JP2004176079A - 銀の作製方法、及びそれを利用した銀膜作製方法と画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低温加熱処理等の簡便な処理だけで実施できる、銀膜あるいは銀画像の作製方法を提供する。
【解決手段】グリセリンあるいは還元糖と、酸化銀の混合物を利用する。
【選択図】 なし
【解決手段】グリセリンあるいは還元糖と、酸化銀の混合物を利用する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の有機化合物の共存下で酸化銀を加熱還元して銀を得る方法と、それを応用した銀膜作製法、または銀画像形成法に関する。
【0002】
【従来の技術】
銀は高導電性材料や記録材料、表面の被覆剤、印刷刷版等に広汎に使われている素材である。その作製法は、化学的に銀を析出させる湿式めっき法や銀を直接溶融・付着、または蒸着させる方法、銀の小粒子をペースト状に加工して、所要の位置に塗布する、あるいは印刷によりパターンを形成する、ハロゲン化銀を光還元する等々多くの方法がある。
【0003】
しかし、従来より知られている方法には、様々な欠点がある。例えば、湿式めっき法の場合には、洗浄、前処理等の工程が必要で、かつ薬品も多く消費する。また、銀を直接溶融・付着する場合には、銀を融点以上の高温に加熱する必要があり、取り扱いも容易でなく、銀を付着させる基材も高温に耐えるものに限定されてしまう。いずれの方法も銀を選択的に付着させることが困難で、像様にパターニングする場合にはエッチング等の煩雑な後処理が必要である。(例えば、非特許文献1、2参照)
【0004】
蒸着は基材を幅広い材料から選定でき、銀の基材への選択的な付着もマスキング等によって比較的容易にできる利点もあるが、特殊な設備が必要である。(例えば、非特許文献3参照)
【0005】
導電性材料としての銀の利用法に関しては、銀の小粒子を液体で練り上げてペースト状に加工する方法(銀ペースト法)がよく知られている。銀ペーストは、印刷によりパターニングすることも容易で加工性に優れている。しかし、ペーストの機械的強度、基材との接着強度を上げるためには高温で焼結する必要があり、やはり基材が限定される問題がある。この欠点を改良するため、近年銀のナノ粒子を用いた銀ペースト法が提案されている。これは銀粒子をナノスケールすることにより、焼結温度を低温にできる等の利点を有するが、反面、微粒子化には煩雑な操作が必要で、未だコスト高という欠点がある。(例えば、非特許文献4参照)
【0006】
記録材料としての銀の利用例としては、ハロゲン化銀を感光体とする銀塩写真法が挙げられる。中でも、DTR(拡散転写反転)法はダイレクト印刷版の作成等に既に応用されており、この方法を導電性銀画像の作製に利用することも可能である。しかし、現像定着処理等の煩雑な工程が多く、大量の薬品を使用する等の欠点がある。(例えば、非特許文献5参照)
【0007】
有機または無機の銀化合物を熱分解して銀に変換する方法も知られている。
【0008】
有機銀塩を利用する方法としては、ドライシルバープロセスがよく知られている。しかし、この方法も、材料自身の経時安定性がない、作製した銀画像の保存安定性が低い等の問題がある。(例えば、非特許文献6参照)
【0009】
また、近年、高密度集積回路製造技術の進歩と関連して、Chemical Vapor Deposition(略してCVD)を利用して、有機銀錯化合物を高精細な銀膜に変換する技術が報告されている。しかし、この手法についても特殊な設備が必要である事、あるいは特殊で高価な有機銀化合物を使用する必要がある事から、簡便な銀膜形成法ではない。(例えば、特許文献1参照)
【0010】
無機の銀化合物の中で、酸化銀は比較的安価で常温で安定な化合物であるが、加熱分解によって銀に変化する性質を有している。また、1分子当たりの銀含有量が高く、分解時に酸素しか発生しないので高純度の銀を取り出すことができる。加熱昇温すれば、160℃から還元反応が始まるが反応速度が遅く、反応を完結させて導電性を有する材料を得るには300℃以上、好ましくは400℃以上の加熱が必要がある。高温に加熱する場合には、銀を付着させる基材が耐熱性を有する物に限定される、あるいは銀画像を形成する際の基材の熱膨張により銀画像にひびや狂いが生じる等の問題が生じる。水素気流中で酸化銀を加熱する場合は100℃で銀に還元されるが、製造安全性の面から熱源と水素ガスとを充分に隔離する特殊な設備が必要がある等の問題がある。酸化銀を過酸化水素水で処理すれば常温で銀に還元できるが、反応の制御が困難であるため均一な銀膜、銀画像を作ることは困難である。
【0011】
【特許文献1】
特開平7−215981号公報
【非特許文献1】
「プリント回路技術便覧−第2版−」社団法人プリント回路学会編、日刊工業新聞社発行、69頁〜76頁
【非特許文献2】
「プリント配線板製造入門」伊藤謹司著、日刊工業新聞社発行、123頁〜132頁
【非特許文献3】
「薄膜化技術」早川茂・和佐清孝著、共立出版株式会社発行、15頁〜20頁
【非特許文献4】
「エレクトロニクス実装技術」(株)技術調査会発行、18巻26頁〜31頁(2002年)
【非特許文献5】
「改訂写真工学の基礎−銀塩写真編−」社団法人日本写真学会編、コロナ社発行、752頁〜765頁
【非特許文献6】
「改訂写真工学の基礎−銀塩写真編−」社団法人日本写真学会編、コロナ社発行、738頁〜742頁
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、酸化銀を比較的低温で加熱して銀に還元する方法を提供する事、さらに、それを利用して簡便で且つ加工性に優れ、均一な銀膜や銀画像を得るのに好適な方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意検討の結果、酸化銀にグリセリン、あるいは還元糖を共存させることにより、300℃以下の比較的低温の熱処理で導電性を持つ銀に還元することができることを見いだし、上記の目的を達成することができた。
【0014】
酸化銀は一般に1価の酸化物(酸化銀(I):Ag2O)がよく知られている。その他に、2価の酸化物(酸化銀(II):AgOまたはAg2O2)、過酸化銀(Ag2O3)があるが、酸化銀(I)以外は構造が確定されていない、あるいは純粋なものが得られていない等構造的にあまり安定でない。普通に酸化銀と呼ぶ場合は、通常酸化銀(I)のことである。本特許では、酸化銀とは全て酸化銀(I)のことである。
【0015】
酸化銀は導電性は有さないので、銀めっき法や銀ペーストから作った銀とは異なり、部分的に熱を加えることにより選択的に導電性を生じさせるのに好適である。さらに、酸化銀は暗褐色ないし褐黒色で750〜900nmに吸収を有するため、この範囲に波長を有する近赤レーザーを照射することにより、光熱変換が容易に起こる。それ故、グリセリンや還元糖などの有機物の添加によって還元反応が誘起される温度が低下した酸化銀は近赤レーザーの照射により銀画像を得るのに好適な素材である。
