JP2004171230A - 車両の通行料金計算方法および通行料金計算システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】有料道路で事故・渋滞が発生した場合に、このエリアAに有料道路25から進入した車両31側へ前記事故・渋滞情報データdを送信する道路側路車間通信装置70と、前記車両31が、有料道路25の出口ゲート26から退出する時、車両31側から固有情報データaおよび事故・渋滞情報データの受信記録データcを受信し得るよう設置される出口側路車間通信装置41と、この出口側路車間通信装置41が受信した前記固有情報データa,受信記録データcに基づき、当該車両31が事故・渋滞遭遇車両であることを判定すると同時に、割引通行料金を計算する料金管理装置90とを備える。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高速道路等の有料道路を走行する車両が、道路上の事故・渋滞が原因して目的地への到着時間が遅れた場合において、当該車両に対して割引通行料金を適用するようにした車両の通行料金計算方法および計算システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
高速道路等の有料道路を走行する車両が、道路上の事故や渋滞に巻き込まれて目的地への到着時間が遅れた場合、この当該車両に対して割引通行料金を適用するように運用する通行料金の計算システムが、例えば特開2002−175549号公報(例えば、特許文献1参照)に開示されている。
【0003】
従来の通行料金計算システムは、図4に示すように、走行区間において、事故や自然渋滞に起因して渋滞が発生したとき、有料道路1の入口2と出口3の走行区間を通常走行に要する時間を基準として、実際の走行車両が基準時間を一定時間上回ったとき、事故・渋滞遭遇車両に認定し、割引通行料金を適用する通行料金の計算システムである。
【0004】
この通行料金計算システムは、有料道路1の入口2および出口3に設けられる車番読取装置4および5により、通過車6の車番を検知して当該車番と検知時刻のデータと、通過車6の走行区間7において検知した渋滞区間8の渋滞の発生データとを情報センタ9のデータベース10に保存させ、この保存内容に基づいて、前記走行区間7を規定速度で走行したときの走行時間に対し一定時間長く掛かっていること、またその走行時に渋滞の発生があった場合に、事故・渋滞遭遇車両扱いとして割引通行料金が適用されるようになっている。
【0005】
この演算には、車番読取装置4および5から送信されるデータ12aおよび12bに基づき、情報センタ9の演算装置11により行なわれる。
【0006】
この演算の結果、算出された割引通行料金が割引通行料金データ12cとして出口側の車番読取装置6を介して通過車6側へ送信されるようになっている。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−175549号公報((第4頁左欄第3〜12行および右欄の「発明の効果」の記載内容並びに図1(有料道路の出入口に車番読取装置を設け、情報管理センターにてこの車両の出入口間の走行時間を算出して、通行料金を演算処理する))
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
この通行料金の計算システムによれば、有料道路に入る車両の車番や特定走行区間の走行に要した時間データおよび渋滞の発生データに基づき割引対象となる車両を特定していた。
【0009】
従って、当該車両は、通常の走行ルートを走行している限り途中で渋滞に巻きこまれることになり、有料道路運用者側は当該車両を渋滞遭遇車両、すなわち正当な割引対象車両として扱うようにしている。
【0010】
しかしながら、パーキングエリア(PA)やサービスエリア(SA)を備えた高速道路のような有料道路においては、車両が特に長距離を走行するような場合には、当該車両が途中でPAやSAにて所定時間食事や休憩したりするのが普通であり、また、このように所定時間食事や休憩中に当該車両の通過済区間にて渋滞が発生した場合には、渋滞遭遇車両でないにもかかわらず、有料道路運用者側において渋滞遭遇車両扱いがなされ、通行料金の割引対象の車両として料金計算を行なうようになっていた。
【0011】
このため、道路運用者側においては、例えばPAやSAにて所定時間食事や休憩したりしていた車両に対しては、割引通行料金を適用対象から除外することが望まれていた。
