JP2023078519A - 燃料噴射弁 - Google Patents

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保夫 生井沢
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Abstract

【課題】本発明の目的は、複数の偏向噴霧を組み合わせて全体噴霧を噴射する燃料噴射弁において、全体噴霧の形状を変化させたり、全体噴霧の断面内における燃料分布率を変化させたりすることができるようにすることにある。【解決手段】本発明の燃料噴射弁では、複数の旋回用通路は、噴霧断面に長軸Ax1と短軸Ax2とを有する偏向噴霧を噴射する少なくとも3つの旋回用通路を備え、複数の旋回用通路の横方向通路が単純な直線状の通路として構成される場合と比べて、3つの旋回用通路から噴射される第1偏向噴霧SPS1、第2偏向噴霧SPS2及び第3偏向噴霧SPS4は、第1偏向噴霧SPS1、第2偏向噴霧SPS2及び第3偏向噴霧SPS4を含んで構成される全体噴霧断面SPHの中心部a0における重なりを低減して、中心部a0における燃料の分布密度が低減するように配置される。【選択図】図6

Description

本発明は、燃料噴射孔の上流で旋回燃料を生成し、旋回燃料を燃料噴射孔から噴射する燃料噴射弁に関する。
本技術分野の背景技術として、特開2018-165512号公報(特許文献1)に記載された燃料噴射弁が知られている。この燃料噴射弁は、旋回室と横方向通路とを有する燃料噴射弁において、微粒化性能の変化を抑制しつつ、燃料噴射孔から噴射される燃料の流量を調節可能にするために、燃料噴射孔と、燃料噴射孔の入口が開口する旋回室と、一方の側壁が旋回室の内周壁の上流端に接続され、他方の側壁が内周壁の下流端に接続された横方向通路とを有する燃料噴射弁において、一方の側壁に沿って延長した第一の延長線と、他方の側壁に沿って延長した第二の延長線とを仮想した場合に、燃料噴射弁の中心軸線に垂直な投影面上において、燃料噴射孔の入口開口の投影図が第二の延長線の投影図を越えて一方の側壁の投影図側又は第一の延長線の投影図側に位置する(要約参照)。
また特許文献1には、旋回室を十分に旋回することなく燃料噴射孔に流入する燃料と、旋回室を十分に旋回して燃料噴射孔に流入する燃料とがあり、旋回室を十分に旋回することなく燃料噴射孔に流入する燃料は燃料流速(軸方向速度)が大きく、かつ貫徹力の強い燃料噴霧を形成し、噴霧角度が小さく、かつペネトレーションが長くなること、一方、旋回室を十分に旋回して燃料噴射孔に流入する燃料は燃料の軸方向速度が小さく、かつ貫徹力の弱い燃料噴霧を形成し、噴霧角度が大きく、かつペネトレーションが短くなることが記載されている(段落0071参照)。
特開2018-165512号公報
発明者等は、特許文献1のような旋回室及び燃料噴射孔を備えた燃料噴射弁を用いて、図11Cに示すような断面形状が扁平な形状(以下、扁平形状噴霧という)をした燃料噴霧を噴射できることを発見した。以下、図11A乃至図11Dを用いて、この扁平形状噴霧について説明する。図11Aは、本発明との比較例となる旋回室212-1~212-4及び燃料噴射孔220-1~220-4を備えたノズルプレート21nを示す平面図である。図11Bは、本発明との比較例に係る燃料噴霧の断面形状を示す図である。図11Cは、旋回用通路210-1~210-4から噴射される燃料噴霧SPS-1~SPS4の配置を示す概念図である。図11Dは、旋回用通路210-1~210-4から噴射される燃料噴霧(全体噴霧)について、燃料の分布率を示す図である。なお以下の説明では、燃料噴霧の断面形状について説明する場合、特に説明する場合を除いて、燃料噴霧の噴射方向、又は燃料噴射弁の中心軸線に垂直な断面について説明するものとする。
図11Aに示す4組の旋回室212-1~212-4及び燃料噴射孔220-1~220-4は、特許文献1の燃料噴射弁と同様に構成され、旋回室212-1~212-4を十分に旋回することなく燃料噴射孔220-1~220-4に流入する燃料と、旋回室212-1~212-4を十分に旋回して燃料噴射孔220-1~220-4に流入する燃料とを噴射する。その結果、4つの燃料噴霧SPS1~SPS4は図11Cに示すように配置され、燃料噴霧(全体噴霧)SPHはその断面形状が円形に形成される。
個々の燃料噴射孔220-1~220-4から噴射される個々の燃料噴霧SPS1~SPS4の断面形状は、図11Bに示すように、長軸Ax1と短軸Ax2とを有する扁平形状である。本例では、燃料噴霧SPS1~SPS4の個々の断面形状は、概ね、長軸Ax1と短軸Ax2とを有する楕円形状としている。楕円形状を含めて、断面形状が円形からずれて偏向している燃料噴霧を偏向噴霧と呼ぶことにする。偏向噴霧では、その偏向方向は、横方向通路211-1~211-4と、この横方向通路211-1~211-4に接続される旋回室212-1~212-4との位置関係によって決定されるが、複数の燃料噴霧によって構成される全体噴霧の断面形状を変形させたり、全体噴霧の断面内の燃料分布率を変化させたりしたい場合がある。この場合、複数の燃料噴霧SPS1~SPS4において、個々の燃料噴霧の偏向方向を変化させる必要がある。なお偏向方向は、楕円噴霧においては長軸Ax1及び短軸Ax2の配置(向き)に相当し、偏向方向を変化させることは楕円噴霧の長軸Ax1及び短軸Ax2の配置(向き)を変化させることに相当する。
本発明の目的は、複数の偏向噴霧を組み合わせて全体噴霧を噴射する燃料噴射弁において、全体噴霧の形状を変化させたり、全体噴霧の断面内における燃料分布率を変化させたりすることができるようにすることにある。
上記目的を達成するために、本発明の燃料噴射弁は、
協働して燃料通路の開閉を行う弁座及び弁体と、前記弁座及び前記弁体の下流側に燃料に旋回力を付与して噴射する複数の旋回用通路と、を備え、前記旋回用通路が燃料噴射孔と、前記燃料噴射孔の上流側に設けられ燃料を旋回させる旋回室と、前記旋回室に接続される横方向通路と、を備えた燃料噴射弁であって、
前記旋回用通路は、断面形状が円形からずれている偏向噴霧を噴射し、
前記横方向通路は、上流端と下流端との間に、燃料の流れる方向が変わる曲がり通路部を有する。
また上記目的を達成するために、本発明の燃料噴射弁は、
協働して燃料通路の開閉を行う弁座及び弁体と、前記弁座及び前記弁体の下流側に燃料に旋回力を付与して噴射する複数の旋回用通路と、を備え、前記旋回用通路が燃料噴射孔と、前記燃料噴射孔の上流側に設けられ燃料を旋回させる旋回室と、前記旋回室に接続される横方向通路と、を備えた燃料噴射弁であって、
前記複数の旋回用通路は、噴霧断面に長軸と短軸とを有する偏向噴霧を噴射する少なくとも3つの旋回用通路を備え、
前記複数の旋回用通路の前記横方向通路が単純な直線状の通路として構成される場合と比べて、
前記3つの旋回用通路から噴射される第1偏向噴霧、第2偏向噴霧及び第3偏向噴霧は、当該第1偏向噴霧、当該第2偏向噴霧及び当該第3偏向噴霧を含んで構成される全体噴霧断面の中心部における重なりを低減して、前記中心部における燃料の分布密度が低減するように配置される。
本発明によれば、複数の偏向噴霧を組み合わせて全体噴霧を噴射する燃料噴射弁において、全体噴霧の形状を変化させたり、全体噴霧の断面内における燃料分布率を変化させたりすることができる。
