JP2004169239A - 繊維成型体再利用品の製造方法 - Google Patents

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知徳 新宅
Toshinori Fujita
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Abstract

【課題】変形等なく繊維成型体をへたりから回復させ、その再利用を可能とする。
【解決手段】成型時圧縮面に対してに対して使用時受圧面を略垂直にしてなる繊維成型体に対し、使用後に100〜200℃の熱を与える、繊維成型体の再利用品の製造方法。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維成型体の再利用品の製造方法に関する。具体的には、繊維成型体を使用によるへたり等から回復させる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、繊維成型体としては多種開発されており、一般的に融点が異なる繊維を混綿・開繊し熱風加熱し、繊維の一部を融着させ繊維成形体とするものが主流である。しかしこれらのものは、ユーザー等で使用されるにつれ劣化し、硬さや厚みが低下していき、やがては破砕や焼却等により廃棄されるものである。
【0003】
かかる問題に対し、特定の繊維を不織布とした後に繊維構造体とし、使用後の再度の熱処理により初期のクッション性能を復元するクッション材が開示されている(特許文献1参照。)。しかしこの技術では、再度の熱処理を施すと元の厚さ以上に膨らんだり、無理に押さえつけながら熱処理をすると繊維の再溶融により変形したり、柔軟性が損なわれるという問題があった。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−98452号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、変形等なく繊維成型体をへたりから回復させ、その再利用を可能とすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、成型時圧縮面に対して使用時受圧面を略垂直にしてなる繊維成型体に対し、使用後に100〜200℃の熱を与える、繊維成型体の製造方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明について実施態様例を挙げながら詳細に説明する。
【0008】
本発明で採用する繊維成型体は、成型時圧縮面に対して使用時受圧面を略垂直にしてなることが重要である。
【0009】
成型時圧縮面とは、繊維成型体の圧縮成型時に圧縮を受ける面(圧縮方向に垂直な面)を言う。
【0010】
成型時圧縮面は、繊維成型体における繊維の配列から判定することが可能である。というのは、図2の様に成型時に圧縮を受ける際、繊維は圧縮面内に平らに配列する方向で成型されるからである。従って、図3の様に8の方向から圧縮した場合には、成型時圧縮面とは垂直の面から見ると、繊維が成型時圧縮面と略平行に配列しているのが観察できる。
【0011】
また、使用時受圧面とは、繊維成型体をクッション材等として使用する際に主に圧力を受ける面を言う。すなわち、繊維成型体をクッション材等として用いると、この使用時受圧面の法線方向にへこみ(へたり)が生じやすいことになる。
【0012】
図1は、本発明で採用する繊維成型体の一例をモデル的に示す断面図である。1の方向と3の方向を面内に含むとして規定される面が使用時受圧面に該当し、例えばベッドマット用クッション材として使用する場合には、この上に使用者が寝そべる。
【0013】
上記のような繊維成型体に対し、使用後に熱を与えて、その再利用品を製造する(以下、この熱処理を「熱回復処理」とも呼ぶ。)。成型時圧縮面に対して使用時受圧面を略垂直にしてなる繊維成型体に使用後に熱を与えることで、元の厚さ以上に大きく膨らむということがなく、元のクッション性や柔軟性を損なわずに回復させることができる。
【0014】
その理由としては明らかではないが、成型時圧縮面と使用時受圧面とが平行な繊維成型体を採用する従来の技術では、クッション性を得る上で繊維間の融着の要素が大きいため、熱回復処理におけるクッション性の保持が不安定なのに対し、成型時圧縮面と使用時受圧面とが垂直な繊維成型体を採用する本発明では、クッション性を得る上で個々の繊維の形態保持の要素が大きいため、熱回復処理においてもクッション性の保持が安定しているからではないかと推察する。
【0015】
熱回復処理の温度としては、100〜200℃である。100℃未満で熱処理しても高い回復率は得られにくく、200℃を超える温度では成型体を構成する繊維のヤング率が低下し、形態保持の観点から好ましくない。
