JP2004170603A - 帯電装置及びこれを用いた画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】モータ等の駆動機構を具備せずとも像担持体の表面をムラなく安定的に帯電させることが可能であり、しかも画像形成装置の小型化及び低コスト化に資することが可能な帯電装置を提供する。
【解決手段】多数の導電性摺擦毛が回転軸に対して起立すると共に、かかる摺擦毛で像担持体を摺擦するように配置されるブラシロールと、このブラシロールと前記像担持体との間に電圧を印加する電源とを備え、前記像担持体の移動に合わせてその表面を帯電させるように構成した帯電装置において、上記ブラシロール11は、像担持体10と非接触の状態で、上記摺擦毛110の毛先が周方向へ傾斜しており、像担持体10と接触配置された状態、自ら回動することなく上記像担持体10の移動に連れ回されて回転し、接触位置におけるブラシロール11の線速度が像担持体10の表面におけるそれと異なるように構成されている。
【選択図】 図2
【解決手段】多数の導電性摺擦毛が回転軸に対して起立すると共に、かかる摺擦毛で像担持体を摺擦するように配置されるブラシロールと、このブラシロールと前記像担持体との間に電圧を印加する電源とを備え、前記像担持体の移動に合わせてその表面を帯電させるように構成した帯電装置において、上記ブラシロール11は、像担持体10と非接触の状態で、上記摺擦毛110の毛先が周方向へ傾斜しており、像担持体10と接触配置された状態、自ら回動することなく上記像担持体10の移動に連れ回されて回転し、接触位置におけるブラシロール11の線速度が像担持体10の表面におけるそれと異なるように構成されている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真複写機やレーザビームプリンタ等の画像形成装置において、像担持体としての感光体の表面を所望の電位に帯電させる帯電装置に係り、特に、ブラシロールで感光体の表面を摺擦しながら帯電を行う帯電装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開平11−84798号公報
【特許文献2】特開2001−75448号公報
【特許文献3】特公平4−062665号公報
【0003】
電子写真複写機やレーザビームプリンタにおいては、感光体トラム等、表面に感光層を有する像担持体の表面を一様に帯電させた後、かかる像担持体の表面を画情報に応じて露光して静電潜像を形成し、更にその静電潜像をトナーにより現像して可視像たるトナー像を形成し、最後に、かかるトナー像を中間転写体あるいは記録シート等の像受容体に転写して記録画像の形成を行っている。ここで、像担持体の表面を一様帯電させるための帯電装置としては、従来より非接触型のコロナ放電装置が多用されてきたが、コロナ放電により生成されるオゾンが環境や人体へ悪影響を及ぼし易いことから、近年では、像担持体に直接接触させて使用する帯電装置への置き換えが急激に進んでいる。
【0004】
従来、この種の接触型の帯電装置としては、導電性の軸芯部材の周囲を導電性ゴムで被覆して帯電ロールを構成し、電圧を印加しながら該帯電ロールを所定の圧接力で像担持体の表面に接触させるように構成したロール帯電方式のものや、導電性ブラシ繊維を束ねた帯電ブラシに電圧を印加し、かかる帯電ブラシで像担持体の表面を摺擦しながら該感光体の帯電を行うブラシ帯電方式のものが知られている。
【0005】
前者のロール帯電方式では、像担持体に付着しているトナーやその外添剤が帯電ロールの表面に転移し易く、かかる転移によって帯電ロール表面の汚れが経時的に進行した場合に、像担持体を帯電させる性能が不安定となり易いといった欠点がある。また、帯電ロールを像担持体の表面にある程度の線圧で押し付けていることから、帯電ロールの表面に付着したトナーが像担持体の表面に薄膜状に固着する所謂フィルミング現象を生じ易く、このフィルミング現象の発生によっても像担持体の帯電が不安定になり易いといった欠点があった。
【0006】
一方、ブラシ帯電方式は、ブラシ繊維と像担持体表面との接触頻度の不足により、像担持体の表面に帯電むらが発生し易いといった欠点はあるものの、ロール帯電方式に比べて像担持体との機械的接触がソフトであり、像担持体の損耗を抑えることができるといった利点がある。しかも、ブラシ繊維と像担持体表面との接触頻度の不足については、導電性ロールの周面にブラシ繊維を起立させたブラシロールとして前記帯電ブラシを構成し、かかるブラシロールを回転駆動することでブラシ繊維と像担持体との接触頻度を高めることが可能である。この場合、ブラシロールにおけるブラシ繊維の毛先の線速度と像担持体表面の線速度との比率が大きい程、像担持体の帯電むらの防止には有効である(特開平11−84798号公報)。
【0007】
また、ブラシ帯電方式はトナー付着等の汚れに起因する帯電性能の低下がロール帯電方式よりも小さいといった利点がある。特に、近年では像担持体の長寿命化を目的とし、かかる像担持体に対して転写残留トナーを除去するクリーナを設けない所謂クリーナレスタイプの画像形成装置(特開2001−75448号公報)が開発されているが、トナー像の転写効率をいくら高めたとしても、転写残留トナーの発生を完全に防止することはできず、このクリーナレスタイプの画像形成装置に接触型の帯電装置を採用した場合、帯電装置のトナーによる汚れは避け難い。従って、クリーナレスタイプの画像形成装置で濃度むらのない画情報に忠実な記録画像を形成するためには、どうしてもトナー汚れに強い帯電装置が必要である。この点、ブラシ帯電方式の帯電装置、特に前述のブラシロールを用いた帯電装置では、ブラシロールが感光体に付着しているトナーを掃き取ってブラシ繊維間に一時的に保持するように作用するので、帯電ロールのようにトナーによる表面汚れの問題は発生せず、また、ブラシ繊維と像担持体との接触頻度を高めることにより、帯電性能の低下を抑えることが充分に可能である。これらの点からすれば、トナーによる汚れを避け難い箇所に使用する帯電装置としては、ブラシロールによる帯電装置が適していると言える。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述の如くブラシ帯電方式の帯電装置を用いて像担持体を安定的に帯電させるためには、ブラシロールを用いると共にこれを回転駆動する必要があり、そのためにはブラシロールに対しても駆動源となるモータから回転を伝達しなければならず、像担持体周辺の機構が複雑化且つ大型化してしまう傾向にある。その反面、近年では画像形成装置の小型化が著しく進んでおり、特に、各トナー色毎に像担持体を備えた所謂タンデム型のフルカラー複写機、フルカラープリンタにあっては、これらのニーズが大きい。また、ブラシロールを力任せに回転させながら像担持体を帯電したのでは、ブラシロールの強力な摺擦によって像担持体表面の感光層が損耗し易い。
【0009】
従って、画像形成装置の小型化、省エネルギ化、長寿命化といった観点からすれば、モータ等の駆動手段を必要とせず、しかもトナー汚れの影響を受けることなく安定した帯電性能を発揮し得る帯電装置が望まれている。
【0010】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、モータ等の駆動機構を具備せずとも像担持体の表面をムラなく安定的に帯電させることが可能であり、しかも画像形成装置の小型化及び低コスト化に資することが可能な帯電装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
画像形成装置の小型化及び低コスト化といた観点からすれば、帯電装置としてのブラシロールをモータ等の駆動源によって回動駆動せず、かかるブラシロールが単に像担持体に連れ回される構成とすれば良いものと考えられる。このようにブラシロールを従動回転させる構成とすれば、単にブラシロールを装置フレームに対して回転自在に支承すれば良く、ブラシロールを駆動するためのモータやギヤ列が不要となるので、構造も簡易且つコンパクトなものとなり、製造コストの低減化も可能となる。
【0012】
