JP2004169016A - コークス炉の熱間補修作業用断熱ボックスおよび断熱ボックス等のコークス炉への装入装置 - Google Patents

コークス炉の熱間補修作業用断熱ボックスおよび断熱ボックス等のコークス炉への装入装置 Download PDF

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紀幸 平賀
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Abstract

【課題】炭化室内への出し入れが容易で、かつ十分に広い作業空間を有するコークス炉の熱間補修作業用断熱ボックス、また、炭化室内への出し入れが容易な、コークス炉の熱間補修作業用断熱ボックス等のコークス炉への装入装置を提供すること。
【解決手段】コークス炉の熱間補修の際に作業空間を冷却するために炭化室内に挿入される箱型の断熱ボックスであって、幅方向を伸縮可能に構成したことを特徴とする、コークス炉の熱間補修作業用断熱ボックスを用いる。また、断熱ボックスを炭化室に装入するために、コークス炉に沿って設置されたガイド車用のレールを走行する台車と、該台車上部に設置された断熱ボックスの支持機構とを有し、該支持機構は、前記台車上の断熱ボックスをその両側から支持することで、断熱ボックスをコークス炉への装入可能な直立状態に保持するように構成された、断熱ボックスのコークス炉への装入装置を用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、製鉄等に用いるコークスを製造するためのコークス炉において、炭化室と燃焼室を隔てる煉瓦壁や燃焼室の煉瓦等の積み替えを行う、熱間補修作業用断熱ボックスおよび断熱ボックス等のコークス炉への装入装置に関するものである。
製鉄に用いるコークスを製造するためのコークス炉は、図5に示すように石炭をコークス化する炭化室51と、炭化室に熱を供給する燃焼室52とが交互に並列した構造を有し、炭化室51と燃焼室52を隔てる煉瓦壁(以下側壁と記載する)からの熱伝導により燃焼室52から炭化室51への熱の供給が行われる。炭化室51に投入された常温の石炭は加熱されてコークスに乾留され、炭化室51の一方の端から押し出し搬出される。このようにコークス炉の側壁は激しい温度サイクルにさらされ、且つ石炭・コークスの搬入・搬出で繰り返し摩擦を受けるので、多くの場合、高温での体積変化が比較的小さく、熱伝導性が良く、機械的強度が大きい珪石煉瓦を用いて構築される。炭化室51と燃焼室52の下部には蓄熱室53を、上部には天井煉瓦54が設けられている。
上記のように煉瓦壁で構成されているコークス炉は、一度操業を開始して高温状態とした後に常温まで冷却すると、煉瓦の転移現象による急激な体積変化が起こり崩壊する恐れがあるので、通常は1000℃を超える高温状態に保たれている。しかし、側壁は上記のように過酷な使用環境に曝されているので、亀裂、角欠け等が発生して適宜補修する必要が生じる。珪石煉瓦は温度に依存して熱膨張率が大きく変化し、270℃付近と560℃付近で急激に膨張・収縮する性質を有するので、側壁等の補修を行う際には補修対象の炉内を600℃程度以上に保持して行うことが煉瓦の崩壊を防ぐ上で好ましい。一方で補修のためには炉内に人が入って作業を行なう必要があるため、作業空間は冷却する必要があり、炭化室内に、板状の断熱材である断熱パネル、断熱材を箱型に構成した断熱ボックス等を挿入して断熱してから炉内に人が入り煉瓦壁が高温状態のままで煉瓦の部分的な積み替え等を行う熱間補修が行われている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照。)。
特開平5−239462号公報 特開平5−239463号公報 特開平6−41538号公報
炭化室の炉内幅は通常400〜500mm程度と狭く、特許文献1、特許文献2、特許文献3等に開示されている断熱ボックスをコークス炉の熱間補修に用いる場合、断熱ボックス内の作業性を考慮すると断熱ボックスの幅は広いほど好ましく、断熱の効果からも側壁に密着することが好ましいが、側壁の損傷の程度や、側壁への補修材の付着具合の差等により、炉内幅は不均一であり予測が困難である。また、断熱ボックスは、例えば高さが4000mm、奥行きが5000mm、幅500mm以下と、細長く不安定な構造であるため、直立させること自体が難しく、このような不安定な断熱ボックスの幅をできるだけ広く設定すると側壁に衝突し易くなり、断熱ボックスの炉内への出し入れがより困難になるという問題がある。特許文献3には断熱ボックスの設置方法も開示されているが、チェーンを用いて断熱ボックスを牽引する方法であり、断熱ボックスの幅が大きい程、炉内への出し入れが困難となる点は解決できない。
