JP2004168709A - 抗アレルギー点眼点鼻用組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は眼または鼻のアレルギー疾患の治療に有用な点眼点鼻用組成物に関する。
【0002】
【従来技術】
従来、[2−[4−[(4−クロロフェニル)フェニルメチル]−1−ピペラジニル]エトキシ]酢酸(以下 セチリジンと記す)は、ヒスタミン受容体に対して高い選択性を有する抗アレルギー剤で経口投与などで有効であることが知られている。セチリジン含有経口製剤はその効果発現が速やかで、強力でしかも長期間効果が持続する事から世界中で広く臨床の場で利用されている。このようなセチリジンを含有する点眼剤に関してはセチリジンを含む抗アレルギー剤と抗ヒスタミン剤とを包含してなる組成物が知られている。(例えば、特許文献1参照)
一方、セチリジンで眼局所に単独で使用した場合の組成物については、セチリジンの眼刺激性緩和及び点眼剤の安定性を向上させるためにシクロデキストリン類を配合したものが知られている。(例えば、特許文献2参照)このようにシクロデキストリンが配合された点眼剤においては、シクロデキストリンの配合量がセチリジン1モルに対してシクロデキストリン0.5〜3モルの割合で配合するものとしており、安定性確保及び刺激性の緩和の為にはシクロデキストリンの配合が必須であるとしている。
【0003】
【特許文献1】
特開平4−9339号公報(第6頁〜第8頁)
【特許文献2】
特開平6−239748号公報(全文)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者の特許文献1では、抗アレルギー剤及び抗ヒスタミン剤を併用する組成物に関するもので、セチリジンは当該組成物の構成成分の1つとして提示されているに過ぎない。セチリジンを単独で使用した場合の効果などについての報告は無い。
また後者の特許文献2では、シクロデキストリン類を配合しても眼粘膜の刺激を完全に緩和させる事に成功しておらず、実用化に至っていない。
また、セチリジンは水によく溶ける化合物であるが、そのままの溶液では眼粘膜に対して強い刺激がある。また、水溶液中で時間の経過に伴いセチリジンが析出し、水溶液としての物理的安定性に欠けるという欠点も有している。更にセチリジンは末端基にエトキシ酢酸基があるため、酸化分解しやすく、溶液中での化学的安定性にも問題がある。
【0005】
上記従来技術の問題点に鑑み、点眼又は点鼻用の組成物の一つとしてセチリジンを好適に用いることのできる点眼点鼻用組成物を提供することを技術課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、式
【化2】
で表される[2−[4−[(4−クロロフェニル)フェニルメチル]−1−ピペラジニル]エトキシ]酢酸(セチリジン)又はその塩類と、界面活性剤、特に非イオン性界面活性剤であるポリソルベート及び/又はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含有することにより、眼刺激性を大きく緩和させ、かつ、不溶性物質の析出を抑制し、更にキレート剤を添加することにより水溶液中での安定性も向上させることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明で使用するセチリジンの塩類としては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等の無機塩や酢酸塩、クエン酸塩、トシル酸塩等の有機酸塩等が挙げられる。
【0008】
また、本発明で使用する界面活性剤類としては、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60等が挙げられる。これらの界面活性剤は単独あるいは2種以上を適宜組み合わせて使用する事もできる。
【0009】
本発明で使用する水溶性高分子類としては、セルロース誘導体、ビニル系高分子化合物及び多価アルコール化合物が好ましく、セルロース誘導体としてはアルキルセルロースまたはヒドロキシアルキルセルロースが好ましい。ビニル系化合物としては、たとえばポリビニルアルコール等が挙げられる。多価アルコール化合物としては、たとえばマクロゴール4000等が挙げられる。
【0010】