しかし、像担持体の帯電むらを防止するためには、像担持体の単位面積に対するブラシ繊維の接触頻度を高める必要があり、ブラシロールが単に像担持体に連れ回されているのみでは、両者の接触位置におけるブラシロールの線速度と像担持体のそれとが略同一のものとなってしまうことから、帯電むらを効果的に防止することは不可能である。
【0013】
そこで、本発明では、像担持体を摺擦するブラシロールの摺擦毛の毛先を周方向へ傾斜させ、これによって像担持体に連れ回されているブラシロールの線速度を積極的にコントロールしようとするものである。
【0014】
すなわち、本発明は、多数の導電性摺擦毛が回転軸に対して起立すると共に、かかる摺擦毛で像担持体を摺擦するように配置されるブラシロールと、このブラシロールと前記像担持体との間に電圧を印加する電源とを備え、前記像担持体の移動に合わせてその表面を帯電させるように構成した帯電装置であって、上記ブラシロールは、像担持体と非接触の状態で、上記摺擦毛の毛先が周方向へ傾斜しており、像担持体と接触配置された状態では、自ら回動することなく上記像担持体の移動に連れ回されて回転し、接触位置におけるブラシロールの線速度が像担持体の表面におけるそれと異なることを特徴とするものである。
【0015】
このような技術的手段によれば、ブラシロールは像担持体と非接触の状態で、その摺擦毛の毛先が周方向へ傾斜していることから、かかるブラシロールを像担持体と接触配置し、像担持体を回転させると、摺擦毛の傾斜方向や傾斜角度、摺擦毛の長さや硬さ等に応じて像担持体に連れ回されるブラシロールの線速度をある程度自由にコントロールすることが可能となり、ブラシロールの線速度と像担持体のそれとを異ならせることができる。その結果、ブラシールの摺擦毛と像担持体との接触頻度を高めることができ、単に像担持体に従動回転するブラシロールであっても、像担持体のむらなく一様に帯電させることが可能となる。
【0016】
本発明において、ブラシロールの摺擦毛の毛先はいずれの周方向へ傾斜させても差し支えないが、像担持体の回転方向に沿って傾斜させた場合、ブラシロールの周速は像担持体の周速よりも遅くなり、逆に像担持体の回転方向と逆方向へ傾斜させた場合、ブラシロールの周速は像担持体の周速よりも速くなる傾向にある。
【0017】
本願発明者らが確認したところによれば、ブラシロールの像担持体に対する線速度比が1.3以上になれば、像担持体を帯電むらなく一様に帯電させることができ、本発明の帯電装置を用いたレーザビームプリンタでハーフトーン画像を形成しても、濃度むらの無い高品位の画像を得ることができた。また、ブラシロールの像担持体に対する線速度比が0.6以下の場合、線速度比を1.3以上に設定した場合と比較して像担持体の帯電むらは発生し易いものの、摺擦毛としてより細い繊維を用いることで、文字画像に対しては濃度むらのない画像を形成することができ、必ずしもブラシロールの周速が像担持体の周速よりも速くなくても、帯電むらの解消には有効であった。
【0018】
ここで、像担持体に従動するブラシロールの回転速度に影響を与える因子としては、ブラシロールの外径、摺擦毛の長さ及び硬さ、像担持体の表面硬度や表面粗さが挙げられ、これらを適宜選択することにより、像担持体に対するブラシロールの線速度比を自由に調整することが可能である。
【0019】
また、摺擦毛はその毛先のみをブラシロールの周方向へ傾斜させても差し支えないが、根元から傾斜状態で回転軸に対して起立していても良い。前者の場合であれば、回転軸の周面に対して略垂直に摺擦毛を起立させた後、熱を加えながら毛先だけを特定の方向へ倒すようにして製造することができる。一方、後者の場合であれば、摺擦毛が傾斜した状態で起立した布地を回転軸に巻き付けることによって製造することができる。
【0020】
前記ブラシロールに印加する電圧としては、DC成分のみの電圧、AC成分にDC成分を重畳した電圧のいずれであっても差し支えないが、AC成分はDC成分のみの場合と比較して像担持体に対する攻撃性が強く、経時的に像担持体表面の感光層に微少な凹凸が形成され易いといった傾向にある。このため、トナー像の転写効率を高めるといった観点からすれば、ブラシロールに印加する電圧はAC成分を含まず、DC成分のみであることが好ましい。
【0021】
また、DC電圧をブラシロールに印加した場合の像担持体の帯電電位と印加電圧との間には閾値が存在し、印加電圧がある値を超えるまでは像担持体の帯電が行われない。この値は放電開始電圧Vthと呼ばれ、像担持体の誘電率及び厚み、気中の放電特性パッシェン則を用いることによって、理論的に実験値と略一致した結果を得ることができ、概ね−500V程度である。このことから、例えば、像担持体を−350Vに帯電させたいのであれば、ブラシロールに印加する電圧としては約−850Vが必要ということになる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて本発明の帯電装置を詳細に説明する。
図1は本発明を適用したフルカラーレーザビームプリンタの概略構成を示すものである。尚、図1中の矢印は、各回転部材の回転方向を示している。
【0023】
このフルカラープリンタは、イエロー(Y)、マゼンタ (M)、ブラック (K)及びシアン(C)の各色毎に作像エンジン1を有する所謂タンデム型のプリンタであり、各作像エンジン1では色毎の画情報に応じたトナー像を所定のタイミングで感光体ドラム10上に形成するようになっている。また、各感光体ドラム10に形成されたトナー像は第1中間転写ドラム2に一次転写された後、この第1中間転写ドラム2から第2中間転写ドラム3へと二次転写され、最終的には第2中間転写ドラム3に接する最終転写ロール4によって、かかる第2中間転写ドラム3から記録シートPへ最終転写されるようになっている。
【0024】
上記第1中間転写ドラム2は2色の作像エンジンに対して1本づつ、計2本が設けられており、一方の第1中間転写ドラム2aに対してはイエロー及びマゼンタの作像エンジン1Y,1Mからトナー像が転写され、他方の第1中間転写ドラム2aに対してはブラック及びシアンの作像エンジン1K,1Cからトナー像が転写され、各第1中間転写ドラム2a,2b上では2色のトナー像が重ね合わされるようになっている。また、上記第2中間転写ドラム3は一対の第1中間転写ドラム2a,2bの双方に対して接しており、一方の第1中間転写ドラム2aからイエロー及びマゼンタのトナー像が転写された後に、他方の第1中間転写ドラム2bからブラック及びシアンのトナー像が転写され、4色のトナー像が第2中間転写ドラム3上で重なり合うようになっている。また、トナー像が転写された記録シートPは定着器5を経て図示外の排紙トレーへ排出されるようになっている。
【0025】
従って、この実施例のプリンタでは、第1中間転写ドラム2a,2b、第2中間転写ドラム3の回転方向からして、各色のトナー像が作像エンジンから記録シートPへの最終転写位置に到達するまでのプロセス距離は、ブラック、シアン、イエロー、マゼンタの順番に遠くなっており、これら4色のトナー像を第2中間転写ドラム3上で重ね合わせるには、マゼンタの作像エンジン1Mにおけるトナー像の書き出しタイミングがもっとも早くなる。
【0026】
各作像エンジン1は、感光体ドラム10と、この感光体ドラム10を所定の背景部電位(基準電位Vh )に帯電させるブラシロール帯電器11と、画情報で変調された光ビームBmで感光体ドラム10を露光してその表面電位を画像部電位VL にまで低下させるレーザ光学ユニット(図示せず)と、露光によって感光体ドラム10上に形成された静電潜像をトナー現像する現像器12と、トナー像を一次転写した後の感光体ドラム10の表面から不要トナーを除去して一時的に保持しておくトナー仮保持部材13とから構成されており、上記第1中間転写ドラム2a,2bは上記現像器12の下流側において感光体ドラム10に接している。従って、感光体ドラム10の回転に伴い、かかる感光体ドラム10の表面に対しては帯電、露光、現像、転写の各工程が連続して行われ、各色の画情報に応じたトナー像が第1中間転写ドラム2a,2bに一次転写される。
【0027】
以上説明してきた各構成部材のうち、各色の感光体ドラム10、ブラシロール帯電器11及びトナー仮保持部材13は単一のドラムユニット6として一体化されており、また、一対の第1中間転写ドラム2a,2b及び第2中間転写ドラム3は単一の画像転写ユニット7として一体化されており、例えば感光体ドラム10の劣化等によって画像品質が低下する場合等には、上記ドラムユニット6をブラシロール帯電器11と共にそのまま交換するようになっている。
