JP2004168095A - 空気入りタイヤ、及び空気入りタイヤの製造方法 - Google Patents

空気入りタイヤ、及び空気入りタイヤの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】サイド部の表面から亀裂を発生し難い空気入りタイヤを提供すること。
【解決手段】サイド部28のタイヤ外表面に、サイドゴム層24よりも50%弾性率の低いゴムからなる保護層26を設け、その保護層表面に文字等の突起を形成する。保護層26の厚さtとサイド部28の厚さTとは、0.1≦t/T≦0.3を満足させる。タイヤ転動時の歪みに対して突起の付け根から発生する亀裂を抑制でき、タイヤ本来の特性も保てる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気入りタイヤ、及び空気入りタイヤの製造方法にかかり、特に、サイド部表面の亀裂発生を抑えた空気入りタイヤ、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、扁平率が55%以下の超扁平空気入りラジアルタイヤにおいては、使用条件下での荷重に伴うタイヤサイド部の変形領域の狭さに起因して、タイヤサイド部へ変形が集中し易い。
【0003】
この範囲内のタイヤサイド部表面上に文字、記号等を表す突起が存在すると、突起の付け根に歪みが集中し、ここを起点としてタイヤサイドゴム層に亀裂破壊が生じ易い。
【0004】
この問題を解決するためには、(1)サイドゴム層全体の50%弾性率を小さくし、サイドゴム層の耐亀裂破壊性を向上させる、(2)文字等の突起の付け根の仕上げRを大きくする、(3)サイド部に文字等の突起を設けないようにする、等の対策が考えられる。
【0005】
なお、従来技術として、サイド部を複数種類のゴムで形成した空気入りタイヤ(例えば、特許文献1〜3参照)、が提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−198325公報
【特許文献2】
特開2001−199209公報
【特許文献3】
特開平5−185810号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述したような対策でサイド部の亀裂破壊問題を解決しようとした場合には、それぞれ、以下のような問題点がある。
(1) 一般にゴムの破壊特性は、ゴムの50%弾性率(M50)と概ね関係があり、50%弾性率が小さく軟らかいゴムほど耐破壊性に優れるのが一般的である。サイドゴム層全体の50%弾性率を小さくし、サイドゴム層の耐亀裂破壊性を向上しようとした場合には、サイド部の剛性が小さくなり過ぎて、超扁平タイヤに要求されるような運動性能を達成し難くなる。
【0008】
また、サイド部の剛性が小さくなることにより、同じ条件下でもサイド部の撓み量が大きくなる。
【0009】
これに伴い、サイド部表面での歪みが増大してしまい、結果として期待したほど効果が得られなくなる。
【0010】
(2) 文字等の突起の付け根の仕上げRを大きくすることは、モールド加工の工数を増大させ、コストアップの要因となるばかりでなく、全ての突起の付け根部分の仕上げRを均一に仕上げることは工作精度上非常に難しい。
【0011】
(3) サイド部に文字等の突起を設けないようにすうる配置の変更は、重要なタイヤの構成要素であるタイヤ外観デザインに対して大幅な制約を課することになるが、超扁平タイヤでは、文字等を配置できるタイヤ断面高さ方向の範囲が非常に狭く、事実上実施は困難であることが多い。
【0012】
なお、特開2000−198325号公報に記載の発明は、タイヤゴム間の割れや剥離に起因した損傷の防止を目的としており、サイド部表面で発生する亀裂を防止する目的のものではない。
【0013】
また、特開2001−199209号公報に記載の発明は、サイド部にサイドゴム層より硬い補強ゴム層を設けているため、サイド部表面で発生する亀裂を防止することはできない。
【0014】
また、特開平5−199209号公報に記載の発明は、繊維補強材を配合した保護ゴム層をサイド部に設け、縁石などによるサイド部のカットを防止することを目的としており、引張り歪みによる亀裂の発生を防止するものではない。
【0015】
本発明は上記事実を考慮し、サイド部の表面から亀裂を発生し難い空気入りタイヤ、及びその製造方法を提供することが目的である。
【0016】
【課題を解決するための手段】
