JP4310965B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば電子写真複写機やレーザビームプリンタ等、感光体上に形成されたトナー像を転写ロール等の転写手段よって記録シートに転写して記録画像を形成する画像形成装置に係り、特に、感光体上で発生した転写残留トナー等の不要トナーを該感光体上ではなく、転写手段上で除去するように構成した画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開2001−75448号公報には、中間転写体を介して記録シートに4色のトナー像を転写するように構成したフルカラーレーザビームプリンタが開示されている。このプリンタはイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各色に対応した感光体ドラムを個別に備えた所謂タンデム型のフルカラープリンタであり、各色の感光体ドラムから記録シートへは、第1中間転写ドラム及び第2中間転写ドラムを介してトナー像の転写が行われるようになっている。また、第1中間転写ドラムは一対が設けられており、一方の第1中間転写ドラムにはイエロー及びマゼンタのトナー像が一次転写されて重ね合わされ、他方の第1中間転写ドラムにはシアン及びブラックのトナー像が転写されて重ね合わされるようになっている。また、これら一対の第1中間転写ドラム上に一次転写された各色トナー像は第2中間転写ドラムに二次転写され、かかる第2中間転写ドラム上で4色のトナー像が重ね合わされるようになっている。そして、このようにして第2中間転写ドラム上に形成された4色の多重トナー像は、第2中間転写ドラムに接する最終転写ロールによって記録シートに一括転写されるようになっている。
【0003】
このプリンタにおいて特徴的なのは、各色の感光体ドラムに対して転写残留トナーを除去するクリーナが設けられていない点である。従来より、感光体ドラムに対してクリーニングブラシやクリーニングブレードを配置し、トナー像転写後の感光体ドラムの表面に付着している残留トナーを除去する技術は公知である。しかし、これらクリーニングブラシやクリーニングブレードは、残留トナーを効率よく除去するために、感光体ドラムの表面を機械的に強く摺擦しており、感光体の摩耗を助長する傾向にある。従って、感光体ドラムに対してクリーニングブラシやクリーニングブレードを接触させない、所謂クリーナレスの構成を採用すれば、感光体ドラムの寿命を延命化することができる。
【0004】
もっとも、クリーナレス構成を可能とするためには、トナー像の転写効率を高め、転写後の感光体ドラムに殆ど残留トナーが発生しないようにすることが重要である。前述のような中間転写ドラムを用いた画像形成装置では、中間転写ドラムを被覆する半導電性弾性層の抵抗値を最適化すると共に、温度・湿度の変動に対して最適な転写バイアスを設定することにより、トナー像の転写効率を高めることが可能であり、また、近年では転写効率に優れた球形トナーが実用化されるに至り、クリーナレス構成が実現可能となっている。
【0005】
一方、トナー像を形成するトナーは転写電界を通り抜ける際に、転写ニップ前後におけるパッシェン放電や転写ニップ内での電荷注入により、僅かづつではあるが逆極性に帯電してしまう。この極性反転したトナー(逆極性トナー)は転写部において本来の帯電極性のままのトナー(正極性トナー)とは逆方向、すなわち中間転写ドラムから感光体ドラムへと逆上る方向へ移動することから、記録シートへは転写されず、最終的には感光体ドラムを帯電している帯電ロールまで逆上って、そこに蓄積されてしまう。帯電ロールに代表される所謂接触型の帯電器の場合、その表面がトナーによって汚染されると、感光体ドラムの帯電むらの原因となり、例えばハーフトーン画像を形成した際に色むらが発生してしまう。本来、このような逆極性トナーは感光体ドラムに接するクリーニングブラシやクリーニングブレードによって機械的に除去されてしまうため、感光体ドラムに対してクリーナを設けている画像形成装置では問題になることはないが、クリーナレスの画像形成装置では画質に係わる極めて重大な問題となる。
【0006】
また、トナー像を形成するトナーの中には帯電量の低いものも存在し、かかるトナーは正極性トナーではあるが、転写電界が有効に作用しないことから、中間転写ドラムへ転写されることなく感光体ドラム上に残留してしまう。従って、極僅かではあるが正極性トナーも転写残留トナーとして感光体ドラム上に残り、機械的な付着力によって感光体ドラムから帯電ロールへ転移してしまう。このような正極性トナーによっても帯電ロールの性能は低下してしまう。
【0007】