【0012】
すなわち、道路運用者側として、渋滞に遭遇していなかった車両に対して、不正な割引通行料金の適用による損失を未然に防止することが求められていた。
【0013】
本発明は、このような点を考慮してなされたもので、有料道路を走行する車両が、実際に事故や渋滞に巻き込まれていたどうかを、道路運用者側においてチェックし、通行料金の割引通行料金の適用の適正化を図るようにした車両の通行料金計算方法および通行料金計算システムを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明によれば、有料道路の特定区間において事故・渋滞が発生した場合に、有料道路運用者側において、事故・渋滞情報データに基づき、事故・渋滞情報伝達エリアを特定するステップと、この特定された事故・渋滞情報伝達エリアに進入した車両に、有料道路運用者側から事故・渋滞情報データを送信するステップと、この事故・渋滞情報伝達エリアにおいて事故・渋滞情報データを受信した車両が、有料道路の出口ゲートから退出する際、当該車両の固有情報データおよび前記事故・渋滞情報データの受信記録データを有料道路運用者側が受信するステップと、この有料道路運用者側が受信する前記固有情報データおよび事故・渋滞情報データの受信記録データに基づき、有料道路運用者側において前記車両を事故・渋滞遭遇車両であると判定するステップと、この判定に基づき、有料道路運用者側が前記車両に対して割引通行料金を計算するステップとを備える。
【0015】
上記目的を達成するために、請求項6記載の発明によれば、有料道路で事故・渋滞が発生した場合に、有料道路運用者側において事故・渋滞区間の情報データを取得するよう設置される交通管制装置と、この交通管制装置により取得した事故・渋滞情報データに基づき前記事故・渋滞情報データを送信する送信対象として特定した事故・渋滞情報伝達エリアと、この事故・渋滞情報伝達エリアへ走行車両が進入した場合に、この走行車両側へ前記事故・渋滞情報データを送信する道路側路車間通信装置と、前記走行車両が、有料道路の出口ゲートから退出する時、車両側にて予めデータ保存した前記固有情報データおよび事故・渋滞情報データの受信記録データを受信可能に設置される出口側路車間通信装置と、この出口側路車間通信装置が受信した前記固有情報データ,事故・渋滞情報データの受信記録データに基づき、前記車両が事故・渋滞遭遇車両であることを判定すると同時に、割引通行料金を計算する料金管理装置とを具備したことを特徴とする車両の通行料金計算システムとを備える。
【0016】
上記目的を達成するために、請求項7記載の発明によれば、有料道路で事故・渋滞が発生した場合に、有料道路運用者側において事故・渋滞区間の情報データを取得するよう設置される交通管制装置と、この交通管制装置により取得した事故・渋滞情報データに基づき前記事故・渋滞情報データを送信する送信対象として特定した事故・渋滞情報伝達エリアと、この事故・渋滞情報伝達エリアに走行車両が進入した場合に、この車両側へ前記事故・渋滞情報データを送信する道路側路車間通信装置と、前記車両が、有料道路の出口ゲートから退出する時、車両側が保持した前記固有情報データおよび事故・渋滞情報データの受信記録データを車両側から受信可能に設置される出口側路車間通信装置と、この出口側路車間通信装置が受信した前記固有情報データ,事故・渋滞情報データの受信記録データおよびDSRC管理装置のデータベースに保存した前記事故・渋滞情報データに含まれる渋滞遭遇時間の時刻情報データに基づき、前記車両が事故・渋滞遭遇車両であることを判定すると同時に、前記時刻情報データに基づく渋滞遭遇時間に応じた所定の割引基準に合わせて割り引いた割引通行料金を計算する料金管理装置とを具備したことを特徴とする車両の通行料金計算システムとを備える。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の通行料金計算方法および通行料金計算システムの実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明における通行料金計算システムの概要を示す図である。
【0019】
本発明における通行料金計算システム21は、路車間通信が可能な車両系30,この車両系30の車両31を有料により走行させる道路系40およびこれらの車両系30と道路系40との間を通信接続する情報通信系50とより構成される。
【0020】
