JP2004169568A - 噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】噴孔閉塞時の液密性、弁部材の摺動性および噴霧の均質性に優れた噴射装置を提供する。
【解決手段】ニードル30の当接部32が着座可能な弁座24は弁ボディ20の内周面22に形成されている。当接部32が弁座24に着座すると、噴孔26からの燃料噴射が遮断される。スワール孔106は、ニードル30の往復移動方向に沿った軸線と直交する方向に、弁ボディ20の周壁を貫通して直線状に延びて形成されている。弁ボディ20の内周壁に形成されている支持部28はスワール孔106よりも上流側に位置し、ニードル30の摺動部34を往復移動可能に支持している。弁座24、ニードル30を往復移動可能に支持する支持部28、ならびにスワール流れを形成するスワール孔106は一部材である弁ボディ20で構成されている。
【選択図】 図1
【解決手段】ニードル30の当接部32が着座可能な弁座24は弁ボディ20の内周面22に形成されている。当接部32が弁座24に着座すると、噴孔26からの燃料噴射が遮断される。スワール孔106は、ニードル30の往復移動方向に沿った軸線と直交する方向に、弁ボディ20の周壁を貫通して直線状に延びて形成されている。弁ボディ20の内周壁に形成されている支持部28はスワール孔106よりも上流側に位置し、ニードル30の摺動部34を往復移動可能に支持している。弁座24、ニードル30を往復移動可能に支持する支持部28、ならびにスワール流れを形成するスワール孔106は一部材である弁ボディ20で構成されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体にスワール流れを形成して噴射する噴射装置(以下、「噴射装置」をインジェクタという。)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば内燃機関の燃料噴射用のインジェクタにおいて、燃料噴霧を微粒化し燃焼性を向上することにより、排ガス中の有害成分を低減することが望まれている。燃料噴霧の微粒化を実現する一例として、スワール式のインジェクタが用いられる(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
【非特許文献1】
日本電装公開技報37−038
【0004】
また、図3に従来のスワール式インジェクタ200の一例を示す。弁ボディ202に形成されている弁座203にニードル210が着座することにより噴孔226からの燃料噴射が遮断される。弁ボディ202の底部内側に筒状のスワーラ204が収容されている。スワーラ204の周壁を貫通してスワール孔220が形成されている。スワーラ204の外周壁にスワール孔220と連通している環状通路222が形成されている。連通路223は環状通路222と連通している。連通路223を通り環状通路222からスワール孔220に燃料は流入する。支持部材206はスワーラ204の内壁に収容されており、ニードル210を往復移動可能に支持している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、非特許文献1に示されるインジェクタでは、ニードルを案内するガイド部材と弁座とは別部材である。したがって、ガイド部材と弁座とを組み付けるときに組付誤差が生じ、ガイド部材と弁座とに軸ずれが生じることがある。この軸ずれにより、ニードルと弁座との液密性が低下する恐れがある。
【0006】
また図3に示すように、弁ボディ202、スワーラ204および支持部材206が別部材であると、各部材を組付けることにより組付誤差が生じ、各部材に軸ずれが生じることがある。この軸ずれにより、ニードル210と弁座203との液密性が低下し、且つニードル210と支持部材206との摺動性が悪化する恐れがある。さらに、弁座203からニードル210が離座したときに形成される開口部の面積が周方向にばらつき、スワール孔220から噴孔226に向かうスワール流れが不均質になる。その結果、噴霧の均質性が損なわれる恐れがある。本発明の目的は、噴孔閉塞時の液密性、弁部材の摺動性および噴霧の均質性に優れたインジェクタを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載のインジェクタによると、弁部材が着座可能な弁座、スワール孔、ならびに弁部材を往復移動可能に支持する支持部が一部材の弁ボディにより構成されている。弁ボディの弁座と支持部とを高精度に軸合わせできるので、弁部材と弁座、ならびに弁部材と支持部の軸ずれを防止できる。したがって、弁部材と弁座との液密性が向上し、且つ支持部が弁部材を滑らかに往復移動可能に支持できる。さらに、弁座から弁部材が離座したときに形成される開口部の面積が周方向に均等になり、スワール孔から噴孔に向かうスワール流れが均質になる。その結果、均質な噴霧を形成できる。