【0016】
有機物と酸化銀は互いに混合してから膜状または画像状に加工しても良いが、どちらかを膜状または画像状に加工してから、もう一方を加えてもかまわない。後者の場合、有機物を酸化銀に加えるには、有機物は液状であることが好ましいが、有機物そのものが液状でなくても、有機物を液体に溶かした状態でも、または有機物の微小粒子を液体を分散した状態でもかまわない。酸化銀を有機物に加える場合も、同様である。また、予め有機物を酸化銀膜に対して像様に付着させて還元反応誘起温度の差を生じさせて潜像を作製し、次いで酸化銀膜を均一に加熱して画像を形成させることも可能である。
【0017】
酸化銀の粒子が加熱またはレーザー照射により銀に還元される際、発熱反応により生成する銀粒子同士が融着し、粒子同士の導通を容易にすると同時に、酸化銀の時よりも接着強度は増大する。そして、導電性の他、金属光沢を持つ等の形態上の変化や、濡れ性等の諸性質も変化するため、記録材料や印刷用刷版として用いることも可能である。この場合、多種の薬品は必要でなく、わずかな工程で必要な画像を作製できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施のための具体的方法を詳細に説明する。
【0019】
まず、本発明に用いられる酸化銀については、特に制限はない。代表的な製法は硝酸銀の濃厚水溶液に当量の水酸化ナトリウム等の塩基の希薄溶液を加え、生じる沈澱を回収することであり、純度の高い酸化銀を得ることができる。しかし、本発明で用いる酸化銀は必ずしも高純度である必要はなく、水酸化ナトリウム以外の塩基、例えばアミン等の有機塩基を用いてもかまわない。銀の原料としては、硝酸銀は水溶性が高く、比較的安定であり、安全性も高いため、好ましいが、これに限定されるものではない。また、酸化銀の粒子径も特に制限はないが、10nmから10μmの範囲のものが好ましい。また、粒子径の調節のために酸化銀調製時に分散剤等の薬品を添加しても良い。その場合は、一旦、微粒子の酸化銀を調製後、酸化銀からこれら薬品を除去しても良く、除去せず酸化銀と混在した状態のまま用いても良い。
【0020】
酸化銀の存在はX線回折で示すことができる。図1に示すように、X線回折の測定で2θ値が33°、38°、55°付近にピークが生じる。
【0021】
酸化銀は有機物と混合することにより、酸化銀単独の場合に比べて還元反応が誘起される加熱温度が低下し、300℃以下の比較的低い温度に加熱することで充分な導電性を有する銀膜を得ることができる。また、還元時の発熱により銀の粒子間に融着が生じ、強度も確保される。酸化銀から還元によって脱離された酸素は有機物の燃焼に消費されるか、あるいは酸素ガスとして放出される。有機物の一部またはすべては燃焼により二酸化炭素や水などに分解されて、これも放出される。一部の有機物は完全には燃焼せずに残留する場合もあるが、実用上、特に問題はない。
【0022】
銀の生成は、導電性が出ること以外にX線回折でも示すことができる。図2に示すように、X線回折の測定で2θ値が38°、44°、65°、78°付近にピークが生じる。
【0023】
酸化銀との混合によって、その熱分解温度を低下させる有機物としては種々の化合物が挙げられるが、その中でも特にグリセリン、あるいは還元糖を用いることにより、300℃以下、より具体的には100〜200℃の比較的低温の熱処理で酸化銀を導電性を持つ銀に効率的に還元することができる。
【0024】
還元糖とは、遊離のアルデヒド基あるいはケト基を有する糖を一般に謂う。フェーリング反応に陽性を示す化合物であり、第二銅イオンを第一銅酸化物に還元する性質を有する。この固有の性質に基づいて酸化銀を効率的に銀へ還元できると考えられるが、従来技術が液相反応であるのに対して、本発明は固相反応であって、ドライプロセスである点に特徴を有する。具体例としては、以下のような物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0025】
単糖としては、グリセルアルデヒド、エリトロース、トレオース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース等のアルドース類、ジヒドロキシアセトン、エリトルロース、リブロース、キシルロース、プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトース等のケトース類が挙げられる。
【0026】
二糖としては、ラクトース、マルトース等が挙げられる。これ以上の多糖類についても、分子末端に遊離のアルデヒド基あるいはケト基を有する物であれば特に限定なく使用できる。
【0027】
グリセリンは、常温においては特に還元性を待たない物質であるが、本発明で示されるように、酸化銀との混合物を加熱した場合に強力な還元剤として作用する事は驚くべき事実である。詳細な事は不明であるが、高沸点液体のグリセリンが加熱時に酸化銀結晶内に浸透する事が還元反応を誘起する一因であろうと推定される。
【0028】
酸化銀とグリセリンを混合する場合は、両方を溶媒に分散しても良く、グリセリンを溶解した溶媒に酸化銀を分散混合して使用しても良い。さらには、一般の溶剤は使用しないでグリセリン自体に酸化銀を分散して使用しても良い。
【0029】
酸化銀と還元糖を混合する場合は、互いに粉体の状態で混合されてもよく、あるいは還元糖を溶解した溶媒に酸化銀を分散混合して使用しても良い。
【0030】
どちらの場合でも、両者を常温で混合した時点では酸化銀と有機物の間には何ら化学結合は生じておらず、それ故、本発明の方法は有機銀塩を熱分解する方法や、有機銀錯化合物のCVD等とは全く異なる技術である。
【0031】
酸化銀と、グリセリンあるいは還元糖との混合比は特に制限はないが、酸化銀100部に対し、これらの有機物が0.1〜100部が好ましく、0.5〜50部が特に好ましい。さらに、グリセリンあるいは還元糖の両者を併用しても良く、また、両者に加えて、その他の有機物を補助的に添加しても良い。両者を併用した場合、あるいは他の有機物を併用した場合のどちらについても、使用する有機物の総量は、酸化銀100部に対し0.1〜100部が好ましく、中でも0.5〜50部が特に好ましい。
【0032】
酸化銀と有機物の混合物を熱処理する場合の加熱温度範囲については特に制限はなく、酸化銀自身を単独で銀に変換できる温度より高温に加熱しても、特に差し支えはない。しかし、省エネルギーの観点、あるいは銀を付着させる基材の熱安定性の観点から、特に100〜300℃が好ましい。加熱する時間についても、必要な導電性またはその他の特性が得られる範囲内で、0.1秒から数時間までの間で任意に選定できる。
【0033】
酸化銀と、グリセリンあるいは還元糖との混合物は、750〜900nmの範囲内に波長を有する近赤外レーザーを照射することによっても、銀に変換することができる。これは酸化銀が750〜900nmに吸収を有することにより、この範囲に波長を有する近赤レーザーを照射することにより光熱変換が発生し、さらに有機物の添加が酸化銀の還元を容易ならしめているためである。照射されるレーザーのエネルギー量は、必要な導電性またはその他の特性が得られる範囲内で任意に選定できる。
