JP2004163459A - 液晶パネル及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】温度変化によってスペーサと基板との接合が破壊されることなく、且つ、外圧に対する基板間隔(セルギャップ)の大きな変動が回避され、干渉縞の発生、色調のばらつき及び駆動電圧特性のばらつきが回避できる液晶パネル及びその製造方法を提供する。
【解決手段】弾力性を付与する樹脂を添加したフォトレジストを使用し、一方の基板20の上に柱状のスペーサ26を形成する。そして、シール剤により一方の基板20と他方の基板30とを接合する際に、熱及び圧力によりスペーサ26を他方の基板30に接合する。その後、基板基板10,20間に液晶を封入する。
【選択図】 図2
【解決手段】弾力性を付与する樹脂を添加したフォトレジストを使用し、一方の基板20の上に柱状のスペーサ26を形成する。そして、シール剤により一方の基板20と他方の基板30とを接合する際に、熱及び圧力によりスペーサ26を他方の基板30に接合する。その後、基板基板10,20間に液晶を封入する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一対の基板間に液晶を封入して構成される液晶パネル及びその製造方法に関し、特に柱状のスペーサにより一対の基板間の間隔を一定に維持した液晶パネル及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶パネルは、薄くで軽量であるとともに消費電力が小さいという長所があり、電卓、家庭用電化製品及びOA(Office Automation )機器等のディスプレイに使用されている。また、液晶パネルは、空間光変調素子(Spacial Light Modulator )として、光情報処理システムの入力装置及び計算機ホログラムにも使用されている。
【0003】
OA機器のディスプレイに使用される液晶パネルは、通常、一対の基板間に液晶を封入した構造を有している。一方の基板には画素毎にTFT(Thin Film Transistor)及び画素電極が形成されており、他方の基板には各画素共通のコモン電極が形成されている。以下、画素電極及びTFTが設けられている基板をTFT基板と呼び、TFT基板に対向して配置される基板を対向基板と呼ぶ。
【0004】
TFT基板と対向基板との間隔(セルギャップ)は、通常、樹脂又はセラミック等からなる球形のビーズにより一定に維持される。このビーズは、TFT基板と対向基板とをシール剤で接合する際に、TFT基板及び対向基板のいずれか一方の基板上に散布される。
【0005】
しかしながら、基板上にビーズを散布する方法では、基板全体にわたってビーズが均一に分布するとは限らない。基板全体にわたってビーズが均一に分布していない場合は、セルギャップの面内ばらつきが発生し、表示品質の低下の原因となる。また、液晶分子はビーズの表面に沿って配向する性質があるので、画素領域内にビーズが存在すると、配向異常が発生して表示品質が低下する。
【0006】
特開平8−220546号公報、特開2001−83517号公報及び特開2001−201750号公報には、フォトレジストを使用して、画素領域の間(例えば、データバスラインとゲートバスラインとが交差する部分)に柱状のスペーサを形成することが提案されている。
【0007】
しかし、フォトレジスト法により形成されたスペーサは、一方の基板には接合されているものの他方の基板には接合されていないため、耐衝撃性が低いという欠点がある。即ち、図9に示すように、スペーサ51間の点Aに外圧が加えられて一対の基板50,60のうちの一方が変形した場合に、点Aの周囲のセルギャップが大きく変動して、干渉縞が発生したり、色調のばらつき及び駆動電圧特性のばらつき等が発生する。
【0008】
このような不具合を回避するために、スペーサを一対の基板の両方に接合することが提案されている(例えば、特開2000−155321号公報及び特開平8−110524号公報)。
【0009】
【特許文献1】
特開平8−220546号公報
【特許文献2】
特開2001−83517号公報
【特許文献3】
特開2001−201750号公報
【特許文献4】
特開2000−155321号公報
【特許文献5】
特開平8−110524号公報
【特許文献6】
特開2001−13506号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、車載用電子機器のディスプレイに使用される液晶パネルは、極めて厳しい温度変化に晒される。一方、通常のフォトレジストにより形成されたスペーサは弾力性が低いので、スペーサが両方の基板に接合されていたとしても、厳しい温度変化に晒されると液晶とスペーサとの熱膨張率(又は、熱収縮率)の差によりスペーサが基板から剥れてしまうことがある。スペーサが基板から離れてしまうと、セルギャップを一定に維持することができなくなって表示品質が劣化する。
【0011】
特開2001−13506号公報には、例えばレジスト中にゴム又はシリコン系樹脂のパウダーを混合して弾力性を有するスペーサを形成することが記載されている。しかし、特開2001−13506号公報に記載された液晶パネルでは、スペーサが一方の基板に接合していないので、図9に示す従来の液晶パネルと同様に、液晶パネルの一部に外圧が加えられた場合にスペーサと基板とが離れて、表示不良が発生する。
【0012】
以上から、本発明の目的は、温度変化によってスペーサと基板との接合が破壊されることなく、且つ、外圧に対する基板間隔(セルギャップ)の大きな変動が回避され、干渉縞の発生、色調のばらつき及び駆動電圧特性のばらつきが回避できる液晶パネル及びその製造方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記した課題は、相互に対向して配置された一対の基板と、弾力性を付与する樹脂が添加されたフォトレジストにより形成され、前記一対の基板の両方に接合して前記一対の基板の間隔を一定に維持する複数のスペーサと、前記一対の基板の間に封入された液晶とを有することを特徴とする液晶パネルにより解決する。
【0014】
本発明においては、スペーサが一対の基板の両方に接合されているので、液晶パネルに外圧が加えられても基板とスペーサとが離れることがなく、セルギャップ(基板間隔)が大幅に変化することが回避される。これにより、干渉縞の発生、色調のばらつき及び駆動電圧特性のばらつきが回避される。
【0015】
また、本発明においては、スペーサを構成するフォトレジストに樹脂が添加されており、これによりスペーサに弾力性が付与されている。このため、温度変化により液晶の体積が変化しても、スペーサが液晶の体積変化に追従して伸縮する。従って、スペーサと基板とが剥れることがなく、温度変化に起因する表示品質の劣化が防止される。
【0016】
また、上記した課題は、第1の基板及び第2の基板を用意する工程と、弾力性を付与する樹脂が添加されたフォトレジストを用意する工程と、前記第1の基板上に前記樹脂が添加されたフォトレジストを塗布して感光性樹脂膜を形成する工程と、前記感光性樹脂膜に対し露光及び現像処理を施してスペーサを形成する工程と、シール剤と前記スペーサとにより前記第1の基板と前記第2の基板とを接合し、前記シール剤、前記第1の基板及び前記第2の基板で囲まれる空間内に液晶を封入する工程とを有することを特徴とする液晶パネルの製造方法により解決する。
【0017】
本発明においては、弾力性を付与する樹脂を添加したフォトレジストによりスペーサを形成し、液晶を封止する際に、例えばレジストが一旦軟化した後硬化する温度で熱処理することによって、スペーサを第1の基板及び第2の基板の両方に接合する。従って、パネルに部分的に外圧が加えられても、スペーサとパネルとが離れることがなく、セルギャップの大幅な変化が回避される。これにより、干渉縞の発生、色調のばらつき及び駆動電圧特性のばらつきが回避される。
【0018】
また、本発明においては、スペーサに弾力性が付与されているため、温度変化により液晶の体積が変化しても、スペーサが液晶の体積変化に追従して伸縮する。従って、スペーサと基板とが剥れることがなく、温度変化に起因する表示品質の劣化が防止される。
【0019】
但し、弾力性を付与するためにフォトレジストに添加する樹脂の添加量が3wt%未満のときは、スペーサに弾力性を付与する効果が小さい。また、弾力性を付与するためにフォトレジストに添加する樹脂の添加量が70wt%を超えると、スペーサと基板との接合力が小さくなる。このため、弾力性を付与するためにフォトレジストに添加する樹脂の添加量は、3〜70wt%とすることが好ましい。
【0020】
また、弾力性を付与するためにフォトレジストに添加する樹脂のヤング率は、フォトレジスト単体で硬化した場合のヤング率よりも小さいことが必要である。
一般的なフォトレジストを使用する場合、ヤング率が1×10−1〜5×103 MPaの樹脂を添加すればよい。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0022】
(液晶パネル)
図1は本発明の実施の形態の液晶パネルの1画素を示す平面図、図2は図1のI−I線による断面図である。なお、本実施の形態は、本発明を透過型液晶表示パネルに適用した例について説明している。
【0023】
本実施の形態の液晶表示パネルは、図2に示すように、相互に対向して配置されたTFT基板10及び対向基板20と、これらのTFT基板10及び対向基板20の間に封入された液晶30とにより構成されている。なお、TFT基板10の下及び対向基板20の上にはそれぞれ偏光板が配置される。また、TFT基板10の下方には、光源(バックライト)が配置される。
【0024】
TFT基板10は、図1,図2に示すように、ガラス基板11と、ガラス基板11上に形成されたゲートバスライン12、データバスライン14、TFT15及び画素電極18等により構成されている。ゲートバスライン12は水平方向に延在しており、データバスライン14は垂直方向に延在している。ゲートバスライン12とデータバスライン14との間にはゲート絶縁膜13が形成されており、このゲート絶縁膜13によりゲートバスライン12とデータバスライン14とは電気的に分離されている。これらのゲートバスライン12及びデータバスライン14により区画される領域がそれぞれ画素領域である。画素電極18及びTFT15は、各画素領域に1個づつ形成されている。
【0025】
本実施の形態では、図1に示すように、ゲートバスライン12の一部がTFT15のゲート電極となっており、チャネル保護膜16の幅方向の両側にはそれぞれTFT15のソース電極15s及びドレイン電極15dが配置されている。ソース電極15sは絶縁膜17に形成されたコンタクトホール17aを介して画素電極18に電気的に接続され、ドレイン電極15dはデータバスライン14に電気的に接続されている。また、画素電極18の上にはポリイミド等からなる配向膜19が形成されている。この配向膜19の表面には、電界が印加されていないときの液晶分子の配向方向を決めるラビング処理が施されている。
