JP4350049B2 - 耐応力緩和特性に優れた銅合金板の製造方法 - Google Patents

耐応力緩和特性に優れた銅合金板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、耐応力緩和特性に優れた銅合金板の製造方法に関し、特に自動車用端子・コネクタなどの接続部品用として適する耐応力緩和特性に優れた銅合金板の製造方法に関する。
近年の自動車用端子・コネクタなどの接続部品には、エンジンルームのような高温環境下で信頼性を確保できる性能が求められるようになっている。この高温環境下での信頼性において最も重要な特性のひとつは、接点嵌合力の維持特性、いわゆる耐応力緩和特性である。すなわち銅合金からなるばね形状部品に定常の変位を与えた場合、例えばオス端子のタブをメス端子のばね形状をした接点で嵌合しているような場合、これらの接続部品がエンジンルームのような高温環境下に保持されていると、経時とともにその接点嵌合力を失っていくが、それに対する抵抗特性である。
下記特許文献1には、耐応力緩和特性に優れたコネクタ用銅基合金の製造方法が開示されている。この製造方法は、Cu−Ni−Sn−P合金について、マトリックス中にNi−P金属間化合物を均一微細に分散させ、電気伝導度を向上させると同時に耐応力緩和特性等を向上させたものであり、同文献によれば、所望の特性を得るためには、熱間圧延の冷却開始、終了温度、その冷却速度、さらにはその後の冷間圧延工程途中で施す5〜720分の熱処理の温度と時間とを厳密に制御する必要がある。
また、下記特許文献2,3は、同じく耐応力緩和特性に優れたCu−Ni−Sn系合金及びその製造方法を開示するものであるが、なるべくP含有量を下げて、Ni−P化合物の析出を抑えた固溶型銅合金に関するものであり、高度な熱処理技術を必要とせず、きわめて短時間の焼鈍熱処理で製造可能であるという利点がある。
特許第2844120号公報 特開平11−293367号公報 特開2002−294368号公報
社団法人自動車技術会の規格JASO−C400では、耐応力緩和特性に関して、150℃×1000hr保持後の応力緩和率が15%以下と定めている。この応力緩和率(RS)は、図1(a),(b)に示すように、短冊状に切り出した試験片1の一端を剛体試験台2に固定し、他端を片持ち梁式に持ち上げて反らせ(反りの大きさd)、これを所定の温度及び時間で保持した後、室温下で除荷し、除荷後の反りの大きさ(永久歪み)をδとしたとき、RS=(δ/d)×100で表される。
銅合金板の応力緩和率には異方性があり、試験片の長手方向が銅合金板の圧延方向に対しどの方向を向いているかによって異なった値となる。一般的に、圧延方向に対し平行方向の方が直角方向より応力緩和率は小さい。しかし、前記JASO規格では、この方向についての規定がなく、そのため、従来は、圧延方向に対し平行方向か直角方向のいずれか一方について、15%以下の応力緩和率が達成されていればよいと考えられていた。
ここで、代表的な箱形コネクタ(メス端子3)の断面構造をみると、図2に示すように、上側ホルダー部4に押圧片5が片持ち支持され、オス端子6が挿入されると押圧片5が弾性変形し、その反力によりオス端子6が固定される。なお、図2において、7はワイヤ接続部、8は固定用舌片である。一方、銅合金板をプレス加工してメス端子を製造する場合、一般に該メス端子の長手方向(押圧片5の長手方向)が圧延方向に対し直角方向を向くように板取りされる。いうまでもなく、押圧片5において特に高い耐応力緩和特性が要求されるのは、該押圧片5の長さ方向への曲げ(弾性変形)に対してであるから、結局、銅合金板はその圧延方向に対して直角方向に高い耐応力緩和特性を有することが望ましい。