本発明に係る燃料噴射弁1の弁軸心(中心軸線)1aに沿う断面を示す断面図である。 図1の燃料噴射弁1の弁部7及び燃料噴射部21の近傍(ノズル部)を拡大して示す断面図(図3A及び図3BのII-II矢視断面に相当する断面図)である。 図1のIII-III矢視方向から見たノズルプレート21nの平面図である。 ノズルプレート21nの変更例を示す、図1のIII-III矢視方向から見た平面図である。 旋回室212及び燃料噴射孔220を拡大して示す平面図(図3A及び図3Bに示すIV部の拡大平面図)である。 旋回用通路210が形成されたノズルプレート21nの上端面を上方から見たときの旋回用通路210の平面図である。 旋回用通路210-1~210-4から噴射される燃料噴霧の形態を示す概念図である。 燃料噴射弁1の中心軸線1aに平行に噴射される燃料噴霧SPS1,SPS4について、燃料噴射方向(本実施例では中心軸線1aの軸線方向)における燃料噴射弁1からの距離(噴射距離)Lに応じた燃料噴霧断面の形状変化を示す概念図である。 図7AのL=2.0の場合の燃料噴霧SPS1~SPS4の噴霧断面を図示した概念図である。 相互に離れる方向に噴射される燃料噴霧SPS1,SPS4について、燃料噴射方向(本実施例では中心軸線1aの軸線方向)における燃料噴射弁1からの距離(噴射距離)Lに応じた燃料噴霧断面の形状変化を示す概念図である。 旋回用通路210-1~210-4から噴射される燃料噴霧SPS1,SPS4について、燃料の分布率を示す図である。 図3A及び図3Bに示すノズルプレート21nの変更例を示す図であり、(a)はノズルプレート21nの平面図を示し、(b)は旋回用通路210-1~210-3から噴射される燃料噴霧の形態を示す概念図である。 燃料噴射弁1が搭載された内燃機関の断面図である。 本発明との比較例となる旋回室及び燃料噴射孔220-1~220-4を備えたノズルプレート21nを示す平面図である。 本発明との比較例に係る燃料噴霧の断面形状を示す図である。 旋回用通路210-1~210-4から噴射される燃料噴霧SPS-1~SPS4の配置を示す概念図である。 旋回用通路210-1~210-4から噴射される燃料噴霧(全体噴霧)について、燃料の分布率を示す図である。 図9の実施例との比較例となる旋回用通路210-1~210-3を備えたノズルプレート21nを示す平面図であり、(a)はノズルプレート21nの平面図を示し、(b)は本変更例において旋回用通路210-1~210-3から噴射される燃料噴霧の形態を示す概念図である。
本発明の実施例について、図1乃至図12を用いて説明する。
図1を用いて、燃料噴射弁1の全体構成について説明する。図1は、本発明に係る燃料噴射弁1の弁軸心(中心軸線)1aに沿う断面を示す断面図である。
本実施例において、燃料噴射弁1の中心軸線1aは、後述する弁体17が一体に設けられた可動子27の軸心(弁軸心)に一致し、後述する筒状体5の中心軸線に一致している。また、中心軸線1aは、後述する弁座15b及びノズルプレート21nの中心線とも一致している。以下の説明では、中心軸線、軸心(弁軸心)及び中心線を区別せず、中心軸線1aと呼んで説明する。
燃料噴射弁1には、上端部から下端部まで延設された金属材製の筒状体5が設けられている。この筒状体5の内側に燃料流路3がほぼ中心軸線1aに沿うように構成されている。図1において、上端部(上端側)を基端部(基端側)と呼び、下端部(下端側)を先端部(先端側)と呼ぶことにする。基端部(基端側)及び先端部(先端側)という呼び方は、燃料の流れ方向、或いは図示しない燃料配管への取付構造に基づいている。すなわち、燃料の流れ方向において、基端部が上流側となり、先端部が下流側となる。また、本明細書において説明される上下関係は図1に基づいて定義され、燃料噴射弁1の内燃機関への実装状態における上下方向とは関係がない。
筒状体5の基端部には燃料供給口2が設けられている。この燃料供給口2に、燃料フィルタ13が取り付けられている。燃料フィルタ13は燃料に混入した異物を取り除くための部材である。
筒状体5の基端部にはOリング11が配設されている。Oリング11は燃料噴射弁1が燃料配管に連結される際に、シール材として機能する。
筒状体5の先端部には、弁体17と弁座部材15とからなる弁部7が構成されている。弁座部材15には、弁体17を収容する段付きの弁体収容孔15aが形成されている。弁体収容孔15aの途中に円錐面が形成されており、この円錐面上に弁座(シール部)15bが構成される。弁体収容孔15aの弁座15bよりも上流側(基端側)の部分には、中心軸線1aに沿う方向に弁体17の移動を案内するガイド面15cが形成されている。弁座15bと弁体17とは協働して、燃料通路の開閉を行う。弁体17が弁座15bに当接することにより、燃料通路は閉じられる。また、弁体17が弁座15bから離間することにより、燃料通路は開かれる。
弁座部材15は、筒状体5の先端側内側に挿入され、レーザ溶接により筒状体5に固定されている。レーザ溶接19は、筒状体5の外周側から全周に亘って実施されている。弁体収容孔15aは、中心軸線1aに沿う方向に、弁座部材15を貫通している。弁座部材15の下端面(先端面)にはノズルプレート21nが取り付けられている。ノズルプレート21nは弁体収容孔15aによって形成された弁座部材15の開口を塞ぐように取り付けられる。
本実施例では、弁座部材15とノズルプレート21nとによって旋回燃料を噴射する燃料噴射部21が構成される。ノズルプレート21nは、弁座部材15に対してレーザ溶接により、固定されている。レーザ溶接部23は、燃料噴射孔220-1,220-2,220-3,220-4(図3A参照)が形成された噴射孔形成領域を取り囲むようにして、この噴射孔形成領域の周囲を一周している。弁座部材15は、筒状体5の先端側内側に圧入した上で、レーザ溶接により筒状体5に固定してもよい。
本実施例では、弁体17は、球状を成すボール弁を用いている。このため、弁体17におけるガイド面15cと対向する部位には、周方向に間隔を置いて複数の切欠き面17aが設けられている。切欠き面17aは板座部材15の内周面との間に隙間を形成する。この隙間によって燃料通路が構成される。なお、ボール弁以外で弁体17を構成することも可能である。例えば、ニードル弁を用いてもよい。
本実施例において、弁座部材15及び弁体17を含む弁部7とノズルプレート21nとは燃料を噴射するためのノズル部を構成する。弁部7が構成されるノズル部本体(弁座部材15)側の先端面に、後で詳述する燃料噴射孔220-1,220-2,220-3,220-4や旋回用通路210-1,210-2,210-3,210-4が形成されたノズルプレート21nが接合される構成である。旋回用通路210-1,210-2,210-3,210-4は、横方向通路211-1,211-2,211-3,211-4及び旋回室212-1,212-2,212-3,212-4で構成される。
筒状体5の中間部には弁体17を駆動するための駆動部9が配置されている。駆動部9は電磁アクチュエータで構成されている。具体的には、駆動部9は、固定鉄心25と、可動子(可動部材)27と、電磁コイル29と、ヨーク33とによって構成されている。
固定鉄心25は、磁性金属材料からなり、筒状体5の長手方向中間部の内側に圧入固定されている。固定鉄心25は筒状に形成され、中心部を中心軸線1aに沿う方向に貫通する貫通孔25aを有する。固定鉄心25は溶接により筒状体5に固定してもよいし、溶接と圧入を併用して筒状体5に固定してもよい。
可動子27は、筒状体5の内部において、固定鉄心25よりも先端側に配置されている。可動子27の基端側には、可動鉄心27aが設けられている。可動鉄心27aは、固定鉄心25と微小ギャップδを介して対向する。可動子27の先端側には小径部27bが形成されており、この小径部27bの先端に弁体17が溶接により固定されている。本実施例では、可動鉄心27aと接続部27bとを一体(同一材料からなる一部材)に形成しているが、二つの部材を接合して構成してもよい。可動子27は先端部に弁体17を備え、弁体17を開閉弁方向に変位させる。可動子27は、弁体17が弁座部材15のガイド面15cに接触し、可動鉄心27aの外周面が筒状体5の内周面に接触することにより、中心軸線1aに沿う方向(開閉弁方向)における移動を弁軸心方向の2点で案内される。
可動鉄心27aには、固定鉄心25と対向する端面に凹部27cが形成されている。凹部27cの底面にはスプリング(コイルばね)39のばね座27eが形成されている。ばね座27eの内周側には中心軸線1aに沿って小径部(接続部)27bの先端側端部まで貫通する貫通孔27fが形成されている。また、小径部27bには側面に開口部27dが形成されている。貫通孔27fが凹部27cの底面に開口し、開口部27dが小径部27bの外周面に開口することにより、固定鉄心25に形成された燃料通路3と弁部7とを連通する燃料流路3が構成される。
電磁コイル29は、固定鉄心25と可動鉄心27aとが微小ギャップδを介して対向する位置で、筒状体5の外周側に外挿されている。電磁コイル29は、樹脂材料で筒状に形成されたボビン31に巻回され、筒状体5の外周側に外挿されている。電磁コイル29はコネクタ41に設けられたコネクタピン43に配線部材45を介して電気的に接続されている。コネクタ41には図示しない駆動回路が接続され、コネクタピン43及び配線部材45を介して、電磁コイル29に駆動電流が通電される。
