JP2004174988A - インサート成形品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】インサート成形品における品質の低下を抑制することが可能なインサート成形品の製造方法を提供する。
【解決手段】成形工程(ステップS1)で鋳造により成形された芯金に対し、仕上加工工程(ステップS21)でショットブラスト処理を施し、ばりを除去する。次いで、切削加工工程(ステップS22)で芯金にねじ穴等を形成する。その後、洗浄工程(ステップS3)では、芯金に対して水を噴射させることにより、その芯金の外表面に付着している切削油や切削屑等の異物を除去する。最後に、乾燥工程(ステップS4)において、芯金の外表面に付着している水を乾燥させる。これらの工程を経て製造された芯金を用い、ステアリングホイールを製造する。
【選択図】 図2
【解決手段】成形工程(ステップS1)で鋳造により成形された芯金に対し、仕上加工工程(ステップS21)でショットブラスト処理を施し、ばりを除去する。次いで、切削加工工程(ステップS22)で芯金にねじ穴等を形成する。その後、洗浄工程(ステップS3)では、芯金に対して水を噴射させることにより、その芯金の外表面に付着している切削油や切削屑等の異物を除去する。最後に、乾燥工程(ステップS4)において、芯金の外表面に付着している水を乾燥させる。これらの工程を経て製造された芯金を用い、ステアリングホイールを製造する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インサート材を用いてインサート成形されるインサート成形品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種のインサート成形品の1つとして、例えば、車両用ステアリングホイールが知られている。このステアリングホイールは、インサート材としての芯金における主にリムの部分に、例えばウレタン樹脂からなる樹脂層が形成されており、さらにその樹脂層の表面に、耐光性を有する表面保護材、いわゆるモールドコート材からなるモールドコート材層が形成されている。このモールドコート材層は、その厚さが例えば5μmの薄膜状に形成されている。
【0003】
そして、従来、ステアリングホイールの製造に際しては、例えば以下の2つの方法が用いられていた。
1つ目の方法は、まず、型開きされた成形型のキャビティ内壁面上に、モールドコート材を含有する材料を、例えばスプレーガン等を用いて塗布して、モールドコート材層を形成する。その後、芯金を成形型の所定の位置に配置した状態でその成形型を閉じ、ウレタン樹脂をキャビティ内に注入して通常のインサート成形を行うことにより樹脂層を形成するという方法である(第1の従来方法)。
【0004】
次に、2つ目の方法は、まず、芯金を成形型の所定の位置に配置した状態でその成形型を閉じた後、真空ポンプを用いてキャビティ内を減圧雰囲気にする。このキャビティ内の減圧中に、モールドコート材を含有する溶液をキャビティ内に注入することにより、モールドコート材からなるモールドコート材層をキャビティ内壁面上に形成する。その後、ウレタン樹脂をキャビティ内に注入して通常のインサート成形を行うことにより樹脂層を形成するという方法である(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
ここで、従来より、前記芯金は、例えば鋳造等により成形されており、鋳造によって、成形後の芯金にはばりが形成される。そのばりを除去するために、芯金に対して例えばショットブラスト処理等を施している。また、芯金には、例えばエアバッグ装置やホーンスイッチ等の部品を固定するためのねじ穴等が設けられている。このねじ穴等は、切削加工により形成されている。なお、こうしたショットブラスト処理や切削加工は、例えば前記ばりやねじ穴等がウレタン樹脂で被覆されることなく露出する場所にある場合であっても、インサート成形に先立って行われている。
【0006】
【特許文献1】
特許第2746024号公報(第3−5頁、第1−3図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、芯金を切削加工する際には、切削油が用いられる。そして、前記ショットブラスト処理により生じた前記ばりの切除片や粉体、切削加工により生じた切削片といった加工屑等が切削油の粘着力により芯金に付着することがある。そして、この加工屑等が付着した状態の芯金を用いて、上述の各従来方法によりステアリングホイールを成形すると、次のような問題が生じるおそれがあった。
【0008】
まず、前記第1の従来方法を用いた場合には、芯金が成形型の所定の位置に配置された際に、その芯金の表面に付着している加工屑等がキャビティ内壁面のモールドコート材層上に落下することがある。そして、加工屑等がモールドコート材層上に落下した状態でインサート成形が行われると、成形後のステアリングホイールには、その樹脂層とモールドコート材層との間もしくはその近傍に前記加工屑が残存するおそれがある。このように、加工屑がステアリングホイールにおいて樹脂層とモールドコート材層との間もしくはその近傍に残存すると、モールドコート材層は非常に薄いために、車両の乗員がステアリングホイールを握った際の触感が悪化することとなる。
【0009】
一方、前記第2の従来方法を用いた場合には、芯金が成形型の所定の位置に配置された際に、その芯金の表面に付着している加工屑等が前記キャビティ内壁面上に落下することがある。そして、加工屑等がキャビティ内壁面上に落下した状態でキャビティ内に前記モールドコート材を含有する溶液が注入されると、その注入後に形成されたモールドコート材層の内部や表面に前記加工屑等が残存するようになる。このように、加工屑がモールドコート材層の内部や表面に残存すると、車両の乗員がステアリングホイールを握った際の触感が悪化したり、加工屑がステアリングホイールの表面から視認され、意匠性が低下したりすることがある。
【0010】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的としては、インサート成形品における品質の低下を抑制することが可能なインサート成形品の製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本願請求項1に記載の発明は、インサート材の外表面の少なくとも一部を成形材料で被覆するインサート成形工程を有するインサート成形品の製造方法において、前記インサート材を加工する加工工程と、前記インサート成形工程に先立って、前記加工工程で使用される加工助剤及び同加工工程で発生した加工屑を含む前記インサート材上の異物を除去する洗浄工程と、を含むことを要旨とするものである。
【0012】
この本願請求項1に記載の発明では、加工工程の際に加工助剤や加工屑等の異物がインサート材に付着したとしても、その付着した異物は、洗浄工程においてインサート材から除去される。これにより、成形後のインサート成形品の内部に異物が残存することが抑制され、インサート成形品の品質の低下が抑制される。
【0013】
また、本願請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、前記インサート成形工程は、前記インサート材を成形型のキャビティ内にセットした状態で、同キャビティ内に前記成形材料を含む溶液及び成形加工助剤を含む溶液の少なくとも1つを注入し、その溶液を沸騰させて、前記キャビティの内壁面に被膜を形成する被膜形成工程を含むことを要旨とするものである。
【0014】
異物が外表面に付着したインサート材を用いてインサート成形が行われた場合には、その異物が、キャビティ内に注入された溶液の沸騰時に脱落して、キャビティの内壁面に移動し易くなる。この状態でインサート成形工程が行われると、脱落した異物がインサート成形品の外表面またはその近傍にとどまり易くなり、インサート成形品における外観及び触感の低下を招くこととなる。
【0015】
これに対して、本願請求項2に記載の発明では、前記請求項1に記載の発明の作用に加えて、インサート成形工程では、前記洗浄工程にて洗浄されたインサート材が用いられる。このため、前記溶液の沸騰による被膜形成工程が行われるインサート成形方法を用いても、インサート成形品の外観及び触感の低下が抑制される。
【0016】
また、本願請求項3に記載の発明は、前記請求項1または請求項2に記載の発明において、前記洗浄工程では、前記インサート材と洗浄液とを接触させて前記異物を除去することを要旨とするものである。
【0017】
この本願請求項3に記載の発明では、前記請求項1または請求項2に記載の発明の作用に加えて、インサート材に付着している異物を効率よく除去することが可能となる。
【0018】
また、本願請求項4に記載の発明は、前記請求項3に記載の発明において、前記洗浄工程が行われた後に、前記インサート材に付着している洗浄剤を除去する洗浄剤除去工程を行うことを要旨とするものである。
【0019】
この本願請求項4に記載の発明では、前記請求項3に記載の発明の作用に加えて、洗浄工程においてインサート材に付着した洗浄剤は、洗浄剤除去工程で除去され、洗浄剤のインサート成形品の品質に対する影響が排除される。
【0020】
また、本願請求項5に記載の発明は、前記請求項3または請求項4に記載の発明において、前記洗浄工程では、前記洗浄剤を前記インサート材に対して噴射することを要旨とするものである。
【0021】
この本願請求項5に記載の発明では、前記請求項3または請求項4に記載の発明の作用に加えて、インサート材を洗浄工程にて洗浄する際、噴射された洗浄剤がインサート材に衝突し、その洗浄剤によって、インサート材に付着している異物がより効率よく除去される。
【0022】
また、本願請求項6に記載の発明は、前記請求項3〜請求項5のうちいずれか一項に記載の発明において、前記洗浄工程では、前記インサート材の外形にほぼ沿うように配置され、同インサート材に対して前記洗浄剤を噴射する複数のノズルを有する洗浄装置を用いることを要旨とするものである。
【0023】
この本願請求項6に記載の発明では、前記請求項3〜請求項5のうちいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、加工工程にて加工されたインサート材を、洗浄工程では、複数のノズルを有する洗浄装置を用いて洗浄するため、インサート材の洗浄時間が短縮される。また、この洗浄装置では、複数のノズルは、インサート材の外形にほぼ沿うように配置されているため、インサート材の全体をほぼ均一に洗浄することが可能となる。
【0024】
また、本願請求項7に記載の発明は、前記請求項3〜請求項6のうちいずれか一項に記載の発明において、前記洗浄剤は、前記加工工程にて使用される加工助剤中に含まれ、前記異物をインサート材に粘着させる粘着成分を溶解もしくは分散もしくは吸着可能な物質を含む流体であることを要旨とするものである。
【0025】
例えば、加工工程として、インサート材を切削する切削加工が行われる場合には、加工助剤である切削油がインサート材の切削部位に供給された状態で切削加工が行われる。この切削油中の粘着成分により、インサート材の切削片がインサート材に付着し易くなる。
