JP2004169733A - 防振構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】破損を防止しつつ防振可能な防振構造を提供する。
【解決手段】内燃機関の排気管に遮熱板(12)を支持する防振構造(10)であって、挿通孔(22b)を形成したプレート(22)と、プレート(22)の挿通孔(22b)に挿通して遮熱板(12)を遊動可能に排気管(14)に取り付ける取付部材(13)と、プレート(22)の外縁を係止する第1係止部(21a)と、遮熱板(12)に設けられた開口内縁を係止する第2係止部(21b)と、を備えるグロメット(21)と、を備え、グロメット(21)の第2係止部(21b)に遮熱板の開口内縁と共に係止されるダンプマスを(20)さらに備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】内燃機関の排気管に遮熱板(12)を支持する防振構造(10)であって、挿通孔(22b)を形成したプレート(22)と、プレート(22)の挿通孔(22b)に挿通して遮熱板(12)を遊動可能に排気管(14)に取り付ける取付部材(13)と、プレート(22)の外縁を係止する第1係止部(21a)と、遮熱板(12)に設けられた開口内縁を係止する第2係止部(21b)と、を備えるグロメット(21)と、を備え、グロメット(21)の第2係止部(21b)に遮熱板の開口内縁と共に係止されるダンプマスを(20)さらに備えている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の振動を吸収するための防振構造に関する。
【従来の技術】
内燃機関において、燃焼ガスが排出される排気マニホルドは高温になる。この温度による周辺機器への悪影響を防止するために、通常、遮熱板(ヒートインシュレータ)を取り付けている。遮熱板は、高温への耐性や熱膨張・収縮への対応という熱に対する配慮が必要な他、内燃機関の振動が遮熱板に伝わって騒音を発生することを防止する必要もある。
例えば、実開平2―92020号公報(特許文献1)には、遮熱板を積層構造とし、排気マニホルドの取付座周辺では遮熱板を一枚の薄いプレートで構成して、防振効果と防熱効果を満たす技術が開示されている。実開昭63―60008号公報(特許文献2)には、内側の薄い金属板と外側の厚い金属板とを複数箇所で結合し振動を互いに抑制可能に構成した排気マニホルドの遮熱板について開示されている。
【特許文献1】
実開平2―92020号公報
【特許文献2】
実開昭63―60008号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した遮熱板の取付構造では、薄い金属のプレートが振動抑制のために用いられているため、内燃機関から伝達される振動によって金属疲労が生じ、プレートに亀裂が入ることが指摘されていた。
そこで、本発明は、この課題を解決するために、内燃機関の振動による異音の発生を抑制しつつ、遮熱板の破壊を防止しうる防振構造を提供することを目的とする。
【課題を解決する手段】
第1の発明は、第1の部材及び第2の部材相互間の振動の伝搬を抑制する防振構造であって、第1の部材に固定される第1構造体と、前記第1構造体の外縁と前記第2の部材とを固定する第2構造体と、を備え、第2構造体は、前記第1構造体の外縁を係止する第1係止部と、前記第2の部材を係止する第2係止部と、を有し、第2係止部に共に係止されるダンプマスをさらに備えている。
上記構成によれば、第1の部材から振動が伝わる場合に、振動は第1構造体に伝達されてから第2構造体を介して第2の部材へ伝達される。第2構造体では、第1係止部において係止する第1構造体から第2係止部まで振動が伝わるが、第2係止部にはダンプマスが第2の部材と係止されているので、このダンプマスがマスダンパとして作用して振動を抑制し、第2の部材(例えば遮熱板)へ伝達される振動を少なくするため、第2の部材による異音の発生を抑えることが可能である。従来の構造では第1構造体を薄くすることによって振動を抑制していたが、上記構成ではダンプマスによって振動を抑制するため、第1構造体自体を薄く構成する必要が無くなり、振動による第1構造体の破壊を防止することができる。
なお、「第1の部材」に限定は無いが、例えば内燃機関のように振動を発生する源となる装置の一部である。
「第1構造体」の形状に限定はないが、本発明ではダンプマスが振動抑制作用を示すので、この構造体自体を薄いプレートにする等の措置が不要である。第1構造体として例えば円板プレートが考えられる。
「第2構造体」とは、少なくとも第1係止部及び第2係止部の二つの係止部を備えることを要する。但し、係止の形態に限定はなく、例えば狭持、把持、拘持等、振動が伝達しうる構造であれば、種々の形態が考えられる。また、溶接または折り曲げ構造等によって第2構造体が第1構造体と一体化した構造体として構成されていてもよい。例えば第1構造体が円板状プレートであれば、第2構造体としてこのプレート外縁に係止可能に構成されたグロメットが考えられる。
「ダンプマス」は、振動に対して振動抑制作用が生ずるように重量調整されたおもり部材であって、その形状に限定はない。例えば、第2構造体が係止する第2の部材の部分が円状開口であれば、その開口に対応した形状に成形された環状のおもりが考えられる。
第2の発明は、第1の部材及び第2の部材相互間の振動の伝搬を抑制する防振構造であって、記第1の部材に固定される第1構造体と、第1構造体の外縁と第2の部材とを固定する第2構造体と、を備え、第2構造体は、第1構造体の外縁を係止する第1係止部と、第2の部材を係止する第2係止部と、を有し、第1係止部に共に係止されるダンプマスをさらに備えている。
上記構成によれば、振動は第1構造体に伝達されてから第2構造体を介して第2の部材へ伝達されるが、第2構造体に振動が伝達される前に、第1構造体の外縁と共にダンプマスが係止されているので、このダンプマスがマスダンパとして作用して振動を抑制し、第2構造体経由で第2の部材(例えば遮熱板)へ伝達される振動を少なくするため、第2の部材による異音の発生を抑えることが可能である。従来の構造では第1構造体を薄くすることによって振動を抑制していたが、上記構成ではダンプマスによって振動を抑制するため、第1構造体自体を薄く構成する必要が無くなり、振動による第1構造体の破壊を防止することができる。特に本発明では、第1構造体とダンプマスとの間に摩擦が生じこの摩擦によって振動が減衰されるため、ダンプマス自体の振動抑制効果に加えてさらに振動を効果的に抑制することができる。
第3の発明は、第1の部材及び第2の部材相互間の振動の伝搬を抑制する防振構造であって、第1の部材に固定される第1構造体と、第1構造体の外縁と第2の部材とを固定する第2構造体と、を備え、第2構造体は、第1構造体の外縁を係止する第1係止部と、第2の部材を係止する第2係止部と、を有し、第2構造体の第2係止部は、振動の伝搬を抑制するように質量設定されている。
上記構成によれば、振動は第1構造体に伝達されてから第2構造体を介して第2の部材へ伝達されるが、第2構構造体の第2係止部は、振動の伝搬を抑制する質量を備え、すなわち、ダンプマスとして作用するように構成されているので、第2の部材に伝達される振動を抑制し、第2の部材による異音の発生を抑えることが可能である。従来の構造では第1構造体を薄くすることによって振動を抑制していたが、上記構成では第2構造体の質量によって振動を抑制するため、第1構造体自体を薄く構成する必要が無くなり、振動による第1構造体の破壊を防止することができる。
第4の発明は、第1の部材及び第2の部材相互間の振動の伝搬を抑制する防振構造であって、第1の部材に固定される第1構造体と、第1構造体の外縁と第2の部材とを固定する第2構造体と、を備え、第2構造体は、第1構造体の外縁を係止する第1係止部と、第2の部材を係止する第2係止部と、を有し、第1構造体の外縁は、振動の伝搬を抑制するダンプマスが形成されている。
上記構成によれば、振動は第1構造体に伝達されてから第2構造体を介して第2の部材へ伝達されるが、第1構造体の外縁には、振動の伝搬を抑制するダンプマスが形成されているので、第2構造体経由で第2の部材に伝達される振動を抑制し、第2の部材による異音の発生を抑えることが可能である。従来の構造では第1構造体を薄くすることによって振動を抑制していたが、上記構成では第1構造体外縁の質量によって振動を抑制するため、第1構造体自体を薄く構成する必要が無くなり、振動による第1構造体の破壊を防止することができる。
