JP2004168273A - 衝撃吸収体 - Google Patents
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Abstract
【課題】衝撃を吸収しつつ非常時には載置体の拘束力を十分に発揮することができる衝撃吸収体の提供を図る。
【解決手段】載置体の荷重を支持するクッション支持部2と、このクッション支持部2の上側に配置されて内部の気体圧力で衝撃を吸収する袋体3と、この袋体3の上面を覆うプレート4と、このプレート4の前方移動に伴ってこのプレート4全体を前側が前方かつ上方に持ち上がるように傾斜させるリフト機構5と、を備えることにより、非常時には袋体3の気体圧力を、載置体の前方移動を阻止する方向の反力を増大するように作用させて載置体の拘束力を高めるとともに、プレート4の広い面積により袋体3に作用する面圧を減少して、袋体3により大きな反力を発生させることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】載置体の荷重を支持するクッション支持部2と、このクッション支持部2の上側に配置されて内部の気体圧力で衝撃を吸収する袋体3と、この袋体3の上面を覆うプレート4と、このプレート4の前方移動に伴ってこのプレート4全体を前側が前方かつ上方に持ち上がるように傾斜させるリフト機構5と、を備えることにより、非常時には袋体3の気体圧力を、載置体の前方移動を阻止する方向の反力を増大するように作用させて載置体の拘束力を高めるとともに、プレート4の広い面積により袋体3に作用する面圧を減少して、袋体3により大きな反力を発生させることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クッション部の変形を制御できるようにした衝撃吸収体に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車ではシートに乗員が着座した状態で運転することになるが、この場合、乗員はシート上に載置した載置体として見なすことができ、自動車が前面衝突した際に、シートに着座した載置体としての乗員がシートベルトを着用している場合にも、乗員は腰部分を拘束するラップベルトの下側を潜って前方に移動する、謂ゆるサブマリン現象が発生する場合があることが知られている。
【0003】
このようなサブマリン現象を防止して乗員をシートベルトで拘束するために、従来では衝突時にシートクッションのクッション材を持ち上げて乗員を拘束するようにしたものが提案されており、ガスにより膨張する膨張体をシートのクッション材と座席底部との間に配置したものが開示される(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−239872号公報(第2−3頁、第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ガスの膨張体をクッション材と反力面である座席底部との間に設けた場合は、座り心地性を確保するために必要な厚さのクッション材が膨張体と直列に存在するため、衝突時に乗員が移動した場合にクッション材が完全に潰れるまでは十分な乗員拘束に必要な反力が得られない。
【0006】
また、前記膨張体は折り畳み状態で乗員体重が作用しており、この状態で膨張体を展開膨張させるためには大容量のガス発生装置が必要であり、また、膨張体が完全に展開するまでに時間を要し、その分、乗員拘束が遅れてしまう。
【0007】
そこで、本発明は衝撃を吸収しつつ非常時には載置体の拘束力を十分に発揮することができる衝撃吸収体を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の衝撃吸収体にあっては、載置体の荷重を支持するクッション支持部と、このクッション支持部の上側に配置されて内部の気体圧力で衝撃を吸収する袋体と、この袋体の上面を覆うプレートと、このプレートの前方移動に伴ってこのプレート全体を前側が前方かつ上方に持ち上がるように傾斜させるリフト機構と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
【発明の効果】
