JP2004167692A - インクタンク及びそのインクエンプティ検知方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な構成で精度よくインクエンプティのセンシングを行うことができ、インク供給路内への気泡の混入を阻止し、常に、安定な印刷動作を確保できると共に、インクタンクの交換時のメンテナンス動作時に多量のインクを無駄に消費しなくても済むようにしたインクタンクを提供する。
【解決手段】外部のインク供給路に接続されるインク供給口21が、インクタンクTの下部に配設されると共に、インク貯蔵部31からインク供給部32に至るインクの流通経路におけるインク供給部32の上部に、インクエンプティのセンシングを行うためのインクセンス部33を配設し、かつ、該インクセンス部33に対して上方からインクを流下させるように構成する。
【選択図】図8
【解決手段】外部のインク供給路に接続されるインク供給口21が、インクタンクTの下部に配設されると共に、インク貯蔵部31からインク供給部32に至るインクの流通経路におけるインク供給部32の上部に、インクエンプティのセンシングを行うためのインクセンス部33を配設し、かつ、該インクセンス部33に対して上方からインクを流下させるように構成する。
【選択図】図8
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクを吐出することにより記録媒体に記録を行うインクジェットプリンタ等に搭載されるインクタンク及びそのインクエンプティ検知方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットプリンタにおけるインク吐出不良は、インクに気泡が混入することにより、圧力室で発生させた圧力波が気泡に吸収されてしまうことが原因で発生することが多い。従って、インクジェットプリンタは、インクタンク内でインクエンプティのセンシングを精度よく行い、インク流路への気泡の流れ込みを防ぎ、気泡によるトラブルのない安定な印刷ができるように構成されるのが望ましい。
【0003】
通常、インクタンクには、インクを外部に供給するためのインク供給口と、温度によるタンクの膨張、収縮に対応するため、及びインクが減少したタンク内の圧力を大気と同等にするために、大気連通口が設けられている。そのインクタンクの内部には、インクを吸収するための多孔質材が装填されており、その毛細管力によりインクを保持すると共に、負圧状態を作り、インクタンクを装置に装着した時や、インクタンクを単独で取り扱う時などに、インクが漏れない様に構成されている。
【0004】
そして、インクタンクの出口(インク供給口)等には、前記多孔質材に圧接された濾過手段としてメッシュ部材が配置され、そのメッシュ部材によって作られたインクの膜により、気泡が濾過され、以後のインク供給路には、気泡のないインクのみが流通するように構成されている。
【0005】
また、インクタンクからインクが供給されると多孔質材に含まれるインクが減少し、多孔質材の下部や加圧されて毛管力が強くなった部分にインクが集まるため、その部位にインク供給口を設けることで、タンク内でのインク残量が少なくなり、最後までインクを無駄にすることなく使用できるような構成としている。
【0006】
このようなインクタンクにおいて、内部のインクが無くなった時には、前記濾過手段としてのメッシュ部材とインク供給口のオリフィスの毛細管力の引き合いとなるため、一般に、メッシュ部材の孔径は、オリフィスの径よりも大きく設定されており、負圧がメッシュ部材の毛管力以上になると、インク膜が破れ空気が管路に入り込むように構成されている。
【0007】
次に、インクタンクを交換した後に印刷動作を継続するためには、管路に入り込んだ空気を外部に排出する必要があり、そのためには、新しいインクを導入して空気を流し出すようにメンテナンス装置を駆動させるようにしている。しかし、その空気を追い出す操作そのものが煩瑣であり、時間を要する上に、多量のインクを無駄にしなければならないという問題があった。
【0008】
そこで、インクのセンシングを精度よく行うために、例えば、インクを貯蔵する吸収体(多孔質体)内にインクセンス電極を配置するようにした構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、一方の電極をインク吸収体内に、他方の電極をインク経路内に配設した構成も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
あるいは、インク貯蔵部とインク供給口との間の管路にインクセンス部を設け、管路を通る気泡を検知するように構成した提案もある(例えば、特許文献3参照)。さらに、インク貯蔵部からインク供給口に至る間に、気泡を検知するためのインク液室を設けた構成も提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0010】
【特許文献1】
特開平2−198862号公報(図2)
【特許文献2】
特開平8−332739号公報(図1,段落「009」〜「0013」)
【特許文献3】
特開平3−288654号公報(第1図)
【特許文献4】
特開平8−332739号公報(図4,段落「0037」〜「0043」)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特許文献1のように、インク吸収体内でインクのセンシングを行う場合には、そもそも多孔質体内でのインク濃度が不安定であるため、抵抗値が徐々に変化し、かつ、その抵抗値が温度によっても変化するため、電極間の抵抗値が安定せず、精度の高いセンシングは不可能であり、従って、安定した印刷動作は期待しがたい。また、特許文献2でも、ほぼ同等な抵抗特性を示し、抵抗値が不安定であり、精度の高いセンシングは難しいと判断される。
【0012】
あるいは、特許文献3の場合、インク貯蔵部のインクが無くなると、気泡とインクが混ざって流出しはじめ、徐々に気泡が大きくなり、かつ、その比率が高くなるが、初期段階での小さな気泡はインクセンス電極よりも小さくて検知できず、気泡がかなり成長した段階でしか検知することができなかった。
【0013】
また、特許文献4の場合にも、基本的な構成は特許文献3と同じであり、この方式ではインク液室は生インク(多孔質材に含浸されていないインク)のため、インクタンクとインク流路の接続には針を使用している。しかし、針を使用する場合には、使用者が取り扱いを誤って怪我をすることのないようにする対策が必要とされる上に、接続時のゴムのシール不足によるインク漏れや、針部への空気の押込み等の対策が必要とされるため、最近では、あまり評価されなくなっている。
【0014】
本発明は、このような実情に鑑みてなされ、簡単な構成でインクタンク内部で精度よくインクエンプティのセンシングを行うことができ、インク供給路内への空気の混入を防ぎ、常に、安定な印刷動作を確保できると共に、インクタンクの交換時のメンテナンス動作時に多量のインクを無駄にしなくても済むインクタンク及びインクエンプティ検知方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。
【0016】
(1)インク貯蔵部と、インク供給部と、を具備し、前記インク貯蔵部から前記インク供給部を経由して、外部に接続されたインク供給路にインクが供給されるようにしたインクタンクにおいて、
前記インク貯蔵部から前記インク供給部に至るインクの流通経路における前記インク供給部の上部に、インクエンプティのセンシングを行うためのインクセンス部を配設し、かつ、該インクセンス部に対して上方からインクを流下させるように構成したことを特徴とする。
【0017】
この構成においては、インク供給部の上部に配設されたインクセンス部に対して、インクを上方から流下させるため、インク中の気泡は流下することなく、インク供給部の上部に安定に溜まり累積する。そのため、(インクセンス部に対して下方からインクを流通させる場合のように)インクセンス部の電極等によって気泡がトラップされるような不具合の発生を阻止することができ、精度の高いセンシングが可能となる。
【0018】
従って、インク供給路内への気泡の混入が阻止され、常に、安定な印刷動作を確保できる。また、インクタンクの交換時のメンテナンス動作時に気泡を除去するためのインクを無駄に消費しなくても済む。そして、このような簡易な構成のインクタンクを安価に提供することができる。
【0019】
(2)前記インクセンス部は、空洞状に形成され、かつ、その内部には、複数の電極が配設されていることを特徴とする。
【0020】
この構成においては、インクセンス部を空洞状に形成することで、その内部に配設した電極に対してインクを上方から流下させる構成を容易に形成することができる。
【0021】
(3)前記インクセンス部の内部には、中空部を残して多孔質体が配設されており、前記複数の電極の内少なくとも1本の電極は、前記多孔質体内に埋設される一方、少なくとも他の1本の電極は、前記中空部に配設されることを特徴とする。
【0022】
この構成においては、電極の少なくとも1本を多孔質体内に配設することで、多孔質体によってインクが吸収されるため、電極間のインクによるブリッジが発生しなくなり、安定した精度の高いセンシングが可能となる。
【0023】
(4)前記インクセンス部は、外部から光を照射することにより、インクエンプティのセンシングを行うための透過率又は屈折率を検出可能な空洞状に形成されていることを特徴とする。
【0024】
この構成においては、空洞状に形成したインクセンス部に対して、外部から光を照射させ、その透過率や屈折率を検出することにより、複雑な電気回路を用いることなく、精度の高いセンシングが可能となるインクタンクを、簡単な構成で形成して、安価に提供することができる。
【0025】