ヨーク33は、磁性を有する金属材料でできている。ヨーク33は、電磁コイル29の外周側で、電磁コイル29を覆うように配置され、燃料噴射弁1のハウジングを兼ねる。また、ヨーク33は、その下端部が可動鉄心27aの外周面と筒状体5を介して対向しており、可動鉄心27a及び固定鉄心25と共に、電磁コイル29に通電することにより生じた磁束が流れる閉磁路を構成する。
固定鉄心25の貫通孔25aと可動鉄心27aの凹部27cとに跨って、コイルばね39が圧縮状態で配設されている。コイルばね39は、可動子27を、弁体17が弁座15bに当接する方向(閉弁方向)に付勢する付勢部材として機能している。固定鉄心25の貫通孔25aの内側にはアジャスタ(調整子)35が配設されており、コイルばね39の基端側端部はアジャスタ35の先端側端面に当接している。中心軸線1aに沿う方向におけるアジャスタ35の貫通孔25a内での位置を調整することにより、コイルばね39による可動子27(すなわち弁体17)の付勢力が調整される。
アジャスタ35は、中心部を中心軸線1aに沿う方向に貫通する燃料流路3を有する。燃料は、アジャスタ35の燃料流路3を流れた後、固定鉄心25の貫通孔25aの先端側部分の燃料流路3に流れ、可動子27内に構成された燃料流路3に流れる。
筒状体5の先端部には、Oリング46が外挿されている。Oリング46は、燃料噴射弁1が内燃機関に取り付けられる際に、内燃機関側に形成された挿入口109a(図10参照)の内周面とヨーク33の外周面との間で液密及び気密を確保するシールとして機能する。
燃料噴射弁1の中間部から基端側端部の近傍まで、樹脂カバー47がモールドされて被覆している。樹脂カバー47の先端側端部はヨーク33の基端側の一部を被覆している。また、樹脂カバー47は配線部材45を被覆し、樹脂カバー47によりコネクタ41が一体的に形成されている。
次に、燃料噴射弁1の動作について説明する。
電磁コイル29に通電されていない(すなわち駆動電流が流れていない)場合、可動子27はコイルばね39により閉弁方向に付勢され、弁体17が弁座15bに当接(着座)した状態にある。この場合、固定鉄心25の先端側端面と可動鉄心27aの基端側端面との間には、ギャップδが存在する。なお、本実施例では、このギャップδは可動子27(すなわち弁体17)のストロークに等しい。
電磁コイル29に通電されて駆動電流が流れると、可動鉄心27aと固定鉄心25とヨーク33とによって構成される閉磁路に磁束が発生する。この磁束により、ギャップδを挟んで対向する固定鉄心25と可動鉄心27aとの間に磁気吸引力が発生する。この磁気吸引力が、コイルばね39による付勢力や、可動子27に対して閉弁方向に作用する燃料圧力などの合力に打ち勝つと、可動子が開弁方向に移動し始める。弁体17が弁座15bから離れると弁体17と弁座15bとの間に隙間(燃料流路)が形成され、燃料の噴射が始まる。本実施例では、可動子27が開弁方向にギャップδに等しい距離δだけ移動して、可動鉄心27aが固定鉄心25に当接すると、可動鉄心27aは開弁方向への移動を止められ、開弁して静止した状態に至る。
電磁コイル29の通電を打ち切ると、磁気吸引力が減少し、やがて消失する。磁気吸引力が減少する段階で、磁気吸引力がコイルばね39の付勢力よりも小さくなると、可動子27が閉弁方向へ移動を開始する。弁体17が弁座15bに当接すると、弁体17は弁部7を閉弁して静止した状態に至る。
次に、図2及び図3Aを用いて、弁部7及び燃料噴射部21の構造について、詳細に説明する。図2は、図1の燃料噴射弁1の弁部7及び燃料噴射部21の近傍(ノズル部)を拡大して示す断面図(図3A及び図3BのII-II矢視断面に相当する断面図)である。図3Aは、図1のIII-III矢視方向から見たノズルプレート21nの平面図である。
なお、図3Aの平面図は、ノズルプレート21nを燃料噴射孔の入口側から見た平面図であり、ノズルプレート21nの上端面21nu側の平面図である。ノズルプレート21nの上端面21nu上に、相互に直交するy0軸とx0軸とを有し、ノズルプレート21nの中心21noを原点とするy0-x0座標系を定義している。上端面21nuは弁座部材15の先端面15tと対向する面である。上端面21nuに対して反対側の端面を下端面21nbと呼ぶ。
本実施例では、図2に示すように、ノズルプレート21nは両端面が平面で構成された板状部材で構成され、上端面21nuと下端面21nbとは平行である。すなわち、ノズルプレート21nは板厚が均一な平板で構成されている。なお、本実施例では、図3Aに示すように、中心軸線1aがノズルプレート21nと中心21noで交差するように、燃料噴射弁1が構成されている。
弁座部材15の先端面(下端面)15tは、中心軸線1aに垂直な平らな面(平坦面)で構成されている。弁座部材15の先端面15tにはノズルプレート21nが接合されており、先端面15tはノズルプレート21nの上端面21nuと当接している。
ノズルプレート21nには、図3Aに示すように、横方向通路211-1,211-2,211-3,211-4、旋回室(スワール室)212-1,212-2,212-3,212-4及び燃料噴射孔220-1,220-2,220-3,220-4が形成されている。横方向通路211-1,211-2,211-3,211-4と旋回室212-1,212-2,212-3,212-4とは、燃料噴射孔220-1,220-2,220-3,220-4の上流側で燃料に旋回力を付与するための旋回用通路210-1,210-2,210-3,210-4を構成する。4組の旋回用通路210-1,210-2,210-3,210-4と燃料噴射孔220-1,220-2,220-3,220-4とは、それぞれが同様に構成されるため、これらを区別せず、旋回用通路210、横方向通路211、旋回室212及び燃料噴射孔220として、説明する場合がある。各組で構成を変える場合は、適宜説明する。
図2に示すように、弁座部材15には、下流側に向かって縮径する円錐状の弁座面15bが形成されている。弁座面15bの下流端は燃料導入孔300に接続されている。燃料導入孔300の下流端は弁座部材15の先端面15tに開口している。燃料導入孔300は旋回用通路210に燃料を導入する燃料通路を構成する。
旋回用通路210は、燃料導入孔300から燃料の供給を受けるために、横方向通路211の上流端部が燃料導入孔300の開口面に対向して設けられている。本実施例では、図3に示すように、4組の横方向通路211-1,211-2,211-3,211-4は上流端部が連通する構成であるが、各横方向通路211-1,211-2,211-3,211-4を独立した構成にしてもよい。
図2では、一枚の板状部材で構成したノズルプレート21nに、横方向通路211、旋回室212及び燃料噴射孔220の全てを形成している。ノズルプレート21nは、例えば厚さ方向に分割するなどして、複数のプレートで構成することができる。例えば、横方向通路211及び旋回室212を一枚のプレートに形成し、燃料噴射孔220を別のプレートに形成する。そしてこれら二枚のプレートを積層して、ノズルプレート21nを構成してもよい。
また、本実施例では、図2に示すように、燃料噴射孔220は中心軸線1aに平行に形成されているが、中心軸線1aに対して0°よりも大きな角度で傾斜させてもよい。傾斜させる方向を異ならせることにより、複数の方向に燃料を噴射させるようにしてもよい。
本実施例では、ノズルプレート21nに、全部で4組の旋回用通路210及び燃料噴射孔220からなる燃料通路が構成される。4組の燃料通路は、それぞれがノズルプレート21nの中心21no側から外周側に向かって形成されている。すなわち、横方向通路211は、ノズルプレート21nの中心21no側から外周側に向けて設けられ、途中に曲がり通路部が設けられている。また、それぞれの燃料通路は周方向に90°の角度間隔で形成されている。
旋回用通路210及び燃料噴射孔220は4組に限らず、2組或いは3組であってもよく、5組以上設けられてもよい。或いは、旋回用通路210及び燃料噴射孔220を1組だけにしてもよい。
図3Bは、ノズルプレート21nの変更例を示す、図1のIII-III矢視方向から見た平面図である。
図3Aでは、旋回室212の内周壁は周方向の全体が同じ半径で形成されている。これに対して図3Bでは、旋回室212の内周壁の半径が上流側から下流側に向かって小さくなる変更例を示している。旋回室212の内周壁は、図3Aの構成に限らず、図3Bのように構成されてもよい。
なお、図3A及び図3Bにおける旋回室212の内周壁の特徴は、図4で詳述する。
