JP2004165195A - 照射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】被照射物におけるステージとの接触面で、光ビームが反射することを防ぐ。
【解決手段】可動ステージ3を、アニール対象物2の下層2aを形成する材料と同じ材料で形成する。また、可動ステージ3の形状を、底面3bが載置面3aに対してαの角度をなす形状とする。さらに、載置面3aと底面3bとの距離dを、以下に示す式1を満たす距離とする。
d+t>r{1/tan2α(1+1/cos2α)−tanα}・・式1
但し、rは、アニール対象物2上に生じるスポットの、底面3bの傾斜方向に沿ったスポット径の半分であり、tは下層2aの厚さである。
また、dを規定しないときには、アニール対象物2に照射する光ビームをp偏光とするとともに、αをブリュースター角とする。
【選択図】 図1
【解決手段】可動ステージ3を、アニール対象物2の下層2aを形成する材料と同じ材料で形成する。また、可動ステージ3の形状を、底面3bが載置面3aに対してαの角度をなす形状とする。さらに、載置面3aと底面3bとの距離dを、以下に示す式1を満たす距離とする。
d+t>r{1/tan2α(1+1/cos2α)−tanα}・・式1
但し、rは、アニール対象物2上に生じるスポットの、底面3bの傾斜方向に沿ったスポット径の半分であり、tは下層2aの厚さである。
また、dを規定しないときには、アニール対象物2に照射する光ビームをp偏光とするとともに、αをブリュースター角とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アモルファスシリコンをアニールしてポリシリコンとするために使用するレーザアニール装置や、二酸化ケイ素などの表面形状を測定するために使用する干渉計などに適用して好適な照射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えばアモルファスシリコン(以下、a−Siという。)をアニールしてポリシリコン(以下、p−Siという)を作製するレーザアニール装置、半導体の微細加工を行うステッパ、光学素子やSiO2によって形成された基板などの平面度や曲率といった表面形状を測定するフィゾー干渉計などでは、光ビームの照射が行われている。
【0003】
例えば、図6に示すように、レーザアニール装置100は、ステージ101上に載置されたアニール対象物102に対して、レーザ光源103から射出された光ビームを照射することにより、アニールを施す。
【0004】
また、図7に示すように、フィゾー干渉計120は、レーザ光源121から射出された光ビームを、基準板122に対して照射する。基準板122に照射された光ビームは、一部が基準面122aで反射し、一部が基準面122aを透過してステージ123上に載置された被検査物124に対して照射される。被検査物124に対して照射された光ビームは、被検査物124における光ビームが照射される主面(以下、照射面という。)124aで反射する。被検査物124の照射面124aで反射された光ビームと基準面122aで反射された光ビームとは干渉し、集光レンズ125へ導光され、集光レンズ125により結像される。そして、撮像素子126が、集光レンズ125によって結像された像を撮像する。
【0005】
フィゾー干渉計120では、照射面124aが基準面122aに対して完全に平行ではなく僅かな角度をもつように、被検査物124がステージ123上に載置される。したがって、照射面124aと基準面122aが完全に一致している場合には、撮像素子126によって撮像される像に、直線で等間隔の干渉縞が生じる。一方、照射面124aが基準面122aと異なる場合には、相対的な形状の違いが干渉縞の歪みや間隔のずれとなって現れ、干渉縞一本分の歪みやずれが光源の半波長分に相当する。したがって、フィゾー干渉計120では、撮像素子126が撮像した像から、被検査物124の表面形状を測定することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、以上説明したレーザアニール装置100、フィゾー干渉計120などでは、図8に示すように被照射物130に対して同一光源から射出された光ビームL1,L2,L3が照射されたときに、光ビームの一部は、光ビームL2,L3に示すように、被照射物130において光ビームが照射される面(以下、照射面という。)130aを透過する。そして、被照射物130の照射面130aを透過した光ビームの一部は、被照射物130とステージ131とは屈折率が異なるために、光ビームL2に示すように、被照射物130におけるステージ131との接触面(以下、底面という。)130bで反射する。
【0007】
なお、ステージ131はレーザアニール装置100のステージ101及びフィゾー干渉計120のステージ123に相当し、被照射物130はアニール対象物102及び被検査物124に相当する。
【0008】
被照射物130の底面130bで反射した光ビームL2は、被照射物130内を再度通過し、一部が被照射物130の照射面130aを透過する。被照射物130の底面130bで反射した後に被照射物130内を再度通過した光ビームL2は、例えば被照射物130に対して与えられるエネルギーに影響したり、また、被照射物130の照射面130aで反射する光ビームL1と干渉することにより光ビームL1の振幅などに影響したりする。
【0009】
例えば、図6に示すレーザアニール装置100では、アニール対象物102の底面102bで反射された光ビームがアニール対象物102の内部でアニール対象物102に対して照射された光ビームと干渉すると、アニール対象物102内部のエネルギーが照射面102aからの深さによって異なる。すなわち、アニール対象物102に対して与えられるエネルギーが、一定ではなくなる。
【0010】
また、レーザアニール装置100では、アニール対象物102の底面102bで反射した光ビームがアニール対象物102内を再度通過することにより、アニール対象物102が重複照射される。すなわち、アニール対象物102に対して、照射された光ビームのエネルギーを超えるエネルギーが与えられることとなる。したがって、レーザアニール装置100では、アニール対象物102に対して照射する光ビームのエネルギーを調節することによって、アニール対象物102に与えるエネルギーを制御することが困難となる。
【0011】
したがって、レーザアニール装置100では、アニール対象物102の底面102bで光ビームが反射することにより、アニール対象物102に対して均一なエネルギーを与え、均一なアニールを施すことが困難となる。
【0012】
例えば、アニール対象物102がa−Siであるときには、a−Siが均一にアニールされないと、作製されたp−Siは結晶粒径がばらついてしまう。結晶粒径がばらついているp−Siを使用して薄膜トランジスタを作製すると、位置によって特性が異なる。位置によって特性が異なる薄膜トランジスタを使用して例えば表示装置を作製すると、当該表示装置には画像上に筋や輝点などが現れるという問題が生じてしまう。
【0013】
以上説明した問題を解決する方法として、中空の枠型のステージによって被照射物を支持するとともに、被照射物のたわみを避けるために被照射物の載置面が垂直な方向となるようにステージが設けられた照射装置が開示されている(特許文献1参照。)。
【0014】
しかしながら、当該照射装置では被照射物の底面が空気と接しており、被照射物と空気とは屈折率が異なるために、被照射物に対して照射された光ビームが被照射物の底面で反射することを完全に防ぐことはできない。また、主面が垂直となるように載置されている被照射物は、振動の影響を受け易くなる。被照射物が振動の影響を受け易くなると、被照射物に対する光ビームの照射位置が所望の位置からずれ易くなるなどの不都合が生じる。主面が垂直となるように載置された被照射物に対する振動の影響を低減させるためには特別な機構が必要となるが、照射装置に特別な機構を備えると、照射装置の設計が複雑になるなどの問題点が生じる。
【0015】
また、例えばフィゾー干渉計120では、被検査物124の底面124bで反射された後に照射面124aを透過した光ビームが、被検査物124の照射面124aで反射された光ビーム及び基準面122aで反射された光ビームと干渉してしまう。したがって、撮像素子126によって撮像された画像は、被検査物124の底面124bの形状が反映されたものとなる。すなわち、フィゾー干渉計120によって、被検査物124の照射面124aの形状を正確に測定することは困難となる。
【0016】
以上説明した問題を解決する方法としては、被検査物124の底面124bにワセリンを塗布する方法が挙げられる。被検査物124の底面124bにワセリンを塗布することにより、底面124bに入射する光ビームを散乱させることが可能となるため、底面124bによる光ビームの反射を低減することが可能となる。
【0017】
しかしながら、被検査物124の底面124bにワセリンを塗布したときにも、底面124bによる光ビームの反射を低減させることはできるものの、完全に防ぐことは不可能となる。
【0018】
本発明は、以上説明した問題点を鑑みて提案されたものであり、被照射物に対して照射された光ビームが被照射物におけるステージとの接触面で反射することを防ぐことが可能である照射装置を提供することを目的とする。
【0019】
【特許文献1】
特開平9−7968号公報
【0020】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らは、上述した目的を達成するために鋭意検討を重ね、隣接する2つの層が同じ屈折率の物質によって形成されている場合には、2つの層の境界に入射した光ビームの全てが2つの層の境界を透過することに着目した。
