JP4117585B2 - 光学装置の検査方法及び装置、露光装置、並びに露光装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定の光学装置の波面収差等の光学特性の検査を行うための検査方法及び検査装置に関し、特に紫外光やX線等を用いてマスクパターンを基板上に転写する露光装置の投影光学系の検査を行う場合に使用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子等を製造するためのリソグラフィ工程で使用されている露光装置においては、半導体素子等の微細度が益々向上するのに対応すべく、マスクパターンの像をウエハ等の基板上に転写する投影光学系の結像特性を更に高めることが求められている。このためには、投影光学系の波面収差の状態を高精度に計測する必要があり、従来よりその波面検査用として、露光光とは異なるHe−Neレーザ光よりなる検査光を用いたトワイマングリーン干渉計やフィゾー干渉計が使用されていた。この測定法は、He−Neレーザ光の持つ非常に高い可干渉性を利用して、被検光学系を通過した光束と別の参照面からの光束とを干渉させることで、被検光学系を通過した光束の波面の状態を測定するものである。
【0003】
ところが、このように異なる光路の2つの光束を用いる計測法では、振動等の影響で干渉縞が不規則に変動し易い、高精度な基準平面波を作るために高精度で大型の光学部品が必要になる、2つの光路の調整が難しいといった不都合がある。そこで、被検光学系(光学装置)を通過した光束の一部から参照光を生成するポイント・ディフラクション干渉計(PDI:例えば特開昭57−64139号公報参照)が提案されている。ポイント・ディフラクション干渉計であれば、計測光と参照光との光路はほぼ同じであるため、例えば可干渉性のあまりよくない露光光であってもそのまま検査光としても使用できると共に、光路の調整も容易である。
【0004】
特に、最近は露光光(露光エネルギービーム)として、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)のような紫外光の他に、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)のような遠紫外光も使用されつつある。また、軟X線(波長:数10nm〜1nm程度)、更には硬X線(波長:1nm程度以下)を露光光として使用することも検討されている。このような短波長の露光光に対しては、透過率の良好な硝材が少ないため、所定の多層の反射コーティングを施した凹面鏡や平面鏡等を組み合わせた投影光学系の使用が検討されている。なお、例えばArFエキシマレーザ光については、透過用の硝材として石英や蛍石等が知られているが、これらの硝材を使用する場合には透過率を高くするために透過コーティングの性能を高める必要がある。このような反射コーティグ、又は透過コーティングの特性も含めて投影光学系の波面検査を行うためには、検査光として露光光を使用する必要があり、このためにもポイント・ディフラクション干渉計が好適である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の如く露光装置の投影光学系の波面検査を行う際には、ポイント・ディフラクション干渉計であれば、検査光として露光光がそのまま使用できると共に、光路の調整も容易である。ところが、従来のポイント・ディフラクション干渉計で得られる干渉縞は静止しているため、或る2つの計測点間の干渉縞の位相差を高精度に計測することは困難であった。そのために、波面検査の精度を高めることが困難であり、且つ検査結果の再現性もあまりよくないという不都合があった。即ち、従来のポイント・ディフラクション干渉計は、種々の利点を有するにも拘らず、精度面では必ずしも十分ではなかった。
【0006】
同様に、ポイント・ディフラクション干渉計以外の干渉計であっても、検出光として実際に被検光学系に照射される照明光(露光光等)を使用して、被検光学系を通過した光束の一部から参照光を生成するような干渉計(例えばゾーンプレート干渉計)においては、得られる干渉縞のSN比が悪くなり易いため、所望の計測点での干渉縞の位相を高精度に検出できる手法が待たれていた。
【0007】
本発明は斯かる点に鑑み、被検物としての光学装置を通過した光束とこの光束の一部から生成される参照光との干渉光の位相を高精度に検出できる光学装置の検査方法を提供することを第1の目的とする。
更に本発明は、検出用の照明光としてあまり可干渉性の良好でない光束が使用された場合でも、干渉光の位相の2次元的な分布を高精度に検出できる光学装置の検査方法を提供することを第2の目的とする。
【0008】
更に本発明は、そのような検査方法を実施できる光学装置の検査装置、又はそのような検査方法を実施できる露光装置を提供することを第3の目的とする。
また、本発明は、そのような検査方法を用いて投影光学系を高精度に検査することができる露光装置の製造方法を提供することを第4の目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明による第1の光学装置の検査方法は、光学装置の検査方法であって、被検物である光学装置(3)に光束(紫外光、X線等)を通すステップと、その光学装置を通った光束を運動中の回折格子(22)に通して、その光学装置を通った光束の一部から回折光を発生させるステップと、その運動中の回折格子から発生した回折光と、その光学装置を通った他の光束との干渉光を検出するステップと、その干渉光の検出結果に基づいて、その光学装置の光学特性を検査するステップと、を具備するものである。
斯かる本発明によれば、例えばその光学装置を通過した光束から分岐される2つの光束の干渉光が検出されるため、その光束の可干渉性があまり良好でない場合でもその干渉光のコトラストが良好であり、その干渉光の2次元的な位相分布を高精度に検出することができる。更に、その回折格子が運動していると、その干渉光の位相が変化するため、その干渉光の位相分布が例えばヘテロダイン干渉方式で高精度に検出される。