この車両系30は、有料道路25の出口ゲート26に設置されるETC41に対応した車載器32を搭載したトラック,バスおよび乗用自動車等の種々の車両である。
【0021】
道路系40は、有料道路25の本線部27と、この本線部27と一般道路とを接続する複数の入口ゲート(図示せず),出口ゲート26および前記本線部27の路側にそれぞれ設置される路車間通信装置(ETC41およびDSRC装置70)とから構成される。
【0022】
有料道路25の本線部27から分岐した位置に設置される出口ゲート26には、図示しない入口ゲートから進入してきた車両31が通過する際、自動的に料金決済を行なう出口側路車間通信装置としてのETC(Electoronic Toll Collection system:自動料金収受システム)41が設置される。
【0023】
このETC41には、図2に示されるように、車両31が通過可能なゲート側支柱43が設けられ、このゲート側支柱43の頂部43aにはETC通信装置44が設置される。
【0024】
また、ゲート側支柱43の先方には、未確認の車両31の通行を遮断し、路車間通信により通行料を決済した後に開放する遮断機45が設置される。
【0025】
出口ゲート26側には、図1に示される料金計算機46を備えた出口側料金決済装置47が設置される。
【0026】
この出口側料金決済装置47の料金計算機46は、車両31の通行料金をETC通信装置44を介して自動的に決済し得るように設けられるものである。
【0027】
また、この出口側料金決済装置47は、決済された料金情報データbを後述する料金管理装置90へ送信するようになっている。
【0028】
有料道路25の本線部27には、道路側路車間通信装置としてのDSRC(Dedicated Short Range Communication:専用短距離通信)装置70が道路長手方向に所定の間隔を置いて複数配置される。
【0029】
この複数のDSRC装置70,70は、有料道路25を走行する車両31に対して渋滞情報提供サービス等の走行支援サービスの提供を主目的に設けられるものである。
【0030】
有料道路25の本線部27を走行する車両31が、DSRC装置70との路車間通信が途切れることなく通信できるように、各支柱71の近くに送受信機72を備えたDSRC路側装置73が設置される。
【0031】
このDSRC路側装置73は、有料道路25の本線部27の全域に亘って、例えば1km間隔で設置される。
【0032】
このDSRC路側装置73の路側支柱71,71には、それぞれDSRCアンテナ74が路面側に向け設置される。
【0033】
また、DSRC装置70は、送受信機72およびDSRCアンテナ74を備えており、この両者間を通信回線75により接続している。
【0034】
前記DSRCアンテナ74は、有料道路25の本線27上にあって、この本線27上を走行する複数の車両31との間で路車間通信が可能な位置に設置される。
【0035】
この車両31には、DSRC装置70との間で各種の情報データを双方向に路車間通信し得る車載器32が搭載される。
【0036】
この車載器32は、図2に示されるように、通信機アンテナ33aを有する通信機33を備えた箱型のもので車両31側の、例えば運転席のフロントパネル部31a上に設置される。
【0037】
この車載器32は、メモリカード読取器34とこのメモリカード読取器34へ挿脱自在で、各種データの読み書きをするメモリカード35の組み合わせにより構成される。
【0038】
このメモリカード35は、図示しないメモリ素子が埋め込まれ、通行料金を支払う料金決済名義人のIDコード等の固有情報データaが予め記憶される。
【0039】
また、このメモリカード35をメモリカード読取器34へ挿入することにより各種情報データの読み書きがなされるようになっている。
【0040】
固有情報データは、例えばROM(メモリ素子)に保存され、当該車両31が進入した有料道路入口ゲートの入口情報データや走行中に事故や渋滞に遭遇した時の事故・渋滞情報データ等の書き換え対応情報データは、例えばRAM(メモリ素子)に保存されるようになっている。
【0041】
すなわち、このメモリカード35へは、複数の場所(事故・渋滞情報伝達エリアA)を示す場所情報データd1,日付情報データd2,事故・渋滞情報伝達エリアAへの進入時刻〜脱出時刻が示される時刻情報データd3および事故か通常の渋滞か等の渋滞状況データd4が保存される。
【0042】
他方、情報通信系50は、上記車両系30および道路系40とを通信接続可能にリンクする通信系である。
