JP2004166456A - 線材保持具 - Google Patents
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Abstract
【課題】線材束を所定位置で分岐して形成された各種の分岐部を適切に結束して保持し、また、外径サイズの種々異なる線材束の分岐部の結束に適応することが可能で汎用性に優れ、コスト及び作業工数を低減することができる線材保持具を提供する。
【解決手段】線材束を所定位置で分岐して形成されたT字型の分岐部21を保持する線材保持具11において、前記分岐部21を構成する線材束21a及び線材束21cの外周に巻回して前記線材束を結束する可撓性バンド17を有する複数の結束バンド部12、13と、該複数の結束バンド部12、13を連結して前記複数の結束バンド部12、13による分岐部21の結束部位を相対的に定める可撓性部材からなる連結体15とを備える。
【選択図】 図2
【解決手段】線材束を所定位置で分岐して形成されたT字型の分岐部21を保持する線材保持具11において、前記分岐部21を構成する線材束21a及び線材束21cの外周に巻回して前記線材束を結束する可撓性バンド17を有する複数の結束バンド部12、13と、該複数の結束バンド部12、13を連結して前記複数の結束バンド部12、13による分岐部21の結束部位を相対的に定める可撓性部材からなる連結体15とを備える。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電線、管、ホース等の線材を集束した線材束を所定位置で分岐して形成された分岐部を結束して保持する線材保持具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両用、電気通信用、流体輸送用等に使用される電線(光ファイバを含む)、管、ホース等の線材を集束した線材束を所定位置で分岐して分岐部を形成する場合、特に、車両内に配索されるワイヤーハーネスにおいては、大量の電線を集束した電線束を所定位置で分岐して必要とする本数の電線を各種の電気、電子部品等へ配索するために多数の分岐部が形成される。この場合、その分岐部において、電線束がたるんだり、ほどけたり、外力により位置ずれ又は変形を生じたりしないように分岐部の電線束をテープ巻き等により結束して分岐部が所定の形状を保持するようにしている。
【0003】
ところが、前記テープ巻き等による結束方法では、分岐部における電線束等の線材束の結束作業が煩雑になり、工数および時間を要して能率的でないため、線材束を所定位置で分岐して形成された分岐部をテープレスで結束して保持する、例えば、図7(a)(b)に示す線材保持具が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
この線材保持具1は、図7(a)に示すように、ワイヤーハーネスを構成する電線束等の線材束を分岐して形成された分岐部2の中心から、例えば、三方へT字型に延在する線材束2a〜2cに対応してT字型に配置されたセパレータ3a〜3cを有する線材保持具本体3と、その中央に位置するセパレータ3cの一端にヒンジ4を介して設けられた板状の連結固定部5と、その連結固定部5において、線材保持具本体3の両側に位置するセパレータ3a、3bに対向する位置に設けられた係止穴6a、6bと、線材保持具本体3のセパレータ3a、3bの先端に設けられ、前記連結固定部5の係止穴6a、6bに挿入係止される係止爪7a、7bとを備えて構成される。なお、8は線材保持具本体3のセパレータ3cに分岐部2の中心に対応するように設けられ、線材保持具1を車体、電気機器等のパネル、壁等の支持部材に取り付けるための先端が矢尻状に突出するクリップである。
【0005】
この線材保持具1を前記分岐部2に装着する場合には、線材保持具本体3の上に、その中心と分岐部2の中心がほぼ一致するように、また、線材保持具本体3の両側に位置するセパレータ3a、3b間に分岐部2の中央に位置する線材束2cが挟まるようにして配置する。次いで、連結固定部5を図7(a)に示すようにヒンジ4を支点にして矢印A方向に回動して閉じ、図7(b)に示すように、セパレータ3a、3bの先端に設けられた係止爪7a、7bを連結固定部5の係止穴6a、6bに挿入係止することにより、線材保持具1を分岐部2に装着する。このようにして、分岐部2の線材束2a、2bを線材保持具本体3と連結固定部5との間に挟着することにより、分岐部2を結束して保持するようになっている。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−94148号公報(第3頁段落0012乃至段落0014、図1(a)(b))
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の線材保持具1は、連結固定部5を閉じたとき、線材保持具本体3と連結固定部5間に形成される穴径が変わらず一定なのに対して、線材束2a、2bの方は線材間に若干の隙間が形成されているため、外力の作用により縮径し易く、また、場所によって線材間の隙間の大きさが同じでないため、縮径量にばらつきが生じ易い。このため、線材束2a、2bを線材保持具本体3と連結固定部5との間に挟着しても、締付力が弱く、また不均等になって締め付け不足になり、分岐部2を適切に結束して保持することが困難になる。従って、小さな外力の付加によって線材保持具1と分岐部2間に相対滑りが生じて分岐部2の形状が崩れ、分岐部2を正しい分岐位置に保持して固定することができなくなるという問題がある。
【0008】
また、分岐部2を構成する線材束2a、2bの外径サイズが小さ過ぎると、連結固定部5を閉じたとき、これら線材束2a、2bと線材保持具本体3及び連結固定部5との間に隙間が生じる。反対に、これら線材束2a、2bが大き過ぎると、連結固定部5を閉じて、線材保持具本体3と連結固定部5との間にこれら線材束2a、2bを挟着することが難しくなる。このように、線材束2a、2bの外径サイズが合わない場合には、線材束2a、2bに対する適切な締付力が得られず、分岐部2を結束して保持することができなくなるので、汎用性に乏しく、線材束2a、2bの外径に適応した線材保持具1を予め幾種類も多く製作しておく必要が生じ、コストが増大するほか、数ある線材保持具1の中から適応する線材保持具1を選択して装着する必要があるので、分岐部2に対する装着作業の工数が増大するという問題もある。