本発明によれば、載置体に作用する前方移動力によってプレートが前方移動を開始すると、このプレートの下方に位置する袋体の気体圧力によって載置体に作用する衝撃を吸収しつつ、プレート全体はリフト機構によって前側が前方かつ上方に持ち上がるように傾斜するため、袋体の気体圧力を、載置体の前方移動を阻止する方向の反力を増大するように作用させて、載置体の拘束力を高めることができる。
【0010】
また、載置体の荷重をプレートの広い面積を介して袋体の気体圧力で支持するため、袋体に作用する面圧を減少して載置体はより大きな反力を袋体から受けて拘束力を増大することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
【0012】
図1から図5は本発明にかかる衝撃吸収体の一実施形態を示し、図1は衝撃吸収体を適用した車両用シートクッションの斜視図、図2は袋体部分の構成を示す分解斜視図、図3はプレートの組付け状態を示す分解斜視図、図4は衝撃吸収体の作動状態を(a),(b)に順を追って示す断面図、図5は衝撃吸収体の作動状態を乗員との関係をもって(a),(b)に順を追って示す断面図である。
【0013】
本実施形態の衝撃吸収体は図1に示すように車両用シートのシートクッション1として構成され、このシートクッション1は、載置体としての図外の乗員の体重を支持するクッション支持部としてのパンフレーム2と、このパンフレーム2の上側に配置されて内部の気体圧力で衝撃を吸収する袋体3、この袋体3の上面を覆うプレート4と、このプレート4の前方移動に伴ってこのプレート4全体を前側が前方かつ上方に持ち上がるように傾斜させるリフト機構としてのリンク部材5と、を備えている。
【0014】
パンフレーム2には、その上側を取り巻くようにクッション材6を載置して固定し、このクッション材6の表面をシート表皮7で覆ってあり、クッション材6の略中央部、つまり着座した乗員の骨盤から大腿部に対応する部分をくり抜いて空間部6aを形成し、この空間部6a内に前記袋体3を収納するようにして配置してある。
【0015】
前記空間部6aは、クッション材6の着座面(上側面)の連続性に配慮して空間部6aの上側にクッション材6を所定厚さで残し、この残したクッション材6で前記袋体3の上面を覆うようになっているが、空間部6aはクッション材6を上下に貫通させて形成してもよい。
【0016】
また、パンフレーム2の前後方向略中央部には、前方に向かって上方傾斜する前上がり傾斜面2aを備え、この前上がり傾斜面2aに前記袋体3が位置するようにして配置してある。
【0017】
前記袋体3は、図2に示すようにビニールやキャンバス布などの気密性を持った可撓性膜を素材として融着または縫製して略直方体となる袋状に形成してある。
【0018】
袋体3の内側は、前後方向の略中央部および左右方向の略中央部にそれぞれ同素材を用いた隔成膜3a,3bを取付け、これら隔成膜3a,3bによって袋体3内部を前部および後部左右に4つの部屋S1,S2,S3,S4に隔成し、これら各部屋S1〜S4内に補助クッション材8a,8b,8c,8dを収納してある。
【0019】
従って、袋体3は内部に収納した補助クッション材8a〜8dの圧縮復元性をもって撓むことになり、これら補助クッション材8a〜8dを袋体3の周囲のクッション材6と同質の材料で形成しておくことにより、袋体3を含めてシートクッション1全体に均等なクッション性を得ることができる。
【0020】
袋体3の下面には開口部3cを形成してあり、その周縁部および隔成膜3a,3bの下端縁に沿って袋体ベース枠9を取り付けてあり、この袋体ベース枠9によって袋体3の下部形状を確定するようにしている。
【0021】
前記開口部3cを固定する袋体ベース枠9には、その全体を覆って開閉機構10が設けられ、この開閉機構10によって開口部3cを開閉するようになっている。
【0022】
開閉機構10は、パンフレーム2に直接固定した固定格子11と、この固定格子11に対して摺動自在となるスライド格子12とによって構成し、スライド格子12は駆動手段13によって摺動するようになっており、通常時は固定格子11とスライド格子12との格子部分が互いに連通した状態にある。
【0023】