一方、前記特許文献2,3に開示された固溶型銅合金では、応力緩和率15%以下の高い耐応力緩和特性は、圧延方向に対して平行方向にはほぼ達成されているが、直角方向にはいまだ達成されていない。そのため、ユーザー側から、この種の固溶型銅合金に関して、圧延方向に対し平行方向よりむしろ直角方向に、応力緩和率15%以下の高い耐応力緩和特性が求められるようになった。
従って、本発明は、Cu−Ni−Sn系の固溶型銅合金において、圧延方向に対して直角方向に、応力緩和率15%以下の高い耐応力緩和特性を達成することを目的とする。
本発明に係る耐応力緩和特性に優れた銅合金板の製造方法は、Ni:0.4〜1.6%(質量%、以下同じ)、Sn:0.4〜1.6%、P:0.027〜0.15%、Fe:0.005〜0.15%を含み、Ni含有量とP含有量の比Ni/Pが15未満であり、残部が実質的にCu及び不純物からなる組成の銅合金鋳塊を均質化処理後、熱間圧延及び冷間粗圧延を行い、続いて冷間粗圧延後の銅合金板に仕上げ連続焼鈍を実体温度TAに保持時間Xの条件で行って硬さをHv90〜100とし、さらに冷間圧延及び安定化焼鈍を行うことを特徴とする。
ここで、仕上げ連続焼鈍の温度TA及び時間Xは、冷間粗圧延後の銅合金板に対して種々の温度で時間Xの連続焼鈍を行ったとき、導電率のピーク値Epが温度Tpで得られたとすると、TA>TPを満たし、かつ温度TAで得られた導電率をEAとしたとき、EP−EA>0.5%IACSを満たす温度及び時間に設定される。仕上げ連続焼鈍の具体的な好適条件は、TAが650℃を越える温度であり、Xが10〜60秒である。
図3は、冷間粗圧延後の銅合金板に対し、種々の温度で時間Xの連続焼鈍を行ったときの、ビッカース硬さ(Hv)及び導電率(E)の変化を模式的に描いたもので、ビッカース硬さは連続焼鈍前(横軸にAsで示す)の硬度から連続的に低下してしだいに飽和し、導電率は温度が高くなるにつれて高くなり、ピークを付けたのち低下し、しだいに飽和する。本発明では、時間Xの連続焼鈍においてビッカース硬さがHv90〜100になる温度範囲内からTAが選択される。温度TAでの導電率がEAであり、導電率がピークを付ける温度がTP、温度TPでの導電率がEpである。室温<TPの関係、及び冷間粗圧延のまま(横軸にAsと表示)の導電率をEarとするとEar<EPの関係も成立している。
本発明によれば、Cu−Ni−Sn系の固溶型銅合金において、圧延方向に対して直角方向に、応力緩和率15%以下の高い耐応力緩和特性を達成することができる。
また、本発明の方法で製造した銅合金板は曲げ特性に優れ、導電率(約30%IACS以上)及び強度(約480N/mm以上の耐力)にも優れるなど、端子・コネクタ用として優れた特性を有する。
以下、本発明に係る耐応力緩和特性に優れた銅合金板の製造方法について詳細に説明する。まず、本発明に係る銅合金の添加元素の添加理由について説明する。
Niは銅合金中に固溶して耐応力緩和特性を強化し、強度を向上させる元素である。しかし、0.4%以下ではその効果がなく、1.6%を越えると同時添加しているPと容易に金属間化合物を析出し、仕上げ連続焼鈍で再結晶した際に導電率がピーク値より十分低くならず(EP−EA>0.5%IACSを満たさない)、固溶Niが低減して応力緩和特性が低下する。従って、含有量は0.4〜1.6%とする。0.7〜0.9%の範囲がより望ましい。
Snは銅合金中に固溶し加工硬化による強度向上をもたらす元素である。さらに本合金系では耐熱性にも寄与する元素である。しかし、0.4%未満では耐熱性が低下する。具体的には、仕上げ連続焼鈍において導電率のピーク値が得られる温度よりも低い温度で再結晶軟化してしまい(TA>TPを満たさない)、応力緩和特性向上に必要な固溶Niが十分に得られず、圧延方向に対し平行、直角の両方向に対し、応力緩和率15%以下を達成できない。一方、1.6%を超えると導電率が低下して、銅合金板最終製品において30%IACSを達成できない。従って、Sn含有量は0.4〜1.6%とする。0.6〜1.3%の範囲がより望ましい。