かかる問題を解決するために、発明者は種々実験検討を重ねた結果、亀裂発生の原因となる歪みの発生する領域に対してのみ的確な対応を行い、それ以外の大部分を構成するサイドゴム層については耐亀裂性以外の要求性能に対応したゴム質を配置することで、耐亀裂破壊性以外のサイド部に要求される性能を犠牲にすることなく、超扁平タイヤの耐亀裂破壊性の向上を図れることを見出した。
【0017】
また、サイド部の3次元的な歪分布解析の結果、サイド部の文字等の突起の付け根を起点とする亀裂破壊を起こす歪みは、タイヤ表面に沿ったタイヤ変形方向への引張り歪みが主原因であることが判明した。
【0018】
請求項1に記載の発明は上記事実に鑑みてなされたものであって、一対のビード部と、一方のビード部から他方のビード部に跨って延びるトロイド状のカーカスと、前記カーカスのタイヤ径方向外側に位置する補強層と、前記補強層のタイヤ径方向外側に位置し、トレッド部を構成するトレッドゴム層と、前記カーカスのタイヤ軸方向外側に位置し、サイド部を構成するサイドゴム層と、を備えた空気入りタイヤであって、前記サイド部のタイヤ外表面には、前記サイドゴム層よりも50%弾性率の低いゴムからなる保護層が設けられており、タイヤ外表面に立てた法線に沿って計測する前記保護層の厚さをt、前記法線に沿って計測する前記サイド部の厚さをT、としたときに、0.1≦t/T≦0.3を満足する、ことを特徴としている。
【0019】
次に、請求項1に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
【0020】
走行により空気入りタイヤのサイド部表面には、タイヤ径方向に沿った引張り歪みを生ずるが、サイド部表面には、サイドゴム層よりも50%弾性率の低いゴムからなる保護層が設けられているため、サイド部表面の耐亀裂破壊性が向上する。
【0021】
したがって、サイド部表面に、文字等の突起等が形成されていても、該突起の付け根から亀裂が発生し、成長することを抑制することが出来る。
【0022】
なお、保護層の厚さをtとサイド部の厚さTとの比率t/Tが0.1未満では、サイド部表面から発生する亀裂を抑制する効果が不足する。
【0023】
一方、比率t/Tが0.3を越えると、サイド部の剛性が低下してタイヤ本来の性能を低下させてしまう。
【0024】
したがって、保護層の厚さをtとサイド部の厚さTとの比率t/Tは、0.1≦t/T≦0.3を満足させる必要がある。
【0025】
なお、ここでいう50%弾性率(M50)とは、50%伸び時における引張応力(単位:Pa。JIS K 6251による。)である。
【0026】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の空気入りタイヤにおいて、前記保護層は、タイヤ断面高さの55〜70%の範囲内に設けられている、ことを特徴としている。
【0027】
次に、請求項2に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
【0028】
サイド部の中でも、タイヤ断面高さの55〜70%の範囲内は、特に引張り歪みの大きな部位であるので、この範囲内には耐亀裂破壊性に優れた50%弾性率の低いゴムからなる保護層を配置しておくことが好ましい。
【0029】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤにおいて、前記サイドゴム層の50%弾性率をM50a、前記保護層のゴムの50%弾性率をM50bとしたときに、0.3≦M50b/M50a≦0.8を満足する、ことを特徴としている。
【0030】
次に、請求項3に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
【0031】
サイドゴム層の50%弾性率M50aと保護層のゴムの50%弾性率M50bとの比率M50b/M50aを0.3≦M50b/M50a≦0.8としたのは、サイドゴム層と保護層とのそれぞれに要求される特性を明確にして使い分けるためである。
【0032】
ここで、比率M50b/M50aが0.3未満になると、保護層が軟らかすぎて、縁石、小石片等の外的要因でのカット等に対する耐久性が大きく劣ってしまう。
【0033】
一方、比率M50b/M50aが0.8を越えると、保護層のゴムの50%弾性率M50bがサイドゴム層の弾性率M50aに近づき過ぎ、保護層を設けた効果、即ち、従来タイヤからの耐亀裂破壊性の改良効果が殆ど見込めなくなる。
【0034】