本発明で使用する界面活性剤の添加量は、セチリジンの濃度により異なるが、通常は好ましくは1.0重量%より上で、10.0重量%以下であり、さらに好ましくは、2.0重量%以上5.0重量%以下である。1.0重量%以下の場合、眼刺激性を抑制することが困難である。また、10.0重量%を超えると菌の繁殖が起こりやすいため2次感染されやすくなる。なお、眼刺激を効果的に抑制するにはセチリジンの含有率に対して1倍以上の含有率となるようにしておくことが好ましい。
【0011】
また、界面活性剤に加えて水溶性高分子を配合する場合には、界面活性剤と水溶性高分子とを合わせた場合の添加量は、好ましくは1.0重量%より上で、10.0重量%以下であり、さらに好ましくは、2.0重量%以上5.0重量%である。これらの界面活性剤または水溶性高分子は、単独あるいは2種以上を適宜に組み合わせて使用しても良い。なお、界面活性剤と水溶性高分子とを添加する場合には、水溶性高分子の含有率に対して界面活性剤の含有率のほうが高くなるようにしておくことが好ましい。
【0012】
また、本発明で使用するキレート剤としては、エデト酸、エデト酸塩(エデト酸二ナトリウム、エデト酸カルシウム二ナトリウム等)、クエン酸ナトリウム等が好適に用いられる。
【0013】
本発明の点眼点鼻用組成物のpHは点眼、点鼻に通常用いられるpH範囲内で使用が可能であり、好ましくは4.0〜9.0の範囲、さらに好ましくは5.0〜8.5の範囲に調製するのが良い。
【0014】
本発明の点眼点鼻用組成物には、上記の成分の他、通常点眼点鼻用組成物に用いられる添加剤、例えば保存剤(パラオキシ安息香酸エステル類、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール等)、等張化剤(塩化ナトリウム、ソルビトール、グリセリン等)、緩衝剤(リン酸塩、ホウ酸、クエン酸塩等)、pH調整剤(塩酸、酢酸、水酸化ナトリウム等)等を適宜添加しても良い。
【0015】
本発明の点眼点鼻用組成物には、本発明の目的を損なわない限り、セチリジン以外の薬効成分を適宜配合することもできる。
【0016】
これらの組成物は眼用及び鼻用の医薬として一般的に使用されているあらゆる製薬形態で、例えば、水溶液、懸濁液、乳剤、軟膏剤等の形で提供されるが、これら組成物を凍結乾燥後、粉末剤等とし、使用に当たって精製水等で溶解等する形で提供しても良い。
【0017】
本発明のセチリジンの濃度は、投与経路、アレルギー症状などにより異なるが、好ましくは0.01重量%以上4.0重量%以下、さらに好ましくは、0.05重量%以上2.0重量%以下とし、例えば成人の患者に点眼剤として用いる場合は1日1回〜6回程度、1回量1ないし数滴の点眼で投与するのが好ましく、点鼻剤としては、1日1回〜6回程度、1回1〜2度ずつ鼻腔内に噴霧器を用いて噴霧吸入するのが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を挙げ、説明する。
<点眼液の作製>
精製水80mLにポリソルベート80等の界面活性剤を2.0gを加え、加温して溶解させる。界面活性剤の溶解後、塩酸セチリジン0.5gを加え、溶解させる。次に、pH調整剤であるホウ酸1.1g、ホウ砂0.5g及び防腐剤である塩化ベンザルコニウムを0.005g加え、溶解させる。その後精製水を加えて全量100mLとし、得られた溶液をろ過滅菌して0.5%塩酸セチリジン点眼液を得る。この他にも濃グリセリン等の等張化剤を加えても良い。
なお、上述の点眼液の組成及び組成比はこれに限るものではなく、通常の点眼液の作製において適宜決定すればよい。
【0019】
<実験例1>
モルモットヒスタミン誘発アレルギー性結膜炎に対する効果
体重約500gのHartley系雄性モルモットに750μg/mLのヒスタミン溶液を25μLを点眼した。尚、下記点眼液をヒスタミン点眼前15分にモルモットの両眼に25μLづつ点眼した。ヒスタミン溶液点眼後5分、10分、20分、30分、60分および90分に以下の採点基準により評価した。(採点基準:Score 0:症状なし、Score 1:軽度の充血、Score 2:強度の充血、Score 3:充血に軽度〜中等度の浮腫が加わったもの、Score 4:著明な浮腫が生じたもの)
なお、被検点眼液の組成は[塩酸セチリシ゛ン(0.5重量%)、ホウ酸(1.2重量%)、ホウ砂(0.5重量%)、ポリソルベート80(3.0重量%)、塩化ヘ゛ンサ゛ルコニウム(0.01重量%)]で検討した。
【0020】
(結果)