したがって本発明の目的は、このような従来技術の課題を解決し、炭化室内への出し入れが容易で、かつ十分に広い作業空間を有するコークス炉の熱間補修作業用断熱ボックスを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、炭化室内への出し入れが容易な、コークス炉の熱間補修作業用断熱ボックス等のコークス炉への装入装置を提供することにある。
このような課題を解決するための本発明の特徴は以下の通りである。
(1)コークス炉の熱間補修の際に作業空間を冷却するために炭化室内に挿入される箱型の断熱ボックスであって、幅方向を伸縮可能に構成したことを特徴とする、コークス炉の熱間補修作業用断熱ボックス。
(2)コークス炉の熱間補修の際に作業空間を冷却するための箱型の断熱ボックスを炭化室に装入するための装置であって、コークス炉に沿って設置されたガイド車用のレールを走行する台車と、該台車上部に設置された断熱ボックスの支持機構とを有し、該支持機構は、前記台車上の断熱ボックスをその両側から支持することで、断熱ボックスをコークス炉への装入可能な直立状態に保持するように構成されたことを特徴とする、断熱ボックスのコークス炉への装入装置。
(3)コークス炉の熱間補修の際に用いる断熱パネルを炭化室に装入するための装置であって、コークス炉に沿って設置されたガイド車用のレールを走行する台車と、該台車上部に設置された断熱パネルの支持機構とを有し、該支持機構は、前記台車上の断熱パネルをその両側から支持することで、断熱パネルをコークス炉への装入可能な直立状態に保持するように構成されたことを特徴とする、断熱パネルのコークス炉への装入装置。
本発明によれば、コークス炉の熱間補修において、炭化室内への出し入れが容易で、かつ十分に広い作業空間を有する断熱ボックスを提供できる。また、本発明の断熱ボックス等の装入装置を用いれば、断熱ボックスや断熱パネルを容易に炭化室内に装入できる。また、コークス炉の大規模な熱間補修にも対応でき、これを効率的に進めることができるので、コークス炉の寿命を延長させて、従来よりも長期間の稼動を可能にできる。
本発明のコークス炉の熱間補修作業用断熱ボックスの一実施形態を図1、図2、図3を用いて説明する。図1は断熱ボックスの主用部の斜視図、図2は断熱ボックスの正面図、図3は側面図である。断熱ボックスは、枠材1からなる枠体と、この枠体の外側に取付けられる断熱材とで構成されている。
図1において、枠体は、断熱ボックスの側面を形成する枠材1A1、枠材1A2、枠材1A1と枠材1A2とを連結して断熱ボックスの上下面、および正面とを形成する枠材1Bにより構成される。断熱ボックスの後面は枠材1Bを設けず開口部とすることで、断熱ボックス内への出入りを容易にしている。断熱ボックスの幅方向(図2におけるD方向)を伸縮自在とするために、枠材1A1および1A2を連結する枠材1Bは、ヒンジで折り曲げ可能な連結材とする。さらに断熱ボックスの幅方向を伸縮自在とする手段として、枠材1A1と1A2とをジャッキ1Cで連結する。
枠体の外側に取付けられる断熱材には、セラミックファイバーブランケット、断熱シート、断熱クロス等を用いることができる。伸縮自在である幅方向の断熱材には、柔軟性のあるセラミックファイバーブランケット、断熱シート、断熱クロス等を用い、断熱ボックスの伸縮を妨げないよう余裕を持たせて枠材に取付ける。
通常コークス炉側壁の補修は、一回に一つの炭化室の一方の側壁のみを行なうので、補修を行なう側壁側の断熱ボックスの側面(補修サイド)の断熱材を適宜除去して窓を形成し、前記窓より煉瓦の積み替え補修等を行なう。したがって補修サイドの断熱材は部分的に除去し易いものが好ましく、セラミックファイバーブランケット、断熱シート、断熱クロス等がこの点でも適当である。補修を行なわない側壁側の断熱ボックスの側面(非補修サイド)は、より十分な断熱性を有することが好ましく、例えば、シリカと有機材系微細多孔構造体を50mm厚さ程度のシート状に成形した断熱材や、ウレタンフォーム、ロックウール、グラスウール、アルミナ繊維等を用いた断熱シート等をライニングすることが好ましい。枠材としては、鉄骨を用いることが好適であるが、補修サイドの枠材も、補修の際の作業性向上のために取り外しが容易であることが好ましく、補修サイドの枠材は、短い棒材をつなぎ合わせた鉄骨を用いることが好ましい。