ここで、ダンプマスは、当該防振構造における固有振動数を低下させるように重量設定されている。このような重量を有していれば、比較的高い周波数成分が伝わりにくくなるため、振動を抑制することができるからである。
また、ダンプマスは、第1構造体の弾性、第2の部材の弾性、及び第2の部材の重量に基づいて重量設定されている。なお、第1構造体、第2構造体の重量も無視できない場合には、重量設定の要素に入れることが好ましい。
例えば、第2構造体は、第1構造体の外縁を囲む閉路形状を有しているグロメット構造である。当該構成によれば、閉路形状をしているので、ダンプマスを均等に配置することによりいずれの方向に伝達される振動であっても効果的に抑制することが可能である。
また、ダンプマスは、第1構造体の外縁形状に対応した閉路形状を備えている。当該構成によれば、ダンプマスが閉路形状をしているのでいずれの方向に伝達される振動であっても効果的に抑制することが可能である。
さらに、第1構造体は、1以上の孔が設けられていることが好ましい。このような構成によれば、孔を設けることによって熱が伝導される断面積を少なくすることができ、遮熱板自体に伝達される熱を抑制することができる。
本発明は、内燃機関の排気管に遮熱板を支持する防振構造であって、挿通孔を形成したプレートと、プレートの挿通孔に挿通して遮熱板を遊動可能に排気管に取り付ける取付部材と、プレートの外縁を係止する第1係止部と、遮熱板に設けられた開口内縁を係止する第2係止部と、を備えるグロメットと、を備え、グロメットの第2係止部に遮熱板の開口内縁と共に係止されるダンプマスをさらに備えている。
上記構成によれば、挿通孔において取付部材(例えばボルト)によってプレートが排気管に取り付けられているので、内燃機関の振動がプレートに伝達される。プレートの外縁にはグロメットの第1係止部が係止されているので、振動はグロメットに伝達される。この振動はグロメットの第2係止部に伝達されるが、この第2係止部にはダンプマスが遮熱板の開口内縁と一緒に係止されているので、振動を抑制し、遮熱板による異音の発生を抑えることが可能である。従来の構造ではプレートを薄くすることによって振動を抑制していたが、上記構成では遮熱板と共に狭持されたダンプマスの質量によって振動を抑制するため、プレート自体を薄く構成する必要が無くなり、振動によるプレートの破壊を防止することができる。
また本発明は、内燃機関の排気管に遮熱板を支持する防振構造であって、挿通孔を形成したプレートと、プレートの挿通孔に挿通して遮熱板を遊動可能に排気管に取り付ける取付部材と、プレートの外縁を係止する第1係止部と、遮熱板に設けられた開口内縁を係止する第2係止部と、を備えるグロメットと、を備え、グロメットの第1係止部に防振プレートと共に係止される環状ダンプマスをさらに備えている。
上記構成によれば、挿通孔において取付部材(例えばボルト)によってプレートが排気管に取り付けられているので、内燃機関の振動がプレートに伝達される。プレートの外縁にはダンプマスがグロメットの第1係止部によりプレートと共に係止されているので、振動を抑制し、遮熱板による異音の発生を抑えることが可能である。従来の構造ではプレートを薄くすることによって振動を抑制していたが、上記構成では遮熱板と共に狭持されたダンプマスの質量によって振動を抑制するため、プレート自体を薄く構成する必要が無くなり、振動によるプレートの破壊を防止することができる。
なお、ダンプマスは、当該防振構造における固有振動数を低下させるように重量設定されている。このような重量を有していれば、比較的高い周波数成分を伝わりにくくすることができ、振動を抑制することができるからである。
また、ダンプマスは、プレートの弾性、遮熱板の弾性、及び遮熱板の重量に基づいて重量設定されている。なお、プレート、グロメットの重量も無視できない場合には、重量設定の要素に入れることが好ましい。
さらに、プレートには、1以上の孔が設けられていることは好ましい。このような構成によれば、孔を設けることによって熱が伝導される断面積を少なくすることができ、遮熱板自体に伝達される熱を抑制することができる。
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態は、第1の発明に係る防振機構を内燃機関(エンジン)の排気系の一部である排気マニホルドに設けられる遮熱板(ヒートインシュレータ)に適用したものに係り、特に、遮熱板側にダンプマスを設けた例に関する。
図7に、排気マニホルドに設けられる遮熱板を説明する斜視図を示す。
排気マニホルド11は排気管の一種であり、図示しないエンジンのシリンダヘッドの側面に取り付けられ、各シリンダから排出される排気ガスを三元触媒マフラ、サブマフラ、メインマフラ等へと導くように構成されている。排気マニホルド11には高温ガスが排出されるので、耐熱性、耐食性に優れた材料、例えば、ステンレスが使用される。遮熱板12は、排気マニホルド11からの熱輻射がこの近傍の機器に影響を与えないように、排気マニホルド11に取り付けられている。取付けは、概略、取付部材としてのボルト(ネジ)13を遮熱板12に挿通し、排気マニホルド11に設けられた取付座(ボス孔)14に締結することによって行われる。
図1及び図2に、本第1実施形態における防振構造10を示す。図2は、排気マニホルド11における取付座14を中心とした平面図であり、図1は、図2における中心断面図である。
図1及び図2に示すように、本防振構造10は、第1の部材である排気マニホルド11の取付座14と、第2の部材である遮熱板12との間の振動の伝搬を抑制する防振構造である。当該防振構造10は、取付座14に固定される第1構造体であるプレート22と、プレートの外縁と遮熱板12とを固定する第2構造体であるグロメット21と、を備えている。グロメット21は、プレートの外縁を係止する第1係止部21aと、遮熱板12を係止する第2係止部21bと、を有している。第2係止部21bには遮蔽板12と共にダンプマス20が係止されている。
プレート22は、中央に挿通孔22bが設けられており、締結具であるボルト13を当該挿通孔22bを介して取付座14の螺持部にねじ込むことにより、プレート22を螺持可能に構成されている。プレート22には、複数の孔22aが設けられており、当該プレート22の断面積を減少させ、取付座14経由で伝搬された熱が遮熱板12へ伝達されにくく構成されている。当該実施形態におけるプレートには、任意の材料、例えば鉄やアルミ等の金属を適用することが可能である。
図2に示すように、グロメット21は、プレート22の外縁を囲む閉路形状を呈しており、その断面は図1に示すようなS字形状に形成されている。第1係止部21aは、このS字形状によって提供される第1の湾曲部に相当しており、プレート22を狭持することが可能な幅に形成されている。第2係止部21bは、S字形状によって提供される第2の湾曲部に相当しており、遮熱板12とダンプマス20とを狭持することが可能な幅に形成されている。当該グロメット21は、第1係止部21a及び第2係止部21bの狭持力により、遮熱板12の一部を保持することが可能な狭持力および構造となるように設定されている。グロメット21は、適度な弾性を有し成形しやすい材料、例えばアルミ等の金属で構成することが好ましい。
ダンプマス20は、遮熱板12の開口内縁に対応した閉路形状を備えている。このダンプマス20は、取付座14から伝搬される振動に対して振動抑制作用が生ずるように重量調整されたおもり部材である。例えば、ダンプマス20は、当該防振構造10における固有振動数を低下させるように重量設定されている。このような重量を有していれば、比較的高い周波数成分を低下させることができ、振動を抑制することができるからである。また、例えば、ダンプマス20は、プレート22の弾性、遮熱板12の弾性、及び遮熱板12の重量に基づいて重量設定されている。なお、プレート22、グロメット21の重量も無視できない場合には、重量設定の要素に入れることが好ましい。このようなダンプマス20は公知のマスダンパ技術を適用することにより、適宜重量設定することが可能である。例えば、特開昭62−68976号公報、特開昭62−31734号公報、特開昭63−156171号公報等に開示されている技術を利用可能である。
なお、ダンプマス20は環状である必要はなく、複数のおもり部材で構成し、これら複数のおもり部材を均等になるようにグロメット21に狭持させてもよい。
ダンプマス20の材料は、所望の重量を付加できるものであればよく、鉄等の比重の高い金属を利用することが好ましい。
