JP2004169717A - 転がり支持装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】水が浸入しても腐食や摩耗が生じにくくして長寿命化を図ることで、燃料電池用のコンプレッサや圧縮機に好適に用いることができると共に、音響寿命特性にも優れた転がり支持装置を提供する。
【解決手段】燃料電池用スクロール式コンプレッサ1の旋回スクロール3の自転を阻止する自転阻止機構として用いられ、可動レース23と固定レース24との間にボールBが転動可能に介装されたボールカップリング20であって、前記可動レース23、前記固定レース24及び前記ボールBの少なくとも一つに耐食鋼を用いる。
【選択図】 図2
【解決手段】燃料電池用スクロール式コンプレッサ1の旋回スクロール3の自転を阻止する自転阻止機構として用いられ、可動レース23と固定レース24との間にボールBが転動可能に介装されたボールカップリング20であって、前記可動レース23、前記固定レース24及び前記ボールBの少なくとも一つに耐食鋼を用いる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水蒸気又は水分を含んだ気体を圧送する圧送機やコンプレッサ等の転がり支持部に用いる転がり軸受やボールカップリング等の転がり支持装置に関し、特に、燃料電池用の水蒸気圧送機やコンプレッサに好適な転がり支持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一対の軌道部材の間に複数の転動体が転動自在に介装された転がり支持装置は、歯科用ハンドピース、工作機械以外に燃料電池等の種々の機器に使用されている(例えば特許文献1参照)。
例えば、燃料電池は、使用する電解質によって、固体高分子型(PEFC)、固体電解質型(SOFC)、リン酸型(PAFC)、溶融炭酸塩型(MCFC)、アルカリ型(AFC)の種類に分類されるが、いずれの型式の燃料電池も、電解質板又は電解質膜の両面をカソード( 酸素極) とアノード( 燃料極) の両電極で挟持させ、カソード側には酸化剤ガスとして空気中の酸素(O2 )を供給すると同時に、アノード側には燃料ガスとして水素(H2 )を供給するようにしだものを1セルとし、セパレータを介した各セルを多層に積層してスタックとするようにしてある。
【0003】
このような燃料電池には、カソード側へ空気を圧送する空気供給装置と、アノード側へ水素を供給する循環装置とが備えられており、これらの装置には、排ガスタービンでコンプレッサを駆動させるターボチャージャ方式や、モータでコンプレッサを駆動させるモータ駆動方式等がある。
また、燃料電池に酸素と水素を供給して反応させる際には、燃料電池の形式( 例えば固体高分子型等)によっては水蒸気を加えて反応させる必要があり、さらに、例えば燃料にガソリンを使用する場合は、非常に高温の水蒸気が必要となることから、燃料電池のエネルギー効率を上げるために、燃料電池に水蒸気圧送機が備えられる場合がある。
【0004】
そして、前記空気供給装置及び前記循環装置のコンプレッサや前記水蒸気圧送機の回転軸は、転がり支持装置の一例としての転がり軸受によってハウジングや旋回スクロール(スクロール式コンプレッサの場合:図1参照))等に対して相対回転自在に支持されるようになっており、また、該転がり軸受の潤滑には、燃料電池の用途に応じて油潤滑又はグリース潤滑が採用される。
【0005】
自動車用の燃料電池システムに対しては、重量の軽減やシステムの簡略化等が求められていることから、油潤滑を採用すると潤滑油を転がり軸受内に供給するシステムが必要になることに加えて、潤滑油が回転体(スクロール式コンプレッサの場合は旋回スクロール:図1参照))と該回転体を支持する転がり軸受との間のシール部を通過して圧縮空気や水蒸気に混入する問題が生じることから、油潤滑ではなく、グリース潤滑を採用するのが好ましい。
【0006】
また、前記コンプレッサがスクロール式の場合には、前記転がり軸受の他に、回転体(旋回スクロール)の自転を防止するためのボールカップリング等の転がり支持装置が用いられる。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−275101号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した燃料電池用のコンプレッサや水蒸気圧送機においては、軸に取り付けられた回転体の背面空間が負圧から正圧になるときに水分がシール部を通過して転がり軸受内に浸入する場合がある。また、前記コンプレッサがスクロール式の場合、回転体(旋回スクロール)の自転を防止するためにボールカップリング等の転がり支持装置が用いられるが、ボールカップリング等をシール構造とすることは困難であるためボールカップリング内に水分が浸入する場合がある。