【0008】
本発明の請求項2記載のインジェクタによると、スワール孔は直線状に延びているので、スワール孔の加工が容易である。
本発明の請求項3記載のインジェクタによると、スワール孔は弁部材の往復移動方向に沿った軸線に直交しているので、スワール孔から流出するスワール流れのエネルギーは軸方向ではなく回転方向に向かう。したがって、噴孔から噴射される噴霧の微粒化が促進される。
【0009】
本発明の請求項4記載のインジェクタによると、弁座と支持部との間にスワール孔が形成されているので、弁座に極力近づけてスワール孔を形成できる。スワール孔から噴孔に向かうスワール流れの流路容積を極力小さくし、スワール流れのエネルギー低減を防止できる。したがって、噴霧の微粒化が促進される。
【0010】
本発明の請求項5記載のインジェクタによると、スワール孔に流体を供給する各連通路側に、スワール孔は等しい数ずつ開口している。各スワール孔から流出する流体流量が均等になり、均質なスワール流れを形成できる。したがって、均質な噴霧を形成できる。
【0011】
本発明の請求項6記載のインジェクタによると、噴孔入口は弁座の下流側近傍に設置されており、弁座から噴孔入口に向かう弁ボディの内周面はテーパ面である。弁座から噴孔に向けうスワール流れの流路容積を極力小さくし、スワール流れのエネルギー低減を防止できる。したがって、噴霧の微粒化が促進される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を示す実施例を図に基づいて説明する。
本発明のインジェクタを内燃機関の直噴式のインジェクタに適用した一実施例を図1および図2に示す。
図1に示すように、インジェクタ10の弁ボディ20は有底円筒状に形成されており、弁ハウジング12の端部内壁に溶接により固定されている。弁ボディ20は燃料流れ方向の噴孔26側に向けて縮径する内周面22を有している。弁部材としてのニードル30の当接部32が着座可能な弁座24は内周面22に形成されている。当接部32が弁座24に着座すると、噴孔26からの燃料噴射が遮断される。ニードル30の往復移動方向に沿った軸線に対して形成する内周面22の角度は、弁座24から噴孔26に向かう途中で小さくなっている。つまり、弁座24から噴孔26に向かう内周面22は2段の凸状テーパ面である。
【0013】
連通路102は、弁ボディ20の外周壁を面取りすることにより周方向に等角度間隔に軸方向に延びて3個形成されている。連通路102は、弁ボディ20の上流側に形成されている燃料通路100と連通している。連通路102よりも噴孔26の弁ボディ20の外周壁に、各連通路102と連通している環状通路104が形成されている。
【0014】
スワール孔106は、環状通路104が形成されている軸方向位置からニードル30の軸線と直交する方向に、弁ボディ20の周壁を貫通して直線状に延びて6個形成されている。6個のスワール孔106のうち周方向に隣接している2個のスワール孔106の入口は、各連通路102側に開口している。スワール孔106の出口は、当接部32と摺動部34との間にニードル30の外周に形成されている燃料室108に開口している。
弁ボディ20の内周壁に形成されている支持部28はスワール孔106よりも上流側に位置し、ニードル30の摺動部34を往復移動可能に支持している。
【0015】
図2に示すように、筒部材40は弁ハウジング12の反噴孔側内周壁に挿入され、溶接により弁ハウジング12に固定されている。筒部材40は、噴孔26側から第1磁性筒部42、非磁性筒部44および第2磁性筒部46により構成されている。非磁性筒部44は第1磁性筒部42と第2磁性筒部46との磁気的短絡を防止する。
【0016】
可動コア50は磁性材料で円筒状に形成されており、ニードル30の反噴孔側の端部36と溶接により固定されている。可動コア50はニードル30とともに往復移動する。可動コア50の筒壁を貫通する流出孔52は、可動コア50の筒内外を連通する燃料通路を形成している。
固定コア54は磁性材料で円筒状に形成されている。固定コア54は筒部材40内に挿入されており、筒部材40と溶接により固定されている。固定コア54は可動コア50に対し反噴孔側に設置され可動コア50と向き合っている。
【0017】
アジャスティングパイプ56は固定コア54に圧入され、内部に燃料通路を形成している。スプリング58は一端部でアジャスティングパイプ56に係止され、他端部で可動コア50に係止されている。アジャスティングパイプ56の圧入量を調整することにより、可動コア50に加わるスプリング58の荷重を変更できる。スプリング58の付勢力により可動コア50およびニードル30は弁座24に向けて付勢されている。