【0034】
酸化銀と、グリセリンあるいは還元糖との混合物を使用する際には、溶媒の他に必要に応じて他の薬品、例えば、分散性向上のための界面活性剤、液性改良のための増粘剤、pH調整剤、消泡剤、バインダーとしての高分子化合物、熱硬化剤、増感色素、近赤外レーザー吸収色素、等々を混ぜてもよい。これらの薬剤の添加は、酸化銀が銀に還元される前であればいつでもよい。酸化銀やグリセリンあるいは還元糖を調製する段階から、必要に応じて添加してもよい。
【0035】
酸化銀と、グリセリンあるいは還元糖との混合物は、使用時の形状に特に制限はない。粉体のまま希望する形状に加圧成形してもよく、大量の溶媒に分散または溶解して塗液として、あるいは少量の溶媒で練り上げてペースト状にして、希望する基材上の全面、あるいは一部に塗布、または付着させて用いてもよい。しかしながら、本発明の混合物は酸化銀の還元時に酸素や、グリセリンあるいは還元糖の燃焼ガスが発生するため、ガスの逃げ道を確保するために表面積は広い方が好ましい。とりわけ好適なのは、膜状に加工することである。
【0036】
膜状に加工する方法としては、酸化銀とグリセリンあるいは還元糖との混合物を塗液に加工し、塗布、噴霧等により任意の基材上に膜を形成することがあげられる。また、他の方法としては、インク状に加工して基材上に塗布することがあげられる。この時の塗布方法としては、具体的にはスクリーン印刷やオフセット印刷等があげられる。膜の厚みには特に制限はない。基材の材質、形状には特に制限はない。具体例としては、紙、アルミ板や銅板等金属板、PETフィルム等高分子フィルム、ガラス、セラミックス、石板等があげられる。
【0037】
塗液、インク等に加工した後これを用いて膜形成を行う方法以外に、一旦酸化銀の膜を形成後、これにグリセリンあるいは還元糖を付着させる方法も利用できる。その場合は、まず、グリセリンあるいは還元糖を任意の液体に溶解または分散し、次いで酸化銀膜をこの液体に浸漬する、酸化銀膜にこの液体を塗布する、あるいは酸化銀膜にこの液体を噴霧する、等の方法を用いる。特に、液体のグリセリンの場合は、溶剤を使用しないでそのまま酸化銀への含浸に使用してもかまわない。
【0038】
また、逆に、予めグリセリンあるいは還元糖の膜を調製し、次いで、その有機物の良溶媒に分散した酸化銀を塗布または噴霧して、酸化銀とグリセリンあるいは還元糖の膜状物を形成してもかまわない。
【0039】
次に、本発明の組成物を利用した銀画像作製方法について、いくつかの例を挙げて説明する。
【0040】
まず第一の方法としては、酸化銀とグリセリンあるいは還元糖の混合物を用いて基材上に画像状の膜を形成し、これを熱またはレーザー照射により銀膜に変換して銀画像を形成する方法である。画像を形成する方法としては、特に制限はない。例えば、酸化銀とグリセリンあるいは還元糖の混合物を塗液状に加工し、これを画像部を切り抜いたマスクで覆った基材に塗布または噴霧後、マスクを除去する方法があげられる。インクジェット方式を用いて酸化銀とグリセリンあるいは還元糖の混合物の膜を作製すれば、基材を覆うマスクは不要で、かつ精細な画像を得ることができる。また、酸化銀とグリセリンあるいは還元糖の混合物をペースト状に加工し、インクとして印刷方式で画像を形成することも、高精細な画像が得ることができ、好ましい。印刷方法には特に制限はないが、適切な膜厚を得やすいスクリーン印刷は特に好ましい。銀画像形成後、酸化銀のまま残される分については、洗浄等の手法により除去しても良く、除去しなくても良い。
【0041】
第二のは、予め酸化銀膜を形成し、次いでこの膜にグリセリンあるいは還元糖を含有する液体を像様に付着させて潜像を作製し、最後に酸化銀膜全体を均一に加熱して現像する方法である。グリセリンあるいは還元糖の含浸した酸化銀膜部分の銀への還元反応は速く、非含浸部分の還元速度は非常に遅いため、酸化銀膜全体を均一に加熱して銀画像を形成することができる。グリセリンあるいは還元糖を酸化銀膜へ像様に付着させる方法としては、上記と同様の方法が挙げられる。
【0042】
また逆に、予めグリセリンあるいは還元糖を膜状に塗布し、次いでその上に酸化銀を分散した液体を像様に付着させて潜像を作製し、最後に酸化銀膜全体を均一に加熱現像する方法も利用可能である。
【0043】
第三は、酸化銀とグリセリンあるいは還元糖の混合物を基材上に成膜し、次いで像様に加熱して銀画像を形成する方法である。加熱方法は、加熱した金属塊をスタンプする方法、感熱ヘッドによる方法等があるが、とりわけ、近赤外レーザーの照射による方法が特に好ましく、高精細な画像を得ることができる。
【0044】
【実施例】
本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、下記の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中における「部」「%」はすべてそれぞれ「質量部」「質量%」を示す。
【0045】
比較例1
酸化銀(和光純薬工業(株)製特級)100部を、蒸留水150部とガラスビーズ150部とともにペイントコンディショナーで粉砕・分散した。得られた分散液を塗液とし、ワイヤーバーを用いてスライドグラスに固形分塗抹量30g/m2になるように塗布した。乾燥後、褐黒色の塗布面の導通をテスターで調べたが、導通は全く見られなかった。
【0046】
この酸化銀を塗布したスライドグラスを電気炉に入れ、5℃/分の昇温速度で300℃まで加熱した。300℃で30分保持後、放冷により常温まで冷ましてから電気炉より取り出した。
【0047】
電気炉より取り出したスライドグラスの塗布面は、褐黒色のままであった。この塗布面の導通を再びテスターで調べたが、やはり導通は全く見られなかった。さらに、塗布面のX線回折を測定したが、図3に示したように、酸化銀の存在を示す結果しか得られなかった。
【0048】
実施例1
酸化銀100部、グリセリン10部を、蒸留水165部とガラスビーズ150部とともにペイントコンディショナーで粉砕・分散した。得られた分散液を塗液とし、比較例1と同様に、スライドグラスに塗布した。これを昇温上限温度と保持温度を150℃に変えた以外は比較例1と同様に電気炉で加熱処理を行った。加熱処理後のスライドグラス塗布面は褐黒色から白色に変化し、その導通をテスターで調べたところ、導通が生じていた。さらに、塗布面のX線回折を測定したが、図4に示したように、酸化銀のパターンは得られず、銀の存在を示す結果が得られた。
【0049】
実施例2〜3
実施例1のグリセリンを、表1に示した化合物に変更した以外は、実施例1と同様に評価を行った。加熱処理後の塗布面はいずれも褐黒色から白色に変化し、導通をテスターで調べたところ、表1に示したようにいずれの試料にも導通が生じていた。
【0050】
【表1】
【0051】
比較例2