このため、特開2001−75448号公報に開示されるプリンタでは、プリントジョブの合間に、あるいはプリントジョブを中断してクリーニングモードを実行し、プリントジョブの最中に帯電ロールに蓄積した正極性トナー及び逆極性トナーを該帯電ロールから吐き出させ、最終転写ロールに対して設けられたクリーニングブレードでこれらトナーを除去することにより、帯電ロールの清浄化を行うようになっている。具体的には、帯電ロール、感光体ドラム、中間転写ドラム、最終転写ロールの間に形成される電位勾配を制御し、最初は画像形成時と同様な電位勾配を与えることによって、帯電ロールに付着している正極性トナーを帯電ロールから最終転写ロールへ順次転移させていき、次に電位勾配を逆転させて逆極性トナーを帯電ロールから最終転写ロールへ順次転移させていき、両極性のトナーを上記クリーニングブレードで最終転写ロール上から除去し、廃トナー容器へ回収するように構成されている。
【0008】
また、特開2001−75448号公報記載の技術を採用したフルカラーレーザビームプリンタとして、出願人はDocu Print C1616を既に商品化してるが、このプリンタでは、帯電ロールに対する逆極性トナーの付着を軽減するため、感光体ドラム上における帯電ロールの上流側にブラシロールからなるトナーの仮保持ロールが設けられている。この仮保持ロールにはバイアス電圧が印加されており、トナー像転写後の感光体ドラムの表面を極軽く摺擦することにより、感光体ドラム表面に付着している逆極性トナーを電気的に捕獲し、前述のクリーニングモードが実施されるまでの間、これらのトナーを一時的に保持している。そして、仮保持ロールに蓄積された逆極性トナーはクリーニングモードの際に感光体ドラム上に吐き出され、帯電ロールに蓄積されていたトナーと同様にして最終転写ロール上から除去されるようになっている。従って、この仮保持ロールそれ自体は捕獲したトナーをプロセス外へ排出するためのデトーニング機構を備えていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
帯電ロールによって感光体ドラムを所定の基準電位(反転現像における背景部電位)にまで帯電する際、かかる帯電ロールに印加する電圧としては、DC成分のみの電圧、AC成分にDC成分を重畳した電圧のいずれであっても差し支えないが、AC成分はDC成分のみの場合と比較して感光体ドラムに対する攻撃性が強く、経時的に感光体ドラム表面の感光層に微少な凹凸が形成され易いといった傾向にある。このため、トナー像の転写効率を高めてクリーナレス構成を実現するといった観点からすれば、帯電ロールに印加する電圧はAC成分を含まず、DC成分のみであることが好ましく、前述したDocu Print C1616においても帯電ロールにはDC成分のみの電圧が印加されている。
【0010】
しかし、DC成分のみを帯電ロールに対して印加した場合には、AC成分にDC成分を重畳した場合と比較して、感光体ドラムの表面電位が急峻には基準電位にまで立ち上がらず、例えば感光体ドラムの表面電位が0V近くまで低下しているプリントジョブの開始時等には、感光体ドラムの表面が帯電ロールを2回通過しないと、かかる表面領域については基準電位に達し難いという特質がある。
【0011】
このため、トナー像を記録シートや中間転写ドラムに転写した後の感光体の表面領域に静電潜像が残存していると、帯電ロールによって感光体ドラムの表面を一様帯電させることが難しいという問題点があった。すなわち、かかる静電潜像は基準電位に一様帯電された感光体ドラムの表面を画情報に応じて露光し、露光部位の表面電位を低下させることよって形成されており、トナー像転写後の感光体表面に静電潜像が明瞭に残存していると、帯電ロールを1回通過しただけでは露光部位の表面電位が基準電位まで回復せず、次に現像器を通過した際にゴースト像として顕在化されてしまう。
【0012】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、接触式帯電器に対してDC成分のみを印加して感光体ドラムを一様に帯電させるに当たり、ゴースト像を発生させるような感光体表面電位の帯電むらを防止し、もって濃度むらのない高画質な記録画像を形成することが可能な画像形成装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、所定のプロセススピードで回動する感光体と、DC成分のみからなる電圧が印加されて上記感光体の表面を一様な基準電位に帯電する接触式帯電器と、一様帯電された感光体の表面を画情報に基づいて露光して静電潜像を形成する露光手段と、上記静電潜像をトナー現像する現像器と、上記感光体上に形成されたトナー像を記録シートに転写させる転写手段と、トナー像転写後の感光体の表面を摺擦するブラシロールからなると共にバイアス電圧が印加されたトナー仮保持部材とを備え、作像動作時にはトナー像転写後の感光体表面に残留するトナーを上記トナー仮保持部材によって電気的に捕獲させこれを一時的に保持させる一方、作像動作の合間には、上記トナー仮保持部材に捕獲されていた残留トナーを感光体上に吐き出させ、かかる残留トナーを上記転写手段に対して設けられたトナー除去部材で作像プロセス外へ排出させるように構成された画像形成装置を前提とし、作像動作時に上記トナー仮保持部材に対して印加するバイアス電圧は、上記帯電器に対する印加電圧と同一極性で、且つ、上記基準電位に満たない感光体の表面領域のみをトナー仮保持部材が選択的に帯電させるように設定されていることを特徴とするものである。