【0021】
すなわち、本発明に係る照射装置は、光ビームを射出するレーザ光源と、被照射物を支持するステージと、上記レーザ光源から射出された光ビームを導光し、被照射物に垂直に照射する照射手段とを備え、上記ステージは、上記被照射物における上記ステージと接触する層を形成する材料と屈折率が同一である材料によって形成されるとともに、上記被照射物を載置する面に相対する面が、上記被照射物を載置する面に対してα(但し、0°<α<90°)の角度をなしており、上記被照射物を載置する面と上記被照射物を載置する面に相対する面との距離dが、以下の式1に示す条件を満たすことを特徴とする照射装置。
【0022】
d+t>r{1/tan2α(1+1/cos2α)−tanα}・・式1
但し、rは、被照射物上に生じるスポットの、被照射物を載置する面に相対する面の傾斜方向に沿ったスポット径の半分であり、tは、被照射物におけるステージと接触する層の厚さである。
【0023】
また、本発明に係る照射装置は、光ビームを射出するレーザ光源と、被照射物を支持するステージと、上記レーザ光源から射出された光ビームを導光し、被照射物に垂直に照射する照射手段とを備え、上記ステージは、上記被照射物における上記ステージと接触する面を構成する材料と屈折率が同一である材料によって構成されるとともに、上記被照射物を載置する面に相対する面が、上記被照射物を載置する面に対してブリュースター角をなしていることを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
第1の実施の形態
まず、本発明の第1の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、本発明を、SiO2基板上に形成されたアモルファスシリコン(以下、a−Siという。)薄膜をアニール対象物とするレーザアニール装置に適用した例について説明する。
【0026】
図1に示すように、本発明を適用したレーザアニール装置1は、アニール対象物2を載置するとともにアニール対象物2の主面に平行な方向に移動可能とされている可動ステージ3と、光ビームを射出するレーザ光源4と、レーザ光源4から射出された光ビームを成形する光成形光学部5と、光成形光学部5から射出された光ビームを反射してアニール対象物2に対して入射させる反射鏡6とを備える。
【0027】
可動ステージ3は、アニール対象物2を支持する。また、可動ステージ3は、図中矢印X及び矢印Yで示すような、互いに直交し且つアニール対象物2の主面に平行な二方向に移動する。
【0028】
レーザ光源4は、光ビームを射出する。レーザ光源4としては、例えば、エキシマレーザ、固体レーザ、半導体レーザなどが使用される。
【0029】
光成形光学部5は、ホモジナイザなどを備えており、レーザ光源4から射出された光ビームのエネルギー密度を平均化するとともに、光ビームの光軸に垂直な断面を成形する。本実施の形態では、光成形光学部5は、レーザ光源4から射出された光ビームを、光軸に垂直な断面がライン状となるように成形する。
【0030】
反射鏡6は、光成形光学部5から射出された光ビームを反射することにより、光ビームの進行方向を変化させる。反射された光ビームは、アニール対象物2の主面に入射させられる。
【0031】
レーザアニール装置1では、可動ステージ3が矢印X方向と矢印Y方向とに移動することで、光ビームを全面に照射させることが可能となる。
【0032】
以下では、可動ステージ3について詳細に説明する。
【0033】
なお、以下では、図2に示すように、可動ステージ3においてアニール対象物2が載置される面を載置面3aと称し、載置面3aと相対する面を底面3bと称する。
【0034】
可動ステージ3は、アニール対象物2における可動ステージ3と接触する層(以下、下層という。)2aを形成する材料と同じ材料によって形成されている。本実施の形態では、アニール対象物2がSiO2基板上に形成されたa−Si薄膜であるため、下層2aはSiO2によって形成されている。したがって、可動ステージ3はSiO2によって形成される。なお、以下では、アニール対象物2における下層2a以外を上層2bという。本実施の形態では、上層2bはa−Si薄膜である。
【0035】
可動ステージ3は、図2(A)に示すように、6つの四角形の面によって構成された六面体であり、載置面3aにアニール対象物2が載置される。可動ステージ3は、図2(B)に示すように、載置面3aに対する底面3bの角度がα(但し、0°<α<90°)とされ、且つ最も近接している載置面3aと底面3bとの距離dが、以下の式1を満たすように形成される。
【0036】
d+t>r{1/tan2α(1+1/cos2α)−tanα}・・式1
但し、rはアニール対象物2上に入射される光ビームの光軸に垂直な断面における底面3bの傾斜方向の径の半分の長さである。すなわち、rは、光ビームがアニール対象物2に対して照射されたときにアニール対象物2上に生じるスポットの、図中矢印Lで示す底面3bの傾斜方向に沿ったスポット径の半分である。
また、tは被照射物における下層2aの厚さである。
【0037】
可動ステージ3をアニール対象物2の下層2aを形成する材料と同じ材料で形成することにより、アニール対象物2の下層2aの屈折率と可動ステージ3の屈折率とが同じとなるため、アニール対象物2に入射した光ビームは、アニール対象物2における可動ステージ3との接触面(以下、底面という。)2cで反射せずに、アニール対象物2の底面2cを透過する。
【0038】
また、可動ステージ3を、載置面3aに対する底面3bの角度がαとなるように形成するとともに、式1を満たすように形成することによって、図2(B)に示すように、可動ステージ3の底面3bで反射された光ビームが上層2b内を再度通過するときの光路A1と、アニール対象物2に照射される光ビームが上層2b内を通過するときの光路A2とが重ならなくなる。
【0039】
本実施の形態では、r=10mmとされ且つα=20°とされる。したがって、d+t>23.836mmとされる。
【0040】
なお、アニール対象物2は、底面2cにマッチングオイルを塗布することなどによって、可動ステージ3に対して密着させることが好ましい。アニール対象物2と可動ステージ3とを密着させないと、アニール対象物2と可動ステージ3との間に空気が入り混む可能性がある。空気の屈折率は、アニール対象物2の下層2aを形成する材料の屈折率と異なるために、アニール対象物2と可動ステージ3との間に空気が入り混むと、アニール対象物2に対して照射された光ビームは、アニール対象物2の底面2cで反射されてしまう。マッチングオイルとしては、例えば、ワイヤードジャパン株式会社製のベストマッチジェルBMG04が使用される。
【0041】
可動ステージ3を以上説明したように形成することにより、アニール対象物2を重複照射することを回避することができる。また、反射鏡6によって反射されてアニール対象物2に対して照射された光ビームが、アニール対象物2の底面2cで反射された光ビームや可動ステージ3の底面3bで反射された光ビームと、アニール対象物2の内部で干渉することが回避される。
【0042】
アニール対象物2の底面2cで反射された光ビーム(図示せず)や可動ステージ3の底面3bで反射された光ビーム(A2)が、アニール対象物2に照射された光ビーム(A1)とアニール対象物2の内部で干渉すると、アニール対象物2に与えられるエネルギーは、アニール対象物2における光ビームが照射される面(以下、照射面という。)2dからの深さによって異なり、一定ではなくなる。
【0043】
したがって、アニール対象物2に対して照射された光ビームが、アニール対象物2の底面2cで反射された光ビームや可動ステージ3の底面3bで反射された光ビームと、アニール対象物2の内部で干渉することが回避されることにより、レーザアニール装置1は、アニール対象物2に対して均一なエネルギーを与え、均一なアニールを施すことが可能となる。
【0044】
以上説明したレーザアニール装置1の動作は、以下に説明する通りとなる。
【0045】
レーザアニール装置1は、アニール対象物2が可動ステージ3に載置されると、レーザ光源4から光ビームを射出させるとともに、可動ステージ3を動作させ、アニール対象物2のアニールを開始する。
【0046】
レーザ光源4から射出された光ビームは、光成形光学部5によって成形された後に、アニール対象物2に照射される。
【0047】
以上説明したように、本発明を適用したレーザアニール装置1は、可動ステージ3が、アニール対象物2の下層2aを形成する材料と同じ材料で形成されているために、アニール対象物2に入射した光ビームは、アニール対象物2の底面2cで反射せずにアニール対象物2の底面2cを透過する。アニール対象物2の底面2cを透過した光ビームは、可動ステージ3の底面3bに入射する。
【0048】
また、本発明を適用したレーザアニール装置1では、可動ステージ3が、載置面3aに対する底面3bの角度がαとなるように形成されるとともに、式1を満たすように形成されることによって、底面3bで反射された光ビームがアニール対象物2における上層2b内を通過するときの光路A1と、アニール対象物2に照射された光ビームがアニール対象物2の上層2b内を通過するときの光路A2とが重ならなくなる。
【0049】
すなわち、本発明を適用したレーザアニール装置1は、アニール対象物2に対して照射される光ビームが、アニール対象物2の底面2cで反射された光ビームや、可動ステージ3の底面3bで反射された光ビームと干渉することが回避されるため、アニール対象物2における光ビームの照射面2dからの深さによってアニール対象物2に与えられるエネルギーが異なることがなくなる。
【0050】