【0009】
転がり支持装置の軌道部材と転動体とはEHL油膜を介して転がり滑り運動を行っているが、転がり支持装置内に水分が浸入してグリースに混入すると、EHL油膜が極めて形成されにくくなり、軸が高速回転すると滑り摩擦の発熱による温度上昇からさらに油膜が薄くなる。従って、軌道部材と転動体材料に鋼を用いた場合は、金属接触による摩耗が発生しやすくなり、また、腐食の発生により回転精度が低下し、必要な圧力が得られなくなる場合があり、さらには焼付きが発生する問題がある。
【0010】
さらに、自動車用の燃料電池システムにおいては、静粛性も重要であるため、腐食や摩耗による音響上昇が問題となる。
本発明はこのような不都合を解消するためになされたものであり、水が浸入しても腐食や摩耗が生じにくくして長寿命化を図ることで、燃料電池用のコンプレッサや圧送機に好適に用いることができると共に、音響寿命特性にも優れた転がり支持装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、一対の軌道部材の間に複数の転動体が転動自在に介装された転がり支持装置において、前記一対の軌道部材及び前記転動体の少なくとも一つに耐食鋼を用いたことを特徴とする。
転がり支持装置を構成する一対の軌道部材及び転動体の素材としてはJIS鋼種SUJ2が最も多く用いられているが、SUJ2は転動疲労寿命特性は優れるものの耐食性については必ずしも十分とは言えない。
【0012】
鋼の耐食性を向上させるために最も有効な元素はCrであり、腐食を抑制するためにはCrを多量に添加することが有効である。また、Crは、素地を強化したり、高硬度なM7 C3 型炭化物を形成する効果があるので、鋼の耐摩耗性の向上にも有効である。Crを多量に含有する鋼としては、JIS鋼種SUS440C等の耐食鋼が挙げられる。
【0013】
この耐食鋼を、一対の軌道部材の少なくとも一方で、腐食や摩耗が最も大きくなる部位に用いることにより、水分の浸入による音響寿命の低下を効果的に抑制することが可能となる。なお、この耐食鋼を固定体及び回転体の両方に用いても同様の効果が得られることは言うまでも無い。
また、転動体にも耐食鋼を用いることが好ましいが、高速回転で用いられる場合にはコストが許す限りセラミックを用いることがより好ましい。理由は、セラミックは鋼より比重が小さく、回転によって発生する遠心力を小さくすることが可能となるため、高速回転用として適しており、また、非常に高硬度であることから耐焼付き性にも優れているからである。
【0014】
更に、従来、自動車のエアコンに用いられているコンプレッサにおいては、冷媒ガス中に潤滑剤(例えばPAG)を混合して転がり軸受の潤滑を行うことによりシステムの簡略化を図っているが、燃料電池にコンプレッサを用いる場合には、水分が混入するため従来の方法で潤滑することは困難である。
しかしながら、システムの軽量化および簡略化が非常に重要であるため、前述の通りグリース潤滑とすることが好ましい。
【0015】
グリースとしては、例えばフッ素樹脂とフッ素油とからなるフツ素グリース、ウレア化合物と合成油からなるウレアグリース、若しくはリチウムコンプレックスと合成油からなるリチウムコンプレックスグリース等が好適に使用できる。さらに防錆剤を添加することが好ましい。
グリース潤滑で用いる場合は、転がり支持装置内に多量の水分が浸入するとグリースが軟化して流出するという問題が発生し易くなるため、回転体との間にシールを配設して水分の浸入を極力抑えることが好ましい。このシールにより、転がり軸受等の内部への水分の浸入を抑える効果と合わせてグリースの流出を抑制する効果も得られる。シールの材質としては、ゴムシール等耐水性の高いものが好ましい。
【0016】
さらには、転がり軸受の一対の軌道部材(内外輪)の間にもシールを施すことが有効であり、非接触シールまたはラビリンスシールでも構わないが、許容回転数が許す限り接触シールを用いることが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態の一例を図を参照して説明する。図1は本発明の転がり支持装置の実施の形態の一例である針状ころ軸受を組み込んだ燃料電池用スクロール式コンプレッサの断面図、図2〜図6は本発明の他の実施の形態を説明するための図である。
【0018】