【0014】
このような技術的手段によれば、譬えトナー像転写後の感光体表面に静電潜像の電位履歴が残存していたとしても、表面電位が基準電位よりも低下している感光体上の領域については、トナー仮保持部材を通過する際に電荷が注入されて表面電位の回復が図られ、更に帯電器を通過することにより、かかる表面電位が基準電位にまで確実に回復される。一方、トナー像中の背景部に相当し、表面電位が基準電位の近傍に保たれている感光体の表面領域については、トナー仮保持部材を通過しても、かかるトナー仮保持部材から電荷が注入されることはなく、帯電器によってのみ表面電位が基準電位へチャージアップされることになる。すなわち、トナー像中の画像部等、露光によって電位が低下している感光体の表面領域に対しては、トナー仮保持部材及び帯電器の双方から電荷が注入され、静電潜像の電位履歴が残存している場合であっても、感光体の表面電位を素早く基準電位へ回復させることができるものである。
【0015】
一般に、DC電圧を帯電器に印加した場合の感光体の帯電電位と印加電圧との間には閾値が存在し、印加電圧がある値を超えるまでは感光体の帯電が行われない。この値は放電開始電圧Vthと呼ばれ、感光体の誘電率及び厚み、気中の放電特性パッシェン則を用いることによって、理論的に実験値と略一致した結果を得ることができ、概ね−500V程度である。このことから、例えば、感光体を−350Vに帯電させたいのであれば、帯電器に印加する電圧としては約−850Vが必要ということになる。
【0016】
従って、上記トナー仮保持部材についても、これに印加されるバイアス電圧が感光体の表面電位に対して放電開始電圧Vth以上の電位差を有している場合に、かかるトナー仮保持部材が感光体表面を帯電させることになる。従って、放電開始電圧が基準電位に満たない感光体の表面領域のみを選択的に帯電するための具体的な手段としては、図3に示すように、かかるトナー仮保持部材に対して印加するバイアス電圧Vrfが感光体の基準電位Vhに対して放電開始電圧Vth未満の電位差(Vth−α)の範囲にあり、しかも、表面電位が低下している領域Sに対して放電開始電圧Vthを上回る電位差(Vth+α)を有していれば良いことになる。これにより、領域Sはトナー仮保持部材によって帯電され、図4に示すように、トナー仮保持部材のバイアス電圧Vrfに対して電位差Vthとなるまで表面電位が回復することになる。
【0017】
また、トナー仮保持部材が基準電位Vh を超えて感光体を帯電させてしまうと、トナー仮保持部材を構成するブラシロールの摺擦痕が表面電位むらとなって現れてしまい、この表面電位むらがトナー像の濃度むらとなって顕在化されてしまうので、このようにトナー仮保持部材のバイアス電圧Vrfと感光体の表面電位Vh との電位差がVth未満に設定されていれば、トナー仮保持部材に起因してトナー像に濃度むらが発生するのを防止することができる。
【0018】
一方、トナー仮保持部材によって感光体上の電位履歴を軽減し、帯電器による感光体の一様帯電を解除するという観点からすれば、トナー仮保持部材に印加するバイアス電圧Vrfは、感光体の露光部位における表面電位VL との電位差が放電開始電圧Vthを上回っているのが好ましい。このようにVrfを設定すれば、少なくとも露光によって表面電位が低下した領域については、トナー仮保持部材によって表面電位を基準電位Vh 近傍まで帯電させることができ、帯電器を通過することによって確実に基準電位Vh まで表面電位を回復させることが可能となる。
【0019】
尚、本発明における転写手段とは、感光体から記録シートに対して直接トナー像を転写させるものであっても、中間転写体を介して記録シートにトナー像を転写させるものであっても差し支えない。また、作像動作の合間とは、一連の作像動作中のページとページの合間は勿論、一連の作像動作の前後、例えば、一連の作像動作の終了後、次の一連の作像動作までの合間であってもよい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて本発明の画像形成装置を詳細に説明する。