駆動手段13は、例えば電磁石による吸引・反発力を利用したロータリーソレノイドによって構成し、衝突を感知して駆動することによりスライド格子12を格子部分の半ピッチ分だけ移動して、固定格子11とスライド格子12との格子部分を遮断するようになっている。
【0024】
従って、袋体3は開閉機構10が遮断した後は内部に気体としての空気を封じ込め、この空気圧力で急激な衝撃を吸収することができるが、衝撃力が持続して作用した場合には、開閉機構10の隙間等から除々に空気が洩れて袋体3が押し潰されるようになっており、つまり、開閉機構10の遮断時には袋体3は著しく大きな通気抵抗となるように設定される。
【0025】
前記プレート4は、全体的に略平坦な硬質板により形成し、図4に示すようにシートクッション1の座面と略平行となるように若干前上がりの傾斜状態で配置してある。
【0026】
前記リンク部材5は、図3にも示すように左右一対設けられ、それぞれのリンク部材5をプレート4の前端部4aの左右両側に設けた連結点P1と、パンフレーム2のプレート4の前端部4aよりも前方かつ下方となる部位に設けた連結点P2とを、それぞれ回動自在に連結している。
【0027】
直方体状に形成した前記袋体3は、図4に示すようにその後側面となる後ろマチ3dの下部をパンフレーム2に固定する(取付点Q1)とともに、この後ろマチ3dの上部をプレート4の後部4aに固定(取付点Q2)している。
【0028】
このとき、袋体3を押し潰しつつプレート4が前方移動した際に、図4(b)に示すように後ろマチ3dは下方の取付点Q1を中心として上方の取付点Q2が前方に倒れ込むため、プレート4の後部4bの移動範囲は後ろマチ3dの長さによって規制されることになり、プレート4が倒れ込んだ時に後部4b(取付点Q2′)がパンフレーム2の前上がり傾斜面2aの立上り始端部2bに位置するように、前記下方の取付点Q1は前記立上り始端部2bから後ろマチ3dの長さ分だけ後方に寄った位置に設けてある。
【0029】
そして、前記リンク部材5は、プレート4の後部4bがパンフレーム2の前上がり傾斜面2aの立上り始端部2bに位置した際に、プレート4の傾斜が前上がり傾斜面2aと略一致するようにしてある。
【0030】
このようにプレート4の傾斜を前上がり傾斜面2aと略一致させるために、図4(b)に示すように袋体3が圧縮されていない状態での上方の連結点P1からP1′へと移動した際に該P1′点が前上がり傾斜面2aのほぼ延長上となるように、前記リンク部材5の長さと連結点P2の位置とを適切に設定してある。
【0031】
また、プレート4は、図4(a)に示すように袋体3の後ろマチ3dの上部よりも後方に後方延設部4cを延設しておりかつ、この後方延設部4cは、図3に示すように後方に向かって下方傾斜させている。
【0032】
以上の構成により本実施形態のシートクッション1にあっては、通常の運転状態を図4(a)および図5(a)に示し、前面衝突等の緊急時を図4(b)および図5(b)に示したように、通常時では開閉機構10の固定格子11とスライド格子12の格子部分が連通状態にあって、袋体3内の空気が開口部3cから自由に出入りして、袋体3は周囲のクッション材7と共にクッション作用を発揮する。
【0033】
一方、前面衝突時には開閉機構10の駆動手段13によってスライド格子12が摺動して固定格子11との格子部分を遮断して、袋体3の通気抵抗が著しく大きくなり、袋体3内部の空気圧力により衝撃を吸収できるとともに、プレート4の保持性を高める。
【0034】
ここで、前面衝突時に発生する慣性力により乗員は前方への移動力が働くが、このとき図5(b)に示すように乗員の臀部Hによってプレート4が前方に押し出されるが、このときのプレート4の移動は袋体3の通気抵抗が大きくなっていることで、乗員は大きな反力を受けて拘束されることになる。
【0035】
このとき、プレート4全体はリンク部材5によって前側が前方かつ上方に持ち上がるように傾斜するため、袋体3の空気圧力を乗員の前方移動を阻止する方向の反力を増大するように作用させて、乗員の拘束力を更に高めることができる。
【0036】
また、乗員の体重をプレート4の広い面積を介して袋体3の空気圧力で支持するため、袋体3に作用する面圧を臀部Hや大腿部Tが直接接触する場合に比較して減少することができ、乗員はより大きな反力を袋体3から受けて拘束力をより増大することができる。
