JP2004176058A - 蒸気圧低減剤、ポリウレタンフォーム用プレミックス組成物及びポリウレタンフォームの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 下記の一般式(1)
【化1】
(式中、R1、R2およびR3は、同一又は異なって、炭素数2〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基を示し、R1、R2およびR3の全てがエチル基である化合物を除く)で表され、かつ、MIL H -19457に準じて測定される全酸量が650(KOHmg)以下である化合物の少なくとも1種を含む1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンの蒸気圧低減剤。
【選択図】なし
Description
(i) 以下の一般式(1)で表される化合物のうち、MIL H-19457に準じて測定される全酸量が650(mgKOH)以下であるリン酸エステル化合物は、HFC−245faの蒸気圧を効果的に低減させる。
(ii) 上記一般式(1)で表される化合物は耐加水分解性に優れるために、発泡助剤としての水を含むポリウレタンフォーム用プレミックス組成物に含ませておいても、プレミックス組成物の保存中に加水分解し難い。これにより、一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物の加水分解物である酸により発泡が阻害されることがなく又は殆どない。その結果、このプレミックス組成物を用いてポリウレタンフォームを製造することにより良好な発泡性が得られ、また蒸気圧低減効果が長期にわたり維持される。
1. 下記の一般式(1)
2. 一般式(1)の化合物が、ポリn−プロピルホスフェート、トリn−ブチルホスフェート、トリn−ペンチルホスフェート、トリiso−プロピルホスフェート、トリiso−ブチルホスフェート、トリsec−ブチルホスフェート、トリtert−ブチルホスフェート、トリiso−ペンチルホスフェート、トリsec−ペンチルホスフェート、トリネオペンチルホスフェート、エチルジ(n−プロピル)ホスフェート、エチルジ(iso−プロピル)ホスフェート、エチルジ(n−ブチル)ホスフェート、エチルジ(iso−ブチル)ホスフェート、エチルジ(sec−ブチル)ホスフェート、エチルジ(tert−ブチル)ホスフェート、エチルジ(n−ペンチル)ホスフェート、エチルジ(iso−ペンチル)ホスフェート、エチルジ(sec−ペンチル)ホスフェート、エチルジ(ネオペンチル)ホスフェート、ジエチルn−プロピルホスフェート、ジエチルn−ブチルホスフェート、ジエチルiso−ブチルホスフェート、ジエチルsec−ブチルホスフェート、ジエチルtert−ブチルホスフェート、ジエチルn−ペンチルホスフェート、ジエチルiso−ペンチルホスフェート、ジエチルsec−ペンチルホスフェート、ジエチルネオペンチルホスフェート、n−プロピルジ(iso−プロピル)ホスフェート、ジ(n−プロピル)iso−プロピルホスフェート、n−プロピルジ(n−ブチル)ホスフェート、ジ(n−プロピル)n−ブチルホスフェート、n−プロピルジ(iso−ブチル)ホスフェート、ジ(n−プロピル)iso−ブチルホスフェート、n−プロピルジ(sec−ブチル)ホスフェート、ジ(n−プロピル)sec−ブチルホスフェート、n−プロピルジ(tert−ブチル)ホスフェート、ジ(n−プロピル)tert−ブチルホスフェート、n−プロピルジ(n−ペンチル)ホスフェート、ジ(n−プロピル)n−ペンチルホスフェート、n−プロピルジ(iso−ペンチル)ホスフェート、ジ(n−プロピル)iso−ペンチルホスフェート、n−プロピルジ(sec−ペンチル)ホスフェート、ジ(n−プロピル)sec−ペンチルホスフェート、n−プロピルジ(ネオペンチル)ホスフェート、ジ(n−プロピル)ネオペンチルホスフェート、iso−プロピルジ(n−ブチル)ホスフェート、ジ(iso−プロピル)n−ブチルホスフェート、iso−プロピルジ(iso−ブチル)ホスフェート、ジ(iso−プロピル)iso−ブチルホスフェート、iso−プロピルジ(sec−ブチル)ホスフェート、ジ(iso−プロピル)sec−ブチルホスフェート、iso−プロピルジ(tert−ブチル)ホスフェート、ジ(iso−プロピル)tert−ブチルホスフェート、iso−プロピルジ(n−ペンチル)ホスフェート、ジ(iso−プロピル)n−ペンチルホスフェート、iso−プロピルジ(iso−ペンチル)ホスフェート、ジ(iso−プロピル)iso−ペンチルホスフェート、iso−プロピルジ(sec−ペンチル)ホスフェート、ジ(iso−プロピル)sec−ペンチルホスフェート、iso−プロピルジ(ネオペンチル)ホスフェート、ジ(iso−プロピル)ネオペンチルホスフェート、n−ブチルジ(iso−ブチル)ホスフェート、ジ(n−ブチル)iso−ブチルホスフェート、n−ブチルジ(sec−ブチル)ホスフェート、ジ(n−ブチル)sec−ブチルホスフェート、iso−ブチルジ(sec−ブチル)ホスフェート及びジ(iso−ブチル)sec−ブチルホスフェートからなる群より選ばれる少なくとも1種である項1の蒸気圧低減剤。
3. 一般式(1)の化合物が、トリn−プロピルホスフェート、トリn−ブチルホスフェート、トリiso−プロピルホスフェート、トリiso−ブチルホスフェート、トリsec−ブチルホスフェート、エチルジ(n−プロピル)ホスフェート、エチルジ(n−ブチル)ホスフェート、エチルジ(iso−ブチル)ホスフェート、エチルジ(sec−ブチル)ホスフェート、n−プロピルジ(iso−プロピル)ホスフェート、ジ(n−プロピル)iso−プロピルホスフェート、n−プロピルジ(n−ブチル)ホスフェート、ジ(n−プロピル)n−ブチルホスフェート、n−プロピルジ(iso−ブチル)ホスフェート、ジ(n−プロピル)iso−ブチルホスフェート、n−プロピルジ(sec−ブチル)ホスフェート、ジ(n−プロピル)sec−ブチルホスフェート、iso−プロピルジ(n−ブチル)ホスフェート、ジ(iso−プロピル)n−ブチルホスフェート、iso−プロピルジ(iso−ブチル)ホスフェート、ジ(iso−プロピル)iso−ブチルホスフェート、iso−プロピルジ(sec−ブチル)ホスフェート、ジ(iso−プロピル)sec−ブチルホスフェート、n−ブチルジ(iso−ブチル)ホスフェート、ジ(n−ブチル)iso−ブチルホスフェート、n−ブチルジ(sec−ブチル)ホスフェート、ジ(n−ブチル)sec−ブチルホスフェート、iso−ブチルジ(sec−ブチル)ホスフェート及びジ(iso−ブチル)sec−ブチルホスフェートからなる群より選ばれる少なくとも1種である項1に記載の蒸気圧低減剤。
4. ポリオール、硬化触媒、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、整泡剤および項1に記載の蒸気圧低減剤を含有するポリウレタンフォーム用プレミックス組成物。
5. さらに、カーボネート、ケトン、エステル、エーテル、アセタール、ニトリル、アミド、スルホキシド類及びスルホラン類からなる群より選ばれる少なくとも1種の補助的蒸気圧低減剤を含む項4に記載のポリウレタンフォーム用プレミックス組成物。
6. 補助的蒸気圧低減剤が、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン及びジメトキシメタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である項5に記載のポリウレタンフォーム用プレミックス組成物。
7. さらに、炭化水素系発泡剤、含フッ素炭化水素系発泡剤、含フッ素エーテル系発泡剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の補助的発泡剤を含む項4に記載のポリウレタンフォーム用プレミックス組成物。
8. 補助的発泡剤が、n−ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、1,1,1,3,3―ペンタフルオロブタン、メトキシ−ヘプタフルオロプロパン及びメトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である項7に記載のポリウレタンフォーム用プレミックス組成物。
9. さらに、水を含む項4に記載のポリウレタンフォーム用プレミックス組成物。
10. 項4に記載のポリウレタンフォーム用プレミックス組成物とポリイソシアネートとを混合することによりポリウレタンフォームを形成する工程を含むポリウレタンフォームの製造方法。
