JP2004167344A - 低沸点溶剤の回収方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低沸点溶剤を効率よく回収する方法を提供する。
【解決手段】吸着槽1a、1bに充填した吸着材に低沸点溶剤を吸着させた後、吸着槽内を排気して2.6kPa以下に減圧し、次いで吸着槽に水蒸気を吹き込んで吸着材から脱着させた低沸点溶剤と水蒸気の混合気体をコンデンサー3で冷却して凝縮させ、凝縮後残った低沸点溶剤と水蒸気からなる未凝縮ガスをコンプレッサー5で加圧・クーラー7で冷却して凝縮させ低沸点溶剤を液化して回収する低沸点溶剤の回収方法。低沸点溶剤の沸点は10℃以下とする。また、低沸点溶剤と水蒸気の混合気体の加圧は、0.5MPa以上とすることが好ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】吸着槽1a、1bに充填した吸着材に低沸点溶剤を吸着させた後、吸着槽内を排気して2.6kPa以下に減圧し、次いで吸着槽に水蒸気を吹き込んで吸着材から脱着させた低沸点溶剤と水蒸気の混合気体をコンデンサー3で冷却して凝縮させ、凝縮後残った低沸点溶剤と水蒸気からなる未凝縮ガスをコンプレッサー5で加圧・クーラー7で冷却して凝縮させ低沸点溶剤を液化して回収する低沸点溶剤の回収方法。低沸点溶剤の沸点は10℃以下とする。また、低沸点溶剤と水蒸気の混合気体の加圧は、0.5MPa以上とすることが好ましい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フロンガス等の低沸点溶剤の回収方法に関する。詳細には、吸着材に吸着させた低沸点溶剤を減圧下で脱着させ、コンデンサーで冷却した後に未凝縮ガスを加圧・冷却して低沸点溶剤と水を凝縮し、液化した低沸点溶剤と水とを分離する低沸点溶剤の回収方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、排ガス等に含まれる有機溶剤を回収する方法としては、活性炭、ゼオライト等の吸着材に溶剤を吸着させた後、脱着処理を行う方法が用いられている。
【0003】
溶剤の脱着処理には通常水蒸気が用いられている。水蒸気を脱着処理に用いた溶剤の回収方法は、まず活性炭等の吸着材を充填した吸着槽内に溶剤を含有する気体を通流して溶剤を吸着材に吸着させる。その後、水蒸気を吸着槽に供給して吸着材から溶剤を脱着させる。最後に、コンデンサーで冷却することにより溶剤と水蒸気は凝縮し、凝縮した溶剤を回収する。
【0004】
しかしながら、低沸点溶剤を回収する場合には、上記の方法では効率よく回収することができない。コンデンサーは、通常水を冷却剤として用いるため、脱着させた溶剤を水温以下に冷却することはできず、沸点が低い溶剤はコンデンサーで冷却しても殆ど凝縮しない。更に、吸着槽や配管内の空気で溶剤が希釈されているので凝縮は困難な状態にある。このため、溶剤を回収する場合、吸着材から溶剤を脱着させることにより溶剤を濃縮しても、低沸点溶剤はコンデンサーで殆ど凝縮せず再び吸着槽の処理に戻され、これは装置に大きな吸着負荷を生じさせている。中でも、沸点が10℃以下の溶剤については、この方法では全く凝縮せず回収することはできない。
【0005】
冷房用冷媒として用いられていたフロンガスや、フロンガスに代わる代替フロンは、大気中に放出するとオゾン層を破壊したり地球温暖化の要因となることから確実に回収することが求められている。ところが、フロンガスや代替フロンは沸点が−20℃程度と低いため、従来の方法ではこれらの回収は非常に困難である。
【0006】
特開平5−84417号公報(特許文献1)には、溶剤吸着材を収納した吸着塔に対し、溶剤含有空気を通流させて前記溶剤吸着材に溶剤を吸着させる吸着工程と、前記吸着塔内に水蒸気を導入した後、この水蒸気の導入を停止して前記吸着塔内を減圧排気することにより溶剤を脱着する脱着工程とを、交互に繰り返して行う溶剤回収方法が開示されている。同公報には、吸着塔内を減圧排気することにより、少量の水蒸気の導入で高い脱着効率を得ることができると記載されている。一方、後述する本発明において行う吸着槽内の排気は、吸着材から脱着させた低沸点溶剤をコンプレッサー等で加圧して効率よく液化させるものであり、この概念は同公報には記載されていない。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−84417号公報 (請求項1)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、コンデンサーで冷却しても凝集しないため従来の方法では回収することが困難であった低沸点溶剤を効率よく回収する方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、上記課題を解決する本発明は、以下に記載するものである。