【0043】
上記情報通信系50は、通行料金計算システム21を円滑に作動させるために、車両系30,道路系40との間を通信接続し、情報データのやり取りを司るものである。
【0044】
この情報通信系50について、図1および図3を参照して更に詳細に説明する。
【0045】
情報通信系50は、事故・渋滞情報の受信系として、交通管制装置51側で取得した事故・渋滞情報データdを、交通管制装置51側から通信回線53を介してDSRC管理装置80へ送信して、この事故・渋滞情報データdをDSRC管理装置80のデータベース81へ保存する事故・渋滞情報データ受信系82を備える。
【0046】
また、情報通信系50には、事故・渋滞情報データdの送信系として、前記DSRC管理装置80のデータベース81に保存された事故・渋滞情報データdを車両31側と通行料金を決済する料金管理装置90側へ送信する事故・渋滞情報データ送信系83を備える。
【0047】
データベース81に保存される事故・渋滞情報データdには、どこで事故・渋滞があったか、そしてその時の場所情報データd1,日付情報データd2,時刻情報データd3および渋滞状況データd4が含まれる。
【0048】
時刻情報データd3は、車両31が有料道路25の渋滞区間に進入して脱出するまでの時刻情報データ、すなわち渋滞通過時間情報が含まれる。
【0049】
この時刻情報データd3には、例えば車両31が渋滞区間に進入した時の時刻情報および脱出する時の時刻情報が含まれる。
【0050】
事故・渋滞情報データ送信系83には、DSRC管理装置80のデータベース81に保存された事故・渋滞情報データdが通信回線85を介して送信されるDSRC装置70側および後述する料金管理装置90が設けられる。
【0051】
有料道路25において発生する事故や渋滞による事故・渋滞区間は、有料道路運用者側にて区間設定がなされるようになっており、この区間設定された範囲が事故・渋滞情報伝達エリアAとして定められる。
【0052】
この事故・渋滞情報伝達エリアAは、渋滞に巻き込まれた車両、いわゆる事故・渋滞遭遇車両31に対してDSRC装置70から送信される事故・渋滞情報データdが受信し得る範囲に設定されている。
【0053】
また、道路運用者側にて事故・渋滞情報伝達エリアAが定められると同時に、事故・渋滞情報が交通管制装置51にて取得し、この情報が事故・渋滞情報データdとしてDSRC管理装置80へ送信されるようになっている。
【0054】
事故・渋滞情報データ送信系83は、事故・渋滞情報データdを、一旦DSRC管理装置80のデータベース81へ保存し、この保存された事故・渋滞情報データdをDSRC管理装置80から事故や渋滞に遭遇している多数の車両31に送信する送信系である。
【0055】
DSRC管理装置80は、交通管制装置51から送信される場所,日付,時刻および渋滞状況等の道路状況を連続的または断続的に受信するようになっている。
【0056】
交通管制装置51による事故・渋滞情報データdの取得手段として、例えばVICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)を採用することができる。
【0057】
交通管制装置51は、このVICSを採用した場合に、事故や渋滞情報データを送受信するためにVICS情報送受信機52が設けられる。
【0058】
また、このVICSは、路側には図示しないビーコン(受発信機)を設置して、渋滞情報の他に規制情報等道路情報を含む走行車両支援情報データを受信するようになっている。
【0059】
車両31側へ事故・渋滞情報データdを送信するDSRC装置70のDSRCアンテナ74は、通信回線85を介してDSRC管理装置80へ接続される。
【0060】
従って、DSRC路側装置73は、DSRC管理装置80から送信された事故・渋滞情報データdを、事故・渋滞情報伝達エリアAに進入し、事故や渋滞に巻き込まれて走行している事故・渋滞遭遇車両31にDSRCアンテナ74を介して送信するようになっている。
【0061】
車両31は、この事故・渋滞情報データdを車載器32の通信機33にて受信し、この事故・渋滞情報データdに基づき、メモリカード35に受信記録データcとして保存されるようになっている。
【0062】
この受信記録データcには、事故・渋滞情報データdに含まれる場所情報データd1,日付情報データd2,時刻情報データd3および渋滞状況データd4の全ての情報データを含めることができる。
【0063】