したがって、本発明を適用したレーザアニール装置1は、アニール対象物2に対して均一なエネルギーを与え、アニール対象物2を均一にアニールすることが可能となる。
【0051】
また、本発明を適用したレーザアニール装置1では、可動ステージの底面3bで反射した光ビームのエネルギーをアニール対象物2のアニールに寄与しないエネルギーとすることで、アニール対象物2に対して照射する光ビームのエネルギー調整することによって、アニール対象物2に与えるエネルギーを制御することが可能となる。
【0052】
したがって、本発明を適用したレーザアニール装置1は、アニール対象物2に対して所望のエネルギーを与えて均一にアニールを施すことが可能となる。
【0053】
また、本発明を適用したレーザアニール装置1によってa−Siをアニールしたときには、粒径が均一であるp−Siを作製することが可能となる。また、当該p−Siを使用して生成した薄膜トランジスタは、特性が安定したものとなる。
【0054】
なお、可動ステージ3は、αをブリュースター角としても良い。αをブリュースター角とすることにより、底面3bに入射した光ビームのうちp偏光が全て底面3bを透過する。
【0055】
また、αをブリュースター角とし、且つアニール対象物2に対して照射される光ビームを全てp偏光とすると、アニール対象物2に対して照射された後に、底面3bで反射した光ビームのエネルギーをほとんど0にさせることが可能となるため、アニール対象物2を透過した光ビームがアニール対象物2へ再度入射して、例えばアニール対象物2が不可逆の科学反応を起こして変質するなどの問題を回避することが可能となる。アニール対象物2に対して照射される光ビームを全てp偏光とする方法としては、例えば、レーザ光源4と光成形光学部5との間にp偏光のみを透過する偏光ビームスプリッタを設ける方法が挙げられる。
【0056】
また、可動ステージ3の形状は6つの四角形の面をもった六面体に限定されない。例えば、図3(A)に示すように、可動ステージ25を、載置面25aと相対する面が2つある形状としても良い。載置面25aと相対する面(以下相対面という。)が2つあるときには、2つの相対面25b,25cは、共に載置面25aに対してαの角度をなすように形成される。また、載置面25aと相対面25b及び25cとの距離dが、式1を満たす距離とされる。
【0057】
さらに、図3(B)に示すように、可動ステージ30は、載置面30aと相対する面を複数有する形状としても良い。載置面30aとの相対面が複数あるときには、全ての相対面30b,30c・・・が載置面30aに対してαの角度をなすように形成される。また、載置面30aと各相対面30b,30c・・・との距離dが、式1を満たす距離とされる。
【0058】
また、本実施の形態では、光成形光学部5は、レーザ光源4から射出された光ビームを、光軸に垂直な断面がライン状となるように成形しているが、光軸に垂直な断面がスポット状となるように成形しても良い。
【0059】
第2の実施の形態
つぎに、本発明の第2の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、本発明を、被検査物がSiO2基板であるフィゾー干渉計に適用した例について説明する。
【0060】
図4に示すように、フィゾー干渉計40は、被検査物41を載置するステージ42と、被検査物41に対向して配置された基準板43と、光ビームを射出するレーザ光源44と、レーザ光源44から射出された光ビームのうちp偏光を透過してs偏光を反射する偏光ビームスプリッタ45と、偏光ビームスプリッタ45が反射したs偏光を吸収する第1のビームディフューザ46と、偏光ビームスプリッタ45が透過したp偏光の光ビームを発散させる発散レンズ47と、発散レンズ47から射出された光ビームを透過するとともに被検査物41で反射された光ビームと基準板43で反射された光ビームとが干渉した光ビームを反射するハーフミラー48と、ハーフミラー48を透過した光ビームを平行光とするコリメータレンズ49と、ハーフミラー48によって反射された光ビームを集光して結像する第1の集光レンズ50と、第1の集光レンズ50によって結像された像を撮像する撮像素子51と、ステージ42を透過した光ビームを集光する第2の集光レンズ52と、第2の集光レンズ52によって集光された光ビームを吸収する第2のビームディフューザ53とを備える。
【0061】
ステージ42は、被検査物41が載置される。被検査物41は、検査面が基準板43と対向するようにステージ42上に載置される。なお、ステージ42については詳細を後述する。
【0062】
基準板43は、一方の主面が高精度に研磨されており、他方の主面には反射防止処理がなされている。高精度に研磨された主面は基準面43aという。基準板43は、基準面43aがステージ42と対向するように配置される。基準面43aに入射した光ビームのうち一部は反射し、一部は透過する。基準面43aを透過した光ビームは、被検査物41に照射される。基準板43は、例えばコーニング7740パイレックス(登録商標)によって形成される。
【0063】
レーザ光源44は、光ビームを射出する。本実施の形態では、レーザ光源44として、波長633nmのヘリウムネオンレーザが使用される。
【0064】
偏光ビームスプリッタ45は、レーザ光源44が射出した光ビームのうちp偏光を透過し、s偏光を反射する。偏光ビームスプリッタ45が透過したp偏光は発散レンズ47に入射し、偏光ビームスプリッタ45が反射したs偏光は第1のビームディフューザ46へ入射する。偏光ビームスプリッタ45がp偏光のみを透過することにより、被検査物41に対してp偏光のみが照射される。
【0065】
第1のビームディフューザ46は、偏光ビームスプリッタ45によって反射されたs偏光を吸収する。第1のビームディフューザ46が偏光ビームスプリッタ45によって反射されたs偏光を吸収することにより、偏光ビームスプリッタ45によって反射されたs偏光がフィゾー干渉計40の外部で反射して被検査物41へ入射することを防ぐことができる。
【0066】
発散レンズ47は、偏光ビームスプリッタ45から射出された光ビームを発散させながらハーフミラー48へ導光する。
【0067】
ハーフミラー48は、被検査物41において光ビームが照射される面(以下、照射面という。)41aで反射された光ビームと、基準板43の基準面43aで反射された光ビームとが干渉した光ビームを反射して、第1の集光レンズ50へ導光する。
【0068】
コリメータレンズ49は、発散レンズ47から射出した後にハーフミラー48によって透過された光ビームを平行光として基準板43へ導光する。また、コリメータレンズ49は、被検査物41の照射面41aで反射された光ビームと基準面43aで反射された光ビームとが干渉した光ビームを集光して、ハーフミラー48へ導光する。
【0069】
第1の集光レンズ50は、ハーフミラー48によって反射された光ビームを集光して結像する。すなわち、第1の集光レンズ50は、被検査物41の照射面41aで反射された光ビームと基準面43aで反射された光ビームとが干渉した光ビームを集光して結像する。
【0070】
撮像素子51は、第1の集光レンズ50が結像した像を撮像する。撮像素子51としては、例えばCCD(Charge Coupled Device)カメラなどが使用される。
【0071】
第2の集光レンズ52は、ステージ42において被検査物41を載置する主面(以下、載置面という。)42a、及び載置面42aに対して相対する面(以下、底面という。)42bを透過した光ビームを集光し、第2のビームディフューザ53に導光する。
【0072】
第2のビームディフューザ53は、第2の集光レンズ52によって集光された光ビームを吸収する。すなわち、第2のビームディフューザ53は、ステージ42の底面42bを透過した光ビームを吸収する。
【0073】
第2のビームディフューザ53は、例えば、図5(A),(B)に示すように、筒型で、頂点が筒の内側となるような円錐形の底面53aが備えられた形状とされており、内壁と底面の全面に亘って微小な溝が複数形成された構造とされている。また、第2のビームディフューザ53の色は黒色とされている。第2のビームディフューザ53に入射した光ビームは、乱反射して熱に変換されて吸収される。第2のビームディフューザ53が備えられることにより、ステージ42を透過した光ビームは全て吸収されることとなる。すなわち、フィゾー干渉計40では、第2のビームディフューザ53を備えるために、ステージ42を透過した光ビームがステージ42の外部で反射して、再度被検査物41に入射することが回避される。なお、第2のビームディフューザ53は、第2の集光レンズ52によって集光された光ビームの焦点位置からずれた位置に配置されることが好ましい。
【0074】
以下では、ステージ42について詳細に説明する。
【0075】
ステージ42は、被検査物41と接触する層(以下、下層という)を形成する材料と同じ材料で形成されている。本実施の形態では、被検査物41がSiO2であり、単層構造であるため、ステージ42は、SiO2によって形成される。
【0076】
また、ステージ42は、可動ステージ3と同様に、6つの四角形の面によって構成された六面体であり、底面42bが、載置面42aに対してブリュースター角βをなすように形成される。なお、ブリュースター角βは、以下の式2で示される。
【0077】
β=arctan(n2/n1)・・・式2
但し、n1はステージ42を形成する材料の屈折率を示し、n2は空気の屈折率を示す。
【0078】
ステージ42を、被検査物41の下層を形成する材料と同じ材料によって形成することで、被検査物41の下層の屈折率とステージ42との屈折率とが同じとなるため、被検査物41に入射した光ビームは、被検査物41におけるステージ42との接触面(以下、底面という。)41bで反射せずに、被検査物41の底面41bを透過する。