【0026】
これに対し、本願請求項7に記載の発明では、前記請求項3〜請求項6のうちいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、加工工程にて使用された加工助剤中の粘着成分は、洗浄工程での洗浄剤によりインサート材から除去される。このとき、インサート材に付着している異物が加工助剤中の粘着成分とともに除去される。
【0027】
また、本願請求項8に記載の発明は、前記請求項7に記載の発明において、前記洗浄工程では、前記洗浄剤を所定の圧力をもって前記インサート材に対して噴射することを要旨とするものである。
【0028】
この本願請求項8に記載の発明では、前記請求項7に記載の発明の作用に加えて、インサート材に対して噴射された洗浄剤は、インサート材の外表面に強く衝突させることができ、インサート材に付着している異物がさらに効率よく除去される。
【0029】
また、本願請求項9に記載の発明は、前記請求項7または請求項8に記載の発明において、前記加工助剤が水との親和性が高いものである場合には、前記洗浄剤は、水であることを要旨とするものである。
【0030】
この本願請求項9に記載の発明では、前記請求項7または請求項8に記載の発明の作用に加えて、安価で容易に入手される水を洗浄剤として用いることができるため、インサート材の製造コストが低減される。
【0031】
また、本願請求項10に記載の発明は、前記請求項3〜請求項9のうちいずれか一項に記載の発明において、前記洗浄工程では、常温よりも温度の高い状態に加熱された洗浄剤を用いることを要旨とするものである。
【0032】
この本願請求項10に記載の発明では、前記請求項3〜請求項9のうちいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、洗浄剤自身の温度が高いため、洗浄剤の異物除去能力が高められる。これにより、インサート材に付着した異物を速やかに除去することが可能となる。また、洗浄工程が終了した後におけるインサート材の乾燥性が向上される。
【0033】
また、本願請求項11に記載の発明は、前記請求項10に記載の発明において、前記洗浄剤が、スチームであることを要旨とするものである。
この本願請求項11に記載の発明では、前記請求項10に記載の発明の作用がより顕著に発揮される。
【0034】
また、本願請求項12に記載の発明は、前記請求項1〜請求項11のうちいずれか一項に記載の発明において、前記インサート材が、車両用ステアリングホイールの芯金であることを要旨とするものである。
【0035】
この本願請求項12に記載の発明では、前記請求項1〜請求項11のうちいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、車両用ステアリングホイールを成形する際には、洗浄工程において洗浄された芯金を用いることにより、成形後のステアリングホイールの内部に異物が残存することが抑制される。これにより、車両の走行時において運転者が常に接触して回動操作されるとともに、車両の乗員により視認され易いステアリングホイールにあって、その触感や外観が良好に保持され、品質の低下が抑制される。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、インサート成形品としての車両用ステアリングホイールの製造方法に適用した一実施形態について、図1〜図8を参照して説明する。
【0037】
図1に示すように、ステアリングホイール10は、リング部11と、ボス部12と、これらリング部11とボス部12とを接続する複数(この例では3本)のスポーク部13とを有している。ステアリングホイール10は、インサート材としての芯金14における前記リング部11に対応する外表面の全部と、前記スポーク部13に対応する外表面の一部とに、例えばポリウレタン(PUR)等の成形材料により被覆されている。また、この成形材料からなる成形材層の表面には、例えば耐光性等を有する被膜層(モールドコート材層)が形成されており、この被膜層により前記成形材層の表面が保護されている。
【0038】
このステアリングホイール10は、所定の形状に予め製造された芯金14をインサート材とするインサート成形により製造される。
まず、芯金14の製造手順について、図2を参照して説明する。
【0039】
図2に示すように、芯金14の製造に際しては、まず、ステップS1の成形工程にて芯金14を成形する。この成形工程では、芯金14を鋳造により成形している。なお、この芯金14の成形は、鋳造には限定されない。
【0040】
次に、ステップS2の加工工程にて、前記成形工程で成形された芯金14に対し、所定の加工を施す。
本実施形態では、この加工工程として、まず、ステップS21の仕上加工工程を行う。この仕上加工工程は、前記鋳造の際に芯金14に形成されたばりを除去するための工程であり、鋳造された芯金14に対して、例えばショットブラスト処理が行われる。続いて、ステップS22の切削加工工程にて、前記仕上加工が施された芯金14に対し、切削加工を行う。この切削加工工程は、ステアリングホイール10に対して、例えばエアバッグ装置やホーンスイッチ(ともに図示略)等の部品を固定するためのねじ穴15(図1参照)等を形成する工程である。なお、この切削加工工程は、加工助剤としての切削油を、芯金14における切削加工部に供給しながら行われる。この前記切削油としては、近年、環境保護等の観点から、水により希釈可能で、水との親和性が高い水エマルジョンタイプのものが広く用いられるようになってきている。そして、この切削加工工程では、水で希釈した状態の切削油を用いている。
【0041】
なお、上述のショットブラスト処理や切削加工は、芯金14において、前記ばりやねじ穴15等が、例えば前記成形材層で被覆されることなく露出する場所にある場合等であっても、成形材層や被膜層が傷むといった問題の発生を抑制するために、後述するインサート成形工程に先立って行われている。
【0042】
ここで、前記切削加工工程で使用した切削油は、芯金14の外表面に付着した状態となり、前記仕上加工工程時に生じたばり片やショットブラスト片や、前記切削工程時に生じた切削屑等の加工屑が前記切削油中の水系成分、オイル成分等の粘着成分による粘着力で芯金14の外表面に付着するようになる。
【0043】
そこで、本実施形態では、前記加工工程で使用された切削油や、同加工工程で発生した加工屑等を含む芯金14の外表面に付着している異物を除去するために、次のステップS3の洗浄工程にて芯金14を洗浄する。そして、この洗浄工程では、例えば図3〜図5に示される構成の洗浄装置20を用い、芯金14に対して洗浄剤を噴射することにより洗浄している。
【0044】
図3及び図4に示すように、この洗浄装置20は、芯金14を収容可能な洗浄部21と、前記洗浄剤が貯溜されるタンク22と、これら洗浄部21とタンク22とを接続する供給管23及び排出管24とを備えている。また、前記供給管23の途中には、前記タンク22内の洗浄剤を洗浄部21内へ送出するためのポンプ25と、同ポンプ25を駆動させるためのモータ26とが設けられている。
【0045】
この洗浄装置20では、前記洗浄部21は、その上面に、前記芯金14が通過可能な開口を有しており、その開口は、開閉扉21aにより開閉されるようになっている。また、開閉扉21aは、洗浄部21に対し、扉開閉用シリンダ21bを介して上下方向に変位可能に接続されている。また、洗浄部21には、洗浄装置20を操作するための操作スイッチ21cが設けられている。
【0046】
また、図5に示すように、洗浄部21の内部には、上面に開口30aを有する洗浄槽30と、前記開閉扉21aとともに上下方向に変位可能で前記洗浄槽30の開口30aを開閉可能な開閉蓋31とが収容されている。
【0047】
また、洗浄槽30内には、同洗浄槽30内で所定の距離を変位可能なスライドテーブル32と、同スライドテーブル32上に設けられて前記芯金14を係止可能な受け治具33と、同受け治具33に係止された芯金14に対して前記洗浄剤を噴射する複数(この例では16個)のノズル34とが設けられている。
【0048】
また、この洗浄装置20では、前記複数のノズル34は、それらのいくつかのノズル34が前記洗浄槽30に固定されたノズル固定部材35aに取着される一方、残りのノズル34が前記開閉蓋31に固定されたノズル固定部材35bに取着されている。なお、これらノズル固定部材35a,35bは、前記供給管23(図3参照)に接続されており、前記タンク22の内部に貯溜されている洗浄剤が流通可能となっている。
【0049】
また、この洗浄装置20では、複数のノズル34は、受け治具33に係止された芯金14の外形にほぼ沿うように、芯金14におけるリング部14aとスポーク部14bとボス部14cとに沿って配置されている。
【0050】
さらに、これら複数のノズル34は、洗浄剤の噴射方向におけるそれら各ノズル34の噴射口34aから前記芯金14の外表面までの距離Lが10mm以上500mm以下の範囲に入るように配置されている。なお、前記距離Lは、10mm以上100mm以下の範囲が好ましく、30mm以上40mm以下の範囲がより好ましい。なお、図5では、前記洗浄剤の噴射方向がノズル34の中心線方向である場合の距離Lを示している。
【0051】
また、このステップS3の洗浄工程では、前記複数のノズル34から噴射される洗浄剤の圧力は、0.2MPa以上0.5MPa以下の範囲に入るように設定されている。なお、この圧力は、0.2MPa以上0.4MPa以下の範囲が好ましく、0.25MPa以上0.35MPa以下の範囲がより好ましい。
【0052】
また、ステップS3の洗浄工程では、前記複数のノズル34から噴射される洗浄剤の噴射時間は、2秒以上10秒以下の範囲に入るように設定されている。なお、この噴射時間は、4秒以上8秒以下の範囲が好ましく、5秒以上6秒以下の範囲がより好ましい。
【0053】
なお、前記距離Lが500mmを超える場合または、前記圧力が0.2MPa未満の場合または、前記噴射時間が2秒未満の場合には、洗浄剤による洗浄力が十分に発揮されず、前記芯金14に付着している異物が十分に除去されないおそれが生じる。逆に、前記距離Lが10mm未満の場合または、前記圧力が0.2MPaを超える場合には、洗浄剤が芯金14の狭い範囲に集中的に噴射され、その芯金14全体を均一に洗浄することが困難になるおそれが生じる。また、前記噴射時間が2秒を超える場合には、芯金14の製造時間が長くなり、コストの面で不利となる。
【0054】
また、このステップS3の洗浄工程では、前記洗浄剤として、前記切削油中に含まれる前記粘着成分を溶解または分散可能な物質を含有する流体を用いている。本実施形態では、この流体として、水を用いている。
【0055】