【0016】
熱回復処理の手段としては例えば、ユーザーに使用されへたりが発生した製品が、ベッドマット程度の大きさのものであれば、エアスルー型の乾熱式のヒートセッタを通過させる方法や、紡績の撚り止めで使用されているスチームセッタを使用する方法、リネン業者などで使用されている乾燥機などを使用する方法などがあげられ、また座布団やまくら程度の大きさであれば、恒温型の乾燥機などを使用する方法も良い。また、簡易的にはヘアードライヤを使用する方法もあるが、その時は熱風で押しつけられないように、製品との距離や熱風の強さに注意すると良い。
【0017】
熱回復処理による、使用時受圧方向の厚み回復率は90〜100%、使用時受圧面表面の硬度回復率は70〜100%であることが好ましい。厚み回復率と硬度回復率は次の定義に従う。
厚み回復率(%)=(T/T)×100
:使用前における厚み。
T:使用後の熱付与後(熱回復処理後)における厚み。
硬度回復率(%)=(K/K)×100
:使用前における硬度。
K:使用後の熱付与後(熱回復処理後)における硬度。
【0018】
また、成型時圧縮面に対して使用時受圧面を略垂直にしてなるということは、水切れ性や乾燥性が良好となるという点からも好ましい。というのは、例えばベッドマット用クッション材のように、繊維成型体は通常、使用時受圧方向を比較的薄くして使用され、本発明で採用する繊維成型体においては構成繊維は前述のように成型時圧縮面と略平行であるので、脱水時や乾燥時において繊維構造体内部からの水の抜けが良くなるからである。
【0019】
次に、本発明で採用する繊維成型体の好ましい態様について説明する。
【0020】
繊維成型体は、これを構成する繊維(以下、構成繊維と呼ぶ。)が、融点がその他の構成繊維よりも低い熱可塑性重合体(以下、低融点熱可塑性重合体と呼ぶ。)を少なくとも繊維表面に有する繊維(以下、低融点型繊維と呼ぶ。)を含むことが好ましい。
【0021】
低融点型繊維の構成繊維における含有量は、20〜60重量%とすることが好ましい。低融点型繊維を20重量%以上とすることで、繊維同士の熱接着点を多くとることができ、形態安定性が向上する。また、60重量%以下とすることで、繊維成型体のソフト感を維持し、触感が粗硬にならない。
【0022】
低融点型繊維における低融点熱可塑性重合体は、熱処理により低融点型繊維同士および低融点型繊維と他の構成繊維との接触点の一部または全部が接着する性質、すなわち熱接着性を有する。
【0023】
低融点型繊維としては、繊維成型体の使用耐久性を向上させる観点から、低融点熱可塑性重合体を鞘側に配し、低融点熱可塑性重合体よりも融点が20℃以上高い熱可塑性重合体を芯側に配した芯鞘型の複合繊維がより好ましい。
【0024】
低融点熱可塑性重合体としては例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレン共重合体、エチレンブテン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィンあるいはオレフィン共重合体、ポリへキサメチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレートイソフタレート等のポリエステルあるいは共重合ポリエステル等の熱可塑性ポリマーから選ばれ、少なくとも一種類のポリマーを用いることができる。その融点としては、繊維間の熱接着性や圧縮に対する回復性、つまり圧縮残留ひずみの観点から80〜170℃であることが好ましい。
【0025】
芯側に配する熱可塑性重合体としては例えば、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸あるいはそれらのエステルを主たるジカルボン酸成分とし、エチレングリコールもしくはテトラメチレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートあるいは、2,6−ナフタレートなどの線状ポリエステルを用いることができる。このうちポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0026】
鞘側に配する低融点熱可塑性重合体と芯側に配する熱可塑性重合体との重量比としては、20:80〜60:40が好ましく、より好ましくは20:80〜50:50である。
【0027】
また、低融点型繊維には、必要に応じてその他の重合体成分や、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料や、各種の抗酸化剤、着色防止剤、耐光剤、帯電防止剤等を、本来の機能を喪失しないかぎり、複合や混合などにより添加することができる。