【0009】
更に、分岐部2の中央に位置する線材束2cが両側の線材束2a、2bに対して傾斜した略Y型の分岐部の場合には、中央の傾斜した線材束の支持が不安定になって分岐部が型崩れを起こし易いという問題もある。
【0010】
本発明は上記課題を解決し、線材束を所定位置で分岐して形成された各種の分岐部を適切に結束して保持し、また、外径サイズの種々異なる線材束の分岐部の結束に適応することが可能で汎用性に優れ、コスト及び作業工数を低減することができる線材保持具を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載された線材保持具は、線材束を所定位置で分岐して形成された分岐部を保持する線材保持具において、前記分岐部を構成する線材束の外周に巻回して前記線材束を結束する可撓性バンドを有する複数の結束バンド部と、該複数の結束バンド部を連結して前記複数の結束バンド部による分岐部の結束部位を相対的に定める連結体とを備えるものである。
【0012】
このような構成によると、線材保持具の結束バンド部の可撓性バンドを分岐部の必要な線材束の外周に巻回して前記線材束を締め付けるので、可撓性バンドの締め付け量を調節することにより、結束バンド部の可撓性バンドを巻回することにより形成されるループ径を任意の大きさに大小変更することが可能である。
【0013】
これにより、分岐部を構成する複数の線材束の線材間に隙間があるため外力の作用で縮径し易いものでも、また、線材間の隙間が均等でなく場所によって縮径量にばらつきが生じ易いものでも、これら線材束を締め付け不足を起こすことなく適切な締付力で均等に締め付けることが可能となり、分岐部を適切に結束して保持することができる。従って、小さな外力の付加によって線材保持具と分岐部間に相対滑りが生じたり、分岐部の形状が崩れたりするようなことがなく、分岐部を正しい分岐位置に保持して固定することができる。また、分岐部を構成する線材束の外径サイズが異なってもサイズ変更に十分対応することが可能である。
【0014】
また、結束バンド部が連結体で連結されるので、分岐部の形状が例えばT字型から前記略Y型の分岐部等のように変わり、結束バンド部による分岐部の複数の結束部位の前後、左右、又は上下方向の相対位置を変える必要が生じた場合には、線材保持具の一部品である連結体の形状を変えるか交換することにより、その設計変更に適応させることができる。従って、汎用性に優れ、分岐部を構成する線材束の外径サイズや分岐部の形状に適応した線材保持具を予め数多く製作しておく必要がなくなり、コストを低減することができる。
【0015】
本発明の請求項2に記載された線材保持具は、請求項1記載の線材保持具において、前記連結体が可撓性部材で構成されるものである。このような構成によると、分岐部の形状が例えばT字型から略Y型の分岐部等のように変わり、結束バンド部による分岐部の複数の結束部位の前後、左右、又は上下方向の相対位置を変える必要が生じた場合には、結束バンド部同士を連結した状態で、分岐部の相対位置の種々異なる所要の線材束における結束部位の外周に可撓性バンドを巻回して手際よく迅速に、且つ、均等な締付力で適切に締め付けることが可能になる。また、数ある線材保持具の中から適応する線材保持具を選択して装着する必要もなくなるので、分岐部に対する装着作業の工数を低減することもできる。更に、該連結体を線材束に沿わせることが可能になるので、結束バンド部の支持が安定して、結束バンド部による線材束の結束が強固になると共に、分岐部の線材束がばらけるのを確実に防止し、分岐部を保護することができるので好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に本発明の一実施形態の線材保持具を図1により詳細に説明する。この線材保持具11は、図示のものでは2個の結束バンド部12、13と、これら結束バンド部12、13を横方向に連結する連結体15とを備えた2連形の線材保持具である。
【0017】
結束バンド部12、13はそれぞれゴム、プラスチック材等からなる可撓性バンド17の基部に、該バンド17の自由端側が戻り方向の移動が拘束されるように挿入係止されるバンド挿入係止ブロック19を設け、図2に示すようなワイヤーハーネスを構成する電線を集束した電線束等の線材束を所定位置で、例えば、T字型に分岐して形成された分岐部21の外周に結束バンド部12、13の可撓性バンド17が巻回可能なように構成されている。更に詳細に説明すると、前記分岐部21の中心から三方にT字型に延在する線材束21a〜21cのうち、所要の線材束、即ち、分岐部21の中央に位置する線材束21cの外周に結束バンド部13の可撓性バンド17が、また、その両側に位置する線材束21a、21bから選択された一方の線材束21aにおける結束部位の外周に結束バンド部12の可撓性バンド17が巻回可能なように構成されている。
【0018】
結束バンド部12、13における可撓性バンド17の自由端側の外面には、長手方向に沿って多数の連続する係止凹部(係止溝部)、係止凸部、又は、細長い貫通穴(窓)等で構成される係止部23が設けられている。
【0019】
バンド挿入係止ブロック19は、図示のものは矩形状筒体で形成され、該筒体のバンド挿入穴20に一側から前記可撓性バンド17の自由端側が挿入され、該ブロック19の反対側から引張り出せるようになっている。なお、該ブロック19は、図示省略するが、ブロック本体の一方面に、可撓性バンド17を挿入案内するコ字状で開口縁をバンド外れ防止のために少し内側に折り曲げた案内溝を設けて形成され、その案内溝に可撓性バンド17の自由端側が挿入されて該ブロック19の反対側から引張り出せるようにしたもの等でもよい。
【0020】
また、バンド挿入係止ブロック19におけるバンド挿入穴20の入口側内壁には可撓性バンド17に設けられた係止部23に係合する係止体25が突設され、前記可撓性バンド17の自由端側がバンド挿入係止ブロック19のバンド挿入穴20に挿入されたとき、その係止体25が係止部23に係合し、可撓性バンド17の戻り方向の移動が拘束されるようになっている。
