JP2004169173A - 軽量で耐摩耗性に優れた溶射被覆搬送用ロール - Google Patents
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Abstract
【課題】軽量で耐摩耗性に優れた溶射被覆搬送用ロールの提供。
【解決手段】繊維強化樹脂基体ロール表面に、溶射密着性を確保するための下地めっき、あるいは下地めっきと金属溶射を施し、その上に炭化物、酸化物または硼化物の1つ以上を含むサーメット材料あるいは酸化物系セラミックスを溶射する。
【効果】軽量で必要な耐摩耗性を維持していると同時に、慣性モーメントも通常のものより小さいので、ロールの起動、減速、停止に対する必要動力量もすくなく、製品に疵を付けない。
【選択図】 なし
【解決手段】繊維強化樹脂基体ロール表面に、溶射密着性を確保するための下地めっき、あるいは下地めっきと金属溶射を施し、その上に炭化物、酸化物または硼化物の1つ以上を含むサーメット材料あるいは酸化物系セラミックスを溶射する。
【効果】軽量で必要な耐摩耗性を維持していると同時に、慣性モーメントも通常のものより小さいので、ロールの起動、減速、停止に対する必要動力量もすくなく、製品に疵を付けない。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種産業分野における要請が高い、軽量で耐摩耗性に優れ、かつ皮膜の密着性が良好な搬送用ロール、とくに繊維強化樹脂基体ロールに溶射被覆して特性を改善した繊維強化樹脂製表面処理搬送用ロールに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、搬送用ロールとしては、主に鋼鉄製あるいはアルミニウム製の基体が用いられてきた。また、耐摩耗性を付与するための技術としては、めっき、肉盛溶接、溶射などが用いられてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年、ロールの駆動動力の低下、省エネルギー化の要請により、軽量ロールとして繊維強化樹脂基体ロールを用いる例もみられるが、その表面に耐摩耗性を付与するための技術としては硬質クロムめっきが試みられた程度であり、しかも十分な工業的成果を上げているとはいえないのが現状である。
【0004】
鋼鉄製ロールは自重が大きいために慣性も大きくなり、駆動には多くのエネルギーを必要とし、また、起動、停止時にスリップを生じて搬送物に傷を付けることもあった。このため炭素繊維で強化した樹脂ロールが使われることがあるが、耐摩耗性の付与が必要である。
本発明は前記従来技術における問題点を解消し、樹脂基体ロール表面への密着性が大きくかつ耐摩耗性に優れた実用性の高い搬送用ロールを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、軽量ではあるが、耐摩耗性が低いため比較的低温で軟化しやすい樹脂基体ロール表面に、高耐摩耗性の溶射皮膜を形成した構造が有効であることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0006】
前記の知見に基づいてなされた本発明は、繊維強化樹脂基体ロール表面に、溶射密着性を確保するための下地めっき、あるいは下地めっきと金属溶射を施し、その上に炭化物、酸化物または硼化物の1つ以上を含むサーメット材料あるいは酸化物系セラミックスを溶射してなる軽量で耐摩耗性に優れた溶射被覆搬送用ロールを要旨としている。
【0007】
また本発明は、繊維強化樹脂基体ロール表面に溶射密着性を確保するための下地めっきとして、鉄めっき、ニッケルめっきまたはニッケル合金めっき、銅めっきまたは銅合金めっきのいずれかを用いること、この下地めっき層上に金属溶射層を形成すること、前記下地めっき層あるいは下地めっきと金属溶射層の厚さが0.3〜10mmであること、下地めっき層あるいは下地めっきと金属溶射層の上に溶射するサーメット材料が、タングステン炭化物、クロム炭化物、チタン炭化物の1種以上を含有すること、また、下地めっき層あるいは下地めっきと金属溶射層の上に溶射するセラミックス材料が、アルミナ、クロミア、チタニア、シリカ、ジルコニアのうちの1種以上の酸化物を含有すること、さらにまた、セラミックス材料として、Al、Ti、Cr、Feのうちの1種以上と、Yおよび希土類金属の1種以上の酸化物からなる複酸化物セラミックスか、またはその複酸化物を5質量%以上含有するセラミックスであること、そして、繊維強化樹脂基体ロールを構成する強化繊維が炭素繊維であることを要件とした軽量で耐摩耗性に優れた溶射被覆搬送用ロールもその要旨である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の構成と作用を説明する。
