JP2004163924A - 偏光板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 PVA偏光子の特性を長時間にわたって変質させることなく、機械特性、環境特性に優れた偏光子の保護シートを有する偏光板を提供する。
【解決手段】 偏光子Pの両面に保護シートAを積層してなる偏光板において、該保護シートAが非晶性熱可塑性重合体であるベース層Bの片面にアクリル系接着層Cと高吸水層DをB/C/Dの順に積層され、該保護シートAの高吸水層Dと偏光子Pが接着した積層シートであることを特徴とする偏光板。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ヨウ素を含浸させた一軸配向ポリビニルアルコールなどからなる偏光子Pとの強い接着性を有するのみならず、透明性、光学的等方性、耐湿性、耐熱性に優れた偏光子カバーシートを積層した偏光板に関するものである。
偏光フィルムは、液晶表示関係などに用いられているがその偏光フィルムは偏光子の両面に保護層が積層された3層で構成されている。
該偏光子としては、通常ポリビニルアルコール(PVA)にヨウ素や染料を吸着、分散させた一軸配向フィルムが用いられている。
このPVA偏光子は熱や水分により収縮し、偏光機能の低下をきたすため、その両面に保護層が接着された積層体になっている。保護層としては複屈折がなく光学的に等方性であること、光線透過率が高いこと、耐湿性、耐熱性に優れていること、機械的性質に優れていること、平面性が良好なこと、偏光子との接着性が良好であることなどが要求される。このため従来からトリアセチルセルロース(TAC)フィルムが用いられていた。
しかしながら、TACフィルムは防湿性が不十分であり、このため高温高湿下では偏光機能が急激に低下してしまうばかりか、偏光子との接着性が劣り剥離する問題点があった。また、TACフィルムは機械的強度が弱くフィルムの薄膜化が困難であるという問題の他、TACフィルム製造工程で塩化メチレンという有害な溶媒の使用が必須であり、人および環境に対する影響も問題となっている。
そこで、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4などに示されているように、TACフィルムシートのかわりに耐湿性の良好な熱可塑性ノルボルネン系樹脂を用いることが示されている。
また、ポリオレフィンフィルムにアクリル酸エステルをコーティングし、TACフィルムのかわりに使用しようという試みが特許文献5に示されている。
特開平4−339821号公報 特開平5−212828号公報 特開平10−101907号公報 特開平10−130402号公報 特開2001−330727号公報
しかしながら、熱可塑性ノルボルネン系樹脂はPVA系偏光子と強い接着性が得られない欠点がある。また、ポリオレフィンフィルムにアクリル酸エステルをコーティングしたものも前記したTACフィルムの問題点を十分に解消するには至らなかった。本発明は、上記のTACフィルムの問題点を大幅に改善した偏光板を提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するため本発明の偏光板は、主として次の構成を有する。すなわち、偏光子Pの両面に高分子樹脂シートAを積層してなる偏光板において、該保護シートAはベース層Bの片面にアクリル系接着層C、さらに高吸水層Dを積層した複合シートであることを特徴とする偏光板である。
また、本発明の偏光板の製造方法は、主として次の構成を有する。すなわち、
非晶性熱可塑性重合体であるベース層Bの片面にアクリル系接着層Cと高吸水層DをB/C/Dの順に積層した保護シートAを、偏光子Pの両面に、該保護シートAの高吸水層Dと偏光子Pが接するように接着して積層する偏光板の製造方法であって、保護シートAと偏光子Pを接着する際、0.001〜20μmの水または水系接着剤を偏光子Pの両面または高分子樹脂シートAの高吸水層D側の面のうち、いずれかの面に塗布し、接着して積層することを特徴とする偏光板の製造方法である。
このような耐湿性に優れた偏光板は、液晶表示画面の、特に環境変化の大きい携帯電話、自動車用ナビゲーターなどの表示画面に有用である。
以下に、本発明の好ましい実施の形態を説明する。
本発明は、PVA系などの偏光子保護シートとして耐水性に優れた熱可塑性ノルボルネン系樹脂などのシートを、水系接着剤で接着することで、偏光子Pとの密着性に優れ、しかも経時で接着界面に膨れ現象などのない耐久性のある偏光板を提供するものである。
該ベース層Bを構成する高分子化合物としては、環状オレフィン共重合体、水添ポリスチレン、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、アクリル重合体、およびそれらの変性体から選ばれた非晶性熱可塑性重合体や熱硬化性エポキシ樹脂などであり、本発明の場合、特に水蒸気透過率が小さく、透明でガラス転移温度の高い環状オレフィン共重合体、ガラス転移温度(Tg)が120℃以上であるアクリル系熱可塑性共重合体が好ましい。
環状オレフィン共重合体(COC)ではノルボルネン骨格を有し、120℃以上のガラス転移温度(Tg)を有する高Tgポリオレフィンや、テトラシクロドデセン誘導体、または該テトラシクロドデセンと共重合可能な不飽和環状化合物とメタセシス重合して得られる重合体に水素添加して得られる重合体などがあり、特開昭60−168708号公報、特開昭62−252406号公報、特開昭62−252407号公報、特開昭63−145324号公報、特開昭63−264626号公報、特開平1−240517号公報、特開平2−133413号公報、特公昭57−8815号公報などで例示することができる。