【0010】
また、本発明による第2の光学装置の検査方法は、光学装置の検査方法であって、被検物である光学装置(3)に光束を通すステップと、運動中の回折格子によってその光束の一部から発生した回折光と、その光学装置を通った他の光束との干渉光を生成するステップと、その回折格子の運動中に、その干渉光を検出するステップと、その干渉光の検出結果に基づいて、その光学装置の光学特性を検査するステップと、を具備するものである。
斯かる本発明においても、その回折光とその光学装置を通った光束との干渉光の位相が変化するため、例えば初期状態での干渉光と、位相を所定角度(例えば90°)変化させたときの干渉光とを用いることによって、その干渉光の位相(ひいては位相分布)が高精度に検出される。
【0011】
次に、本発明による第1の光学装置の検査装置は、被検物である光学装置(3)を通った光束の光路上に配置され、該光束の一部から回折光を発生させる回折格子(22)と、その回折格子を運動させる駆動装置(23)と、その回折格子の運動中に、その回折光とその光学装置を通った他の光束との干渉光を受光する検出装置(15)と、を具備し、その検出装置が受光したその干渉光に基づいて、その光学装置の光学特性を検出するものである。斯かる検査装置によって本発明の第1の光学装置の検査方法が実施される。
【0013】
また、本発明による第2の光学装置の検査装置は、被検物としての光学装置(3)を通過した光束の光路上に配置された回折格子(22)と、この回折格子を振動させる駆動系(23)と、この駆動系を介した回折格子(22)の振動中に、被検物(3)を通過した光束と回折格子(22)によって発生する回折光とのヘテロダイン干渉光を受光する検出系(15)と、を有し、その検出系の検出信号に基づいてその光学装置の光学特性を検出するものである。
【0014】
斯かる本発明によれば、光学装置(3)を通過した計測光としての光束と、この光束の一部から回折格子によって発生する参照光としての回折光との干渉光が検出される。この際に、回折格子を光学装置(3)からの光束の進行方向を横切る方向に振動させることによって、その参照光の位相が変化してヘテロダイン干渉光が得られる。例えば検出系(15)によって2箇所でそのヘテロダイン干渉光を光電変換し、得られる2つの検出信号(光ビート信号)の位相を比較することによって、その2箇所間での干渉光の位相差を高分解能で高精度に検出できる。従って、本発明の第1の検査方法が使用できる。また、この検査装置(以下の検査装置も同様)は干渉計ともみなすことができる。
【0015】
その被検物が例えば露光装置用の投影光学系である場合、本発明ではその被検物を通過した光束の一部を参照光としているため、その露光装置で使用される露光光の可干渉性が例えばX線のように悪い場合でも、その露光光を検査用の光束として使用できる。これによって、その被検物内のコーティング膜の影響を含めた測定を行うことができる。また、そのヘテロダイン干渉光をCCD型の2次元撮像素子で受光し、各画素からの撮像信号の位相を比較することによって、その被検物内の波面の位相の分布を細かいピッチで検出できる。
【0016】
また、本発明による第3の光学装置の検査装置は、被検物としての光学装置(3)を通過した光束より互いに光路の異なる2つの光束を発生する回折格子(22)と、この回折格子から発生する2つの光束(L0,L1)の内の一方の光束の光路上に配置されたピンホール状の回折部材(10)と、回折格子(22)を連続移動させる駆動系(23)と、この駆動系を介して回折格子(22)を連続移動させたときに回折格子(22)から発生する他方の光束と回折部材(10)によって発生する回折光とのヘテロダイン干渉光を受光する検出系(15)と、を有し、その検出系の検出信号に基づいてその光学装置の光学特性を検出するものである。
【0017】
斯かる本発明の第3の検査装置によれば、回折格子をピッチ方向に連続移動させると、この回折格子から発生する回折光の波面も移動して、周波数変調が行われる。その波面の位相の変化速度は回折光の次数によって異なるため、その回折格子から異なる方向に発生する2つの光束の干渉光はヘテロダイン干渉光となり、2つの計測点間での位相差を高精度に検出できる。従って、本発明の第1の検査方法が使用できる。
【0018】
次に、本発明の第4の光学装置の検査装置は、被検物としての光学装置(3)を通過した光束を回折して互いに回折次数の異なる2つの光束(L0,L1)を発生する所定ピッチの回折格子(22)と、この回折格子から発生する2つの光束の内の一方の光束の光路上に配置されたピンホール状の回折部材(10)と、回折格子(22)を移動させる駆動系(26)と、この駆動系を介して回折格子(22)をその所定ピッチの1/nずつ(nは3以上の整数)所定回数ステップ移動させたときにそれぞれ回折格子(22)から発生する2つの光束(L0,L1)の内の他方の光束と回折部材(10)によって発生する回折光との干渉光を受光する検出系(15)と、を有し、その検出系の検出信号に基づいてその光学装置の光学特性を検出するものである。
【0019】
斯かる本発明の第4の検査装置によれば、回折格子(22)をピッチ方向に移動することによって回折光の位相が変化し、得られる干渉光の位相も変化する。そして、回折格子(22)の位置を複数の位置に変えてときに得られるその干渉光の強度を演算することによって、その干渉光の位相を高精度に検出できる。従って、本発明の第2の検査方法が使用できる。
また、本発明による第3の光学装置の検査方法は、光学装置の検査方法であって、光源から射出された光束をその光学装置に通すステップと、その光束を回折格子に通し、その光束の一部から参照光を発生させるステップと、その回折格子を運動させている間に、その光学装置を通った光束とその参照光との干渉光を検出するステップと、その干渉光の検出結果に基づいて、その光学装置の光学特性を検査するステップと、を具備するものである。