【0021】
連結体15は結束バンド部12、13を連結してこれら結束バンド部12、13による分岐部21の結束部位を相対的に定めるもので、所定形状の剛性部材で構成してもよいが、本実施形態においては、可撓性部材で構成される。可撓性部材はゴム、プラスチック材等の可撓性材料で出来た薄肉の帯条片からなり、図示するものでは、両結束バンド部12、13の可撓性バンド17の基部側に、これら結束バンド部12、13が相互に移動可能なように可撓性バンド17と一体に横方向に連結されている。なお、可撓性部材は、可撓性を有しない複数の剛性帯条片相互をヒンジ等の屈曲自在な可撓性治具で直列に接続して全体として可撓性を有するように形成したもの等でもよい。連結体15は可撓性バンド17と別体に形成し、ねじ、ボルト等の固定部材(図示せず)で他の異なる寸法又は形状の連結体と容易に交換できるように連結するようにしてもよい。また、連結体15は両結束バンド部12、13のバンド挿入係止ブロック19側に横方向に連結するようにしてもよい。更に、連結体15はその構成材料自体に伸縮性を持たせるか、又は、波形形状(蛇腹形状)にして伸縮性を持たせた可撓性部材で構成するようにしてもよい。このように連結体15に伸縮性を更に持たせると、結束バンド部12、13の相対移動の自由度が高まり、線材保持具11の装着性が向上するので好ましい。連結体15の長さは線材保持具11を分岐部21に装着して結束する分岐部の形状、大きさ等に応じて適宜設定される。本実施形態の線材保持具11は以上のように構成されている。
【0022】
次に、上記構成の線材保持具11の使用例を図2乃至図5に基づいて説明する。図2(a)は図1の線材保持具11をT字型の分岐部21に装着し、この分岐部21を結束してこれを結束、保持した状態を示正面図、図2(b)は図2(a)のX−X線矢視断面図である。なお、この線材保持具11は可撓性部材からなる連結体15が使われている。
【0023】
T字型の分岐部21は、前記したように、ワイヤーハーネスを構成する電線束等の線材束を所定位置で分岐する際、分岐部21の中心から三方に線材束21a〜21cがT字型に延在するように分岐して形成されたものである。このようなT字型の分岐部21に線材保持具11を装着する場合の一例として、先ず、線材保持具11の結束バンド部12が分岐部21の中央に位置する線材束21cの左側に位置する線材束21aの近傍に、また、結束バンド部13が中央に位置する線材束21cの近傍に位置するように、線材保持具11を位置決め配置する。
【0024】
次に、結束バンド部12の可撓性バンド17を線材束21aの結束部位の外周に巻回して、可撓性バンド17の自由端側をバンド挿入係止ブロック19のバンド挿入穴20に挿入する。そして、該ブロック19から引張り出して線材束21aを締め付けると共に、バンド挿入係止ブロック19側の係止体25を可撓性バンド17側の係止部23に係合することにより係止し、可撓性バンド17の戻り方向の移動を拘束する。
【0025】
次に、両結束バンド部12、13を連結する連結体15の中間部位を、分岐部21の線材束21aに対し直交するように配置された分岐部21の中央に位置する線材束21cの方に90度折り曲げる。次いで、結束バンド部13の可撓性バンド17を線材束21cの結束部位の外周に巻回して、可撓性バンド17の自由端側をバンド挿入係止ブロック19のバンド挿入穴20に挿入する。そして、該ブロック19から引張り出して線材束21aを締め付けると共に、バンド挿入係止ブロック19側の係止体25を可撓性バンド17側の係止部23に係合することにより係止し、可撓性バンド17の戻り方向の移動を拘束する。このようにして、図2に示すように、線材保持具11をT字型の分岐部21に装着してこれを結束し所定形状に保持する。
【0026】
図3は前記線材保持具11をT字型の分岐部21に装着してこれを結束して保持した状態の変形例を示す正面図である。この場合には、前記分岐部21の中心から三方にT字型に延在する線材束21a〜21cのうち、中央に位置する線材束21cを除き、その両側に位置する線材束21a、21bの外周に、線材保持具11の結束バンド部13、12の可撓性バンド17を巻回して締め付けるようにしたものである。
【0027】
更に詳細に説明すると、先ず、線材保持具11の連結体15が分岐部21の中心近傍に位置し、結束バンド部12が線材束21b側に、また、結束バンド部13が線材束21a側に位置するように、線材保持具11を位置決め配置する。
【0028】
次に、結束バンド部12、13のうち、例えば、結束バンド部13の可撓性バンド17を線材束21aの結束部位の外周に巻回して、可撓性バンド17の自由端側をバンド挿入係止ブロック19に挿入係止することにより線材束21aを締め付ける。次いで、結束バンド部12の可撓性バンド17を線材束21bの結束部位の外周に巻回して、可撓性バンド17の自由端側をバンド挿入係止ブロック19に挿入係止することにより線材束21bを締め付ける。このようにして、図3に示すように、線材保持具11をT字型の分岐部21に装着してこれを結束し所定形状に保持する。
【0029】
図4は前記T字型の分岐部21の中央に位置する線材束21cが両側の線材束21a、21bに対して傾斜(図示のものは線材束21bに対して60度傾斜)した略Y型の分岐部21に前記線材保持具11を装着して、分岐部21を結束して保持した状態を示す正面図である。
【0030】
このような略Y型の分岐部21に線材保持具11を装着する場合には、先ず、線材保持具11の結束バンド部12が分岐部21の線材束21aの近傍に、また、結束バンド部13が線材束21bと線材束21cの分岐点から少し線材束21bの方向(線材束21aから遠ざかる方向)に移動したところに位置するように、線材保持具11を位置決め配置する。
【0031】
次に、結束バンド部12の可撓性バンド17を線材束21aの結束部位の外周に巻回して、可撓性バンド17の自由端側をバンド挿入係止ブロック19に挿入係止することにより線材束21aを締め付ける。
【0032】
