JP2004164872A - 動力源装置およびエネルギーの回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料電池発電システムの燃料である高圧の可燃性ガスの有するエネルギーを有効利用し、全体としてのエネルギーの利用効率を高めることができる動力源装置およびエネルギーの回収方法を提供する。
【解決手段】高圧の可燃性ガスを導入し低圧のガスを排出する圧縮ガス原動機12と、低圧のガスを導入し発電を行う燃料電池装置16と、装置の発電電力により駆動される電動機17とを備えた。高圧の可燃性ガスを導入ガスとして圧縮ガス原動機12に導入し、導入ガスが有する圧力と、圧縮ガス原動機12から排出される可燃性ガスの有する圧力との差にほぼ相当する圧力エネルギーを圧縮ガス原動機12にて第1のエネルギーとして回収し、次いで排出された可燃性ガスを燃料として燃料電池装置16に導入して第2のエネルギーとして回収する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、動力源装置およびエネルギーの回収方法に係り、特に燃料電池用に供給される高圧の可燃性ガスの有するエネルギーを、有効に利用するようにした動力源装置およびそのエネルギーの回収方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
水素ガス等を燃料とした燃料電池発電システムが普及しつつあるが、水素ガスをガス体で運搬する場合、その輸送コストを低減するために高圧ガスで扱われるが、現状では200〜350Barの高圧水素ガスが高圧容器に封入されて実用化されている。このシステムでは、この高圧水素ガスは単に輸送コストの低減からの要求であり、当該ガスの利用部すなわち燃料電池装置では5Bar程度の供給圧力が要求されている。このように、従来技術では、200〜350Barの高圧水素ガスは、利用部においては、5Bar程度の低圧に減圧されて利用されており、この圧力差は減圧弁等で浪費されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この燃料電池発電システムにおける高圧ガスの有するエネルギーを、動力回収することができれば、有効な省エネルギー対策となるが、これまでは適当な回収手段が存在せず、エネルギーの損失が生じていた。
【0004】
本発明は上述した事情に鑑みて為されたもので、燃料電池発電システムの燃料である高圧の可燃性ガスの有するエネルギーを有効利用し、全体としてのエネルギーの利用効率を高めることができる動力源装置およびエネルギーの回収方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の動力源装置は、高圧の可燃性ガスを導入し低圧のガスを排出する圧縮ガス原動機と、前記低圧のガスを導入し発電を行う燃料電池装置と、該装置の発電電力により駆動される電動機とを備えたことを特徴とするものである。
【0006】
また、本発明のエネルギーの回収方法は、高圧の可燃性ガスを導入ガスとして圧縮ガス原動機に導入し、該導入ガスが有する圧力と、該圧縮ガス原動機から排出される可燃性ガスの有する圧力との差にほぼ相当する圧力エネルギーを該圧縮ガス原動機にて第1のエネルギーとして回収し、次いで該排出された可燃性ガスを燃料として燃料電池装置に導入して該燃料電池装置で電力を生産し、該生産された電力により電動機を駆動して得られる動力エネルギーを第2のエネルギーとして回収することを特徴とするものである。
【0007】
上記本発明によれば、燃料電池用の200〜2100Barの高圧容器(ボンベ)に収容された高圧の可燃性ガスを圧縮ガス原動機に供給して、その排気ガス圧力を燃料電池に好適な5Bar程度まで下げ、燃料電池に供給するようにしたものである。従って、高圧容器(ボンベ)に収容された可燃性ガスの圧力エネルギーを有効利用し、これを圧縮ガス原動機を利用して動力エネルギーに変換することで、燃料電池を含む全体としてのシステムの効率化を図ることが可能となる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【0009】