図4を参照して、旋回室212及び燃料噴射孔220の構成について、詳細に説明する。図4は、旋回室212及び燃料噴射孔220を拡大して示す平面図(図3A及び図3Bに示すIV部の拡大平面図)である。
最初に、図3Aに図示した構成について、説明する。図4において、互いに直交するy1軸とx1軸とを有し、燃料噴射孔220の入口開口220iの中心O2を原点とするy1-x1座標系を定義する。なお本実施例では、燃料噴射孔220の入口開口220iの中心O2は旋回室212の中心O1と一致しているため、y1-x1座標系の原点は旋回室212の中心O1に一致している。x1軸は側壁211i及びその延長線211ilに一致している。
横方向通路211は、旋回室212の中心O1に対してオフセットするように旋回室212に接続されている。横方向通路211の一方の側壁211oは旋回燃料の流れ方向において上流側に位置する内周壁部分(内周壁の始端部、上流側端部)212csに接続され、他方の側壁211iは下流側に位置する内周壁(内周壁の終端部、下流側端部)212ce部分に接続されている。このため、旋回室212の内周壁(側壁)212cには、横方向通路211の接続部に開口212coが形成されている。
旋回室212の内周壁212cは、横方向通路211から旋回室212に流入した燃料を旋回させるように、燃料噴射孔220の入口開口220iの周囲に円周を成すように形成されている。すなわち、旋回室212の内周壁212cと燃料噴射孔220の入口開口220iとの間に燃料の旋回流路(旋回通路)212dが形成されている。
横方向通路211の側壁(側面)211o,211i及び底面211bはノズルプレート21nによって構成されている。また、横方向通路211の上面(天井面)211u(図2参照)は、弁座部材15の下端面15tで構成されている。
横方向通路211の側壁211oは、旋回室212の内周壁212cに接する角度で旋回室212に接続される。側壁211oの下流端は、旋回室212の内周壁212cの始端部212csに接続されている。
また、横方向通路211の側壁211iは、旋回室212の内周壁212c又はその延長線と交差する角度で旋回室212に接続される。ここで、交差とは、側壁211i及びその延長線が内周壁212c又はその延長線を横切ることを意味している。側壁211iの下流端は、旋回室212の内周壁212cの終端部212ceに接続されている。なお、本実施例では、内周壁212cの延長線は、旋回室212の開口212coを表す二点鎖線に一致する。
旋回室212の内周壁212cの始端部212csは、燃料の旋回方向において上流側に位置する端部である。内周壁212cの終端部212ceは燃料の旋回方向において下流側に位置する端部である。終端部212ceには、傾斜部或いは丸味部などの面取り部が形成される場合がある。このような場合は、内周壁212cと側壁211iとをそれぞれ終端部212ceに延長した2つの仮想線(延長線)が交差する交点を、終端部(下流側端部)212ceとして定めればよい。
本実施例では、旋回室212の始端部212csから終端部212ceまでの間の内周壁212cは、O1を中心とする半径Rが一定となる円弧形状を成すように形成されている。すなわち、内周壁212cは正円又は真円を成す円周の一部によって構成される。一方、燃料噴射孔220の入口開口220iは、旋回室212の内周壁212cの半径Rよりも小さな半径rを有する円形を成している。これにより、燃料噴射孔220の入口開口縁220icと旋回室212の内周壁212cとの間に、旋回流路212dの底面212bが構成される。なお、燃料噴射孔220の中心軸線220a(図2参照)が底面212bに対して傾斜している場合は、燃料噴射孔220の横断面が円形であっても、入口開口220iは円形とならず、楕円形を呈する。本実施例では、傾斜の有無にかかわらず、燃料噴射孔220の中心軸線220a(図2参照)は入口開口220iの中心O2を通るものとする。
図4は平面図であり、燃料噴射弁1の中心軸線1aに垂直な仮想平面(投影面)に、燃料噴射孔220、旋回室212、横方向通路211を投影した図である。図4には、さらに、横方向通路211の側壁211oの延長線(第一延長線)211olと、側壁211iの延長線(第二延長線)211ilとが仮想平面(投影面)に投影されて示されている。第一延長線211olは、側壁211oに沿って延長した仮想線である。第二延長線211ilは、側壁211iに沿って延長した仮想線である。
第二延長線211ilは、旋回室212の底面(旋回流路212dの底面212b)を2つの領域A1,A2に区画する。領域A1は、第二延長線211ilに対して、側壁211o又はその延長線211ol側に位置する領域である。内周壁212cの始端部212csは、領域A1にある。領域A2は、第二延長線211ilに対して、側壁211o又はその延長線211ol側とは反対側に位置する領域である。領域A2は、内周壁212cの終端部212ce側の旋回流路部分によって構成される。なお、領域A1,A2は、第二延長線211ilの線上を含まないものとする。
燃料噴射孔220は、入口開口縁220icの一部が第二延長線211ilを越えて、領域A1側にはみ出るように、配置されている。すなわち、燃料噴射孔220の入口開口220iの一部は、領域A1側に開口し、横方向通路211の延長上に位置している。第二延長線211ilと側壁211o又はその延長線211olとの間に位置する旋回室212の底面212bの領域を横方向通路211の底面211bとみなした場合、燃料噴射孔220の入口開口220iの一部は、横方向通路211の底面211b上に位置していることになる。この構成により、燃料噴射孔220から噴射される燃料噴霧の断面形状は円形から扁平に変形した形状になる。本実施例においては、燃料噴霧の断面形状は、長軸と短軸とを有する楕円形状である。
なお、以下の説明において、燃料噴霧の断面及び断面形状は噴射方向に垂直な断面及び断面形状を言うものとし、特に明確に表現する場合は垂直断面及び垂直断面形状という場合もある。本実施例では、複数の燃料噴射孔220から噴射される燃料噴霧(全体噴霧)は、燃料噴射弁1の中心軸線1aに沿う方向に噴射されるものとして説明する。
本実施例では、燃料噴射孔220の入口開口220iの中心O2は、第二延長線211il上に位置している。このため、燃料噴射孔220の入口開口220iは、燃料噴射孔220の半径r分だけ、第二延長線211ilを越えて、領域A1側にはみ出している。このため、燃料噴射孔220の入口開口縁220icは、第二延長線211ilと2点220ia,220ibで交わる。すなわち、燃料噴射孔220の入口開口220iは、第二延長線211ilと入口開口縁220icとが2点220ia,220ibで交差するように、配置されている。なお、入口開口220iの領域A1側へのはみ出し量は、燃料噴射孔220の半径r分の大きさに限定される訳ではない。このはみ出し量は、半径rよりも大きくてもよいし、小さくてもよい。はみ出し量を変えることにより、噴霧断面の形状および大きさ(噴霧分布)を変えることができる。
さらに、燃料噴射孔220の入口開口220iの中心O2は、旋回室212の中心O1から第二の延長線211ilに沿う方向にずれた位置に配置してもよい。すなわち、燃料噴射孔220の入口開口220iの中心O2は、旋回室212の中心O1に対して偏心させてもよい。この偏心量を変えることにより、噴霧断面の形状および大きさ(噴霧分布)を変えることができる。
本実施例では、横方向通路211の側壁211oと側壁211iとが平行に形成されており、横方向通路211の幅が一定である。燃料噴射孔220の入口開口220iの中心O2を旋回室212の中心O1から第二延長線211ilに沿う方向にずらすことは、横方向通路211の中心線L3に沿う方向にずらすことを意味する。
本実施例では、旋回室212の内周壁212cは一定の半径Rを有する場合に限定される訳ではない。図3Bの変更例に図示したように、旋回室212の内周壁212cは、燃料の旋回方向の上流側から下流側に向かって、Rが小さくなるような形状であってもよい。図3Bの変更例では、旋回室212の内周壁212cは、その上流側の部分が破線212c’で示すような形状となり、下流側の部分よりも大きな半径の円弧で構成されている。その結果、旋回室212の内周壁212cは、半径Rの円弧部分(第二延長線211ilから上側の部分)と、Rよりも大きな半径の円弧部分(破線212c’の部分)と、で構成され、燃料の旋回方向の上流側から下流側に向かって半径が小さくなる形状を成す。