次に、連結体15の中間部位を、分岐部21の線材束21a、21bに対して傾斜して配置された分岐部21の中央に位置する線材束21cの方に線材束21cの傾斜角度に合わせて折り曲げる。次いで、結束バンド部13の可撓性バンド17を線材束21cの結束部位の外周に巻回して、可撓性バンド17の自由端側をバンド挿入係止ブロック19に挿入係止することにより線材束21cを締め付ける。このようにして、図4に示すように、線材保持具11をT字型の分岐部21に装着してこれを結束し所定形状に保持する。
【0033】
図5は前記略Y型の分岐部21を分岐部中心で左右対称に組み合わせた対称略Y型の分岐部21に前記線材保持具11を装着して、該分岐部21を結束して保持した状態を示す正面図である。このような分岐部21に線材保持具11を装着する場合には、前記線材保持具11を2個使用し、一方の線材保持具11を該分岐部11の左側分岐部分に装着し、他方の線材保持具11を右側分岐部分に装着することにより行う。各分岐部分に線材保持具11を装着する方法は、前記図4に示す分岐部21に線材保持具11を装着する方法と実質同一であり、それと同様な方法で行えばよいので説明を省略する。
【0034】
図6は本発明に係る線材保持具11の他の実施形態を示す一部省略斜視図である。この線材保持具11は、3個の結束バンド部12、13、14と、これら結束バンド部12、13、14を横方向に連結する2個の連結体15とを備えた3連形の線材保持具であり、その他の構成は、図1、図2(a)(b)に示す2連形の線材保持具11と同じなので説明を省略する。このような線材保持具11は分岐部を構成する線材束の分岐数が増えた場合とか、分岐されたすべての線材束を結束して結束を強化する場合等に有効である。
【0035】
なお、線材保持具11は必要に応じて4連形以上の多連形の構成にすることが可能である。また、分岐部21の形状は、T字型、略Y型、対称略Y型の他に、Y型その他の形状のものを結束して保持する場合にも適用可能である。
【0036】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の請求項1に記載された線材保持具によると、線材束を所定位置で分岐して形成された分岐部を保持する線材保持具において、前記分岐部を構成する線材束の外周に巻回して前記線材束を結束する可撓性バンドを有する複数の結束バンド部と、該複数の結束バンド部を連結して前記複数の結束バンド部による分岐部の結束部位を相対的に定める連結体とを備え、線材保持具の結束バンド部の可撓性バンドを分岐部の必要な線材束の外周に巻回し、前記線材束を締め付けるようにしたものであるから、可撓性バンドの締め付け量を調節することにより、結束バンド部の可撓性バンドを巻回することにより形成されるループ径を任意の大きさに大小変更することが可能である。
【0037】
これにより、分岐部を構成する複数の線材束の線材間に隙間があるため外力の作用で縮径し易いものでも、また、線材間の隙間が均等でなく場所によって縮径量にばらつきが生じ易いものでも、これら線材束を締め付け不足を起こすことなく適切な締付力で均等に締め付けることが可能となり、分岐部を適切に結束して保持することができる。従って、小さな外力の付加によって線材保持具と分岐部間に相対滑りが生じたり、分岐部の形状が崩れたりするようなことがなく、分岐部を正しい分岐位置に保持して固定することができる。また、分岐部を構成する線材束の外径サイズが異なってもサイズ変更に十分対応することが可能である。
【0038】
また、結束バンド部が連結体で連結されるので、分岐部の形状が例えばT字型から前記略Y型の分岐部等のように変わり、結束バンド部による分岐部の複数の結束部位の前後、左右、又は上下方向の相対位置を変える必要が生じた場合には、線材保持具の一部品である連結体の形状を変えるか交換することにより、その設計変更に適応させることができる。従って、汎用性に優れ、分岐部を構成する線材束の外径サイズや分岐部の形状に適応した線材保持具を予め数多く製作しておく必要がなくなり、コストを低減することができる。
【0039】
本発明の請求項2に記載された線材保持具は、請求項1記載の線材保持具において、前記連結体が可撓性部材で構成されるものであるから、分岐部の形状が例えばT字型から略Y型の分岐部等のように変わり、結束バンド部による分岐部の複数の結束部位の前後、左右、又は上下方向の相対位置を変える必要が生じた場合には、結束バンド部同士を連結した状態で、分岐部の相対位置の種々異なる所要の線材束における結束部位の外周に可撓性バンドを巻回して手際よく迅速に、且つ、均等な締付力で適切に締め付けることが可能になる。また、数ある線材保持具の中から適応する線材保持具を選択して装着する必要もなくなるので、分岐部に対する装着作業の工数を低減することもできる。更に、該連結体を線材束に沿わせることが可能になるので、結束バンド部の支持が安定して、結束バンド部による線材束の結束が強固になると共に、分岐部の線材束がばらけるのを確実に防止し、分岐部を保護することができるので好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る線材保持具の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】(a)は図1の線材保持具をT字型の分岐部に装着して、これを結束、保持した状態を示す正面図、(b)は(a)のX−X線矢視断面図である。
【図3】前記線材保持具をT字型の分岐部に装着して、これを結束して保持した状態の変形例を示す正面図である。
【図4】前記線材保持具を略Y型の分岐部に装着して、これを結束して保持した状態を示す正面図である。
【図5】前記線材保持具を対称略Y型の分岐部に装着して、これを結束して保持した状態を示す正面図である。
【図6】本発明に係る線材保持具の他の実施形態を示す一部省略斜視図である。
【図7】従来の線材保持具を示すもので、(a)は線材束の分岐部を結束する前の状態の斜視図、(b)は分岐部を結束した状態の斜視図である。
【符号の説明】
11 線材保持具
12 結束バンド部
13 結束バンド部
14 結束バンド部
15 連結体
17 可撓性バンド
19 バンド挿入係止ブロック
20 バンド挿入穴
21 分岐部
21a 線材束
21b 線材束