ここで、洗浄剤として水を用いることとした理由について、以下に説明する。前記ステップS2の加工工程が終了した芯金14について、それらの芯金14の外表面に付着している切削片やショットブラスト片が、以下の5つの例の除去方法を用いた場合にどの程度除去されるかを試験した。なお、この試験では、各例につき5〜10個の芯金14を用意して、それぞれの除去処理後における芯金14に対し、切削片やショットブラスト片が付着しているかを目視により判定した。そして、切削片とショットブラスト片とのそれぞれについて、付着が確認されなかった芯金14を「合格」、一方、付着が確認された芯金14を「不良」として、各例での不良率を調べた。
【0056】
(実施例)
この例では、前記ステップS2の加工工程が終了した芯金14に対し、水を噴射させて洗浄した。また、この例では、1個の噴射ノズルを有する噴射装置を用い、作業者の手作業により洗浄を行った。洗浄時間は、1分間である。
【0057】
(比較例1)
この例では、前記加工工程が終了した芯金14に対し、ナフテン系洗浄剤(ナフテゾール)を噴射させて洗浄した。なお、用いた噴射装置、洗浄方法、洗浄時間は、前記実施例と同様である。
【0058】
(比較例2)
この例では、前記加工工程が終了した芯金14に対し、同加工工程で用いた切削油を噴射させて洗浄した。なお、用いた噴射装置、洗浄方法、洗浄時間は、前記実施例と同様である。
【0059】
(比較例3)
この例では、前記加工工程が終了した芯金14に対してエアを吹き付けるエアブローを行った。また、この例では、1個の噴射ノズルを有する噴射装置を用い、作業者の手作業により吹き付けを行った。吹き付け時間は、1分間である。
【0060】
(比較例4)
この例では、前記加工工程が終了した芯金14に対し、その外表面を、スチール製のたわしを用いて擦った。
【0061】
これら各例での試験結果について、以下の表1を参照して、説明する。なお、この表1では、各例において、前記不良率が、1%未満である場合に「○」、1%以上10%未満である場合に「△」、10%以上100%以下である場合に「×」で示している。
【0062】
【表1】
まず、比較例1のナフテゾール洗浄では、切削片については、不良率は50%であり、ショットブラスト片については、不良率は20%であり、よい結果は得られなかった。その理由として、ナフテン系洗浄剤では、芯金14に付着している前記切削油中のオイル成分は除去されるものの、同切削油中の水系成分が除去されにくいため、芯金14の外表面に残存した水系成分により、切削片やショットブラスト片が除去されにくくなるためと考えられる。
【0063】
次に、比較例2の切削油洗浄では、切削片については、不良率は4%であり、よい結果が得られたものの、ショットブラスト片については、不良率は100%であった。これにより、切削片といった比較的大きなものは好適に除去できる一方、ショットブラスト片といった小さなものは除去できないことが分かる。
【0064】
次に、比較例3のエアブローでは、切削片については、不良率は60%であり、ショットブラスト片については、不良率は40%であり、よい結果は得られなかった。
【0065】
次に、比較例4のスチールたわしによる擦り落としでは、切削片については、不良率は50%であり、ショットブラスト片については、不良率は40%であり、この例でも、よい結果は得られなかった。また、この例では、芯金14の外表面をスチールたわしで擦ると、そのスチールたわしによって芯金14の外表面が削られ、細かな粉が発生した。
【0066】
これらの比較例1〜4に対して、実施例の水洗浄では、切削片とショットブラスト片との双方について、不良率は0%であり、非常に高い除去効果が得られることが分かった。前記切削加工工程にて用いられる切削油は、水により希釈可能で水との親和性が高いものであり、芯金14に付着していた切削油が、前記洗浄工程にて噴射された水により水系成分は溶解され、オイル成分は分散される。これにより、芯金14に付着していた切削油中の水系成分、オイル成分等の粘着成分による粘着力が低下されて、切削片やショットブラスト片といった異物が芯金14から除去され易くなるものと考えられる。このように、前記洗浄工程において芯金14を水洗浄すると、芯金14に付着していた異物が効果的に除去され、また、水は安価であるとともに環境負荷が小さいため、洗浄剤として水を使用することとしている。
【0067】
図2に示したように、前記ステップS3の洗浄工程が終了すると、次のステップS4の乾燥工程が行われる。この乾燥工程は、前記洗浄工程にて芯金14に付着した水を除去する洗浄剤除去工程である。本実施形態では、この乾燥工程において、芯金14に対し、前記洗浄装置20の洗浄部21内でエアブローを行った後、その芯金14を洗浄装置20から取り出して約半日間放置する。
【0068】
以上の各工程を経て芯金14が製造され、こうして製造された芯金14は、例えば以下に説明するような製造装置を用いてステアリングホイール10の製造に供される。
【0069】
上述のように製造された芯金14を用いてステアリングホイール10を製造する製造装置について、図6及び図7を参照して説明する。
図6及び図7に示すように、この製造装置40は、成形型としての金型41と、前記被膜層を形成する際に用いられる被膜形成材料注入装置55と、前記成形材層を形成する際に用いられる成形材料注入装置56と、金型41のキャビティ42内を減圧する減圧装置60とを備えている。
【0070】
前記金型41は、枠体43と蓋体44とからなるボックス45の内部に配設されている。そして、枠体43には、その内部に、金型41を構成する固定型46が固定される一方、蓋体44の内部には、金型41を構成する可動型47が固定されている。また、蓋体44には、前記枠体43との当接部にシール部材44aが配設されている。
【0071】
この製造装置40では、蓋体44が枠体43に対して上方(図6では紙面の上方)へ変位し、それら枠体43と蓋体44との当接部が互いに離間すると、金型41における可動型47の型割面と固定型46の型割面とが互いに離間して型開き状態となる。逆に、蓋体44が枠体43に向かって変位し、それら枠体43と蓋体44との当接部が互いに当接すると、可動型47の型割面と固定型46の型割面とが当接して型締め状態となる。なお、金型41が型締め状態にあるときは、枠体43と蓋体44とシール部材44aとでボックス45内の空間部45aが密封されるようになっている。
【0072】
前記固定型46には、その型割面に円環状の凹溝46aが形成されおり、可動型47の型割面にも、固定型46の凹溝46aと対応する位置に円環状の凹溝47aが形成されている。これら凹溝46a,47aには、前記ステアリングホイール10のスポーク部13に対応した複数(この例では3ヵ所)の部分に、その円環の中心にほぼ向かう放射部46b,47bが形成されている。そして、これら凹溝46a,47aが、金型41の型締め時において、ステアリングホイール10を成形するための前記キャビティ42を構成する。
【0073】
また、前記固定型46には、その型割面に注入溝46cが形成されている。この注入溝46cは、凹溝46aから外方に向かって形成され、その途中で二叉に分岐している。一方、可動型47にも、その型割面には、前記固定型46の注入溝46cと対応する位置に二叉状の注入溝47cが形成されている。これら注入溝46c,47cは、金型41の型締め時にゲート41aを形成する。そして、金型41のキャビティ42とボックス45の外部とが、ゲート41aと枠体43に形成された2つの開口48とを介して連通している。
【0074】
また、可動型47には、その外面と凹溝47aの内底面とで開口する小径の1つの排気孔49が形成されている。同排気孔49は、ゲート41aから最も離間した位置に形成されている。さらに、可動型47には、その外面と凹溝47aの放射部47bの内底面とで開口する貫通孔50が形成されている。なお、この貫通孔50は、省略可能である。
【0075】
前記被膜形成材料注入装置55は、ステアリングホイール10の前記被膜層を形成する成形材料を含む溶液としての被膜形成材料を金型41のキャビティ42内に注入する装置である。ここで、被膜形成材料は、固形分である成形材料としてのモールドコート材(例えば耐光性を有するポリウレタン等)及び顔料と、例えばメチルエチルケトン(MEK)及びイソプロピルアルコール(IPA)等の成形加工助剤としての溶剤とを含有するものである。
【0076】
一方、前記成形材料注入装置56は、ステアリングホイール10の前記成形材層を形成するための成形材料を金型41のキャビティ42内に注入する装置である。ここで、成形材料は、反応してポリウレタンとなるポリオール成分とイソシアネート成分とを含有するものである。
【0077】
前記減圧装置60は、ステアリングホイール10の製造に際して、ボックス45の空間部45aと金型41のキャビティ42の内部とを減圧する装置であり、真空ポンプ61を備えている。この真空ポンプ61は、配管62及び排出管63を介して前記枠体43に接続され、配管62の途中には、バルブ64が配設されている。
【0078】
次に、前記製造装置40を用いて行われるステアリングホイール10の製造手順を、図8を参照して説明する。このステアリングホイール10は、例えば以下のようなインサート成形工程により製造される。
【0079】
このインサート成形工程では、先ず、ステップS5の離型剤被膜形成工程にて、型開き状態の金型41に対し、例えばスプレーガン等を用いて、固定型46の凹溝46aと可動型47の凹溝47aとの内底面に離型剤を塗布する。これにより、両凹溝46a,47aの内底面上に離型剤被膜を形成する。この離型剤はワックス、シリコンオイル等からなり、金型41に成形後のステアリングホイール10が粘着することを防いで、ステアリングホイール10を取り出し易くする目的で塗布されるものである。
【0080】
次いで、ステップS6にて、上述した製造方法により製造された芯金14を、固定型46の所定の位置にセットし、金型41を閉じて型締めする。なお、このとき、枠体43と蓋体44とが当接して、ボックス45内が密閉状態となる。
【0081】
次に、ステップS7の被膜形成工程としてのモールドコート材被膜形成工程にて、前記離型剤被膜上に前記モールドコート材等からなる被膜層を形成する。
このモールドコート材被膜形成工程では、まず、被膜形成材料注入装置55により、金型41のキャビティ42内に前記ゲート41aを介して所定量の被膜形成材料を注入する。その後、前記真空ポンプ61を駆動して、ボックス45の空間部45aと金型41のキャビティ42との内部を減圧する。この減圧によりキャビティ42内が所定の圧力になると、キャビティ42内に注入された被膜形成材料中の前記溶剤が沸騰状態となる。この溶剤の沸騰により、前記モールドコート材と顔料とがキャビティ42の内壁面(詳しくは、前記離型剤被膜)上に均一に塗布され、気化した溶剤がキャビティ42内から排気孔49及び貫通孔50及び減圧装置60を介してボックス45の外部に排出される。これにより、キャビティ42内が乾燥され、同キャビティ42の内壁面(前記離型剤被膜)上に薄く均一な厚さを有する被膜層(モールドコート材層)が形成される。
【0082】
続いて、ステップS8のウレタン成形工程にて、前記成形材層を形成する。このウレタン成形工程では、前記成形材料注入装置56により、型締め状態にある金型41のキャビティ42内部に前記ゲートを介して所定量の成形材料を注入し、通常のウレタン成形を行う。このウレタン成形工程が終了すると、金型41を型開きして、被膜層と芯金14との間に成形材層が充填されたステアリングホイール10を取り出す。