この場合、横方向通路211の側壁211oは破線211o’で示すような配置になり、内周壁212c’と点212cs’で接続される。
図3Bの変更例では、燃料の旋回方向の上流側から下流側に向かって半径が2段階に小さくなる形状を説明したが、内周壁212cは、上流側から下流側に向かって半径が連続して次第に小さくなる、例えばらせん形状であってもよい。
図5を参照して、旋回用通路210の横方向通路211の構成について説明する。図5は、旋回用通路210が形成されたノズルプレート21nの上端面を上方から見たときの旋回用通路210の平面図である。本実施例では、上述した4組の旋回用通路210-1~210-4は同様に形成されているので、上述した様に、ここでは4組の旋回用通路210-1~210-4を区別せず、旋回用通路210として説明する。
横方向通路211は、ノズルプレート21nの中心21no側から外周側に延設される途中で曲がり通路部2113が設けられている。すなわち横方向通路211は、ノズルプレート21nの中心21no側に形成される直線部(内周側直線部)2111と、外周側に形成される直線部(外周側直線部)2112と、内周側直線部2111と外周側直線部2112との間に形成される曲がり通路部2113と、を備えている。
内周側通路部2111は、ノズルプレート21nの内周側に配置されて径方向外側に向かって延設される。外周側通路部2112は、内周側通路部2111をそのまま径方向外側に向けて延設した場合と比べて、旋回室212との接続部が径方向内側に位置するように内周側通路部2111に対して傾斜した方向に延設される。曲がり通路部2113は、内周側通路部2111と外周側通路部2112との間に設けられる。
すなわち横方向通路211は、内周側に配置されて径方向外側に向かって延設される内周側通路部2111と、内周側通路部2111をそのまま径方向外側に向かって延設した場合と比べて旋回室212との接続部が径方向内側に位置するように内周側通路部2111に対して傾斜した方向に延設される外周側通路部2112と、を備え、
曲がり通路部2113は、内周側通路部2111と外周側通路部2112との間に設けられる。
この場合、旋回室212は、外周側通路部2112に対して径方向外側に向かって突出するように配置される。
曲がり通路部2113は、外周側直線部2112の延設方向を内周側直線部2111の延設方向から傾斜した方向に、変える。すなわち曲がり通路部2113は、外周側直線部2112の延設方向(中心軸211Ax2の軸方向)を内周側直線部2111の延設方向(中心軸211Ax1の軸方向)に対して、角度θ211だけ傾斜した方向に変化させる。曲がり通路部2113は、外周側直線部2112を内周側直線部2111から屈曲させるように形成されてもよいし、外周側直線部2112が内周側直線部2111からなだらかに向きを変えるように形成されてもよい。言い換えれば、中心軸211Ax1と中心軸211Ax2とが交差する交点211xの近傍に曲線となる中心線211Ax3を有していてもよい。
上述した図4では、外周側直線部2112から旋回室212及び燃料噴射孔220側の旋回用通路210部分が描かれており、図5の中心軸211Ax2は図4の横方向通路211の中心線L3に相当する。
図6を参照して、本実施例の旋回用通路210から噴射される燃料噴霧の形態について説明する。図6は、旋回用通路210-1~210-4から噴射される燃料噴霧の形態を示す概念図である。図6では、全体噴霧SPHの噴射方向(本実施例では燃料噴射弁1の中心軸線1aの軸線方向)に垂直な燃料噴霧の断面を示している。
燃料噴霧SPS1は旋回用通路210-1から噴射され、燃料噴霧SPS2は旋回用通路210-2から噴射され、燃料噴霧SPS3は旋回用通路210-3から噴射され、燃料噴霧SPS4は旋回用通路210-4から噴射される。
各旋回用通路210-1~210-4から噴射される燃料噴霧SPS1~SPS4の断面形状は、図11Cで説明したように、長軸Ax1と短軸Ax2とを有する扁平な形状であり、概ね、長軸Ax1と短軸Ax2とを有する楕円形状である。楕円形状を含めて、断面形状が円形からずれて偏っている燃料噴霧を偏向噴霧と呼ぶ。本実施例では、楕円形状以外の偏向噴霧も含み得る。以下の説明では、偏向噴霧として噴霧断面が楕円形状の燃料噴霧について、説明する。
楕円形状の燃料噴霧は、横方向通路211-1~211-4と、この横方向通路211-1~211-4に接続される旋回室212-1~212-4との位置関係から、長軸Ax1及び短軸Ax2の向きが決まる。すなわち本実施例では、横方向通路211-1~211-4と、この横方向通路211-1~211-4に接続される旋回室212-1~212-4との位置関係が、偏向噴霧の偏向方向を決定する。
図11Aに図示される横方向通路211-1~211-4と旋回室212-1~212-4との配置では、各燃料噴霧SPS1~SPS4は、長軸Ax1の一端部が全体噴霧SPHの中心部に位置し、他端部が全体噴霧SPHの外周側に位置するように、配置される。そして全体噴霧SPHの断面形状は、図11Cに示すように、ほぼ円形になる。この場合、横方向通路211-1~211-4は、図11Aに示すように、ノズルプレート21nの中心21noから外周側に向かって直線状(放射状)に延設されており、ノズルプレート21nの中心21noと旋回室212-1~212-4との間に曲がり通路部2113が設けられていない。
この場合の全体噴霧SPHは、断面形状及び燃料噴霧の分布率が図11Dのようになる。図11Dでは、噴霧断面における燃料噴霧の分布率を示しており、この噴霧断面は燃料噴霧の粒が飛翔する方向(角度)を縦軸及び横軸に取った平面で表される。
全体噴霧SPHでは、4つの燃料噴霧SPS1~SPS4の長軸Ax1と短軸Ax2とが図11Cのように配置され、4つの燃料噴霧SPS1~SPS4が重なり合って、全体噴霧SPHの断面形状がほぼ円形になる。この場合、燃料噴霧SPHの噴霧断面の中心部では、4つの燃料噴霧SPS1~SPS4が重なり合うため、燃料噴霧の分布率は燃料噴霧断面の中心部で特に高くなり、この中心部における分布率(ピーク分布率)の高い燃料噴霧(全体噴霧)SPHが形成される。このため、燃料噴霧断面の中心部において燃料噴霧の濃度が高まる傾向にある。
一方、内燃機関では、燃料噴霧断面内に燃料噴霧が均質に分布するように燃料を噴射することが求められることがある。
本実施例では、図3A、図3B及び図5に示すように、横方向通路211に曲がり通路部2113を設けることで、ノズルプレート21n上における横方向通路211と旋回室212との位置関係(配置)を変えることができるようにする。
すなわち本実施例の燃料噴射弁1は、協働して燃料通路の開閉を行う弁座15b及び弁体17と、弁座15b及び弁体17の下流側に燃料に旋回力を付与して噴射する複数の旋回用通路210と、を備え、旋回用通路210が燃料噴射孔220と、燃料噴射孔220の上流側に設けられ燃料を旋回させる旋回室212と、旋回室212に接続される横方向通路211と、を備えた燃料噴射弁であって、
旋回用通路210は、断面形状が円形からずれている偏向噴霧SPS1~SPS4を噴射し、
横方向通路211は、上流端と下流端との間に、燃料の流れる方向が変わる曲がり通路部2113を有する。
これにより、燃料噴霧断面の長軸Ax1と短軸Ax2との配置(向き)を変え、燃料噴霧の断面形状又は燃料噴霧の断面上における燃料の分布率を変えることができるようにする。
横方向通路211と旋回室212との位置関係(配置)を説明するために、旋回用通路210の向きを図5の矢印AWのように仮定する。すなわち矢印AWは、中心軸211Ax2に垂直で、かつ燃料噴射孔220の中心から中心軸211Ax2側とは反対側に向かう方向を指向するように、仮定される。
図3A及び図3Bにおける各旋回用通路210-1~210-4のノズルプレート21n上における向きAWは、図11Aにおける各旋回用通路210-1~210-4のノズルプレート21n上における向きAWと異なる。すなわち、図3A及び図3Bにおいて各旋回用通路210-1~210-4の矢印AWが径方向に対して成す傾きは、図11Aにおいて各旋回用通路210-1~210-4の矢印AWが径方向に対して成す傾きと異なる。