21c 線材束
23 係止部
25 係止体
【発明の属する技術分野】
本発明は、電線、管、ホース等の線材を集束した線材束を所定位置で分岐して形成された分岐部を結束して保持する線材保持具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両用、電気通信用、流体輸送用等に使用される電線(光ファイバを含む)、管、ホース等の線材を集束した線材束を所定位置で分岐して分岐部を形成する場合、特に、車両内に配索されるワイヤーハーネスにおいては、大量の電線を集束した電線束を所定位置で分岐して必要とする本数の電線を各種の電気、電子部品等へ配索するために多数の分岐部が形成される。この場合、その分岐部において、電線束がたるんだり、ほどけたり、外力により位置ずれ又は変形を生じたりしないように分岐部の電線束をテープ巻き等により結束して分岐部が所定の形状を保持するようにしている。
【0003】
ところが、前記テープ巻き等による結束方法では、分岐部における電線束等の線材束の結束作業が煩雑になり、工数および時間を要して能率的でないため、線材束を所定位置で分岐して形成された分岐部をテープレスで結束して保持する、例えば、図7(a)(b)に示す線材保持具が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
この線材保持具1は、図7(a)に示すように、ワイヤーハーネスを構成する電線束等の線材束を分岐して形成された分岐部2の中心から、例えば、三方へT字型に延在する線材束2a〜2cに対応してT字型に配置されたセパレータ3a〜3cを有する線材保持具本体3と、その中央に位置するセパレータ3cの一端にヒンジ4を介して設けられた板状の連結固定部5と、その連結固定部5において、線材保持具本体3の両側に位置するセパレータ3a、3bに対向する位置に設けられた係止穴6a、6bと、線材保持具本体3のセパレータ3a、3bの先端に設けられ、前記連結固定部5の係止穴6a、6bに挿入係止される係止爪7a、7bとを備えて構成される。なお、8は線材保持具本体3のセパレータ3cに分岐部2の中心に対応するように設けられ、線材保持具1を車体、電気機器等のパネル、壁等の支持部材に取り付けるための先端が矢尻状に突出するクリップである。
【0005】
この線材保持具1を前記分岐部2に装着する場合には、線材保持具本体3の上に、その中心と分岐部2の中心がほぼ一致するように、また、線材保持具本体3の両側に位置するセパレータ3a、3b間に分岐部2の中央に位置する線材束2cが挟まるようにして配置する。次いで、連結固定部5を図7(a)に示すようにヒンジ4を支点にして矢印A方向に回動して閉じ、図7(b)に示すように、セパレータ3a、3bの先端に設けられた係止爪7a、7bを連結固定部5の係止穴6a、6bに挿入係止することにより、線材保持具1を分岐部2に装着する。このようにして、分岐部2の線材束2a、2bを線材保持具本体3と連結固定部5との間に挟着することにより、分岐部2を結束して保持するようになっている。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−94148号公報(第3頁段落0012乃至段落0014、図1(a)(b))
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の線材保持具1は、連結固定部5を閉じたとき、線材保持具本体3と連結固定部5間に形成される穴径が変わらず一定なのに対して、線材束2a、2bの方は線材間に若干の隙間が形成されているため、外力の作用により縮径し易く、また、場所によって線材間の隙間の大きさが同じでないため、縮径量にばらつきが生じ易い。このため、線材束2a、2bを線材保持具本体3と連結固定部5との間に挟着しても、締付力が弱く、また不均等になって締め付け不足になり、分岐部2を適切に結束して保持することが困難になる。従って、小さな外力の付加によって線材保持具1と分岐部2間に相対滑りが生じて分岐部2の形状が崩れ、分岐部2を正しい分岐位置に保持して固定することができなくなるという問題がある。
【0008】
また、分岐部2を構成する線材束2a、2bの外径サイズが小さ過ぎると、連結固定部5を閉じたとき、これら線材束2a、2bと線材保持具本体3及び連結固定部5との間に隙間が生じる。反対に、これら線材束2a、2bが大き過ぎると、連結固定部5を閉じて、線材保持具本体3と連結固定部5との間にこれら線材束2a、2bを挟着することが難しくなる。このように、線材束2a、2bの外径サイズが合わない場合には、線材束2a、2bに対する適切な締付力が得られず、分岐部2を結束して保持することができなくなるので、汎用性に乏しく、線材束2a、2bの外径に適応した線材保持具1を予め幾種類も多く製作しておく必要が生じ、コストが増大するほか、数ある線材保持具1の中から適応する線材保持具1を選択して装着する必要があるので、分岐部2に対する装着作業の工数が増大するという問題もある。
【0009】
更に、分岐部2の中央に位置する線材束2cが両側の線材束2a、2bに対して傾斜した略Y型の分岐部の場合には、中央の傾斜した線材束の支持が不安定になって分岐部が型崩れを起こし易いという問題もある。
【0010】
本発明は上記課題を解決し、線材束を所定位置で分岐して形成された各種の分岐部を適切に結束して保持し、また、外径サイズの種々異なる線材束の分岐部の結束に適応することが可能で汎用性に優れ、コスト及び作業工数を低減することができる線材保持具を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載された線材保持具は、線材束を所定位置で分岐して形成された分岐部を保持する線材保持具において、前記分岐部を構成する線材束の外周に巻回して前記線材束を結束する可撓性バンドを有する複数の結束バンド部と、該複数の結束バンド部を連結して前記複数の結束バンド部による分岐部の結束部位を相対的に定める連結体とを備えるものである。
【0012】
このような構成によると、線材保持具の結束バンド部の可撓性バンドを分岐部の必要な線材束の外周に巻回して前記線材束を締め付けるので、可撓性バンドの締め付け量を調節することにより、結束バンド部の可撓性バンドを巻回することにより形成されるループ径を任意の大きさに大小変更することが可能である。