【0018】
コイル60はスプール62に巻回されている。ターミナル65はコネクタ64にインサート成形されており、コイル60と電気的に接続している。コイル60に通電すると、可動コア50と固定コア54との間に磁気吸引力が働き、スプリング58の付勢力に抗し可動コア50は固定コア54側に吸引される。
【0019】
フィルタ70は固定コア54の燃料上流側に設置されており、インジェクタ10に供給される燃料中の異物を除去する。固定コア54内にフィルタ70を通して流入した燃料は、アジャスティングパイプ56内の燃料通路、可動コア50内の燃料通路、流出孔52、燃料通路100を順次通過する。ニードル30が弁座24から離座すると、燃料通路100、連通路102、環状通路104からスワール孔106を通過し燃料室108に流出した燃料はスワール流れを形成し、当接部32と弁座24との間に形成される開口を通り噴孔26から噴射される。
【0020】
本実施例では、ニードル30が着座する弁座24、弁座24の上流側近傍でニードル30を往復移動可能に支持する支持部28、ならびにスワール流れを形成するスワール孔106が一部材である弁ボディ20で構成されている。一部材である弁ボディ20において、弁座24と支持部28との軸心合わせは高精度に容易に行える。ニードル30においても当接部32と摺動部34との軸心合わせは高精度に容易に行える。したがって、弁座24と当接部32の軸ずれ、ならびに支持部28と摺動部34との軸ずれを防止する。これにより、当接部32が弁座24に着座したときの液密性が高く、且つ摺動部34が支持部28と滑らかに摺動する。
【0021】
さらに、弁座24と当接部32との同軸度が高いので、ニードル30が弁座24から離座したときに弁座24とニードル30との間に形成される開口面積は周方向に等しい。したがって、噴孔に26に向かうスワール流れの流量は周方向に均一である。さらに、スワール孔106に燃料を供給する3個の連通路102のそれぞれに向け6個のスワール孔106のうち2個ずつが開口しているので、各スワール孔106に流入する燃料流量は等しい。したがって、噴孔26から噴射される噴霧は均質である。
【0022】
また本実施例では、スワール孔106は弁座24と支持部28との間に形成され、弁座24の上流側近傍に位置している。さらに、弁座24から噴孔26に向かう内周面22は2段の凸状のテーパ面である。スワール孔106の出口から噴孔26までスワール流れが流れる流路容積が小さくなるので、スワール孔106の出口から噴孔26に向かうスワール流れのエネルギーの低減を抑制できる。
【0023】
また、スワール孔106は弁ボディ20の周壁を直線状に貫通しているので、スワール孔106を流れる燃料が受ける流路抵抗は小さくスワール流れのエネルギーの低減を抑制できる。さらに、スワール孔106はニードル30の軸線に対し直交しているので、スワール流れのエネルギーはニードル30の軸方向に向かわず回転方向に向かう。噴孔26に向かうスワール流れの回転方向のエネルギーが増加するので、噴孔26から噴射される噴霧の微粒化が促進される。
【0024】
本実施例では、連通路102を3個、スワール孔106を6個にした。これ以外にも、スワール孔106の数が連通路102の倍数であり、各連通路102に向け等しい数のスワール孔106の入口が開口しているのであれば、連通路102およびスワール孔106の数は本実施例の数に限らない。
本実施例では内燃機関の燃料噴射用のインジェクタに本発明のスワール式インジェクタを適用した。燃料以外にも、スワール流れを噴射するインジェクタであれば本発明を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本実施例によるインジェクタの噴孔周辺を示す断面図であり、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図2】本実施例によるインジェクタを示す断面図である。
【図3】従来のインジェクタの噴孔周辺を示す断面図である。
【符号の説明】
10 インジェクタ(噴射装置)
20 弁ボディ
22 内周面
24 弁座
26 噴孔
28 支持部
30 ニードル(弁部材)
102 連通路
106 スワール孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体にスワール流れを形成して噴射する噴射装置(以下、「噴射装置」をインジェクタという。)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば内燃機関の燃料噴射用のインジェクタにおいて、燃料噴霧を微粒化し燃焼性を向上することにより、排ガス中の有害成分を低減することが望まれている。燃料噴霧の微粒化を実現する一例として、スワール式のインジェクタが用いられる(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