11. ポリウレタンフォーム用プレミックス組成物が、さらに、カーボネート、ケトン、エステル、エーテル、アセタール、ニトリル、アミド、スルホキシド類及びスルホラン類からなる群より選ばれる少なくとも1種の補助的蒸気圧低減剤を含むものである項10に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
12. 補助的蒸気圧低減剤が、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン及びジメトキシメタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であるである項11に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
13. ポリウレタンフォーム用プレミックス組成物が、さらに、炭化水素系発泡剤、含フッ素炭化水素系発泡剤、含フッ素エーテル系発泡剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の補助的発泡剤を含有するものである項10に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
14. 補助的発泡剤が、n−ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、1,1,1,3,3―ペンタフルオロブタン、メトキシ−ヘプタフルオロプロパン及びメトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である項13に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
15. ポリウレタンフォーム用プレミックス組成物が、さらに、水を含むものである項10に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
16. (A)1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンと(B)下記の一般式(1)
で表され、かつ、MIL H -19457に準じて測定される全酸量が650(mgKOH)以下である化合物の少なくとも1種とを含有する発泡剤組成物。
(1)蒸気圧低減剤
基本的構成
本発明のHFC−245faの蒸気圧低減剤は、下記の一般式(1):
で表され、かつ、MIL H -19457に準じて測定される全酸量が650(mgKOH)以下である化合物の少なくとも1種を含む蒸気圧低減剤である。
その後、全酸量を下式により算出する。
上記計算式において、Wは回収した全ての水層の重量を示す。
好ましい蒸気圧低減剤
本発明の蒸気圧低減剤は、ポリオール成分に対するHFC−245faの溶解度を増大させる作用を有する。従って、本発明の蒸気圧低減剤の中では、ポリオール及びHFC−245faの双方に親和性を有し、かつ蒸気圧を低下しうる高い沸点を有する化合物が好ましい。
(2)ポリウレタンフォーム用プレミックス組成物
基本的構成
本発明のポリウレタンフォーム用プレミックス組成物は、発泡剤としてのHFC−245faと本発明の蒸気圧低減剤とを含有する組成物であり、具体的には、ポリオール、硬化触媒、HFC−245fa、整泡剤及び本発明の蒸気圧低減剤を含む組成物である。
ポリオール
ポリオールとしては、特に限定されず、ポリウレタン樹脂原料として公知のポリオールを広い範囲から選択して使用できる。このような公知のポリオールとして、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール、フェノールベースポリオール等が挙げられる。
硬化触媒
硬化触媒としては、ポリウレタン樹脂用の硬化触媒として公知の化合物を制限なく使用できる。このような公知の硬化触媒として、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、DBU、トリメチルアミノエチルピペラジン、N,N−ジメチルアミノエチルエーテル、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン等のアミン触媒;ジメチルアミノヘキサノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、トリメチルアミノエチルエタノールアミン、4級アンモニウム塩類のような、1分子中に水酸基を1個以上含有する反応型アミン触媒等が挙げられる。
発泡剤
発泡剤としては、HFC−245faを用いる。