酸化銀100部を、蒸留水150部とガラスビーズ150部とともにペイントコンディショナーで粉砕・分散した。得られた分散液を塗液とし、ワイヤーバーを用いて白色PET(パナック(株)製ルミラーE−22、厚み188μm)に固形分塗抹量30g/m2になるように塗布した。この試料の酸化銀塗面の上に厚さ5μmの耐熱PETフィルムを重ね、その上から熱スタンプ評価装置(東洋精機;HG−100)を用いて180℃で10秒間加熱を行った。耐熱PETフィルムを剥がした後、目視評価をしたところ、加熱部分は褐黒色のままで非加熱部分との差は肉眼では区別できなかった。さらに加熱部分の導通をテスターで確認したが、やはり非加熱部分と同様に導通はないままであった。
【0052】
実施例4
酸化銀100部、グリセリン10部を、蒸留水165部とガラスビーズ150部とともにペイントコンディショナーで粉砕・分散した。得られた分散液を塗液とし、白色PET(パナック(株)製ルミラーE−22、厚み188μm)に固形分塗抹量30g/m2になるように塗布した。そして比較例2と同様の方法で熱スタンプ評価を行った。その結果、加熱部分は褐黒色から灰白色に変化していた。さらに、テスターで導通確認を行ったところ、加熱部分には導通が生じていることがわかった。非加熱部分は当然のことながら導通はないままであった。
【0053】
実施例5〜6
実施例4のグリセリンと加熱条件を、表2に示した化合物と加熱条件にそれぞれ変更した以外は、実施例4と同様に評価を行った。加熱部分の塗布面はいずれも褐黒色から灰白色に変化しており、さらに導通をテスターで調べたところ、表2に示したようにいずれの試料にも導通が生じていた。
【0054】
【表2】
【0055】
実施例7
酸化銀100部、グリセリン10部を、蒸留水165部とガラスビーズ150部とともにペイントコンディショナーで粉砕・分散した。得られた分散液を塗液とし、ワイヤーバーを用いてPET製OHPシートに固形分塗抹量30g/m2になるように塗布した。この銀組成物塗布シートに波長830nmの半導体レーザー(出力500mW)で1mmのラインアンドスペースの書き込みを行ったところ、レーザーの照射部が褐黒色から薄茶色に変化し、1mmのラインアンドスペースのパターンを肉眼で確認することができた。導通を確認したところ、薄茶色の部分は導通があったが、褐黒色のままの部分は導通がないままであった。
【0056】
比較例3
酸化銀100部を、蒸留水150部とガラスビーズ150部とともにペイントコンディショナーで粉砕・分散した。得られた分散液を塗液とし、ワイヤーバーを用いてPET製OHPシートに固形分塗抹量30g/m2になるように塗布した。この銀組成物塗布シートに波長830nmの半導体レーザー(出力500mW)で1mmのラインアンドスペースの書き込みを行ったところ、レーザー照射部分は褐黒色のままで非照射部分との差は肉眼では区別できなかった。また、テスターで導通部分の存在の有無の確認を行ったが、導通の生じている箇所は全くなかった。
【0057】
実施例8
実施例7のグリセリンを、D−グルコースに変更した以外は、実施例7と全く同じ評価を行った。その結果、レーザーの照射部が褐黒色から薄茶色に変化し、1mmのラインアンドスペースのパターンを肉眼で確認することができた。導通を確認したところ、薄茶色の部分は導通があったが、褐黒色のままの部分は導通がないままであった。
【0058】
実施例9
硝酸銀の20%水溶液1000部に対し、水酸化ナトリウム2%水溶液2350部をホモミキサーで強撹拌下添加し、酸化銀粒子の懸濁液を得た。生じた酸化銀を吸引濾過で回収し、真空乾燥後、乳鉢で粉砕して、粉体の酸化銀を得た。このようにして得た酸化銀100部に、グリセリン20部と1−メトキシ−2−プロパノール10部を加え、自転・公転式撹拌脱泡機(型式AR−250、(株)シンキー製)により、公転2000rpm、自転800rpmの条件で2分間撹拌混合して、ペースト状に調製した。このペーストを用い、アルミナ・セラミックス板(100mm×100mm×25mm)上にスクリーン印刷によりプリント回路パターンを作製した。実施例1と同様に、電気炉で150℃にて加熱処理を行った。加熱により、暗褐色のパターンは灰白色に変化した。テスターで導通を確認したところ、パターンに沿って導通が生じていることが確認できた。
【0059】
実施例10
比較例1に用いた酸化銀分散液を塗液とし、ワイヤーバーを用いて白色PET(パナック(株)製ルミラーE−22、厚み188μm)に固形分塗抹量30g/m2になるように塗布した。この酸化銀塗布シートに、インクジェットシステムを用いて画像パターン状に、グリセリンの5%水溶液を吹き付けた。これを、加熱温度を200℃に設定した乾燥機中で10分間処理した。加熱処理により、グリセリンを吹き付けた部分のみが褐黒色から灰白色に変化し、吹き付けた画像パターンが明瞭に現れた。さらに、テスターで導通を調べたところ、灰白色に変化したところのみに導通が生じていた。
【0060】
【発明の効果】
グリセリンあるいは還元糖と、酸化銀の混合物を用いることにより、100〜300℃の比較的低い加熱温度や近赤レーザーにより、酸化銀より簡便に銀を作製できるようになった。この方法は銀膜や銀画像を得るのに特に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】酸化銀(Ag2O)のX線回折図である。
【図2】銀(Ag)のX線回折図である。
【図3】300℃で加熱処理した酸化銀のX線回折図である。
【図4】グリセリンを混合して、200℃で加熱処理した酸化銀のX線回折図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の有機化合物の共存下で酸化銀を加熱還元して銀を得る方法と、それを応用した銀膜作製法、または銀画像形成法に関する。
【0002】
【従来の技術】
銀は高導電性材料や記録材料、表面の被覆剤、印刷刷版等に広汎に使われている素材である。その作製法は、化学的に銀を析出させる湿式めっき法や銀を直接溶融・付着、または蒸着させる方法、銀の小粒子をペースト状に加工して、所要の位置に塗布する、あるいは印刷によりパターンを形成する、ハロゲン化銀を光還元する等々多くの方法がある。
【0003】
しかし、従来より知られている方法には、様々な欠点がある。例えば、湿式めっき法の場合には、洗浄、前処理等の工程が必要で、かつ薬品も多く消費する。また、銀を直接溶融・付着する場合には、銀を融点以上の高温に加熱する必要があり、取り扱いも容易でなく、銀を付着させる基材も高温に耐えるものに限定されてしまう。いずれの方法も銀を選択的に付着させることが困難で、像様にパターニングする場合にはエッチング等の煩雑な後処理が必要である。(例えば、非特許文献1、2参照)
【0004】
蒸着は基材を幅広い材料から選定でき、銀の基材への選択的な付着もマスキング等によって比較的容易にできる利点もあるが、特殊な設備が必要である。(例えば、非特許文献3参照)
【0005】