従来、樹脂基体ロール表面にサーメット等の皮膜を形成する手段としては、下地処理として金属繊維の巻き付け、有機質・無機質混合層の形成、セラミックス塗布、セラミックスあるいは金属粉分散樹脂を用いる方法などが試みられた。
【0009】
本発明においては、サーメット材料あるいは酸化物系セラミックス溶射層の形成にあたり、樹脂基体ロール表面との溶射密着性を確保するための下地めっき、あるいは下地めっきと金属溶射を施すことによって、工業的価値の高い搬送用ロールが得られた。
【0010】
繊維強化樹脂基体ロールの典型的なものとしては、炭素繊維強化樹脂(CFRP)製をあげることができる。CFRPは軽量かつ高強度であるため本発明ロールの基材として好適なものである。
【0011】
本発明における樹脂基体ロール表面との溶射密着性を確保するための下地めっきとしては、とくに規制するものではないが、樹脂基体ロール表面の通電性の点から、無電解法により初期金属めっきを行なう。そして、めっき厚さが10〜50μmになれば、通電法によるめっきを行なうことが可能となる。そしてめっき層が十分な厚さに達した後は、金属溶射で下地層を形成し得るものである。そしてこの下地層は、後の溶射皮膜への衝撃抵抗と、CRFPに対する耐熱壁を与え得る程度に十分な厚さ(0.3〜10mm)とするものである。もちろん、全層厚さをめっき法で形成することも出来る。
【0012】
前記下地層上に溶射するサーメット材料は、炭化物、酸化物または硼化物の1つ以上を含むもので、金属相としてはCo、Ni、Ni−Cr等単味金属あるいは合金を使うことが出来る。
【0013】
下地層の上に酸化物系セラミックスを直接溶射してもよく、これによって繊維強化樹脂(FRP)の耐摩耗性が改善されるものである。もちろんサーメット層をセラミックス溶射のボンドコートとして使用することも可能である。
【0014】
下地層を形成するめっきとしては、鉄めっき、ニッケルめっき、またはニッケル合金めっき、銅めっきまたは銅合金めっきのいずれかを行なうが、これらを複合して複層めっき皮膜を形成してもよい。多くの場合、低コストの鉄めっきで十分所期の目的を達成することが出来、溶射層に対する結合力も十分高い値が得られる。また、金属溶射を併用してもよいことはいうまでもない。
【0015】
下地層の厚さとしては、後の溶射皮膜がこの下地層によって樹脂基体ロール表面に結合され、かつ溶射熱のFRPへの伝熱を下地層が拡散することで遮断する役割を果たすもので、後の溶射によって下地層が剥離したり、変形してFRP部を痛めてはならないために、0.3mm以上が必要である。
下地層が厚いとロール外殻としての働きも期待できて望ましいが、必要以上に厚くすることは、製造コストおよびロール重量増加の点より好ましくないので、上限を10mmとした。数mm厚さ程度の金属層が好適である。
【0016】
前記下地層上に溶射するセラミックス材料には、アルミナ、クロミア、チタニア、シリカ、ジルコニアの1種以上を含む酸化物セラミックスが使用される。
酸化物セラミックスは耐摩耗性が高く、かつ、皮膜の緻密性を向上して気孔率を小さくするためには、アルミナ、クロミア、ジルコニアとチタンまたはシリカとの複合セラミックスが推奨される。
【0017】
表層溶射セラミックス材料としては、複酸化物セラミックス、またはその複酸化物を5質量%以上含有するセラミックスが使用できる。とくに複酸化物の金属成分がAl、Ti、Cr、Feの1種以上とYおよび希土類金属の1種以上よりなる複酸化物、たとえばAl2Y2O6などはセラミックス強度も高く、融点も比較的低く出来るので、FRP基体を痛めないように溶射皮膜を形成することが出来る。複酸化物を5質量%以上含有することによって、その効果が現われる。