【0026】
一方、対向基板20は、ガラス基板21と、このガラス基板21の一方の面側(図2では下側)に形成されたブラックマトリクス22、絶縁膜23及びコモン電極24とにより構成されている。ブラックマトリクス22は、画素間の領域及びTFT形成領域を覆うように形成されている。また、絶縁膜23は、ガラス基板21の下側に、ブラックマトリクス22を覆うようにして形成されている。絶縁膜23の下にはコモン電極24が形成されており、このコモン電極24の下にはポリイミド等からなる配向膜25が形成されている。この配向膜25の表面にも、電界が印加されていないときの液晶分子の配向方向を決めるラビング処理が施されている。
【0027】
また、対向基板20には、対向基板20とTFT基板10との間隔を一定に維持するためのスペーサ26が形成されている。このスペーサ26はほぼ円柱状であり、弾力性を付与するための樹脂を添加したフォトレジストにより形成されている。
【0028】
これらのTFT基板10及び対向基板20は、配向膜19,25が形成された面を相互に対向させて配置され、表示領域の外側に塗布されたシール剤(図示せず)とスペーサ26とにより接合され、シール剤と基板10,20とにより囲まれた空間内に封入された液晶30とともに液晶パネルを構成する。
【0029】
このように構成された液晶パネルにおいて、画像を表示する際には駆動回路(図示せず)から垂直方向に並ぶゲートバスライン12に対し順番に走査信号を供給するとともに、データバスライン14に表示信号を供給する。走査信号が供給されたゲートバスライン12に接続しているTFT15はオン状態となり、画素電極18にはTFT15を介して表示信号が書き込まれる。これにより、画素電極18とコモン電極24との間に表示信号に応じた電界が発生して液晶分子の向きが変化し、その結果、画素を透過する光の光量が変化する。各画素毎に透過光の光量を制御することにより、液晶パネルに所望の画像を表示することができる。
【0030】
(液晶パネルの製造方法)
以下、本発明の実施の形態の液晶パネルの製造方法について説明する。
【0031】
まず、図1,図2に示すようなTFT基板10及び対向基板20をそれぞれ製造する。
【0032】
TFT基板10の製造方法を簡単に説明する。まず、PVD(Physical VaporDeposition )法により、ガラス基板11上に第1の金属膜を形成し、フォトリソグラフィ法により第1の金属膜をパターニングしてゲートバスライン12を形成する。次に、ガラス基板11の上側全面にゲート絶縁膜13を形成し、その上にTFT15の動作層となる第1のシリコン膜と、チャネル保護膜16となるSiN膜とを形成する。その後、フォトリソグラフィ法によりSiN膜をパターニングして、ゲートバスライン12の上方の所定の領域にチャネル保護膜16を形成する。
【0033】
次に、ガラス基板11の上側全面に、オーミックコンタクト層となる不純物が高濃度に導入された第2のシリコン膜を形成し、続けて第2のシリコン膜の上に第2の金属膜を形成する。そして、フォトリソグラフィ法により第2の金属膜、第2のシリコン膜及び第1のシリコン膜をパターニングして、TFT15の動作層となるシリコン膜の形状を確定するとともに、データバスライン14、ソース電極15s及びドレイン電極15dを形成する。
【0034】
次いで、ガラス基板11の上側全面に絶縁膜17を形成し、この絶縁膜17の所定の位置にコンタクトホール17aを形成する。その後、ガラス基板11の上側全面にITO(Indium−Tin Oxide)等の透明導電体からなる膜を形成する。そして、この透明導電体の膜をパターニングすることにより、コンタクトホール17aを介しTFT15のソース電極15sに電気的に接続された画素電極18を形成する。その後、ガラス基板11の上側全面にポリイミドからなる配向膜19を形成する。このようにして、TFT基板10が完成する。
【0035】
以下、対向基板20の製造方法について簡単に説明する。まず、ガラス基板21の上にCr等の金属膜を形成し、この金属膜をパターニングしてブラックマトリクス22を形成する。その後、ガラス基板21の上に絶縁膜23を形成する。
カラー型液晶表示パネルを製造する場合は、絶縁膜23を赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の樹脂により形成し、各画素毎に赤色、緑色及び青色のうちのいずれか1色の絶縁膜23を配置する。
【0036】
次いで、絶縁膜23の上に、ITO等の透明導電体によりコモン電極24を形成する。その後、コモン電極24の上にポリイミドからなる配向膜25を形成する。このようにして、対向基板20が完成する。
【0037】
次に、TFT基板10及び対向基板20のうちのいずれか一方の側に柱状のスペーサ26を形成する。本実施の形態では、前述したように、対向基板20の側にスペーサ26を形成している。
【0038】
まず、弾力性を付与するための樹脂(以下、単に「樹脂」という)を添加したフォトレジストを用意する。フォトレジストの種類は特に限定されるものではなく、ポジ型フォトレジストを使用してもよく、ネガ型フォトレジストを使用してもよい。フォトレジストに添加する樹脂は、硬化後のフォトレジストよりも弾力性があるものであればよいが、ヤング率が1×10−1MPa以上、且つ5×103 MPa以下のものを使用することが好ましい。具体的には、シリコーン樹脂、ポリウレタン、ポリエチレン、スチレン、ブタジエン、ポリブタジエン、ポリビニルテレフタレート、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル及びエポキシ樹脂等を使用することができる。樹脂は、所望のセルギャップよりも小径の粉体又は液体の状態でフォトレジストに添加する。ヤング率が相互に異なる2種類以上の樹脂を使用し、混合比を調整することによってスペーサに所望の弾力性を付与することもできる。
【0039】
フォトレジストへの樹脂の添加量は3〜70wt%とすることが好ましい。樹脂の添加量が3wt%未満の場合は、樹脂を添加する効果が十分でなく、温度変化に追従するスペーサを形成することができない。一方、樹脂の添加量が70wt%を超えると、スペーサと基板との接合強度が著しく低下する。なお、フォトレジストの感光性を損なわないために、樹脂はフォトレジストに相溶しないものであることが好ましい。
【0040】
次に、図3(a)に示すように、スピンコート法により、対向基板20の上に樹脂を添加したフォトレジストを塗布して厚さが約2μmのレジスト膜35を形成し、このレジスト膜35を100℃の温度で1分間プリベーキングする。
【0041】
次に、図3(b)に示すように、例えば直径が10μmの円形パターンが100μmのピッチで平面上に並んだ露光マスク41を介してレジスト膜35に紫外線を露光する。次いで、現像処理を施すと、図3(c)に示すように、円柱状のスペーサ26が形成される。その後、対向基板20の表面を純水で洗浄した後、乾燥させる。
【0042】
次に、TFT基板10及び対向基板20のうちのいずれか一方に、図4に示すように表示領域を囲むようにしてシール剤36を塗布する。但し、液晶注入口となる部分にはシール剤36を塗布しないでおく。その後、図5に示すように、真空チャンバ内でTFT基板10と対向基板20との位置合わせを行って重ね合わせ、圧力を加えながらシール剤36の硬化温度(110〜150℃)で熱処理して、シール剤36を硬化させる。このとき、スペーサ26が一旦軟化した後に硬化して、スペーサ26がTFT基板10と対向基板20との両方に接合される。
また、このとき、フォトレジストに添加した樹脂が軟化又は硬化する。更に、このとき、パネル内に封入された液晶が熱により再配向する。
【0043】
なお、シール剤36は、配向膜19,25に施したラビング処理の効果が失われない程度の温度で硬化させることが必要である。一般的に、配向膜の温度が180℃を超えると、ラビング処理の効果が失われるため、180℃以下の温度でてシール剤36を硬化させることが必要である。但し、180℃以下の温度であっても、長時間熱処理すると配向膜に施したラビング処理の効果が失われることが考えられるため、シール剤36を硬化させるための熱処理の時間は2時間以内、より好ましくは1時間以内とする。また、パネル内に封入した液晶を再配向させるためには、前述の如く、110℃以上の温度で熱処理することが必要である。以下、TFT基板10と対向基板20とを貼合わせてなる構造物(液晶封入前のパネル)を空パネルという。
【0044】
次いで、真空注入法によりTFT基板10と対向基板20との間に液晶30を注入する。即ち、図6に示すように、液晶30を入れた容器37と空パネル40とを真空チャンバ(図示せず)内に入れ、真空チャンバ内を排気して真空状態とする。その後、空パネル40の液晶注入口39を液晶40中に入れて、真空チャンバ内を大気圧に戻す。そうすると、空パネル40の内部空間の圧力と大気圧との差により液晶30が空パネル40内に進入し、パネルの内部空間に液晶が充填される。その後、液晶が充填されたパネルを2枚の平板で挟んで余分な液晶を押し出し、液晶注入口39を封止樹脂で封止する。
【0045】
なお、パネルのサイズが大きい場合は、液晶封入に要する時間を短縮するために、シール剤を塗布していない(又は一部のみに塗布した)2枚の基板10,20をスペーサを挟んで対向させた状態で固定し、これらの基板10,20の一部又は全部を液晶に付着させた後、圧力差又は温度差によって基板間に液晶を充填し、その後シール剤によって液晶を封入してもよい。
【0046】
本実施の形態の液晶表示パネルは、スペーサ26がTFT基板10及び対向基板20の両方に接合されているので、図7に示すように、部分的に外圧が加えられてもスペーサ26が基板10,20から離れることがなく、セルギャップの大きな変動が回避される。これにより、干渉縞の発生、色調のばらつき及び駆動電圧特性のばらつきが回避される。また、本実施の形態の液晶表示パネルは、スペーサ26が弾力性を有しているので、温度変化による液晶の熱膨張又は熱収縮に追従してスペーサ26が伸縮する。これにより、スペーサ26と基板10,20との接合が破壊されることがなく、良好な表示品質を維持することができる。従って、本実施の形態の液晶表示パネルは、温度が大きく変化する環境で使用される機器のディスプレイに好適である。
【0047】
なお、本発明は、ツイステッドネマティック(TN)型液晶、スーパーツイステッドネマティック(STN)型液晶、ネマティックコレステリック相転移型液晶、ポリマー分散型液晶、強誘電性液晶、反強誘電性液晶、ツイストグレインバウンダリ液晶及び電傾効果を示すスメクティックA相液晶等を用いた液晶パネルに適用することができる。
【0048】