断熱ボックス内の冷却は、空気吹き込みノズルと、排気ダクトにより行なう。図3に示すように、冷却用の空気吹込みノズル4を、非補修サイドの枠材に設ける。図3において、紙面に向って右端が断熱ボックスを炭化室に装入した際の炭化室の開口部側に相当し、空気吹込みノズル4の吹込み口6を右側開口部下部に、空気吹込みノズルの吹出し口7を断熱ボックス下部奥と断熱ボックスの右側開口部上部に設ける。また、断熱ボックス上部および奥側(図3の紙面に向かって左側)に排気ダクト5を設け、排気ダクト最端部に排気空気排気用のファン8を設ける。
断熱ボックスの最下部に車輪3を取りつけると、断熱ボックスの炭化室への出し入れをスムーズにすることができるので好ましい。また、断熱ボックスを分割可能な構造とすることで、トラックへの積みこみが困難な大きさの場合でも、搬送性を良好にすることができる。例えば、図3のEとFの2つの部分に分割した形で断熱ボックスを製造し、コークス炉まで搬送し、つなぎ合わせて一体化して炭化室に装入する。
断熱ボックスの幅方向を伸縮自在とするためには、上記の他に、図1における枠材1Bを、径の大きなパイプ内に径の小さなパイプを挿入する構成とすることで、ジャッキを用いてスライド可能とする、枠材1Bをすべてジャッキと置換するなど、任意の方法を用いることができる。
断熱ボックスの炭化室の炉幅方向の長さの調整は、断熱ボックス内の作業者が行なうことも可能であるが、遠隔操作でコークス炉外より行なうことが好ましい。コークス炉内は高温であり、作業者の作業時間は短いほど好ましく、また、できるだけ早く断熱ボックスを側壁に接触させて側壁の温度低下を最小限とするためである。
以上のように、本発明の断熱ボックスは幅方向が伸縮可能であるので、コークス炉への出し入れの際に側壁との間にある程度の間隔を確保でき、搬入出が容易であるが、細長く不安定な直立しにくい形状である上に、コークス炉の炭化室入口上部には諸設備を有するため、レッカー等で吊り込みを行なうと、設備の損傷や、断熱ボックス横転の危険があるので、以下に述べる断熱ボックスのコークス炉への装入装置を用いることが望ましい。
本発明の断熱ボックスのコークス炉への装入装置は、コークス炉の熱間補修の際に作業空間を冷却するための箱型の断熱ボックスを炭化室に搬出入するための装置であって、コークス炉に沿って設置されたガイド車用のレールを走行する台車と、該台車上部に設置された断熱ボックスの支持機構とを有し、該支持機構は、前記台車上の断熱ボックスをその両側から支持することで、断熱ボックスをコークス炉への装入可能な直立状態に保持するように構成されたことを特徴とするものである。コークス炉の両サイドにコークス炉に沿って設置されたガイド車用のレール(軌条)は、通常のコークス炉の操業時には石炭の押出し装置や、押出された石炭を受ける容器を載せたガイド車が走行するためのものであり、本断熱ボックスの装入装置はこれを利用するものである。図4に本発明の断熱ボックスのコークス炉への装入装置の一実施形態を示す。図4において、台車41上には断熱ボックスの支持機構42が炭化室炉幅以下、断熱ボックスの幅以上の間隔を置いて2つ配置され、断熱ボックスをその両側から支持する。断熱ボックスの支持機構42は、断熱ボックスの高さの半分程度の高さを有し、2つの断熱ボックスの支持機構42の間に断熱ボックス43を置くことで、断熱ボックスの転倒を防止して直立させることができる。台車41の床レベルが炭化室の炉底レベルとほぼ同じであると、断熱ボックス43の搬出入が容易であるので望ましい。台車41の床レベルと炭化室の炉底レベルとに差がある場合には、さらに台車41に断熱ボックス43の上下方向移動機構を設置する必要がある。また、断熱ボックスの支持機構42の断熱ボックスと接触する部分に一対以上のガイドローラ44を設置すると、断熱ボックス43の搬出入をよりスムーズに行なうことができる。ガイドローラーは断熱ボックスの支持機構42の両端に設置することが望ましく、図4では手前側に2対、図示されない炉の入口側に2対、合計4対のガイドローラが設置されている。ガイドローラ44の間隔を調整可能とすることで、断熱ボックス43直立時の垂直性を調整することもできる。断熱ボックスの支持機構42には作業足場45を設けることも可能である。台車41はガイド車の用レール46を走行する。断熱ボックス43を炭化室内へ装入するための水平方向移動機構は、必ずしも断熱ボックスの装入装置に設置する必要はなく、チェーンブロック、ウインチ、チルホールド等の押込み装置を用いて断熱ボックスのコークス炉への搬入、搬出を行なうことが好ましい。
