JP2004170514A - ハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】高感度で処理後の残色の少ないハロゲン化銀写真感光材料を提供する。
【解決手段】ハロゲン化銀粒子表面上に増感色素が多層吸着しており、該増感色素のうちの少なくとも1つは単環複素環からなる塩基性核を含むメチン色素化合物であることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
【選択図】 選択図なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高感度で処理後の残色の少ないハロゲン化銀写真感光材料に関するものである。詳しくは、色素により高感度に分光増感され、処理後の残色の少ないハロゲン化銀写真感光材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ハロゲン化銀写真感光材料の高感度化のために多大な努力がなされてきた。ハロゲン化銀写真乳剤においては、ハロゲン化銀粒子表面に吸着した増感色素が感材に入射した光を吸収し、その光エネルギーをハロゲン化銀粒子に伝達することによって感光性が得られる。したがって、ハロゲン化銀の分光増感においては、ハロゲン化銀粒子単位粒子表面積あたりの光吸収率を増加させることによってハロゲン化銀へ伝達される光エネルギ−を増大させることが出来、分光感度の高感度化が達成されると考えられる。ハロゲン化銀粒子表面の光吸収率を向上させるためには、単位粒子表面積あたりの分光増感色素の吸着量を増加させればよい。
しかし、ハロゲン化銀粒子表面への増感色素の吸着量には限界があり、単層飽和吸着(すなわち一層吸着)より多くの色素発色団を吸着させるのは困難である。従って、分光増感領域における個々のハロゲン化銀粒子の入射光量子の吸収率は未だ低いのが現状である。
【0003】
これらの点を解決する方法として増感色素を一層吸着より多く吸着させる多くの提案がなされてきた。例えば、特開2002−23294号の従来技術の説明においてこれらの先行技術文献・特許が記載されているが、特に、近年、特定のカチオン性の色素とアニオン性の色素の組合せによる多層吸着による高感度化が試みられている。(例えば、特許文献1,2,3参照)
しかし、これらの方法は、依然として十分満足できるレベルではなく、さらなるハロゲン化銀写真感光材料の高感度化が望まれている。また、これらにおいては写真処理後の色素の残存(残色)が多くなり、その低減が望まれている。
また、高アスペクト比平板状ハロゲン化銀粒子(以下平板状粒子と呼ぶ)を用いると、その写真特性として、体積に対する表面積の比率が大きく、多量の増感色素を表面に吸着させる事ができるため、より高い色増感感度を得る事ができる。(例えば、特許文献4参照) ここで言うアスペクト比とは、平板状粒子の厚さに対する直径の比率で示される。さらに平板状粒子の直径とは乳剤を顕微鏡または電子顕微鏡で観察した時、粒子投影面積と等しい面積を有する円の直径を示すものである。また厚みは平板粒子を構成する二つの平行な面の距離で示される。 このように、平板状粒子は高い色増感感度を得るために有利である。一方、高感度化のためにはハロゲン化銀乳剤をセレン増感することも有用であり、多くのセレン化合物が知られている。(例えば、特許文献5参照) しかし、これらの方法も、依然として十分満足できるレベルではなく、さらなるハロゲン化銀写真感光材料の高感度化が望まれている。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−239789号公報
【特許文献2】
特開平10−171058号公報
【特許文献3】
欧州特許第0985965A号明細書
【特許文献4】
米国特許第5、494、789号明細書
【特許文献5】
特開平4−109240号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高感度で処理後の残色の少ないハロゲン化銀写真感光材料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は鋭意研究を行なった結果、下記の手段により達成されることを見出した。
(1) ハロゲン化銀粒子表面上に増感色素が多層吸着しており、該増感色素のうちの少なくとも1つは単環複素環(好ましくは単環含窒素複素環)からなる塩基性核を含むメチン色素化合物であることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
(2) (1)記載の該メチン色素化合物が下記一般式(S)で表される化合物であることを特徴とする請求項1記載のハロゲン化銀写真感光材料。
一般式(S)
【0007】
【化2】
Figure 2004170514
【0008】
式中、Zaは単環の含窒素複素環を形成するのに必要な原子群を表す。ただし、これらに芳香族環が縮環することはない。Raは水素原子、アルキル基、アリール基、又は複素環基を表す。La、及びLbはそれぞれメチン基を表す。paは0または1を表す。Qaは、メチン色素発色団を形成するのに必要な基を表す。Maは電荷均衡対イオンを表し、maは分子の電荷を中和するのに必要な0以上の数を表す。
(3) (1)記載のメチン色素化合物、及び(2)記載の一般式(S)で表される化合物が、それぞれ一つの色素発色団からなることを特徴とする(1)又は(2)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料。
(4) (1)記載のメチン色素化合物と、それ以外の色素化合物とが、共有結合以外の引力(好ましくはファン・デル・ワールス力)によって相互に結合していることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料。
(5) (1)記載のメチン色素化合物が、2価以上の荷電を有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料。2価以上の荷電を有するとは色素化合物全体で2価以上の正電荷又は2価以上の負電荷を有することを意味する。
(6) (1)記載のメチン色素化合物と、それ以外の色素化合物とが反対荷電を有することを特徴とする(4)記載のハロゲン化銀写真感光材料。(1)記載のメチン色素化合物がカチオン性の色素であるとき、それ以外の色素化合物がアニオン性の色素であるか、又は(1)記載のメチン色素化合物がアニオン性の色素であるとき、それ以外の色素化合物がカチオン性の色素である。
(7) (1)記載のメチン色素化合物が芳香族基を有することを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料。
(8) (4)又は(7)記載の、それ以外の色素化合物が芳香族基を有することを特徴とする(4)又は(7)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料。
(9) (1)記載のメチン色素化合物が、水素結合供与基を有することを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料。水素結合供与基としてはNH等が挙げられる。
(10) 分光吸収極大波長が500nm未満で光吸収強度が60以上、または分光吸収極大波長が500nm以上で光吸収強度が100以上のハロゲン化銀粒子を含有することを特徴とする(1)〜(9)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料。
(11) (1)〜(10)に記載のハロゲン化銀写真感光材料において、ハロゲン化銀粒子の増感色素による分光吸収率の最大値をAmaxとしたとき、Amaxの50%を示す最も短波長と最も長波長の波長間隔が120nm以下であることを特徴とする(1)〜(10)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料。
(12) (1)〜(10)に記載のハロゲン化銀写真感光材料において、ハロゲン化銀粒子の増感色素による分光感度の最大値をSmaxとしたとき、Smaxの50%を示す最も短波長と最も長波長の波長間隔が120nm以下であることを特徴とする(1)〜(10)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料。
(13) (1)〜(12)に記載のハロゲン化銀写真感光材料において、ハロゲン化銀粒子の一層目の色素発色団による分光吸収率の最大値をA1max、二層目以降の色素発色団による分光吸収率の最大値をA2max、ハロゲン化銀粒子の一層目の色素発色団による分光感度の最大値をS1max、二層目以降の色素発色団による分光感度の最大値をS2maxとしたとき、A1max及びA2maxまたはS1max及びS2maxが、400〜500nm、又は500〜600nm、又は600〜700nm、又は700〜1000nmの範囲にあることを特徴とする(1)〜(12)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料。
(14) (1)〜(13)に記載のハロゲン化銀写真感光材料において、AmaxまたはSmaxの50%の分光吸収率を示す最も長波長が460nmから510nm、または560nmから610nm、または640nmから730nmの範囲であることを特徴とする(1)〜(13)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料。
(15) (1)〜(14)に記載のハロゲン化銀写真感光材料のハロゲン化銀粒子において、二層目以降の色素発色団の励起エネルギーが一層目色素発色団へ、効率10%以上でエネルギー移動することを特徴とする(1)〜(15)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料。
(16) (1)〜(15)に記載のハロゲン化銀写真感光材料のハロゲン化銀粒子において、一層目の色素発色団と二層目以降の色素発色団がともにJバンド吸収を示すことを特徴とする(1)〜(15)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料。
(17) (1)〜(16)に記載のハロゲン化銀写真感光材料において、該感光材料中のハロゲン化銀写真乳剤が、アスペクト比2以上の平板状粒子が乳剤中の全ハロゲン化銀粒子の50%(面積)以上存在する乳剤であることを特徴とする(1)〜(16)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料。
(18) (1)〜(17)に記載のハロゲン化銀写真感光材料において、該感光材料中のハロゲン化銀写真乳剤が、セレン増感されていることを特徴とする(1)〜(17)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明において、特定の部分を「基」と称した場合には、当該部分はそれ自体が置換されていなくても、一種以上の(可能な最多数までの)置換基で置換されていても良いことを意味する。例えば、「アルキル基」とは置換または無置換のアルキル基を意味する。また、本発明における化合物に使用できる置換基は、置換の有無にかかわらず、どのような置換基でも良い。
【0010】
このような置換基をWとすると、Wで示される置換基としては、いかなるものでも良く、特に制限は無いが、例えば、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、複素環基(ヘテロ環基と言っても良い)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アンモニオ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスホノ基、シリル基、ヒドラジノ基、ウレイド基、ボロン酸基(−B(OH))、ホスファト基(−OPO(OH))、スルファト基(−OSOH)、その他の公知の置換基、が例として挙げられる。
【0011】
更に詳しくは、Wは、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。それらは、アルキル基(好ましくは炭素数1から30のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2―エチルヘキシル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3から30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)はこのような概念のアルキル基を表すが、さらにアルケニル基、アルキニル基も含むこととする。]、アルケニル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。それらは、アルケニル基(好ましくは炭素数2から30の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3から30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)を包含するものである。]、アルキニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基)、アリール基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル)、複素環基(好ましくは5または6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族の複素環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3から30の5もしくは6員の芳香族の複素環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル、なお、1−メチル−2−ピリジニオ、1−メチル−2−キノリニオのようなカチオン性の複素環基でも良い。)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3から20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾールー5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールアミノ基、炭素数2から30の置換または無置換のヘテロ環アミノ基、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ)、アンモニオ基(好ましくはアンモニオ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキル、アリール、ヘテロ環が置換したアンモニオ基、例えば、トリメチルアンモニオ、トリエチルアンモニオ、ジフェニルメチルアンモニオ)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールチオ、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2から30の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N‘−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1から30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6から30の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)、アルキル及びアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1から30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6から30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2から30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4から30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2―ピリジルカルボニル、2―フリルカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、アリール及びヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3から30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、ホスフォ基、シリル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)、ヒドラジノ基(好ましくは炭素数0から30の置換もしくは無置換のヒドラジノ基、例えば、トリメチルヒドラジノ)、ウレイド基(好ましくは炭素数0から30の置換もしくは無置換のウレイド基、例えばN,N−ジメチルウレイド)、を表わす。