この車両31が、事故・渋滞情報伝達エリアAを脱出して出口ゲート26のETC41まで至ると、このETC41のETC通信装置44からデータ呼び出し信号eが送信されるようになっている。
【0064】
そして、データ呼び出し信号eを車両31の車載器32側が受信することにより、前記固有情報データaおよび受信記録データcがメモリカード35から呼び出され、ETC通信装置44へ送信されるようになっている。
【0065】
一方、事故・渋滞情報データ送信系83には、DSRC管理装置80から事故・渋滞情報データdを料金管理装置90側へ送信する送信系を備えている。
【0066】
この送信系によれば、DSRC管理装置80のデータベース81へ保存された事故・渋滞情報データdを、料金管理装置90側へ送信するようになっている。
【0067】
この事故・渋滞情報データdを受信した料金管理装置90は、この事故・渋滞情報データdに含まれる場所情報データd1,日付情報データd2,時刻情報データd3および渋滞状況データd4が、割引通行料金の計算処理の基礎データとして用いられる。
【0068】
従って、通行料金を計算する料金管理装置90は、ETC41の出口側料金決済装置47側にて予め計算された通行料金の結果を示す料金情報データbおよびDSRC管理装置80側から受信する事故・渋滞情報データdに基づき、割引通行料金を算出することができるもので、割引通行料金を演算する演算処理装置91を備えている。
【0069】
すなわち、ETC通信装置44は、路車間通信により車両31の車載器32から受信する書き換え対応情報データの内、入口情報データに基づき、通常の料金決済が行なわれる。
【0070】
また、この通常料金の料金情報データbの他、車両31を特定する固有情報データaおよび事故・渋滞情報データdの受信記録データcを料金管理装置90が受信するようになっている。
【0071】
料金管理装置90は、車両31から受信した受信記録データcにより、この受信記録データcに含まれる時刻情報データd3に基づき、当該車両31が事故・渋滞情報伝達エリアAに遭遇していた渋滞遭遇時間を計算して、この計算された時間が所定の時間を越えている場合に、当該車両31が渋滞遭遇車両31であることを判定すると同時に、演算処理装置91により所定の通行料金に対する割引率(または割引額)を適用して通行料金を算定するようになっている。
【0072】
一方、料金管理装置90は、DSRC管理装置80から事故・渋滞情報データdに含まれる事故・渋滞情報伝達エリアAでの事故・渋滞遭遇車両31の時刻情報データd3(走行時間)を受信するようになっている。
【0073】
料金管理装置90の演算処理装置91には、受信した事故・渋滞遭遇車両31の時刻情報データd3に基づき、通行料金の割引率が段階的に変えられるように、割引通行料金を演算する演算プログラムが組み込まれた料金計算機46が備えられる。
【0074】
従って、出口側料金決済装置47側から送信される固有情報データa,料金情報データbおよび受信記録データcに基づき、先ず当該車両31が事故・渋滞遭遇車両31であることの判定と、この車両が所定時間渋滞していた場合に、例えばこの渋滞遭遇時間に比例して段階的に割引率を変えた割引通行料金を計算したり、あるいはDSRC装置70側から送信される事故・渋滞情報データdに含まれる場所情報データd1,日付情報データd2,時刻情報データd3および渋滞状況データd4に基づき、前記車両31から送信された受信記録データcと前記事故・渋滞情報データdとを照合することにより、当該車両31が事故・渋滞遭遇車両31であるか否かを確認することができる。
【0075】
また、同時に料金管理装置90側において、出口側料金決済装置47側からの固有情報データa,料金情報データbおよび受信記録データcに加えて、前記事故・渋滞情報データdが割引通行料金の計算処理の基礎データとして用いられる。
【0076】
これらの各データに基づき、車両31のかかわる渋滞遭遇時間を木目細かく区分するようにし、この区分されたそれぞれの渋滞遭遇時間を基準に、例えば時間の長さに比例させて割引通行料金を適用するように料金計算機46に割引通行料金の演算プログラムが組み込まれる。
【0077】
また、料金管理装置90には、この割引通行料金が、図示しない通行料金決済システムへ送信され、この決済システムで料金決済がなされるようになっている。
【0078】
次に、本発明の通行料金計算システムの作用について説明する。
【0079】