【0010】
〔1〕 吸着槽に充填した吸着材に低沸点溶剤を吸着させた後、吸着槽内を排気して2.6kPa以下に減圧し、次いで吸着槽に水蒸気を吹き込んで吸着材から脱着させた低沸点溶剤と水蒸気の混合気体をコンデンサーで冷却して凝縮させ、凝縮後残った低沸点溶剤と水蒸気からなる未凝縮ガスを加圧・冷却して凝縮させ低沸点溶剤を液化して回収する低沸点溶剤の回収方法。
【0011】
〔2〕 コンデンサーが吸着槽に連結されたものであって、吸着槽とともにコンデンサー内を排気して減圧する〔1〕に記載の回収方法。
【0012】
〔3〕 低沸点溶剤の沸点が10℃以下である〔1〕又は〔2〕に記載の回収方法。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、吸着槽に充填した吸着材に低沸点溶剤を吸着させ、吸着槽内を排気した後水蒸気を導入して吸着材から低沸点溶剤を脱着させ、脱着した低沸点溶剤と水蒸気の混合気体をコンデンサーで冷却して凝縮させた後、未凝縮ガスを加圧・冷却することにより低沸点溶剤を液化させて回収を行うものである。
【0014】
吸着槽に充填する吸着材は通常吸着材として使用するものであれば特に制限されず、例えば、活性炭、活性炭素繊維、ゼオライト等を挙げることができる。
【0015】
吸着材に吸着した低沸点溶剤を脱着させる際には吸着槽内を排気して2.6kPa以下とするが、0〜1.3kPaとすることがより好ましい。吸着槽内の排気を行う際には、より効率よく低沸点溶剤を回収するため、系全体、例えばコンデンサーや接続する配管内についても排気を行うことが好ましい。
【0016】
コンデンサーの冷却水の温度は回収溶剤の沸点等により決定されるが、通常 20℃以下とすることが好ましい。
【0017】
未凝縮ガスの加圧は、低沸点溶剤の蒸気圧により異なるが、一般的にゲージ圧0.5MPa以上とすることが好ましく、0.5〜0.9MPaとすることがより好ましい。
【0018】
本発明の回収方法は、水を冷却剤として用いたコンデンサーで殆ど凝縮しない溶剤について用いることができる。回収する溶剤の沸点は10℃以下が好ましく、沸点−30〜10℃がより好ましい。
【0019】
本発明により回収できる溶剤としては、例えば、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、塩化ビニルモノマー、n−ブタン等を挙げることができる。
【0020】
以下、図1に示す本発明に用いる回収装置の一例を示すブロック図を用いて本発明を具体的に説明する。
【0021】
吸着槽1a、1bは吸着材が充填されている。吸着槽1aには配管20a、21a、22a、23aが、吸着槽2bには配管20b、21b、22b、23bが接続している。配管20aと20b、21aと21b、22aと22b、23aと23bは、それぞれ吸着槽と接続していない端が合流して配管20、21、22、23となる。
【0022】
配管20は、気体を吸引して吸着槽に導入するブロア17に接続している。
【0023】
配管22(22a、22b)は、吸着槽に脱着処理を行うための水蒸気を供給する。
【0024】
配管21は、コンデンサー3に接続し、吸着槽からコンデンサー3に気体を導入する。コンデンサー3で冷却され凝縮した水は、配管30を通ってタンク4に排出される。コンデンサー3には更に配管31が接続し、配管31は、配管31aと31bに分岐している。
【0025】
配管31aは、バルブ44、コンプレッサー5、クーラー7を介装し、液面計付制御装置11を備えた油水分離装置9に接続している。コンデンサー3を通過した気体に含まれる水蒸気と低沸点溶剤はコンプレッサー5で加圧され、クーラー7で冷却することにより液化する。水及び液化した低沸点溶剤は、液面計付制御装置11を備えた油水分離装置9に集められる。液面計付制御装置11は、低沸点溶剤と水の液面を検出し、バルブ47、48を制御して、低沸点溶剤と水をそれぞれ回収ボンベ13、タンク4へ送る。
【0026】
一方、配管31bは、バルブ45、真空ポンプ15を介装し、ブロア17へ気体を導入する配管19に接続している。
【0027】
次に、上記回収装置の動作について説明する。
【0028】
上記回収装置は2つの吸着槽1a、1bが設けられ、これらの吸着槽で交互に低沸点溶剤の吸着と脱着を行うことにより効率よく溶剤の回収を行うことができる。
【0029】
まず吸着槽1aは溶剤の吸着を、吸着槽1bは脱着を行うものとする。バルブ40a、43a、41b、45は開け、バルブ42a、41a、40b、42b、43b、44、46は閉じておく。