【0079】
載置面42aに対して底面42bがブリュースター角とされているときには、被検査物41の底面41bを透過した後にステージ42に入射した光ビームは、全てステージ42の底面42bで反射することはなく、ステージ42の底面42bを透過する。なお、ステージ42の底面42bに入射する光ビームは、レーザ光源44から射出した後に偏光ビームスプリッタ45を透過した光であるため、p偏光である。
【0080】
本実施の形態では、レーザ光源44から射出されるレーザ光の波長が633nmであり、波長633nmの光ビームに対するSiO2の屈折率は1.457である。したがって、n1=1.457、n2=1であるため、β=34.46°となる。すなわち、ステージ42は、底面42bが載置面42aに対して34.46°となるように形成されている。
【0081】
なお、被検査物41は、底面41bにマッチングオイルを塗布することなどによって、ステージ42に対して密着させることが好ましい。被検査物41とステージ42とを密着させないときには、被検査物41とステージ42との間に空気が入り混む可能性が生じる。空気の屈折率は被検査物41を形成する材料の屈折率と異なるために、被検査物41とステージ42の間に空気が入り混むと、被検査物41に対して照射された光ビームは、被検査物41の底面41bで反射してしまう。マッチングオイルとしては、例えば、ワイヤードジャパン株式会社製のベストマッチジェルBMG04が使用される。
【0082】
ステージ42を以上説明したように形成することにより、被検査物41の底面41bで光ビームが反射することを防ぐとともに、ステージ42の底面42bで光ビームが反射することを防ぐことが可能となる。
【0083】
また、第2のビームディフューザ53は、ステージ42の底面42bを透過した光ビームを吸収する。したがって、フィゾー干渉計40では、ステージ42の底面42bを透過した光ビームが再度被検査物41に入射することがなくなる。
【0084】
すなわち、フィゾー干渉計40は、被検査物41に対して光ビームを均一に照射することが可能となる。また、被検査物41の底面41bで反射した光ビームや、ステージ42の底面42bで反射した光ビームが、基準面43aで反射した光ビーム及び被検査物41の照射面41aで反射した光ビームなどと干渉することを回避することが可能となる。
【0085】
以上説明したフィゾー干渉計40の動作は、以下に説明する通りとなる。
【0086】
先ず、レーザ光源44が光ビームを射出する。射出された光ビームは、偏光ビームスプリッタ45によりp偏光が透過され、s偏光が反射される。偏光ビームスプリッタ45によって透過されたp偏光は発散レンズ47へ入射し、発散レンズ47によって発散され、ハーフミラー48へ導光される。また、偏光ビームスプリッタ45によって反射されたs偏光は、第1のビームディフューザ46によって吸収される。
【0087】
次に、ハーフミラー48は、入射されたp偏光の光ビームを透過して、コリメータレンズ49へ供給する。コリメータレンズ49は、ハーフミラー48が射出した光ビームを平行光として、基準板43へ導光する。
【0088】
次に、基準板43では、基準面43aに入射された光ビームの一部が反射し、一部が透過する。基準面43aを透過した光ビームは、被検査物41に照射される。
【0089】
そして、被検査物41は、照射された光ビームのうち一部を照射面41aで反射し、一部を透過する。照射面41aを透過した光ビームは、被検査物41の底面41b及びステージ42の底面42bを透過した後に、第2の集光レンズ52によって集光され、第2のビームディフューザ53によって吸収される。
【0090】
一方、被検査物41の照射面41aで反射した光ビームは、基準面43aで反射した光ビームと干渉して、ハーフミラー48へ入射する。
【0091】
ハーフミラー48は、被検査物41の照射面41aで反射した光ビームと基準面43aで反射した光ビームとが干渉した光ビームを、第1の集光レンズ50へ導光する。
【0092】
次に、第1の集光レンズ50は、被検査物41の照射面41aで反射した光ビームと基準面43aで反射した光ビームとが干渉した光ビームを集光して結像する。
【0093】
そして、撮像素子51が、第1の集光レンズ50によって結像された像を撮像する。フィゾー干渉計40では、撮像素子51が撮像した像の干渉縞の広がりや形状より、被検査物41の照射面41aの形状を測定することができる。
【0094】
以上説明したように、本発明を適用したフィゾー干渉計40では、ステージ42が被検査物41を形成する材料と同じ材料で形成されているために、被検査物41の照射面41aを透過した光ビームは、全て被検査物41の底面41bを透過してステージ42へ入射する。
【0095】
また、本発明を適用したフィゾー干渉計40では、ステージ42が、載置面42aに対する底面42bの角度がブリュースター角をなすように形成されており、且つステージ42に入射する光ビームはp偏光とされている。すなわち、被検査物41の底面41bを透過した光ビームは、全てステージ42の底面42bを透過する。
【0096】
さらに、本発明を適用したフィゾー干渉計40は、ステージ42の底面42bを透過した光ビームを吸収する第2のビームディフューザ53を備える。すなわち、被検査物41の照射面41aを透過した光ビームは、全て第2のビームディフューザ53に吸収されることとなる。
【0097】
したがって、本発明を適用したフィゾー干渉計40では、被検査物41の照射面41aを透過した光ビームが、被検査物41の照射面41aで反射した光ビームや、基準面43aで反射した光ビームなどと干渉することが回避される。すなわち、フィゾー干渉計40によれば、被検査物41の照射面41aの形状を正確に測定できる。
【0098】
また、本発明を適用したフィゾー干渉計40では、被検査物41の照射面41aを透過した光ビームが被検査物41の底面41bに到達した後に、再度被検査物41内を通過することがなくなる。
【0099】
したがって、本発明を適用したフィゾー干渉計40は、被検査物の表面形状を、裏面形状などに影響されることなく正確に測定することが可能となる。
【0100】
【発明の効果】
本発明に係る照射装置は、照射手段が被照射物に対して照射した光ビームが、被照射物におけるステージとの接触面で反射することを防ぐことができる。また、被照射物におけるステージとの接触面を透過した光ビームが、ステージにおける被照射物を載置する面と相対する面で反射して再度被照射物に入射したときに、照射手段によって被照射物に対して照射される光ビームと干渉することを防ぐことができる。
【0101】
すなわち、本発明に係る照射装置では、被照射物に対して与えられるエネルギーが、被照射物における光ビームが照射される面からの深さによって変化することを防ぐことが可能となる。
【0102】
したがって、本発明に係る照射装置によれば、被照射物に対して均一な照射を施し、均一なエネルギーを与えることが可能となる。
【0103】
また、本発明に係る照射装置は、照射手段が被照射物に対して照射した光ビームが、被照射物におけるステージとの接触面やステージにおける被照射物が載置される面と相対する面で反射することを防ぐことができる。また、本発明に係る照射装置は、被照射物を透過した光ビームが、被照射物や当該照射装置の光路へ入射することを防ぐことができる。
【0104】
すなわち、本発明に係る照射装置は、被照射物に対して与えられるエネルギーが、被照射物における光ビームが照射される面からの深さによって変化することを防ぐことが可能となる。また、被照射物におけるステージとの接触面を透過した光ビームが、被照射物における光ビームが照射される面で反射した光ビームなどと干渉することを防ぐことができる。
【0105】
したがって、本発明に係る照射装置によれば、被照射物における光ビームの照射面を、正確に測定することが可能となる。また、本発明に係る照射装置によれば、被照射物に対して均一な照射を施し、均一なエネルギーを与えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したレーザアニール装置を示す模式図である。
【図2】同レーザアニール装置に備えられる可動ステージを示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は側面図である。
【図3】同レーザアニール装置に備えられる可動ステージの他の形状を示す側面図である。
【図4】本発明を適用したフィゾー干渉計を示す模式図である。
【図5】同フィゾー干渉計に備えられるビームディフューザの一例を示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は一部切り欠き斜視図である。
【図6】従来のレーザアニール装置を示す模式図である。
【図7】従来のフィゾー干渉計を示す模式図である。
【図8】被照射物に対して光ビームを照射したときに、照射された光ビームが被照射物の底面で反射する状態を示す図である。
【符号の説明】
1 レーザアニール装置、2 アニール対象物、3,25,30 可動ステージ、4 レーザ光源、5 光成形光学部、6 反射鏡
【発明の属する技術分野】
本発明は、アモルファスシリコンをアニールしてポリシリコンとするために使用するレーザアニール装置や、二酸化ケイ素などの表面形状を測定するために使用する干渉計などに適用して好適な照射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えばアモルファスシリコン(以下、a−Siという。)をアニールしてポリシリコン(以下、p−Siという)を作製するレーザアニール装置、半導体の微細加工を行うステッパ、光学素子やSiO2によって形成された基板などの平面度や曲率といった表面形状を測定するフィゾー干渉計などでは、光ビームの照射が行われている。