【0012】
また、2つのWが共同して環(芳香族、又は非芳香族の炭化水素環、又は複素環。これらは、さらに組み合わされて多環縮合環を形成することができる。例えばベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環、トリフェニレン環、ナフタセン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環、フェナジン環、が挙げられる。)を形成することもできる。
【0013】
上記の置換基Wの中で、水素原子を有するものは、これを取り去り更に上記の基で置換されていても良い。そのような置換基の例としては、−CONHSO−基(スルホニルカルバモイル基、カルボニルスルファモイル基)、−CONHCO−基(カルボニルカルバモイル基)、−SONHSO−基(スルフォニルスルファモイル基)、が挙げられる。
より具体的には、アルキルカルボニルアミノスルホニル基(例えば、アセチルアミノスルホニル)、アリールカルボニルアミノスルホニル基(例えば、ベンゾイルアミノスルホニル基)、アルキルスルホニルアミノカルボニル基(例えば、メチルスルホニルアミノカルボニル)、アリールスルホニルアミノカルボニル基(例えば、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル)が挙げられる。
【0014】
本発明において、種々の色素発色団からなる色素化合物を用いることができ、これらは増感色素として好ましく用いることができる。
【0015】
本発明における色素発色団について以下の[発色団1]で説明する。
・[発色団1]
ここで述べた発色団とは、理化学辞典(第四版、岩波書店、1987年)、985〜986頁に記載されている分子の吸収帯の主な原因となる原子団を意味し、例えばC=C,N=Nなどの不飽和結合を持つ原子団など、いかなる原子団も可能である。
色素発色団としては、具体的には、例えば、シアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、メロシアニン色素、3核メロシアニン色素、4核メロシアニン色素、ロダシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、アロポーラー色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素、スクアリウム色素、クロコニウム色素、アザメチン色素、クマリン色素、アリーリデン色素、アントラキノン色素、トリフェニルメタン色素、アゾ色素、アゾメチン色素、スピロ化合物、メタロセン色素、フルオレノン色素、フルギド色素、ペリレン色素、フェナジン色素、フェノチアジン色素、キノン色素、インジゴ色素、ジフェニルメタン色素、ポリエン色素、アクリジン色素、アクリジノン色素、ジフェニルアミン色素、キナクリドン色素、キノフタロン色素、フェノキサジン色素、フタロペリレン色素、ポルフィリン色素、クロロフィル色素、フタロシアニン色素、金属錯体色素が挙げられる。
好ましくは、シアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、メロシアニン色素、3核メロシアニン色素、4核メロシアニン色素、ロダシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、アロポーラー色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素、スクアリウム色素、クロコニウム色素、アザメチン色素などのポリメチン発色団が挙げられる。さらに好ましくはシアニン色素、メロシアニン色素、3核メロシアニン色素、4核メロシアニン色素、ロダシアニン色素、オキソノール色素であり、さらに好ましくはシアニン色素、メロシアニン色素、ロダシアニン色素、オキソノール色素であり、特に好ましくはシアニン色素、メロシアニン色素であり、最も好ましくはシアニン色素である。
これらの色素の詳細については、下記の[色素文献2]に記載されている。
【0016】
・[色素文献2]
エフ・エム・ハーマー(F.M.Harmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズーシアニンダイズ・アンド・リレィティド・コンパウンズ(Heterocyclic Compounds−Cyanine Dyes and Related Compounds)」、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社ーニューヨーク、ロンドン、1964年刊、デー・エム・スターマー(D.M.Sturmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズースペシャル・トピックス・イン・ヘテロサイクリック・ケミストリー(Heterocyclic Compounds−Special topics in heterocyclic chemistry)」、第18章、第14節、第482から515頁、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons) 社−ニューヨーク、ロンドン、1977年刊、「ロッズ・ケミストリー・オブ・カーボン・コンパウンズ(Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds)」2nd.Ed.vol.IV,partB,1977刊、第15章、第369から422頁、エルセビア・サイエンス・パブリック・カンパニー・インク(Elsevier Science Publishing Company
Inc.)社刊、ニューヨーク、など。
さらに、RD17643の23〜24頁、RD18716の648頁右欄〜649頁右欄、RD308119の996頁右欄〜998頁右欄、欧州特許第0565096A1号の第65頁7〜10行、に記載されているものを好ましく用いることができる。また、米国特許第5,747,236号(特に第30〜39頁)、米国特許第5,994,051号(特に第32〜43頁)、米国特許第5、340、694号(特に第21〜58頁、但し、(XI)、(XII)、(XIII)に示されている色素において、n12、n15、n17、n18の数は限定せず、0以上の整数(好ましくは4以下)とする。)、特開平10−239789号、特開平11−133531号、特開2000−267216号、特開2000−275772号、特開2001−75222号、特開2001−75247号、特開2001−75221号、特開2001−75226号、特開2001−75223号、特開2001−255615号、特開2002−23294号、特開平10−171058号、特開平10−186559号、特開平10−197980号、特開2000−81678号、特開2001−5132号、特開2001−166413号、特開2002−49113号、特開昭64−91134号、特開平10−110107号、特開平10−171058号、特開平10−226758号、特開平10−307358号、特開平10−307359号、特開平10−310715号、特開2000−231174号、特開2000−231172号、特開2000−231173号、特開2001−356442号、欧州特許第0985965A号、欧州特許第0985964A号、欧州特許第0985966A号、欧州特許第0985967A号、欧州特許第1085372A号、欧州特許第1085373A号、欧州特許第1172688A号、欧州特許第1199595A号、欧州特許第887700A1号、特開平10−239789号、特開2001−75222号、特開平10−171058 号に記載されている、一般式及び具体例で示された部分構造、又は構造を持つ色素。
【0017】
本発明においては、単環複素環(好ましくは単環含窒素複素環)からなる塩基性核を含むメチン色素化合物を用いる。
単環複素環からなる塩基性核について説明する。塩基性核については、例えばジェイムス(James)編「ザ・セオリー・オブ・ザ・フォトグラフィック・プロセス」(The Theory of the PhotographicProcess)第4版、マクミラン出版社、1977年、197〜199頁に記載されている。具体的には、後述するZ101などの具体例として示した複素環が挙げられる。本発明においては、これらのうち、単環の複素環が用いられる。 単環の複素環とは、芳香族環が縮環していない複素環のことを意味する。芳香族環以外の環は縮環していても良いが、縮環していない方が好ましい。
【0018】
具体的には、チアゾリン核、チアゾール核、オキサゾリン核、オキサゾール核、セレナゾリン核、セレナゾール核、テルラゾリン核、テルラゾール核、イミダゾリン核、イミダゾール核、ピロリン核、2−ピリジン核、4−ピリジン核、オキサジアゾール核、チアジアゾール核、ピラゾール核、テトラゾール核、ピリミジン核などを挙げることができるが、好ましくはチアゾリン核、チアゾール核、オキサゾリン核、オキサゾール核、イミダゾリン核、イミダゾール核、オキサジアゾール核、チアジアゾール核、ピラゾール核であり、さらに好ましくはチアゾリン核、チアゾール核、オキサゾリン核、オキサゾール核、オキサジアゾール核、チアジアゾール核、ピラゾール核であり、さらに好ましくはチアゾリン核、チアゾール核、チアジアゾール核、ピラゾール核であり、特に好ましくはチアジアゾール核、ピラゾール核であり、最も好ましくはピラゾール核である。ピラゾール核の場合、特に写真性能上好ましい。これらには、置換基が置換していても良いが、芳香族環が縮環することはない。また、芳香族環以外の環は縮環していても良いが、縮環していない方が好ましい。
【0019】
単環の複素環からなる塩基性核は、通常用いられている芳香族環が縮環した複素環からなる塩基性核(具体的には、後述するZ101などの具体例として挙げたもののうち、単環ではないものであり、例えば、ベンゾチアゾール核、ベンゾオキサゾール核、ベンゾセレナゾール核、ベンゾテルラゾール核、3,3−ジアルキルインドレニン核(例えば3,3−ジメチルインドレニン)、ベンゾイミダゾール核、2−キノリン核、4−キノリン核、1−イソキノリン核、3−イソキノリン核、イミダゾ〔4,5−b〕キノキザリン核など、及び、これらに置換基が置換したもの、環が縮環したものが挙げられる。)に比べて親水的かつ分子の大きさが小さく、これらを含む色素も親水的かつ大きさが小さい。従って、これらを用いた場合、残色を低減することができる点で好ましい。
【0020】
本発明の、単環複素環からなる塩基性核を含む色素化合物は、一つの色素発色団からなる。すなわち、複数の色素発色団を含まない。また、本発明の色素化合物は、2層目以降に存在する場合が好ましい。
【0021】
次に、本発明における多層吸着について説明を加える。本発明において、多層吸着とは、ハロゲン化銀粒子表面上に色素発色団が一層より多く吸着(又は積層)していることを意味する。
【0022】
具体的には、例えば、分子間力を利用することで増感色素をハロゲン化銀粒子表面へ一層飽和被覆量より多く吸着させたり、2つ以上の別々に共役していない色素発色団が共有結合で連結された色素、いわゆる連結色素をハロゲン化銀粒子に吸着させる方法などが挙げられ、以下に示した[多層吸着関連特許3] の中に記載されている。
【0023】
・[多層吸着関連特許3]
特開平10−239789号、特開平11−133531号、特開2000−267216号、特開2000−275772号、特開2001−75222号、特開2001−75247号、特開2001−75221号、特開2001−75226号、特開2001−75223号、特開2001−255615号、特開2002−23294号、特開平10−171058号、特開平10−186559号、特開平10−197980号、特開2000−81678号、特開2001−5132号、特開2001−166413号、特開2002−49113号、特開昭64−91134号、特開平10−110107号、特開平10−171058号、特開平10−226758号、特開平10−307358号、特開平10−307359号、特開平10−310715号、特開2000−231174号、特開2000−231172号、特開2000−231173号、特開2001−356442号、欧州特許第0985965A号、欧州特許第0985964A号、欧州特許第0985966A号、欧州特許第0985967A号、欧州特許第1085372A号、欧州特許第1085373A号、欧州特許第1172688A号、欧州特許第1199595A号、欧州特許第887700A1号。 更に、特開平10−239789号、特開2001−75222号、特開平10−171058号に示した特許に記載されている技術と併用することが好ましい。
【0024】
本発明においてハロゲン化銀粒子表面上に増感色素が多層吸着しているハロゲン化銀乳剤とは、ハロゲン化銀粒子表面に色素発色団が一層より多く吸着した乳剤を指し、該乳剤に添加される増感色素のうち、ハロゲン化銀粒子表面の色素占有面積が最も小さい色素によって到達する単位表面積あたりの飽和吸着量を一層飽和被覆量とし、この一層飽和被覆量に対して色素発色団の単位面積当たりの吸着量が多い状態をいう。また、吸着層数は一層飽和被覆量を基準とした時に単位粒子表面積あたりの色素発色団の吸着量を意味する。ここで、共有結合で色素発色団が連結された色素の場合には、連結しない状態での個々の発色団を有する色素の色素占有面積を基準とすることが出来る。例えば、連結部位をアルキル基やアルキルスルホン酸基に変更した、一つの色素発色団を有する色素を挙げることが出来る。
【0025】
色素占有面積は、遊離色素濃度と吸着色素量の関係を示す吸着等温線、および粒子表面積から求めることが出来る。吸着等温線は、例えばエー・ハーツ(A.Herz)らのアドソープション フロム アクエアス ソリューション(Adsorption from Aqueous Solution)アドバンシーズ イン ケミストリー シリーズ(Advances in Chemistry Series)No.17、173ページ(1968年)などを参考にして求めることが出来る。
【0026】
増感色素の乳剤粒子への吸着量は、色素を吸着させた乳剤を遠心分離器にかけて乳剤粒子と上澄みのゼラチン水溶液に分離し、上澄み液の分光吸収測定から未吸着色素濃度を求めて添加色素量から差し引くことで吸着色素量を求める方法と、沈殿した乳剤粒子を乾燥し、一定質量の沈殿をハロゲン化銀可溶剤と色素可溶剤に、例えばチオ硫酸ナトリウム水溶液とメタノールの混合液に溶解し、分光吸収測定することで吸着色素量を求める方法の2つの方法を用いることが出来る。複数種の増感色素を用いている場合には高速液体クロマトグラフィーなどの手法で個々の色素について吸着量を求めることも出来る。上澄み液中の色素量を定量することで色素吸着量を求める方法は、例えばダブリュー・ウエスト(W.West)らのジャーナル オブ フィジカル ケミストリー(Journal of Physical Chemistry)第56巻、1054ページ(1952年)などを参考にすることができる。しかし、色素添加量の多い条件では未吸着色素までも沈降することがあり、上澄み中の色素濃度を定量する方法では必ずしも正しい吸着量を得られないことがあった。一方沈降したハロゲン化銀粒子を溶解して色素吸着量を測定する方法であれば乳剤粒子の方が圧倒的に沈降速度が速いため粒子と沈降した色素は容易に分離でき、粒子に吸着した色素量だけを正確に測定できる。この方法が色素吸着量を求める方法として最も信頼性が高い。
【0027】