【0030】
低沸点溶剤を含む気体は配管19からブロア17により吸着槽1aに導入され、吸着槽1aを通過した気体は配管23a、23を通って排出される。低沸点溶剤は吸着槽を通過するうちに充填した吸着材に吸着する。
【0031】
一方、吸着槽1bに充填した吸着材には低沸点溶剤が吸着している。真空ポンプ15を作動させ、吸着槽1b、コンデンサー3内を排気し、減圧する。真空ポンプ15が排出した微量の低沸点溶剤を含む気体は、配管19に供給され、再びブロア17に吸引され吸着槽で処理される。
【0032】
吸着槽1b、コンデンサー3内を減圧後、バルブ45を閉じ、42b、44、46を開け、吸着槽1bに配管22bから水蒸気を導入して吸着材に吸着した低沸点溶剤を脱着させる。水蒸気と低沸点溶剤の混合気体は、吸着槽1bから配管21b、21を通ってコンデンサー3に導入される。コンデンサー3で冷却され凝縮した水はタンク4に排出される。
【0033】
コンデンサー3を通過した混合気体は殆どの水蒸気が凝縮し、低沸点溶剤と僅かな水蒸気を含む未凝縮ガスとなる。未凝縮ガスはコンプレッサー5で加圧、クーラー7で冷却されることにより液化して、油水分離装置9に集められ、液面計付制御装置11により低沸点溶剤は回収ボンベ13に、水はタンク4に送られる。
【0034】
吸着槽1bに充填した吸着材から脱着した低沸点溶剤の処理が終了後、バルブ41a、40b、43b、45を開け、バルブ40a、43a、41b、42b、44、46を閉じる。その後、上記と同様の操作を行って吸着槽1aでは脱着を、吸着槽1bでは吸着を行う。
【0035】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
【0036】
実施例1
図1に示す溶剤回収装置を用い、下記の条件で1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a、沸点 −26.2℃)の回収を行った。
吸着槽型式:GS−2型
(2缶交互切り替え、水蒸気脱着方式)
充填剤:活性炭素繊維(フェノール系 FT300−15、クラレケミカル社製)5kg/缶 充填
運転条件:
(1)回収装置入口溶剤濃度 約600ppm
(供給溶剤量 0.71kg/h)
(2)ガス処理量 4.7m3/min(4.35Nm3/min)
(3)ガス温度 22℃
(4)真空系真空度 2.6kPa
(5)コンデンサー冷却水温度 3℃
その結果は以下の通りであった。
(1)吸着槽出口溶剤濃度 約20ppm
(2)脱着蒸気量 22kg/h
(3)回収溶剤質量 0.64kg/h(回収効率 約90%)
吸着槽の入口及び出口において測定した溶剤濃度の経時変化のグラフを図2に示す。
【0037】
溶剤の濃度変化から求めた溶剤の除去効率は約97.6%であったが、実際に凝縮して回収した溶剤の質量は約90%であった。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、従来の方法、即ち吸着材から脱着させた溶剤をコンデンサーで冷却することにより凝縮させる方法では沸点が低いため凝縮せず回収が困難であった低沸点溶剤を効率よく回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる回収装置の一例を示すブロック図である。
【図2】実施例において測定した吸着槽の入口及び出口における溶剤の濃度変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1a、1b 吸着槽
3 コンデンサー
4 タンク
5 コンプレッサー
7 クーラー
9 油水分離装置
11 液面計付制御装置
13 回収ボンベ
15 真空ポンプ
17 ブロア
19、20、20a、20b、21、21a、21b、22、22a、22b、23a、23b、30、31、31a、31b、33、34 配管
40a、40b、41a、41b、42a、42b、43a、43b、44、45、46、47、48 バルブ
【発明の属する技術分野】
本発明は、フロンガス等の低沸点溶剤の回収方法に関する。詳細には、吸着材に吸着させた低沸点溶剤を減圧下で脱着させ、コンデンサーで冷却した後に未凝縮ガスを加圧・冷却して低沸点溶剤と水を凝縮し、液化した低沸点溶剤と水とを分離する低沸点溶剤の回収方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、排ガス等に含まれる有機溶剤を回収する方法としては、活性炭、ゼオライト等の吸着材に溶剤を吸着させた後、脱着処理を行う方法が用いられている。
【0003】