【0003】
例えば、図6に示すように、レーザアニール装置100は、ステージ101上に載置されたアニール対象物102に対して、レーザ光源103から射出された光ビームを照射することにより、アニールを施す。
【0004】
また、図7に示すように、フィゾー干渉計120は、レーザ光源121から射出された光ビームを、基準板122に対して照射する。基準板122に照射された光ビームは、一部が基準面122aで反射し、一部が基準面122aを透過してステージ123上に載置された被検査物124に対して照射される。被検査物124に対して照射された光ビームは、被検査物124における光ビームが照射される主面(以下、照射面という。)124aで反射する。被検査物124の照射面124aで反射された光ビームと基準面122aで反射された光ビームとは干渉し、集光レンズ125へ導光され、集光レンズ125により結像される。そして、撮像素子126が、集光レンズ125によって結像された像を撮像する。
【0005】
フィゾー干渉計120では、照射面124aが基準面122aに対して完全に平行ではなく僅かな角度をもつように、被検査物124がステージ123上に載置される。したがって、照射面124aと基準面122aが完全に一致している場合には、撮像素子126によって撮像される像に、直線で等間隔の干渉縞が生じる。一方、照射面124aが基準面122aと異なる場合には、相対的な形状の違いが干渉縞の歪みや間隔のずれとなって現れ、干渉縞一本分の歪みやずれが光源の半波長分に相当する。したがって、フィゾー干渉計120では、撮像素子126が撮像した像から、被検査物124の表面形状を測定することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、以上説明したレーザアニール装置100、フィゾー干渉計120などでは、図8に示すように被照射物130に対して同一光源から射出された光ビームL1,L2,L3が照射されたときに、光ビームの一部は、光ビームL2,L3に示すように、被照射物130において光ビームが照射される面(以下、照射面という。)130aを透過する。そして、被照射物130の照射面130aを透過した光ビームの一部は、被照射物130とステージ131とは屈折率が異なるために、光ビームL2に示すように、被照射物130におけるステージ131との接触面(以下、底面という。)130bで反射する。
【0007】
なお、ステージ131はレーザアニール装置100のステージ101及びフィゾー干渉計120のステージ123に相当し、被照射物130はアニール対象物102及び被検査物124に相当する。
【0008】
被照射物130の底面130bで反射した光ビームL2は、被照射物130内を再度通過し、一部が被照射物130の照射面130aを透過する。被照射物130の底面130bで反射した後に被照射物130内を再度通過した光ビームL2は、例えば被照射物130に対して与えられるエネルギーに影響したり、また、被照射物130の照射面130aで反射する光ビームL1と干渉することにより光ビームL1の振幅などに影響したりする。
【0009】
例えば、図6に示すレーザアニール装置100では、アニール対象物102の底面102bで反射された光ビームがアニール対象物102の内部でアニール対象物102に対して照射された光ビームと干渉すると、アニール対象物102内部のエネルギーが照射面102aからの深さによって異なる。すなわち、アニール対象物102に対して与えられるエネルギーが、一定ではなくなる。
【0010】
また、レーザアニール装置100では、アニール対象物102の底面102bで反射した光ビームがアニール対象物102内を再度通過することにより、アニール対象物102が重複照射される。すなわち、アニール対象物102に対して、照射された光ビームのエネルギーを超えるエネルギーが与えられることとなる。したがって、レーザアニール装置100では、アニール対象物102に対して照射する光ビームのエネルギーを調節することによって、アニール対象物102に与えるエネルギーを制御することが困難となる。
【0011】
したがって、レーザアニール装置100では、アニール対象物102の底面102bで光ビームが反射することにより、アニール対象物102に対して均一なエネルギーを与え、均一なアニールを施すことが困難となる。
【0012】
例えば、アニール対象物102がa−Siであるときには、a−Siが均一にアニールされないと、作製されたp−Siは結晶粒径がばらついてしまう。結晶粒径がばらついているp−Siを使用して薄膜トランジスタを作製すると、位置によって特性が異なる。位置によって特性が異なる薄膜トランジスタを使用して例えば表示装置を作製すると、当該表示装置には画像上に筋や輝点などが現れるという問題が生じてしまう。
【0013】
以上説明した問題を解決する方法として、中空の枠型のステージによって被照射物を支持するとともに、被照射物のたわみを避けるために被照射物の載置面が垂直な方向となるようにステージが設けられた照射装置が開示されている(特許文献1参照。)。
【0014】
しかしながら、当該照射装置では被照射物の底面が空気と接しており、被照射物と空気とは屈折率が異なるために、被照射物に対して照射された光ビームが被照射物の底面で反射することを完全に防ぐことはできない。また、主面が垂直となるように載置されている被照射物は、振動の影響を受け易くなる。被照射物が振動の影響を受け易くなると、被照射物に対する光ビームの照射位置が所望の位置からずれ易くなるなどの不都合が生じる。主面が垂直となるように載置された被照射物に対する振動の影響を低減させるためには特別な機構が必要となるが、照射装置に特別な機構を備えると、照射装置の設計が複雑になるなどの問題点が生じる。
【0015】
また、例えばフィゾー干渉計120では、被検査物124の底面124bで反射された後に照射面124aを透過した光ビームが、被検査物124の照射面124aで反射された光ビーム及び基準面122aで反射された光ビームと干渉してしまう。したがって、撮像素子126によって撮像された画像は、被検査物124の底面124bの形状が反映されたものとなる。すなわち、フィゾー干渉計120によって、被検査物124の照射面124aの形状を正確に測定することは困難となる。
【0016】
以上説明した問題を解決する方法としては、被検査物124の底面124bにワセリンを塗布する方法が挙げられる。被検査物124の底面124bにワセリンを塗布することにより、底面124bに入射する光ビームを散乱させることが可能となるため、底面124bによる光ビームの反射を低減することが可能となる。
【0017】
しかしながら、被検査物124の底面124bにワセリンを塗布したときにも、底面124bによる光ビームの反射を低減させることはできるものの、完全に防ぐことは不可能となる。
【0018】
本発明は、以上説明した問題点を鑑みて提案されたものであり、被照射物に対して照射された光ビームが被照射物におけるステージとの接触面で反射することを防ぐことが可能である照射装置を提供することを目的とする。
【0019】
【特許文献1】
特開平9−7968号公報
【0020】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らは、上述した目的を達成するために鋭意検討を重ね、隣接する2つの層が同じ屈折率の物質によって形成されている場合には、2つの層の境界に入射した光ビームの全てが2つの層の境界を透過することに着目した。
【0021】
すなわち、本発明に係る照射装置は、光ビームを射出するレーザ光源と、被照射物を支持するステージと、上記レーザ光源から射出された光ビームを導光し、被照射物に垂直に照射する照射手段とを備え、上記ステージは、上記被照射物における上記ステージと接触する層を形成する材料と屈折率が同一である材料によって形成されるとともに、上記被照射物を載置する面に相対する面が、上記被照射物を載置する面に対してα(但し、0°<α<90°)の角度をなしており、上記被照射物を載置する面と上記被照射物を載置する面に相対する面との距離dが、以下の式1に示す条件を満たすことを特徴とする照射装置。
【0022】
d+t>r{1/tan2α(1+1/cos2α)−tanα}・・式1
但し、rは、被照射物上に生じるスポットの、被照射物を載置する面に相対する面の傾斜方向に沿ったスポット径の半分であり、tは、被照射物におけるステージと接触する層の厚さである。
【0023】
また、本発明に係る照射装置は、光ビームを射出するレーザ光源と、被照射物を支持するステージと、上記レーザ光源から射出された光ビームを導光し、被照射物に垂直に照射する照射手段とを備え、上記ステージは、上記被照射物における上記ステージと接触する面を構成する材料と屈折率が同一である材料によって構成されるとともに、上記被照射物を載置する面に相対する面が、上記被照射物を載置する面に対してブリュースター角をなしていることを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
第1の実施の形態
まず、本発明の第1の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、本発明を、SiO2基板上に形成されたアモルファスシリコン(以下、a−Siという。)薄膜をアニール対象物とするレーザアニール装置に適用した例について説明する。
【0026】
図1に示すように、本発明を適用したレーザアニール装置1は、アニール対象物2を載置するとともにアニール対象物2の主面に平行な方向に移動可能とされている可動ステージ3と、光ビームを射出するレーザ光源4と、レーザ光源4から射出された光ビームを成形する光成形光学部5と、光成形光学部5から射出された光ビームを反射してアニール対象物2に対して入射させる反射鏡6とを備える。
