JP2004175727A - 新規抗菌性ポリペプチドとその利用 - Google Patents

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Abstract

【課題】既知の抗菌性ペプチドのアミノ酸残基を置換する従前の抗菌性ペプチドの開発アプローチによらず、自然界において抗菌性ペプチドとして存在し機能しているペプチドとは異なるアミノ酸配列の抗菌性ペプチドを提供することを目的の一つとする。
【解決手段】ペプチド分子中に2ヶ所の塩基性アミノ酸残基による配列部を持つこと、およびペプチド両末端が疎水性であるという特徴を抗菌性ペプチドの分子設計に取り入れることで、高い抗菌活性を発揮し、グラム陰性細菌、グラム陽性細菌、およびMRSAなどの薬剤耐性菌に対して幅広い抗菌スペクトルを有する抗菌性ペプチドを実現できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は抗菌性ペプチドおよび当該抗菌性ペプチドの設計に関する。
【0002】
【従来の技術】
抗菌性ペプチドは幅広い抗菌スペクトルを有し、薬剤耐性菌が出現し難いと考えられていることから、ヒトおよび動物の細菌感染性疾患の予防や治療、或いは、食材などの物品に抗菌性を付与する目的に抗菌性ペプチドの利用が期待されている。
これまでに多くの抗菌性ペプチドが動植物から単離されている。例えば、タイワンカブトムシ由来の抗菌性ペプチドおよび当該抗菌性ペプチドを有効成分とする抗菌剤が開示されている(例えば特許文献1参照)。
また、サソリ毒由来の抗菌性ペプチドおよび当該抗菌性ペプチドを有効成分とする抗菌剤が開示されている(例えば特許文献2参照)。
上記記載の抗菌性ペプチドは、いずれもリジン、アルギニンおよび/またはヒスチジンなどの塩基性アミノ酸を含むもので、ペプチド分子全体の電荷が正となるカチオン性抗菌性ペプチドと呼ばれるものである。これら抗菌性ペプチドの作用原理は、抗菌性ペプチド中の正に荷電した塩基性アミノ酸部分が菌表面の膜と静電相互作用することによるものと考えられている(例えば、非特許文献1参照)。
上記の各公報に記載の抗菌性ペプチドは、何れも自然界において元々抗菌性ペプチドとして存在していたものを発見し単離したもの(或いは天然型抗菌性ペプチドのアミノ酸配列を一部改変したペプチド)であり、当該抗菌性ペプチドの抗菌活性や抗菌スペクトルを上回る抗菌性能を有するものを開発することは困難である。
【0003】
○先行文献
【特許文献1】
特開2000−063400号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開2001−186887号公報(特許請求の範囲)
【非特許文献1】
M.Zasloff、「Nature」,2002年,415巻,p.389−395
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、既知の抗菌性ペプチドのアミノ酸残基を置換する従前の抗菌性ペプチドの開発アプローチによらず、自然界において抗菌性ペプチドとして存在し機能しているペプチドとは異なるアミノ酸配列の抗菌性ペプチドを提供することを目的の一つとする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、ペプチド分子中に2ヶ所の塩基性アミノ酸残基による配列部を持つこと、およびペプチド両末端が疎水性であるという特徴を抗菌性ペプチドの分子設計に取り入れることで、高い抗菌活性を発揮し、グラム陰性細菌、グラム陽性細菌、およびMRSAなどの薬剤耐性菌に対して幅広い抗菌スペクトルを有する抗菌性ペプチドを実現できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の設計方法によって提供される抗菌性ペプチドは、天然に存在しない人為的に合成された抗菌性ペプチドである。また、本発明によって提供される抗菌性ペプチドをコードするヌクレオチド配列および/または該配列と相補的なヌクレオチド配列を含む(典型的には該配列により実質的に構成される)天然に存在しない人為的に合成されたポリヌクレオチドが提供される。
【0006】
本発明により、本発明の抗菌性ペプチドを成分として含有する抗菌剤が提供される。典型的には、当該抗菌剤は、用途に応じて、本発明の抗菌性ペプチドの他に製薬上許容される担体を含有する。また、本発明の抗菌性ペプチドをコードするヌクレオチド配列および/または該配列と相補的なヌクレオチド配列を含むか或いはそれら配列により実質的に構成される、天然に存在しない人為的に合成されたポリヌクレオチド(DNAセグメントまたはRNAセグメントの形態であり得る)が提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を説明する。