【0037】
更に、袋体3の上面を硬質のプレート4によって覆ったことにより、袋体3の上側をプレート4で保護して、上方から鋭利物が当たった場合にも袋体3の損傷を防止することができる。
【0038】
ところで、本実施形態にあってはプレート4のリフト機構をリンク部材5によって構成し、このリンク部材5をプレート4の前端部(連結点P1)と、パンフレーム2のプレート4の前端部よりも前方かつ下方となる部位(連結点P2)とを連結したので、プレート4の前方移動に伴ってリンク部材5は下方の連結点P2を中心として立ち上がり、プレート4の前端部4aを強制的に上方かつ前方に押し上げるので、図5(b)に示すように乗員の大腿部Tを上方に押し上げて、乗員の下肢とペダル等の車室内部品との干渉を緩和することができる。
【0039】
また、パンフレーム2の前後方向略中央部に、前方に向かって上方傾斜する前上がり傾斜面2aを形成して、この前上がり傾斜面2aに袋体3を配置したので、袋体3が乗員とともに前方に移動変形するのを前上がり傾斜面2aによって阻止できるため、乗員の拘束力を高めることができる。
【0040】
更に、リンク部材5は、プレート4の前方移動に伴う傾斜が、パンフレーム2の前上がり傾斜面2aと略一致するようにしたので、これらプレート4と前上がり傾斜面2aとの間に配置した袋体3は、傾斜方向が略一致するように間隔が狭まってくる2つの面で圧縮されるので、内圧をより効果的に高めて反力を増大できるため、乗員の拘束力を更に高めることができる。
【0041】
更にまた、袋体3は、その後側面となる後ろマチ3dの下部をパンフレーム2に固定するとともに、この後ろマチ3dの上部をプレート4の後部4bに固定したので、乗員の体重が主に加わるプレート4の後部4bでは袋体3の後ろマチ3dが撓むことができて、異物感無く良好なシートクッション1の座り心地を得ることができる。
【0042】
また、プレート4は、袋体3の後ろマチ3dの上部よりも後方に後方延設部4cを延設したので、この後方延設部4cによって乗員の体重が主に加わる袋体3の後部がプレート4の後端から飛び出して膨らむのを阻止でき、ひいては袋体3に高い内圧を確保して乗員の拘束力を高めることができる。
【0043】
更に、前記後方延設部4cを後方に向かって下方傾斜させたので、プレート4が前方移動する際に、下方傾斜した後方延設部4cが袋体3の後部に引っ掛かって、プレート4の後端から袋体3が離脱するのを阻止して袋体3の内圧を確保することができる。
【0044】
ところで、本実施形態の衝撃吸収体は前記実施形態に例を取って説明したが、勿論、これに限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種実施形態をとることができ、例えば、本発明の衝撃吸収体は車両用シートのシートクッション1に限ることなく、運送時の荷物保護用のクッションとしても利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における衝撃吸収体として構成したシートクッションの要部を断面として示す斜視図。
【図2】本発明の一実施形態における衝撃吸収体の袋体部分の構成を示す分解斜視図。
【図3】本発明の一実施形態におけるプレートの組付け状態を示す分解斜視図。
【図4】本発明の一実施形態における衝撃吸収体の作動状態を(a),(b)に順を追って示す断面図。
【図5】本発明の一実施形態における衝撃吸収体の作動状態を乗員との関係をもって(a),(b)に順を追って示す断面図。
【符号の説明】
1 シートクッション(衝撃吸収体)
2 パンフレーム(クッション支持部)
2a 前上がり傾斜面
3 袋体
3d 後ろマチ
4 プレート
4c 後方延設部
5 リンク部材(リフト機構)
【発明の属する技術分野】
本発明は、クッション部の変形を制御できるようにした衝撃吸収体に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車ではシートに乗員が着座した状態で運転することになるが、この場合、乗員はシート上に載置した載置体として見なすことができ、自動車が前面衝突した際に、シートに着座した載置体としての乗員がシートベルトを着用している場合にも、乗員は腰部分を拘束するラップベルトの下側を潜って前方に移動する、謂ゆるサブマリン現象が発生する場合があることが知られている。