導電性材料としての銀の利用法に関しては、銀の小粒子を液体で練り上げてペースト状に加工する方法(銀ペースト法)がよく知られている。銀ペーストは、印刷によりパターニングすることも容易で加工性に優れている。しかし、ペーストの機械的強度、基材との接着強度を上げるためには高温で焼結する必要があり、やはり基材が限定される問題がある。この欠点を改良するため、近年銀のナノ粒子を用いた銀ペースト法が提案されている。これは銀粒子をナノスケールすることにより、焼結温度を低温にできる等の利点を有するが、反面、微粒子化には煩雑な操作が必要で、未だコスト高という欠点がある。(例えば、非特許文献4参照)
【0006】
記録材料としての銀の利用例としては、ハロゲン化銀を感光体とする銀塩写真法が挙げられる。中でも、DTR(拡散転写反転)法はダイレクト印刷版の作成等に既に応用されており、この方法を導電性銀画像の作製に利用することも可能である。しかし、現像定着処理等の煩雑な工程が多く、大量の薬品を使用する等の欠点がある。(例えば、非特許文献5参照)
【0007】
有機または無機の銀化合物を熱分解して銀に変換する方法も知られている。
【0008】
有機銀塩を利用する方法としては、ドライシルバープロセスがよく知られている。しかし、この方法も、材料自身の経時安定性がない、作製した銀画像の保存安定性が低い等の問題がある。(例えば、非特許文献6参照)
【0009】
また、近年、高密度集積回路製造技術の進歩と関連して、Chemical Vapor Deposition(略してCVD)を利用して、有機銀錯化合物を高精細な銀膜に変換する技術が報告されている。しかし、この手法についても特殊な設備が必要である事、あるいは特殊で高価な有機銀化合物を使用する必要がある事から、簡便な銀膜形成法ではない。(例えば、特許文献1参照)
【0010】
無機の銀化合物の中で、酸化銀は比較的安価で常温で安定な化合物であるが、加熱分解によって銀に変化する性質を有している。また、1分子当たりの銀含有量が高く、分解時に酸素しか発生しないので高純度の銀を取り出すことができる。加熱昇温すれば、160℃から還元反応が始まるが反応速度が遅く、反応を完結させて導電性を有する材料を得るには300℃以上、好ましくは400℃以上の加熱が必要がある。高温に加熱する場合には、銀を付着させる基材が耐熱性を有する物に限定される、あるいは銀画像を形成する際の基材の熱膨張により銀画像にひびや狂いが生じる等の問題が生じる。水素気流中で酸化銀を加熱する場合は100℃で銀に還元されるが、製造安全性の面から熱源と水素ガスとを充分に隔離する特殊な設備が必要がある等の問題がある。酸化銀を過酸化水素水で処理すれば常温で銀に還元できるが、反応の制御が困難であるため均一な銀膜、銀画像を作ることは困難である。
【0011】
【特許文献1】
特開平7−215981号公報
【非特許文献1】
「プリント回路技術便覧−第2版−」社団法人プリント回路学会編、日刊工業新聞社発行、69頁〜76頁
【非特許文献2】
「プリント配線板製造入門」伊藤謹司著、日刊工業新聞社発行、123頁〜132頁
【非特許文献3】
「薄膜化技術」早川茂・和佐清孝著、共立出版株式会社発行、15頁〜20頁
【非特許文献4】
「エレクトロニクス実装技術」(株)技術調査会発行、18巻26頁〜31頁(2002年)
【非特許文献5】
「改訂写真工学の基礎−銀塩写真編−」社団法人日本写真学会編、コロナ社発行、752頁〜765頁
【非特許文献6】
「改訂写真工学の基礎−銀塩写真編−」社団法人日本写真学会編、コロナ社発行、738頁〜742頁
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、酸化銀を比較的低温で加熱して銀に還元する方法を提供する事、さらに、それを利用して簡便で且つ加工性に優れ、均一な銀膜や銀画像を得るのに好適な方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意検討の結果、酸化銀にグリセリン、あるいは還元糖を共存させることにより、300℃以下の比較的低温の熱処理で導電性を持つ銀に還元することができることを見いだし、上記の目的を達成することができた。
【0014】
酸化銀は一般に1価の酸化物(酸化銀(I):Ag2O)がよく知られている。その他に、2価の酸化物(酸化銀(II):AgOまたはAg2O2)、過酸化銀(Ag2O3)があるが、酸化銀(I)以外は構造が確定されていない、あるいは純粋なものが得られていない等構造的にあまり安定でない。普通に酸化銀と呼ぶ場合は、通常酸化銀(I)のことである。本特許では、酸化銀とは全て酸化銀(I)のことである。
【0015】
酸化銀は導電性は有さないので、銀めっき法や銀ペーストから作った銀とは異なり、部分的に熱を加えることにより選択的に導電性を生じさせるのに好適である。さらに、酸化銀は暗褐色ないし褐黒色で750〜900nmに吸収を有するため、この範囲に波長を有する近赤レーザーを照射することにより、光熱変換が容易に起こる。それ故、グリセリンや還元糖などの有機物の添加によって還元反応が誘起される温度が低下した酸化銀は近赤レーザーの照射により銀画像を得るのに好適な素材である。
【0016】
有機物と酸化銀は互いに混合してから膜状または画像状に加工しても良いが、どちらかを膜状または画像状に加工してから、もう一方を加えてもかまわない。後者の場合、有機物を酸化銀に加えるには、有機物は液状であることが好ましいが、有機物そのものが液状でなくても、有機物を液体に溶かした状態でも、または有機物の微小粒子を液体を分散した状態でもかまわない。酸化銀を有機物に加える場合も、同様である。また、予め有機物を酸化銀膜に対して像様に付着させて還元反応誘起温度の差を生じさせて潜像を作製し、次いで酸化銀膜を均一に加熱して画像を形成させることも可能である。
【0017】
酸化銀の粒子が加熱またはレーザー照射により銀に還元される際、発熱反応により生成する銀粒子同士が融着し、粒子同士の導通を容易にすると同時に、酸化銀の時よりも接着強度は増大する。そして、導電性の他、金属光沢を持つ等の形態上の変化や、濡れ性等の諸性質も変化するため、記録材料や印刷用刷版として用いることも可能である。この場合、多種の薬品は必要でなく、わずかな工程で必要な画像を作製できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施のための具体的方法を詳細に説明する。
【0019】
まず、本発明に用いられる酸化銀については、特に制限はない。代表的な製法は硝酸銀の濃厚水溶液に当量の水酸化ナトリウム等の塩基の希薄溶液を加え、生じる沈澱を回収することであり、純度の高い酸化銀を得ることができる。しかし、本発明で用いる酸化銀は必ずしも高純度である必要はなく、水酸化ナトリウム以外の塩基、例えばアミン等の有機塩基を用いてもかまわない。銀の原料としては、硝酸銀は水溶性が高く、比較的安定であり、安全性も高いため、好ましいが、これに限定されるものではない。また、酸化銀の粒子径も特に制限はないが、10nmから10μmの範囲のものが好ましい。また、粒子径の調節のために酸化銀調製時に分散剤等の薬品を添加しても良い。その場合は、一旦、微粒子の酸化銀を調製後、酸化銀からこれら薬品を除去しても良く、除去せず酸化銀と混在した状態のまま用いても良い。