なお、本明細書において特に言及している事項(例えば抗菌性ペプチドの一次構造や鎖長)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えばペプチド合成、ポリヌクレオチド合成、ペプチドを成分とする薬剤の調製に関するような一般的事項など)は、有機化学、生化学、遺伝子工学、タンパク質工学、分子生物学、薬学、医学などの分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。なお、以下の説明では、アミノ酸をIUPAC−IUBガイドラインで示されたアミノ酸に関する命名法に準拠した1文字表記(但し配列表では3文字表記)で表す。
【0008】
ここで「天然に存在しない人為的に合成された抗菌性ペプチドまたはポリヌクレオチド」とは、そのペプチド鎖またはヌクレオチド鎖(全長)がそれ単独で自然界に存在するものではなく、化学合成或いは生合成(即ち遺伝子工学に基づく生産)によって人為的に製造された抗菌性ペプチドまたはポリヌクレオチドをいう。ここで「ペプチド」とは、複数のペプチド結合を有するアミノ酸ポリマーを指す用語であり、ペプチド鎖に含まれるアミノ酸残基の数によって限定されない。アミノ酸残基数が10未満の所謂オリゴペプチドも本明細書におけるペプチドに包含される。また、「ポリヌクレオチド」とは、複数のヌクレオチドがリン酸ジエステル結合で結ばれたポリマー(核酸)を指す用語であり、ヌクレオチドの数によって限定されない。種々の長さのDNAフラグメントおよびRNAフラグメントが本明細書におけるポリヌクレオチドに包含される。
【0009】
○抗菌性ペプチドの設計
1935年、Domagkによって開発されたカチオン性界面活性剤である長鎖アルキル基を持つ第4アンモニウム塩が、抗菌剤として優れた特性をもち広く利用されていること、および長鎖アルキル基を持つ第4アンモニウム塩部分を分子内に2ヶ所有するという構造的特徴を持つビス型第4アンモニウム塩化合物が、第4アンモニウム塩を1つ有する化合物と比較して、抗菌力が著しく向上し、環境、pHや温度などの影響に対してもほとんど受けなくなることを基礎にして、本発明の抗菌性ペプチドの設計方法を完成させた。
【0010】
即ち、抗菌性ペプチドの末端ではない2ヶ所に塩基性アミノ酸残基部を持つこと、この塩基性アミノ酸残基部をつなぐ疎水性および/または中性のアミノ酸残基部(なお、当該塩基性アミノ酸残基部に隣接しないで塩基性アミノ酸残基を有することもある)、およびペプチドの両末端に疎水性のアミノ酸残基部を有するという特徴を抗菌性ペプチドの分子設計に取り入れることで、高い抗菌活性を発揮し、グラム陰性細菌、グラム陽性細菌、およびMRSAなどの薬剤耐性菌に対して幅広い抗菌スペクトルを有する抗菌性ペプチドを得ることが実現できた。
【0011】
本発明の抗菌性ペプチドは、ペプチドの末端ではない2ヶ所に、塩基性アミノ酸残基が2個以上連続している部位を含む7〜30アミノ酸残基の抗菌性ペプチドである。
【0012】
本発明の抗菌性ペプチドは、塩基性アミノ酸残基が2個以上連続している部位の配列が、同一残基、同一配列または逆配列であり、N末端およびC末端にある疎水性のアミノ酸残基部位が、同一残基、同一配列または逆配列である抗菌性ペプチドである。
【0013】
本発明の抗菌性ペプチドのアミノ酸配列は、下記式(1)で示されるものである。
D−(Xa)n1−(Xb)n2−(Xc)n3−(Xb)n2−(Xa)n1−CO−E (1)
式(1)のXaは、それぞれ異なってもよい疎水性のアミノ酸残基を示し、
Xbは、それぞれ異なってもよい塩基性のアミノ酸残基を示し、
Xcは、Xbと隣接しない塩基性のアミノ酸残基を有してもよい、疎水性のアミノ酸残基および/または中性のアミノ酸残基を示し、これらがそれぞれ異なってもよく、
Dは、アミノ基、NHCHO基またはNHアシル基を示し、
Eは、水酸基またはアミノ基を示し、
n1は1以上の整数であり、n2は2以上の整数であり、n3は1以上の整数である。
【0014】
式(1)のn1は、好ましくは1〜10であり、更に好ましくは、2〜8である。また、式(1)のn2は、好ましくは2〜12であり、更に好ましくは、2〜10であり、特に好ましくは2〜8である。また、式(1)のn3は、好ましくは1〜15であり、更に好ましくは2〜10であり、特に好ましくは2〜8である。
【0015】
本発明の抗菌性ペプチドにおける塩基性のアミノ酸残基に該当するアミノ酸としては即ち式(1)のXbのアミノ酸残基に該当するものとしては、リジン、アルギニンおよびヒスチジンであり、好ましくはリジンおよびアルギニンである。