Pは焼鈍時の耐熱性を向上させる元素である。具体的には、製造工程途中でNi−P析出物を発現し、焼鈍温度を高温側に移行させる働きがある。最も重要な点は、Cu中での拡散が極めて遅いNiを、Cu中の転位及びその転位と相互作用しているSnに十分固着させて、Niの応力緩和特性向上効果を最大限引き出すことである。そのためには、焼鈍温度はできるだけ高い方がよいが、0.027%未満では、P添加量に比べて相対的に添加量の多いNiと化合しやすくなり、強固なNi−P金属間化合物が形成され、ピーク導電率が得られる温度より高温で再結晶軟化させても金属間化合物の再固溶が起きない。その結果、仕上げ焼鈍後の導電率がピーク導電率よりも低下しにくく(EP−EA>0.5%IACSを満たさない)、応力緩和特性を向上させるための固溶Niが十分に得られない。一方、Pが0.15%を超えて添加されるとさらにNi−P金属間化合物析出量が増加し、Hv90〜100に軟化させるための仕上げ焼鈍温度は上昇するが、この場合も導電率のピーク値が得られる温度より高温で仕上げ焼鈍を行っても金属間化合物の再固溶が起きない。その結果、仕上げ焼鈍後の導電率がピーク導電率よりも低下しにくく(EP−EA>0.5%IACSを満たさない)、応力緩和特性を向上させるための固溶Niが十分に得られない。従って、P含有量は0.027〜0.15%とする。0.05〜0.08%がより好ましい。
また、Ni/P比率を15未満にする理由は、Niの再固溶及び転位固着のための高温焼鈍温度を得るためのNi−P析出物による耐熱性向上と、仕上げ焼鈍による再結晶軟化時のNi−P析出物の分解、再固溶を両立させるためである。Ni/P比率が15以上では耐熱性向上が不十分で、比較的低い温度で仕上げ焼鈍せざるを得ず、十分な応力緩和特性が得られない。
Feは、仕上げ連続焼鈍において再結晶粒の粗大化を抑制する元素である。銅合金中に0.005%以上添加することにより、仕上げ連続焼鈍において銅合金を高温に加熱して添加元素を十分固溶させ、同時に再結晶粒の粗大化を抑制することができる。しかし、0.15%を超えると導電率が低下して約30%IACSを達成できない。
本発明の銅合金は、副成分として、さらにZn、Mn、Mg、Si、その他を添加してもよい。
Znは錫めっきの剥離を防止するため、1%以下添加することができる。しかしながら、自動車用端子として使用する温度領域(約150〜180℃)であれば、0.05%以下も添加してあれば十分である。さらにシャフト炉で造塊する場合は0.05%以下が望ましい。
Mn、Siは脱酸剤としてそれぞれ0.01%以下添加することができる、しかし、それぞれ0.001%以下、0.002%以下が望ましい。
Mgは耐応力緩和特性を向上させる作用があり、0.3%以下添加することができる。しかし、シャフト炉で造塊する場合、0.001%以下が望ましい。
Cr、Co、Ag、In、Be、Al、Ti、V、Zr、Mo、Hf、Ta、B等は、結晶粒の粗大化を防止する作用があり、総量で0.1%以下添加することができる。
Pbは不純物として0.001%以下に制限することが望ましい。
次に、本発明の製造方法について詳細に説明する。
本発明の銅合金は析出型銅合金ではないため、均質化処理、熱間圧延及び冷間粗圧延において、条件面で特別に厳密な管理は必要ない。例えば均質化処理は800〜1000℃×0.5〜4時間、熱間圧延は800〜950℃で行い、熱間圧延後は水冷又は放冷する。冷間粗圧延は最終仕上げ圧延において30〜80%程度の加工率が得られるように、加工率を選択する。冷間粗圧延の途中に適宜中間の再結晶焼鈍を挟むことができる。