上記構成において、エンジンが動作中にはクランク軸の回転数に対応した振動が発生して排気マニホルド11にも伝達される。この振動は、取付座14からプレート22にも伝達される。この伝達された振動は、プレート22を伝搬し、第1係止部21a経由でグロメット21の第2係止部21bに達する。このとき、第2係止部21bにはダンプマス20が係止されているので、このダンプマスの重量に応じた振動抑制作用が生じ、遮熱板に伝達される振動が減衰する。特に比較的高い周波数成分が伝達しにくくなる。
上述した第1実施形態に係る防振構造によれば、取付座14から伝達されたエンジンの振動をダンプマス20の質量が緩和するので、遮熱板に伝達される振動を抑制し、振動板が異音を発することを防止可能である。このとき、プレート22には振動抑制作用を持たせる必要が無いので、プレート自体を薄く構成する必要が無くなり、振動によるプレートの破壊を防止することができる。
また、第1実施形態に係るグロメット21によれば、取付座を中心とする環状の閉路形状をしているので、取付座14からの振動を均等に抑制することが可能である。
さらに、第1実施形態に係るダンプマス20によれば、振動板の開口内縁に対応した環状の閉路形状を備えているので、取付座14からいずれの方向に伝達される振動であっても効果的に抑制することが可能である。
さらにまた、第1実施形態に係るプレート22によれば、1以上の孔22aが設けられているので、熱が伝導される断面積を少なくすることができ、遮熱板12自体に伝達される熱を抑制することができる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態は、第2の発明に係る防振機構をエンジンの排気系の一部である排気マニホルドに設けられる遮熱板に適用したものに係り、特に、プレート側にダンプマスを設けた例に関する。
排気マニホルドに対する遮熱板の取付については、上記第1実施形態と同様であるため説明を省略する(図7参照)。
図3及び図4に、本第2実施形態における防振構造10bを示す。図4は、排気マニホルド11における取付座14を中心とした平面図であり、図3は、図4における中心断面図である。
図3及び図4に示すように、本防振構造10bは、第1の部材である排気マニホルド11の取付座14と、第2の部材である遮熱板12との間の振動の伝搬を抑制する防振構造である。当該防振構造10bは、取付座14に固定される第1構造体であるプレート22と、プレートの外縁と遮熱板12とを固定する第2構造体であるグロメット24と、を備えている。グロメット24は、プレートの外縁を係止する第1係止部24aと、遮熱板12を係止する第2係止部24bと、を有している。特に、ダンプマス23が第1係止部24aにプレート22と共に係止されている点で、上記第1実施形態とは異なる。
遮熱板12、ボルト13、取付座14、及びプレート22については、上記第1実施形態と同様である。
図4に示すように、グロメット24は、上記第1実施形態におけるグロメット21と同様に、プレート22の外縁を囲む閉路形状を呈しており、その断面は図3に示すようなS字形状に形成されている。但し、第1係止部24aにおいて、ダンプマス23及びプレート22を共に狭持可能な幅に形成され、第2係止部24bにおいて、遮熱板12のみを狭持することが可能な幅に形成されている。当該グロメット24は、第1係止部24a及び第2係止部24bの狭持力により、遮熱板12の一部を保持することが可能な狭持力および構造となるように設定されている。
ダンプマス23は、上記第1実施形態のダンプマス20と同様に環状の閉路形状を備えているが、プレート22の外縁に対応した大きさに成形されている点で異なる。ダンプマス23の重量設定については、上記第1実施形態と同様に考えることができる。
上記構成において、エンジンが動作中にはクランク軸の回転数に対応した振動が発生して排気マニホルド11にも伝達され、取付座14からプレート22に伝達される。この伝達された振動は、プレート22を伝搬し、第1係止部24aに達するが、ここにはダンプマス23が設けられているので、上記第1実施形態と同様のマスダンパによる振動抑制作用が生じ、遮熱板に伝達される振動が減衰する。
さらに、本第2実施形態では、取付座14からの振動が直接伝達されるプレート22にダンプマス23が当接しているので、この両者間に摩擦が生じる。この摩擦は振動を減衰させるように作用する。従って、グロメット24経由で遮熱板12に伝達される振動がさらに減衰される。
上述した第2実施形態に係る防振構造によれば、上記第1実施形態に列記されたものと同様の効果を奏する。
特に、本第2実施形態によれば、プレート22とダンプマス23との間で生じる摩擦によっても振動が減衰されるので、遮熱板12に伝搬される振動をさらに抑制することが可能である。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態は、第3の発明に係る防振機構をエンジンの排気系の一部である排気マニホルドに設けられる遮熱板に適用したものに係り、特に、グロメットにダンプマスを設けた例に関する。
排気マニホルドに対する遮熱板の取付については、上記第1実施形態と同様であるため説明を省略する(図7参照)。
図5に、本第3実施形態における防振構造10cを説明するための中心断面図を示す。平面図については、ダンプマス20が存在しない点を除いて上記第1実施形態と同様である(図2参照)。
図5に示すように、本防振構造10cは、第1の部材である排気マニホルド11の取付座14と、第2の部材である遮熱板12との間の振動の伝搬を抑制する防振構造である。当該防振構造10cは、取付座14に固定される第1構造体であるプレート22と、プレートの外縁と遮熱板12とを固定する第2構造体であるグロメット25と、を備えている。グロメット25は、プレートの外縁を係止する第1係止部25aと、遮熱板12を係止する第2係止部25bと、を有している。
遮熱板12、ボルト13、取付座14、及びプレート22については、上記第1実施形態と同様である。
グロメット25は、上記第1実施形態におけるグロメット21と同様に、プレート22の外縁を囲む閉路形状を呈している。そして、図5の断面図に示すように、グロメット25は、断面がS字形状をなし、第1係止部25aにおいてプレート22を狭持可能な幅に形成され、第2係止部25bにおいて、遮熱板12のみを狭持することが可能な幅に形成されている。当該グロメット25は、第1係止部25a及び第2係止部25bの狭持力により、遮熱板12の一部を保持することが可能な狭持力および構造となるように設定されている。
特に、本第3実施形態では、グロメット25において第2係止部25bが肉厚に形成されることによりダンプマスを形成している点で、上記第1実施形態とは異なる。この肉厚に形成することによるグロメット25の重量増加分は、上記第1実施形態におけるダンプマス20の重量と同等である。この重量設定については、上記第1実施形態と同様に考えることができる。
上記構成において、エンジンが動作中にはクランク軸の回転数に対応した振動が発生して排気マニホルド11にも伝達され、取付座14からプレート22に伝達される。この伝達された振動は、プレート22を伝搬し、第1係止部25a経由でグロメット25の第2係止部25bに達するが、ここにはダンプマスに相当するおもり部分が設けられているので、上記第1実施形態と同様のマスダンパによる振動抑制作用が生じ、遮熱板に伝達される振動が減衰する。
上述した第3実施形態に係る防振構造によれば、上記第1実施形態に列記されたものと同様の効果を奏する。
特に、本第3実施形態によれば、ダンプマスに相当するおもりをグロメット25に一体構造として設けたので、部品点数を減らし、組み立てを容易にすることができる。
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態は、第4の発明に係る防振機構をエンジンの排気系の一部である排気マニホルドに設けられる遮熱板に適用したものに係り、特に、プレートの外縁にダンプマスに相当するおもりを設けた例に関する。
排気マニホルドに対する遮熱板の取付については、上記第1実施形態と同様であるため説明を省略する(図7参照)。
図6に、本第4実施形態における防振構造10dを説明するための中心断面図を示す。平面図については、ダンプマス23が存在しない点を除いて上記第2実施形態と同様である(図4参照)。
図6に示すように、本防振構造10dは、第1の部材である排気マニホルド11の取付座14と、第2の部材である遮熱板12との間の振動の伝搬を抑制する防振構造である。当該防振構造10dは、取付座14に固定される第1構造体であるプレート22と、プレートの外縁と遮熱板12とを固定する第2構造体であるグロメット24と、を備えている。グロメット24は、プレートの外縁を係止する第1係止部24aと、遮熱板12を係止する第2係止部24bと、を有している。