式(1)のXbにおいて、それぞれ異なっていてもよい塩基性のアミノ酸残基とは、連続している部位内におけるアミノ酸配列が異なっていてもよいこと、例えば「RK」であり、抗菌性ペプチドにおいて2ヶ所にある部位との間でアミノ酸配列が異なっていてもよいこと、例えば「RK」と「KR」、「HR」などのことである。このことは、式(1)のXaおよびXcにおいても同様である。
【0016】
本発明の抗菌性ペプチドにおける疎水性のアミノ酸残基に該当するアミノ酸としては即ち式(1)のXaのアミノ酸残基に該当するものとしては、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、プロリン、グリシン、アラニンおよびメチオニンなどであり、好ましくはバリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニンおよびアラニンであり、更に好ましくはバリン、ロイシン、イソロイシンおよびアラニンである。
【0017】
本発明の抗菌性ペプチドにおける疎水性および/または中性のアミノ酸残基に該当するアミノ酸としては即ち式(1)のXcのアミノ酸残基の一部に該当するものとしては、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、グリシン、アラニン、メチオニン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギンおよびグルタミンなどが例示でき、好ましくはバリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、グリシン、アラニン、セリン、トレオニンであり、更に好ましくはバリン、トリプトファン、グリシン、アラニン、セリン、トレオニンである。
本発明の抗菌性ペプチドにおける式(1)のXcのアミノ酸残基の一部に該当する塩基性のアミノ酸残基に該当するアミノ酸としては、リジン、アルギニンおよびヒスチジンであり、好ましくはリジンおよびアルギニンであり、今まで述べてきたように式(1)のXbに隣接することはない。
【0018】
更に本発明は、ペプチドの末端ではない2ヶ所にある塩基性アミノ酸残基が2個以上連続している部位の配列を同一残基、同一配列または逆配列とし、N末端およびC末端にある疎水性のアミノ酸残基部位の配列を同一残基、同一配列または逆配列とし、ペプチドの末端ではない2ヶ所にある塩基性アミノ酸残基が2個以上連続している部位に挟まれた配列を、当該塩基性アミノ酸残基が2個以上連続している部位と隣接しない塩基性のアミノ酸残基を有してもよい、疎水性のアミノ酸残基および/または中性のアミノ酸残基とする、アミノ酸残基が7〜30個の抗菌性ペプチドの設計方法である。
【0019】
本発明の抗菌性ペプチドは、アミノ酸残基としてL型アミノ酸および/またはD型アミノ酸を用いることができるが、L型アミノ酸であるものが好ましい。
本発明の抗菌性ペプチドは、抗菌活性を失わない限りにおいて、アミノ酸残基の一部または全部が「抗原」になり難いという観点から直鎖状またはへリックス状のものが好ましい。このような形状のペプチドはエピトープを構成し難い。
【0020】
かかる観点から、抗菌性ペプチドとしては、直鎖状であり比較的低分子量なものであり、アミノ酸残基数が7〜30が好ましく、更にアミノ酸残基数が9〜25のものが好ましく、特にアミノ酸残基数が10〜20のものが好ましい。
【0021】
また、N末端のアミノ基およびC末端のカルボキシル基を化学修飾することもでき、例えば、N末端のアミノ基のホルミル化またはアシル化であり、C末端のカルボキシル基のアミド化を行うことが抗菌力を高めることに有効である場合がある。N末端のアミノ基のアシル化としては、アセチル基、プロピル基、ブチル基などの低級脂肪酸によるもの、または高級脂肪酸によるものでも良く、分岐を有していてもよい。
【0022】
本発明の抗菌性ペプチドにおいて同一残基とは,例えば2ヶ所にある塩基性アミノ酸残基が2個以上連続する部位において,片方の配列中に存在する塩基性アミノ酸残基の種類と数とが他方と同一のものであり、下記にこの例を示す。
即ち、片方の配列が「RRK」であるとき、他方の配列が「RKR」であるものである。疎水性のアミノ酸残基の配列においても同様である。
本発明の抗菌性ペプチドにおいて同一配列とは,例えば2ヶ所にある塩基性アミノ酸残基が2個以上連続する部位におけるアミノ酸配列が同一であり、下記にこの例を示す。
即ち、片方の配列が「RRK」であるとき、他方の配列が「RRK」であるものである。疎水性のアミノ酸残基の配列においても同様である。
本発明の抗菌性ペプチドにおいて逆配列とは,2ヶ所にある塩基性アミノ酸残基が2個以上連続する部位におけるアミノ酸配列が他方と逆配列であり、下記にこの例を示す。