(5)前記インクセンス部には、インクエンプティのセンシングを行うための電気的なヒステリシスを発生させるエンプティ検出回路が接続されていることを特徴とする。
【0026】
この構成においては、エンプティ検出回路をインクタンク内に組み込むため、外部に嵩高い照明手段を設けなくてもよく、装置のコンパクト化が可能となる。
【0027】
(6)前記エンプティ検出回路において発生する電気的なヒステリシスは、電源投入時にインクエンプティを検出し易い方向に偏っていることを特徴とする。
【0028】
電源−OFF前の検出でインク無しを検出し、電源−ON時にインク有りを検出すると、インクタンクが交換されたものとして、プリンタのコントローラーが処理してしまうため、この構成においては、電源投入時にインクエンプティを検出され易くすることで(電源−ON時にも間違いなくインク無しを検出することで)、上述のようなトラブルの発生を防止している。
【0029】
(7)前記エンプティ検出回路における電気的なヒステリシスは、前記エンプティ検出回路に配設された増幅回路、又は、コンパレータ回路のフィードバック抵抗により発生されることを特徴とする。
【0030】
この構成においては、電気的なヒステリシスを、エンプティ検出回路に配設された増幅回路、又は、コンパレータ回路のフィードバック抵抗により発生させるため、電源投入時に、インク有りの誤検出を生じないようなヒステリシス特性を具備させることができる。
【0031】
(8)前記インク貯蔵部に配設された多孔質体に対して圧接状態に配設されたフィルタによって濾過されたインクが、前記インク供給部に流入するように構成したことを特徴とする。
【0032】
この構成においては、フィルタによって濾過したインクをインク供給部に供給するため、インク貯蔵部のインクを最後まで気泡のない状態で使用することができる。
【0033】
(9)前記インク供給部には、多孔質体が配設され、前記インク供給口の内側に対応する前記多孔質体には、凹凸状の縦割溝が形成され、該縦割溝は、前記インク供給口から前記インクセンス部まで延設されていることを特徴とする。
【0034】
この構成においては、インクセンス部を経て上方から流下するインクを縦割溝に沿わせてインク供給口に供給するため、インク供給口への上方からのインクの流れが安定化する。
【0035】
(10)前記フィルタは、横長状に形成されて前記インク貯蔵部とインク供給部とを画成する縦壁の下部に配設された連通部に設けられ、前記縦壁のインク供給部側には、前記連通部に形成された連通口から前記インクセンス部に延びる縦溝が形成され、該縦溝は、前記インクタンクの幅方向中央部位から側方にオフセットして配設されていることを特徴とする。
【0036】
この構成においては、フィルタを横長状に形成しているため、幅広い領域でインクを濾過することができ、かつ、その連通口を縦溝の下部に臨ませているので、気泡や異物を除去した後の清浄なインクを縦溝からインクセンス部を経由させてインク供給口に安定に供給することができる。
【0037】
そして、縦溝を側方にオフセットさせて配設しているため、(縦溝の干渉することなく、)縦割溝を形成しやすくなり、インクセンス部に対して上方から流下させたインクのインク供給口に至るまでの流れを安定化することができる。
【0038】
(11)前記インク供給部の多孔質体中に形成される縦割溝は、前記フィルタから前記インク供給口に至る水平なインク流路を形成するために、水平方向の切欠部を有していることを特徴とする。
【0039】
この構成においては、インク供給部の多孔質体に形成される縦割溝に、水平方向の切欠部を形成しているため、フィルタからインク供給口に至る水平なインク流路が、縦割溝を横切るように形成されるため、インク供給口へのインクの流れが安定化する。
【0040】
(12)前記インクタンクを構成する筺体は、タンクケース本体と、内蓋と、外蓋と、からなり、前記タンクケース本体と、前記外蓋と、の間に、前記内蓋が挟持されてなることを特徴とする。
【0041】
この構成においては、タンクケース本体と内蓋と外蓋とで、インクタンクの筺体を形成するので、タンクケース本体に多孔質体を装填してインク貯蔵部となし、内蓋と外蓋で画成される空間に多孔質体を装填してインク供給部とすることにより、簡易な構成で、堅牢なインクタンクを形成することができる。
【0042】
(13)前記筺体を構成する各部材の接続部においては、前記内蓋の両側に接続される前記タンクケース本体と外蓋の接続部分が略一致した部位に対応し、かつ、前記各部材の接続部分の厚さが、略同一であることを特徴とする。
【0043】
この構成においては、各部材の接続部において、各部材の接続部分を、略一致した部位に対応させ、かつ、前記各部材の接続部分の厚さを、略同一としたので、一度の溶着工程で、3つの部材を接続することができる。
【0044】
(14)インク貯蔵部と、該インク貯蔵部からインク供給路にインクを供給するインク供給部と、の間のインクの流通経路で、インクエンプティのセンシングを行うようにしたインクタンクにおいて、
前記インクタンクの使用状態下にて、前記流通経路における前記インク供給部の上部に配設したインクセンス部に上方からインクを流下させてインクエンプティのセンシングを行うことを特徴とする。
【0045】
この方法においては、インク供給部の上部に配設されたインクセンス部に対して、インクを上方から流下させるため、インク中の気泡は流下することなく、インク供給部の上部に安定に溜まり累積される。従って、(インクセンス部に対して下方からインクを流通させる場合のように)インクセンス部の電極等によって気泡がトラップされるような不具合の発生を阻止することができ、高いセンシングが可能となる。また、インクタンクの交換時のメンテナンス動作時に気泡を除去するために、インクを消費しなくても済む。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0047】
《インクジェット印刷装置》
図1及び図2は、インクジェット印刷装置(インクジェットプリンタ)1の構成を示す説明図である。この印刷装置1は、記録用紙(記録媒体)P上にインクを吐出することにより印刷を行い、以下のように構成されている。すなわち、記録用紙Pに印刷を行なう印刷部2と、記録用紙Pを印刷装置1に供給する給紙部3と、記録用紙Pを印刷部2まで搬送する搬送部4と、印刷された記録用紙Pを排出する排出部5とからなる。
【0048】
給紙部3は、給紙トレイ3a、分離板6、給紙ローラ7を有しており、給紙トレイ3aは、印刷にかかる記録用紙Pを収容・給紙する。分離板6及び給紙ローラ7は、給紙トレイ3aに収容された記録用紙Pを一枚ずつ分離して搬送部4に供給し、搬送部4は、ガイド板8、搬送ローラ9を有している。
【0049】
ガイド板8は、給紙ローラ7から給紙されてきた記録用紙Pを印刷部2に導くためのものであり、搬送ローラ9は、ガイド板8上を通過した記録用紙Pを印字ヘッド10まで搬送する。また、印刷部2は、キャリッジ11、シャフト12(図1参照)、プラテン13(図2参照)を有している。
【0050】
キャリッジ11は、印字ヘッド10をシャフト12に沿って移動させるためのものであり、カラーインクタンクの場合、例えば図4に示すように、3つのカラーインクタンク14〜16と印字ヘッド10を備えたものもある。この場合、各インクタンクは、インクを貯留(蓄積)すると共に印字ヘッド10にインクを供給し、印字ヘッド10の上部に取り付けられている。
【0051】
本印刷装置1では、例えば、図3に示すように、黒色インクと互いに色の異なる3色(イエロー,マゼンタ,シアン)のインクを使用し、各色インクを蓄積するために、黒色インクタンク17を1つと、3つのカラーインクタンク14〜16を3つ備えたキャリッジ11を採用している。
【0052】
印字ヘッド10は、4つのインクタンク14〜17から供給されたインクを吐出口から吐出して、記録用紙Pに画像を形成するものであり、シャフト12は、キャリッジ11を、主走査方向に移動できるように案内するためのガイドである。ここで、主走査方向とは、記録用紙Pの搬送方向(副走査方向)に対して直交する方向のことである。
【0053】
プラテン13は、印刷(インク吐出)の際、記録用紙Pを載置するための台(印刷台)となるものであり、記録用紙Pにおける平坦性の維持を行うためのものである。また、排出部5は、排出ローラ18、排出トレイ19を有し、排出ローラ18は、印字ヘッド10で印刷された記録用紙Pを排出トレイ19に排出する。
【0054】
《印刷動作》
まず、ユーザが、記録用紙Pを印刷装置1の給紙トレイ3a上に載置する。そして、本印刷装置1がコンピュータ等からの印刷要求を受信したとき、分離板6と給紙ローラ7とが、記録用紙Pを1枚ずつ搬送部4に給紙する。そして、給紙された記録用紙Pは、ガイド板8に支えられながら搬送ローラ9によって搬送される。
【0055】
次に、印字ヘッド10が、搬送されてきた記録用紙Pに対してインクを吐出して印刷を行う。この印刷は、印字ヘッド10を備えたキャリッジ11を、シャフト12に沿って走査方向に移動させることで行う。すなわち、印刷の際、キャリッジ11は、走査方向における一方の端部(シャフトの端部)に設けられたスタート位置に配置され、印刷要求に応じて、他方の端部に設けられた停止位置まで、走査方向に沿って移動されるようになっている。
【0056】
そして、この移動の際、印字ヘッド10が、印刷要求に応じて記録用紙Pに対してインクを吐出し、1ライン分の画像(ライン画像)を印刷することができる。また、1つのライン画像が印刷された後、搬送ローラ9は、プラテン13上の記録用紙Pを、ライン画像の幅分だけ搬送させ、この搬送の間に、キャリッジ11は、スタート位置に復帰する(印刷走査)。
【0057】
そして、本印刷装置1では、このような印刷走査を繰り返し行うことで、印字ヘッド10によって、印刷要求に応じた情報を記録用紙Pに印刷することができる。最後に、印刷された紙は、排紙ローラ18を経て排紙トレイ19に排出され、ユーザにドキュメント(印刷物)として提供される。