補助的発泡剤
本発明のプレミックス組成物には、さらに、補助的発泡剤として、HFC−245faよりも沸点が高く、特に沸点20℃以上であり、分子量50〜200程度の低分子量化合物を併用することができる。このような補助的発泡剤を併用することにより、その分HFC−245faの使用量を減らすことができ、その結果蒸気圧低減剤の使用量を少なくすることができる。補助的発泡剤の種類によっても異なるが、上記範囲の分子量を有する補助的発泡剤を併用すれば、HFC−245faと補助的発泡剤とが相溶し易いため、HFC−245faの蒸気圧を低下させることができる。補助的発泡剤は単独で又は2種以上混合してHFC−245faと併用することができる。
このような補助的発泡剤として、n−ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサンのような炭素数5〜6の炭化水素系発泡剤;1,1,1,3,3―ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロペン(R−236fa)のような含フッ素炭化水素系発泡剤;メトキシ−ヘプタフルオロプロパン(CF3CF2CF2OCH3)、メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン(CHF2CF2OCH3)、メトキシ−3,3,3−トリフルオロプロペンのような含フッ素エーテル系発泡剤等が挙げられる。
特にn−ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、1,1,1,3,3―ペンタフルオロブタン、メトキシ−ヘプタフルオロプロパン及びメトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンが好ましく、中でも含フッ素炭化水素系発泡剤である1,1,1,3,3―ペンタフルオロブタン、メトキシ−ヘプタフルオロプロパン及びメトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンがより好ましく、1,1,1,3,3―ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)がさらにより好ましい。これらの化合物は、低粘度であるため、プレミックス組成物を低粘度にすることができ、作業性を良くする効果もある。
発泡助剤
本発明のプレミックス組成物は必要に応じて発泡助剤を含むことができる。発泡助剤としては水を用いることが好ましい。水は安価であり、しかも寸法安定性及び耐熱性に優れるポリウレタンフォームを形成することができる。しかし、発泡剤を用いず発泡助剤として水のみを用いると、発泡時の発熱量が多くなりすぎたり、プレミックス組成物の粘度が高くなって作業性が低下する場合がある。発泡助剤として水を使用する場合には、ポリオール100重量部に対して通常0.01〜5重量部程度、特に0.1〜3重量部程度添加することが好ましい。
整泡剤
整泡剤としては、ポリウレタン樹脂の整泡剤として公知の化合物を制限なく使用できる。このような公知の整泡剤として、例えば有機ケイ素化合物からなる界面活性剤が用いられる。具体的には、アルキレンオキサイド変性ポリオルガノシロキサンで末端にアルコキシ基、活性のOH基、またはアシル基を有する物等が挙げられる。これら有機ケイ素化合物からなる界面活性剤は市販品であってもよく、具体的には、東レシリコーン(株)製SH−193、SH−195、SH−200、SRX−253等;信越シリコーン(株)製F−230、F−305、F−341、F−348等;日本ユニカー(株)製L−544、L−5310、L−5320、L−5420、L−5720;東芝シリコーン(株)製TFA−4200、TFA−4202等が挙げられる。
蒸気圧低減剤
HFC−245faの蒸気圧低減剤としては、上記説明した本発明の上記蒸気圧低減剤を使用する。
補助的蒸気圧低減剤
本発明のプレミックス組成物は、本発明の蒸気圧低減剤に加えて補助的な蒸気圧低減剤を含むことができる。
中でも、スルホキシド類、エーテル、アセタールが好ましく、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、ジメトキシメタンがより好ましい。
これらの補助的蒸気圧低減剤は、塩基性ではないため、硬化触媒としてアミン触媒を使用する場合に、硬化反応に影響を及ぼさない又は及ぼし難い。また塩基に対して安定であるため、硬化触媒として塩基性触媒を用いることができる。