また、上述した実施の形態では本発明を透過型液晶パネルに適用した場合について説明したが、これにより本発明の適用範囲が透過型液晶パネルに限定されるものではない。本発明は、透過型液晶パネルの他にも、反射型液晶パネルや空間光変調素子に適用することもできる。
【0049】
以下,本発明の実施例に係る液晶パネルを実際に製造し、外圧を加えたときの表示品質を調べた結果、及び低温環境下に放置した後に常温に戻して表示品質を調べた結果について、比較例と比較して説明する。
【0050】
(実施例1)
長さが200mm、幅が100mm、厚さが1.1mmの2枚のガラス基板を用意した。そして、これらのガラス基板の一方の面上にそれぞれITO膜を形成し、透明電極とした。
【0051】
次に、スピンコータを用いて、透明電極の上に、濃度が3wt%のポリイミド溶液を2000rpmの回転数で塗布してポリイミド膜を形成した。その後、ポリイミド膜を200℃の温度で30分間焼成した後、ラビング処理を施して配向膜とした。
【0052】
一方、ポジ型フォトレジスト(AZ−5200:クラリアント製)を用意し、このフォトレジストに、弾力性を付与する樹脂として、粉体ゴムであるシリコーン・アクリル複合ゴム(S−2001:三菱レーヨン製)を3wt%添加した。
【0053】
そして、透明電極及び配向膜を形成した2枚のガラス基板の一方に、スピンコータを用いて樹脂を添加したフォトレジストを塗布し、厚さが2.0μmのレジスト膜を形成した。
【0054】
次に、ガラス基板をホットプレートの上に載せ、レジスト膜を100℃の温度で1分間プリベーキングした。その後、外径が10μmの円形パターンが平面上に100μmのピッチで並んだ露光マスクを介してレジスト膜に紫外線を10秒間露光し、その後現像処理を行って、スペーサを形成した。その後、ガラス基板の表面を純水で洗浄した後、乾燥させた。
【0055】
次に、シール剤としてエポキシ樹脂を使用し、印刷法により一方のガラス基板の上にシール剤を塗布した。このとき、シール剤は、液晶注入口となる部分を除き、ガラス基板の縁部に沿って枠状に塗布した。なお、シール剤として使用したエポキシ樹脂は、150℃の温度で1時間で硬化するものである。
【0056】
次に、この一対のガラス基板を、透明電極が向かい合うように貼り合わせた後、真空袋に入れた。そして、150℃の温度で1時間加熱して、シール剤であるエポキシ樹脂を硬化させた。
【0057】
このようにしてシール剤及びスペーサにより固定された一対の基板(空パネル)の間に、真空注入法により強誘電性液晶を注入し、液晶注入口を封止して強誘電性液晶表示パネルとした。
【0058】
この液晶表示パネルの上下にそれぞれ偏光板を配置した。偏光板は、偏光軸が直交するように(クロスニコルス)配置した。
【0059】
その後、先端径が0.8mmのペン先により、ペン荷重100gで液晶表示パネルの中央を押した。しかし、ペン先の周囲に表示色の変化はみられず、セルギャップを小さくする外力に対して、耐ストレス性が認められた。
【0060】
また、液晶表示パネルの中央部を支持し、両端に300gの荷重を加えたが、画面全体にわたって表示色の変化は観察されなかった。
【0061】
更に、実施例1の液晶表示パネルを−40℃の環境に1時間放置した後、常温に戻して上記と同様の試験を行った。その結果、液晶表示パネルの表示品質に変化は見られず、液晶の体積収縮に対して良好な追従性が確認できた。
【0062】
(実施例2)
レジストに添加する樹脂として液状のブタジエン系ゴム(C223A:三菱レーヨン製)を使用したこと以外は実施例1と同一条件で液晶表示パネルを製造した。
【0063】
この実施例2の液晶表示パネルの中央部を先端径が0.8mmのペン先により、ペン荷重100gで液晶表示パネルの中央を押した。しかし、ペン先の周囲に表示色の変化はみられず、セルギャップを小さくする外力に対して、耐ストレス性が認められた。
【0064】
また、液晶表示パネルの中央部を支持し、両端に300gの荷重を加えたが、画面全体にわたって表示色の変化は観察されなかった。
【0065】
更に、実施例2の液晶表示パネルを−40℃の環境に1時間放置した後、常温に戻して上記と同様の試験を行った。その結果、液晶表示パネルの表示品質に変化は見られず、液晶の体積収縮に対して良好な追従性が確認できた。
【0066】
(実施例3)
フォトレジストに添加する樹脂としてポリエステル樹脂を使用し、添加量を70wt%としたこと以外は実施例1と同一条件で液晶表示パネルを製造した。
【0067】
この実施例3の液晶表示パネルの中央部を先端径が0.8mmのペン先により、ペン荷重100gで液晶表示パネルの中央を押した。しかし、ペン先の周囲に表示色の変化はみられず、セルギャップを小さくする外力に対して、耐ストレス性が認められた。
【0068】
また、液晶表示パネルの中央部を支持し、両端に300gの荷重を加えたが、画面全体にわたって表示色の変化は観察されなかった。
【0069】
更に、実施例3の液晶表示パネルを−40℃の環境に1時間放置した後、常温に戻して上記と同様の試験を行った。その結果、液晶表示パネルの表示品質に変化は見られず、液晶の体積収縮に対して良好な追従性が確認できた。
【0070】
(実施例4)
基板間に封入する液晶としてツイステッドネマティック型液晶を使用し、セルギャップを6μmにした以外は実施例1と同一条件で液晶表示パネルを製造した。
【0071】
この実施例4の液晶表示パネルの中央部を先端径が0.8mmのペン先により、ペン荷重100gで液晶表示パネルの中央を押した。しかし、ペン先の周囲に表示色の変化はみられず、セルギャップを小さくする外力に対して、耐ストレス性が認められた。
【0072】
また、液晶表示パネルの中央部を支持し、両端に300gの荷重を加えたが、画面全体にわたって表示色の変化は観察されなかった。
【0073】
更に、実施例4の液晶表示パネルを−40℃の環境に1時間放置した後、常温に戻して上記と同様の試験を行った。その結果、液晶表示パネルの表示品質に変化は見られず、液晶の体積収縮に対して良好な追従性が確認できた。
【0074】
(実施例5)
基板間に封入する液晶としてスーパーツイステッドネマティック型液晶を使用し、セルギャップを6μmにした以外は実施例1と同一条件で液晶表示パネルを製造した。
【0075】
この実施例5の液晶表示パネルの中央部を先端径が0.8mmのペン先により、ペン荷重100gで液晶表示パネルの中央を押した。しかし、ペン先の周囲に表示色の変化はみられず、セルギャップを小さくする外力に対して、耐ストレス性が認められた。
【0076】
また、液晶表示パネルの中央部を支持し、両端に300gの荷重を加えたが、画面全体にわたって表示色の変化は観察されなかった。
【0077】
更に、実施例5の液晶表示パネルを−40℃の環境に1時間放置した後、常温に戻して上記と同様の試験を行った。その結果、液晶表示パネルの表示品質に変化は見られず、液晶の体積収縮に対して良好な追従性が確認できた。
【0078】
(実施例6)
基板間に封入する液晶としてネマティックコレステリック相転移型液晶を使用し、セルギャップを6μmにした以外は実施例1と同一条件で液晶表示パネルを製造した。
【0079】
この実施例6の液晶表示パネルの中央部を先端径が0.8mmのペン先により、ペン荷重100gで液晶表示パネルの中央を押した。しかし、ペン先の周囲に表示色の変化はみられず、セルギャップを小さくする外力に対して、耐ストレス性が認められた。
【0080】
また、液晶表示パネルの中央部を支持し、両端に300gの荷重を加えたが、画面全体にわたって表示色の変化は観察されなかった。
【0081】
更に、実施例6の液晶表示パネルを−40℃の環境に1時間放置した後、常温に戻して上記と同様の試験を行った。その結果、液晶表示パネルの表示品質に変化は見られず、液晶の体積収縮に対して良好な追従性が確認できた。
【0082】
(実施例7)
基板間に封入する液晶として反強誘電性液晶を使用した以外は実施例1と同一条件で液晶表示パネルを製造した。
【0083】
この実施例7の液晶表示パネルの中央部を先端径が0.8mmのペン先により、ペン荷重100gで液晶表示パネルの中央を押した。しかし、ペン先の周囲に表示色の変化はみられず、セルギャップを小さくする外力に対して、耐ストレス性が認められた。
【0084】
また、液晶表示パネルの中央部を支持し、両端に300gの荷重を加えたが、画面全体にわたって表示色の変化は観察されなかった。
【0085】
更に、実施例7の液晶表示パネルを−40℃の環境に1時間放置した後、常温に戻して上記と同様の試験を行った。その結果、液晶表示パネルの表示品質に変化は見られず、液晶の体積収縮に対して良好な追従性が確認できた。
【0086】
(実施例8)
基板間に封入する液晶としてツイストグレインバウンダリ液晶を使用し、セルギャップを6μmにした以外は実施例1と同一条件で液晶表示パネルを製造した。
【0087】
この実施例8の液晶表示パネルの中央部を先端径が0.8mmのペン先により、ペン荷重100gで液晶表示パネルの中央を押した。しかし、ペン先の周囲に表示色の変化はみられず、セルギャップを小さくする外力に対して、耐ストレス性が認められた。
【0088】
また、液晶表示パネルの中央部を支持し、両端に300gの荷重を加えたが、画面全体にわたって表示色の変化は観察されなかった。
【0089】
更に、実施例8の液晶表示パネルを−40℃の環境に1時間放置した後、常温に戻して上記と同様の試験を行った。その結果、液晶表示パネルの表示品質に変化は見られず、液晶の体積収縮に対して良好な追従性が確認できた。
【0090】
(実施例9)
基板間に封入する液晶としてスメクティックA相液晶を使用し、セルギャップを6μmにした以外は実施例1と同一条件で液晶表示パネルを製造した。
【0091】
この実施例9の液晶表示パネルの中央部を先端径が0.8mmのペン先により、ペン荷重100gで液晶表示パネルの中央を押した。しかし、ペン先の周囲に表示色の変化はみられず、セルギャップを小さくする外力に対して、耐ストレス性が認められた。
【0092】
また、液晶表示パネルの中央部を支持し、両端に300gの荷重を加えたが、画面全体にわたって表示色の変化は観察されなかった。
【0093】
更に、実施例9の液晶表示パネルを−40℃の環境に1時間放置した後、常温に戻して上記と同様の試験を行った。その結果、液晶表示パネルの表示品質に変化は見られず、液晶の体積収縮に対して良好な追従性が確認できた。
【0094】
(実施例10)
滴下注入法により基板間に液晶を注入した以外は実施例1と同様と同じ条件で液晶表示パネルを製造した。即ち、図8に示すように、スペーサを形成した一方の基板45上に表示領域を囲むようにしてシール剤36を塗布した。その後、ディスペンサーにより、一方の基板45の上に強誘電性液晶30を滴下した。この場合、液晶30の滴下量はパネルの大きさとセルギャップとに応じて決定し、一方の基板45上に分散させて滴下した。その後、一方の基板45の上に他方の基板(図示せず)を重ね合わせ、加熱によりシール剤36を硬化させた。