図1は本発明を適用したフルカラーレーザビームプリンタの概略構成を示すものである。尚、図1中の矢印は、各回転部材の回転方向を示している。
【0021】
このフルカラープリンタは、イエロー(Y)、マゼンタ (M)、ブラック (K)及びシアン(C)の各色毎に作像エンジン1を有する所謂タンデム型のプリンタであり、各作像エンジン1では色毎の画情報に応じたトナー像を所定のタイミングで感光体ドラム10上に形成するようになっている。また、各感光体ドラム10に形成されたトナー像は第1中間転写ドラム2に一次転写された後、この第1中間転写ドラム2から第2中間転写ドラム3へと二次転写され、最終的には第2中間転写ドラム3に接する最終転写ロール4によって、かかる第2中間転写ドラム3から記録シートPへ最終転写されるようになっている。
【0022】
上記第1中間転写ドラム2は2色の作像エンジンに対して1本づつ、計2本が設けられており、一方の第1中間転写ドラム2aに対してはイエロー及びマゼンタの作像エンジン1Y,1Mからトナー像が転写され、他方の第1中間転写ドラム2aに対してはブラック及びシアンの作像エンジン1K,1Cからトナー像が転写され、各第1中間転写ドラム2a,2b上では2色のトナー像が重ね合わされるようになっている。また、上記第2中間転写ドラム3は一対の第1中間転写ドラム2a,2bの双方に対して接しており、一方の第1中間転写ドラム2aからイエロー及びマゼンタのトナー像が転写された後に、他方の第1中間転写ドラム2bからブラック及びシアンのトナー像が転写され、4色のトナー像が第2中間転写ドラム3上で重なり合うようになっている。また、トナー像が転写された記録シートPは定着器5を経て図示外の排紙トレーへ排出されるようになっている。
【0023】
従って、この実施例のプリンタでは、第1中間転写ドラム2a,2b、第2中間転写ドラム3の回転方向からして、各色のトナー像が作像エンジンから記録シートPへの最終転写位置に到達するまでのプロセス距離は、ブラック、シアン、イエロー、マゼンタの順番に遠くなっており、これら4色のトナー像を第2中間転写ドラム3上で重ね合わせるには、マゼンタの作像エンジン1Mにおけるトナー像の書き出しタイミングがもっとも早くなる。
【0024】
各作像エンジン1は、感光体ドラム10と、この感光体ドラム10を所定の背景部電位(基準電位Vh )に帯電させる帯電ロール11と、画情報で変調された光ビームBmで感光体ドラム10を露光してその表面電位を画像部電位VL にまで低下させるレーザ光学ユニット(図示せず)と、露光によって感光体ドラム10上に形成された静電潜像をトナー現像する現像器12と、トナー像を一次転写した後の感光体ドラム10の表面から不要トナーを除去して一時的に保持しておくトナー仮保持部材13とから構成されており、上記第1中間転写ドラム2a,2bは上記現像器12の下流側において感光体ドラム10に接している。従って、感光体ドラム10の回転に伴い、かかる感光体ドラム10の表面に対しては帯電、露光、現像、転写の各工程が連続して行われ、各色の画情報に応じたトナー像が第1中間転写ドラム2a,2bに一次転写される。
【0025】
以上説明してきた各構成部材のうち、各色の感光体ドラム10、帯電ロール11及びトナー仮保持部材13は単一のドラムユニット6として一体化されており、また、一対の第1中間転写ドラム2a,2b及び第2中間転写ドラム3は単一の画像転写ユニット7として一体化されており、例えば感光体ドラム10の劣化等によって画像品質が低下する場合等には、上記ドラムユニット6を帯電ロール11と共にそのまま交換するようになっている。
【0026】
上記帯電ロール11は導電性金属からなる軸芯部材の周囲を導電性の発泡弾性体で被覆し形成されており、かかる発泡弾性体の空隙にトナーが目詰まりするのを防止するため、かかる弾性体の周囲は導電性を有する円筒状の回転フィルムで被覆されている。そして、上記軸芯部材には約−900VのDC電圧が印加され、これによって回転フィルムの周面と感光体ドラム10の周面とが形成する楔状の微少隙間において放電が発生し、感光体ドラム10の表面は例えば約−370V程度の背景部電位に一様に帯電される。
【0027】
また、上記現像器12は所謂磁気ブラシ現像方式を採用するものであり、各色作像エンジン1Y,1M,1K,1Cの現像器には対応する色のトナー及びキャリアからなる現像剤が充填されている。各現像器12は所定の間隙を保って感光体ドラム10に対向する現像ロール14を備えており、上記現像剤はこの現像ロール14上に磁気ブラシを形成し、現像ロール14の回転に伴って感光体ドラム10を摺擦する。また、現像ロール14にはAC成分にDC成分を重畳した現像バイアス電圧が印加されており、この現像バイアス電圧を印加しながら現像剤の磁気ブラシで感光体ドラム10を摺擦することにより、光ビームBmによって露光された感光体ドラム10上の画像部にのみトナーが付着し、トナー像が形成される。この実施例では、例えば、光ビームBmの露光後の画像部電位が−75V以下程度、現像バイアス電圧はAC成分が4kHz、1.5kVpp、DC成分が−300Vに設定されている。