ハロゲン化銀粒子表面積の測定方法の一例としては、レプリカ法による透過電子顕微鏡写真を撮影して、個々の粒子の形状とサイズを求め算出する方法がある。この場合、平板状粒子において厚みはレプリカの影(シャドー)の長さから算出する。透過型電子顕微鏡写真の撮影方法としては、例えば、日本電子顕微鏡学会関東支部編「電子顕微鏡試料技術集」誠分堂新光社1970年刊、バターワーズ社(Buttwrworths)、ロンドン、1965刊、ピー・ビー・ヒルシュ(P.B.Hirsch)らのエレクトロン マイクロスコープ オブ チン クリスタル(Electron Microscopy of Thin
Crystals)を参考にすることができる。
【0028】
他の方法としては、例えばエイ・エム・クラギン(A.M.Kragin)らのらのジャーナル オブ フォトグラフィック サイエンス(The Journal of Photographic Science)第14巻、185ページ(1966年)、ジェイ・エフ・パディ(J.F.Paddy)のトランスアクションズ オブ ザ ファラデ− ソサイアティ(Transactions of the Faraday Society)第60巻1325ページ(1964年)、エス・ボヤー(S.Boyer)らのジュナル デ シミフィジク エ デ フィジコシミ ビジョロジク(Journal de Chimie Physique et de Physicochimie biologique)第63巻、1123ページ(1963年)、ダブリュー・ウエスト(W.West)らのジャーナル オブ フィジカル ケミストリー(Journal of Physical Chemistry)第56巻、1054ページ(1952年)、エイチ・ソーヴエニアー(H.Sauvenier)編集、イー・クライン(E.Klein)らのインターナショナル・コロキウム(International Coloquium)、リエージュ(Liege)、1959年、「サイエンティフィック フォトグラフィー(Scientific Photography)」などを参考にすることができる。
色素占有面積は上記の方法で個々の場合について実験的に求められるが、通常用いられる増感色素の分子占有面積はほぼ80Å付近であるので、簡易的にすべての色素について色素占有面積を80Åとしておおよその吸着層数を見積もることも出来る。
【0029】
ハロゲン化銀粒子への色素発色団の吸着は、好ましくは1.3層以上、さらに好ましくは1.5層以上、特に好ましくは1.7層以上である。なお、上限は特にないが、10層以下が好ましく、さらに好ましくは5層以下であり、特に好ましくは3層以下である。
【0030】
本発明にかかわるハロゲン化銀写真乳剤は、分光吸収極大波長が500nm以上の粒子の場合には光吸収強度が100以上、分光吸収極大波長が500nm未満の粒子の場合には光吸収強度が60以上のハロゲン化銀粒子を全ハロゲン化銀粒子投影面積の1/2以上含むことが好ましい。また、分光吸収極大波長が500nm以上の粒子の場合には、光吸収強度は好ましくは150以上、さらに好ましくは170以上、特に好ましくは200以上、であり、分光吸収極大波長が500nm未満の粒子の場合には、光吸収強度は好ましくは90以上、さらに好ましくは100以上、特に好ましくは120以上である。上限は特にないが、好ましくは2000以下、さらに好ましくは800以下、特に好ましくは400以下である。
【0031】
本発明において光吸収強度とは、単位粒子表面積あたりの増感色素による光吸収面積強度であり、粒子の単位表面積に入射する光量をI 、該表面で増感色素に吸収された光量をIとしたときの光学濃度Log(I /(I −I))を波数(cm−1)に対して積分した値と定義する。積分範囲は5000cm−1から35000cm−1までである。
【0032】
光吸収強度を測定する方法の一例としては、顕微分光光度計を用いる方法を挙げることができる。顕微分光光度計は微小面積での測定ができる装置であり、一粒子の透過スペクトルおよび反射スペクトルの測定が可能である。両者の測定より吸収スペクトルを得ることができる。顕微分光法による一粒子の吸収スペクトル測定の詳細については、山下らの報告(日本写真学会、1996年度年次大会講演要旨集、15ページ)を参照することができる。この吸収スペクトルから一粒子あたりの吸収強度が求められるが、粒子を透過する光は上部面と下部面の二面で吸収されるため、粒子表面の単位面積あたりの吸収強度は前述の方法で得られた一粒子あたりの吸収強度の1/2として求めることができる。このとき、吸収スペクトルを積分する区間は光吸収強度の定義上は5000cm−1から35000cm−1であるが、実験上は増感色素による吸収のある区間の前後500cm−1程度を含む区間の積分で構わない。
【0033】
また、光吸収強度は増感色素の振動子強度と単位面積当たりの吸着分子数で一義的に決定される値であり、増感色素の振動子強度、色素吸着量および粒子表面積を求めれば光吸収強度に換算することが出来る。
増感色素の振動子強度は、増感色素溶液の吸収面積強度(光学濃度×cm−1)に比例する値として実験的に求めることが出来るので、1Mあたりの色素の吸収面積強度をA(光学濃度×cm−1)、増感色素の吸着量をB(mol/molAg)、粒子表面積をC(m /molAg)とすれば、次の式により光吸収強度を誤差10%程度の範囲で求めることが出来る。
0.156 ×A×B/C
この式から光吸収強度を算出しても、前述の定義に基づいて測定された光吸収強度(Log(I /(I −I)))を波数(cm−1)に対して積分した値と実質的に同じ値が得られる。
【0034】
本発明において、色素発色団が一つである通常の色素の場合は、一層目色素とはハロゲン化銀粒子に隣接し内側に吸着している色素のことで、二層目以降の色素とは前記の吸着量測定からハロゲン化銀粒子には吸着しているが、ハロゲン化銀粒子に直接は吸着せず一層目色素に隣接した外側の色素のことである。連結色素の場合は、一層目色素とはハロゲン化銀粒子に隣接し内側に吸着している色素発色団のことで、二層目以降の色素とは、該内側の色素発色団に隣接した外側の色素発色団のことである。
【0035】
本発明において、二層目以降の色素の吸収極大波長は一層目色素の吸収極大波長と同じか短波長であることが好ましく、両者の波長の間隔は好ましくは0nm から50nm、さらに好ましくは0nm から30nm、特に好ましくは0nm から20nmである。
【0036】
本発明において、一層目色素と二層目以降の色素の還元電位、及び酸化電位はいかなるものでも良いが、一層目色素の還元電位が二層目以降の色素の還元電位の値から0.2vを引いた値よりも、貴であることが好ましく、さらに好ましくは0.1Vを引いた値よりも貴であり、特に好ましくは一層目色素の還元電位が二層目以降の色素の還元電位よりも貴であることである。
【0037】
還元電位、及び酸化電位の測定は、種々の方法が可能であるが、好ましくは、位相弁別式第二高調波交流ポーラログラフィーで行う場合であり、正確な値を求めることができる。なお、以上の位相弁別式第二高調波交流ポーラログラフィーによる電位の測定法はジャーナル・オブ・イメージング・サイエンス(Journal of Imaging Science)、第30巻、第27頁(1986年)に記載されている。
【0038】
また、二層目以降の色素は、ゼラチン乾膜中では発光性であることが好ましい。発光性色素の種類としては色素レーザー用に使用される色素の骨格構造を持つものが好ましい。これらは例えば、前田三男、レーザー研究、第8巻、694頁、803頁、958頁(1980年)及び第9巻、85頁(1981年)、及びF. Sehaefer著、「Dye Lasers」、Springer(1973年)の中に整理されている。
二層目色素部分のみの色素のゼラチン乾膜中での発光収率は、好ましくは0.05以上であり、より好ましくは、0.1以上であり、さらに好ましくは0.2以上であり、特に好ましくは0.5以上である。
【0039】
非平衡励起エネルギー移動機構で二層目以降の色素から一層目色素へのエネルギー伝達が起こる場合には、二層目色素部分のみのゼラチン乾膜中の励起寿命は長い方が好ましい。この場合には二層目色素部分の発光収率は高くても低くても構わない。二層目色素部分のみゼラチン乾膜中の蛍光寿命は、好ましくは10ps以上、より好ましくは40ps以上、さらに好ましくは160ps以上である。二層目以降の色素の蛍光寿命に特に上限はないが、好ましくは1ms以下である。
二層目以降の色素の発光と一層目色素の吸収の重なりは大きいことが好ましい。二層目以降の色素の発光スペクトルをl(ν)、一層目色素の吸収スペクトルをa(ν)としたとき、それらの積l(ν)・ a(ν)は好ましくは0.001以上であり、より好ましくは0.01以上であり、さらに好ましくは0.1以上であり、特に好ましくは0.5以上である。ここでνは波数(cm−1)で、それぞれのスペクトルはスペクトル面積を1に規格化している。
【0040】
二層目色素の励起エネルギーの一層目色素へのエネルギー移動効率は、好ましくは10%以上、さらに好ましくは30%、特に好ましくは60%以上、最も好ましくは90%以上である。ここで二層目色素の励起エネルギーとは、二層目色素が光エネルギーを吸収して生成した励起状態の色素が有するエネルギーを指す。ある分子の持つ励起エネルギーが他の分子に移動する場合には励起電子移動機構、フェルスター型エネルギー移動機構(Forster Model)、デクスターエネルギー移動機構(Dextor Model)等を経て励起エネルギーが移動すると考えられているため、本研究の多層吸着系においても、これらの機構から考えられる効率よい励起エネルギー移動を起こすための条件を満たすことが好ましい。さらに、フェルスター型エネルギー移動機構を起こすための条件を満たすことが特に好ましい。フェルスター型のエネルギー移動効率を高めるためには、乳剤粒子表面近傍の屈折率を低下させることも有効である。
二層目色素の蛍光減衰速度解析や一層目色素の蛍光の立ち上がり速度等の光励起状態のダイナミクス解析によって二層目色素から一層目色素へのエネルギー移動の効率を求めることができる。
また、二層目色素から一層目色素へのエネルギー移動の効率は、二層目色素励起時の分光増感効率/一層目色素励起時の分光増感効率としても求めることが出来る。
【0041】
本発明においては、一層目に吸着している色素はJ会合体を形成していることが好ましい。
また二層目以降の色素は単量体で吸着してもH会合体のような短波長会合を形成しても良いが、特に好ましくはJ会合体を形成して吸着することである。J会合体は吸光係数が高く、吸収も鋭い点で好ましいため通常の単層吸着での分光増感においても非常に有用であるが、二層目色素としても上記分光特性を持つことは非常に好ましい。しかも蛍光収率が高く、ストークスシフトも小さいため、光吸収波長の接近した一層目色素へ二層目色素の吸収した光エネルギーをフェルスター型のエネルギー移動で伝達するのにも好ましい。
【0042】
光吸収強度60、又は100以上のハロゲン化銀写真乳剤粒子を含有する乳剤の増感色素による分光吸収率の最大値Amax、および分光感度の最大値Smaxのそれぞれ50%を示す最も短波長と最も長波長の間隔は、好ましくは120nm以下であり、さらに好ましくは100nm以下である。
またAmaxおよびSmaxの80%を示す最も短波長と最も長波長の間隔は好ましくは20nm以上で、好ましくは100nm以下、さらに好ましくは80nm以下、特に好ましくは50nm以下である。
またAmaxおよびSmaxの20%を示す最も短波長と最も長波長の間隔は、好ましくは180nm以下、さらに好ましくは150nm以下、特に好ましくは120nm以下、最も好ましくは100nm以下である。
AmaxまたはSmaxの50%の分光吸収率を示す最も長波長は好ましくは460nmから510nm、または560nmから610nm、または640nmから730nmである。
【0043】
また、ハロゲン化銀粒子の一層目の色素発色団による分光吸収率の最大値をA1max、二層目以降の色素発色団による分光吸収率の最大値をA2maxとしたとき、A1max及びA2maxが、400〜500nm、又は500〜600nm、又は600〜700nm、又は700〜1000nmの範囲にあることが好ましい。
さらに、ハロゲン化銀粒子の一層目の色素発色団による分光感度の最大値をS1max、二層目以降の色素発色団による分光感度の最大値をS2maxとしたとき、S1max 及びS2maxが、400〜500nm、又は500〜600nm、又は600〜700nm、又は700〜1000nmの範囲にあることが好ましい。
【0044】
本発明では、本発明の色素以外を添加しても構わないが、本発明の色素は、好ましくは全色素添加量の50%以上、さらに好ましくは70%以上、最も好ましくは90%以上である。
【0045】
(3)記載の「共有結合以外の引力によって相互に結合している」場合について説明する。
共有結合以外の引力としてはいかなるものでも良いが、例えば、ファン・デル・ワールス(van der Waals)力(さらに細かくは、永久双極子−永久双極子間に働く配向力、永久双極子−誘起双極子間に働く誘起力、一時双極子−誘起双極子間に働く分散力に分けて表現できる。)、電荷移動力(CT)、クーロン力(静電力)、疎水結合力、水素結合力、配位結合力などが挙げられる。これらの結合力は、1つだけ利用することも、また任意のものを複数組み合わせて用いることもできる。
好ましくは、ファン・デル・ワールス力、電荷移動力、クーロン力、疎水結合力、水素結合力であり、さらに好ましくはファン・デル・ワールス力、クーロン力、水素結合力であり、特に好ましくはファン・デル・ワールス力、クーロン力であり、最も好ましくはファン・デル・ワールス力である。
【0046】
相互に結合しているとは、これらの引力によって色素発色団が拘束されていることを意味する。別の表現で説明すると、引力のエネルギー(すなわち吸着エネルギー(ΔG))として好ましくは15kJ/mol以上、さらに好ましくは20kJ/mol以上、特に好ましくは40kJ/mol以上の場合である。上限は特にないが、好ましくは5000kJ/mol以下、さらに好ましくは1000kJ/mol以下である。
【0047】
具体的には、例えば、特開平10−239789に記載されている芳香族基を持つ色素、又は芳香族基を持つカチオン色素とアニオン色素を併用する方法、特開平10−171058号に記載されている多価電荷を持つ色素を用いる方法、特開平10−186559号に記載されている疎水性基を持つ色素を用いる方法、特開平10−197980号に記載されている配位結合基を持つ色素を用いる方法、特開2001−5132号に記載されている3核性塩基性核を持つ色素を用いる方法、特開2001−13614号に記載されている特定の親疎水性を持つ色素を用いる方法、特開2001−75220号に記載されている特定の分子内塩基型の色素を用いる方法、特開2001−75221号に記載されているシアニン以外の特定の色素を用いる方法、特開2001−152038号に記載されている特定のpKaの酸解離性基を持つ色素を用いる方法、特開2001−166413号、特開2001−323180号,特開2001−337409号に記載されている特定の水素結合基を持つ色素を用いる方法、特開2001−209143号に記載されている特定の蛍光量子収率を持つ色素を用いる方法、特開2001−264913号に記載されている特定の消色する色素を用いる方法、特開2001−343720号に記載されているゲル状マトリックスに含まれる色素を用いる方法、特開2002−23294号に記載されている特定の赤外色素を用いる方法、特開2002−99053号に記載されている特定の電位を持つ色素を用いる方法、欧州特許第0985964号、同0985965号、同0985966号、同0985967号、同1085372号、同1085373号、同1172688号、同1199595号に記載されている特定のカチオン色素を用いる方法などが好ましく用いられる。
これらの方法において、単環複素環からなる塩基性核を含むメチン色素化合物を少なくとも一つ用いる場合は、本発明に属する。
【0048】
本発明においては、一般式(S)で表される色素発色団からなる化合物を本発明の増感色素として好ましく用いることができる。
【0049】