この本発明の第3の光学装置の検査方法によれば、第2の光学装置の検査方法と同様に、その干渉光の位相(ひいては位相分布)が高精度に検出される。
また、本発明による第5の光学装置の検査装置は、光源から射出された光束を光学装置に入射させ、その光学装置を通ったその光束とその光束から生成した回折光とを干渉させることによって、その光学装置を検査する検査装置であって、その光束の一部を回折してその回折光を発生する回折格子と、その回折格子を運動させる駆動装置と、その回折格子の運動中に、その光束とその回折光との干渉光を受光する検出装置と、を具備し、その検出装置が受光したその干渉光に基づいて、その光学装置の光学特性を検出するものである。
また、本発明による第4の光学装置の検査方法は、光源から射出された光束を光学装置に入射させ、その光学装置を通ったその光束とその光束から生成した回折光とを干渉させることによって、その光学装置を検査する検査方法であって、その光束の一部を回折格子で回折してその回折光を発生させるステップと、その回折格子を運動させるステップと、その回折格子の運動中に、その光束とその回折光との干渉光を受光するステップと、その検出装置が受光したその干渉光に基づいて、その光学装置の光学特性を検出するステップとを具備するものである。
この本発明の第5の光学装置の検査装置及び第4の光学装置の検査方法によれば、第1の光学装置の検査方法又は検査装置と同様に、その干渉光の位相分布を例えばヘテロダイン干渉方式で高精度に検出できる。
【0020】
次に、本発明による露光装置の製造方法は、投影光学系(PL)を介して、マスク(R)に形成されたパターンの像を基板(W)上に転写する露光装置の製造方法であって、その検査対象の光学系としてのその投影光学系に露光光を通すステップと、その投影光学系から出射された露光光を回折格子(22)に通し、その回折格子の運動中に、その露光光の一部から回折光を発生させるステップと、その回折光と、その投影光学系から出射した他の露光光との干渉光を検出するステップと、その干渉光の検出結果に基づいて、その投影光学系の光学特性を検査するステップと、その検査の結果に基づいて、その投影光学系を調整するステップと、を具備するものである。
斯かる製造方法によれば、本発明の検査方法によって、その露光光の可干渉性が低い場合でも、実際に露光する状態で高精度にその投影光学系の波面収差等が検査できるため、この検査結果に基づいてその投影光学系を高精度に組み立てることができる。
【0021】
次に、本発明による露光装置は、投影光学系(PL)を介して、マスク(R)に形成されたパターンの像を基板(W)上に転写する露光装置であって、その投影光学系から出射した露光光の光路上に配置され、該露光光の一部から回折光を発生させる回折格子(22)と、この回折格子を運動させる駆動装置(23)と、この回折格子の運動中に、その回折光とその投影光学系から出射した他の露光光との干渉光を受光し、受光したその干渉光に基づいて、その投影光学系の光学特性を検出する検出装置とを有するものである。斯かる露光装置によれば、本発明の検査方法が使用できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施の形態につき図1及び図2を参照して説明する。本例は、ステッパーのような投影露光装置に装着される投影光学系の波面検査を行うためのポイント・ディフラクション干渉計に本発明を適用したものである。
【0023】
図1は、光学装置の検査装置としての本例のポイント・ディフラクション干渉計(PDI)を示し、この図1において、波面検査の対象である被検光学系3として、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、F2 レーザ光(波長157nm)等の紫外光、又は波長10nm程度以下のX線を露光光とする投影露光装置の投影光学系が設置されている。本例の投影光学系は、反射系のみで構成された結像系であり、マスクパターン(不図示)からの露光光は、第1ミラー4、凹面鏡5、凸面鏡6、凹面鏡5、及び第2ミラー7を経てレジストが塗布されたウエハ(不図示)に至り、このウエハ上にマスクパターン像が投影されるように構成されている。また、ミラー4,7、凹面鏡5、及び凸面鏡6の各反射面には紫外光、又はX線に対する反射率を高めるための多層の反射コーティング膜が形成されており、本例ではこれらの多層の反射コーティング膜の特性、及び反射面の微細な凹凸の影響を含めた波面収差の測定を行うために、検査用の光束として露光光そのものを使用する。
【0024】
なお、露光光としてX線を使用するときに、検査用の光束としてHe−Neレーザ光を使用するものとすると、He−Neレーザ光は多層の反射膜の上層で反射されてしまい、下層の反射膜に起因する波面の悪化等を検出することができなくなる。また、He−Neレーザ光の波長はX線の波長の100倍程度であるため、反射面の凹凸等の検査精度がかなり低下する。この点でも露光光そのものを使用する本例のポイント・ディフラクション干渉計が有利である。
【0025】
図1において、紫外光源、又はX線源を備えた光源系1から射出された露光光と同じ波長域の光束Lは、小さい円形開口が形成されたパターン板2を照明し、パターン板2内の開口を通過した光束Lは、被検光学系3を介してポイント・ディフラクション用のプレート8上にその開口の像(点像)を形成する。プレート8は、光束Lを透過する基板より形成され、プレート8の入射面には光束Lに対する透過率が5%以下で、且つ僅かに光束Lを透過する膜9が形成され、この膜9の一部に光束Lを透過するピンホール10が形成されている。本例では、被検光学系3による点像はほぼピンホール10上に形成され、入射する光束Lの一部はピンホール10で回折されて参照光Lrになり、残りの光束はピンホール10を含む領域を透過して計測光Lmとなり、参照光Lr及び計測光Lmは干渉光として観察系15に入射する。