【0003】
このようなサブマリン現象を防止して乗員をシートベルトで拘束するために、従来では衝突時にシートクッションのクッション材を持ち上げて乗員を拘束するようにしたものが提案されており、ガスにより膨張する膨張体をシートのクッション材と座席底部との間に配置したものが開示される(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−239872号公報(第2−3頁、第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ガスの膨張体をクッション材と反力面である座席底部との間に設けた場合は、座り心地性を確保するために必要な厚さのクッション材が膨張体と直列に存在するため、衝突時に乗員が移動した場合にクッション材が完全に潰れるまでは十分な乗員拘束に必要な反力が得られない。
【0006】
また、前記膨張体は折り畳み状態で乗員体重が作用しており、この状態で膨張体を展開膨張させるためには大容量のガス発生装置が必要であり、また、膨張体が完全に展開するまでに時間を要し、その分、乗員拘束が遅れてしまう。
【0007】
そこで、本発明は衝撃を吸収しつつ非常時には載置体の拘束力を十分に発揮することができる衝撃吸収体を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の衝撃吸収体にあっては、載置体の荷重を支持するクッション支持部と、このクッション支持部の上側に配置されて内部の気体圧力で衝撃を吸収する袋体と、この袋体の上面を覆うプレートと、このプレートの前方移動に伴ってこのプレート全体を前側が前方かつ上方に持ち上がるように傾斜させるリフト機構と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
【発明の効果】
本発明によれば、載置体に作用する前方移動力によってプレートが前方移動を開始すると、このプレートの下方に位置する袋体の気体圧力によって載置体に作用する衝撃を吸収しつつ、プレート全体はリフト機構によって前側が前方かつ上方に持ち上がるように傾斜するため、袋体の気体圧力を、載置体の前方移動を阻止する方向の反力を増大するように作用させて、載置体の拘束力を高めることができる。
【0010】
また、載置体の荷重をプレートの広い面積を介して袋体の気体圧力で支持するため、袋体に作用する面圧を減少して載置体はより大きな反力を袋体から受けて拘束力を増大することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
【0012】
図1から図5は本発明にかかる衝撃吸収体の一実施形態を示し、図1は衝撃吸収体を適用した車両用シートクッションの斜視図、図2は袋体部分の構成を示す分解斜視図、図3はプレートの組付け状態を示す分解斜視図、図4は衝撃吸収体の作動状態を(a),(b)に順を追って示す断面図、図5は衝撃吸収体の作動状態を乗員との関係をもって(a),(b)に順を追って示す断面図である。
【0013】
本実施形態の衝撃吸収体は図1に示すように車両用シートのシートクッション1として構成され、このシートクッション1は、載置体としての図外の乗員の体重を支持するクッション支持部としてのパンフレーム2と、このパンフレーム2の上側に配置されて内部の気体圧力で衝撃を吸収する袋体3、この袋体3の上面を覆うプレート4と、このプレート4の前方移動に伴ってこのプレート4全体を前側が前方かつ上方に持ち上がるように傾斜させるリフト機構としてのリンク部材5と、を備えている。
【0014】
パンフレーム2には、その上側を取り巻くようにクッション材6を載置して固定し、このクッション材6の表面をシート表皮7で覆ってあり、クッション材6の略中央部、つまり着座した乗員の骨盤から大腿部に対応する部分をくり抜いて空間部6aを形成し、この空間部6a内に前記袋体3を収納するようにして配置してある。
【0015】
前記空間部6aは、クッション材6の着座面(上側面)の連続性に配慮して空間部6aの上側にクッション材6を所定厚さで残し、この残したクッション材6で前記袋体3の上面を覆うようになっているが、空間部6aはクッション材6を上下に貫通させて形成してもよい。