一般式(S)について説明する。Qaは、メチン色素発色団を形成するのに必要な基であるが、ここでメチン色素としては、シアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、メロシアニン色素、3核メロシアニン色素、4核メロシアニン色素、ロダシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、アロポーラー色素、スクアリウム色素、クロコニウム色素、アザメチン色素などが挙げられる。
好ましくはシアニン色素、メロシアニン色素、3核メロシアニン色素、4核メロシアニン色素、ロダシアニン色素であり、さらに好ましくはシアニン色素、メロシアニン色素、ロダシアニン色素であり、特に好ましくはシアニン色素、メロシアニン色素であり、最も好ましくはシアニン色素である。
これらの色素の詳細については、上述の[色素文献2]に記載されている。
【0050】
Zaは単環の含窒素複素環を形成するのに必要な原子群を表し、これらに芳香族環が縮環することはないが、好ましくは前述した単環の複素環からなる塩基性核で説明したものが挙げられ、同様なものが好ましい。これらの複素環は置換していても置換していなくても良いが、好ましくは無置換の場合、アルキル基、アリール基、複素環基、又は酸基が置換している場合であり、さらに好ましくは無置換の場合、アルキル基、アリール基、又は複素環基が置換している場合であり、特に好ましくは無置換の場合、アルキル基、又はアリール基が置換している場合であり、最も好ましくは無置換の場合、又はアルキル基が置換している場合である。酸基として、好ましくはスルホ基、カルボキシル基、−CONHSO−基、−CONHCO−基、−SONHSO−基であり、さらに好ましくは、スルホ基、カルボキシル基であり、特に好ましくはスルホ基である。Raは水素原子、アルキル基、アリール基、又は複素環基であるが、後述のR101などと同様なものが挙げられ、同様なものが好ましい。La及びLbはメチン基を表すが、後述のL101及びL102と同様なものが挙げられ、同様なものが好ましい。paは0または1を表し、好ましくは0である。
【0051】
Maは色素のイオン電荷を中性にするために必要であるとき、陽イオン又は陰イオンの存在を示すために式の中に含められている。後述のMaと同様なものが挙げられ同様のものが好ましい。maは電荷を均衡させるのに必要な0以上の数を表し、好ましくは0〜4の数であり、さらに好ましくは0〜1の数であり、分子内で塩を形成する場合には0である。
【0052】
なお、一般式(S)において、Qaによりシアニン色素、ロダシアニン色素などが形成される場合は、下記のような共鳴式で表現することも可能である。
【0053】
【化3】
Figure 2004170514
【0054】
本発明において、さらに好ましくは一般式(S)が下記一般式(SI)から選ばれた場合である。
一般式(SI)
【0055】
【化4】
Figure 2004170514
【0056】
式中、X51、X52、及びX53は、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、窒素原子、又は炭素原子を表す。X51として好ましくは酸素原子、硫黄原子、窒素原子、又は炭素原子であり、さらに好ましくは硫黄原子、又は炭素原子であり、特に好ましくは炭素原子である。X52として好ましくは窒素原子、又は炭素原子であり、さらに好ましくは炭素原子である。X53として好ましくは窒素原子、又は炭素原子であり、さらに好ましくは窒素原子である。
なお、X52とX53の間の結合は、1重結合であっても、2重結合であっても良いが、好ましくは2重結合の場合である。V51、V52、及びV53は、水素原子、又は置換基を表す。但し、V51、V52、及びV53は、これらが互いに結合して芳香族環を形成することはない。また、芳香族環以外の環は形成していても良いが、形成していない方が好ましい。置換基としては、例えば前述のWが挙げられる。V51、V52、及びV53として好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、又は酸基であり、さらに好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、又は複素環基であり、特に好ましくは水素原子、アルキル基、又はアリール基であり、最も好ましくは水素原子、又はアルキル基である。
【0057】
52とX53の間の結合が1重結合の場合、X51が炭素原子の場合q51は2、窒素原子の場合q51は1、それ以外の原子の場合q51は0である。X52が炭素原子の場合q52は2、窒素原子の場合q52は1、それ以外の原子の場合q52は0である。X53が炭素原子の場合q53は2、窒素原子の場合q53は1、それ以外の原子の場合q53は0である。q51、q52、及びq53がそれぞれ2のとき、V51、V52、及びV53が繰り返されるが、同一である必要はない。
52とX53の間の結合が2重結合の場合、X51が炭素原子の場合q51は2、窒素原子の場合q51は1、それ以外の原子の場合q51は0である。X52が炭素原子の場合、q52は1、それ以外の原子の場合q52は0である。X53が炭素原子の場合q53は1、それ以外の原子の場合q53は0である。q51が2のときV51が繰り返されるが、同一である必要はない。
Qa、Ra、Ma、及びmaは一般式(S)と同義である。
【0058】
なお、一般式(SI)として、特に好ましくは下記(a)〜(l)で表される場合である。
【0059】
【化5】
Figure 2004170514
【0060】
式中、Qa、Ra、Ma、maは(SI)と同義である。なお、(a)〜(l)の複素環中の−CH−、=CH−、−NH−の水素原子は、さらに置換されていても置換されていなくても良い。置換基としてはいかなるものでも良いが、例えば前述のWが挙げられ、好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、又は酸基であり、さらに好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、又は複素環基であり、特に好ましくは水素原子、アルキル基、又はアリール基であり、最も好ましくは水素原子、又はアルキル基である。但し、これらの置換基は互いに結合して芳香族環を形成することはない。また、芳香族環以外の環は形成していても良いが、形成していない方が好ましい。
(a)〜(l)において、(a)〜(d)、(e)〜(h)、及び(i)〜(l)のグループの中では、(e)〜(h)、及び(i)〜(l)のグループが好ましく、さらに好ましくは(i)〜(l)のグループである。 また、(a)〜(d)の中では、好ましくは(a)、(b)であり、さらに好ましくは(a)である。(e)〜(h)の中では、好ましくは(e)、(f)であり、さらに好ましくは(e)である。(i)〜(l)の中では、好ましくは(i)、(j)であり、さらに好ましくは(i)である。
一般式(SI)として、最も好ましくは下記(m)、(n)で表される場合である。
【0061】
【化6】
Figure 2004170514
【0062】
式中、Qa、Ra、Ma、maは(SI)と同義である。Va、Vb、Vc及びVdは水素原子、又は置換基を表す。置換基としてはいかなるものでも良いが、例えば前述のWが挙げられる。Va、Vb、Vc及びVdとして、好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、又は酸基であり、さらに好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、又は複素環基であり、さらに好ましくは水素原子、アルキル基、又はアリール基であり、特に好ましくは水素原子、又はアルキル基であり、最も好ましくはアルキル基である。アルキル基として好ましくは無置換アルキル基(好ましくは炭素数1〜4の無置換アルキル基)であり、さらに好ましくはメチル基である。(m)、(n)のうち、好ましくは(m)である。
【0063】
本発明において用いられる色素は、前述の[発色団1]で説明したものと同様のものが挙げられ同様のものが好ましいが、一般式で示すと、特に好ましくは、下記一般式(A)、(B)、(C)、又は(D)で表されるメチン色素発色団である場合である。
なお、一般式(A)、(B)、(C)が本発明の単環複素環からなる塩基性核を含むメチン色素化合物である場合は、(Z101、R101、L101、L102、p101)、(Z103、R103、L108、L109、p103)、及び(Z105、R105 、L112、L113、p104)と(Z107、R107、L119、L120、p105)のうち少なくとも一つ、は単環複素環からなる塩基性核(好ましくは一般式(S)の(Za、Ra、La、Lb、pa))を表す。
一般式(A)
【0064】
【化7】
Figure 2004170514
【0065】
式(A)中、L101、L102、L103、L104、L105、L106、及びL107 はメチン基を表す。p101、及びp102は0または1を表す。n101は0、1、2、3または4を表す。Z101及びZ102は含窒素複素環を形成するために必要な原子群を表す。ただし、これらに環が縮環していても良い。M101は電荷均衡対イオンを表し、m101は分子の電荷を中和するのに必要な0以上の数を表す。R101及びR102は水素原子、アルキル基、アリール基、又は複素環基を表す。
一般式(B)
【0066】
【化8】
Figure 2004170514
【0067】
式(B)中、L108、L109、L110、及びL111はメチン基を表す。p103 は0又は1を表す。q101は0又は1を表わす。n102は0、1、2、3又は4を表す。Z103は含窒素複素環を形成するために必要な原子群を表す。Z104とZ104’は(N−R104)q101と一緒になって複素環、又は非環式の酸性末端基を形成するために必要な原子群を表す。ただし、Z103、及びZ104とZ104 ’に環が縮環していても良い。M102は電荷均衡対イオンを表し、m102は分子の電荷を中和するのに必要な0以上の数を表す。R103、及びR104は水素原子、アルキル基、アリール基、又は複素環基を表す。
一般式(C)
【0068】
【化9】
Figure 2004170514
【0069】
式(C)中、L112、L113、L114、L115、L116、L117、L118、L119及びL120はメチン基を表す。p104及びp105は0又は1を表す。q102 は0又は1を表わす。n103及びn104はそれぞれ0、1、2、3又は4を表す。Z105 、及びZ107は含窒素複素環を形成するために必要な原子群を表す。Z106とZ106’は(N−R106)q102と一緒になって複素環を形成するために必要な原子群を表す。ただし、Z105、Z106とZ106’、及びZ107に環が縮環していても良い。M103は電荷均衡対イオンを表し、m103は分子の電荷を中和するのに必要な0以上の数を表す。R105、R106、及びR107は水素原子、アルキル基、アリール基、又は複素環基を表す。
一般式(D)
【0070】
【化10】
Figure 2004170514
【0071】
式(D)中、L121、L122、及びL123はメチン基を表す。q103及びq104は0又は1を表す。n105は0、1、2、3又は4を表す。Z108とZ108’は(N−R108)q103と一緒になって、及び、Z109とZ109’は(N−R109)q104と一緒になって、複素環、又は非環式の酸性末端基を形成するために必要な原子群を表す。ただし、Z108とZ108’、及びZ109とZ109’に環が縮環していても良い。M104は電荷均衡対イオンを表し、m104は分子の電荷を中和するのに必要な0以上の数を表す。R108、及びR109は水素原子、アルキル基、アリール基、又は複素環基を表す。
【0072】
以下、一般式(A)、(B)、(C)、及び(D)で表される色素発色団について詳細に述べる。
101、Z102、Z103、Z105、及びZ107は含窒素複素環、好ましくは5又は6員の含窒素複素環を形成するのに必要な原子群を表す。ただし、これらに環が縮環していても良い。環としては、芳香族環、又は非芳香族環いずれでも良い。好ましくは芳香族環であり、例えばベンゼン環、ナフタレン環などの炭化水素芳香族環や、ピラジン環、チオフェン環などの複素芳香族環が挙げられる。
【0073】
含窒素複素環として、具体的にはチアゾリン核、チアゾール核、ベンゾチアゾール核、オキサゾリン核、オキサゾール核、ベンゾオキサゾール核、セレナゾリン核、セレナゾール核、ベンゾセレナゾール核、テルラゾリン核、テルラゾール核、ベンゾテルラゾール核、3,3−ジアルキルインドレニン核(例えば3,3−ジメチルインドレニン)、イミダゾリン核、イミダゾール核、ベンゾイミダゾール核、2−ピリジン核、4−ピリジン核、2−キノリン核、4−キノリン核、1−イソキノリン核、3−イソキノリン核、イミダゾ〔4,5−b〕キノキザリン核、オキサジアゾール核、チアジアゾール核、テトラゾール核、ピリミジン核などを挙げることができるが、好ましくはベンゾチアゾール核、ベンゾオキサゾール核、3,3−ジアルキルインドレニン核(例えば3,3−ジメチルインドレニン)、ベンゾイミダゾール核、2−ピリジン核、4−ピリジン核、2−キノリン核、4−キノリン核、1−イソキノリン核、3−イソキノリン核が挙げられる。
【0074】
これらには、前述のWで表される置換基、及び環が置換していても縮合していても良い。好ましいものは、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子、芳香環縮合、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基である。
【0075】
101、Z102、Z103、Z105、及びZ107によって形成される複素環の具体例としては、米国特許第5,340,694号第23〜24欄のZ11、Z12、Z13、Z14、及びZ16の例として挙げられているものと同様なものが挙げられる。
【0076】
一般式(A)、(B)、または(C)で表される色素発色団が、1層目の色素発色団を表すとき、Z101、Z102、Z103、Z105、及びZ107として好ましくはベンゾチアゾール核、ベンゾオキサゾール核、3,3−ジアルキルインドレニン核(例えば3,3−ジメチルインドレニン)、ベンゾイミダゾール核であり、特に好ましくはベンゾオキサゾール核、ベンゾチアゾール核、ベンゾイミダゾール核であり、最も好ましくはベンゾオキサゾール核、ベンゾチアゾール核である。これら核上の置換基Wとして、好ましくはハロゲン原子、芳香族基、芳香環縮合である。
【0077】
一般式(A)、(B)、または(C)で表される色素発色団が、2層目以降の色素発色団を表すとき、Z101、Z102、Z103、Z105、及びZ107として好ましくはベンゾチアゾール核、ベンゾオキサゾール核、3,3−ジアルキルインドレニン核(例えば3,3−ジメチルインドレニン)、ベンゾイミダゾール核であり、特に好ましくはベンゾオキサゾール核、ベンゾチアゾール核、ベンゾイミダゾール核であり、最も好ましくはベンゾオキサゾール核、ベンゾチアゾール核である。これらの核上の置換基Wとして、好ましくは酸基である。
【0078】
ここで、酸基について説明する。酸基とは、解離性プロトンを有する基である。
具体的には、例えばスルホ基、カルボキシル基、スルファト基、−CONHSO−基(スルホニルカルバモイル基、カルボニルスルファモイル基)、−CONHCO−基(カルボニルカルバモイル基)、−SONHSO−基(スルフォニルスルファモイル基)、スルホンアミド基、スルファモイル基、ホスファト基、ホスホノ基、ボロン酸基、フェノール性水酸基、など、これらのpkaと周りのpHによっては、プロトンが解離する基が挙げられる。例えばpH5〜11の間で90%以上解離することが可能なプロトン解離性酸性基が好ましい。
【0079】
さらに好ましくはスルホ基、カルボキシル基、−CONHSO−基、−CONHCO−基、−SONHSO−基であり、特に好ましくは、スルホ基、カルボキシル基であり、最も好ましくはスルホ基である。
【0080】