【0018】
本発明では、繊維強化樹脂基体ロールの素材として炭素繊維強化樹脂(CFRP)を採用している。これはCFRPが好適な基体強度と重量をもち、かつ耐食性も得られるからである。その他のFRP基材としては、グラスファイバー繊維強化樹脂、ボロン繊維強化樹脂や金属繊維強化樹脂なども使用できることは言うまでもない。
【0019】
以上のように本発明は、FRP基体ロールの表面上に溶射皮膜の密着層としての下地金属層を所要の厚さ形成することにより、溶射粒子の衝撃力に耐え、耐熱壁となって基体の変形を防止し、引き続き行なわれる溶射層の密着力を高める効果が発揮され、軽量で耐摩耗性の高い搬送用ロールを提供することが出来るものである。
【0020】
下地金属層の形成は、当初は無電解めっきによって行なうが、途中で通電法に切り替えて急速めっきを行なったり、金属層の厚みを数mmと厚くしたい場合には、金属溶射によって下地金属層を補充してもよい。要は、サーメット溶射またはセラミックス溶射によってFRP基体が損傷しないようにすることが重要であって、複数の手段を組み合わせて下地金属層の形成をしてもよく、その厚さを適切に制御することが重要なのである。
【0021】
【発明の効果】
本発明搬送用ロールは、以上説明したように構成されているから、軽量で必要な耐摩耗性を維持していると同時に、慣性モーメントも通常のものより小さいので、ロールの起動、減速、停止に対する必要動力量もすくなく、製品に疵を付けないなど産業上きわめて有用である。
【0022】
【実施例】
本発明を実施例により具体的に説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。
本発明によれば、ロール全体重量が軽減されるので、その工業的価値の高いことは説明する迄もないが、その特性の一部を同一寸法の鉄製パイプロールと対比した結果を示すと次の通りである。
【0023】
上記本発明搬送ロールは、下地金属層・溶射層なしのCFRPロールに比べて数10倍の耐久性を示した。
【0024】
下地金属層を十分厚くすることにより、曲げ剛性、ロールのたわみ量などは、鉄ロールと同等に出来るので、本発明搬送用ロールの工業的効果はきわめて大きい。
本発明搬送用ロールの特徴は次の通りである。
(1)加減速時のロール回転の追従性の向上
(2)高速搬送物とロールとのスリップ防止
(3)ロール回転に必要な動力削減による省エネルギー効果
(4)長時間使用に耐える耐摩耗性
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種産業分野における要請が高い、軽量で耐摩耗性に優れ、かつ皮膜の密着性が良好な搬送用ロール、とくに繊維強化樹脂基体ロールに溶射被覆して特性を改善した繊維強化樹脂製表面処理搬送用ロールに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、搬送用ロールとしては、主に鋼鉄製あるいはアルミニウム製の基体が用いられてきた。また、耐摩耗性を付与するための技術としては、めっき、肉盛溶接、溶射などが用いられてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年、ロールの駆動動力の低下、省エネルギー化の要請により、軽量ロールとして繊維強化樹脂基体ロールを用いる例もみられるが、その表面に耐摩耗性を付与するための技術としては硬質クロムめっきが試みられた程度であり、しかも十分な工業的成果を上げているとはいえないのが現状である。
【0004】
鋼鉄製ロールは自重が大きいために慣性も大きくなり、駆動には多くのエネルギーを必要とし、また、起動、停止時にスリップを生じて搬送物に傷を付けることもあった。このため炭素繊維で強化した樹脂ロールが使われることがあるが、耐摩耗性の付与が必要である。
本発明は前記従来技術における問題点を解消し、樹脂基体ロール表面への密着性が大きくかつ耐摩耗性に優れた実用性の高い搬送用ロールを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、軽量ではあるが、耐摩耗性が低いため比較的低温で軟化しやすい樹脂基体ロール表面に、高耐摩耗性の溶射皮膜を形成した構造が有効であることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0006】