【0095】
このようにして製造した実施例10の液晶表示パネルの中央部を先端径が0.8mmのペン先により、ペン荷重100gで液晶表示パネルの中央を押した。しかし、ペン先の周囲に表示色の変化はみられず、セルギャップを小さくする外力に対して、耐ストレス性が認められた。
【0096】
また、液晶表示パネルの中央部を支持し、両端に300gの荷重を加えたが、画面全体にわたって表示色の変化は観察されなかった。
【0097】
更に、実施例10の液晶表示パネルを−40℃の環境に1時間放置した後、常温に戻して上記と同様の試験を行った。その結果、液晶表示パネルの表示品質に変化は見られず、液晶の体積収縮に対して良好な追従性が確認できた。
【0098】
なお、実施例10では滴下注入法により基板間に液晶を封入しているので、実施例1に比べて製造に要する時間を大幅に短縮することができた。
【0099】
(比較例1)
フォトレジストに弾力性を付与するための樹脂を添加していないこと以外は実施例1と同一条件で液晶表示パネルを製造した。
【0100】
この比較例1の液晶表示パネルの中央部を先端径が0.8mmのペン先により、ペン荷重100gで液晶表示パネルの中央を押した。しかし、ペン先の周囲に表示色の変化はみられず、セルギャップを小さくする外力に対して、耐ストレス性が認められた。
【0101】
また、液晶表示パネルの中央部を支持し、両端に300gの荷重を加えたが、画面全体にわたって表示色の変化は観察されなかった。
【0102】
しかし、比較例1の液晶表示パネルを−40℃の環境に1時間放置した後、常温に戻して上記と同様の試験を行った結果、液晶層が乱れて表示品質が低下する現象が見られた。これは、温度の変化による液晶の体積変化にスペーサの伸縮が追従できなかったためと考えられる。
【0103】
(比較例2)
シール剤を硬化させるときの条件を、190℃の温度で1時間としたこと以外は実施例1と同一条件で液晶表示パネルを製造した。その結果、配向膜に熱によるダメージが見られ、表示品質が低下した。
【0104】
(比較例3)
フォトレジストに添加する樹脂としてポリエステル樹脂を使用し、添加量を80wt%としたこと以外は実施例1と同一条件で液晶表示パネルを製造した。
【0105】
この比較例3の液晶表示パネルの中央部を先端径が0.8mmのペン先により、ペン荷重100gで液晶表示パネルの中央を押した。しかし、ペン先の周囲に表示色の変化はみられず、セルギャップを小さくする外力に対して、耐ストレス性が認められた。
【0106】
また、液晶表示パネルの中央部を支持し、両端に300gの荷重を加えたが、画面全体にわたって表示色の変化は観察されなかった。
【0107】
しかし、比較例3の液晶表示パネルを−40℃の環境に1時間放置した後、常温に戻して上記と同様の試験を行った結果、表示品質が著しく低下した。これは、温度の変化による液晶の体積変化にスペーサの伸縮が追従できず、スペーサが基板から剥離したためと考えられる。
【0108】
(付記1)相互に対向して配置された一対の基板と、弾力性を付与する樹脂が添加されたフォトレジストにより形成され、前記一対の基板の両方に接合して前記一対の基板の間隔を一定に維持する複数のスペーサと、前記一対の基板の間に封入された液晶とを有することを特徴とする液晶パネル。
【0109】
(付記2)前記弾力性を付与する樹脂が、シリコーン樹脂、ポリウレタン、ポリエチレン、スチレン、ブタジエン、ポリブタジエン、ポリビニルテレフタレート、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ酸酸ビニル及びエポキシからなる群から選択された少なくとも一種の樹脂であることを特徴とする付記1に記載の液晶パネル。
【0110】
(付記3)前記フォトレジスト中の前記弾力性を付与する樹脂の添加量が、3乃至70wt%であることを特徴とする付記1に記載の液晶パネル。
【0111】
(付記4)前記弾力性を付与する樹脂のヤング率が、1×10−1乃至5×103 MPaであることを特徴とする付記1に記載の液晶パネル。
【0112】
(付記5)前記弾力性を付与する樹脂が、前記フォトレジストに対して相溶しないものであることを特徴とする付記1に記載の液晶パネル。
【0113】
(付記6)前記液晶が、ツイステッドネマティック型液晶、スーパーツイステッドネマティック型液晶、ネマティックコレステリック相転移型液晶、ポリマー分散型液晶、強誘電性液晶、反強誘電性液晶、ツイストグレインバウンダリ液晶、及びスメクティックA相液晶からなる群から選択されたいずれか一種であることを特徴とする付記1に記載の液晶パネル。
【0114】
(付記7)第1の基板及び第2の基板を用意する工程と、弾力性を付与する樹脂が添加されたフォトレジストを用意する工程と、前記第1の基板上に前記樹脂が添加されたフォトレジストを塗布して感光性樹脂膜を形成する工程と、前記感光性樹脂膜に対し露光及び現像処理を施してスペーサを形成する工程と、シール剤と前記スペーサとにより前記第1の基板と前記第2の基板とを接合し、前記シール剤、前記第1の基板及び前記第2の基板で囲まれる空間内に液晶を封入する工程とを有することを特徴とする液晶パネルの製造方法。
【0115】
(付記8)前記フォトレジストに添加する樹脂が、シリコーン樹脂、ポリウレタン、ポリエチレン、スチレン、ブタジエン、ポリブタジエン、ポリビニルテレフタレート、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ酸酸ビニル及びエポキシからなる群から選択された少なくとも一種の樹脂であることを特徴とする付記7に記載の液晶パネルの製造方法。
【0116】
(付記9)前記フォトレジストに添加する樹脂の添加量が、3乃至70wt%であることを特徴とする付記7に記載の液晶パネルの製造方法。
【0117】
(付記10)前記フォトレジストに添加する樹脂のヤング率が、1×10−1乃至5×103 MPaであることを特徴とする付記7に記載の液晶パネルの製造方法。
【0118】
(付記11)前記フォトレジストに添加する樹脂が、前記フォトレジストに対して相溶しないものであることを特徴とする付記7に記載の液晶パネルの製造方法。
【0119】
(付記12)前記液晶を封入する工程では、110乃至180℃の温度に加熱して前記シール剤及び前記スペーサを前記第1の基板及び前記第2の基板と接合させることを特徴とする付記7に記載の液晶パネルの製造方法。
【0120】
(付記13)前記シール剤は、前記温度で2時間以内に硬化するものであることを特徴とする付記12に記載の液晶パネルの製造方法。
【0121】
(付記14)前記液晶を封入する工程は、真空注入法により実施することを特徴とする付記7に記載の液晶パネルの製造方法。
【0122】
(付記15)前記液晶を封入する工程では、圧力差又は温度差を使用して前記一対の基板間に液晶を注入することを特徴とする付記14に記載の液晶パネルの製造方法。
【0123】
(付記16)前記液晶を封入する工程は、滴下注入法により実施することを特徴とする付記7に記載の液晶パネルの製造方法。
【0124】
(付記17)前記液晶として、ツイステッドネマティック型液晶、スーパーツイステッドネマティック型液晶、ネマティックコレステリック相転移型液晶、ポリマー分散型液晶、強誘電性液晶、反強誘電性液晶、ツイストグレインバウンダリ液晶、及びスメクティックA相液晶からなる群から選択されたいずれか一種を使用することを特徴とする付記7に記載の液晶パネルの製造方法。
【0125】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、一対の基板の両方にスペーサを接合するので、液晶パネルに外圧が加えられても基板とスペーサとが離れることがなく、セルギャップ(基板間隔)が大幅に変化することが回避される。これにより、干渉縞の発生、色調のばらつき及び駆動電圧特性のばらつきが回避される。
【0126】
また、本発明においては、スペーサを構成するフォトレジストに樹脂が添加されており、これによりスペーサに弾力性が付与されている。このため、温度変化により液晶の体積が変化しても、スペーサが液晶の体積変化に追従して伸縮する。従って、スペーサと基板とが剥れることがなく、温度変化に起因する表示品質の劣化が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施の形態の液晶パネルの1画素を示す平面図である。
【図2】図2は図1のI−I線による断面図である。
【図3】図3(a)〜(c)はスペーサの形成方法を示す模式図である。
【図4】図4は基板上に塗布したシール剤を示す平面図である。
【図5】図5はTFT基板と対向基板とを接合する工程を示す模式図である。
【図6】図6は真空注入法を示す模式図である。
【図7】図7は本実施の形態の液晶パネルに外圧が加えられたときのセルギャップの変化を示す模式図である。
【図8】図8は滴下注入法を示す模式図である。
【図9】図9は従来の液晶パネルに外圧が加えられたときのセルギャップの変化を示す模式図である。
【符号の説明】
10,60…TFT基板、
11,21…ガラス基板、
13…ゲート絶縁膜、
12…ゲートバスライン、
14…データバスライン、
15…TFT、
15d…ドレイン電極、
15s…ソース電極、
16…チャネル保護膜、
17,23…絶縁膜
17a…コンタクトホール、
18…画素電極、
19,25…配向膜、
20,50…対向基板、
22…ブラックマトリクス、
24…コモン電極、
26,51…スペーサ、
30…液晶、
35…レジスト膜、
36…シール剤、
39…液晶注入口、
40…空パネル。
【発明の属する技術分野】
本発明は、一対の基板間に液晶を封入して構成される液晶パネル及びその製造方法に関し、特に柱状のスペーサにより一対の基板間の間隔を一定に維持した液晶パネル及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶パネルは、薄くで軽量であるとともに消費電力が小さいという長所があり、電卓、家庭用電化製品及びOA(Office Automation )機器等のディスプレイに使用されている。また、液晶パネルは、空間光変調素子(Spacial Light Modulator )として、光情報処理システムの入力装置及び計算機ホログラムにも使用されている。
【0003】
OA機器のディスプレイに使用される液晶パネルは、通常、一対の基板間に液晶を封入した構造を有している。一方の基板には画素毎にTFT(Thin Film Transistor)及び画素電極が形成されており、他方の基板には各画素共通のコモン電極が形成されている。以下、画素電極及びTFTが設けられている基板をTFT基板と呼び、TFT基板に対向して配置される基板を対向基板と呼ぶ。
【0004】