【0013】
これにより、分岐部を構成する複数の線材束の線材間に隙間があるため外力の作用で縮径し易いものでも、また、線材間の隙間が均等でなく場所によって縮径量にばらつきが生じ易いものでも、これら線材束を締め付け不足を起こすことなく適切な締付力で均等に締め付けることが可能となり、分岐部を適切に結束して保持することができる。従って、小さな外力の付加によって線材保持具と分岐部間に相対滑りが生じたり、分岐部の形状が崩れたりするようなことがなく、分岐部を正しい分岐位置に保持して固定することができる。また、分岐部を構成する線材束の外径サイズが異なってもサイズ変更に十分対応することが可能である。
【0014】
また、結束バンド部が連結体で連結されるので、分岐部の形状が例えばT字型から前記略Y型の分岐部等のように変わり、結束バンド部による分岐部の複数の結束部位の前後、左右、又は上下方向の相対位置を変える必要が生じた場合には、線材保持具の一部品である連結体の形状を変えるか交換することにより、その設計変更に適応させることができる。従って、汎用性に優れ、分岐部を構成する線材束の外径サイズや分岐部の形状に適応した線材保持具を予め数多く製作しておく必要がなくなり、コストを低減することができる。
【0015】
本発明の請求項2に記載された線材保持具は、請求項1記載の線材保持具において、前記連結体が可撓性部材で構成されるものである。このような構成によると、分岐部の形状が例えばT字型から略Y型の分岐部等のように変わり、結束バンド部による分岐部の複数の結束部位の前後、左右、又は上下方向の相対位置を変える必要が生じた場合には、結束バンド部同士を連結した状態で、分岐部の相対位置の種々異なる所要の線材束における結束部位の外周に可撓性バンドを巻回して手際よく迅速に、且つ、均等な締付力で適切に締め付けることが可能になる。また、数ある線材保持具の中から適応する線材保持具を選択して装着する必要もなくなるので、分岐部に対する装着作業の工数を低減することもできる。更に、該連結体を線材束に沿わせることが可能になるので、結束バンド部の支持が安定して、結束バンド部による線材束の結束が強固になると共に、分岐部の線材束がばらけるのを確実に防止し、分岐部を保護することができるので好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に本発明の一実施形態の線材保持具を図1により詳細に説明する。この線材保持具11は、図示のものでは2個の結束バンド部12、13と、これら結束バンド部12、13を横方向に連結する連結体15とを備えた2連形の線材保持具である。
【0017】
結束バンド部12、13はそれぞれゴム、プラスチック材等からなる可撓性バンド17の基部に、該バンド17の自由端側が戻り方向の移動が拘束されるように挿入係止されるバンド挿入係止ブロック19を設け、図2に示すようなワイヤーハーネスを構成する電線を集束した電線束等の線材束を所定位置で、例えば、T字型に分岐して形成された分岐部21の外周に結束バンド部12、13の可撓性バンド17が巻回可能なように構成されている。更に詳細に説明すると、前記分岐部21の中心から三方にT字型に延在する線材束21a〜21cのうち、所要の線材束、即ち、分岐部21の中央に位置する線材束21cの外周に結束バンド部13の可撓性バンド17が、また、その両側に位置する線材束21a、21bから選択された一方の線材束21aにおける結束部位の外周に結束バンド部12の可撓性バンド17が巻回可能なように構成されている。
【0018】
結束バンド部12、13における可撓性バンド17の自由端側の外面には、長手方向に沿って多数の連続する係止凹部(係止溝部)、係止凸部、又は、細長い貫通穴(窓)等で構成される係止部23が設けられている。
【0019】
バンド挿入係止ブロック19は、図示のものは矩形状筒体で形成され、該筒体のバンド挿入穴20に一側から前記可撓性バンド17の自由端側が挿入され、該ブロック19の反対側から引張り出せるようになっている。なお、該ブロック19は、図示省略するが、ブロック本体の一方面に、可撓性バンド17を挿入案内するコ字状で開口縁をバンド外れ防止のために少し内側に折り曲げた案内溝を設けて形成され、その案内溝に可撓性バンド17の自由端側が挿入されて該ブロック19の反対側から引張り出せるようにしたもの等でもよい。
【0020】
また、バンド挿入係止ブロック19におけるバンド挿入穴20の入口側内壁には可撓性バンド17に設けられた係止部23に係合する係止体25が突設され、前記可撓性バンド17の自由端側がバンド挿入係止ブロック19のバンド挿入穴20に挿入されたとき、その係止体25が係止部23に係合し、可撓性バンド17の戻り方向の移動が拘束されるようになっている。
【0021】
連結体15は結束バンド部12、13を連結してこれら結束バンド部12、13による分岐部21の結束部位を相対的に定めるもので、所定形状の剛性部材で構成してもよいが、本実施形態においては、可撓性部材で構成される。可撓性部材はゴム、プラスチック材等の可撓性材料で出来た薄肉の帯条片からなり、図示するものでは、両結束バンド部12、13の可撓性バンド17の基部側に、これら結束バンド部12、13が相互に移動可能なように可撓性バンド17と一体に横方向に連結されている。なお、可撓性部材は、可撓性を有しない複数の剛性帯条片相互をヒンジ等の屈曲自在な可撓性治具で直列に接続して全体として可撓性を有するように形成したもの等でもよい。連結体15は可撓性バンド17と別体に形成し、ねじ、ボルト等の固定部材(図示せず)で他の異なる寸法又は形状の連結体と容易に交換できるように連結するようにしてもよい。また、連結体15は両結束バンド部12、13のバンド挿入係止ブロック19側に横方向に連結するようにしてもよい。更に、連結体15はその構成材料自体に伸縮性を持たせるか、又は、波形形状(蛇腹形状)にして伸縮性を持たせた可撓性部材で構成するようにしてもよい。このように連結体15に伸縮性を更に持たせると、結束バンド部12、13の相対移動の自由度が高まり、線材保持具11の装着性が向上するので好ましい。連結体15の長さは線材保持具11を分岐部21に装着して結束する分岐部の形状、大きさ等に応じて適宜設定される。本実施形態の線材保持具11は以上のように構成されている。
