JP2004165368A - 超電導装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱アンカー部6では、絶縁体6cの一方の端面は、凹形形状の溝部6eを有し、その絶縁体6cの端面と平行な溝部6eの底面に高電位にある金属部材6aが、金属膜6dを介して接合されている。また、底面の金属膜6dは、金属部材6aの底面よりも広い範囲に形成されている。これによって、金属部材6aと金属部材6aの底面より広く形成された金属膜6dが等電位となるため、金属部材6aと絶縁体6cの接触面の境界部6fにおいて、電界集中が緩和され、放電を抑制することができる。また、フラッシュオーバーによる絶縁破壊を抑制することができる。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、臨界温度以下に保持されるコイルや素子などの超電導部材と室温にある電源とを電気的に接続する電流リードにおける熱伝導による熱やジュール熱を、電気的絶縁を保持しつつ冷凍機や冷媒へと伝える熱アンカーを有する超電導装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、臨界温度以下に冷却された超電導コイルと室温にある電源とを電気的に接続し、かつ超電導コイルを永久電流モードに励磁し、あるいは永久電流モードを消磁するために用いられる電流リードの冷却方式には、伝導冷却式とガス冷却式とがある。ここでは、伝導冷却式について、次に説明する。
【0003】
図9に、従来の伝導冷却式電流リードを用いた超電導装置の代表的な構成を示す。また、図10に、熱アンカー部110の断面図を示す。
【0004】
この従来の超電導装置100は、臨界温度以下の状態で電気抵抗がゼロとなる超電導線を巻回して構成される超電導コイル101を収容している内槽容器102、これこの内槽容器102を収容し、かつ断熱状態に保持するために内部が真空状態にされる真空容器103から構成されている。
【0005】
超電導コイル101は、冷凍機104の2段ステージ106により冷却される。
電流供給を担う電流リード107は、室温側端子電流リード107cから絶縁導入部108を介して真空部109に導入される。また、真空容器103内の電流リード107は、高温側電流リード107bと低温側電流リード107aに区分され、その間に熱アンカー部101が設置される。
【0006】
熱アンカー部101は、高温側電流リード107bによって熱伝導で伝えられた真空容器103の外部の熱、高温側電流リード107bや室温側端子電流リード107cで発生したジュール熱などの少なくとも一部を、冷凍機一段ステージ105に放熱させるために設けられている。また、冷凍機一段ステージ105は、一般には接地電位にあるため、熱アンカー部110は、熱的には良好な伝導体で、電気的には絶縁体である必要がある。
【0007】
熱アンカー部110の電流リード側と冷凍機一段ステージ105側は、銅、アルミニウムなどの金属で形成された金属部材110a、110bで構成されている。また、これらの金属部材110a、110bの間には、絶縁体110cが介在している。
【0008】
絶縁体110cには、電気的には絶縁体であり、かつ、熱的には良導体の性質を有する、窒化アルミニウム、サファイアなどが用いられている。また、絶縁体110cを金属部材110a、110bに対して大きい部材としているのは、高電位側の金属部材110aから接地側の金属部材110bまでの沿面距離をかせぐためである(例えば、非特許文献1参照。)。
【0009】
【非特許文献1】
酒井政弘、外3名、「低温・真空中におけるセラミック沿面フラッシュオーバー特性」、基礎・材料・共通部門 平成8年度総合研究会論文集、電気学会、p.229−238
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の超電導装置100の熱アンカー部110では、熱アンカー部110の電流リード側の金属部材110aと絶縁体110cの接触面の境界部111、つまり、電流リード107側の金属部材110aのR部が始まる部分は、高電位にある金属部材110a、絶縁体110c、真空部109の境界にある、いわゆるトリプルジャンクションにあたり、沿面方向に向かい高電界となりやすい。そのため、電流リード107に通電し電位が高くなるとこのトリプルジャンクションにあたる金属部材110aと絶縁体110cの接触面の境界部111から放電しやすくなるという問題があった。最悪の場合、高電位側の金属部材110aから接地側の金属部材110bまでの絶縁破壊を生じるという問題もあった。