図3において、本発明の通行料金計算システムにおける各情報データのフローが示されるように、図示しない有料道路25の入口ゲートから本線部27へ進入した車両31が、本線部27を走行中に例えば自動車事故に遭遇したとすると、交通管制装置51が、この事故・渋滞情報データdを取得する。
【0080】
同時に交通管制装置51は、この事故・渋滞情報データdを通信回線53を介してDSRC管理装置80側へ送信する。
【0081】
DSRC管理装置80は、事故・渋滞情報データdを一旦データベース81に保存すると同時に、この保存された事故・渋滞情報データdを通信回線85を介して連続的または断続的にDSRC装置70側へ送信する。
【0082】
また、同時にDSRC管理装置80は、事故・渋滞情報データdを通信回線84を介して料金管理装置90側へ連続的または断続的に送信する。
【0083】
事故・渋滞情報データdを受信したDSRC装置70は、DSRC路側装置73の送受信機72にて受信したこの事故・渋滞情報データdをDSRCアンテナ74を介して、事故・渋滞情報伝達エリアAを走行中の車両31に対して連続的または断続的に送信する。
【0084】
この事故・渋滞情報データdは、車両31が事故・渋滞情報伝達エリアAへ進入している限り、前記事故・渋滞情報データdがDSRCアンテナ74を介して、車両31側に連続的または断続的に送信し続けられる。
【0085】
車両31側へ送信された事故・渋滞情報データdは、車載器32の通信機33が通信機アンテナ32aを介して受信し、メモリカード読取器34を介してメモリカード35へ書き込まれ、同時にデータ保存される。
【0086】
すなわち、このメモリカード35へは、複数の場所(事故・渋滞情報伝達エリアA)を示す場所情報データd1,日付情報データd2,事故・渋滞情報伝達エリアAへの進入時刻〜脱出時刻が示される時刻情報データd3および事故か通常の渋滞か等の渋滞状況データd4が保存される。
【0087】
車両31が事故・渋滞情報伝達エリアAから離脱して出口ゲート26のETC41へ至ると、車両31の車載器32の車載通信器33とETC通信装置44との間で路車間通信が行なわれ、メモリカード35に予め保存されている固有情報データaおよび前記事故・渋滞情報データdが車両31側からETC41側へ送信される。
【0088】
固有情報データaおよび事故・渋滞情報データdを受信したETC41は、当該情報データaおよびd、更には出口側料金決済装置47の料金計算機46にて計算された正規の通行料を料金情報データbとして料金管理装置90側へ送信する。
【0089】
料金管理装置90は、これらの固有情報データaおよび料金情報データbを受信する一方、先にDSRC管理装置80から送信された事故・渋滞情報データdとを照合して割引通行料金を算出する。
【0090】
すなわち、料金管理装置90の演算処理装置91により両情報データaおよびdに基づき演算し、決済の対象となる割引通行料金を算出する。
【0091】
この割引通行料金は、車両31が渋滞に遭遇した時の渋滞遭遇時間に応じて差を生ぜしめるよう、予め演算処理装置91に組み込まれた割引料率演算プログラムにより算出される。
【0092】
この算出された通行料金のデータは、図示しない決済処理システムへ送信され適宜決済が行なわれる。
【0093】
このように、有料道路25を走行する車両31が事故や渋滞に遭遇した場合に、この遭遇した時に開始される路車間通信により得られる事故・渋滞情報データを車両31側で一旦データ保存し、この車両31が出口ゲート26から退出するにあたって、事故または渋滞へ遭遇した事実を証明する事ができるようにしたから、所定の割引通行料金の適用を受けることができる。
【0094】
また、事故・渋滞情報データdの中に場所情報データd1,日付情報データd2,時刻情報データd3および渋滞状況データd4を含めたので、どこでどのような事故や渋滞が発生しているのかを詳細に車両のドライバに知らせることができ、ドライバによる無用な問合せや無謀な運転を未然に防止できるという効果を有する。
【0095】
なお、本発明は、上述した構成に限定されるものではなく、有料道路25の事故・渋滞情報伝達エリアAすなわち本線部27の渋滞区間を走行していた事故・渋滞遭遇車両31が、渋滞状態から解放されて出口ゲート26から退出時にETC(出口側路車間通信装置)41へ送信する受信記録データcは、事故・渋滞情報伝達エリアAに走行中に受信する事故・渋滞情報データdに含まれる種々の情報データd1〜d4の全てが必要ではなく、少なくとも何れか1つの情報データであってもよく、また受信したという事実を示すのみの、例えば画像や音声信号であってもよい。
