JP2004169657A - ロータリ圧縮機 - Google Patents

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Yasuhiro Sakakibara
泰弘 榊原
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Abstract

【課題】潤滑油が吐出ガス空間に飛散するのを防止し、冷凍サイクル中への吐油量を低減し、熱交換効率の低下を防ぎ、圧縮機の高回転数運転時にも油切れを起すことがない信頼性の高いロータリ圧縮機を提供する。
【解決手段】底部に潤滑油を溜める油溜12を有した密閉容器内に、電動機と圧縮部を配置し、圧縮部を、内部に油送路4aを備えたシャフト4と、シリンダと、シリンダの軸方向両端に配置され、シャフト4を回転自在に支持する上軸受および下軸受と、上軸受8の一部を覆う上マフラ8aとにより構成し、シャフト4の下端を油溜12の潤滑油12a に浸け、シャフト4の回転に伴って油送路4aを介して潤滑油12a を汲み上げ、この潤滑油を各摺動部に給油してなるロータリ圧縮機において、電動機の底面と上マフラ8aとの間に、少なくとも上軸受8の外周面を少許離間して覆う、筒状の油飛散防止カバー13を設けた。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロータリ圧縮機に係り、詳しくは潤滑油が吐出ガス空間に飛散するのを防止する油飛散防止カバーの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のロータリ圧縮機は、例えば、図7に示すように、密閉容器21内に、上下に電動機22と、この電動機22によって駆動される圧縮部23を配置し、圧縮部23は、電動機22の回転力をこの圧縮部23に伝達するクランク軸24と、円筒内面に吸入口25および吐出口(図示せず)を有するシリンダ26と、同シリンダ26の軸方向両端に配置され、前記クランク軸24を回転自在に支持する上軸受27および下軸受28と、前記シリンダ26の円筒内面に沿って移動するロータ29とにより構成され、ロータ29の外周面と前記シリンダ26の円筒内面とで圧縮室32が形成されている。
【0003】前記クランク軸24の下端を密閉容器21の底面に溜められた潤滑油33に浸け、クランク軸24の回転に伴ってこのクランク軸24の中空部24b を介して潤滑油33を汲み上げ、この潤滑油33を各軸受などの摺動部に給油する構成となっている。
【0004】上記構成において、軸受など潤滑に用いられた油が密閉容器21内の吐出ガス空間に飛散し、ガスと混合して冷凍サイクル中への吐油量を増大させ、熱交換器での熱交換効率の低下や、圧縮機内の油切れ等を起す原因となっていた。
このため、電動機22の回転子に油分離板を設け、クランク軸24の回転による遠心力により、油を分離して冷凍サイクル中への吐油量の増大を防止している(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】しかしながら、この手段では分離板によって油は再びガス空間へ飛散され、油が飛散した空間を吐出ガスが通過する場合には、再び油が吐出ガスに混合されてしまう。また、吐出ガス通路として電動機の回転子と固定子間のエアギャップ及び固定子外径切欠き部が考えられるが、固定子外周からの吐出ガスの流れが支配的になるような構造の場合、分離板の効果は小さくなり、冷凍サイクル中への吐油量は増大してしまう。また、高回転数での運転になるほど吐出ガス流量、流速が増大し、軸受などに用いられた油の量も増大して吐出ガス空間に飛散する油の量も増大することから、より吐油量が増大するという問題がある。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−264282号公報(第3−5頁、第1図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点に鑑みなされたもので、潤滑油が吐出ガス空間に飛散するのを防止し、冷凍サイクル中への吐油量を低減することができ、熱交換器での熱交換効率の低下を防ぎ、圧縮機の高回転数運転時にも圧縮機内の油切れを起すことがない信頼性の高いロータリ圧縮機を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の課題を解決するためなされたもので、底部に潤滑油を溜める油溜を有した密閉容器内に、上下に電動機と、この電動機によって駆動される圧縮部を配置し、同圧縮部を、前記電動機の回転力をこの圧縮部に伝達すると共に、内部に穿設された油送路を備えたシャフトと、円筒内面に吸入口および吐出口を有するシリンダと、同シリンダの軸方向両端に配置され、前記シャフトを回転自在に支持する上軸受および下軸受と、前記上軸受の一部を覆う上マフラと、前記下軸受を覆う下マフラとにより構成し、前記シャフトの下端を前記油溜の潤滑油に浸け、前記シャフトの回転に伴って前記油送路を介して前記潤滑油を汲み上げ、汲み上げた潤滑油を各摺動部に給油してなるロータリ圧縮機において、