溶剤の脱着処理には通常水蒸気が用いられている。水蒸気を脱着処理に用いた溶剤の回収方法は、まず活性炭等の吸着材を充填した吸着槽内に溶剤を含有する気体を通流して溶剤を吸着材に吸着させる。その後、水蒸気を吸着槽に供給して吸着材から溶剤を脱着させる。最後に、コンデンサーで冷却することにより溶剤と水蒸気は凝縮し、凝縮した溶剤を回収する。
【0004】
しかしながら、低沸点溶剤を回収する場合には、上記の方法では効率よく回収することができない。コンデンサーは、通常水を冷却剤として用いるため、脱着させた溶剤を水温以下に冷却することはできず、沸点が低い溶剤はコンデンサーで冷却しても殆ど凝縮しない。更に、吸着槽や配管内の空気で溶剤が希釈されているので凝縮は困難な状態にある。このため、溶剤を回収する場合、吸着材から溶剤を脱着させることにより溶剤を濃縮しても、低沸点溶剤はコンデンサーで殆ど凝縮せず再び吸着槽の処理に戻され、これは装置に大きな吸着負荷を生じさせている。中でも、沸点が10℃以下の溶剤については、この方法では全く凝縮せず回収することはできない。
【0005】
冷房用冷媒として用いられていたフロンガスや、フロンガスに代わる代替フロンは、大気中に放出するとオゾン層を破壊したり地球温暖化の要因となることから確実に回収することが求められている。ところが、フロンガスや代替フロンは沸点が−20℃程度と低いため、従来の方法ではこれらの回収は非常に困難である。
【0006】
特開平5−84417号公報(特許文献1)には、溶剤吸着材を収納した吸着塔に対し、溶剤含有空気を通流させて前記溶剤吸着材に溶剤を吸着させる吸着工程と、前記吸着塔内に水蒸気を導入した後、この水蒸気の導入を停止して前記吸着塔内を減圧排気することにより溶剤を脱着する脱着工程とを、交互に繰り返して行う溶剤回収方法が開示されている。同公報には、吸着塔内を減圧排気することにより、少量の水蒸気の導入で高い脱着効率を得ることができると記載されている。一方、後述する本発明において行う吸着槽内の排気は、吸着材から脱着させた低沸点溶剤をコンプレッサー等で加圧して効率よく液化させるものであり、この概念は同公報には記載されていない。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−84417号公報 (請求項1)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、コンデンサーで冷却しても凝集しないため従来の方法では回収することが困難であった低沸点溶剤を効率よく回収する方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、上記課題を解決する本発明は、以下に記載するものである。
【0010】
〔1〕 吸着槽に充填した吸着材に低沸点溶剤を吸着させた後、吸着槽内を排気して2.6kPa以下に減圧し、次いで吸着槽に水蒸気を吹き込んで吸着材から脱着させた低沸点溶剤と水蒸気の混合気体をコンデンサーで冷却して凝縮させ、凝縮後残った低沸点溶剤と水蒸気からなる未凝縮ガスを加圧・冷却して凝縮させ低沸点溶剤を液化して回収する低沸点溶剤の回収方法。
【0011】
〔2〕 コンデンサーが吸着槽に連結されたものであって、吸着槽とともにコンデンサー内を排気して減圧する〔1〕に記載の回収方法。
【0012】
〔3〕 低沸点溶剤の沸点が10℃以下である〔1〕又は〔2〕に記載の回収方法。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、吸着槽に充填した吸着材に低沸点溶剤を吸着させ、吸着槽内を排気した後水蒸気を導入して吸着材から低沸点溶剤を脱着させ、脱着した低沸点溶剤と水蒸気の混合気体をコンデンサーで冷却して凝縮させた後、未凝縮ガスを加圧・冷却することにより低沸点溶剤を液化させて回収を行うものである。
【0014】
吸着槽に充填する吸着材は通常吸着材として使用するものであれば特に制限されず、例えば、活性炭、活性炭素繊維、ゼオライト等を挙げることができる。
【0015】
吸着材に吸着した低沸点溶剤を脱着させる際には吸着槽内を排気して2.6kPa以下とするが、0〜1.3kPaとすることがより好ましい。吸着槽内の排気を行う際には、より効率よく低沸点溶剤を回収するため、系全体、例えばコンデンサーや接続する配管内についても排気を行うことが好ましい。
【0016】
コンデンサーの冷却水の温度は回収溶剤の沸点等により決定されるが、通常 20℃以下とすることが好ましい。
【0017】
未凝縮ガスの加圧は、低沸点溶剤の蒸気圧により異なるが、一般的にゲージ圧0.5MPa以上とすることが好ましく、0.5〜0.9MPaとすることがより好ましい。
【0018】