【0028】
上記ブラシロール帯電器11は導電性金属からなる回転軸の周囲に導電性の摺擦毛を起立させたブラシロールであり、上記回転軸に対して約−900VのDC電圧を印加することにより、感光体ドラム10の表面が例えば約−370V程度の背景部電位に一様に帯電されるようになっている。前記摺擦毛としては、ナイロン、ポリエステル、アクリル又はテフロン(登録商標)からなる繊維中にカーボンを分散させ、比抵抗値を104 〜109 Ωcmに調整したものを用いることができる。
【0029】
また、上記現像器12は所謂磁気ブラシ現像方式を採用するものであり、各色作像エンジン1Y,1M,1K,1Cの現像器には対応する色のトナー及びキャリアからなる現像剤が充填されている。各現像器12は所定の間隙を保って感光体ドラム10に対向する現像ロール14を備えており、上記現像剤はこの現像ロール14上に磁気ブラシを形成し、現像ロール14の回転に伴って感光体ドラム10を摺擦する。また、現像ロール14にはAC成分にDC成分を重畳した現像バイアス電圧が印加されており、この現像バイアス電圧を印加しながら現像剤の磁気ブラシで感光体ドラム10を摺擦することにより、光ビームBmによって露光された感光体ドラム10上の画像部にのみトナーが付着し、トナー像が形成される。この実施例では、例えば、光ビームBmの露光後の画像部電位が−75V以下程度、現像バイアス電圧はAC成分が4kHz、1.5kVpp、DC成分が−300Vに設定されている。
【0030】
上記トナーとしては、形状係数値SF−1が120以下の球形トナーを使用するのが好ましい。このような球形トナーは感光体ドラム10からの離型性が良好なので、感光体ドラム10から第1中間転写ドラム2a,2bへのトナー像の一次転写においてその転写効率を高めることが可能であり、感光体ドラム10に対してクリーナを設けない所謂クリーナレス構造を実現する上で最適である。
【0031】
更に、上記トナー仮保持部材13は、前記ブラシロール帯電器11と同様に金属製回転軸の周囲に導電性の摺擦毛が起立したブラシロールであり、ブラシロール帯電器11に対するトナーの付着を防止するため、感光体ドラム10の回転方向に関してブラシロール帯電器11の上流側に配置されている。このトナー仮保持部材13は感光体ドラム10の表面を摺擦することにより、トナー像を一次転写した後の感光体ドラム10の表面に付着しているトナーや、ブラシロール帯電器11による帯電時に感光体ドラム10に付着した放電生成物を除去し、これらの物質が下流側のブラシロール帯電器11の表面に付着するのを防止している。トナー像を転写後の感光体ドラム10の表面に残留しているトナーには、本来の帯電極性のままのトナー(正極性トナー)と、転写電界を通り抜ける際の電荷注入により極性反転してしまったトナー(逆極性トナー)が存在する。感光体ドラム10から第1中間転写ドラム2a,2bへのトナー像の転写効率を高めた結果として、感光体ドラム10上に残留する正極性トナーは殆ど発生しないので、このトナー仮保持部材13には逆極性トナーを積極的に回収するためのバイアス電圧が印加されている。もっとも、このようなバイアス電圧を作用させていても、トナー仮保持部材13が感光体ドラム10の表面を機械的に摺擦することから、感光体ドラム10表面に僅かに残留する正極性トナーも該トナー仮保持部材13に付着することになる。
【0032】
トナー像の転写効率を高めたことにより、トナー像転写後の感光体ドラム10の表面に付着している正極性トナー及び逆極性トナーは極僅かなので、このトナー仮保持部材13は感光体ドラム10から除去したこれらの不要トナーや放電生成物をプロセス外に排出するための機構、すなわちデトーニング機構を具備していない。すなわち、上記トナー仮保持部材13は不要トナー等をプリントジョブの実行中に一時的に蓄積しておくためにのみ用いられている。そして、一時的に保持された不要トナー等は、プリントジョブの合間に実行されるクリーニングモードにおいて感光体ドラム10上に吐き出され、第1中間転写体2a,2bに設けられたトナー除去部材20,30によってプロセス外へ排出されるようになっている。このように各作像エンジン1には不要トナーのデトーニング機構を具備する必要がないので、各作像エンジン1は極めてコンパクトなものとなり、プリンタ全体としての小型化に寄与している。
【0033】
尚、図1中ではイエローの作像エンジン1Yにのみ符号を入れて説明したが、その他の色の作像エンジン1M,1K,1Cも全く同一の構成を具備している。
【0034】
一方、上記第1及び第2中間転写ドラム2,3はFeやAl等からなる金属パイプを0.1〜10mm程度の導電性シリコーンゴム等の低抵抗弾性層(R=102 〜103 Ω)で被覆して形成され、更に、低抵抗弾性層の表面には高離型層として厚さ3〜100μmのフッ素ゴム層(抵抗値はR=105 〜109 Ω程 度)が設けられており、シランカップリング剤系の接着剤(プライマ)で接着されている。第2中間転写ドラム3の抵抗値は第1中間転写ドラム2のそれよりも高く設定する必要がある。そうしないと、第2中間転写ドラム3が第1中間転写ドラム2を帯電してしまい、第1中間転写ドラム2の表面電位の制御が難しくなる。この実施例では、第1中間転写ドラム2の抵抗値が108 Ω程度に、第2中間転写ドラム3の抵抗値は1011Ω程度に設定されている。
【0035】
上記第1中間転写ドラム2上に感光体ドラム10からトナー像を静電的に転写するために必要な表面電位は、+250〜500V程度である。最適な表面電位はトナーの帯電状態や雰囲気温度、湿度によって変動するが、トナーの帯電量が−20〜−35μC/g の範囲内にあり、常温常湿環境下にある場合には、第1中間転写ドラム2の表面電位は、+400V程度が望ましい。
【0036】
また、第2中間転写ドラム3上へ第1中間転写ドラム2からトナー像を静電的に転写するために必要な表面電位は、+600〜1200V程度である。最適な表面電位は一次転写の時と同様にトナーの帯電状態や雰囲気温度、湿度によって変動する。また、転写に必要なのは、第1中間転写ドラム2と第2中間転写ドラム3との間の電位差であるので、第1中間転写ドラム2の表面電位に応じた値に設定することが必要である。上述のように、トナーの帯電量が−20〜−35μC/gの範囲内にあり、常温常湿環境下であって、第1中間転写ドラム2の表面電位が+400V程度の場合には、第2中間転写ドラム3の表面電位は、+810V程度、つまり第1中間転写ドラム2と第2中間転写ドラム3との間の電位差は、+410V程度に設定することが望ましい。
【0037】
更に、上記第1中間転写ドラム2及び第2中間転写ドラム3に対しては、これらの中間転写ドラムに付着している不要トナーをプロセス外へ排出するためのトナー除去部材20,30が夫々設けられている。かかるトナー除去部材20,30は、いずれも、中間転写ドラム2,3に接しながら回動すると共にバイアス電圧が印加された金属製の回収ロール21,31と、この回収ロール21,31の表面に接する金属製のクリーニングブレード22,32とを備えており、中間転写ドラム2,3上の不要トナーを静電誘引力で回収ロール21,31に付着させた後、上記クリーニングブレード22,32で回収ロール21,31の表面から掻き落とすように構成されている。そして、掻き落とされた不要トナーは図示外のオーガによって廃棄ボックスへ送り込まれるようになっている。また、上記回収ロール21,31は中間転写ドラム2,3の表面からトナーが効率よく転移してくるよう、中間転写ドラムの周速に対して2%程度の周速差を有して回転している。
【0038】
プリントジョブの実行中において、第1中間転写ドラム2に対して設けられた第1トナー除去部材20は逆極性トナーを該第1中間転写ドラム2の表面から除去している。これは、トナー像を記録シートPへ最終転写する際に生じた逆極性トナー、及びトナー像を第2中間転写ドラム3へ二次転写する際に生じた逆極性トナーが電位勾配を逆上って感光体ドラム10に付着するのを防止するためである。特に、マゼンタ及びシアンの現像器12に対する他色トナーの混色を防止する上で重要である。
【0039】