【0016】
また、パンフレーム2の前後方向略中央部には、前方に向かって上方傾斜する前上がり傾斜面2aを備え、この前上がり傾斜面2aに前記袋体3が位置するようにして配置してある。
【0017】
前記袋体3は、図2に示すようにビニールやキャンバス布などの気密性を持った可撓性膜を素材として融着または縫製して略直方体となる袋状に形成してある。
【0018】
袋体3の内側は、前後方向の略中央部および左右方向の略中央部にそれぞれ同素材を用いた隔成膜3a,3bを取付け、これら隔成膜3a,3bによって袋体3内部を前部および後部左右に4つの部屋S1,S2,S3,S4に隔成し、これら各部屋S1〜S4内に補助クッション材8a,8b,8c,8dを収納してある。
【0019】
従って、袋体3は内部に収納した補助クッション材8a〜8dの圧縮復元性をもって撓むことになり、これら補助クッション材8a〜8dを袋体3の周囲のクッション材6と同質の材料で形成しておくことにより、袋体3を含めてシートクッション1全体に均等なクッション性を得ることができる。
【0020】
袋体3の下面には開口部3cを形成してあり、その周縁部および隔成膜3a,3bの下端縁に沿って袋体ベース枠9を取り付けてあり、この袋体ベース枠9によって袋体3の下部形状を確定するようにしている。
【0021】
前記開口部3cを固定する袋体ベース枠9には、その全体を覆って開閉機構10が設けられ、この開閉機構10によって開口部3cを開閉するようになっている。
【0022】
開閉機構10は、パンフレーム2に直接固定した固定格子11と、この固定格子11に対して摺動自在となるスライド格子12とによって構成し、スライド格子12は駆動手段13によって摺動するようになっており、通常時は固定格子11とスライド格子12との格子部分が互いに連通した状態にある。
【0023】
駆動手段13は、例えば電磁石による吸引・反発力を利用したロータリーソレノイドによって構成し、衝突を感知して駆動することによりスライド格子12を格子部分の半ピッチ分だけ移動して、固定格子11とスライド格子12との格子部分を遮断するようになっている。
【0024】
従って、袋体3は開閉機構10が遮断した後は内部に気体としての空気を封じ込め、この空気圧力で急激な衝撃を吸収することができるが、衝撃力が持続して作用した場合には、開閉機構10の隙間等から除々に空気が洩れて袋体3が押し潰されるようになっており、つまり、開閉機構10の遮断時には袋体3は著しく大きな通気抵抗となるように設定される。
【0025】
前記プレート4は、全体的に略平坦な硬質板により形成し、図4に示すようにシートクッション1の座面と略平行となるように若干前上がりの傾斜状態で配置してある。
【0026】
前記リンク部材5は、図3にも示すように左右一対設けられ、それぞれのリンク部材5をプレート4の前端部4aの左右両側に設けた連結点P1と、パンフレーム2のプレート4の前端部4aよりも前方かつ下方となる部位に設けた連結点P2とを、それぞれ回動自在に連結している。
【0027】
直方体状に形成した前記袋体3は、図4に示すようにその後側面となる後ろマチ3dの下部をパンフレーム2に固定する(取付点Q1)とともに、この後ろマチ3dの上部をプレート4の後部4aに固定(取付点Q2)している。
【0028】
このとき、袋体3を押し潰しつつプレート4が前方移動した際に、図4(b)に示すように後ろマチ3dは下方の取付点Q1を中心として上方の取付点Q2が前方に倒れ込むため、プレート4の後部4bの移動範囲は後ろマチ3dの長さによって規制されることになり、プレート4が倒れ込んだ時に後部4b(取付点Q2′)がパンフレーム2の前上がり傾斜面2aの立上り始端部2bに位置するように、前記下方の取付点Q1は前記立上り始端部2bから後ろマチ3dの長さ分だけ後方に寄った位置に設けてある。
【0029】
そして、前記リンク部材5は、プレート4の後部4bがパンフレーム2の前上がり傾斜面2aの立上り始端部2bに位置した際に、プレート4の傾斜が前上がり傾斜面2aと略一致するようにしてある。
【0030】