【0028】
上記トナーとしては、形状係数値SF−1が120以下の球形トナーを使用するのが好ましい。このような球形トナーは感光体ドラム10からの離型性が良好なので、感光体ドラム10から第1中間転写ドラム2a,2bへのトナー像の一次転写においてその転写効率を高めることが可能であり、感光体ドラム10に対してクリーナを設けない所謂クリーナレス構造を実現する上で最適である。
【0029】
更に、上記トナー仮保持部材13は金属製回転軸の周囲に導電性の摺擦毛が起立したブラシロールであり、帯電ロール11に対するトナーの付着を防止するため、感光体ドラム10の回転方向に関して帯電ロール11の上流側に配置されている。このトナー仮保持部材13は感光体ドラム10の表面を摺擦することにより、トナー像を一次転写した後の感光体ドラム10の表面に付着している正極性トナーや逆極性トナー、帯電ロール11による帯電時に感光体ドラム10に付着した放電生成物を除去し、これらの物質が下流側の帯電ロール11の表面に付着するのを防止している。感光体ドラム10から第1中間転写ドラム2a,2bへのトナー像の転写効率を高めた結果として、感光体ドラム10上に残留する正極性トナーは殆ど発生しないので、このトナー仮保持部材13には逆極性トナーを積極的に回収するためのバイアス電圧が印加されている。もっとも、このようなバイアス電圧を作用させていても、トナー仮保持部材13が感光体ドラム10の表面を機械的に摺擦することから、感光体ドラム10表面に僅かに残留する正極性トナーも該トナー仮保持部材13に付着することになる。
【0030】
上記摺擦毛としては、ナイロン、ポリエステル、アクリル又はテフロン(登録商標)からなる繊維中にカーボンを分散させ、比抵抗値を102 〜107 Ωcmに調整したものを用いることができる。また、上記トナー仮保持部材13は感光体ドラム10の周速に対して一定の速度比を有する周速で回転しており、感光体ドラム10の表面に付着しているトナーに対して剪断力を作用させ、かかるトナーを効率よく捕獲することができるようになっている。この周速比は5%以上であることが好ましい。
【0031】
トナー像の転写効率を高めたことにより、トナー像転写後の感光体ドラム10の表面に付着している正極性トナー及び逆極性トナーは極僅かなので、このトナー仮保持部材13は感光体ドラム10から除去したこれらの不要トナーや放電生成物をプロセス外に排出するための機構、すなわちデトーニング機構を具備していない。すなわち、上記トナー仮保持部材13は不要トナー等をプリントジョブの実行中に一時的に蓄積しておくためにのみ用いられている。そして、一時的に保持された不要トナー等は、プリントジョブの合間に実行されるクリーニングモードにおいて感光体ドラム10上に吐き出され、第1中間転写体2a,2bに設けられたトナー除去部材20,30によってプロセス外へ排出されるようになっている。このように各作像エンジン1には不要トナーのデトーニング機構を具備する必要がないので、各作像エンジン1は極めてコンパクトなものとなり、プリンタ全体としての小型化に寄与している。
【0032】
尚、図1中ではイエローの作像エンジン1Yにのみ符号を入れて説明したが、その他の色の作像エンジン1M,1K,1Cも全く同一の構成を具備している。
【0033】
一方、上記第1及び第2中間転写ドラム2,3はFeやAl等からなる金属パイプを0.1〜10mm程度の導電性シリコーンゴム等の低抵抗弾性層(R=102 〜103 Ω)で被覆して形成され、更に、低抵抗弾性層の表面には高離型層として厚さ3〜100μmのフッ素ゴム層(抵抗値はR=105 〜109 Ω程 度)が設けられており、シランカップリング剤系の接着剤(プライマ)で接着されている。第2中間転写ドラム3の抵抗値は第1中間転写ドラム2のそれよりも高く設定する必要がある。そうしないと、第2中間転写ドラム3が第1中間転写ドラム2を帯電してしまい、第1中間転写ドラム2の表面電位の制御が難しくなる。この実施例では、第1中間転写ドラム2の抵抗値が108 Ω程度に、第2中間転写ドラム3の抵抗値は1011Ω程度に設定されている。
【0034】
上記第1中間転写ドラム2上に感光体ドラム10からトナー像を静電的に転写するために必要な表面電位は、+250〜500V程度である。最適な表面電位はトナーの帯電状態や雰囲気温度、湿度によって変動するが、トナーの帯電量が−20〜−35μC/g の範囲内にあり、常温常湿環境下にある場合には、第1中間転写ドラム2の表面電位は、+400V程度が望ましい。
【0035】