図1は、燃料電池用のスクロール式コンプレッサを示したものであり、このスクロール式コンプレッサ1は、一対の渦巻き部品である固定スクロール2と旋回スクロール3とからなる圧縮機構部Aと、ハウジング4内に互いに軸方向に離間配置された二個のシール付玉軸受5,6を介して回転自在に支持された主軸7を回転駆動させる駆動モータ部Cと、主軸7の先端部に該主軸7に対して偏心して軸方向に延設されたクランクピン8により旋回スクロール3を旋回させるクランク機構部Bとを備えており、固定スクロール2と旋回スクロール3との間に形成される空間が外側から中心に移動しながら容積を小さくし、気体を圧縮する構造になっている。
【0019】
図中左側の玉軸受5と旋回スクロール3との間、図中右側の玉軸受6のハウジング4の底部側にはそれぞれシールSが設けられている。また、旋回スクロール3の中央部には有底円筒状の凹状部9が設けられており、この凹状部9には二つの針状ころ軸受10が嵌め込まれ、主軸7のクランクピン8を軸として旋回スクロール3を相対回転自在に支持している。凹状部9の開口端にはシールSが設けられている。
【0020】
クランク機構部Bには、旋回スクロール3の自転を阻止しつつ旋回運動させる自転阻止機構としてボールカップリング20が設けられている。このボールカップリング20は、例えば図2に示すように、旋回スクロール3の背面(図中右端面)に可動リング21及び可動レース23、ハウジング4の前端面(図中左端面)に固定リング22及び固定レース24をそれぞれ備えており、各リング21,22の複数のポケットにボールBを入れて、この状態で該ボールBを可動レース23と固定レース24との間に挟んだ構造になっている。
【0021】
また、図3はボールカップリングの他の例を示したものであり、このボールカップリング30は、図2のリングに相当する部分を一体にプレス成形した可動レース31及び固定レース32とボールBとから構成され、接触面圧を低減するため各レース31,32のアキシアル荷重を負荷する部分(レース)の形状を曲面にすることで、図2の場合より小さなボールBでも図2と同等の負荷容量が得られるようになっている。
【0022】
なお、自転防止機構には、図2及び図3に示すボールカップリングの他にも、オルダムカップリングやピン&リングカップリング等を用いることができ、また、特開2002−70762号公報に開示されているような、転がり軸受を用いた従動クランク機構等、いずれの機構を採用しても構わない。
ここで、この実施の形態では、転がり支持装置として、針状ころ軸受10を例に採り、該針状ころ軸受10の外輪11に、耐食性及び耐摩耗性に優れたJIS鋼種SUS304、SUS316等のオーステナイト系ステンレス鋼や、JIS鋼種SUS410、SUS430等のフェライト系ステンレス鋼等、軟質の耐食鋼を用いている。
【0023】
これにより、旋回スクロール3の背面空間が負圧から正圧になるときに凹状部9のシールSを通過して針状ころ軸受10内に水分が浸入してグリース等に混入しても腐食や摩耗が生じにくくして長寿命化を図ることができ、この結果、燃料電池用のスクロール式コンプレッサに好適に用いることができると共に、音響寿命特性にも優れた針状ころ軸受10を提供することができる。
【0024】
この場合、針状ころ軸受10の外輪11の耐摩耗性を向上させて更に耐久性を向上させるために該外輪11に浸炭や窒化処理を施すことが更に好ましい。浸炭および窒化処理としては、500°C以下の比較的低温で処理が可能なパイオナイトおよびNV超窒化(いずれもエア・ウォーター株式会社の商品名)処理が好適である。これらの処理法は、低温で処理可能であるため、浸炭または窒化処理時の変形が小さく、外輪11に保持器(図示せず)および転動体12を組み込んだ状態で処理可能であり、製造コストの増大を抑えることができる。
【0025】
なお、この実施の形態では、内輪を備えていない針状ころ軸受10を例に採ったが、内輪を備えた針状ころ軸受の場合には、外輪11、内輪及び針状ころ(転動体)12の少なくとも一つに上述した耐食鋼を用いれば良い。但し、高速回転で用いる場合には、焼付きを防止するため、耐食性および耐摩耗性に優れたセラミック製転動体をコストが許す限り用いることが好ましい。
【0026】
なお、本発明の転がり支持装置は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記実施の形態では、転がり支持装置として、針状ころ軸受10を例に採ったが、これに限定されず、自転防止機構にボールカップリングを用いる場合には、図2のボールカップリング20では可動レース23、固定レース24及びボールBの少なくとも一つを、図3のボールカップリング30では可動レース31、固定レース32及びボールBの少なくとも一つを上述した耐食鋼で形成してもよく、また、玉軸受5及び/又は6の外輪、内輪及び転動体の少なくとも一つを上述した耐食鋼で形成してもよい。いずれの場合も、転動体については、上記同様に、耐食性および耐摩耗性に優れたセラミック製転動体をコストが許す限り用いることが好ましい。