遮熱板12、ボルト13、及び取付座14については、上記第1実施形態と同様である。またグロメット24については、上記第2実施形態と同様である。
特に、本第4実施形態では、プレート22の外縁22cが肉厚に形成されることによりダンプマスを形成している点で、上記第1及び第2実施形態とは異なる。この肉厚に形成することによるプレート22の重量増加分は、上記第2実施形態におけるダンプマス23の重量と同等である。この重量設定については、上記第1実施形態と同様に考えることができる。
上記構成において、エンジンが動作中にはクランク軸の回転数に対応した振動が発生して排気マニホルド11にも伝達され、取付座14からプレート22に伝達される。この伝達された振動は、プレート22を伝搬し、外縁22cに達する。このとき、外縁22cにはダンプマスに相当するおもり部分が設けられているので、上記第1実施形態と同様のマスダンパによる振動抑制作用が生じ、遮熱板に伝達される振動が減衰する。
上述した第4実施形態に係る防振構造によれば、上記第1実施形態に列記されたものと同様の効果を奏する。
特に、本第4実施形態によれば、ダンプマスに相当するおもりをプレート22に一体構造として設けたので、部品点数を減らし、組み立てを容易にすることができる。
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態は、上記第1の実施の形態に係る防振機構の変形例に係り、特に、振動減衰効果をさらに高める場合の構造例に関する。
排気マニホルドに対する遮熱板の取付については、上記第1実施形態と同様であるため説明を省略する(図7参照)。
図8及び図9に、本第5実施形態における防振構造10eを示す。図8は、排気マニホルド11における取付座14を中心とした平面図であり、図9は、図8における中心断面図である。
図8及び図9に示すように、本防振構造10eは、ダンプマス23bの構造を除き、第2実施形態の構成と同じである。
ダンプマス23bは、上記第2実施形態のダンプマス23bに類似しており、環状の閉路形状を備え、かつ、プレート22の外縁に対応した外径を有する点は同じである。ただし、図8及び図9から判るように、その内径が上記第2実施形態のものより小さく形成されている点において異なっている。ダンプマス23bの重量設定については、上記第1実施形態と同様に考えることができる。
上記構成において、エンジンが動作中にはクランク軸の回転数に対応した振動が発生して排気マニホルド11にも伝達され、取付座14からプレート22に伝達される。この伝達された振動は、プレート22を伝搬し、第1係止部24aに達する。この位置にはダンプマス23bが設けられているので、上記第2実施形態と同様のマスダンパによる振動抑制作用が生じ、遮熱板に伝達される振動が減衰する。
さらに、上記第5実施形態では、取付座14からの振動が直接伝達されるプレート22にダンプマス23bが当接しているので、上記第2実施形態と同様に、この両者間に生じる摩擦による振動減衰作用が働くが、本第5実施形態では、第2実施形態に比べ大きな摩擦が生じるため振動減衰率がさらに上昇する。特に本実施形態によれば、ダンプマス23bはその外径部がグロメット24によってかしめられているが、内径部分は特に拘束されていない。このため、ダンプマス23bとプレート22との摩擦量が大きくなる。従って、グロメット24経由で遮熱板12に伝達される振動が摩擦によるエネルギーの吸収によってさらに減衰される。
上述した第5実施形態に係る防振構造によれば、上記第1実施形態に列記されたものと同様の効果を奏する。
特に、本第5実施形態によれば、プレート22とダンプマス23bとの接触面積が大きく、両者間で生じる摩擦によっても十分に振動が減衰されるので、遮熱板12に伝搬される振動をさらに抑制することが可能である。
(その他の変形例)
本発明は、上記各実施形態によらず、種々に変形して適用することが可能である。例えば、上記各実施形態では、プレート、グロメット、ダンプマスを同心円状に配置したが、正円形以外の形状、例えば方形、多角形、楕円形にプレート、グロメット、ダンプマスを形成してもよい。また同心である必要はなく、振動の伝達源である第1部材と振動を抑制する対象である第2部材との間に、ダンプマスまたはダンプマスに相当する重量のおもりが設けられていれば、本発明の効果を奏する。
また、上記第1及び第2実施形態では、ダンプマスを複数の部分で構成してもよい。
さらに、上記第3実施形態において、グロメットにダンプマスに相当する重量を加える代わりに、遮熱板の開口内縁にダンプマスの重量に相当するおもりを設けてもよい。
さらにまた、上記第4実施形態において、プレート外縁にダンプマスに相当する重量を加える代わりに、グロメットの第1係止部を肉厚に形成して同等の重量を加えるように構成してもよい。
また、グロメットに相当する部材をプレートと一体構造の部品とすることでも同様の作用効果を奏する。
なお、挿通孔については、設けても設けなくてもよい。挿通孔はプレートの断面積を低減して熱を伝わりにくくする目的で設けられ、熱伝導の量に支障が無ければ設けなくてもよいからである。特に、第5実施形態によれば、ダンプマスが挿通孔の設けられている位置より小さい内径を有するので、挿通孔が設けないこととすれば、その面積増加分だけ摩擦が増加し、さらに振動減衰効果が上昇すると考えられる。
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の防振構造造によれば、ダンプマスを第1の部材と第2の部材との間に備えているので、このダンプマスがマスダンパとして作用して振動を抑制し、第2の部材(例えば遮熱板)へ伝達される振動を少なくするため、第2の部材に振動が伝搬されることによる異音の発生を抑えることが可能である。このとき、ダンプマスが振動を抑制するため、第1構造体自体を薄く構成する必要が無くなり、振動による第1構造体の破壊を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る防振構造を説明する中心断面図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態に係る防振構造の平面図である。
【図3】図3は、本発明の第2実施形態に係る防振構造を説明する中心断面図である。
【図4】図4は、本発明の第2実施形態に係る防振構造の平面図である。
【図5】図5は、本発明の第3実施形態に係る防振構造を説明する中心断面図である。
【図6】図6は、本発明の第4実施形態に係る防振構造を説明する中心断面図である。
【図7】図7は、排気マニホルドへの遮熱板の取付を説明する斜視図である。
【図8】図8は、本発明の第5実施形態に係る防振構造を説明する中心断面図である。
【図9】図9は、本発明の第5実施形態に係る防振構造の平面図である。
【符号の説明】
10…防振構造、11…排気マニホルド、12…遮熱板、13…ボルト(取付部材)、14…ボス孔(取付座)、20、23、23b…ダンプマス、21、24、25…グロメット、22…プレート、22a…孔、22b…挿通孔、22c…ダンプマス部
本発明は、内燃機関の振動を吸収するための防振構造に関する。
【従来の技術】
内燃機関において、燃焼ガスが排出される排気マニホルドは高温になる。この温度による周辺機器への悪影響を防止するために、通常、遮熱板(ヒートインシュレータ)を取り付けている。遮熱板は、高温への耐性や熱膨張・収縮への対応という熱に対する配慮が必要な他、内燃機関の振動が遮熱板に伝わって騒音を発生することを防止する必要もある。
例えば、実開平2―92020号公報(特許文献1)には、遮熱板を積層構造とし、排気マニホルドの取付座周辺では遮熱板を一枚の薄いプレートで構成して、防振効果と防熱効果を満たす技術が開示されている。実開昭63―60008号公報(特許文献2)には、内側の薄い金属板と外側の厚い金属板とを複数箇所で結合し振動を互いに抑制可能に構成した排気マニホルドの遮熱板について開示されている。
【特許文献1】
実開平2―92020号公報
【特許文献2】
実開昭63―60008号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した遮熱板の取付構造では、薄い金属のプレートが振動抑制のために用いられているため、内燃機関から伝達される振動によって金属疲労が生じ、プレートに亀裂が入ることが指摘されていた。
そこで、本発明は、この課題を解決するために、内燃機関の振動による異音の発生を抑制しつつ、遮熱板の破壊を防止しうる防振構造を提供することを目的とする。
【課題を解決する手段】