これに対し、第2中間転写ドラム3に対して設けられた第2トナー除去部材30は、プリントジョブの実行中、正極性トナーを該第2中間転写ドラム3の表面から除去している。フルカラー画像の形成時は第2中間転写ドラム3上に4色のトナー像が重ねて形成されているので、最終転写後の第2中間転写ドラム3の表面には第1中間転写ドラム2に比較して多くの転写残留トナーが発生し易い。このため、記録シートPへ転写されなかった正極性トナーを第2中間転写ドラム3上から確実に除去しないと、かかる正極性トナーが第2中間ドラム3の周囲を一周し、記録シートP上にゴースト像として転写されてしまうのである。
【0040】
一方、上記第1中間転写ドラム2a,2b及び第2中間転写ドラム3に対しては、上記感光体ドラム10へ設けたものと同一のトナー仮保持部材23,33が夫々設けられている。第1中間転写ドラム2に対して設けられたトナー仮保持部材(以下、「第1クリーナ」と記す)23は、トナー像の二次転写部と第1トナー除去部材20との間で各第1中間転写ドラム2の表面を摺擦しており、プリントジョブの実行中はバイアス電圧の印加によって正極性トナーを捕まえている。本来、正極性トナーは第1中間転写ドラム2から第2中間転写ドラム3へ転写されていくので、この第1クリーナ23が捕える正極性トナーは二次転写における転写残留トナーである。しかし、二次転写では2色のトナー像のみが第2中間転写ドラム3へ転写されるので、最終転写に比べて転写残留トナーは少ない。それ故、デトーニング機構を具備しない第1クリーナ23によって第1中間転写ドラム2上の正極性トナーの除去を行うように構成されている。
【0041】
また、第2中間転写ドラム3に対して設けられたトナー仮保持部材(以下、 「第2クリーナ」と記す)33は、第2トナー除去部材30と第1中間転写ドラム2aとの間で第2中間転写ドラム3の表面を摺擦しており、プリントジョブの実行中はバイアス電圧の印加によって、第2トナー除去部材30と同様、正極性トナーを捕まえている。すなわち、最終転写後に第2中間転写ドラム3上に残留した正極性トナーは、先ず第2トナー除去部材30によって除去された後、更に第2クリーナ33によっても除去され、ゴースト像の発生が入念に防止されている。
【0042】
このプリンタでは前記ドラムユニットの構成を簡略化するため、ブラシロール帯電器11には何ら駆動手段が設けられておらず、かかるブラシロール帯電器11は摺擦毛と感光体ドラム10との間に作用する摩擦力によって感光体ドラム10の回転に連れ回っている。図2は感光体ドラム10から離間させたブラシロール帯電器11の断面を示すものである。符号112はブラシロール帯電器11の回転軸111に接続されたDC電源であり、感光体ドラム10とブラシロール帯電器11との間に放電開始電圧以上の電位差を与えている。このブラシロール帯電器11では摺擦毛110が回転軸111に対して略垂直に起立しておらず、感光体ドラム10の回転方向と対向する方向へ傾斜して起立している。このため、ブラシロール帯電器11を感光体ドラム10に接触させた状態で該感光体ドラム10を回転させると、摺擦毛の先端が感光体ドラムの表面で弾かれ、両者の接触位置におけるブラシロール帯電器11の線速度(外径における周速度)を感光体ドラム10のそれよりも大きくすることが可能となる。すなわち、ブラシロール帯電器11は感光体ドラム10の回転に連れ回されているにも拘らず、その周速は感光体ドラムの周速よりも速くなるのである。
【0043】
感光体ドラム10に従動するブラシロール帯電器11の線速度は摺擦毛の硬さや植毛密度、長さ、ブラシロールの外径、を変化させることで自由に調節することができる。本実施例ではブラシロール帯電器11の外径約10mm、摺擦毛の長さ約2mm、感光体ドラム11の外径約20mm、摺擦毛の太さ約3デニール、植毛密度20万本/平方インチに設定し、ブラシ外径の感光体ドラム11に対する食い込み量を0.4mmに設定したところ、感光体ドラム11に対するブラシロール帯電器の線速度比を1.4程度に安定化することができた。
【0044】
また、このように帯電装置としてブラシロール帯電器11を用いると、ブラシロール帯電器11は感光体ドラム10の表面に付着している残留トナーや放電生成物を意図せずして掻き取りながら、かかる感光体ドラム10の表面の帯電を行うことになる。ブラシロール帯電器の摺擦毛が長いほど、かかるブラシロール帯電器が回転中に保持し得るトナー等の絶対量量は増加し、経時的なトナー汚れに対して強くなると言えるが、前述の如くブラシロール帯電器の摺擦毛を周方向へ傾斜させていると、ブラシロール帯電器の外径が同一の場合であっても、摺擦毛の毛足を長く設定することができるので、ブラシロール帯電器の小径化を図りつつも、トナー汚れの影響を受けにくい帯電器とすることができる。
【0045】
図3は及び図4はブラシロール帯電器11の製造方法の一例を示すものである。このブラシロール帯電器11は、図3に示すように、導電性繊維からなる摺擦毛110が起毛した布地113を導電性の金属回転軸111に対して螺旋状に巻き付けることによって製作されている。かかる布地113には図4に示すように摺擦毛110が略垂直に起立しているが、これを熱ロール114で挟み込んで加圧することにより、摺擦毛110が倒れた布地を得ることができる。そして、このように摺擦毛110が倒れた布地113を回転軸111に巻き付けることによって、かかる摺擦毛110が周方向に傾斜したブラシロール帯電器11を製造することができる。
【0046】
また、他の製造方法としては、布地113を回転軸111に巻き付ける以前の段階で摺擦毛110を倒すのではなく、摺擦毛110が略垂直に起立した布地113を回転軸111に対して巻き付けてブラシロールとした後、このブラシロールを熱ロールに押し付けながら回転させることにより、摺擦毛110を周方向に傾斜させることも可能である。更に、摺擦毛110が起立した布地113を製造する各工程で、摺擦毛110の毛起こしを考慮せず、かかる摺擦毛110が倒れ込むようにしても良い。
【0047】
ブラシロール帯電器11の摺擦毛110が周方向に斜めに傾斜している度合いは目視によって計測することができる。図5に示すように、ブラシロール帯電器11の回転軸111を目と同一の高さに置くと共に、かかる回転軸111と一定の距離dを置き、この状態からブラシロール11を上下動させると、摺擦毛110の傾斜の度合いに応じた位置で該摺擦毛110の毛先を見ることができるのである。摺擦毛110の毛先を正面から観察すると、摺擦毛110の腹を観察しているときとでは色の見え方が異なるので、この方法によって摺擦毛110の傾斜度合いを確認することができる。そして、毛先が見えた際の回転軸111のオフセット量hを摺擦毛110の傾斜度合いの指標とするのである。
【0048】
この計測方法によれば、実施例に使用したブラシロール帯電器11のオフセット量hは、距離d=500mmのときに、h=300mmであった。
【0049】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明の帯電装置によれば、ブラシロールの摺擦毛の毛先を周方向へ傾斜させることにより、かかるブラシロールを像担持体に従動回転させているにも拘らず、該ブラシロールの線速度と像担持体のそれとを異ならせることができるので、モータ等の駆動機構を具備せずとも像担持体に対するブラシロールの摺擦毛の接触頻度を高めることができ、像担持体の表面をムラなく安定的に帯電させることが可能であり、しかも画像形成装置の小型化及び低コスト化に資することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の帯電装置を適用したカラーレーザビームプリンタの構成を示す概略図である。
【図2】実施例に係るブラシロール帯電器を示す断面図である。
【図3】実施例に係るブラシロール帯電器の製造方法を示す斜視図である。
【図4】摺擦毛が起立した布地を示す拡大断面図である。
【図5】摺擦毛の傾斜の度合いを計測する方法を説明する図である。
【符号の説明】
10…感光体ドラム、2a,2b…第1中間転写ドラム、3…第2中間転写ドラム、11…ブラシロール帯電器、110…摺擦毛、111…回転軸、112…DC電源