上記例示した補助的蒸気圧低減剤の中では、トリn−プロピルホスフェート又はトリイソブチルホスフェートと;ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン及びジメトキシメタンなどが好ましい。
蒸気圧低減剤に補助的蒸気圧低減剤を併用する場合には、補助的蒸気圧低減剤の使用量は、発泡剤(HFC−245fa)100重量部に対して通常0.1〜80重量部程度とするのが好ましく、1〜50重量部程度とするのがより好ましく、1〜40重量部程度とするのがさらにより好ましい。
また補助的蒸気圧低減剤は、蒸気圧低減剤の100重量部に対して0.1〜100重量部程度とすることが好ましく、1〜90重量部程度とすることがより好ましく、10〜80重量部とすることがさらにより好ましい。
難燃剤
本発明の蒸気圧低減剤は難燃性を有するため、プレミックス組成物には、別途難燃剤を添加することは必ずしも要さない。本発明の蒸気圧低減剤の中で、トリノルマルプロピルホスフェート、トリイソプロピルホスフェート等は難燃性にも優れるため、蒸気圧低減剤としてこれらの化合物を用いることにより、得られるポリウレタンフォームの難燃性が一層顕著になる。
その他の成分
本発明のプレミックス組成物には、必要に応じて、得られるポリウレタンフォームの物性を損なわない範囲で、その他の添加剤が含まれていてもよい。
(3)ポリウレタンフォームの製造方法
基本的構成
本発明のポリウレタンフォームの製造方法は、本発明のポリウレタンフォーム用プレミックス組成物とポリイソシアネートとを混合することによりポリウレタンフォームを形成する工程を含む方法である。
ポリイソシアネート
ポリイソシアネート化合物としては、ポリウレタン樹脂の原料として公知のポリイソシアネート化合物を制限なく使用できる。ポリイソシアネート化合物であれば、芳香族ポリイソシアネート化合物、脂肪族ポリイソシアネート化合物及び脂環族ポリイソシアネート化合物のいずれも使用できる。
成型
本発明のプレミックス組成物にポリイソシアネートを添加し、通常公知の方法で撹拌することにより、発泡及び硬化が起こりポリウレタンフォームが得られる。成型方法は特に限定されず、注型法、スプレー法等の硬質ポリウレタンフォームの形成方法として公知の方法を採用できる。
(4)発泡剤組成物
本発明の発泡剤組成物は、(A)HFC−245faと、(B)上記一般式(1)で表され、かつ、MIL H -19457に準じて測定される全酸量が650(mgKOH)以下である化合物の少なくとも1種とを含有する組成物である。
実施例
次に本発明を実施例及び試験例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<蒸気圧低減剤の耐加水分解性の評価>
全酸量の測定方法
全酸量は、MIL H−19457に準じて測定した。具体的には、耐圧試料瓶に試験化合物75gと蒸留水25gとを入れて密栓した後、予め93℃に調整した加水分解装置(1分間に5回転して試料瓶中の内容物を混合する機能を有する)にこの耐圧試料瓶を取り付け、同温度で48時間保持し、室温まで冷却した。 その後、耐圧試料瓶中の混合物を分液漏斗に移し、静置して水層を回収した。次いで、油層に洗浄水として蒸留水約100gを加えて軽く振盪した後、静置して水層を回収した。分離した水層を最初の水層と混合した。同様にして、さらに洗浄水が中性になるまで洗浄操作を繰り返した。回収した全ての水層の酸価を測定し、全酸量を下式により求めた。
その後、全酸量を下式により算出した。
上記計算式において、Wは回収した全ての水層の合計重量を示す。
TNPP:トリノルマルプロピルホスフェート
TIPP:トリイソプロピルホスフェート
TIBP:トリイソブチルホスフェート
TBP:トリノルマルブチルホスフェート
TMP:トリメチルホスフェート
TEP:トリエチルホスフェート
TMCPP:トリス(β−クロロプロピルホスフェート)
TBP、TMP及びTMCPPは大八化学工業社で製造されたものを使用し、他は市販されている試薬を使用した。
表1から明らかなように、本発明の蒸気圧低減剤であるTNPP、TIPP、TIBP、TBPは、全酸量が650(mgKOH)以下であり、耐加水分解性に優れる。
<プレミックス組成物の製造例>
実施例1〜8