第1の発明は、第1の部材及び第2の部材相互間の振動の伝搬を抑制する防振構造であって、第1の部材に固定される第1構造体と、前記第1構造体の外縁と前記第2の部材とを固定する第2構造体と、を備え、第2構造体は、前記第1構造体の外縁を係止する第1係止部と、前記第2の部材を係止する第2係止部と、を有し、第2係止部に共に係止されるダンプマスをさらに備えている。
上記構成によれば、第1の部材から振動が伝わる場合に、振動は第1構造体に伝達されてから第2構造体を介して第2の部材へ伝達される。第2構造体では、第1係止部において係止する第1構造体から第2係止部まで振動が伝わるが、第2係止部にはダンプマスが第2の部材と係止されているので、このダンプマスがマスダンパとして作用して振動を抑制し、第2の部材(例えば遮熱板)へ伝達される振動を少なくするため、第2の部材による異音の発生を抑えることが可能である。従来の構造では第1構造体を薄くすることによって振動を抑制していたが、上記構成ではダンプマスによって振動を抑制するため、第1構造体自体を薄く構成する必要が無くなり、振動による第1構造体の破壊を防止することができる。
なお、「第1の部材」に限定は無いが、例えば内燃機関のように振動を発生する源となる装置の一部である。
「第1構造体」の形状に限定はないが、本発明ではダンプマスが振動抑制作用を示すので、この構造体自体を薄いプレートにする等の措置が不要である。第1構造体として例えば円板プレートが考えられる。
「第2構造体」とは、少なくとも第1係止部及び第2係止部の二つの係止部を備えることを要する。但し、係止の形態に限定はなく、例えば狭持、把持、拘持等、振動が伝達しうる構造であれば、種々の形態が考えられる。また、溶接または折り曲げ構造等によって第2構造体が第1構造体と一体化した構造体として構成されていてもよい。例えば第1構造体が円板状プレートであれば、第2構造体としてこのプレート外縁に係止可能に構成されたグロメットが考えられる。
「ダンプマス」は、振動に対して振動抑制作用が生ずるように重量調整されたおもり部材であって、その形状に限定はない。例えば、第2構造体が係止する第2の部材の部分が円状開口であれば、その開口に対応した形状に成形された環状のおもりが考えられる。
第2の発明は、第1の部材及び第2の部材相互間の振動の伝搬を抑制する防振構造であって、記第1の部材に固定される第1構造体と、第1構造体の外縁と第2の部材とを固定する第2構造体と、を備え、第2構造体は、第1構造体の外縁を係止する第1係止部と、第2の部材を係止する第2係止部と、を有し、第1係止部に共に係止されるダンプマスをさらに備えている。
上記構成によれば、振動は第1構造体に伝達されてから第2構造体を介して第2の部材へ伝達されるが、第2構造体に振動が伝達される前に、第1構造体の外縁と共にダンプマスが係止されているので、このダンプマスがマスダンパとして作用して振動を抑制し、第2構造体経由で第2の部材(例えば遮熱板)へ伝達される振動を少なくするため、第2の部材による異音の発生を抑えることが可能である。従来の構造では第1構造体を薄くすることによって振動を抑制していたが、上記構成ではダンプマスによって振動を抑制するため、第1構造体自体を薄く構成する必要が無くなり、振動による第1構造体の破壊を防止することができる。特に本発明では、第1構造体とダンプマスとの間に摩擦が生じこの摩擦によって振動が減衰されるため、ダンプマス自体の振動抑制効果に加えてさらに振動を効果的に抑制することができる。
第3の発明は、第1の部材及び第2の部材相互間の振動の伝搬を抑制する防振構造であって、第1の部材に固定される第1構造体と、第1構造体の外縁と第2の部材とを固定する第2構造体と、を備え、第2構造体は、第1構造体の外縁を係止する第1係止部と、第2の部材を係止する第2係止部と、を有し、第2構造体の第2係止部は、振動の伝搬を抑制するように質量設定されている。
上記構成によれば、振動は第1構造体に伝達されてから第2構造体を介して第2の部材へ伝達されるが、第2構構造体の第2係止部は、振動の伝搬を抑制する質量を備え、すなわち、ダンプマスとして作用するように構成されているので、第2の部材に伝達される振動を抑制し、第2の部材による異音の発生を抑えることが可能である。従来の構造では第1構造体を薄くすることによって振動を抑制していたが、上記構成では第2構造体の質量によって振動を抑制するため、第1構造体自体を薄く構成する必要が無くなり、振動による第1構造体の破壊を防止することができる。
第4の発明は、第1の部材及び第2の部材相互間の振動の伝搬を抑制する防振構造であって、第1の部材に固定される第1構造体と、第1構造体の外縁と第2の部材とを固定する第2構造体と、を備え、第2構造体は、第1構造体の外縁を係止する第1係止部と、第2の部材を係止する第2係止部と、を有し、第1構造体の外縁は、振動の伝搬を抑制するダンプマスが形成されている。
上記構成によれば、振動は第1構造体に伝達されてから第2構造体を介して第2の部材へ伝達されるが、第1構造体の外縁には、振動の伝搬を抑制するダンプマスが形成されているので、第2構造体経由で第2の部材に伝達される振動を抑制し、第2の部材による異音の発生を抑えることが可能である。従来の構造では第1構造体を薄くすることによって振動を抑制していたが、上記構成では第1構造体外縁の質量によって振動を抑制するため、第1構造体自体を薄く構成する必要が無くなり、振動による第1構造体の破壊を防止することができる。
ここで、ダンプマスは、当該防振構造における固有振動数を低下させるように重量設定されている。このような重量を有していれば、比較的高い周波数成分が伝わりにくくなるため、振動を抑制することができるからである。
また、ダンプマスは、第1構造体の弾性、第2の部材の弾性、及び第2の部材の重量に基づいて重量設定されている。なお、第1構造体、第2構造体の重量も無視できない場合には、重量設定の要素に入れることが好ましい。
例えば、第2構造体は、第1構造体の外縁を囲む閉路形状を有しているグロメット構造である。当該構成によれば、閉路形状をしているので、ダンプマスを均等に配置することによりいずれの方向に伝達される振動であっても効果的に抑制することが可能である。
また、ダンプマスは、第1構造体の外縁形状に対応した閉路形状を備えている。当該構成によれば、ダンプマスが閉路形状をしているのでいずれの方向に伝達される振動であっても効果的に抑制することが可能である。
さらに、第1構造体は、1以上の孔が設けられていることが好ましい。このような構成によれば、孔を設けることによって熱が伝導される断面積を少なくすることができ、遮熱板自体に伝達される熱を抑制することができる。
本発明は、内燃機関の排気管に遮熱板を支持する防振構造であって、挿通孔を形成したプレートと、プレートの挿通孔に挿通して遮熱板を遊動可能に排気管に取り付ける取付部材と、プレートの外縁を係止する第1係止部と、遮熱板に設けられた開口内縁を係止する第2係止部と、を備えるグロメットと、を備え、グロメットの第2係止部に遮熱板の開口内縁と共に係止されるダンプマスをさらに備えている。
上記構成によれば、挿通孔において取付部材(例えばボルト)によってプレートが排気管に取り付けられているので、内燃機関の振動がプレートに伝達される。プレートの外縁にはグロメットの第1係止部が係止されているので、振動はグロメットに伝達される。この振動はグロメットの第2係止部に伝達されるが、この第2係止部にはダンプマスが遮熱板の開口内縁と一緒に係止されているので、振動を抑制し、遮熱板による異音の発生を抑えることが可能である。従来の構造ではプレートを薄くすることによって振動を抑制していたが、上記構成では遮熱板と共に狭持されたダンプマスの質量によって振動を抑制するため、プレート自体を薄く構成する必要が無くなり、振動によるプレートの破壊を防止することができる。
また本発明は、内燃機関の排気管に遮熱板を支持する防振構造であって、挿通孔を形成したプレートと、プレートの挿通孔に挿通して遮熱板を遊動可能に排気管に取り付ける取付部材と、プレートの外縁を係止する第1係止部と、遮熱板に設けられた開口内縁を係止する第2係止部と、を備えるグロメットと、を備え、グロメットの第1係止部に防振プレートと共に係止される環状ダンプマスをさらに備えている。
上記構成によれば、挿通孔において取付部材(例えばボルト)によってプレートが排気管に取り付けられているので、内燃機関の振動がプレートに伝達される。プレートの外縁にはダンプマスがグロメットの第1係止部によりプレートと共に係止されているので、振動を抑制し、遮熱板による異音の発生を抑えることが可能である。従来の構造ではプレートを薄くすることによって振動を抑制していたが、上記構成では遮熱板と共に狭持されたダンプマスの質量によって振動を抑制するため、プレート自体を薄く構成する必要が無くなり、振動によるプレートの破壊を防止することができる。