本発明の断熱ボックスの装入装置は、本発明の断熱ボックス以外の従来の断熱ボックスの搬出入に用いる場合にも同様に効果的である。また、断熱ボックスと同様の目的で使用される断熱パネルを炭化室に装入する場合にも利用できる。
コークス炉の熱間補修は、本発明のコークス炉の熱間補修作業用断熱ボックスおよび断熱ボックス等のコークス炉への装入装置を用いて、例えば以下のように行なうことができる。
まず本発明の断熱ボックスをレッカー等で本発明の断熱ボックス装入装置に上架する。断熱ボックスの断熱ボックス装入装置への搭載は、コークス炉の窯口付近で行なうと、上部の設備を破損させる恐れがあるので、破損の危険のない場所で行なう。その後、断熱ボックス装入装置はガイド車用のレール上を走行して、補修を行なう炭化室前で停止する。通常のコークス炉操業で用いるガイド車用のレールを使用するので、既存の設備を利用して炭化室の窯口に対する位置合わせを行なうことができる。断熱ボックスは、チェーンブロック等を利用した水平方向移動機構を用いて炭化室内に水平移動して装入される。断熱ボックスの炭化室の炉幅方向の長さは、炭化室の炉幅に比べて、例えば50mm程度短くしてあり、炭化室への装入を容易にする。断熱ボックスは支持機構で支持されながら装入されるので、ほぼ直立した状態であり、スムーズに炭化室内に装入することができる。
次に、炭化室内に装入した断熱ボックスの幅をジャッキにより広げて(炭化室の炉幅方向の長さを、上記の場合は50mm程度大きくして)、断熱ボックスを炭化室の側壁面に当接させる。断熱ボックスの断熱材が炉壁に接触するまで幅を広げることが可能であるので、作業空間を最大とすることができる。また、補修作業を行なわない側の側壁面の保温効果も高まる。作業空間中に設置されたジャッキは補修の際に障害となるので、ジャッキをピン等を用いて枠材に固定する構成として取り外し可能とし、補修の際には除去することが望ましい。断熱ボックス内の冷却は冷風の送気により行なう。図3において、炭化室入口下部の吹込み口6より吹込みノズル4に冷風を吹き込み、下部奥の吹出し口7で一部吹出させるとともに、側面の全体的に冷却するように適宜分岐して循環させて、炭化室入口上部の吹出し口7で吹出す構造とする。また、炭化室入口上部で、排気空気排気用のファン8により断熱ボックス上部および奥の側部に設けた排気ダクト5を吸引して排気することで、断熱ボックス内の空気を循環させる。断熱ボックス内が所定の温度に冷却された後、作業者が断熱ボックス内に入り、補修個所に該当する位置の断熱材をはがし、また必要に応じて枠材も部分的に取り外して、断熱ボックスに窓を開けるようにして開口部を形成し、開口部より煉瓦の積み替え等の補修作業を行なう。任意の位置の補修を行なうことが可能であり、側壁の広範囲を補修することも可能である。1つの燃焼室の両側の炭化室に断熱ボックスを装入して、燃焼室全体の補修を行なうことも可能である。断熱ボックス装入装置の足場は、断熱ボックスをレッカー等で本発明の断熱ボックス装入装置に上架したりつり出したりする際に利用する。
補修作業終了後は、冷風の送気を終了し、取り外したジャッキを元の場所に取付け、搬出し易いようにジャッキにより断熱ボックスの幅を縮め、水平移動機構を用いて炭化室から断熱ボックスを搬出し、断熱ボックスを断熱ボックス装入装置に搭載する。断熱ボックス装入装置はガイド車用のレール上を走行して、安全に断熱ボックスをレッカーで吊り出せる場所まで移動する。断熱ボックス装入装置より断熱ボックスをレッカーで吊り下ろし、新しい断熱ボックスを断熱ボックス装入装置に搭載する。断熱ボックス装入装置はガイド車レールを走行して、次の補修が必要な炭化室の窯口に移動する。