【0026】
この場合、ピンホール10はその点像よりも小さく形成されており、ピンホール10から発生する回折光としての参照光Lrの波面は、その点像に対して理想的な球面波Wrとなる。この球面波Wrと、計測光Lmの波面Wmとを干渉させて得られる干渉縞の位相分布を観察系15で観察することによって、計測光Lmの波面Wm、即ち被検光学系3を通過した光束の波面の歪み(球面収差等)が計測される。観察系15において、参照光Lr及び計測光Lmよりなる干渉光は、マイクロチャネルプレート(MCP)16に入射する。マイクロチャネルプレート16は、それぞれ入射するビームのエネルギーに応じた量の電子線を発生する微小なエレメントを多数2次元的に密に配列したものであり、マイクロチャネルプレート16の射出面に電子線の照射によって例えば可視域の蛍光を発する蛍光板17が配置され、蛍光板17から発生した蛍光は対物レンズ19を介して、CCD型等の2次元の撮像素子20の撮像面に干渉縞を形成する。
【0027】
蛍光板17上にはマイクロチャネルプレート16の入射面に形成されている紫外光、又はX線による干渉縞に比例するエネルギー分布の可視光による干渉縞が形成されると共に、蛍光板17と撮像素子20の撮像面とは共役であるため、この撮像面にはマイクロチャネルプレート16の入射面に形成される干渉縞と相似の干渉縞が形成される。撮像素子20の撮像信号Sはコンピュータよりなる制御装置13に供給されており、制御装置13では、その撮像信号Sを処理して干渉縞の各部の所定の基準点に対する位相差を検出する。
【0028】
なお、光束LがArFエキシマレーザ光、又はF2 レーザ光のような紫外光である場合には、CCD型撮像素子であれば或る程度の感度を有するため、マイクロチャネルプレート16の代わりに直接その撮像素子を配置するようにしてもよい。また、光束LがX線である場合には、マイクロチャネルプレート16の代わりにX線蛍光板を配置し、この裏面に撮像素子を配置するようにしてもよい。
【0029】
さて、撮像素子20からは参照光Lrと計測光Lmとを干渉させた干渉縞の撮像信号Sが出力されるが、その干渉縞が静止している状態では2点間の位相差を高精度に検出するのは困難である。特に、図1の構成において、被検光学系3の結像性能が良好で波面収差がほとんど無い状態では、計測光Lmも参照光Lrとほとんど同一の球心を有する球面波となるために、干渉縞はほとんど発生しない。このような場合でも、2点間の位相差を高精度に検出するために、本例ではプレート8を振動させることによって、参照光Lrと計測光Lmとの干渉光を、強度が時間と共に変動するヘテロダイン干渉光にする。
【0030】
そのため、プレート8には支持具11を介して加振器12が接続され、制御装置13が発振回路14を介して加振器12を駆動することによって、プレート8が入射する光束Lを横切る方向D1に所定の振幅で振動するように構成されている。プレート8の振動の振幅は、入射する光束Lにより形成される点像からピンホール10が外れない程度に設定され、その振動の周波数は撮像素子20が1画面分の撮像信号を順次読み出すためのサンプリング周波数よりも十分に低く設定されている。加振器12としては、ボイスコイルモータや圧電素子等が使用できる。このようにプレート8を入射する光束Lを横切る方向D1に振動させると、参照光Lrの球面波Wrの中心がその方向D1に振動するため、得られる干渉縞(図1の場合にはほぼ明暗の変化)もその方向D1に振動する。従って、その振動中でプレート8が一方向に移動しているときには、その干渉縞もその方向に移動するため、制御装置13ではそれに同期して撮像素子20から順次1画面分の撮像信号を読み出して内部の画像メモリに格納していく。その後、制御装置13は、内部の画像メモリから例えば2つの計測点に対応する撮像信号(ほぼ正弦波状に変化する信号)を読み出し、これら2つの撮像信号の位相差を求めることによって、2つの計測点での干渉縞の位相差が高精度に求められる。
【0031】
なお、プレート8は、入射する光束Lの光路に沿った方向D2に振動させてもよい。このようにプレート8(ピンホール10)を方向D2に振動させると、撮像素子20の撮像面には同心円状の干渉縞が形成され、この干渉縞が中心から湧き出るように、或いは吸い込まれるように流れる。そこで、例えばその干渉縞の位相が360°変化するまでの間に、撮像素子20を介して例えば数枚の干渉縞の像を撮像して、制御装置13でその数枚の干渉縞を解析することで、2次元の位相分布を求めることができる。この際に、例えば数枚の干渉縞の各計測点の撮像信号を正弦波状の関数で補完することによって、位相分布を高精度に求めることができる。同様に、各画素間の位相も補完することによって、計測点の分解能も向上できる。
【0032】
図2(a)は、図1でプレート8を光束Lの光路に沿った方向D2に振動する場合に、或る時点で撮像素子20によって観察される干渉縞21を示し、この図2(a)において、干渉縞21は同心円状に変化するが、一部が被検光学系3の波面収差によって歪んでいる。このとき、例えば中心から同じ距離にあり、且つ円周方向に90°離れた2つの計測点A及びBでの位相差を計測する場合、その干渉縞を撮像して得られる撮像信号より、計測点A及びBの画素から読み出される撮像信号を時系列に配列すると、それぞれ図2(b)及び(c)に示す撮像信号SA及びSBが得られる。実際には撮像信号は所定の時間間隔で離散的に得られており、撮像信号SA,SBは得られた撮像信号を正弦波で近似したものである。この場合、2つの撮像信号SA,SBの位相差Δφは極めて高い分解能で、且つ高精度に算出できるため、結果として計測点A及びBの間の干渉縞の位相差Δφも高精度に計測できることになる。更に、例えば図2(a)の干渉縞21の中心の位相を基準として、他の計測点での位相差を求めることによって、干渉縞21の各点での位相分布が高精度に求められ、この位相分布より図1の被検光学系3の波面検査が行われる。