【0022】
次に、上記構成の線材保持具11の使用例を図2乃至図5に基づいて説明する。図2(a)は図1の線材保持具11をT字型の分岐部21に装着し、この分岐部21を結束してこれを結束、保持した状態を示正面図、図2(b)は図2(a)のX−X線矢視断面図である。なお、この線材保持具11は可撓性部材からなる連結体15が使われている。
【0023】
T字型の分岐部21は、前記したように、ワイヤーハーネスを構成する電線束等の線材束を所定位置で分岐する際、分岐部21の中心から三方に線材束21a〜21cがT字型に延在するように分岐して形成されたものである。このようなT字型の分岐部21に線材保持具11を装着する場合の一例として、先ず、線材保持具11の結束バンド部12が分岐部21の中央に位置する線材束21cの左側に位置する線材束21aの近傍に、また、結束バンド部13が中央に位置する線材束21cの近傍に位置するように、線材保持具11を位置決め配置する。
【0024】
次に、結束バンド部12の可撓性バンド17を線材束21aの結束部位の外周に巻回して、可撓性バンド17の自由端側をバンド挿入係止ブロック19のバンド挿入穴20に挿入する。そして、該ブロック19から引張り出して線材束21aを締め付けると共に、バンド挿入係止ブロック19側の係止体25を可撓性バンド17側の係止部23に係合することにより係止し、可撓性バンド17の戻り方向の移動を拘束する。
【0025】
次に、両結束バンド部12、13を連結する連結体15の中間部位を、分岐部21の線材束21aに対し直交するように配置された分岐部21の中央に位置する線材束21cの方に90度折り曲げる。次いで、結束バンド部13の可撓性バンド17を線材束21cの結束部位の外周に巻回して、可撓性バンド17の自由端側をバンド挿入係止ブロック19のバンド挿入穴20に挿入する。そして、該ブロック19から引張り出して線材束21aを締め付けると共に、バンド挿入係止ブロック19側の係止体25を可撓性バンド17側の係止部23に係合することにより係止し、可撓性バンド17の戻り方向の移動を拘束する。このようにして、図2に示すように、線材保持具11をT字型の分岐部21に装着してこれを結束し所定形状に保持する。
【0026】
図3は前記線材保持具11をT字型の分岐部21に装着してこれを結束して保持した状態の変形例を示す正面図である。この場合には、前記分岐部21の中心から三方にT字型に延在する線材束21a〜21cのうち、中央に位置する線材束21cを除き、その両側に位置する線材束21a、21bの外周に、線材保持具11の結束バンド部13、12の可撓性バンド17を巻回して締め付けるようにしたものである。
【0027】
更に詳細に説明すると、先ず、線材保持具11の連結体15が分岐部21の中心近傍に位置し、結束バンド部12が線材束21b側に、また、結束バンド部13が線材束21a側に位置するように、線材保持具11を位置決め配置する。
【0028】
次に、結束バンド部12、13のうち、例えば、結束バンド部13の可撓性バンド17を線材束21aの結束部位の外周に巻回して、可撓性バンド17の自由端側をバンド挿入係止ブロック19に挿入係止することにより線材束21aを締め付ける。次いで、結束バンド部12の可撓性バンド17を線材束21bの結束部位の外周に巻回して、可撓性バンド17の自由端側をバンド挿入係止ブロック19に挿入係止することにより線材束21bを締め付ける。このようにして、図3に示すように、線材保持具11をT字型の分岐部21に装着してこれを結束し所定形状に保持する。
【0029】
図4は前記T字型の分岐部21の中央に位置する線材束21cが両側の線材束21a、21bに対して傾斜(図示のものは線材束21bに対して60度傾斜)した略Y型の分岐部21に前記線材保持具11を装着して、分岐部21を結束して保持した状態を示す正面図である。
【0030】
このような略Y型の分岐部21に線材保持具11を装着する場合には、先ず、線材保持具11の結束バンド部12が分岐部21の線材束21aの近傍に、また、結束バンド部13が線材束21bと線材束21cの分岐点から少し線材束21bの方向(線材束21aから遠ざかる方向)に移動したところに位置するように、線材保持具11を位置決め配置する。
【0031】
次に、結束バンド部12の可撓性バンド17を線材束21aの結束部位の外周に巻回して、可撓性バンド17の自由端側をバンド挿入係止ブロック19に挿入係止することにより線材束21aを締め付ける。
【0032】
次に、連結体15の中間部位を、分岐部21の線材束21a、21bに対して傾斜して配置された分岐部21の中央に位置する線材束21cの方に線材束21cの傾斜角度に合わせて折り曲げる。次いで、結束バンド部13の可撓性バンド17を線材束21cの結束部位の外周に巻回して、可撓性バンド17の自由端側をバンド挿入係止ブロック19に挿入係止することにより線材束21cを締め付ける。このようにして、図4に示すように、線材保持具11をT字型の分岐部21に装着してこれを結束し所定形状に保持する。
【0033】
図5は前記略Y型の分岐部21を分岐部中心で左右対称に組み合わせた対称略Y型の分岐部21に前記線材保持具11を装着して、該分岐部21を結束して保持した状態を示す正面図である。このような分岐部21に線材保持具11を装着する場合には、前記線材保持具11を2個使用し、一方の線材保持具11を該分岐部11の左側分岐部分に装着し、他方の線材保持具11を右側分岐部分に装着することにより行う。各分岐部分に線材保持具11を装着する方法は、前記図4に示す分岐部21に線材保持具11を装着する方法と実質同一であり、それと同様な方法で行えばよいので説明を省略する。
【0034】
図6は本発明に係る線材保持具11の他の実施形態を示す一部省略斜視図である。この線材保持具11は、3個の結束バンド部12、13、14と、これら結束バンド部12、13、14を横方向に連結する2個の連結体15とを備えた3連形の線材保持具であり、その他の構成は、図1、図2(a)(b)に示す2連形の線材保持具11と同じなので説明を省略する。このような線材保持具11は分岐部を構成する線材束の分岐数が増えた場合とか、分岐されたすべての線材束を結束して結束を強化する場合等に有効である。