【非特許文献1】
日本電装公開技報37−038
【0004】
また、図3に従来のスワール式インジェクタ200の一例を示す。弁ボディ202に形成されている弁座203にニードル210が着座することにより噴孔226からの燃料噴射が遮断される。弁ボディ202の底部内側に筒状のスワーラ204が収容されている。スワーラ204の周壁を貫通してスワール孔220が形成されている。スワーラ204の外周壁にスワール孔220と連通している環状通路222が形成されている。連通路223は環状通路222と連通している。連通路223を通り環状通路222からスワール孔220に燃料は流入する。支持部材206はスワーラ204の内壁に収容されており、ニードル210を往復移動可能に支持している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、非特許文献1に示されるインジェクタでは、ニードルを案内するガイド部材と弁座とは別部材である。したがって、ガイド部材と弁座とを組み付けるときに組付誤差が生じ、ガイド部材と弁座とに軸ずれが生じることがある。この軸ずれにより、ニードルと弁座との液密性が低下する恐れがある。
【0006】
また図3に示すように、弁ボディ202、スワーラ204および支持部材206が別部材であると、各部材を組付けることにより組付誤差が生じ、各部材に軸ずれが生じることがある。この軸ずれにより、ニードル210と弁座203との液密性が低下し、且つニードル210と支持部材206との摺動性が悪化する恐れがある。さらに、弁座203からニードル210が離座したときに形成される開口部の面積が周方向にばらつき、スワール孔220から噴孔226に向かうスワール流れが不均質になる。その結果、噴霧の均質性が損なわれる恐れがある。本発明の目的は、噴孔閉塞時の液密性、弁部材の摺動性および噴霧の均質性に優れたインジェクタを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載のインジェクタによると、弁部材が着座可能な弁座、スワール孔、ならびに弁部材を往復移動可能に支持する支持部が一部材の弁ボディにより構成されている。弁ボディの弁座と支持部とを高精度に軸合わせできるので、弁部材と弁座、ならびに弁部材と支持部の軸ずれを防止できる。したがって、弁部材と弁座との液密性が向上し、且つ支持部が弁部材を滑らかに往復移動可能に支持できる。さらに、弁座から弁部材が離座したときに形成される開口部の面積が周方向に均等になり、スワール孔から噴孔に向かうスワール流れが均質になる。その結果、均質な噴霧を形成できる。
【0008】
本発明の請求項2記載のインジェクタによると、スワール孔は直線状に延びているので、スワール孔の加工が容易である。
本発明の請求項3記載のインジェクタによると、スワール孔は弁部材の往復移動方向に沿った軸線に直交しているので、スワール孔から流出するスワール流れのエネルギーは軸方向ではなく回転方向に向かう。したがって、噴孔から噴射される噴霧の微粒化が促進される。
【0009】
本発明の請求項4記載のインジェクタによると、弁座と支持部との間にスワール孔が形成されているので、弁座に極力近づけてスワール孔を形成できる。スワール孔から噴孔に向かうスワール流れの流路容積を極力小さくし、スワール流れのエネルギー低減を防止できる。したがって、噴霧の微粒化が促進される。
【0010】
本発明の請求項5記載のインジェクタによると、スワール孔に流体を供給する各連通路側に、スワール孔は等しい数ずつ開口している。各スワール孔から流出する流体流量が均等になり、均質なスワール流れを形成できる。したがって、均質な噴霧を形成できる。
【0011】
本発明の請求項6記載のインジェクタによると、噴孔入口は弁座の下流側近傍に設置されており、弁座から噴孔入口に向かう弁ボディの内周面はテーパ面である。弁座から噴孔に向けうスワール流れの流路容積を極力小さくし、スワール流れのエネルギー低減を防止できる。したがって、噴霧の微粒化が促進される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を示す実施例を図に基づいて説明する。
本発明のインジェクタを内燃機関の直噴式のインジェクタに適用した一実施例を図1および図2に示す。
図1に示すように、インジェクタ10の弁ボディ20は有底円筒状に形成されており、弁ハウジング12の端部内壁に溶接により固定されている。弁ボディ20は燃料流れ方向の噴孔26側に向けて縮径する内周面22を有している。弁部材としてのニードル30の当接部32が着座可能な弁座24は内周面22に形成されている。当接部32が弁座24に着座すると、噴孔26からの燃料噴射が遮断される。ニードル30の往復移動方向に沿った軸線に対して形成する内周面22の角度は、弁座24から噴孔26に向かう途中で小さくなっている。つまり、弁座24から噴孔26に向かう内周面22は2段の凸状テーパ面である。