【0033】
このように本例によれば、プレート8(ピンホール10)を振動させることによってヘテロダイン干渉光を得ているため、ポイント・ディフラクション干渉計の実際の露光光を用いて計測できるという利点を活かした上で、干渉縞の位相分布を高精度に計測することができる。
次に、本発明の第2の実施の形態につき図3及び図4を参照して説明する。図1の実施の形態では、参照光Lrと計測光Lmとが同じような波面になるため、被検光学系3の結像特性が良好である場合には干渉縞ができなくなり、検出感度が低下する恐れがあった。そこで、本例では特開昭57−64139号公報に開示されているように、被検光学系による点像に対して参照光の球心を相対的にシフトさせると共に、本発明によるヘテロダイン化の技術を適用する。
【0034】
図3は、光学装置の検査装置としての本例のポイント・ディフラクション干渉計(PDI)を示し、この図1に対応する部分に同一符号を付して示す図3において、被検光学系3とピンホール10を有するプレート8との間に回折格子22が配置され、更に回折格子22とプレート8との間に回折格子22からの0次光及び+n次回折光(nは1以上の整数)以外の回折光を遮光するための遮光板24が配置されている。光束LがX線である場合で波長が特に短いときには回折格子22としてX線回折を起こす結晶が使用できる。
【0035】
そして、パターン板2の開口を通過した光束Lは、被検光学系3によって集光されて回折格子22に至り、回折格子22を透過した0次光L0 は、プレート8の表面の小さい透過率を有する膜上に点像を形成する。その点像から発散する光束の内で、プレート8上の膜を透過した光束としての計測光Lmは観察系15に入射する。一方、光束Lによる回折格子22からの+n次回折光L1 は、プレート8のピンホール10上に集光され、ピンホール10で回折される球面波よりなる参照光Lrは、計測光Lmと共に干渉光として観察系15に入射する。本例では、計測光Lmの波面の球心(点像)と参照光Lrの波面の球心とが十分に離れているため、被検光学系3に収差が無いときに得られる干渉縞は平行等間隔の縞となる。そして、被検光学系3に球面収差があるときにはその縞の間隔が乱れるため、波面検査が容易になる。
【0036】
但し、本例においても干渉縞が静止していると、異なる計測点間での位相差の検出を高精度に行うのが困難である。そこで、図3において、回折格子22にリニアモータ等の駆動部23を設け、干渉縞の計測時に回折格子22をピッチ方向に一定の速度Vで移動することによって+n次回折光L1 を周波数変調(位相変調とも言える)して、ヘテロダイン干渉光を得る。
【0037】
図4は、回折格子22の移動によって+n次回折光L1 が変調される様子を示し、先ず図4(a)の状態では、光束Lの波長をλ、回折格子22のピッチをPとして、+n次回折光L1 の回折角θは、次式を満たしている。
P・sin θ=n・λ (1)
また、図4(a)の時点で位置27における0次光L0 の波面、及び+1次回折光L1 の波面25の位相は等しいものとして、その位相をφ0 とすると、位置27での0次光L0 、及び+1次回折光L1 の振幅Dはsin(φ0)と表すことができる。次に、図4(a)の状態から時間tが経過した状態を図4(b)とすると、回折格子22はピッチ方向にa(=V・t)だけ移動しているため、+1次回折光L1 の波面25の位相の進み量をφとすると、進み量φは次のようになる。
【0038】
また、光束Lの周波数をfとすると、図4(b)の位置27での0次光の振幅はsin(2π・ft+φ0)となり、+1次回折光L1 の振幅D’は次のようになる。
【0039】
これより、回折格子22からの+1次回折光L1 よりなる参照光Lrは、計測光Lmに対してn・V/Pだけ周波数変調を受けていることになり、参照光Lr及び計測光Lmよりなるヘテロダイン干渉光の強度は周波数n・V/Pで正弦波状に変化する。従って、観察系15内の撮像素子20(図1参照)でその周波数n・V/Pよりも高い周波数で干渉縞の撮像信号をサンプリングすることによって、得られる干渉縞の各部の位相(例えば干渉縞の中心を基準とした位相差)を高精度に検出できる。
【0040】
次に、本発明の第3の実施の形態につき図5を参照して説明する。図3の実施の形態では、回折格子22を移動してヘテロダイン干渉光を生成したが、本例では回折格子22を所定のステップ量ずつ移動しては干渉縞を撮像するものであり、図5において図3に対応する部分には同一符号を付してその詳細説明を省略する。
【0041】
図5は、本例のポイント・ディフラクション干渉計を示し、この図5において、回折格子22を透過する0次光L0 の一部が、プレート8の膜を透過して波面Wmを有する計測光Lmとなり、回折格子22からの+n次回折光(nは1以上の整数)L1 の一部が、プレート8上のピンホール10によって回折されて球面波Wrよりなる参照光Lrとなる。そして、参照光Lrと計測光Lmとを合成して得られる干渉縞が図3の観察系15内の撮像素子で撮像される。
【0042】
また、本例の回折格子22は、例えばピエゾ素子等からなる駆動素子26に固定され、駆動素子26によって回折格子22をピッチ方向に微少量ずつステップ移動できるように構成されている。本例では、回折格子22のピッチをPとしたとき、一例として回折格子22が初期状態で静止しているときに干渉縞を撮像し、次に回折格子22をP/4(位相差では90°)だけピッチ方向に移動した後に干渉縞を撮像する。この場合、回折格子22が各点で静止しているときに生成される干渉縞はホモダイン干渉光ともみなすことができる。そして、回折格子22が初期状態での所望の計測点での干渉縞の位相をΘとすると、回折格子22が初期状態でのその計測点での干渉縞の強度I(0)、及びP/4だけ移動した後のその干渉縞の強度I(90)は、所定の振幅I0 を用いて次のように表すことができる。