即ち、片方の配列が「RRK」であるとき、他方の配列が「KRR」であるものである。疎水性のアミノ酸残基の配列においても同様である。
【0023】
本発明の抗菌性ペプチドは、塩基性アミノ酸残基が2個以上連続している部位の配列が同一残基、同一配列または逆配列であり、好ましくは同一配列または逆配列であり、更に好ましくは逆配列である。またN末端およびC末端にある疎水性のアミノ酸残基部位は、同一残基、同一配列または逆配列であり、好ましくは同一配列または逆配列であり、更に好ましくは逆配列である。なお、本発明においてアミノ酸残基数の1個程度の増減は、許容される範囲である(但し、式(1)のn1、n2およびn3の数値が優先する)。
本発明の抗菌性ペプチドは、ペプチド配列が対称型のものが好ましい。この対称型のペプチド配列とは、N末端側から見た抗菌性ペプチド配列の中心までの配列とC末端側から見た抗菌性ペプチド配列の中心までの配列とが同一であるペプチド配列である。例えば、
VLLKRAARKLLV
のような配列をいう。即ち、N末側からは、「VLLKRA」の配列であり、C末側からは、「ARKLLV」の配列であり、ペプチド配列の中心から左右対称となっているものである。なお、アミノ酸残基数が奇数の場合は、中心のアミノ酸残基から左右対称となっているものである。
アミノ酸には、ロイシンをイソロイシンに置換しても同一の性能を示すものがあり、このようなもので置換した配列のものは、同一と見なすことができる。このようなアミノ酸残基の置換は、同一残基、同一配列または逆配列の場合にも適用できる。
【0024】
置換同一性のアミノ酸としては、
バリンでは、イソロイシン、ロイシン
ロイシンでは、イソロイシン、バリン
イソロイシンでは、ロイシン、バリン
トリプトファンでは、チロシン
セリンでは、トレオニン
トレオニンでは、セリン
アラニンでは、グリシン、セリン
グリシンでは、アラニン
リジンでは、アルギニン
アルギニンでは、リジン
などである。
【0025】
本発明によって提供される新規なアミノ酸配列の抗菌性ペプチドの具体例として、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4または配列番号5に示されるアミノ酸配列から実質的に構成されるペプチドが挙げられる。これら5種のペプチドは、何れも30アミノ酸以下(具体的には11〜15アミノ酸)で構成されており、直鎖形状を維持するのに好適である。また、免疫原性も低いために抗菌剤の成分(抗菌成分)として好適である。
【0026】
本発明の抗菌性ペプチドは、一般的な化学合成法に準じて容易に製造することができる。例えば、従来公知の固相合成法または液相合成法のいずれを採用してもよい。アミノ基の保護基としてBoc(t−butyloxycarbonyl)、或いはFmoc(9−fluorenylmethoxycarbonyl)を適用した固相合成法が好適である。
本発明の抗菌性ペプチドは、市販のペプチド合成機(例えば、Applied Biosystems社などから入手可能である。)を用いた固相合成法により、所望するアミノ酸配列、修飾(C末端アミド化など)部分を有するペプチド鎖を合成することができる。
【0027】
本発明は、従前の抗菌性ペプチド含有抗菌剤の開発アプローチによらず、自然界において抗菌性ペプチドとして存在し機能しているペプチドとは異なるアミノ酸配列の抗菌性ペプチドおよび該ペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供することを目的の一つとする。また、そのような抗菌性ペプチドまたは該ペプチドをコードするポリヌクレオチドを成分とする抗菌剤(薬学上の組成物)の提供を目的の一つとする。
【0028】
或いは、遺伝子工学的手法に基づいて本発明の抗菌性ペプチドを生合成してもよい。このアプローチは、比較的鎖長の長いペプチドを製造する場合に好適である。すなわち、所望する抗菌性ペプチドのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列(ATG開始コドンを含む)のDNAを合成する。そして、このDNAと該アミノ酸配列を宿主細胞内で発現させるための種々の調節エレメント(プロモーター、リボゾーム結合部位、ターミネーター、エンハンサー、発現レベルを制御する種々のシスエレメントを包含する)とから成る発現用遺伝子構築物を有する組換えベクターを、宿主細胞に応じて構築する。一般的な技法によって、この組換えベクターを所定の宿主細胞(例えばイースト、昆虫細胞、植物細胞、動物(哺乳類)細胞)に導入し、所定の条件で当該宿主細胞または該細胞を含む組織や個体を培養する。このことにより、目的とするペプチドを細胞内で発現、生産させることができる。そして、宿主細胞(分泌された場合は培地中)からペプチドを単離し、精製することによって、目的の抗菌性ペプチドを得ることができる。