【0020】
酸化銀の存在はX線回折で示すことができる。図1に示すように、X線回折の測定で2θ値が33°、38°、55°付近にピークが生じる。
【0021】
酸化銀は有機物と混合することにより、酸化銀単独の場合に比べて還元反応が誘起される加熱温度が低下し、300℃以下の比較的低い温度に加熱することで充分な導電性を有する銀膜を得ることができる。また、還元時の発熱により銀の粒子間に融着が生じ、強度も確保される。酸化銀から還元によって脱離された酸素は有機物の燃焼に消費されるか、あるいは酸素ガスとして放出される。有機物の一部またはすべては燃焼により二酸化炭素や水などに分解されて、これも放出される。一部の有機物は完全には燃焼せずに残留する場合もあるが、実用上、特に問題はない。
【0022】
銀の生成は、導電性が出ること以外にX線回折でも示すことができる。図2に示すように、X線回折の測定で2θ値が38°、44°、65°、78°付近にピークが生じる。
【0023】
酸化銀との混合によって、その熱分解温度を低下させる有機物としては種々の化合物が挙げられるが、その中でも特にグリセリン、あるいは還元糖を用いることにより、300℃以下、より具体的には100〜200℃の比較的低温の熱処理で酸化銀を導電性を持つ銀に効率的に還元することができる。
【0024】
還元糖とは、遊離のアルデヒド基あるいはケト基を有する糖を一般に謂う。フェーリング反応に陽性を示す化合物であり、第二銅イオンを第一銅酸化物に還元する性質を有する。この固有の性質に基づいて酸化銀を効率的に銀へ還元できると考えられるが、従来技術が液相反応であるのに対して、本発明は固相反応であって、ドライプロセスである点に特徴を有する。具体例としては、以下のような物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0025】
単糖としては、グリセルアルデヒド、エリトロース、トレオース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース等のアルドース類、ジヒドロキシアセトン、エリトルロース、リブロース、キシルロース、プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトース等のケトース類が挙げられる。
【0026】
二糖としては、ラクトース、マルトース等が挙げられる。これ以上の多糖類についても、分子末端に遊離のアルデヒド基あるいはケト基を有する物であれば特に限定なく使用できる。
【0027】
グリセリンは、常温においては特に還元性を待たない物質であるが、本発明で示されるように、酸化銀との混合物を加熱した場合に強力な還元剤として作用する事は驚くべき事実である。詳細な事は不明であるが、高沸点液体のグリセリンが加熱時に酸化銀結晶内に浸透する事が還元反応を誘起する一因であろうと推定される。
【0028】
酸化銀とグリセリンを混合する場合は、両方を溶媒に分散しても良く、グリセリンを溶解した溶媒に酸化銀を分散混合して使用しても良い。さらには、一般の溶剤は使用しないでグリセリン自体に酸化銀を分散して使用しても良い。
【0029】
酸化銀と還元糖を混合する場合は、互いに粉体の状態で混合されてもよく、あるいは還元糖を溶解した溶媒に酸化銀を分散混合して使用しても良い。
【0030】
どちらの場合でも、両者を常温で混合した時点では酸化銀と有機物の間には何ら化学結合は生じておらず、それ故、本発明の方法は有機銀塩を熱分解する方法や、有機銀錯化合物のCVD等とは全く異なる技術である。
【0031】
酸化銀と、グリセリンあるいは還元糖との混合比は特に制限はないが、酸化銀100部に対し、これらの有機物が0.1〜100部が好ましく、0.5〜50部が特に好ましい。さらに、グリセリンあるいは還元糖の両者を併用しても良く、また、両者に加えて、その他の有機物を補助的に添加しても良い。両者を併用した場合、あるいは他の有機物を併用した場合のどちらについても、使用する有機物の総量は、酸化銀100部に対し0.1〜100部が好ましく、中でも0.5〜50部が特に好ましい。
【0032】
酸化銀と有機物の混合物を熱処理する場合の加熱温度範囲については特に制限はなく、酸化銀自身を単独で銀に変換できる温度より高温に加熱しても、特に差し支えはない。しかし、省エネルギーの観点、あるいは銀を付着させる基材の熱安定性の観点から、特に100〜300℃が好ましい。加熱する時間についても、必要な導電性またはその他の特性が得られる範囲内で、0.1秒から数時間までの間で任意に選定できる。
【0033】
酸化銀と、グリセリンあるいは還元糖との混合物は、750〜900nmの範囲内に波長を有する近赤外レーザーを照射することによっても、銀に変換することができる。これは酸化銀が750〜900nmに吸収を有することにより、この範囲に波長を有する近赤レーザーを照射することにより光熱変換が発生し、さらに有機物の添加が酸化銀の還元を容易ならしめているためである。照射されるレーザーのエネルギー量は、必要な導電性またはその他の特性が得られる範囲内で任意に選定できる。
【0034】
酸化銀と、グリセリンあるいは還元糖との混合物を使用する際には、溶媒の他に必要に応じて他の薬品、例えば、分散性向上のための界面活性剤、液性改良のための増粘剤、pH調整剤、消泡剤、バインダーとしての高分子化合物、熱硬化剤、増感色素、近赤外レーザー吸収色素、等々を混ぜてもよい。これらの薬剤の添加は、酸化銀が銀に還元される前であればいつでもよい。酸化銀やグリセリンあるいは還元糖を調製する段階から、必要に応じて添加してもよい。
【0035】
酸化銀と、グリセリンあるいは還元糖との混合物は、使用時の形状に特に制限はない。粉体のまま希望する形状に加圧成形してもよく、大量の溶媒に分散または溶解して塗液として、あるいは少量の溶媒で練り上げてペースト状にして、希望する基材上の全面、あるいは一部に塗布、または付着させて用いてもよい。しかしながら、本発明の混合物は酸化銀の還元時に酸素や、グリセリンあるいは還元糖の燃焼ガスが発生するため、ガスの逃げ道を確保するために表面積は広い方が好ましい。とりわけ好適なのは、膜状に加工することである。
【0036】
膜状に加工する方法としては、酸化銀とグリセリンあるいは還元糖との混合物を塗液に加工し、塗布、噴霧等により任意の基材上に膜を形成することがあげられる。また、他の方法としては、インク状に加工して基材上に塗布することがあげられる。この時の塗布方法としては、具体的にはスクリーン印刷やオフセット印刷等があげられる。膜の厚みには特に制限はない。基材の材質、形状には特に制限はない。具体例としては、紙、アルミ板や銅板等金属板、PETフィルム等高分子フィルム、ガラス、セラミックス、石板等があげられる。
【0037】