【0058】
《インクタンク》
〈比較例の構成〉
図3の構成では、黒とカラーのインクタンクの形状が異なっているが、幅のみの違いであり、内部構造は基本的に同等であるため、以下、カラーのインクタンクTを例として説明する。
【0059】
図5,図6は、比較例としての従来のインクタンクTの構成を説明するための説明図で、まず、これらの図を参照しつつ、その構成について説明する。通常、インクタンクTには、図5に示すように、外部にインクを供給するためのインク供給口21が側面22の下部に設けられており、また、タンク内の圧力を大気と同等にするための大気連通口23が上蓋24に設けられ、その大気連通口23は、インク供給口21の反対側の側面内壁に形成された縦溝25に連通し、内部に装 されている多孔質体(図示省略)の片方の面が均一に大気圧となるように構成されている。
【0060】
図6は、インクタンクTの内部と、インク供給口21の接続部の構成を示し、図示のように、インクタンクTの内部には、インクを吸収するための多孔質材が装填されており、その毛細管力によりインクを安定状態に保持すると共に、負圧状態を作り、インクタンクTを装置に装着した時、インクタンクTだけを取り扱った時などに、インクが漏れ出ないように構成されている。
【0061】
また、インク供給口21とインク供給路(図示省略)の接続部には、接続部材26を取り付けるようにし、その接続部材26には、メンテナンス装置の吸引動作による過度の負圧により周囲から空気が入り込まないようにシール部材27を設け、突出した先端には濾過手段としてのメッシュ部材28を配設し、かつ、そのメッシュ部材28を前記多孔質材に対して加圧状態で接触させるようにしている。
【0062】
このような構成により、残り少なくなったインクがメッシュ部材28のまわりに集まり、そのメッシュ部材28によって形成されたインクの膜により、気泡が通過できず、以後のインク供給路には、気泡や異物が除去されたインクのみが流通する。また、インクが減少すると、多孔質材の下部及び加圧により圧縮されて毛管力が強くなった部分(メッシュ部材28の周辺)にインクが集まり、タンク内でインクを最後まで使用することができる。
【0063】
しかしながら、このような構成にあっては、多孔質材中のインクが無くなり、メッシュ部材28によって形成されたインクの膜が破れた時の空気の流れ込み方はその時のインク流量、インクの表面張力、その他の要因で千差万別の形態となるため、確実に空気がインクセンス部にのみ溜り安定したインクエンプティのセンシングを行える構成が必要とされる。そこで、本実施の形態では、以下のような構成を採用している。
【0064】
〈実施の形態1〉
図7に示す例では、インクタンクTは、インク貯蔵部31と、インク供給部32と、を有し、インク貯蔵部31からインク供給部32を経由して側面22の下部に配設されたインク供給口21から外部に接続されたインク供給路(図示省略)にインクが供給され、そのインク貯蔵部31からインク供給部32に至るインクの流通経路におけるインク供給部32の上部には、インクエンプティのセンシングを行うためのインクセンス部33を配設し、かつ、そのインクセンス部33に対して上方からインクを流下させるように構成している。なお、図7では、図5,図6に示す部材と同一部材については同一符号を付している。
【0065】
上述のインク貯蔵部31とインク供給部32は、内蓋36によって画成され、その内蓋36の下部にフィルタ37を設けた連通部を開設し、インク貯蔵部31とインク供給部32とを連通させている。そのインク貯蔵部31とインク供給部32には、それぞれインクを吸収するための多孔質体34,35が装 されており、上述のフィルタ37は、横長状に形成されたメッシュ部材からなり、そのメッシュ部材37は多孔質体34に押圧状態で接触している。
【0066】
そして、フィルタ37を有する連通部から、インク供給部32の上部に配設したインクセンス部33に向けてインクを流通させるための縦溝38が形成されており、そのインクセンス部33は、インク供給部32の最上部の中空部と、段違い状に形成された多孔質体35の上部と、にまたがって形成され、一方のセンス電極33aを中空部に、他方のセンス電極33bを多孔質体35内に埋設させている。
【0067】
このような構成により、インクをメッシュ部材37で濾過した後、縦溝38を経由させてインクセンス部33に導入し、両センス電極33a,33bに対して、その上方からインクを流下させ、混入していた気泡のみを中空部に累積させ、気泡を除去したインクを下方にあるインク供給口21からインク供給路(図示省略)を経由させて印字ヘッド10に供給する。
【0068】
そのインクセンス部33においては、インクを上方から流下させているため、インク中の気泡のみを効率よく中空部に累積させることができ、かつ、一方のセンス電極33aは中空部に設け、他方のセンス電極33bを多孔質体35に埋設しているため、ブリッジが発生することがなく、安定したセンシングが可能となる。
【0069】
ところで、本例では、インクセンス部33に設けた2本のセンス電極33a,33bにより、両電極間でのインク有無による抵抗値の差によりインクエンプティを検出しているが、この電極間の間隔は、狭いほどインク有り時の抵抗値が低くなり、SNが向上する。しかし、電極間に存在するインクによりブリッジが発生すると、インク無しを検出しない場合がある。
【0070】
実験によると、必要とされる電極間の間隔は、電極の径と関連があり、径φ1mmでは2.0mm、径φ1.5mmでは2.3mm、径φ2mmでは2.5mm以上のギャップが必要とされる結果を得ている。
【0071】
このような実験結果に基づいて、実際の設計では、径φ1.5mmの電極ピンを用い、3.0mmのギャップにて、インク中の有効長さを5.0mmに設定している。その場合、インク有り時の抵抗値が8〜15kΩ(インクにより導電率が異なるため多少のバラツキがある)となる結果を得ている。なお、このような設定においても、上述のように、一方のセンス電極33bを多孔質体35内に埋設するのが好ましいのは言うまでもない。
【0072】
〈実施の形態2〉
図8は別の例を示し、この場合、フィルタ37は、横長状に形成されてインク貯蔵部31とインク供給部32とを画成する縦壁36の下部に配設された連通部に設けられ、縦壁36のインク供給部側には、前記連通部(37)に設けた連通口37aからインクセンス部33に延びる縦溝38が形成され、この縦溝38は、インクタンクTの幅方向中央部位から側方にオフセットして配設されている。従って、連通口37aも同方向にオフセットして配設されている。なお、図8では、図5,図6に示す部材と同一部材については同一符号を付している。
【0073】
そして、インク供給口21の内側に対応するインク供給部32内の多孔質体35には、凹凸状の縦割溝39が形成され、該縦割溝39は、インクセンス部33からインク供給口21まで延設されており、この縦割溝39には、フィルタ37からインク供給口21に至る水平なインク流路を形成するために、水平方向の切欠部39a,…を有している。なお、前実施の形態と同様に、一方のセンス電極33aは中空部に、他方の電極33bは多孔質体35内に埋設している。
【0074】
このような構成により、まず、フィルタ37を横長状に形成しているため、幅広い領域でインクを濾過することができ、かつ、その連通口37aを縦溝38の下部に臨ませているので、気泡や異物を除去した後の清浄なインクを縦溝38からインクセンス部33を経由させてインク供給口21に安定に供給することができる。
【0075】
そして、縦溝38を側方にオフセットさせて配設しているため、縦割溝39を形成しやすくなり、その縦割溝39により、インクセンス部33に対して上方から流下させたインクをインク供給口21に至るまで安定に流すことができる。なお、縦溝38をオフセットさせないで中央部に配設した場合には、縦割溝39と位置的に干渉(ラップ)する。
【0076】
さらに、その縦割溝39に、水平方向の切欠部39a,…を形成しているため、フィルタ37からインク供給口21に至る水平なインク流路が、縦割溝39を横切るように形成されるため、インク供給口21へのインクの横方向の流れも安定化する。
【0077】
〈インクエンプティ検出回路〉
図9は、図7,図8に示すインクタンクTのインクセンス部22のセンス電極33a,33bに接続される回路図と各ポイントにおける波形図を示す。この場合、ポイントB、Cがセンス電極33a,33bに接続される。ポイントAには数kHzのパルスが印加され、ポイントBではC1、R1のレベルシフト回路によりグランドを中心にパルスがスイングする。
【0078】
ポイントCでは、インクが有る時はインクを通してパルス信号が伝達され、無い時は伝達されず、ポイントDではR2によりグランドに接続される。尚、C1、R1,R2、C2の構成は、インク中に信号が通過したときに、電気分解によりインク中の染料、顔料がどちらかの電極に付着しないように、同じ電流が各サイクル毎にポイントB→C、ポイントB←Cと流れる様に構成されている。
【0079】
ポイントCの信号はC2を通じコンパレータのマイナス側へ入力され、R3,R4で分圧された電位と比較される。前記電位はマイナス側に入力される、インク有りのパルスのプラス側の最大値より低く、インクの無い時のグランドレベルより高い電位(通常はその中間)に設定されている。
【0080】
従って、コンパレータの出力Eはインク無しの時Highレベル、インク有りの時はパルス出力となり、ポイントFではR5,D1、C3の充放電回路により、インク有りの時はパルス出力がLowレベルとなり、インク無しの時はHighレベルに出力される。
【0081】
インクをセンスする電極部分(33a,33b)で信号を導通させるインクが無くなり始めると、電極間の抵抗値が大きくなり、ポイントCに表れる信号の電位が低くなり、最大値がポイントGの電位より低くなればインク無しの出力となるが、同等電位の場合、ノイズの様な微小なレベル変化でも出力が変化してしまい正確な判定が出来なくなってしまう。