【0043】
なお、強度I(0),I(90)には実際にはオフセット分が含まれているが、このオフセット分は例えば所定の領域内の画素の撮像信号を平均化することで算出できる。そこで、(4)式、(5)式ではそのオフセットは差し引いてあるものとする。そこで、(4)式を(5)式で除算すると次のようになる。
【0044】
tan Θ=I(0)/I(90)
これより、その計測点での位相Θは、次のように2つの強度I(0),I(90)から計算できる。
Θ=arctan{I(0)/I(90)} (6)
従って、2つの干渉縞の撮像信号を用いて、(6)式よりその干渉縞の各部での位相を計算できるため、結果として位相分布を高精度に計算できる。
【0045】
なお、実際には干渉縞の直流成分も正確に求めるために、0°、90°、180°、270°で干渉縞を撮像することが望ましい。このためには、図5において、回折格子22が初期状態にあるとき、回折格子22をP/4だけ移動した状態、回折格子22をP/2だけ移動した状態、及び回折格子22を3P/4だけ移動した状態でそれぞれ干渉縞を撮像すればよい。初期状態における所望の計測点での干渉縞の位相をΘとすると、所定のオフセットDCを用いて位相が0°、90°、180°、270°での干渉縞の各強度I(0),I(90),I(180),I(270)は次のようになる。
【0046】
これらの式より次式が得られる。
【0047】
tan Θ={I(0)−I(180)/{I(90)−I(270)}
従って、その計測点での位相Θは、次のように4つの強度I(0)〜I(270)から正確に計算できる。
Θ=arctan{(I(0)-I(180))/(I(90)-I(270))} (11)
なお、上記の実施の形態では、図1に示すように、被検光学系3として反射系よりなる投影光学系が使用されているが、被検光学系は屈折系、又は反射屈折系であってもよいのは言うまでもない。また、被検光学系としては、点像を形成しない(焦点を結ばない)光学系であってもよい。この場合には、被検光学系とピンホール10との間に収差が無視できる程小さい、或いは収差が高精度に計測されている収束光学系を配置して、点像を形成すればよい。
【0048】
また、被検光学系3としては、投影光学系以外の照明系や、他の観察光学系等も使用できる。更に、本発明はポイント・ディフラクション型のみならず、被検光学系(被検物)を通過した光束の一部を参照光にする干渉計全般に適用できるものである。
次に、本発明の第4の実施の形態につき図6を参照して説明する。本例は、露光装置に本発明による光学装置の検査装置を備えたものである。
【0049】
図6は、上述した検査装置としてのポイント・ディフラクション干渉計(PDI)を備えた本例の投影露光装置を示し、この図6において、露光光ELとして波長5〜15nmに発振スペクトルを有する軟X線領域のEUV(Extreme Ultra Violet)光を用いて、ステップ・アンド・スキャン方式でウエハWを露光する投影露光装置の概略構成が示されている。図示していないが、露光光ELはSOR(Synchrotron Orbital Radiation)リング、又はレーザ・プラズマ光源から発振される。
【0050】
図6において、露光光ELは照明光学系(折り曲げミラーMのみを図示)によって、所定の入射角Θ(例えば50mrad程度)でレチクルRに照射されると共に、レチクルR上での照明領域が円弧状に規定される。レチクルRは、モリブデン(Mo)とケイ素(Si)とが交互に積層された多層膜からなる反射層上に、EUV光を吸収する薄膜を塗布し、その薄膜をパターンニングしたものである。レチクルRはレチクルステージRSTに保持されており、レチクルRで反射された露光光ELは、投影光学系PLを通ってウエハW上に投射される。
【0051】
投影光学系PLは、レチクル側が非テレセントリックで、ウエハ側がテレセントリックであり、投影倍率は1/4である。更に投影光学系PLは、複数の反射光学素子のみからなる反射系であり、図6では4枚のミラーM1〜M4から構成されている。第1ミラーM1と第4ミラーM4とはその反射面が非球面であり、第2ミラーM2はその反射面が平面であり、第3ミラーM3はその反射面が球面である。4枚のミラーM1〜M4はいずれもその表面にモリブデンとケイ素とが交互に積層された多層膜からなる反射層が形成されている。また、第4ミラーM4の一部に露光光ELを通す孔が形成されており、第1ミラーM1で反射された露光光ELが第2ミラーM2に到達できるようになっている。
【0052】
ウエハWはウエハステージWSTに載置されている。露光光ELに対してレチクルRを相対移動すると共に、レチクルRの移動に同期してウエハWを露光光ELに対して相対移動して、レチクルRの回路パターンの像をウエハW上に転写するために、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとは、それぞれ不図示の駆動系によって投影光学系PLの倍率に応じた速度比で駆動される。
【0053】
また、本例では、レチクルステージRSTのレチクルRに対して走査方向の近傍に、図1のパターン板2の役割を果たすために露光光ELを反射するためのスポット部が形成されたプレート61が固定されている。更に、ウエハステージWSTは、走査方向、及びこの走査方向に直交する方向にステップ移動する機能をも備えていると共に、ウエハステージWST上のウエハWの近傍には、図1のピンホール10を有するプレート8、観察系15、及び加振器12等からなる光学検査装置62が設置されている。そして、投影光学系PLの波面収差を検査する際には、露光光ELの照射領域にプレート61が移動し、投影光学系PLを通過した露光光ELの照射領域に光学検査装置62が移動して、第1の実施の形態で説明した手順で干渉光が撮像される。即ち、本例の投影露光装置は、ポイント・ディフラクション干渉計(PDI)として動作し、これによって実際に露光を行う状態における投影光学系PLの波面収差が高精度に計測される。