また、第2中間転写ドラム3上へ第1中間転写ドラム2からトナー像を静電的に転写するために必要な表面電位は、+600〜1200V程度である。最適な表面電位は一次転写の時と同様にトナーの帯電状態や雰囲気温度、湿度によって変動する。また、転写に必要なのは、第1中間転写ドラム2と第2中間転写ドラム3との間の電位差であるので、第1中間転写ドラム2の表面電位に応じた値に設定することが必要である。上述のように、トナーの帯電量が−20〜−35μC/gの範囲内にあり、常温常湿環境下であって、第1中間転写ドラム2の表面電位が+400V程度の場合には、第2中間転写ドラム3の表面電位は、+810V程度、つまり第1中間転写ドラム2と第2中間転写ドラム3との間の電位差は、+410V程度に設定することが望ましい。
【0036】
更に、上記第1中間転写ドラム2及び第2中間転写ドラム3に対しては、これらの中間転写ドラムに付着している不要トナーをプロセス外へ排出するためのトナー除去部材20,30が夫々設けられている。かかるトナー除去部材20,30は、いずれも、中間転写ドラム2,3に接しながら回動すると共にバイアス電圧が印加された金属製の回収ロール21,31と、この回収ロール21,31の表面に接する金属製のクリーニングブレード22,32とを備えており、中間転写ドラム2,3上の不要トナーを静電誘引力で回収ロール21,31に付着させた後、上記クリーニングブレード22,32で回収ロール21,31の表面から掻き落とすように構成されている。そして、掻き落とされた不要トナーは図示外のオーガによって廃棄ボックスへ送り込まれるようになっている。また、上記回収ロール21,31は中間転写ドラム2,3の表面からトナーが効率よく転移してくるよう、中間転写ドラムの周速に対して2%程度の周速差を有して回転している。
【0037】
プリントジョブの実行中において、第1中間転写ドラム2に対して設けられた第1トナー除去部材20は逆極性トナーを該第1中間転写ドラム2の表面から除去している。これは、トナー像を記録シートPへ最終転写する際に生じた逆極性トナー、及びトナー像を第2中間転写ドラム3へ二次転写する際に生じた逆極性トナーが電位勾配を逆上って感光体ドラム10に付着するのを防止するためである。特に、マゼンタ及びシアンの現像器12に対する他色トナーの混色を防止する上で重要である。
【0038】
これに対し、第2中間転写ドラム3に対して設けられた第2トナー除去部材30は、プリントジョブの実行中、正極性トナーを該第2中間転写ドラム3の表面から除去している。フルカラー画像の形成時は第2中間転写ドラム3上に4色のトナー像が重ねて形成されているので、最終転写後の第2中間転写ドラム3の表面には第1中間転写ドラム2に比較して多くの転写残留トナーが発生し易い。このため、記録シートPへ転写されなかった正極性トナーを第2中間転写ドラム3上から確実に除去しないと、かかる正極性トナーが第2中間ドラム3の周囲を一周し、記録シートP上にゴースト像として転写されてしまうのである。
【0039】
一方、上記第1中間転写ドラム2a,2b及び第2中間転写ドラム3に対しては、上記感光体ドラム10へ設けたものと同一のトナー仮保持部材23,33が夫々設けられている。第1中間転写ドラム2に対して設けられたトナー仮保持部材(以下、「第1クリーナ」と記す)23は、トナー像の二次転写部と第1トナー除去部材20との間で各第1中間転写ドラム2の表面を摺擦しており、プリントジョブの実行中はバイアス電圧の印加によって正極性トナーを捕まえている。本来、正極性トナーは第1中間転写ドラム2から第2中間転写ドラム3へ転写されていくので、この第1クリーナ23が捕える正極性トナーは二次転写における転写残留トナーである。しかし、二次転写では2色のトナー像のみが第2中間転写ドラム3へ転写されるので、最終転写に比べて転写残留トナーは少ない。それ故、デトーニング機構を具備しない第1クリーナ23によって第1中間転写ドラム2上の正極性トナーの除去を行うように構成されている。
【0040】
また、第2中間転写ドラム3に対して設けられたトナー仮保持部材(以下、「第2クリーナ」と記す)33は、第2トナー除去部材30と第1中間転写ドラム2aとの間で第2中間転写ドラム3の表面を摺擦しており、プリントジョブの実行中はバイアス電圧の印加によって、第2トナー除去部材30と同様、正極性トナーを捕まえている。すなわち、最終転写後に第2中間転写ドラム3上に残留した正極性トナーは、先ず第2トナー除去部材30によって除去された後、更に第2クリーナ33によっても除去され、ゴースト像の発生が入念に防止されている。
【0041】
尚、この実施例ではトナー除去部材を第1中間転写ドラム2及び第2中間転写ドラム3に対して設けたが、特開2001−75448号に示すように、最終転写ロールに対してトナー除去部材を設けるようにしても差し支えない。
