JP2002228098A - 水素吸蔵合金への水素充填装置及びこれを利用した水素吸蔵合金の劣化検知装置 - Google Patents

水素吸蔵合金への水素充填装置及びこれを利用した水素吸蔵合金の劣化検知装置

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JP2002228098A
JP2002228098A JP2001020423A JP2001020423A JP2002228098A JP 2002228098 A JP2002228098 A JP 2002228098A JP 2001020423 A JP2001020423 A JP 2001020423A JP 2001020423 A JP2001020423 A JP 2001020423A JP 2002228098 A JP2002228098 A JP 2002228098A
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filling
temperature
pressure
storage alloy
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Takahiro Kuriiwa
貴寛 栗岩
Takeaki Shimada
毅昭 島田
Yoshio Nuitani
芳雄 縫谷
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    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Abstract

(57)【要約】 【課題】 水素吸蔵合金の特性変化を確実に検知して、
水素吸蔵タンクへの供給水素圧の適性化を図ることがで
き、かつ、水素吸蔵合金の異常な温度上昇を抑えること
ができる信頼性の高い水素充填装置及びこれを利用した
水素貯蔵合金の劣化検知装置を提供すること。 【解決手段】 水素流入口を有し、内部に水素吸蔵合金
を収容する水素吸蔵タンクと、水素流入口に水素を供給
して充填する水素充填源と、水素流入口と水素充填源と
を結ぶ水素充填路とを備えた水素充填装置において、水
素吸蔵合金の温度検知手段(熱電対14)と水素吸蔵合
金の圧力検出手段(ストレンゲージ15)とを備え、水
素充填手段が、温度検出手段及び圧力検出手段からの信
号に応じて、水素吸蔵タンクへ充填される水素の充填圧
力を制御するように構成する。また、水素充填手段が、
別に備えた劣化検知手段からの信号に応じて、水素吸蔵
タンクへ充填される水素の充填圧力を制御するように構
成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両の水素エンジ
ンや燃料電池等に水素を供給する為の金属水素化物を利
用した水素の貯蔵・供給装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の水素を利用する装置への水素供給
源として使用されている水素の貯蔵・供給装置として
は、高圧樹脂タンクを用いる装置、水素吸蔵合金を用い
る装置などがある。このうち水素吸蔵合金を用いる水素
の貯蔵・供給装置は、固体と気体の反応であるにもかか
わらず、実用的な程度の速度で反応が進行することと可
逆性に優れているという特徴がある。その上、水素吸蔵
合金によっては、その体積密度が液体水素或いは固体水
素と略同等かそれ以上の密度で水素を貯蔵できるので、
水素を高圧ガスとして貯蔵する場合と比較すると貯蔵効
率の向上が期待できる。そのため盛んに開発・研究が行
われている。
【0003】水素吸蔵合金を用いた水素ガス供給装置と
しては、例えば特開平9−142803号公報に開示さ
れたものが知られている。図8に示すように、この水素
吸蔵合金を用いた水素ガス供給装置100は、水素吸蔵
合金が充填された水素吸蔵タンク101のガス出口配管
106に逆止弁103を介してガスタンク102を連結
すると共に、該ガスタンク102のガス出口にユーザー
側へ水素を供給するための水素ガス供給管107を接続
したものから主要部が構成され、水素吸蔵タンク101
から発生する水素ガスを逆止弁103及びガスタンク1
02を経て水素ガス供給管107へ導くようにし、水素
を利用する装置の作動初期から十分な水素ガスが安定し
て供給できるようにしたものである。ここで、図8中に
示す符号104は開閉弁であり、符号105は、外部か
ら水素ガスを前記水素吸蔵タンク101及び前記ガスタ
ンク102に同時に導入するための切り換え弁である。
【0004】このように構成される水素吸蔵合金を用い
た水素ガス供給装置100の作用について説明する。ま
ず開閉弁104を閉じると共に、水素ガスが水素吸蔵タ
ンク101及びガスタンク102に同時に導入できるよ
うに切り換え弁105のポート位置を切り換える。次
に、水素ガスボンベ等から水素吸蔵タンク101及びガ
スタンク102へ水素ガスを充填する。充填圧力は、例
えば0.9MPa(ゲージ圧)で充填される。充填した水
素を水素ガス供給管107から外部の機器に供給する場
合、金属水素化物が水素吸蔵タンク101の外部からの
加熱(例えばヒータ加熱)によって十分な水素放出温度に
達しない作動初期においては、主にガスタンク102内
の水素ガスが、その圧力によって水素ガス供給管107
から外部の機器に供給される。このときガスタンク10
2と水素吸蔵タンク101との間には逆止弁が介在して
いるので、ガスタンク102内の水素ガスが水素吸蔵タ
ンク101内に逆流することはない。その後、ガスタン