図1は、本発明の実施形態の動力源装置の概要を示す。この動力源装置10は、高圧の可燃性ガスを収容した高圧容器(ボンベ)11と、高圧の可燃性ガスを導入し低圧の可燃性ガスを排出する圧縮ガス原動機12と、低圧の可燃性ガスを導入し発電を行う燃料電池装置16と、その発電電力により駆動される電動機17とから主として構成されている。即ち、圧力が200〜2100Barの高圧で供給される可燃性ガスを利用し、まずこの高圧の圧縮ガスの圧縮エネルギーを利用する圧縮ガス原動機12により、その駆動軸15から回転動力としてエネルギーを利用する。次に、その圧縮ガス原動機12から排出される可燃性ガスを燃料とする燃料電池装置16に供給し、その発電電力により電動機17を駆動し、その駆動軸18から動力エネルギーとして利用するものである。
【0010】
この動力源装置10は、例えば自動車をはじめとする車両、航空機、定置式動力源等の駆動源として利用される。燃料電池用に供給される可燃性ガスとしては、以下の説明では高圧水素を用いる例について説明するが、メタンガス等の燃料ガスも利用可能である。
【0011】
高圧容器(ボンベ)11には、200〜2100Barの高圧水素ガスが充填されていて、圧縮ガス原動機12とは、連通管13で接続され、高圧水素ガスを高圧容器11から圧縮ガス原動機12にタイミングよく供給する弁機構14が連通管13に内蔵されている。圧縮ガス原動機12の具体例としては、例えば公知の圧縮空気を駆動源としたレシプロエンジンを用いることが出来る。この装置は、自動車用原動機としての高圧空気による空気エンジンであるが、駆動源としての流体は、圧縮空気に代えて高圧水素ガスを用いることが可能である。この他に、スクリュー型ガス膨張器、フリーピストン型ガス膨張器、更にターボ型のガス膨張器も圧縮ガス原動機として用いることが出来る。
【0012】
次に、この動力源装置におけるエネルギーの回収について説明する。高圧容器11には、上述したように200〜2100Barの高圧ガスが充填されている。この高圧水素ガスを圧縮ガス原動機12に導入し、燃料電池装置16に供給するのに適当な圧力である5Bar程度に圧力が低減するように圧縮ガス原動機12にて動力エネルギーに変換する。即ち、導入ガスが有する圧力と、圧縮ガス原動機12から排出される圧力との差にほぼ相当する圧力エネルギーを圧縮ガス原動機12にてその駆動軸15から動力エネルギーとして回収することができる。圧縮ガス原動機12から排出された水素ガスは燃料として燃料電池装置16に供給され、燃料電池装置16で生成された電力は電動機17に供給され、その駆動軸18から動力エネルギーとして回収される。
【0013】
このように、高圧の水素ガスは圧力エネルギーと燃料としての化学的エネルギーとを有しており、このうちの圧力エネルギーを圧縮ガス原動機12にて第1の動力エネルギーとして回収することができ、その化学的エネルギーを燃料電池装置16および電動機17により第2の動力エネルギーとして回収することができる。
【0014】
図2は、本発明の第2の実施形態の動力源装置を示す。この動力源装置10の基本的な構成は、図1に示す第1の実施形態の動力源装置と同様であるが、圧縮ガス原動機のエネルギー回収を電力エネルギーにて行うようにした点が相違する。即ち、圧縮ガス原動機12の駆動軸15には発電機19のロータが接続され、そのロータが駆動軸15から供給される動力エネルギーにより回転駆動され、ロータ周囲に配置されたステータ巻線から発電電力を生成する。発電機19で生産された電力は電動機17に供給され、その駆動軸18の動力エネルギーとして消費される。従って、この実施形態においては、圧縮ガス原動機12で高圧容器11に貯蔵された高圧水素ガスの圧力エネルギーが発電機19で生産する電力エネルギーとして回収される。それ故、高圧水素ガスが有する圧力エネルギーが、発電機19にて第1のエネルギーとして回収され、高圧水素ガスの有する化学的エネルギーは燃料電池装置16にて第2のエネルギー(電力エネルギー)として回収される。
【0015】
次に、エネルギーの回収効率について検討する。燃料電池発電システムにおいては、その発電効率は略40%程度である。そして、燃料電池装置16を通過する燃料ガスのガス量によりその前段の圧縮ガス原動機12を通過する燃料ガスのガス量が規定される。圧縮ガス原動機12においては、高圧水素ガスの圧力および原動機の変換効率により第1のエネルギーとしての回収効率が決まってくるが、例えば圧力200Bar程度の高圧水素ガスを用い、高圧圧縮ガスを駆動源としたレシプロエンジンを用いることで、5%程度のエネルギー回収が期待される。発電機19の出力を電動機17に供給することで、電動機17は燃料電池装置16から供給される電力を40%とすると、発電機19から5%程度の電力を追加して受け取ることができる。即ち、これらを総合すると発電効率として45%程度が期待される。更に、燃料電池装置においては熱エネルギーとして40%程度のエネルギー回収が期待されるので、燃料電池装置としての総合効率は80%程度から85%程度に向上することが期待される。
