JP2004169084A - 窒化した部材の利用方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】アンモニアの製造プロセス、青酸合成、プロピレンのアンモ酸化によるアクリロニトリルの製造プロセス等で使用し、高温高圧のアンモニアが分解して生じた発生期の窒素によって表面部が窒化し、脆化した炭素鋼からなる部材を、その延性を回復させ、利用する方法に関する。
【解決手段】高温高圧のアンモニアによって窒化して脆化した炭素鋼からなる部材を、酸素含有ガス中、550〜1000℃の温度で0.5〜7時間熱処理した後、再使用することを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】高温高圧のアンモニアによって窒化して脆化した炭素鋼からなる部材を、酸素含有ガス中、550〜1000℃の温度で0.5〜7時間熱処理した後、再使用することを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高温高圧のアンモニアによって窒化して脆化した炭素鋼からなる部材を利用する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高温高圧のアンモニアを処理する装置では、金属の窒化物の生成、いわゆる窒化により、使用部材が硬化し、延性が低下する、すなわち脆化する。窒化を改善するには、Ni成分の高い合金を用いること、また炭素鋼は窒化の進行が遅く、窒化されても硬化し難いとされている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
【非特許文献1】
「圧力技術」 第18巻、第1号、第39−46頁、1980年(第45頁左欄下から19行−右欄5行)
【0004】
しかしながら、Ni成分の高い合金を用いる方法は、材料が高価になること、また加工し難くなるという問題がある。また炭素鋼を用いた場合でも窒化は起こり、長期の使用期間中には窒化が進行し、定期的に脆化した部材は新しいものに取り替える必要があった。延性が回復して再使用できれば、特に形状が複雑な部材では、その経済的効果は大きく、利用方法の開発が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高温高圧のアンモニアによって窒化して脆化した炭素鋼からなる部材の延性を回復させ、利用する方法に関する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる課題を解決するために鋭意検討した結果、高温高圧のアンモニアによって窒化して脆化した炭素鋼を550〜1000℃で熱処理することによって、延性が回復し、再使用できることを見出し、本発明に至った。
【0007】
すなわち本発明は、高温高圧のアンモニアによって窒化して脆化した炭素鋼からなる部材を、酸素含有ガス中、550〜1000℃の温度で0.5〜7時間熱処理した後、再使用することを特徴とする窒化した部材の利用方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
アンモニアの製造プロセス、青酸合成、プロピレンのアンモ酸化によるアクリロニトリルの製造プロセス等で使用し、高温高圧のアンモニアに接する炭素鋼は、条件による差はあるが、炭素鋼の触媒作用によりアンモニアが分解し、生じた発生期の窒素が鋼表面に吸着、拡散して、炭素鋼成分と窒化物を形成する。すなわち炭素鋼が窒化する。このことによって炭素鋼は脆化する。この窒化して脆化した炭素鋼からなる部材を熱処理することによって、延性が回復し、再使用が可能となる。
【0009】
熱処理は、酸素含有ガス中、例えば純酸素ガス中、酸素と窒素等との混合ガス中または空気中で行われる。通常、空気中で行われる。
【0010】
熱処理温度は、約550〜1000℃、好ましくは約650〜1000℃、更に好ましくは約750〜950℃である。約550℃より低いと、延性の回復は不十分となり好ましくない。1000℃を超える温度で行ってもよいが、この場合、酸化スケールの生成が顕著となるため好ましくない。
【0011】
熱処理時間は、温度にもよるが、約0.5〜7時間、好ましくは1〜3時間である。低い温度では長く加熱する必要があり、高い温度では短い時間で延性は回復する。約0.5時間未満では延性の回復は不十分であり、7時間を超えて行ってもそれに見合った硬化は得られない。
【0012】
熱処理終了後、放冷する。この熱処理によって、窒化した炭素鋼は、JISのへん平試験を満足する延性を回復し、再使用が可能になる。複雑な形状をしたものでも、容易に延性を回復し、元の部材として再使用が可能になるため、新しく作製して取り替えるのに比べて、経済的効果は大きい。
【0013】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明について説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