例えば、COCの側鎖に(CH2)nCOORなどの極性基を適宜に有したもの、例えばノルボルネン基2〜5個に1個程度の極性基を有したものも好ましいが、すべてのノルボルネン基全部に極性基を有するというような多くの極性基を有する場合は、水蒸気透過率が50g/m2・日・0.1mmシートを越えるようになり、さらに吸水率や湿度膨張係数βも大きくなり保護機能としての特性が損なわれ好ましくない。
また、ガラス転移温度(Tg)が120℃以上のアクリル共系重合体としては、(i)下記一般式(1)
Figure 2004163924
(上記式中、R1、R2は、同一または相異なる水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す)
で表されるグルタル酸無水物単位(以下、単に、グルタル酸無水物単位という)、及び、(ii)不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位を必須重合単位として含み、必要に応じて、(iii)不飽和カルボン酸単位、及び/又は、(iv)芳香環を含まないその他ビニル系単量体単位を任意重合単位として含む熱可塑性共重合体が好ましく、これらは一種または二種以上で用いることができる。
即ち、次の4種のアクリル系共重合体が好ましく用いられる。
I: (i)上記グルタル酸無水物単位および(ii)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位からなる熱可塑性共重合体、
II: (i)上記グルタル酸無水物単位、(ii)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位および(iii)不飽和カルボン酸単位からなる熱可塑性共重合体、
III: (i)上記グルタル酸無水物単位、(ii)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位、および(iv)芳香環を含まないその他のビニル系単量体単位からなる熱可塑性共重合体、
IV: (i)上記グルタル酸無水物単位、(ii)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位、(iii)不飽和カルボン酸単位および(iv)芳香環を含まないその他のビニル系単量体単位からなる熱可塑性共重合体
製造の際に用いられる不飽和カルボン酸単量体としては特に制限はなく、他のビニル化合物と共重合させることが可能ないずれの不飽和カルボン酸単量体も使用可能である。好ましい不飽和カルボン酸単量体として、下記一般式(4)
Figure 2004163924
(ただし、R3は水素又は炭素数1〜5のアルキル基を表す)
で表される化合物、マレイン酸、及びさらには無水マレイン酸の加水分解物などが挙げられるが、特に熱安定性が優れる点でアクリル酸、メタクリル酸が好ましく、より好ましくはメタクリル酸である。これらはその1種または2種以上用いることができる。
なお、上記一般式(4)で表される不飽和カルボン酸単量体は、共重合すると上記一般式(2)で表される構造の(iii)不飽和カルボン酸単位を与える。
また不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体としては特に制限はないが、好ましい例として、下記一般式(5)で表されるものを挙げることができる。
Figure 2004163924
(ただし、R4は水素又は炭素数1〜5のアルキル基を表し、R5は炭素数1〜6の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は1個以上炭素数以下の数の水酸基若しくはハロゲンで置換された炭素数1〜6の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基を表す)
これらのうち、炭素数1〜6の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は置換基を有する該炭化水素基を持つアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルが特に好適である。なお、上記一般式(5)で表される不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体は、共重合すると上記一般式(3)で表される構造の(ii)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位を与える。
不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体の好ましい具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−へキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシルおよび(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチルなどが挙げられ、なかでもメタクリル酸メチルが最も好ましく用いられる。これらはその1種または2種以上を用いることができる。