【0083】
従って、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、芯金14の製造に際し、仕上加工工程(ステップS21)と切削加工工程(ステップS22)とが行われた芯金14を洗浄工程(ステップS3)にて洗浄している。また、これらの工程を、インサート成形工程に先立って行っている。
【0084】
これにより、仕上加工工程や切削加工工程の際に、切削油や加工屑(切削片やショットブラスト破片)等の異物が芯金14の表面に付着したとしても、その異物を、洗浄工程において芯金14から除去することができる。これにより、成形後のステアリングホイール10における前記成形材層や被膜層の内部に異物が残存することを抑制することができる。このため、車両の走行時において運転者が常に接触して回動操作されるとともに、車両の乗員により視認されるステアリングホイール10にあって、その外観や触感の低下といった品質の低下を抑制することができる。
【0085】
特に、本実施形態のように、モールドコート材被膜形成工程(ステップS7)にて、被膜形成材料を含む溶液の沸騰を利用して被膜層を形成する場合には、芯金14の表面に異物が付着していると、その異物が前記溶液の沸騰時に脱落して、キャビティ42の内壁面(前記離型剤被膜)上に移動し易くなる。このように異物が脱落した状態でインサート成形工程を行うと、脱落した異物が、成形後のステアリングホイール10の外表面またはその近傍にとどまり易くなり、ステアリングホイール10の品質が低下し易くなる。
【0086】
この点、本実施形態では、ステアリングホイール10の外表面またはその近傍に異物がとどまることがなく、ステアリングホイール10の品質低下を好適に抑制することができる。
【0087】
(2)また、前記洗浄工程では、芯金14を水により洗浄している。ここで、前記切削加工では、水との親和性が高い切削油を用いており、水は、その切削油中の水系成分、オイル成分等の粘着成分を溶解または分散可能な流体である。これにより、加工工程にて使用された切削油中の粘着成分を、洗浄工程で用いられる水により溶解または分散させて、同粘着成分を芯金14から除去することができる。このため、芯金14に付着している加工屑等の異物を前記粘着成分とともに除去することができる。また、水は、安価で容易に入手可能であり、かつ環境負荷が小さいため、芯金14の製造コストを低減することができる。
【0088】
(3)また、前記洗浄工程を、水を芯金14に対し、所定の圧力をもって噴射することにより行っている。これにより、芯金14を洗浄工程にて洗浄する際、噴射された水が芯金14の外表面に強く衝突し、その衝突した水によって、芯金14に付着している異物を効率よく除去することができる。
【0089】
(4)また、前記洗浄工程では、芯金14の外形にほぼ沿うように配置され、芯金14に対して水を噴射する複数のノズル34を備えた洗浄装置20を用いている。このように、芯金14を、複数のノズル34を有する洗浄装置20を用いて洗浄するため、芯金14の洗浄時間を短縮することができる。また、この洗浄装置20では、複数のノズル34を、芯金14の外形にほぼ沿うように配置しているため、芯金14の全体をほぼ均一に洗浄することができる。
【0090】
(5)また、前記洗浄工程の後には、芯金14に付着している水を乾燥させて除去する乾燥工程(ステップS4)を行っている。このため、ウレタン成形工程(ステップS8)において、例えば、水を発泡剤として発泡させるような場合でも、発泡剤が過剰となったりすることがなく、ステアリングホイール10の成形材層を所望の発泡状態とすることができる。
【0091】
(変形例)
なお、本発明の実施形態は、以下のように変形してもよい。
・前記実施形態において、前記洗浄工程(ステップS3)では、芯金14を洗浄するために用いられる水の温度は任意である。
【0092】
ここで、前記洗浄工程において、常温よりも高い温度に加熱された水を用いれば、水による異物除去能力が高められ、芯金14に付着している異物を速やかに除去することが可能となる。また、洗浄工程が終了した後における芯金14の温度を上昇させることができ、乾燥性を向上することができる。特に、スチームで芯金14を洗浄するようにすれば、これらの効果が顕著となる。
【0093】
・前記実施形態において、前記洗浄工程で用いられる洗浄剤は、水には限定されない。この洗浄剤は、前記加工工程(ステップS2)で用いられる加工助剤に応じて適宜変更することができる。
【0094】
また、洗浄剤は、前記加工工程で用いられる加工助剤に含まれる粘着成分を溶解または分散可能であるものには限定されない。この洗浄剤は、前記加工助剤に含まれる粘着成分を溶解もしくは分散もしくは吸着可能な物質を含む流体であってもよい。
【0095】
また、洗浄剤は、液体に限らず、例えば気体や粉流体等であってもよい。
・前記実施形態において、前記洗浄装置20におけるノズル34の数、配置態様、噴射態様は、芯金14の形状や大きさ等に応じて適宜変更可能である。
【0096】
・前記実施形態において、前記洗浄工程では、洗浄装置20を用いて洗浄することには限定されない。例えば、芯金14を、容器内に貯溜された洗浄剤に浸漬して接触させることにより、その芯金14に付着している異物を除去するようにしてもよい。このようにした場合でも、芯金14に付着している異物を効率よく除去することができる。なお、この場合には、芯金14を洗浄剤に浸漬させた状態で、芯金14を動かしたり、洗浄剤を攪拌したりすれば、芯金14に付着している異物をより効率よく除去することができる。
【0097】
・前記実施形態において、前記加工工程で行われる処理は、ショットブラスト処理と切削加工とには限定されない。この加工工程は、粘着性を有する材料(例えば、各種加工油や水等)を用いて行われる加工が含まれるものであれば、その処理の種類や処理数や処理順序等は任意である。
【0098】
・前記実施形態において、例えば、外表面に洗浄剤が付着した状態の芯金14を前記インサート成形工程にて使用してもステアリングホイール10の品質に影響を与えない場合等には、乾燥工程(ステップS4)を省略してもよい。
【0099】
・前記実施形態において、前記インサート成形工程(ステップS5〜ステップS8)で行われる処理やその処理順序は、上述したものには限定されない。例えば、皮巻きステアリングホイールのように前記被膜層を必要としないステアリングホイールを成形する場合には、モールドコート材被膜形成工程(ステップS7)を省略する等としてもよい。
【0100】
・前記実施形態では、ステアリングホイール10の製造方法の例を示したが、本発明は、ステアリングホイール10以外のインサート成形品、例えば、アシストグリップ等の製造方法にも同様に適用することができる。
【0101】
その他、前記実施形態、並びに以上の記載から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に記載する。
(イ)インサート成形品に用いられるインサート材が収容される洗浄槽と、前記インサート材に対して洗浄剤を噴射する複数のノズルとを有し、同複数のノズルが、前記インサート材の外形にほぼ沿うように配置されることを特徴とするインサート材の洗浄装置。
【0102】
この(イ)に記載の発明によれば、請求項6と同様の効果が得られる。
【0103】
【発明の効果】
以上詳述したように、本願請求項1または請求項2または請求項12に記載の発明によれば、インサート成形品の外観及び触感が低下することを抑制することができ、インサート成形品としての品質の低下を抑制することができる。
【0104】
また、本願請求項3に記載の発明によれば、前記請求項1または請求項2に記載の発明の効果に加えて、インサート材に付着している異物を効率よく除去することができる。
【0105】
また、本願請求項4に記載の発明によれば、前記請求項3に記載の発明の効果に加えて、洗浄剤がインサート成形品の品質に与える影響を排除することができる。
【0106】
また、本願請求項5または請求項8に記載の発明によれば、前記請求項3または請求項4または請求項7に記載の発明の効果に加えて、インサート材に付着している異物をより効率よく除去することができる。
【0107】
また、本願請求項6に記載の発明によれば、前記請求項3〜請求項5のうちいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、インサート材の洗浄時間を短縮することができる。また、インサート材の全体をほぼ均一に洗浄することができる。
【0108】
また、本願請求項7に記載の発明によれば、前記請求項3〜請求項6のうちいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、インサート材に付着している異物を加工助剤中の粘着成分とともに除去することができる。
【0109】
また、本願請求項9に記載の発明によれば、前記請求項7または請求項8に記載の発明の効果に加えて、インサート材の製造コストを低減することができる。
また、本願請求項10または請求項11に記載の発明によれば、前記請求項3〜請求項10のうちいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、洗浄工程が終了した後におけるインサート材の乾燥性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態の車両用ステアリングホイールの斜視図。
【図2】芯金の製造手順を示すフローチャート。
【図3】洗浄工程で用いられる洗浄装置の概略構成を示す正面図。
【図4】洗浄装置の概略構成を示す側面図。
【図5】図3の5―5線断面図。
【図6】車両用ステアリングホイールの製造装置の概略構成を示す模式図。
【図7】製造装置のボックス及び金型の断面構造を示す断面図。
【図8】車両用ステアリングホイールの製造手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
10…成形品としてのステアリングホイール、14…インサート材としての芯金、20…洗浄装置、30…洗浄槽、34…ノズル、34a…噴射口、41…成形型としての金型、42…キャビティ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、インサート材を用いてインサート成形されるインサート成形品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種のインサート成形品の1つとして、例えば、車両用ステアリングホイールが知られている。このステアリングホイールは、インサート材としての芯金における主にリムの部分に、例えばウレタン樹脂からなる樹脂層が形成されており、さらにその樹脂層の表面に、耐光性を有する表面保護材、いわゆるモールドコート材からなるモールドコート材層が形成されている。このモールドコート材層は、その厚さが例えば5μmの薄膜状に形成されている。