【0011】
また、絶縁体110cをさらに大きくしても、トリプルジャンクションにおける電界を下げることにはならないので、放電の起点となることは避けられないという問題があった。
【0012】
そこで本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、熱アンカーにおける電界集中を緩和し、放電の発生を抑制することができる超電導装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の超電導装置は、臨界温度以下に冷却保持される超電導部材と、室温にある電源と前記超電導部材とを電気的に接続する電流リードと、前記電流リードに接続された第1の端面と前記第1の端面と対向する第2の端面とを有する第1の金属部材と、前記第2の端面の面積よりも面積が大きい金属膜を介して、前記第2の端面と面接触する第1の面を有する絶縁基板と、前記絶縁基板の第1の面と対向する第2の面と接触する第3の端面を有し、前記第3の端面と対向する第4の端面に冷却手段が接続された第2の金属部材とを具備することを特徴とする。
【0014】
この超電導装置によれば、第1の金属部材と、第1の金属部材の第2の端面の面積より広く形成された金属膜とが等電位となるため、第1の金属部材と絶縁基板との接触面の境界部において、電界集中が緩和され、放電を抑制することができる。また、フラッシュオーバーによる絶縁破壊を抑制することができる。
【0015】
また、金属膜を溶解させて、第1の金属部材と絶縁基板とを接合するため、第1の金属部材と絶縁基板との接続面の面粗さによって形成される空隙部を金属膜で充填することができる。これによって、第1の金属部材と絶縁基板との接続面の空隙部で生じる放電を抑制することができる。
【0016】
また、絶縁基板の第1の面が溝部を有し、溝部の底面に金属膜を形成することもできる。さらに、溝部の底面以外に、側面にも金属膜を形成することもできる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態の超電導装置1の概要を図1および図2を参照して説明する。図1に、第1の実施の形態の超電導装置1の構成の概要を示す。また、図2に、熱アンカー部6の断面図を示す。
【0019】
第1の実施の形態の超電導装置1は、内槽容器2、真空容器3、超電導コイル4、電流リード5、熱アンカー部6、冷凍機7、冷凍機一段ステージ8、冷凍機二段ステージ9で主に構成されている。
【0020】
内槽容器2は、例えば、液体ヘリウムや液体窒素などの冷媒を有し、臨界温度以下の状態を保持した容器であり、内槽容器2内部には、超電導部材として機能する、臨界温度以下の状態で電気抵抗がゼロとなる超電導線を巻回して構成される超電導コイル4が収納されている。ここで、超電導コイル4は、冷凍機7の冷凍機二段ステージ9と接触し、2段ステージ9によって冷却される。
【0021】
真空容器3は、内槽容器2を収容し、真空容器3の外部と内槽容器2との熱の授受を抑制するため、その内部を真空状態にしている。これによって、内槽容器2と真空容器3との間を断熱状態に保持することができる。
【0022】
電流リード5は、超電導コイル4を励磁または消磁する電源10と超電導コイル4とを電気的に接続するものである。電流リード5は、室温側端子電流リード5cから絶縁導入部11を介して真空部12に導入される。また、電流リード5は、室温側端子電流リード5c、高温側電流リード5b、低温側電流リード5aに区分される。
【0023】
熱アンカー部6は、高温側電流リード5bと低温側電流リード5aとの間に配置され、高温側電流リード5bや室温側端子電流リード5cにおいての通電時に発生したジュール熱、高温側電流リード5bによって伝わる熱の少なくとも一部を、冷凍機一段ステージ8に放熱させるために設けられている。また、冷凍機一段ステージ105は、一般には接地電位にあるため、熱アンカー部6は、熱的には良好な伝導体で、電気的には絶縁体である必要がある。
【0024】
次に、図2を参照して、熱アンカー部6について、さらに説明する。
熱アンカー部6の金属部材6a、6bは、導電性で、熱伝導率の高い金属であり、例えば、銅、アルミニウムなどが用いられる。
【0025】
金属部材6a、6b間に設けられた絶縁体6cは、電気的には絶縁体で、熱的には良導体のものであればよく、例えば、窒化アルミニウム、サファイアなどが用いられる。
【0026】