なお、ダンプマスは、当該防振構造における固有振動数を低下させるように重量設定されている。このような重量を有していれば、比較的高い周波数成分を伝わりにくくすることができ、振動を抑制することができるからである。
また、ダンプマスは、プレートの弾性、遮熱板の弾性、及び遮熱板の重量に基づいて重量設定されている。なお、プレート、グロメットの重量も無視できない場合には、重量設定の要素に入れることが好ましい。
さらに、プレートには、1以上の孔が設けられていることは好ましい。このような構成によれば、孔を設けることによって熱が伝導される断面積を少なくすることができ、遮熱板自体に伝達される熱を抑制することができる。
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態は、第1の発明に係る防振機構を内燃機関(エンジン)の排気系の一部である排気マニホルドに設けられる遮熱板(ヒートインシュレータ)に適用したものに係り、特に、遮熱板側にダンプマスを設けた例に関する。
図7に、排気マニホルドに設けられる遮熱板を説明する斜視図を示す。
排気マニホルド11は排気管の一種であり、図示しないエンジンのシリンダヘッドの側面に取り付けられ、各シリンダから排出される排気ガスを三元触媒マフラ、サブマフラ、メインマフラ等へと導くように構成されている。排気マニホルド11には高温ガスが排出されるので、耐熱性、耐食性に優れた材料、例えば、ステンレスが使用される。遮熱板12は、排気マニホルド11からの熱輻射がこの近傍の機器に影響を与えないように、排気マニホルド11に取り付けられている。取付けは、概略、取付部材としてのボルト(ネジ)13を遮熱板12に挿通し、排気マニホルド11に設けられた取付座(ボス孔)14に締結することによって行われる。
図1及び図2に、本第1実施形態における防振構造10を示す。図2は、排気マニホルド11における取付座14を中心とした平面図であり、図1は、図2における中心断面図である。
図1及び図2に示すように、本防振構造10は、第1の部材である排気マニホルド11の取付座14と、第2の部材である遮熱板12との間の振動の伝搬を抑制する防振構造である。当該防振構造10は、取付座14に固定される第1構造体であるプレート22と、プレートの外縁と遮熱板12とを固定する第2構造体であるグロメット21と、を備えている。グロメット21は、プレートの外縁を係止する第1係止部21aと、遮熱板12を係止する第2係止部21bと、を有している。第2係止部21bには遮蔽板12と共にダンプマス20が係止されている。
プレート22は、中央に挿通孔22bが設けられており、締結具であるボルト13を当該挿通孔22bを介して取付座14の螺持部にねじ込むことにより、プレート22を螺持可能に構成されている。プレート22には、複数の孔22aが設けられており、当該プレート22の断面積を減少させ、取付座14経由で伝搬された熱が遮熱板12へ伝達されにくく構成されている。当該実施形態におけるプレートには、任意の材料、例えば鉄やアルミ等の金属を適用することが可能である。
図2に示すように、グロメット21は、プレート22の外縁を囲む閉路形状を呈しており、その断面は図1に示すようなS字形状に形成されている。第1係止部21aは、このS字形状によって提供される第1の湾曲部に相当しており、プレート22を狭持することが可能な幅に形成されている。第2係止部21bは、S字形状によって提供される第2の湾曲部に相当しており、遮熱板12とダンプマス20とを狭持することが可能な幅に形成されている。当該グロメット21は、第1係止部21a及び第2係止部21bの狭持力により、遮熱板12の一部を保持することが可能な狭持力および構造となるように設定されている。グロメット21は、適度な弾性を有し成形しやすい材料、例えばアルミ等の金属で構成することが好ましい。
ダンプマス20は、遮熱板12の開口内縁に対応した閉路形状を備えている。このダンプマス20は、取付座14から伝搬される振動に対して振動抑制作用が生ずるように重量調整されたおもり部材である。例えば、ダンプマス20は、当該防振構造10における固有振動数を低下させるように重量設定されている。このような重量を有していれば、比較的高い周波数成分を低下させることができ、振動を抑制することができるからである。また、例えば、ダンプマス20は、プレート22の弾性、遮熱板12の弾性、及び遮熱板12の重量に基づいて重量設定されている。なお、プレート22、グロメット21の重量も無視できない場合には、重量設定の要素に入れることが好ましい。このようなダンプマス20は公知のマスダンパ技術を適用することにより、適宜重量設定することが可能である。例えば、特開昭62−68976号公報、特開昭62−31734号公報、特開昭63−156171号公報等に開示されている技術を利用可能である。
なお、ダンプマス20は環状である必要はなく、複数のおもり部材で構成し、これら複数のおもり部材を均等になるようにグロメット21に狭持させてもよい。
ダンプマス20の材料は、所望の重量を付加できるものであればよく、鉄等の比重の高い金属を利用することが好ましい。
上記構成において、エンジンが動作中にはクランク軸の回転数に対応した振動が発生して排気マニホルド11にも伝達される。この振動は、取付座14からプレート22にも伝達される。この伝達された振動は、プレート22を伝搬し、第1係止部21a経由でグロメット21の第2係止部21bに達する。このとき、第2係止部21bにはダンプマス20が係止されているので、このダンプマスの重量に応じた振動抑制作用が生じ、遮熱板に伝達される振動が減衰する。特に比較的高い周波数成分が伝達しにくくなる。
上述した第1実施形態に係る防振構造によれば、取付座14から伝達されたエンジンの振動をダンプマス20の質量が緩和するので、遮熱板に伝達される振動を抑制し、振動板が異音を発することを防止可能である。このとき、プレート22には振動抑制作用を持たせる必要が無いので、プレート自体を薄く構成する必要が無くなり、振動によるプレートの破壊を防止することができる。
また、第1実施形態に係るグロメット21によれば、取付座を中心とする環状の閉路形状をしているので、取付座14からの振動を均等に抑制することが可能である。
さらに、第1実施形態に係るダンプマス20によれば、振動板の開口内縁に対応した環状の閉路形状を備えているので、取付座14からいずれの方向に伝達される振動であっても効果的に抑制することが可能である。
さらにまた、第1実施形態に係るプレート22によれば、1以上の孔22aが設けられているので、熱が伝導される断面積を少なくすることができ、遮熱板12自体に伝達される熱を抑制することができる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態は、第2の発明に係る防振機構をエンジンの排気系の一部である排気マニホルドに設けられる遮熱板に適用したものに係り、特に、プレート側にダンプマスを設けた例に関する。
排気マニホルドに対する遮熱板の取付については、上記第1実施形態と同様であるため説明を省略する(図7参照)。
図3及び図4に、本第2実施形態における防振構造10bを示す。図4は、排気マニホルド11における取付座14を中心とした平面図であり、図3は、図4における中心断面図である。
図3及び図4に示すように、本防振構造10bは、第1の部材である排気マニホルド11の取付座14と、第2の部材である遮熱板12との間の振動の伝搬を抑制する防振構造である。当該防振構造10bは、取付座14に固定される第1構造体であるプレート22と、プレートの外縁と遮熱板12とを固定する第2構造体であるグロメット24と、を備えている。グロメット24は、プレートの外縁を係止する第1係止部24aと、遮熱板12を係止する第2係止部24bと、を有している。特に、ダンプマス23が第1係止部24aにプレート22と共に係止されている点で、上記第1実施形態とは異なる。
遮熱板12、ボルト13、取付座14、及びプレート22については、上記第1実施形態と同様である。
図4に示すように、グロメット24は、上記第1実施形態におけるグロメット21と同様に、プレート22の外縁を囲む閉路形状を呈しており、その断面は図3に示すようなS字形状に形成されている。但し、第1係止部24aにおいて、ダンプマス23及びプレート22を共に狭持可能な幅に形成され、第2係止部24bにおいて、遮熱板12のみを狭持することが可能な幅に形成されている。当該グロメット24は、第1係止部24a及び第2係止部24bの狭持力により、遮熱板12の一部を保持することが可能な狭持力および構造となるように設定されている。