【0042】
この実施例のレーザビームプリンタでは、前述の如く、各作像エンジン1の帯電ロール11に対してDC成分のみからなるバイアス電圧を印加しており、感光体ドラム10から第1中間転写ドラム2にトナー像を転写する際の転写効率が長期にわたって損なわれることがないよう配慮されている。その一方、DC成分のみで感光体ドラム10を帯電させようとすると、かかる感光体ドラム10の表面電位が急峻には立ち上がらないことから、静電潜像の履歴が残存している場合に、帯電ロール11を一回通過したのみでは感光体ドラム10の表面電位が一様に背景部電位Vh にまで上昇せず、この帯電むらが濃度むらとなって記録画像中に顕在化してしまう懸念がある。
【0043】
そこで、この実施例のプリンタでは、上記トナー仮保持部材13が帯電ロール11の上流側で感光体ドラム10を予備的に帯電するよう、かかるトナー仮保持部材13に印加するバイアス電圧を設定している。具体的には、図2(a)に示すように、トナー仮保持部材13のバイアス電圧Vrfが画像部電位VL (約−75V)に対して放電開始電圧Vthよりも大きい電位差V1 を有するように、且つ、背景部電位Vh (約−370V)に対して放電開始電圧Vth未満の電位差v2 を有するように、かかるバイアス電圧Vrf(例えば、約−650V)設定している。このようにトナー仮保持部材13のバイアス電圧Vrfを設定すると、一次転写部を通過した後も感光体ドラム10上に残留する静電潜像の電位履歴がトナー仮保持部材13を通過する際、少なくとも背景部電位Vh 以下に電位が低下している領域に対しては、トナー仮保持部材13から感光体ドラム10に対して電荷が注入され、かかる領域の表面電位は上昇することになる(図2(b)参照)。この実施例の場合、表面電位が約−80V以下の感光体ドラム上の領域がトナー仮保持部材を通過した際に帯電し、約−150Vに帯電することになる。もっとも、バイアス電圧Vrfと背景部電位Vh との電位差は放電開始電圧Vth未満であるから、トナー仮保持部材13によって帯電された感光体ドラム10上の領域も背景部電位Vh にまで達することはなく、また、もともと背景部電位Vh の近傍の電位に帯電していた領域がトナー仮保持部材13によって帯電されることもない。
【0044】
そして、このようにトナー仮保持部材13によって予備的に帯電させられた感光体ドラム10の表面が帯電ロール11を通過すると、かかる帯電ロール11には背景部電位Vh と放電開始電圧Vth分だけ電位差を有する電圧VR が印加されていることから、感光体ドラム10の表面が帯電ロール11によって一様に背景部電位Vh にまで帯電させられることになる(図2(c)参照)。このとき、背景部電位Vh と電位差が大きかった画像部については、トナー仮保持部材13によって予備的に帯電されていることから、背景部電位Vthとの電位段差は小さくなっており、かかる画像部についても帯電ロール11を一回通過するのみで背景部電位Vh にまで表面電位を上昇させることが可能である。
【0045】
これにより、トナー像の一次転写が終了した感光体ドラム10上に静電潜像が残存する場合であっても、帯電ロール11を通過した感光体ドラム10の表面は一様に背景部電位Vthに帯電することになり、トナー像に濃度むらが発生するのを防止することができるようになる。
【0046】
また、トナー仮保持部材13によってプリントジョブ中に捕獲する逆極性トナ−、すなわち感光体ドラム10から第1中間転写ドラム2に対してトナー像を一次転写する際に極性反転してしまったトナーは、感光体ドラム10上の画像部電位VL の領域に対して付着しているものが殆どであることから、前述のようにトナー仮保持部材13のバイアス電圧Vrfを設定すると、かかる逆極性トナーは放電開始電圧以上の電位差によって形成される極めて強い電界の作用により、トナー仮保持部材13に引き付けられることになる。このため、逆極性トナーがトナー仮保持部材13による捕獲をすり抜けて帯電ロール11に付着する可能性を可及的に小さくすることもできるものである。
【0047】
上記トナー仮保持部材13に対してバイアス電圧を印加する電源としては、図3に示すように、トナー仮保持部材13の回転軸に対して所定の電圧を印加する定電圧電源8aとすることができる。但し、トナー仮保持部材13を構成するブラシロールは回転軸に植毛した導電性繊維の抵抗値が温度及び湿度によって変化することから、プリンタ機内の雰囲気の温度及び湿度を検出する環境センサ9を設け、この環境センサ9の検出値に応じて定電圧電源8aからトナー仮保持部材13に対して印加するバイアス電圧の大きさを適宜変更し、トナー仮保持部材13と感光体ドラム10との間に図2(a)で示した電位差が常に発生するようにすると良い。
【0048】