【0003】
そして、従来、ステアリングホイールの製造に際しては、例えば以下の2つの方法が用いられていた。
1つ目の方法は、まず、型開きされた成形型のキャビティ内壁面上に、モールドコート材を含有する材料を、例えばスプレーガン等を用いて塗布して、モールドコート材層を形成する。その後、芯金を成形型の所定の位置に配置した状態でその成形型を閉じ、ウレタン樹脂をキャビティ内に注入して通常のインサート成形を行うことにより樹脂層を形成するという方法である(第1の従来方法)。
【0004】
次に、2つ目の方法は、まず、芯金を成形型の所定の位置に配置した状態でその成形型を閉じた後、真空ポンプを用いてキャビティ内を減圧雰囲気にする。このキャビティ内の減圧中に、モールドコート材を含有する溶液をキャビティ内に注入することにより、モールドコート材からなるモールドコート材層をキャビティ内壁面上に形成する。その後、ウレタン樹脂をキャビティ内に注入して通常のインサート成形を行うことにより樹脂層を形成するという方法である(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
ここで、従来より、前記芯金は、例えば鋳造等により成形されており、鋳造によって、成形後の芯金にはばりが形成される。そのばりを除去するために、芯金に対して例えばショットブラスト処理等を施している。また、芯金には、例えばエアバッグ装置やホーンスイッチ等の部品を固定するためのねじ穴等が設けられている。このねじ穴等は、切削加工により形成されている。なお、こうしたショットブラスト処理や切削加工は、例えば前記ばりやねじ穴等がウレタン樹脂で被覆されることなく露出する場所にある場合であっても、インサート成形に先立って行われている。
【0006】
【特許文献1】
特許第2746024号公報(第3−5頁、第1−3図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、芯金を切削加工する際には、切削油が用いられる。そして、前記ショットブラスト処理により生じた前記ばりの切除片や粉体、切削加工により生じた切削片といった加工屑等が切削油の粘着力により芯金に付着することがある。そして、この加工屑等が付着した状態の芯金を用いて、上述の各従来方法によりステアリングホイールを成形すると、次のような問題が生じるおそれがあった。
【0008】
まず、前記第1の従来方法を用いた場合には、芯金が成形型の所定の位置に配置された際に、その芯金の表面に付着している加工屑等がキャビティ内壁面のモールドコート材層上に落下することがある。そして、加工屑等がモールドコート材層上に落下した状態でインサート成形が行われると、成形後のステアリングホイールには、その樹脂層とモールドコート材層との間もしくはその近傍に前記加工屑が残存するおそれがある。このように、加工屑がステアリングホイールにおいて樹脂層とモールドコート材層との間もしくはその近傍に残存すると、モールドコート材層は非常に薄いために、車両の乗員がステアリングホイールを握った際の触感が悪化することとなる。
【0009】
一方、前記第2の従来方法を用いた場合には、芯金が成形型の所定の位置に配置された際に、その芯金の表面に付着している加工屑等が前記キャビティ内壁面上に落下することがある。そして、加工屑等がキャビティ内壁面上に落下した状態でキャビティ内に前記モールドコート材を含有する溶液が注入されると、その注入後に形成されたモールドコート材層の内部や表面に前記加工屑等が残存するようになる。このように、加工屑がモールドコート材層の内部や表面に残存すると、車両の乗員がステアリングホイールを握った際の触感が悪化したり、加工屑がステアリングホイールの表面から視認され、意匠性が低下したりすることがある。
【0010】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的としては、インサート成形品における品質の低下を抑制することが可能なインサート成形品の製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本願請求項1に記載の発明は、インサート材の外表面の少なくとも一部を成形材料で被覆するインサート成形工程を有するインサート成形品の製造方法において、前記インサート材を加工する加工工程と、前記インサート成形工程に先立って、前記加工工程で使用される加工助剤及び同加工工程で発生した加工屑を含む前記インサート材上の異物を除去する洗浄工程と、を含むことを要旨とするものである。
【0012】
この本願請求項1に記載の発明では、加工工程の際に加工助剤や加工屑等の異物がインサート材に付着したとしても、その付着した異物は、洗浄工程においてインサート材から除去される。これにより、成形後のインサート成形品の内部に異物が残存することが抑制され、インサート成形品の品質の低下が抑制される。
【0013】
また、本願請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、前記インサート成形工程は、前記インサート材を成形型のキャビティ内にセットした状態で、同キャビティ内に前記成形材料を含む溶液及び成形加工助剤を含む溶液の少なくとも1つを注入し、その溶液を沸騰させて、前記キャビティの内壁面に被膜を形成する被膜形成工程を含むことを要旨とするものである。
【0014】
異物が外表面に付着したインサート材を用いてインサート成形が行われた場合には、その異物が、キャビティ内に注入された溶液の沸騰時に脱落して、キャビティの内壁面に移動し易くなる。この状態でインサート成形工程が行われると、脱落した異物がインサート成形品の外表面またはその近傍にとどまり易くなり、インサート成形品における外観及び触感の低下を招くこととなる。
【0015】
これに対して、本願請求項2に記載の発明では、前記請求項1に記載の発明の作用に加えて、インサート成形工程では、前記洗浄工程にて洗浄されたインサート材が用いられる。このため、前記溶液の沸騰による被膜形成工程が行われるインサート成形方法を用いても、インサート成形品の外観及び触感の低下が抑制される。
【0016】
また、本願請求項3に記載の発明は、前記請求項1または請求項2に記載の発明において、前記洗浄工程では、前記インサート材と洗浄液とを接触させて前記異物を除去することを要旨とするものである。
【0017】
この本願請求項3に記載の発明では、前記請求項1または請求項2に記載の発明の作用に加えて、インサート材に付着している異物を効率よく除去することが可能となる。
【0018】
また、本願請求項4に記載の発明は、前記請求項3に記載の発明において、前記洗浄工程が行われた後に、前記インサート材に付着している洗浄剤を除去する洗浄剤除去工程を行うことを要旨とするものである。
【0019】
この本願請求項4に記載の発明では、前記請求項3に記載の発明の作用に加えて、洗浄工程においてインサート材に付着した洗浄剤は、洗浄剤除去工程で除去され、洗浄剤のインサート成形品の品質に対する影響が排除される。
【0020】
また、本願請求項5に記載の発明は、前記請求項3または請求項4に記載の発明において、前記洗浄工程では、前記洗浄剤を前記インサート材に対して噴射することを要旨とするものである。
【0021】
この本願請求項5に記載の発明では、前記請求項3または請求項4に記載の発明の作用に加えて、インサート材を洗浄工程にて洗浄する際、噴射された洗浄剤がインサート材に衝突し、その洗浄剤によって、インサート材に付着している異物がより効率よく除去される。
【0022】
また、本願請求項6に記載の発明は、前記請求項3〜請求項5のうちいずれか一項に記載の発明において、前記洗浄工程では、前記インサート材の外形にほぼ沿うように配置され、同インサート材に対して前記洗浄剤を噴射する複数のノズルを有する洗浄装置を用いることを要旨とするものである。
【0023】
この本願請求項6に記載の発明では、前記請求項3〜請求項5のうちいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、加工工程にて加工されたインサート材を、洗浄工程では、複数のノズルを有する洗浄装置を用いて洗浄するため、インサート材の洗浄時間が短縮される。また、この洗浄装置では、複数のノズルは、インサート材の外形にほぼ沿うように配置されているため、インサート材の全体をほぼ均一に洗浄することが可能となる。
【0024】
また、本願請求項7に記載の発明は、前記請求項3〜請求項6のうちいずれか一項に記載の発明において、前記洗浄剤は、前記加工工程にて使用される加工助剤中に含まれ、前記異物をインサート材に粘着させる粘着成分を溶解もしくは分散もしくは吸着可能な物質を含む流体であることを要旨とするものである。
【0025】
例えば、加工工程として、インサート材を切削する切削加工が行われる場合には、加工助剤である切削油がインサート材の切削部位に供給された状態で切削加工が行われる。この切削油中の粘着成分により、インサート材の切削片がインサート材に付着し易くなる。
【0026】
これに対し、本願請求項7に記載の発明では、前記請求項3〜請求項6のうちいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、加工工程にて使用された加工助剤中の粘着成分は、洗浄工程での洗浄剤によりインサート材から除去される。このとき、インサート材に付着している異物が加工助剤中の粘着成分とともに除去される。
【0027】
また、本願請求項8に記載の発明は、前記請求項7に記載の発明において、前記洗浄工程では、前記洗浄剤を所定の圧力をもって前記インサート材に対して噴射することを要旨とするものである。
【0028】
この本願請求項8に記載の発明では、前記請求項7に記載の発明の作用に加えて、インサート材に対して噴射された洗浄剤は、インサート材の外表面に強く衝突させることができ、インサート材に付着している異物がさらに効率よく除去される。
【0029】
また、本願請求項9に記載の発明は、前記請求項7または請求項8に記載の発明において、前記加工助剤が水との親和性が高いものである場合には、前記洗浄剤は、水であることを要旨とするものである。
【0030】
この本願請求項9に記載の発明では、前記請求項7または請求項8に記載の発明の作用に加えて、安価で容易に入手される水を洗浄剤として用いることができるため、インサート材の製造コストが低減される。
【0031】
また、本願請求項10に記載の発明は、前記請求項3〜請求項9のうちいずれか一項に記載の発明において、前記洗浄工程では、常温よりも温度の高い状態に加熱された洗浄剤を用いることを要旨とするものである。
【0032】
この本願請求項10に記載の発明では、前記請求項3〜請求項9のうちいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、洗浄剤自身の温度が高いため、洗浄剤の異物除去能力が高められる。これにより、インサート材に付着した異物を速やかに除去することが可能となる。また、洗浄工程が終了した後におけるインサート材の乾燥性が向上される。
【0033】