実験例1の結果を図1(平均±SE,n=6)に示す。図示するように、モルモットにおけるヒスタミン誘発アレルギー性結膜炎に対して、塩酸セチリジンは0.5重量%の濃度で速やかな薬効を示し、塩酸セチリジンが眼科領域で十分に抗ヒスタミン効果を発揮することが明らかとなった。
【0021】
<実験例2>
モルモットに於けるヒスタミン誘発アレルギー性結膜炎モデル2
体重約500gのHartley系雄性モルモットに下記点眼液を25μL/mLづつ点眼し、15分後に、1mg/mLのヒスタミン溶液50μLを上眼瞼結膜内投与し、アレルギー性結膜炎を誘発させた。5分後に1%エバンスブルー液1mLを静注し、25分後に眼瞼結膜を切除した。摘出組織をホルムアミド4mLに浸漬し、色素を抽出した。吸光度を測定し、血管からの色素漏出量を求め、抑制率を算出し、抗アレルギー作用を検討した。
なお、被検点眼液の組成は[塩酸セチリシ゛ン(0.5重量%)、ホウ酸(1.33重量%)、ホウ砂(0.5重量%)、ポリソルベート80(3.0重量%)、エデト酸(0.01重量%)、塩化ヘ゛ンサ゛ルコニウム(0.005重量%)]で検討した。
【0022】
(結果)
生理食塩液投与眼の色素漏出量(平均値±標準誤差)は1.388±0.141(n=6眼)に対してセチリジン投与眼では色素漏出量が0.512±0.070(n=10眼)を示し、63.1%の抑制を示し、抗アレルギー剤として有望であった。
【0023】
<実験例3>
眼刺激性試験
点眼剤の点眼時における刺激性はヒトにおいては使用感等の主観的要素も加味される為、最終的にはヒトにおいて刺激性を有さない方が好ましく、強い刺激性のあるものは実用化できない。表1に示す処方▲1▼〜▲9▼の各溶液をそれぞれヒトに点眼した場合の使用感を表2に示す。なお、表1の各数値は重量%を示している。
【0024】
【表1】
【0025】
(結果)
ポリソルベート等を配合していない溶液では眼刺激性が強く、その刺激性は長時間持続した。一方、非イオン性界面活性剤を配合したものは、同用量セチリジンを含有しているにも関わらずの刺激が殆ど無かった。
【0026】
【表2】
【0027】
なお、評価は0:刺激不快感が無い、1.0:違和感あり、2.0:わずかに刺激あり、3.0:痛い、4.0:強い刺激がある、とした。
【0028】
<実験例4>
化学的安定性
表3に示す処方A〜Cの各溶液を55℃(遮光、成り行き湿度)で30日間保存し、pH測定、HPLCによる塩酸セチリジンの定量を行い、安定性を検討した。
【0029】
【表3】
【0030】
(結果)
55℃で30日間保管した時の安定性結果を表4に示す(処方時の塩酸セチリジンの含量を100%としている)。エデト酸二ナトリウムを配合していない処方A及びBでは、大幅な塩酸セチリジンの含量低下を示したが、処方Bにエデト酸を配合した処方Cでは、著しく安定性が向上した。
更に、処方Cを40℃/60%相対湿度の条件で6箇月間保管した時、99.3%の含量を示したことから、処方Cは室温で3年間は安定であると考えられる。
【0031】
【表4】
【0032】
<実験例6>
表1に示す処方▲1▼〜▲9▼を室温で長期保管した時、界面活性剤を処方していないものは、白濁の沈殿物が認められた。
【0033】
【発明の効果】
以上のように、本発明の点眼点鼻用組成物は、粘膜刺激が少なく好適に用いることができる。また、キレート剤を配合することにより組成物の安定性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】塩酸セチリジン点眼液の抗ヒスタミン効果を示した図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は眼または鼻のアレルギー疾患の治療に有用な点眼点鼻用組成物に関する。
【0002】
【従来技術】
従来、[2−[4−[(4−クロロフェニル)フェニルメチル]−1−ピペラジニル]エトキシ]酢酸(以下 セチリジンと記す)は、ヒスタミン受容体に対して高い選択性を有する抗アレルギー剤で経口投与などで有効であることが知られている。セチリジン含有経口製剤はその効果発現が速やかで、強力でしかも長期間効果が持続する事から世界中で広く臨床の場で利用されている。このようなセチリジンを含有する点眼剤に関してはセチリジンを含む抗アレルギー剤と抗ヒスタミン剤とを包含してなる組成物が知られている。(例えば、特許文献1参照)