【0013】
連通路102は、弁ボディ20の外周壁を面取りすることにより周方向に等角度間隔に軸方向に延びて3個形成されている。連通路102は、弁ボディ20の上流側に形成されている燃料通路100と連通している。連通路102よりも噴孔26の弁ボディ20の外周壁に、各連通路102と連通している環状通路104が形成されている。
【0014】
スワール孔106は、環状通路104が形成されている軸方向位置からニードル30の軸線と直交する方向に、弁ボディ20の周壁を貫通して直線状に延びて6個形成されている。6個のスワール孔106のうち周方向に隣接している2個のスワール孔106の入口は、各連通路102側に開口している。スワール孔106の出口は、当接部32と摺動部34との間にニードル30の外周に形成されている燃料室108に開口している。
弁ボディ20の内周壁に形成されている支持部28はスワール孔106よりも上流側に位置し、ニードル30の摺動部34を往復移動可能に支持している。
【0015】
図2に示すように、筒部材40は弁ハウジング12の反噴孔側内周壁に挿入され、溶接により弁ハウジング12に固定されている。筒部材40は、噴孔26側から第1磁性筒部42、非磁性筒部44および第2磁性筒部46により構成されている。非磁性筒部44は第1磁性筒部42と第2磁性筒部46との磁気的短絡を防止する。
【0016】
可動コア50は磁性材料で円筒状に形成されており、ニードル30の反噴孔側の端部36と溶接により固定されている。可動コア50はニードル30とともに往復移動する。可動コア50の筒壁を貫通する流出孔52は、可動コア50の筒内外を連通する燃料通路を形成している。
固定コア54は磁性材料で円筒状に形成されている。固定コア54は筒部材40内に挿入されており、筒部材40と溶接により固定されている。固定コア54は可動コア50に対し反噴孔側に設置され可動コア50と向き合っている。
【0017】
アジャスティングパイプ56は固定コア54に圧入され、内部に燃料通路を形成している。スプリング58は一端部でアジャスティングパイプ56に係止され、他端部で可動コア50に係止されている。アジャスティングパイプ56の圧入量を調整することにより、可動コア50に加わるスプリング58の荷重を変更できる。スプリング58の付勢力により可動コア50およびニードル30は弁座24に向けて付勢されている。
【0018】
コイル60はスプール62に巻回されている。ターミナル65はコネクタ64にインサート成形されており、コイル60と電気的に接続している。コイル60に通電すると、可動コア50と固定コア54との間に磁気吸引力が働き、スプリング58の付勢力に抗し可動コア50は固定コア54側に吸引される。
【0019】
フィルタ70は固定コア54の燃料上流側に設置されており、インジェクタ10に供給される燃料中の異物を除去する。固定コア54内にフィルタ70を通して流入した燃料は、アジャスティングパイプ56内の燃料通路、可動コア50内の燃料通路、流出孔52、燃料通路100を順次通過する。ニードル30が弁座24から離座すると、燃料通路100、連通路102、環状通路104からスワール孔106を通過し燃料室108に流出した燃料はスワール流れを形成し、当接部32と弁座24との間に形成される開口を通り噴孔26から噴射される。
【0020】
本実施例では、ニードル30が着座する弁座24、弁座24の上流側近傍でニードル30を往復移動可能に支持する支持部28、ならびにスワール流れを形成するスワール孔106が一部材である弁ボディ20で構成されている。一部材である弁ボディ20において、弁座24と支持部28との軸心合わせは高精度に容易に行える。ニードル30においても当接部32と摺動部34との軸心合わせは高精度に容易に行える。したがって、弁座24と当接部32の軸ずれ、ならびに支持部28と摺動部34との軸ずれを防止する。これにより、当接部32が弁座24に着座したときの液密性が高く、且つ摺動部34が支持部28と滑らかに摺動する。
【0021】
さらに、弁座24と当接部32との同軸度が高いので、ニードル30が弁座24から離座したときに弁座24とニードル30との間に形成される開口面積は周方向に等しい。したがって、噴孔に26に向かうスワール流れの流量は周方向に均一である。さらに、スワール孔106に燃料を供給する3個の連通路102のそれぞれに向け6個のスワール孔106のうち2個ずつが開口しているので、各スワール孔106に流入する燃料流量は等しい。したがって、噴孔26から噴射される噴霧は均質である。
【0022】