104とZ104’と(N−R104)q101、Z108とZ108’と(N−R108 )q103、及び、Z109とZ109’と(N−R109)q104はそれぞれ一緒になって、複素環、又は非環式の酸性末端基を形成するために必要な原子群を表わす。複素環(好ましくは5又は6員の複素環)としてはいかなるものでも良いが、酸性核が好ましい。次に、酸性核及び非環式の酸性末端基について説明する。酸性核及び非環式の酸性末端基は、いかなる一般のメロシアニン色素の酸性核及び非環式の酸性末端基の形をとることもできる。好ましい形において、Z104、Z108、Z109は−(C=S)−で表されるチオカルボニル基(チオエステル基、チオカルバモイル基等を含む)、−(C=O)−で表されるカルボニル基(エステル基、カルバモイル基等を含む)、−(SO)−で表されるスルホニル基(スルホン酸エステル基、スルファモイル基等を含む)、−(S=O)−で表されるスルフィニル基、シアノ基、であり、さらに好ましくはチオカルボニル基、カルボニル基である。Z104’、Z108’、Z109’は酸性核及び非環式の酸性末端基を形成するために必要な残りの原子群を表す。非環式の酸性末端基を形成する場合は、好ましくはチオカルボニル基、カルボニル基、スルホニル基、スルフィニル基、シアノ基などである。また、これらの酸性核、又は非環式の酸性末端基を形成しているカルボニル基もしくはチオカルボニル基を、酸性核、又は非環式の酸性末端基の原料となる活性メチレン化合物の活性メチレン位で置換したエキソメチレンを有する構造、及びこれらを繰り返した構造を用いることもできる。酸性核を酸性核で置換した場合は、色素としてはいわゆる3核メロシアニン、4核メロシアニン等を形成し、酸性末端基を酸性末端基で置換した場合としては、末端にジシアノメチレン基を持つものが挙げられる。
【0081】
101、q103、及びq104は0又は1であるが、好ましくは1である。
【0082】
ここでいう酸性核及び非環式の酸性末端基は、例えばジェイムス(James)編「ザ・セオリー・オブ・ザ・フォトグラフィック・プロセス」(The Theory of the Photographic Process)第4版、マクミラン出版社、1977年、197〜200頁に記載されている。ここでは、非環式の酸性末端基とは、酸性すなわち電子受容性の末端基のうち、環を形成しないものを意味することとする。
酸性核及び非環式の酸性末端基は、具体的には、米国特許第3、567、719号、第3、575、869号、第3、804、634号、第3、837、862号、第4、002、480号、第4、925、777号、特開平3ー167546号、米国特許第5,994,051号、米国特許5,747,236号などに記載されているものが挙げられる。
【0083】
酸性核は、炭素、窒素、及び/又はカルコゲン(典型的には酸素、硫黄、セレン、及びテルル)原子からなる複素環(好ましくは5員又は6員の含窒素複素環)を形成するとき好ましく、さらに好ましくは炭素、窒素、及び/又はカルコゲン(典型的には酸素、硫黄、セレン、及びテルル)原子からなる5員又は6員の含窒素複素環を形成するときである。具体的には、例えば次の核が挙げられる。
【0084】
2ーピラゾリンー5ーオン、ピラゾリジンー3、5ージオン、イミダゾリンー5ーオン、ヒダントイン、2または4ーチオヒダントイン、2ーイミノオキサゾリジンー4ーオン、2ーオキサゾリンー5ーオン、2―チオオキサゾリジンー2、5―ジオン、2ーチオオキサゾリンー2、4ージオン、イソオキサゾリンー5ーオン、2ーチアゾリンー4ーオン、チアゾリジンー4ーオン、チアゾリジンー2、4ージオン、ローダニン、チアゾリジンー2、4ージチオン、イソローダニン、インダンー1、3ージオン、チオフェンー3ーオン、チオフェンー3ーオンー1、1ージオキシド、インドリンー2ーオン、インドリンー3ーオン、2ーオキソインダゾリニウム、3ーオキソインダゾリニウム、5、7ージオキソー6、7ージヒドロチアゾロ[3,2−a]ピリミジン、シクロヘキサンー1、3ージオン、3、4ージヒドロイソキノリンー4ーオン、1、3ージオキサンー4、6ージオン、バルビツール酸、2ーチオバルビツール酸、クロマンー2、4ージオン、インダゾリンー2ーオン、ピリド[1,2−a]ピリミジンー1、3ージオン、ピラゾロ[1,5−b]キナゾロン、ピラゾロ[1,5−a]ベンゾイミダゾール、ピラゾロピリドン、1、2、3、4ーテトラヒドロキノリンー2、4ージオン、3ーオキソー2、3ージヒドロベンゾ[d]チオフェンー1、1ージオキサイド、3ージシアノメチンー2、3ージヒドロベンゾ[d]チオフェンー1、1ージオキサイドの核。
【0085】
これらの酸性核、及び非環式の酸性末端基には、前述の置換基Wで示した置換基又は環が、置換していても、縮環していても良い。
【0086】
酸性核として好ましくは、ヒダントイン、2または4ーチオヒダントイン、2ーオキサゾリンー5ーオン、2ーチオオキサゾリンー2、4ージオン、チアゾリジンー2、4ージオン、ローダニン、チアゾリジンー2、4ージチオン、バルビツール酸、2ーチオバルビツール酸であり、さらに好ましくは、ヒダントイン、2または4ーチオヒダントイン、2ーオキサゾリンー5ーオン、ローダニン、バルビツール酸、2ーチオバルビツール酸である。
【0087】
一般式(B)、(D)で表される色素発色団が、1層目の色素発色団を表す場合は、特に好ましくは2または4ーチオヒダントイン、2ーオキサゾリンー5ーオン、ローダニンである。
【0088】
一般式(B)、(D)で表される色素発色団が、2層目以降の色素発色団を表す場合は、特に好ましくはバルビツール酸である。
【0089】
106とZ106’と(N−R106)q102によって形成される複素環としては、前述のZ104とZ104’と(N−R104)q101などの複素環の説明で述べたものと同様のものが挙げられる。好ましくは前述のZ104とZ104’と(N−R104)q101などの複素環の説明で述べた酸性核からオキソ基、又はチオキソ基を除いたものである。
【0090】
さらに好ましくは、前述のZ104とZ104’と(N−R104)q101などの具体的として挙げた酸性核からオキソ基、又はチオキソ基を除いたものであり、さらに好ましくはヒダントイン、2または4ーチオヒダントイン、2ーオキサゾリンー5ーオン、2ーチオオキサゾリンー2、4ージオン、チアゾリジンー2、4ージオン、ローダニン、チアゾリジンー2、4ージチオン、バルビツール酸、2ーチオバルビツール酸からオキソ基、又はチオキソ基を除いたものであり、特に好ましくは、ヒダントイン、2または4ーチオヒダントイン、2ーオキサゾリンー5ーオン、ローダニン、バルビツール酸、2ーチオバルビツール酸からオキソ基、又はチオキソ基を除いたものであり、最も好ましくは2または4ーチオヒダントイン、2ーオキサゾリンー5ーオン、ローダニンからオキソ基、又はチオキソ基を除いたものである。
102は0又は1であるが、好ましくは1である。
【0091】
101、R102、R103、R104、R105、R106、R107、R108、及びR109はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アリール基、又は複素環基であり、好ましくはアルキル基、アリール基、又は複素環基である。 R101〜R109として表されるアルキル基、アリール基、及び複素環基として、具体的には、例えば、炭素原子1から18、好ましくは1から7、特に好ましくは1から4の無置換アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ヘキシル、オクチル、ドデシル、オクタデシル)、炭素原子1から18、好ましくは1から7、特に好ましくは1から4の置換アルキル基{例えば置換基として前述のWが置換したアルキル基が挙げられる。特に、上述した酸基を持つアルキル基が好ましい。好ましくはアラルキル基(例えばベンジル、2−フェニルエチル、2−(4−ビフェニル)エチル、2−スルホベンジル、4−スルホベンジル、4−スルホフェネチル、4−ホスホベンジル、4−カルボキシベンジル)、不飽和炭化水素基(例えばアリル基、ビニル基、すなわち、ここでは置換アルキル基にアルケニル基、アルキニル基も含まれることとする。)、ヒドロキシアルキル基(例えば、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル)、カルボキシアルキル基(例えば、2−カルボキシエチル、3−カルボキシプロピル、4−カルボキシブチル、カルボキシメチル)、アルコキシアルキル基(例えば、2−メトキシエチル、2−(2−メトキシエトキシ)エチル)、アリーロキシアルキル基(例えば2ーフェノキシエチル、2−(4−ビフェニロキシ)エチル、2ー(1ーナフトキシ)エチル、2−(4−スルホフェノキシ)エチル、2−(2−ホスホフェノキシ)エチル)、アルコキシカルボニルアルキル基(例えばエトキシカルボニルメチル、2ーベンジルオキシカルボニルエチル)、アリーロキシカルボニルアルキル基(例えば3ーフェノキシカルボニルプロピル、3−スルホフェノキシカルボニルプロピル)、アシルオキシアルキル基(例えば2ーアセチルオキシエチル)、アシルアルキル基(例えば2ーアセチルエチル)、カルバモイルアルキル基(例えば2ーモルホリノカルボニルエチル)、スルファモイルアルキル基(例えばN,Nージメチルスルファモイルメチル)、スルホアルキル基(例えば、2−スルホエチル、3−スルホプロピル、3−スルホブチル、4−スルホブチル、2−[3−スルホプロポキシ]エチル、2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル、3−スルホプロポキシエトキシエチル、3−フェニル−3−スルホプロピル、4−フェニル−4−スルホブチル、3−(2−ピリジル)−3−スルホプロピル)、スルホアルケニル基、スルファトアルキル基(例えば、2ースルファトエチル基、3−スルファトプロピル、4−スルファトブチル)、複素環置換アルキル基(例えば2−(ピロリジン−2−オン−1−イル)エチル、2−(2−ピリジル)エチル、テトラヒドロフルフリル、3−ピリジニオプロピル)、アルキルスルホニルカルバモイルアルキル基(例えばメタンスルホニルカルバモイルメチル基)、アシルカルバモイルアルキル基(例えばアセチルカルバモイルメチル基)、アシルスルファモイルアルキル基(例えばアセチルスルファモイルメチル基)、アルキルスルフォニルスルファモイルアルキル基(例えばメタンスルフォニルスルファモイルメチル基)、アンモニオアルキル基(例えば、3−(トリメチルアンモニオ)プロピル、3−アンモニオプロピル)、アミノアルキル基(例えば、3−アミノプロピル、3−(ジメチルアミノ)プロピル、4−(メチルアミノ)ブチル)、グアニジノアルキル基(例えば、4−グアノジノブチル)}、炭素数6から20、好ましくは炭素数6から10、さらに好ましくは炭素数6から8の、置換または無置換アリール基(置換アリール基としては例えば置換基の例として挙げた前述のWが置換したアリール基が挙げられる。具体的にはフェニル、1ーナフチル、p−メトキシフェニル、p−メチルフェニル、p−クロロフェニル、ビフェニル、4―スルホフェニル、4−スルホナフチルなどが挙げられる。)、炭素数1から20、好ましくは炭素数3から10、さらに好ましくは炭素数4から8の、置換または無置換複素環基(置換複素環基としては置換基の例として挙げた前述のWが置換した複素環基が挙げられる。具体的には2ーフリル、2ーチエニル、2ーピリジル、3ーピラゾリル、3ーイソオキサゾリル、3ーイソチアゾリル、2ーイミダゾリル、2ーオキサゾリル、2ーチアゾリル、2ーピリダジル、2ーピリミジル、3ーピラジル、2ー(1,3,5−トリアゾリル)、3ー(1,2,4−トリアゾリル)、5ーテトラゾリル、5ーメチルー2ーチエニル、4ーメトキシー2ーピリジル、4−スルホー2−ピリジルなどが挙げられる。)が挙げられる。
【0092】
一般式(A)、(B)、(C)、及び(D)で表される色素発色団が、1層目の色素発色団を表すとき、R101〜R109で表される置換基として好ましくは無置換アルキル基、または置換アルキル基であり、置換アルキル基として好ましくは上述の酸基を持つアルキル基である。酸基として、好ましくはスルホ基、カルボキシル基、−CONHSO−基、−CONHCO−基、または−SONHSO−基であり、特に好ましくは、スルホ基、またはカルボキシル基であり、最も好ましくはスルホ基である。
【0093】
一般式(A)、(B)、(C)、及び(D)で表されるで表される色素発色団が、2層目以降の色素発色団を表すとき、R101〜R109で表される置換基として好ましくは、無置換アルキル基、または置換アルキル基であり、さらに好ましくは上述の酸基を持つアルキル基である。酸基として、好ましくはスルホ基、カルボキシル基、−CONHSO−基、−CONHCO−基、または−SONHSO−基であり、特に好ましくは、スルホ基、またはカルボキシル基であり、最も好ましくはスルホ基である。
【0094】
101、L102、L103、L104、L105、L106、L107、L108、L109 、L110、L111、L112、L113、L114、L115、L116、L117、L118 、L119、L120、L121、L122、及びL123はそれぞれ独立にメチン基を表す。L101〜L123で表されるメチン基は置換基を有していても良く、置換基としては前述のWが挙げられる。例えば置換又は無置換の炭素数1から15、好ましくは炭素数1から10、特に好ましくは炭素数1から5のアルキル基(例えば、メチル、エチル、2−カルボキシエチル)、置換または無置換の炭素数6から20、好ましくは炭素数6から15、更に好ましくは炭素数6から10のアリール基(例えばフェニル、o−カルボキシフェニル)、置換または無置換の炭素数3から20、好ましくは炭素数4から15、更に好ましくは炭素数6から10の複素環基(例えばN,N−ジメチルバルビツール酸基)、ハロゲン原子(例えば塩素、臭素、沃素、フッ素)、炭素数1から15、好ましくは炭素数1から10、更に好ましくは炭素数1から5のアルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ)、炭素数0から15、好ましくは炭素数2から10、更に好ましくは炭素数4から10のアミノ基(例えばメチルアミノ、N,N−ジメチルアミノ、N−メチル−N−フェニルアミノ、N−メチルピペラジノ)、炭素数1から15、好ましくは炭素数1から10、更に好ましくは炭素数1から5のアルキルチオ基(例えばメチルチオ、エチルチオ)、炭素数6から20、好ましくは炭素数6から12、更に好ましくは炭素数6から10のアリールチオ基(例えばフェニルチオ、p−メチルフェニルチオ)などが挙げられる。また他のメチン基と環を形成してもよく、もしくはZ101〜Z109、Za、R101〜R109、Raと共に環を形成することもできる。
【0095】
101、L102、L106、L107、L108、L109、L112、L113、L119 、L120として好ましくは、無置換メチン基である。
【0096】
101、n102、n103、n104、及びn105はそれぞれ独立に0、1、2、3または4を表す。n101〜n105として好ましくは0、1、2、3であり、更に好ましくは0、1、2であり、特に好ましくは0、1である。n101〜n105 が2以上の時、メチン基が繰り返されるが同一である必要はない。
【0097】
101、p102、p103、p104、及びp105はそれぞれ独立に0または1を表す。好ましくは0である。
【0098】
101、M102、M103、及びM104は、色素のイオン電荷を中性にするために必要であるとき、陽イオン又は陰イオンの存在を示すために式の中に含められている。典型的な陽イオンとしては水素イオン(H)、アルカリ金属イオン(例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン)、アルカリ土類金属イオン(例えばカルシウムイオン)などの無機陽イオン、アンモニウムイオン(例えば、アンモニウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、エチルピリジニウムイオン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムイオン)などの有機イオンが挙げられる。陰イオンは無機陰イオンあるいは有機陰イオンのいずれであってもよく、ハロゲン陰イオン(例えばフッ素イオン、塩素イオン、ヨウ素イオン)、置換アリ−ルスルホン酸イオン(例えばp−トルエンスルホン酸イオン、p−クロルベンゼンスルホン酸イオン)、アリ−ルジスルホン酸イオン(例えば1、3−ベンゼンスルホン酸イオン、1、5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2、6−ナフタレンジスルホン酸イオン)、アルキル硫酸イオン(例えばメチル硫酸イオン)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオンが挙げられる。さらに、イオン性ポリマー又は色素と逆電荷を有する他の色素を用いても良い。また、CO 、SO は、対イオンとして水素イオンを持つときはCOH、SOHと表記することも可能である。