本実施例では、横方向通路211-1~211-4に曲がり通路部2113を設けることにより、ノズルプレート21n上における各旋回用通路210-1~210-4の向きAW、すなわちノズルプレート21nに対する横方向通路211と旋回室212との位置関係(配置)を変え、ノズルプレート21nに対する燃料噴霧SPS1~SPS4の長軸Ax1と短軸Ax2との配置を変える。これは、全体噴霧SPHの中で、燃料噴霧SPS1~SPS4の長軸Ax1と短軸Ax2との配置を変えることになる。
本実施例では、図6に示すように、燃料噴霧SPS1~SPS4は、長軸Ax1が円形を成す全体噴霧SPHの円周方向(外縁方向)に沿い、短軸Ax2が円形を成す全体噴霧SPHの径方向に沿うように、配置される。
特に本実施例では、旋回用通路210-1~210-4を、曲がり通路部2113を含めて同じ形状に形成し、周方向に等間隔に配置することで、2つの燃料噴霧SPS1とSPS3とが全体噴霧SPHの中心a0に対して点対称に配置され、2つの燃料噴霧SPS2とSPS4とが中心a0に対して点対称に配置される。また2つの燃料噴霧SPS1,SPS3と2つの燃料噴霧SPS4,SPS3とは、中心a0、点a8及び点a6を通る線分に対して、線対称に配置される。また2つの燃料噴霧SPS1,SPS4と2つの燃料噴霧SPS2,SPS3とは、中心a0、点a5及び点a7を通る線分に対して、線対称に配置される。ここで点a5~a8は、後述するように、燃料噴霧SPS1~SPS4の長軸Ax1が交差する交点である。
図6に示す本実施例の燃料噴霧SPS1~SPS4の特徴を説明すると、以下のようになる。
(1)各燃料噴霧SPS1~SPS4は、長軸Ax1の両端部で、隣接する燃料噴霧の長軸Ax1と交差する。なお、以下の説明において、長軸Ax1の両端部に対して用いる「一方」及び「他方」は、常に同じ側の端部を意味するものではなく、その時々の説明において入れ替わる。
すなわち、燃料噴霧SPS1は長軸Ax1の一方の端部側で燃料噴霧SPS2の長軸Ax1の一方の端部側と交差し、燃料噴霧SPS1の長軸Ax1の他方の端部側で燃料噴霧SPS4の長軸Ax1の一方の端部側と交差する。燃料噴霧SPS1の長軸Ax1と燃料噴霧SPS2の長軸Ax1とは交点a5で交差し、燃料噴霧SPS1の長軸Ax1と燃料噴霧SPS4の長軸Ax1とは交点a8で交差し、交点a5と交点a8とは長軸Ax1の軸方向において燃料噴霧SPS1の中心(長軸Ax1と短軸Ax2との交点)a1を挟んで燃料噴霧SPS1の外縁側に分かれて位置する。
燃料噴霧SPS2は長軸Ax1の一方の端部側で燃料噴霧SPS3の長軸Ax1の一方の端部側と交差し、燃料噴霧SPS2の長軸Ax1の他方の端部側で燃料噴霧SPS1の長軸Ax1の一方の端部側と交差する。燃料噴霧SPS2の長軸Ax1と燃料噴霧SPS3の長軸Ax1とは交点a6で交差し、燃料噴霧SPS2の長軸Ax1と燃料噴霧SPS1の長軸Ax1とは交点a5で交差し、交点a6と交点a5とは長軸Ax1の軸方向において燃料噴霧SPS2の中心(長軸Ax1と短軸Ax2との交点)a2を挟んで燃料噴霧SPS2の外縁側に分かれて位置する。
燃料噴霧SPS3は長軸Ax1の一方の端部側で燃料噴霧SPS4の長軸Ax1の一方の端部側と交差し、燃料噴霧SPS3の長軸Ax1の他方の端部側で燃料噴霧SPS2の長軸Ax1の一方の端部側と交差する。燃料噴霧SPS3の長軸Ax1と燃料噴霧SPS4の長軸Ax1とは交点a7で交差し、燃料噴霧SPS3の長軸Ax1と燃料噴霧SPS2の長軸Ax1とは交点a6で交差し、交点a7と交点a6とは長軸Ax1の軸方向において燃料噴霧SPS3の中心(長軸Ax1と短軸Ax2との交点)a3を挟んで燃料噴霧SPS3の外縁側に分かれて位置する。
燃料噴霧SPS4は長軸Ax1の一方の端部側で燃料噴霧SPS1の長軸Ax1の一方の端部側と交差し、燃料噴霧SPS4の長軸Ax1の他方の端部側で燃料噴霧SPS3の長軸Ax1の一方の端部側と交差する。燃料噴霧SPS4の長軸Ax1と燃料噴霧SPS1の長軸Ax1とは交点a8で交差し、燃料噴霧SPS4の長軸Ax1と燃料噴霧SPS3の長軸Ax1とは交点a7で交差し、交点a8と交点a7とは長軸Ax1の軸方向において燃料噴霧SPS4の中心(長軸Ax1と短軸Ax2との交点)a4を挟んで燃料噴霧SPS4の外縁側に分かれて位置する。
なお、図6の燃料噴霧SPS1に示すように、交点a5は長軸Ax1の軸方向において燃料噴霧SPS1の中心a1よりも燃料噴霧SPS1の外縁の近くに位置し、交点a8は長軸Ax1の軸方向において燃料噴霧SPS1の中心a1よりも燃料噴霧SPS1の外縁の近くに位置する。すなわち交点a5,a8は、長軸Ax1の軸方向において燃料噴霧SPS1の中心a1と燃料噴霧SPS1の外縁との中間a9,a10よりも燃料噴霧SPS1の外縁側に位置する。燃料噴霧SPS2について構成される交点a6,a5、燃料噴霧SPS3について構成される交点a7,a6、及び燃料噴霧SPS4について構成される交点a8,a7、も、燃料噴霧SPS1について構成される交点a5,a8と同様な位置に配置される。
すなわち複数の旋回用通路210は、噴霧断面に長軸Ax1と短軸Ax2とを有する偏向噴霧SPS1,SPS2,SPS4を噴射する少なくとも3つの旋回用通路210-1,210-2,210-4を備え、
3つの旋回用通路210-1~210-3は、第1偏向噴霧SPS1と、第1偏向噴霧SPS1の長軸Ax1の軸方向両端部でそれぞれ第1偏向噴霧SPS1に隣接する第2偏向噴霧SPS2及び第3偏向噴霧SPS4と、を噴射し、
第1偏向噴霧SPS1、第2偏向噴霧SPS2及び第3偏向噴霧SPS4は、
第1偏向噴霧SPS1の長軸Ax1と第2偏向噴霧SPS2の長軸Ax1とが第1交点a5で交差し、
第1偏向噴霧SPS1の長軸Ax1と第3偏向噴霧SPS4の長軸Ax1とが第2交点a8で交差し、
第1交点a5が、第1偏向噴霧SPS1の長軸Ax1の一端側に位置すると共に、第1偏向噴霧SPS1の長軸Ax1の軸方向において、第1偏向噴霧SPS1の長軸Ax1の中心a1よりも第1偏向噴霧SPS1の外縁の近くに位置し、
第2交点a8が、第1偏向噴霧SPS1の長軸Ax1の他端側に位置すると共に、第1偏向噴霧SPS1の長軸Ax1の軸方向において、第1偏向噴霧SPS1の長軸Ax1の中心a1よりも第1偏向噴霧SPS1の外縁の近くに位置する噴霧断面を有するように噴射される。
(2)燃料噴霧SPS1の長軸Ax1上に構成される交点a5と全体噴霧SPHの外縁との距離D2、及び燃料噴霧SPS1の長軸Ax1上に構成される交点a8と全体噴霧SPHの外縁との距離D3は、燃料噴霧SPS1の中心a1と全体噴霧SPHの外縁との距離D1よりも短い。燃料噴霧SPS2~SPS4も燃料噴霧SPS1と同様な構成を有する。
なお、全体噴霧SPHの外縁は燃料噴霧SPS1~SPS4に接する包絡線であり、各燃料噴霧SPS1~SPS4の外縁を忠実にたどる輪郭とは異なる場合がある。
(3)周方向に隣接する2つの燃料噴霧SPS1~SPS4の長軸Ax1同士が交差し始める際に、その交点a5~a8は燃料噴霧SPS1~SPS4の外縁上に位置する。図6において、燃料噴霧SPS1と燃料噴霧SPS2とは、燃料噴霧SPS1の長軸Ax1と燃料噴霧SPS2の長軸Ax1とが交差し始める際に、燃料噴霧SPS1の外縁と燃料噴霧SPS1の長軸Ax1との交点が燃料噴霧SPS2の外縁と燃料噴霧SPS2の長軸Ax1との交点と交差する。このため、2つの燃料噴霧SPS1,SPS2の長軸Ax1同士が交差し始める際に、その交点a5は燃料噴霧SPS1,SPS2の外縁上に位置することになる。
(4)(1)~(3)の少なくともいずれか一つの特徴を有する状態で、全体噴霧SPHの中心a0を含む領域に燃料噴霧SPS1~SPS4の存在しない、或いは燃料噴霧SPS1~SPS4による燃料噴霧の希薄な領域を有する空間が形成される。
すなわち複数の旋回用通路210は、3つの旋回用通路210-1,210-2,210-4を含んで、噴霧断面に長軸Ax1と短軸Ax2とを有する偏向噴霧を噴射する4つの旋回用通路210-1~210-4で構成され、
4つの旋回用通路210-1~210-4から噴射される第1偏向噴霧SPS1、第2偏向噴霧SPS2、第3偏向噴霧SPS4及び第4偏向噴霧SPS3は、第1偏向噴霧SPS1、第2偏向噴霧SPS2、第3偏向噴霧SPS4及び第4偏向噴霧SPS3で構成される全体噴霧断面SPHの中心部a0に、第1偏向噴霧SPS1、第2偏向噴霧SPS2、第3偏向噴霧SPS4及び第4偏向噴霧SPS3が存在しない、或いは、第1偏向噴霧SPS1、第2偏向噴霧SPS2、第3偏向噴霧SPS4及び第4偏向噴霧SPS3による燃料噴霧が希薄な領域を有する。