【0027】
可動ステージ3は、アニール対象物2を支持する。また、可動ステージ3は、図中矢印X及び矢印Yで示すような、互いに直交し且つアニール対象物2の主面に平行な二方向に移動する。
【0028】
レーザ光源4は、光ビームを射出する。レーザ光源4としては、例えば、エキシマレーザ、固体レーザ、半導体レーザなどが使用される。
【0029】
光成形光学部5は、ホモジナイザなどを備えており、レーザ光源4から射出された光ビームのエネルギー密度を平均化するとともに、光ビームの光軸に垂直な断面を成形する。本実施の形態では、光成形光学部5は、レーザ光源4から射出された光ビームを、光軸に垂直な断面がライン状となるように成形する。
【0030】
反射鏡6は、光成形光学部5から射出された光ビームを反射することにより、光ビームの進行方向を変化させる。反射された光ビームは、アニール対象物2の主面に入射させられる。
【0031】
レーザアニール装置1では、可動ステージ3が矢印X方向と矢印Y方向とに移動することで、光ビームを全面に照射させることが可能となる。
【0032】
以下では、可動ステージ3について詳細に説明する。
【0033】
なお、以下では、図2に示すように、可動ステージ3においてアニール対象物2が載置される面を載置面3aと称し、載置面3aと相対する面を底面3bと称する。
【0034】
可動ステージ3は、アニール対象物2における可動ステージ3と接触する層(以下、下層という。)2aを形成する材料と同じ材料によって形成されている。本実施の形態では、アニール対象物2がSiO2基板上に形成されたa−Si薄膜であるため、下層2aはSiO2によって形成されている。したがって、可動ステージ3はSiO2によって形成される。なお、以下では、アニール対象物2における下層2a以外を上層2bという。本実施の形態では、上層2bはa−Si薄膜である。
【0035】
可動ステージ3は、図2(A)に示すように、6つの四角形の面によって構成された六面体であり、載置面3aにアニール対象物2が載置される。可動ステージ3は、図2(B)に示すように、載置面3aに対する底面3bの角度がα(但し、0°<α<90°)とされ、且つ最も近接している載置面3aと底面3bとの距離dが、以下の式1を満たすように形成される。
【0036】
d+t>r{1/tan2α(1+1/cos2α)−tanα}・・式1
但し、rはアニール対象物2上に入射される光ビームの光軸に垂直な断面における底面3bの傾斜方向の径の半分の長さである。すなわち、rは、光ビームがアニール対象物2に対して照射されたときにアニール対象物2上に生じるスポットの、図中矢印Lで示す底面3bの傾斜方向に沿ったスポット径の半分である。
また、tは被照射物における下層2aの厚さである。
【0037】
可動ステージ3をアニール対象物2の下層2aを形成する材料と同じ材料で形成することにより、アニール対象物2の下層2aの屈折率と可動ステージ3の屈折率とが同じとなるため、アニール対象物2に入射した光ビームは、アニール対象物2における可動ステージ3との接触面(以下、底面という。)2cで反射せずに、アニール対象物2の底面2cを透過する。
【0038】
また、可動ステージ3を、載置面3aに対する底面3bの角度がαとなるように形成するとともに、式1を満たすように形成することによって、図2(B)に示すように、可動ステージ3の底面3bで反射された光ビームが上層2b内を再度通過するときの光路A1と、アニール対象物2に照射される光ビームが上層2b内を通過するときの光路A2とが重ならなくなる。
【0039】
本実施の形態では、r=10mmとされ且つα=20°とされる。したがって、d+t>23.836mmとされる。
【0040】
なお、アニール対象物2は、底面2cにマッチングオイルを塗布することなどによって、可動ステージ3に対して密着させることが好ましい。アニール対象物2と可動ステージ3とを密着させないと、アニール対象物2と可動ステージ3との間に空気が入り混む可能性がある。空気の屈折率は、アニール対象物2の下層2aを形成する材料の屈折率と異なるために、アニール対象物2と可動ステージ3との間に空気が入り混むと、アニール対象物2に対して照射された光ビームは、アニール対象物2の底面2cで反射されてしまう。マッチングオイルとしては、例えば、ワイヤードジャパン株式会社製のベストマッチジェルBMG04が使用される。
【0041】
可動ステージ3を以上説明したように形成することにより、アニール対象物2を重複照射することを回避することができる。また、反射鏡6によって反射されてアニール対象物2に対して照射された光ビームが、アニール対象物2の底面2cで反射された光ビームや可動ステージ3の底面3bで反射された光ビームと、アニール対象物2の内部で干渉することが回避される。
【0042】
アニール対象物2の底面2cで反射された光ビーム(図示せず)や可動ステージ3の底面3bで反射された光ビーム(A2)が、アニール対象物2に照射された光ビーム(A1)とアニール対象物2の内部で干渉すると、アニール対象物2に与えられるエネルギーは、アニール対象物2における光ビームが照射される面(以下、照射面という。)2dからの深さによって異なり、一定ではなくなる。
【0043】
したがって、アニール対象物2に対して照射された光ビームが、アニール対象物2の底面2cで反射された光ビームや可動ステージ3の底面3bで反射された光ビームと、アニール対象物2の内部で干渉することが回避されることにより、レーザアニール装置1は、アニール対象物2に対して均一なエネルギーを与え、均一なアニールを施すことが可能となる。
【0044】
以上説明したレーザアニール装置1の動作は、以下に説明する通りとなる。
【0045】
レーザアニール装置1は、アニール対象物2が可動ステージ3に載置されると、レーザ光源4から光ビームを射出させるとともに、可動ステージ3を動作させ、アニール対象物2のアニールを開始する。
【0046】
レーザ光源4から射出された光ビームは、光成形光学部5によって成形された後に、アニール対象物2に照射される。
【0047】
以上説明したように、本発明を適用したレーザアニール装置1は、可動ステージ3が、アニール対象物2の下層2aを形成する材料と同じ材料で形成されているために、アニール対象物2に入射した光ビームは、アニール対象物2の底面2cで反射せずにアニール対象物2の底面2cを透過する。アニール対象物2の底面2cを透過した光ビームは、可動ステージ3の底面3bに入射する。
【0048】
また、本発明を適用したレーザアニール装置1では、可動ステージ3が、載置面3aに対する底面3bの角度がαとなるように形成されるとともに、式1を満たすように形成されることによって、底面3bで反射された光ビームがアニール対象物2における上層2b内を通過するときの光路A1と、アニール対象物2に照射された光ビームがアニール対象物2の上層2b内を通過するときの光路A2とが重ならなくなる。
【0049】
すなわち、本発明を適用したレーザアニール装置1は、アニール対象物2に対して照射される光ビームが、アニール対象物2の底面2cで反射された光ビームや、可動ステージ3の底面3bで反射された光ビームと干渉することが回避されるため、アニール対象物2における光ビームの照射面2dからの深さによってアニール対象物2に与えられるエネルギーが異なることがなくなる。
【0050】
したがって、本発明を適用したレーザアニール装置1は、アニール対象物2に対して均一なエネルギーを与え、アニール対象物2を均一にアニールすることが可能となる。
【0051】
また、本発明を適用したレーザアニール装置1では、可動ステージの底面3bで反射した光ビームのエネルギーをアニール対象物2のアニールに寄与しないエネルギーとすることで、アニール対象物2に対して照射する光ビームのエネルギー調整することによって、アニール対象物2に与えるエネルギーを制御することが可能となる。
【0052】
したがって、本発明を適用したレーザアニール装置1は、アニール対象物2に対して所望のエネルギーを与えて均一にアニールを施すことが可能となる。
【0053】
また、本発明を適用したレーザアニール装置1によってa−Siをアニールしたときには、粒径が均一であるp−Siを作製することが可能となる。また、当該p−Siを使用して生成した薄膜トランジスタは、特性が安定したものとなる。
【0054】
なお、可動ステージ3は、αをブリュースター角としても良い。αをブリュースター角とすることにより、底面3bに入射した光ビームのうちp偏光が全て底面3bを透過する。
【0055】
また、αをブリュースター角とし、且つアニール対象物2に対して照射される光ビームを全てp偏光とすると、アニール対象物2に対して照射された後に、底面3bで反射した光ビームのエネルギーをほとんど0にさせることが可能となるため、アニール対象物2を透過した光ビームがアニール対象物2へ再度入射して、例えばアニール対象物2が不可逆の科学反応を起こして変質するなどの問題を回避することが可能となる。アニール対象物2に対して照射される光ビームを全てp偏光とする方法としては、例えば、レーザ光源4と光成形光学部5との間にp偏光のみを透過する偏光ビームスプリッタを設ける方法が挙げられる。
【0056】
また、可動ステージ3の形状は6つの四角形の面をもった六面体に限定されない。例えば、図3(A)に示すように、可動ステージ25を、載置面25aと相対する面が2つある形状としても良い。載置面25aと相対する面(以下相対面という。)が2つあるときには、2つの相対面25b,25cは、共に載置面25aに対してαの角度をなすように形成される。また、載置面25aと相対面25b及び25cとの距離dが、式1を満たす距離とされる。