TFT基板と対向基板との間隔(セルギャップ)は、通常、樹脂又はセラミック等からなる球形のビーズにより一定に維持される。このビーズは、TFT基板と対向基板とをシール剤で接合する際に、TFT基板及び対向基板のいずれか一方の基板上に散布される。
【0005】
しかしながら、基板上にビーズを散布する方法では、基板全体にわたってビーズが均一に分布するとは限らない。基板全体にわたってビーズが均一に分布していない場合は、セルギャップの面内ばらつきが発生し、表示品質の低下の原因となる。また、液晶分子はビーズの表面に沿って配向する性質があるので、画素領域内にビーズが存在すると、配向異常が発生して表示品質が低下する。
【0006】
特開平8−220546号公報、特開2001−83517号公報及び特開2001−201750号公報には、フォトレジストを使用して、画素領域の間(例えば、データバスラインとゲートバスラインとが交差する部分)に柱状のスペーサを形成することが提案されている。
【0007】
しかし、フォトレジスト法により形成されたスペーサは、一方の基板には接合されているものの他方の基板には接合されていないため、耐衝撃性が低いという欠点がある。即ち、図9に示すように、スペーサ51間の点Aに外圧が加えられて一対の基板50,60のうちの一方が変形した場合に、点Aの周囲のセルギャップが大きく変動して、干渉縞が発生したり、色調のばらつき及び駆動電圧特性のばらつき等が発生する。
【0008】
このような不具合を回避するために、スペーサを一対の基板の両方に接合することが提案されている(例えば、特開2000−155321号公報及び特開平8−110524号公報)。
【0009】
【特許文献1】
特開平8−220546号公報
【特許文献2】
特開2001−83517号公報
【特許文献3】
特開2001−201750号公報
【特許文献4】
特開2000−155321号公報
【特許文献5】
特開平8−110524号公報
【特許文献6】
特開2001−13506号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、車載用電子機器のディスプレイに使用される液晶パネルは、極めて厳しい温度変化に晒される。一方、通常のフォトレジストにより形成されたスペーサは弾力性が低いので、スペーサが両方の基板に接合されていたとしても、厳しい温度変化に晒されると液晶とスペーサとの熱膨張率(又は、熱収縮率)の差によりスペーサが基板から剥れてしまうことがある。スペーサが基板から離れてしまうと、セルギャップを一定に維持することができなくなって表示品質が劣化する。
【0011】
特開2001−13506号公報には、例えばレジスト中にゴム又はシリコン系樹脂のパウダーを混合して弾力性を有するスペーサを形成することが記載されている。しかし、特開2001−13506号公報に記載された液晶パネルでは、スペーサが一方の基板に接合していないので、図9に示す従来の液晶パネルと同様に、液晶パネルの一部に外圧が加えられた場合にスペーサと基板とが離れて、表示不良が発生する。
【0012】
以上から、本発明の目的は、温度変化によってスペーサと基板との接合が破壊されることなく、且つ、外圧に対する基板間隔(セルギャップ)の大きな変動が回避され、干渉縞の発生、色調のばらつき及び駆動電圧特性のばらつきが回避できる液晶パネル及びその製造方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記した課題は、相互に対向して配置された一対の基板と、弾力性を付与する樹脂が添加されたフォトレジストにより形成され、前記一対の基板の両方に接合して前記一対の基板の間隔を一定に維持する複数のスペーサと、前記一対の基板の間に封入された液晶とを有することを特徴とする液晶パネルにより解決する。
【0014】
本発明においては、スペーサが一対の基板の両方に接合されているので、液晶パネルに外圧が加えられても基板とスペーサとが離れることがなく、セルギャップ(基板間隔)が大幅に変化することが回避される。これにより、干渉縞の発生、色調のばらつき及び駆動電圧特性のばらつきが回避される。
【0015】
また、本発明においては、スペーサを構成するフォトレジストに樹脂が添加されており、これによりスペーサに弾力性が付与されている。このため、温度変化により液晶の体積が変化しても、スペーサが液晶の体積変化に追従して伸縮する。従って、スペーサと基板とが剥れることがなく、温度変化に起因する表示品質の劣化が防止される。
【0016】
また、上記した課題は、第1の基板及び第2の基板を用意する工程と、弾力性を付与する樹脂が添加されたフォトレジストを用意する工程と、前記第1の基板上に前記樹脂が添加されたフォトレジストを塗布して感光性樹脂膜を形成する工程と、前記感光性樹脂膜に対し露光及び現像処理を施してスペーサを形成する工程と、シール剤と前記スペーサとにより前記第1の基板と前記第2の基板とを接合し、前記シール剤、前記第1の基板及び前記第2の基板で囲まれる空間内に液晶を封入する工程とを有することを特徴とする液晶パネルの製造方法により解決する。
【0017】
本発明においては、弾力性を付与する樹脂を添加したフォトレジストによりスペーサを形成し、液晶を封止する際に、例えばレジストが一旦軟化した後硬化する温度で熱処理することによって、スペーサを第1の基板及び第2の基板の両方に接合する。従って、パネルに部分的に外圧が加えられても、スペーサとパネルとが離れることがなく、セルギャップの大幅な変化が回避される。これにより、干渉縞の発生、色調のばらつき及び駆動電圧特性のばらつきが回避される。
【0018】
また、本発明においては、スペーサに弾力性が付与されているため、温度変化により液晶の体積が変化しても、スペーサが液晶の体積変化に追従して伸縮する。従って、スペーサと基板とが剥れることがなく、温度変化に起因する表示品質の劣化が防止される。
【0019】
但し、弾力性を付与するためにフォトレジストに添加する樹脂の添加量が3wt%未満のときは、スペーサに弾力性を付与する効果が小さい。また、弾力性を付与するためにフォトレジストに添加する樹脂の添加量が70wt%を超えると、スペーサと基板との接合力が小さくなる。このため、弾力性を付与するためにフォトレジストに添加する樹脂の添加量は、3〜70wt%とすることが好ましい。
【0020】
また、弾力性を付与するためにフォトレジストに添加する樹脂のヤング率は、フォトレジスト単体で硬化した場合のヤング率よりも小さいことが必要である。
一般的なフォトレジストを使用する場合、ヤング率が1×10−1〜5×103 MPaの樹脂を添加すればよい。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0022】
(液晶パネル)
図1は本発明の実施の形態の液晶パネルの1画素を示す平面図、図2は図1のI−I線による断面図である。なお、本実施の形態は、本発明を透過型液晶表示パネルに適用した例について説明している。
【0023】
本実施の形態の液晶表示パネルは、図2に示すように、相互に対向して配置されたTFT基板10及び対向基板20と、これらのTFT基板10及び対向基板20の間に封入された液晶30とにより構成されている。なお、TFT基板10の下及び対向基板20の上にはそれぞれ偏光板が配置される。また、TFT基板10の下方には、光源(バックライト)が配置される。
【0024】
TFT基板10は、図1,図2に示すように、ガラス基板11と、ガラス基板11上に形成されたゲートバスライン12、データバスライン14、TFT15及び画素電極18等により構成されている。ゲートバスライン12は水平方向に延在しており、データバスライン14は垂直方向に延在している。ゲートバスライン12とデータバスライン14との間にはゲート絶縁膜13が形成されており、このゲート絶縁膜13によりゲートバスライン12とデータバスライン14とは電気的に分離されている。これらのゲートバスライン12及びデータバスライン14により区画される領域がそれぞれ画素領域である。画素電極18及びTFT15は、各画素領域に1個づつ形成されている。
【0025】
本実施の形態では、図1に示すように、ゲートバスライン12の一部がTFT15のゲート電極となっており、チャネル保護膜16の幅方向の両側にはそれぞれTFT15のソース電極15s及びドレイン電極15dが配置されている。ソース電極15sは絶縁膜17に形成されたコンタクトホール17aを介して画素電極18に電気的に接続され、ドレイン電極15dはデータバスライン14に電気的に接続されている。また、画素電極18の上にはポリイミド等からなる配向膜19が形成されている。この配向膜19の表面には、電界が印加されていないときの液晶分子の配向方向を決めるラビング処理が施されている。
【0026】
一方、対向基板20は、ガラス基板21と、このガラス基板21の一方の面側(図2では下側)に形成されたブラックマトリクス22、絶縁膜23及びコモン電極24とにより構成されている。ブラックマトリクス22は、画素間の領域及びTFT形成領域を覆うように形成されている。また、絶縁膜23は、ガラス基板21の下側に、ブラックマトリクス22を覆うようにして形成されている。絶縁膜23の下にはコモン電極24が形成されており、このコモン電極24の下にはポリイミド等からなる配向膜25が形成されている。この配向膜25の表面にも、電界が印加されていないときの液晶分子の配向方向を決めるラビング処理が施されている。
【0027】
また、対向基板20には、対向基板20とTFT基板10との間隔を一定に維持するためのスペーサ26が形成されている。このスペーサ26はほぼ円柱状であり、弾力性を付与するための樹脂を添加したフォトレジストにより形成されている。
【0028】
これらのTFT基板10及び対向基板20は、配向膜19,25が形成された面を相互に対向させて配置され、表示領域の外側に塗布されたシール剤(図示せず)とスペーサ26とにより接合され、シール剤と基板10,20とにより囲まれた空間内に封入された液晶30とともに液晶パネルを構成する。
【0029】
このように構成された液晶パネルにおいて、画像を表示する際には駆動回路(図示せず)から垂直方向に並ぶゲートバスライン12に対し順番に走査信号を供給するとともに、データバスライン14に表示信号を供給する。走査信号が供給されたゲートバスライン12に接続しているTFT15はオン状態となり、画素電極18にはTFT15を介して表示信号が書き込まれる。これにより、画素電極18とコモン電極24との間に表示信号に応じた電界が発生して液晶分子の向きが変化し、その結果、画素を透過する光の光量が変化する。各画素毎に透過光の光量を制御することにより、液晶パネルに所望の画像を表示することができる。
【0030】
(液晶パネルの製造方法)
以下、本発明の実施の形態の液晶パネルの製造方法について説明する。
【0031】
まず、図1,図2に示すようなTFT基板10及び対向基板20をそれぞれ製造する。