【0082】
R6はポイントFからフィードバックされており、前記入力信号の電位低下によりインク無しのHighレベルと成った時、ポイントGの電位が上昇しポイントDの電位が微小に変化してもインク有りの出力とならないようにヒステリシス特性を持たしている。
【0083】
そして、R7、C4、D2の充放電回路により充電時間だけTr1がONする。TR1のコレクターよりR8を介してポイントGに導通しており、前記充電時間だけポイントGの電位が高くなり、電源投入時にインクエンプティと検出され易い構成としている。
【0084】
ところで、電源−OFF前の検出でインク無しを検出し、電源−ON時に誤ってインク有りを検出すると、インクタンクが交換されたものとして、プリンタのコントローラーが処理してしまうため、上述のように、電源投入時にインクエンプティを検出され易くすることで(電源−ON時にも間違いなくインク無しを検出することで)、上述のようなトラブルの発生を防止している。
【0085】
〈その他のインクエンプティ検知方法〉
図10は、その他のインクエンプティ検知方法を示し、図10(a)の場合、インクタンクTの一端角部に光を透過させるために薄く形成したインクセンス部41を形成し、インクタンクTを装置に装着した時に、フォトインタラプトの光をインクセンス部41に透過させることにより、その透過率に基づいてインクの有無を検出する。また、図10(b)の場合は、インクタンクTの一端角部に略45度の切り込み部分を形成して、これをインクセンス部42とし、同様に、インクタンクTを装置に装着した時に、光の屈折により、インクの有無を検出する。すなわち、インク有りの時は反射無しであるが、インク無しの時には反射有りを検出することができる。本発明のインクタンクT及びインクエンプティ検知方法は、このようなインクエンプティ検知方法にも適用することができる。
【0086】
〈インクタンクTの筺体の構成〉
図11は、図7,図8に示すインクタンクTの筺体の構成を示す分解組立図で、インクタンクTの筺体は、タンクケース本体51と、内蓋52(36)と、外蓋53と、からなり、タンクケース本体51と外蓋53の間に、内蓋52を挟持させてなり、前記筺体を構成する各部材の接続部においては、内蓋52(36)の両側に接続されるタンクケース本体51と外蓋53の接続部分が略一致した部位に対応し、かつ、各部材の接続部分の厚さを、略同一に設定している。
【0087】
このような構成にすることで、一度の溶着工程で3つの構成部材を容易に溶着できる。その溶着作業は多孔質体34,35を内部に入れて組み立てた状態にて、加圧、振動による振動溶着で作業性よく行えるため、安価に提供することができる。
【0088】
なお、実施の形態では、インクタンクをカラーのインクタンクで説明したが、黒色のインクタンクであっても、本発明を適用できるのは言うまでもない。
【0089】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、以下の効果を奏する。
【0090】
(1)インク供給部の上部に配設されたインクセンス部に対して、インクを上方から流下させるので、インク中の気泡は流下することなく、インク供給部の上部に安定に溜まり累積するため、インクセンス部の電極等によって気泡がトラップされるような不具合の発生を阻止することができ、高いセンシングが可能となる。
【0091】
従って、インク供給路内への気泡の混入が阻止され、常に、安定な印刷動作を確保できる。また、インクタンクの交換時のメンテナンス動作時に気泡を除去するためのインクを無駄に消費しなくても済む。そして、このような簡易な構成のインクタンクを安価に提供することができる。
【0092】
(2)インクセンス部を空洞状に形成することで、その内部に配設した電極に対してインクを上方から流下させる構成を容易に形成することができる。
【0093】
(3)インクセンス部の電極の少なくとも1本を多孔質体内に配設することで、多孔質体によってインクが吸収されるため、電極間のインクによるブリッジが発生しなくなり、安定したセンシングが可能となる。
【0094】
(4)空洞状に形成したインクセンス部に対して、外部から光を照射させ、その透過率や屈折率を検出するので、複雑な電気回路を用いることなく、精度の高いセンシングが可能となるインクタンクを、簡単な構成で形成して、安価に提供することができる。
【0095】
(5)エンプティ検出回路をインクタンク内に組み込むため、外部に嵩高い照明手段を設けなくてもよく、装置のコンパクト化が可能となる。
【0096】
(6)電源投入時にインクエンプティを検出され易くするので、電源−ON時にも間違いなくインク無しを検出することができる。従って、電源−OFF前の検出でインク無しを検出し、電源−ON時にインク有りを検出して、あたかもインクタンクが交換されたような誤判断の発生をなくすことができる。
【0097】
(7)電気的なヒステリシスを、エンプティ検出回路に配設された増幅回路、又は、コンパレータ回路のフィードバック抵抗により発生させるので、電源投入時に、間違って、インク有りの出力とならないようなヒステリシス特性を具備させることができる。
【0098】
(8)インク貯蔵部に配設された多孔質体に圧接状態に配設したフィルタによって濾過したインクをインク供給部に供給するので、インク貯蔵部のインクを最後まで気泡のない状態で使用することができる。
【0099】
(9)インクセンス部を経て上方から流下するインクを縦割溝に沿わせてインク供給口に供給するため、インク供給口への上方からのインクの流れが安定化する。
【0100】
(10)フィルタを横長状に形成しているため、幅広い領域でインクを濾過することができ、かつ、その連通部に形成した連通口を縦溝の下部に臨ませているので、気泡や異物を除去した後の清浄なインクを縦溝からインクセンス部を経由させてインク供給口に安定に供給することができる。
【0101】
そして、縦溝を側方にオフセットさせて配設しているため、縦割溝を形成しやすくなり、インクセンス部に対して上方から流下させたインクのインク供給口に至るまでの流れを安定化することができる。
【0102】
(11)インク供給部の多孔質体に形成される縦割溝に、水平方向の切欠部を形成しているため、フィルタからインク供給口に至る水平なインク流路が、縦割溝を横切るように形成されるため、インク供給口へのインクの横方向の流れが安定化する。
【0103】
(12)タンクケース本体と内蓋と外蓋とで、インクタンクの筺体を形成するので、タンクケース本体に多孔質体を装 してインク貯蔵部となし、内蓋と外蓋で画成される空間に多孔質体を装 してインク供給部とした簡易な構成で、堅牢なインクタンクを形成することができる。
【0104】
(13)各部材の接続部において、各部材の接続部分を、略一致した部位に対応させ、かつ、前記各部材の接続部分の厚さを、略同一としたので、一度の溶着工程で、3つの部材を接続することができる。
【0105】
(14)インク供給部の上部に配設されたインクセンス部に対して、インクを上方から流下させるため、インク中の気泡は流下することなく、インク供給部の上部に安定に溜まり累積する。従って、インクセンス部の電極等によって気泡がトラップされるような不具合の発生を阻止することができ、高いセンシングが可能となる。また、インクタンクの交換時のメンテナンス動作時に気泡を除去するためのインクを無駄に消費しなくても済む。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るインクタンクを搭載した印字装置の透視斜視図である。
【図2】同断面図である。
【図3】同キャリッジの斜視図である。
【図4】同別のキャリッジの斜視図である。
【図5】インクタンクの比較例の構成説明図である。
【図6】同インクタンクの断面図である。
【図7】本発明の実施形態に係るインクタンクの構成説明図である。
【図8】同別のインクタンクの構成説明図である。
【図9】同インクエンプティ検出回路と波形図である。
【図10】同その他のインクエンプティ検知方法の説明図である。
【図11】同インクタンクの筺体の構成を説明するための分解組立図である。
【符号の説明】
21−インク供給口
31−インク貯蔵部
32−インク供給部
33−インクセンス部
33a,33b−電極
34,35−多孔質体
37−フィルタ(連通部)
37a−連通口
38−縦溝
39−縦割溝
39a−切欠部
51−タンクケース本体
52−内蓋
53−外蓋
T−インクタンク
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクを吐出することにより記録媒体に記録を行うインクジェットプリンタ等に搭載されるインクタンク及びそのインクエンプティ検知方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットプリンタにおけるインク吐出不良は、インクに気泡が混入することにより、圧力室で発生させた圧力波が気泡に吸収されてしまうことが原因で発生することが多い。従って、インクジェットプリンタは、インクタンク内でインクエンプティのセンシングを精度よく行い、インク流路への気泡の流れ込みを防ぎ、気泡によるトラブルのない安定な印刷ができるように構成されるのが望ましい。
【0003】
通常、インクタンクには、インクを外部に供給するためのインク供給口と、温度によるタンクの膨張、収縮に対応するため、及びインクが減少したタンク内の圧力を大気と同等にするために、大気連通口が設けられている。そのインクタンクの内部には、インクを吸収するための多孔質材が装填されており、その毛細管力によりインクを保持すると共に、負圧状態を作り、インクタンクを装置に装着した時や、インクタンクを単独で取り扱う時などに、インクが漏れない様に構成されている。
【0004】