ク102内の圧力は徐々に低下するが、遅くとも該圧力
が大気圧以下に低下するまでに、水素吸蔵タンク101
内のガス圧力は大気圧を上回ることとなる。従って、そ
の後は、水素吸蔵タンク101から放出される水素ガス
が、その圧力によって、逆止弁103及びガスタンク1
02を経て水素ガス供給管107に導かれ、外部の機器
に供給される。
【0005】このような構成と作用を有する水素吸蔵合
金を用いた水素ガス供給装置100は、水素吸蔵時に水
素吸蔵合金の収容部を中心に温度が上昇する。この理由
として、水素吸蔵合金は、水素吸蔵時に水素と反応し金
属水素化物を生成するが、この金属水素化物の生成反応
が発熱反応であり大量の熱を発生するためである。反対
に、水素放出時の水素放出反応は吸熱反応であり、水素
吸蔵合金を用いた水素貯蔵技術では熱を供給するための
加熱源が必要となる。
【0006】従って、水素吸蔵合金を用いた水素ガス供
給装置100では、水素吸蔵時には大量の熱を発生する
ことから水素吸蔵タンク101を冷却し、水素放出時に
は水素吸蔵タンク101を加熱することが行われてい
る。この冷却・加熱方法としては、例えば冷却された水
や空気などの冷却媒体や燃料電池などの外部利用機器か
ら排出される温水や排ガスなどの加熱媒体を水素吸蔵タ
ンク101の中に導入する内熱式又は外部に導入する外
熱式の方法が使用される。尚、車両などに水素吸蔵合金
を用いた水素ガス供給装置100を搭載した場合は、装
置の小型・軽量化を考え空気ファンで冷却・加熱するの
が望ましい。
【0007】また、水素吸蔵合金の平衡水素圧力(プラ
トー部の圧力)は、水素を吸蔵―放出させる作動温度に
より変化し、作動温度が高温であれば高圧側に、作動温
度が低温であれば低圧側へとシフトする。すなわち、平
衡水素圧力(プラトー部の圧力)が高圧となるように高圧
水素で水素貯蔵を行うと、水素吸蔵合金の到達温度は高
温に、平衡水素圧が低圧となるように低圧水素で水素貯
蔵を行うと、温度上昇は少なくなる。すなわち、水素吸
蔵タンク101に収容される水素吸蔵合金は、合金の使
用条件(作動温度、貯蔵水素圧力等)に適したものが選択
され使用されている。
【0008】水素吸蔵タンク101に収容される水素吸
蔵合金としては、BCC(体心立方構造)系(例えばT
i−V−Cr系合金)、AB2型(例えばTiCr2)、
AB5型(例えばLaNi5)、Mg系合金等が知られてい
る。これらの水素吸蔵合金は、BCC(体心立方構造)
系の水素吸蔵合金をはじめとして水素吸蔵合金の構造に
よっては水素の吸蔵―放出サイクルを繰り返すことによ
りPCT(圧力―組成―温度)曲線のヒステリシス特性が
変化し、平衡水素圧力(プラトー部の圧力)がシフトする
合金がある(特開平11―343524号公報)。
【0009】一方、水素吸蔵タンク101の材質として
は、水素貯蔵に用いる水素吸蔵合金が水素と反応して水
素化物を生成するときは発熱反応であることから金属製
であることが望ましく、比重、比強度等の観点からAl
或いはステンレスなどが用いられる。水素吸蔵タンク1
01をAlで作成した場合、温度による強度低下を防止
するため水素吸蔵合金の作動温度を100℃以下に抑え
る必要がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記し
たように、水素吸蔵合金によっては、水素の吸蔵―放出
サイクルを何回も繰り返したり或いは被毒されることに
より、水素の平衡解離圧力が変化するものがある。例え
ば水素の吸蔵―放出サイクルを繰り返すことにより、常
温における水素の平衡解離圧力が低下した合金では、水
素の平衡解離圧力が低下する前の水素吸蔵合金と同一の
平衡解離圧力とするための温度が高くなる。すなわち、
高圧水素で貯蔵を行った場合、平衡水素圧力が水素充填
圧力となる温度である初期到達温度がより高温となって
しまう。
【0011】しかし、従来の地上施設側での供給水素調
整方式、例えばスタンド側(水素供給源側)で車内に設
けられた水素吸蔵タンク101の内部圧力を受けられる
(表示される)ようにしておいて、それに応じてスタンド
側の人が水素充填圧力を変えられるようにした方式で
は、水素吸蔵タンク101に収容された水素吸蔵合金の
特性変化を反映できない為に、水素貯蔵時の到達温度が
設計温度より高温となってしまう恐れがある。また、各
種冷媒循環装置(この場合加熱・冷却装置を意味する)が
故障している時に水素補給を行ってしまった場合の供給
水素圧力の適正化を図ることも困難であり、水素吸蔵タ
ンク101の異常な温度上昇を招き、水素吸蔵タンク1
01の変形、水素吸蔵タンク101の破損等の恐れがあ
る。
【0012】このように前記したことを鑑みると水素吸
蔵タンク101内の水素吸蔵合金の吸蔵―放出サイクル
による特性変化を反映した信頼性の高い水素充填装置の
実現が望まれている。
【0013】本発明は、前記課題を解決するためになさ
れたものであって水素吸蔵合金の特性変化を確実に検知
して、水素吸蔵タンクへの供給水素圧の適性化を図るこ
とができ、かつ、水素吸蔵合金の異常な温度上昇を抑え
ることができる信頼性の高い水素充填装置及びこれを利
用した水素吸蔵合金の劣化検知装置を提供することを目
的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
になされた本発明の請求項1に係る水素充填装置の発明
は、水素流入口を有し、内部に水素吸蔵合金を収容する
ように形成された水素吸蔵タンクと、前記水素流入口に
水素を供給して充填するための水素充填源と、前記水素
流入口と前記水素充填源を結ぶ水素充填路とを備えた水