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真複写機やレーザビームプリンタ等の画像形成装置において、像担持体としての感光体の表面を所望の電位に帯電させる帯電装置に係り、特に、ブラシロールで感光体の表面を摺擦しながら帯電を行う帯電装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開平11−84798号公報
【特許文献2】特開2001−75448号公報
【特許文献3】特公平4−062665号公報
【0003】
電子写真複写機やレーザビームプリンタにおいては、感光体トラム等、表面に感光層を有する像担持体の表面を一様に帯電させた後、かかる像担持体の表面を画情報に応じて露光して静電潜像を形成し、更にその静電潜像をトナーにより現像して可視像たるトナー像を形成し、最後に、かかるトナー像を中間転写体あるいは記録シート等の像受容体に転写して記録画像の形成を行っている。ここで、像担持体の表面を一様帯電させるための帯電装置としては、従来より非接触型のコロナ放電装置が多用されてきたが、コロナ放電により生成されるオゾンが環境や人体へ悪影響を及ぼし易いことから、近年では、像担持体に直接接触させて使用する帯電装置への置き換えが急激に進んでいる。
【0004】
従来、この種の接触型の帯電装置としては、導電性の軸芯部材の周囲を導電性ゴムで被覆して帯電ロールを構成し、電圧を印加しながら該帯電ロールを所定の圧接力で像担持体の表面に接触させるように構成したロール帯電方式のものや、導電性ブラシ繊維を束ねた帯電ブラシに電圧を印加し、かかる帯電ブラシで像担持体の表面を摺擦しながら該感光体の帯電を行うブラシ帯電方式のものが知られている。
【0005】
前者のロール帯電方式では、像担持体に付着しているトナーやその外添剤が帯電ロールの表面に転移し易く、かかる転移によって帯電ロール表面の汚れが経時的に進行した場合に、像担持体を帯電させる性能が不安定となり易いといった欠点がある。また、帯電ロールを像担持体の表面にある程度の線圧で押し付けていることから、帯電ロールの表面に付着したトナーが像担持体の表面に薄膜状に固着する所謂フィルミング現象を生じ易く、このフィルミング現象の発生によっても像担持体の帯電が不安定になり易いといった欠点があった。
【0006】
一方、ブラシ帯電方式は、ブラシ繊維と像担持体表面との接触頻度の不足により、像担持体の表面に帯電むらが発生し易いといった欠点はあるものの、ロール帯電方式に比べて像担持体との機械的接触がソフトであり、像担持体の損耗を抑えることができるといった利点がある。しかも、ブラシ繊維と像担持体表面との接触頻度の不足については、導電性ロールの周面にブラシ繊維を起立させたブラシロールとして前記帯電ブラシを構成し、かかるブラシロールを回転駆動することでブラシ繊維と像担持体との接触頻度を高めることが可能である。この場合、ブラシロールにおけるブラシ繊維の毛先の線速度と像担持体表面の線速度との比率が大きい程、像担持体の帯電むらの防止には有効である(特開平11−84798号公報)。
【0007】
また、ブラシ帯電方式はトナー付着等の汚れに起因する帯電性能の低下がロール帯電方式よりも小さいといった利点がある。特に、近年では像担持体の長寿命化を目的とし、かかる像担持体に対して転写残留トナーを除去するクリーナを設けない所謂クリーナレスタイプの画像形成装置(特開2001−75448号公報)が開発されているが、トナー像の転写効率をいくら高めたとしても、転写残留トナーの発生を完全に防止することはできず、このクリーナレスタイプの画像形成装置に接触型の帯電装置を採用した場合、帯電装置のトナーによる汚れは避け難い。従って、クリーナレスタイプの画像形成装置で濃度むらのない画情報に忠実な記録画像を形成するためには、どうしてもトナー汚れに強い帯電装置が必要である。この点、ブラシ帯電方式の帯電装置、特に前述のブラシロールを用いた帯電装置では、ブラシロールが感光体に付着しているトナーを掃き取ってブラシ繊維間に一時的に保持するように作用するので、帯電ロールのようにトナーによる表面汚れの問題は発生せず、また、ブラシ繊維と像担持体との接触頻度を高めることにより、帯電性能の低下を抑えることが充分に可能である。これらの点からすれば、トナーによる汚れを避け難い箇所に使用する帯電装置としては、ブラシロールによる帯電装置が適していると言える。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述の如くブラシ帯電方式の帯電装置を用いて像担持体を安定的に帯電させるためには、ブラシロールを用いると共にこれを回転駆動する必要があり、そのためにはブラシロールに対しても駆動源となるモータから回転を伝達しなければならず、像担持体周辺の機構が複雑化且つ大型化してしまう傾向にある。その反面、近年では画像形成装置の小型化が著しく進んでおり、特に、各トナー色毎に像担持体を備えた所謂タンデム型のフルカラー複写機、フルカラープリンタにあっては、これらのニーズが大きい。また、ブラシロールを力任せに回転させながら像担持体を帯電したのでは、ブラシロールの強力な摺擦によって像担持体表面の感光層が損耗し易い。
【0009】
従って、画像形成装置の小型化、省エネルギ化、長寿命化といった観点からすれば、モータ等の駆動手段を必要とせず、しかもトナー汚れの影響を受けることなく安定した帯電性能を発揮し得る帯電装置が望まれている。
【0010】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、モータ等の駆動機構を具備せずとも像担持体の表面をムラなく安定的に帯電させることが可能であり、しかも画像形成装置の小型化及び低コスト化に資することが可能な帯電装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
画像形成装置の小型化及び低コスト化といた観点からすれば、帯電装置としてのブラシロールをモータ等の駆動源によって回動駆動せず、かかるブラシロールが単に像担持体に連れ回される構成とすれば良いものと考えられる。このようにブラシロールを従動回転させる構成とすれば、単にブラシロールを装置フレームに対して回転自在に支承すれば良く、ブラシロールを駆動するためのモータやギヤ列が不要となるので、構造も簡易且つコンパクトなものとなり、製造コストの低減化も可能となる。
【0012】
しかし、像担持体の帯電むらを防止するためには、像担持体の単位面積に対するブラシ繊維の接触頻度を高める必要があり、ブラシロールが単に像担持体に連れ回されているのみでは、両者の接触位置におけるブラシロールの線速度と像担持体のそれとが略同一のものとなってしまうことから、帯電むらを効果的に防止することは不可能である。
【0013】
そこで、本発明では、像担持体を摺擦するブラシロールの摺擦毛の毛先を周方向へ傾斜させ、これによって像担持体に連れ回されているブラシロールの線速度を積極的にコントロールしようとするものである。
【0014】
すなわち、本発明は、多数の導電性摺擦毛が回転軸に対して起立すると共に、かかる摺擦毛で像担持体を摺擦するように配置されるブラシロールと、このブラシロールと前記像担持体との間に電圧を印加する電源とを備え、前記像担持体の移動に合わせてその表面を帯電させるように構成した帯電装置であって、上記ブラシロールは、像担持体と非接触の状態で、上記摺擦毛の毛先が周方向へ傾斜しており、像担持体と接触配置された状態では、自ら回動することなく上記像担持体の移動に連れ回されて回転し、接触位置におけるブラシロールの線速度が像担持体の表面におけるそれと異なることを特徴とするものである。
【0015】
このような技術的手段によれば、ブラシロールは像担持体と非接触の状態で、その摺擦毛の毛先が周方向へ傾斜していることから、かかるブラシロールを像担持体と接触配置し、像担持体を回転させると、摺擦毛の傾斜方向や傾斜角度、摺擦毛の長さや硬さ等に応じて像担持体に連れ回されるブラシロールの線速度をある程度自由にコントロールすることが可能となり、ブラシロールの線速度と像担持体のそれとを異ならせることができる。その結果、ブラシールの摺擦毛と像担持体との接触頻度を高めることができ、単に像担持体に従動回転するブラシロールであっても、像担持体のむらなく一様に帯電させることが可能となる。
【0016】