【0016】
図3は、本発明の第3の実施形態の動力源装置を示す。この実施形態は、図1に示す第1の実施形態と基本的な構成が同じであり、圧縮ガス原動機12を圧縮ガス駆動機22とガス圧縮機23とを組み合わせた例について説明する。ここで、圧縮ガス駆動機22は、圧縮ガスの圧力エネルギーを利用して回転軸21を回転駆動するもので、ターボ型のガスタービンまたはレシプロ型の圧縮ガス駆動機が利用可能である。ガス圧縮機23は、圧縮ガス駆動機22の排ガスを圧縮すると共に例えば400℃程度に加温する圧縮機である。
【0017】
混合器25は、高圧容器11側に接続されると共にガス圧縮機23の吐出側に接続され、高圧容器11側から送られてくる高圧水素ガスと圧縮機23により圧縮加温された水素ガスとを混合し、圧縮ガス駆動機22に連通管24を介して導入する。ここで、混合されたガスは、例えば200℃程度の温度を有し、20Bar程度の圧力を有する。そして、この混合されたガスにより圧縮ガス駆動機22において、良好に駆動軸21を回転駆動する動力エネルギーに変換することが可能である。圧縮ガス駆動機22の排ガスは分流器26にて一部が連通管29を介して燃料電池装置16側に送られ、残りの一部が連通管28を介してガス圧縮機23に送られる。
【0018】
この実施形態によれば、圧縮ガス駆動機22から排出される低圧の水素ガスの一部をガス圧縮機23により圧縮して加熱すると共に常温で高圧の高圧容器11側から流入する水素ガスと混合し、圧縮ガス駆動機22に導入するようにしている。即ち、圧縮ガス原動機12から排出される低圧の水素ガスの一部を、高圧容器11側からの高圧の導入ガスと共に圧縮ガス原動機12に導入するようにしたものである。これにより、圧縮ガス駆動機22の導入側にその最適な温度および圧力条件の水素ガスを供給することが可能となり、圧縮ガス原動機12を最適な状態で動作させることが可能となる。
【0019】
なお、上記実施形態は本発明の実施例の一態様を述べたもので、本発明の趣旨を逸脱することなく種々の変形実施例が可能なことは勿論である。
【0020】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明によれば、燃料電池用に供給される高圧の可燃性ガスの有する圧力エネルギーを回収することができ、これにより総合的なエネルギーの利用効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の動力源装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施形態の動力源装置を示すブロック図である。
【図3】本発明の第3の実施形態の動力源装置を示すブロック図である。
【符号の説明】
10 動力源装置
11 高圧容器(ボンベ)
12 圧縮ガス原動機
13 連通管
14 弁機構
15,18 駆動軸
16 燃料電池装置
17 電動機

Claims (5)

  1. 高圧の可燃性ガスを導入し低圧のガスを排出する圧縮ガス原動機と、前記低圧のガスを導入し発電を行う燃料電池装置と、該装置の発電電力により駆動される電動機とを備えたことを特徴とする動力源装置。
  2. 高圧の可燃性ガスを導入ガスとして圧縮ガス原動機に導入し、該導入ガスが有する圧力と、該圧縮ガス原動機から排出される可燃性ガスの有する圧力との差にほぼ相当する圧力エネルギーを該圧縮ガス原動機にて第1のエネルギーとして回収し、次いで該排出された可燃性ガスを燃料として燃料電池装置に導入して該燃料電池装置で電力を生産し、該生産された電力により電動機を駆動して得られる動力エネルギーを第2のエネルギーとして回収することを特徴とするエネルギーの回収方法。
  3. 前記高圧の可燃性ガスとして、圧力200〜2100Barのガスを用いることを特徴とする請求項2記載のエネルギーの回収方法。
  4. 前記圧縮ガス原動機から排出される可燃性ガスの一部を、前記高圧の導入ガスと共に圧縮ガス原動機に導入することを特徴とする請求項2記載のエネルギーの回収方法。
  5. 前記圧縮ガス原動機で発電機を駆動し、第1のエネルギーとして電力を生産することを特徴とする請求項2記載のエネルギーの回収方法。
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