また、本発明で用いるアクリル系共重合体の製造においては、本発明の効果を損なわない範囲で、芳香環を含まないその他のビニル系単量体を用いてもかまわない。芳香環を含まないその他のビニル系単量体の好ましい具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルなどのシアン化ビニル系単量体、アリルグリシジルエーテル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸エチルアミノプロピル、メタクリル酸シクロヘキシルアミノエチル、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アリルアミン、メタアリルアミン、N−メチルアリルアミン、2−イソプロペニル−オキサゾリン、2−ビニル−オキサゾリン、2−アクロイル−オキサゾリンおよびなどを挙げることができる。これらは単独ないし2種以上を用いることができる。
なお、芳香環を含むビニル系単量体は、この単量体を共重合させた場合、耐擦傷性、耐候性が低下する傾向にあるため、共重合しないことが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲であれば共重合しても差し支えない。かかる芳香環を含むビニル系単量体としては、N−フェニルマレイミド、メタクリル酸フェニルアミノエチル等があげられる。なお、p−グリシジルスチレン、p−アミノスチレン、2−スチリル−オキサゾリンなどの芳香族ビニル系単量体については、特に上記特性が低下する傾向が強いため、共重合しないことが好ましいが、共重合する場合には1重量%未満にとどめる必要がある。
本発明に使用されるアクリル系共重合体において、(i)前記グルタル酸無水物単位の含有量は、ガラス転移温度が本発明の範囲内であれば、特に制限はないが、アクリル系熱可塑性共重合体A100重量%中に5〜50重量%が好ましく、より好ましくは10〜45重量%である。前記グルタル酸無水物単位が5重量%未満である場合、耐熱性向上効果が小さく、また十分な耐候性が得られない傾向がある。
また、本発明に使用されるアクリル系共重合体中に含有される(iii)不飽和カルボン酸単位量は0〜10重量%、より好ましくは0〜5重量%である。(iii)不飽和カルボン酸単位量が10重量%を超える場合には、無色透明性、滞留安定性が低下する傾向がある。また(ii)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位量は好ましくは50〜95重量%、より好ましくは55〜90重量%、共重合可能な他のビニル系単量体は好ましくは0〜35重量%である。
ベース層Bの厚みは偏光板全体の厚みに影響し、出来るだけ薄い方が好ましいが偏光子の変形を防止するためには、20〜150μmの範囲が好ましく、40〜80μmが最も好ましい。
もちろん、これらのベース層Bに各種の添加剤、例えば滑り剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤などを添加することもできる。
また、ベース層Bにアクリル系接着層を積層する前に、相互の層間接着力を更に大きくするために該B層に表面活性化処理をしてからコーティング積層してもよい。該表面活性化処理としてはプラズマ処理、コロナ放電処理、薬液処理、粗面化処理、エッチング処理、火炎処理などがあげられ、これらを併用してもよい。
本発明の場合、特にドライ処理であるプラズマ処理、コロナ放電処理、火炎処理が特に好ましく、さらに炭酸ガスなどの極性ガスの存在下での常圧プラズマ処理、コロナ放電処理が経済性、接着性などの点で特に好ましい。このときのベース層Bの表面張力としては40mN/m以上、好ましくは50mN/m以上となるように表面処理したベース層Bの表面にアクリル系接着層Cおよび高吸水層Dをコーティング積層する。
コーティング方法としては、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、スリットダイコーティング、バーコーターコーティングなどが好ましい。
本発明におけるアクリル系接着層Cは、ポリアクリル接着剤を薄膜に塗布して形成させる。厚みの均一性、良好な外観を得るために、溶剤溶液あるいは水分散液としてベース層Bにコーティングにより積層する方法が好ましい。
アクリル系接着剤は、一般に、主構成モノマーとして、そのホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が−50℃以下のもの(低Tgモノマー)が使用され、これに適当なコモノマーを選び、共重合することにより樹脂のTgや粘着特性を調整している。
本発明においてアクリル系接着層Cの原料として用いるポリオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ヘキセン、1−デセン、及び4−メチル−1−ペンテン等の単独重合体、あるいはこれらの共重合体が挙げられ、それらの単独重合体や共重合体中にコモノマーとしてブタジエン等のジエン類を含んでいても良い。また特に、ポリプロピレンからなる被塗装素材を塗装するために用いる塗料、プライマー及び接着剤を製造するような場合は、ポリオレフィンとしてポリプロピレンを、又はプロピレン成分が50モル%以上を占める共重合体を用いるのが好ましい。
本発明においてアクリル系接着層Cとしては、ポリオレフィンにα、β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体および当該単量体と共重合可能な単量体をラジカル重合させた樹脂が好ましく用いられる。