【0027】
また、上記実施の形態では、スクロール式コンプレッサの転がり支持部に本発明を適用した場合を例に採ったが、これに限定されず、斜板式、ロータリ式、スクリュー式等のあらゆるコンプレッサの転がり支持部に本発明を適用可能であり、ターボチャージャ方式を含めたインペラ式の圧送機等、気体を圧送する装置全ての転がり支持部に本発明を適用することができる。
【0028】
図4は、燃料電池用のインペラ式圧送機の転がり支持部に本発明を適用した例を示したものである。
このインペラ式圧送機は、ハウジング40内に互いに軸方向に離間配置された二個の玉軸受41,42を介して回転可能に支持された主軸43を駆動モータ44で回転駆動させることにより、送気管45内に配置されて主軸43のハウジング40からの突出端に取り付けられた水蒸気圧送用のインペラ46を回転させ、該インペラ46の回転により水蒸気が送気管45内を圧送されるもので、この場合、玉軸受41及び/又は42の外輪、内輪及び転動体の少なくとも一つが上述した耐食鋼で形成されている。
【0029】
図5は、スクリュー式(リショルム式)コンプレッサの転がり支持部に本発明を適用した例である。
このスクリュー式コンプレッサは、駆動モータ50で回転駆動される主軸51の回転力をギヤ機構52を介してスクリュー53に伝達して気体を圧縮するようにしたもので、この場合、主軸51を回転可能に支持する転がり軸受、及び/又はスクリュー53の回転軸を回転可能に支持する転がり軸受の外輪、内輪及び転動体の少なくとも一つが上述した耐食鋼で形成されている。
【0030】
図6は、斜板式コンプレッサの転がり支持部に本発明を適用した例である。
この斜板式コンプレッサは、駆動モータ60により回転駆動される主軸61に連結された駆動軸62の回転力を片面傾斜板63、ロッド64、ピストン65、スラスト軸受66及びラジアル軸受67等で構成される斜板機構を介してピストン運動に変換することで、気体を圧縮するようにしたもので、この場合、主軸61を回転可能に支持する転がり軸受68の外輪、内輪及び転動体の少なくとも一つが上述した耐食鋼で形成されている。
【0031】
【実施例】
本発明の効果を確認するために、具体的に実験を行った結果について説明する。表1に、実験に用いた鋼の主要成分を質量%で示す。
【0032】
【表1】
【0033】
表1中の記号Aは、従来例として比較のために用いたJIS鋼種SUJ2である。記号Bは、JIS鋼種SUS440Cであり、記号Cは、SUS440Cの音響特性を改善した13Crマルテンサイト系ステンレスである。記号Dは、SUS440Cや13Crマルテンサイト系ステンレスの耐食性および寿命特性を改善した窒素添加型のマルテンサイト系ステンレスである。
【0034】
これらのA〜Dの素材を用いて外輪、内輪及び転動体を備えた玉軸受を作成して図1と同様のスクロール式コンプレッサの主軸に組み込み、300hr水蒸気を圧送した前後の音響上昇量の測定を行った。
試験の結果を表2に示す。図2中、No.1は従来例、No.2〜No.5は本発明例である。また、音響上昇量は、従来例であるNo.1を100として、それぞれの比を示している。No.3では転動体としてセラミックボールを用いた。
【0035】
【表2】
【0036】
表2から明らかなように、本発明例であるNo.2〜No.5の玉軸受は、従来例であるNo.1の玉軸受に比べて音響上昇量が1/15〜1/20と大幅に低くなっており、燃料電池に用いられる水分を含んだ気体を圧送するコンプレッサや圧送機の長寿命化が可能となるのが判る。
【0037】
【発明の効果】
上記の説明から明らかなように、本発明によれば、水が浸入しても腐食や摩耗が生じにくくして長寿命化を図ることができるので、燃料電池用のコンプレッサや圧送機に好適に用いることができると共に、音響寿命特性にも優れた転がり支持装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の転がり支持装置の実施の形態の一例である針状ころ軸受を組み込んだ燃料電池用スクロール式コンプレッサの断面図である。
【図2】本発明の転がり支持装置の他の実施の形態であるボールカップリングの一例を示す断面図である。
【図3】ボールカップリングの他の例を示す断面図である。
【図4】本発明を燃料電池用インペラ式圧送機に適用した例を示す断面図である。
【図5】本発明を燃料電池用スクリュー式(リショルム式)コンプレッサに適用した例を示す断面図である。
【図6】本発明を燃料電池用斜板式コンプレッサに適用した例を示す断面図である。
【符号の説明】