【0032】
TFT基板10の製造方法を簡単に説明する。まず、PVD(Physical VaporDeposition )法により、ガラス基板11上に第1の金属膜を形成し、フォトリソグラフィ法により第1の金属膜をパターニングしてゲートバスライン12を形成する。次に、ガラス基板11の上側全面にゲート絶縁膜13を形成し、その上にTFT15の動作層となる第1のシリコン膜と、チャネル保護膜16となるSiN膜とを形成する。その後、フォトリソグラフィ法によりSiN膜をパターニングして、ゲートバスライン12の上方の所定の領域にチャネル保護膜16を形成する。
【0033】
次に、ガラス基板11の上側全面に、オーミックコンタクト層となる不純物が高濃度に導入された第2のシリコン膜を形成し、続けて第2のシリコン膜の上に第2の金属膜を形成する。そして、フォトリソグラフィ法により第2の金属膜、第2のシリコン膜及び第1のシリコン膜をパターニングして、TFT15の動作層となるシリコン膜の形状を確定するとともに、データバスライン14、ソース電極15s及びドレイン電極15dを形成する。
【0034】
次いで、ガラス基板11の上側全面に絶縁膜17を形成し、この絶縁膜17の所定の位置にコンタクトホール17aを形成する。その後、ガラス基板11の上側全面にITO(Indium−Tin Oxide)等の透明導電体からなる膜を形成する。そして、この透明導電体の膜をパターニングすることにより、コンタクトホール17aを介しTFT15のソース電極15sに電気的に接続された画素電極18を形成する。その後、ガラス基板11の上側全面にポリイミドからなる配向膜19を形成する。このようにして、TFT基板10が完成する。
【0035】
以下、対向基板20の製造方法について簡単に説明する。まず、ガラス基板21の上にCr等の金属膜を形成し、この金属膜をパターニングしてブラックマトリクス22を形成する。その後、ガラス基板21の上に絶縁膜23を形成する。
カラー型液晶表示パネルを製造する場合は、絶縁膜23を赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の樹脂により形成し、各画素毎に赤色、緑色及び青色のうちのいずれか1色の絶縁膜23を配置する。
【0036】
次いで、絶縁膜23の上に、ITO等の透明導電体によりコモン電極24を形成する。その後、コモン電極24の上にポリイミドからなる配向膜25を形成する。このようにして、対向基板20が完成する。
【0037】
次に、TFT基板10及び対向基板20のうちのいずれか一方の側に柱状のスペーサ26を形成する。本実施の形態では、前述したように、対向基板20の側にスペーサ26を形成している。
【0038】
まず、弾力性を付与するための樹脂(以下、単に「樹脂」という)を添加したフォトレジストを用意する。フォトレジストの種類は特に限定されるものではなく、ポジ型フォトレジストを使用してもよく、ネガ型フォトレジストを使用してもよい。フォトレジストに添加する樹脂は、硬化後のフォトレジストよりも弾力性があるものであればよいが、ヤング率が1×10−1MPa以上、且つ5×103 MPa以下のものを使用することが好ましい。具体的には、シリコーン樹脂、ポリウレタン、ポリエチレン、スチレン、ブタジエン、ポリブタジエン、ポリビニルテレフタレート、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル及びエポキシ樹脂等を使用することができる。樹脂は、所望のセルギャップよりも小径の粉体又は液体の状態でフォトレジストに添加する。ヤング率が相互に異なる2種類以上の樹脂を使用し、混合比を調整することによってスペーサに所望の弾力性を付与することもできる。
【0039】
フォトレジストへの樹脂の添加量は3〜70wt%とすることが好ましい。樹脂の添加量が3wt%未満の場合は、樹脂を添加する効果が十分でなく、温度変化に追従するスペーサを形成することができない。一方、樹脂の添加量が70wt%を超えると、スペーサと基板との接合強度が著しく低下する。なお、フォトレジストの感光性を損なわないために、樹脂はフォトレジストに相溶しないものであることが好ましい。
【0040】
次に、図3(a)に示すように、スピンコート法により、対向基板20の上に樹脂を添加したフォトレジストを塗布して厚さが約2μmのレジスト膜35を形成し、このレジスト膜35を100℃の温度で1分間プリベーキングする。
【0041】
次に、図3(b)に示すように、例えば直径が10μmの円形パターンが100μmのピッチで平面上に並んだ露光マスク41を介してレジスト膜35に紫外線を露光する。次いで、現像処理を施すと、図3(c)に示すように、円柱状のスペーサ26が形成される。その後、対向基板20の表面を純水で洗浄した後、乾燥させる。
【0042】
次に、TFT基板10及び対向基板20のうちのいずれか一方に、図4に示すように表示領域を囲むようにしてシール剤36を塗布する。但し、液晶注入口となる部分にはシール剤36を塗布しないでおく。その後、図5に示すように、真空チャンバ内でTFT基板10と対向基板20との位置合わせを行って重ね合わせ、圧力を加えながらシール剤36の硬化温度(110〜150℃)で熱処理して、シール剤36を硬化させる。このとき、スペーサ26が一旦軟化した後に硬化して、スペーサ26がTFT基板10と対向基板20との両方に接合される。
また、このとき、フォトレジストに添加した樹脂が軟化又は硬化する。更に、このとき、パネル内に封入された液晶が熱により再配向する。
【0043】
なお、シール剤36は、配向膜19,25に施したラビング処理の効果が失われない程度の温度で硬化させることが必要である。一般的に、配向膜の温度が180℃を超えると、ラビング処理の効果が失われるため、180℃以下の温度でてシール剤36を硬化させることが必要である。但し、180℃以下の温度であっても、長時間熱処理すると配向膜に施したラビング処理の効果が失われることが考えられるため、シール剤36を硬化させるための熱処理の時間は2時間以内、より好ましくは1時間以内とする。また、パネル内に封入した液晶を再配向させるためには、前述の如く、110℃以上の温度で熱処理することが必要である。以下、TFT基板10と対向基板20とを貼合わせてなる構造物(液晶封入前のパネル)を空パネルという。
【0044】
次いで、真空注入法によりTFT基板10と対向基板20との間に液晶30を注入する。即ち、図6に示すように、液晶30を入れた容器37と空パネル40とを真空チャンバ(図示せず)内に入れ、真空チャンバ内を排気して真空状態とする。その後、空パネル40の液晶注入口39を液晶40中に入れて、真空チャンバ内を大気圧に戻す。そうすると、空パネル40の内部空間の圧力と大気圧との差により液晶30が空パネル40内に進入し、パネルの内部空間に液晶が充填される。その後、液晶が充填されたパネルを2枚の平板で挟んで余分な液晶を押し出し、液晶注入口39を封止樹脂で封止する。
【0045】
なお、パネルのサイズが大きい場合は、液晶封入に要する時間を短縮するために、シール剤を塗布していない(又は一部のみに塗布した)2枚の基板10,20をスペーサを挟んで対向させた状態で固定し、これらの基板10,20の一部又は全部を液晶に付着させた後、圧力差又は温度差によって基板間に液晶を充填し、その後シール剤によって液晶を封入してもよい。
【0046】
本実施の形態の液晶表示パネルは、スペーサ26がTFT基板10及び対向基板20の両方に接合されているので、図7に示すように、部分的に外圧が加えられてもスペーサ26が基板10,20から離れることがなく、セルギャップの大きな変動が回避される。これにより、干渉縞の発生、色調のばらつき及び駆動電圧特性のばらつきが回避される。また、本実施の形態の液晶表示パネルは、スペーサ26が弾力性を有しているので、温度変化による液晶の熱膨張又は熱収縮に追従してスペーサ26が伸縮する。これにより、スペーサ26と基板10,20との接合が破壊されることがなく、良好な表示品質を維持することができる。従って、本実施の形態の液晶表示パネルは、温度が大きく変化する環境で使用される機器のディスプレイに好適である。
【0047】
なお、本発明は、ツイステッドネマティック(TN)型液晶、スーパーツイステッドネマティック(STN)型液晶、ネマティックコレステリック相転移型液晶、ポリマー分散型液晶、強誘電性液晶、反強誘電性液晶、ツイストグレインバウンダリ液晶及び電傾効果を示すスメクティックA相液晶等を用いた液晶パネルに適用することができる。
【0048】
また、上述した実施の形態では本発明を透過型液晶パネルに適用した場合について説明したが、これにより本発明の適用範囲が透過型液晶パネルに限定されるものではない。本発明は、透過型液晶パネルの他にも、反射型液晶パネルや空間光変調素子に適用することもできる。
【0049】
以下,本発明の実施例に係る液晶パネルを実際に製造し、外圧を加えたときの表示品質を調べた結果、及び低温環境下に放置した後に常温に戻して表示品質を調べた結果について、比較例と比較して説明する。
【0050】
(実施例1)
長さが200mm、幅が100mm、厚さが1.1mmの2枚のガラス基板を用意した。そして、これらのガラス基板の一方の面上にそれぞれITO膜を形成し、透明電極とした。
【0051】
次に、スピンコータを用いて、透明電極の上に、濃度が3wt%のポリイミド溶液を2000rpmの回転数で塗布してポリイミド膜を形成した。その後、ポリイミド膜を200℃の温度で30分間焼成した後、ラビング処理を施して配向膜とした。
【0052】
一方、ポジ型フォトレジスト(AZ−5200:クラリアント製)を用意し、このフォトレジストに、弾力性を付与する樹脂として、粉体ゴムであるシリコーン・アクリル複合ゴム(S−2001:三菱レーヨン製)を3wt%添加した。
【0053】
そして、透明電極及び配向膜を形成した2枚のガラス基板の一方に、スピンコータを用いて樹脂を添加したフォトレジストを塗布し、厚さが2.0μmのレジスト膜を形成した。
【0054】
次に、ガラス基板をホットプレートの上に載せ、レジスト膜を100℃の温度で1分間プリベーキングした。その後、外径が10μmの円形パターンが平面上に100μmのピッチで並んだ露光マスクを介してレジスト膜に紫外線を10秒間露光し、その後現像処理を行って、スペーサを形成した。その後、ガラス基板の表面を純水で洗浄した後、乾燥させた。
【0055】
次に、シール剤としてエポキシ樹脂を使用し、印刷法により一方のガラス基板の上にシール剤を塗布した。このとき、シール剤は、液晶注入口となる部分を除き、ガラス基板の縁部に沿って枠状に塗布した。なお、シール剤として使用したエポキシ樹脂は、150℃の温度で1時間で硬化するものである。
【0056】
次に、この一対のガラス基板を、透明電極が向かい合うように貼り合わせた後、真空袋に入れた。そして、150℃の温度で1時間加熱して、シール剤であるエポキシ樹脂を硬化させた。