そして、インクタンクの出口(インク供給口)等には、前記多孔質材に圧接された濾過手段としてメッシュ部材が配置され、そのメッシュ部材によって作られたインクの膜により、気泡が濾過され、以後のインク供給路には、気泡のないインクのみが流通するように構成されている。
【0005】
また、インクタンクからインクが供給されると多孔質材に含まれるインクが減少し、多孔質材の下部や加圧されて毛管力が強くなった部分にインクが集まるため、その部位にインク供給口を設けることで、タンク内でのインク残量が少なくなり、最後までインクを無駄にすることなく使用できるような構成としている。
【0006】
このようなインクタンクにおいて、内部のインクが無くなった時には、前記濾過手段としてのメッシュ部材とインク供給口のオリフィスの毛細管力の引き合いとなるため、一般に、メッシュ部材の孔径は、オリフィスの径よりも大きく設定されており、負圧がメッシュ部材の毛管力以上になると、インク膜が破れ空気が管路に入り込むように構成されている。
【0007】
次に、インクタンクを交換した後に印刷動作を継続するためには、管路に入り込んだ空気を外部に排出する必要があり、そのためには、新しいインクを導入して空気を流し出すようにメンテナンス装置を駆動させるようにしている。しかし、その空気を追い出す操作そのものが煩瑣であり、時間を要する上に、多量のインクを無駄にしなければならないという問題があった。
【0008】
そこで、インクのセンシングを精度よく行うために、例えば、インクを貯蔵する吸収体(多孔質体)内にインクセンス電極を配置するようにした構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、一方の電極をインク吸収体内に、他方の電極をインク経路内に配設した構成も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
あるいは、インク貯蔵部とインク供給口との間の管路にインクセンス部を設け、管路を通る気泡を検知するように構成した提案もある(例えば、特許文献3参照)。さらに、インク貯蔵部からインク供給口に至る間に、気泡を検知するためのインク液室を設けた構成も提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0010】
【特許文献1】
特開平2−198862号公報(図2)
【特許文献2】
特開平8−332739号公報(図1,段落「009」〜「0013」)
【特許文献3】
特開平3−288654号公報(第1図)
【特許文献4】
特開平8−332739号公報(図4,段落「0037」〜「0043」)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特許文献1のように、インク吸収体内でインクのセンシングを行う場合には、そもそも多孔質体内でのインク濃度が不安定であるため、抵抗値が徐々に変化し、かつ、その抵抗値が温度によっても変化するため、電極間の抵抗値が安定せず、精度の高いセンシングは不可能であり、従って、安定した印刷動作は期待しがたい。また、特許文献2でも、ほぼ同等な抵抗特性を示し、抵抗値が不安定であり、精度の高いセンシングは難しいと判断される。
【0012】
あるいは、特許文献3の場合、インク貯蔵部のインクが無くなると、気泡とインクが混ざって流出しはじめ、徐々に気泡が大きくなり、かつ、その比率が高くなるが、初期段階での小さな気泡はインクセンス電極よりも小さくて検知できず、気泡がかなり成長した段階でしか検知することができなかった。
【0013】
また、特許文献4の場合にも、基本的な構成は特許文献3と同じであり、この方式ではインク液室は生インク(多孔質材に含浸されていないインク)のため、インクタンクとインク流路の接続には針を使用している。しかし、針を使用する場合には、使用者が取り扱いを誤って怪我をすることのないようにする対策が必要とされる上に、接続時のゴムのシール不足によるインク漏れや、針部への空気の押込み等の対策が必要とされるため、最近では、あまり評価されなくなっている。
【0014】
本発明は、このような実情に鑑みてなされ、簡単な構成でインクタンク内部で精度よくインクエンプティのセンシングを行うことができ、インク供給路内への空気の混入を防ぎ、常に、安定な印刷動作を確保できると共に、インクタンクの交換時のメンテナンス動作時に多量のインクを無駄にしなくても済むインクタンク及びインクエンプティ検知方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。
【0016】
(1)インク貯蔵部と、インク供給部と、を具備し、前記インク貯蔵部から前記インク供給部を経由して、外部に接続されたインク供給路にインクが供給されるようにしたインクタンクにおいて、
前記インク貯蔵部から前記インク供給部に至るインクの流通経路における前記インク供給部の上部に、インクエンプティのセンシングを行うためのインクセンス部を配設し、かつ、該インクセンス部に対して上方からインクを流下させるように構成したことを特徴とする。
【0017】
この構成においては、インク供給部の上部に配設されたインクセンス部に対して、インクを上方から流下させるため、インク中の気泡は流下することなく、インク供給部の上部に安定に溜まり累積する。そのため、(インクセンス部に対して下方からインクを流通させる場合のように)インクセンス部の電極等によって気泡がトラップされるような不具合の発生を阻止することができ、精度の高いセンシングが可能となる。
【0018】
従って、インク供給路内への気泡の混入が阻止され、常に、安定な印刷動作を確保できる。また、インクタンクの交換時のメンテナンス動作時に気泡を除去するためのインクを無駄に消費しなくても済む。そして、このような簡易な構成のインクタンクを安価に提供することができる。
【0019】
(2)前記インクセンス部は、空洞状に形成され、かつ、その内部には、複数の電極が配設されていることを特徴とする。
【0020】
この構成においては、インクセンス部を空洞状に形成することで、その内部に配設した電極に対してインクを上方から流下させる構成を容易に形成することができる。
【0021】
(3)前記インクセンス部の内部には、中空部を残して多孔質体が配設されており、前記複数の電極の内少なくとも1本の電極は、前記多孔質体内に埋設される一方、少なくとも他の1本の電極は、前記中空部に配設されることを特徴とする。
【0022】
この構成においては、電極の少なくとも1本を多孔質体内に配設することで、多孔質体によってインクが吸収されるため、電極間のインクによるブリッジが発生しなくなり、安定した精度の高いセンシングが可能となる。
【0023】
(4)前記インクセンス部は、外部から光を照射することにより、インクエンプティのセンシングを行うための透過率又は屈折率を検出可能な空洞状に形成されていることを特徴とする。
【0024】
この構成においては、空洞状に形成したインクセンス部に対して、外部から光を照射させ、その透過率や屈折率を検出することにより、複雑な電気回路を用いることなく、精度の高いセンシングが可能となるインクタンクを、簡単な構成で形成して、安価に提供することができる。
【0025】
(5)前記インクセンス部には、インクエンプティのセンシングを行うための電気的なヒステリシスを発生させるエンプティ検出回路が接続されていることを特徴とする。
【0026】
この構成においては、エンプティ検出回路をインクタンク内に組み込むため、外部に嵩高い照明手段を設けなくてもよく、装置のコンパクト化が可能となる。
【0027】
(6)前記エンプティ検出回路において発生する電気的なヒステリシスは、電源投入時にインクエンプティを検出し易い方向に偏っていることを特徴とする。
【0028】
電源−OFF前の検出でインク無しを検出し、電源−ON時にインク有りを検出すると、インクタンクが交換されたものとして、プリンタのコントローラーが処理してしまうため、この構成においては、電源投入時にインクエンプティを検出され易くすることで(電源−ON時にも間違いなくインク無しを検出することで)、上述のようなトラブルの発生を防止している。
【0029】
(7)前記エンプティ検出回路における電気的なヒステリシスは、前記エンプティ検出回路に配設された増幅回路、又は、コンパレータ回路のフィードバック抵抗により発生されることを特徴とする。
【0030】
この構成においては、電気的なヒステリシスを、エンプティ検出回路に配設された増幅回路、又は、コンパレータ回路のフィードバック抵抗により発生させるため、電源投入時に、インク有りの誤検出を生じないようなヒステリシス特性を具備させることができる。
【0031】
(8)前記インク貯蔵部に配設された多孔質体に対して圧接状態に配設されたフィルタによって濾過されたインクが、前記インク供給部に流入するように構成したことを特徴とする。
【0032】
この構成においては、フィルタによって濾過したインクをインク供給部に供給するため、インク貯蔵部のインクを最後まで気泡のない状態で使用することができる。
【0033】
(9)前記インク供給部には、多孔質体が配設され、前記インク供給口の内側に対応する前記多孔質体には、凹凸状の縦割溝が形成され、該縦割溝は、前記インク供給口から前記インクセンス部まで延設されていることを特徴とする。
【0034】
この構成においては、インクセンス部を経て上方から流下するインクを縦割溝に沿わせてインク供給口に供給するため、インク供給口への上方からのインクの流れが安定化する。
【0035】
(10)前記フィルタは、横長状に形成されて前記インク貯蔵部とインク供給部とを画成する縦壁の下部に配設された連通部に設けられ、前記縦壁のインク供給部側には、前記連通部に形成された連通口から前記インクセンス部に延びる縦溝が形成され、該縦溝は、前記インクタンクの幅方向中央部位から側方にオフセットして配設されていることを特徴とする。
【0036】