また、トナー仮保持部材13が感光体ドラム10を帯電させる際には、かかるトナー仮保持部材13に電流が流れることから、バイアス電圧を印加する電源として定電流電源を使用し、電源を流れる電流値が一定となるように制御することもできる。この場合、かかる電流値を大きく設定すれば、バイアス電圧Vrfが感光体の表面電位に対して大きな電位差を有していることになり、トナー仮保持部材13は背景部電位の近傍まで感光体ドラムを帯電することになる。
【0049】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明の画像形成装置によれば、トナー像中の画像部等、露光によって電位が低下している感光体の表面領域に対しては、トナー仮保持部材及び帯電器の双方から電荷が注入され、静電潜像の電位履歴が残存している場合であっても、感光体の表面電位を素早く基準電位へ回復させることができるので、接触式帯電器に対してDC成分のみを印加して感光体ドラムを一様に帯電させる場合でも、ゴースト像を発生させるような感光体表面電位の帯電むらを防止し、もって濃度むらのない高画質な記録画像を形成することが可能となる。
【0050】
また、トナー仮保持部材は感光体の表面電位が基準電位よりも低下している部位に対して選択的に作用し、かかる表面電位が基準電位近傍に保たれている部位に対して作用しないので、摺擦毛の接触パターンが感光体の表面電位に現れることもなく、この点においても濃度むらのない高画質な記録画像を形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用したカラーレーザビームプリンタの概略構成を示す正面図である。
【図2】 トナー仮保持部材を通過する前、トナー仮保持部材を通過した後であって帯電ロールを通過する前、帯電ロールを通過した後の感光体表面電位を示す電位図である。
【図3】 本発明におけるトナー仮保持部材への印加電圧と感光体の表面電位との関係を示す電位図である。
【図4】 本発明においてトナー仮保持部材を通過した後の感光体の表面電位を示す電位図である。
【符号の説明】
2…第1中間転写ドラム、3…第2中間転写ドラム、4…最終転写ロール、10…感光体ドラム、11…帯電ロール、12…現像器、13…トナー仮保持部材、P…記録シート
Claims (3)
- 所定のプロセススピードで回動する感光体と、DC成分のみからなる電圧が印加されて上記感光体の表面を一様な基準電位に帯電する接触式帯電器と、一様帯電された感光体の表面を画情報に基づいて露光して静電潜像を形成する露光手段と、上記静電潜像をトナー現像する現像器と、上記感光体上に形成されたトナー像を記録シートに転写させる転写手段と、トナー像転写後の感光体の表面を摺擦するブラシロールからなると共にバイアス電圧が印加されたトナー仮保持部材とを備え、
前記接触式帯電器は、導電性の軸芯部材と当該軸心部材の周囲に形成される導電性の弾性体とを有する帯電ロールであり、
作像動作時にはトナー像転写後の感光体表面に残留するトナーを上記トナー仮保持部材によって電気的に捕獲させこれを一時的に保持させる一方、作像動作の合間には、上記トナー仮保持部材に捕獲されていた残留トナーを感光体上に吐き出させ、かかる残留トナーを上記転写手段に対して設けられたトナー除去部材で作像プロセス外へ排出させるように構成された画像形成装置において、
前記トナー仮保持部材のブラシロールは、前記転写手段と前記接触式帯電器との間において前記感光体と異なる周速で回転するように配置され、
当該トナー仮保持部材に対して作像動作時に印加するバイアス電圧は、上記帯電器に対する印加電圧と同一極性であって、当該バイアス電圧と感光体表面の露光部位との電位差が放電開始電圧Vthを上回り、且つ、当該バイアス電圧と上記感光体の転写部を通過した感光体表面に残留する電位履歴のうちの背景部となる電位との電位差が放電開始電圧Vthを下回るように設定された電圧であり、当該トナー仮保持部材が前記背景部を除いた上記基準電位に満たない感光体の表面領域のみを選択的に帯電させるように設定されていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。 - 雰囲気の温度及び/又は湿度を検出する環境センサを設けると共に、この環境センサの検出値に応じて上記トナー仮保持部材に印加するバイアス電圧を変更することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 上記トナーとして形状係数SF−1の値が120以下の重合トナーを使用したことを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
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