前記電動機の底面と前記上マフラとの間に、少なくとも前記上軸受の外周面を少許離間して覆う、筒状の油飛散防止カバーを設けてなる構成となっている。
【0009】
また、前記油飛散防止カバーは、前記電動機の回転子底面に設けられた、エンドリング及びバランサの外周部を覆うようにしてなる構成となっている。
【0010】
また、前記油飛散防止カバーの下部に、油戻し用の孔もしくは切欠きを少なくとも1個以上設けてなる構成となっている。
【0011】
また、前記上マフラの上面に、前記油飛散防止カバーの下端と前記上マフラの外周端とを連通する溝を、少なくとも1個以上設けてなる構成となっている。
【0012】
また、前記油飛散防止カバーの下端と前記油溜との間に、油戻しパイプ接続してなる構成となっている。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明におけるロータリ圧縮機の概略断面図、図2は本発明の一実施例を示す要部拡大断面図である。図において、密閉容器1内に、上下に固定子2aと回転子2bとからなる電動機2と、この電動機2によって駆動される圧縮部3が配置されている。
【0014】
前記圧縮部3は、前記電動機2の回転力をこの圧縮部3に伝達するための偏心軸部5を有し、内部に穿設された油送路4aを備えたシャフト4と、円筒内面に吸入口6および吐出口(図示せず)を有するシリンダ7と、同シリンダ7の軸方向両端に配置され、前記シャフト4を回転自在に支持する上軸受8および下軸受9と、前記上軸受8の一部を覆う上マフラ8aと、前記下軸受9を覆う下マフラ9aとにより構成されている。
【0015】前記シリンダ7の円筒内面に沿って移動し、内周部が前記偏心軸部5に回転可能に嵌合された環状のローラ10とにより構成されている。6aは、前記吸入口6に連通し、アキュムレータ(図示せず)より低圧冷媒を吸入して、前記圧縮部3に供給する吸入管である。同吸入管6aから吸入された低圧冷媒は、前記ピストン10の外周面と前記シリンダ7の円筒内面とで形成された圧縮室11で圧縮され高圧冷媒となる。この圧縮された高圧冷媒は、吐出口(図示せず)から前記上マフラ8aに設けられた吐出ガス孔8bを経由して、密閉容器1内に流れ、吐出管1aより冷凍サイクル中へ送出される。
【0016】
前記シャフト4の下端を前記密閉容器1の油溜12に溜められた潤滑油12a に浸け、前記シャフト4の回転に伴ってこのシャフト4の油送路4aを介して前記潤滑油12a を汲み上げ、汲み上げた潤滑油12a を軸受等の各摺動部に給油する構成となっている。
【0017】
図2に示すように、前記電動機2の底面(回転子2bの下面)と前記上マフラ8aの上面との間に、前記上軸受8の垂直方向の外周面を少許離間して覆う、筒状の油飛散防止カバー13を設けた構成となっている。
【0018】
また、前記油飛散防止カバー13の取付けの他の実施例として図3に示すように、前記油飛散防止カバー13を、前記電動機2の回転子2b底面に設けられた、エンドリング2b1 及びバランサ2b2 の外周部を覆うように構成となっている。
尚、前記油飛散防止カバー13は、前記上軸受8や前記上マフラ8aに圧入、ネジ止め又は溶接などにより固定されている。
【0019】
図4は前記油飛散防止カバー13の斜視図を示したもので、(A)は前記油飛散防止カバー13の下部に、油戻し用の切欠き13a を設けたもので、(B)油戻し用の孔13b を設けたもので、前記切欠き13a 又は孔13b を少なくとも1個以上設けて、且つ上マフラ8aに設けられた吐出ガス孔8bの位置と一致しないように設けた構成とすることにより、前記油飛散防止カバー13で遮蔽された潤滑油12a を前記油溜12に速やかに戻すようにして、より潤滑油12a と吐出ガスが混合しにくくなり、吐油量の低減がはかれる。
【0020】
上記構成において、前記油送路4aから給油され、前記上軸受8の潤滑に用いられた潤滑油12a が、前記シャフト4の遠心力により前記密閉容器1内の吐出ガス空間に飛散するのを防止し、潤滑油12a は矢印で示す如く、油溜12に戻される。この結果、前記吐出管1aより冷凍サイクル中へ送出される吐油量を低減することができ、熱交換器での熱交換効率の低下を防ぎ、圧縮機の高回転数運転時にも圧縮機内の油切れを起すことがない信頼性の高いロータリ圧縮機となる。
【0021】