塗液、インク等に加工した後これを用いて膜形成を行う方法以外に、一旦酸化銀の膜を形成後、これにグリセリンあるいは還元糖を付着させる方法も利用できる。その場合は、まず、グリセリンあるいは還元糖を任意の液体に溶解または分散し、次いで酸化銀膜をこの液体に浸漬する、酸化銀膜にこの液体を塗布する、あるいは酸化銀膜にこの液体を噴霧する、等の方法を用いる。特に、液体のグリセリンの場合は、溶剤を使用しないでそのまま酸化銀への含浸に使用してもかまわない。
【0038】
また、逆に、予めグリセリンあるいは還元糖の膜を調製し、次いで、その有機物の良溶媒に分散した酸化銀を塗布または噴霧して、酸化銀とグリセリンあるいは還元糖の膜状物を形成してもかまわない。
【0039】
次に、本発明の組成物を利用した銀画像作製方法について、いくつかの例を挙げて説明する。
【0040】
まず第一の方法としては、酸化銀とグリセリンあるいは還元糖の混合物を用いて基材上に画像状の膜を形成し、これを熱またはレーザー照射により銀膜に変換して銀画像を形成する方法である。画像を形成する方法としては、特に制限はない。例えば、酸化銀とグリセリンあるいは還元糖の混合物を塗液状に加工し、これを画像部を切り抜いたマスクで覆った基材に塗布または噴霧後、マスクを除去する方法があげられる。インクジェット方式を用いて酸化銀とグリセリンあるいは還元糖の混合物の膜を作製すれば、基材を覆うマスクは不要で、かつ精細な画像を得ることができる。また、酸化銀とグリセリンあるいは還元糖の混合物をペースト状に加工し、インクとして印刷方式で画像を形成することも、高精細な画像が得ることができ、好ましい。印刷方法には特に制限はないが、適切な膜厚を得やすいスクリーン印刷は特に好ましい。銀画像形成後、酸化銀のまま残される分については、洗浄等の手法により除去しても良く、除去しなくても良い。
【0041】
第二のは、予め酸化銀膜を形成し、次いでこの膜にグリセリンあるいは還元糖を含有する液体を像様に付着させて潜像を作製し、最後に酸化銀膜全体を均一に加熱して現像する方法である。グリセリンあるいは還元糖の含浸した酸化銀膜部分の銀への還元反応は速く、非含浸部分の還元速度は非常に遅いため、酸化銀膜全体を均一に加熱して銀画像を形成することができる。グリセリンあるいは還元糖を酸化銀膜へ像様に付着させる方法としては、上記と同様の方法が挙げられる。
【0042】
また逆に、予めグリセリンあるいは還元糖を膜状に塗布し、次いでその上に酸化銀を分散した液体を像様に付着させて潜像を作製し、最後に酸化銀膜全体を均一に加熱現像する方法も利用可能である。
【0043】
第三は、酸化銀とグリセリンあるいは還元糖の混合物を基材上に成膜し、次いで像様に加熱して銀画像を形成する方法である。加熱方法は、加熱した金属塊をスタンプする方法、感熱ヘッドによる方法等があるが、とりわけ、近赤外レーザーの照射による方法が特に好ましく、高精細な画像を得ることができる。
【0044】
【実施例】
本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、下記の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中における「部」「%」はすべてそれぞれ「質量部」「質量%」を示す。
【0045】
比較例1
酸化銀(和光純薬工業(株)製特級)100部を、蒸留水150部とガラスビーズ150部とともにペイントコンディショナーで粉砕・分散した。得られた分散液を塗液とし、ワイヤーバーを用いてスライドグラスに固形分塗抹量30g/m2になるように塗布した。乾燥後、褐黒色の塗布面の導通をテスターで調べたが、導通は全く見られなかった。
【0046】
この酸化銀を塗布したスライドグラスを電気炉に入れ、5℃/分の昇温速度で300℃まで加熱した。300℃で30分保持後、放冷により常温まで冷ましてから電気炉より取り出した。
【0047】
電気炉より取り出したスライドグラスの塗布面は、褐黒色のままであった。この塗布面の導通を再びテスターで調べたが、やはり導通は全く見られなかった。さらに、塗布面のX線回折を測定したが、図3に示したように、酸化銀の存在を示す結果しか得られなかった。
【0048】
実施例1
酸化銀100部、グリセリン10部を、蒸留水165部とガラスビーズ150部とともにペイントコンディショナーで粉砕・分散した。得られた分散液を塗液とし、比較例1と同様に、スライドグラスに塗布した。これを昇温上限温度と保持温度を150℃に変えた以外は比較例1と同様に電気炉で加熱処理を行った。加熱処理後のスライドグラス塗布面は褐黒色から白色に変化し、その導通をテスターで調べたところ、導通が生じていた。さらに、塗布面のX線回折を測定したが、図4に示したように、酸化銀のパターンは得られず、銀の存在を示す結果が得られた。
【0049】
実施例2〜3
実施例1のグリセリンを、表1に示した化合物に変更した以外は、実施例1と同様に評価を行った。加熱処理後の塗布面はいずれも褐黒色から白色に変化し、導通をテスターで調べたところ、表1に示したようにいずれの試料にも導通が生じていた。
【0050】
【表1】
【0051】
比較例2
酸化銀100部を、蒸留水150部とガラスビーズ150部とともにペイントコンディショナーで粉砕・分散した。得られた分散液を塗液とし、ワイヤーバーを用いて白色PET(パナック(株)製ルミラーE−22、厚み188μm)に固形分塗抹量30g/m2になるように塗布した。この試料の酸化銀塗面の上に厚さ5μmの耐熱PETフィルムを重ね、その上から熱スタンプ評価装置(東洋精機;HG−100)を用いて180℃で10秒間加熱を行った。耐熱PETフィルムを剥がした後、目視評価をしたところ、加熱部分は褐黒色のままで非加熱部分との差は肉眼では区別できなかった。さらに加熱部分の導通をテスターで確認したが、やはり非加熱部分と同様に導通はないままであった。
【0052】
実施例4
酸化銀100部、グリセリン10部を、蒸留水165部とガラスビーズ150部とともにペイントコンディショナーで粉砕・分散した。得られた分散液を塗液とし、白色PET(パナック(株)製ルミラーE−22、厚み188μm)に固形分塗抹量30g/m2になるように塗布した。そして比較例2と同様の方法で熱スタンプ評価を行った。その結果、加熱部分は褐黒色から灰白色に変化していた。さらに、テスターで導通確認を行ったところ、加熱部分には導通が生じていることがわかった。非加熱部分は当然のことながら導通はないままであった。
【0053】
実施例5〜6
実施例4のグリセリンと加熱条件を、表2に示した化合物と加熱条件にそれぞれ変更した以外は、実施例4と同様に評価を行った。加熱部分の塗布面はいずれも褐黒色から灰白色に変化しており、さらに導通をテスターで調べたところ、表2に示したようにいずれの試料にも導通が生じていた。
【0054】
【表2】
【0055】
実施例7
