片を作製した。
【0029】
<曲げ加工性の評価>
実験例1〜3の試験片および未処理の(すなわち、回転ツール処理および熱処理のいずれも行っていない)マグネシウム合金板につき、スパン50mmの3点曲げ試験を実施し、試験片が破断に至るまでの歪量(μ)を指標として曲げ加工性を評価した。このとき、実験例1および実施例2の試験片については、改質処理された部分(移動経路Rに相当する部分)がスパンの中央部に位置するようにセットした。実験例1〜3の試験片が破断するまでの歪量を、未処理のマグネシウム合金板が破断するまでの歪量を100とした相対値として表1に示す。
【0030】
【表1】
Figure 2004176149
【0031】
表1から判るように、回転ツール処理および熱処理を行って得られた実験例1の試験片は、未処理の試験片に対して曲げ加工性が大幅に(約45%)向上した。また、回転ツール処理のみを行った実験例2の試験片では、未処理の試験片に比べて曲げ加工性が低下している。これは、回転ツール処理により未処理に試験片に加工歪が与えられ、その加工歪が緩和されていないことに関連するものと考えられる。また、回転ツール処理を行うことなく熱処理のみを行った実験例3の試験片は、未処理の試験片とほぼ同等の曲げ加工性を示した。
【0032】
以上の実験例から判るように、本発明を適用して加工用部材(ここではAZ31マグネシウム合金板)に回転ツール処理および熱処理を施すことにより、この加工用部材を局部的に改質して曲げ加工性を大幅に向上させることができる。かかる改質方法によると、曲げ加工性に大きく寄与する箇所を集中的に(局部的に)改質するので改質効率がよい。また、このように局部的な改質を行うので、かかる改質部位以外の部分ではマグネシウム合金板の性質が大きく損なわれることを回避する(マグネシウム合金板そのままの性質を維持する)ことができる。この改質方法のうち回転ツール処理は、既存の摩擦攪拌接合装置等を利用して実施することができる。
【0033】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】加工用部材を回転ツール処理する様子を模式的に示す断面図である。
【図2】加工用部材を回転ツール処理する様子を模式的に示す斜視図である。
【符号の説明】
10:回転ツール
20:本体部
30:プローブ
50:加工用部材
L:回転ツールを移動させる経路
R:改質範囲

Claims (7)

  1. 加工用部材に接触させた回転ツールを回転させて該回転ツールの一部を該加工用部材に挿入し、その回転ツールが回転している状態で該加工用部材を軟化させつつ該回転ツールを所定の経路で移動させる工程と、
    前記回転ツールで処理された部位を該加工用部材の融点以下の温度域で熱処理する工程とを含む加工用部材の局部的改質方法。
  2. 前記加工用部材は軽金属材料を主体に構成されている請求項1に記載の改質方法。
  3. 前記熱処理を100〜250℃の温度域で行う請求項1または2に記載の改質方法。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の改質方法を適用して改質された部位を有する加工用部材。
  5. 請求項1から3のいずれか一項に記載の改質方法を適用した加工用部材を、前記回転ツールで処理された部位を含む部分で曲げ加工することを特徴とする加工用部材の成形方法。
  6. 請求項5に記載の成形方法を適用して製造された成形体。
  7. 加工用部材から成形体を製造する方法であって、
    請求項1から3のいずれか一項に記載の改質方法を適用した加工用部材を前記回転ツール処理された部位で曲げ加工することを特徴とする成形体の製造方法。
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