ダンプマス23は、上記第1実施形態のダンプマス20と同様に環状の閉路形状を備えているが、プレート22の外縁に対応した大きさに成形されている点で異なる。ダンプマス23の重量設定については、上記第1実施形態と同様に考えることができる。
上記構成において、エンジンが動作中にはクランク軸の回転数に対応した振動が発生して排気マニホルド11にも伝達され、取付座14からプレート22に伝達される。この伝達された振動は、プレート22を伝搬し、第1係止部24aに達するが、ここにはダンプマス23が設けられているので、上記第1実施形態と同様のマスダンパによる振動抑制作用が生じ、遮熱板に伝達される振動が減衰する。
さらに、本第2実施形態では、取付座14からの振動が直接伝達されるプレート22にダンプマス23が当接しているので、この両者間に摩擦が生じる。この摩擦は振動を減衰させるように作用する。従って、グロメット24経由で遮熱板12に伝達される振動がさらに減衰される。
上述した第2実施形態に係る防振構造によれば、上記第1実施形態に列記されたものと同様の効果を奏する。
特に、本第2実施形態によれば、プレート22とダンプマス23との間で生じる摩擦によっても振動が減衰されるので、遮熱板12に伝搬される振動をさらに抑制することが可能である。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態は、第3の発明に係る防振機構をエンジンの排気系の一部である排気マニホルドに設けられる遮熱板に適用したものに係り、特に、グロメットにダンプマスを設けた例に関する。
排気マニホルドに対する遮熱板の取付については、上記第1実施形態と同様であるため説明を省略する(図7参照)。
図5に、本第3実施形態における防振構造10cを説明するための中心断面図を示す。平面図については、ダンプマス20が存在しない点を除いて上記第1実施形態と同様である(図2参照)。
図5に示すように、本防振構造10cは、第1の部材である排気マニホルド11の取付座14と、第2の部材である遮熱板12との間の振動の伝搬を抑制する防振構造である。当該防振構造10cは、取付座14に固定される第1構造体であるプレート22と、プレートの外縁と遮熱板12とを固定する第2構造体であるグロメット25と、を備えている。グロメット25は、プレートの外縁を係止する第1係止部25aと、遮熱板12を係止する第2係止部25bと、を有している。
遮熱板12、ボルト13、取付座14、及びプレート22については、上記第1実施形態と同様である。
グロメット25は、上記第1実施形態におけるグロメット21と同様に、プレート22の外縁を囲む閉路形状を呈している。そして、図5の断面図に示すように、グロメット25は、断面がS字形状をなし、第1係止部25aにおいてプレート22を狭持可能な幅に形成され、第2係止部25bにおいて、遮熱板12のみを狭持することが可能な幅に形成されている。当該グロメット25は、第1係止部25a及び第2係止部25bの狭持力により、遮熱板12の一部を保持することが可能な狭持力および構造となるように設定されている。
特に、本第3実施形態では、グロメット25において第2係止部25bが肉厚に形成されることによりダンプマスを形成している点で、上記第1実施形態とは異なる。この肉厚に形成することによるグロメット25の重量増加分は、上記第1実施形態におけるダンプマス20の重量と同等である。この重量設定については、上記第1実施形態と同様に考えることができる。
上記構成において、エンジンが動作中にはクランク軸の回転数に対応した振動が発生して排気マニホルド11にも伝達され、取付座14からプレート22に伝達される。この伝達された振動は、プレート22を伝搬し、第1係止部25a経由でグロメット25の第2係止部25bに達するが、ここにはダンプマスに相当するおもり部分が設けられているので、上記第1実施形態と同様のマスダンパによる振動抑制作用が生じ、遮熱板に伝達される振動が減衰する。
上述した第3実施形態に係る防振構造によれば、上記第1実施形態に列記されたものと同様の効果を奏する。
特に、本第3実施形態によれば、ダンプマスに相当するおもりをグロメット25に一体構造として設けたので、部品点数を減らし、組み立てを容易にすることができる。
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態は、第4の発明に係る防振機構をエンジンの排気系の一部である排気マニホルドに設けられる遮熱板に適用したものに係り、特に、プレートの外縁にダンプマスに相当するおもりを設けた例に関する。
排気マニホルドに対する遮熱板の取付については、上記第1実施形態と同様であるため説明を省略する(図7参照)。
図6に、本第4実施形態における防振構造10dを説明するための中心断面図を示す。平面図については、ダンプマス23が存在しない点を除いて上記第2実施形態と同様である(図4参照)。
図6に示すように、本防振構造10dは、第1の部材である排気マニホルド11の取付座14と、第2の部材である遮熱板12との間の振動の伝搬を抑制する防振構造である。当該防振構造10dは、取付座14に固定される第1構造体であるプレート22と、プレートの外縁と遮熱板12とを固定する第2構造体であるグロメット24と、を備えている。グロメット24は、プレートの外縁を係止する第1係止部24aと、遮熱板12を係止する第2係止部24bと、を有している。
遮熱板12、ボルト13、及び取付座14については、上記第1実施形態と同様である。またグロメット24については、上記第2実施形態と同様である。
特に、本第4実施形態では、プレート22の外縁22cが肉厚に形成されることによりダンプマスを形成している点で、上記第1及び第2実施形態とは異なる。この肉厚に形成することによるプレート22の重量増加分は、上記第2実施形態におけるダンプマス23の重量と同等である。この重量設定については、上記第1実施形態と同様に考えることができる。
上記構成において、エンジンが動作中にはクランク軸の回転数に対応した振動が発生して排気マニホルド11にも伝達され、取付座14からプレート22に伝達される。この伝達された振動は、プレート22を伝搬し、外縁22cに達する。このとき、外縁22cにはダンプマスに相当するおもり部分が設けられているので、上記第1実施形態と同様のマスダンパによる振動抑制作用が生じ、遮熱板に伝達される振動が減衰する。
上述した第4実施形態に係る防振構造によれば、上記第1実施形態に列記されたものと同様の効果を奏する。
特に、本第4実施形態によれば、ダンプマスに相当するおもりをプレート22に一体構造として設けたので、部品点数を減らし、組み立てを容易にすることができる。
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態は、上記第1の実施の形態に係る防振機構の変形例に係り、特に、振動減衰効果をさらに高める場合の構造例に関する。
排気マニホルドに対する遮熱板の取付については、上記第1実施形態と同様であるため説明を省略する(図7参照)。
図8及び図9に、本第5実施形態における防振構造10eを示す。図8は、排気マニホルド11における取付座14を中心とした平面図であり、図9は、図8における中心断面図である。
図8及び図9に示すように、本防振構造10eは、ダンプマス23bの構造を除き、第2実施形態の構成と同じである。
ダンプマス23bは、上記第2実施形態のダンプマス23bに類似しており、環状の閉路形状を備え、かつ、プレート22の外縁に対応した外径を有する点は同じである。ただし、図8及び図9から判るように、その内径が上記第2実施形態のものより小さく形成されている点において異なっている。ダンプマス23bの重量設定については、上記第1実施形態と同様に考えることができる。
上記構成において、エンジンが動作中にはクランク軸の回転数に対応した振動が発生して排気マニホルド11にも伝達され、取付座14からプレート22に伝達される。この伝達された振動は、プレート22を伝搬し、第1係止部24aに達する。この位置にはダンプマス23bが設けられているので、上記第2実施形態と同様のマスダンパによる振動抑制作用が生じ、遮熱板に伝達される振動が減衰する。