10…針状ころ軸受(転がり支持装置)
11…外輪(軌道部材)
12…針状ころ(転動体)
20…ボールカップリング(転がり支持装置)
23…可動レース(軌道部材)
24…固定レース(軌道部材)
B…ボール(転動体)
【発明の属する技術分野】
本発明は、水蒸気又は水分を含んだ気体を圧送する圧送機やコンプレッサ等の転がり支持部に用いる転がり軸受やボールカップリング等の転がり支持装置に関し、特に、燃料電池用の水蒸気圧送機やコンプレッサに好適な転がり支持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一対の軌道部材の間に複数の転動体が転動自在に介装された転がり支持装置は、歯科用ハンドピース、工作機械以外に燃料電池等の種々の機器に使用されている(例えば特許文献1参照)。
例えば、燃料電池は、使用する電解質によって、固体高分子型(PEFC)、固体電解質型(SOFC)、リン酸型(PAFC)、溶融炭酸塩型(MCFC)、アルカリ型(AFC)の種類に分類されるが、いずれの型式の燃料電池も、電解質板又は電解質膜の両面をカソード( 酸素極) とアノード( 燃料極) の両電極で挟持させ、カソード側には酸化剤ガスとして空気中の酸素(O2 )を供給すると同時に、アノード側には燃料ガスとして水素(H2 )を供給するようにしだものを1セルとし、セパレータを介した各セルを多層に積層してスタックとするようにしてある。
【0003】
このような燃料電池には、カソード側へ空気を圧送する空気供給装置と、アノード側へ水素を供給する循環装置とが備えられており、これらの装置には、排ガスタービンでコンプレッサを駆動させるターボチャージャ方式や、モータでコンプレッサを駆動させるモータ駆動方式等がある。
また、燃料電池に酸素と水素を供給して反応させる際には、燃料電池の形式( 例えば固体高分子型等)によっては水蒸気を加えて反応させる必要があり、さらに、例えば燃料にガソリンを使用する場合は、非常に高温の水蒸気が必要となることから、燃料電池のエネルギー効率を上げるために、燃料電池に水蒸気圧送機が備えられる場合がある。
【0004】
そして、前記空気供給装置及び前記循環装置のコンプレッサや前記水蒸気圧送機の回転軸は、転がり支持装置の一例としての転がり軸受によってハウジングや旋回スクロール(スクロール式コンプレッサの場合:図1参照))等に対して相対回転自在に支持されるようになっており、また、該転がり軸受の潤滑には、燃料電池の用途に応じて油潤滑又はグリース潤滑が採用される。
【0005】
自動車用の燃料電池システムに対しては、重量の軽減やシステムの簡略化等が求められていることから、油潤滑を採用すると潤滑油を転がり軸受内に供給するシステムが必要になることに加えて、潤滑油が回転体(スクロール式コンプレッサの場合は旋回スクロール:図1参照))と該回転体を支持する転がり軸受との間のシール部を通過して圧縮空気や水蒸気に混入する問題が生じることから、油潤滑ではなく、グリース潤滑を採用するのが好ましい。
【0006】
また、前記コンプレッサがスクロール式の場合には、前記転がり軸受の他に、回転体(旋回スクロール)の自転を防止するためのボールカップリング等の転がり支持装置が用いられる。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−275101号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した燃料電池用のコンプレッサや水蒸気圧送機においては、軸に取り付けられた回転体の背面空間が負圧から正圧になるときに水分がシール部を通過して転がり軸受内に浸入する場合がある。また、前記コンプレッサがスクロール式の場合、回転体(旋回スクロール)の自転を防止するためにボールカップリング等の転がり支持装置が用いられるが、ボールカップリング等をシール構造とすることは困難であるためボールカップリング内に水分が浸入する場合がある。
【0009】
転がり支持装置の軌道部材と転動体とはEHL油膜を介して転がり滑り運動を行っているが、転がり支持装置内に水分が浸入してグリースに混入すると、EHL油膜が極めて形成されにくくなり、軸が高速回転すると滑り摩擦の発熱による温度上昇からさらに油膜が薄くなる。従って、軌道部材と転動体材料に鋼を用いた場合は、金属接触による摩耗が発生しやすくなり、また、腐食の発生により回転精度が低下し、必要な圧力が得られなくなる場合があり、さらには焼付きが発生する問題がある。
【0010】
さらに、自動車用の燃料電池システムにおいては、静粛性も重要であるため、腐食や摩耗による音響上昇が問題となる。