絶縁体6cの一方の端面(電流リード5側)は、凹形形状の溝部6eを有し、その絶縁体6cの端面と平行な溝部6eの底面に金属部材6aが、金属膜6dを介して接合されている。ここで、溝部6eの底面は、金属部材6aと、絶縁体6cの溝部6eの底面に垂直な側面との間で放電しない程度に、金属部材6aの底面よりも広く構成されている。なお、絶縁体6cの溝部6eの側面は、底面に対して垂直であることに限らず、底面からテーパ状に広がる形状でもよい。さらに、絶縁体6cに形成される溝部は、4つの側面と底面からなる形状でも、2つの側面と底面からなる樋状の形状でもよい。
【0027】
また、溝部6eの底面の金属膜6dは、金属部材6aの底面よりも広い範囲に形成されている。ここで、金属膜6dは、例えば、ペースト状の銀材料を溝部6eの底面に塗布し、その後焼き付けを行うことで生成される。
また、図2に示す金属膜6dと接する側の金属部材6aのR部は、製作可能な限り小さくしてもよい。
【0028】
絶縁体6cの他方の端面には、金属部材6bが接続されている。また、金属部材6a、絶縁体6cおよび金属部材6bの積層部は、電気的な絶縁体からなる部材(図示していない)によって、積層方向に押圧をかけて固定されている。
【0029】
また、図3に示すように、絶縁体6cの一方の端面(電流リード5側)に、金属膜6dを金属部材6aの底面よりも広い範囲に形成し、絶縁体6cの一方の端面を平面で構成することもできる。
【0030】
また、熱アンカー部6は、電流リード5と冷凍機一段ステージ8との間に設置され、熱アンカー部6の金属部材6aが電流リード5と、熱アンカー部6の金属部材6bが冷凍機一段ステージ8と接続されている。ここで、金属部材6aが高電位側、金属部材6bが接地電位側となる。
【0031】
電源10から電圧が印加され、電流リード5に通電されると、電流リード5には、ジュール熱が発生する。また、室温によって与えられた熱が、電流リード5の室温側端子電流リード5cから低温側である低温側電流リード5aに向かって熱伝導される。
【0032】
これらの高温側電流リード5bおよび室温側端子電流リード5cで発生したジュール熱の一部と高温側電流リード5bによって熱伝導された熱の少なくとも一部は、高温側電流リード5bと低温側電流リード5aとの間に、熱アンカー部6を接続することによって、熱アンカー部6の金属部材6aに熱伝導される。金属部材6aに熱伝導された熱は、金属膜6d、絶縁体6cを介して金属部材6bに伝えられ、さらに、金属部材6bから冷凍機一段ステージ8に伝えられる。また、金属部材6bは、金属部材6bよりも低温の冷凍機一段ステージ8により冷却されているので、効率よく金属部材6bから冷凍機一段ステージ8に熱を移動させることができる。
【0033】
これによって、高温側電流リード5bおよび室温側端子電流リード5cで発生したジュール熱と高温側電流リード5bによって熱伝導された熱の少なくとも一部が、内槽容器2内の冷媒に伝わるのを抑制できるため、冷媒の温度が安定し、超電導コイルの冷却を安定して行うことができる。
【0034】
また、電流リード5と接続されている熱アンカー部6の金属部材6aは、絶縁体6cを介して金属部材6bに接続されているので、電流リード5を流れる電流が金属部材6b側に流れることは通常はない。また、一般的には、高電位にある金属部材、絶縁体、真空部の境界であるトリプルジャンクションでは、沿面方向に向かい高電界となり、金属部材と絶縁体の接触面の境界部から放電をおこすことがある。
【0035】
しかしながら、熱アンカー部6では、絶縁体6cの一方の端面は、凹形形状の溝部6eを有し、その絶縁体6cの端面と平行な溝部6eの底面に高電位にある金属部材6aが、金属膜6dを介して接合されている。また、底面の金属膜6dは、金属部材6aの底面よりも広い範囲に形成されている。これによって、金属部材6aと、金属部材6aの底面より広く形成された金属膜6dとが等電位となるため、金属部材6aと絶縁体6cとの接触面の境界部6fにおいて、電界集中が緩和され、放電を抑制することができる。また、フラッシュオーバーによる絶縁破壊を抑制することができる。
【0036】
また、金属膜6dを溶解させて、金属部材6aと絶縁体6cとを接合するため、金属部材6aと絶縁体6cとの接続面の面粗さによって形成される空隙部を金属膜6dで充填することができる。これによって、金属部材6aと絶縁体6cとの接続面の空隙部で生じる放電を抑制することができる。
【0037】