したがって、サイドゴム層の50%弾性率M50aと保護層のゴムの50%弾性率M50bとの比率M50b/M50aは、0.3≦M50b/M50a≦0.8を満足することが好ましい。
【0035】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、前記サイドゴム層の50%弾性率が1.1MPa以上2.0MPa以下、前記保護層を構成するゴムの50%弾性率が0.7MPa以上0.9MPa以下に設定されている、ことを特徴としている。
【0036】
次に、請求項4に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
【0037】
サイドゴム層の50%弾性率を1.1MPa以上2.0MPa以下、保護層を構成するゴムの50%弾性率を0.7MPa以上0.9MPa以下に設定すると、例えば、扁平率が55%以下の超扁平タイヤにおいて要求される運動性能、乗心地特性等と、耐久性が最も良く両立することができる。
【0038】
ここで、サイドゴム層の50%弾性率が1.1MPa未満になると、レーンチェンジに代表されるような操縦安定性の悪化が目立ち、超扁平タイヤとしての要求性能を満足し難くなる。
【0039】
一方、サイドゴム層の50%弾性率が2.0MPaを越えると、サイドゴム層の剛性が高くなりすぎて、突起乗り越え時に代表される乗心地の大幅な悪化を招いてしまう。
【0040】
また、保護層を構成するゴムの50%弾性率が0.7MPa未満になると、サイドゴム層との剛性差が大きくなり過ぎて、サイドゴム層と保護層との境界領域での歪み分布にゆがみが生じて、かえって耐破壊性の悪化をもたらす懸念がある。
【0041】
一方、保護層を構成するゴムの50%弾性率が0.9MPaを越えると、サイドゴム層の50%弾性率と非常に近い物性となり、亀裂発生を抑える効果が期待出来なくなる。
【0042】
したがって、サイドゴム層の50%弾性率を1.1MPa以上2.0MPa以下、保護層を構成するゴムの50%弾性率を0.7MPa以上0.9MPa以下に設定することが好ましい。
【0043】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、前記サイド部のタイヤ外表面に設けられる高さ0.5mm以上の突起は、タイヤ断面高さの58%以上68%以下の範囲内、かつ前記保護層の端部よりも5mm以上離れた位置に設けられている、ことを特徴としている。
【0044】
次に、請求項5に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
【0045】
高さ0.5mm以上の突起は、付け根付近に歪みが集中し易く、亀裂を発生し易いので、耐久性の向上を達成するためには、この突起の付け根を耐亀裂破壊性に優れた保護層で効果的にカバーする必要がある。
【0046】
したがって、高さ0.5mm以上の突起は、サイド部のタイヤ外表面のタイヤ断面高さの58%以上68%以下の範囲内、かつ保護層の端部よりも5mm以上離れた位置に設けることが好ましい。
【0047】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、前記サイド部をタイヤ外表面に対して直角な断面で見たときに、前記突起の付け根部分は、タイヤ外側に曲率中心を有する円弧形状に形成され、前記円弧形状の曲率半径をRとしたきに、0.2mm≦R≦1.0mmを満足する、ことを特徴としている。
【0048】
次に、請求項6に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
【0049】
円弧形状の曲率半径Rが0.2mm未満になると、突起の付け根に歪みが集中し易くなり好ましくない。
【0050】
一方、円弧形状の曲率半径Rが1.0mmを越えると、空気入りタイヤを加硫成形するためのモールドを加工する際の工数が増大し、コストアップの要因となる。
【0051】
また、突起の付け根の全て部分の仕上げRを均一に仕上げることは工作精度上非常に難しい。
【0052】
請求項7に記載の空気入りタイヤの製造方法は、前記サイドゴム層と前記保護層とを一体押出によって形成した、ことを特徴としている。
【0053】
請求項7に記載の空気入りタイヤの製造方法では、サイドゴム層と保護層とを、例えば、ゴムの2層押出機等を用いて一体押出して形成したので、サイドゴム層と保護層とが強固に圧着し合い、界面の耐久性を向上することができる。
【0054】