一方、粗冷間圧延後の銅合金板に対する仕上げ連続焼鈍については、厳密な管理を行い、適正な再結晶軟化、つまり硬さがHv90〜100の範囲に入るようにする必要がある。これは最終製品状態での機械的特性、特に曲げ加工性を低下させないためである。仕上げ連続焼鈍により上記硬さ範囲内とされた冷間粗圧延材は、再結晶粒が10μm以下の粗大化していない適正組織状態で軟化しており、続いて冷間圧延及び安定化焼鈍を行うことで、曲げ加工性に優れた銅合金板製品を得ることができる。
また、本発明では、冷間粗圧延材が、仕上げ連続焼鈍を行ったとき、図3に示すように、室温<T<Tの範囲内にある焼鈍温度Tで導電率変化が一つの凸型ピーク値EP(Ear<EP,E<EP)をもつ焼鈍特性を有し、かつ冷間粗圧延後の仕上げ焼鈍で硬さHv90〜100の範囲まで軟化する焼鈍温度をTとしたとき、EP−EA>0.5%IACSの関係を満たさなくてはならない。いいかえれば、上記関係を満たすような条件で仕上げ連続焼鈍を行う必要がある。その理由は次のとおりである。
本発明の仕上げ連続焼鈍において重要なのは、高温中でも拡散しにくいNiを十分に固溶させて、応力緩和を引き起こす転位に十分固着させることであり、そのためNi,Pを添加して低い温度で焼鈍軟化しないようにし、焼鈍可能温度領域を高温側に引き上げている。EP−EA>0.5%IACSの関係は、Niの固溶が十分に起こっているかどうかを、比較的測定しやすい導電率で表現したもので、この関係を満たす場合(仕上げ焼鈍後の導電率EAがピーク値EPより0.5%IACS超低い)、焼鈍温度に昇温する過程(室温→T→T)で析出したNi−P金属間化合物は分解、再固溶した状態にあり、耐応力緩和特性が向上する。一方、この関係を満たさない場合、強固なNi−P金属間化合物が形成され、固溶Niが不足した状態であり、優れた耐応力緩和特性が得られない。
本発明の合金系では、仕上げ焼鈍時には、焼鈍温度に昇温する過程(室温→T→T)でいったん発生したNi−P金属間化合物を再固溶させる必要があるために、いわゆるバッチ焼鈍は不適当である。十分な高温保持時間があると、再結晶軟化しても導電率の再低下、すなわちNiの再固溶は起こらず、粗冷間圧延材は前記凸型ピーク値EPをもつ焼鈍特性を有せず、又は有したとしてもEP−EA>0.5%IACSの関係を満たさない。
望ましい仕上げ焼鈍方法は、実体温度650℃を越え、保持時間10〜60秒であり、最適なのは15〜30秒、特に20秒程度の高温短時間焼鈍法である。焼鈍後は10℃/秒以上の冷却速度で急冷することが望ましい。
なお、従来法にも析出を抑制する考え方はあるが(特許文献2,3参照)、実際には組成又は/及び焼鈍条件が本発明の条件を満たしていなかったため、予想し得ない析出物が耐応力緩和特性(圧延方向に直角方向)を乱していた可能性がある。
最終仕上げ圧延後の安定化焼鈍は、250〜450℃×20〜40秒で行うのが望ましい。これにより最終仕上げ圧延で導入された歪みが除去され、かつ材料の軟化がなく強度の低下が少ないからである。
次に、本発明に係る耐応力緩和特性に優れる銅合金の製造方法の実施例を説明する。
銅合金をクリプトル炉において大気中で木炭被覆下で溶解し、表1に示す組成を有する150mm厚の鋳塊を得た。続いて、965℃で3時間の均熱化処理を行った後、熱間圧延して15mm厚とし、830℃以上で焼入れ(水冷)、両面を1mmずつ面削して13mm厚とした後、冷間粗圧延を行って厚さ1mmとした。
ここで先行パイロット材を複数切り出し(同じ1mm厚)、全て硬さHv90〜100に入るように焼鈍し、この焼鈍材を加工率を振って冷間圧延し、耐力520〜540N/mmの範囲に入る加工率を決定した。これは、応力緩和特性を公平に調査するため、最終製品状態の強度(耐力)特性が自動車用コネクタ材料として多用されているC5071(Cu−0.1%Fe−0.03P−2%Sn)の調質H材とほぼ同じになるように、最終冷間圧延の加工率R(%)を決定するためである。なお、最終製品板厚は0.25mmである。
Figure 0004350049