【0099】
101、m102、m103、及びm104は電荷を均衡させるのに必要な0以上の数を表し、好ましくは0〜4の数であり、さらに好ましくは0〜1の数であり、分子内で塩を形成する場合には0である。
【0100】
次に、本発明の単環複素環からなる塩基性核を含むメチン色素化合物の、特に好ましい具体例を以下に示す。もちろん、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0101】
【化11】
Figure 2004170514
【0102】
【化12】
Figure 2004170514
【0103】
【化13】
Figure 2004170514
【0104】
【化14】
Figure 2004170514
【0105】
なお、本発明における多層吸着を構成する色素としては、上述の[多層吸着関連特許3] に記載された色素を用いることができる。
【0106】
本発明の色素は、エフ・エム・ハーマー(F.M.Harmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズ−シアニンダイズ・アンド・リレィティド・コンパウンズ(Heterocyclic Compounds−Cyanine Dyes and Related Compounds) 」、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社−ニューヨーク、ロンドン、1964年刊、デー・エム・スターマー(D.M.Sturmer) 著「ヘテロサイクリック・コンパウンズ−スペシャル・トピックス・イン・ヘテロサイクリック・ケミストリー(Heterocyclic Compounds−Special topics in heterocyclic chemistry) 」、第18章、第14節、第482から515項、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons) 社−ニューヨーク、ロンドン、1977年刊、「ロッズ・ケミストリー・オブ・カーボン・コンパウンズ(Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds)」2nd.Ed.vol.IV,partB,1977刊、第15章、第369から422項、エルセビア・サイエンス・パブリック・カンパニー・インク(Elsevier Science Publishing Company Inc.)社刊、ニューヨーク、などに記載の方法に基づいて合成することができる。
【0107】
本発明において、本発明の増感色素だけでなく、本発明以外の他の増感色素を用いたり、併用しても良い。用いられる色素として、好ましくはシアニン色素、メロシアニン色素、ロダシアニン色素、3核メロシアニン色素、4核メロシアニン色素、アロポーラー色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素などが挙げられる。さらに好ましくはシアニン色素、メロシアニン色素、ロダシアニン色素であり、特に好ましくはシアニン色素である。これらの色素の詳細については、前述の色素文献▲1▼に記載されている。
【0108】
これらの増感色素は1種用いても良いが、2種以上用いても良く、増感色素の組み合わせは、特に強色増感の目的でしばしば用いられる。その代表例は米国特許2,688,545号、同2,977,229号、同3,397,060号、同3,522,052号、同3,527,641号、同3,617,293号、同3,628,964号、同3,666,480号、同3,672,898号、同3,679,428号、同3,303,377号、同3,769,301号、同3,814,609号、同3,837,862号、同4,026,707号、英国特許1,344,281号、同1,507,803号、特公昭43−49336号、同53−12375号、特開昭52−110618号、同52−109925号などに記載されている。
【0109】
増感色素とともに、それ自身分光増感作用を持たない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んで良い。
【0110】
本発明における分光増感において有用な強色増感剤(例えば、ピリミジルアミノ化合物、トリアジニルアミノ化合物、アゾリウム化合物、アミノスチリル化合物、芳香族有機酸ホルムアルデヒド縮合物、アザインデン化合物、カドミウム塩)、及び強色増感剤と増感色素の組み合わせは、例えば米国特許3,511,664号、同3,615,613号、同3,615,632号、同3,615,641号、同4,596,767号、同4,945,038号、同4,965,182号、同4,965,182号、同2,933,390号、同3,635,721号、同3,743,510号、同3,617,295号、同3,635,721号等に記載されており、その使用法に関しても上記の特許に記載されている方法が好ましい。
【0111】
本発明の色素発色団、増感色素(また、その他の増感色素、強色増感剤についても同様)を本発明のハロゲン化銀乳剤中に添加する時期は、これまで有用である事が認められている乳剤調製の如何なる工程中であってもよい。例えば、米国特許2,735,766号、同3,628,960号、同4,183,756号、同4,225,666号、特開昭58−184142号、同60−196749号等に開示されているように、ハロゲン化銀の粒子形成工程または/及び脱塩前の時期、脱塩工程中及び/または脱塩後から化学熟成の開始前迄の時期、特開昭58−113920号等に開示されているように、化学熟成の直前または工程中の時期、化学熟成後塗布迄の時期の乳剤が塗布される前なら如何なる時期、工程に於いて添加されても良い。また、米国特許4,225,666号、特開昭58−7629号等に開示されているように、同一化合物を単独で、または異種構造の化合物と組み合わせて、例えば、粒子形成工程中と化学熟成工程中または化学熟成完了後とに分けたり、化学熟成の前または工程中と完了後とに分けるなどして分割して添加しても良く、分割して添加する化合物及び化合物の組み合わせの種類をも変えて添加されても良い。
【0112】
本発明の色素発色団、増感色素(また、その他の増感色素、強色増感剤についても同様)の添加量としては、ハロゲン化銀粒子の形状、サイズにより異なり、いずれの添加量でも良いが、ハロゲン化銀1モル当たり、1×10−6〜8×10−3モルで用いることができる。例えば、ハロゲン化銀粒子サイズが0.2〜1.3μmの場合には、ハロゲン化銀1モル当たり、2×10−6〜3.5×10−3モルの添加量が好ましく、7.5×10−6〜2×10−3モルの添加量がより好ましい。
但し、本発明においては、色素発色団を多層吸着させるに十分な量を添加することが必要である。
【0113】
本発明の色素発色団、増感色素(また、その他の増感色素、強色増感剤についても同様)は、直接乳剤中へ分散することができる。また、これらはまず適当な溶媒、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、メチルセロソルブ、アセトン、水、ピリジンあるいはこれらの混合溶媒などの中に溶解され、溶液の形で乳剤中へ添加することもできる。この際、塩基や酸、界面活性剤などの添加物を共存させることもできる。また、溶解に超音波を使用することもできる。また、この化合物の添加方法としては米国特許第3,469,987号などに記載のごとき、該化合物を揮発性の有機溶媒に溶解し、該溶液を親水性コロイド中に分散し、この分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭46−24185号などに記載のごとき、水溶性溶剤中に分散させ、この分散物を乳剤中へ添加する方法、米国特許第3,822,135号に記載のごとき、界面活性剤に化合物を溶解し、該溶液を乳剤中へ添加する方法、特開昭51−74624号に記載のごとき、レッドシフトさせる化合物を用いて溶解し、該溶液を乳剤中へ添加する方法、特開昭50−80826号に記載のごとき、化合物を実質的に水を含まない酸に溶解し、該溶液を乳剤中へ添加する方法などが用いられる。その他、乳剤中への添加には米国特許第2,912,343号、同3,342,605号、同2,996,287号、同3,429,835号などに記載の方法も用いられる。
【0114】
本発明において感光機構をつかさどる写真乳剤にはハロゲン化銀として臭化銀、ヨウ臭化銀、塩臭化銀、ヨウ化銀、ヨウ塩化銀、ヨウ臭塩化銀、塩化銀のいずれを用いてもよいが、乳剤最外表面のハロゲン組成が0.1mol%以上、さらに好ましくは1mol%以上、特に好ましくは5mol%以上のヨードを含むことによりより強固な吸着構造が構築できる。
粒子サイズ分布は、広くても狭くてもいずれでもよいが、狭い方がよりこのましい。
写真乳剤のハロゲン化銀粒子は、立方体、八面体、十四面体、斜方十二面体のような規則的(regular)な結晶体を有するもの、また球状、板状などのような変則的(irregular)な結晶形をもつもの、高次の面((hkl)面)をもつもの、あるいはこれらの結晶形の粒子の混合からなってもよいが、好ましくは平板状粒子であり、平板状粒子については下記に詳細に記述する。高次の面を持つ粒子についてはJournal of Imaging Science誌、第30巻(1986年)の247頁から254頁を参照することができる。
また、本発明に用いられるハロゲン化銀写真乳剤は、上記のハロゲン化銀粒子を単独または複数混合して含有していても良い。ハロゲン化銀粒子は、内部と表層が異なる相をもっていても、接合構造を有するような多相構造であっても、粒子表面に局在相を有するものであっても、あるいは粒子全体が均一な相から成っていても良い。またそれらが混在していてもよい。
これら各種の乳剤は潜像を主として表面に形成する表面潜像型でも、粒子内部に形成する内部潜像型のいずれでもよい。
【0115】
本発明では、ハロゲン組成が塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、ヨウ臭化銀、塩ヨウ臭化銀、ヨウ塩化銀の平板ハロゲン化銀粒子が好ましく使用される。平板粒子は、(100)又は(111)かの主表面を持つものが好ましい。(111)主表面を有する平板粒子、以下これを(111)平板と呼ぶ、は普通三角形か六角形の面をもつ。一般的には分布がより均一になれば、より六角形の面を持つ平板粒子の比率が高くなる。六角形の単分散平板に関しては特公平5−61205に記載されている。
【0116】
(100)面を主表面に持つ平板状粒子、以下(100)平板と呼ぶ、は長方形または正方形の形も持つ。この乳剤においては針状粒子より、隣接辺比が5:1未満の粒子が平板粒子と呼ばれる。塩化銀或いは塩化銀を多く含む平板粒子においては、(100)平板粒子は本来(111)平板に比べて主表面の安定性が高い。(111)平板の場合は、(111)主表面を安定化させる事が必要であるが、それに関しては特開平9−80660号、特開平9−80656号、米国特許第5298388号に記載されている。
【0117】
本発明において用いられる塩化銀或いは塩化銀の含有率の高い(111)平板に関しては下記の特許に開示されている。
米国特許第4414306号、米国特許第4400463号、米国特許第4713323号、米国特許第4783398号、米国特許第4962491号、米国特許第4983508号、米国特許第4804621号、米国特許第5389509号、米国特許第5217858号、米国特許第5460934号。
【0118】
本発明に用いられる高臭化銀(111)平板粒子に関しては下記の特許に記載されている。
米国特許第4425425号、米国特許第4425426号、米国特許第443426号、米国特許第4439520号、米国特許第4414310号、米国特許第4433048号、米国特許第4647528号、米国特許第4665012号、米国特許第4672027号、米国特許第4678745号、米国特許第4684607号、米国特許第4593964号、米国特許第4722886号、米国特許第4722886号、米国特許第4755617号、米国特許第4755456号、米国特許第4806461号、米国特許第4801522、米国特許第4835322号、米国特許第4839268号、米国特許第4914014号、米国特許第4962015号、米国特許第4977074号、米国特許第4985350号、米国特許第5061609号、米国特許第5061616号、米国特許第5068173号、米国特許第5132203号、米国特許第5272048号、米国特許第5334469号、米国特許第5334495号、米国特許第5358840号、米国特許第5372927号。
【0119】
本発明に用いられる(100)平板に関しては、下記の特許に記載されている。 米国特許第4386156号、米国特許第5275930号、米国特許第5292632号、米国特許第5314798号、米国特許第5320938号、米国特許第5319635号、米国特許第5356764号、欧州特許第569971号、欧州特許第737887号、特開平6−308648号、特開平9−5911号。
【0120】
本発明に使用するハロゲン化銀乳剤は、本発明に開示する増感色素を吸着せしめた、より表面積/体積比の高い平板状ハロゲン化銀粒子が好ましく、好ましくはアスペクト比は2以上、さらに好ましくは5以上、特に好ましくは8以上である。上限は特にないが、好ましくは1000以下、さらに好ましくは500以下である。平板状粒子の厚さは、0.2μm未満が好ましく、より好ましくは0.1μm未満、更に好ましくは0.07μm未満である。
【0121】
ここで、例えばアスペクト比が2以上1000以下であるとは、アスペクト比(ハロゲン化銀粒子の円相当直径/粒子厚み)が2以上1000以下のハロゲン化銀粒子が乳剤中の全ハロゲン化銀粒子の投影面積の50%以上存在することを意味する。好ましくは、70%以上、特に好ましくは85%以上存在する乳剤である。
【0122】
この様な高アスペクト比で且つ薄い平板粒子を調製する為に下記の技術が適用される。
本発明の平板粒子は粒子間の転位線量分布が均一であることが望ましい。本発明の乳剤は1粒子当たり10本以上の転位線を含むハロゲン化銀粒子が全粒子の100ないし50%(個数)を占めることが好ましく、より好ましくは100ないし70%を、特に好ましくは100ないし90%を占める。
【0123】
50%を下回ると粒子間の均質性の点で好ましくない。
【0124】
本発明において転位線を含む粒子の割合及び転位線の本数を求める場合は、少なくとも100粒子について転位線を直接観察して求めることが好ましく、より好ましくは200粒子以上、特に好ましくは300粒子以上について観察して求める。
【0125】
本発明の乳剤の調製時に用いられる保護コロイドとして、及びその他の親水性コロイド層のバインターとしては、ゼラチンを用いるのが有利であるが、それ以外の親水性コロイドも用いることができる。
例えば、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子とのグラフトポリマー、アルブミン、カゼインのような蛋白質;ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロース硫酸エステル類のようなセルロース誘導体、アルギン酸ソーダ、澱粉誘導体のような糖誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部分アセタール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピラゾールのような単一あるいは共重合体の如き多種の合成親水性高分子物質を用いることができる。
ゼラチンとしては石灰処理ゼラチンのほか、酸処理ゼラチンやBull.Soc.Sci.Photo.Japan.No.16.P30(1966)に記載されたような酵素処理ゼラチンを用いてもよく、また、ゼラチンの加水分解物や酵素分解物も用いることができる。