ここで、熱アンカー部6の境界部6fにおける電界と、図10に示した従来の熱アンカー部110の金属部材110aと絶縁体110cの接触面の境界部111における電界とを比較解析した一例では、本発明の熱アンカー部6の境界部6fにおける電界は、従来の熱アンカー部110の境界部111における電界の1/3程度であることがわかり、電界低下が得られていることがわかった。
【0038】
さらに、高電位の金属部材6aを金属膜6dを介して接合する絶縁体6cの一方の端面を凹形形状の溝部6eにすることで、金属部材6aと金属部材6b間の絶縁体6cの表面に沿った最短距離を示す沿面距離を増加させることができる。
これによって、電気的絶縁の強度を高めることができる。
【0039】
また、図4に示すように、絶縁体6cの凹形形状の溝部6eの表面に渡って、金属膜6gを形成することもできる。
【0040】
この構成において、金属部材6aと、凹形形状の溝部6eの表面に形成された金属膜6gとが等電位となるため、凹形形状の溝部6eの底面に垂直な側面と、それに平行する金属部材6aの側面との空間における放電を抑制することができる。これによって、電界集中がさらに緩和され、放電を抑制することができる。
また、フラッシュオーバーによる絶縁破壊を抑制することができる。
【0041】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態の超電導装置は、第1の実施の形態の超電導装置1と熱アンカー部の構成のみが異なるので、熱アンカー部について説明し、第1の実施の形態の超電導装置1の構成と同一部分の説明は省略する。
【0042】
第2の実施の形態の超電導装置の熱アンカー部20を図5を参照して説明する。
熱アンカー部20は、金属部材21、22、絶縁体23、金属膜24で主に構成されている。なお、これらの構成部の材料や特性は、第1の実施の形態の超電導装置の熱アンカー部6で説明したものと同一なので、重複する説明を省略する。
【0043】
絶縁体23の一方の端面(電流リード5側)は、凹形形状の溝部25を有し、その絶縁体23の端面と平行な溝部25の底面に凸形形状をなす金属部材21が、金属膜24を介して接合されている。ここで、溝部25の表面には、溝部25の表面に渡って金属膜24が形成されている。ここで、金属膜24は、例えば、ペースト状の銀材料を溝部25の表面に塗布し、その後焼き付けを行うことで生成される。さらに、絶縁体23に形成される溝部は、4つの側面と底面からなる形状でも、2つの側面と底面からなる樋状の形状でもよい。
【0044】
金属部材21は、凸形形状を有し、断面積の小さい小断面部21aと断面積の大きい大断面部21bで構成されている。金属部材21の大断面部21bは、絶縁体23の溝部25から絶縁体23の表面に沿って張り出している。また、金属部材21の大断面部21bの絶縁体23側の面と絶縁体23の表面との距離は、放電をおこさない程度の距離に保持されている。絶縁体23の他方の端面には、金属部材22が接続している。ここで、金属部材21の形状は、この形状に限られるものではなく、さらに多段に構成されてもよい。
【0045】
第2の実施の形態の超電導装置の熱アンカー部20では、金属部材21の大断面部21bは、絶縁体23の表面に沿って、金属膜24の端部を超えるように張り出すことで、金属膜24の端部に生じる電界集中を緩和することができる。これによって、金属部材21と絶縁体23との間の放電を抑制することができる。
また、フラッシュオーバーによる絶縁破壊を抑制することができる。
【0046】
また、金属膜24を溶解させて、金属部材21と絶縁体23とを接合させるため、金属部材21と絶縁体23との接続面の面粗さによって形成される空隙部を金属膜24で充填することができる。これによって、金属部材21と絶縁体23との接続面の空隙部で生じる放電を抑制することができる。
【0047】
また、図6に示すように、絶縁体23を介して金属部材21と対向する金属部材26を、金属部材21の大断面部21bよりも大きな断面になるように構成してもよい。また、金属部材26の絶縁体23と接触する面への金属部材21の大断面部21bの射影が、金属部材26の絶縁体23と接触する面の内部にあるように、金属部材21は配設されている。この構成によって、金属部材26と図1に示した冷凍機一段ステージ8との接地電位面が広くなり、金属部材21と絶縁体23との間の電界集中を緩和することができる。
【0048】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態の超電導装置は、第1の実施の形態の超電導装置1と熱アンカー部の構成のみが異なるので、熱アンカー部について説明し、第1の実施の形態の超電導装置1の構成と同一部分の説明は省略する。