続いて、厚さ1mmの本通板材を25/(100−加工率R)で決めた板厚まで圧延加工して、冷間粗圧延を終了した。この冷間粗圧延材について、ビッカース硬さ及び導電率Earを測定した。
ここで、この本通板材から、焼鈍条件先行パイロット材を複数切り出し、焼鈍時間を20秒(連続焼鈍)又は2時間(バッチ焼鈍)に設定し、焼鈍温度を25℃間隔で振って再結晶焼鈍を行い、これらのビッカース硬さ及び導電率を測定し、図3に示すような焼鈍軟化特性(ビッカース硬さ−焼鈍温度)、及び導電率変化特性(導電率−焼鈍温度)のグラフを各供試材ごとに得た。そのグラフから、導電率のピーク値E及びそのときの温度Tと、さらにHv90〜100に軟化する温度Tにおける導電率Eを読みとった。
続いて、本通板材を仕上げ焼鈍温度に相当する温度Tで焼鈍し、最終冷間圧延を前記加工率Rで行って厚さ0.25mmとした後、安定化焼鈍を400℃×20秒の条件で行った。得られた最終製品状態の各供試材について、導電率、硬さ、機械的特性(引張強さ、耐力、伸び)及び応力緩和率を測定した。
仕上げ焼鈍の条件及び冷間粗圧延材に関する測定結果等を表2に示し、最終冷間圧延と安定化焼鈍の条件及び最終製品状態の各供試材に関する測定結果を表2及び表3に示す。
なお、導電率、硬さ、機械的性質及び応力緩和率は下記要領で測定した。
導電率;導電率測定はJIS−H0505に規定されている非鉄金属材料導電率測定法に準拠し、ダブルブリッジを用いた四端子法で行なった。
硬さ;硬さの測定はJIS−Z2251に規定されている微少硬さ試験方法に準拠し、試験加重100g(0.9807N)でビッカース硬さを測定した。
機械的特性;JIS5号引張り試験片を、長手方向が圧延方向及び垂直方向となるように機械加工にて作製し、JIS−Z2241に準拠して引張り試験を実施して測定した。耐力は永久伸び0.2%に相当する引張り強さである。
応力緩和率;図1に示す片持ち梁方式を用いて測定した。幅10mmの短冊状試験片1(長さ方向が板材の圧延方向に対し平行方向になるもの及び直角方向になるもの)を切り出し、その一端を剛体試験台2に固定し、試験片1のスパン長Lの部分にd(=10mm)の大きさのたわみ量を与える。このとき、材料耐力の80%に相当する表面応力が材料に負荷されるようにLを決める。これを180℃のオーブン中に30時間保持した後に取り出し、たわみ量dを取り去ったときの永久歪みδを測定し、RS=(δ/d)×100で応力緩和率(RS)を計算する。なお、180℃×30時間の保持は、ラーソン・ミラーパラメーターで計算すると、ほぼ150℃×1000時間の保持に相当する。
Figure 0004350049
Figure 0004350049
表1において、No.1〜6,8,15は本発明の範囲内の組成を有し、No.7,9〜14は本発明の範囲外の組成である。
表2に示すように、高温短時間の仕上げ連続焼鈍を行ったNo.1〜6に関しては、導電率変化が凸型ピーク値EP(Ear<EP,E<EP)を有し、仕上げ焼鈍温度TAと導電率のピーク値EPが得られるピ−ク温度TPの関係がTA>TPを満たし、かつ温度TAで得られた導電率EAと導電率のピーク値EPの関係がEP−EA>0.5%IACSを満たす。表3をみると、No.1〜6は、圧延平行方向及び圧延直角方向とも、応力緩和率が15%以下である。
一方、バッチ焼鈍を行ったNo.8,15は、表2に示すとおり、導電率変化がはっきりした凸型ピークを示さず、温度TAで得られた導電率EAと導電率のピーク値EPの関係がEP−EA>0.5%IACSを満たしていない。これは、Ni−Pの再固溶が起こっていないことを示す。表3をみると、No.8,15は、圧延平行方向及び圧延直角方向とも、応力緩和率が15%を越える。
P添加量が不足し、かつNi/P比が15を超えるNo.7は、温度TAで得られた導電率をEAと導電率のピーク値EPの関係がEP−EA>0.5%IACSを満たしていない。これは、Ni−Pの再固溶が起こっていないことを示す。No.7は、圧延直角方向の応力緩和率が15%を越える。