また、本願請求項11に記載の発明は、前記請求項10に記載の発明において、前記洗浄剤が、スチームであることを要旨とするものである。
この本願請求項11に記載の発明では、前記請求項10に記載の発明の作用がより顕著に発揮される。
【0034】
また、本願請求項12に記載の発明は、前記請求項1〜請求項11のうちいずれか一項に記載の発明において、前記インサート材が、車両用ステアリングホイールの芯金であることを要旨とするものである。
【0035】
この本願請求項12に記載の発明では、前記請求項1〜請求項11のうちいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、車両用ステアリングホイールを成形する際には、洗浄工程において洗浄された芯金を用いることにより、成形後のステアリングホイールの内部に異物が残存することが抑制される。これにより、車両の走行時において運転者が常に接触して回動操作されるとともに、車両の乗員により視認され易いステアリングホイールにあって、その触感や外観が良好に保持され、品質の低下が抑制される。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、インサート成形品としての車両用ステアリングホイールの製造方法に適用した一実施形態について、図1〜図8を参照して説明する。
【0037】
図1に示すように、ステアリングホイール10は、リング部11と、ボス部12と、これらリング部11とボス部12とを接続する複数(この例では3本)のスポーク部13とを有している。ステアリングホイール10は、インサート材としての芯金14における前記リング部11に対応する外表面の全部と、前記スポーク部13に対応する外表面の一部とに、例えばポリウレタン(PUR)等の成形材料により被覆されている。また、この成形材料からなる成形材層の表面には、例えば耐光性等を有する被膜層(モールドコート材層)が形成されており、この被膜層により前記成形材層の表面が保護されている。
【0038】
このステアリングホイール10は、所定の形状に予め製造された芯金14をインサート材とするインサート成形により製造される。
まず、芯金14の製造手順について、図2を参照して説明する。
【0039】
図2に示すように、芯金14の製造に際しては、まず、ステップS1の成形工程にて芯金14を成形する。この成形工程では、芯金14を鋳造により成形している。なお、この芯金14の成形は、鋳造には限定されない。
【0040】
次に、ステップS2の加工工程にて、前記成形工程で成形された芯金14に対し、所定の加工を施す。
本実施形態では、この加工工程として、まず、ステップS21の仕上加工工程を行う。この仕上加工工程は、前記鋳造の際に芯金14に形成されたばりを除去するための工程であり、鋳造された芯金14に対して、例えばショットブラスト処理が行われる。続いて、ステップS22の切削加工工程にて、前記仕上加工が施された芯金14に対し、切削加工を行う。この切削加工工程は、ステアリングホイール10に対して、例えばエアバッグ装置やホーンスイッチ(ともに図示略)等の部品を固定するためのねじ穴15(図1参照)等を形成する工程である。なお、この切削加工工程は、加工助剤としての切削油を、芯金14における切削加工部に供給しながら行われる。この前記切削油としては、近年、環境保護等の観点から、水により希釈可能で、水との親和性が高い水エマルジョンタイプのものが広く用いられるようになってきている。そして、この切削加工工程では、水で希釈した状態の切削油を用いている。
【0041】
なお、上述のショットブラスト処理や切削加工は、芯金14において、前記ばりやねじ穴15等が、例えば前記成形材層で被覆されることなく露出する場所にある場合等であっても、成形材層や被膜層が傷むといった問題の発生を抑制するために、後述するインサート成形工程に先立って行われている。
【0042】
ここで、前記切削加工工程で使用した切削油は、芯金14の外表面に付着した状態となり、前記仕上加工工程時に生じたばり片やショットブラスト片や、前記切削工程時に生じた切削屑等の加工屑が前記切削油中の水系成分、オイル成分等の粘着成分による粘着力で芯金14の外表面に付着するようになる。
【0043】
そこで、本実施形態では、前記加工工程で使用された切削油や、同加工工程で発生した加工屑等を含む芯金14の外表面に付着している異物を除去するために、次のステップS3の洗浄工程にて芯金14を洗浄する。そして、この洗浄工程では、例えば図3〜図5に示される構成の洗浄装置20を用い、芯金14に対して洗浄剤を噴射することにより洗浄している。
【0044】
図3及び図4に示すように、この洗浄装置20は、芯金14を収容可能な洗浄部21と、前記洗浄剤が貯溜されるタンク22と、これら洗浄部21とタンク22とを接続する供給管23及び排出管24とを備えている。また、前記供給管23の途中には、前記タンク22内の洗浄剤を洗浄部21内へ送出するためのポンプ25と、同ポンプ25を駆動させるためのモータ26とが設けられている。
【0045】
この洗浄装置20では、前記洗浄部21は、その上面に、前記芯金14が通過可能な開口を有しており、その開口は、開閉扉21aにより開閉されるようになっている。また、開閉扉21aは、洗浄部21に対し、扉開閉用シリンダ21bを介して上下方向に変位可能に接続されている。また、洗浄部21には、洗浄装置20を操作するための操作スイッチ21cが設けられている。
【0046】
また、図5に示すように、洗浄部21の内部には、上面に開口30aを有する洗浄槽30と、前記開閉扉21aとともに上下方向に変位可能で前記洗浄槽30の開口30aを開閉可能な開閉蓋31とが収容されている。
【0047】
また、洗浄槽30内には、同洗浄槽30内で所定の距離を変位可能なスライドテーブル32と、同スライドテーブル32上に設けられて前記芯金14を係止可能な受け治具33と、同受け治具33に係止された芯金14に対して前記洗浄剤を噴射する複数(この例では16個)のノズル34とが設けられている。
【0048】
また、この洗浄装置20では、前記複数のノズル34は、それらのいくつかのノズル34が前記洗浄槽30に固定されたノズル固定部材35aに取着される一方、残りのノズル34が前記開閉蓋31に固定されたノズル固定部材35bに取着されている。なお、これらノズル固定部材35a,35bは、前記供給管23(図3参照)に接続されており、前記タンク22の内部に貯溜されている洗浄剤が流通可能となっている。
【0049】
また、この洗浄装置20では、複数のノズル34は、受け治具33に係止された芯金14の外形にほぼ沿うように、芯金14におけるリング部14aとスポーク部14bとボス部14cとに沿って配置されている。
【0050】
さらに、これら複数のノズル34は、洗浄剤の噴射方向におけるそれら各ノズル34の噴射口34aから前記芯金14の外表面までの距離Lが10mm以上500mm以下の範囲に入るように配置されている。なお、前記距離Lは、10mm以上100mm以下の範囲が好ましく、30mm以上40mm以下の範囲がより好ましい。なお、図5では、前記洗浄剤の噴射方向がノズル34の中心線方向である場合の距離Lを示している。
【0051】
また、このステップS3の洗浄工程では、前記複数のノズル34から噴射される洗浄剤の圧力は、0.2MPa以上0.5MPa以下の範囲に入るように設定されている。なお、この圧力は、0.2MPa以上0.4MPa以下の範囲が好ましく、0.25MPa以上0.35MPa以下の範囲がより好ましい。
【0052】
また、ステップS3の洗浄工程では、前記複数のノズル34から噴射される洗浄剤の噴射時間は、2秒以上10秒以下の範囲に入るように設定されている。なお、この噴射時間は、4秒以上8秒以下の範囲が好ましく、5秒以上6秒以下の範囲がより好ましい。
【0053】
なお、前記距離Lが500mmを超える場合または、前記圧力が0.2MPa未満の場合または、前記噴射時間が2秒未満の場合には、洗浄剤による洗浄力が十分に発揮されず、前記芯金14に付着している異物が十分に除去されないおそれが生じる。逆に、前記距離Lが10mm未満の場合または、前記圧力が0.2MPaを超える場合には、洗浄剤が芯金14の狭い範囲に集中的に噴射され、その芯金14全体を均一に洗浄することが困難になるおそれが生じる。また、前記噴射時間が2秒を超える場合には、芯金14の製造時間が長くなり、コストの面で不利となる。
【0054】
また、このステップS3の洗浄工程では、前記洗浄剤として、前記切削油中に含まれる前記粘着成分を溶解または分散可能な物質を含有する流体を用いている。本実施形態では、この流体として、水を用いている。
【0055】
ここで、洗浄剤として水を用いることとした理由について、以下に説明する。前記ステップS2の加工工程が終了した芯金14について、それらの芯金14の外表面に付着している切削片やショットブラスト片が、以下の5つの例の除去方法を用いた場合にどの程度除去されるかを試験した。なお、この試験では、各例につき5〜10個の芯金14を用意して、それぞれの除去処理後における芯金14に対し、切削片やショットブラスト片が付着しているかを目視により判定した。そして、切削片とショットブラスト片とのそれぞれについて、付着が確認されなかった芯金14を「合格」、一方、付着が確認された芯金14を「不良」として、各例での不良率を調べた。
【0056】
(実施例)
この例では、前記ステップS2の加工工程が終了した芯金14に対し、水を噴射させて洗浄した。また、この例では、1個の噴射ノズルを有する噴射装置を用い、作業者の手作業により洗浄を行った。洗浄時間は、1分間である。
【0057】
(比較例1)
この例では、前記加工工程が終了した芯金14に対し、ナフテン系洗浄剤(ナフテゾール)を噴射させて洗浄した。なお、用いた噴射装置、洗浄方法、洗浄時間は、前記実施例と同様である。
【0058】
(比較例2)
この例では、前記加工工程が終了した芯金14に対し、同加工工程で用いた切削油を噴射させて洗浄した。なお、用いた噴射装置、洗浄方法、洗浄時間は、前記実施例と同様である。
【0059】
(比較例3)
この例では、前記加工工程が終了した芯金14に対してエアを吹き付けるエアブローを行った。また、この例では、1個の噴射ノズルを有する噴射装置を用い、作業者の手作業により吹き付けを行った。吹き付け時間は、1分間である。
【0060】
(比較例4)
この例では、前記加工工程が終了した芯金14に対し、その外表面を、スチール製のたわしを用いて擦った。
【0061】
これら各例での試験結果について、以下の表1を参照して、説明する。なお、この表1では、各例において、前記不良率が、1%未満である場合に「○」、1%以上10%未満である場合に「△」、10%以上100%以下である場合に「×」で示している。
【0062】
【表1】
まず、比較例1のナフテゾール洗浄では、切削片については、不良率は50%であり、ショットブラスト片については、不良率は20%であり、よい結果は得られなかった。その理由として、ナフテン系洗浄剤では、芯金14に付着している前記切削油中のオイル成分は除去されるものの、同切削油中の水系成分が除去されにくいため、芯金14の外表面に残存した水系成分により、切削片やショットブラスト片が除去されにくくなるためと考えられる。