また、サイドゴム層と保護層とをタイヤ成形ドラム上で貼り合わせる場合に比較して圧着が十分であり、セメント等を使用しないことから、余分な界面を増やさずに済む利点がある。
【0055】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
【0056】
図1に示すように、本実施形態の空気入りタイヤ10は、一対のビード部12(図1では片側省略)をトロイド状に跨る複数枚のカーカス14プライからなるカーカス14を備えている。
【0057】
カーカス14は、ビード部12に埋設されているビードコア16をタイヤ内側から外側に向けて巻き上げられている。
【0058】
カーカス14のタイヤ径方向外側には複数のベルトプライからなるベルト18が設けられており、さらにベルト18のタイヤ径方向外側にはベルト補強層20、及びトレッドゴム層22が設けられている。
【0059】
また、カーカス14のタイヤ軸方向外側には、サイドゴム層24が設けられている。
【0060】
サイドゴム層24の表面の一部分には、サイドゴム層24とは異なるゴムからなる保護層26が、タイヤ断面高さSHの55〜70%の範囲内に設けられている。
【0061】
タイヤ外表面に立てた法線に沿って計測する保護層26の厚さをt、該法線に沿って計測するサイド部28の厚さをT、としたときに、0.1≦t/T≦0.3を満足することが好ましい。
【0062】
サイドゴム層24の50%弾性率をM50a、保護層26のゴムの50%弾性率をM50bとしたときに、0.3≦M50b/M50a≦0.8を満足することが好ましい。
【0063】
サイドゴム層24の50%弾性率M50aは1.1MPa以上2.0MPa以下、保護層26を構成するゴムの50%弾性率M50bは0.7MPa以上0.9MPa以下が好ましい。
【0064】
図2に示すように、保護層26のタイヤ外表面には、文字、数値等を構成する高さ0.5mm以上の突起30が形成されている。
【0065】
この突起30は、図1に示すように、タイヤ断面高さSHの58%以上68%以下の範囲内、かつ保護層26の端部よりも5mm以上離れた位置に設けることが好ましい。
【0066】
図2に示すように、サイド部28をタイヤ外表面に対して直角な断面で見たときに、突起30の付け根(突起30の側面とサイド部外表面との接続部分)は、タイヤ外側に曲率中心を有する円弧形状に形成されている。
【0067】
接続部分の曲率半径をRとしたきに、0.2mm≦R≦1.0mmを満足することが好ましい。
(作用)
次に、本実施形態の空気入りタイヤ10の作用を説明する。
【0068】
空気入りタイヤ10が負荷転動すると、サイド部28の表面には、タイヤ径方向に沿った引張り歪みを生じ、突起30の付け根に歪みが集中し易いが、突起30をサイドゴム層24よりも50%弾性率の低いゴムからなる保護層26のタイヤ外表面に形成したため、亀裂を発生し難い。
【0069】
サイド部28の中でも、タイヤ断面高さSHの55〜70%の範囲内は、特に引張り歪みの大きな部位であるので、この範囲内に耐亀裂破壊性に優れた50%弾性率の低いゴムからなる保護層26を配置し、この保護層26に突起30を形成した本実施形態は好ましい形態である。
【0070】
サイドゴム層24の50%弾性率を1.1MPa以上2.0MPa以下、保護層26を構成するゴムの50%弾性率を0.7MPa以上0.9MPa以下に設定したので、本実施形態のように扁平率が55%以下の空気入りタイヤ10において要求される運動性能、乗心地特性等と、耐久性が最も良く両立することができる。
【0071】
ここで、保護層26の厚さをtとサイド部28の厚さTとの比率t/Tが0.1未満では、亀裂の発生を抑制する効果が不足する。
【0072】
一方、比率t/Tが0.3を越えると、サイド部28の剛性が低下してタイヤ本来の性能を低下させてしまう。
【0073】
比率M50b/M50aが0.3未満になると、保護層26が軟らかすぎて縁石、小石片等の外的要因でのカット等に対する耐久性が大きく劣ってしまう。
【0074】
一方、比率M50b/M50aが0.8を越えると、保護層26のゴムの50%弾性率M50bがサイドゴム層24の弾性率M50aに近づき過ぎ、耐亀裂破壊性の改良効果が殆ど見込めなくなる。
【0075】
サイドゴム層24の50%弾性率が1.1MPa未満になると、レーンチェンジに代表されるような操縦安定性の悪化が目立ち、超扁平タイヤとしての要求性能を満足し難くなる。
【0076】