【0028】
低融点型繊維の形態としては、繊維成型体の形態安定性および均一な密度を得る観点から、繊度が1〜12dtex、繊維長が10〜100mmの短繊維を好ましく用いることができる。
【0029】
また低融点型繊維は捲縮糸であることが好ましく、捲縮形態は繊維成型体の用途によって適宜選択すればよいが、一般的には、嵩高性、ソフト感、圧縮に対する回復性をよくする上で、捲縮数が3山/25mm以上、捲縮度が5%以上であるのが好ましく、より好ましくは、捲縮数が5山/25mm以上、捲縮度が15%以上である。
【0030】
低融点型繊維と混合するその他の構成繊維としては、低融点熱可塑性重合体の融点より高ければ良く、用途によって数種類使用することができる。例えば、ポリエステルの他にも、6−ナイロン、66−ナイロン、610−ナイロン、109−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロン等のポリアミドを用いることができるが、なかでもポリエステルが好ましい。
【0031】
また、低融点型繊維とその他の構成繊維をいずれもポリエステル系とすることも好ましい。ポリエステルは、圧縮特性(圧縮回復性)、熱接着形態固定性に優れ、燃焼ガスの毒性が低く、リサイクルできるなどの総合的な面で、好ましい材料である。
【0032】
「その他の構成繊維」の融点としては、繊維成型体の使用耐久性を向上させる観点から、低融点型繊維の低融点熱可塑性重合体成分の融点よりも20℃以上高いことが好ましい。
【0033】
「その他の構成繊維」の形態としては、繊維成型体の嵩、圧縮抵抗、圧縮回復性、触感、形状保持性および密度の均一性の観点から、繊度が0.5〜34dtex、繊維長が10〜100mmの短繊維を好ましく用いることができる。繊度を太くするほど、水切れ性が良くなり乾燥性に優れた繊維成形体を得られる傾向にある。一方34dtex以下とすることで、触感が粗硬になるのを防ぐことができる。
【0034】
また「その他の構成繊維」も捲縮糸であることが好ましく、捲縮形態は繊維成型体の用途によって適宜選択すればよいが、一般的には、嵩高性、ソフト感、圧縮に対する回復性をよくする上で、捲縮数が3山/25mm以上、捲縮度が5%以上であるのが好ましく、より好ましくは、捲縮数が5山/25mm以上、捲縮度が15%以上である。
【0035】
また、「その他の構成繊維」は、複数種類を混合して用いてもよい。
【0036】
本発明で採用される繊維形成体と、本発明で製造される繊維成型体の再利用品は、寝装用ベッド中材、マットレス、こたつ、家具用ソファー、クッション、電車、自動車などの車両用シート中材、パット材、ドアトリム、サンバイザー、衣料用パッドなど、主にクッション材や、その他フィルター、住宅遮音材、断熱材など遮蔽材として好適に使用することができる。中でもベッド中材、マットレスや電車、自動車などのシート材として、好適に使用することによりへたり等劣化が生じても熱を与えることによりほぼ元の状態に復元され容易に再利用が可能となるものである。
【0037】
次に、本発明で好ましく採用される繊維成型体の製造方法について説明する。図2は、当該製造方法の一例に用いられる装置の金型をモデル的に示す縦断面図である。
【0038】
低融点型繊維とその他の構成繊維とを、給綿機、混綿機、開繊機を通して、充分に混綿、開繊し、繊維混合物としたのち、例えば、目的用途に応じた形状の型枠に、送綿ファンによる空気流などの気体と共に、繊維混合物を吹き込んで充填する。吹き込んで充填するためには、型枠が適度の通気性を有するものであることが望まれ、通気性としては、JIS L 1079−1966フラジール型通気性試験機による測定で、5〜200cc/cm・secの範囲が好ましい。このような型枠としては、例えば、図2に示すパンチング金属板を用いた金型4,5を用いることができる。吹き込み口6から通気性型枠内に吹き込まれた繊維7は、タテ、ヨコ、厚み方向にランダムに配列した状態となる。
【0039】
次いで気体の通気方向に圧縮し、この状態で熱接着処理する。熱接着処理により、低融点型繊維同士、または低融点型繊維とその他の繊維との接触点の少なくとも一部を接着して形態を固定する。熱処理の温度は低融点型繊維の鞘側である低融点熱可塑性重合体が溶融接着する温度であればよく、一般的には、80〜200℃が好ましい。熱接着処理の時間は、繊維成型体の密度やサイズ等によって適宜選択しうる。
【0040】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。諸特性の測定方法等は次の通りである。尚、繊維成型体における使用時受圧方向を、以下では単に「厚み」とも呼ぶ。
【0041】
[繊度]
JIS L 1015−7−51Aの方法に基づいて測定した。