【0054】
なお、図6の光学検査装置62は、ウエハステージWSTに対して着脱自在に構成しておき、投影光学系PLの検査時に装着するようにしてもよい。
また、図6ではEUV光を用いる投影露光装置を示したが、例えばKrF(波長248nm)、又はArF(波長193nm)等のエキシマレーザを露光光ELとして用い、複数の屈折光学系のみからなる屈折光学系、又は少なくとも1つの反射光学素子(凹面鏡、ミラー等)と複数の屈折光学素子とを組み合わせた反射屈折光学系を投影光学系PLとして用いる投影露光装置であってもよい。更には、露光光ELとしてF2 レーザ光(波長157nm)を使用して、投影光学系PLとして反射系、又は反射屈折系を使用する投影露光装置であってもよい。
【0055】
また、本発明は半導体素子、液晶表示素子、撮像素子(CCD等)、薄膜磁気ヘッド、レチクル等を製造するために用いられる露光装置に適用できる。また、露光装置内で投影光学系以外の光学系(照明光学系、アライメント光学系等)を検査する場合にも適用できる。なお、露光装置は、投影光学系の倍率に応じた速度比でマスクと基板とを同期移動する走査型露光装置でもよいし、あるいはマスクと基板とを静止させた状態でマスクのパターンの全面に照明光を照射し、そのパターンを基板上に転写する一括型露光装置でもよい。また、本発明は、露光装置以外の投影光学装置等の検査や製造を行う場合にも適用できると共に、種々の光学装置の検査や製造を行う場合に適用できる。
【0056】
また、例えば図6の投影露光装置は、複数の光学素子から構成される照明光学系、及び投影光学系PLを露光装置本体に組み込んでその光学調整を行うと共に、多数の機械部品からなるレチクルステージRSTやウエハステージWSTを露光装置本体に取り付けて配線や配管を接続し、更に光学検査装置62等を用いて総合調整(電気調整、動作確認等)を行うことで製造することができる。なお、その投影露光装置の製造は温度、及びクリーン度等が管理されたクリーンルーム内で行うことが望ましい。
【0057】
このように、本発明は上述の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得る。
【0058】
【発明の効果】
本発明の光学装置の検査方法によれば、ヘテロダイン干渉光が得られるため、被検物としての光学装置を通過した光束とこの光束の一部から生成される参照光との干渉光の位相を高精度に検出できる利点がある。また、被検物を通過した光束から参照光(回折光)を生成しているため、検出用の照明光としてあまり可干渉性の良好でない光束も使用できる。従って、特に紫外光やX線のような露光光のもとで使用される投影光学系の波面検査を本発明の検査方法を用いて行う場合に、その露光光を検査用の照明光として使用できるため、実際に使用される条件での収差を高精度に評価できる。
【0059】
また、得られる干渉縞を2次元の撮像素子で撮像して、各画素の位相を検出することによって、干渉光の位相の2次元的な分布を高精度に検出できる。
【0060】
また、本発明の光学装置の検査装置、又は本発明の露光装置によれば、本発明の光学装置の検査方法が使用できる。更に、本発明の露光装置の製造方法によれば、本発明の光学装置の検査方法を使用できるため、投影光学系の光学特性が高精度に検査できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態を示す構成図である。
【図2】 第1の実施の形態で得られる干渉縞、及びその干渉縞の2点で得られる撮像信号を示す図である。
【図3】 本発明の第2の実施の形態の干渉計を示す構成図である。
【図4】 (a)はその第2の実施の形態の或る時点での0次光と+n次回折光とを示す図、(b)は図4(a)の状態から回折格子22が移動することによって+n次回折光の波面が進む様子を示す図である。
【図5】 本発明の第3の実施の形態の干渉計の要部を示す拡大図である。
【図6】 本発明の第4の実施の形態の投影露光装置の要部を示す一部を断面とした構成図である。
【符号の説明】
1…光源系、3…被検光学系、8…ポイント・ディフラクション用のプレート、9…低い透過率の膜、10…ピンホール、Lm…計測光、Lr…参照光、12…加振器、15…観察系、20…撮像素子、22…回折格子、23…駆動部、26…駆動素子、PL…投影光学系、R…レチクル、W…ウエハ、62…光学検査装置
Claims (18)
- 光学装置の検査方法であって、
被検物である光学装置に光束を通すステップと、
前記光学装置を通った光束を運動中の回折格子に通して、前記光学装置を通った光束の一部から回折光を発生させるステップと、
前記運動中の回折格子から発生した回折光と、前記光学装置を通った他の光束との干渉光を検出するステップと、
前記干渉光の検出結果に基づいて、前記光学装置の光学特性を検査するステップと、を具備することを特徴とする光学装置の検査方法。 - 前記干渉光を検出するステップは、前記干渉光の位相差を検出することを特徴とする請求項1に記載の光学装置の検査方法。
- 光学装置の検査方法であって、
被検物である光学装置に光束を通すステップと、
運動中の回折格子によって前記光束の一部から発生した回折光と、前記光学装置を通った他の光束との干渉光を生成するステップと、
前記回折格子の運動中に、前記干渉光を検出するステップと、
前記干渉光の検出結果に基づいて、前記光学装置の光学特性を検査するステップと、を具備することを特徴とする光学装置の検査方法。 - 前記干渉光を検出するステップは、前記干渉光の位相差を検出することを特徴とする請求項3に記載の光学装置の検査方法。
- 光学装置の検査装置であって、