【0057】
このようにしてシール剤及びスペーサにより固定された一対の基板(空パネル)の間に、真空注入法により強誘電性液晶を注入し、液晶注入口を封止して強誘電性液晶表示パネルとした。
【0058】
この液晶表示パネルの上下にそれぞれ偏光板を配置した。偏光板は、偏光軸が直交するように(クロスニコルス)配置した。
【0059】
その後、先端径が0.8mmのペン先により、ペン荷重100gで液晶表示パネルの中央を押した。しかし、ペン先の周囲に表示色の変化はみられず、セルギャップを小さくする外力に対して、耐ストレス性が認められた。
【0060】
また、液晶表示パネルの中央部を支持し、両端に300gの荷重を加えたが、画面全体にわたって表示色の変化は観察されなかった。
【0061】
更に、実施例1の液晶表示パネルを−40℃の環境に1時間放置した後、常温に戻して上記と同様の試験を行った。その結果、液晶表示パネルの表示品質に変化は見られず、液晶の体積収縮に対して良好な追従性が確認できた。
【0062】
(実施例2)
レジストに添加する樹脂として液状のブタジエン系ゴム(C223A:三菱レーヨン製)を使用したこと以外は実施例1と同一条件で液晶表示パネルを製造した。
【0063】
この実施例2の液晶表示パネルの中央部を先端径が0.8mmのペン先により、ペン荷重100gで液晶表示パネルの中央を押した。しかし、ペン先の周囲に表示色の変化はみられず、セルギャップを小さくする外力に対して、耐ストレス性が認められた。
【0064】
また、液晶表示パネルの中央部を支持し、両端に300gの荷重を加えたが、画面全体にわたって表示色の変化は観察されなかった。
【0065】
更に、実施例2の液晶表示パネルを−40℃の環境に1時間放置した後、常温に戻して上記と同様の試験を行った。その結果、液晶表示パネルの表示品質に変化は見られず、液晶の体積収縮に対して良好な追従性が確認できた。
【0066】
(実施例3)
フォトレジストに添加する樹脂としてポリエステル樹脂を使用し、添加量を70wt%としたこと以外は実施例1と同一条件で液晶表示パネルを製造した。
【0067】
この実施例3の液晶表示パネルの中央部を先端径が0.8mmのペン先により、ペン荷重100gで液晶表示パネルの中央を押した。しかし、ペン先の周囲に表示色の変化はみられず、セルギャップを小さくする外力に対して、耐ストレス性が認められた。
【0068】
また、液晶表示パネルの中央部を支持し、両端に300gの荷重を加えたが、画面全体にわたって表示色の変化は観察されなかった。
【0069】
更に、実施例3の液晶表示パネルを−40℃の環境に1時間放置した後、常温に戻して上記と同様の試験を行った。その結果、液晶表示パネルの表示品質に変化は見られず、液晶の体積収縮に対して良好な追従性が確認できた。
【0070】
(実施例4)
基板間に封入する液晶としてツイステッドネマティック型液晶を使用し、セルギャップを6μmにした以外は実施例1と同一条件で液晶表示パネルを製造した。
【0071】
この実施例4の液晶表示パネルの中央部を先端径が0.8mmのペン先により、ペン荷重100gで液晶表示パネルの中央を押した。しかし、ペン先の周囲に表示色の変化はみられず、セルギャップを小さくする外力に対して、耐ストレス性が認められた。
【0072】
また、液晶表示パネルの中央部を支持し、両端に300gの荷重を加えたが、画面全体にわたって表示色の変化は観察されなかった。
【0073】
更に、実施例4の液晶表示パネルを−40℃の環境に1時間放置した後、常温に戻して上記と同様の試験を行った。その結果、液晶表示パネルの表示品質に変化は見られず、液晶の体積収縮に対して良好な追従性が確認できた。
【0074】
(実施例5)
基板間に封入する液晶としてスーパーツイステッドネマティック型液晶を使用し、セルギャップを6μmにした以外は実施例1と同一条件で液晶表示パネルを製造した。
【0075】
この実施例5の液晶表示パネルの中央部を先端径が0.8mmのペン先により、ペン荷重100gで液晶表示パネルの中央を押した。しかし、ペン先の周囲に表示色の変化はみられず、セルギャップを小さくする外力に対して、耐ストレス性が認められた。
【0076】
また、液晶表示パネルの中央部を支持し、両端に300gの荷重を加えたが、画面全体にわたって表示色の変化は観察されなかった。
【0077】
更に、実施例5の液晶表示パネルを−40℃の環境に1時間放置した後、常温に戻して上記と同様の試験を行った。その結果、液晶表示パネルの表示品質に変化は見られず、液晶の体積収縮に対して良好な追従性が確認できた。
【0078】
(実施例6)
基板間に封入する液晶としてネマティックコレステリック相転移型液晶を使用し、セルギャップを6μmにした以外は実施例1と同一条件で液晶表示パネルを製造した。
【0079】
この実施例6の液晶表示パネルの中央部を先端径が0.8mmのペン先により、ペン荷重100gで液晶表示パネルの中央を押した。しかし、ペン先の周囲に表示色の変化はみられず、セルギャップを小さくする外力に対して、耐ストレス性が認められた。
【0080】
また、液晶表示パネルの中央部を支持し、両端に300gの荷重を加えたが、画面全体にわたって表示色の変化は観察されなかった。
【0081】
更に、実施例6の液晶表示パネルを−40℃の環境に1時間放置した後、常温に戻して上記と同様の試験を行った。その結果、液晶表示パネルの表示品質に変化は見られず、液晶の体積収縮に対して良好な追従性が確認できた。
【0082】
(実施例7)
基板間に封入する液晶として反強誘電性液晶を使用した以外は実施例1と同一条件で液晶表示パネルを製造した。
【0083】
この実施例7の液晶表示パネルの中央部を先端径が0.8mmのペン先により、ペン荷重100gで液晶表示パネルの中央を押した。しかし、ペン先の周囲に表示色の変化はみられず、セルギャップを小さくする外力に対して、耐ストレス性が認められた。
【0084】
また、液晶表示パネルの中央部を支持し、両端に300gの荷重を加えたが、画面全体にわたって表示色の変化は観察されなかった。
【0085】
更に、実施例7の液晶表示パネルを−40℃の環境に1時間放置した後、常温に戻して上記と同様の試験を行った。その結果、液晶表示パネルの表示品質に変化は見られず、液晶の体積収縮に対して良好な追従性が確認できた。
【0086】
(実施例8)
基板間に封入する液晶としてツイストグレインバウンダリ液晶を使用し、セルギャップを6μmにした以外は実施例1と同一条件で液晶表示パネルを製造した。
【0087】
この実施例8の液晶表示パネルの中央部を先端径が0.8mmのペン先により、ペン荷重100gで液晶表示パネルの中央を押した。しかし、ペン先の周囲に表示色の変化はみられず、セルギャップを小さくする外力に対して、耐ストレス性が認められた。
【0088】
また、液晶表示パネルの中央部を支持し、両端に300gの荷重を加えたが、画面全体にわたって表示色の変化は観察されなかった。
【0089】
更に、実施例8の液晶表示パネルを−40℃の環境に1時間放置した後、常温に戻して上記と同様の試験を行った。その結果、液晶表示パネルの表示品質に変化は見られず、液晶の体積収縮に対して良好な追従性が確認できた。
【0090】
(実施例9)
基板間に封入する液晶としてスメクティックA相液晶を使用し、セルギャップを6μmにした以外は実施例1と同一条件で液晶表示パネルを製造した。
【0091】
この実施例9の液晶表示パネルの中央部を先端径が0.8mmのペン先により、ペン荷重100gで液晶表示パネルの中央を押した。しかし、ペン先の周囲に表示色の変化はみられず、セルギャップを小さくする外力に対して、耐ストレス性が認められた。
【0092】
また、液晶表示パネルの中央部を支持し、両端に300gの荷重を加えたが、画面全体にわたって表示色の変化は観察されなかった。
【0093】
更に、実施例9の液晶表示パネルを−40℃の環境に1時間放置した後、常温に戻して上記と同様の試験を行った。その結果、液晶表示パネルの表示品質に変化は見られず、液晶の体積収縮に対して良好な追従性が確認できた。
【0094】
(実施例10)
滴下注入法により基板間に液晶を注入した以外は実施例1と同様と同じ条件で液晶表示パネルを製造した。即ち、図8に示すように、スペーサを形成した一方の基板45上に表示領域を囲むようにしてシール剤36を塗布した。その後、ディスペンサーにより、一方の基板45の上に強誘電性液晶30を滴下した。この場合、液晶30の滴下量はパネルの大きさとセルギャップとに応じて決定し、一方の基板45上に分散させて滴下した。その後、一方の基板45の上に他方の基板(図示せず)を重ね合わせ、加熱によりシール剤36を硬化させた。
【0095】
このようにして製造した実施例10の液晶表示パネルの中央部を先端径が0.8mmのペン先により、ペン荷重100gで液晶表示パネルの中央を押した。しかし、ペン先の周囲に表示色の変化はみられず、セルギャップを小さくする外力に対して、耐ストレス性が認められた。
【0096】
また、液晶表示パネルの中央部を支持し、両端に300gの荷重を加えたが、画面全体にわたって表示色の変化は観察されなかった。
【0097】
更に、実施例10の液晶表示パネルを−40℃の環境に1時間放置した後、常温に戻して上記と同様の試験を行った。その結果、液晶表示パネルの表示品質に変化は見られず、液晶の体積収縮に対して良好な追従性が確認できた。
【0098】
なお、実施例10では滴下注入法により基板間に液晶を封入しているので、実施例1に比べて製造に要する時間を大幅に短縮することができた。
【0099】
(比較例1)
フォトレジストに弾力性を付与するための樹脂を添加していないこと以外は実施例1と同一条件で液晶表示パネルを製造した。
【0100】
この比較例1の液晶表示パネルの中央部を先端径が0.8mmのペン先により、ペン荷重100gで液晶表示パネルの中央を押した。しかし、ペン先の周囲に表示色の変化はみられず、セルギャップを小さくする外力に対して、耐ストレス性が認められた。
【0101】
また、液晶表示パネルの中央部を支持し、両端に300gの荷重を加えたが、画面全体にわたって表示色の変化は観察されなかった。
【0102】
しかし、比較例1の液晶表示パネルを−40℃の環境に1時間放置した後、常温に戻して上記と同様の試験を行った結果、液晶層が乱れて表示品質が低下する現象が見られた。これは、温度の変化による液晶の体積変化にスペーサの伸縮が追従できなかったためと考えられる。
【0103】
(比較例2)
シール剤を硬化させるときの条件を、190℃の温度で1時間としたこと以外は実施例1と同一条件で液晶表示パネルを製造した。その結果、配向膜に熱によるダメージが見られ、表示品質が低下した。
【0104】
(比較例3)
フォトレジストに添加する樹脂としてポリエステル樹脂を使用し、添加量を80wt%としたこと以外は実施例1と同一条件で液晶表示パネルを製造した。
【0105】