このようにプレート4の傾斜を前上がり傾斜面2aと略一致させるために、図4(b)に示すように袋体3が圧縮されていない状態での上方の連結点P1からP1′へと移動した際に該P1′点が前上がり傾斜面2aのほぼ延長上となるように、前記リンク部材5の長さと連結点P2の位置とを適切に設定してある。
【0031】
また、プレート4は、図4(a)に示すように袋体3の後ろマチ3dの上部よりも後方に後方延設部4cを延設しておりかつ、この後方延設部4cは、図3に示すように後方に向かって下方傾斜させている。
【0032】
以上の構成により本実施形態のシートクッション1にあっては、通常の運転状態を図4(a)および図5(a)に示し、前面衝突等の緊急時を図4(b)および図5(b)に示したように、通常時では開閉機構10の固定格子11とスライド格子12の格子部分が連通状態にあって、袋体3内の空気が開口部3cから自由に出入りして、袋体3は周囲のクッション材7と共にクッション作用を発揮する。
【0033】
一方、前面衝突時には開閉機構10の駆動手段13によってスライド格子12が摺動して固定格子11との格子部分を遮断して、袋体3の通気抵抗が著しく大きくなり、袋体3内部の空気圧力により衝撃を吸収できるとともに、プレート4の保持性を高める。
【0034】
ここで、前面衝突時に発生する慣性力により乗員は前方への移動力が働くが、このとき図5(b)に示すように乗員の臀部Hによってプレート4が前方に押し出されるが、このときのプレート4の移動は袋体3の通気抵抗が大きくなっていることで、乗員は大きな反力を受けて拘束されることになる。
【0035】
このとき、プレート4全体はリンク部材5によって前側が前方かつ上方に持ち上がるように傾斜するため、袋体3の空気圧力を乗員の前方移動を阻止する方向の反力を増大するように作用させて、乗員の拘束力を更に高めることができる。
【0036】
また、乗員の体重をプレート4の広い面積を介して袋体3の空気圧力で支持するため、袋体3に作用する面圧を臀部Hや大腿部Tが直接接触する場合に比較して減少することができ、乗員はより大きな反力を袋体3から受けて拘束力をより増大することができる。
【0037】
更に、袋体3の上面を硬質のプレート4によって覆ったことにより、袋体3の上側をプレート4で保護して、上方から鋭利物が当たった場合にも袋体3の損傷を防止することができる。
【0038】
ところで、本実施形態にあってはプレート4のリフト機構をリンク部材5によって構成し、このリンク部材5をプレート4の前端部(連結点P1)と、パンフレーム2のプレート4の前端部よりも前方かつ下方となる部位(連結点P2)とを連結したので、プレート4の前方移動に伴ってリンク部材5は下方の連結点P2を中心として立ち上がり、プレート4の前端部4aを強制的に上方かつ前方に押し上げるので、図5(b)に示すように乗員の大腿部Tを上方に押し上げて、乗員の下肢とペダル等の車室内部品との干渉を緩和することができる。
【0039】
また、パンフレーム2の前後方向略中央部に、前方に向かって上方傾斜する前上がり傾斜面2aを形成して、この前上がり傾斜面2aに袋体3を配置したので、袋体3が乗員とともに前方に移動変形するのを前上がり傾斜面2aによって阻止できるため、乗員の拘束力を高めることができる。
【0040】
更に、リンク部材5は、プレート4の前方移動に伴う傾斜が、パンフレーム2の前上がり傾斜面2aと略一致するようにしたので、これらプレート4と前上がり傾斜面2aとの間に配置した袋体3は、傾斜方向が略一致するように間隔が狭まってくる2つの面で圧縮されるので、内圧をより効果的に高めて反力を増大できるため、乗員の拘束力を更に高めることができる。
【0041】
更にまた、袋体3は、その後側面となる後ろマチ3dの下部をパンフレーム2に固定するとともに、この後ろマチ3dの上部をプレート4の後部4bに固定したので、乗員の体重が主に加わるプレート4の後部4bでは袋体3の後ろマチ3dが撓むことができて、異物感無く良好なシートクッション1の座り心地を得ることができる。
【0042】
また、プレート4は、袋体3の後ろマチ3dの上部よりも後方に後方延設部4cを延設したので、この後方延設部4cによって乗員の体重が主に加わる袋体3の後部がプレート4の後端から飛び出して膨らむのを阻止でき、ひいては袋体3に高い内圧を確保して乗員の拘束力を高めることができる。