本発明の回収方法は、水を冷却剤として用いたコンデンサーで殆ど凝縮しない溶剤について用いることができる。回収する溶剤の沸点は10℃以下が好ましく、沸点−30〜10℃がより好ましい。
【0019】
本発明により回収できる溶剤としては、例えば、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、塩化ビニルモノマー、n−ブタン等を挙げることができる。
【0020】
以下、図1に示す本発明に用いる回収装置の一例を示すブロック図を用いて本発明を具体的に説明する。
【0021】
吸着槽1a、1bは吸着材が充填されている。吸着槽1aには配管20a、21a、22a、23aが、吸着槽2bには配管20b、21b、22b、23bが接続している。配管20aと20b、21aと21b、22aと22b、23aと23bは、それぞれ吸着槽と接続していない端が合流して配管20、21、22、23となる。
【0022】
配管20は、気体を吸引して吸着槽に導入するブロア17に接続している。
【0023】
配管22(22a、22b)は、吸着槽に脱着処理を行うための水蒸気を供給する。
【0024】
配管21は、コンデンサー3に接続し、吸着槽からコンデンサー3に気体を導入する。コンデンサー3で冷却され凝縮した水は、配管30を通ってタンク4に排出される。コンデンサー3には更に配管31が接続し、配管31は、配管31aと31bに分岐している。
【0025】
配管31aは、バルブ44、コンプレッサー5、クーラー7を介装し、液面計付制御装置11を備えた油水分離装置9に接続している。コンデンサー3を通過した気体に含まれる水蒸気と低沸点溶剤はコンプレッサー5で加圧され、クーラー7で冷却することにより液化する。水及び液化した低沸点溶剤は、液面計付制御装置11を備えた油水分離装置9に集められる。液面計付制御装置11は、低沸点溶剤と水の液面を検出し、バルブ47、48を制御して、低沸点溶剤と水をそれぞれ回収ボンベ13、タンク4へ送る。
【0026】
一方、配管31bは、バルブ45、真空ポンプ15を介装し、ブロア17へ気体を導入する配管19に接続している。
【0027】
次に、上記回収装置の動作について説明する。
【0028】
上記回収装置は2つの吸着槽1a、1bが設けられ、これらの吸着槽で交互に低沸点溶剤の吸着と脱着を行うことにより効率よく溶剤の回収を行うことができる。
【0029】
まず吸着槽1aは溶剤の吸着を、吸着槽1bは脱着を行うものとする。バルブ40a、43a、41b、45は開け、バルブ42a、41a、40b、42b、43b、44、46は閉じておく。
【0030】
低沸点溶剤を含む気体は配管19からブロア17により吸着槽1aに導入され、吸着槽1aを通過した気体は配管23a、23を通って排出される。低沸点溶剤は吸着槽を通過するうちに充填した吸着材に吸着する。
【0031】
一方、吸着槽1bに充填した吸着材には低沸点溶剤が吸着している。真空ポンプ15を作動させ、吸着槽1b、コンデンサー3内を排気し、減圧する。真空ポンプ15が排出した微量の低沸点溶剤を含む気体は、配管19に供給され、再びブロア17に吸引され吸着槽で処理される。
【0032】
吸着槽1b、コンデンサー3内を減圧後、バルブ45を閉じ、42b、44、46を開け、吸着槽1bに配管22bから水蒸気を導入して吸着材に吸着した低沸点溶剤を脱着させる。水蒸気と低沸点溶剤の混合気体は、吸着槽1bから配管21b、21を通ってコンデンサー3に導入される。コンデンサー3で冷却され凝縮した水はタンク4に排出される。
【0033】
コンデンサー3を通過した混合気体は殆どの水蒸気が凝縮し、低沸点溶剤と僅かな水蒸気を含む未凝縮ガスとなる。未凝縮ガスはコンプレッサー5で加圧、クーラー7で冷却されることにより液化して、油水分離装置9に集められ、液面計付制御装置11により低沸点溶剤は回収ボンベ13に、水はタンク4に送られる。
【0034】
吸着槽1bに充填した吸着材から脱着した低沸点溶剤の処理が終了後、バルブ41a、40b、43b、45を開け、バルブ40a、43a、41b、42b、44、46を閉じる。その後、上記と同様の操作を行って吸着槽1aでは脱着を、吸着槽1bでは吸着を行う。
【0035】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
【0036】
実施例1
図1に示す溶剤回収装置を用い、下記の条件で1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a、沸点 −26.2℃)の回収を行った。
吸着槽型式:GS−2型
(2缶交互切り替え、水蒸気脱着方式)
充填剤:活性炭素繊維(フェノール系 FT300−15、クラレケミカル社製)5kg/缶 充填