本発明において、ブラシロールの摺擦毛の毛先はいずれの周方向へ傾斜させても差し支えないが、像担持体の回転方向に沿って傾斜させた場合、ブラシロールの周速は像担持体の周速よりも遅くなり、逆に像担持体の回転方向と逆方向へ傾斜させた場合、ブラシロールの周速は像担持体の周速よりも速くなる傾向にある。
【0017】
本願発明者らが確認したところによれば、ブラシロールの像担持体に対する線速度比が1.3以上になれば、像担持体を帯電むらなく一様に帯電させることができ、本発明の帯電装置を用いたレーザビームプリンタでハーフトーン画像を形成しても、濃度むらの無い高品位の画像を得ることができた。また、ブラシロールの像担持体に対する線速度比が0.6以下の場合、線速度比を1.3以上に設定した場合と比較して像担持体の帯電むらは発生し易いものの、摺擦毛としてより細い繊維を用いることで、文字画像に対しては濃度むらのない画像を形成することができ、必ずしもブラシロールの周速が像担持体の周速よりも速くなくても、帯電むらの解消には有効であった。
【0018】
ここで、像担持体に従動するブラシロールの回転速度に影響を与える因子としては、ブラシロールの外径、摺擦毛の長さ及び硬さ、像担持体の表面硬度や表面粗さが挙げられ、これらを適宜選択することにより、像担持体に対するブラシロールの線速度比を自由に調整することが可能である。
【0019】
また、摺擦毛はその毛先のみをブラシロールの周方向へ傾斜させても差し支えないが、根元から傾斜状態で回転軸に対して起立していても良い。前者の場合であれば、回転軸の周面に対して略垂直に摺擦毛を起立させた後、熱を加えながら毛先だけを特定の方向へ倒すようにして製造することができる。一方、後者の場合であれば、摺擦毛が傾斜した状態で起立した布地を回転軸に巻き付けることによって製造することができる。
【0020】
前記ブラシロールに印加する電圧としては、DC成分のみの電圧、AC成分にDC成分を重畳した電圧のいずれであっても差し支えないが、AC成分はDC成分のみの場合と比較して像担持体に対する攻撃性が強く、経時的に像担持体表面の感光層に微少な凹凸が形成され易いといった傾向にある。このため、トナー像の転写効率を高めるといった観点からすれば、ブラシロールに印加する電圧はAC成分を含まず、DC成分のみであることが好ましい。
【0021】
また、DC電圧をブラシロールに印加した場合の像担持体の帯電電位と印加電圧との間には閾値が存在し、印加電圧がある値を超えるまでは像担持体の帯電が行われない。この値は放電開始電圧Vthと呼ばれ、像担持体の誘電率及び厚み、気中の放電特性パッシェン則を用いることによって、理論的に実験値と略一致した結果を得ることができ、概ね−500V程度である。このことから、例えば、像担持体を−350Vに帯電させたいのであれば、ブラシロールに印加する電圧としては約−850Vが必要ということになる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて本発明の帯電装置を詳細に説明する。
図1は本発明を適用したフルカラーレーザビームプリンタの概略構成を示すものである。尚、図1中の矢印は、各回転部材の回転方向を示している。
【0023】
このフルカラープリンタは、イエロー(Y)、マゼンタ (M)、ブラック (K)及びシアン(C)の各色毎に作像エンジン1を有する所謂タンデム型のプリンタであり、各作像エンジン1では色毎の画情報に応じたトナー像を所定のタイミングで感光体ドラム10上に形成するようになっている。また、各感光体ドラム10に形成されたトナー像は第1中間転写ドラム2に一次転写された後、この第1中間転写ドラム2から第2中間転写ドラム3へと二次転写され、最終的には第2中間転写ドラム3に接する最終転写ロール4によって、かかる第2中間転写ドラム3から記録シートPへ最終転写されるようになっている。
【0024】
上記第1中間転写ドラム2は2色の作像エンジンに対して1本づつ、計2本が設けられており、一方の第1中間転写ドラム2aに対してはイエロー及びマゼンタの作像エンジン1Y,1Mからトナー像が転写され、他方の第1中間転写ドラム2aに対してはブラック及びシアンの作像エンジン1K,1Cからトナー像が転写され、各第1中間転写ドラム2a,2b上では2色のトナー像が重ね合わされるようになっている。また、上記第2中間転写ドラム3は一対の第1中間転写ドラム2a,2bの双方に対して接しており、一方の第1中間転写ドラム2aからイエロー及びマゼンタのトナー像が転写された後に、他方の第1中間転写ドラム2bからブラック及びシアンのトナー像が転写され、4色のトナー像が第2中間転写ドラム3上で重なり合うようになっている。また、トナー像が転写された記録シートPは定着器5を経て図示外の排紙トレーへ排出されるようになっている。
【0025】
従って、この実施例のプリンタでは、第1中間転写ドラム2a,2b、第2中間転写ドラム3の回転方向からして、各色のトナー像が作像エンジンから記録シートPへの最終転写位置に到達するまでのプロセス距離は、ブラック、シアン、イエロー、マゼンタの順番に遠くなっており、これら4色のトナー像を第2中間転写ドラム3上で重ね合わせるには、マゼンタの作像エンジン1Mにおけるトナー像の書き出しタイミングがもっとも早くなる。
【0026】
各作像エンジン1は、感光体ドラム10と、この感光体ドラム10を所定の背景部電位(基準電位Vh )に帯電させるブラシロール帯電器11と、画情報で変調された光ビームBmで感光体ドラム10を露光してその表面電位を画像部電位VL にまで低下させるレーザ光学ユニット(図示せず)と、露光によって感光体ドラム10上に形成された静電潜像をトナー現像する現像器12と、トナー像を一次転写した後の感光体ドラム10の表面から不要トナーを除去して一時的に保持しておくトナー仮保持部材13とから構成されており、上記第1中間転写ドラム2a,2bは上記現像器12の下流側において感光体ドラム10に接している。従って、感光体ドラム10の回転に伴い、かかる感光体ドラム10の表面に対しては帯電、露光、現像、転写の各工程が連続して行われ、各色の画情報に応じたトナー像が第1中間転写ドラム2a,2bに一次転写される。
【0027】
以上説明してきた各構成部材のうち、各色の感光体ドラム10、ブラシロール帯電器11及びトナー仮保持部材13は単一のドラムユニット6として一体化されており、また、一対の第1中間転写ドラム2a,2b及び第2中間転写ドラム3は単一の画像転写ユニット7として一体化されており、例えば感光体ドラム10の劣化等によって画像品質が低下する場合等には、上記ドラムユニット6をブラシロール帯電器11と共にそのまま交換するようになっている。
【0028】
上記ブラシロール帯電器11は導電性金属からなる回転軸の周囲に導電性の摺擦毛を起立させたブラシロールであり、上記回転軸に対して約−900VのDC電圧を印加することにより、感光体ドラム10の表面が例えば約−370V程度の背景部電位に一様に帯電されるようになっている。前記摺擦毛としては、ナイロン、ポリエステル、アクリル又はテフロン(登録商標)からなる繊維中にカーボンを分散させ、比抵抗値を104 〜109 Ωcmに調整したものを用いることができる。
【0029】
また、上記現像器12は所謂磁気ブラシ現像方式を採用するものであり、各色作像エンジン1Y,1M,1K,1Cの現像器には対応する色のトナー及びキャリアからなる現像剤が充填されている。各現像器12は所定の間隙を保って感光体ドラム10に対向する現像ロール14を備えており、上記現像剤はこの現像ロール14上に磁気ブラシを形成し、現像ロール14の回転に伴って感光体ドラム10を摺擦する。また、現像ロール14にはAC成分にDC成分を重畳した現像バイアス電圧が印加されており、この現像バイアス電圧を印加しながら現像剤の磁気ブラシで感光体ドラム10を摺擦することにより、光ビームBmによって露光された感光体ドラム10上の画像部にのみトナーが付着し、トナー像が形成される。この実施例では、例えば、光ビームBmの露光後の画像部電位が−75V以下程度、現像バイアス電圧はAC成分が4kHz、1.5kVpp、DC成分が−300Vに設定されている。
【0030】