酸化銀100部、グリセリン10部を、蒸留水165部とガラスビーズ150部とともにペイントコンディショナーで粉砕・分散した。得られた分散液を塗液とし、ワイヤーバーを用いてPET製OHPシートに固形分塗抹量30g/m2になるように塗布した。この銀組成物塗布シートに波長830nmの半導体レーザー(出力500mW)で1mmのラインアンドスペースの書き込みを行ったところ、レーザーの照射部が褐黒色から薄茶色に変化し、1mmのラインアンドスペースのパターンを肉眼で確認することができた。導通を確認したところ、薄茶色の部分は導通があったが、褐黒色のままの部分は導通がないままであった。
【0056】
比較例3
酸化銀100部を、蒸留水150部とガラスビーズ150部とともにペイントコンディショナーで粉砕・分散した。得られた分散液を塗液とし、ワイヤーバーを用いてPET製OHPシートに固形分塗抹量30g/m2になるように塗布した。この銀組成物塗布シートに波長830nmの半導体レーザー(出力500mW)で1mmのラインアンドスペースの書き込みを行ったところ、レーザー照射部分は褐黒色のままで非照射部分との差は肉眼では区別できなかった。また、テスターで導通部分の存在の有無の確認を行ったが、導通の生じている箇所は全くなかった。
【0057】
実施例8
実施例7のグリセリンを、D−グルコースに変更した以外は、実施例7と全く同じ評価を行った。その結果、レーザーの照射部が褐黒色から薄茶色に変化し、1mmのラインアンドスペースのパターンを肉眼で確認することができた。導通を確認したところ、薄茶色の部分は導通があったが、褐黒色のままの部分は導通がないままであった。
【0058】
実施例9
硝酸銀の20%水溶液1000部に対し、水酸化ナトリウム2%水溶液2350部をホモミキサーで強撹拌下添加し、酸化銀粒子の懸濁液を得た。生じた酸化銀を吸引濾過で回収し、真空乾燥後、乳鉢で粉砕して、粉体の酸化銀を得た。このようにして得た酸化銀100部に、グリセリン20部と1−メトキシ−2−プロパノール10部を加え、自転・公転式撹拌脱泡機(型式AR−250、(株)シンキー製)により、公転2000rpm、自転800rpmの条件で2分間撹拌混合して、ペースト状に調製した。このペーストを用い、アルミナ・セラミックス板(100mm×100mm×25mm)上にスクリーン印刷によりプリント回路パターンを作製した。実施例1と同様に、電気炉で150℃にて加熱処理を行った。加熱により、暗褐色のパターンは灰白色に変化した。テスターで導通を確認したところ、パターンに沿って導通が生じていることが確認できた。
【0059】
実施例10
比較例1に用いた酸化銀分散液を塗液とし、ワイヤーバーを用いて白色PET(パナック(株)製ルミラーE−22、厚み188μm)に固形分塗抹量30g/m2になるように塗布した。この酸化銀塗布シートに、インクジェットシステムを用いて画像パターン状に、グリセリンの5%水溶液を吹き付けた。これを、加熱温度を200℃に設定した乾燥機中で10分間処理した。加熱処理により、グリセリンを吹き付けた部分のみが褐黒色から灰白色に変化し、吹き付けた画像パターンが明瞭に現れた。さらに、テスターで導通を調べたところ、灰白色に変化したところのみに導通が生じていた。
【0060】
【発明の効果】
グリセリンあるいは還元糖と、酸化銀の混合物を用いることにより、100〜300℃の比較的低い加熱温度や近赤レーザーにより、酸化銀より簡便に銀を作製できるようになった。この方法は銀膜や銀画像を得るのに特に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】酸化銀(Ag2O)のX線回折図である。
【図2】銀(Ag)のX線回折図である。
【図3】300℃で加熱処理した酸化銀のX線回折図である。
【図4】グリセリンを混合して、200℃で加熱処理した酸化銀のX線回折図である。
Claims (8)
- 酸化銀とグリセリンあるいは還元糖を含有する組成物を加熱処理することによって銀を主成分とする組成物に変換する事を特徴とする、銀の作製方法。
- 加熱する温度が100〜300℃の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の銀の作製方法。
- 750〜900nmの範囲内に波長を有する近赤レーザーを照射し、光熱変換により加熱することを特徴とする請求項1あるいは2に記載の銀の作製方法。
- 酸化銀とグリセリンあるいは還元糖を含有する組成物を膜状に加工し、請求項1〜3のいずれかに記載の方法で酸化銀を銀に還元することを特徴とする銀膜作製方法。
- 酸化銀とグリセリンあるいは還元糖を含有する組成物を用いて画像を形成し、次いで請求項1〜3のいずれかに記載の方法で酸化銀を銀に還元することを特徴とする銀画像形成方法。
- 酸化銀とグリセリンあるいは還元糖を含有する組成物を膜状に加工し、次いで請求項1〜3のいずれかに記載の方法を利用して膜状組成物を像様に熱処理することを特徴とする銀画像形成方法。
- 酸化銀を膜状に加工し、次いでグリセリンあるいは還元糖により該膜状酸化銀を処理し、さらに請求項1〜3のいずれかに記載の方法で酸化銀を銀に還元することを特徴とする銀膜作製方法。
- 酸化銀を膜状に加工し、次いでグリセリンあるいは還元糖により該膜状酸化銀を像様に処理し、さらに請求項1〜3のいずれかに記載の方法を利用して酸化銀を像様に銀へ変換することを特徴とする銀画像形成方法。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP2013161907A (ja) * | 2012-02-03 | 2013-08-19 | Jsr Corp | パターン形成方法、金属パターン形成方法および金属パターン |
JP5950427B1 (ja) * | 2015-06-12 | 2016-07-13 | 株式会社フェクト | 銀鏡膜層形成用組成液の製造方法及び銀鏡膜層の形成方法 |
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2002
- 2002-11-25 JP JP2002340423A patent/JP2004176079A/ja active Pending
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JP2013135070A (ja) * | 2011-12-26 | 2013-07-08 | Jsr Corp | パターン形成方法および金属パターン |
JP2013161907A (ja) * | 2012-02-03 | 2013-08-19 | Jsr Corp | パターン形成方法、金属パターン形成方法および金属パターン |
JP5950427B1 (ja) * | 2015-06-12 | 2016-07-13 | 株式会社フェクト | 銀鏡膜層形成用組成液の製造方法及び銀鏡膜層の形成方法 |
JP2017002219A (ja) * | 2015-06-12 | 2017-01-05 | 株式会社フェクト | 銀鏡膜層形成用組成液の製造方法及び銀鏡膜層の形成方法 |
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