【0035】
なお、線材保持具11は必要に応じて4連形以上の多連形の構成にすることが可能である。また、分岐部21の形状は、T字型、略Y型、対称略Y型の他に、Y型その他の形状のものを結束して保持する場合にも適用可能である。
【0036】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の請求項1に記載された線材保持具によると、線材束を所定位置で分岐して形成された分岐部を保持する線材保持具において、前記分岐部を構成する線材束の外周に巻回して前記線材束を結束する可撓性バンドを有する複数の結束バンド部と、該複数の結束バンド部を連結して前記複数の結束バンド部による分岐部の結束部位を相対的に定める連結体とを備え、線材保持具の結束バンド部の可撓性バンドを分岐部の必要な線材束の外周に巻回し、前記線材束を締め付けるようにしたものであるから、可撓性バンドの締め付け量を調節することにより、結束バンド部の可撓性バンドを巻回することにより形成されるループ径を任意の大きさに大小変更することが可能である。
【0037】
これにより、分岐部を構成する複数の線材束の線材間に隙間があるため外力の作用で縮径し易いものでも、また、線材間の隙間が均等でなく場所によって縮径量にばらつきが生じ易いものでも、これら線材束を締め付け不足を起こすことなく適切な締付力で均等に締め付けることが可能となり、分岐部を適切に結束して保持することができる。従って、小さな外力の付加によって線材保持具と分岐部間に相対滑りが生じたり、分岐部の形状が崩れたりするようなことがなく、分岐部を正しい分岐位置に保持して固定することができる。また、分岐部を構成する線材束の外径サイズが異なってもサイズ変更に十分対応することが可能である。
【0038】
また、結束バンド部が連結体で連結されるので、分岐部の形状が例えばT字型から前記略Y型の分岐部等のように変わり、結束バンド部による分岐部の複数の結束部位の前後、左右、又は上下方向の相対位置を変える必要が生じた場合には、線材保持具の一部品である連結体の形状を変えるか交換することにより、その設計変更に適応させることができる。従って、汎用性に優れ、分岐部を構成する線材束の外径サイズや分岐部の形状に適応した線材保持具を予め数多く製作しておく必要がなくなり、コストを低減することができる。
【0039】
本発明の請求項2に記載された線材保持具は、請求項1記載の線材保持具において、前記連結体が可撓性部材で構成されるものであるから、分岐部の形状が例えばT字型から略Y型の分岐部等のように変わり、結束バンド部による分岐部の複数の結束部位の前後、左右、又は上下方向の相対位置を変える必要が生じた場合には、結束バンド部同士を連結した状態で、分岐部の相対位置の種々異なる所要の線材束における結束部位の外周に可撓性バンドを巻回して手際よく迅速に、且つ、均等な締付力で適切に締め付けることが可能になる。また、数ある線材保持具の中から適応する線材保持具を選択して装着する必要もなくなるので、分岐部に対する装着作業の工数を低減することもできる。更に、該連結体を線材束に沿わせることが可能になるので、結束バンド部の支持が安定して、結束バンド部による線材束の結束が強固になると共に、分岐部の線材束がばらけるのを確実に防止し、分岐部を保護することができるので好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る線材保持具の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】(a)は図1の線材保持具をT字型の分岐部に装着して、これを結束、保持した状態を示す正面図、(b)は(a)のX−X線矢視断面図である。
【図3】前記線材保持具をT字型の分岐部に装着して、これを結束して保持した状態の変形例を示す正面図である。
【図4】前記線材保持具を略Y型の分岐部に装着して、これを結束して保持した状態を示す正面図である。
【図5】前記線材保持具を対称略Y型の分岐部に装着して、これを結束して保持した状態を示す正面図である。
【図6】本発明に係る線材保持具の他の実施形態を示す一部省略斜視図である。
【図7】従来の線材保持具を示すもので、(a)は線材束の分岐部を結束する前の状態の斜視図、(b)は分岐部を結束した状態の斜視図である。
【符号の説明】
11 線材保持具
12 結束バンド部
13 結束バンド部
14 結束バンド部
15 連結体
17 可撓性バンド
19 バンド挿入係止ブロック
20 バンド挿入穴
21 分岐部
21a 線材束
21b 線材束
21c 線材束
23 係止部
25 係止体
Claims (2)
- 線材束を所定位置で分岐して形成された分岐部を保持する線材保持具において、前記分岐部を構成する線材束の外周に巻回して前記線材束を結束する可撓性バンドを有する複数の結束バンド部と、該複数の結束バンド部を連結して前記複数の結束バンド部による分岐部の結束部位を相対的に定める連結体とを備えることを特徴とする線材保持具。
- 前記連結体が可撓性部材で構成されることを特徴とする請求項1記載の線材保持具。
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Cited By (2)
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JP2014117027A (ja) * | 2012-12-07 | 2014-06-26 | Nec Fielding Ltd | ケーブル識別器具及びケーブル識別方法 |
CN104279371A (zh) * | 2013-07-11 | 2015-01-14 | 北汽福田汽车股份有限公司 | 分叉管线固定装置 |
-
2002
- 2002-11-15 JP JP2002332302A patent/JP2004166456A/ja active Pending
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