エステル系ポリオール(商品名:ファントールPL−305、東邦理化(株)製、OH価=314mgKOH/g、粘度=2370mPa・s/25℃)とエーテル系ポリオール(商品名:アクトコールAE−300、三井武田ケミカル製、OH価=755mgKOH/g、粘度=45000mPa・s/25℃)とを重量比70:30で混合した混合物100重量部に対して、トリn−プロピルホスフェート(TNPP)またはトリイソブチルホスフェート(TIBP)15重量部、整泡剤として有機ケイ素系界面活性剤(商品名:SH−193、東レシリコーン社製)1重量部、硬化触媒として酢酸カリウム2重量部及びトリアジン系触媒のPC−41(N,N',N"-トリス(ジメチルアミノプロピルヘキサヒドロ-S-トリアジン、商品名:ポリキャット41(POLYCAT−41)、三共エアプロダクト社製)2重量部、発泡助剤として水2重量部、後掲の表2に示す発泡剤組成物(発泡剤としてのHFC−245faと蒸気圧低減剤等(TNPP とTIBPを除く)とを含む)50重量部を氷冷下に混合して、プレミックス溶液を調製した。
比較例1
実施例1〜8において、蒸気圧低減剤を用いず発泡剤組成物としてHFC−245faのみ用いた他は、実施例1〜8と同様にしてプレミックス溶液を調製した。
試験例1(減圧率評価)
実施例1〜8及び比較例1の各プレミックス組成物の蒸気圧を以下の方法で測定した。各プレミックス組成物50gを、上部に圧力センサー(VALCOM Pressure Transducer VPRNP−A4−1700kPa(abs)−5)を装着した50mlガラス製耐圧容器に入れ、空気存在下マグネチックスターラーで攪拌し50℃にて蒸気圧を測定した。測定開始後約3時間の時点で平衡に到達した蒸気圧(平衡蒸気圧)を測定した。
(式中、P0は245faを単独で用いた比較例1のプレミックス組成物の蒸気圧を示し、Pは測定対象組成物の蒸気圧を示す。)
結果を以下の表2に示す。
HFC−365mfc:1,1,1,3,3―ペンタフルオロブタン
TNPP:トリn−プロピルホスフェート
TIBP:トリイソブチルホスフェート
また表2中、カッコ内は、TNPP 及びTIBPを除く発泡剤組成物中の成分の含有比率である。
実施例9〜15
エステル系ポリオール(商品名:ファントールPL−305、東邦理化(株)製、OH価=314mgKOH/g、粘度=2370mPa・s/25℃)とポリエーテルポリオール(住化バイエルウレタン製、OH価=467mgKOH/g、粘度=3300mPa・s/25℃)とを重量比70:30で混合した混合物100重量部に対して、整泡剤(SH−193)(東レシリコーン社製)1重量部、硬化触媒として酢酸カリウム2重量部及びトリアジン系触媒のPC−41(N,N',N"-トリス(ジメチルアミノプロピルヘキサヒドロ-S-トリアジン、商品名:ポリキャット41(POLYCAT−41)、三共エアプロダクト社製)2重量部、発泡助剤として水2重量部、後掲の表3に示す発泡剤組成物(発泡剤としてのHFC−245faと蒸気圧低減剤等(TNPP及びTIBPを除く)とを含む)50重量部を氷冷下に混合して、プレミックス溶液を調製した。また、TNPP 及びTIBPは直接ポリオール100重量部に15重量部を配合した。
比較例2
実施例9〜15において、蒸気圧低減剤を用いず、発泡剤組成物としてHFC−245faのみ用い、さらにポリオール100重量部に対して15重量部の難燃剤TMCPP(トリス-(2-クロロプロピル)ホスフェート)(大八化学工業社製)を用いた他は、実施例9〜15と同様にしてプレミックス組成物を調製した。
試験例2(発泡性評価)
実施例9〜15及び比較例2のプレミックス組成物100重量部とイソシアネート(三井武田ケミカル(株)製コスモネートM−200)116重量部とを混合し攪拌後、ゲル時間及びライズ時間を測定した。ゲル時間は、プレミックスとイソシアネートとを混合後ゲル化するまでの時間を指し、これらを混合後に発泡している樹脂の表面を先の尖った針状の棒で突いたときに樹脂が糸状に付着し始めるまでの時間とした。ゲル時間が短いほど発泡性がよいことを示す。ライズ時間は発泡が止まるまでの時間であり、ライズ時間が短いほど発泡性がよいことを示す。
Claims (16)