【0029】
本発明の抗菌性ペプチドをコードするヌクレオチド配列および/または該配列と相補的なヌクレオチド配列から実質的に構成されるポリヌクレオチドは、従来公知の方法によって容易に製造(合成)することができる。すなわち、抗菌性ペプチドのアミノ酸配列を構成する各アミノ酸残基に対応するコドンを選択し、抗菌性ペプチドのアミノ酸配列に対応するヌクレオチド配列を容易に決定することができる。ひとたびヌクレオチド配列が決定されれば、DNA合成機などを利用して、所望するヌクレオチド配列に対応するポリヌクレオチド(一本鎖)を容易に得ることができる。さらに得られた一本鎖DNAを鋳型として用い、種々の酵素的合成手段を採用して目的の二本鎖DNAを得ることができる。
【0030】
本発明によって提供されるポリヌクレオチドは、RNA(mRNAなど)の形態であってもよく、DNAの形態であってもよい。DNAは、二本鎖または一本鎖で提供され得る。一本鎖で提供される場合は、コード鎖(センス鎖)であってもよく、それと相補的な配列の非コード鎖(アンチセンス鎖)であってもよい。
本発明によって提供されるポリヌクレオチドは、種々の宿主細胞中で本発明の抗菌性ペプチドを発現させるための組換え遺伝子(発現カセット)を構築するための材料として使用することができる。
【0031】
例えば、本発明に係る抗菌性ペプチドをコードするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドと、該アミノ酸配列を宿主細胞内で発現させるための種々の調節エレメント(プロモーター、リボゾーム結合部位、ターミネーター、エンハンサー、発現レベルを制御する種々のシスエレメントなどを包含する。)とを用いて外来ペプチド発現用遺伝子構築物を有する組換えベクターを構築することができる。ベクターの構成やその構築に使用される調節エレメントの種類は、目的とする宿主細胞のタイプに依存して異なり得る。組換えベクターの構築には、遺伝子工学分野でよく理解されている種々の制限酵素によるポリヌクレオチド切断技法(restriction)やポリヌクレオチド断片連結技法(ligation)が採用される。これら技法は、市販されている種々の装置類を利用することによって容易に行うことができる。なお、組換えベクターの構築方法および構築した組換えベクターの宿主細胞への導入方法などは、当該分野で従来から行われている方法をそのまま採用すればよく、かかる方法自体は特に本発明を特徴付けるものではないため、詳細な説明は省略する。
【0032】
本発明の抗菌性ペプチドは、広い抗菌スペクトルを有していることから、抗菌剤、殺菌剤、消毒剤、防腐剤、防臭剤などの成分として好適に用いられる。例えば、細菌感染症の治療、創傷面の消毒、眼病予防、ロ腔内洗浄(例えばうがい)や練り歯磨き用の抗菌剤または殺菌剤、化粧品の防腐剤、コンタクトレンズの保存、食品の防腐剤や鮮度保持剤、台所用品、浴室用品およびトイレ用品などの静菌剤または殺菌剤、家具や衛生機器表面の殺菌剤または静菌剤などに用いることができる。また、衣類やカーテンなどの繊維製品の静菌剤または殺菌剤、壁や床の静菌剤または殺菌剤、さらには各種用水例えば工業用水、ビル管理用水および浴用水などの殺菌剤、静菌剤または防腐剤などに用いることができる。また、抗菌または殺菌作用から防臭効果も期待できる。更に、農業分野での静菌剤または殺菌剤として、例えば作物や農業資材に対する農薬などとして使用できる。また、畜産・養蜂業分野での静菌剤または殺菌剤として、例えば畜産飼料の防腐剤として、養蜂箱の静菌剤または殺菌剤などに用いることができる。また、漁業分野での静菌剤または殺菌剤として、例えば養魚場において細菌に感染した魚の治療、網や手袋などの資材の殺菌などに用いることができる。
本発明の抗菌性ペプチドは、1〜1000μg/ml含有することで、上記に記載した抗菌剤、殺菌剤などに使用することができる。
【0033】
本発明の抗菌性ペプチドを含有する抗菌剤の形態に関して特に限定はない。例えば、内用剤および外用剤の典型的な形態として、液剤、懸濁剤、乳剤、エアロゾル、泡沫剤、顆粒剤、粉末剤、錠剤、カプセル、軟膏、クリームなどが挙げられる。また、注射などに用いるため、使用直前に生理食塩水などに溶解して薬液を調製するための凍結乾燥物、造粒物とすることもできる。
【0034】
本発明の抗菌性ペプチドを含有する抗菌剤などの製剤において、他の担体すなわち副次的成分(製薬上許容されるもの)としては、抗菌剤などの用途や形態に応じて適宜異なり得るが、種々の充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、表面活性剤、賦形剤、色素、香料など一般的に製剤として製造するときに用いるものが使用できる。