前記の知見に基づいてなされた本発明は、繊維強化樹脂基体ロール表面に、溶射密着性を確保するための下地めっき、あるいは下地めっきと金属溶射を施し、その上に炭化物、酸化物または硼化物の1つ以上を含むサーメット材料あるいは酸化物系セラミックスを溶射してなる軽量で耐摩耗性に優れた溶射被覆搬送用ロールを要旨としている。
【0007】
また本発明は、繊維強化樹脂基体ロール表面に溶射密着性を確保するための下地めっきとして、鉄めっき、ニッケルめっきまたはニッケル合金めっき、銅めっきまたは銅合金めっきのいずれかを用いること、この下地めっき層上に金属溶射層を形成すること、前記下地めっき層あるいは下地めっきと金属溶射層の厚さが0.3〜10mmであること、下地めっき層あるいは下地めっきと金属溶射層の上に溶射するサーメット材料が、タングステン炭化物、クロム炭化物、チタン炭化物の1種以上を含有すること、また、下地めっき層あるいは下地めっきと金属溶射層の上に溶射するセラミックス材料が、アルミナ、クロミア、チタニア、シリカ、ジルコニアのうちの1種以上の酸化物を含有すること、さらにまた、セラミックス材料として、Al、Ti、Cr、Feのうちの1種以上と、Yおよび希土類金属の1種以上の酸化物からなる複酸化物セラミックスか、またはその複酸化物を5質量%以上含有するセラミックスであること、そして、繊維強化樹脂基体ロールを構成する強化繊維が炭素繊維であることを要件とした軽量で耐摩耗性に優れた溶射被覆搬送用ロールもその要旨である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の構成と作用を説明する。
従来、樹脂基体ロール表面にサーメット等の皮膜を形成する手段としては、下地処理として金属繊維の巻き付け、有機質・無機質混合層の形成、セラミックス塗布、セラミックスあるいは金属粉分散樹脂を用いる方法などが試みられた。
【0009】
本発明においては、サーメット材料あるいは酸化物系セラミックス溶射層の形成にあたり、樹脂基体ロール表面との溶射密着性を確保するための下地めっき、あるいは下地めっきと金属溶射を施すことによって、工業的価値の高い搬送用ロールが得られた。
【0010】
繊維強化樹脂基体ロールの典型的なものとしては、炭素繊維強化樹脂(CFRP)製をあげることができる。CFRPは軽量かつ高強度であるため本発明ロールの基材として好適なものである。
【0011】
本発明における樹脂基体ロール表面との溶射密着性を確保するための下地めっきとしては、とくに規制するものではないが、樹脂基体ロール表面の通電性の点から、無電解法により初期金属めっきを行なう。そして、めっき厚さが10〜50μmになれば、通電法によるめっきを行なうことが可能となる。そしてめっき層が十分な厚さに達した後は、金属溶射で下地層を形成し得るものである。そしてこの下地層は、後の溶射皮膜への衝撃抵抗と、CRFPに対する耐熱壁を与え得る程度に十分な厚さ(0.3〜10mm)とするものである。もちろん、全層厚さをめっき法で形成することも出来る。
【0012】
前記下地層上に溶射するサーメット材料は、炭化物、酸化物または硼化物の1つ以上を含むもので、金属相としてはCo、Ni、Ni−Cr等単味金属あるいは合金を使うことが出来る。
【0013】
下地層の上に酸化物系セラミックスを直接溶射してもよく、これによって繊維強化樹脂(FRP)の耐摩耗性が改善されるものである。もちろんサーメット層をセラミックス溶射のボンドコートとして使用することも可能である。
【0014】
下地層を形成するめっきとしては、鉄めっき、ニッケルめっき、またはニッケル合金めっき、銅めっきまたは銅合金めっきのいずれかを行なうが、これらを複合して複層めっき皮膜を形成してもよい。多くの場合、低コストの鉄めっきで十分所期の目的を達成することが出来、溶射層に対する結合力も十分高い値が得られる。また、金属溶射を併用してもよいことはいうまでもない。
【0015】
下地層の厚さとしては、後の溶射皮膜がこの下地層によって樹脂基体ロール表面に結合され、かつ溶射熱のFRPへの伝熱を下地層が拡散することで遮断する役割を果たすもので、後の溶射によって下地層が剥離したり、変形してFRP部を痛めてはならないために、0.3mm以上が必要である。