Sn添加量が過剰なNo.9は、表3に示すように、30%IACS以上の導電率が得られていない。また、圧延直角方向の応力緩和率が15%を越える。
Ni添加量が過剰なNo.10は、温度TAで得られた導電率EAと導電率のピーク値EPの関係がEP−EA>0.5%IACSを満たしていない。これは、Ni−Pの再固溶が起こっていないことを示す。No.10は、圧延平行方向及び圧延直角方向とも、応力緩和率が15%を越える。
Fe及びPが過剰なNo.11は、温度TAで得られた導電率EAと導電率のピーク値EPの関係がEP−EA>0.5%IACSを満たしていない。これは、Ni−Pの再固溶が起こっていないことを示す。No.11は、圧延直角方向の応力緩和率が15%を越える。
Sn添加量が不足するNo.12は、耐熱性が不十分で、導電率のピーク値が得られる温度Tより低い温度で再結晶軟化が発生し、T<Tの関係を満たしていない。No.12は、圧延平行方向及び圧延直角方向とも、応力緩和率が15%を越える。
Ni/P比が15を超えるNo.13は、仕上げ焼鈍温度自体が低くなるため、圧延直角方向の応力緩和率が15%を越える
Ni添加量が不足するNo.14は、仕上げ焼鈍温度Tが導電率のピーク値が得られる温度Tと一致し、T<Tの関係を満たしていない。No.14は、圧延平行方向及び圧延直角方向とも、応力緩和率が15%を越える。
耐応力緩和試験を説明する断面図である。 メス端子の構造を示す正面図(a)及び断面図(b)である。 種々の温度TでX秒の連続焼鈍を行ったときの、ビッカース硬度(Hv)及び導電率(E)の変化を模式的に示す図である。
符号の説明
1 試験片
3 メス端子
5 押圧片

Claims (5)

  1. Ni:0.4〜1.6%(質量%、以下同じ)、Sn:0.4〜1.6%、P:0.027〜0.15%、Fe:0.005〜0.15%を含み、Ni含有量とP含有量の比Ni/Pが15未満であり、残部がCu及び不純物からなる組成の銅合金鋳塊を均質化処理後、熱間圧延及び冷間粗圧延を行い、続いて冷間粗圧延後の銅合金板に仕上げ連続焼鈍を実体温度TAに保持時間Xの条件で行って硬さをHv90〜100とし、さらに冷間圧延及び安定化焼鈍を行うことを特徴とする耐応力緩和特性に優れた銅合金板の製造方法。
    ただし、温度TA及び時間Xは、冷間粗圧延後の銅合金板に対して種々の温度で時間Xの連続焼鈍を行ったとき、導電率のピーク値Epが温度Tpで得られたとすると、TA>TPを満たし、かつ温度TAで得られた導電率をEAとしたとき、EP−EA>0.5%IACSを満たす温度及び時間に設定される。
  2. 前記仕上げ連続焼鈍を、650℃を越える温度に10〜60秒保持して行うことを特徴とする請求項1に記載された耐応力緩和特性に優れた銅合金板の製造方法。
  3. 銅合金の組成に、Zn:1%以下、Mn:0.1%以下、Si:0.1%以下、Mg:0.3%以下のいずれか1種以上が含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載された耐応力緩和特性に優れた銅合金板の製造方法。
  4. 銅合金の組成に、Cr、Co、Ag、In、Be、Al、Ti、V、Zr、Mo、Hf、Ta、Bが総量で0.1%以下含まれることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載された耐応力緩和特性に優れた銅合金板の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載された方法により製造された耐応力緩和特性に優れた銅合金板。
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