さらに、上記第5実施形態では、取付座14からの振動が直接伝達されるプレート22にダンプマス23bが当接しているので、上記第2実施形態と同様に、この両者間に生じる摩擦による振動減衰作用が働くが、本第5実施形態では、第2実施形態に比べ大きな摩擦が生じるため振動減衰率がさらに上昇する。特に本実施形態によれば、ダンプマス23bはその外径部がグロメット24によってかしめられているが、内径部分は特に拘束されていない。このため、ダンプマス23bとプレート22との摩擦量が大きくなる。従って、グロメット24経由で遮熱板12に伝達される振動が摩擦によるエネルギーの吸収によってさらに減衰される。
上述した第5実施形態に係る防振構造によれば、上記第1実施形態に列記されたものと同様の効果を奏する。
特に、本第5実施形態によれば、プレート22とダンプマス23bとの接触面積が大きく、両者間で生じる摩擦によっても十分に振動が減衰されるので、遮熱板12に伝搬される振動をさらに抑制することが可能である。
(その他の変形例)
本発明は、上記各実施形態によらず、種々に変形して適用することが可能である。例えば、上記各実施形態では、プレート、グロメット、ダンプマスを同心円状に配置したが、正円形以外の形状、例えば方形、多角形、楕円形にプレート、グロメット、ダンプマスを形成してもよい。また同心である必要はなく、振動の伝達源である第1部材と振動を抑制する対象である第2部材との間に、ダンプマスまたはダンプマスに相当する重量のおもりが設けられていれば、本発明の効果を奏する。
また、上記第1及び第2実施形態では、ダンプマスを複数の部分で構成してもよい。
さらに、上記第3実施形態において、グロメットにダンプマスに相当する重量を加える代わりに、遮熱板の開口内縁にダンプマスの重量に相当するおもりを設けてもよい。
さらにまた、上記第4実施形態において、プレート外縁にダンプマスに相当する重量を加える代わりに、グロメットの第1係止部を肉厚に形成して同等の重量を加えるように構成してもよい。
また、グロメットに相当する部材をプレートと一体構造の部品とすることでも同様の作用効果を奏する。
なお、挿通孔については、設けても設けなくてもよい。挿通孔はプレートの断面積を低減して熱を伝わりにくくする目的で設けられ、熱伝導の量に支障が無ければ設けなくてもよいからである。特に、第5実施形態によれば、ダンプマスが挿通孔の設けられている位置より小さい内径を有するので、挿通孔が設けないこととすれば、その面積増加分だけ摩擦が増加し、さらに振動減衰効果が上昇すると考えられる。
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の防振構造造によれば、ダンプマスを第1の部材と第2の部材との間に備えているので、このダンプマスがマスダンパとして作用して振動を抑制し、第2の部材(例えば遮熱板)へ伝達される振動を少なくするため、第2の部材に振動が伝搬されることによる異音の発生を抑えることが可能である。このとき、ダンプマスが振動を抑制するため、第1構造体自体を薄く構成する必要が無くなり、振動による第1構造体の破壊を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る防振構造を説明する中心断面図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態に係る防振構造の平面図である。
【図3】図3は、本発明の第2実施形態に係る防振構造を説明する中心断面図である。
【図4】図4は、本発明の第2実施形態に係る防振構造の平面図である。
【図5】図5は、本発明の第3実施形態に係る防振構造を説明する中心断面図である。
【図6】図6は、本発明の第4実施形態に係る防振構造を説明する中心断面図である。
【図7】図7は、排気マニホルドへの遮熱板の取付を説明する斜視図である。
【図8】図8は、本発明の第5実施形態に係る防振構造を説明する中心断面図である。
【図9】図9は、本発明の第5実施形態に係る防振構造の平面図である。
【符号の説明】
10…防振構造、11…排気マニホルド、12…遮熱板、13…ボルト(取付部材)、14…ボス孔(取付座)、20、23、23b…ダンプマス、21、24、25…グロメット、22…プレート、22a…孔、22b…挿通孔、22c…ダンプマス部
Claims (14)
- 第1の部材及び第2の部材相互間の振動の伝搬を抑制する防振構造であって、
前記第1の部材に固定される第1構造体と、
前記第1構造体の外縁と前記第2の部材とを固定する第2構造体と、を備え、
前記第2構造体は、前記第1構造体の外縁を係止する第1係止部と、前記第2の部材を係止する第2係止部と、を有し、
前記第2係止部に共に係止されるダンプマスをさらに備えることを特徴とする防振構造。 - 第1の部材及び第2の部材相互間の振動の伝搬を抑制する防振構造であって、
前記第1の部材に固定される第1構造体と、
前記第1構造体の外縁と前記第2の部材とを固定する第2構造体と、を備え、
前記第2構造体は、前記第1構造体の外縁を係止する第1係止部と、前記第2の部材を係止する第2係止部と、を有し、
前記第1係止部に共に係止されるダンプマスをさらに備えることを特徴とする防振構造。 - 第1の部材及び第2の部材相互間の振動の伝搬を抑制する防振構造であって、
前記第1の部材に固定される第1構造体と、
前記第1構造体の外縁と前記第2の部材とを固定する第2構造体と、を備え、
前記第2構造体は、前記第1構造体の外縁を係止する第1係止部と、前記第2の部材を係止する第2係止部と、を有し、
前記第2構造体の前記第2係止部は、前記振動の伝搬を抑制するように質量設定されていることを特徴とする防振構造。 - 第1の部材及び第2の部材相互間の振動の伝搬を抑制する防振構造であって、
前記第1の部材に固定される第1構造体と、
前記第1構造体の外縁と前記第2の部材とを固定する第2構造体と、を備え、
前記第2構造体は、前記第1構造体の外縁を係止する第1係止部と、前記第2の部材を係止する第2係止部と、を有し、
前記第1構造体の外縁は、前記振動の伝搬を抑制するダンプマスが形成されていることを特徴とする防振構造。 - 前記ダンプマスは、当該防振構造の固有振動数を低下させるように重量設定されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の防振構造。
- 前記ダンプマスは、前記第1構造体の弾性、前記第2の部材の弾性、及び前記第2の部材の重量に基づいて重量設定されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の防振構造。
- 前記第2構造体は、前記第1構造体の外縁を囲む閉路形状を有しているグロメット構造である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の防振構造。
- 前記ダンプマスは、前記第1構造体の外縁形状に対応した閉路形状を備えている、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の防振構造。
- 前記第1構造体は、1以上の孔が設けられている、請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の防振構造。
- 内燃機関の排気管に遮熱板を支持する防振構造であって、
挿通孔を形成した防振プレートと、
前記防振プレートの挿通孔に挿通して前記遮熱板を遊動可能に前記排気管に取り付ける取付部材と、
前記防振プレートの外縁を係止する第1係止部と、前記遮熱板に設けられた開口内縁を係止する第2係止部と、を備えるグロメットと、を備え、
前記グロメットの前記第2係止部に前記遮熱板の開口内縁と共に係止されるダンプマスをさらに備える防振構造。 - 内燃機関の排気管に遮熱板を支持する防振構造であって、
挿通孔を形成した防振プレートと、
前記防振プレートの挿通孔に挿通して前記遮熱板を遊動可能に前記排気管に取り付ける取付部材と、
前記防振プレートの外縁を係止する第1係止部と、前記遮熱板に設けられた開口内縁を係止する第2係止部と、を備えるグロメットと、を備え、
前記グロメットの前記第1係止部に前記防振プレートと共に係止されるダンプマスをさらに備える防振構造。 - 前記ダンプマスは、当該防振構造における固有振動数を低下させるように重量設定されている、請求項10または11に記載の防振構造。
- 前記ダンプマスは、前記プレートの弾性、前記遮熱板の弾性、及び前記遮熱板の重量に基づいて重量設定されている、請求項10または11に記載の防振構造。
- 前記防振プレートには、1以上の孔が設けられている、請求項10乃至請求項13のいずれか一項に記載の防振構造。
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-
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