本発明の乳剤は脱塩のために水洗し、新しく用意した保護コロイド分散にすることが好ましい。水洗の温度は目的に応じて選べるが、5℃〜50℃の範囲で選ぶことが好ましい。水洗時のpHも目的に応じて選べるが2〜10の間で選ぶことが好ましい。さらに好ましくは3〜8の範囲である。水洗時のpAg も目的に応じて選べるが5〜10の間で選ぶことが好ましい。水洗の方法としてヌードル水洗法、半透膜を用いた透析法、遠心分離法、凝析沈降法、イオン交換法のなかから選んで用いることができる。凝析沈降法の場合には硫酸塩を用いる方法、有機溶剤を用いる方法、水溶性ポリマーを用いる方法、ゼラチン誘導体を用いる方法などから選ぶことができる。
【0126】
本発明の乳剤調製時、例えば粒子形成時、脱塩工程、化学増感時、塗布前に金属イオンの塩を存在させることは目的に応じて好ましい。粒子にドープする場合には粒子形成時、粒子表面の修飾あるいは化学増感剤として用いる時は粒子形成後、化学増感終了前に添加することが好ましい。粒子全体にドープする場合と粒子のコアー部のみ、あるいはシェル部のみにドープする方法も選べる。例えば、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Sc、Y、La、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、Au、Cd、Hg、Tl、In、Sn、Pb、Biを用いることができる。これらの金属はアンモニウム塩、酢酸塩、硝酸塩、硫酸塩、燐酸塩、水酸塩あるいは6配位錯塩、4配位錯塩など粒子形成時に溶解させることができる塩の形であれば添加できる。例えば、CdBr、CdCl、Cd(NO、Pb(NO 、Pb(CHCOO)、K[Fe(CN)]、(NH[Fe(CN)]、KIrCl、(NHRhCl、KRu(CN)があげられる。配位化合物のリガンドとしてハロ、アコ、シアノ、シアネート、チオシアネート、ニトロシル、チオニトロシル、オキソ、カルボニルのなかから選ぶことができる。これらは金属化合物を1種類のみ用いてもよいが2種あるいは3種以上を組み合せて用いてよい。
【0127】
金属化合物は水またはメタノール、アセトンのような適当な有機溶媒に溶かして添加するのが好ましい。溶液を安定化するためにハロゲン化水素水溶液(例えば、HCl、HBr)あるいはハロゲン化アルカリ(例えば、KCl、NaCl、KBr、NaBr)を添加する方法を用いることができる。また必要に応じ酸・アルカリなどを加えてもよい。金属化合物は粒子形成前の反応容器に添加しても粒子形成の途中で加えることもできる。また水溶性銀塩(例えば、AgNO)あるいはハロゲン化アルカリ水溶液(例えば、NaCl、KBr、KI)に添加しハロゲン化銀粒子形成中連続して添加することもできる。さらに水溶性銀塩、ハロゲン化アルカリとは独立の溶液を用意し粒子形成中の適切な時期に連続して添加してもよい。さらに種々の添加方法を組み合せるのも好ましい。
【0128】
米国特許第3,772,031号に記載されているようなカルコゲン化合物を乳剤調製中に添加する方法も有用な場合がある。S、Se、Te以外にもシアン塩、チオシアン塩、セレノシアン酸、炭酸塩、リン酸塩、酢酸塩を存在させてもよい。
【0129】
本発明のハロゲン化銀粒子は硫黄増感、セレン増感、金増感、パラジウム増感又は貴金属増感、還元増感の少なくとも1つをハロゲン化銀乳剤の製造工程の任意の工程で施こすことができる。2種以上の増感法を組み合せることは好ましい。どの工程で化学増感するかによって種々のタイプの乳剤を調製することができる。粒子の内部に化学増感核をうめ込むタイプ、粒子表面から浅い位置にうめ込むタイプ、あるいは表面に化学増感核を作るタイプがある。本発明の乳剤は目的に応じて化学増感核の場所を選ぶことができるが、一般に好ましいのは表面近傍に少なくとも一種の化学増感核を作った場合である。
本発明で好ましく実施しうる化学増感の一つはカルコゲン増感と貴金属増感の単独又は組合せであり、ジェームス(T.H.James)著、ザ・フォトグラフィック・プロセス、第4版、マクミラン社刊、1977年、(T.H.James、The Theory of the Photographic Process,4th ed,Macmillan,1977)67−76頁に記載されるように活性ゼラチンを用いて行うことができるし、またリサーチ・ディスクロージャー、120巻、1974年4月、12008;リサーチ・ディスクロージャー、34巻、1975年6月、13452、米国特許第2,642,361号、同第3,297,446号、同第3,772,031号、同第3,857,711、同第3,901,714号、同第4,266,018号、および同第3,904,415号、並びに英国特許第1,315,755号に記載されるようにpAg 5〜10、pH5〜8および温度30〜80℃において硫黄、セレン、テルル、金、白金、パラジウム、イリジウムまたはこれら増感剤の複数の組合せとすることができる。貴金属増感においては、金、白金、パラジウム、イリジウム等の貴金属塩を用いることができ、中でも特に金増感、パラジウム増感および両者の併用が好ましい。金増感の場合には、塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金、金セレナイドのような公知の化合物を用いることができる。パラジウム化合物はパラジウム2価塩または4価の塩を意味する。好ましいパラジウム化合物は、RPdXまたはRPdXで表わされる。ここでRは水素原子、アルカリ金属原子またはアンモニウム基を表わす。Xはハロゲン原子を表わし塩素、臭素または沃素原子を表わす。
【0130】
具体的には、KPdCl、(NHPdCl、NaPdCl、(NHPdCl、LiPdCl、NaPdClまたはKPdBrが好ましい。金化合物およびパラジウム化合物はチオシアン酸塩あるいはセレノシアン酸塩と併用することが好ましい。
硫黄増感剤として、ハイポ、チオ尿素系化合物、ロダニン系化合物および米国特許第3,857,711号、同第4,266,018号および同第4,054,457号に記載されている硫黄含有化合物を用いることができる。いわゆる化学増感助剤の存在下に化学増感することもできる。有用な化学増感助剤には、アザインデン、アザピリダジン、アザピリミジンのごとき、化学増感の過程でカブリを抑制し、且つ感度を増大するものとして知られた化合物が用いられる。化学増感助剤改質剤の例は、米国特許第2,131,038号、同第3,411,914号、同第3,554,757号、特開昭58−126526号および前述ダフィン著「写真乳剤化学」、138〜143頁に記載されている。
本発明の乳剤は金増感を併用することが好ましい。金増感剤の好ましい量としてハロゲン化銀1モル当り1×10−4〜1×10−7モルであり、さらに好ましいのは1×10−5〜5×10−7モルである。パラジウム化合物の好ましい範囲は1×10−3から5×10−7である。チオシアン化合物あるいはセレノシアン化合物の好ましい範囲は5×10−2から1×10−6である。
本発明のハロゲン化銀粒子に対して使用する好ましい硫黄増感剤量はハロゲン化銀1モル当り1×10−4〜1×10−7モルであり、さらに好ましいのは1×10−5〜5×10−7モルである。
本発明の乳剤に対して好ましい増感法としてセレン増感がある。
【0131】
セレン増感剤としては、従来公知の特許に開示されているセレン化合物を用いることができる。すなわち通常、不安定型セレン化合物および/または非不安定型セレン化合物を添加して、高温、好ましくは40℃以上で乳剤を一定時間撹拌することにより用いられる。不安定型セレン化合物としては、例えば特公昭44−15748号、特公昭43−13489号、特開平4−25832号、特開平4−109240号に記載の化合物を用いることが好ましい。具体的な不安定セレン増感剤としては、イソセレノシアネート類(例えばアリルイソセレノシアネートのごとき脂肪族イソセレノシアネート類)、セレノ尿素類、セレノケトン類、セレノアミド類、セレノカルボン酸類(例えば、2−セレノプロピオン酸、2−セレノ酪酸)、セレノエステル類、ジアシルセレニド類(例えば、ビス(3−クロロ−2,6−ジメトキシベンゾイル)セレニド)、セレノホスフェート類、ホスフィンセレニド類、コロイド状金属セレンが挙げられる。
【0132】
不安定型セレン化合物の好ましい類型を上に述べたがこれらは限定的なものではない。当業技術者には写真乳剤の増感剤としての不安定型セレン化合物といえば、セレンが不安定である限りにおいて該化合物の構造はさして重要なものではなく、セレン増感剤分子の有機部分はセレンを担持し、それを不安定な形で乳剤中に存在せしめる以外何らの役割をもたないことが一般に理解されている。本発明においては、かかる広範な概念の不安定セレン化合物が有利に用いられる。
【0133】
本発明で用いられる非不安定型セレン化合物としては特公昭46−4553号、特公昭52−34492号および特公昭52−34491号に記載の化合物が用いられる。非不安定型セレン化合物としては例えば亜セレン酸、セレノシアン化カリウム、セレナゾール類、セレナゾール類の四級塩、ジアリールセレニド、ジアリールジセレニド、ジアルキルセレニド、ジアルキルジセレニド、2−セレナゾリジンジオン、2−セレノオキサゾリジンチオンおよびこれらの誘導体が挙げられる。
【0134】
これらのセレン化合物のうち、好ましくは特開平11−15115号明細書の、一般式(VII)および(VIII)のものが好ましく用いられる。
これらのセレン増感剤は水またはメタノール、エタノールなどの有機溶媒の単独または混合溶媒に溶解し化学増感時に添加される。好ましくは化学増感開始前に添加される。使用されるセレン増感剤は1種に限られず、上記セレン増感剤の2種以上を併用して用いることができる。不安定セレン化合物と非不安定セレン化合物の併用は好ましい。
セレン増感剤の添加量は、用いるセレン増感剤の活性度、ハロゲン化銀の種類や大きさ、熟成の温度および時間などにより異なるが、好ましくは、乳剤のハロゲン化銀1モル当り1×10−8モル以上である。より好ましくは1×10−7〜5×10−5モルである。セレン増感剤を用いた場合の化学熟成の温度は好ましくは45℃以上である。より好ましくは50〜80℃である。pAgおよびpHは任意である。例えばpHは4から9までの広い範囲で本発明の効果は得られる。
【0135】
セレン増感は硫黄増感あるいは貴金属増感あるいはその両方と組み合せて用いた方が好ましい場合がある。
【0136】
本発明のハロゲン化銀乳剤を粒子形成中、粒子形成後でかつ化学増感前あるいは化学増感中、あるいは化学増感後に還元増感することは好ましい。
ここで、還元増感とは、ハロゲン化銀乳剤に還元増感剤を添加する方法、銀熟成と呼ばれるpAg 1〜7の低pAg の雰囲気で成長あるいは熟成させる方法、高pH熟成と呼ばれるpH8〜11の高pHの雰囲気で成長あるいは熟成させる方法のいずれを選ぶこともできる。また2つ以上の方法を併用することもできる。
還元増感剤を添加する方法は還元増感のレベルを微妙に調節できる点で好ましい方法である。
還元増感剤としては、例えば、第一錫塩、アスコルビン酸およびその誘導体、アミンおよびポリアミン類、ヒドラジン誘導体、ホルムアミジンスルフィン酸、シラン化合物、ボラン化合物が公知である。本発明の還元増感にはこれら公知の還元増感剤を選んで用いることができ、また2種以上の化合物を併用することもできる。還元増感剤としては塩化第一錫、二酸化チオ尿素、ジメチルアミンボラン、アスコルビン酸およびその誘導体が好ましい化合物である。還元増感剤の添加量は乳剤製造条件に依存するので添加量を選ぶ必要があるが、ハロゲン化銀1モル当り10−7〜10−3モルの範囲が適当である。
還元増感剤は、例えば、水あるいはアルコール類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類のような有機溶媒に溶かし粒子成長中に添加される。あらかじめ反応容器に添加するのもよいが、粒子成長の適当な時期に添加する方法が好ましい。また水溶性銀塩あるいは水溶性アルカリハライドの水溶性にあらかじめ還元増感剤を添加しておき、これらの水溶液を用いてハロゲン化銀粒子を沈澱せしめてもよい。また粒子成長に伴って還元増感剤の溶液を何回かに分けて添加しても連続して長時間添加するのも好ましい方法である。
【0137】
本発明の乳剤の製造工程中に銀に対する酸化剤を用いることが好ましい。銀に対する酸化剤とは、金属銀に作用して銀イオンに変換せしめる作用を有する化合物をいう。特にハロゲン化銀粒子の形成過程および化学増感過程において副生するきわめて微小な銀粒子を、銀イオンに変換せしめる化合物が有効である。ここで生成する銀イオンは、例えば、ハロゲン化銀、硫化銀、セレン化銀のような水に難溶の銀塩を形成してもよく、又、硝酸銀のような水に易溶の銀塩を形成してもよい。銀に対する酸化剤は、無機物であっても、有機物であってもよい。無機の酸化剤としては、例えば、オゾン、過酸化水素およびその付加物(例えば、NaBO・H・3HO、2NaCO・3H、Na・2H、2NaSO・H・2HO)、ペルオキシ酸塩(例えば、K、K、K)、ペルオキシ錯体化合物(例えば、K[Ti(O)C]・3HO、4KSO・Ti(O)OH・SO・2HO、Na[VO(O)(C]・6HO)、過マンガン酸塩(例えば、KMnO)、クロム酸塩(例えば、KCr )のような酸素酸塩、沃素や臭素のようなハロゲン元素、過ハロゲン酸塩(例えば、過沃素酸カリウム)、高原子価の金属の塩(例えば、ヘキサシアノ第二鉄酸カリウム)およびチオスルフォン酸塩がある。
【0138】
また、有機の酸化剤としては、p−キノンのようなキノン類、過酢酸や過安息香酸のような有機過酸化物、活性ハロゲンを放出する化合物(例えば、N−ブロムサクシンイミド、クロラミンT、クロラミンB)が例として挙げられる。
【0139】
本発明の好ましい酸化剤は、オゾン、過酸化水素およびその付加物、ハロゲン元素、チオスルフォン酸塩の無機酸化剤及びキノン類の有機酸化剤である。前述の還元増感と銀に対する酸化剤を併用するのは好ましい態様である。酸化剤を用いたのち還元増感を施こす方法、その逆方法あるいは両者を同時に共存させる方法のなかから選んで用いることができる。これらの方法は粒子形成工程でも化学増感工程でも選んで用いることができる。
【0140】
本発明に用いられる写真乳剤には、感光材料の製造工程、保存中あるいは写真処理中のかぶりを防止し、あるいは写真性能を安定化させる目的で、種々の化合物を含有させることができる。すなわちチアゾール類、例えば、ベンゾチアゾリウム塩、ニトロイミダゾール類、ニトロベンズイミダゾール類、クロロベンズイミダゾール類、ブロモベンズイミダゾール類、メルカプトチアゾール類、メルカプトベンゾチアゾール類、メルカプトベンズイミダゾール類、メルカプトチアジアゾール類、アミノトリアゾール類、ベンゾトリアゾール類、ニトロベンゾトリアゾール類、メルカプトテトラゾール類(特に1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール)、メルカプトピリミジン類、メルカプトトリアジン類、例えば、オキサドリンチオンのようなチオケト化合物、アザインデン類、例えば、トリアザインデン類、テトラアザインデン類(特に4−ヒドロキシ置換(1,3,3a,7)テトラアザインデン類)、ペンタアザインデン類のようなかぶり防止剤または安定剤として知られた、多くの化合物を加えることができる。例えば、米国特許第3,954,474号、同第3,982,947号、特公昭52−28660号に記載されたものを用いることができる。好ましい化合物の一つに特開昭63−212932号に記載された化合物がある。かぶり防止剤および安定剤は粒子形成前、粒子形成中、粒子形成後、水洗工程、水洗後の分散時、化学増感前、化学増感中、化学増感後、塗布前のいろいろな時期に目的に応じて添加することができる。乳剤調製中に添加して本来のかぶり防止および安定化効果を発現する以外に、粒子の晶壁を制御する、粒子サイズを小さくする、粒子の溶解性を減少させる、化学増感を制御する、色素の配列を制御するなど多目的に用いることができる。
【0141】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料はカラー写真感光材料および黒白写真感光材料のいずれにも用いることができる。カラー写真感光材料としては特にカラー印画紙、カラー撮影用フィルム、カラーリバーサルフィルム、カラーインスタントフイルム、黒白写真感光材料としては一般撮影用フィルム、X−レイ用フィルム、医療診断用フィルム、印刷感材用フィルム等を挙げることができる。
【0142】