図7Aは、燃料噴射弁1の中心軸線1aに平行に噴射される燃料噴霧SPS1,SPS4について、燃料噴射方向(本実施例では中心軸線1aの軸線方向)における燃料噴射弁1からの距離(噴射距離)Lに応じた燃料噴霧断面の形状変化を示す概念図である。
図7Aでは、2つの燃料噴霧SPS1,SPS4について、図6に図示した燃料噴霧SPS1,SPS4を基準(L=1.0)として、L=1.0の場合と、距離が半分の場合(L=0.5)と、距離が2倍の場合(L=2.0)と、について、断面形状の概略を示している。なお、2つの燃料噴霧SPS1,SPS4は、燃料噴射弁1の中心軸線1aに平行に形成された燃料噴射孔220-1,220-4から噴射されるものとし、2つの燃料噴霧SPS1,SPS4の噴射方向は同一方向で、かつ平行である。
図6では、各燃料噴霧SPS1~SPS4が、長軸Ax1の両端部で、隣接する燃料噴霧の長軸Ax1と交差した状態について、説明した。図6に示す燃料噴霧SPS1~SPS4の状態は、図7AのL=1.0の場合に実現される。しかし、Lが1.0よりも短い距離の場合、隣接する2つの燃料噴霧SPS1,SPS4の長軸Ax1同士が交差しない状態も存在する。一方、Lが1.0よりも長い距離の場合、隣接する2つの燃料噴霧SPS1,SPS4の長軸Ax1同士の交点a8は、燃料噴霧SPS1の長軸Ax1の軸方向において、燃料噴霧SPS1の外縁よりも燃料噴霧SPS1の中心a1の近くに位置すると共に、燃料噴霧SPS4の長軸Ax1の軸方向において、燃料噴霧SPS4の外縁よりも燃料噴霧SPS4の中心a4の近くに位置するようになる。
図7Bは、図7AのL=2.0の場合の燃料噴霧SPS1~SPS4の噴霧断面を図示した概念図である。
図7Bに示すように、Lが長くなると、4つの燃料噴霧SPS1~SPS4は全体噴霧SPHの中心部a0で重なり合うようになる。しかしこの場合も、燃料噴霧が十分に拡散した広い噴霧断面内では燃料の分布率は小さくなり、燃料の分布率が低くなった状態で燃料噴霧SPS1~SPS4が重なるようになるため、図11Dに図示したような燃料の分布率の高いピークの発生を抑制することができる(図8の「ピーク分布率の低減」参照)。
図7Cは、相互に離れる方向に噴射される燃料噴霧SPS1,SPS4について、燃料噴射方向(本実施例では中心軸線1aの軸線方向)における燃料噴射弁1からの距離(噴射距離)Lに応じた燃料噴霧断面の形状変化を示す概念図である。
図7Cでは、2つの燃料噴霧SPS1,SPS4について、図6に図示した燃料噴霧SPS1,SPS4を基準(L=1.0)として、L=1.0の場合と、距離が半分の場合(L=0.5)と、距離が2倍の場合(L=2.0)と、について、断面形状の概略を示している。なお、2つの燃料噴霧SPS1,SPS4は、燃料噴射弁1の中心軸線1aに対して傾斜すると共に、Lが大きくなるほど相互に離れるように形成された燃料噴射孔220-1,220-4から噴射されるものとし、2つの燃料噴霧SPS1,SPS4の噴射方向は下流側になるほど離間するように傾斜している。
この場合、燃料噴霧SPS1と燃料噴霧SPS4とは、燃料噴射弁1から下流側に向かって離れるほど、それぞれの中心a1とa4とが離れてゆく。このため、燃料噴霧SPS1の軸Ax1と燃料噴霧SPS4の軸Ax1との交点a8は、図7Aの場合と比べて、長軸Ax1上においける移動が小さくなり、燃料噴霧SPS1の中心a1及び燃料噴霧SPS4の中心a4に近づき難くなる。
また燃料噴霧SPS1と燃料噴霧SPS4との重なりが小さくなるため、全体噴霧SPHの中心a0を含む領域に燃料噴霧SPS1~SPS4の存在しない空間が形成され易くなる。すなわち図7Bの場合、図7Aの場合と比べて、噴射方向における長い距離Lの区間で、燃料噴霧SPS1~SPS4の存在しない空間が形成される。
図7A、図7B及び図7Cで説明したように、上述した本実施例の(1)~(4)の特徴は、距離Lに応じて実現されない場合がある。しかし、本実施例の(1)~(4)の特徴が実現される距離Lは存在する。
図8は、旋回用通路210-1~210-4から噴射される燃料噴霧SPS1,SPS4について、燃料の分布率を示す図である。
本実施例では、全体噴霧SPHの中心部a0で4つの燃料噴霧SPS1~SPS4が重なり合うのを抑制することができる、或いは燃料の分布率が低くなった状態で燃料噴霧SPS1~SPS4が重なり合うようにすることができる。また燃料噴霧SPS1~SPS4が重なり合う場合でも、分布率の高い部分が重なり合うのを防ぐことができる。これにより、図11Dに示したような燃料分布率の高いピークの発生を抑制して、図8に示すようにピーク分布率を低減することができる。そして燃料噴霧断面における燃料の分布率を、図11Cの場合と比べて、均一化することができる。
図9及び図12を参照して、本実施例の変更例について説明する。
図9は、図3A及び図3Bに示すノズルプレート21nの変更例を示す図であり、(a)はノズルプレート21nの平面図を示し、(b)は旋回用通路210-1~210-3から噴射される燃料噴霧の形態を示す概念図である。図12は、図9の実施例との比較例となる旋回用通路210-1~210-3を備えたノズルプレート21nを示す平面図であり、(a)はノズルプレート21nの平面図を示し、(b)は本変更例において旋回用通路210-1~210-3から噴射される燃料噴霧の形態を示す概念図である。図9(b)及び図12(b)では、全体噴霧SPHの噴射方向(本実施例では燃料噴射弁1の中心軸線1aの軸線方向)に垂直な燃料噴霧の断面を示している。
これまで、4つの旋回用通路210-1~210-4を有する構成について説明したが、旋回用通路は3つ又は2つであってもよいし、5つ以上の旋回用通路を備えていてもよい。図9では、3つの旋回用通路210-1~210-3を有する構成を示す。上述した実施例と同様の構成には、上述した実施例と同じ符号を付し説明を省略する。
上述した実施例では、4つの旋回用通路210-1~210-4が周方向に等間隔に配置され、隣接する旋回用通路間の中心角は90度である。これに対して本例では、3つの旋回用通路210-1~210-3が周方向に等間隔に配置され、隣接する旋回用通路間の中心角は120度である。
なお本例では、旋回用通路210-4が存在しないため、旋回用通路210-3から噴射される燃料噴霧SPS1の長軸Ax1と旋回用通路210-3から噴射される燃料噴霧SPS3の長軸Ax1とが交差し、燃料噴霧SPS1の長軸Ax1と燃料噴霧SPS3の長軸Ax1との交点をa7とする。
図9の3つの旋回用通路210-1~210-3は、上述した実施例と同様に、横方向通路211-1~211-3に曲がり通路部2113-1~2113-3を備える。これに対して図12の3つの旋回用通路210-1~210-3では、図11Aの比較例と同様に、横方向通路211-1~211-3はノズルプレート21nの中心21noから外周側に直線状(放射状)に延設され、曲がり通路部2113-1~2113-3が設けられていない。
本例の燃料噴霧SPS1~SPS3も、上述した実施例における燃料噴霧SPS1~SPS4と同様の特徴を有する。ただし、燃料噴霧の個数が少ない分、隣接する2つの燃料噴霧の長軸Ax1が交差するようになった時点で、全体噴霧SPHの中心a0を含む領域に燃料噴霧SPS1~SPS3の存在しない空間を形成するのは難しくなる。ただしこの場合も、図12に示す比較例と比べて、燃料噴霧SPS1~SPS3が広い断面積に拡散して、燃料噴霧SPS1~SPS3の燃料の分布率が低くなった状態で、燃料噴霧SPS1~SPS3が重なり合うようにすることができる。また、分布率の高い部分が重なり合うのを防ぐことができる。
これにより、図11Dに示したような燃料分布率の高いピークの発生を抑制して、ピーク分布率を低減することができる。そして燃料噴霧断面における燃料の分布率を、図11Cの場合と比べて、均一化することができる。
以上に説明したように、本実施例の燃料噴射弁1は、協働して燃料通路の開閉を行う弁座15b及び弁体17と、弁座15b及び弁体17の下流側に燃料に旋回力を付与して噴射する複数の旋回用通路210と、を備え、旋回用通路210が燃料噴射孔220と、燃料噴射孔220の上流側に設けられ燃料を旋回させる旋回室212と、旋回室212に接続される横方向通路211と、を備えた燃料噴射弁であって、