【0049】
第3の実施の形態の超電導装置の熱アンカー部30を図7を参照して説明する。
図7に示すように、第3の実施の形態の超電導装置の熱アンカー部30は、第2の実施の形態の熱アンカー部20の電流リード5側の絶縁体23表面の構成と金属部材21の構成を、冷凍機一段ステージ8側の絶縁体の表面の構成と金属部材の構成に適用したものである。
【0050】
熱アンカー部30は、金属部材31、32、絶縁体33、金属膜34で主に構成されている。なお、これらの構成部の材料や特性は、第1の実施の形態の超電導装置の熱アンカー部6で説明したものと同一なので、重複する説明を省略する。
【0051】
絶縁体33の双方の端面は、凹形形状の溝部35を有し、その絶縁体33の端面と平行な溝部35の底面に凸形形状をなす金属部材31、32が、金属膜34を介して接合されている。ここで、溝部35の表面には、溝部35の表面に渡って金属膜34が形成されている。ここで、金属膜24は、例えば、ペースト状の銀材料を溝部35の表面に塗布し、その後焼き付けを行うことで生成される。さらに、絶縁体33に形成される溝部は、4つの側面と底面からなる形状でも、2つの側面と底面からなる樋状の形状でもよい。
【0052】
金属部材31、32は、凸形形状を有し、断面積の小さい小断面部31a、32aと断面積の大きい大断面部31b、32bとで構成されている。金属部材31、32の大断面部31b、32bは、絶縁体33の表面に沿って張り出している。また、金属部材31、32の大断面部31b、32bの絶縁体33側の面と絶縁体33の表面との距離は、放電をおこさない程度の距離に保持されている。
【0053】
第3の実施の形態の超電導装置の熱アンカー部30は、特に、交流電圧が印加されるとき対応させ、電流リード5側と冷凍機一段ステージ8側の構造を同一にし、金属部材31、32の大断面部31b、32bは、絶縁体33の溝部35から絶縁体33の表面に沿って、金属膜34の端部を超えるように張り出すことで、金属膜34の端部に生じる電界を緩和することができる。これによって、金属部材31、32と絶縁体33との間の放電を抑制することができる。また、フラッシュオーバーによる絶縁破壊を抑制することができる。
【0054】
また、金属膜34を溶解させて、金属部材31、32と絶縁体33とを接合するため、金属部材31、32と絶縁体33との接続面の面粗さによって形成される空隙部を金属膜34で充填することができる。これによって、金属部材31、32と絶縁体33との接続面の空隙部で生じる放電を抑制することができる。
【0055】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態の超電導装置は、第1の実施の形態の超電導装置1と熱アンカー部の構成のみが異なるので、熱アンカー部について説明し、第1の実施の形態の超電導装置1の構成と同一部分の説明は省略する。
【0056】
第4の実施の形態の超電導装置の熱アンカー部40を図8を参照して説明する。
熱アンカー部40は、金属部材41、42、絶縁体43、金属膜44、熱伝導体45で主に構成されている。なお、金属部材41、42、絶縁体43、金属膜44の材料や特性は、第1の実施の形態の超電導装置の熱アンカー部6で説明したものと同一なので、重複する説明を省略する。
【0057】
熱伝導体45には、熱伝導を促すことができる流動性を有する流動材として機能する、例えば、グリースなどや、ヤング率の小さい部材として機能する、例えば、インジウムなどが用いられる。
【0058】
絶縁体43の一方の端面(電流リード5側)は、凹形形状の溝部46を有し、この溝部46の表面には、溝部46の表面に渡って金属膜44が形成されている。ここで、金属膜44は、例えば、ペースト状の銀材料を溝部46の表面に塗布し、その後焼き付けを行うことで生成される。また、絶縁体43の端面と平行で、金属膜44が形成された溝部46の底面に金属部材41が、熱伝導体45を介して接続されている。さらに、絶縁体43に形成される溝部は、4つの側面と底面からなる形状でも、2つの側面と底面からなる樋状の形状でもよい。
【0059】
熱伝導体45は薄膜をなし、金属部材41と金属膜44との間において、熱伝導体45は完全な層をなしておらず、所々で金属部材41と金属膜44とが接する部分もある。これにより、例えば、電気的な絶縁体であるグリースを熱伝導体45として用いた場合でも、金属部材41と金属膜44とは等電位となる。