本発明はこのような不都合を解消するためになされたものであり、水が浸入しても腐食や摩耗が生じにくくして長寿命化を図ることで、燃料電池用のコンプレッサや圧送機に好適に用いることができると共に、音響寿命特性にも優れた転がり支持装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、一対の軌道部材の間に複数の転動体が転動自在に介装された転がり支持装置において、前記一対の軌道部材及び前記転動体の少なくとも一つに耐食鋼を用いたことを特徴とする。
転がり支持装置を構成する一対の軌道部材及び転動体の素材としてはJIS鋼種SUJ2が最も多く用いられているが、SUJ2は転動疲労寿命特性は優れるものの耐食性については必ずしも十分とは言えない。
【0012】
鋼の耐食性を向上させるために最も有効な元素はCrであり、腐食を抑制するためにはCrを多量に添加することが有効である。また、Crは、素地を強化したり、高硬度なM7 C3 型炭化物を形成する効果があるので、鋼の耐摩耗性の向上にも有効である。Crを多量に含有する鋼としては、JIS鋼種SUS440C等の耐食鋼が挙げられる。
【0013】
この耐食鋼を、一対の軌道部材の少なくとも一方で、腐食や摩耗が最も大きくなる部位に用いることにより、水分の浸入による音響寿命の低下を効果的に抑制することが可能となる。なお、この耐食鋼を固定体及び回転体の両方に用いても同様の効果が得られることは言うまでも無い。
また、転動体にも耐食鋼を用いることが好ましいが、高速回転で用いられる場合にはコストが許す限りセラミックを用いることがより好ましい。理由は、セラミックは鋼より比重が小さく、回転によって発生する遠心力を小さくすることが可能となるため、高速回転用として適しており、また、非常に高硬度であることから耐焼付き性にも優れているからである。
【0014】
更に、従来、自動車のエアコンに用いられているコンプレッサにおいては、冷媒ガス中に潤滑剤(例えばPAG)を混合して転がり軸受の潤滑を行うことによりシステムの簡略化を図っているが、燃料電池にコンプレッサを用いる場合には、水分が混入するため従来の方法で潤滑することは困難である。
しかしながら、システムの軽量化および簡略化が非常に重要であるため、前述の通りグリース潤滑とすることが好ましい。
【0015】
グリースとしては、例えばフッ素樹脂とフッ素油とからなるフツ素グリース、ウレア化合物と合成油からなるウレアグリース、若しくはリチウムコンプレックスと合成油からなるリチウムコンプレックスグリース等が好適に使用できる。さらに防錆剤を添加することが好ましい。
グリース潤滑で用いる場合は、転がり支持装置内に多量の水分が浸入するとグリースが軟化して流出するという問題が発生し易くなるため、回転体との間にシールを配設して水分の浸入を極力抑えることが好ましい。このシールにより、転がり軸受等の内部への水分の浸入を抑える効果と合わせてグリースの流出を抑制する効果も得られる。シールの材質としては、ゴムシール等耐水性の高いものが好ましい。
【0016】
さらには、転がり軸受の一対の軌道部材(内外輪)の間にもシールを施すことが有効であり、非接触シールまたはラビリンスシールでも構わないが、許容回転数が許す限り接触シールを用いることが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態の一例を図を参照して説明する。図1は本発明の転がり支持装置の実施の形態の一例である針状ころ軸受を組み込んだ燃料電池用スクロール式コンプレッサの断面図、図2〜図6は本発明の他の実施の形態を説明するための図である。
【0018】
図1は、燃料電池用のスクロール式コンプレッサを示したものであり、このスクロール式コンプレッサ1は、一対の渦巻き部品である固定スクロール2と旋回スクロール3とからなる圧縮機構部Aと、ハウジング4内に互いに軸方向に離間配置された二個のシール付玉軸受5,6を介して回転自在に支持された主軸7を回転駆動させる駆動モータ部Cと、主軸7の先端部に該主軸7に対して偏心して軸方向に延設されたクランクピン8により旋回スクロール3を旋回させるクランク機構部Bとを備えており、固定スクロール2と旋回スクロール3との間に形成される空間が外側から中心に移動しながら容積を小さくし、気体を圧縮する構造になっている。
【0019】
図中左側の玉軸受5と旋回スクロール3との間、図中右側の玉軸受6のハウジング4の底部側にはそれぞれシールSが設けられている。また、旋回スクロール3の中央部には有底円筒状の凹状部9が設けられており、この凹状部9には二つの針状ころ軸受10が嵌め込まれ、主軸7のクランクピン8を軸として旋回スクロール3を相対回転自在に支持している。凹状部9の開口端にはシールSが設けられている。
【0020】