一方、セチリジンで眼局所に単独で使用した場合の組成物については、セチリジンの眼刺激性緩和及び点眼剤の安定性を向上させるためにシクロデキストリン類を配合したものが知られている。(例えば、特許文献2参照)このようにシクロデキストリンが配合された点眼剤においては、シクロデキストリンの配合量がセチリジン1モルに対してシクロデキストリン0.5〜3モルの割合で配合するものとしており、安定性確保及び刺激性の緩和の為にはシクロデキストリンの配合が必須であるとしている。
【0003】
【特許文献1】
特開平4−9339号公報(第6頁〜第8頁)
【特許文献2】
特開平6−239748号公報(全文)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者の特許文献1では、抗アレルギー剤及び抗ヒスタミン剤を併用する組成物に関するもので、セチリジンは当該組成物の構成成分の1つとして提示されているに過ぎない。セチリジンを単独で使用した場合の効果などについての報告は無い。
また後者の特許文献2では、シクロデキストリン類を配合しても眼粘膜の刺激を完全に緩和させる事に成功しておらず、実用化に至っていない。
また、セチリジンは水によく溶ける化合物であるが、そのままの溶液では眼粘膜に対して強い刺激がある。また、水溶液中で時間の経過に伴いセチリジンが析出し、水溶液としての物理的安定性に欠けるという欠点も有している。更にセチリジンは末端基にエトキシ酢酸基があるため、酸化分解しやすく、溶液中での化学的安定性にも問題がある。
【0005】
上記従来技術の問題点に鑑み、点眼又は点鼻用の組成物の一つとしてセチリジンを好適に用いることのできる点眼点鼻用組成物を提供することを技術課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、式
【化2】
で表される[2−[4−[(4−クロロフェニル)フェニルメチル]−1−ピペラジニル]エトキシ]酢酸(セチリジン)又はその塩類と、界面活性剤、特に非イオン性界面活性剤であるポリソルベート及び/又はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含有することにより、眼刺激性を大きく緩和させ、かつ、不溶性物質の析出を抑制し、更にキレート剤を添加することにより水溶液中での安定性も向上させることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明で使用するセチリジンの塩類としては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等の無機塩や酢酸塩、クエン酸塩、トシル酸塩等の有機酸塩等が挙げられる。
【0008】
また、本発明で使用する界面活性剤類としては、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60等が挙げられる。これらの界面活性剤は単独あるいは2種以上を適宜組み合わせて使用する事もできる。
【0009】
本発明で使用する水溶性高分子類としては、セルロース誘導体、ビニル系高分子化合物及び多価アルコール化合物が好ましく、セルロース誘導体としてはアルキルセルロースまたはヒドロキシアルキルセルロースが好ましい。ビニル系化合物としては、たとえばポリビニルアルコール等が挙げられる。多価アルコール化合物としては、たとえばマクロゴール4000等が挙げられる。
【0010】
本発明で使用する界面活性剤の添加量は、セチリジンの濃度により異なるが、通常は好ましくは1.0重量%より上で、10.0重量%以下であり、さらに好ましくは、2.0重量%以上5.0重量%以下である。1.0重量%以下の場合、眼刺激性を抑制することが困難である。また、10.0重量%を超えると菌の繁殖が起こりやすいため2次感染されやすくなる。なお、眼刺激を効果的に抑制するにはセチリジンの含有率に対して1倍以上の含有率となるようにしておくことが好ましい。
【0011】
また、界面活性剤に加えて水溶性高分子を配合する場合には、界面活性剤と水溶性高分子とを合わせた場合の添加量は、好ましくは1.0重量%より上で、10.0重量%以下であり、さらに好ましくは、2.0重量%以上5.0重量%である。これらの界面活性剤または水溶性高分子は、単独あるいは2種以上を適宜に組み合わせて使用しても良い。なお、界面活性剤と水溶性高分子とを添加する場合には、水溶性高分子の含有率に対して界面活性剤の含有率のほうが高くなるようにしておくことが好ましい。
【0012】
また、本発明で使用するキレート剤としては、エデト酸、エデト酸塩(エデト酸二ナトリウム、エデト酸カルシウム二ナトリウム等)、クエン酸ナトリウム等が好適に用いられる。
【0013】