炭素鋼の評価は次のように行った。
(1)硬度(HV0.3)測定
JIS Z2244に記載のビッカース硬さ試験方法によって行った。
(2)窒素分析
JIS G1228に記載の不活性ガス搬送融解−熱伝導度法によって行った。
(3)へん平試験
JIS G3456に記載の方法によって行った。
【0014】
実施例1
高温高圧のアンモニアによって窒化し、脆化した炭素鋼鋼管(STPT370、サイズ:2B、長さ:50mmおよび60mm)について、空気中で温度、時間を変えて加熱した後、放冷した。この熱処理後、硬度測定、窒素分析およびへん平試験を行った。硬度測定結果を表1に、窒素分析結果を表2に、へん平試験結果を表3に示す。
熱処理による窒素濃度の変化は殆どないが、硬度はかなり低下、すなわち延性がかなり回復している。へん平試験では、熱処理したものは密着させるぐらい変形させても傷や割れの発生は見られないが、熱処理していないものは殆ど変形することなく割れが発生した。このように酸素含有ガス中、550〜1000℃の温度で0.5〜7時間熱処理することによって、窒化して脆化した炭素鋼からなる部材を再使用できる。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】
【表3】
* 1 : 割れ発生時の値
* 2 : 密着時の値
JIS G3456に記載の試験方法では、本鋼管の場合、外径をH=42mm(変形量18.5 mm(60.5−42))まで圧縮し、傷、割れの有無を調べることになっているが、割れが発生したサンプルはその時点で試験を終了し、割れが発生しないサンプルについては密着するまで圧縮した。
【0018】
【発明の効果】
本発明の方法によって、高温高圧のアンモニアによって窒化して脆化した炭素鋼からなる部材の延性が容易に回復し、再使用することが可能になる。複雑な形状をしたものでも、容易にその延性を回復し、元の部材として再使用が可能になるため、新しく作製して取り替えるのに比べて、その経済的効果は大きい。
【発明の属する技術分野】
本発明は、高温高圧のアンモニアによって窒化して脆化した炭素鋼からなる部材を利用する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高温高圧のアンモニアを処理する装置では、金属の窒化物の生成、いわゆる窒化により、使用部材が硬化し、延性が低下する、すなわち脆化する。窒化を改善するには、Ni成分の高い合金を用いること、また炭素鋼は窒化の進行が遅く、窒化されても硬化し難いとされている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
【非特許文献1】
「圧力技術」 第18巻、第1号、第39−46頁、1980年(第45頁左欄下から19行−右欄5行)
【0004】
しかしながら、Ni成分の高い合金を用いる方法は、材料が高価になること、また加工し難くなるという問題がある。また炭素鋼を用いた場合でも窒化は起こり、長期の使用期間中には窒化が進行し、定期的に脆化した部材は新しいものに取り替える必要があった。延性が回復して再使用できれば、特に形状が複雑な部材では、その経済的効果は大きく、利用方法の開発が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高温高圧のアンモニアによって窒化して脆化した炭素鋼からなる部材の延性を回復させ、利用する方法に関する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる課題を解決するために鋭意検討した結果、高温高圧のアンモニアによって窒化して脆化した炭素鋼を550〜1000℃で熱処理することによって、延性が回復し、再使用できることを見出し、本発明に至った。
【0007】
すなわち本発明は、高温高圧のアンモニアによって窒化して脆化した炭素鋼からなる部材を、酸素含有ガス中、550〜1000℃の温度で0.5〜7時間熱処理した後、再使用することを特徴とする窒化した部材の利用方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
アンモニアの製造プロセス、青酸合成、プロピレンのアンモ酸化によるアクリロニトリルの製造プロセス等で使用し、高温高圧のアンモニアに接する炭素鋼は、条件による差はあるが、炭素鋼の触媒作用によりアンモニアが分解し、生じた発生期の窒素が鋼表面に吸着、拡散して、炭素鋼成分と窒化物を形成する。すなわち炭素鋼が窒化する。このことによって炭素鋼は脆化する。この窒化して脆化した炭素鋼からなる部材を熱処理することによって、延性が回復し、再使用が可能となる。
【0009】
熱処理は、酸素含有ガス中、例えば純酸素ガス中、酸素と窒素等との混合ガス中または空気中で行われる。通常、空気中で行われる。
【0010】