クランク機構部Bには、旋回スクロール3の自転を阻止しつつ旋回運動させる自転阻止機構としてボールカップリング20が設けられている。このボールカップリング20は、例えば図2に示すように、旋回スクロール3の背面(図中右端面)に可動リング21及び可動レース23、ハウジング4の前端面(図中左端面)に固定リング22及び固定レース24をそれぞれ備えており、各リング21,22の複数のポケットにボールBを入れて、この状態で該ボールBを可動レース23と固定レース24との間に挟んだ構造になっている。
【0021】
また、図3はボールカップリングの他の例を示したものであり、このボールカップリング30は、図2のリングに相当する部分を一体にプレス成形した可動レース31及び固定レース32とボールBとから構成され、接触面圧を低減するため各レース31,32のアキシアル荷重を負荷する部分(レース)の形状を曲面にすることで、図2の場合より小さなボールBでも図2と同等の負荷容量が得られるようになっている。
【0022】
なお、自転防止機構には、図2及び図3に示すボールカップリングの他にも、オルダムカップリングやピン&リングカップリング等を用いることができ、また、特開2002−70762号公報に開示されているような、転がり軸受を用いた従動クランク機構等、いずれの機構を採用しても構わない。
ここで、この実施の形態では、転がり支持装置として、針状ころ軸受10を例に採り、該針状ころ軸受10の外輪11に、耐食性及び耐摩耗性に優れたJIS鋼種SUS304、SUS316等のオーステナイト系ステンレス鋼や、JIS鋼種SUS410、SUS430等のフェライト系ステンレス鋼等、軟質の耐食鋼を用いている。
【0023】
これにより、旋回スクロール3の背面空間が負圧から正圧になるときに凹状部9のシールSを通過して針状ころ軸受10内に水分が浸入してグリース等に混入しても腐食や摩耗が生じにくくして長寿命化を図ることができ、この結果、燃料電池用のスクロール式コンプレッサに好適に用いることができると共に、音響寿命特性にも優れた針状ころ軸受10を提供することができる。
【0024】
この場合、針状ころ軸受10の外輪11の耐摩耗性を向上させて更に耐久性を向上させるために該外輪11に浸炭や窒化処理を施すことが更に好ましい。浸炭および窒化処理としては、500°C以下の比較的低温で処理が可能なパイオナイトおよびNV超窒化(いずれもエア・ウォーター株式会社の商品名)処理が好適である。これらの処理法は、低温で処理可能であるため、浸炭または窒化処理時の変形が小さく、外輪11に保持器(図示せず)および転動体12を組み込んだ状態で処理可能であり、製造コストの増大を抑えることができる。
【0025】
なお、この実施の形態では、内輪を備えていない針状ころ軸受10を例に採ったが、内輪を備えた針状ころ軸受の場合には、外輪11、内輪及び針状ころ(転動体)12の少なくとも一つに上述した耐食鋼を用いれば良い。但し、高速回転で用いる場合には、焼付きを防止するため、耐食性および耐摩耗性に優れたセラミック製転動体をコストが許す限り用いることが好ましい。
【0026】
なお、本発明の転がり支持装置は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記実施の形態では、転がり支持装置として、針状ころ軸受10を例に採ったが、これに限定されず、自転防止機構にボールカップリングを用いる場合には、図2のボールカップリング20では可動レース23、固定レース24及びボールBの少なくとも一つを、図3のボールカップリング30では可動レース31、固定レース32及びボールBの少なくとも一つを上述した耐食鋼で形成してもよく、また、玉軸受5及び/又は6の外輪、内輪及び転動体の少なくとも一つを上述した耐食鋼で形成してもよい。いずれの場合も、転動体については、上記同様に、耐食性および耐摩耗性に優れたセラミック製転動体をコストが許す限り用いることが好ましい。
【0027】
また、上記実施の形態では、スクロール式コンプレッサの転がり支持部に本発明を適用した場合を例に採ったが、これに限定されず、斜板式、ロータリ式、スクリュー式等のあらゆるコンプレッサの転がり支持部に本発明を適用可能であり、ターボチャージャ方式を含めたインペラ式の圧送機等、気体を圧送する装置全ての転がり支持部に本発明を適用することができる。
【0028】
図4は、燃料電池用のインペラ式圧送機の転がり支持部に本発明を適用した例を示したものである。
このインペラ式圧送機は、ハウジング40内に互いに軸方向に離間配置された二個の玉軸受41,42を介して回転可能に支持された主軸43を駆動モータ44で回転駆動させることにより、送気管45内に配置されて主軸43のハウジング40からの突出端に取り付けられた水蒸気圧送用のインペラ46を回転させ、該インペラ46の回転により水蒸気が送気管45内を圧送されるもので、この場合、玉軸受41及び/又は42の外輪、内輪及び転動体の少なくとも一つが上述した耐食鋼で形成されている。