本発明においてアクリル系接着層Cとして好ましい樹脂を得る原料として用いるα,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウロイル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有ビニル類、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有ビニル類及びこれらのモノエステル化物類、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン等の芳香族ビニル類、その他アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、メチロールアクリルアミド、及びメチロールメタクリルアミド、エチレン、プロピレン、C4〜C20のα−オレフィン等が挙げられる。
また、本発明においてアクリル系接着層Cとして好ましい樹脂を得る原料として用いる、α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体以外の単量体であって、α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体と共重合可能な単量体としては、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水コハク酸等の無水カルボン酸類等が挙げられる。
ここで、α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体及びこの単量体と共重合可能な単量体は、いわゆるラジカル重合性を示すモノマーである。また、ここに記載されたメチル(メタ)アクリレートのような記載は、メチルアクリレート及びメチルメタアクリレートを示す。
本発明においてアクリル系接着層Cは、ポリオレフィンにこれらの単量体単独で、又は複数種類の単量体をラジカル重合して得られる樹脂であり、例えば、公知のアクリル系接着剤は、本発明におけるアクリル系接着層Cとして用いられる。ラジカル重合を行うにあたり、ラジカルを発生させる方法は、例えば、有機溶媒中、光重合開始剤の存在下で光を照射する方法、又は有機過酸化物を添加する方法等、公知の方法を使用することができる。光重合開始剤としては、ベンゾイル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジル、ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルメチルケタール、アントラキノン、クロルアントラキノン、エチルアントラキノン、ブチルアントラキノン、ジフェニルスルファイド、ジチオカーバメート、2−クロルチオキサントン、α−クロロメチルナフタレンアントラセン、3,3’4,4’−テトラベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド等が挙げられる。また、有機過酸化物としては、tert−ブチル基及び/又はベンジル基を有する、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエイト、クメンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。上記光重合開始剤量は、樹脂の総重量に対し、0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%であることが好ましく、有機過酸化物量は、樹脂の総重量に対し、2〜50重量%、より好ましくは3〜30重量%であることが好ましい。上記範囲以下であると、得られる樹脂溶液が分離現象を起こし易く、上記範囲を越えるとゲル化を起こし易くなるためである。
本発明においてアクリル系接着層Cとして用いる樹脂として、上記の単量体を用いて得られた共重合体樹脂を変性し、分子内に重合性不飽和結合を含有させた共重合体樹脂を使用することもできる。変性した共重合体は、単量体構成単位としてヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有ビニル類を含むことによって、分子内に水酸基を有する共重合体に、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水コハク酸等の重合性不飽和結合を有する無水カルボン酸を付加する方法や、2つのイソシアナート基を有するウレタン樹脂の一方のイソシアナート基に、重合性不飽和結合と水酸基を有する樹脂又はモノマーの水酸基を付加させ、さらに残ったイソシアナート基と共重合体の水酸基に付加させる方法等公知の方法によって得られる。
また、その他の添加剤として、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などのカップリング剤や、テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂などの粘着付与剤、また、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐熱加水分解安定剤などの安定剤等を用いてもよい。
該アクリル系接着層Cの厚みはベース層Bと偏光子Pとの十分な接着性を保持するためには0.5〜20μmが好ましい。さらには3〜15μmの厚みが接着性、透明性、光弾性率の両立の点で好ましい。