素充填装置において、前記水素吸蔵合金の温度を検知す
る温度検知手段と前記水素吸蔵合金の圧力を検知する圧
力検知手段とを備え、前記水素充填路に配置され、前記
温度検知手段及び前記圧力検知手段からの信号に応じ
て、前記水素吸蔵タンクへ充填される水素の充填圧力を
制御する水素充填手段を備えたことを特徴とするもので
ある。
【0015】請求項1の発明によると、水素流入口を有
し、内部に水素吸蔵合金を収容するように形成された水
素吸蔵タンクと、前記水素流入口に水素を供給して充填
するための水素充填源と、前記水素流入口と前記水素充
填源を結ぶ水素充填路とを備えた水素充填装置におい
て、前記水素吸蔵合金の温度を検知する温度検知手段と
前記水素吸蔵合金の圧力を検知する圧力検知手段とを備
え、前記水素充填路に配置され、前記温度検知手段及び
前記圧力検知手段からの信号に応じて、前記水素吸蔵タ
ンクへ充填される水素の充填圧力を制御する水素充填手
段を備えたことにより、前記水素吸蔵タンク内の内部圧
力/温度に応じて充填圧力を可変とすることができるの
で、水素吸蔵合金の劣化に伴うプラトー圧の減少、温度
の上昇に拘らず、常に水素吸蔵合金に対して最適な圧力
で水素を充填できる。最適な圧力で水素を充填できるの
で、短時間で水素を充填できる。
【0016】請求項2に係る水素充填装置の発明は、前
記水素吸蔵合金の温度が所定温度以上に達したときに前
記水素の充填圧力を下げるように前記水素充填手段を制
御することを特徴とする請求項1に記載の水素充填装置
である。
【0017】請求項2の発明によると、水素吸蔵合金の
温度が所定温度以上に達したときに水素の充填圧力を下
げるように水素充填手段を制御することにより、水素吸
蔵タンクの許容温度よりも低い所定の温度を設定してお
き、その所定の温度を超えたら水素の充填圧力を下げる
ようにしたので、水素吸蔵合金の温度が許容温度を超え
ることがなくなり水素吸蔵タンクを保護することができ
る。
【0018】請求項3に係る水素充填装置の発明は、水
素流入口を有し、内部に水素吸蔵合金を収容するように
形成された水素吸蔵タンクと、前記水素流入口に水素を
供給して充填するための水素充填源と、前記水素流入口
と前記水素充填源とを結ぶ水素充填路とを備えた水素充
填装置において、前記水素吸蔵合金の劣化を検知する劣
化検知手段を備え、前記水素充填路に配置され、前記劣
化検知手段からの信号に応じて、前記水素吸蔵タンクへ
充填される水素の充填圧力を制御する水素充填手段を備
えたことを特徴とするものである。
【0019】請求項3の発明によると、水素流入口を有
し、内部に水素吸蔵合金を収容するように形成された水
素吸蔵タンクと、前記水素流入口に水素を供給して充填
するための水素充填源と、前記水素流入口と前記水素充
填源とを結ぶ水素充填路とを備えた水素充填装置におい
て、前記水素吸蔵合金の劣化を検知する劣化検知手段を
備え、前記水素充填路に配置され、前記劣化検知手段か
らの信号に応じて、前記水素吸蔵タンクへ充填される水
素の充填圧力を制御する水素充填手段を備えたことによ
り、劣化検知手段(走行距離・走行時間・充填サイクル
水素の総充填量・水素充填圧力・水素吸蔵合金の温度
等)からの信号に応じて充填圧力を可変とすることがで
きるので、水素吸蔵合金の劣化に伴うプラトー圧の減
少、温度の上昇に拘らず、常に水素吸蔵合金に対して最
適な圧力で水素を充填できる。最適な圧力で水素を充填
できるので、短時間で水素を充填できる。
【0020】請求項4に係る水素充填装置の発明は、前
記劣化検知手段によって劣化が検知されたら前記水素の
充填圧力を下げるように前記水素充填手段を制御するこ
とを特徴とする請求項3に記載の水素充填装置である。
【0021】請求項4の発明によると、劣化検知手段
(走行距離・走行時間・充填サイクル水素の総充填量・
水素充填圧力・水素吸蔵合金の温度等)によって劣化が
検知されたら水素の充填圧力を下げるように水素充填手
段を制御することにより、水素吸蔵合金の劣化の進行を
遅くすることができる。
【0022】請求項5に係る水素充填装置の発明は、前
記劣化検知手段は、少なくとも1回前の水素充填時に、
前記温度検知手段によって検知した温度を記憶してお
き、該前の水素充填時における水素吸蔵合金の温度より
も高いときに水素吸蔵合金の劣化と判断することを特徴
とする請求項3又は請求項4に記載の水素充填装置であ
る。
【0023】請求項5の発明によると、劣化検知手段
は、少なくとも1回前の水素充填時に、温度検知手段に
よって検出した温度が、該前の水素充填時における水素
吸蔵合金の温度よりも高いときに前記水素吸蔵合金の劣
化と判断することにより、劣化を確実に判断することが
できる。
【0024】請求項6に係る水素充填装置の発明は、記
憶する前記水素吸蔵合金の温度は、少なくとも1回前の
水素充填時の一番高い温度であることを特徴とする請求
項5に記載の水素充填装置である。
【0025】請求項6の発明によると、温度検知手段に
よって検出した温度を、記憶する水素吸蔵合金の温度で
ある少なくとも1回前の水素充填時における一番高い温
度と比較することにより、水素吸蔵合金の劣化を確実に
判断することができる。
【0026】請求項7に係る水素吸蔵合金の劣化検知装
置の発明は、水素吸蔵合金を収容した水素吸蔵タンク
と、前記水素吸蔵合金へ水素を充填する水素充填手段と
を備え、少なくとも1回前の水素充填時における水素吸
蔵合金の温度を記憶し、前回と同一圧力での水素充填時
における水素吸蔵合金の温度が、該前の水素充填時にお
ける水素吸蔵合金の温度よりも高いときに前記水素吸蔵