また本実施例では、スワール孔106は弁座24と支持部28との間に形成され、弁座24の上流側近傍に位置している。さらに、弁座24から噴孔26に向かう内周面22は2段の凸状のテーパ面である。スワール孔106の出口から噴孔26までスワール流れが流れる流路容積が小さくなるので、スワール孔106の出口から噴孔26に向かうスワール流れのエネルギーの低減を抑制できる。
【0023】
また、スワール孔106は弁ボディ20の周壁を直線状に貫通しているので、スワール孔106を流れる燃料が受ける流路抵抗は小さくスワール流れのエネルギーの低減を抑制できる。さらに、スワール孔106はニードル30の軸線に対し直交しているので、スワール流れのエネルギーはニードル30の軸方向に向かわず回転方向に向かう。噴孔26に向かうスワール流れの回転方向のエネルギーが増加するので、噴孔26から噴射される噴霧の微粒化が促進される。
【0024】
本実施例では、連通路102を3個、スワール孔106を6個にした。これ以外にも、スワール孔106の数が連通路102の倍数であり、各連通路102に向け等しい数のスワール孔106の入口が開口しているのであれば、連通路102およびスワール孔106の数は本実施例の数に限らない。
本実施例では内燃機関の燃料噴射用のインジェクタに本発明のスワール式インジェクタを適用した。燃料以外にも、スワール流れを噴射するインジェクタであれば本発明を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本実施例によるインジェクタの噴孔周辺を示す断面図であり、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図2】本実施例によるインジェクタを示す断面図である。
【図3】従来のインジェクタの噴孔周辺を示す断面図である。
【符号の説明】
10 インジェクタ(噴射装置)
20 弁ボディ
22 内周面
24 弁座
26 噴孔
28 支持部
30 ニードル(弁部材)
102 連通路
106 スワール孔
Claims (6)
- 往復移動することにより噴孔を開閉する弁部材と、
筒状に1部材で形成されている弁ボディであって、前記弁部材が着座することにより前記噴孔を閉塞し、前記弁部材が離座することにより前記噴孔を開放する弁座、前記弁ボディの周壁を貫通しており前記弁ボディの外側から内側に流れる流体がスワール流れを形成するスワール孔、ならびに前記弁座の上流側で前記弁部材を往復移動可能に支持している支持部を有している弁ボディと、
を備えることを特徴とする噴射装置。 - 前記スワール孔は直線状に延びていることを特徴とする請求項1記載の噴射装置。
- 前記スワール孔は前記弁部材の往復移動方向に沿った軸線に直交していることを特徴とする請求項2記載の噴射装置。
- 前記スワール孔は前記弁座と前記支持部との間に形成されていることを特徴とする請求項1、2または3記載の噴射装置。
- 前記スワール孔に流体を供給する複数の連通路は前記弁ボディの外側に周方向に配置されており、前記スワール孔は等しい数ずつ各連通路側に開口していることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の噴射装置。
- 前記噴孔の入口は前記弁座の下流側近傍に設置されており、前記弁座から前記噴孔の入口に向かう前記弁ボディの内周面はテーパ面であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の噴射装置。
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CN105386895A (zh) * | 2014-09-03 | 2016-03-09 | 罗伯特·博世有限公司 | 具有万向支承件的用于气态燃料的气体喷射器 |
-
2002
- 2002-11-18 JP JP2002333421A patent/JP2004169568A/ja active Pending
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DE102008043418A1 (de) | 2007-11-20 | 2009-05-28 | Denso Corp., Kariya-shi | Kraftstoffeinspritzventil |
CN105386895A (zh) * | 2014-09-03 | 2016-03-09 | 罗伯特·博世有限公司 | 具有万向支承件的用于气态燃料的气体喷射器 |
CN105386895B (zh) * | 2014-09-03 | 2019-11-19 | 罗伯特·博世有限公司 | 具有万向支承件的用于气态燃料的气体喷射器 |
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