【0029】
図5は、スクリュー式(リショルム式)コンプレッサの転がり支持部に本発明を適用した例である。
このスクリュー式コンプレッサは、駆動モータ50で回転駆動される主軸51の回転力をギヤ機構52を介してスクリュー53に伝達して気体を圧縮するようにしたもので、この場合、主軸51を回転可能に支持する転がり軸受、及び/又はスクリュー53の回転軸を回転可能に支持する転がり軸受の外輪、内輪及び転動体の少なくとも一つが上述した耐食鋼で形成されている。
【0030】
図6は、斜板式コンプレッサの転がり支持部に本発明を適用した例である。
この斜板式コンプレッサは、駆動モータ60により回転駆動される主軸61に連結された駆動軸62の回転力を片面傾斜板63、ロッド64、ピストン65、スラスト軸受66及びラジアル軸受67等で構成される斜板機構を介してピストン運動に変換することで、気体を圧縮するようにしたもので、この場合、主軸61を回転可能に支持する転がり軸受68の外輪、内輪及び転動体の少なくとも一つが上述した耐食鋼で形成されている。
【0031】
【実施例】
本発明の効果を確認するために、具体的に実験を行った結果について説明する。表1に、実験に用いた鋼の主要成分を質量%で示す。
【0032】
【表1】
【0033】
表1中の記号Aは、従来例として比較のために用いたJIS鋼種SUJ2である。記号Bは、JIS鋼種SUS440Cであり、記号Cは、SUS440Cの音響特性を改善した13Crマルテンサイト系ステンレスである。記号Dは、SUS440Cや13Crマルテンサイト系ステンレスの耐食性および寿命特性を改善した窒素添加型のマルテンサイト系ステンレスである。
【0034】
これらのA〜Dの素材を用いて外輪、内輪及び転動体を備えた玉軸受を作成して図1と同様のスクロール式コンプレッサの主軸に組み込み、300hr水蒸気を圧送した前後の音響上昇量の測定を行った。
試験の結果を表2に示す。図2中、No.1は従来例、No.2〜No.5は本発明例である。また、音響上昇量は、従来例であるNo.1を100として、それぞれの比を示している。No.3では転動体としてセラミックボールを用いた。
【0035】
【表2】
【0036】
表2から明らかなように、本発明例であるNo.2〜No.5の玉軸受は、従来例であるNo.1の玉軸受に比べて音響上昇量が1/15〜1/20と大幅に低くなっており、燃料電池に用いられる水分を含んだ気体を圧送するコンプレッサや圧送機の長寿命化が可能となるのが判る。
【0037】
【発明の効果】
上記の説明から明らかなように、本発明によれば、水が浸入しても腐食や摩耗が生じにくくして長寿命化を図ることができるので、燃料電池用のコンプレッサや圧送機に好適に用いることができると共に、音響寿命特性にも優れた転がり支持装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の転がり支持装置の実施の形態の一例である針状ころ軸受を組み込んだ燃料電池用スクロール式コンプレッサの断面図である。
【図2】本発明の転がり支持装置の他の実施の形態であるボールカップリングの一例を示す断面図である。
【図3】ボールカップリングの他の例を示す断面図である。
【図4】本発明を燃料電池用インペラ式圧送機に適用した例を示す断面図である。
【図5】本発明を燃料電池用スクリュー式(リショルム式)コンプレッサに適用した例を示す断面図である。
【図6】本発明を燃料電池用斜板式コンプレッサに適用した例を示す断面図である。
【符号の説明】
10…針状ころ軸受(転がり支持装置)
11…外輪(軌道部材)
12…針状ころ(転動体)
20…ボールカップリング(転がり支持装置)
23…可動レース(軌道部材)
24…固定レース(軌道部材)
B…ボール(転動体)
Claims (1)
- 一対の軌道部材の間に複数の転動体が転動自在に介装された転がり支持装置において、前記一対の軌道部材及び前記転動体の少なくとも一つに耐食鋼を用いたことを特徴とする転がり支持装置。
Priority Applications (1)
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-
2002
- 2002-11-15 JP JP2002332614A patent/JP2004169717A/ja active Pending
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