【0057】
さらに、図3(B)に示すように、可動ステージ30は、載置面30aと相対する面を複数有する形状としても良い。載置面30aとの相対面が複数あるときには、全ての相対面30b,30c・・・が載置面30aに対してαの角度をなすように形成される。また、載置面30aと各相対面30b,30c・・・との距離dが、式1を満たす距離とされる。
【0058】
また、本実施の形態では、光成形光学部5は、レーザ光源4から射出された光ビームを、光軸に垂直な断面がライン状となるように成形しているが、光軸に垂直な断面がスポット状となるように成形しても良い。
【0059】
第2の実施の形態
つぎに、本発明の第2の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、本発明を、被検査物がSiO2基板であるフィゾー干渉計に適用した例について説明する。
【0060】
図4に示すように、フィゾー干渉計40は、被検査物41を載置するステージ42と、被検査物41に対向して配置された基準板43と、光ビームを射出するレーザ光源44と、レーザ光源44から射出された光ビームのうちp偏光を透過してs偏光を反射する偏光ビームスプリッタ45と、偏光ビームスプリッタ45が反射したs偏光を吸収する第1のビームディフューザ46と、偏光ビームスプリッタ45が透過したp偏光の光ビームを発散させる発散レンズ47と、発散レンズ47から射出された光ビームを透過するとともに被検査物41で反射された光ビームと基準板43で反射された光ビームとが干渉した光ビームを反射するハーフミラー48と、ハーフミラー48を透過した光ビームを平行光とするコリメータレンズ49と、ハーフミラー48によって反射された光ビームを集光して結像する第1の集光レンズ50と、第1の集光レンズ50によって結像された像を撮像する撮像素子51と、ステージ42を透過した光ビームを集光する第2の集光レンズ52と、第2の集光レンズ52によって集光された光ビームを吸収する第2のビームディフューザ53とを備える。
【0061】
ステージ42は、被検査物41が載置される。被検査物41は、検査面が基準板43と対向するようにステージ42上に載置される。なお、ステージ42については詳細を後述する。
【0062】
基準板43は、一方の主面が高精度に研磨されており、他方の主面には反射防止処理がなされている。高精度に研磨された主面は基準面43aという。基準板43は、基準面43aがステージ42と対向するように配置される。基準面43aに入射した光ビームのうち一部は反射し、一部は透過する。基準面43aを透過した光ビームは、被検査物41に照射される。基準板43は、例えばコーニング7740パイレックス(登録商標)によって形成される。
【0063】
レーザ光源44は、光ビームを射出する。本実施の形態では、レーザ光源44として、波長633nmのヘリウムネオンレーザが使用される。
【0064】
偏光ビームスプリッタ45は、レーザ光源44が射出した光ビームのうちp偏光を透過し、s偏光を反射する。偏光ビームスプリッタ45が透過したp偏光は発散レンズ47に入射し、偏光ビームスプリッタ45が反射したs偏光は第1のビームディフューザ46へ入射する。偏光ビームスプリッタ45がp偏光のみを透過することにより、被検査物41に対してp偏光のみが照射される。
【0065】
第1のビームディフューザ46は、偏光ビームスプリッタ45によって反射されたs偏光を吸収する。第1のビームディフューザ46が偏光ビームスプリッタ45によって反射されたs偏光を吸収することにより、偏光ビームスプリッタ45によって反射されたs偏光がフィゾー干渉計40の外部で反射して被検査物41へ入射することを防ぐことができる。
【0066】
発散レンズ47は、偏光ビームスプリッタ45から射出された光ビームを発散させながらハーフミラー48へ導光する。
【0067】
ハーフミラー48は、被検査物41において光ビームが照射される面(以下、照射面という。)41aで反射された光ビームと、基準板43の基準面43aで反射された光ビームとが干渉した光ビームを反射して、第1の集光レンズ50へ導光する。
【0068】
コリメータレンズ49は、発散レンズ47から射出した後にハーフミラー48によって透過された光ビームを平行光として基準板43へ導光する。また、コリメータレンズ49は、被検査物41の照射面41aで反射された光ビームと基準面43aで反射された光ビームとが干渉した光ビームを集光して、ハーフミラー48へ導光する。
【0069】
第1の集光レンズ50は、ハーフミラー48によって反射された光ビームを集光して結像する。すなわち、第1の集光レンズ50は、被検査物41の照射面41aで反射された光ビームと基準面43aで反射された光ビームとが干渉した光ビームを集光して結像する。
【0070】
撮像素子51は、第1の集光レンズ50が結像した像を撮像する。撮像素子51としては、例えばCCD(Charge Coupled Device)カメラなどが使用される。
【0071】
第2の集光レンズ52は、ステージ42において被検査物41を載置する主面(以下、載置面という。)42a、及び載置面42aに対して相対する面(以下、底面という。)42bを透過した光ビームを集光し、第2のビームディフューザ53に導光する。
【0072】
第2のビームディフューザ53は、第2の集光レンズ52によって集光された光ビームを吸収する。すなわち、第2のビームディフューザ53は、ステージ42の底面42bを透過した光ビームを吸収する。
【0073】
第2のビームディフューザ53は、例えば、図5(A),(B)に示すように、筒型で、頂点が筒の内側となるような円錐形の底面53aが備えられた形状とされており、内壁と底面の全面に亘って微小な溝が複数形成された構造とされている。また、第2のビームディフューザ53の色は黒色とされている。第2のビームディフューザ53に入射した光ビームは、乱反射して熱に変換されて吸収される。第2のビームディフューザ53が備えられることにより、ステージ42を透過した光ビームは全て吸収されることとなる。すなわち、フィゾー干渉計40では、第2のビームディフューザ53を備えるために、ステージ42を透過した光ビームがステージ42の外部で反射して、再度被検査物41に入射することが回避される。なお、第2のビームディフューザ53は、第2の集光レンズ52によって集光された光ビームの焦点位置からずれた位置に配置されることが好ましい。
【0074】
以下では、ステージ42について詳細に説明する。
【0075】
ステージ42は、被検査物41と接触する層(以下、下層という)を形成する材料と同じ材料で形成されている。本実施の形態では、被検査物41がSiO2であり、単層構造であるため、ステージ42は、SiO2によって形成される。
【0076】
また、ステージ42は、可動ステージ3と同様に、6つの四角形の面によって構成された六面体であり、底面42bが、載置面42aに対してブリュースター角βをなすように形成される。なお、ブリュースター角βは、以下の式2で示される。
【0077】
β=arctan(n2/n1)・・・式2
但し、n1はステージ42を形成する材料の屈折率を示し、n2は空気の屈折率を示す。
【0078】
ステージ42を、被検査物41の下層を形成する材料と同じ材料によって形成することで、被検査物41の下層の屈折率とステージ42との屈折率とが同じとなるため、被検査物41に入射した光ビームは、被検査物41におけるステージ42との接触面(以下、底面という。)41bで反射せずに、被検査物41の底面41bを透過する。
【0079】
載置面42aに対して底面42bがブリュースター角とされているときには、被検査物41の底面41bを透過した後にステージ42に入射した光ビームは、全てステージ42の底面42bで反射することはなく、ステージ42の底面42bを透過する。なお、ステージ42の底面42bに入射する光ビームは、レーザ光源44から射出した後に偏光ビームスプリッタ45を透過した光であるため、p偏光である。
【0080】
本実施の形態では、レーザ光源44から射出されるレーザ光の波長が633nmであり、波長633nmの光ビームに対するSiO2の屈折率は1.457である。したがって、n1=1.457、n2=1であるため、β=34.46°となる。すなわち、ステージ42は、底面42bが載置面42aに対して34.46°となるように形成されている。
【0081】
なお、被検査物41は、底面41bにマッチングオイルを塗布することなどによって、ステージ42に対して密着させることが好ましい。被検査物41とステージ42とを密着させないときには、被検査物41とステージ42との間に空気が入り混む可能性が生じる。空気の屈折率は被検査物41を形成する材料の屈折率と異なるために、被検査物41とステージ42の間に空気が入り混むと、被検査物41に対して照射された光ビームは、被検査物41の底面41bで反射してしまう。マッチングオイルとしては、例えば、ワイヤードジャパン株式会社製のベストマッチジェルBMG04が使用される。
【0082】
ステージ42を以上説明したように形成することにより、被検査物41の底面41bで光ビームが反射することを防ぐとともに、ステージ42の底面42bで光ビームが反射することを防ぐことが可能となる。
【0083】
また、第2のビームディフューザ53は、ステージ42の底面42bを透過した光ビームを吸収する。したがって、フィゾー干渉計40では、ステージ42の底面42bを透過した光ビームが再度被検査物41に入射することがなくなる。
【0084】
すなわち、フィゾー干渉計40は、被検査物41に対して光ビームを均一に照射することが可能となる。また、被検査物41の底面41bで反射した光ビームや、ステージ42の底面42bで反射した光ビームが、基準面43aで反射した光ビーム及び被検査物41の照射面41aで反射した光ビームなどと干渉することを回避することが可能となる。