一方、サイドゴム層24の50%弾性率が2.0MPaを越えるとサイドゴム層24の剛性が高くなりすぎて、突起乗り越え時に代表される乗心地の大幅な悪化を招いてしまう。
【0077】
また、保護層26を構成するゴムの50%弾性率が0.7MPa未満になると、サイドゴム層24との剛性差が大きくなり過ぎて、サイドゴム層24と保護層26との境界領域での歪み分布にゆがみが生じて、かえって耐破壊性の悪化をもたらす懸念がある。
【0078】
一方、保護層26を構成するゴムの50%弾性率が0.9MPaを越えると、サイドゴム層24の50%弾性率と非常に近い物性となり、亀裂発生を抑える効果が期待出来なくなる。
【0079】
突起30の付け根の曲率半径Rが0.2mm未満になると、突起30の付け根に歪みが集中し易くなり好ましくない。
【0080】
一方、突起30の付け根の曲率半径Rが1.0mmを越えると、モールドを加工する際の工数が増大し、コストアップの要因となる。また、突起30の付け根の全て部分の仕上げRを均一に仕上げることは工作精度上非常に難しい。
【0081】
なお、サイド部28をサイドゴム層24と保護層26との弾性率の異なる2層からなる構成とし、これを別々の部材として準備した後で貼り合わせることで加硫前の生タイヤを成形する場合、仮に、圧着不足等があった場合にはサイドゴム層24と保護層26との界面で剥離を生じる懸念がある。
【0082】
したがって、サイドゴム層24と保護層26とは、押出機で一体で押し出す方が良い。
(試験例)
本発明の効果を確かめるために、本発明の適用された実施例のタイヤ、従来例のタイヤ、及び比較例のタイヤを用意し、実車操縦安定性試験、及び室内ドラム耐久試験を行った。
(1) 実車操縦安定性試験
タイヤサイズ:225/45R17
リム:7.5JJ
空気圧:フロント220kPa、リア270kPa
テスト車両:排気量3000ccのフロントエンジン/リア駆動のスポーツタイプ車
積載条件:ドライバーのみ
評価項目:乾いた路面での操縦安定性
操縦安定性は、長い直線部分を含む高速周回路、コース規制されたカーブの多いハンドリング評価路などからなるテストコース内を、低速から200km/h程度の高速までの幅広い速度領域で走行し、直進安定性能、操舵時のハンドル応答性能、路面グリップ性能について、訓練された評価ドライバー2名がフィーリング評価を行い、この平均点を評価結果とした。
【0083】
結果は、従来例1の結果を100としたときの指数で示し、数値が大きいほど良好であることを表している。
(2) 室内ドラム耐久性
タイヤサイズ:225/45R17
リム:7.5JJ
空気圧:130kPa
試験荷重:5kN
ドラム直径1.7m
速度:60km/h
本試験は、実際の市場での様々な使用条件(荷重、タイヤ空気圧、車両アライメント、路面状況)等を考慮し、最も苛酷な条件を再現するために設定したものである。したがって、本試験での故障までの走行距離は、市場での故障までの走行距離をそのまま示すものではないが、耐久性に優れるタイヤとそうでないタイヤとの比較を行うには十分である。
【0084】
結果は、故障発生までの走行距離について、従来例1の結果を100とした時の指数で示し、数値が大きいほど良好であることを表している。
【0085】
次に、試験に用いたタイヤを説明する。
【0086】
従来例1はサイドゴム層に比較的弾性率の大きいゴムを用いたもので、一方、従来例2はこれに対し比較的弾性率の小さいゴムを用いたものである。これらはいずれもサイドゴム層は1層のみで構成された従来構造のタイヤである。
【0087】
実施例1,2のタイヤは、サイドゴム層を本発明で規定した範囲において2層とし、サイドゴム層に従来例1と同じ比較的弾性率の大きいゴムを用い、その表面に従来例2のサイドゴム層と同じ弾性率を有するゴムからなる保護層を設けたものである。
【0088】
サイドゴム層、及び保護層の50%弾性率は、表に示した通りである。
【0089】
なお、実施例1は、サイドゴム層と保護層とを同時押出成形したものであり、実施例2は、タイヤ成形ドラム上にてサイドゴム層の上に保護層を貼り付けたものである。
【0090】
保護層の深さ方向の分布(断面形状)については、中心部が最も厚く、端部に近くなるにしたがって薄くなる形状とした。
【0091】
なお、表中に示した実施例は、本発明の効果を検証するための一例であるが、サイドゴム層の弾性率の選定にあたっては、請求項の範囲に示した範囲内であればほぼ同様の効果を得られる。
【0092】
【表1】
Figure 2004168095