合金が劣化していると判断する劣化判断手段を備えたこ
とを特徴とするものである。
【0027】請求項7の発明によると、水素吸蔵合金を
収容した水素吸蔵合金タンクと、前記水素吸蔵合金へ水
素を充填する水素充填手段を備え、少なくとも1回前の
水素充填時における水素吸蔵合金の温度を記憶し、前回
と同一圧力での水素充填時における水素吸蔵合金の温度
が、該前の水素充填時における水素吸蔵合金の温度より
も高いときに前記水素吸蔵合金が劣化していると判断す
る劣化判断手段を備えたことにより、確実に水素吸蔵合
金が劣化していると判断することができる。従って、水
素吸蔵合金への水素充填装置であっても水素吸蔵合金の
劣化検知装置としても使用することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】最初に、本発明に係る水素充填装
置に用いられる水素吸蔵合金の先行試験の結果を説明す
る。先行試験に用いた水素吸蔵タンク(以下、MHタン
クという)の断面図を図1に示す。図1(a)は、本発
明の先行試験に使用した水素吸蔵タンクの縦断面図、図
1(b)は、図1(a)のA−A断面図である。図1に
示すように、MHタンク1は、円筒の圧力容器2内に、
水素吸蔵合金(例えば平均粒度が16メッシュ〜20メ
ッシュの粉粒体)3aを充填した円筒容器3を同心円状
に配置したものである。MHタンク1には、図示しない
外部の水素充填源と円筒容器3内の水素吸蔵合金3aと
を連結する水素充填路4が設けられている。
【0029】次に、このMHタンク1に収容したBCC
(体心立方構造)系の水素吸蔵合金3aの初期サイクル時
の圧力―組成(水素吸蔵量)―温度特性と、吸蔵―放出
サイクルを何回も繰り返した後の常温における水素吸蔵
時の圧力―組成(水素吸蔵量)―温度特性を図2に示す。
この図からもわかるように、BCC(体心立方構造)系の
水素吸蔵合金3aは、水素の吸蔵―放出サイクルを何回
も繰り返すと、常温における吸蔵時の平衡水素圧力(プ
ラトー部の圧力)が低下してくるのが判る。
【0030】次に、前記したBCC(体心立方構造)系の
水素吸蔵合金3aの初期サイクル時及び吸蔵―放出サイ
クルを何回も繰り返した後の温度―圧力特性を図3に示
す。図3からもわかるように、吸蔵―放出サイクルを何
回も繰り返した水素吸蔵合金3aは、一定温度(例えば
常温)における平衡水素圧力が初期サイクル時よりも低
下する。すなわち、温度―圧力特性を示す直線が初期サ
イクル時よりも下側にシフトしている。これらの結果か
ら、高圧で水素貯蔵を行った場合や同一の平衡水素圧力
となる温度を初期サイクル時と比較した場合、吸蔵―放
出サイクルを何回も経た合金は、初期サイクル時よりも
高温側にシフトすることが予測される。また、この温度
―圧力特性から貯蔵水素圧力が低ければ、初期到達温度
(例えば図4に示すような充填開始後の水素吸蔵合金の
ピーク温度)が低くなることが理解できる。
【0031】MHタンク1において、実際に高圧水素に
より充填を行った場合の初期到達温度の測定結果を図4
に示す。尚、水素吸蔵時の冷却条件は同一であり、充填
に用いた水素充填圧力も初期サイクル時と同一の水素充
填圧力である。図4からも判るように、吸蔵―放出サイ
クルを何回も繰り返した、すなわち、温度―圧力特性が
シフトした水素吸蔵合金の温度の測定結果は、初期サイ
クル時と同一の水素充填圧力であるにも拘らず初期サイ
クル時よりも高温に達した。
【0032】このように水素吸蔵合金が、吸蔵―放出サ
イクルを何回も繰り返したり或いは被毒を受けたりする
ことにより平衡水素圧力が変化することは知られている
が、従来、平衡水素圧力の変化により生じた温度―圧力
特性の変化に対する対策例はなく、地上水素貯蔵設備か
らMHタンクへの水素供給時に冷媒循環装置、冷却ファ
ンなどに異常が生じた場合、温度の異常上昇を抑制する
有効な手段もMHタンクシステム側にはなかった。
【0033】本発明はこのような観点に鑑みて、MHタ
ンクシステムに水素充填手段を組み込み、MHタンク内
の水素吸蔵合金の温度―圧力特性の変化を制御信号とし
て組み込むことにより前記した課題を解決しようとした
ものである。
【0034】本発明に係る水素充填装置の第1実施形態
を図5に示す。第1実施形態の水素充填装置は、図5に
示すように、水素吸蔵合金を収容した、少なくとも水素
流入口10aを備えたMHタンク10と、前記水素流入
口10aと水素充填源(例えば水素スタンドなどの高圧
水素ガス源)とを結ぶ水素充填路11と、前記MHタン
ク10へ充填される水素の充填圧力を制御する可変圧力
レギュレータ16等から構成される水素充填手段と、前
記水素吸蔵合金の温度を検知する温度検知手段である熱
電対14と前記水素吸蔵合金の圧力を検知する圧力検知
手段であるストレンゲージ15と、これらの検知手段か
らの出力信号に基づいて前記可変圧力レギュレータ16
の開度を制御する制御装置13と、から主要部が構成さ
れる。
【0035】MHタンク10は、円筒形をした複数の小
型のMHタンクを集合して形成した圧力容器であり、入
口側には水素充填路11と連結し、分岐した下流側の配
管を燒結金属で構成した水素流入口10aが設けられて
おり、出口側には水素排出路12が連結している。水素
排出路12には、外部の機器に適した水素圧で水素を供
給するための圧力レギュレータ12aが設けられてい
る。圧力レギュレータ12aは、制御装置13により開
度を制御される。尚、水素流入口10aの分岐した下流
側の配管を燒結金属で構成することにより、細孔から勢
い良く水素を噴出させることができるので、MHタンク
10内に収容された水素吸蔵合金に対し全体にわたって