本発明の点眼点鼻用組成物のpHは点眼、点鼻に通常用いられるpH範囲内で使用が可能であり、好ましくは4.0〜9.0の範囲、さらに好ましくは5.0〜8.5の範囲に調製するのが良い。
【0014】
本発明の点眼点鼻用組成物には、上記の成分の他、通常点眼点鼻用組成物に用いられる添加剤、例えば保存剤(パラオキシ安息香酸エステル類、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール等)、等張化剤(塩化ナトリウム、ソルビトール、グリセリン等)、緩衝剤(リン酸塩、ホウ酸、クエン酸塩等)、pH調整剤(塩酸、酢酸、水酸化ナトリウム等)等を適宜添加しても良い。
【0015】
本発明の点眼点鼻用組成物には、本発明の目的を損なわない限り、セチリジン以外の薬効成分を適宜配合することもできる。
【0016】
これらの組成物は眼用及び鼻用の医薬として一般的に使用されているあらゆる製薬形態で、例えば、水溶液、懸濁液、乳剤、軟膏剤等の形で提供されるが、これら組成物を凍結乾燥後、粉末剤等とし、使用に当たって精製水等で溶解等する形で提供しても良い。
【0017】
本発明のセチリジンの濃度は、投与経路、アレルギー症状などにより異なるが、好ましくは0.01重量%以上4.0重量%以下、さらに好ましくは、0.05重量%以上2.0重量%以下とし、例えば成人の患者に点眼剤として用いる場合は1日1回〜6回程度、1回量1ないし数滴の点眼で投与するのが好ましく、点鼻剤としては、1日1回〜6回程度、1回1〜2度ずつ鼻腔内に噴霧器を用いて噴霧吸入するのが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を挙げ、説明する。
<点眼液の作製>
精製水80mLにポリソルベート80等の界面活性剤を2.0gを加え、加温して溶解させる。界面活性剤の溶解後、塩酸セチリジン0.5gを加え、溶解させる。次に、pH調整剤であるホウ酸1.1g、ホウ砂0.5g及び防腐剤である塩化ベンザルコニウムを0.005g加え、溶解させる。その後精製水を加えて全量100mLとし、得られた溶液をろ過滅菌して0.5%塩酸セチリジン点眼液を得る。この他にも濃グリセリン等の等張化剤を加えても良い。
なお、上述の点眼液の組成及び組成比はこれに限るものではなく、通常の点眼液の作製において適宜決定すればよい。
【0019】
<実験例1>
モルモットヒスタミン誘発アレルギー性結膜炎に対する効果
体重約500gのHartley系雄性モルモットに750μg/mLのヒスタミン溶液を25μLを点眼した。尚、下記点眼液をヒスタミン点眼前15分にモルモットの両眼に25μLづつ点眼した。ヒスタミン溶液点眼後5分、10分、20分、30分、60分および90分に以下の採点基準により評価した。(採点基準:Score 0:症状なし、Score 1:軽度の充血、Score 2:強度の充血、Score 3:充血に軽度〜中等度の浮腫が加わったもの、Score 4:著明な浮腫が生じたもの)
なお、被検点眼液の組成は[塩酸セチリシ゛ン(0.5重量%)、ホウ酸(1.2重量%)、ホウ砂(0.5重量%)、ポリソルベート80(3.0重量%)、塩化ヘ゛ンサ゛ルコニウム(0.01重量%)]で検討した。
【0020】
(結果)
実験例1の結果を図1(平均±SE,n=6)に示す。図示するように、モルモットにおけるヒスタミン誘発アレルギー性結膜炎に対して、塩酸セチリジンは0.5重量%の濃度で速やかな薬効を示し、塩酸セチリジンが眼科領域で十分に抗ヒスタミン効果を発揮することが明らかとなった。
【0021】
<実験例2>
モルモットに於けるヒスタミン誘発アレルギー性結膜炎モデル2
体重約500gのHartley系雄性モルモットに下記点眼液を25μL/mLづつ点眼し、15分後に、1mg/mLのヒスタミン溶液50μLを上眼瞼結膜内投与し、アレルギー性結膜炎を誘発させた。5分後に1%エバンスブルー液1mLを静注し、25分後に眼瞼結膜を切除した。摘出組織をホルムアミド4mLに浸漬し、色素を抽出した。吸光度を測定し、血管からの色素漏出量を求め、抑制率を算出し、抗アレルギー作用を検討した。
なお、被検点眼液の組成は[塩酸セチリシ゛ン(0.5重量%)、ホウ酸(1.33重量%)、ホウ砂(0.5重量%)、ポリソルベート80(3.0重量%)、エデト酸(0.01重量%)、塩化ヘ゛ンサ゛ルコニウム(0.005重量%)]で検討した。
【0022】
(結果)