この比較例3の液晶表示パネルの中央部を先端径が0.8mmのペン先により、ペン荷重100gで液晶表示パネルの中央を押した。しかし、ペン先の周囲に表示色の変化はみられず、セルギャップを小さくする外力に対して、耐ストレス性が認められた。
【0106】
また、液晶表示パネルの中央部を支持し、両端に300gの荷重を加えたが、画面全体にわたって表示色の変化は観察されなかった。
【0107】
しかし、比較例3の液晶表示パネルを−40℃の環境に1時間放置した後、常温に戻して上記と同様の試験を行った結果、表示品質が著しく低下した。これは、温度の変化による液晶の体積変化にスペーサの伸縮が追従できず、スペーサが基板から剥離したためと考えられる。
【0108】
(付記1)相互に対向して配置された一対の基板と、弾力性を付与する樹脂が添加されたフォトレジストにより形成され、前記一対の基板の両方に接合して前記一対の基板の間隔を一定に維持する複数のスペーサと、前記一対の基板の間に封入された液晶とを有することを特徴とする液晶パネル。
【0109】
(付記2)前記弾力性を付与する樹脂が、シリコーン樹脂、ポリウレタン、ポリエチレン、スチレン、ブタジエン、ポリブタジエン、ポリビニルテレフタレート、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ酸酸ビニル及びエポキシからなる群から選択された少なくとも一種の樹脂であることを特徴とする付記1に記載の液晶パネル。
【0110】
(付記3)前記フォトレジスト中の前記弾力性を付与する樹脂の添加量が、3乃至70wt%であることを特徴とする付記1に記載の液晶パネル。
【0111】
(付記4)前記弾力性を付与する樹脂のヤング率が、1×10−1乃至5×103 MPaであることを特徴とする付記1に記載の液晶パネル。
【0112】
(付記5)前記弾力性を付与する樹脂が、前記フォトレジストに対して相溶しないものであることを特徴とする付記1に記載の液晶パネル。
【0113】
(付記6)前記液晶が、ツイステッドネマティック型液晶、スーパーツイステッドネマティック型液晶、ネマティックコレステリック相転移型液晶、ポリマー分散型液晶、強誘電性液晶、反強誘電性液晶、ツイストグレインバウンダリ液晶、及びスメクティックA相液晶からなる群から選択されたいずれか一種であることを特徴とする付記1に記載の液晶パネル。
【0114】
(付記7)第1の基板及び第2の基板を用意する工程と、弾力性を付与する樹脂が添加されたフォトレジストを用意する工程と、前記第1の基板上に前記樹脂が添加されたフォトレジストを塗布して感光性樹脂膜を形成する工程と、前記感光性樹脂膜に対し露光及び現像処理を施してスペーサを形成する工程と、シール剤と前記スペーサとにより前記第1の基板と前記第2の基板とを接合し、前記シール剤、前記第1の基板及び前記第2の基板で囲まれる空間内に液晶を封入する工程とを有することを特徴とする液晶パネルの製造方法。
【0115】
(付記8)前記フォトレジストに添加する樹脂が、シリコーン樹脂、ポリウレタン、ポリエチレン、スチレン、ブタジエン、ポリブタジエン、ポリビニルテレフタレート、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ酸酸ビニル及びエポキシからなる群から選択された少なくとも一種の樹脂であることを特徴とする付記7に記載の液晶パネルの製造方法。
【0116】
(付記9)前記フォトレジストに添加する樹脂の添加量が、3乃至70wt%であることを特徴とする付記7に記載の液晶パネルの製造方法。
【0117】
(付記10)前記フォトレジストに添加する樹脂のヤング率が、1×10−1乃至5×103 MPaであることを特徴とする付記7に記載の液晶パネルの製造方法。
【0118】
(付記11)前記フォトレジストに添加する樹脂が、前記フォトレジストに対して相溶しないものであることを特徴とする付記7に記載の液晶パネルの製造方法。
【0119】
(付記12)前記液晶を封入する工程では、110乃至180℃の温度に加熱して前記シール剤及び前記スペーサを前記第1の基板及び前記第2の基板と接合させることを特徴とする付記7に記載の液晶パネルの製造方法。
【0120】
(付記13)前記シール剤は、前記温度で2時間以内に硬化するものであることを特徴とする付記12に記載の液晶パネルの製造方法。
【0121】
(付記14)前記液晶を封入する工程は、真空注入法により実施することを特徴とする付記7に記載の液晶パネルの製造方法。
【0122】
(付記15)前記液晶を封入する工程では、圧力差又は温度差を使用して前記一対の基板間に液晶を注入することを特徴とする付記14に記載の液晶パネルの製造方法。
【0123】
(付記16)前記液晶を封入する工程は、滴下注入法により実施することを特徴とする付記7に記載の液晶パネルの製造方法。
【0124】
(付記17)前記液晶として、ツイステッドネマティック型液晶、スーパーツイステッドネマティック型液晶、ネマティックコレステリック相転移型液晶、ポリマー分散型液晶、強誘電性液晶、反強誘電性液晶、ツイストグレインバウンダリ液晶、及びスメクティックA相液晶からなる群から選択されたいずれか一種を使用することを特徴とする付記7に記載の液晶パネルの製造方法。
【0125】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、一対の基板の両方にスペーサを接合するので、液晶パネルに外圧が加えられても基板とスペーサとが離れることがなく、セルギャップ(基板間隔)が大幅に変化することが回避される。これにより、干渉縞の発生、色調のばらつき及び駆動電圧特性のばらつきが回避される。
【0126】
また、本発明においては、スペーサを構成するフォトレジストに樹脂が添加されており、これによりスペーサに弾力性が付与されている。このため、温度変化により液晶の体積が変化しても、スペーサが液晶の体積変化に追従して伸縮する。従って、スペーサと基板とが剥れることがなく、温度変化に起因する表示品質の劣化が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施の形態の液晶パネルの1画素を示す平面図である。
【図2】図2は図1のI−I線による断面図である。
【図3】図3(a)〜(c)はスペーサの形成方法を示す模式図である。
【図4】図4は基板上に塗布したシール剤を示す平面図である。
【図5】図5はTFT基板と対向基板とを接合する工程を示す模式図である。
【図6】図6は真空注入法を示す模式図である。
【図7】図7は本実施の形態の液晶パネルに外圧が加えられたときのセルギャップの変化を示す模式図である。
【図8】図8は滴下注入法を示す模式図である。
【図9】図9は従来の液晶パネルに外圧が加えられたときのセルギャップの変化を示す模式図である。
【符号の説明】
10,60…TFT基板、
11,21…ガラス基板、
13…ゲート絶縁膜、
12…ゲートバスライン、
14…データバスライン、
15…TFT、
15d…ドレイン電極、
15s…ソース電極、
16…チャネル保護膜、
17,23…絶縁膜
17a…コンタクトホール、
18…画素電極、
19,25…配向膜、
20,50…対向基板、
22…ブラックマトリクス、
24…コモン電極、
26,51…スペーサ、
30…液晶、
35…レジスト膜、
36…シール剤、
39…液晶注入口、
40…空パネル。
Claims (7)
- 相互に対向して配置された一対の基板と、
弾力性を付与する樹脂が添加されたフォトレジストにより形成され、前記一対の基板の両方に接合して前記一対の基板の間隔を一定に維持する複数のスペーサと、
前記一対の基板の間に封入された液晶と
を有することを特徴とする液晶パネル。 - 前記弾力性を付与する樹脂が、シリコーン樹脂、ポリウレタン、ポリエチレン、スチレン、ブタジエン、ポリブタジエン、ポリビニルテレフタレート、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ酸酸ビニル及びエポキシからなる群から選択された少なくとも一種の樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の液晶パネル。
- 第1の基板及び第2の基板を用意する工程と、
弾力性を付与する樹脂が添加されたフォトレジストを用意する工程と、
前記第1の基板上に前記樹脂が添加されたフォトレジストを塗布して感光性樹脂膜を形成する工程と、
前記感光性樹脂膜に対し露光及び現像処理を施してスペーサを形成する工程と、
シール剤と前記スペーサとにより前記第1の基板と前記第2の基板とを接合し、前記シール剤、前記第1の基板及び前記第2の基板で囲まれる空間内に液晶を封入する工程と
を有することを特徴とする液晶パネルの製造方法。 - 前記フォトレジストに添加する樹脂が、シリコーン樹脂、ポリウレタン、ポリエチレン、スチレン、ブタジエン、ポリブタジエン、ポリビニルテレフタレート、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ酸酸ビニル及びエポキシからなる群から選択された少なくとも一種の樹脂であることを特徴とする請求項3に記載の液晶パネルの製造方法。
- 前記フォトレジストに添加する樹脂の添加量が、3乃至70wt%であることを特徴とする請求項3に記載の液晶パネルの製造方法。
- 前記液晶を封入する工程では、110乃至180℃の温度に加熱して前記シール剤及び前記スペーサを前記第1の基板及び前記第2の基板と接合させることを特徴とする請求項3に記載の液晶パネルの製造方法。
- 前記液晶として、ツイステッドネマティック型液晶、スーパーツイステッドネマティック型液晶、ネマティックコレステリック相転移型液晶、ポリマー分散型液晶、強誘電性液晶、反強誘電性液晶、ツイストグレインバウンダリ液晶、及びスメクティックA相液晶からなる群から選択されたいずれか一種を使用することを特徴とする請求項3に記載の液晶パネルの製造方法。
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Cited By (3)
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CN100367098C (zh) * | 2006-04-04 | 2008-02-06 | 友达光电股份有限公司 | 液晶显示面板及其制作方法 |
JP2011022212A (ja) * | 2009-07-13 | 2011-02-03 | Fujitsu Ltd | 液晶表示素子 |
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-
2002
- 2002-11-08 JP JP2002325802A patent/JP2004163459A/ja active Pending
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