【0093】
操縦安定性能の評価ドライバーによれば、実施例の操縦安定性は、概ね従来例1の操縦安定性能と同一であり、超扁平率のタイヤに求められる運動性能を十分に満たすレベルであった。
【0094】
一方、従来例2では、主にサイド部の剛性の低さに起因して、直進安定性能、操舵時のハンドル応答性能が大幅に劣ってしまっている。
【0095】
室内ドラム耐久試験では、いずれのタイヤもサイド部の表面に存在する文字端(突起端)を起点としてサイドゴム層に亀裂が発生して故障に至り、それぞれの故障までの走行距離の指数が上表の通りであった。
【0096】
従来例2のタイヤの耐久性が実施例1ほど向上しなかったのは、サイド部の剛性が低いことにより、同じ条件下でもサイド部の撓み量が大きくなってしまったために、サイド部表面での歪みを増大させることになり、結果として期待したほど効果が得られなかったためと考えられる。
【0097】
また、実施例2は、サイドゴム層と保護層との間で割れが発生し、結果として実施例1よりは耐久性が劣ってしまったが、従来例に比較しては明らかに耐久性は向上している。
【0098】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の空気入りタイヤは上記の構成としたので、サイド部の表面から亀裂が発生し難くなる、という優れた効果を有する。
【0099】
また、本発明の空気入りタイヤの製造方法によれば、サイドゴム層と保護層ととの界面の耐久性を向上することができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの断面図である。
【図2】保護層の拡大断面図である。
【符号の説明】
10 空気入りタイヤ
24 サイドゴム層
26 保護層
28 サイド部
30 突起

Claims (7)

  1. 一対のビード部と、
    一方のビード部から他方のビード部に跨って延びるトロイド状のカーカスと、
    前記カーカスのタイヤ径方向外側に位置する補強層と、
    前記補強層のタイヤ径方向外側に位置し、トレッド部を構成するトレッドゴム層と、
    前記カーカスのタイヤ軸方向外側に位置し、サイド部を構成するサイドゴム層と、を備えた空気入りタイヤであって、
    前記サイド部のタイヤ外表面には、前記サイドゴム層よりも50%弾性率の低いゴムからなる保護層が設けられており、
    タイヤ外表面に立てた法線に沿って計測する前記保護層の厚さをt、前記法線に沿って計測する前記サイド部の厚さをT、としたときに、0.1≦t/T≦0.3を満足する、ことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記保護層は、少なくともタイヤ断面高さの55〜70%の範囲内に設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記サイドゴム層の50%弾性率をM50a、前記保護層のゴムの50%弾性率をM50bとしたときに、
    0.3≦M50b/M50a≦0.8を満足する、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記サイドゴム層の50%弾性率が1.1MPa以上2.0MPa以下、前記保護層を構成するゴムの50%弾性率が0.7MPa以上0.9MPa以下に設定されている、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記サイド部のタイヤ外表面に設けられる高さ0.5mm以上の突起は、タイヤ断面高さの58%以上68%以下の範囲内、かつ前記保護層の端部よりも5mm以上離れた位置に設けられている、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記サイド部をタイヤ外表面に対して直角な断面で見たときに、前記突起の付け根部分は、タイヤ外側に曲率中心を有する円弧形状に形成され、前記円弧形状の曲率半径をRとしたきに、0.2mm≦R≦1.0mmを満足する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記サイドゴム層と前記保護層とを一体押出によって形成した、ことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の空気入りタイヤの製造方法。
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