また、図5に示すように、前記上マフラ8aの上面に、前記油飛散防止カバー13の下端と前記上マフラ8aの外周端とを連通する溝14を、少なくとも1個以上設けてた構成とすることにより、上記と同様に、前記油飛散防止カバー13で遮蔽された潤滑油12a を前記油溜12に速やかに戻すようにして、より潤滑油12a と吐出ガスが混合しにくくなり、吐油量の低減がはかれる。
【0022】
また、図6に示すように、前記油飛散防止カバー13の下端と前記油溜12との間に、油戻しパイプ15接続した構成とすることにより、上記と同様に、前記油飛散防止カバー13で遮蔽された潤滑油12a を前記油溜12に速やかに戻すようにして、より潤滑油12a と吐出ガスが混合しにくくなり、吐油量の低減がはかれる。
【0023】
上記に説明したように、前記電動機2の底面と前記上マフラ8aとの間に、少なくとも前記上軸受8の外周面を少許離間して覆う、筒状の油飛散防止カバー13を設けることにより、前記上軸受8の潤滑に用いられた潤滑油12a が、前記シャフト4の遠心力により前記密閉容器1内の吐出ガス空間に飛散するのを防止し、前記吐出管1aより冷凍サイクル中へ送出される吐油量を低減することができ、熱交換器での熱交換効率の低下を防ぎ、圧縮機の高回転数運転時にも圧縮機内の油切れを起すことがない信頼性の高いロータリ圧縮機となる。
【0024】
【発明の効果】
以上のように本発明においては、上軸受の潤滑に用いられた潤滑油が、シャフトの遠心力により密閉容器内の吐出ガス空間に飛散するのを防止し、吐出管より冷凍サイクル中へ送出される吐油量を低減することができ、熱交換器での熱交換効率の低下を防ぎ、圧縮機の高回転数運転時にも圧縮機内の油切れを起すことがない信頼性の高いロータリ圧縮機となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるロータリ圧縮機の概略断面図である。
【図2】本発明による一実施例を示す要部拡大斜視図である。
【図3】本発明による油飛散防止カバーの取付けの他の実施例を示す要部拡大斜視図である。
【図4】本発明による油飛散防止カバーの斜視図で、(A)は油飛散防止カバーに油戻し用の切欠きを設けたもので、(B)油戻し用の孔を設けたものである。
【図5】本発明による上マフラの上面に油戻し用の溝を設けた斜視図である。
【図6】本発明による油飛散防止カバーと油溜間に、油戻しパイプを設けた斜視図である。
【図7】従来例によるロータリ圧縮機の概略断面図である。
【符号の説明】
1 密閉容器
2 電動機
2a 固定子
2b 回転子
2b1 エンドリング
2b2 バランサ
3 圧縮部
4 シャフト
4a 油送路
5 偏心軸部
6 吸入口
6a 吸入管
7 シリンダ
8 上軸受
8a 上マフラ
8b 吐出ガス孔
9 下軸受
9a 下マフラ
10 ロータ
11 圧縮室
12 油溜
12a 潤滑油
13 油飛散防止カバー
13a 切欠き
13b 孔
14 溝
15 油戻しパイプ

Claims (5)

  1. 底部に潤滑油を溜める油溜を有した密閉容器内に、上下に電動機と、この電動機によって駆動される圧縮部を配置し、同圧縮部を、前記電動機の回転力をこの圧縮部に伝達すると共に、内部に穿設された油送路を備えたシャフトと、円筒内面に吸入口および吐出口を有するシリンダと、同シリンダの軸方向両端に配置され、前記シャフトを回転自在に支持する上軸受および下軸受と、前記上軸受の一部を覆う上マフラと、前記下軸受を覆う下マフラとにより構成し、前記シャフトの下端を前記油溜の潤滑油に浸け、前記シャフトの回転に伴って前記油送路を介して前記潤滑油を汲み上げ、汲み上げた潤滑油を各摺動部に給油してなるロータリ圧縮機において、
    前記電動機の底面と前記上マフラとの間に、少なくとも前記上軸受の外周面を少許離間して覆う、筒状の油飛散防止カバーを設けてなることを特徴とするロータリ圧縮機。
  2. 前記油飛散防止カバーは、前記電動機の回転子底面に設けられた、エンドリング及びバランサの外周部を覆うようにしてなることを特徴とする請求項1記載のロータリ圧縮機。
  3. 前記油飛散防止カバーの下部に、油戻し用の孔もしくは切欠きを少なくとも1個以上設けてなることを特徴とする請求項1または2記載のロータリ圧縮機。
  4. 前記上マフラの上面に、前記油飛散防止カバーの下端と前記上マフラの外周端とを連通する溝を、少なくとも1個以上設けてなることを特徴とする請求項1記載のロータリ圧縮機。
  5. 前記油飛散防止カバーの下端と前記油溜との間に、油戻しパイプ接続してなることを特徴とする請求項1記載のロータリ圧縮機。
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