【0085】
以上説明したフィゾー干渉計40の動作は、以下に説明する通りとなる。
【0086】
先ず、レーザ光源44が光ビームを射出する。射出された光ビームは、偏光ビームスプリッタ45によりp偏光が透過され、s偏光が反射される。偏光ビームスプリッタ45によって透過されたp偏光は発散レンズ47へ入射し、発散レンズ47によって発散され、ハーフミラー48へ導光される。また、偏光ビームスプリッタ45によって反射されたs偏光は、第1のビームディフューザ46によって吸収される。
【0087】
次に、ハーフミラー48は、入射されたp偏光の光ビームを透過して、コリメータレンズ49へ供給する。コリメータレンズ49は、ハーフミラー48が射出した光ビームを平行光として、基準板43へ導光する。
【0088】
次に、基準板43では、基準面43aに入射された光ビームの一部が反射し、一部が透過する。基準面43aを透過した光ビームは、被検査物41に照射される。
【0089】
そして、被検査物41は、照射された光ビームのうち一部を照射面41aで反射し、一部を透過する。照射面41aを透過した光ビームは、被検査物41の底面41b及びステージ42の底面42bを透過した後に、第2の集光レンズ52によって集光され、第2のビームディフューザ53によって吸収される。
【0090】
一方、被検査物41の照射面41aで反射した光ビームは、基準面43aで反射した光ビームと干渉して、ハーフミラー48へ入射する。
【0091】
ハーフミラー48は、被検査物41の照射面41aで反射した光ビームと基準面43aで反射した光ビームとが干渉した光ビームを、第1の集光レンズ50へ導光する。
【0092】
次に、第1の集光レンズ50は、被検査物41の照射面41aで反射した光ビームと基準面43aで反射した光ビームとが干渉した光ビームを集光して結像する。
【0093】
そして、撮像素子51が、第1の集光レンズ50によって結像された像を撮像する。フィゾー干渉計40では、撮像素子51が撮像した像の干渉縞の広がりや形状より、被検査物41の照射面41aの形状を測定することができる。
【0094】
以上説明したように、本発明を適用したフィゾー干渉計40では、ステージ42が被検査物41を形成する材料と同じ材料で形成されているために、被検査物41の照射面41aを透過した光ビームは、全て被検査物41の底面41bを透過してステージ42へ入射する。
【0095】
また、本発明を適用したフィゾー干渉計40では、ステージ42が、載置面42aに対する底面42bの角度がブリュースター角をなすように形成されており、且つステージ42に入射する光ビームはp偏光とされている。すなわち、被検査物41の底面41bを透過した光ビームは、全てステージ42の底面42bを透過する。
【0096】
さらに、本発明を適用したフィゾー干渉計40は、ステージ42の底面42bを透過した光ビームを吸収する第2のビームディフューザ53を備える。すなわち、被検査物41の照射面41aを透過した光ビームは、全て第2のビームディフューザ53に吸収されることとなる。
【0097】
したがって、本発明を適用したフィゾー干渉計40では、被検査物41の照射面41aを透過した光ビームが、被検査物41の照射面41aで反射した光ビームや、基準面43aで反射した光ビームなどと干渉することが回避される。すなわち、フィゾー干渉計40によれば、被検査物41の照射面41aの形状を正確に測定できる。
【0098】
また、本発明を適用したフィゾー干渉計40では、被検査物41の照射面41aを透過した光ビームが被検査物41の底面41bに到達した後に、再度被検査物41内を通過することがなくなる。
【0099】
したがって、本発明を適用したフィゾー干渉計40は、被検査物の表面形状を、裏面形状などに影響されることなく正確に測定することが可能となる。
【0100】
【発明の効果】
本発明に係る照射装置は、照射手段が被照射物に対して照射した光ビームが、被照射物におけるステージとの接触面で反射することを防ぐことができる。また、被照射物におけるステージとの接触面を透過した光ビームが、ステージにおける被照射物を載置する面と相対する面で反射して再度被照射物に入射したときに、照射手段によって被照射物に対して照射される光ビームと干渉することを防ぐことができる。
【0101】
すなわち、本発明に係る照射装置では、被照射物に対して与えられるエネルギーが、被照射物における光ビームが照射される面からの深さによって変化することを防ぐことが可能となる。
【0102】
したがって、本発明に係る照射装置によれば、被照射物に対して均一な照射を施し、均一なエネルギーを与えることが可能となる。
【0103】
また、本発明に係る照射装置は、照射手段が被照射物に対して照射した光ビームが、被照射物におけるステージとの接触面やステージにおける被照射物が載置される面と相対する面で反射することを防ぐことができる。また、本発明に係る照射装置は、被照射物を透過した光ビームが、被照射物や当該照射装置の光路へ入射することを防ぐことができる。
【0104】
すなわち、本発明に係る照射装置は、被照射物に対して与えられるエネルギーが、被照射物における光ビームが照射される面からの深さによって変化することを防ぐことが可能となる。また、被照射物におけるステージとの接触面を透過した光ビームが、被照射物における光ビームが照射される面で反射した光ビームなどと干渉することを防ぐことができる。
【0105】
したがって、本発明に係る照射装置によれば、被照射物における光ビームの照射面を、正確に測定することが可能となる。また、本発明に係る照射装置によれば、被照射物に対して均一な照射を施し、均一なエネルギーを与えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したレーザアニール装置を示す模式図である。
【図2】同レーザアニール装置に備えられる可動ステージを示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は側面図である。
【図3】同レーザアニール装置に備えられる可動ステージの他の形状を示す側面図である。
【図4】本発明を適用したフィゾー干渉計を示す模式図である。
【図5】同フィゾー干渉計に備えられるビームディフューザの一例を示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は一部切り欠き斜視図である。
【図6】従来のレーザアニール装置を示す模式図である。
【図7】従来のフィゾー干渉計を示す模式図である。
【図8】被照射物に対して光ビームを照射したときに、照射された光ビームが被照射物の底面で反射する状態を示す図である。
【符号の説明】
1 レーザアニール装置、2 アニール対象物、3,25,30 可動ステージ、4 レーザ光源、5 光成形光学部、6 反射鏡
Claims (6)
- 光ビームを射出するレーザ光源と、
被照射物を支持するステージと、
上記レーザ光源から射出された光ビームを導光し、被照射物に垂直に照射する照射手段とを備え、
上記ステージは、上記被照射物における当該ステージと接触する層を形成する材料と屈折率が同一である材料によって形成されるとともに、上記被照射物を載置する面に相対する面が、上記被照射物を載置する面に対してα(但し、0°<α<90°)の角度をなしており、上記被照射物を載置する面と上記被照射物を載置する面に相対する面との距離dが、以下の式1に示す条件を満たすこと
を特徴とする照射装置。
d+t>r{1/tan2α(1+1/cos2α)−tanα}・・式1
(但し、rは、被照射物上に生じるスポットの、被照射物を載置する面に相対する面の傾斜方向に沿ったスポット径の半分であり、tは、被照射物におけるステージと接触する層の厚さである。) - 上記αはブリュースター角とされていること
を特徴とする請求項1記載の照射装置。 - 上記ステージにおける上記被照射物を載置する面に相対する面から射出する光ビームを吸収する光ビーム吸収手段を備えること
を特徴とする請求項2記載の照射装置。 - 光ビームを射出するレーザ光源と、
被照射物を支持するステージと、
上記レーザ光源から射出された光ビームを導光し、被照射物に垂直に照射する照射手段とを備え、
上記ステージは、上記被照射物における上記ステージと接触する面を構成する材料と屈折率が同一である材料によって構成されるとともに、上記被照射物を載置する面に相対する面が、上記被照射物を載置する面に対してブリュースター角をなしていること
を特徴とする照射装置。 - 上記被照射物に照射される光ビームはp偏光とされていること
を特徴とする請求項4記載の照射装置。 - 上記ステージにおける上記被照射物を載置する面に相対する面から射出する光ビームを吸収する光ビーム吸収手段を備えること
を特徴とする請求項4記載の照射装置。
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Cited By (1)
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---|---|---|---|---|
US8501519B2 (en) | 2009-12-16 | 2013-08-06 | Showa Shell Sekiyu K.K. | Method of production of CIS-based thin film solar cell |
-
2002
- 2002-11-08 JP JP2002325804A patent/JP2004165195A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060110 |