均一に水素を分散・吸蔵させるようにすることができ
る。MHタンク10には、水素吸蔵合金の温度検知手段
である熱電対14が設けられている。さらに、圧力検知
手段であるストレンゲージ15が熱電対14の近傍に設
けられている。(尚、温度検知手段としては、熱電対1
4の替わりにサーミスタ式抵抗温度計が、また、圧力検
知手段としてはストレンゲージ15の替わりにブルドン
管も使用することができる)。尚、熱電対14及びスト
レンゲージ15は、MHタンク10を平面断面視した図
5に示されるようにMHタンク10内に挿入されていれ
ばよく、正確な値を検知できればその取り付け位置は特
に限定されるものではない。各タンク毎に設けても良い
し共通の圧力及び温度で検出室を区画しこの検出室の圧
力・温度を検知して代表する値としても良い。これらの
センサの出力信号は、制御装置13にインプットされ、
制御装置13は、アクチュエータ16aを介して可変圧
力レギュレータ16の開度を制御するようになってい
る。
【0036】水素充填路11は、水素充填源とMHタン
ク10を結ぶ配管であり、ステンレス製の鋼管が使用さ
れ、内面をバフ等研磨仕上げしたものが使用される。水
素充填路11は、水素吸蔵合金をMHタンク10に充填
する前にベーキング処理をすれば、配管に吸着した水分
やガス及びゴミなどが好適に除去できる。
【0037】水素充填手段は、水素注入口19と、フィ
ルタ18と、閉鎖弁17と、アクチュエータ16a付き
の可変圧力レギュレータ16とから形成され、これら
は、水素充填源からMHタンク10に向かって順番に水
素充填路11に設けられる。水素注入口19は、水素充
填源から前記水素充填手段にガスを受け入れるための配
管継手である。フィルタ18は、水素充填源と水素注入
口19とを連結する際に混入する微量の酸素や水分など
の被毒成分により、MHタンク10に収納される水素吸
蔵合金が被毒されるのを避けるために設けられるもので
あり、例えば(シリカゲルと金属銅)を充填したカラム
が用いられる。閉鎖弁17は、水素充填源からMHタン
ク10までの水素の通路である水素充填路11を遮断す
るための弁であり、後記する可変圧力レギュレータ16
で兼用することもできる。閉鎖弁17を設けることよ
り、高圧水素ガス源からMHタンク10への水素の過充
填等を防止することができる。可変圧力レギュレータ1
6は、MHタンク10の温度検知手段である熱電対14
及び圧力検知手段であるストレンゲージ15からの信号
により、制御装置13を介してアクチュエータ16aを
駆動して可変圧力レギュレータ16の開度を調整し、水
素充填圧力を調整するための圧力調整弁である。尚、ア
クチュエータ16aとしては、モータ、シリンダ等が使
用できる。
【0038】制御装置13は、電気的制御回路、又は、
RAM、ROM、CPU(又はMPU)及びI/O等を中
心として構成されたマイクロコンピュータからなる電子
制御ユニットである。この制御装置13の入力部には、
水素吸蔵合金の温度、圧力等のMHタンク10に関連す
る電気信号が入力され、これらの入力信号に基づく出力
信号によりアクチュエータ16aを駆動して可変圧力レ
ギュレータ16の開度が制御される。
【0039】このように構成される第1実施形態の水素
充填装置の作用について図5及び図6を参照して説明す
る。尚、図5は第1実施形態の水素充填装置の全体構成
図、図6は、第1実施形態の水素充填装置に水素を貯蔵
するときの制御フローチャートである。前提条件とし
て、水素吸蔵合金の活性化作業等の前準備は終了し、図
5のように水素充填手段の水素注入口19を水素充填源
の配管につなぎ終わった状態からの作用を説明する。 (1)MHタンク10を冷却する冷却装置(不図示)が作
動しているかどうか、すなわち冷却装置が異常なく運転
されているかどうかを確認する(S1)。 (2)冷却装置が作動していない場合は、後記する(1
2)〜(19)(S10〜S18)の操作を行う。 (3)冷却装置が作動している場合は、以下の操作を行
う。 可変圧力レギュレータ16の開度を、貯蔵水素圧が前回
の貯蔵圧より低圧となるように設定する(S2)。これ
は水素吸蔵合金が前回よりも劣化しているので、温度上
昇が前回よりも大きくなるのを予想してのことである。 (4)閉鎖弁17を開放し、水素充填源(例えばゲージ
圧力で35MPa)から水素注入口19を経由して水素
充填手段に水素ガスが導入される。導入された水素ガス
は、フィルタ18でガス中の被毒物質を除去・精製され
た後、閉鎖弁17を通流し、後段の可変圧力レギュレー
タ16で圧力を例えば5MPa(ゲージ圧力)に調整され
る。水素充填手段で精製され、圧力を調整された水素ガ
スは、水素充填路11を通ってMHタンク10の水素流
入口10aへ供給される。水素貯蔵が開始される(S
3)。このとき、水素流入口10aの分岐している下流
側の配管は、燒結金属で形成されているため、MHタン
ク10内において水素ガスを均一に分散して水素吸蔵合
金に供給することができる。 (5)MHタンク10の温度、圧力、すなわちMHタン
ク10内に収容されている水素吸蔵合金の温度、圧力
は、それぞれ温度検知手段である熱電対14、圧力検知
手段であるストレンゲージ15により検知する(S
4)。 (6)水素吸蔵合金の温度―圧力特性のデータを、検知
したデータに対応して更新し、制御装置13を介して前
記更新したデータに基づいた出力信号によりアクチュエ
ータ16aを駆動し、可変圧力レギュレータ16の開度
を調整する。このように制御することにより適正な可変
圧力レギュレータ16の開度を設定することができる