【0063】
次に、比較例2の切削油洗浄では、切削片については、不良率は4%であり、よい結果が得られたものの、ショットブラスト片については、不良率は100%であった。これにより、切削片といった比較的大きなものは好適に除去できる一方、ショットブラスト片といった小さなものは除去できないことが分かる。
【0064】
次に、比較例3のエアブローでは、切削片については、不良率は60%であり、ショットブラスト片については、不良率は40%であり、よい結果は得られなかった。
【0065】
次に、比較例4のスチールたわしによる擦り落としでは、切削片については、不良率は50%であり、ショットブラスト片については、不良率は40%であり、この例でも、よい結果は得られなかった。また、この例では、芯金14の外表面をスチールたわしで擦ると、そのスチールたわしによって芯金14の外表面が削られ、細かな粉が発生した。
【0066】
これらの比較例1〜4に対して、実施例の水洗浄では、切削片とショットブラスト片との双方について、不良率は0%であり、非常に高い除去効果が得られることが分かった。前記切削加工工程にて用いられる切削油は、水により希釈可能で水との親和性が高いものであり、芯金14に付着していた切削油が、前記洗浄工程にて噴射された水により水系成分は溶解され、オイル成分は分散される。これにより、芯金14に付着していた切削油中の水系成分、オイル成分等の粘着成分による粘着力が低下されて、切削片やショットブラスト片といった異物が芯金14から除去され易くなるものと考えられる。このように、前記洗浄工程において芯金14を水洗浄すると、芯金14に付着していた異物が効果的に除去され、また、水は安価であるとともに環境負荷が小さいため、洗浄剤として水を使用することとしている。
【0067】
図2に示したように、前記ステップS3の洗浄工程が終了すると、次のステップS4の乾燥工程が行われる。この乾燥工程は、前記洗浄工程にて芯金14に付着した水を除去する洗浄剤除去工程である。本実施形態では、この乾燥工程において、芯金14に対し、前記洗浄装置20の洗浄部21内でエアブローを行った後、その芯金14を洗浄装置20から取り出して約半日間放置する。
【0068】
以上の各工程を経て芯金14が製造され、こうして製造された芯金14は、例えば以下に説明するような製造装置を用いてステアリングホイール10の製造に供される。
【0069】
上述のように製造された芯金14を用いてステアリングホイール10を製造する製造装置について、図6及び図7を参照して説明する。
図6及び図7に示すように、この製造装置40は、成形型としての金型41と、前記被膜層を形成する際に用いられる被膜形成材料注入装置55と、前記成形材層を形成する際に用いられる成形材料注入装置56と、金型41のキャビティ42内を減圧する減圧装置60とを備えている。
【0070】
前記金型41は、枠体43と蓋体44とからなるボックス45の内部に配設されている。そして、枠体43には、その内部に、金型41を構成する固定型46が固定される一方、蓋体44の内部には、金型41を構成する可動型47が固定されている。また、蓋体44には、前記枠体43との当接部にシール部材44aが配設されている。
【0071】
この製造装置40では、蓋体44が枠体43に対して上方(図6では紙面の上方)へ変位し、それら枠体43と蓋体44との当接部が互いに離間すると、金型41における可動型47の型割面と固定型46の型割面とが互いに離間して型開き状態となる。逆に、蓋体44が枠体43に向かって変位し、それら枠体43と蓋体44との当接部が互いに当接すると、可動型47の型割面と固定型46の型割面とが当接して型締め状態となる。なお、金型41が型締め状態にあるときは、枠体43と蓋体44とシール部材44aとでボックス45内の空間部45aが密封されるようになっている。
【0072】
前記固定型46には、その型割面に円環状の凹溝46aが形成されおり、可動型47の型割面にも、固定型46の凹溝46aと対応する位置に円環状の凹溝47aが形成されている。これら凹溝46a,47aには、前記ステアリングホイール10のスポーク部13に対応した複数(この例では3ヵ所)の部分に、その円環の中心にほぼ向かう放射部46b,47bが形成されている。そして、これら凹溝46a,47aが、金型41の型締め時において、ステアリングホイール10を成形するための前記キャビティ42を構成する。
【0073】
また、前記固定型46には、その型割面に注入溝46cが形成されている。この注入溝46cは、凹溝46aから外方に向かって形成され、その途中で二叉に分岐している。一方、可動型47にも、その型割面には、前記固定型46の注入溝46cと対応する位置に二叉状の注入溝47cが形成されている。これら注入溝46c,47cは、金型41の型締め時にゲート41aを形成する。そして、金型41のキャビティ42とボックス45の外部とが、ゲート41aと枠体43に形成された2つの開口48とを介して連通している。
【0074】
また、可動型47には、その外面と凹溝47aの内底面とで開口する小径の1つの排気孔49が形成されている。同排気孔49は、ゲート41aから最も離間した位置に形成されている。さらに、可動型47には、その外面と凹溝47aの放射部47bの内底面とで開口する貫通孔50が形成されている。なお、この貫通孔50は、省略可能である。
【0075】
前記被膜形成材料注入装置55は、ステアリングホイール10の前記被膜層を形成する成形材料を含む溶液としての被膜形成材料を金型41のキャビティ42内に注入する装置である。ここで、被膜形成材料は、固形分である成形材料としてのモールドコート材(例えば耐光性を有するポリウレタン等)及び顔料と、例えばメチルエチルケトン(MEK)及びイソプロピルアルコール(IPA)等の成形加工助剤としての溶剤とを含有するものである。
【0076】
一方、前記成形材料注入装置56は、ステアリングホイール10の前記成形材層を形成するための成形材料を金型41のキャビティ42内に注入する装置である。ここで、成形材料は、反応してポリウレタンとなるポリオール成分とイソシアネート成分とを含有するものである。
【0077】
前記減圧装置60は、ステアリングホイール10の製造に際して、ボックス45の空間部45aと金型41のキャビティ42の内部とを減圧する装置であり、真空ポンプ61を備えている。この真空ポンプ61は、配管62及び排出管63を介して前記枠体43に接続され、配管62の途中には、バルブ64が配設されている。
【0078】
次に、前記製造装置40を用いて行われるステアリングホイール10の製造手順を、図8を参照して説明する。このステアリングホイール10は、例えば以下のようなインサート成形工程により製造される。
【0079】
このインサート成形工程では、先ず、ステップS5の離型剤被膜形成工程にて、型開き状態の金型41に対し、例えばスプレーガン等を用いて、固定型46の凹溝46aと可動型47の凹溝47aとの内底面に離型剤を塗布する。これにより、両凹溝46a,47aの内底面上に離型剤被膜を形成する。この離型剤はワックス、シリコンオイル等からなり、金型41に成形後のステアリングホイール10が粘着することを防いで、ステアリングホイール10を取り出し易くする目的で塗布されるものである。
【0080】
次いで、ステップS6にて、上述した製造方法により製造された芯金14を、固定型46の所定の位置にセットし、金型41を閉じて型締めする。なお、このとき、枠体43と蓋体44とが当接して、ボックス45内が密閉状態となる。
【0081】
次に、ステップS7の被膜形成工程としてのモールドコート材被膜形成工程にて、前記離型剤被膜上に前記モールドコート材等からなる被膜層を形成する。
このモールドコート材被膜形成工程では、まず、被膜形成材料注入装置55により、金型41のキャビティ42内に前記ゲート41aを介して所定量の被膜形成材料を注入する。その後、前記真空ポンプ61を駆動して、ボックス45の空間部45aと金型41のキャビティ42との内部を減圧する。この減圧によりキャビティ42内が所定の圧力になると、キャビティ42内に注入された被膜形成材料中の前記溶剤が沸騰状態となる。この溶剤の沸騰により、前記モールドコート材と顔料とがキャビティ42の内壁面(詳しくは、前記離型剤被膜)上に均一に塗布され、気化した溶剤がキャビティ42内から排気孔49及び貫通孔50及び減圧装置60を介してボックス45の外部に排出される。これにより、キャビティ42内が乾燥され、同キャビティ42の内壁面(前記離型剤被膜)上に薄く均一な厚さを有する被膜層(モールドコート材層)が形成される。
【0082】
続いて、ステップS8のウレタン成形工程にて、前記成形材層を形成する。このウレタン成形工程では、前記成形材料注入装置56により、型締め状態にある金型41のキャビティ42内部に前記ゲートを介して所定量の成形材料を注入し、通常のウレタン成形を行う。このウレタン成形工程が終了すると、金型41を型開きして、被膜層と芯金14との間に成形材層が充填されたステアリングホイール10を取り出す。
【0083】
従って、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、芯金14の製造に際し、仕上加工工程(ステップS21)と切削加工工程(ステップS22)とが行われた芯金14を洗浄工程(ステップS3)にて洗浄している。また、これらの工程を、インサート成形工程に先立って行っている。
【0084】
これにより、仕上加工工程や切削加工工程の際に、切削油や加工屑(切削片やショットブラスト破片)等の異物が芯金14の表面に付着したとしても、その異物を、洗浄工程において芯金14から除去することができる。これにより、成形後のステアリングホイール10における前記成形材層や被膜層の内部に異物が残存することを抑制することができる。このため、車両の走行時において運転者が常に接触して回動操作されるとともに、車両の乗員により視認されるステアリングホイール10にあって、その外観や触感の低下といった品質の低下を抑制することができる。
【0085】
特に、本実施形態のように、モールドコート材被膜形成工程(ステップS7)にて、被膜形成材料を含む溶液の沸騰を利用して被膜層を形成する場合には、芯金14の表面に異物が付着していると、その異物が前記溶液の沸騰時に脱落して、キャビティ42の内壁面(前記離型剤被膜)上に移動し易くなる。このように異物が脱落した状態でインサート成形工程を行うと、脱落した異物が、成形後のステアリングホイール10の外表面またはその近傍にとどまり易くなり、ステアリングホイール10の品質が低下し易くなる。
【0086】
この点、本実施形態では、ステアリングホイール10の外表面またはその近傍に異物がとどまることがなく、ステアリングホイール10の品質低下を好適に抑制することができる。
【0087】