【0042】
[平均繊維長(カット長)]
JIS L 1015A法(ステープルダイヤグラム法)に基づいて測定した。
【0043】
[捲縮数および捲縮度]
捲縮数および捲縮度はそれぞれ、JIS L 1015−7−12−1およびJIS L 1015−7−12−2の方法に基づいて測定した。
【0044】
[密度]
一辺が10cmの立方体の試験片を3個準備し、20℃×65%RHの室内に24時間放置した後、その室内で試験片の重さ(W)を測定し、次式により密度を求めて、3回の平均値で示した。
密度(g/cm)=W/(10×10×10) 。
【0045】
[乾燥性]
タテ30cm、ヨコ15cm、厚み10cmの直方体試験片を3個準備し、
シリカゲルデシケーター内にて24hr放置したのち、試験片の重量(A)を測定し、水に試験片が浮かないように5分間浸け、取り出しその重さ(A)を経時的に測定し、その含水率変化を次式により求めた。
含水率(%)=(A−A)/A×100 。
【0046】
[使用圧縮処理]
繊維成型体を各評価項目に応じたサイズの試験片に切り出し、初期厚みの50%の位置までの圧縮を3万回繰り返し、繊維成型体の長期使用によるへたり等の状態を得た。
【0047】
[熱回復処理]
恒温乾燥機を用い、各実施例・比較例における所定の温度および時間にて処理した。
【0048】
[厚み回復率・硬度回復率]
使用時受圧面の一辺が15cm、厚みが10cmの試験片を3個準備し、それぞれについて上記の使用圧縮処理を施し、次の定義により求めた。
厚み回復率(%)=(T/T)×100
:使用前における厚み(10cm)。
T:熱回復処理後における厚み。
硬度回復率(%)=(K/K)×100
:使用前における硬度。
K:使用後の熱付与後(熱回復処理後)における硬度。
【0049】
[表面硬度]
高分子機器株式会社製 アスカーF型硬度計を用いて熱回復率の試験片1個につき3回測定し、その平均値で示した。
【0050】
[形態安定性]
熱回復処理後の繊維成形体に、ゆがみやハクリなどの変形・破壊が起きなかったものを○とし、起きたものを×とした。
【0051】
次の3項目について、成型して未使用のままの繊維成型体を「未使用品」とし、また前述の使用圧縮処理と熱回復処理を施したものを「再利用品」とした。
【0052】
[圧縮残留ひずみ]
未使用品と再利用品のそれぞれについて、使用時受圧面の一辺が15cm、厚みが10cmの試験片を3個ずつ準備し、それぞれの試験片について上記の使用圧縮処理を施し、室温で30分間放置した後、厚さt(cm)を測定し、次式による圧縮残留ひずみについて、3つの平均値を算出した。
圧縮残留ひずみ(%)={(10−t)/10}×100 。
【0053】
[圧縮応力損失]
未使用品と再利用品のそれぞれについて、使用時受圧面の一辺が15cm、厚みが10cmの試験片を3個ずつ準備し、それぞれの試験片についてインストロン型の引張り試験機の圧縮装置で圧縮応力200g/cmまでの圧縮・回復曲線を描き、圧縮時100g/cm応力時の圧縮ひずみ率と同等回復率での回復応力(σ)を測定し、次式による圧縮応力損失について、3つの平均値を算出した。
圧縮応力損失(%)={(100−σ)/100)}×100 。
【0054】
[撓み量]
未使用品と再利用品のそれぞれについて、成型時圧縮方向を幅方向にとり、幅10cm、長さ50cm、厚み5cmの試験片を3個ずつ準備した。それぞれの試験片について、水平な台上にのせ、試験片をすべらせて台の端から長さ30cm出した状態で1分間放置後、台の上面と試験片の先端の下面との高さの差(撓み量)をスケールで読みとり、3つの平均値を算出した。
【0055】
(実施例1)
低融点熱可塑性重合体としてイソフタル酸を40モル%共重合したポリエチレンテレフタレート(極限粘度:0.55、融点:110℃)を用いて芯鞘型複合繊維の鞘成分とした。また、通常のポリエチレンテレフタレート(極限粘度0.65、融点255℃)を用いて芯鞘型複合繊維の芯成分とした。鞘成分と芯成分との重量比を50:50とし、吐出量36.22g/min、紡糸温度285℃、紡糸口金孔数24孔、引取速度1350m/minで芯鞘型複合繊維を紡糸した。
【0056】
次いで、この未延伸糸を延伸後のトウ繊度が10万デニールとなるように合糸して、延伸倍率3倍、延伸浴温度80℃で延伸し、クリンパで機械捲縮を付与した。さらに、70℃の熱セッターで乾燥した後、仕上げ油剤を付与して、カット長51mmに切断して、繊度4.4dtex、表面層の融点が約110℃の低融点型繊維の複合短繊維Aを得た。
【0057】
一方、その他の構成繊維として、極限粘度0.65、融点255℃のポリエチレンテレフタレートを用い、紡糸・延伸した後、カット長64mm、繊度約14.4dtex、中空率38%の中空丸断面の短繊維Bを得た。