下地層が厚いとロール外殻としての働きも期待できて望ましいが、必要以上に厚くすることは、製造コストおよびロール重量増加の点より好ましくないので、上限を10mmとした。数mm厚さ程度の金属層が好適である。
【0016】
前記下地層上に溶射するセラミックス材料には、アルミナ、クロミア、チタニア、シリカ、ジルコニアの1種以上を含む酸化物セラミックスが使用される。
酸化物セラミックスは耐摩耗性が高く、かつ、皮膜の緻密性を向上して気孔率を小さくするためには、アルミナ、クロミア、ジルコニアとチタンまたはシリカとの複合セラミックスが推奨される。
【0017】
表層溶射セラミックス材料としては、複酸化物セラミックス、またはその複酸化物を5質量%以上含有するセラミックスが使用できる。とくに複酸化物の金属成分がAl、Ti、Cr、Feの1種以上とYおよび希土類金属の1種以上よりなる複酸化物、たとえばAl2Y2O6などはセラミックス強度も高く、融点も比較的低く出来るので、FRP基体を痛めないように溶射皮膜を形成することが出来る。複酸化物を5質量%以上含有することによって、その効果が現われる。
【0018】
本発明では、繊維強化樹脂基体ロールの素材として炭素繊維強化樹脂(CFRP)を採用している。これはCFRPが好適な基体強度と重量をもち、かつ耐食性も得られるからである。その他のFRP基材としては、グラスファイバー繊維強化樹脂、ボロン繊維強化樹脂や金属繊維強化樹脂なども使用できることは言うまでもない。
【0019】
以上のように本発明は、FRP基体ロールの表面上に溶射皮膜の密着層としての下地金属層を所要の厚さ形成することにより、溶射粒子の衝撃力に耐え、耐熱壁となって基体の変形を防止し、引き続き行なわれる溶射層の密着力を高める効果が発揮され、軽量で耐摩耗性の高い搬送用ロールを提供することが出来るものである。
【0020】
下地金属層の形成は、当初は無電解めっきによって行なうが、途中で通電法に切り替えて急速めっきを行なったり、金属層の厚みを数mmと厚くしたい場合には、金属溶射によって下地金属層を補充してもよい。要は、サーメット溶射またはセラミックス溶射によってFRP基体が損傷しないようにすることが重要であって、複数の手段を組み合わせて下地金属層の形成をしてもよく、その厚さを適切に制御することが重要なのである。
【0021】
【発明の効果】
本発明搬送用ロールは、以上説明したように構成されているから、軽量で必要な耐摩耗性を維持していると同時に、慣性モーメントも通常のものより小さいので、ロールの起動、減速、停止に対する必要動力量もすくなく、製品に疵を付けないなど産業上きわめて有用である。
【0022】
【実施例】
本発明を実施例により具体的に説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。
本発明によれば、ロール全体重量が軽減されるので、その工業的価値の高いことは説明する迄もないが、その特性の一部を同一寸法の鉄製パイプロールと対比した結果を示すと次の通りである。
【0023】
上記本発明搬送ロールは、下地金属層・溶射層なしのCFRPロールに比べて数10倍の耐久性を示した。
【0024】
下地金属層を十分厚くすることにより、曲げ剛性、ロールのたわみ量などは、鉄ロールと同等に出来るので、本発明搬送用ロールの工業的効果はきわめて大きい。
本発明搬送用ロールの特徴は次の通りである。
(1)加減速時のロール回転の追従性の向上
(2)高速搬送物とロールとのスリップ防止
(3)ロール回転に必要な動力削減による省エネルギー効果
(4)長時間使用に耐える耐摩耗性
Claims (7)
- 繊維強化樹脂基体ロール表面に、溶射密着性を確保するための下地めっき、あるいは下地めっきと金属溶射を施し、その上に炭化物、酸化物または硼化物の1つ以上を含むサーメット材料あるいは酸化物系セラミックスを溶射してなる軽量で耐摩耗性に優れた溶射被覆搬送用ロール。
- 繊維強化樹脂基体ロール表面に溶射密着性を確保するための下地めっきとして、鉄めっき、ニッケルめっきまたはニッケル合金めっき、銅めっきまたは銅合金めっきのいずれかを用いた請求項1記載の軽量で耐摩耗性に優れた溶射被覆搬送用ロール。