【0096】
この場合には、この画像や音声信号により事故・渋滞遭遇車両31が、事故・渋滞情報伝達エリアAを走行していたという事実の確認ができるため、特に一定額の割引通行料金を適用する場合には、このような画像や音声信号を採用することができる。
【0097】
また、事故・渋滞情報伝達エリアAを走行中または走行前であった車両31が、この事故・渋滞情報伝達エリアAが解消される前に、手前の出口ゲート26から一旦退出して迂回し、前方の入口ゲートから進入して目的地へ向かう場合には、有料道路運用者側において、一旦退出時の出口ゲートにて、「遅延証明書」を発行して以後の有料道路の利用に割引通行料金を適用するようにすることも可能である。
【0098】
更に、車両系30として、車載器32を搭載した車両31が有料道路25を走行することを前提として説明したが、有料道路運用者にて車載器32を有しないタイプの車両31を扱う場合、すなわち、ETC41を装備していない一般の出口ゲートを利用する場合には、有料道路運用者側において「遅延証明書」を発行して以後の有料道路の利用に割引通行料金を適用するようにすることもできる。
【0099】
更にまた、本発明の上述した実施形態によれば、交通管制装置51,DSRC装置70および料金管理装置90の各々とDSRC管理装置80との間を通信回線53,84および84により通信接続したが、これに限らず一般無線通信により行なうことも可能である。
【0100】
【発明の効果】
有料道路を走行する車両が、実際に渋滞が発生した渋滞区間に存在していたかどうかを道路運用者側においてチェックし得るようにしたから、割引通行料金の適用がより正確なものとなり、道路運用者側として不正な割引通行料金の適用による損失を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示すもので、通行料金計算システムの概要を示す図。
【図2】図1における有料道路の入口(出口)ゲートにおけるETC(自動料金収受システム)と車両間の路車間通信の状況を示す図。
【図3】本発明の通行料金計算システムにおける車両の通行料金算出までの情報データのフローを示す図。
【図4】従来の通行料金計算システムの概要を示す図。
【符号の説明】
21 通行料金計算システム
25 有料道路
26 出口ゲート
27 本線部
30 車両系
31 車両
31a フロントパネル
32 車載器
33a 通信機アンテナ
33 通信機
34 メモリカード読取器
35 メモリカード
40 道路系
41 ETC(出口側路車間通信装置)
43 ゲート側支柱
44 ETC通信装置
45 遮断機
46 料金計算機
47 出口側料金決済装置
50 情報通信系
51 交通管制装置
52 VICS情報データ送受信機
53,74,84,85 通信回線
70 DSRC装置(道路側路車間通信装置)
71 路側支柱
74 DSRCアンテナ
72 送受信機
73 DSRC路側装置
80 DSRC管制装置
81 データベース
82 事故・渋滞情報データ受信系
83 事故・渋滞情報データ送信系
90 料金管理装置
91 演算処理装置
A 事故・渋滞情報伝達エリア
a 固有情報データ
b 料金情報データ
c 受信記録データ
d 事故・渋滞情報データ
d1 場所情報法データ
d2 日付情報データ
d3 時刻情報データ
d4 渋滞状況データ
e データ呼び出し信号
Claims (12)
- 有料道路の特定区間において事故・渋滞が発生した場合に、有料道路運用者側において、事故・渋滞情報データに基づき、事故・渋滞情報伝達エリアを特定するステップと、
この特定された事故・渋滞情報伝達エリアに進入した車両に、有料道路運用者側から事故・渋滞情報データを送信するステップと、
この事故・渋滞情報伝達エリアにおいて事故・渋滞情報データを受信した車両が、有料道路の出口ゲートから退出する際、当該車両の固有情報データおよび前記事故・渋滞情報データの受信記録データを有料道路運用者側が受信するステップと、
この有料道路運用者側が受信する前記固有情報データおよび事故・渋滞情報データの受信記録データに基づき、有料道路運用者側において前記車両を事故・渋滞遭遇車両であると判定するステップと、
この判定に基づき、有料道路運用者側が前記車両に対して割引通行料金を計算するステップとを具備することを特徴とする車両の通行料金計算方法。 - 前記車両が事故・渋滞遭遇車両であるか否かを、事故・渋滞情報データの受信記録データを基礎として計測される事故・渋滞遭遇時間を基準に判定することを特徴とする請求項1記載の車両の通行料金計算方法。