医療診断用フィルム、印刷感材用フィルム分野において、レーザー・イメージセッターまたはレーザー・イメージャーにより効率的に露光させることができる。
これらの分野の技術については、特開平7−287,337号、特開平4−335,342号、特開平5−313,289号、特開平8−122、954号、特開平8−292、512号などに記載されている。
【0143】
また、熱現像感光材料を好ましく用いることもできる。例えば、触媒活性量の光触媒(例えば、ハロゲン化銀)、還元剤、還元可能な銀塩(例えば、有機銀塩)、必要により銀の色調を制御する色調剤を、バインダーのマトリックス中に分散した感光性層を有している材料などが知られている。これらについては、例えば、米国特許3152904号、米国特許3457075号、米国特許2910377号、米国特許第4,500,626号、特公昭43−4924号、特開平11−24200号、同11−24201号、同11−30832号、同11−84574号、同11−65021号、同11−109547号、同11−125880号、同11−129629号、同11−133536号〜同11−133539号、同11−133542号、同11−133543号、同11−223898号、同11−352627号、同6−130607号、同6−332134号、同6−332136号、同6−347970号、同7−261354号、特願2000−89436号、等を挙げることができる。
【0144】
本発明に用いられる写真乳剤の調製法等については特開平10−239789号明細書の第63欄36行〜第65欄2行等が適用できる。
また、カラーカプラー等の添加剤、写真感光材料添加剤等、本発明が適用される感光材料の種類、感光材料の処理等については、特開平10−239789号明細書の第65欄3行〜第73欄13行等が適用できる。
【0145】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料には、前記の種々の添加剤が用いられるが、それ以外にも目的に応じて種々の添加剤を用いることができる。
これらの添加剤は、より詳しくはResearch Disclosure誌のItem17643(1978年12月)、同Item18716(1979年11月)および同Item308119(1989年12月)に記載されており、その該当の個所を後掲の表にまとめて示した。
【0146】
Figure 2004170514
【0147】
本発明の乳剤ならびにその乳剤を用いた写真感光材料に使用することができる層配列等の技術、ハロゲン化銀乳剤、色素形成カプラー、DIRカプラー等の機能性カプラー、各種の添加剤等、および現像処理については、欧州特許第0565096A1号(1993年10月13日公開)およびこれに引用された特許に記載されている。以下に各項目とこれに対応する記載箇所を列記する。
【0148】
1.層構成: 61頁23〜35行、41行〜62頁14行
2.中間層: 61頁36〜40行
3.重層効果付与層: 62頁15〜18行
4.ハロゲン化銀ハロゲン組成: 62頁21〜25行
5.ハロゲン化銀粒子晶癖: 62頁26〜30行
6.ハロゲン化銀粒子サイズ: 62頁31〜34行
7.乳剤製造法: 62頁35〜40行
8.ハロゲン化銀粒子サイズ分布: 62頁41〜42行
9.平板粒子: 62頁43〜46行
10.粒子の内部構造: 62頁47〜53行
11.乳剤の潜像形成タイプ: 62頁54行〜63頁5行
12.乳剤の物理熟成・化学増感: 63頁6〜9行
13.乳剤の混合使用: 63頁10〜13行
14.かぶらせ乳剤: 63頁14〜31行
15.非感光性乳剤: 63頁32〜43行
16.塗布銀量: 63頁49〜50行
【0149】
17.ホルムアルデヒドスカベンジャー: 64頁54〜57行
18.メルカプト系カブリ防止剤: 65頁1〜2行
19.かぶらせ剤等放出剤: 65頁3〜7行
20.色素: 65頁7〜10行
21.カラーカプラー全般: 65頁11〜13行
22.イエロー、マゼンタおよびシアンカプラー:65頁14〜25行
23.ポリマーカプラー: 65頁26〜28行
24.拡散性色素形成カプラー: 65頁29〜31行
25.カラードカプラー: 65頁32〜38行
26.機能性カプラー全般: 65頁39〜44行
27.漂白促進剤放出カプラー: 65頁45〜48行
28.現像促進剤放出カプラー: 65頁49〜53行
29.その他のDIRカプラー: 65頁54行〜66頁4行
30.カプラー分散方法: 66頁5〜28行
【0150】
31.防腐剤・防かび剤: 66頁29〜33行
32.感材の種類: 66頁34〜36行
33.感光層膜厚と膨潤速度: 66頁40行〜67頁1行
34.バック層: 67頁3〜8行
35.現像処理全般: 67頁9〜11行
36.現像液と現像薬: 67頁12〜30行
37.現像液添加剤: 67頁31〜44行
38.反転処理: 67頁45〜56行
39.処理液開口率: 67頁57行〜68頁12行
40.現像時間: 68頁13〜15行
41.漂白定着・漂白・定着: 68頁16行〜69頁31行
42.自動現像機: 69頁32〜40行
43.水洗・リンス・安定化: 69頁41行〜70頁18行
44.処理液補充・再使用: 70頁19〜23行
45.現像薬感材内蔵: 70頁24〜33行
46.現像処理温度: 70頁34〜38行
47.レンズ付きフィルムへの使用: 70頁39〜41行
【0151】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料の露光方法について説明する。
写真像を得るための露光は通常の方法を用いて行なえばよい。すなわち自然光(日光)、タングステン電灯、蛍光灯、水銀灯、キセノンアーク灯、炭素アーク灯、キセノンフラッシュ灯、レーザー、LED、CRTなど公知の多種の光源をいずれでも用いることができる。また、電子線、X線、γ(ガンマ)線、α(アルファ)線などによって励起された蛍光体から放出する光によって露光されてもよい。
【0152】
本発明においては、レーザー光源が好ましく用いられることもある。レーザー光には、レーザー発振媒体としてヘリウム−ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス、二酸化炭素ガスなどを利用したもの、またルビー、カドミウムなどの固体を発振媒体としたレーザー、その他液体レーザー、半導体レーザーなどがある。これらのレーザー光は、通常の照明などに用いられている光と異なり、単一周波数で位相のそろった鋭い方向性を有するコヒーレントな光であることから、それらを光源として露光するためのハロゲン化銀写真感光材料は、使用するレーザーの発光波長に合致した分光特性を有することを必要とする。
上記のレーザーのうち、好ましくは半導体レーザーを使用する場合である。
【0153】
【実施例】
次に本発明をより詳細に説明するため、以下に実施例を示すが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0154】
実施例1
臭化銀八面体乳剤(乳剤A)および臭化銀平板乳剤(乳剤Bおよび乳剤C)の調製。
反応容器中に水1000ml、脱イオン化した骨ゼラチン25g、50%のNHNO水溶液15mlおよび25%のNH水溶液7.5mlを加えて50℃に保ち、良く攪拌し、1Nの硝酸銀水溶液750mlと、1mol/lの臭化カリウム水溶液を50分で添加し、反応中の銀電位を−40mVに保った。得られた臭化銀粒子は八面体で、球相当径が0.846±0.036μmであった。
上記乳剤の温度を下げ、イソブテンとマレイン酸モノナトリウム塩との共重合物を凝集剤として添加し、沈降水洗して脱塩した。次いで、脱イオン化した骨ゼラチン95gと水430mlとを加え、50℃でpH6.5、およびpAg8.3に調整した後、最適感度となるようにチオシアン酸カリウム、塩化金酸およびチオ硫酸ナトリウムを添加し55℃で50分間熟成した。この乳剤を乳剤Aとした。
【0155】
1.2リットルの水に臭化カリウム6.4gと平均分子量が1万5千以下の低分子量ゼラチン6.2gを溶解させ30℃に保ちながら16.4%の硝酸銀水溶液8.1mlと23.5%の臭化カリウム水溶液7.2mlを10秒にわたってダブルジェット法で添加した。次に11.7%のゼラチン水溶液をさらに添加して75℃に昇温し40分間熟成させた後、32.2%の硝酸銀水溶液370mlと20%の臭化カリウム水溶液を、銀電位を−20mVに保ちながら10分間にわたって添加し、1分間物理熟成後温度を35℃に下げた。このようにして平均投影面積径2.32μm、厚み0.09μm、直径の変動係数15.1%の単分散純臭化銀平板乳剤(比重1.15)を得た。この後凝集沈殿法により可溶性塩類を除去した。再び温度を40℃に保ち、ゼラチン45.6g、1mol/lの濃度の水酸化ナトリウム水溶液を10ml、水167ml、さらに35%フェノキシエタノールを1.66ml添加し、pAgを8.3、pHを6.20に調整した。
この乳剤を、最適感度となるようにチオシアン酸カリウム、塩化金酸およびチオ硫酸ナトリウムを添加し55℃で50分間熟成した。この乳剤を乳剤Bとした。
また、チオシアン酸カリウム、塩化金酸およびチオ硫酸ナトリウムの替わりに、チオシアン酸カリウム、塩化金酸、ペンタフルオロフェニル−ジフェニルフォスフィンセレニドおよびチオ硫酸ナトリウムで化学増感した乳剤を乳剤Cとした。
色素占有面積を80Åとしたときの乳剤A、B、Cの一層飽和被覆量はそれぞれ5.4×10−4、1.42×10−3mol/mol、1.42×10−3mol/molAgであった。
【0156】
上記のようにして得られた乳剤を50℃に保ちながら、表1に示した色素を添加した。
添加量は下記の通りである。
Figure 2004170514
なお、試料12、15、18では、(SS−1)を添加した後、10分後に(SS−3)を添加し、さらに5分後に(SS−2)を添加した。試料13、16、19では、(SS−1)を添加した後、10分後に(11)を添加し、さらに5分後に(5)を添加した。
また、これらの色素は、特開平11−52507号に記載の方法で作成した固体微分散物として、使用した。すなわち硝酸ナトリウム0.8質量部および硫酸ナトリウム3.2質量部をイオン交換水43部に溶解し、色素13質量部を添加し、60℃の条件下でヂゾルバ−翼を用い2000rpmで20分間分散することにより、色素の固体分散物を得た。
【0157】
色素吸着量は、得られた液体乳剤を10,000rpmで10分間遠心沈降させ、沈殿を凍結乾燥した後、沈殿0.05gを25%チオ硫酸ナトリウム水溶液25mlとメタノールを加えて50mlにした。この溶液を高速液体クロマトグラフィーで分析し、色素濃度を定量して求めた。このようにして求めた、色素吸着量と1層飽和被覆量から色素発色団の吸着層数を求めた。
【0158】
単位面積当たりの光吸収強度の測定は、得られた乳剤をスライドガラス上に薄く塗布し、カールツアイス株式会社製の顕微分光光度計MSP65を用いて以下の方法でそれぞれの粒子の透過スペクトルおよび反射スペクトルを測定して、吸収スペクトルを求めた。透過スペクトルのリファレンスは粒子の存在しない部分を、反射スペクトルは反射率の分かっているシリコンカーバイドを測定してリファレンスとした。測定部は直径1μmの円形アパチャー部であり、粒子の輪郭にアパーチャー部が重ならないように位置を調整して10000cm−1(1000nm)から28000cm−1(357nm)までの波数領域で透過スペクトル及び反射スペクトルを測定し、1−T(透過率)−R(反射率)を吸収率Aとして吸収スペクトルを求めた。ハロゲン化銀の吸収を差し引いて吸収率A’とし、−Log(1−A’)を波数(cm−1)に対して積分した値を1/2にして単位表面積あたりの光吸収強度とした。積分範囲は10000cm−1から28000cm−1までである。この際、光源はタングステンランプを用い、光源電圧は8Vとした。光照射による色素の損傷を最小限にするため、一次側のモノクロメータを使用し、波長間隔は2nm、スリット幅を2.5nmに設定した。200粒子について吸収スペクトルおよび光吸収強度を求め、平均値を採用した。
【0159】
また得られた乳剤にゼラチン硬膜剤、及び塗布助剤を添加し、塗布銀量が3.0g−Ag/m になるように、セルロースアセテートフィルム支持体上に、ゼラチン保護層とともに同時塗布した。得られたフィルムをタングステン電球(色温度2854K)に対して連続ウエッジ色フィルターを通して1秒間露光した。色フィルターとして色素側を励起するためマイナス青露光用の富士ゼラチンフィルターSC−50(富士フイルム(株)製)を用いて500nm以下の光を遮断し、試料に照射した。露光した試料は、下記の表面現像液MAA−1を用いて20℃で10分間現像した。
【0160】
表面現像液MAA−1処方
メトール 2.5g
L−アスコルビン酸 10g
ナボックス(富士フイルム(株)) 35g
臭化カリウム 1g
水を加えて 1リットル
pH 9.8
【0161】
現像後、20℃において以下の定着液で定着を行った。
定着液処方
チオ硫酸アンモニウム 170g
亜硫酸ナトリウム(無水) 15g
硼酸 7g
氷酢酸 15ml
カリ明ばん 20g
エチレンジアミン四酢酸 0.1g
酒石酸 3.5g
水を加えて 1リットル
処理したフィルムは富士自動濃度計で光学濃度を測定し、感度は被り+0.2の光学濃度を与えるのに要した光量の逆数で示した。感度は試料12、13は試料11の感度を100としたときの相対値、試料15、16は試料14の感度を100としたときの相対値、試料18、19は試料17の感度を100としたときの相対値で表わした。
また、処理後の色素の残存着色を黙視で評価した。試料11〜13、試料14〜16、及び試料17〜19の中で、各々〇(残色少)、△(残色中)、×(残色大)の優劣をつけた。
【0162】
結果を表1に示す。本発明の試料は比較の試料に比べて、高感度であり、かつ多層吸着した比較試料に比べて処理後の残色が少ないことが分かる。また、乳剤A、B、Cの比較から、本発明は平板粒子でさらに高感度であり、またセレン増感した乳剤でさらに高感度であることが分かる。なお、乳剤Bと同様な方法で、銀電位を調整することによって、種々のアスペクト比の平板粒子を作成して、同様に評価したところ、アスペクト比は2以上、特に8以上で特に優れた性能を示すことが分かった。
また、試料17の光吸収強度=85に対して、試料20の光吸収強度=181と大きく、試料20は吸収の半値幅も狭かった。
【0163】
【表1】
Figure 2004170514
【0164】
【化15】
Figure 2004170514
【0165】
実施例2
実施例1と同様の比較を、特開平11−305369の実施例1のカラーネガ感材の系、特開平7−92601号、同11−160828号の実施例1のカラー反転感材の系、特開平6−347944号の実施例1のカラーペーパー感材の系、特開2000−284442号の実施例1のインスタント感材の系、特開平8−292512号の実施例1の印刷感材の系、特開平8−122954号の実施例1のXレイ感材の系、特開2000−122206の実施例5、特開2001−281785(特願2000−89436)号の実施例1、及び特開平6−130607の実施例1の熱現像感材の系で評価して行った。その結果、実施例1と同様の効果を示した。
【0166】
【発明の効果】
本発明により、高感度で処理後の残色の少ないハロゲン化銀写真感光材料を得ることができる。

Claims (2)

  1. ハロゲン化銀粒子表面上に増感色素が多層吸着しており、該増感色素のうちの少なくとも1つは単環複素環からなる塩基性核を含むメチン色素化合物であることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
  2. 請求項1記載の該メチン色素化合物が下記一般式(S)で表される化合物であることを特徴とする請求項1記載のハロゲン化銀写真感光材料。
    一般式(S)
    Figure 2004170514
    式中、Zaは単環の含窒素複素環を形成するのに必要な原子群を表す。ただし、これらに芳香族環が縮環することはない。Raは水素原子、アルキル基、アリール基、又は複素環基を表す。La、及びLbはメチン基を表す。paは0または1を表す。Qaは、メチン色素発色団を形成するのに必要な基を表す。Maは電荷均衡対イオンを表し、maは分子の電荷を中和するのに必要な0以上の数を表す。
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