生理食塩液投与眼の色素漏出量(平均値±標準誤差)は1.388±0.141(n=6眼)に対してセチリジン投与眼では色素漏出量が0.512±0.070(n=10眼)を示し、63.1%の抑制を示し、抗アレルギー剤として有望であった。
【0023】
<実験例3>
眼刺激性試験
点眼剤の点眼時における刺激性はヒトにおいては使用感等の主観的要素も加味される為、最終的にはヒトにおいて刺激性を有さない方が好ましく、強い刺激性のあるものは実用化できない。表1に示す処方▲1▼〜▲9▼の各溶液をそれぞれヒトに点眼した場合の使用感を表2に示す。なお、表1の各数値は重量%を示している。
【0024】
【表1】
【0025】
(結果)
ポリソルベート等を配合していない溶液では眼刺激性が強く、その刺激性は長時間持続した。一方、非イオン性界面活性剤を配合したものは、同用量セチリジンを含有しているにも関わらずの刺激が殆ど無かった。
【0026】
【表2】
【0027】
なお、評価は0:刺激不快感が無い、1.0:違和感あり、2.0:わずかに刺激あり、3.0:痛い、4.0:強い刺激がある、とした。
【0028】
<実験例4>
化学的安定性
表3に示す処方A〜Cの各溶液を55℃(遮光、成り行き湿度)で30日間保存し、pH測定、HPLCによる塩酸セチリジンの定量を行い、安定性を検討した。
【0029】
【表3】
【0030】
(結果)
55℃で30日間保管した時の安定性結果を表4に示す(処方時の塩酸セチリジンの含量を100%としている)。エデト酸二ナトリウムを配合していない処方A及びBでは、大幅な塩酸セチリジンの含量低下を示したが、処方Bにエデト酸を配合した処方Cでは、著しく安定性が向上した。
更に、処方Cを40℃/60%相対湿度の条件で6箇月間保管した時、99.3%の含量を示したことから、処方Cは室温で3年間は安定であると考えられる。
【0031】
【表4】
【0032】
<実験例6>
表1に示す処方▲1▼〜▲9▼を室温で長期保管した時、界面活性剤を処方していないものは、白濁の沈殿物が認められた。
【0033】
【発明の効果】
以上のように、本発明の点眼点鼻用組成物は、粘膜刺激が少なく好適に用いることができる。また、キレート剤を配合することにより組成物の安定性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】塩酸セチリジン点眼液の抗ヒスタミン効果を示した図である。
Claims (9)
- 請求項1記載の抗アレルギー点眼点鼻用組成物において、前記界面活性剤が非イオン性界面活性剤から選ばれる1種以上の化合物であることを特徴とする抗アレルギー点眼点鼻用組成物。
- 請求項2記載の抗アレルギー点眼点鼻用組成物において、前記非イオン性界面活性剤の含有率が1.0重量%より上で10.0重量%以下であることを特徴とする抗アレルギー点眼点鼻用組成物。
- 請求項2記載の抗アレルギー点眼点鼻用組成物において、前記非イオン性界面活性剤の含有率が10.0重量%以下であるとともに、前記[2−[4−[(4−クロロフェニル)フェニルメチル]−1−ピペラジニル]エトキシ]酢酸又はその塩類の含有率に対して1倍以上の含有率であることを特徴とする抗アレルギー点眼点鼻用組成物。
- 請求項3または請求項4記載の抗アレルギー点眼点鼻用組成物において、前記非イオン性界面活性剤がポリソルベート80及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる1種以上の化合物であることを特徴とする抗アレルギー点眼点鼻用組成物。
- 請求項2記載の抗アレルギー点眼点鼻用組成物において、さらに水溶性高分子物が含有されていることを特徴とする抗アレルギー点眼点鼻用組成物。
- 請求項6記載の抗アレルギー点眼点鼻用組成物において、前記水溶性高分子の含有率に対して前記非イオン性界面活性剤の含有率の方が高いとともに、前記水溶性高分子と前記非イオン性界面活性剤とを合わせた含有率は1.0重量%より上で10.0重量%以下であることを特徴とする抗アレルギー点眼点鼻用組成物。
- 請求項7記載の抗アレルギー点眼点鼻用組成物において、前記水溶性高分子物がセルロース誘導体、ビニル系高分子化合物および多価アルコール化合物から選ばれる1種以上の化合物であることを特徴とする抗アレルギー点眼点鼻用組成物。
- 請求項1〜請求項8記載の抗アレルギー点眼点鼻用組成物において、さらに金属キレート剤を含有することを特徴とする抗アレルギー点眼点鼻用組成物。
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