なお、本発明の抗菌性ペプチドおよび種々の担体を材料にして上記形態の各種薬剤を調製するプロセス自体は公知の方法に準じればよく、かかる製剤方法自体は本発明を特徴付けるものでもないため詳細な説明は省略する。
【0035】
本発明の抗菌性ペプチドによって提供される抗菌剤は、その形態および目的に応じた方法や用量で使用することができる。例えば、液剤は、静脈内、筋肉内、皮下、皮内若しくは腹腔内への注射によって投与することができる。また、鼻腔内や気管支内に噴霧して投与してもよい。また、錠剤などの固体形態のものは経口投与することができる。このときの投与量は、目的とする菌に対する抗菌活性から算出することができる。
【0036】
また、衛生陶器表面の消毒(殺菌)や食品の防腐目的に使用する場合は、比較的多量(例えば1〜100mg/ml)の本発明の抗菌性ペプチドを含有する液剤を対象物の表面に直接スプレーするか、或いは、当該液剤で濡れた布や紙で対象物の表面を拭くことにより行うことができる。これらは例示にすぎず、従来の抗菌剤による農薬、医薬部外品などの抗菌剤や消毒剤と同じ形態、使用方法を適用することができる。
【0037】
例えば、放射線治療を受けているガン患者やエイズ患者は、免疫不全症を合併症として発症し、本来の疾病それ自体の原因であることよりも細菌感染により重篤な症状をきたすことがある。本発明によって提供される抗菌性ペプチドは、細菌に選択的に抗菌作用を示すとともにヒトなどの哺乳動物に対しては毒性を有しない。このため、本発明に係る抗菌性ペプチドは、抗菌剤の成分として有用であり、本発明によって提供される抗菌剤は人体に対して安全に適用することができる。
【0038】
再生医療の分野において、皮膚、骨、各種の臓器などの培養時における細菌感染を防止することを目的として本発明の抗菌性ペプチドを用いることができる。例えば、適当な濃度で本発明の抗菌性ペプチド単独または当該ペプチドを成分の一つとする抗菌剤を培養液中に添加することにより、培養中の組織や臓器などの細菌感染を防止することができる。
【0039】
また、培養細胞や培養組織に対して、本発明の抗菌性ペプチドをコードするポリヌクレオチドを遺伝子治療に使用する素材として用いることができる。例えば、本発明の抗菌性ペプチドをコードする遺伝子(DNAセグメントまたはRNAセグメント)を適当なベクターに組み込み、目的とする培養組織(細胞)に導入することにより、常時或いは所望する時期に培養組織(細胞)内で、本発明の抗菌性ペプチドを発現させることが可能となる。従って、本発明の抗菌性ペプチドをコードするポリヌクレオチド(DNAセグメントまたはRNAセグメント)は、培養組織(細胞)の細菌感染を防止する薬剤として有用である。
【0040】
本発明の抗菌性ペプチドをコードするポリヌクレオチドは、いわゆる遣伝子治療に使用する素材として用いることができる。例えば、本発明の抗菌性ペプチドをコードする遺伝子(DNAセグメントまたはRNAセグメント)を適当なベクターに組み込み、目的とする部位に導入することにより、常時生体(細胞)内で本発明の抗菌性ペプチドを発現させることが可能となる。従って、本発明の抗菌性ペプチドをコードするポリヌクレオチド(DNAセグメントまたはRNAセグメント)は、上述した患者などに対し、細菌感染を予防または治療する薬剤として有用である。
【0041】
【実施例】
以下に説明する実施例によって、本発明を更に詳細に説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定するものではない。
【0042】
<実施例1>
○ペプチドの合成
下記表1に記載したペプチド(サンプル1〜5、サンプル6)を後述するペプチド合成機を用いて製造した。
【0043】
【表1】
Figure 2004175727
【0044】
上述した各ペプチド(個々のアミノ酸配列は配列表を参照)は、市販のペプチド合成機(ABI 433A peptide synthesizer (Applied Biosystems社製品))を用いてFast MocTM protocolに従い固相合成法(Fmoc法)により合成した。なお、縮合剤としてHATU(Applied Biosystems社製品)を使用し、固相合成法に用いた樹脂およびアミノ酸はNOVA biochem社から購入したものを用いた。また、Fmoc−アミノ酸において、リジンの側鎖官能基の保護基にはtert−butoxycarbonyl (Boc)を、ヒスチジンの側鎖官能基の保護基にはtriphenylmethyl (Trt)を、アルギニンの側鎖官能基の保護基にはpentamethylchroman−6−sulfonyl (Pmc)を使用した。