被検物である光学装置を通った光束の光路上に配置され、該光束の一部から回折光を発生させる回折格子と、
前記回折格子を運動させる駆動装置と、
前記回折格子の運動中に、前記回折光と前記光学装置を通った他の光束との干渉光を受光する検出装置と、を具備し、
前記検出装置が受光した前記干渉光に基づいて、前記光学装置の光学特性を検出することを特徴とする光学装置の検査装置。 - 前記駆動装置は、前記光束の光路と交差する方向、又は前記光束の光路に沿った方向に、前記回折格子を運動させることを特徴とする請求項5に記載の光学装置の検査装置。
- 前記検出装置は、前記干渉光の位相差を検出することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の光学装置の検査装置。
- 光学装置の検査装置であって、
被検物である光学装置を通過した光束の光路上に配置された回折格子と、
該回折格子を振動させる駆動系と、
該駆動系を介した前記回折格子の振動中に、前記被検物を通過した光束と前記回折格子によって発生する回折光とのヘテロダイン干渉光を受光する検出系と、を有し、
前記検出系の検出信号に基づいて前記光学装置の光学特性を検出することを特徴とする光学装置の検査装置。 - 光学装置の検査装置であって、
被検物である光学装置を通過した光束より互いに光路の異なる2つの光束を発生する回折格子と、
該回折格子から発生する2つの光束の内の一方の光束の光路上に配置されたピンホール状の回折部材と、
前記回折格子を連続移動させる駆動系と、
該駆動系を介して前記回折格子を連続移動させたときに前記回折格子から発生する他方の光束と前記回折部材によって発生する回折光とのヘテロダイン干渉光を受光する検出系と、を有し、
前記検出系の検出信号に基づいて前記光学装置の光学特性を検出することを特徴とする光学装置の検査装置。 - 光学装置の検査装置であって、
被検物である光学装置を通過した光束を回折して互いに回折次数の異なる2つの光束を発生する所定ピッチの回折格子と、
該回折格子から発生する2つの光束の一方の光束の光路上に配置されたピンホール状の回折部材と、
前記回折格子を移動させる駆動系と、
該駆動系を介して前記回折格子を前記所定ピッチの1/nずつ(nは3以上の整数)所定回数ステップ移動させたときにそれぞれ前記回折格子から発生する2つの光束の他方の光束と前記回折部材によって発生する回折光との干渉光を受光する検出系と、を有し、
前記検出系の検出信号に基づいて前記光学装置の光学特性を検出することを特徴とする光学装置の検査装置。 - 投影光学系を介して、マスクに形成されたパターンの像を基板上に転写する露光装置の製造方法であって、
検査対象の光学装置としての前記投影光学系に露光光を通すステップと、
前記投影光学系から出射された露光光を回折格子に通し、前記回折格子の運動中に、前記露光光の一部から回折光を発生させるステップと、
前記回折光と、前記投影光学系から出射した他の露光光との干渉光を検出するステップと、
前記干渉光の検出結果に基づいて、前記投影光学系の光学特性を検査するステップと、
前記検査の結果に基づいて、前記投影光学系を調整するステップと、を具備することを特徴とする露光装置の製造方法。 - 前記回折光を発生させるステップは、前記露光光の光路と交差する方向、又は前記露光光の光路に沿った方向に、前記回折格子を振動させることを特徴とする請求項11に記載の露光装置の製造方法。
- 投影光学系を介して、マスクに形成されたパターンの像を基板上に転写する露光装置であって、
前記投影光学系から出射した露光光の光路上に配置され、該露光光の一部から回折光を発生させる回折格子と、
前記回折格子を運動させる駆動装置と、
前記回折格子の運動中に、前記回折光と前記投影光学系から出射した他の露光光との干渉光を受光し、受光した前記干渉光に基づいて、前記投影光学系の光学特性を検出する検出装置とを有することを特徴とする露光装置。 - 光学装置の検査方法であって、
光源から射出された光束を前記光学装置に通すステップと、
前記光束を回折格子に通し、前記光束の一部から参照光を発生させるステップと、
前記回折格子を運動させている間に、前記光学装置を通った光束と前記参照光との干渉光を検出するステップと、
前記干渉光の検出結果に基づいて、前記光学装置の光学特性を検査するステップと、を具備することを特徴とする光学装置の検査方法。 - 光源から射出された光束を光学装置に入射させ、前記光学装置を通った前記光束と前記光束から生成した回折光とを干渉させることによって、前記光学装置を検査する検査装置であって、
前記光束の一部を回折して前記回折光を発生する回折格子と、
前記回折格子を運動させる駆動装置と、
前記回折格子の運動中に、前記光束と前記回折光との干渉光を受光する検出装置と、を具備し、
前記検出装置が受光した前記干渉光に基づいて、前記光学装置の光学特性を検出することを特徴とする光学装置の検査装置。 - 前記駆動装置は、前記回折格子を振動させることを特徴とする請求項15に記載の光学装置の検査装置。
- 光源から射出された光束を光学装置に入射させ、前記光学装置を通った前記光束と前記光束から生成した回折光とを干渉させることによって、前記光学装置を検査する検査方法であって、
前記光束の一部を回折格子で回折して前記回折光を発生させるステップと、
前記回折格子を運動させるステップと、
前記回折格子の運動中に、前記光束と前記回折光との干渉光を受光するステップと、
前記検出装置が受光した前記干渉光に基づいて、前記光学装置の光学特性を検出するステップとを具備することを特徴とする光学装置の検査方法。 - 前記回折格子を運動させるステップは、前記光束の光路と交差する方向、又は前記光束の光路に沿った方向に、前記回折格子を振動させることを特徴とする請求項17に記載の光学装置の検査方法。
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