本発明の断熱ボックス装入装置はガイド車用のレールを利用するので移動が容易であり、上記のように連続して複数の炭化室に断熱ボックスを装入してコークス炉の熱間補修を行なう、大規模補修の場合に特に効果を発揮する。また、炭化室内の側壁の補修が広範囲に及ぶほど、大きな断熱ボックスが必要であり、断熱ボックスはサイズが大であるほど、炭化室への装入が困難であるので、本発明の断熱ボックスおよび断熱ボックス等のコークス炉への装入装置を用いる効果も大きい。本発明の断熱ボックスおよび断熱ボックス等のコークス炉への装入装置を用いれば、コークス炉のほぼ全ての側壁、すなわち燃焼室部分の煉瓦を全て積み替えてコークス炉全体を補修する大規模補修も効率的に行なうことができる。断熱パネルを用いてコークス炉の大規模補修を行なう場合も、本発明の断熱ボックス等の挿入装置を用いると同様に効果的である。
断熱ボックスを炭化室から搬出した後に炭化室を操業温度まで昇温させる。昇温の際には、鉄板に綿状の断熱材を取りつけた簡易な炉蓋を用いて炭化室入口を塞ぐことも可能であるが、外気の炉内への侵入を防止可能な気密性を有し、炉内の温度調整機構を有する専用の炉蓋を用いることが好ましい。
珪石煉瓦の昇温の際には煉瓦の損傷の危険があるので、きめ細かい温度管理が必要である。この際に炭化室入口を塞ぐために用いる炉蓋は、外気の侵入を防止するための通常の炉蓋が有するのと同程度以上の気密性と、昇温時の炉内温度を制御するための温度調整機構とを有することが望ましい。炉蓋は、金属板の本体と断熱材で形成することが望ましく、気密性のためには、炉蓋本体の炭化室入口側に取りつける断熱材を、耐熱繊維からなる綿状のファイバーとすることが好ましい。断熱材は、例えば200mm程度の厚さとすることで断熱性と気密性を充分とすることができる。耐熱繊維からなる綿状のファイバーとしては、例えばセラミックファイバー等を用いることができる。温度調整機構としては、たとえば炉蓋に開口部を設定して、その開口部に開口部を密閉できると同時に、取り外しの容易な蓋を設置して、炉内の温度に応じて炉蓋開口部の蓋を開閉して温度を調節することができる。炉蓋が高さ方向に複数の蓋付きの開口部を有することで、特に炉内の上下の温度差の微調整が可能である。炉内温度は、炉蓋に温度測定端子挿入用の開口部を設置して、温度センサー等を挿入して測定することができる。炉蓋に開口部を設置する場合は、その部分の断熱材を取り除く必要があるが、開口部に設置する蓋を開口部への差し込み式にする場合には、断熱材が開口部に設置する蓋に接触して変形させないように注意する必要がある。
このような補修時専用の炉蓋を用いることで、煉瓦に必要以上の応力をかけることなく、煉瓦の損傷を防止しながら、効率的に補修炭化室の昇温を行うことが可能となる。理想的な昇温曲線に近い状態で炭化室を加熱することも可能となる。これにより炉体も長寿命化する。
本発明の断熱ボックスの主用部の斜視図である。 本発明の断熱ボックスの正面図である。 本発明の断熱ボックスの側面図である。 本発明の断熱ボックス等の装入装置の概略図である。 コークス炉の構造を示す概略図である。
符号の説明
1 枠材
1A1、1A2 枠材(側面)
1B 枠材(連結材)
1C ジャッキ
2 断熱材
3 車輪
4 吹込みノズル
5 排気ダクト
6 吹込み口
7 吹出し口
8 排気空気排気用のファン
41 台車
42 支持機構
43 断熱ボックス
44 ガイドローラ
45 作業足場
46 ガイド車用のレール
51 炭化室
52 燃焼室
53 蓄熱室
54 天井煉瓦

Claims (3)

  1. コークス炉の熱間補修の際に作業空間を冷却するために炭化室内に挿入される箱型の断熱ボックスであって、幅方向を伸縮可能に構成したことを特徴とする、コークス炉の熱間補修作業用断熱ボックス。
  2. コークス炉の熱間補修の際に作業空間を冷却するための箱型の断熱ボックスを炭化室に装入するための装置であって、コークス炉に沿って設置されたガイド車用のレールを走行する台車と、該台車上部に設置された断熱ボックスの支持機構とを有し、該支持機構は、前記台車上の断熱ボックスをその両側から支持することで、断熱ボックスをコークス炉への装入可能な直立状態に保持するように構成されたことを特徴とする、断熱ボックスのコークス炉への装入装置。
  3. コークス炉の熱間補修の際に用いる断熱パネルを炭化室に装入するための装置であって、コークス炉に沿って設置されたガイド車用のレールを走行する台車と、該台車上部に設置された断熱パネルの支持機構とを有し、該支持機構は、前記台車上の断熱パネルをその両側から支持することで、断熱パネルをコークス炉への装入可能な直立状態に保持するように構成されたことを特徴とする、断熱パネルのコークス炉への装入装置。
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