アミノ酸配列のC末端をアミド化する場合には、固相担体として「Fmoc−PAL−Polyethylen (PEG−PS) 樹脂」 を使用した。
【0045】
上記ペプチド合成機の合成プログラムに準じて脱保護基反応および縮合反応を反復して樹脂に結合するFmoc−アミノ酸からペプチド鎖を伸長していき、目的の鎖長の合成ペプチドを得た。
具体例としては、20%ピペリジン/ジメチルホルムアミド(DMF)(ペプチド合成用グレード、関東化学(株)製品)によって、アミノ酸のアミノ保護基であるFmocを切断除去し、DMFで洗浄し、Fmoc−アミノ酸(−OH)各3eqを反応させ、DMFで洗浄する操作を反復した。そして、ペプチド鎖の伸長反応が全て終了した後、20%ピペリジン/DMFによりFmoc基を切断し、DMF、メタノールの順で上記反応物を洗浄した。
側鎖官能基の脱保護と同時に樹脂からペプチドを切断した。この方法は、82.5%Trifluoroacetic acid(以下TFA)(TFA:1,2−ethandithiol:m−cresole:Thioanisole:水=82.5:2.5:5:5:5)(以上、和光純薬)5mlを加え、室温で3時間反応させた。
樹脂を除き、ジエチルエーテル中に沈殿させた後、遠心(3000rpm、4℃、3min)しエーテル層を取り除いた。この操作を3回繰返した。最後にエーテル層を取り除いた後、ペプチドを風乾させ、純水に溶解させた。純水に溶解しないものは30%以下のエタノール水溶液に溶解させた。その後、凍結乾燥した。
【0046】
得られたペプチド沈殿物を真空乾燥し、高速液体クロマトグラフを用いて精製を行った。具体的には、プレカラム(Guard−Pak社製品、製品名Deltapak C18 A300)およびC18逆相カラム(DAISOPAK SP−120−5−ODS−AP、20mmI.D.×250mm(DAISO))を使用し、0.1%トリフルオロ酢酸水溶液と0.1%トリフルオロ酢酸アセトニトリル溶液との混合液を溶離液に用いた。すなわち、溶離液に含まれる上記トリフルオロ酢酸アセトニトリル溶液の分量を経時的に増大させつつ(容積比で10%から80%への濃度勾配を設ける)、7ml/分の流速で上記カラムを用いて40〜50分間分離精製を行った。なお、逆相カラムから溶離したペプチドは紫外線検出器を用いて220nmで検出し、記録チャート上にピークとして示される。また、溶離した各ペプチドの分子量をKRATOS 質量分析装置 KOMPACT MALDI III(島津製作所製)を用いてMALDI−TOF/MS(Matrix−Assisted Laser Desorption Time of Flight Mass Spectrometry:マトリックス支援レーザーイオン化−飛行時間型−質量分析)に基づいて決定した。その結果、目的のペプチドが合成・精製されていることを確認した。
【0047】
<実施例2>
○合成ペプチドの抗菌活性
本発明に係る抗菌性ペプチド(サンプル1〜5)、および比較例について、下記に記載のグラム陰性細菌およびグラム陽性細菌に対する抗菌活性(最小発育阻止濃度:MIC)を96穴(well)マイクロプレートを用いた液体培地希釈法により求めた。
○供試菌
・グラム陽性菌
Bacillus subtilis ATCC6633
Micrococcus luteus IFO12708
Staphylococcus aureus IFO12732
Staphylococcus aureus IID1677(MRSA)
・グラム陰性菌
Escherichia coli IFO12713
Escherichia coli O157:H7 sakai
Klebsiella pneumoniae ATCC4352
Pseudomonas aeruginosa ATCC10145
Salmonella enteritidis IFO3313
【0048】
ペプチド濃度が500、250、125、62.5、31.3、15.6、7.8、3.9、1.9、1.0および0.5μMとなる液体肉汁培地(DIFCO社製品「NUTRIENT BROTH Dehydrated」)をそれぞれ作製し、96穴マイクロプレートに150μlずつ分注した。一方、LB Broth,Lennox(DIFCO社製品)で18時間、37℃にて静置培養した菌液(約2×10cells/mL)を、薬剤溶液(上記ペプチド含有肉汁培地)と等量、96穴マイクロプレートの各ウェルに接種した。接種後、37℃の恒温器内で培養し、24時間後の濁度により菌の生育状況を調べた。この計測時において、菌の増殖が認められない検体の最小の濃度を、本実施例におけるMICと定めた。
かかる抗菌試験に基づくサンプル1〜5および比較サンプルとして用いたNisinのMICを表2に示す。
【0049】
【表2】