この構成においては、フィルタを横長状に形成しているため、幅広い領域でインクを濾過することができ、かつ、その連通口を縦溝の下部に臨ませているので、気泡や異物を除去した後の清浄なインクを縦溝からインクセンス部を経由させてインク供給口に安定に供給することができる。
【0037】
そして、縦溝を側方にオフセットさせて配設しているため、(縦溝の干渉することなく、)縦割溝を形成しやすくなり、インクセンス部に対して上方から流下させたインクのインク供給口に至るまでの流れを安定化することができる。
【0038】
(11)前記インク供給部の多孔質体中に形成される縦割溝は、前記フィルタから前記インク供給口に至る水平なインク流路を形成するために、水平方向の切欠部を有していることを特徴とする。
【0039】
この構成においては、インク供給部の多孔質体に形成される縦割溝に、水平方向の切欠部を形成しているため、フィルタからインク供給口に至る水平なインク流路が、縦割溝を横切るように形成されるため、インク供給口へのインクの流れが安定化する。
【0040】
(12)前記インクタンクを構成する筺体は、タンクケース本体と、内蓋と、外蓋と、からなり、前記タンクケース本体と、前記外蓋と、の間に、前記内蓋が挟持されてなることを特徴とする。
【0041】
この構成においては、タンクケース本体と内蓋と外蓋とで、インクタンクの筺体を形成するので、タンクケース本体に多孔質体を装填してインク貯蔵部となし、内蓋と外蓋で画成される空間に多孔質体を装填してインク供給部とすることにより、簡易な構成で、堅牢なインクタンクを形成することができる。
【0042】
(13)前記筺体を構成する各部材の接続部においては、前記内蓋の両側に接続される前記タンクケース本体と外蓋の接続部分が略一致した部位に対応し、かつ、前記各部材の接続部分の厚さが、略同一であることを特徴とする。
【0043】
この構成においては、各部材の接続部において、各部材の接続部分を、略一致した部位に対応させ、かつ、前記各部材の接続部分の厚さを、略同一としたので、一度の溶着工程で、3つの部材を接続することができる。
【0044】
(14)インク貯蔵部と、該インク貯蔵部からインク供給路にインクを供給するインク供給部と、の間のインクの流通経路で、インクエンプティのセンシングを行うようにしたインクタンクにおいて、
前記インクタンクの使用状態下にて、前記流通経路における前記インク供給部の上部に配設したインクセンス部に上方からインクを流下させてインクエンプティのセンシングを行うことを特徴とする。
【0045】
この方法においては、インク供給部の上部に配設されたインクセンス部に対して、インクを上方から流下させるため、インク中の気泡は流下することなく、インク供給部の上部に安定に溜まり累積される。従って、(インクセンス部に対して下方からインクを流通させる場合のように)インクセンス部の電極等によって気泡がトラップされるような不具合の発生を阻止することができ、高いセンシングが可能となる。また、インクタンクの交換時のメンテナンス動作時に気泡を除去するために、インクを消費しなくても済む。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0047】
《インクジェット印刷装置》
図1及び図2は、インクジェット印刷装置(インクジェットプリンタ)1の構成を示す説明図である。この印刷装置1は、記録用紙(記録媒体)P上にインクを吐出することにより印刷を行い、以下のように構成されている。すなわち、記録用紙Pに印刷を行なう印刷部2と、記録用紙Pを印刷装置1に供給する給紙部3と、記録用紙Pを印刷部2まで搬送する搬送部4と、印刷された記録用紙Pを排出する排出部5とからなる。
【0048】
給紙部3は、給紙トレイ3a、分離板6、給紙ローラ7を有しており、給紙トレイ3aは、印刷にかかる記録用紙Pを収容・給紙する。分離板6及び給紙ローラ7は、給紙トレイ3aに収容された記録用紙Pを一枚ずつ分離して搬送部4に供給し、搬送部4は、ガイド板8、搬送ローラ9を有している。
【0049】
ガイド板8は、給紙ローラ7から給紙されてきた記録用紙Pを印刷部2に導くためのものであり、搬送ローラ9は、ガイド板8上を通過した記録用紙Pを印字ヘッド10まで搬送する。また、印刷部2は、キャリッジ11、シャフト12(図1参照)、プラテン13(図2参照)を有している。
【0050】
キャリッジ11は、印字ヘッド10をシャフト12に沿って移動させるためのものであり、カラーインクタンクの場合、例えば図4に示すように、3つのカラーインクタンク14〜16と印字ヘッド10を備えたものもある。この場合、各インクタンクは、インクを貯留(蓄積)すると共に印字ヘッド10にインクを供給し、印字ヘッド10の上部に取り付けられている。
【0051】
本印刷装置1では、例えば、図3に示すように、黒色インクと互いに色の異なる3色(イエロー,マゼンタ,シアン)のインクを使用し、各色インクを蓄積するために、黒色インクタンク17を1つと、3つのカラーインクタンク14〜16を3つ備えたキャリッジ11を採用している。
【0052】
印字ヘッド10は、4つのインクタンク14〜17から供給されたインクを吐出口から吐出して、記録用紙Pに画像を形成するものであり、シャフト12は、キャリッジ11を、主走査方向に移動できるように案内するためのガイドである。ここで、主走査方向とは、記録用紙Pの搬送方向(副走査方向)に対して直交する方向のことである。
【0053】
プラテン13は、印刷(インク吐出)の際、記録用紙Pを載置するための台(印刷台)となるものであり、記録用紙Pにおける平坦性の維持を行うためのものである。また、排出部5は、排出ローラ18、排出トレイ19を有し、排出ローラ18は、印字ヘッド10で印刷された記録用紙Pを排出トレイ19に排出する。
【0054】
《印刷動作》
まず、ユーザが、記録用紙Pを印刷装置1の給紙トレイ3a上に載置する。そして、本印刷装置1がコンピュータ等からの印刷要求を受信したとき、分離板6と給紙ローラ7とが、記録用紙Pを1枚ずつ搬送部4に給紙する。そして、給紙された記録用紙Pは、ガイド板8に支えられながら搬送ローラ9によって搬送される。
【0055】
次に、印字ヘッド10が、搬送されてきた記録用紙Pに対してインクを吐出して印刷を行う。この印刷は、印字ヘッド10を備えたキャリッジ11を、シャフト12に沿って走査方向に移動させることで行う。すなわち、印刷の際、キャリッジ11は、走査方向における一方の端部(シャフトの端部)に設けられたスタート位置に配置され、印刷要求に応じて、他方の端部に設けられた停止位置まで、走査方向に沿って移動されるようになっている。
【0056】
そして、この移動の際、印字ヘッド10が、印刷要求に応じて記録用紙Pに対してインクを吐出し、1ライン分の画像(ライン画像)を印刷することができる。また、1つのライン画像が印刷された後、搬送ローラ9は、プラテン13上の記録用紙Pを、ライン画像の幅分だけ搬送させ、この搬送の間に、キャリッジ11は、スタート位置に復帰する(印刷走査)。
【0057】
そして、本印刷装置1では、このような印刷走査を繰り返し行うことで、印字ヘッド10によって、印刷要求に応じた情報を記録用紙Pに印刷することができる。最後に、印刷された紙は、排紙ローラ18を経て排紙トレイ19に排出され、ユーザにドキュメント(印刷物)として提供される。
【0058】
《インクタンク》
〈比較例の構成〉
図3の構成では、黒とカラーのインクタンクの形状が異なっているが、幅のみの違いであり、内部構造は基本的に同等であるため、以下、カラーのインクタンクTを例として説明する。
【0059】
図5,図6は、比較例としての従来のインクタンクTの構成を説明するための説明図で、まず、これらの図を参照しつつ、その構成について説明する。通常、インクタンクTには、図5に示すように、外部にインクを供給するためのインク供給口21が側面22の下部に設けられており、また、タンク内の圧力を大気と同等にするための大気連通口23が上蓋24に設けられ、その大気連通口23は、インク供給口21の反対側の側面内壁に形成された縦溝25に連通し、内部に装 されている多孔質体(図示省略)の片方の面が均一に大気圧となるように構成されている。
【0060】
図6は、インクタンクTの内部と、インク供給口21の接続部の構成を示し、図示のように、インクタンクTの内部には、インクを吸収するための多孔質材が装填されており、その毛細管力によりインクを安定状態に保持すると共に、負圧状態を作り、インクタンクTを装置に装着した時、インクタンクTだけを取り扱った時などに、インクが漏れ出ないように構成されている。
【0061】
また、インク供給口21とインク供給路(図示省略)の接続部には、接続部材26を取り付けるようにし、その接続部材26には、メンテナンス装置の吸引動作による過度の負圧により周囲から空気が入り込まないようにシール部材27を設け、突出した先端には濾過手段としてのメッシュ部材28を配設し、かつ、そのメッシュ部材28を前記多孔質材に対して加圧状態で接触させるようにしている。
【0062】
このような構成により、残り少なくなったインクがメッシュ部材28のまわりに集まり、そのメッシュ部材28によって形成されたインクの膜により、気泡が通過できず、以後のインク供給路には、気泡や異物が除去されたインクのみが流通する。また、インクが減少すると、多孔質材の下部及び加圧により圧縮されて毛管力が強くなった部分(メッシュ部材28の周辺)にインクが集まり、タンク内でインクを最後まで使用することができる。
【0063】
しかしながら、このような構成にあっては、多孔質材中のインクが無くなり、メッシュ部材28によって形成されたインクの膜が破れた時の空気の流れ込み方はその時のインク流量、インクの表面張力、その他の要因で千差万別の形態となるため、確実に空気がインクセンス部にのみ溜り安定したインクエンプティのセンシングを行える構成が必要とされる。そこで、本実施の形態では、以下のような構成を採用している。
【0064】
〈実施の形態1〉