熱処理温度は、約550〜1000℃、好ましくは約650〜1000℃、更に好ましくは約750〜950℃である。約550℃より低いと、延性の回復は不十分となり好ましくない。1000℃を超える温度で行ってもよいが、この場合、酸化スケールの生成が顕著となるため好ましくない。
【0011】
熱処理時間は、温度にもよるが、約0.5〜7時間、好ましくは1〜3時間である。低い温度では長く加熱する必要があり、高い温度では短い時間で延性は回復する。約0.5時間未満では延性の回復は不十分であり、7時間を超えて行ってもそれに見合った硬化は得られない。
【0012】
熱処理終了後、放冷する。この熱処理によって、窒化した炭素鋼は、JISのへん平試験を満足する延性を回復し、再使用が可能になる。複雑な形状をしたものでも、容易に延性を回復し、元の部材として再使用が可能になるため、新しく作製して取り替えるのに比べて、経済的効果は大きい。
【0013】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明について説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
炭素鋼の評価は次のように行った。
(1)硬度(HV0.3)測定
JIS Z2244に記載のビッカース硬さ試験方法によって行った。
(2)窒素分析
JIS G1228に記載の不活性ガス搬送融解−熱伝導度法によって行った。
(3)へん平試験
JIS G3456に記載の方法によって行った。
【0014】
実施例1
高温高圧のアンモニアによって窒化し、脆化した炭素鋼鋼管(STPT370、サイズ:2B、長さ:50mmおよび60mm)について、空気中で温度、時間を変えて加熱した後、放冷した。この熱処理後、硬度測定、窒素分析およびへん平試験を行った。硬度測定結果を表1に、窒素分析結果を表2に、へん平試験結果を表3に示す。
熱処理による窒素濃度の変化は殆どないが、硬度はかなり低下、すなわち延性がかなり回復している。へん平試験では、熱処理したものは密着させるぐらい変形させても傷や割れの発生は見られないが、熱処理していないものは殆ど変形することなく割れが発生した。このように酸素含有ガス中、550〜1000℃の温度で0.5〜7時間熱処理することによって、窒化して脆化した炭素鋼からなる部材を再使用できる。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】
【表3】
* 1 : 割れ発生時の値
* 2 : 密着時の値
JIS G3456に記載の試験方法では、本鋼管の場合、外径をH=42mm(変形量18.5 mm(60.5−42))まで圧縮し、傷、割れの有無を調べることになっているが、割れが発生したサンプルはその時点で試験を終了し、割れが発生しないサンプルについては密着するまで圧縮した。
【0018】
【発明の効果】
本発明の方法によって、高温高圧のアンモニアによって窒化して脆化した炭素鋼からなる部材の延性が容易に回復し、再使用することが可能になる。複雑な形状をしたものでも、容易にその延性を回復し、元の部材として再使用が可能になるため、新しく作製して取り替えるのに比べて、その経済的効果は大きい。
Claims (3)
- 高温高圧のアンモニアによって窒化して脆化した炭素鋼からなる部材を、酸素含有ガス中、550〜1000℃の温度で0.5〜7時間熱処理した後、再使用することを特徴とする窒化した部材の利用方法。
- 650〜1000℃の温度で熱処理を行う請求項1記載の方法。
- 空気中で熱処理を行う請求項1記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002334784A JP2004169084A (ja) | 2002-11-19 | 2002-11-19 | 窒化した部材の利用方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002334784A JP2004169084A (ja) | 2002-11-19 | 2002-11-19 | 窒化した部材の利用方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004169084A true JP2004169084A (ja) | 2004-06-17 |
Family
ID=32699076
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002334784A Pending JP2004169084A (ja) | 2002-11-19 | 2002-11-19 | 窒化した部材の利用方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004169084A (ja) |
-
2002
- 2002-11-19 JP JP2002334784A patent/JP2004169084A/ja active Pending
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