Figure 2004175727
【0050】
表2に示す結果から明らかなように、本発明に係るペプチド(サンプル1〜5)は、比較例とした世界中で広く利用されている既存の抗菌性ペプチドであるナイシン(Nisin、Sigma Aldrich社より購入)と比べ、グラム陽性菌に対しては遜色のない高い抗菌力を示し、かつグラム陰性菌、薬剤耐性菌に対しても高い抗菌力を示した。
表2に示す結果より、本発明に係る抗菌性ペプチドが、グラム陰性、グラム陽性、薬剤耐性菌に対して優れた抗菌活性と広い抗菌スペクトルを有することが確かめられた。
【0051】
<比較例2>
サンプル6については、Staphylococcus aureus IFO12732およびEscherichia coli IFO12713について抗菌活性を実施例2と同様にして調べたが、MICはともに400μg/ml以上となり、抗菌活性が認められなかった。
【0052】
塩基性アミノ酸残基が1個であるサンプル6について抗菌活性を調べたが、抗菌活性が認められなかった。しかし、実施例2に記載のサンプル1〜5には、抗菌活性が認められることから、本発明の抗菌性ペプチドには、塩基性アミノ酸残基が2個以上連続している部位が2ヶ所存在する必要があることを示している。
【0053】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載に限定されるものではない。また、本明細書に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【0054】
【発明の効果】
本発明の抗菌性ペプチドは、グラム陰性、グラム陽性、薬剤耐性菌に対して優れた抗菌活性と広い抗菌スペクトルを有することから、抗菌剤または消毒剤などとして有用である。また、本発明の抗菌性ペプチドの設計方法により、溶解性および抗菌性ペプチド全体の荷電などをコントロールすることができることから、用途に応じた抗菌性ペプチドを得ることが可能となる。
【0055】
【配列表フリーテキスト】
配列番号1 設計された抗菌性ペプチド。
配列番号2 設計された抗菌性ペプチド。
配列番号3 設計された抗菌性ペプチド。
配列番号4 設計された抗菌性ペプチド。
配列番号5 設計された抗菌性ペプチド。
配列番号6 設計されたペプチド。
【0056】
【配列表】
Figure 2004175727
Figure 2004175727

Claims (6)

  1. ペプチドの末端ではない2ヶ所に、塩基性アミノ酸残基が2個以上連続している部位を含む、アミノ酸残基が7〜30個の抗菌性ペプチド。
  2. 塩基性アミノ酸残基が2個以上連続している部位の配列が、同一残基、同一配列または逆配列であり、N末端およびC末端にある疎水性のアミノ酸残基部位の配列が、同一残基、同一配列または逆配列である請求項1に記載の抗菌性ペプチド。
  3. アミノ酸配列が下記式(1)
    D−(Xa)n1−(Xb)n2−(Xc)n3−(Xb)n2−(Xa)n1−CO−E (1)
    である請求項1または請求項2に記載の抗菌性ペプチドであり、
    式(1)のXaは、それぞれ異なってもよい疎水性のアミノ酸残基を示し、
    Xbは、それぞれ異なってもよい塩基性のアミノ酸残基を示し、
    Xcは、Xbと隣接しない塩基性のアミノ酸残基を有してもよい、疎水性のアミノ酸残基および/または中性のアミノ酸残基を示し、これらがそれぞれ異なってもよく、
    Dは、アミノ基、NHCHO基またはNHアシル基を示し、
    Eは、水酸基またはアミノ基を示し、
    n1は1以上の整数であり、n2は2以上の整数であり、n3は1以上の整数である。
  4. 配列表の配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4または配列番号5に記載のアミノ酸配列からなる抗菌性ペプチド。
  5. 請求項1〜4にそれぞれ記載の抗菌性ペプチドを含有することを特徴とする抗菌剤または消毒剤。
  6. ペプチドの末端ではない2ヶ所にある塩基性アミノ酸残基が2個以上連続している部位の配列を同一残基、同一配列または逆配列とし、
    N末端およびC末端にある疎水性のアミノ酸残基部位の配列を同一残基、同一配列または逆配列とし、
    ペプチドの末端ではない2ヶ所にある塩基性アミノ酸残基が2個以上連続している部位に挟まれた配列を、当該塩基性アミノ酸残基が2個以上連続している部位と隣接しない塩基性のアミノ酸残基を有してもよい、疎水性のアミノ酸残基および/または中性のアミノ酸残基とする、
    アミノ酸残基が7〜30個の抗菌性ペプチドの設計方法。
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