本発明において、高吸水層Dとしては、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアミン、ポリグルタルミン酸ソーダ、ポリビニルアセトアミドなどを主成分とした層、特にポリビニルピロリドン(PVP)を主成分とした層であることが好ましい。K値とは、分子量を表す指標であり、接着力を優れたものとする観点から、K値が70以上のポリビニルピロリドンであることが特に好ましい。
本発明において重要な点は、水蒸気を通し難い疎水性のベース層Bに積層した高吸水層Dの存在にあり、このD層が存在することにより、水だけで他の接着剤なしでも強力な接着が可能になるばかりか、経時で水分の拡散による接着界面での膨れ現象や、接着力の低下などのない耐久性のある偏光板になるのである。
D層が高吸水性樹脂層であるために、水で接着が可能になるばかりか、この水は偏光子Pと高分子樹脂シートAとの接着に、D層を溶かして活性化させるために必須であるが、この接着に必要な水以外の余分な水は直ちに高吸水層Dに吸水されるために、偏光子Pへの余分な水の拡散吸収がないので、偏光度の低下、平面性の低下、接着力の低下などの問題がない。通常、高分子樹脂シートAのD層上に水を塗布法、吹きつけ法、結露法などで水を供給するが、これらD層上に存在する水は偏光子Pとの接着までにプロセス上の関係で、適度な時間があるために、この時間内で塗布されたかなりの水がD層に吸水され、その結果、D層が部分溶解し表面活性化して偏光子Pとの接着ができるようになるので、偏光子P側に移行する水は実質上ほとんどない。その結果、偏光子Pの偏光度低下や、接着力の低下、さらには平面性の低下などがなくなるのである。
すなわち、優れた親和性、強固な接着力が発現でるようになるばかりか、D層に存在する水は強力な結合力で保持しているために、これらの水がベースB層を通過しなくても、D層内部で保持されているために、界面での膨れ現象や剥がれ現象がないのである。
該高吸水層Dは偏光子P面側に積層されていることが必須である。また該高吸水層D内部に水が保持されるとベース層Bとの接着力が低下するため、ベース層Bと高吸水層Dとの間にアクリル系接着層Cが積層されることが必要である。
偏光子PとシートAとの接着は、代表的には水で行うが、必要ならば水溶性接着剤として、水溶性高分子や親水性高分子化合物、その中でも親水性セルロース誘導体、親水性ポリエステル、ポリビニルアルコール誘導体、天然高分子などから選ばれた高分子を主たる構成成分とする接着剤などを用いてもよい。
その具体例として、例えば、硫酸イオンやカルボキシルイオンを有したイソフタル酸、および/または多価アルコールであるポリエチレングリコール(PEG)などをポリエステルに共重合した水溶性ポリエステル、カルボキシルメチルセルロースなどの水溶性セルロース誘導体、酢酸ビニルビニルアルコール共重合体などのポリビニルアルコール誘導体、ゼラチン、アラビアゴムなどの天然高分子化合物、ポリアクリルアミドなどのビニル高分子誘導体などである。
該高吸水層Dの厚みはベース層Bと偏光子Pとの十分な接着性を保持するためには0.5〜10μmが好ましい。さらには3〜8μmの厚みが接着性、透明性、光弾性率の両立の点で好ましい。
高吸水層Dには、必要に応じて紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤などを添加しても良い。
本発明において用いる偏光子Pとしては、ポリビニルアルコールとヨウ素を主たる構成成分とした一軸配向した厚み25μ程度のものが好ましく用いられる。
ベース層Bにアクリル系接着層Cおよび高吸水層Dを積層し、得られた高分子樹脂シートAと、偏光子Pとの積層方法としては、A(B/C/D)/P/A(D/C/B)なる構成のシートとなるように、偏光子Pの両面または高分子樹脂シートAの高吸水層D側の面のうち、いずれかの面に、水または水系接着剤を塗布しておき、好ましくはロールによりラミネートする方法などによって、接着して積層する。
この際、水または水系接着剤の塗布量は、0.001〜20μmが好ましく、さらに好ましくは0.005〜15μmである。水または水系接着剤の塗布量がかかる好ましい範囲であると、接着力が十分である。
また、この時のロール温度は60〜120℃が好ましく、さらに好ましくは80〜100℃である。ロール温度がかかる好ましい範囲であると、高吸水層Dと偏光子Pとの間で十分なラミネート接着強度が得られる一方、偏光子Pが熱変形を起こさず、外観が良好であり、また、偏光度の低下を引き起こすこともない。
このようにして得られた偏光板は、従来のトリアセチルセルロース(TAC)を保護フィルムとした偏光板に較べ、薄膜であること、接着性に優れていること、耐水性・耐湿性に優れていること、環境負荷が少ないことなどの優れた特性を有している。
[物性の測定法]
本発明で使用した物性値の測定法について、以下に述べる。
(1)フィルムの厚みムラ
アンリツ(株)製フィルムシックネステスタKG601Aを用い、測定した。
(2)熱的特性(Tg、Tm)
パーキンエルマー社製DSC−II型測定装置を用い、サンプル重量10mg、窒素気流下で昇温速度20℃/分で昇温してゆき、ベースラインの偏起の開始する温度をガラス転移点Tg、さらに昇温したところの発熱ピークをTccとし、結晶融解に伴う吸熱ピーク温度を融点Tmとした。Tm+20℃で1分間保持した後、冷却速度20℃/分で溶融体を冷却し、結晶化に基づく発熱ピーク温度をTmcとした。
(3)水蒸気透過率
MOCON社製PERMATRAN−W3/30を用い、JIS K 7129 B(1992)法(赤外センサー法)に従い、25℃/90%RHの条件で測定した。
(4)光線透過率
(株)日立製作所製分光光度計U3410を用いて、波長300〜700nmの範囲における可視光線の全光線透過率を測定した。