上記トナーとしては、形状係数値SF−1が120以下の球形トナーを使用するのが好ましい。このような球形トナーは感光体ドラム10からの離型性が良好なので、感光体ドラム10から第1中間転写ドラム2a,2bへのトナー像の一次転写においてその転写効率を高めることが可能であり、感光体ドラム10に対してクリーナを設けない所謂クリーナレス構造を実現する上で最適である。
【0031】
更に、上記トナー仮保持部材13は、前記ブラシロール帯電器11と同様に金属製回転軸の周囲に導電性の摺擦毛が起立したブラシロールであり、ブラシロール帯電器11に対するトナーの付着を防止するため、感光体ドラム10の回転方向に関してブラシロール帯電器11の上流側に配置されている。このトナー仮保持部材13は感光体ドラム10の表面を摺擦することにより、トナー像を一次転写した後の感光体ドラム10の表面に付着しているトナーや、ブラシロール帯電器11による帯電時に感光体ドラム10に付着した放電生成物を除去し、これらの物質が下流側のブラシロール帯電器11の表面に付着するのを防止している。トナー像を転写後の感光体ドラム10の表面に残留しているトナーには、本来の帯電極性のままのトナー(正極性トナー)と、転写電界を通り抜ける際の電荷注入により極性反転してしまったトナー(逆極性トナー)が存在する。感光体ドラム10から第1中間転写ドラム2a,2bへのトナー像の転写効率を高めた結果として、感光体ドラム10上に残留する正極性トナーは殆ど発生しないので、このトナー仮保持部材13には逆極性トナーを積極的に回収するためのバイアス電圧が印加されている。もっとも、このようなバイアス電圧を作用させていても、トナー仮保持部材13が感光体ドラム10の表面を機械的に摺擦することから、感光体ドラム10表面に僅かに残留する正極性トナーも該トナー仮保持部材13に付着することになる。
【0032】
トナー像の転写効率を高めたことにより、トナー像転写後の感光体ドラム10の表面に付着している正極性トナー及び逆極性トナーは極僅かなので、このトナー仮保持部材13は感光体ドラム10から除去したこれらの不要トナーや放電生成物をプロセス外に排出するための機構、すなわちデトーニング機構を具備していない。すなわち、上記トナー仮保持部材13は不要トナー等をプリントジョブの実行中に一時的に蓄積しておくためにのみ用いられている。そして、一時的に保持された不要トナー等は、プリントジョブの合間に実行されるクリーニングモードにおいて感光体ドラム10上に吐き出され、第1中間転写体2a,2bに設けられたトナー除去部材20,30によってプロセス外へ排出されるようになっている。このように各作像エンジン1には不要トナーのデトーニング機構を具備する必要がないので、各作像エンジン1は極めてコンパクトなものとなり、プリンタ全体としての小型化に寄与している。
【0033】
尚、図1中ではイエローの作像エンジン1Yにのみ符号を入れて説明したが、その他の色の作像エンジン1M,1K,1Cも全く同一の構成を具備している。
【0034】
一方、上記第1及び第2中間転写ドラム2,3はFeやAl等からなる金属パイプを0.1〜10mm程度の導電性シリコーンゴム等の低抵抗弾性層(R=102 〜103 Ω)で被覆して形成され、更に、低抵抗弾性層の表面には高離型層として厚さ3〜100μmのフッ素ゴム層(抵抗値はR=105 〜109 Ω程 度)が設けられており、シランカップリング剤系の接着剤(プライマ)で接着されている。第2中間転写ドラム3の抵抗値は第1中間転写ドラム2のそれよりも高く設定する必要がある。そうしないと、第2中間転写ドラム3が第1中間転写ドラム2を帯電してしまい、第1中間転写ドラム2の表面電位の制御が難しくなる。この実施例では、第1中間転写ドラム2の抵抗値が108 Ω程度に、第2中間転写ドラム3の抵抗値は1011Ω程度に設定されている。
【0035】
上記第1中間転写ドラム2上に感光体ドラム10からトナー像を静電的に転写するために必要な表面電位は、+250〜500V程度である。最適な表面電位はトナーの帯電状態や雰囲気温度、湿度によって変動するが、トナーの帯電量が−20〜−35μC/g の範囲内にあり、常温常湿環境下にある場合には、第1中間転写ドラム2の表面電位は、+400V程度が望ましい。
【0036】
また、第2中間転写ドラム3上へ第1中間転写ドラム2からトナー像を静電的に転写するために必要な表面電位は、+600〜1200V程度である。最適な表面電位は一次転写の時と同様にトナーの帯電状態や雰囲気温度、湿度によって変動する。また、転写に必要なのは、第1中間転写ドラム2と第2中間転写ドラム3との間の電位差であるので、第1中間転写ドラム2の表面電位に応じた値に設定することが必要である。上述のように、トナーの帯電量が−20〜−35μC/gの範囲内にあり、常温常湿環境下であって、第1中間転写ドラム2の表面電位が+400V程度の場合には、第2中間転写ドラム3の表面電位は、+810V程度、つまり第1中間転写ドラム2と第2中間転写ドラム3との間の電位差は、+410V程度に設定することが望ましい。
【0037】
更に、上記第1中間転写ドラム2及び第2中間転写ドラム3に対しては、これらの中間転写ドラムに付着している不要トナーをプロセス外へ排出するためのトナー除去部材20,30が夫々設けられている。かかるトナー除去部材20,30は、いずれも、中間転写ドラム2,3に接しながら回動すると共にバイアス電圧が印加された金属製の回収ロール21,31と、この回収ロール21,31の表面に接する金属製のクリーニングブレード22,32とを備えており、中間転写ドラム2,3上の不要トナーを静電誘引力で回収ロール21,31に付着させた後、上記クリーニングブレード22,32で回収ロール21,31の表面から掻き落とすように構成されている。そして、掻き落とされた不要トナーは図示外のオーガによって廃棄ボックスへ送り込まれるようになっている。また、上記回収ロール21,31は中間転写ドラム2,3の表面からトナーが効率よく転移してくるよう、中間転写ドラムの周速に対して2%程度の周速差を有して回転している。
【0038】
プリントジョブの実行中において、第1中間転写ドラム2に対して設けられた第1トナー除去部材20は逆極性トナーを該第1中間転写ドラム2の表面から除去している。これは、トナー像を記録シートPへ最終転写する際に生じた逆極性トナー、及びトナー像を第2中間転写ドラム3へ二次転写する際に生じた逆極性トナーが電位勾配を逆上って感光体ドラム10に付着するのを防止するためである。特に、マゼンタ及びシアンの現像器12に対する他色トナーの混色を防止する上で重要である。
【0039】
これに対し、第2中間転写ドラム3に対して設けられた第2トナー除去部材30は、プリントジョブの実行中、正極性トナーを該第2中間転写ドラム3の表面から除去している。フルカラー画像の形成時は第2中間転写ドラム3上に4色のトナー像が重ねて形成されているので、最終転写後の第2中間転写ドラム3の表面には第1中間転写ドラム2に比較して多くの転写残留トナーが発生し易い。このため、記録シートPへ転写されなかった正極性トナーを第2中間転写ドラム3上から確実に除去しないと、かかる正極性トナーが第2中間ドラム3の周囲を一周し、記録シートP上にゴースト像として転写されてしまうのである。
【0040】
一方、上記第1中間転写ドラム2a,2b及び第2中間転写ドラム3に対しては、上記感光体ドラム10へ設けたものと同一のトナー仮保持部材23,33が夫々設けられている。第1中間転写ドラム2に対して設けられたトナー仮保持部材(以下、「第1クリーナ」と記す)23は、トナー像の二次転写部と第1トナー除去部材20との間で各第1中間転写ドラム2の表面を摺擦しており、プリントジョブの実行中はバイアス電圧の印加によって正極性トナーを捕まえている。本来、正極性トナーは第1中間転写ドラム2から第2中間転写ドラム3へ転写されていくので、この第1クリーナ23が捕える正極性トナーは二次転写における転写残留トナーである。しかし、二次転写では2色のトナー像のみが第2中間転写ドラム3へ転写されるので、最終転写に比べて転写残留トナーは少ない。それ故、デトーニング機構を具備しない第1クリーナ23によって第1中間転写ドラム2上の正極性トナーの除去を行うように構成されている。
【0041】