【0058】
前記複合短繊維Aを40重量%、短繊維Bを60重量%混綿し、ローラーカードでさらに混綿、開繊し、繊維混合物を得た。この繊維混合物を、図2に示すような金型において、その吹込口5から、各面にパンチングが施された、内面の幅×長さ×高さが1000mm×1000mm×1000mmの下金型1に、空気流と共に吹き込んだ。各面にパンチングが施された上金型4で吹き込まれた繊維混合物4を圧縮して、高さ500mm、密度0.040g/cmまで圧縮し、機械的に固定した。金型に圧縮固定した繊維混合物6を、熱風強制循環式の大型乾熱セッターで145℃×20min乾熱セットし、構成繊維同士を熱接着した。
【0059】
この繊維圧縮体の成型時圧縮面に対し垂直な面を使用時受圧面として繊維成型体を得た。
【0060】
さらに、前述した使用圧縮処理と、150℃での熱回復処理を施し、繊維成型体の再利用品を得た。
【0061】
表1に、繊維成型体の未使用品の物性等を、表2に未使用品の乾燥性を、表3に未使用品および再利用品の各評価結果を示す。
【0062】
厚み回復率・硬度回復率・形態安定性はいずれも良好であり、再利用品の圧縮残留ひずみ・圧縮応力損失・撓み量・取扱性・ソフト性などは、未使用品と同等で遜色のないものであった。
【0063】
(実施例2)
熱回復処理を120℃で行った以外は、実施例1を繰り返した。
厚み回復率・硬度回復率・形態安定性はいずれも良好であり、再利用品の圧縮残留ひずみ・圧縮応力損失・撓み量・取扱性・ソフト性およびなどは未使用品と同等で遜色のないものであった。
【0064】
(比較例1)
繊維混合物を金型に入れて圧縮して、乾熱セットにより構成繊維同士を熱接着したところまでは、実施例1を繰り返した。
【0065】
この繊維圧縮体の成型時圧縮面に対し垂直な面を使用時受圧面として繊維成型体を得た。
【0066】
さらに、使用圧縮処理と、150℃での熱回復処理を施し、繊維成型体の再利用品とした。
【0067】
未使用品の取扱性は良好であったが、熱回復処理においてはもとの厚さ以上に膨れ上がり、厚み回復率・硬度回復率ともに悪かった。
また、再利用品は未使用品に比べ圧縮残留ひずみが大きく、圧縮応力損失の変動が大きく、またソフト性の劣るものであった。
【0068】
(比較例2)
熱回復処理を80℃で行った以外は、実施例1を繰り返した。
その結果、充分な厚み回復率・硬度回復率が得られなかった。
【0069】
(比較例3)
熱回復処理を220℃で行った以外は、実施例1を繰り返した。
成型体にゆがみや端部が崩れたりして、形態安定性が劣るものであった。
【0070】
【表1】
Figure 2004169239
【0071】
【表2】
Figure 2004169239
【0072】
【発明の効果】
本発明によれば、変形等なく繊維成型体をへたりから回復させ、その再利用を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の繊維成型体の一例を示す模式的概略断面図である。
【図2】本発明の繊維成型体の製造方法に用いられる装置(金型)の一例を示す模式的概略縦断面図である。
【図3】本発明の繊維成型体の一例を示す模式的概略斜視図である。
【図4】成型時圧縮面と使用時受圧面とを垂直にした場合(実施例1等)と、成型時圧縮面と使用時受圧面とを平行にした場合(比較例1)との、乾燥性を比較したグラフである。
【符号の説明】
1:繊維成形体長さ方向
2:繊維成形体厚み方向
3:繊維成形体幅方向
4:下金型
5:上金型
6:気体および繊維混合物の吹き込み口
7:繊維混合物
8:成型時圧縮方向
9:使用時受圧方向

Claims (3)

  1. 成型時圧縮面に対して使用時受圧面を略垂直にしてなる繊維成型体に対し、使用後に100〜200℃の熱を与える、繊維成型体の再利用品の製造方法。
  2. 熱を与えることによる、使用時受圧方向の厚み回復率が90〜100%、使用時受圧面表面の硬度回復率が70〜100%である、請求項1記載の繊維成型体の再利用品の製造方法。
    厚み回復率と硬度回復率は次の定義に従う。
    厚み回復率(%)=(T/T)×100
    :使用前における厚み。
    T:使用後の熱付与後におけるの厚み。
    硬度回復率(%)=(K/K)×100
    :使用前における表面の硬度。
    K:使用後の熱付与後における表面の硬度。
  3. 繊維成型体を構成する繊維が、融点がその他の構成繊維よりも低い熱可塑性重合体を少なくとも繊維表面に有する低融点型繊維を20〜60重量%含む、請求項1または2記載の繊維成形体。
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