- 前記車両が事故・渋滞遭遇車両であるか否かを、前記事故・渋滞情報データの受信記録データに、場所,日付,時刻および渋滞状況等の情報データの少なくとも1つの情報データを基準として判定することを特徴とする請求項1記載の車両の通行料金計算方法。
- 前記車両が事故・渋滞遭遇車両であるか否かを、事故・渋滞伝達エリアに連続的または断続的に送信される事故・渋滞情報データの送信時間を基準として判定することを特徴とする請求項1記載の車両の通行料金計算方法。
- 前記車両が事故・渋滞遭遇車両であると判定する場合に、事故・渋滞遭遇時間の長さに応じて、割引通行料金に差を生じせしめることを特徴とする請求項1記載の車両の通行料金計算方法。
- 有料道路で事故・渋滞が発生した場合に、有料道路運用者側において事故・渋滞区間の情報データを取得するよう設置される交通管制装置と、
この交通管制装置により取得した事故・渋滞情報データに基づき前記事故・渋滞情報データを送信する送信対象として特定した事故・渋滞情報伝達エリアと、この事故・渋滞情報伝達エリアへ走行車両が進入した場合に、この走行車両側へ前記事故・渋滞情報データを送信する道路側路車間通信装置と、
前記走行車両が、有料道路の出口ゲートから退出する時、車両側にて予めデータ保存した前記固有情報データおよび事故・渋滞情報データの受信記録データを受信可能に設置される出口側路車間通信装置と、
この出口側路車間通信装置が受信した前記固有情報データ,事故・渋滞情報データの受信記録データに基づき、前記車両が事故・渋滞遭遇車両であることを判定すると同時に、割引通行料金を計算する料金管理装置とを具備したことを特徴とする車両の通行料金計算システム。 - 有料道路で事故・渋滞が発生した場合に、有料道路運用者側において事故・渋滞区間の情報データを取得するよう設置される交通管制装置と、
この交通管制装置により取得した事故・渋滞情報データに基づき前記事故・渋滞情報データを送信する送信対象として特定した事故・渋滞情報伝達エリアと、この事故・渋滞情報伝達エリアに走行車両が進入した場合に、この車両側へ前記事故・渋滞情報データを送信する道路側路車間通信装置と、
前記車両が、有料道路の出口ゲートから退出する時、車両側が保持した前記固有情報データおよび事故・渋滞情報データの受信記録データを車両側から受信可能に設置される出口側路車間通信装置と、
この出口側路車間通信装置が受信した前記固有情報データ,事故・渋滞情報データの受信記録データおよびDSRC管理装置のデータベースに保存した前記事故・渋滞情報データに含まれる渋滞遭遇時間の時刻情報データに基づき、前記車両が事故・渋滞遭遇車両であることを判定すると同時に、前記時刻情報データに基づく渋滞遭遇時間に応じた所定の割引基準に合わせて割り引いた割引通行料金を計算する料金管理装置とを具備したことを特徴とする車両の通行料金計算システム。 - 事故・渋滞情報データを取得する交通管制装置と、この交通管制装置から事故・渋滞情報データを受信して、この事故・渋滞情報データを保存するデータベースを有するDSRC管理装置とより事故・渋滞情報データ受信系を構築することを特徴とする請求項6または7記載の車両の通行料金計算システム。
- 事故・渋滞情報データをデータベースに保存するDSRC管理装置と、このデータベースに保存される前記事故・渋滞情報データに基づき、割引通行料金を計算し得る料金管理装置と、前記事故・渋滞情報データをDSRC管理装置側から送信するDSRC装置とにより事故・渋滞情報データ送信系を構築することを特徴とする請求項6または7記載の車両の通行料金計算システム。
- 前記料金管理装置は、車両が事故・渋滞情報伝達エリアに遭遇した時間に応じて、割引通行料金に差を生じせしめるよう演算プログラムを有する演算処理装置を備えたことを特徴とする請求項6または7記載の車両の通行料金計算システム。
- 前記道路側路車間通信装置は、事故・渋滞情報伝達エリアの受信記録データ受信し得るDSRC装置であることを特徴とする請求項6または7記載の車両の通行料金計算システム。
- 前記出口側路車間通信装置は、事故・渋滞情報伝達エリアの受信記録データ受信し得るETCであることを特徴とする請求項6または7記載の車両の通行料金計算システム。
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