また、第2中間転写ドラム3に対して設けられたトナー仮保持部材(以下、 「第2クリーナ」と記す)33は、第2トナー除去部材30と第1中間転写ドラム2aとの間で第2中間転写ドラム3の表面を摺擦しており、プリントジョブの実行中はバイアス電圧の印加によって、第2トナー除去部材30と同様、正極性トナーを捕まえている。すなわち、最終転写後に第2中間転写ドラム3上に残留した正極性トナーは、先ず第2トナー除去部材30によって除去された後、更に第2クリーナ33によっても除去され、ゴースト像の発生が入念に防止されている。
【0042】
このプリンタでは前記ドラムユニットの構成を簡略化するため、ブラシロール帯電器11には何ら駆動手段が設けられておらず、かかるブラシロール帯電器11は摺擦毛と感光体ドラム10との間に作用する摩擦力によって感光体ドラム10の回転に連れ回っている。図2は感光体ドラム10から離間させたブラシロール帯電器11の断面を示すものである。符号112はブラシロール帯電器11の回転軸111に接続されたDC電源であり、感光体ドラム10とブラシロール帯電器11との間に放電開始電圧以上の電位差を与えている。このブラシロール帯電器11では摺擦毛110が回転軸111に対して略垂直に起立しておらず、感光体ドラム10の回転方向と対向する方向へ傾斜して起立している。このため、ブラシロール帯電器11を感光体ドラム10に接触させた状態で該感光体ドラム10を回転させると、摺擦毛の先端が感光体ドラムの表面で弾かれ、両者の接触位置におけるブラシロール帯電器11の線速度(外径における周速度)を感光体ドラム10のそれよりも大きくすることが可能となる。すなわち、ブラシロール帯電器11は感光体ドラム10の回転に連れ回されているにも拘らず、その周速は感光体ドラムの周速よりも速くなるのである。
【0043】
感光体ドラム10に従動するブラシロール帯電器11の線速度は摺擦毛の硬さや植毛密度、長さ、ブラシロールの外径、を変化させることで自由に調節することができる。本実施例ではブラシロール帯電器11の外径約10mm、摺擦毛の長さ約2mm、感光体ドラム11の外径約20mm、摺擦毛の太さ約3デニール、植毛密度20万本/平方インチに設定し、ブラシ外径の感光体ドラム11に対する食い込み量を0.4mmに設定したところ、感光体ドラム11に対するブラシロール帯電器の線速度比を1.4程度に安定化することができた。
【0044】
また、このように帯電装置としてブラシロール帯電器11を用いると、ブラシロール帯電器11は感光体ドラム10の表面に付着している残留トナーや放電生成物を意図せずして掻き取りながら、かかる感光体ドラム10の表面の帯電を行うことになる。ブラシロール帯電器の摺擦毛が長いほど、かかるブラシロール帯電器が回転中に保持し得るトナー等の絶対量量は増加し、経時的なトナー汚れに対して強くなると言えるが、前述の如くブラシロール帯電器の摺擦毛を周方向へ傾斜させていると、ブラシロール帯電器の外径が同一の場合であっても、摺擦毛の毛足を長く設定することができるので、ブラシロール帯電器の小径化を図りつつも、トナー汚れの影響を受けにくい帯電器とすることができる。
【0045】
図3は及び図4はブラシロール帯電器11の製造方法の一例を示すものである。このブラシロール帯電器11は、図3に示すように、導電性繊維からなる摺擦毛110が起毛した布地113を導電性の金属回転軸111に対して螺旋状に巻き付けることによって製作されている。かかる布地113には図4に示すように摺擦毛110が略垂直に起立しているが、これを熱ロール114で挟み込んで加圧することにより、摺擦毛110が倒れた布地を得ることができる。そして、このように摺擦毛110が倒れた布地113を回転軸111に巻き付けることによって、かかる摺擦毛110が周方向に傾斜したブラシロール帯電器11を製造することができる。
【0046】
また、他の製造方法としては、布地113を回転軸111に巻き付ける以前の段階で摺擦毛110を倒すのではなく、摺擦毛110が略垂直に起立した布地113を回転軸111に対して巻き付けてブラシロールとした後、このブラシロールを熱ロールに押し付けながら回転させることにより、摺擦毛110を周方向に傾斜させることも可能である。更に、摺擦毛110が起立した布地113を製造する各工程で、摺擦毛110の毛起こしを考慮せず、かかる摺擦毛110が倒れ込むようにしても良い。
【0047】
ブラシロール帯電器11の摺擦毛110が周方向に斜めに傾斜している度合いは目視によって計測することができる。図5に示すように、ブラシロール帯電器11の回転軸111を目と同一の高さに置くと共に、かかる回転軸111と一定の距離dを置き、この状態からブラシロール11を上下動させると、摺擦毛110の傾斜の度合いに応じた位置で該摺擦毛110の毛先を見ることができるのである。摺擦毛110の毛先を正面から観察すると、摺擦毛110の腹を観察しているときとでは色の見え方が異なるので、この方法によって摺擦毛110の傾斜度合いを確認することができる。そして、毛先が見えた際の回転軸111のオフセット量hを摺擦毛110の傾斜度合いの指標とするのである。
【0048】
この計測方法によれば、実施例に使用したブラシロール帯電器11のオフセット量hは、距離d=500mmのときに、h=300mmであった。
【0049】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明の帯電装置によれば、ブラシロールの摺擦毛の毛先を周方向へ傾斜させることにより、かかるブラシロールを像担持体に従動回転させているにも拘らず、該ブラシロールの線速度と像担持体のそれとを異ならせることができるので、モータ等の駆動機構を具備せずとも像担持体に対するブラシロールの摺擦毛の接触頻度を高めることができ、像担持体の表面をムラなく安定的に帯電させることが可能であり、しかも画像形成装置の小型化及び低コスト化に資することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の帯電装置を適用したカラーレーザビームプリンタの構成を示す概略図である。
【図2】実施例に係るブラシロール帯電器を示す断面図である。
【図3】実施例に係るブラシロール帯電器の製造方法を示す斜視図である。
【図4】摺擦毛が起立した布地を示す拡大断面図である。
【図5】摺擦毛の傾斜の度合いを計測する方法を説明する図である。
【符号の説明】
10…感光体ドラム、2a,2b…第1中間転写ドラム、3…第2中間転写ドラム、11…ブラシロール帯電器、110…摺擦毛、111…回転軸、112…DC電源
Claims (5)
- 多数の導電性摺擦毛が回転軸に対して起立すると共に、かかる摺擦毛で像担持体を摺擦するように配置されるブラシロールと、このブラシロールと前記像担持体との間に電圧を印加する電源とを備え、前記像担持体の移動に合わせてその表面を帯電させるように構成した帯電装置であって、
上記ブラシロールは、像担持体と非接触の状態で、上記摺擦毛の毛先が周方向へ傾斜しており、感光体と接触配置された状態では、自ら回動することなく上記感光体の移動に連れ回されて回転し、接触位置におけるブラシロールの線速度が像担持体の表面におけるそれと異なることを特徴とする帯電装置。 - 上記ブラシロールの摺擦毛は回転軸の周面に対して略垂直に起立しており、毛先のみが周方向へ倒されていることを特徴とする請求項1記載の帯電装置。
- 上記ブラシロールの摺擦毛は回転軸の周面に対して傾斜した状態で起立していることを特徴とする請求項1記載の帯電装置。
- 上記ブラシロールは摺擦毛が起立した布地を回転軸に巻き付けてなり、かかる摺擦毛が上記布地に対して傾斜した状態で起立していることを特徴とする請求項3記載の帯電装置。
- 上記ブラシロールの像担持体に対する回転速度比が両者の接触位置における線速度比で0.6以下、又は1.3以上であることを特徴とする請求項1記載の帯電装置。
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JP2007079286A (ja) * | 2005-09-15 | 2007-03-29 | Ricoh Co Ltd | 画像形成装置及びこれに用いるプロセスカートリッジ |
CN100458587C (zh) * | 2006-02-10 | 2009-02-04 | 京瓷美达株式会社 | 图像形成装置 |
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