運転条件:
(1)回収装置入口溶剤濃度 約600ppm
(供給溶剤量 0.71kg/h)
(2)ガス処理量 4.7m3/min(4.35Nm3/min)
(3)ガス温度 22℃
(4)真空系真空度 2.6kPa
(5)コンデンサー冷却水温度 3℃
その結果は以下の通りであった。
(1)吸着槽出口溶剤濃度 約20ppm
(2)脱着蒸気量 22kg/h
(3)回収溶剤質量 0.64kg/h(回収効率 約90%)
吸着槽の入口及び出口において測定した溶剤濃度の経時変化のグラフを図2に示す。
【0037】
溶剤の濃度変化から求めた溶剤の除去効率は約97.6%であったが、実際に凝縮して回収した溶剤の質量は約90%であった。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、従来の方法、即ち吸着材から脱着させた溶剤をコンデンサーで冷却することにより凝縮させる方法では沸点が低いため凝縮せず回収が困難であった低沸点溶剤を効率よく回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる回収装置の一例を示すブロック図である。
【図2】実施例において測定した吸着槽の入口及び出口における溶剤の濃度変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1a、1b 吸着槽
3 コンデンサー
4 タンク
5 コンプレッサー
7 クーラー
9 油水分離装置
11 液面計付制御装置
13 回収ボンベ
15 真空ポンプ
17 ブロア
19、20、20a、20b、21、21a、21b、22、22a、22b、23a、23b、30、31、31a、31b、33、34 配管
40a、40b、41a、41b、42a、42b、43a、43b、44、45、46、47、48 バルブ
Claims (3)
- 吸着槽に充填した吸着材に低沸点溶剤を吸着させた後、吸着槽内を排気して2.6kPa以下に減圧し、次いで吸着槽に水蒸気を吹き込んで吸着材から脱着させた低沸点溶剤と水蒸気の混合気体をコンデンサーで冷却して凝縮させ、凝縮後残った低沸点溶剤と水蒸気からなる未凝縮ガスを加圧・冷却して凝縮させ低沸点溶剤を液化して回収する低沸点溶剤の回収方法。
- コンデンサーが吸着槽に連結されたものであって、吸着槽とともにコンデンサー内を排気して減圧する請求項1に記載の回収方法。
- 低沸点溶剤の沸点が10℃以下である請求項1又は2に記載の回収方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002334729A JP2004167344A (ja) | 2002-11-19 | 2002-11-19 | 低沸点溶剤の回収方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002334729A JP2004167344A (ja) | 2002-11-19 | 2002-11-19 | 低沸点溶剤の回収方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004167344A true JP2004167344A (ja) | 2004-06-17 |
Family
ID=32699036
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2002334729A Pending JP2004167344A (ja) | 2002-11-19 | 2002-11-19 | 低沸点溶剤の回収方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004167344A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016013499A (ja) * | 2014-06-30 | 2016-01-28 | 日本リファイン株式会社 | 揮発性有機化合物回収方法、及び揮発性有機化合物回収装置 |
-
2002
- 2002-11-19 JP JP2002334729A patent/JP2004167344A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2016013499A (ja) * | 2014-06-30 | 2016-01-28 | 日本リファイン株式会社 | 揮発性有機化合物回収方法、及び揮発性有機化合物回収装置 |
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