(5)レタデーション
新王子製紙(株)製自動複屈折計 KOBRA−21ADHを用いて、測定した。
(6)接着力
JIS Z 0237(1991)に従い、Tピール剥離試験で求めた剥離に必要な強度(kg)を試験片の幅で割った値を接着力とした。
以下、実施例に基づいて本発明について更に詳しく説明する。
(実施例1)
高分子樹脂シートAを積層してなる偏光板において、該シートAのベース層Bは、ノルボルネン系樹脂である環状オレフィン共重合体COC(日本ゼオン(株)製ゼオノア1600)を用い、真空乾燥により水分および溶存酸素を脱気後、原料ホッパーから押出機までを窒素置換した65mmの押出機に供給して、280℃で溶融した。一方、その樹脂Bの周りを取り囲むように積層する樹脂Eとして、固有粘度0.63dl/g、融点256℃のポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を真空乾燥後、40mmの溶融押出機に供給して、285℃で溶融させ、それぞれを15μm以上の異物をカットするフィルターを通過させた後、厚さ方向にE/B/Eと3層にして、カラス口形状のTダイ口金からキャスティングドラム上に押し出した。キャスティングドラムと押し出された溶融樹脂シートとの密着性をあげるために接地点の少し前に非ドラム面側からタングステンの0.15mm径ワイヤーで10kV、5mAの正電化を印可して、溶融樹脂シートを40℃に保たれた鏡面クロムメッキドラム上に密着させ、冷却固化した。
かくして得られた3層キャストフィルムは各層厚みが10/40/10μmからなる全体厚み60μmのものであり、E層を剥離してB層単独のフィルムの物性を測定した。長手方向、幅方向とも3%以下と厚み均質性、平面性に優れ、リタデーションが1.0nm、可視光線透過率(波長400〜700nm)は92%以上と透明で光学等方性に優れたシートであった。
該フィルムの片面にコロナ放電処理を行い、アクリル系接着層Cをコーティングした。アクリル系接着層CはオレスターPP3501(三井化学(株)製、開発品、不揮発分40%、水酸基価1%)のトルエン溶液に硬化剤としてタケネートD170NH(三井武田ケミカル(株)製、不揮発分100%)を1.0部添加したものを用いた。乾燥後の厚みが5μmとなるようにバーコーターで塗布し、120℃で乾燥した。更にアクリル系接着層Cの上に高吸水層Dとして、ポリビニルピロリドンPX4−VP90((株)日本触媒)の10wt%IPA溶液を乾燥後の厚みが5μmとなるようにバーコーターで塗布し、120℃で乾燥した。
一方、ポリビニルアルコールとヨウ素とからなる一軸に配向した厚さ20μmの偏光子Pの両面に超音波加湿器で水蒸気を吹きつけ、水膜として1μm程度なるように水を付与させた後、上記40μmCOC樹脂フィルムベース層Bの上にアクリル系接着層C、高吸水層Dを各5μm積層した高分子樹脂シートAの高吸水層D側を偏光子Pの両面に重ね合わせ、80℃加熱ロールで加圧接着し60℃で乾燥した。B/C/D/P/D/C/Bの7層からなる厚さ120μmの偏光板を得た。結果を表1に示した。
この偏光板は強固に接着し、また、ベース層Bが疎水性シートであり、水蒸気透過率がきわめて小さいため、高湿下で長時間放置した場合も偏光子の特性や外観変化は見られなかった。
Figure 2004163924
(実施例2)
ベース層Bのノルボルネン系樹脂である環状オレフィン共重合体COCとして、JSR(株)製アートンFX26 50μmを使用した以外は、実施例1と同様にして偏光板を作製した。結果を表1に併せて示した。
この偏光板は強固に接着し、また、ベース層Bが疎水性シートであり、水蒸気透過率がきわめて小さいため、高湿下で長時間放置した場合も偏光子の特性や外観変化は見られなかった。
(実施例3)
ベース層Bのノルボルネン系樹脂である環状オレフィン共重合体COCとして、三井化学(株)製APL6015T 50μmを使用した以外は、実施例1と同様にして偏光板を作製した。結果を表1に併せて示した。
この偏光板は強固に接着し、また、ベース層Bが疎水性シートであり、水蒸気透過率がきわめて小さいため、高湿下で長時間放置した場合も偏光子の特性や外観変化は見られなかった。
(実施例4)
ベース層Bのオレフィン共重合体として、三井化学(株)製ポリ4−メチルペンテン−1(オピュランX−22 50μm)を使用した以外は、実施例1と同様にして偏光板を作製した。結果を表1に併せて示した。
この偏光板は強固に接着し、また、ベース層Bが疎水性シートであり、水蒸気透過率がきわめて小さいため、高湿下で長時間放置した場合も偏光子の特性や外観変化は見られなかった。
(実施例5)
実施例1のアクリル系接着層Cを次のとおり代えた以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。アクリル系接着層CはオレスターPP3001(三井化学(株)製、開発品、不揮発分40%、水酸基価3%)のメチルシクロヘキサン溶液に硬化剤としてタケネートD178N(三井武田ケミカル(株)製、不揮発分100%)を2.0部添加したものを用いた。乾燥後の厚みが5μmとなるようにバーコーターで塗布し、120℃で乾燥した。結果を表1に併せて示した。
この偏光板は強固に接着し、また、ベース層Bが疎水性シートであり、水蒸気透過率がきわめて小さいため、高湿下で長時間放置した場合も偏光子の特性や外観変化は見られなかった。
(実施例6)