【0060】
また、金属部材41の熱は、熱伝導体45、金属膜44、絶縁体43を介して金属部材42に伝えられる。
【0061】
第4の実施の形態の超電導装置の熱アンカー部40では、特に、金属部材41と絶縁体43とが金属膜44を介して接合されていない場合などに、熱伝導体45を介して金属部材41と金属膜44を接続させることで、金属部材41と金属膜44の等電位を保持することができる。これによって、金属部材41と絶縁体43との間の放電を抑制することができる。また、フラッシュオーバーによる絶縁破壊を抑制することができる。
【0062】
また、金属部材41と金属膜44との間にグリースやインジウムなどの熱伝導体45を介在させることで、金属部材41と金属膜44との接続面の面粗さによって形成される空隙部を熱伝導体45で充填することができる。これによって、金属部材41と金属膜44との間の熱伝導を効率よく行わせることができる。
【0063】
【発明の効果】
本発明の超電導装置によれば、熱アンカーにおける電界集中を緩和し、放電の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の超電導装置の概要を示す図。
【図2】本発明の第1の実施の形態の超電導装置の熱アンカー部の断面図。
【図3】本発明の第1の実施の形態の超電導装置の熱アンカー部の他の例を示す断面図。
【図4】本発明の第1の実施の形態の超電導装置の熱アンカー部の他の例を示す断面図。
【図5】本発明の第2の実施の形態の超電導装置の熱アンカー部の断面図。
【図6】本発明の第2の実施の形態の超電導装置の熱アンカー部の他の例を示す断面図。
【図7】本発明の第3の実施の形態の超電導装置の熱アンカー部の断面図。
【図8】本発明の第4の実施の形態の超電導装置の熱アンカー部の断面図。
【図9】従来の伝導冷却式電流リードを用いた超電導装置の代表的な構成を示す図。
【図10】従来の伝導冷却式電流リードを用いた超電導装置の熱アンカー部の断面図。
【符号の説明】
1…超電導装置
2…内槽容器
3…真空容器
4…超電導コイル
5…電流リード
5a…低温側電流リード
5b…高温側電流リード
5c…室温側端子電流リード
6…熱アンカー部
6a、6b…金属部材
6c…絶縁体
6d…金属膜
6e…溝部
6f…境界部
7…冷凍機
8…冷凍機一段ステージ
9…冷凍機二段ステージ
10…電源
11…絶縁導入部
12…真空部
Claims (7)
- 臨界温度以下に冷却保持される超電導部材と、
室温にある電源と前記超電導部材とを電気的に接続する電流リードと、
前記電流リードに接続された第1の端面と前記第1の端面と対向する第2の端面とを有する第1の金属部材と、
前記第2の端面の面積よりも面積が大きい金属膜を介して、前記第2の端面と面接触する第1の面を有する絶縁基板と、
前記絶縁基板の第1の面と対向する第2の面と接触する第3の端面を有し、前記第3の端面と対向する第4の端面に冷却手段が接続された第2の金属部材と
を具備することを特徴とする超電導装置。 - 前記絶縁基板の前記第1の面が、溝部を有し、前記溝部の底面に、前記金属膜が形成されていることを特徴とする請求項1記載の超電導装置。
- 前記絶縁基板の前記第1の面の前記溝部の側面が、さらに金属膜で形成されていることを特徴とする請求項2記載の超電導装置。
- 前記第1の金属部材が、凸部を有し、前記第2の端面が前記凸部に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の超電導装置。
- 前記絶縁基板の第2の面が、溝部を有し、前記溝部の底面および側面が金属膜で覆われ、前記第2の金属部材が、凸部を有し、前記第3の端面が前記凸部に配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の超電導装置。
- 前記第1の金属部材が、前記金属膜が形成された前記絶縁基板の第1の面に、流動性材料または前記第1の金属部材よりもヤング率の小さい部材を介して設置されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の超電導装置。
- 前記第1の端面の前記第3の端面への射影が、前記第3の端面内にあることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の超電導装置。
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