複数の旋回用通路は、噴霧断面に長軸Ax1と短軸Ax2とを有する偏向噴霧を噴射する少なくとも3つの旋回用通路210-1,210-2,210-4を備え、
複数の旋回用通路210の横方向通路211が単純な直線状の通路として構成される場合と比べて、
3つの旋回用通路210-1,210-2,210-4から噴射される第1偏向噴霧SPS1、第2偏向噴霧SPS2及び第3偏向噴霧SPS4は、第1偏向噴霧SPS1、第2偏向噴霧SPS2及び第3偏向噴霧SPS4を含んで構成される全体噴霧断面SPHの中心部a0における重なりを低減して、中心部a0における燃料の分布密度が低減するように配置される。
また本実施例の燃料噴射弁1では、
複数の旋回用通路210は、3つの旋回用通路210-1,210-2,210-4を含んで、噴霧断面に長軸Ax1と短軸Ax2とを有する偏向噴霧を噴射する4つの旋回用通路210-1,210-2,210-3,210-4で構成され、
4つの旋回用通路210-1,210-2,210-3,210-4から噴射される第1偏向噴霧SPS1、第2偏向噴霧SPS2、第3偏向噴霧SPS4及び第4偏向噴霧SPS3は、第1偏向噴霧SPS1、第2偏向噴霧SPS2、第3偏向噴霧SPS4及び第4偏向噴霧SPS3で構成される全体噴霧断面SPHの中心部a0に、第1偏向噴霧SPS1、第2偏向噴霧SPS2、第3偏向噴霧SPS4及び第4偏向噴霧SPS3が存在しない、或いは、第1偏向噴霧SPS1、第2偏向噴霧SPS2、第3偏向噴霧SPS4及び第4偏向噴霧SPS3による燃料噴霧が希薄な領域を有する。
図10を参照して、本発明に係る燃料噴射弁を搭載した内燃機関について説明する。図10は、燃料噴射弁1が搭載された内燃機関の断面図である。
内燃機関100のエンジンブロック101にはシリンダ102が形成されおり、シリンダ102の頂部に吸気口103と排気口104とが設けられている。吸気口103には、吸気口103を開閉する吸気弁105が、また排気口104には排気口104を開閉する排気弁106が設けられている。エンジンブロック101に形成され、吸気口103に連通する吸気流路107の入口側端部107aには吸気管108が接続されている。
燃料噴射弁1の燃料供給口2(図1参照)には燃料配管110が接続される。
吸気管108には燃料噴射弁1の取付け部109が形成されており、取付け部109に燃料噴射弁1を挿入する挿入口109aが形成されている。挿入口109aは吸気管108の内壁面(吸気流路)まで貫通しており、挿入口109aに挿入された燃料噴射弁1から噴射された燃料は吸気流路内に噴射される。二方向噴霧の場合、エンジンブロック101に吸気口103が二つ設けられた形態の内燃機関を対象として、それぞれの燃料噴霧が各吸気口103(吸気弁105)を指向して噴射される。
なお、本発明は上記した実施例或いは変更例に限定されるものではなく、一部の構成の削除や、記載されていない他の構成の追加が可能である。形態例1~7のノズルプレート21nの構成を組み合わせることも可能である。
1…燃料噴射弁、15b…弁座、17…弁体、210,210-1,210-2,210-3,210-4…旋回用通路、211…横方向通路、2111…内周側通路部、2112…外周側通路部、2113…曲がり通路部、212…旋回室、220…燃料噴射孔、Ax1…噴霧断面の長軸、Ax2…噴霧断面の短軸、a0…全体噴霧断面の中心部、a1…第1偏向噴霧SPS1の長軸Ax1の中心、a5…第1交点、a8…第2交点、SPS1~SPS4…偏向噴霧(燃料噴霧)、SPS1…第1偏向噴霧、SPS2…第2偏向噴霧、SPS4…第3偏向噴霧、SPS3…第4偏向噴霧、SPH…全体噴霧(全体噴霧断面)。

Claims (7)

  1. 協働して燃料通路の開閉を行う弁座及び弁体と、前記弁座及び前記弁体の下流側に燃料に旋回力を付与して噴射する複数の旋回用通路と、を備え、前記旋回用通路が燃料噴射孔と、前記燃料噴射孔の上流側に設けられ燃料を旋回させる旋回室と、前記旋回室に接続される横方向通路と、を備えた燃料噴射弁であって、
    前記旋回用通路は、断面形状が円形からずれている偏向噴霧を噴射し、
    前記横方向通路は、上流端と下流端との間に、燃料の流れる方向が変わる曲がり通路部を有する燃料噴射弁。
  2. 請求項1に記載の燃料噴射弁において、
    前記横方向通路は、内周側に配置されて径方向外側に向かって延設される内周側通路部と、前記内周側通路部をそのまま径方向外側に向かって延設した場合と比べて前記旋回室との接続部が径方向内側に位置するように前記内周側通路部に対して傾斜した方向に延設される外周側通路部と、を備え、
    前記曲がり通路部は、前記内周側通路部と前記外周側通路部との間に設けられる燃料噴射弁。
  3. 請求項2に記載の燃料噴射弁において、
    前記旋回室は、前記外周側通路部に対して径方向外側に向かって突出するように配置される燃料噴射弁。
  4. 請求項3に記載の燃料噴射弁において、
    前記複数の旋回用通路は、噴霧断面に長軸と短軸とを有する偏向噴霧を噴射する少なくとも3つの旋回用通路を備え、
    前記3つの旋回用通路は、第1偏向噴霧と、前記第1偏向噴霧の長軸の軸方向両端部でそれぞれ前記第1偏向噴霧に隣接する第2偏向噴霧及び第3偏向噴霧と、を噴射し、
    前記第1偏向噴霧、前記第2偏向噴霧及び前記第3偏向噴霧は、
    前記第1偏向噴霧の前記長軸と前記第2偏向噴霧の長軸とが第1交点で交差し、
    前記第1偏向噴霧の前記長軸と前記第3偏向噴霧の長軸とが第2交点で交差し、
    前記第1交点が、前記第1偏向噴霧の前記長軸の一端側に位置すると共に、前記第1偏向噴霧の前記長軸の軸方向において、前記第1偏向噴霧の前記長軸の中心よりも前記第1偏向噴霧の外縁の近くに位置し、
    前記第2交点が、前記第1偏向噴霧の前記長軸の他端側に位置すると共に、前記第1偏向噴霧の前記長軸の軸方向において、前記第1偏向噴霧の前記長軸の中心よりも前記第1偏向噴霧の外縁の近くに位置する噴霧断面を有するように噴射される燃料噴射弁。
  5. 請求項4に記載の燃料噴射弁において、
    前記複数の旋回用通路は、前記3つの旋回用通路を含んで、噴霧断面に長軸と短軸とを有する偏向噴霧を噴射する4つの旋回用通路で構成され、
    前記4つの旋回用通路から噴射される前記第1偏向噴霧、前記第2偏向噴霧、前記第3偏向噴霧及び第4偏向噴霧は、当該第1偏向噴霧、当該第2偏向噴霧、当該第3偏向噴霧及び当該第4偏向噴霧で構成される全体噴霧断面の中心部に、当該第1偏向噴霧、当該第2偏向噴霧、当該第3偏向噴霧及び当該第4偏向噴霧が存在しない、或いは、当該第1偏向噴霧、当該第2偏向噴霧、当該第3偏向噴霧及び当該第4偏向噴霧による燃料噴霧の希薄な領域を有する燃料噴射弁。
  6. 協働して燃料通路の開閉を行う弁座及び弁体と、前記弁座及び前記弁体の下流側に燃料に旋回力を付与して噴射する複数の旋回用通路と、を備え、前記旋回用通路が燃料噴射孔と、前記燃料噴射孔の上流側に設けられ燃料を旋回させる旋回室と、前記旋回室に接続される横方向通路と、を備えた燃料噴射弁であって、
    前記複数の旋回用通路は、噴霧断面に長軸と短軸とを有する偏向噴霧を噴射する少なくとも3つの旋回用通路を備え、
    前記複数の旋回用通路の前記横方向通路が単純な直線状の通路として構成される場合と比べて、
    前記3つの旋回用通路から噴射される第1偏向噴霧、第2偏向噴霧及び第3偏向噴霧は、当該第1偏向噴霧、当該第2偏向噴霧及び当該第3偏向噴霧を含んで構成される全体噴霧断面の中心部における重なりを低減して、前記中心部における燃料の分布密度が低減するように配置される燃料噴射弁。
  7. 請求項6に記載の燃料噴射弁において、
    前記複数の旋回用通路は、前記3つの旋回用通路を含んで、噴霧断面に長軸と短軸とを有する偏向噴霧を噴射する4つの旋回用通路で構成され、
    前記4つの旋回用通路から噴射される前記第1偏向噴霧、前記第2偏向噴霧、前記第3偏向噴霧及び第4偏向噴霧は、当該第1偏向噴霧、当該第2偏向噴霧、当該第3偏向噴霧及び当該第4偏向噴霧で構成される全体噴霧断面の中心部に、当該第1偏向噴霧、当該第2偏向噴霧、当該第3偏向噴霧及び当該第4偏向噴霧が存在しない、或いは、当該第1偏向噴霧、当該第2偏向噴霧、当該第3偏向噴霧及び当該第4偏向噴霧による燃料噴霧が希薄な領域を有する燃料噴射弁。
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