実施例1の高吸水層Dを次のとおり代えた以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。高吸水層Dとして、低分子量ポリビニルアルコール(日本合成化学(株)製、デンカポバールAL−06)5%水溶液を乾燥後の厚みが5μmとなるようにバーコーターで塗布し、120℃で乾燥した。結果を表1に併せて示した。
この偏光板は強固に接着し、また、ベース層Bが疎水性シートであり、水蒸気透過率がきわめて小さいため、高湿下で長時間放置した場合も偏光子の特性や外観変化は見られなかった。
(実施例7)
ベース層Bとして、下記の方法で製造したアクリル系共重合体を使用した以外は、実施例1と同様にして偏光板を作成した。これを実施例7とした。
メタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体系懸濁剤を以下の方法で調整した。メタクリル酸メチル20重量部、アクリルアミド80重量部、過硫酸カリウム0.3重量部、イオン交換水1500重量部を反応器中に仕込み、反応器中を窒素ガスで置換しながら70℃に保った。反応は単量体が完全に、重合体に転化するまで続け、アクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体の水溶液を作製した。
得られたメタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体系懸濁剤水溶液0.05部をイオン交換水165部に溶解させた溶液にして供給し、撹拌し、系内を窒素ガスで置換した。次に、下記の単量体混合物を、反応系を撹拌しながら添加し、70℃に昇温した。内温が70℃に達した時点を重合開始として、180分間保ち、重合を終了した。以降、通常の方法に従い、反応系の冷却、ポリマーの分離、洗浄、乾燥を行い、ビーズ状の共重合体Fを製造した。この共重合体F製造時の重合率は98%であった。
[単量体混合物の組成]
メタクリル酸(MAA) 30重量部
メタクリル酸メチル(MMA) 70重量部
t−ドデシルメルカプタン 0.6重量部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 0.4重量部
このビーズ状の共重合体Fおよびナトリウムメトキシドを、共重合体F100重量部、ナトリウムメトキシド0.5重量部の割合で、ベント付き同方向回転2軸押出機に、そのホッパー口より供給して、樹脂温度250℃で溶融押出し、ペレット状の、グルタル酸無水物単位を含有するアクリル系共重合体を製造した。得られたアクリル系熱可塑性共重合体(B−1)を赤外分光光度計を用いて分析した結果、1800cm-1及び1760cm-1に吸収ピークが確認され、グルタル酸無水物単位が形成されていることを確認した。また、この共重合体を重ジメチルスルホキシドに溶解させ、室温(23℃)にて1H−NMRを測定し、共重合体組成を決定したところ、メタクリル酸メチル単位70重量%、グルタル酸無水物単位30重量%、メタクリル酸単位0重量%であった。また、そのガラス転移温度は145℃であった。
常法に従い、アクリル系共重合体を真空乾燥により、水分および溶存酸素を脱気した後、原料ホッパーから押出機までを窒素置換した65mmの押出機に供給して、280℃で溶融させた。一方、その樹脂Aの周りを取り囲むように積層する樹脂Eとして、ポリプロピレン樹脂(三井住友ポリオレフィン(株)製FS2011C)を、40mmの溶融押出機に供給して、275℃で溶融させ、それぞれを10μm以上の異物をカットするフィルターを通過させた後、厚さ方向にE/B/Eと3層にして、カラス口形状のTダイ口金からキャスティングドラム上に押し出した。キャスティングドラムと押し出された溶融樹脂シートとの密着性をあげるためにプレスロールを併用し、溶融樹脂シートを25℃に保たれた鏡面クロムメッキドラム上に密着・冷却固化させた。
かくして得られたE/B/Eの3層フィルムは各層厚みが10/40/10μmからなる全体厚み60μmのものであり、E層を剥離した後にB層の単独のフィルム物性を測定したところ、厚みムラは3%以下、周波数解析による3〜30Hzの着地振動起因の厚みムラもなく、厚み均質性に優れ、表面欠点のない、リタデーションが1nm、可視光線透過率(波長400〜700nm)が93%以上と透明で光学等方性に優れたシートであった。
以降の実施例1と同様に、コーティングおよび貼り合わせを行い、B/C/D/P/D/C/Bからなる偏光子を得た。この偏光板は強固に接着され、ベース層Bの水蒸気透過率が小さいため高湿度下で長時間放置した場合も偏光子の特性や外観変化は見られなかった。
(比較例1)
ベース層Bにセルローストリアセテート(TAC)フィルム(富士写真フィルム(株)製、フジタック80μm)を用いた以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。結果を表1に併せて示した。
この偏光板は、40℃90%RHの高湿雰囲気中に放置した場合、実施例1〜8に較べ偏光度の低下が早かった。

Claims (16)

  1. 偏光子Pの両面に保護シートAを積層してなる偏光板において、該保護シートAが非晶性熱可塑性重合体であるベース層Bの片面にアクリル系接着層Cと高吸水層DをB/C/Dの順に積層され、該保護シートAの高吸水層Dと偏光子Pが接着した積層シートであることを特徴とする偏光板。
  2. 該アクリル系接着層Cが、ポリオレフィンにα、β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体および当該単量体と共重合可能な単量体をラジカル重合させた樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の偏光板。