(S5)。 (7)MHタンク10の温度TtankがMHタンクの許容
温度Tfail未満かどうかを確認する(S6)。MHタン
ク10の温度TtankがMHタンク10の許容温度Tfail
を超える場合は、S5に戻る。 (8)MHタンク10の温度TtankがMHタンク10の
許容温度Tfail未満の場合は、さらに冷却装置が作動し
ているかどうかを確認する(S7)。
【0040】(9)冷却装置が作動している場合は、さ
らに水素の充填が完了したかどうか、すなわち、タンク
内圧力が充填完了圧力かどうかを確認する(S8)。水
素の充填が完了していない場合は、S4に戻る。 (10)水素の充填が完了した場合は、水素貯蔵圧(作
動圧)を記憶した後(S17)、水素貯蔵を終了し、閉
鎖弁17を閉鎖する(S18)。 (11)ステップS7で冷却装置が作動していない場合
は、閉鎖弁17を閉鎖して(S9)、以下のように操作
する。 (12)可変圧力レギュレータ16の圧力を非常時用に
設定(低圧)し(S10)、冷却システムの警告灯を表
示する(S11)。 (13)閉鎖弁17を開放することにより、水素充填手
段の可変圧力レギュレータ16で圧力を調整された水素
ガスは、水素充填路11を通流してMHタンク10の水
素流入口10aへと供給され水素貯蔵が開始される(S
12)。 (14)MHタンク10の温度、圧力、すなわちMHタ
ンク10内に収容されている水素吸蔵合金の温度、圧力
は、それぞれ温度検知手段である熱電対14、圧力検知
手段であるストレンゲージ15により検知する(S1
3)。 (15)水素吸蔵合金の温度―圧力特性を、検知したデ
ータに対応して更新し、制御装置13を介して前記更新
したデータに基づいた出力信号によりアクチュエータ1
6aを駆動し、可変圧力レギュレータ16の開度を調整
する。このように制御することにより適正な可変圧力レ
ギュレータ16の開度を設定することができる(S1
4)。 (16)MHタンク10の温度TtankがMHタンクの許
容温度Tfail未満かどうかを確認する(S15)。 (17)MHタンク10の温度TtankがMHタンクの許
容温度Tfailを超える場合は、S14に戻る。 (18)MHタンク10の温度TtankがMHタンクの許
容温度Tfail未満の場合は、さらに水素の充填が完了し
たかどうか、すなわちタンク内圧力が充填完了圧力かど
うかを確認する(S16)。水素の充填が完了していな
い場合は、S13に戻る。 (19)水素の充填が完了した場合は、水素貯蔵圧(作
動圧)を記憶した後(S17)、水素貯蔵を終了し、閉
鎖弁17を閉鎖する(S18)。 (20)尚、貯蔵した水素を外部の機器へ供給する時
は、前記した水素貯蔵の時と同様に、水素吸蔵合金の温
度、圧力をそれぞれ温度検知手段である熱電対14及び
圧力検知手段であるストレンゲージ15により検知しな
がら、図示しない加熱手段(例えば温水)でMHタンク
10を加熱し、水素放出路12に設けられた可変レギュ
レータ12aの開度を調整しながら必要な流量を後工程
に供給することができる。
【0041】このような構成と作用を有する第1実施形
態の水素充填装置は、以下のような効果が得られる。 (1)MHタンク10内の内部圧力/温度に応じて充填
圧力を可変とすることができるので、水素吸蔵合金の劣
化に伴うプラトー圧の減少、温度の上昇に拘らず、常に
水素吸蔵合金に対して最適な圧力で水素を充填できる。
最適な圧力で水素を充填できるので、短時間で水素を充
填できる。 (2)MHタンク10の許容温度よりも低い所定の温度
を設定しておき、その所定温度を超えたら水素の充填圧
力を下げることができるので水素吸蔵合金の温度が許容
温度を超えることがない。その結果、MHタンク10の
保護ができる。
【0042】次に、第2実施形態の水素充填装置につい
て図7を参照して説明する。第2実施形態の水素充填装
置と第1実施形態の水素充填装置との構成の違いは、第
1実施形態の水素充填装置の制御装置に、水素吸蔵合金
が劣化したと判断できる劣化判断手段(例えば車両の走
行距離、車両の走行時間、充填サイクル、水素の総充填
量等)である各センサからの出力信号を入力することが
できるように構成した点である。また、MHタンク10
に水素ガスパージ手段を設けて、MHタンク10内で圧
力の異常上昇があった時に、水素ガスのパージライン2
0に設けられたパージ弁20aを全開することにより、
さらにMHタンク10を好適に保護できるよう構成した
点である。従って、第1実施形態の水素充填装置と構成
の異なる部分と第2実施形態の水素充填装置の特徴につ
いてのみ説明する。尚、説明するに当たり、第1実施形
態の水素充填装置と同一の部材・機器については同一の
符号を付して説明する。
【0043】第2実施形態の水素充填装置に用いられる
水素吸蔵合金の劣化検知手段から制御装置13へ入力さ
れる入力信号は、以下のような信号である。走行距離
は、例えば距離メータで測定された走行距離の出力信号
である。また、走行時間は、時計や回転計で測定された
走行時間の出力信号である。水素の充填サイクルは、例
えば図示しないバッチカウンタの出力信号であり、何回
目の吸蔵・放出サイクルかを表示させることもできる。
水素の充填サイクルは、例えば閉鎖弁17の開閉回数や
レギュレータ12aの開閉回数から求めても良い。水素
の総充填量は、MHタンク10内の貯蔵圧力とMHタン
ク10の容積と温度とから1サイクル当たりの充填量が
算出でき、求めた1サイクル当たりの充填量とバッチカ
ウンタから得られる充填回数との積の値から水素の総充
填量を算出することができる。
【0044】前記したこれらの入力信号と、水素吸蔵合