- 溶射密着性を確保するための下地めっき層あるいは下地めっきと金属溶射層の厚さが0.3〜10mmである請求項1または2記載の軽量で耐摩耗性に優れた溶射被覆搬送用ロール。
- 下地めっき層あるいは下地めっきと金属溶射層の上に溶射するサーメット材料が、タングステン炭化物、クロム炭化物、チタン炭化物の1種以上を含有する請求項1、2または3記載の軽量で耐摩耗性に優れた溶射被覆搬送用ロール。
- 下地めっき層あるいは下地めっきと金属溶射層の上に溶射するセラミックス材料が、アルミナ、クロミア、チタニア、シリカ、ジルコニアのうちの1種以上の酸化物を含有する請求項1、2または3記載の軽量で耐摩耗性に優れた溶射被覆搬送用ロール。
- 下地めっき層あるいは下地めっきと金属溶射層の上に溶射するセラミックス材料が、Al、Ti、Cr、Feのうちの1種以上と、Yおよび希土類金属の1種以上の酸化物からなる複酸化物セラミックスか、またはその複酸化物を5質量%以上含有するセラミックスである請求項1、2または3記載の軽量で耐摩耗性に優れた溶射被覆搬送用ロール。
- 繊維強化樹脂基体ロールを構成する強化繊維が炭素繊維である請求項1ないし6のいずれかに記載の軽量で耐摩耗性に優れた溶射被覆搬送用ロール。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002371099A JP2004169173A (ja) | 2002-11-19 | 2002-11-19 | 軽量で耐摩耗性に優れた溶射被覆搬送用ロール |
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JP2002371099A JP2004169173A (ja) | 2002-11-19 | 2002-11-19 | 軽量で耐摩耗性に優れた溶射被覆搬送用ロール |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2004169173A true JP2004169173A (ja) | 2004-06-17 |
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JP2002371099A Pending JP2004169173A (ja) | 2002-11-19 | 2002-11-19 | 軽量で耐摩耗性に優れた溶射被覆搬送用ロール |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004169173A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009511751A (ja) * | 2005-10-19 | 2009-03-19 | プラックセアー エス.ティ.テクノロジー、 インコーポレイテッド | 部材のコーティング法 |
WO2009150868A1 (ja) * | 2008-06-10 | 2009-12-17 | 日鉄ハード株式会社 | 耐Mnビルドアップ性、耐熱衝撃性、耐摩耗性に優れたハースロール、及び、その溶射材料 |
-
2002
- 2002-11-19 JP JP2002371099A patent/JP2004169173A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009511751A (ja) * | 2005-10-19 | 2009-03-19 | プラックセアー エス.ティ.テクノロジー、 インコーポレイテッド | 部材のコーティング法 |
WO2009150868A1 (ja) * | 2008-06-10 | 2009-12-17 | 日鉄ハード株式会社 | 耐Mnビルドアップ性、耐熱衝撃性、耐摩耗性に優れたハースロール、及び、その溶射材料 |
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A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080722 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20081209 |