(2)また、前記洗浄工程では、芯金14を水により洗浄している。ここで、前記切削加工では、水との親和性が高い切削油を用いており、水は、その切削油中の水系成分、オイル成分等の粘着成分を溶解または分散可能な流体である。これにより、加工工程にて使用された切削油中の粘着成分を、洗浄工程で用いられる水により溶解または分散させて、同粘着成分を芯金14から除去することができる。このため、芯金14に付着している加工屑等の異物を前記粘着成分とともに除去することができる。また、水は、安価で容易に入手可能であり、かつ環境負荷が小さいため、芯金14の製造コストを低減することができる。
【0088】
(3)また、前記洗浄工程を、水を芯金14に対し、所定の圧力をもって噴射することにより行っている。これにより、芯金14を洗浄工程にて洗浄する際、噴射された水が芯金14の外表面に強く衝突し、その衝突した水によって、芯金14に付着している異物を効率よく除去することができる。
【0089】
(4)また、前記洗浄工程では、芯金14の外形にほぼ沿うように配置され、芯金14に対して水を噴射する複数のノズル34を備えた洗浄装置20を用いている。このように、芯金14を、複数のノズル34を有する洗浄装置20を用いて洗浄するため、芯金14の洗浄時間を短縮することができる。また、この洗浄装置20では、複数のノズル34を、芯金14の外形にほぼ沿うように配置しているため、芯金14の全体をほぼ均一に洗浄することができる。
【0090】
(5)また、前記洗浄工程の後には、芯金14に付着している水を乾燥させて除去する乾燥工程(ステップS4)を行っている。このため、ウレタン成形工程(ステップS8)において、例えば、水を発泡剤として発泡させるような場合でも、発泡剤が過剰となったりすることがなく、ステアリングホイール10の成形材層を所望の発泡状態とすることができる。
【0091】
(変形例)
なお、本発明の実施形態は、以下のように変形してもよい。
・前記実施形態において、前記洗浄工程(ステップS3)では、芯金14を洗浄するために用いられる水の温度は任意である。
【0092】
ここで、前記洗浄工程において、常温よりも高い温度に加熱された水を用いれば、水による異物除去能力が高められ、芯金14に付着している異物を速やかに除去することが可能となる。また、洗浄工程が終了した後における芯金14の温度を上昇させることができ、乾燥性を向上することができる。特に、スチームで芯金14を洗浄するようにすれば、これらの効果が顕著となる。
【0093】
・前記実施形態において、前記洗浄工程で用いられる洗浄剤は、水には限定されない。この洗浄剤は、前記加工工程(ステップS2)で用いられる加工助剤に応じて適宜変更することができる。
【0094】
また、洗浄剤は、前記加工工程で用いられる加工助剤に含まれる粘着成分を溶解または分散可能であるものには限定されない。この洗浄剤は、前記加工助剤に含まれる粘着成分を溶解もしくは分散もしくは吸着可能な物質を含む流体であってもよい。
【0095】
また、洗浄剤は、液体に限らず、例えば気体や粉流体等であってもよい。
・前記実施形態において、前記洗浄装置20におけるノズル34の数、配置態様、噴射態様は、芯金14の形状や大きさ等に応じて適宜変更可能である。
【0096】
・前記実施形態において、前記洗浄工程では、洗浄装置20を用いて洗浄することには限定されない。例えば、芯金14を、容器内に貯溜された洗浄剤に浸漬して接触させることにより、その芯金14に付着している異物を除去するようにしてもよい。このようにした場合でも、芯金14に付着している異物を効率よく除去することができる。なお、この場合には、芯金14を洗浄剤に浸漬させた状態で、芯金14を動かしたり、洗浄剤を攪拌したりすれば、芯金14に付着している異物をより効率よく除去することができる。
【0097】
・前記実施形態において、前記加工工程で行われる処理は、ショットブラスト処理と切削加工とには限定されない。この加工工程は、粘着性を有する材料(例えば、各種加工油や水等)を用いて行われる加工が含まれるものであれば、その処理の種類や処理数や処理順序等は任意である。
【0098】
・前記実施形態において、例えば、外表面に洗浄剤が付着した状態の芯金14を前記インサート成形工程にて使用してもステアリングホイール10の品質に影響を与えない場合等には、乾燥工程(ステップS4)を省略してもよい。
【0099】
・前記実施形態において、前記インサート成形工程(ステップS5〜ステップS8)で行われる処理やその処理順序は、上述したものには限定されない。例えば、皮巻きステアリングホイールのように前記被膜層を必要としないステアリングホイールを成形する場合には、モールドコート材被膜形成工程(ステップS7)を省略する等としてもよい。
【0100】
・前記実施形態では、ステアリングホイール10の製造方法の例を示したが、本発明は、ステアリングホイール10以外のインサート成形品、例えば、アシストグリップ等の製造方法にも同様に適用することができる。
【0101】
その他、前記実施形態、並びに以上の記載から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に記載する。
(イ)インサート成形品に用いられるインサート材が収容される洗浄槽と、前記インサート材に対して洗浄剤を噴射する複数のノズルとを有し、同複数のノズルが、前記インサート材の外形にほぼ沿うように配置されることを特徴とするインサート材の洗浄装置。
【0102】
この(イ)に記載の発明によれば、請求項6と同様の効果が得られる。
【0103】
【発明の効果】
以上詳述したように、本願請求項1または請求項2または請求項12に記載の発明によれば、インサート成形品の外観及び触感が低下することを抑制することができ、インサート成形品としての品質の低下を抑制することができる。
【0104】
また、本願請求項3に記載の発明によれば、前記請求項1または請求項2に記載の発明の効果に加えて、インサート材に付着している異物を効率よく除去することができる。
【0105】
また、本願請求項4に記載の発明によれば、前記請求項3に記載の発明の効果に加えて、洗浄剤がインサート成形品の品質に与える影響を排除することができる。
【0106】
また、本願請求項5または請求項8に記載の発明によれば、前記請求項3または請求項4または請求項7に記載の発明の効果に加えて、インサート材に付着している異物をより効率よく除去することができる。
【0107】
また、本願請求項6に記載の発明によれば、前記請求項3〜請求項5のうちいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、インサート材の洗浄時間を短縮することができる。また、インサート材の全体をほぼ均一に洗浄することができる。
【0108】
また、本願請求項7に記載の発明によれば、前記請求項3〜請求項6のうちいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、インサート材に付着している異物を加工助剤中の粘着成分とともに除去することができる。
【0109】
また、本願請求項9に記載の発明によれば、前記請求項7または請求項8に記載の発明の効果に加えて、インサート材の製造コストを低減することができる。
また、本願請求項10または請求項11に記載の発明によれば、前記請求項3〜請求項10のうちいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、洗浄工程が終了した後におけるインサート材の乾燥性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態の車両用ステアリングホイールの斜視図。
【図2】芯金の製造手順を示すフローチャート。
【図3】洗浄工程で用いられる洗浄装置の概略構成を示す正面図。
【図4】洗浄装置の概略構成を示す側面図。
【図5】図3の5―5線断面図。
【図6】車両用ステアリングホイールの製造装置の概略構成を示す模式図。
【図7】製造装置のボックス及び金型の断面構造を示す断面図。
【図8】車両用ステアリングホイールの製造手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
10…成形品としてのステアリングホイール、14…インサート材としての芯金、20…洗浄装置、30…洗浄槽、34…ノズル、34a…噴射口、41…成形型としての金型、42…キャビティ。
Claims (12)
- インサート材の外表面の少なくとも一部を成形材料で被覆するインサート成形工程を有するインサート成形品の製造方法において、
前記インサート材を加工する加工工程と、前記インサート成形工程に先立って、前記加工工程で使用される加工助剤及び同加工工程で発生した加工屑を含む前記インサート材上の異物を除去する洗浄工程と、を含むことを特徴とするインサート成形品の製造方法。 - 前記インサート成形工程は、前記インサート材を成形型のキャビティ内にセットした状態で、同キャビティ内に前記成形材料を含む溶液及び成形加工助剤を含む溶液の少なくとも1つを注入し、その溶液を沸騰させて、前記キャビティの内壁面に被膜を形成する被膜形成工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のインサート成形品の製造方法。
- 前記洗浄工程では、前記インサート材と洗浄液とを接触させて前記異物を除去することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインサート成形品の製造方法。
- 前記洗浄工程が行われた後に、前記インサート材に付着している洗浄剤を除去する洗浄剤除去工程を行うことを特徴とする請求項3に記載のインサート成形品の製造方法。
- 前記洗浄工程では、前記洗浄剤を前記インサート材に対して噴射することを特徴とする請求項3または請求項4に記載のインサート成形品の製造方法。
- 前記洗浄工程では、前記インサート材の外形にほぼ沿うように配置され、同インサート材に対して前記洗浄剤を噴射する複数のノズルを有する洗浄装置を用いることを特徴とする請求項3〜請求項5のうちいずれか一項に記載のインサート成形品の製造方法。
- 前記洗浄剤は、前記加工工程にて使用される加工助剤中に含まれ、前記異物をインサート材に粘着させる粘着成分を溶解もしくは分散もしくは吸着可能な物質を含む流体であることを特徴とする請求項3〜請求項6のうちいずれか一項に記載のインサート成形品の製造方法。
- 前記洗浄工程では、前記洗浄剤を所定の圧力をもって前記インサート材に対して噴射することを特徴とする請求項7に記載のインサート成形品の製造方法。
- 前記加工助剤が水との親和性が高いものである場合には、前記洗浄剤は、水であることを特徴とする請求項7または請求項8に記載のインサート成形品の製造方法。
- 前記洗浄工程では、常温よりも温度の高い状態に加熱された洗浄剤を用いることを特徴とする請求項3〜請求項9のうちいずれか一項に記載のインサート成形品の製造方法。
- 前記洗浄剤が、スチームであることを特徴とする請求項10に記載のインサート成形品の製造方法。
- 前記インサート材が、車両用ステアリングホイールの芯金であることを特徴とする請求項1〜請求項11のうちいずれか一項に記載のインサート成形品の製造方法。
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