図7に示す例では、インクタンクTは、インク貯蔵部31と、インク供給部32と、を有し、インク貯蔵部31からインク供給部32を経由して側面22の下部に配設されたインク供給口21から外部に接続されたインク供給路(図示省略)にインクが供給され、そのインク貯蔵部31からインク供給部32に至るインクの流通経路におけるインク供給部32の上部には、インクエンプティのセンシングを行うためのインクセンス部33を配設し、かつ、そのインクセンス部33に対して上方からインクを流下させるように構成している。なお、図7では、図5,図6に示す部材と同一部材については同一符号を付している。
【0065】
上述のインク貯蔵部31とインク供給部32は、内蓋36によって画成され、その内蓋36の下部にフィルタ37を設けた連通部を開設し、インク貯蔵部31とインク供給部32とを連通させている。そのインク貯蔵部31とインク供給部32には、それぞれインクを吸収するための多孔質体34,35が装 されており、上述のフィルタ37は、横長状に形成されたメッシュ部材からなり、そのメッシュ部材37は多孔質体34に押圧状態で接触している。
【0066】
そして、フィルタ37を有する連通部から、インク供給部32の上部に配設したインクセンス部33に向けてインクを流通させるための縦溝38が形成されており、そのインクセンス部33は、インク供給部32の最上部の中空部と、段違い状に形成された多孔質体35の上部と、にまたがって形成され、一方のセンス電極33aを中空部に、他方のセンス電極33bを多孔質体35内に埋設させている。
【0067】
このような構成により、インクをメッシュ部材37で濾過した後、縦溝38を経由させてインクセンス部33に導入し、両センス電極33a,33bに対して、その上方からインクを流下させ、混入していた気泡のみを中空部に累積させ、気泡を除去したインクを下方にあるインク供給口21からインク供給路(図示省略)を経由させて印字ヘッド10に供給する。
【0068】
そのインクセンス部33においては、インクを上方から流下させているため、インク中の気泡のみを効率よく中空部に累積させることができ、かつ、一方のセンス電極33aは中空部に設け、他方のセンス電極33bを多孔質体35に埋設しているため、ブリッジが発生することがなく、安定したセンシングが可能となる。
【0069】
ところで、本例では、インクセンス部33に設けた2本のセンス電極33a,33bにより、両電極間でのインク有無による抵抗値の差によりインクエンプティを検出しているが、この電極間の間隔は、狭いほどインク有り時の抵抗値が低くなり、SNが向上する。しかし、電極間に存在するインクによりブリッジが発生すると、インク無しを検出しない場合がある。
【0070】
実験によると、必要とされる電極間の間隔は、電極の径と関連があり、径φ1mmでは2.0mm、径φ1.5mmでは2.3mm、径φ2mmでは2.5mm以上のギャップが必要とされる結果を得ている。
【0071】
このような実験結果に基づいて、実際の設計では、径φ1.5mmの電極ピンを用い、3.0mmのギャップにて、インク中の有効長さを5.0mmに設定している。その場合、インク有り時の抵抗値が8〜15kΩ(インクにより導電率が異なるため多少のバラツキがある)となる結果を得ている。なお、このような設定においても、上述のように、一方のセンス電極33bを多孔質体35内に埋設するのが好ましいのは言うまでもない。
【0072】
〈実施の形態2〉
図8は別の例を示し、この場合、フィルタ37は、横長状に形成されてインク貯蔵部31とインク供給部32とを画成する縦壁36の下部に配設された連通部に設けられ、縦壁36のインク供給部側には、前記連通部(37)に設けた連通口37aからインクセンス部33に延びる縦溝38が形成され、この縦溝38は、インクタンクTの幅方向中央部位から側方にオフセットして配設されている。従って、連通口37aも同方向にオフセットして配設されている。なお、図8では、図5,図6に示す部材と同一部材については同一符号を付している。
【0073】
そして、インク供給口21の内側に対応するインク供給部32内の多孔質体35には、凹凸状の縦割溝39が形成され、該縦割溝39は、インクセンス部33からインク供給口21まで延設されており、この縦割溝39には、フィルタ37からインク供給口21に至る水平なインク流路を形成するために、水平方向の切欠部39a,…を有している。なお、前実施の形態と同様に、一方のセンス電極33aは中空部に、他方の電極33bは多孔質体35内に埋設している。
【0074】
このような構成により、まず、フィルタ37を横長状に形成しているため、幅広い領域でインクを濾過することができ、かつ、その連通口37aを縦溝38の下部に臨ませているので、気泡や異物を除去した後の清浄なインクを縦溝38からインクセンス部33を経由させてインク供給口21に安定に供給することができる。
【0075】
そして、縦溝38を側方にオフセットさせて配設しているため、縦割溝39を形成しやすくなり、その縦割溝39により、インクセンス部33に対して上方から流下させたインクをインク供給口21に至るまで安定に流すことができる。なお、縦溝38をオフセットさせないで中央部に配設した場合には、縦割溝39と位置的に干渉(ラップ)する。
【0076】
さらに、その縦割溝39に、水平方向の切欠部39a,…を形成しているため、フィルタ37からインク供給口21に至る水平なインク流路が、縦割溝39を横切るように形成されるため、インク供給口21へのインクの横方向の流れも安定化する。
【0077】
〈インクエンプティ検出回路〉
図9は、図7,図8に示すインクタンクTのインクセンス部22のセンス電極33a,33bに接続される回路図と各ポイントにおける波形図を示す。この場合、ポイントB、Cがセンス電極33a,33bに接続される。ポイントAには数kHzのパルスが印加され、ポイントBではC1、R1のレベルシフト回路によりグランドを中心にパルスがスイングする。
【0078】
ポイントCでは、インクが有る時はインクを通してパルス信号が伝達され、無い時は伝達されず、ポイントDではR2によりグランドに接続される。尚、C1、R1,R2、C2の構成は、インク中に信号が通過したときに、電気分解によりインク中の染料、顔料がどちらかの電極に付着しないように、同じ電流が各サイクル毎にポイントB→C、ポイントB←Cと流れる様に構成されている。
【0079】
ポイントCの信号はC2を通じコンパレータのマイナス側へ入力され、R3,R4で分圧された電位と比較される。前記電位はマイナス側に入力される、インク有りのパルスのプラス側の最大値より低く、インクの無い時のグランドレベルより高い電位(通常はその中間)に設定されている。
【0080】
従って、コンパレータの出力Eはインク無しの時Highレベル、インク有りの時はパルス出力となり、ポイントFではR5,D1、C3の充放電回路により、インク有りの時はパルス出力がLowレベルとなり、インク無しの時はHighレベルに出力される。
【0081】
インクをセンスする電極部分(33a,33b)で信号を導通させるインクが無くなり始めると、電極間の抵抗値が大きくなり、ポイントCに表れる信号の電位が低くなり、最大値がポイントGの電位より低くなればインク無しの出力となるが、同等電位の場合、ノイズの様な微小なレベル変化でも出力が変化してしまい正確な判定が出来なくなってしまう。
【0082】
R6はポイントFからフィードバックされており、前記入力信号の電位低下によりインク無しのHighレベルと成った時、ポイントGの電位が上昇しポイントDの電位が微小に変化してもインク有りの出力とならないようにヒステリシス特性を持たしている。
【0083】
そして、R7、C4、D2の充放電回路により充電時間だけTr1がONする。TR1のコレクターよりR8を介してポイントGに導通しており、前記充電時間だけポイントGの電位が高くなり、電源投入時にインクエンプティと検出され易い構成としている。
【0084】
ところで、電源−OFF前の検出でインク無しを検出し、電源−ON時に誤ってインク有りを検出すると、インクタンクが交換されたものとして、プリンタのコントローラーが処理してしまうため、上述のように、電源投入時にインクエンプティを検出され易くすることで(電源−ON時にも間違いなくインク無しを検出することで)、上述のようなトラブルの発生を防止している。
【0085】
〈その他のインクエンプティ検知方法〉
図10は、その他のインクエンプティ検知方法を示し、図10(a)の場合、インクタンクTの一端角部に光を透過させるために薄く形成したインクセンス部41を形成し、インクタンクTを装置に装着した時に、フォトインタラプトの光をインクセンス部41に透過させることにより、その透過率に基づいてインクの有無を検出する。また、図10(b)の場合は、インクタンクTの一端角部に略45度の切り込み部分を形成して、これをインクセンス部42とし、同様に、インクタンクTを装置に装着した時に、光の屈折により、インクの有無を検出する。すなわち、インク有りの時は反射無しであるが、インク無しの時には反射有りを検出することができる。本発明のインクタンクT及びインクエンプティ検知方法は、このようなインクエンプティ検知方法にも適用することができる。
【0086】
〈インクタンクTの筺体の構成〉
図11は、図7,図8に示すインクタンクTの筺体の構成を示す分解組立図で、インクタンクTの筺体は、タンクケース本体51と、内蓋52(36)と、外蓋53と、からなり、タンクケース本体51と外蓋53の間に、内蓋52を挟持させてなり、前記筺体を構成する各部材の接続部においては、内蓋52(36)の両側に接続されるタンクケース本体51と外蓋53の接続部分が略一致した部位に対応し、かつ、各部材の接続部分の厚さを、略同一に設定している。
【0087】
このような構成にすることで、一度の溶着工程で3つの構成部材を容易に溶着できる。その溶着作業は多孔質体34,35を内部に入れて組み立てた状態にて、加圧、振動による振動溶着で作業性よく行えるため、安価に提供することができる。