金を使用して予め採取した劣化試験データ値とを制御装
置13で比較し、水素吸蔵合金が劣化しているかどうか
を判断し、劣化が検知されたら第1実施形態の水素充填
装置と同様に、可変圧力レギュレータ16を制御してM
Hタンク10へ充填する水素の充填圧力を低くなるよう
に調整する。このように劣化検知手段(走行距離・走行
時間・充填サイクル・水素の総充填量)からの入力信号
に応じて水素の充填圧力を可変とすることができるの
で、水素吸蔵合金の劣化に伴うプラトー圧の減少、温度
の上昇に拘らず、常に水素吸蔵合金に対して最適な圧力
で水素を充填できる。最適な圧力で水素を充填できるの
で、短時間で水素を充填できる。
【0045】また、水素吸蔵合金の劣化が検知されたと
きに、水素の充填圧力を下げるように可変圧力レギュレ
ータ16を制御するようにしても良い。このように劣化
検知手段(走行距離・走行時間・充填サイクル水素の総
充填量)からの入力信号により劣化が検知されたら、水
素の充填圧力を下げるように可変圧力レギュレータ16
を制御することにより、水素吸蔵合金の温度による劣化
の進行を遅くすることができる。
【0046】さらに、MHタンク10の水素吸蔵合金の
温度検知手段である熱電対14を使用して、少なくとも
1回前の水素充填時に検知した温度を記憶しておき、熱
電対14で検知した温度が前の水素充填時に検知した温
度よりも高いときに、水素吸蔵合金が劣化したと判断す
ることもできる。記憶する水素吸蔵合金の温度は、少な
くとも1回前の水素充填時に検知した温度のうち一番高
い温度を用いても良い。このように少なくとも1回前の
水素充填時に検知した温度を記憶しておき、今回の測定
値と比較することにより劣化を確実に判断することがで
きる。
【0047】尚、第2実施形態の水素充填装置は、水素
吸蔵合金への水素充填装置として説明したが、別に備え
た劣化検知手段(例えば圧力検知手段や温度検知手段)
から制御装置13へ入力する入力信号を増やすことによ
り、好適な水素吸蔵合金の劣化検知装置としても使用で
きる。例えば圧力検知手段であるストレンゲージ15及
び温度検知手段である熱電対14を使用して、少なくと
も1回前の水素充填時に検知した温度を記憶しておき、
前回と同一圧力で水素を充填したときの水素吸蔵合金の
温度が、少なくとも1回前の水素充填時に検知した温度
よりも高いときに水素吸蔵合金が劣化していると判断す
ることができる。このようにして、第2実施形態の水素
充填装置は、水素充填装置としてだけでなく劣化検知装
置としても好適に使用できる。
【0048】また、図示しないMHタンク10内の水素
残量検知装置(例えば「水素吸蔵合金に流入した水素
量」と「水素吸蔵合金から放出した水素量」の差で検知
する装置など)の検知信号に応じて、充填開始前にどれ
だけ水素が残っているのかを検知し、水素充填時に温度
検知手段によって検知した水素吸蔵合金の温度を補正す
るようにしても良い。水素残量が多いときは水素充填時
に上昇する水素吸蔵合金の温度の上昇幅が小さく(吸蔵
できる水素量が少ないため)、水素残量が少ないときは
水素充填時に上昇する水素吸蔵合金の温度の上昇幅が大
きくなる(吸蔵できる水素量が多いため)傾向にある。
上のような傾向に応じて水素吸蔵合金の温度を補正する
ことで、より正確に水素吸蔵合金の劣化を検知すること
ができる。
【0049】
【発明の効果】以上の構成と作用からなる本発明によれ
ば、以下の効果を奏する。 (1)請求項1の発明によれば、水素吸蔵タンク内の内
部圧力/温度に応じて充填圧力を可変とすることができ
るので、水素吸蔵合金の劣化に伴うプラトー圧の減少、
温度の上昇に拘らず、常に水素吸蔵合金に対して最適な
圧力で水素を充填できる。最適な圧力で水素を充填でき
るので、短時間で水素を充填できる。 (2)請求項2の発明によれば、水素吸蔵合金の温度が
所定温度以上に達したときに水素の充填圧力を下げるよ
うに水素充填手段を制御することにより、水素吸蔵タン
クの許容温度よりも低い所定の温度を設定しておき、そ
の所定の温度を超えたら水素の充填圧力を下げるように
したので、水素吸蔵合金の温度が許容温度を超えること
がなくなり水素吸蔵タンクを保護することができる。 (3)請求項3の発明によれば、劣化検知手段(走行距
離・走行時間・充填サイクル水素の総充填量・水素充填
圧力・水素吸蔵合金の温度等)からの信号に応じて充填
圧力を可変とすることができるので、水素吸蔵合金の劣
化に伴うプラトー圧の減少、温度の上昇に拘らず、常に
水素吸蔵合金に対して最適な圧力で水素を充填できる。
最適な圧力で水素を充填できるので、短時間で水素を充
填できる。 (4)請求項4の発明によれば、劣化検知手段(走行距
離・走行時間・充填サイクル水素の総充填量・水素充填
圧力・水素吸蔵合金の温度等)によって劣化が検知され
たら前記水素充填圧力を下げるように前記水素充填手段
を制御することにより、水素吸蔵合金の劣化の進行を遅
くすることができる。 (5)請求項5の発明によれば、劣化検知手段は、少な
くとも1回前の水素充填時に、温度検知手段によって検
出した温度が、該前の水素充填時における水素吸蔵合金
の温度よりも高いときに前記水素吸蔵合金の劣化と判断
することにより、劣化を確実に判断することができる。 (6)請求項6の発明によれば、温度検知手段によって
検出した温度を、記憶する水素吸蔵合金の温度である少
なくとも1回前の水素充填時における一番高い温度と比
較することにより、水素吸蔵合金の劣化を確実に判断す
ることができる。 (7)請求項7の発明によれば、水素吸蔵合金を収容し
た水素吸蔵合金タンクと、前記水素吸蔵合金へ水素を充