- 一般式(1)の化合物が、ポリn−プロピルホスフェート、トリn−ブチルホスフェート、トリn−ペンチルホスフェート、トリiso−プロピルホスフェート、トリiso−ブチルホスフェート、トリsec−ブチルホスフェート、トリtert−ブチルホスフェート、トリiso−ペンチルホスフェート、トリsec−ペンチルホスフェート、トリネオペンチルホスフェート、エチルジ(n−プロピル)ホスフェート、エチルジ(iso−プロピル)ホスフェート、エチルジ(n−ブチル)ホスフェート、エチルジ(iso−ブチル)ホスフェート、エチルジ(sec−ブチル)ホスフェート、エチルジ(tert−ブチル)ホスフェート、エチルジ(n−ペンチル)ホスフェート、エチルジ(iso−ペンチル)ホスフェート、エチルジ(sec−ペンチル)ホスフェート、エチルジ(ネオペンチル)ホスフェート、ジエチルn−プロピルホスフェート、ジエチルn−ブチルホスフェート、ジエチルiso−ブチルホスフェート、ジエチルsec−ブチルホスフェート、ジエチルtert−ブチルホスフェート、ジエチルn−ペンチルホスフェート、ジエチルiso−ペンチルホスフェート、ジエチルsec−ペンチルホスフェート、ジエチルネオペンチルホスフェート、n−プロピルジ(iso−プロピル)ホスフェート、ジ(n−プロピル)iso−プロピルホスフェート、n−プロピルジ(n−ブチル)ホスフェート、ジ(n−プロピル)n−ブチルホスフェート、n−プロピルジ(iso−ブチル)ホスフェート、ジ(n−プロピル)iso−ブチルホスフェート、n−プロピルジ(sec−ブチル)ホスフェート、ジ(n−プロピル)sec−ブチルホスフェート、n−プロピルジ(tert−ブチル)ホスフェート、ジ(n−プロピル)tert−ブチルホスフェート、n−プロピルジ(n−ペンチル)ホスフェート、ジ(n−プロピル)n−ペンチルホスフェート、n−プロピルジ(iso−ペンチル)ホスフェート、ジ(n−プロピル)iso−ペンチルホスフェート、n−プロピルジ(sec−ペンチル)ホスフェート、ジ(n−プロピル)sec−ペンチルホスフェート、n−プロピルジ(ネオペンチル)ホスフェート、ジ(n−プロピル)ネオペンチルホスフェート、iso−プロピルジ(n−ブチル)ホスフェート、ジ(iso−プロピル)n−ブチルホスフェート、iso−プロピルジ(iso−ブチル)ホスフェート、ジ(iso−プロピル)iso−ブチルホスフェート、iso−プロピルジ(sec−ブチル)ホスフェート、ジ(iso−プロピル)sec−ブチルホスフェート、iso−プロピルジ(tert−ブチル)ホスフェート、ジ(iso−プロピル)tert−ブチルホスフェート、iso−プロピルジ(n−ペンチル)ホスフェート、ジ(iso−プロピル)n−ペンチルホスフェート、iso−プロピルジ(iso−ペンチル)ホスフェート、ジ(iso−プロピル)iso−ペンチルホスフェート、iso−プロピルジ(sec−ペンチル)ホスフェート、ジ(iso−プロピル)sec−ペンチルホスフェート、iso−プロピルジ(ネオペンチル)ホスフェート、ジ(iso−プロピル)ネオペンチルホスフェート、n−ブチルジ(iso−ブチル)ホスフェート、ジ(n−ブチル)iso−ブチルホスフェート、n−ブチルジ(sec−ブチル)ホスフェート、ジ(n−ブチル)sec−ブチルホスフェート、iso−ブチルジ(sec−ブチル)ホスフェート及びジ(iso−ブチル)sec−ブチルホスフェートからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1の蒸気圧低減剤。
- 一般式(1)の化合物が、トリn−プロピルホスフェート、トリn−ブチルホスフェート、トリiso−プロピルホスフェート、トリiso−ブチルホスフェート、トリsec−ブチルホスフェート、エチルジ(n−プロピル)ホスフェート、エチルジ(n−ブチル)ホスフェート、エチルジ(iso−ブチル)ホスフェート、エチルジ(sec−ブチル)ホスフェート、n−プロピルジ(iso−プロピル)ホスフェート、ジ(n−プロピル)iso−プロピルホスフェート、n−プロピルジ(n−ブチル)ホスフェート、ジ(n−プロピル)n−ブチルホスフェート、n−プロピルジ(iso−ブチル)ホスフェート、ジ(n−プロピル)iso−ブチルホスフェート、n−プロピルジ(sec−ブチル)ホスフェート、ジ(n−プロピル)sec−ブチルホスフェート、iso−プロピルジ(n−ブチル)ホスフェート、ジ(iso−プロピル)n−ブチルホスフェート、iso−プロピルジ(iso−ブチル)ホスフェート、ジ(iso−プロピル)iso−ブチルホスフェート、iso−プロピルジ(sec−ブチル)ホスフェート、ジ(iso−プロピル)sec−ブチルホスフェート、n−ブチルジ(iso−ブチル)ホスフェート、ジ(n−ブチル)iso−ブチルホスフェート、n−ブチルジ(sec−ブチル)ホスフェート、ジ(n−ブチル)sec−ブチルホスフェート、iso−ブチルジ(sec−ブチル)ホスフェート及びジ(iso−ブチル)sec−ブチルホスフェートからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の蒸気圧低減剤。