  3. 該アクリル系接着層Cがイソシアネート硬化剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の偏光板。
  4. 該高吸水性D層の飽和吸水率が20重量%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の偏光板。
  5. 該高吸水性D層が、K値が70以上のポリビニルピロリドン(PVP)を主成分とした層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の偏光板。
  6. 該アクリル系接着層Cの厚みが0.5〜20μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の偏光板。
  7. 該高吸水性D層の厚みが0.5〜10μmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の偏光板。
  8. 該保護シートAのレターデーションが、0.1〜80nmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の偏光板。
  9. 該ベース層Bが高分子化合物から成り、該高分子化合物が環状オレフィン共重合体、水添ポリスチレン、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、およびそれらの変性体またはガラス転移温度(Tg)が120℃以上であるアクリル系熱可塑性共重合体から選ばれた非晶性熱可塑性重合体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の偏光板。
  10. 該ベース層Bを構成するアクリル系熱可塑性共重合体が、(i)下記一般式(1)で表されるグルタル酸無水物単位および(ii)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位からなる熱可塑性共重合体、(i)下記一般式(1)で表されるグルタル酸無水物単位、(ii)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位および(iii)不飽和カルボン酸単位からなる熱可塑性共重合体、(i)下記一般式(1)で表されるグルタル酸無水物単位、(ii)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位、および(iv)芳香環を含まないその他のビニル系単量体単位からなる熱可塑性共重合体、並びに、(i)下記一般式(1)で表されるグルタル酸無水物単位、(ii)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位、(iii)不飽和カルボン酸単位および(iv)芳香環を含まないその他のビニル系単量体単位からなる熱可塑性共重合体のうちのいずれか1種以上であることを特徴とする請求項9に記載のフィルム。
    Figure 2004163924
    (上記式中、R1、R2は、同一または相異なる水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す)
  11. (iii)不飽和カルボン酸単位が、下記一般式(2)で表される単位であることを特徴とする請求項10に記載の偏光板。
    Figure 2004163924
    (ただし、R3は水素又は炭素数1〜5のアルキル基を表す)
  12. (ii)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位が、下記一般式(3)で表される単位であることを特徴とする請求項10または11に記載のフィルム。
    Figure 2004163924
    (ただし、R4は水素又は炭素数1〜5のアルキル基を表し、R5は炭素数1〜6の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は1個以上炭素数以下の数の水酸基若しくはハロゲンで置換された炭素数1〜6の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基を表す)
  13. 該アクリル系接着層Cと高吸水層Dを積層したベース層Bと偏光子PとをB/C/D/P/D/C/Bの順に熱ロールで加熱積層したことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の偏光板。
  14. 非晶性熱可塑性重合体であるベース層Bの片面にアクリル系接着層Cと高吸水層DをB/C/Dの順に積層した保護シートAを、偏光子Pの両面に、該保護シートAの高吸水層Dと偏光子Pが接するように接着して積層する偏光板の製造方法であって、保護シートAと偏光子Pを接着する際、水または水系接着剤を偏光子Pの両面または高分子樹脂シートAの高吸水層D側の面のうち、いずれかの面に塗布し、接着して積層することを特徴とする偏光板の製造方法。
  15. 保護シートAと偏光子Pを接着する際に塗布する水または水系接着剤の量を0.001〜20μmとすることを特徴とする請求項14に記載の偏光板の製造方法。
  16. 保護シートAと偏光子Pを接着する際、60〜120℃に加熱することを特徴とする請求項14または15に記載の偏光板の製造方法。
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