【0043】
更に、前記後方延設部4cを後方に向かって下方傾斜させたので、プレート4が前方移動する際に、下方傾斜した後方延設部4cが袋体3の後部に引っ掛かって、プレート4の後端から袋体3が離脱するのを阻止して袋体3の内圧を確保することができる。
【0044】
ところで、本実施形態の衝撃吸収体は前記実施形態に例を取って説明したが、勿論、これに限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種実施形態をとることができ、例えば、本発明の衝撃吸収体は車両用シートのシートクッション1に限ることなく、運送時の荷物保護用のクッションとしても利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における衝撃吸収体として構成したシートクッションの要部を断面として示す斜視図。
【図2】本発明の一実施形態における衝撃吸収体の袋体部分の構成を示す分解斜視図。
【図3】本発明の一実施形態におけるプレートの組付け状態を示す分解斜視図。
【図4】本発明の一実施形態における衝撃吸収体の作動状態を(a),(b)に順を追って示す断面図。
【図5】本発明の一実施形態における衝撃吸収体の作動状態を乗員との関係をもって(a),(b)に順を追って示す断面図。
【符号の説明】
1 シートクッション(衝撃吸収体)
2 パンフレーム(クッション支持部)
2a 前上がり傾斜面
3 袋体
3d 後ろマチ
4 プレート
4c 後方延設部
5 リンク部材(リフト機構)
Claims (7)
- 載置体の荷重を支持するクッション支持部と、このクッション支持部の上側に配置されて内部の気体圧力で衝撃を吸収する袋体と、この袋体の上面を覆うプレートと、このプレートの前方移動に伴ってこのプレート全体を前側が前方かつ上方に持ち上がるように傾斜させるリフト機構と、を備えたことを特徴とする衝撃吸収体。
- リフト機構は、プレートの前端部と、クッション支持部のプレートの前端部よりも前方かつ下方となる部位と、を連結したリンク部材であることを特徴とする請求項1に記載の衝撃吸収体。
- クッション支持部は、その前後方向略中央部に前方に向かって上方傾斜する前上がり傾斜面を備え、この前上がり傾斜面に袋体を配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の衝撃吸収体。
- リフト機構は、プレートの前方移動に伴う傾斜が、クッション支持部の前上がり傾斜面と略一致するようにしたことを特徴とする請求項3に記載の衝撃吸収体。
- 袋体は、その後側面となる後ろマチの下部をクッション支持部に固定するとともに、この後ろマチの上部をプレートの後部に固定したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の衝撃吸収体。
- プレートは、袋体の後ろマチの上部よりも後方に延設した後方延設部を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の衝撃吸収体。
- 後方延設部は、後方に向かって下方傾斜させたことを特徴とする請求項6に記載の衝撃吸収体。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2002339799A JP2004168273A (ja) | 2002-11-22 | 2002-11-22 | 衝撃吸収体 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPWO2004069587A1 (ja) * | 2003-02-06 | 2006-05-25 | オートリブ ディベロップメント エービー | 腰部拘束装置 |
JP2007230323A (ja) * | 2006-02-28 | 2007-09-13 | Autoliv Development Ab | 腰部拘束装置及び車両用シート |
-
2002
- 2002-11-22 JP JP2002339799A patent/JP2004168273A/ja active Pending
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