填する水素充填手段を備え、少なくとも1回前の水素充
填時における水素吸蔵合金の温度を記憶し、前回と同一
圧力での水素充填時における水素吸蔵合金の温度が、該
前の水素充填時における水素吸蔵合金の温度よりも高い
ときに前記水素吸蔵合金が劣化していると判断する劣化
検知手段を備えたことにより、確実に水素吸蔵合金が劣
化していると判断することができる。従って、水素吸蔵
合金への水素充填装置であっても水素吸蔵合金の劣化検
知装置としても使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の先行試験に使用した水素吸蔵タ
ンクの縦断面図である。 (b)図1(a)のA−A断面図である。
【図2】本発明の先行試験に使用したBCC(体心立方
構造)系の水素吸蔵合金の初期サイクル時と、所定のサ
イクル数を経過した時の常温における吸蔵時のPCT
(圧力―組成―温度)曲線である。
【図3】本発明の先行試験に使用した水素吸蔵合金の初
期サイクル時、及び所定のサイクル数を経た時の温度―
圧力特性である。
【図4】高圧水素によりMHタンクに水素充填を行った
場合の初期サイクル時、及び所定のサイクル数を経た時
の水素吸蔵合金の初期到達温度を示す図である。
【図5】本発明に係る第1実施形態の水素充填装置の全
体構成図である。
【図6】本発明に係る第1実施形態の水素充填装置に水
素を貯蔵するときの制御フローチャートである。
【図7】本発明に係る第2実施形態の水素充填装置の全
体構成図である。
【図8】従来の水素充填装置の全体構成図である。
【符号の説明】
10 MHタンク(水素吸蔵タンク) 11 水素充填路 12 水素放出路 12a レギュレータ 13 制御装置 14 熱電対(温度検知手段) 15 ストレンゲージ(圧力検知手段) 16 可変圧力レギュレータ 16a アクチュエータ 17 閉鎖弁 18 フィルタ 19 水素注入口 20 パージライン 20a パージ弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 縫谷 芳雄 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 Fターム(参考) 3E072 EA10 4G040 AA12 AA22 AA29 4G140 AA12 AA22 AA29 5H027 AA02 BA13 BA14 KK08 KK48 MM08

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水素流入口を有し、内部に水素吸蔵合金
    を収容するように形成された水素吸蔵タンクと、前記水
    素流入口に水素を供給して充填するための水素充填源
    と、前記水素流入口と前記水素充填源を結ぶ水素充填路
    とを備えた水素充填装置において、 前記水素吸蔵合金の温度を検知する温度検知手段と前記
    水素吸蔵合金の圧力を検知する圧力検知手段とを備え、 前記水素充填路に配置され、前記温度検知手段及び前記
    圧力検知手段からの信号に応じて、前記水素吸蔵タンク
    へ充填される水素の充填圧力を制御する水素充填手段を
    備えたことを特徴とする水素充填装置。
  2. 【請求項2】 前記水素吸蔵合金の温度が所定温度以上
    に達したときに前記水素の充填圧力を下げるように前記
    水素充填手段を制御することを特徴とする請求項1に記
    載の水素充填装置。
  3. 【請求項3】 水素流入口を有し、内部に水素吸蔵合金
    を収容するように形成された水素吸蔵タンクと、前記水
    素流入口に水素を供給して充填するための水素充填源
    と、前記水素流入口と前記水素充填源とを結ぶ水素充填
    路とを備えた水素充填装置において、 前記水素吸蔵合金の劣化を検知する劣化検知手段を備
    え、 前記水素充填路に配置され、前記劣化検知手段からの信
    号に応じて、前記水素吸蔵タンクへ充填される水素の充
    填圧力を制御する水素充填手段を備えたことを特徴とす
    る水素充填装置。
  4. 【請求項4】 前記劣化検知手段によって劣化が検知さ
    れたら前記水素の充填圧力を下げるように前記水素充填
    手段を制御することを特徴とする請求項3に記載の水素
    充填装置。
  5. 【請求項5】 前記劣化検知手段は、少なくとも1回前
    の水素充填時に、前記温度検知手段によって検知した温
    度を記憶しておき、該前の水素充填時における水素吸蔵
    合金の温度よりも高いときに水素吸蔵合金の劣化と判断
    することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の水
    素充填装置。
  6. 【請求項6】 記憶する前記水素吸蔵合金の温度は、少
    なくとも1回前の水素充填時の一番高い温度であること
    を特徴とする請求項5に記載の水素充填装置。
  7. 【請求項7】 水素吸蔵合金を収容した水素吸蔵タンク
    と、前記水素吸蔵合金へ水素を充填する水素充填手段と
    を備え、少なくとも1回前の水素充填時における水素吸
    蔵合金の温度を記憶し、前回と同一圧力での水素充填時
    における水素吸蔵合金の温度が、該前の水素充填時にお
    ける水素吸蔵合金の温度よりも高いときに前記水素吸蔵
    合金が劣化していると判断する劣化判断手段を備えたこ
    とを特徴とする水素吸蔵合金の劣化検知装置。
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