- ポリオール、硬化触媒、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、整泡剤および請求項1に記載の蒸気圧低減剤を含有するポリウレタンフォーム用プレミックス組成物。
- さらに、カーボネート、ケトン、エステル、エーテル、アセタール、ニトリル、アミド、スルホキシド類及びスルホラン類からなる群より選ばれる少なくとも1種の補助的蒸気圧低減剤を含む請求項4に記載のポリウレタンフォーム用プレミックス組成物。
- 補助的蒸気圧低減剤が、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン及びジメトキシメタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項5に記載のポリウレタンフォーム用プレミックス組成物。
- さらに、炭化水素系発泡剤、含フッ素炭化水素系発泡剤、含フッ素エーテル系発泡剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の補助的発泡剤を含む請求項4に記載のポリウレタンフォーム用プレミックス組成物。
- 補助的発泡剤が、n−ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、1,1,1,3,3―ペンタフルオロブタン、メトキシ−ヘプタフルオロプロパン及びメトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項7に記載のポリウレタンフォーム用プレミックス組成物。
- さらに、水を含む請求項4に記載のポリウレタンフォーム用プレミックス組成物。
- 請求項4に記載のポリウレタンフォーム用プレミックス組成物とポリイソシアネートとを混合することによりポリウレタンフォームを形成する工程を含むポリウレタンフォームの製造方法。
- ポリウレタンフォーム用プレミックス組成物が、さらに、カーボネート、ケトン、エステル、エーテル、アセタール、ニトリル、アミド、スルホキシド類及びスルホラン類からなる群より選ばれる少なくとも1種の補助的蒸気圧低減剤を含むものである請求項10に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
- 補助的蒸気圧低減剤が、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン及びジメトキシメタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であるである請求項11に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
- ポリウレタンフォーム用プレミックス組成物が、さらに、炭化水素系発泡剤、含フッ素炭化水素系発泡剤、含フッ素エーテル系発泡剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の補助的発泡剤を含有するものである請求項10に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
- 補助的発泡剤が、n−ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、1,1,1,3,3―ペンタフルオロブタン、メトキシ−ヘプタフルオロプロパン及びメトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項13に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
- ポリウレタンフォーム用プレミックス組成物が、さらに、水を含むものである請求項10に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
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