【0088】
なお、実施の形態では、インクタンクをカラーのインクタンクで説明したが、黒色のインクタンクであっても、本発明を適用できるのは言うまでもない。
【0089】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、以下の効果を奏する。
【0090】
(1)インク供給部の上部に配設されたインクセンス部に対して、インクを上方から流下させるので、インク中の気泡は流下することなく、インク供給部の上部に安定に溜まり累積するため、インクセンス部の電極等によって気泡がトラップされるような不具合の発生を阻止することができ、高いセンシングが可能となる。
【0091】
従って、インク供給路内への気泡の混入が阻止され、常に、安定な印刷動作を確保できる。また、インクタンクの交換時のメンテナンス動作時に気泡を除去するためのインクを無駄に消費しなくても済む。そして、このような簡易な構成のインクタンクを安価に提供することができる。
【0092】
(2)インクセンス部を空洞状に形成することで、その内部に配設した電極に対してインクを上方から流下させる構成を容易に形成することができる。
【0093】
(3)インクセンス部の電極の少なくとも1本を多孔質体内に配設することで、多孔質体によってインクが吸収されるため、電極間のインクによるブリッジが発生しなくなり、安定したセンシングが可能となる。
【0094】
(4)空洞状に形成したインクセンス部に対して、外部から光を照射させ、その透過率や屈折率を検出するので、複雑な電気回路を用いることなく、精度の高いセンシングが可能となるインクタンクを、簡単な構成で形成して、安価に提供することができる。
【0095】
(5)エンプティ検出回路をインクタンク内に組み込むため、外部に嵩高い照明手段を設けなくてもよく、装置のコンパクト化が可能となる。
【0096】
(6)電源投入時にインクエンプティを検出され易くするので、電源−ON時にも間違いなくインク無しを検出することができる。従って、電源−OFF前の検出でインク無しを検出し、電源−ON時にインク有りを検出して、あたかもインクタンクが交換されたような誤判断の発生をなくすことができる。
【0097】
(7)電気的なヒステリシスを、エンプティ検出回路に配設された増幅回路、又は、コンパレータ回路のフィードバック抵抗により発生させるので、電源投入時に、間違って、インク有りの出力とならないようなヒステリシス特性を具備させることができる。
【0098】
(8)インク貯蔵部に配設された多孔質体に圧接状態に配設したフィルタによって濾過したインクをインク供給部に供給するので、インク貯蔵部のインクを最後まで気泡のない状態で使用することができる。
【0099】
(9)インクセンス部を経て上方から流下するインクを縦割溝に沿わせてインク供給口に供給するため、インク供給口への上方からのインクの流れが安定化する。
【0100】
(10)フィルタを横長状に形成しているため、幅広い領域でインクを濾過することができ、かつ、その連通部に形成した連通口を縦溝の下部に臨ませているので、気泡や異物を除去した後の清浄なインクを縦溝からインクセンス部を経由させてインク供給口に安定に供給することができる。
【0101】
そして、縦溝を側方にオフセットさせて配設しているため、縦割溝を形成しやすくなり、インクセンス部に対して上方から流下させたインクのインク供給口に至るまでの流れを安定化することができる。
【0102】
(11)インク供給部の多孔質体に形成される縦割溝に、水平方向の切欠部を形成しているため、フィルタからインク供給口に至る水平なインク流路が、縦割溝を横切るように形成されるため、インク供給口へのインクの横方向の流れが安定化する。
【0103】
(12)タンクケース本体と内蓋と外蓋とで、インクタンクの筺体を形成するので、タンクケース本体に多孔質体を装 してインク貯蔵部となし、内蓋と外蓋で画成される空間に多孔質体を装 してインク供給部とした簡易な構成で、堅牢なインクタンクを形成することができる。
【0104】
(13)各部材の接続部において、各部材の接続部分を、略一致した部位に対応させ、かつ、前記各部材の接続部分の厚さを、略同一としたので、一度の溶着工程で、3つの部材を接続することができる。
【0105】
(14)インク供給部の上部に配設されたインクセンス部に対して、インクを上方から流下させるため、インク中の気泡は流下することなく、インク供給部の上部に安定に溜まり累積する。従って、インクセンス部の電極等によって気泡がトラップされるような不具合の発生を阻止することができ、高いセンシングが可能となる。また、インクタンクの交換時のメンテナンス動作時に気泡を除去するためのインクを無駄に消費しなくても済む。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るインクタンクを搭載した印字装置の透視斜視図である。
【図2】同断面図である。
【図3】同キャリッジの斜視図である。
【図4】同別のキャリッジの斜視図である。
【図5】インクタンクの比較例の構成説明図である。
【図6】同インクタンクの断面図である。
【図7】本発明の実施形態に係るインクタンクの構成説明図である。
【図8】同別のインクタンクの構成説明図である。
【図9】同インクエンプティ検出回路と波形図である。
【図10】同その他のインクエンプティ検知方法の説明図である。
【図11】同インクタンクの筺体の構成を説明するための分解組立図である。
【符号の説明】
21−インク供給口
31−インク貯蔵部
32−インク供給部
33−インクセンス部
33a,33b−電極
34,35−多孔質体
37−フィルタ(連通部)
37a−連通口
38−縦溝
39−縦割溝
39a−切欠部
51−タンクケース本体
52−内蓋
53−外蓋
T−インクタンク
Claims (14)
- インク貯蔵部と、インク供給部と、を具備し、前記インク貯蔵部から前記インク供給部を経由して、外部に接続されたインク供給路にインクが供給されるようにしたインクタンクにおいて、
前記インク貯蔵部から前記インク供給部に至るインクの流通経路における前記インク供給部の上部に、インクエンプティのセンシングを行うためのインクセンス部を配設し、かつ、該インクセンス部に対して上方からインクを流下させるように構成したことを特徴とするインクタンク。 - 前記インクセンス部は、空洞状に形成され、かつ、その内部には、複数の電極が配設されていることを特徴とする請求項1に記載のインクタンク。
- 前記インクセンス部の内部には、中空部を残して多孔質体が配設されており、
前記複数の電極の内少なくとも1本の電極は、前記多孔質体内に埋設される一方、少なくとも他の1本の電極は、前記中空部に配設されることを特徴とする請求項2に記載のインクタンク。 - 前記インクセンス部は、外部から光を照射することにより、インクエンプティのセンシングを行うための透過率又は屈折率を検出可能な空洞状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のインクタンク。
- 前記インクセンス部には、インクエンプティのセンシングを行うための電気的なヒステリシスを発生させるエンプティ検出回路が接続されていることを特徴とする請求項1に記載のインクタンク。
- 前記エンプティ検出回路において発生する電気的なヒステリシスは、電源投入時にインクエンプティを検出し易い方向に偏っていることを特徴とする請求項5に記載のインクタンク。
- 前記エンプティ検出回路における電気的なヒステリシスは、前記エンプティ検出回路に配設された増幅器、又は、コンパレータ回路のフィードバック抵抗により発生されることを特徴とする請求項5に記載のインクタンク。
- 前記インク貯蔵部に配設された多孔質体に対して圧接状態に配設されたフィルタによって濾過されたインクが、前記インク供給部に流入するように構成したことを特徴とする請求項1に記載のインクタンク。
- 前記インク供給部には、多孔質体が配設され、前記インク供給口の内側に対応する前記多孔質体には、凹凸状の縦割溝が形成され、該縦割溝は、前記インク供給口から前記インクセンス部まで延設されていることを特徴とする請求項8に記載のインクタンク。
- 前記フィルタは、横長状に形成されて前記インク貯蔵部とインク供給部とを画成する縦壁の下部に配設された連通部に設けられ、前記縦壁のインク供給部側には、前記連通部に形成された連通口から前記インクセンス部に延びる縦溝が形成され、該縦溝は、前記インクタンクの幅方向中央部位から側方にオフセットして配設されていることを特徴とする請求項8に記載のインクタンク。
- 前記インク供給部の多孔質体に形成される縦割溝は、前記フィルタから前記インク供給口に至る水平なインク流路を形成するために、水平方向の切欠部を有していることを特徴とする請求項9に記載のインクタンク。
- 前記インクタンクを構成する筺体は、タンクケース本体と、内蓋と、外蓋と、からなり、前記タンクケース本体と、前記外蓋と、の間に、前記内蓋が挟持されてなることを特徴とする請求項1に記載のインクタンク。
- 前記筺体を構成する各部材の接続部においては、前記内蓋の両側に接続される前記タンクケース本体と外蓋の接続部分が略一致した部位に対応し、かつ、前記各部材の接続部分の厚さが、略同一であることを特徴とする請求項12に記載のインクタンク。
- インク貯蔵部と、該インク貯蔵部からインク供給路にインクを供給するインク供給部と、の間のインクの流通経路で、インクエンプティのセンシングを行うようにしたインクタンクにおいて、
前記インクタンクの使用状態下にて、前記流通経路における前記インク供給部の上部に配設したインクセンス部に上方からインクを流下させてインクエンプティのセンシングを行うことを特徴とするインクタンクのインクエンプティ検知方法。
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